説明

AVコンテンツ視聴システム

【課題】航空機などの旅客移動体において、複数の視聴装置でAVコンテンツを視聴可能とし、乗客に音声の途切れやズレによる不快感を与えることなく視聴する装置の切り替えることが可能なAVコンテンツ視聴システムを提供する。
【解決手段】乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58の視聴の途中で、座席端末装置4nの映像表示部6nへの視聴に切り替えると、自座席1mの小型ビデオコントローラ5mは、映像データを前座席1nの座席端末装置4nに伝送して映像表示部6nに表示させるが、音声データは伝送せず、そのまま自座席1mの座席端末装置4mに接続されたヘッドホン7mで聴取する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機などの旅客移動体の客室内に設置される各座席に搭載、配備されて、映画、音楽などのAV(オーディオビジュアル)ソフトやゲームソフトを視聴するAVコンテンツ視聴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機などの旅客移動体においては、機内又は客室内に搭載、配備されているIFE(In−Flight Entertainment)と呼ばれる機内エンターテインメントシステムにより、乗客に種々の機内サービスが提供されている。機内サービスとしては、例えば、乗客は配信される映画や音楽などを各座席のバックシート(背もたれ)に備えられている液晶表示装置の映像表示部や、搭乗時に配布されるヘッドホンを使用して視聴することができるほか、同様に各座席の肘掛け部に備え付けられているハンドセットと呼ばれる操作用端末装置などを用いてゲームをしたり、航空機外部へ電話をかけたり、インターネットへの接続サービスを受けたりすることが可能なシステムも提供されている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらのサービスは機内に配備されているAVサーバからネットワーク伝送路を通じて各座席に設けた座席端末装置へデジタルデータで伝送される。
【0003】
以下、従来の航空機内におけるAVコンテンツ視聴システム800について図17を用いて説明する。図17は従来例にかかるAVコンテンツ視聴システム800の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【0004】
図17において、AVコンテンツ視聴システム800は、複数の座席1m、1nに沿ってネットワーク伝送路2(以下、「伝送路」という。)が配設されており、この伝送路2は、AVサーバ3に接続されている。AVサーバ3は、映画やゲームなどの映像データと音声データとからなるAVコンテンツを提供する。さらに、必要に応じて搭乗中の航空機に関する飛行情報等も提供できる構成となっている。
【0005】
伝送路2はイーサネット(登録商標)ケーブルで構成されており、この伝送路2には座席ごとに座席端末装置14m、14nが接続されている。また、それぞれの座席の背部には液晶ディスプレイ等の映像表示部6m、6nが配設され、それぞれの座席にはコントローラ15m、15nとヘッドホン7m、7nが接続されている。これらの機器は座席端末装置14m、14nを介してAVサーバ3と通信可能に接続されている。また、乗務員室8においてマイクロホン8aが、アナログ音声信号をデジタル音声パケットに変換してイーサネット(登録商標)に接続するためのIP(Internet Protocol)アダプタ8bを介して伝送路2に接続されている。このマイクロホン8aと同様のものはコックピットにも設置され(図示せず)、客室乗務員及び機長はそれぞれマイクロホンを用いて乗客に対して機内アナウンス等を行う。
【0006】
このような構成において、例えば、自座席1mに着座した乗客がコントローラ15mを操作して見たい映画を選ぶと、その映画の映像及び音声は、AVサーバ3から乗客の前座席1nの座席端末装置14nにダウンロードされ蓄積される(予め複数のAVコンテンツを含むAVデータが座席端末装置に蓄積されている場合もある)。
【0007】
乗客が選んだ映画の映像は、前座席1nの映像表示部6nに表示されるが、音声は、座席端末装置14nから後方の座席端末装置14mに伝送路2を介してデジタルデータ(音声パケット)で伝送された後、座席端末装置14mにおいて復調され、元のアナログ音声信号に戻される。乗客はこのアナログ音声をヘッドホン7mで聴くことができる。
【0008】
上述した客室乗務員や機長からの機内アナウンスも、自座席1mの座席端末装置14mを介してヘッドホン7mで聞くことができる構成である。機内アナウンスは、天井に設けたスピーカ(図示せず)からも聞くことができるようになっているが、ヘッドホン7mを映画等の視聴で利用している乗客は、スピーカからのアナウンスを聞き取れない。このため、機内アナウンスは、伝送路2を介して座席端末装置14mに伝送された後、座席端末装置内において、映画の音声をアナウンスの音声に自動的に切り換えてヘッドホン7mで聞ける構成にしている。
【0009】
