説明

4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造経路

【課題】ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の方法は、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを臭素化剤で臭素化して、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを提供する工程を含む。本発明の方法は、そのような化合物を製造するための従来法より効率的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アリール−OSF5化合物は、例えば以下に限られないが、農薬化合物、医薬、モノマー及びポリマーを含む、多くの他の有用な化合物を製造するのに有用である。
【0003】
例えば、KirschらのDE10058472A1(ドイツ国特許出願公開第10058472号)では、LCD及び他の電気光学デバイスの液晶媒体に使用される、4−((ヘテロ)シクリル)−ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンの誘導体が開示されている。この文献は、4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンが、ニッケルライニングを有するオートクレーブ中で、ブロモベンゼンをSF5OOSF5と150℃で18時間反応させることによって製造できることを開示している。生成物は分別蒸留によって回収される。
【0004】
Caseらの「Preparation and Properties of Some Pentafluorosulphuroxyaryl Compounds, ArO−SF5」, J. Am. Chem. Soc. 2107 (1962)では、ビスペンタフルオロ硫黄化合物が、ベンゼン、トルエン又はクロロベンゼンと反応して、ペンタフルオロスルファオキシ基で芳香環上が置換された化合物が生成することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】ドイツ国特許出願公開第10058472号明細書
【非特許文献1】Case et al., "Preparation and Properties of Some Pentafluorosulphuroxyaryl Compounds, ArO-SF5", J. Am. Chem. Soc. 2107 (1962)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の進展はあるものの、ペンタフルオロスルファオキシアリール化合物、特に4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを製造するための、他の経路を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造方法が提供される。その方法は、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを臭素化剤で臭素化して、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを提供する工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造方法を提供し、この方法は、そのような化合物を製造するための先行技術の方法よりも非常に効率的である。この方法で最も優先される生成物は、次式の4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンである。
【化1】

【0009】
その他に、優先度の低い、この生成物の異性体、例えば、2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン及び3−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンも本発明の方法で生成しうる。本発明の好ましい実施態様では、パラ(すなわち4−ブロモ)異性体の収率が、他の異性体の収率と比較して最大となる。本発明のある実施態様では、生成物にパラ及びオルト異性体が含まれ、パラ異性体がブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン異性体の合計量の50%より多い。本発明の方法で得られた生成混合物が、2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンより4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを多く含むことが好ましい。ある実施態様では、生成混合物は、4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを少なくとも51質量%、及び2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを0〜49質量%含む。
【0010】
本発明は、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを試薬として使用する。ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンは以下の式で表される。
【化2】

