説明

7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの末梢ベンゾジアゼピン受容体レベルのバイオマーカーとしての使用

放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの個人における正常及び病的状態に関連するPBRレベルを検出するためのバイオマーカーとしての使用。正常及び病的状態に関連するPBRレベルの検出方法。診断キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの個人における正常及び病的状態に関連するPBR(末梢ベンゾジアゼピン受容体)レベルを検出するためのバイオマーカーとしての使用に関する。本発明は、上記目的のためのPBRレベルの検出方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
正常な生理的状態では、トランスロケータータンパク質18kDa(TSPO)(Papadopoulos,B.ら,(2006)Trends Pharmacol.Sci.,27:402−409)としても公知のPBRは脳、主にミクログリア細胞中では低レベルで発現し、副腎、松果体、唾液腺、生殖腺、腎臓、肺、心臓や骨格筋のような多数の末梢組織中では高度に発現する(Chen,M−K.and Guilarte,T.,(2008)Pharmacology and Therapeutics,118:1−17;Venneti,S.ら,(2006)Progress in Neurobiol.,80:308−322)。基準PBRリガンドの[H]PK11195を用いた細胞レベル下局在化研究で、PBRがミトコンドリア外膜中に局在していることが判明した(Anholt,R.R.ら,(1986)J.Biol.Chem.,261:576−583;Antkiewicz−Michaluk,L.ら,(1988)Mol.Pharmacol.,34:272−278)。しかしながら、免疫組織化学的研究で、PBRは(ミトコンドリアがない)血球中で発現し(Olson,J.M.ら,(1988)Eur.J.Pharmacol.,152:47−53)、細胞膜に局在化され得ること(O’Beirne、G.ら,(1990)Eur.J.Biochem.,188:131−138;Woods,M.J.ら,(1996)Biochem.Pharmacol.,51:1283−1292)も判明した。PBRの核または核周囲局在化も乳癌細胞(Hardwick,M.ら,(1999)Cancer Res.,59:831−842)、ヒト神経膠腫細胞(Brown,R.C.ら,(2000)Cancer Lett.,156:125−132)、肝腫瘍細胞(Corsi,L.ら,(2005)Life Sci.,76:2523−2533)及びグリア細胞(Kuhlmann,A.C.and Guilarte,T.R.(2000)J.Neurochem.,74:1694−1704)で観察された。
【0003】
PBRレベルの著しい上昇が細胞損傷、炎症または増殖後に観察され、多数の急性及び慢性病的状態に関連している(Chen,M−K.and Guilarte,T.(2008)Pharmacology and Therapeutics,118:1−17;Venneti,S.ら,(2006)Progress in Neurobiology,80:308−322)。これらには、脳損傷、例えば卒中及び虚血再灌流障害(Gerhard,A.ら,(2000)Neuroreport,11:2957−2960;Gerhard,A.ら,(2005)Neuroimage,24:404−412)、外傷性脳損傷(Raghavendra,R.ら,(2000)Exp.Neurol.,161:102−114);脳感染、例えば脳炎(Banati,R.B.ら,(1999)Neurology,53:2199−2203;Cagin,A.ら,(2001)Brain,124:2014−2027);神経疾患、例えば多発性硬化症(Banati,R.B.ら,(2000)Brain,123:2321−2337)、アルツハイマー病及び認知症(Cagnin,A.ら,(2001)Lancet,358:461−467;Versijpt,J.J.ら,(2003)Eur.Neurol.,50:39−47)、パーキンソン病(Ouchi,Y.ら,(2005)Ann.Neurol.,57:168−175;Gerhard,A.ら,(2006)Neurobiol.Dis.,21:404−412)、筋萎縮性側索硬化症(Turner,M.R.ら,(2004)Neurobiol.Dis.,15:601−609)、大脳皮質基底核変性症(Gerhard A.ら,(2004)Mov.Disord.,19:1221−1226;Henkel,K.ら,(2004)Mov.Disord.,19:817−821)、ハンチントン病(Messmer,K.and Reynolds,G.P.,(1998)Neurosci.Lett.,241:53−56;Pavese,N.ら,(2006)Neurology,66:1638−1643)及びてんかん(Sauvageau,A.ら,(2002)Metab.Brain Dis.,17:3−11)が含まれる。CNS病理における高いPBRレベルが主にミクログリア細胞で観察されている(Chen,M−K.and Guilarte、T.,(2008)Pharmacology and Therapeutics,118:1−17;Venneti,S.ら,(2006)Progress in Neurobiology,80:308−322)。
【0004】
PBRの高い上昇は、癌(Cornu,P.ら,(1992)Acta.Neurichir.,119:146−152;Hardwick,M.ら,(1999)Cancer Res.,59:831−842;Maaser,K.ら,(2002)Cancer Res.,8:3205−3209)、肺の炎症(Audi,S.H.ら,(2002)Lung.,180:241−250;Hardwick,M.J.ら,(2005)Mol.Imaging.,4:432−438)、心虚血(Mazzone,A.ら,(2000)J.Am.Coll.Cardiol.,36:746−750)、腎虚血(Zhang,K.ら,(2006)J.Am.Coll.Surg.,203:353−364)、リウマチ(線維筋痛)(Faggioli,P.ら,(2004)Rheumatology(Oxford),43:1224−1225)、座骨神経再生(Mills,C.D.ら,(2005)Mol.Cell.Neurosci.,30:228−237)、乾癬性関節炎(Guisti,L.ら,(2004)Clin.Biochem.,37:61−66)及びアテローム性動脈硬化症(Fujimura,Y.ら,(2008)Atherosclerosis,201:108−111;Laitinen,I.ら,(2008)Eur.J.Nuc.Med.Mol.Imaging,36:73−80)でも観察されている。
【0005】
対照的に、PBRレベルの低下は、統合失調症患者の脳で(Kurumaji,A.ら,(1997)J.Neural.Transm.,104:1361−1370;Wodarz,N.ら,(1998)Psychiatry Res.,14:363−369)、関節リウマチ(Bribes,E.ら,(2002)Eur.J.Pharmacol.,452:111−122)及び骨関節症(Bazzichi,L.ら,(2003)Clin.Biochem.,36:57−60)で観察されている。
【0006】
従って、脳及び他の組織中のPBRレベルをインビボでイメージングする能力は、病気の進行の重要なバイオマーカーとして、治療処置の有効性を調べ、評価するために、またインビボでPBR受容体占有率を評価するために役立つ。
【0007】
基準PET PBRリガンドの[11C]PK11195は、多数の神経病的状態におけるPBRレベルをインビボでイメージングするために広く使用されている(Chen,M−K and Guilarte,T.(2008)Pharmacology and Therapeutics,118:1−17;Venneti,S.ら,(2006)Progress in Neurobiology,80:308−322)。しかしながら、[11C]PK11195は、比較的低い脳取り込み、高い非特異的結合及び乏しい信号/雑音比を示す。これらの性質により、CNSにおけるPBRレベルのPETイメージング及び占有率研究のための[11C]PK11195の感度は限られている。従って、[11C]PK11195よりもより高い特異的結合及びより高い感度を有する改良されたPBR PETリガンドが開発されれば、脳及び他の組織中のPBRレベルのイメージングがかなり進歩するであろう。
【0008】
WO 99/06406及びWO 00/44384に記載されており、特許請求されている化合物の中で、ピリダジノ[4,5−b]インドール誘導体の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドがPBRに対するPET(または、SPECT)リガンドとして使用するために特に興味深いと同定された。この化合物はインビトロ及びインビボでPBRに対して高い親和性を有している(Ferzaz,B.ら,(2002)J.Pharm.Exp.Therap.,301:1067−1078)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第99/06406号
【特許文献2】国際公開第00/44384号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Papadopoulos,B.ら,(2006)Trends Pharmacol.Sci.,27:402−409
【非特許文献2】Chen,M−K.and Guilarte,T.,(2008)Pharmacology and Therapeutics,118:1−17
【非特許文献3】Venneti,S.ら,(2006)Progress in Neurobiol.,80:308−322
【非特許文献4】Anholt,R.R.ら,(1986)J.Biol.Chem.,261:576−583
【非特許文献5】Antkiewicz−Michaluk,L.ら,(1988)Mol.Pharmacol.,34:272−278
【非特許文献6】Olson,J.M.ら,(1988)Eur.J.Pharmacol.,152:47−53
【非特許文献7】O’Beirne、G.ら,(1990)Eur.J.Biochem.,188:131−138
【非特許文献8】Woods,M.J.ら,(1996)Biochem.Pharmacol.,51:1283−1292
