説明

8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法、及びその製造用中間体

【課題】8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法及びその製造用中間体を提供する。
【解決手段】2分子の2−アミノ−6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールのモイエティーがテレフタロイル基を媒介に連結されたN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを酸存在下で閉環させ、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを製造する段階と、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを加水分解する段階とを含む製造方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン(8-amino-4-oxo-2-(tetrazol-5-yl)-4H-1-benzopyran)またはその塩の製造
方法、及びその製造用中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランは、下記化学式1の構造を有し、ロイコトリエン拮抗剤として活性を有する置換されたベンゾピラン化合物(例えば、プランルカスト;特許文献1参照)などの製造用中間体として有用である。
【0003】
【化2】

【0004】
前記特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、置換されたベンゾピラン化合物の製
造方法を開示している。
前記特許文献1は、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランを製造する方法を開示しているが、取扱い難い有毒性試薬を使用し、かつ複雑な段階を経なければならず、その収率が非常に低いという短所がある(反応式1参照)。
【0005】
【数1】

【0006】
前記特許文献2は、2番位置に置換されたアミノ基を有する6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールを閉環させ、4−オキソ−8−(置換されたアミノ)−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン化合物を製造する方法を開示している。すなわち、該特許文献2によってロイコトリエン拮抗剤として有用なプランルカストを製造する場合、3−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−ヒドロキシアセトフェノンを5−エトキシカルボニルテトラゾールと反応させ、2−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールを製造し、これを閉環させて4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン(すなわちプランルカスト)を製造する(反応式2)。
【0007】
【数2】

【0008】
前記特許文献3は、アセチル基で置換されたアミノ基を閉環させた後、アセチル基を除去して8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランを製造する方法を開示しているが、収率が低いという短所がある(反応式3)。
【0009】
【数3】

【0010】
従って、プランルカストを含んだベンゾピラン化合物の新しく、かつ経済的な製造方法の開発が当業界に要求されている。
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第EP0173516号公報
【特許文献2】国際特許公開第WO94/12492号パンフレット
【特許文献3】ヨーロッパ特許公開第EP0760816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、ベンゾピラン化合物の新しい製造方法を開発しようと研究を繰り返した結果、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの新しい製造方法を開発し、これを中間体として使用してプランルカストなどのベンゾピラン化合物を製造する方法を開発するに至った。
【0012】
従って、本発明は、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記製造方法で製造された8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を使用したプランルカスト、またはその塩の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造用中間体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様により、(a)N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを酸存在下で閉環させ、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを製造する段階と、(b)前記N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを加水分解する段階とを含む、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法が提供される。(a)段階で得られたN,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを分離せずに、同一反応器内で(b)段階を行うこともできる。
【0015】
前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸でありうる。(a)段階で、前記酸の使用量は、N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド1当量に対し、1〜50当量であり、前記閉環は、3〜24時間還流させて行うことができる。(b)段階で、前記加水分解は、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを酸存在下で還流させて行うことができる。また、前記8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの塩は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群から選択された酸との酸付加塩でありうる。
【0016】
前記N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドは、N,N’−ビス(3−アセチル
−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドと化学式5の化合物(以下で定義する)とを反応させて得られる。前記N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドは、塩化テレフタロイル及び3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノンを反応させて得られる。
【0017】
また、本発明の他の態様により、前記8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸と反応させる段階を含むプランルカストまたはその塩の製造方法が提供される。
【0018】
また、本発明の他の態様により、N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミド、及びN,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法は、2分子の2−アミノ−6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールのモイエティー(moiety)がテレフタロイル基を媒介に連結されたN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを中間体として使用することにより、最終的に得られる8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を非常に効率的に製造可能とする。また、最終生成物(すなわち、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩)と共に得られるテレフタル酸(化合物6’)は、容易に酸塩化物(acid chloride)形態に転換させることによって出発物質として回収できるの
で、本発明の製造方法は、経済的な側面でも非常に優秀である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、2分子の2−アミノ−6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールのモイエティー(moiety)がテレフタロイル基を媒介に連結されたN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを中間体として使用することにより、最終的に得られる8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を非常に効率的に製造することができる。
【0021】
本発明の一態様により、(a)N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを酸存在下で閉環させ、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを製造する段階と、(b)前記N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを加水分解する段階とを含む、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法が提供される。
【0022】
(a)段階で前記閉環は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などの酸存在下で行われる。前記酸の使用量は、N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド1当量に対して1〜50当量、望ましくは20〜25当量であり、反応(すなわち、還流
)時間は3〜24時間、望ましくは12〜16時間でありうる。また、閉環は、C〜Cアルコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択された溶媒中で行われうる。望ましくは、塩酸存在下で、エタノール中で行われうる。
【0023】
(b)段階で、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドの加水分解は、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを酸存在下(望ましくは、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミド1当量に対して50〜70当量)で、望ましくは、約48時間の間還流させて行われうる。
【0024】
前記(a)及び(b)段階は、中間体の分離なしに、単一容器反応(one-pot reaction)で行われうる。すなわち、(a)段階で得られたN,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを分離せずに、同一反応器内で(b)段階を行うことができる。また、前記(a)及び(b)段階は、過量の酸存在下で、相対的に反応時間を延長させることにより、同一反応器反応(one-pot reaction)で行われうる。例えば、N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド1当量に対し、80〜120当量の酸存在下で、約60〜90時間還流させることにより、前記(a)及び(b)段階を同時に行うこともできる。
【0025】
本発明の製造方法によって生成される8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの塩は、使用する酸によって多様な塩の形態であり、例えば、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸などとの酸付加塩形態でありうる。
【0026】
前記N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドは、N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドと化学式5の化合物とを反応させて得られる。
【0027】
【化3】