【0011】
本方法で使用するペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを提供する手段は、特に限定されない。例えば、上で引用したCaseらの記載した方法によって提供してもよい。従って、ビスペンタフルオロ硫黄化合物をベンゼンと反応させて、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを生成してもよい。適したビスペンタフルオロ硫黄化合物として、SF5OOSF5、SF5OOCF3、SF5OOTeF5、SF5OOSO2F、SF5OSF5、S210、又はSF5OX(X=F又はCl)が挙げられるが、これらに限られない。
【0012】
ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンの生成反応は、必要に応じて、耐ラジカル性溶媒、例えば、FREON F−113又はCCl4などの中で行われる。
【0013】
ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを提供する反応の、ある一部の実施態様では、反応混合物を約50〜約150℃(好ましくは約125℃)に加熱し、その温度で10〜25時間、好ましくは約18時間撹拌する。所定時間後、反応生成物を冷却し、非混和性の濃厚液体部分(生成物)をデカンテーションによって分離できるように、塩基性水溶液(好ましくは、冷却した20%KOH水溶液)と混ぜ合わせる。
【0014】
ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを提供する、好ましい反応における反応物質(すなわち、ビスペンタフルオロ硫黄化合物及びベンゼン)は、化学量論的に等量で供給してもよく、あるいは、化学量論的に実質的に等量(すなわち、正確な化学量論的等量±10%)で供給してもよい。その代わりに、ベンゼンをビスペンタフルオロ硫黄化合物の化学量論的過剰量で供給してもよく、その反対でもよい。
【0015】
ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを臭素化剤で臭素化すると、所望のブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンが提供される。適した臭素化剤として、以下に限られないが、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、N−ブロモアセトアミド及び臭素が挙げられる。最も好ましい臭素化剤は、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン及びN−ブロモスクシンイミドである。
【0016】
最も簡単な形態において、臭素化工程は、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼン及び臭素化剤を混合することが含む。好ましい実施態様では、臭素化工程は、以下の逐次的工程、すなわち、(a)臭素化剤を容器に添加する工程と;(b)溶媒中にペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを含む溶液を、その容器に添加する工程と;(c)触媒をその容器に添加する工程とを含む。
【0017】
反応物質(すなわち、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼン及び臭素化剤)は、化学量論的に等量で供給してもよく、あるいは、化学量論的に実質的に等量(すなわち、正確な化学量論的等量±10%)で供給してもよい。その代わりに、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを臭素化剤の化学量論的過剰量で供給してもよく、その反対でもよい。
【0018】
ある一部の実施態様では、ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンと臭素化剤の臭素とのモル比は、1:2〜2:1、又は1:1.05〜1.05:1である。
【0019】
溶媒は有機溶媒であることが好ましく、非極性有機溶媒であることがより好ましく、塩化メチレンであることが最も好ましい。臭素化工程に使用するのに適した他の溶媒として、CHCl3、CCl4、CH3CN、THF及び他の炭化水素溶媒が挙げられるが、これらに限られない。
【0020】
臭素化工程の触媒はトリフリック酸が好ましい。他の適した触媒として、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、及びフルオロスルホン酸(フルオロ硫酸)が挙げられるが、これらに限られない。触媒は臭素化剤に対して5mol%〜100mol%の量で供給するのが好ましい。
【0021】
本発明の方法からのブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの収率は、理論収率の少なくとも75%であることが好ましく、少なくとも90%であることがより好ましく、少なくとも95%であることがさらにより好ましい。
【実施例】
【0022】
以下の例を参照して本発明をより詳細に説明するが、当然のことながら本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0023】
例1 C65OSF5の製造(過剰量のC66、溶媒なし):撹拌している50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 21.75g(76.0mmol)及びC66 11.95g(153mmol)を入れた。混合物を125℃に加熱し、その温度で約18時間撹拌した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。反応生成物を、冷却した20%KOH水溶液を入れたビーカーに注ぎ、非混和性の濃厚液体部分(生成物)をデカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、残留ベンゼン(C66=37.5%)、フルオロベンゼン(C65F=9.2%)、オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン(C65OSF5=50.1%)、オキシペンタフルオロスルファニルフルオロベンゼン(C64FOSF5=0.9%)、ビス(オキシペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(C64(OSF52=2.3%)に加えて他の微量生成物を含有する(正規化した)生成物分布が明らかとなった。
【0024】