【非特許文献9】Hardwick,M.ら,(1999)Cancer Res.,59:831−842
【非特許文献10】Brown,R.C.ら,(2000)Cancer Lett.,156:125−132
【非特許文献11】Corsi,L.ら,(2005)Life Sci.,76:2523−2533
【非特許文献12】Kuhlmann,A.C.and Guilarte,T.R.(2000)J.Neurochem.,74:1694−1704
【非特許文献13】Gerhard,A.ら,(2000)Neuroreport,11:2957−2960
【非特許文献14】Gerhard,A.ら,(2005)Neuroimage,24:404−412
【非特許文献15】Raghavendra,R.ら,(2000)Exp.Neurol.,161:102−114
【非特許文献16】Banati,R.B.ら,(1999)Neurology,53:2199−2203
【非特許文献17】Cagin,A.ら,(2001)Brain,124:2014−2027
【非特許文献18】Banati,R.B.ら,(2000)Brain,123:2321−2337
【非特許文献19】Cagnin,A.ら,(2001)Lancet,358:461−467
【非特許文献20】Versijpt,J.J.ら,(2003)Eur.Neurol.,50:39−47
【非特許文献21】Ouchi,Y.ら,(2005)Ann.Neurol.,57:168−175
【非特許文献22】Gerhard,A.ら,(2006)Neurobiol.Dis.,21:404−412
【非特許文献23】Turner,M.R.ら,(2004)Neurobiol.Dis.,15:601−609
【非特許文献24】Gerhard A.ら,(2004)Mov.Disord.,19:1221−1226
【非特許文献25】Henkel,K.ら,(2004)Mov.Disord.,19:817−821
【非特許文献26】Messmer,K.and Reynolds,GP.,(1998)Neurosci.Lett.,241:53−56
【非特許文献27】Pavese,N.ら,(2006)Neurology,66:1638−1643
【非特許文献28】Sauvageau,A.ら,(2002)Metab.Brain Dis.,17:3−11
【非特許文献29】Cornu,P.ら,(1992)Acta.Neurichir.,119:146−152
【非特許文献30】Maaser,K.ら,(2002)Cancer Res.,8:3205−3209
【非特許文献31】Audi,S.H.ら,(2002)Lung.,180:241−250
【非特許文献32】Hardwick,M.J.ら,(2005)Mol.Imaging.,4:432−438
【非特許文献33】Mazzone,A.ら,(2000)J.Am.Coll.Cardiol.,36:746−750
【非特許文献34】Zhang,K.ら,(2006)J.Am.Coll.Surg.,203:353−364
【非特許文献35】Faggioli,P.ら,(2004)Rheumatology(Oxford),43:1224−1225
【非特許文献36】Mills,C.D.ら,(2005)Mol.Cell.Neurosci.,30:228−237
【非特許文献37】Guisti,L.ら,(2004)Clin.Biochem.,37:61−66
【非特許文献38】Fujimura,Y.ら,(2008)Atherosclerosis,201:108−111
【非特許文献39】Laitinen,I.ら,(2008)Eur.J.Nuc.Med.Mol.Imaging,36:73−80
【非特許文献40】Kurumaji,A.ら,(1997)J.Neural.Transm.,104:1361−1370
【非特許文献41】Wodarz,N.ら,(1998)Psychiatry Res.,14:363−369
【非特許文献42】Bribes,E.ら,(2002)Eur.J.Pharmacol.,452:111−122
【非特許文献43】Bazzichi,L.ら,(2003)Clin.Biochem.,36:57−60
【非特許文献44】Ferzaz,B.ら,(2002)J.Pharm.Exp.Therap.,301:1067−1078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの正常状態に関連するPBRレベル及び病的状態に関連するPBRレベルを検出するためのバイオマーカーとしての使用に関する。
【0012】
本発明は、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを用いる正常状態に関連するPBRレベル及び病的状態に関連するPBRレベルの検出方法にも関する。
【0013】
本発明は、PBRレベルを検出するための診断キットにも関する。
【0014】
定義
便宜的理由のため且つ読みやすくするために、化合物7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを本明細書中の幾つかの章で「A」と改名した。
【0015】
本発明のために、以下の用語は適切に理解されたい。
【0016】
バイオマーカー:客観的に(すなわち、許容される精度及び再現性で)調べられ、また正常な生理学的または病理学的プロセスの指標として、医学的治療の作用を評価するために使用され得る特性。バイオマーカーは、組織または体液中で検出され得る生物学的、解剖学的、生理学的、生化学的または分子パラメーターであり得る。
【0017】
炎症:組織の損傷または破壊に対する応答。末梢では、急性炎症は多形核細胞(好中球)により特徴づけられる白血球浸潤物から構成され、慢性炎症は単核細胞(マクロファージ、リンパ球、プラズマ細胞)から構成される。脳では、炎症はミクログリア及び星状グリア細胞の活性化、並びにサイトカイン及びケモカインの関与、補体タンパク質、急性期タンパク質、酸化的損傷及び関連分子プロセスを含む広いスペクトルの細胞応答を取り込む。これらの事象はニューロン機能に対して悪影響を有し得、ニューロン損傷、更にはグリア活性化、最終的には神経変性が生じ得る。脳炎症に応答して、グリア細胞(主に、ミクログリア)は活性化され、PBRを過剰発現する。従って、脳中のPBRレベルは神経炎症の指標であり、本発明のために神経炎症のバイオマーカーとして見なされ得る。
【0018】
病的状態:これらの状態は神経疾患、すなわち中枢神経系の機能に影響を及ぼす損傷、障害または疾患を含み得る。これらには急性脳損傷、例えば卒中、虚血再灌流障害及び外傷性脳損傷;脳感染、例えば脳炎;神経疾患、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病及びてんかんが含まれ得る。病的状態には精神病、例えば統合失調症;末梢炎症プロセス、例えば肺炎症、アテローム性動脈硬化症、心虚血、腎虚血、リウマチ(線維筋痛)、乾癬性関節炎、関節リウマチ及び骨関節症;増殖性疾患、例えば癌も含まれ得る。
【0019】
受容体占有率:生化学的標的または受容体に対する結合の量の尺度。薬物に対する受容体占有率のレベルは、放射標識されているPETリガンド単独で、または非標識薬物を投与した後にPETリガンドを与えたときに得られる時間−放射能測定値を比較することにより調べられ得る。PETリガンドは非標識薬物と同一の受容体に結合されなければならない。放射標識されているPETリガンドの受容体に対する結合の量は非標識薬物の濃度が増加すると減少する。この減少の程度が非標識薬物の受容体占有率として定義される。
【0020】
PETイメージング:陽電子放射断層撮影法は体内の機能プロセスの三次元イメージまたはマップを作成するイメージング技術である。このシステムは、体内の生物学的活性分子上に導入される陽電子放射性核種(トレーサー)により間接的に放射される対のγ線を検出する。次いで、体内の三次元空間中のトレーサー濃度のイメージをコンピュータ分析により再構築する。PETのために使用される材料は、γ線阻止能及び信号変換スピードが高いのでシンチレーター、例えばゲルマニウム酸ビスマス、オキシ−オルトケイ酸ルテチウムまたはオルトケイ酸ガドリウムである。
【0021】
SPECTイメージング:単一光子放射形コンピュータ断層撮影法は体内の機能プロセスの三次元シメージまたはマップを作成する別のイメージング技術である。このシステムは、体内の生物学的活性分子上に導入される単一光子放射性核種(トレーサー)により放射されるγ線を直接検出する。次いで、体内の三次元空間中のトレーサー濃度のイメージをコンピュータ分析により再構築する。
【0022】
放射標識形態:1個または数個の原子が検出を可能にする同位元素で置換した分子。PETイメージングのために最も頻繁に使用されている陽電子放射性同位元素は炭素−11(すなわち、11C,t1/2=20分間)、窒素−13(すなわち、13N,t1/2=10分間)、酸素−15(すなわち、15O,t1/2=2分間)である。PETイメージングのために誘導体を他の陽電子放射性同位元素で標識するため追加の原子が添加されている分子、例えばフッ素−18(すなわち、18F,t1/2=110分間)、ガリウム−68(68Ga、t1/2=68分間)、銅−64(64Cu,t1/2=12.7時間)、臭素−76(すなわち、76Br,t1/2=16.1時間)及びヨウ素−124(すなわち、124I,t1/2=4.2日)も考えられる。最後に、SPECTイメージングのために誘導体を単一光子放射性同位元素で標識するために他の追加の原子が付加されている分子、例えばヨウ素−123(すなわち、123I,t1/2=13.1時間)またはテクネチウム−99m(すなわち、99mTc,t1/2=6.0時間)も考えられる。
【0023】
放射標識されているリガンドの合成及び原子の同位元素による置換は当業者に公知の幾つかの技術により実施され得る。例えば、炭素原子を炭素−11で置換するために、我々は幾つかの誘導体、例えばヨウ化[11C]メチルまたは[11C]メチルトリフレート(Welch M.J.ら,(2003)Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,1−848)を使用し得る。Aの場合、幾つかのメチル基、例えばN,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルインドール官能基を炭素−11で標識し得る。
【0024】