一方、近年、屋外でビデオやオーディオを楽しめる携帯端末装置が普及しつつある。このような携帯端末装置とテレビなどの大型表示装置を連携させ、携帯端末装置で視聴していたAVコンテンツを大型表示装置で視聴する手法が提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。このような、視聴する装置を切り替えるサービスを航空機内で提供する場合、コントローラ15m、15nに座席端末装置14m、14nの視聴機能を持たせることが考えられる。例えば、コントローラ15mは座席端末装置14mと同様に、AVサーバ3から伝送路2を通じて映画などの映像データ及び音声データを受信し、映像データはコントローラ15mに搭載された小型ディスプレイ(図示せず)に表示し、音声データはコントローラ15mから後方の座席端末装置14mに伝送し、ヘッドホン7mに出力する。
【0010】
そして、視聴する装置を切り替える場合、コントローラ15mが受信し小型ディスプレイに表示していた映画を、コントローラ15mの操作により、前部の座席端末装置14nが受信し、映像データを映像表示部6nに表示するよう切り替えるが、音声データは座席端末装置14nから座席端末装置14mに転送し、座席端末装置14mを介してヘッドホン7mに出力することで、自座席1mに着座した乗客にサービスを提供することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平7−143083号公報
【特許文献2】特開2006−246297号公報
【特許文献3】特開2009−130876号公報
【特許文献4】特開2010−074579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような航空機内におけるAVコンテンツ視聴システムでは、コントローラ15mから座席端末装置14nに視聴する装置が切り替わる間、後方の座席端末装置14mのヘッドホン7mから出力される音声の途切れやズレが生じてしまい、視聴中の乗客に不快感を与えてしまう。映像の表示にも途切れやズレが生じるが、この場合は小型ディスプレイと映像表示部間で視点も移動させるため、違和感を感じることはほとんどない。
【0013】
本発明の目的は、上述したような課題を解決するためになされたものであり、航空機などの旅客移動体において、複数の視聴装置でAVコンテンツを視聴可能とし、乗客に音声の途切れやズレによる不快感を与えることなく、視聴する装置を切り替えることが可能なAVコンテンツ視聴システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本発明のAVコンテンツ視聴システムは、
映像データ及び音声データを含む配信用のAVコンテンツを蓄積したAVサーバと伝送路を介して接続されるとともに、少なくとも前記音声データを受信し出力する座席端末装置と、
前記座席端末装置に端末装置伝送路を介して接続されるとともに、少なくとも前記映像データを受信して表示する小型端末装置と、
前記小型端末装置から前記映像データを受信して表示する表示端末装置と、
を備え、
前記映像データを前記小型端末装置と前記表示端末装置とで選択的に切り替えて表示し、又は同時に表示させることを特徴とする。
【0015】
このような構成により、既存のAVサービスシステムを運用しながら、既存の機器を有効に活用して複数の視聴装置によるAVサービスを提供する際、小型の視聴端末装置から前部のディスプレイへの視聴切り替えを音声の途切れやズレなく実現することができ、乗客はより大きな映像を楽しむことができる。
【0016】
また、本発明のAVコンテンツ視聴システムにおいて、
前記座席端末装置は、前後に配列された複数の座席にそれぞれ配設され、自座席に配設された座席端末装置は、少なくとも前記音声データを受信し出力する座席端末装置であり、
自座席の前座席の背部に配設された座席端末装置は、映像表示部が接続され、前記小型端末装置から前記映像データを受信して表示する表示端末装置であることを特徴とする。
【0017】
このような構成により、前座席の大きなディスプレイが前座席の座席端末装置と接続されている場合においても、小型の視聴端末装置から前座席の大きなディスプレイへの視聴切り替えを音声の途切れやズレなく実現することができる。
【0018】
さらに、本発明のAVコンテンツ視聴システムにおいて、
前記小型端末装置は、小型映像表示部と、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部とを備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、前記分離された映像データは、前記小型映像表示部に表示され、又は、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、自座席の前記座席端末装置に接続された映像表示部に表示されるようにしてもよい。
【0019】
このような構成により、小型の視聴端末装置は映像音声蓄積部からAVコンテンツを読み出し、小型の視聴端末装置から自座席の座席端末装置に接続されたディスプレイへの視聴切り替えを音声の途切れやズレなく実現することができる。
【0020】
またさらに、本発明のAVコンテンツ視聴システムにおいて、
前記座席端末装置は、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部を備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、
前記分離された音声データを自座席の座席端末装置から出力し、