【0028】
式中、Rは、C〜Cアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル
である。
前記化学式5の化合物は、公知の製造方法、例えば、J. Med. Chem., 1976(19) 286に
よって製造されうる。すなわち、前記化学式5の化合物は、次の反応式4によって製造されうる。
【0029】
【数4】

【0030】
式中、Rは、C〜Cアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル
である。
N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドと化学式5の化合物との反応は、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、C〜Cアルコール、またはそれらの混合溶媒のうち、アルカリ金属アルコキシド(例えば、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド)、水素化ナトリウム、カリウムアミド、またはナトリウムアミドのような塩基存在下で行われうる。
【0031】
前記N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドは、塩化テレフタロイル及び3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノンを反応させて得られる。塩化テレフタロイルと3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノンとの反応は、有機化学分野で一般的に使われる塩基、例えば、三級有機アミン存在下で望ましく行われうる。前記三級有機アミンは、ピリジン、三級C〜Cアルキルアミン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどを含み、望ましくは、低廉なピリジンまたは三級C〜Cアルキルアミンであり、さらに望ましくは、ピリジンである。また、塩化テレフタロイルと3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノンとの反応は、酢酸エチル、アセトニトリル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、及びそれらの混合物からなる群から選択された溶媒中で行われ、精製効率及び工程上の便宜性を勘案するとき、ジクロロメタンが望ましく使われうる。反応温度及び反応時間は、使われる有機溶媒または塩基の種類によって異なるが、約0℃〜50℃の温度で約2〜7時間行うことができる。もちろん、前記反応温度及び反応時間は、前記範囲に限定されるものではなく、条件によって変更させて使用できる。また、反応終結後に簡単な濾過及び洗浄だけで、薄黄色の固体状態で化学式4の化合物を精製及び収得でき、産業的量産に有用な中間体として使用できる。
【0032】
前記本発明の製造方法を全体的な反応式で表せば、反応式5のようである。
【0033】
【数5】