フッ素−18で標識する場合、放射性同位元素をコア構造(A)に対して求核性脂肪族または芳香族(ヘテロ芳香族(Dolle F.ら,(2005)Curr.Pharm.Design,11:3221−3235)を含む)置換または求電子置換により直接結合させても、スペーサー基を付加して連結させてもよく、これらの技術は両方とも当業者に公知である(Kilbourn MR(1990)Fluorine−18 Labeling of Radiopharmaceuticals,Nuclear Science Series(Kilbourn MR Ed.),National Academy Press,Washington,D.C.,1−149;Lasne M.−C.ら,(2002)Topics in Current Chemistry,222:201−258;Cai L.ら,(2008)Eur.J.Org.Chem.,17:2853−2873;Dolle F.ら,(2008)Fluorine and Health:Molecular Imaging,Biomedical Materials and Pharmaceuticals,Tressaud A,Haufe G(Eds).Elsevier:Amsterdam−Boston−Heidelberg−London−New York−Oxford−Paris−San Diego−San Francisco−Singapore−Sydney−Tokyo,3−65)。フッ素−18原子を付加するためにアルキル、アルケニルまたはアルキニルリンカーを使用することが特に興味深い(Damont A.ら,(2008)J.Label.Compds Radiopharm.,51:286−292;Dolle F.ら,(2006)Bioorg.Med.Chem.,14:1115−1125;Dolle F.ら,(2007)J.Label.Compds Radiopharm.,50:716−723)。
【0025】
別のハロゲン(例えば、臭素−76、ヨウ素−123またはヨウ素−124)で標識する場合、放射性同位元素をコア構造(A)に対して求核または求電子置換により直接結合させても、またはスペーサー基の付加により連結させてもよく、これらの技術は両方とも当業者に公知である(Maziere B.ら,(2001)Curr.Pharm.Des.,7:1931−1943;Coenen H.H.ら,(2006)Radioiodination reactions for pharmaceuticals−Compendium for effective synthesis strategies,Coenen H.H.,Mertens J.,Maziere B.(Eds),Springer Verlag,Berlin−Heidelberg,1−101)。
【0026】
金属放射性同位元素(例えば、ガリウム−68、銅−64またはテクネチウム−99m)で標識する場合、当業者が考えている好ましく使用されるアプローチは、例えば開鎖ポリアミノカルボキシレートエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポリアミノカルボン酸マクロ環1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸(DOTA)、メルカプトアセチルジ−及びトリグリシン(MAG2、MAG3)、ビス(S−ベンゾイル−チオグリコロイル)ジアミノプロパノエート((SBT)DAP)及びヒドラジノニコチン酸(HYNIC)の使用であり、これにより1つの官能基での放射性金属カチオンの複合体化及び別の官能基でのコア分子への共有結合が容易となる(Brunner U.K.ら,(1995)Radiotracer production−Radiometals and their chelates,Principle of Nuclear Medecine,Wagner H.N.(Ed),Saunders:Philadelphia,220−228;Weiner R.E.ら,(2003)Chemistry of gallium and indium radiopharmaceuticals,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,363−400;Anderson C.J.ら,(2003)Chemistry of copper radionucleides and radiopharmaceutical products,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,401−422;Mahmood A.ら,(2003)Technetium radiopharmaceuticals,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,323−362)。
【0027】
フッ素−18原子(または、臭素−76、ヨウ素−123またはヨウ素−124)の直接付加は、例えば3−フェニル及び/またはピリダジノ[4,5−b]インドール芳香族環上で、並びに他の化学的に接近し得る位置(例えば、アセトアミド官能基)上で実施され得る。これらの放射性ハロゲンの(例えば、スペーサー基の使用を介する)間接付加、または上に挙げた金属放射活性放射性同位元素(キレート化剤の使用を介するガリウム−68、銅−64またはテクネチウム−99m)の付加はN,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミド(A)コアの化学的に接近可能な位置でも実施され得る(上に挙げた参考文献を参照されたい)。
【0028】
投与:放射標識されているバイオマーカーの投与は好ましくは静脈内投与ルートによる。
【0029】
第1実施形態は、放射標識されている7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの個人における病的状態に関連するPBR(末梢ベンゾジアゼピン受容体)レベル及び炎症を検出するためのバイオマーカーとしての使用であり、前記放射標識は炭素−11、放射性ハロゲン及び放射性金属の中から選択される。好ましくは、前記化合物は炭素−11で放射標識されており、より好ましくはインドール核の5位に位置しているメチル基の炭素上で炭素−11で放射標識されている。
【0030】
別の実施形態では、7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは、優先的にフェニル環のパラ位で、塩素原子に代えて(場合によりスベーサーを用いて、下記参照)ピリダジノ[4,5−b]インドールの7位で、またはN−メチル位(N,N−ジメチルアセトアミド官能基またはインドール核の5位に位置しているメチル基)で放射性金属で放射標識されている。
【0031】
別の実施形態では、7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは、優先的にフェニル環のパラ位で、塩素原子に代えて(場合によりスベーサーを用いて、下記参照)ピリダジノ[4,5−b]インドールの7位で、またはN−メチル位(N,N−ジメチルアセトアミド官能基またはインドール核の5位に位置しているメチル基)で放射性金属で放射標識されている。
【0032】
幾つかの実施形態では、PBRレベル及び炎症の検出はPETイメージング(陽電子放射断層撮影法)またはSPECTイメージング(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)により実施される。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドが病的状態に関連するPBRレベルの変化及び炎症を検出するためのバイオマーカーとして使用され、前記病的状態は脳損傷、例えば卒中、虚血再灌流障害及び外傷性脳損傷;脳感染、例えば脳炎;神経疾患、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病及びてんかん;精神病、例えば統合失調症;末梢炎症プロセス、例えば肺炎症、アテローム性動脈硬化症、心虚血、腎虚血、リウマチ(線維筋痛)、乾癬性関節炎、関節リウマチ及び骨関節症;増殖性疾患、例えば癌から選択される。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドがPBRレベル及び炎症のバイオマーカーとして使用され、前記炎症は神経炎症である。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドが治療処置の有効性を評価するために使用される。
【0036】
本発明は、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを用いる病的状態に関連するPBR及び炎症の検出方法にも関する。
【0037】
幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは炭素−11、放射性ハロゲン及び放射性金属の中から選択される放射標識を含有している。幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは炭素−11で標識されている。
【0038】
幾つかの実施形態では、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドはインドール核の5位に位置しているメチル基の炭素上で放射標識されている。
【0039】
幾つかの実施形態では、7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは優先的にはフェニル環のパラ位で、塩素原子に代えて(場合によりスベーサーを用いて、下記参照)ピリダジノ[4,5−b]インドールの7位で、またはN−メチル位(N,N−ジメチルアセトアミド官能基またはインドール核の5位に位置しているメチル基)で放射性金属で放射標識されている。
【0040】
幾つかの実施形態では7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは優先的には3−フェニル環のパラ位で、塩素原子に代えて(場合によりスベーサーを用いて、下記参照)ピリダジノ[4,5−b]インドールの7位で、またはN−メチル位(N,N−ジメチルアセトアミド官能基またはインドール核の5位に位置しているメチル基)で放射性ハロゲン、好ましくは放射性ハロゲンフッ素−18で放射標識されている。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態では、病的状態は脳損傷、例えば卒中、虚血再灌流障害、外傷性脳損傷;脳感染、例えば脳炎;神経疾患、例えば多発性硬化症、アルツハイマー病,パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、認知症、大脳皮質基底核変性症,ハンチントン病及びてんかん;精神病、例えば統合失調症;末梢炎症プロセス、例えば肺炎症、アテローム性動脈硬化症、心虚血、腎虚血、リウマチ(線維筋痛)、乾癬性関節炎、関節リウマチ及び骨関節症;増殖性疾患、例えば癌から選択される。
