説明

6価クロム含有水の処理方法

【課題】pH調整剤の添加によるpH調整を実施しなくても、効率的に6価クロムを還元処理することができる6価クロム含有水の処理方法を提供する。
【解決手段】H形陽イオン交換樹脂を充填した第1カートリッジ14に6価クロムを含む被処理水を通水する。前記被処理水がH形陽イオン交換樹脂と接触する前又は後に還元剤を被処理水に添加する。第1カートリッジ14では、H形陽イオン交換樹脂によるイオン交換等によって、6価クロムが3価クロムに還元され易い酸性雰囲気となっているため、被処理水は酸性pHとなり、還元剤の還元作用によって6価クロムが3価クロムに還元される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6価クロム含有水の処理方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クロムめっき、クロメート処理等から発生するクロム含有水中の6価クロムは、有害物質であるため、その排水についての6価クロムの濃度は厳しく規制されている。そして、従来から、有害な6価クロムを3価クロムに還元して処理する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、6価クロム含有水を硫酸酸性にした後、亜硫酸ナトリウムを添加して6価クロムを還元し、その還元処理した処理水にNaOH等のアルカリを添加して水酸化クロムとして沈殿除去する方法が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、6価クロム含有水を酸性にpH調整した後、過酸化水素を添加して6価クロムを還元し、且つ過酸化水素をカタラーゼで分解処理する方法が開示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献3には、6価クロムを3価クロムに還元した後、3価クロムを陰イオン交換樹脂に吸着させる方法が開示されている。
【0006】
また、例えば、特許文献4には、6価クロム及び4価セリウムを還元した後、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で脱塩処理を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−277565号公報
【特許文献2】特開平9−206763号公報
【特許文献3】特開2002−121628号公報
【特許文献4】特開平9−85264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記いずれの方法においても、6価クロムの還元処理の際には、6価クロム含有水に酸等を添加して、pHを酸性側に調整している。このようなpH調整を行うと、処理水中の塩濃度が高くなるため、例えば、処理水中のイオンをイオン交換樹脂により除去して水を回収しようとする場合、イオン負荷が増加し、処理に必要なイオン交換樹脂量、水酸化ナトリウム等の再生剤使用量、処理後の廃液量が増加してしまう。
【0009】
また、還元剤等を使用しないで、6価クロムをそのままイオン交換樹脂で吸着処理して回収する方法も考えられるが、6価クロム以外の共存イオンが多く存在する場合には、6価クロムをイオン交換樹脂に吸着させることが難しく、6価クロムを多く含む処理水が排出され、結果的に廃棄処分しなければならない。
【0010】
本発明の目的は、pH調整剤の添加によるpH調整を実施しなくても、効率的に6価クロムを還元処理することができる6価クロム含有水の処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の6価クロム含有水の処理方法は、6価クロムを含む被処理水とH形陽イオン交換樹脂とを接触させる樹脂接触工程と、前記被処理水と前記H形陽イオン交換樹脂との接触前又は後に、前記被処理水と還元剤とを接触させる還元剤接触工程と、を含み、前記樹脂接触工程及び前記還元剤接触工程により、前記6価クロムを3価クロムに還元させる。
【0012】
また、前記6価クロム含有水の処理方法において、前記樹脂接触工程及び前記還元剤接触工程により得られる処理水と陰イオン交換樹脂とを接触させ、前記3価クロムを前記陰イオン交換樹脂で吸着処理する吸着処理工程を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記還元剤が、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムであることが望ましい。
【0014】
また、前記6価クロム含有水の処理方法において、前記吸着処理工程で得られる処理水は、電気伝導率が20μs/cm以下の純水である。
【0015】
また、前記6価クロム含有水の処理方法において、前記陰イオン交換樹脂中に吸着した難溶離性クロムの濃度を測定する濃度測定工程を含み、前記濃度測定工程で測定された難溶離性クロムの濃度が所定値以上の時に、前記陰イオン交換樹脂の交換時期であると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、pH調整剤の添加によるpH調整を実施しなくても、効率的に6価クロムを還元処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る6価クロム含有水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る6価クロム含有水処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示す6価クロム含有水処理装置1は、被処理水流入ライン10、還元剤添加ライン12、第1カートリッジ14、第2カートリッジ16、第1処理水排出ライン18、第2処理水排出ライン20を備える。
