説明

9−ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)の合成方法

本発明は、パリペリドンの、その中間体3−(2−クロロエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オンからの調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、9−ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)[risperidone(Paliperidone)]の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
パリペリドン、すなわち3−[2−[4−(6−フルオロベンゾ[d]イソキサゾール−3−イル)−1−ピペリジル]エチル]−7−ヒドロキシ−4−メチル−1,5−ジアザビシクロ[4.4.0]デカ−3,5−ジエン−2−オンは、ベンズイソキサゾール誘導体の化学種類に属する5−HTアンタゴニスト、及び下記構造式:
【0003】
【化1】

【0004】
を有するラセミ混合物である。
【0005】
パリペリドンは、リスペリドンの代謝物である。名称Invega(商標)として市販されているパリペリドンは、精神分裂症の処理のためにアメリカ合衆国において許可されている向精神剤である。
パリペリドンの合成方法は、次のスキームに従って、アメリカ特許第5,158,952号に記載されている:
【0006】
【化2】

【0007】
中間体3−(2−クロロエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オン(CMHTP)を通してのパリペリドンの調製は、上記スキームの最後の段階に示されている。この工程は、有機塩基の存在下で行われる。
CMHTPの合成方法はまた、アメリカ特許第5,688,799号にも記載されている。
【0008】
上記出版物に記載される方法は、長く、且つ低い化学的収率をもたらし、産業へのそれらの適用を非常に困難にする。パリペリドン及びその中間体を調製するための新規方法についての必要性がある。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
1つの態様においては、本発明は、無機塩基の存在下で、3−(2−クロロエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オン(CMHTP)又はその塩、及び6−フルオロ−3−ピペリジノ−1,2−ベンイソキサゾール(FBIP)又はその塩を組合すことによる、パリペリドンの調製方法を提供する。
好ましい態様においては、前記方法は、溶媒の存在下で行われる。もう1つの好ましい態様においては、前記方法は、窒素下で行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の特定の記載
本明細書において使用される場合、パリペリドンは、9−ヒドロキシリスペリドンに等しい。
【0011】
本明細書において使用される場合、“室温”とは、約20〜約25℃の温度を意味する。
本発明は、無機塩基の存在下で、3−(2−クロロエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オン(CMHTP)又はその塩、及び6−フルオロ−3−ピペリジノ−1,2−ベンイソキサゾール(FBIP)又はその塩を組合すことによる、パリペリドンの調製方法を提供する。例えば、パリペリドンの調製方法は、次のスキームに記載のようにして実施され得る:
【0012】
【化3】

