説明

4−N−(メチルベンゾイル)アミノ−2−メチル安息香酸の製法

【課題】 本発明の課題は、安全且つ簡便な方法にて、収率良く4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸を製造することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、トルイル酸ハライド及び塩基とを反応させて、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルの製造した後、次いで、これを加水分解することを特徴とする、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法に関する。4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸は、例えば、医薬品の合成中間体となる有用な化合物である(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【非特許文献1】Heterocycles,vol.54,No.1(2001)
【非特許文献2】Bioorgnic and Medical Chemistry 7,1743(1999)
【背景技術】
【0002】
従来、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法としては、例えば、N-(4-ブロモ-3-メチル)-2-メチル安息香酸アミド、一酸化炭素及び炭酸を反応させる方法が開示されている。しかしながら、この方法では、毒性の高い一酸化炭素や高価なパラジウム触媒を使用しなければならない上に、後処理が困難なトリフェニルホスフィンを使用しなければならないという問題があった。
【非特許文献3】Bioorgnic and Medical Chemistry 10(21),2493(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上記問題点を解決し、安全且つ簡便な方法にて、収率良く4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の課題は、一般式(1)
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、一般式(2)
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるトルイル酸ハライド及び塩基とを反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルの製法によって解決される。
【0011】
本発明の課題は、又、一般式(3)
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを加水分解することを特徴とする、一般式(4)
【0014】
【化5】

【0015】
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法によっても解決される。
【0016】
本発明の課題は、更に、一般式(1)
【0017】
【化6】

【0018】
(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、一般式(2)
【0019】
【化7】

【0020】
(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるトルイル酸ハライド及び塩基とを反応させて、一般式(3)
【0021】
【化8】

【0022】
(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを製造した後、次いで、これを加水分解することを特徴とする、一般式(4)
【0023】
【化9】

【0024】
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法によっても解決される。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、医薬品の合成中間体となり得る、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、下記の反応工程式(1)で示されるように、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、トルイル酸ハライド及び塩基とを反応させて、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを製造する第1工程、次いで、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを加水分解する第2工程からなる。
【0027】
【化10】