【0042】
本発明の別の実施形態は、病的状態に関連するPBR及び炎症の検出方法であり、前記炎症は神経炎症である。
【0043】
本発明の別の実施形態は、占有率研究のために実施される病的状態に関連するPBR及び炎症の検出方法である。
【0044】
別の実施形態は、病的状態に関連するPBR及び炎症の検出方法であり、前記方法は
a)放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを投与するステップ;
b)PET(または、SPECT)技術を用いて脳または他の末梢組織中の関心ある領域の画像を取得するステップ;
c)この関心ある領域中の放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドに関連するPETシグナルを定量することによる前記関心ある領域中のPBRのレベルを定量するステップ;
d)ステップc)で得たPET(SPECT)シグナルを関心ある対照領域で得たシグナルと比較するステップ;
e)病的状態に関連する炎症の存在を調べるステップ;
を含む。
【0045】
本発明は、放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを含む正常状態に関連するPBRレベル及び病的状態に関連するPBRレベルの変化を検出するための診断キットにも関する。
【0046】
下記実施例により本発明を更に説明するが、これらは本発明を限定すると意図されない。便宜上の理由且つ読みやすくするために、化合物7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを図面及び結果中では「A」と改名する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】病変及び無傷のラット線条体における[11C]−A及び[11C]PK11195の時間−放射能曲線。データを注射後時間(分)の関数としてのcmあたりの注射用量の%として表す。
【図2】病変対無傷対側のラット線条体における[11C]−A及び[11C]PK11195取り込みの比。
【図3】病変(同側)及び無傷(対側)のラット線条体における[11C]−Aの時間−放射能曲線。矢印は、病変(同側+PK)及び無傷対側(対側+PK)のラット線条体における[11C]−A注射から20分後の過剰の1mg/kgのPK11195の添加を指す。データを注射後時間(分)の関数としてのcmあたりの注射用量の%として表す。
【図4】病変(同側A)及び無傷(対側A)のラット線条体における[11C]−Aの時間−放射能曲線。矢印は、病変(同側A+A)及び無傷対側(対側A+A)のラット線条体における[11]−Aの注射から20分後の過剰の1mg/kgのAの添加を指す。データを注射後時間(分)の関数としてのcmあたりの注射用量の%として表す。
【図5】病変後7〜8日目のラット脳切片(20μm)の[11C]−A(18nM)オートラジオグラフィー。非特異的結合を過剰の非標識PK11195(23μM)またはA(22μM)を用いて評価した。PBR対中枢ベンゾジアゼピン結合部位に対する特異性は過剰の非標識フルマゼニル(27μM)を用いて評価した。データを任意面積単位あたりのdpmとして表す。は病変線条体における[11C]−A(18nM)結合に対する有意な差を示す。
【図6】11〜12ヶ月齢APP/S1及び野生型PS1トランスジェニックマウスの全脳(小脳を除く)における[11C]−A及び[11C]PK11195の時間−放射能曲線。データは注射後時間(分)の関数としてのcmあたりの注射用量の%として表す。
【図7】20〜23ヶ月齢のAPP/PS1及び野生型PS1トランスジェニックマウス由来の全脳切片における[11C]−A(18nM)オートラジオグラフィー。非特異的結合は過剰の非標識PK11195(23μM)またはA(22μM)を用いて評価した。PBR対中枢ベンゾジアゼピン結合部位に対する特異性は過剰の非標識フルマゼニル(27μM)を用いて評価した。データを任意面積単位あたりのdpmとして表す。
【図8】研究の異なる時点、すなわち基準時(A、B)及び右線条体の病変から24時間後(C、D)の非ヒト霊長類の4つの異なる脳領域(右及び左の線条体、前頭前野皮質、小脳)における[11C]−Aの時間−放射能曲線、並びに120分にわたる特定の冠状脳切片の対応するPET加重画像。パネル(E、F)は左線条体の病変から48時間後及び右線条体の病変から7ヶ月後の[11C]−A時間−放射能曲線を示す。データは注射後時間(分)の関数としての100mLあたりの注射用量の%(%ID/100mL)として表す。
【図9】研究の4つの異なる時点、すなわち基準時(A、B)、病変から48時間後(C、D)、病変から9日後(E、F)、並びに左線条体の病変から16日後及び右線条体の病変から48時間後(G、H)の4つの異なる脳領域(右及び左の線条体、前頭前野皮質、小脳)における[11C]−Aの時間−放射能曲線、並びに120分にわたる特定の冠状脳切片の対応するPET加重画像。矢印は、過剰の非標識PK11195(1mg/kg)の投与時間を指す。データは注射後時間(分)の関数としての100mLあたりの注射用量の%として表す。
【図10】血漿及び脳中の[11C]−A代謝産物の分析。
【図11】Aの特定の炭素−11−標識及びフッ素−18−標識形態。
【発明を実施するための形態】
【0048】
方法
リガンドの放射合成
炭素−11での標識
11C]PK11195((R)−N−[11C]メチル−N−(1−メチルプロピル)−1−(2−クロロフェニル)イソキノリン−3−カルボキサミド,R−エナンチオマー)
11C]PK11195の製造は公開方法(Camsonne C.ら,(1984)J.Label.Comp.Radiopharm.,21:985−991;Cremer J.E.ら,(1992)Int.J.Rad.Appl.Instrum.B.19:159−66;Boutin,H.ら,(2007)Glia,55:1459−68;Boutin,H.ら,(2007)J.Nucl.Med.,48:573−581)の僅かな修飾に基づいており、(1)−10℃でヨウ化[11C]メチルを1.5〜2.0mgの標識用前駆体及び15〜20mgの粉末状水酸化物(過剰)を含有するDMF/DMSO(2/1(v:v),300μL)中にトラップするステップ;(2)110℃で3分間加熱するステップ;(3)混合物を0.5mLのHPLC移動相に取るステップ;及び(4)半分取HPLCを用いて精製するステップ;を含む。品質コントロール、特に放射性化学的及び化学的純度の測定は最終産物バッチのアリコートに対して実施した。
【0049】
11C]−A(N−メチルインドール官能基での標識:7−クロロ−N,N−ジメチル−5−[11C]メチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミド)
11C]−Aの製造は、(1)−10℃で[11C]メチルトリフレートを0.2〜0.3mgの標識用前駆体及び4mgの粉末状炭酸カリウム(過剰)を含有するDMF(300μL)中にトラップするステップ;(2)120℃で3分間加熱するステップ;(3)混合物を0.5mLのHPLC移動相に取るステップ;及び(4)半分取HPLCを用いて精製するステップ;を含む。品質コントロール、特に放射性化学的及び化学的純度の測定は最終産物バッチのアリコートに対して実施した。
【0050】
11C]−A(N,N−ジメチルアセトアミド官能基での標識:7−クロロ−N−[11C]メチル−N,5−ジメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミド)
11C]−Aの製造は、(1)−10℃でヨウ化[11C]メチルを0.5〜1.0mgの標識用前駆体及び5μLのメタノール中1M 水酸化テトラブチルアンモニウム溶液を含有するDMFとDMSOの1/2(v:v)混合物(100/200μL)中にトラップするステップ;(2)120℃で3分間加熱するステップ;(3)混合物を0.5mLのHPLC移動相に取るステップ;及び(4)半分取HPLCを用いて精製するステップ;をも含む。品質コントロール、特に放射性化学的及び化学的純度の測定は最終産物バッチのアリコートに対して実施した。
【0051】
フッ素−18での標識
Aのフッ素−18標識誘導体のすべての製造は、少なくとも(1)1〜10mgの適当な標識用前駆体を含有する特定溶媒(300〜900μL)中で中〜高温で[18F]フッ素源を用いてフッ素化するステップ;及び(2)例えば半分取HPLCを用いて精製するステップ;を含む。上記したように、品質コントロール、特に放射性化学的及び化学的純度の測定は最終産物バッチのアリコートに対して実施した。
【0052】
この反応において使用される[18F]フッ素アニオンの源の種類は特に限定されず、分子の他の部分に悪影響を持たない限り、このタイプの反応において慣用されている[18F]フッ素アニオンの源が本発明において等しく使用され得る。[18F]フッ素アニオンの適当な源の例には、[18F]フッ化アルカリ金属、例えば[18F]フッ化ナトリウム、[18F]フッ化カリウム、[18F]フッ化セシウム;[18F]フッ化アンモニウム、[18F]フッ化テトラアルキルアンモニウム、例えば[18F]フッ化テトラブチルアンモニウムが含まれる。これらの中で、[18F]フッ化アルカリ金属、特にフッ化カリウムが好ましい。[18F]フッ素アニオンの源の対カチオン種と複合体形成し得るリガンドの存在下で[18F]フッ素アニオンの源を活性化してもよい。リガンドは特に単環式または多環式多座配位リガンドであり得る。適当なリガンドの例には、特にクラウンエーテル、例えば1,4,7,10,13−ペンタオキサシクロオクタデカン(18−C−6);またはクリプタンド、例えばK222(登録商標)の商品名で販売されている4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ−[8,8,8]ヘキサコサンが含まれる。好ましくは、[18F]フッ素アニオンの源は[18F]フッ化アルカリ金属−クリプテート複合体、特に[18F]フッ化カリウム−クリプテート複合体、好ましくは[18F]フッ化カリウム−4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ−[8,8,8]ヘキサコサン(K[18F]/K222)である。複合体K[18F]/K222(登録商標)は慣用方法(Dolle F.ら,(1999)J.Med.Chem.,42:2251−2259またはDolci L.ら,(1999)Bioorg.Med.Chem.,7:467−479)により製造され得る。
【0053】