【0013】
1つの態様においては、CMHTP、FBIP及び無機塩基の混合物が反応せしめられる。好ましくは、反応は、溶媒の存在下で生じる。溶媒は好ましくは、水、C1-4アルキルアルコール、アセトニトリル、C3-6アミド、C3-6ケトン、C6-12芳香族炭素水素、C2-6アルキルアセテート及びC2-8エーテルからなる列挙から選択される。好ましいC1-4アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール及び2−ブタノールである。好ましいC3-6アミドは、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミド(DMF)である。好ましいC3-6ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソ−ブチルケトン(MIBK)である。好ましいC6-12芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン及びキシレンである。好ましいC2-6アルキルアセテートは、酢酸エチル及び酢酸イソブチルである。
【0014】
好ましいC2-8エーテルは、テトラヒドロフラン(THF)、ジエトキシメタン(DEM)、イソブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル及びポリエチレングリコール(PGME)である。より好ましくは、溶媒は、水、アセトニトリル、IPA又はDMFである。さらにより好ましくは、溶媒は、IPA及びアセトニトリルから選択され、そして最も好ましくは、溶媒はアセトニトリルである。
【0015】
パリペリドンを調製するための本発明の方法においては、使用される無機塩基は、CMHTP1モル当たり約1〜約3モルの無機塩基、例えばCMHTP1モル当たり約2.5モルの無機塩基の比率で存在する。使用される無機塩基の量は好ましくは、約2のモル比、すなわちCMHTP1モル当たり約2モルの無機塩基、例えばCMHTP1モル当たり、約1.8モルの無機塩基である。
【0016】
本発明のパリペリドンの調製方法に使用され得る無機塩基の例は、炭素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムを包含する。
無機塩基の存在下での作業の利点は、この工程の間に形成される有機廃棄物を捨てる必要がないことである。この利点は特に、産業的適用のために適切である。
【0017】
好ましくは、反応は、不純物に寄与する色彩形成を回避するために、窒素下で生じる。これは、高い純度を有する最終パリペリドンをもたらす。
反応は、塩、例えば反応を促進し、そしてまた、収率を高めるために、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び臭化ナトリウムの存在下で行われ得る。
【0018】
また、相移行触媒(PTC)は、2相システムにおいて行われる反応を促進するために、存在することができる。典型的には、相移行触媒は、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアリールアンモニウムハロゲン化物及びテトラ(アルキル)(アリール)アンモニウムハロゲン化物から成る群から選択され、ここで前記アルキル及びアリール基は同じであっても又は異なっても良い。好ましくは、アルキルは、C1-6アルキルである。好ましくは、アリールはC6-10アリールである。好ましくは、ハロゲン化物は、塩素、臭素又はヨウ素である。相移行触媒は好ましくは、テトラブチルメチルアンモニウム臭化物又はテトラブチルアンモニウム臭化物又はテトラブチルメチルアンモニウムヨウ化物から成る群から選択される。
【0019】
典型的には、得られる反応混合物は、好ましくは、約60℃〜ほぼ還流の温度、好ましくは約65℃の温度に加熱される。加熱された混合物は好ましくは、反応が起こるためには、少なくとも約8時間、維持される。好ましくは、反応混合物は、少なくとも約24時間、及び最も好ましくは、少なくとも40時間、維持される。
【0020】
続いて、反応混合物は冷却される。好ましくは、冷却は、ほぼ室温まで、及び次に、0℃以下の温度まで、好ましくは約−10℃の温度まで徐々である。−10℃の好ましい温度への冷却は、比較的すばやく、例えば約30分間にわたって行われ得るか、又は他方では、より長い時間、例えば約6時間、特に産業規模のためには、より長い時間、行われ得る。
【0021】
冷却段階の後、固体パリペリドンが形成され、次にこれは当業界において知られている方法により回収される。好ましくは、得られるパリペリドンは、最初に、反応に使用される有機溶媒、例えばアセトニトリル、アセトン、ジクロロメタン又はIPAである有機溶媒により洗浄され、続いて乾燥される。好ましくは、乾燥は、約60℃で約1時間、実施される。
【0022】
CMHTP及びFBIPの両出発材料は、塩基性又は酸性塩の形で存在することができる。最も好ましい塩は、塩酸塩である。CMHTPは、当業界において知られているいずれかの方法、例えばアメリカ特許第5,158,952号に記載される方法により得られる。FBIP出発材料は、市販されている。
【0023】
粗パリペリドンは、例えば再結晶化、例えばアセトニトリルからの再結晶化により精製され得る。得られる結晶形は好ましくは、約10.1, 12.4, 14.3, 17.0及び17.2±0.2°2θでピークを有する粉末X−線回折(PXRD)パターンにより特徴づけられるパリペリドンフォームIであり、ここで前記PXRDパターンはさらに、約12.9, 18.9, 21.9, 24.8及び26.2±0.2°2θでピークを有することができる。
【0024】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も、本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明はさらに、6−ヒドロキシリスペリドンの合成を詳細に記載する次の例により定義される。材料及び方法に対する多くの修飾が本発明の範囲内で行われ得ることは、当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0025】
例1
DMF(50ml)中、CMHTP(4.393g, 0.0168モル)、FBIP(4.695g, 0.0203モル)、炭酸ナトリウム(4.968g、0.0422モル)及びヨウ化カリウム(0.288g、0.0017モル)の混合物を、85℃で8時間、加熱した。その混合物を、水(500ml)中に注ぎ、DCM(4×100ml)により抽出した。抽出物を組合し、水(4×100ml)により洗浄し、無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、濾過し、そして減圧下で蒸発し、標記の粗生成物を得た。アセトニトリル(100ml)からの結晶化により、純度90%以上の標記生成物4.63gを得た。収率58%。
【0026】
例2
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(2g)、FBIP(1.92g)、炭酸ナトリウム(1.6g)、ヨウ化カリウム(0.03g)及びイソプロピルアルコール(20ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして24時間、撹拌し、黄みがかったスラリーを得た。その反応混合物を2時間で−10℃に冷却し、次に減圧下で濾過し、そしてイソプロピルアルコールにより3度すすいだ(それぞれ10ml)。得られる固形物を、水(3×20ml)により3度、及びアセトン(3×10ml)により3度スラリーし、濾過し、そして室温で1時間、及び減圧下で60℃で1時間、乾燥し、パリペリドン(1.84g、57.7%)を得た。
【0027】
例3