【0020】
図1に示すように、第1カートリッジ14の供給口(不図示)には、被処理水流入ライン10が接続されている。第1処理水排出ライン18の一端は、第1カートリッジ14の排出口(不図示)に接続され、他端は第2カートリッジ16の(供給口)に接続されている。第2カートリッジ16の排出口(不図示)には、第2処理水排出ライン20が接続されている。本実施形態では、還元剤添加ライン12が被処理水流入ライン10に接続されているが、後述するように第1処理水排出ライン18に接続されていてもよい。本実施形態の第1カートリッジ14にはH形陽イオン交換樹脂が充填され、第2カートリッジ16には陰イオン交換樹脂が充填されている。
【0021】
以下に、本実施形態の6価クロム含有水処理装置1の動作について説明する。
【0022】
まず、陽イオン及び6価クロムを含有する被処理水が被処理水流入ライン10に送液されると共に、還元剤が還元剤添加ライン12に送液され、それらの混合液が被処理水流入ライン10から第1カートリッジ14に供給される。第1カートリッジ14では、H形陽イオン交換樹脂により、被処理水中の陽イオンがイオン交換される。本実施形態のように、H形陽イオン交換樹脂を用いると、被処理水中の陽イオンとH形陽イオン交換樹脂の対イオンとの交換によりHが放出されるため、第1カートリッジ14内は酸性雰囲気となり、第1カートリッジ14を通過する被処理水のpHは、還元剤が被処理水中の6価クロムに対して還元作用を行う酸性pHとなると考えられる。6価クロムに対して還元作用を行う酸性pHとしては3以下が好適である。その結果、被処理水中の6価クロム(例えば、クロム酸、二クロム酸等)は、被処理水中に添加された還元剤により3価クロムに還元される。また、上記イオン交換処理によるpHの低下が十分でない場合でも、そもそもH形陽イオン交換樹脂は固体酸であるため、その樹脂相中のpHは、例えば3以下になり、還元反応が引き起こされる。
【0023】
このように、H形陽イオン交換樹脂を充填した第1カラムに6価クロムを含む被処理水と還元剤との混合液を通水させることによって、被処理水に酸等を添加してpH調整しなくても、6価クロムを3価クロムに還元させることができる。なお、陽イオン交換樹脂では、3価クロムをほとんど吸着除去することができないため、後述するようにH形陽イオン交換樹脂の後段に設置した陰イオン交換樹脂により3価クロムを除去することが望ましい。
【0024】
次に、第1カートリッジ14で処理された処理水(第1処理水)は、第1処理水排出ライン18から第2カートリッジ16に供給される。第2カートリッジ16では、陰イオン交換樹脂により、主に3価クロムが吸着除去されるが、その他に、例えば、還元剤由来の陰イオン、被処理水由来の陰イオン等も吸着除去される。第2カートリッジ16で処理された処理水(第2処理水)は、第2処理水排出ライン20から系外へ排出される。本実施形態のように、H形陽イオン交換樹脂の後段に、陰イオン交換樹脂を設けることにより、3価クロムや還元剤由来の陰イオンや被処理水由来の陰イオン等を除去することができるため、例えば、電気伝導率20μs/cm以下、シリカ濃度0.1ppm以下の純水を製造することができる。
【0025】
他の実施形態として、前述の通り、還元剤添加ライン12を第1処理水排出ライン18に接続してもよい。この場合、まず、陽イオン及び6価クロムを含有する被処理水が被処理水流入ライン10に送液され、H形陽イオン交換樹脂により、被処理水中の陽イオンがイオン交換される。上記でも説明したように、イオン交換処理によるHの放出、固体酸であるH形陽イオン交換樹脂との接触等により、第1カートリッジ14内は酸性雰囲気となるため、第1カートリッジ14を通過した被処理水は酸性となる。そして、還元剤を還元剤添加ライン12から第1処理水排出ライン18に供給し、第1処理水排出ライン18で酸性となった被処理水と混合させることにより、被処理水中の6価クロムが還元剤により3価クロムに還元される。なお、第1処理水排出ライン18に混合槽を設置して、酸性となった被処理水と還元剤とをその混合槽で充分に混合させてもよい。第1カートリッジから排出される被処理水のpHは、6価クロムを3価クロムに還元させる還元反応効率の点で、3以下であることが好ましい。
【0026】
但し、6価クロムを含有する被処理水をH形陽イオン交換樹脂に接触させた後に、還元剤を添加する処理方法の場合、H形陽イオン交換樹脂の劣化が早くなる虞がある。これは、6価クロムは酸化力が強く、H形陽イオン交換樹脂を酸化劣化させて、自身は3価クロムになる現象があるためである。したがって、H形陽イオン交換樹脂の劣化を防ぐ点では、6価クロムを含有する被処理水と還元剤との混合溶液をH形陽イオン交換樹脂に接触させる処理方法の方が、6価クロムを含有する被処理水をH形陽イオン交換樹脂に接触させた後に、還元剤を添加する処理方法より好ましい。
【0027】