フッ素化反応は各種溶媒中で実施され得、広範囲の温度で起こり得る。通常、反応を約50〜約200℃の温度で実施することが好都合であり、よりしばしば使用されている溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びアセトニトリルである。反応に要する時間は、多くの要因、特に反応温度、試薬及び溶媒の種類、並びに使用する標識用前駆体の量に依存して広範囲で異なり得る(例えば、約5〜15分)(Kilbourn MR.(1990)Fluorine−18 Labeling of Radiopharmaceuticals,Nuclear Science Series(Kilbourn MR Ed.),National Academy Press,Washington,D.C,1−149;Lasne M.−C.ら,(2002)Topics in Current Chemistry,222:201−258;Dolle F.ら,(2005)Curr.Pharm.Design,11:3221−3235;Cai L.ら,(2008)Eur.J.Org.Chem.,17:2853−2873;Dolle F.ら,(2008)Fluorine and Health:Molecular Imaging,Biomedical Materials and Pharmaceuticals,Tressaud A,Haufe G(Eds).Elsevier:Amsterdam−Boston−Heidelberg−London−New York−Oxford−Paris−San Diego−San Francisco−Singapore−Sydney−Tokyo,3−65)。こうして製造した放射性フッ素化化合物は通常炭素−11−標識誘導体について記載したようにHPLCにより精製され得るが、反応混合物から他の公知のクロマトグラフィー技術を用いて、または単に前充填した分離カラムを用いて濾過することにより回収または精製してもよい。
【0054】
18F]フルオロエトキシ−A(7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−(4−[18F]フルオロエトキシ)−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミド)
18F]フルオロエトキシ−Aの製造は、(1)K[18F]F−Kryptofix(登録商標)222複合体を標識用トシルオキシ前駆体(2.0〜8.0mg)を含有するDMSO溶液(600μL)中に取るステップ;(2)165℃で3〜10分間加熱するステップ;(3)C−8またはC−18 PrepSepカートリッジを用いて予備精製するステップ;及び(4)半分取HPLCを用いて精製するステップ;を含む。品質コントロール、特に放射性化学的及び化学的純度の測定は最終産物バッチのアリコートに対して実施した。
【0055】
他のハロゲン(臭素−76、ヨウ素−123、ヨウ素−124)での標識
すべての他の放射性ハロゲン化誘導体(臭素−76、ヨウ素−123、ヨウ素−124)の製造は当業者に公知の標準技術及び手順に従った(Maziere B.ら,(2001)Curr.Pharm.Des.,7:1931−1943;Coenen H.H.ら,(2006)Radioiodination reactions for pharmaceuticals−Compendium for effective synthesis strategies,Coenen H.H.,Mertens J.,Maziere B.(Eds),Springer Verlag,Berlin−Heidelberg,1−101)。
【0056】
放射性金属(ガリウム−68、銅−64及びテクネチウム−99m)での標識
放射性金属(ガリウム−68、銅−64及びテクネチウム−99m)で標識されている誘導体の製造も当業者に公知の標準技術及び手順に従った(Brunner U.K.ら,(1995)Radiotracer production−Radiometals and their chelates,Principle of Nuclear Medecine,Wagner H.N.(Ed),Saunders:Philadelphia,220−228;Weiner R.E.ら,(2003)Chemistry of gallium and indium radiopharmaceuticals,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,363−400;Anderson C.J.ら,(2003)Chemistry of copper radionucleides and radiopharmaceuticals products,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,401−422;Mahmood A.ら,(2003)Technetium radiopharmaceuticals,Handbook of Radiopharmaceuticals−Radiochemistry and Applications(Welch MJ,Redvanly CS Eds.),New York−Chichester−Brisbane−Toronto,Wiley−lnterscience Pub.,323−362)。
【0057】
製剤化
11C]PK11195、[11C]−Aまたは他の放射標識されているA誘導体の注射用i.v.液剤としての製剤化は、しばしばHPLC溶媒のWaters SepPak(登録商標)カートリッジを用いる除去及び/または10%以下のエタノール濃度までの水性0.9% NaCl(生理食塩水)での単なる希釈を含む。
【0058】
動物モデル
研究はすべてフランス法律及び欧州指令に従って実施した。
【0059】
神経炎症のラットモデル
Wistarラット(平均体重300g,フランスのcentre d’Elevage Rene Janvier)を温度調節されている湿度管理施設に12時間/12時間の明/暗サイクル(午前7時から午後7時まで点灯)で収容し、餌及び水は自由に摂取させた。既報(Boutin,H.ら,(2007)Glia 55:1459−68;Boutin,H.ら,(2007)J.Nucl.Med.,48:573−581)のように、AMPA(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオネート)(PBS緩衝液中15mM,Sigma(登録商標))を1μL マイクロシリンジ及びマイクロポンプ(注射速度:0.5μL/分,UltraMicroPump II(登録商標)及びMicro4(登録商標)コントローラー,WPI Inc.,USA)を用いて定位的注射することにより神経炎症を誘発させた。AMPA(0.5μL)を右線条体(ブレグマ+0.7mm,矢状縫合から:2.7mm,脳表面からの深さ:5.5mm)に注射した。動物は、加熱ブランケット(Homeothermic Blanket Control Unit,Harvard Apparatus Limited(登録商標),英国ケント州エデンブリッジに所在)を用いて手術中正常体温(体温:36.7±0.5℃,平均±SD)を維持した。
【0060】
神経炎症の霊長類モデル
体重4〜5kgのカニクイザル(Macaca fascicularis)を温度調節されている湿度管理施設に12時間/12時間の明/暗サイクル(午前7時から午後7時まで点灯)で収容し、餌及び水は自由に摂取させた。キノリン酸(キノリン酸,ミズーリ州セントルイスに所在のSigma;0.1M PBS(pH7.2)中に溶解)を霊長類の線条体に(1つの注射部位は尾状核に、2つの注射部位は被殻に)2つの異なる手術介入の間に、すなわちキノリン酸を1日目に1つの半球に注射し、2週間または7ヶ月後に第2半球に局所定位的注射することにより神経炎症を誘発させた(図8及び9)。各手術の間、動物には60ナノモルのキノリン酸を26ゲージ針に取り付けた10μL−Hamilton注射器を用いて3つの異なる線条体部位に(1つの尾状核部位に5μl及び2つの被殻部位に10μL)分布させるように与えた。Swabo and Cowan(1984)の定位的アトラスに従って測定した定期的座標は次の通りであった:尾状核部位[AP:+19mm,ML:±6mm,DV:洞から−14mm];被殻部位1[AP:+19mm,ML:±12mm,DV:定位固定ゼロから−17mm];被殻部位2[AP:+17mm,ML:±13mm,DV:洞から−16mm]。興奮性毒素を0.1μL/分の速度で注射し、毒素の逆流を避けるために注射器を更に5分間適所に残した。手術中、霊長類の温度を正常体温(直腸温:36±0.6℃,平均±SD)に維持した。針を除いた後、皮膚を縫合し、動物を麻酔から回復させ、完全に目覚めたらケージに戻した。
【0061】
トランスジェニックマウス
1匹のPS1M146L(PS1)及び2匹のAPP751SL×PS1M146L(APP×PS1)トランスジェニックマウスの作成及びキャラクタリゼーションは既報(Blanchard,V.ら,(2003)Exp.Neurol.,184:247−263)のように行った。これらの動物では、APPがThy−1プロモーターの制御下ですべての皮質ニューロンで高レベルで発現される。M146L突然変異を有するヒトPS1はHMG−CoAレダクターゼプロモーターの制御下で発現される。アミロイド量のレベルは所与の年齢でかなり再現性であることが判明した。Sanofi−Aventisから提供された1匹のPS1及び2匹のAPP×PS1マウスを11〜12ヶ月齢でPETイメージングのために、20〜23ヶ月齢でオートラジオグラフィーのために使用した。
【0062】
マイクロPETスキャン及びデータ取得
ラット及びトランスジェニックマウス
ラット及び11〜12ヶ月齢のトランスジェニックマウスにおいてマイクロPETイメージングをAMPA注射後7日目に実施した。マウス及びラットにおいて、イソフラン5%により麻酔を施し、その後70%/30% NO/O混合物中2〜2.5% イソフランにより維持した。PETスキャンのために、ラットの頭部をPET取得に適合する手製定位フレームに固定し、ラットを正常体温(直腸温:36.7±0.5℃,平均±SD)に維持した。マウスを空気流を加熱し得る麻酔マスクを備えたベッドに置き、直腸温を恒温ブランケットコントロールユニットを用いてモニターした。すべてのイメージングプロトコルを[11C]PK11195または[11C]−Aを用いてConcorde Focus 220 PETスキャナーで実施した。
【0063】
ラットの場合には、放射標識化合物及び非標識リガンドを24ゲージカテーテルを用いて尾静脈に注射した。放射標識化合物はPET取得の開始と同時に注射し、非標識化合物はラジオトレーサーを注射してから20分後に注射した。PETデータは80分間取得した。マウス場合には、放射標識化合物をPETスキャン開始の直前に28ゲージ針を用いて尾静脈に注射した。PETデータは60分間取得した。