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.8g)、炭酸ナトリウム(4.0g)、及びイソプロピルアルコール(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして30時間、撹拌し、黄みがかったスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして撹拌下で一晩放置し、次に30分間で−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、イソプロピルアルコールにより3度すすぎ(それぞれ10ml)、そして60℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0028】
例4
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.8g)、炭酸ナトリウム(4.0g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.6g)及びイソプロピルアルコール(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして24時間、撹拌し、黄みがかったスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして3時間、撹拌し、次に30分間で−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、イソプロピルアルコールにより3度すすぎ(それぞれ10ml)、そして60℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0029】
例5
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.8g)、炭酸ナトリウム(4.0g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.6g)及びn−ブチルアルコール(30ml)により充填した。その懸濁液を、還流温度に加熱し、そして24時間、撹拌し、暗い紫色の懸濁液を得た。パリペリドンの存在を、HPLCにより観察した。
【0030】
例6
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.8g)、炭酸ナトリウム(4.0g)、テトラブチルアンモニウムヨージド(0.7g)及びイソプロピルアルコール(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして26時間、撹拌し、オレンジ色のスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして2時間、撹拌し、次に30分間で−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、イソプロピルアルコールにより3度すすぎ(それぞれ10ml)、そして60℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0031】
例7
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(5.8g)、炭酸ナトリウム(4.8g)、及びイソプロピルアルコール(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして26時間、撹拌し、黄みがかったスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして2時間、撹拌し、次に30分間で−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、イソプロピルアルコールにより3度すすぎ(それぞれ10ml)、そして60℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0032】
例18
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた250mlの反応器を、窒素下でCMHTP(10g)、FBIP(9.6g)、炭酸カリウム(10.4g)、及びイソプロピルアルコール(100ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして28時間、撹拌し、暗黄色のスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして2時間、撹拌し、次に30分間で−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、イソプロピルアルコールにより3度すすぎ(それぞれ10ml)、そして60℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0033】
例19
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた250mlの三つ首フラスコを、窒素下でCMHTP(10g)、FBIP(9.6g)、炭酸ナトリウム(7.96g)、及び水(100ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして5時間、撹拌し、淡褐色のスラリーを得た。その反応混合物を室温に冷却し、そして1時間、撹拌し、減圧下で濾過し、水により3度すすぎ(それぞれ20ml)、そして50℃でのオーブンにおいて減圧下で1時間、乾燥し、11.31gのパリペリドンを得た。
【0034】
例20
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた250mlの反応器を、窒素下でCMHTP(20g)、FBIP(19.2g)、炭酸ナトリウム(16g)及びアセトニトリル(200ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして26.5時間、撹拌した。その反応混合物を−10℃に冷却し、減圧下で濾過し、そしてアセトニトリルにより3度すすいだ(それぞれ40ml)。得られる固形物を、200mlのみずに室温でスラリーし、減圧下で濾過し、水(3×80ml)により3度、及びアセトン40mlにより洗浄した。粗生成物を、50℃での真空オーブンにおいて減圧下で一晩、乾燥し、29gのパリペリドンを得た。
【0035】
例21
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.8g)、炭酸ナトリウム(4.0g)、臭化カリウム(0.22g)及びアセトニトリル(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして約26時間、撹拌した。その反応混合物を室温に冷却し、真空濾過し、水及びアセトンによりすすぎ(3度)、そして55℃でのオーブンにおいて減圧下で一晩、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0036】
例22
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた250mlの反応器を窒素下で、80mlのアセトニトリル(この溶媒は、5分間窒素に通すことによりガス抜きされた)、CMHTP(7.5g)FBIP(8g)及び炭酸ナトリウムにより充填した。この懸濁液を65℃に添加し、そしてさらに85℃に12時間、加熱し、そして同じ温度でさらに12時間、維持した。反応混合物を0℃に冷却し、減圧下で濾過し、そしてアセトニトリルにより3度、洗浄した。得られる固形物を56mlの水に室温でスラリーし、減圧下で濾過し、水により4度、及び40mlのアセトンにより洗浄した。粗生成物を、真空オーブンにおいて、減圧下で55℃で一晩、乾燥し、パリペリドンを得た。
【0037】
例23
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5.0g)、FBIP(4.81g)、炭酸ナトリウム(3.97g)、示される塩及びアセトニトリル(50ml)により充填し、そして室温で19時間、撹拌した。そのスラリーを50℃に加熱し、そしてこの温度で8時間、及び次に室温でさらに94時間、撹拌した。
【0038】
【表1】