例2 C65OSF5の製造(ほぼ化学量論量のC66、溶媒なし):撹拌している50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 23.02g(80.5mmol)及びC66 6.41g(82.1mmol)を入れた。混合物を124℃に加熱し、その温度で約4時間撹拌した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。反応生成物を、冷たい水を入れたビーカーに注ぎ、引き続き重炭酸塩水溶液で中和した。生成物をCH2Cl2に抽出して、デカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、残留ベンゼン(C66=29.8%)、フルオロベンゼン(C65F=6.4%)、オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン(C65OSF5=57.7%)、オキシペンタフルオロスルファニルフルオロベンゼン(C64FOSF5=3.6%)、ビス(オキシペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(C64(OSF52=2.5%)に加えて他の微量生成物を含有する(正規化した)生成物分布が明らかとなった。
【0025】
例3 C65OSF5の製造(化学量論量のC66、溶媒なし):SF5OOSF5 25.07g(87.6mmol)及びC66 6.85g(87.7mmol)を用い、加熱を125℃で5時間として、例2の方法を繰り返した。ワークアップ後、GC−MSで分析したところ、残留ベンゼン(C66=25.0%)、フルオロベンゼン(C65F=10.3%)、オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン(C65OSF5=50.0%)、オキシペンタフルオロスルファニルフルオロベンゼン(C64FOSF5=9.5%)、ビス(オキシペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(C64(OSF52=5.3%)に加えて他の微量生成物を含有する(正規化した)生成物分布が明らかとなった。
【0026】
例4 C65OSF5の製造(ほぼ化学量論量のC66、溶媒F−113):撹拌している50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 14.9g(52.1mmol)、C66 4.5g(57.6mmol)及びFreon(登録商標)−113(F−113) 20mLを入れた。混合物を150℃に加熱し、その温度で約15時間撹拌した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。反応生成物を、冷却した20%KOH水溶液を入れたビーカーに注ぎ、非混和性の濃厚液体部分(生成物)をデカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、残留ベンゼン(C66=52.5%)、フルオロベンゼン(C65F=10.0%)、オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン(C65OSF5=33.6%)、オキシペンタフルオロスルファニルフルオロベンゼン(C64FOSF5=2.9%)、ビス(オキシペンタフルオロスルファニル)ベンゼン(C64(OSF52=1.0%)に加えて他の微量生成物を含有する(正規化した)生成物分布が明らかとなった。
【0027】
例5 ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン、BrC64OSF5の製造:ラバーセプタム、N2導入チューブ、ガラスストッパ及び磁気撹拌棒を備えた50mL三口丸底フラスコに、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(1.741g、6.075mmol)をN2下で入れて0℃に冷却した。ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼン、PhOSF5(2.70g、12.15mmol)のCH2Cl2(27mL)溶液を添加し、その後トリフリック酸(1.08mL)を添加した。出発物質の消失についてGC−MSで反応を監視した。30分後、混合物を飽和NaHCO3で処理した。CO2の発生が止まってから、CH2Cl2溶液を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧蒸留した。残渣をシリカゲルプラグ(10g)に吸着させて精製し、酢酸エチル/ヘキサン(98:2)で溶出して、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン 3.46g(収率95%)を得た。主異性体:4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン;GC−MS m/e=300(M+),1H NMR(CDCl3) δ7.55(d,2H),7.15(d,2H),19F NMR(CDCl3) δ72(q,1F),62(d,4F)。微量異性体:2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン;GC−MS m/e=300(M+),1H NMR(CDCl3) δ7.65(d,1H),7.40(d,1H),7.35(br.s,2H),19F NMR(CDCl3) δ72(q,1F),62(d,4F)。
【0028】
例6 CH2Cl2(2.0mL)中のPhOSF5(200mg、0.9mmol)及びN−ブロモスクシンイミド(160mg、0.9mmol)と、トリフリック酸(80μL)とを用いて、0℃で30分、例5の手順を行った。上述の通りワークアップして、異性体比が例5に記載した反応と同様の、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン 251mg(収率93%)を得た。
【0029】
比較例:(DE10058472A1に示唆されている、)ブロモベンゼンをSF5OOSF5と反応させて4−ブロモ−フェニル−OSF5を得る方法が劣っていることを示すために、一連の比較例(例7〜11)を行った。
【0030】
比較例7 C65BrのSF5OOSF5との反応、溶媒なし、125℃、62時間:50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 6.6g(23.1mmol)及びC65Br 3.7g(23.6mmol)を入れた。混合物を125℃に加熱し、その温度で約62時間保持した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。反応生成物を、冷たい水を入れたビーカーに注ぎ、引き続き重炭酸塩水溶液で中和した。生成物をCH2Cl2に抽出して、デカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、以下の正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0031】
【表1】