【0064】
霊長類
イメージングはキノリン酸注射の前またはその後のいろいろな時間(病変後24時間後、48時間後、9日後、16日後及び7ヶ月後)に実施した。[11C]−Aを注射し、脳カイネティックスをPETにより90分間追跡した。
【0065】
PETイメージングの1時間前に、ケタミン/キシラジン混合物(15mg/kg/1.5mg/kg)を筋肉内注射することにより動物に麻酔をかけ、挿管した。次いで、カテーテルをラジオトレーサー注射のために伏在静脈に入れ、血液サンプリングのために大腿動脈に入れた。プロポフォール(Diprivan(登録商標)1%;0.05mg/kg/分)を静脈内注射することにより動物を麻酔状態に維持した。
【0066】
動物を装置内に正しく配置するために、動物の頭部を手製定位フレームに固定した。PETスキャンを95個の接触面を同時に取得する高解像FocusマイクロPET(テネシー州ノックスビルに所在のCTI−Siemens)を用いて実施した。減衰を補正するために、まず透過スキャンを68Ge回転ロッド源を用いて実施した。マカクに192.29±33.67MBqの[11C]−Aを静脈内注射し、取得を90分間実施した。PET取得はすべてリストモード(3Dモード)で実施し、イメージを以下の時間フレーム:(25秒の4イメージ)+(30秒の4イメージ)+(1分の2イメージ)+(2分の5イメージ)+(5分の3イメージ)+(10分の3イメージ)及び(15分の1イメージ)を用いて再構築し、[11C]−Aの場合全部で90分間であった。
【0067】
イメージ分析
PETイメージ分析はASIPro VM(商標)(CTI Concorde Microsystems’Analysis Tools and System Setup/Diagnostics Tool)及びBrainvisa/Anatomist(http://brainvisa.info/)を用いて実施した。
【0068】
ラット血液及び脳中の代謝産物分析
未処置のまたは手術した成体雄Wistarラット(体重300〜400g)の尾静脈に[11C]−Aをi.v.注射した。10,20または30分後に動物を殺した。血液サンプルを集め、遠心(5分間,3000rpm)することにより血漿を単離した。400μLの血清から400μlのアセトニトリルを添加することにより血漿タンパク質を沈降させた。遠心(5分間,3000rpm)後、上清をHPLCカラムに注入した。ラットの脳を除去し、半球を分離した。音波処理による均質化を半球あたり1mLのアセトニトリル中で実施した。急速遠心後、上清をペレットから分離し、減圧下で濃縮した後、HPLCに注入した(HPLC条件については放射化学の欄を参照されたい)。
【0069】
オートラジオグラフィー
11C]−Aオートラジオグラフィーは、ラット(病変後7〜8日)またはマウス(20〜23ヶ月齢)からの20μm脳切片を用いて実施した。非特異的結合を過剰の非標識PK11195またはAのいずれかを用いて評価した。PBR対中枢ベンゾジアゼピン結合部位に対する特異性は過剰の非標識フルマゼニルを用いて評価しした。切片をトリス緩衝液(TRIZMA pre−set Crystals、Sigma(登録商標),pH7,4,4℃でNaCl 120mMを用いて50mMに調節)中で20分間インキュベートした後、冷緩衝液で2分間2回濯ぎ、次いで冷蒸留水で直ぐに洗浄した。次いで、切片をホスフォイメージャースクリーンに直接接触させて置き、一晩露呈させた。オートラジオグラフをImageQuant(商標)ソフトウェアを用いて分析した。
【実施例1】
【0070】
11C]PK11195放射合成:
11C]PK11195の最終HPLC精製を半分取Waters Symmetry(登録商標)C−18 HPLCカラム(溶離液:水/アセトニトリル/TFA:40/60/0.1[v:v:v];流速7mL/分)を用いて実施し、放射化学的に純粋な[11C]PK11195に対応するピーク(Rt:6.5〜7.0分)を集めた。典型的には、55.5GBqの[11C]COサイクロトロン生成バッチから出発して、約4.5〜5.0GBqの[11C]PK11195が30分の放射合成(HPLC精製及び形成を含む)の範囲内で得られた。(Waters Symmetry−M(登録商標)C−18カラムを用いる分析HPLCにより測定した)放射化学純度は95%以上であり、(放射合成終了時の)比放射能は50〜90GBq/μmolの範囲であった。
【実施例2】
【0071】
11C]−A放射合成(N−メチルインドール官能基での標識):
11C]−Aの最終HPLC精製を半分取Zorbax(登録商標)SB−C−18 HPLCカラム(溶離液:0.9% 水性NaCl/EtOH/1M 水性リン酸緩衝液(pH2,3):50/50/0.1[v:v:v];流速:6mL/分)を用いて実施し、放射化学的に純粋な[11C]−Aに対応するピーク(Rt:8.0〜8.5分)を集めた。典型的には、55.5GBqの[11C]COサイクロトロン生成バッチから出発して、約4.5〜6.0GBqの[11C]−Aが25分の放射合成(HPLC精製及び形成を含む)の範囲内で得られた。(Waters Symmetry−M(登録商標)C−18カラムを用いる分析HPLCにより測定した)放射化学純度は95%以上であり、(放射合成終了時の)比放射能は50〜90GBq/μmolの範囲であった。
【実施例3】
【0072】
11C]−A放射合成(N,N−ジメチルアセトアミド官能基での標識):
11C]−Aの最終HPLC精製を半分取SymmetryPrep(登録商標)C−18 HPLCカラム(溶離液:水/アセトニトリル/TFA:50/50/0.1[v:v:v];流速:5mL/分)を用いて実施し、放射化学的に純粋な[11C]−Aに対応するピーク(Rt:8.0〜8.5分)を集めた。典型的には、55.5GBqの[11C]COサイクロトロン生成バッチから出発して、約3.5〜5.0GBqの[11C]−Aが25分の放射合成(HPLC精製及び形成を含む)の範囲内で得られた。(Waters Symmetry−M(登録商標)C−18カラムを用いる分析HPLCにより測定した)放射化学純度は95%以上であり、(放射合成終了時の)比放射能は50〜90GBq/μmolの範囲であった。
【実施例4】
【0073】
i)4−ヒドロキシ−A合成:
4−ヒドロキシ−AはWO 00/44384に従って再合成され得る。R:0.15(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(DMSO−d)δ 9.71(s,1H),7.94(s,1H),7.86(d,1H,J:8.4Hz),7.39(d,1H,J:8.4Hz),7.32(d,2H,J:8.8Hz),6.84(d,2H,J:8.8Hz),4.27(s,3H),4.20(s,2H),3.16(s,3H),2.84(s,3H)。13C NMR(DMSO−d)δ 168.6[C],157.1[C],154.8[C],141.2[C],140.9[C],133.6[C],132.1[C],130.9[C],127.8[2.CH],124.0[CH],122.6[CH],118.9[C],117.3[C],115.3[2.CH],111.6[CH],40.0[CH],37.4[CH],35.4[CH],32.0[CH]。
【0074】
ii)[11C]メトキシ−A放射合成:
炭素−11での標識及び最終HPLC精製は、直ぐ上(実施例4i)で合成したAの4−ヒドロキシ誘導体を用いて[11C]−Aの製造について記載(実施例2/実施例3)されているように実施され得る。
【実施例5】
【0075】
(フルオロ)アルコキシ−A及びトシルオキシアルコキシ−Aの合成のための一般的手順:
CO(101mg,0.73mmol)を乾燥DMF(8〜12mL)中に含む懸濁液にAの4−ヒドロキシ誘導体(150mg,0.36mmol,WO 00/44384を参照されたい)を乾燥DMF(2mL)中に含む溶液を添加する。反応混合物を室温で30分間攪拌した後、適当なアルキル化試薬(2当量)をDMF(2mL)中に含む溶液を徐々に添加する。全混合物を70℃で2時間攪拌し、室温で更に1時間攪拌する。次いで、飽和水性NHCl溶液を添加することにより混合物をクエンチし、CHClで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl/MeOH 98:2→95:5 v/v)により精製して、予想される(フルオロ)アルコキシ−Aを白色粉末または白色綿毛状固体として得た。
【実施例6】
【0076】
メトキシ−A合成:
ヨウ化メチルを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を40%の収率で得た。R:0.35(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.94(d,1H,J:8.4Hz),7.53(m,3H),7.33(dd,1H,J:8.4,1.6Hz),7.00(d,2H,J:8.8Hz),4.32(s,3H),4.18(s,2H),3.86(s,3H),3.22(s,3H),3.00(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ 168.4[C],158.9[C],155.3[C],141.6[C],140.1[C],134.6[C],133.2[C],131.3[C],127.3[2.CH],123.3[CH],123.0[CH],119.0[C],117.4[C],113.9[2.CH],110.6[CH],55.5[CH],39.6[CH],37.6[CH],35.7[CH],31.6[CH]。
【実施例7】
【0077】
フルオロエトキシ−A合成:
(Damont A.ら,(2008)J.Label.Compds Radiopharm.,51:286−292に従って合成した)2−フルオロエチル−4−メチルベンゼンスルホネートを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を63%の収率で得た。R:0.38(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.89(d,1H,J:8.8Hz),7.58(d,1H,J:1.6Hz),7.54(d,2H,J:9.2Hz),7.34(dd,1H,J:8.8,1.6Hz),7.03(d,2H,J:9.2Hz),4.78(dt,2H,JH−F:47.6,JH−H:4.0Hz),4.32(s,3H),4.27(dt,2H,JH−F:28.4Hz,JH−H:4.0Hz),4.16(s,2H),3.19(s,3H),2.96(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ 168.2[C],157.6[C],155.1[C],141.3[C],140.7[C],140.3[C],135.4[C],132.8[C],127.4[2.CH],123.2[CH],122.6[CH],118.9[C],117.2[C],114.3[2.CH],110.7[CH],82.0[d,JC−F:169Hz,CH],67.5[d,JC−F:20Hz,CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.6[CH]。分析 計算値(C2322ClFN・0.15HO):C,60.11,H,4.89,N,12.19;実測値:C,60.00,H,4.96,N,12.18。