【0039】
例27
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.81g)、炭酸ナトリウム(3.97g)、臭化カリウム(0.22g)及びアセトニトリル(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして約24時間、撹拌した。その反応混合物を0℃に冷却し、減圧下で濾過し、そしてアセトンによりすすいだ。得られる固形物を水(3×15ml)によりスラリーし、水及びアセトンにより洗浄した。固形物を、真空オーブンにおいて、55℃で一晩、乾燥し、7.12gのパリペリドンを得た。
【0040】
例28
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5.0g)、FBIP(4.81g)、炭酸ナトリウム(3.97g)、示される塩及びアセトニトリル(50ml)により充填し、そして室温で15時間、撹拌した。そのスラリーを50℃に加熱し、そしてこの温度で9時間、及び次に室温でさらに43時間、撹拌した。
【0041】
【表2】

【0042】
例26
機械撹拌機及び還流冷却器を備えた100mlのフラスコを、窒素下でCMHTP(5g)、FBIP(4.81g)、炭酸ナトリウム(3.97g)、TBAI(0.69g)及びアセトニトリル(50ml)により充填した。その懸濁液を、65℃に加熱し、そして約24時間、撹拌した。その反応混合物を0℃に冷却し、2時間、撹拌し、減圧下で濾過し、そしてアセトンによりすすいだ。得られる固形物を水(3×15ml)によりスラリーし、水及びアセトンにより洗浄した。固形物を、真空オーブンにおいて、55℃で一晩、乾燥し、6.62gのパリペリドンを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機塩基の存在下で、3−(2−クロロエチル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]−ピリミジン−4−オン(CMHTP)又はその塩、及び6−フルオロ−3−ピペリジノ−1,2−ベンイソキサゾール(FBIP)又はその塩を反応せしめることを含んで成る、パリペリドン(paliperidone)の調製方法。
【請求項2】
少なくとも1つの溶媒下で前記反応段階を行うことをさらに含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの溶媒が、水、C1-4アルキルアルコール、アセトニトリル、C3-6アミド、C3-6ケトン、C6-12芳香族炭素水素、C2-6アルキルアセテート及びC2-8エーテルから成る群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの溶媒が、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソ−ブチルケトン(MIBK)、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、イソブチルアセテート、テトラヒドロフラン、イソブチルメチルエーテル、ジブチルエーテル及びポリエチレングリコール(PGME)から成る群から選択される請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの溶媒が、水、アセトニトリル、IPA及びDMFから成る群から選択される請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶媒が、IPA及びアセトニトリルから成る群から選択される請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの溶媒が、アセトニトリルである請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記反応が窒素下で実施される請求項1記載の方法。
【請求項9】
ヨウ化カリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム及び/又はヨウ化ナトリウムが、前記反応に添加される請求項1記載の方法。
【請求項10】
相移行触媒を添加することをさらに含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記相移行触媒が、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、テトラアリールアンモニウムハロゲン化物及びテトラ(アルキル)(アリール)アンモニウムハロゲン化物から成る群から選択され、ここで前記アルキル及びアリール基は同じであっても又は異なっても良い請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記相移行溶媒が、テトラメチルアンモニウムヨウ化物、トリドデシルメチルアンモニウムヨウ化物、テトラブチルメチルアンモニウム臭化物及びテトラブチルメチルアンモニウムヨウ化物から成る群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記得られる反応混合物が加熱される請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記得られる反応混合物が、約60℃〜ほぼ還流温度に加熱される請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記得られる反応混合物が、約65℃の温度に加熱される請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記加熱された混合物が、少なくとも約8時間、維持される請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記加熱された混合物が、少なくとも約24時間、維持される請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記加熱された混合物が、少なくとも約40時間、維持される請求項17記載の方法。
【請求項19】
加熱の後、前記反応混合物が冷却される請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記反応混合物の冷却が徐々である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記反応混合物の冷却が、約30分〜約6時間、行われる請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記反応混合物が、最初に、ほぼ室温に冷却され、そして続いて0℃以下の温度に冷却される請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記続く冷却が、約−10℃の温度へである請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記続く冷却が、約20分〜約8時間、行われる請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記続く冷却が、約30分〜約6時間、行われる請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記続く冷却が、約30分間、行われる請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記続く冷却が、約1時間、行われる請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記続く冷却が、約6時間、行われる請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記行われるパリペリドンが回収される請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記回収が、有機溶媒による洗浄、続く乾燥を包含する請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記無機塩基が、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記無機塩基が、炭素ナトリウムである請求項1記載の方法。
【請求項33】
前記ヨウ化カリウム又は臭化カリウムが、前記反応に添加される請求項9記載の方法。
【請求項34】
前記ヨウ化カリウムが、前記反応に添加される請求項33記載の方法。

【公表番号】特表2009−512627(P2009−512627A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530044(P2008−530044)
【出願日】平成19年8月14日(2007.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/017955
【国際公開番号】WO2008/021345
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】