【0034】
式中、Rは、C〜Cアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキルである。
前記反応式で確認することができるように、化学式2の化合物の閉環反応により、最終生成物(すなわち、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩)と共に、テレフタル酸(6’の化合物)が得られる。テレフタル酸は、一般の方法によって酸塩化物(acid chloride)形態に転換させることに
より、出発物質である化学式6の化合物として回収できるので、本発明の製造方法は、経済的な側面で非常に優秀である。
【0035】
本発明の他の態様により、前記の通りに製造された8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を、4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸またはその活性化された誘導体と反応させる段階を含むプランルカストまたはその塩の製造方法が提供される。
【0036】
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン
またはその塩と、4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸またはその活性化された誘導体との反応は、公知の方法(ヨーロッパ特許公開第EP0173516号公報)により、4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸を活性化された誘導体(例えば、塩化アシル形態)に活性化させた後、8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩と反応させることによって行うことができる。また、公知の方法(国際特許公開第WO94/121492号パンフレット)により、生成物、すなわちプランルカストの形態を1/2水和物(hemihydrate)形態で分離できる。
【0037】
本発明の製造方法に使われる前記N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミド、及びN,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドは新規化合物であり、本発明はそれら化合物を含む。前記化合物は、前記のところによって製造されうる。
【0038】
以下本発明を、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それらの実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0039】
N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドの製造
ジクロロメタン600mL中の3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノン(30.2g、200.0mmol)及びピリジン(33g、420mol)の溶液に、二塩化テレフタロイル(20.3g、100.0mol)を滴加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にメタノール200mLを加えた後、濾過した。得られた固体をジクロロメタン100mLで洗浄した後、乾燥して標題化合物38.9g(収率:90%)を製造した。
【0040】
1H-NMR(DMSO-d6, 300 MHz) δ 2.71(s, 6H), 7.04(t, 2H), 7.86(dd, 2H), 7.96(dd, 2H), 8.12(s, 4H), 9.91(s, 2H), 12.65(s, 2H)
【実施例2】
【0041】
N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドの製造
ジメチルホルムアミド0.9L中のカリウムt−ブトキシド(141.4g、1.26mol)の溶液に実施例1で製造したN,N’−ビス−(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド(38.9g、90.0mmol)及びエチル 1H−テト
ラゾール−5−カルボキシラート(30.7g、216.0mmol)を加えた。反応混合物を40〜50℃で5時間撹拌した後、室温に冷却した。反応混合物に1N−HCl水溶液を加えた後、濾過した。得られた固体を精製水78ml及びイソプロパノール78mlで洗浄した後、乾燥させて標題化合物45.5g(収率:81%)を製造した。
【0042】
1H-NMR(DMSO-d6, 300 MHz) δ 3.25(d, 2H), 3.63(d, 2H), 7.23(t, 2H), 7.66(dd, 2H), 8.12(s, 4H), 8.31(d, 2H), 8.80(s, 2H), 9.75(s, 2H)
【実施例3】
【0043】
N,N’−ビス−[4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドの製造
実施例2で製造したN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド(45.5g、72.9mmol)にエタノール910mlと濃塩酸145.8ml(1.75mol)とを加えた。反応混合物を16時間還流させた後、室温に冷却して濾過した。得られた固体を精製水91ml及びエタノール91mlで洗浄した後、乾燥させて標題化合物36.9g(収率:86%)を製造した。
【0044】
1H-NMR(DMSO-d6, 300 MHz) δ 7.14(s, 2H), 7.61(t, 2H), 7.96(dd, 2H), 8.26(dd, 2H), 8.29(s, 4H), 10.51(s, 2H)
【実施例4】
【0045】
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン塩酸塩の製造
実施例3で製造したN,N’−ビス−[4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミド(36.9g、62.7mmol)にエタノール738mlと濃塩酸313.5ml(3.76mol)とを加えた。反応混合物を48時間還流させた後、濾過した。得られた濾過液を室温に冷却した後、減圧濃縮した。生成された固体をエタノール369mlに加えて2時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を乾燥させ、標題化合物31.3g(収率:94%)を製造した。
【0046】
1H-NMR(DMSO-d6, 300 MHz) δ 4.30(brs, 3H), 7.06(s, 1H), 7.07(dd, 1H), 7.16-7.26(m, 2H)
【実施例5】
【0047】
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン塩酸塩の製造