また、陰イオン交換樹脂を充填した第2カートリッジ16に3価クロムを含有する被処理水の通水を継続していくと、陰イオン交換樹脂に一部難溶離性となったクロムが吸着される。そして、難溶離性クロムの吸着量が増加していくと、陰イオン交換樹脂の陰イオン交換性能が低下するため、新たな陰イオン交換樹脂への交換が必要となる。そこで、陰イオン交換樹脂に吸着した難溶離性クロムの濃度を測定し、その濃度が所定値以上、例えば、5g/L−樹脂以上の時には、陰イオン交換樹脂の交換時期であると判定し、古い陰イオン交換樹脂を新たな陽イオン交換樹脂に交換することが好ましい。
【0028】
本明細書における難溶離性クロムとは、2mol/Lの塩酸20L/L−樹脂を陰イオン交換樹脂に通水する再生処理を実施しても、陰イオン交換樹脂中に残存する(溶離していない)クロムのことである。この難溶離性クロムの濃度測定方法は、例えば、2mol/Lの塩酸20L/L−樹脂を陰イオン交換樹脂に通水する再生処理後、その再生処理後の陰イオン交換樹脂の一部を灰化する等して分解し、その残渣に酸を添加して難溶離性クロムを回収し、原子吸光法やICP−発光法で定量する方法等が挙げられる。
【0029】
以下に、本実施形態で使用する還元剤、イオン交換樹脂について説明する。
【0030】
6価クロムを3価クロムに還元する還元剤として、例えば、ギ酸等の有機酸、アルコール、アルデヒド類、過酸化水素等を選択することも可能である。しかし、アルコール、アルデヒド類はイオン交換樹脂で吸着除去することができず、また、有機酸はその後の処理によって除去し難い場合があるため(例えば、弱酸性の陰イオン交換樹脂では除去し難い)、別途還元剤の分解工程が必要となる。また、過酸化水素はイオン交換樹脂の酸化劣化の原因になり、また、別途分解工程が必要となる。本実施形態で使用する還元剤としては、イオン交換樹脂で容易に除去できる点で、純水装置の残留塩素の還元に一般に用いられている亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムが好ましい。
【0031】
H形陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂が挙げられるが、イオン交換能が優れていると言う点で、強酸性陽イオン交換樹脂であることが好ましい。
【0032】
本実施形態で使用する陰イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂のいずれかを使用してもよいし、それら両方を使用してもよい。弱塩基性陰イオン交換樹脂は、強塩基性陰イオン交換樹脂に比べて、吸着した3価クロムを再生処理によって容易に溶離させることができるため、陰イオン交換樹脂の長期使用の点で、強塩基性陰イオン交換樹脂より弱塩基性陰イオン交換樹脂の方が好ましい。陰イオン交換樹脂の再生処理は、例えば、アルカリ剤を第2カートリッジ16に供給して、陰イオン交換樹脂と接触させることによって行われる。
【0033】
強塩基性陰イオン交換樹脂を用いる場合、樹脂から3価クロムを溶離させることは難いが、被処理水中に共存するその他の陰イオン、例えば、塩化物イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等が、強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着しても、再生処理により溶離可能である。したがって、被処理水中のクロム濃度が低い場合には、再生処理によって、ある程度陰イオン交換樹脂の長期使用が可能となる。
【0034】
また、強塩基性陰イオン交換樹脂及び弱塩基性陰イオン交換樹脂の両方を用いる場合には、前段に弱塩基性陰イオン交換樹脂を配置し、その後段に強塩基性陰イオン交換樹脂を配置することが好ましい。この構成によって、3価クロムを弱塩基性陰イオン交換樹脂で吸着除去し、弱塩基性陰イオン交換樹脂で吸着しきれなかったその他の陰イオンを強塩基性陰イオン交換樹脂で吸着除去することができるため、不純物の少ない処理水を得ることが可能となる。
【0035】
なお、陰イオン交換樹脂に蓄積する3価クロムの量が増加すると、イオン交換性能の低下が起こるため、陰イオン交換樹脂の交換や再生を繰り返す等の特別な再生処理が必要となる。装置の構成や運転時において得られる処理水の管理値等にもよるが、再生処理後の陰イオン交換樹脂の全クロム量が、2〜5g/L−樹脂の吸着量に達したら、陰イオン交換樹脂を交換することが望ましい。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
水道水を活性炭処理して残留塩素を取り除いた水にクロム酸カリウムを添加し、6価クロムの濃度が5mg/Lとなるように調整した。そして、これを被処理水とした。この被処理水に15mg/Lとなるように亜硫酸水素ナトリウムを添加した後、その混合液をH形陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、AMBERJET1020H)が1000mL充填された第1カラム(内径50mm)、弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、AMBERLITE IRA96SB)が2000mL充填された第2カラム(内径50mm)の順に下降流で通水することにより、処理水を得た。混合液を各カラムに通水する際の流速SVを30L/L−樹脂・hrとした。そして、第1カラム入口で採取した混合液、第1カラム出口で採取した処理水、第2カラム出口で採取した処理水の全クロム濃度及び6価クロム濃度を測定した。その結果を表1にまとめた。