前記分離された映像データは、自座席の前記座席端末装置に接続された映像表示部に表示され、又は、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、前記小型端末装置の前記小型映像表示部に表示されるようにしてもよい。
【0021】
このような構成により、座席端末装置は映像音声蓄積部からAVコンテンツを読み出し、自座席の座席端末装置に接続されたディスプレイから小型の視聴端末装置への視聴切り替えを、音声の途切れやズレなく実現することができる。
【0022】
また、本発明のAVコンテンツ視聴システムにおいて、前記小型映像表示部で表示される映像又は前記映像表示部で表示される映像と、ヘッドホンから出力される音声とが同期するように、前記映像データの表示タイミング及び前記音声データの出力タイミングを調整してもよい。
【0023】
このような構成により、乗客は映像に対してズレのない音声を聴くことができる。
【0024】
さらに、本発明のAVコンテンツ視聴システムは、航空機に搭載され、これにより、航空機内において高品質なAVコンテンツ視聴システムを実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、航空機などの旅客移動体において、複数の視聴装置でAVコンテンツを視聴可能とし、乗客に音声の途切れやズレによる不快感を与えることなく、視聴する装置を切り替えることが可能なAVコンテンツ視聴システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図2】図1の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】図1の座席1m,1n及びその周辺装置の詳細を示す外観斜視図である。
【図4】図1のAVコンテンツ視聴システム100の各動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2にかかるAVコンテンツ視聴システム200の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図6】図4の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。
【図7】図4のAVコンテンツ視聴システム200の各動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3にかかるAVコンテンツ視聴システム300の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図9】図8の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。
【図10】図8のAVコンテンツ視聴システム300の各動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の実施の形態4にかかるAVコンテンツ視聴システム400の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図12】図11の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。
【図13】図11のAVコンテンツ視聴システム400の各動作を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施の形態5にかかるAVコンテンツ視聴システム500の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態6にかかるAVコンテンツ視聴システム600の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態7にかかるAVコンテンツ視聴システム700の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【図17】従来例にかかるAVコンテンツ視聴システム800の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明にかかる各実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。図面において、同様の構成要素は同様の符号を付す。
【0028】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100について、図1〜図4を参照して以下説明する。
【0029】
図1は本発明の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。図1の本実施の形態のAVコンテンツ視聴システム100の外観上の構成は、図17の従来例にかかるAVコンテンツ視聴システム800と比較して、
(1)コントローラ15m、15nに代わって、小型ビデオコントローラ5m、5nを新たに付加したこと、
(2)座席端末装置14m、14nに代わって、小型ビデオコントローラ5m、5nとのインタフェースを備えた座席端末装置4m、4nを設置したことを特徴としている。
それ以外の部分は同じであるので同一の符号を付して、既に説明した部分については説明を省略する。
【0030】