【0032】
比較例8 C65BrのSF5OOSF5との反応、溶媒なし、150℃、4時間:50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 5.4g(18.9mmol)及びC65Br 2.5g(15.9mmol)を入れた。混合物を150℃に加熱し、その温度で約4時間保持した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。生成物をCH2Cl2に抽出して、デカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、以下の正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0033】
【表2】

【0034】
比較例9 C65BrのSF5OOSF5との反応、溶媒なし、100℃、17時間:50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 6.4g(22.4mmol)及びC65Br 5.2g(33.1mmol)を入れた。混合物を100℃に加熱し、その温度で約17時間撹拌した。その時間の経過後、GC−MSで生成物を分析したところ、以下の正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0035】
【表3】

【0036】
比較例10 C65BrのSF5OOSF5との反応、CH2Cl2溶媒中、150℃、22時間:50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 4.8g(16.8mmol)、C65Br 2.8g(17.8mmol)及びCH2Cl2 20mLを入れた。混合物を150℃に加熱し、その温度で約22時間撹拌した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。生成物をCH2Cl2に抽出して、デカンテーションによって分離した。GC−MSで生成物を分析したところ、以下の正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0037】
【表4】

【0038】
比較例11 C65BrのSF5OOSF5との反応、F−113溶媒中、125℃、14時間
【0039】
第1部 125℃、14時間の加熱:50ccの反応器(Parr Instrument Co.)にSF5OOSF5 18.6g(65.0mmol)、C65Br 10.4g(66.2mmol)及びF−113溶媒 30mLを入れた。混合物を125℃に加熱し、その温度で約14時間撹拌した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。GC−MSで生成物を分析したところ、表5の第1列に記載する、正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0040】
第2部 125℃、14時間の追加加熱:反応器及び内容物を125℃に再加熱し、その温度でさらに14時間保持した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。GC−MSで生成物を分析したところ、表5の第2列に記載する、正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0041】
第3部 150℃、15時間の追加加熱:反応器及び内容物を150℃に再加熱し、その温度でさらに15時間保持した。その時間の経過後、反応器及び内容物を冷却してガス抜きした。GC−MSで生成物を分析したところ、表5の第3列に記載する、正規化した生成物分布が明らかとなった。
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
これらの例から、DE10058472A1に記載された方法よりも、本発明の方法がはるかに優れていることが示された。
【0045】
本発明を特定の実施例を参照して詳細に記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明について様々に変形及び変更できることは当業者にとって明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを臭素化剤で臭素化して、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを提供する工程を含む、ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの製造方法。
【請求項2】
前記臭素化剤が、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、N−ブロモアセトアミド及び臭素からなる群から選択される少なくとも1つの要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記臭素化工程が、非極性有機溶媒中で、前記ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼン、前記臭素化剤及び触媒を混合することを含む、請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記臭素化工程が、以下の逐次的工程、すなわち、(a)前記臭素化剤を容器に添加する工程と;(b)非極性有機溶媒中に前記ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンを含む溶液を、該容器に添加する工程と;(c)触媒を該容器に添加する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒がトリフリック酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記臭素化剤が、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン又はN−ブロモスクシンイミドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒が塩化メチレンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ペンタフルオロスルファニルオキシベンゼンと前記臭素化剤の臭素とのモル比が、1:2〜2:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モル比が、1:1.05〜1.05:1である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンの収率が、理論収率の少なくとも75%である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記収率が少なくとも95%である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンが、4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼン及び2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンのうち少なくとも1つを含む生成混合物中に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記生成混合物が、2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンより4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを多く含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生成混合物が、4−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを少なくとも51質量%、及び2−ブロモ−1−オキシペンタフルオロスルファニルベンゼンを0〜49質量%含む、請求項12に記載の方法。

【公開番号】特開2008−19257(P2008−19257A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−179810(P2007−179810)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】