【0028】
(第1工程)
本発明の第1工程において使用する4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルは、前記の一般式(1)において示される。その一般式(1)において、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基であるが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられるが、好ましくはメチル基、エチル基である。
【0029】
その具体的な化合物としては、例えば、4-アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸エチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸n-プロピルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸イソプロピルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸n-ブチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸イソブチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸sec-ブチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸t-ブチルエステル等が挙げられるが、好ましくは4-アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-アミノ-2-メチル安息香酸エチルエステルが使用される。
【0030】
本発明の第1工程において使用するトルイル酸ハライドは、前記の一般式(2)で示される。その一般式(2)において、Xは、ハロゲン原子であり、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくは塩素原子、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0031】
その具体的な化合物としては、例えば、o-トルイル酸フルオライド、m-トルイル酸フルオライド、p-トルイル酸フルオライド、o-トルイル酸クロライド、m-トルイル酸クロライド、p-トルイル酸クロライド、o-トルイル酸ブロマイド、m-トルイル酸ブロマイド、p-トルイル酸ブロマイド、o-トルイル酸アイオダイド、m-トルイル酸アイオダイド、p-トルイル酸アイオダイドが挙げられるが、好ましくはo-トルイル酸クロライド、m-トルイル酸クロライド、p-トルイル酸クロライド、o-トルイル酸ブロマイド、m-トルイル酸ブロマイド、p-トルイル酸ブロマイドが使用される。
【0032】
前記トルイル酸ハライドの使用量は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル1モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは1.0〜1.1モルである。
【0033】
本発明の第1工程において使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属水素化物;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、キノリン等の複素環式アミン類が挙げられるが、好ましくはアミン類、更に好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミンが使用される。これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0034】
前記塩基の使用量は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル1モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、更に好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0035】
本発明の第1工程は、溶媒の存在中で行うのが望ましく、使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;ピリジン、キノリンなどのアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、好ましくはカルボン酸エステル類、更に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチルが使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0036】
前記溶媒の使用量は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル1gに対して、好ましくは0.1〜50ml、更に好ましくは0.2〜20mlである。
【0037】
本発明の第1工程は、例えば、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、トルイル酸ハライド、塩基及び溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜250℃、更に好ましくは20〜200℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0038】
本発明の第1工程によって4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルが得られるが、これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な製法によって単離・精製した後に、第2工程に使用しても良いが、特に単離・精製せずに、次の工程に使用しても構わない。
【0039】
本発明の第1工程によって得られる化合物は、例えば、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-N-(3-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-N-(4-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸エチルエステル、4-N-(3-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸エチルエステル、4-N-(4-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸エチルエステル等が挙げられるが、好ましくは4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-N-(3-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル、4-N-(4-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステルである。
【0040】
(第2工程)
本発明の第2工程は4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを加水分解して4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸とする工程であるが、加水分解方法としては、一般的な方法が採用されるが、例えば、酸又は塩基の存在下、水又は水と有機溶媒の混合溶媒(均一でも不均一でも良い)中で行われるが、好ましくは塩基の存在下、水及び有機溶媒の混合溶媒中で行われる。
【0041】
本発明の第2工程で使用する塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等のアルカリ金属水素化物;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン、キノリン等の複素環式アミン類が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属水酸化物、更に好ましくはトリ水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用される。これらの塩基は、単独又は二種以上を混合して使用しても良く、水溶液を用いても構わない。
【0042】
前記塩基の使用量は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル1モルに対して、好ましくは1.0〜4.0モル、更に好ましくは2.0〜2.5モルである。
【0043】
本発明の第2工程は、水以外の有機溶媒を共存させても良く、使用される溶媒としては、反応を阻害しないものならば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;ピリジン、キノリンなどのアミン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;N,N'-ジメチルイミダゾリジノン等の尿素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられるが、好ましくはエーテル類、更に好ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンが使用される。なお、これらの有機溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0044】
前記溶媒を使用する場合には、その使用量は、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル1gに対して、好ましくは0.1〜50ml、更に好ましくは0.2〜20mlである。
【0045】
本発明の第2工程は、例えば、第1工程で得られた4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、水、塩基及び有機溶媒を混合して、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜250℃、更に好ましくは20〜200℃であり、反応圧力は特に制限されない。
【0046】
本発明の第1工程によって4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸が得られるが、これは、反応終了後、例えば、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィー等の一般的な製法によって単離・精製することができる。
【0047】
本発明の第2工程によって得られる化合物は、例えば、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸、4-N-(3-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸、4-N-(4-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸等が挙げられるが、好ましくは4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸である。
【実施例】
【0048】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0049】
実施例1(4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた内容積300mlの容器に、4-アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル10.0g(60.54mmol)、トリエチルアミン6.74g(66.59mmol)及び酢酸エチル90gを加えた。次いで、液温を20〜30℃に保ちながら、o-トルイル酸クロライド9.55g(61.75mmol)をゆるやかに滴下し、攪拌しながら40℃で3時間反応させた。反応終了後、同温度にて反応液に5質量%水酸化ナトリウム水溶液40g(50.00mmol)を加えた後、有機層を分液した後に濃縮し、粗生成物として、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル17.15gを得た(反応はほぼ定量的に進行している)。
当該粗生成物に、テトラヒドロフラン10g、水80g及び48質量%水酸化ナトリウム水溶液10.09g(121.1mol)を加え、攪拌しながら75℃で2時間反応させた(加水分解反応)。反応終了後、反応液に酢酸10g(166.5mmol)を加え、pH5〜6に調整した。析出した固体を濾過した後に乾燥させ、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸15.6gを得た(単離収率;95.7%)。
なお、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の物性値は以下の通りであった。
【0050】
融点(DSC):231℃
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.38 (3H,s),2.51(3H,s),7.27-7.63(7H,m), 7.96(1H,d,J=8.5Hz),10.41 (1H, s)
【0051】
実施例1において、4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、トルイル酸ハライド及び反応条件を変えたこと以外は、実施例1と同様に反応を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
なお、4-N-(3-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.41(3H,s)、2.54(3H,s)、7.41(1H,d,J=1.0Hz)、7.43(1H,s)、7.74〜7.78(4H,m)、7.86(1H,d,J=8.3Hz)、10.41(1H,s)
【0054】
実施例4(4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステルの合成)
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び滴下漏斗を備えた内容積300mlの容器に、4-アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル10.0g(60.54mmol)、ジイソプロピルエチルアミン8.61g(66.59mmol)及び酢酸エチル100gを加えた。次いで、液温を60℃に保ちながら、o-トルイル酸クロライド9.36g(60.54mmol)をゆるやかに滴下し、攪拌しながら同温度で2時間反応させた。反応終了後、20〜30℃にて、反応液に5質量%水酸化ナトリウム水溶液40g(50.00mmol)を加えた後、有機層を分液した。この有機層を高速液体クロマトグラフィーで定量したところ、反応収率は99.8%であった。
次いで、当該有機層を静置し、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過し、白色結晶として、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステル4.39gを得た(単離収率;25.6%)。
なお、4-N-(2-メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸メチルエステルの物性値は、以下の物性値で示される新規な化合物であった。
【0055】
融点(DSC):137℃
元素分析;水素:5.85%、炭素:71.97%、窒素:4.88%、酸素:16.90%
(計算値;水素:6.05%、炭素:72.07%、窒素:4.94%、酸素:16.94%)
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.50(3H,s)、2.62(3H,s)、3.88(3H,s)、7.23〜7.59(7H,m)、7.96(1H,dd,J=6.1,3.2Hz)
EI-MS;283
CI-MS;284
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法に関する。4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸は、例えば、医薬品の合成中間体となる有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、一般式(2)
【化2】

(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるトルイル酸ハライド及び塩基とを反応させることを特徴とする、一般式(3)
【化3】

(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルの製法。
【請求項2】
一般式(3)
【化4】

(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルを加水分解することを特徴とする、一般式(4)
【化5】

で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法。
【請求項3】
一般式(1)
【化6】

(式中、Rは、炭素原子数1〜4のアルキル基を示す。)
で示される4-アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル、一般式(2)
【化7】

(式中、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で示されるトルイル酸ハライド及び塩基とを反応させて、一般式(3)
【化8】

(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステルの製造した後、次いで、これを加水分解することを特徴とする、一般式(4)
【化9】

で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸の製法。
【請求項4】
一般式(3)のRがメチル基又はエチル基である請求項1乃至3記載の製法。
【請求項5】
一般式(3)
【化10】

(式中、Rは、前記と同義である。)
で示される4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル。
【請求項6】
一般式(3)のRがメチル基又はエチル基である請求項5記載の4-N-(メチルベンゾイル)アミノ-2-メチル安息香酸アルキルエステル。

【公開番号】特開2009−35513(P2009−35513A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202101(P2007−202101)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】