【実施例8】
【0078】
フルオロプロポキシ−A合成:
3−フルオロプロピル−4−メチルベンゼンスルホネートを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を58%の収率で得た。R:0.39(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.89(d,1H,J:8.4Hz),7.58(d,1H,J:1.6Hz),7.52(d,2H,J:9.2Hz),7.34(dd,1H,J:8.4,1.6Hz),7.01(d,2H,J:9.2Hz),4.67(dt,2H,JH−F:46.8Hz,JH−H:6.0Hz),4.31(s,3H),4.16(m,4H),3.19(s,3H),2.96(s,3H),2.20(dq,2H,JH−F:26.0Hz,JH−H:6.0)。13C NMR(CDCl)δ 168.2[C],158.0[C],155.1[C],141.3[C],140.3[C],135.0[C],132.8[C],131.3[C],127.3[2.CH],123.2[CH],122.5[CH],119.0[C],117.2[C],114.2[2.CH],110.7[CH],80.8[d,JG−F:163Hz,CH],63.9[d,JC−F:6.0Hz,CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.5[CH],30.3[CH,JC−F:20.0Hz]。
【実施例9】
【0079】
フルオロブトキシ−A合成:
4−フルオロブチルブロミドを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を70%の収率で得た。R:0.40(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.90(d,1H,J:8.8Hz),7.58(d,1H,J:1.6Hz),7.51(d,2H,J:9.2Hz),7.34(dd,1H,J:8.8,1.6Hz),6.99(d,2H,J:9.2Hz),4.54(dt,2H,JH−F:47.2Hz,JH−H:5.6Hz),4.33(s,3H),4.16(s,2H),4.08(t,2H,J:5.6Hz),3.19(s,3H),2.96(s,3H),1.97−1.85(m,4H)。13C NMR(CDCl)δ 168.2[C],158.2[C],155.1[C],141.3[C],140.2[C],134.9[C],132.8[C],131.4[C],127.3[2.CH],123.2[CH],122.5[CH],119.0[C],117.2[C],114.2[2.CH],110.7[CH],83.8[d,JC−F:163Hz,CH],67.6[CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.5[CH],27.1[CH,JC−F:20.0Hz],25.1[CH,JC−F:5.0Hz]。
【実施例10】
【0080】
2−(フルオロエトキシ)エトキシ−A合成:
2−(2−フルオロエトキシ)エチル−4−メチルベンゼンスルホネートを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を69%の収率で得た。R:0.45(SiO−TLC(CHCl/アセトン:80/20 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.91(d,1H,J:8.4Hz),7.60(d,1H,J:1.6Hz),7.54(d,2H,J:8.8Hz),7.36(dd,1H,J:8.4,1.6Hz),7.04(d,2H,J:8.8Hz),4.61(dt,2H,JH−F:48.0Hz,JH−H:4.0Hz),4.34(s,3H),4.22(t,2H,J:4.8Hz),4.17(s,2H),3.91(t,2H,J:4.8Hz),3.83(dt,2H,JH−F:30.0,JH−H:4.0Hz),3.21(s,3H),2.98(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ 168.2[C],157.9[C],155.1[C],141.3[C],140.3[C],135.1[C],132.8[C],131.4[C],127.3[2.CH],123.2[CH],122.5[CH],119.0[C],117.2[C],114.3[2.CH],110.7[CH],83.2[d,JC−F:167Hz,CH],70.4[d,JC−F:19Hz,CH],69.7[CH],67.8[CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.6[CH]。
【実施例11】
【0081】
2−(2−(フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ−A合成:
2−(2−(2−フルオロエトキシ)エトキシ)エチル−4−メチルベンゼンスルホネートを使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を63%の収率で得た。R:0.32(SiO−TLC(CHCl/アセトン:80/20 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.91(d,1H,J:8.8Hz),7.60(d,1H,J:1.6Hz),7.54(d,2H,J:8.8Hz),7.36(dd,1H,J:8.8,1.6Hz),7.04(d,2H,J:8.8Hz),4.57(dt,2H,JH−F:47.6Hz,JH−H:4.4Hz),4.33(s,3H),4.21(t,2H,J:4.4Hz),4.17(s,2H),3.88(t,2H,J:4.8Hz),3.80−3.65(m,6H),3.21(s,3H),2.98(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ 168.2[C],158.0[C],155.1[C],141.3[C],140.3[C],135.1[C],132.8[C],131.4[C],127.3[2.CH],123.2[CH],122.5[CH],119.0[C],117.2[C],114.3[2.CH],110.7[CH],83.2[d,JC−F:167Hz,CH],70.7[CH],70.6[CH],70.3[d,JC−F:19Hz,CH],69.6[CH],67.8[CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.6[CH]。
【実施例12】
【0082】
トシルオキシエトキシ−A合成:
(Damont A.ら,(2008)J.Label.Compds.Radiopharm.,51:286−292に従って合成した)エタン−1,2−ジイルビス(4−メチルベンゼンスルホネート)を使用し、上の一般的手順(実施例5)を用いて、標的化合物を45%の収率で得た。R:0.72(SiO−TLC(CHCl/MeOH:95/5 v:v))。H NMR(CDCl)δ 7.89(d,1H,J:8.8Hz),7.84(d,2H,J:8.4Hz),7.60(d,1H,J:1.6Hz),7.53(d,2H,J:8.8Hz),7.41(d,2H,J:8.4Hz),7.36(dd,1H,J:8.8,1.6Hz),6.91(d,2H,J:8.8Hz),4.40(t,2H,J:4.4Hz),4.32(s,3H),4.22(t,2H,J:4.4Hz),4.17(s,2H),3.21(s,3H),2.98(s,3H),2.48(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ 168.1[C],157.2[C],155.0[C],145.2[C],141.2[C],140.3[C],135.5[C],132.8[C],132.7[C],131.3[C],129.9[2.CH],127.9[2.CH],127.4[2.CH],123.2[CH],122.6[CH],118.9[C],117.2[C],114.4[2.CH],110.7[CH],68.3[CH],65.8[CH],39.5[CH],37.4[CH],35.2[CH],31.6[CH],21.3[CH]。
【0083】
上記したフルオロアルコキシ−A誘導体のフッ素−18での標識用前駆体としてのトシルオキシプロポキシ−A、トシルオキシブトキシ−A、2−(トシルオキシエトキシ)エトキシ−A及び2−(2−(トシルオキシエトキシ)エトキシ)エトキシ−Aは、適切なアルキル化試薬を用いて直ぐ上に記載されているように製造され得る。
【実施例13】
【0084】
18F]フルオロエトキシ−A放射合成:
18F]フルオロエトキシ−Aの最終HPLC精製は半分取Symmetry(登録商標)C−18 HPLCカラム(溶離液:水/アセトニトリル/TFA:60/40/0.1[v:v:v];流速:5mL/分)を用いて実施し、放射化学的に純粋な[18F]フルオロエトキシ−Aに対応するピーク(Rt:11.0〜13.0分)を集めた。37GBqの[18F]フルオリドサイクロトン生産バッチから出発して、約3.7GBqの[18F]フルオロエトキシ−Aが90分の放射合成(HPLC精製及び形成を含む)の範囲内で得られた。(Waters Symmetry−M(登録商標)C−18カラムを用いる分析HPLCにより測定した)放射化学純度は95%以上であり、(放射合成の最終時の)比放射能は50GBq/μmol以上であった。
【0085】
18F]フルオロプロポキシ−A、[18F]フルオロブトキシ−A、2−([18F]フルオロエトキシ)エトキシ−A及び2−(2−([18F]フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ−Aは、フッ素−18標識用前駆体として対応するトシルオキシアルコキシ−A誘導体(実施例12)から直ぐ上に記載されているように製造され得る。