【0038】
【表1】

【0039】
表1から分かるように、第1カラム出口で採取した処理水の6価クロムの濃度は0.05mg/L以下であり、ほぼ全て3価クロム還元されている。また、第2カラム出口で採取した処理水では、全クロム濃度が0.05mg/L以下であり、ほぼ全てクロムが除去されている。なお、水道水基準は6価クロム化合物として0.05mg/L以下である。このように、6価クロムを含む被処理水と還元剤との混合液をH形陽イオン交換樹脂に接触させることによって、6価クロムをほぼ全て3価クロムに還元させることができる。
【0040】
上記試験終了後、4%NaOHを2500mL用いて、4L/L−樹脂・hrの流速SVで、下降流にて弱塩基性陰イオン交換樹脂を再生処理した結果、弱塩基性陰イオン交換容量の再生率は97.2%であった。
【0041】
(実施例2)
実施例1の第2カラムの後段に、強塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、AMBERJET 4002Cl)をOH形に再生した樹脂が1000mL充填された第3カラムを設置し、実施例1と同様の条件で試験を実施した。実施例2の試験によって得られた最終処理水は、電気伝導率0.2μS/cm、シリカ濃度1μg/L以下の純水であった。
【0042】
(実施例3)
水道水を活性炭処理して残留塩素を取り除いた水にクロム酸カリウムを添加し、6価クロムの濃度が5mg/Lとなるように調整した。そして、これを被処理水とした。この被処理水をH形陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、AMBERJET1020H)が1000mL充填された第1カラム(内径50mm)に下降流で通水した。被処理水を第1カラムに通水する際の流速SVを30L/L−樹脂・hrとした。次に、第1カラムから排出された処理水に、濃度が15mg/Lとなるように亜硫酸水素ナトリウムを添加した。その後、亜硫酸水素ナトリウムを添加した第1処理水を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、AMBERLITE IRA96SB)が2000mL充填された第2カラム(内径50mm)に下降流で通水することにより、処理水を得た。第2カラムに通水する際の処理水の流速SVを30L/L−樹脂・hrとした。そして、第1カラム入口で採取した被処理水、第1カラム出口で採取した処理水、処理水に亜硫酸水素ナトリウムを添加した後、第2カラム出口で採取した処理水の全クロム濃度及び6価クロム濃度を測定した。その結果を表2にまとめた。
【0043】
【表2】

【0044】
表2から分かるように、第1カラム出口で採取した処理水の6価クロムの濃度は4.8mg/Lであり、3価クロムに還元されていないが、亜硫酸水素ナトリウム添加後の処理水はほぼ全て3価クロム還元されている。また、第2カラム出口で採取した処理水では、全クロム濃度が0.05mg/L以下であり、ほぼ全てクロムが除去されている。このように、6価クロムを含む被処理水をH形陽イオン交換樹脂に接触させた後、還元剤を添加することによっても、6価クロムをほぼ全て3価クロムに還元させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 6価クロム含有水処理装置、10 被処理水流入ライン、12 還元剤添加ライン、14 第1カートリッジ、16 第2カートリッジ、18 第1処理水排出ライン、20 第2処理水排出ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6価クロムを含む被処理水とH形陽イオン交換樹脂とを接触させる樹脂接触工程と、
前記被処理水と前記H形陽イオン交換樹脂との接触前又は後に、前記被処理水と還元剤とを接触させる還元剤接触工程と、を含み、
前記樹脂接触工程及び前記還元剤接触工程により、前記6価クロムを3価クロムに還元させることを特徴とする6価クロム含有水の処理方法。
【請求項2】
前記樹脂接触工程及び前記還元剤接触工程により得られる処理水と陰イオン交換樹脂とを接触させ、前記3価クロムを前記陰イオン交換樹脂で吸着処理する吸着処理工程を含むことを特徴とする請求項1記載の6価クロム含有水の処理方法。
【請求項3】
前記還元剤が、亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求項1又は2記載の6価クロム含有水の処理方法。
【請求項4】
前記吸着処理工程で得られる処理水は、電気伝導率が20μs/cm以下の純水であることを特徴とする請求項2記載の6価クロム含有水の処理方法。
【請求項5】
前記陰イオン交換樹脂中に吸着した難溶離性クロムの濃度を測定する濃度測定工程を含み、
前記濃度測定工程で測定された前記難溶離性クロムの濃度が所定値以上の時に、前記陰イオン交換樹脂の交換時期であると判定することを特徴とする請求項2又は4に記載の6価クロム含有水の処理方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−125663(P2012−125663A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276751(P2010−276751)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】