実施例2で製造したN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド(45.5g、72.9mmol)にエタノール910mlと濃塩酸145.8ml(1.75mol)とを加えた。反応混合物を16時間還流させた。反応混合物にエタノール738mlと濃塩酸313.5ml(3.76mol)とを追加で加えた。反応混合物を48時間還流させた後、濾過した。得られた濾過液を室温に冷却した後、減圧濃縮した。生成された固体をエタノール369mlに加えて2時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を乾燥させ、標題化合物32.1g(収率:83%)を製造した。
【実施例6】
【0048】
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン塩酸塩の製造
実施例2で製造したN,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド(45.5g、72.9mmol)にエタノール1648mlと濃塩酸459.3ml(5.51mol)とを加えた。反応混合物を64時間還流させた後、濾過した。得られた濾過液を室温に冷却した後、減圧濃縮した。生成された固体をエタノール369mlに加えて2時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。得られた固体を乾燥させ、標題化合物30.6g(収率:79%)を製造した。
【実施例7】
【0049】
プランルカスト1/2水和物の製造
ジクロロメタン107ml中の4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸(10.7g、39.4mmol)溶液を0〜5℃に冷却させた後、塩化オキサリル(10.0g、78.8mmol)を滴加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した後、減圧濃縮した。得られた残滓にジメチルホルムアミド55mlを加えて溶解させ、実施例6で製造した8−アミノ−4−オキソ−2−テトラゾール−5−イル−4H−1−ベンゾピラン塩酸塩(8.7g、32.8mmol)とピリジン(13.0g、164.0mmol)とを加えた。反応混合物を40〜45℃で3時間撹拌した後、室温に冷却した。反応混合物に3N塩酸水溶液65mlを滴加し、濾過した。得られた固体を蒸溜水30ml及びアセトン30mlで洗浄した。得られた固体に90%アセトン水溶液111mlを加えて2時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、濾過した後で乾燥した。反応混合物を室温で5時間放置し、標題化合物11.6g(収率:71%)を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法、及びその製造用中間体は、例えば、ベンゾピラン化合物関連の技術分野に効果的に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドを酸存在下で閉環させ、N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを製造する段階と、
(b)前記N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを加水分解する段階とを含む、
8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩の製造方法。
【請求項2】
(a)段階で得られたN,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを分離せずに、同一反応器内で(b)段階を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記酸が塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
(b)段階で前記加水分解がN,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミドを酸存在下で還流させて行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランの塩が塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、C〜Cアルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸からなる群から選択された酸との酸付加塩であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミドがN,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドと、化学式5の化合物とを反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法:
【化1】

式中、Rは、C〜Cアルキル、フェニル、またはフェニル−C〜Cアルキル
である。
【請求項7】
前記N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミドが塩化テレフタロイル及び3’−アミノ−2’−ヒドロキシアセトフェノンを反応させて得られたものであることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の製造方法で製造された8−アミノ−4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピランまたはその塩を、4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾ酸またはその活性化された誘導体と反応させる段階を含むプランルカストまたはその塩の製造方法。
【請求項9】
N,N’−ビス{3−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)]プロピ
ル−2−ヒドロキシフェニル}テレフタルアミド。
【請求項10】
N,N’−ビス{4−オキソ−2−(テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]テレフタルアミド。
【請求項11】
N,N’−ビス(3−アセチル−2−ヒドロキシフェニル)テレフタルアミド。

【公開番号】特開2007−231019(P2007−231019A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52646(P2007−52646)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(507069988)エステクファーマ カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(507070054)チェンゲン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】