【実施例14】
【0086】
AMPA注射ラットの病変線条体(PBR発現が誘発されている領域)における[11C]−Aの取り込みは、PBRが全くまたは少ししか発現していないと予想される無傷対側の線条体と比較して有意により高い(図1)。病変線条体における[11C]−Aの取り込みも基準PBR PETリガンドの[11C]PK11195で観察された取り込みよりも有意により高い(図1)。無傷線条体に対する病変線条体における取り込み比も[11C]PK11195の場合よりも[11C]−Aの場合で有意により高い(図2)。結合ポテンシャル及びR1も[11C]PK11195の場合よりも[11C]−Aの場合で有意により高い(BP=1.65±0.36対0.66±0.15;R1=1.26±0.08対1.10±0.05)。
【0087】
非標識PK11195(図3)もA(図4)(1mg/kg i.v.;[11C]−A注射から20分後)も病変線条体における[11C]−Aの脳取り込みを大きく低減させた。いずれの非標識化合物も、多分[11C]−Aが脳外結合部位から遊離されるために[11C]−Aの血液濃度が高くなるので対側における[11C]−A結合を少ししか増加させなかった。
【0088】
11C]−A注射から10及び20分後にラットの血液及び血漿中に存在する代謝産物及び[11C]−A注射から10、20及び30分後にラットの脳中に存在する代謝産物の分析は本質的に親化合物のみを検出した(図10)。
【0089】
加えて、脳切片に対する[11C]−A結合のオートラジオグラフィーは同側対対側比が高い(3.8)というイメージング結果を反映し、これは過剰の非標識PK11195またはAにより無効にされる(図5)。[11C]−A結合の小さいが有意な低下もベンゾジアゼピンアンタゴニストの非標識フルマゼニルで観察された(図5)。
【実施例15】
【0090】
APP×PS1及び野生型PS1トランスジェニックマウスにおいて、全脳(小脳を除く)における[11C]−A取り込みは[11C]PK11195の取り込みよりも高い(図6)。しかしながら、[11C]−A及び[11C]PK11195の取り込みは野生型PS1に比してAPP×PS1において有意に高くない。対照的に、[H]−A結合の特異性は、野生型PS1マウスと比較してAPP×PS1マウス由来の全脳切片よりも約2倍高い(図7)。
【0091】
これらのデータから、[11C]−Aはラット神経炎症の急性モデル及びアルツハイマー病のマウスモデルにおいて高いPBR結合及び炎症を特異的に検出し得ることが立証される。インビボPETイメージングから、[11C]−Aが齧歯類においてPBR受容体過剰発現及び神経炎症をイメージングするために使用され得ることが確認される。更に、[11C]−AでのPETイメージングにより観察されたPBR受容体結合は、基準PBR受容体PETリガンドの[11C]PK11195で観察されたPBR受容体結合よりも大きい。
【実施例16】
【0092】
キノリン酸を注射された霊長類の病変右線条体における[11C]−Aの取り込みは、興奮性毒素注射から24時間後の対側非注射線条体及び2つの非注射照脳領域(小脳、前頭前野皮質)における[11C]−A取り込みと比較して有意により高い(図8)。対側非注射線条体における[11C]−A取り込みは安定であり、非注射霊長類の脳領域における[11C]−A取り込みと同レベルのままであった(図8)。[11C]−A取り込みの増加は(左半球で)興奮性毒素注射から48時間目でもなお可視化され得、興奮性毒素注射から7ヶ月目の[11C]−A取り込み(7ヶ月前に病変させた右線条体のカイネティック)は基準レベルに戻った。神経炎症の初期相のより詳細なキャラクタリゼーションから、高い[11C]−A取り込みが24時間から16日まで可視化され得ることが立証された(図9)。ラジオトレーサーを注射してから30分後に大過剰の非標識PK11195を全身投与すると、病変線条体において[11C]−A結合の特異的置換が生じ、非病変対照脳領域では顕著な変化は観察されなかった(図9)。
【0093】
適用
本発明は、診断ツールとして、及びPBRレベルが変化し、炎症が存在している病理の発生及び進行を追跡するためのツールとして適用され得る。本発明は、病的状態での受容体占有率を研究したり、治療処置の有効性を評価するために、並びに動物モデルからヒトまでの研究のための翻訳バイオマーカーとしても適用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射標識されている7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドの個人における正常及び病的状態に関連するPBRレベルを検出するためのバイオマーカーとしての使用であって、放射標識は炭素−11、放射性ハロゲン及び放射性金属の中から選択される前記使用。
【請求項2】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは炭素−11で放射標識されている請求項1に記載の使用。
【請求項3】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドはインドール核の5位に位置しているメチル基の炭素上で炭素−11で放射標識されている請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは放射性ハロゲンで放射標識されている請求項1に記載の使用。
【請求項5】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは放射性ハロゲンフッ素−18で放射標識されている請求項1または4に記載の使用。
【請求項6】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは3−フェニル環のパラ位でフッ素−18で放射標識されている請求項1または5に記載の使用。
【請求項7】
PBRレベル及び炎症の検出をPETイメージング(陽電子放射断層撮影法)またはSPECTイメージング(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法)により実施する請求項1〜6に記載の使用。
【請求項8】
PBRレベル及び炎症の検出をPETイメージング(陽電子放射断層撮影法)により実施する請求項1〜7に記載の使用。
【請求項9】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は脳損傷、脳感染及び神経疾患から選択される請求項1〜8に記載の使用。
【請求項10】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は精神病から選択される請求項1〜8に記載の使用。
【請求項11】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は増殖性疾患から選択される請求項1〜8に記載の使用。
【請求項12】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は末梢炎症プロセスから選択される請求項1〜8に記載の使用。
【請求項13】
PBRレベルの検出を占有率研究のために実施する請求項1〜8に記載の使用。
【請求項14】
PBRレベルの検出を治療処置の有効性を評価するために実施する請求項1〜8に記載の使用。
【請求項15】
放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを用いて実施する正常状態に関連するPBRレベル及び病的状態に関連するPBRレベルの変化の検出方法であって、放射標識を炭素−11、放射性ハロゲン及び放射性金属の中から選択する前記方法。
【請求項16】
放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは炭素−11を含有している請求項15に記載の方法。
【請求項17】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドはインドール核の5位に位置しているメチル基の炭素上で炭素−11で放射標識されている請求項15〜16に記載の方法。
【請求項18】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドはフッ素−18で放射標識されている請求項15に記載の方法。
【請求項19】
7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドは3−フェニル環のパラ位でフッ素−18で放射標識されている請求項15に記載の方法。
【請求項20】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は脳損傷、脳感染及び神経疾患から選択される請求項15〜19に記載の方法。
【請求項21】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は精神病から選択される請求項15〜19に記載の方法。
【請求項22】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は増殖性疾患から選択される請求項15〜19に記載の方法。
【請求項23】
PBRレベルの変化に関係する病的状態は末梢炎症プロセスから選択される請求項15〜19に記載の方法。
【請求項24】
PBRレベルの検出を占有率研究のために実施する請求項15〜19に記載の方法。
【請求項25】
PBRレベルの検出を治療処置の有効性を評価するために実施する請求項15〜19に記載の方法。
【請求項26】
放射標識形態の7−クロロ−N,N,5−トリメチル−4−オキソ−3−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−ピリダジノ[4,5−b]インドール−1−アセトアミドを含む正常状態に関連するPBRレベル及び病的状態に関連するPBRレベルの変化を検出するための診断キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−507031(P2012−507031A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533855(P2011−533855)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007562
【国際公開番号】WO2010/049819
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【出願人】(596048569)コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク (53)
【Fターム(参考)】