図2は図1の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図であり、図3は図1の座席1m,1n及びその周辺装置の詳細を示す外観斜視図である。図2及び図3において、AVコンテンツ視聴システム100は、図1で説明した自座席1mに設置される座席端末装置4mと、小型ビデオコントローラ5mと、前座席1nに設置される座席端末装置4nと、その周辺の構成とを備えて構成される。図2においては、AVサーバ3に繋がる伝送路2に接続された座席端末装置4n(前座席1n)、4m(自座席1m)、小型ビデオコントローラ5mをそれぞれ図の点線枠で示している。
【0031】
これらの構成ブロックのうち、まず、座席端末装置4mについて説明する。座席端末装置4mは、CPU41と、ROM42と、映像音声蓄積部43と、映像デコーダ44と、音声デコーダ45と、ネットワークI/F46と、端末装置I/F47とを備えて構成される。なお、座席端末装置4nについても同様の構成要素を備えて構成され、それらの説明を省略する。CPU41は、座席端末装置全体を制御するマイコンなどの中央処理装置である。座席端末装置4mはこのCPU41を含み、以下に説明する構成要素は、図2に示すようにバス40に接続され、相互に情報を交換する。ROM42にはCPU41のプログラムが収納されている。
【0032】
映像音声蓄積部43は、AVサーバ3から伝送路2を経由してダウンロードされたMPEG(Moving Picture Experts Group)2等で圧縮された圧縮映像データや圧縮音声データを蓄積する。映像デコーダ44及び音声デコーダ45は、それぞれ映像音声蓄積部43に蓄積された圧縮映像データ及び圧縮音声データを復号して再生するための復号器である。映像デコーダ44には映像表示部6mが、音声デコーダ45にはヘッドホン端子45aを介してヘッドホン7mが、それぞれ接続される。なお、本実施の形態では、座席端末装置4mと映像表示部6mが分離しているが、両者を一体化してもよい。
【0033】
また、コックピットや乗務員室8のマイクロホン8aからの、機長や客室乗務員等の乗客に対する機内アナウンスも、IPアダプタ8b、伝送路2を介して伝送された後、座席端末装置4mに取り込まれて、ヘッドホン7mで聴取される。ネットワークインタフェース(以下、インタフェースを「I/F」という。)46は、伝送路2とのインタフェースであり座席端末装置を識別するための固有のアドレス(MACアドレス等)を有する。端末装置I/F47は、座席端末装置4mに接続される小型ビデオコントローラ5mとのインタフェースであり、座席端末装置4mと小型ビデオコントローラ5mとの間で、コントローラ用端子47a及び端末装置伝送路9を介して信号やデータの交換をおこなう。端末装置伝送路9はイーサネット(登録商標)ケーブルあるいはシリアルバスなどで構成される。
【0034】
次に、小型ビデオコントローラ5mについて説明する。小型ビデオコントローラ5mは、座席端末装置4m、4nと同様のCPU51と、ROM52と、映像音声蓄積部53と、映像デコーダ54と、音声デコーダ55と、端末装置I/F57とを備えて構成され、それらはバス50で接続されている。小型ビデオコントローラ5mの映像音声蓄積部53に蓄積される圧縮映像データや圧縮音声データは、AVサーバ3から、伝送路2、座席端末装置4mのネットワークI/F46、端末装置I/F47、コントローラ用端子47a、及び端末装置伝送路9を経由して、端末装置I/F57、バス50を介して配信される。映像デコーダ54には、小型ビデオコントローラ5mに内蔵された小型映像表示部58が接続され、座席端末装置4m、4nの映像表示部6m、6nと同様に映像を表示する。コントロールI/F59は、操作部59Aによる乗客の操作入力を受け付けるインタフェースである。ここで、操作部59Aは、小型映像表示部58のタッチパネルの操作部であってもよい。
【0035】
以上の構成において、次に、本実施の形態のAVコンテンツ視聴システム100の動作について図4を参照して説明する。図4は図1のAVコンテンツ視聴システム100の各動作を示すタイミングチャートである。まず、AVサーバ3に蓄積されたAVコンテンツを、自座席1mの乗客が前座席1nの座席端末装置4nで視聴する場合(第1の基本動作)について図4を参照して説明する。
【0036】
図4の第1の基本動作において、乗客が自身の自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して、見たいAVコンテンツを前座席1nで(あるいは、前座席1nの映像表示部6n)の視聴として選択すると、選択情報を含む要求信号は伝送路2を経由してAVサーバ3に送信され、AVサーバ3からは該当のAVコンテンツを含む圧縮映像データ及び圧縮音声データからなるAVデータが前座席1nの座席端末装置4nに配信され、内部の映像音声蓄積部43に一旦蓄積される。乗客が小型ビデオコントローラ5mを操作して再生等の指示をすると、例えばCPUが所定のソフトウエアを実行することにより(もしくは、専用のハードウエア回路により)映像音声蓄積部53に蓄積されたAVデータから圧縮映像データ及び圧縮音声データを分離した後、上記圧縮映像データは、前座席1nの座席端末装置4n内の映像デコーダ44で復号化されて映像表示部6nに表示される。一方、上記圧縮音声データは、ネットワークI/F46と伝送路2を介して自座席1mの座席端末装置4m宛に送出される。自座席1mの座席端末装置4mにおいては、取り込んだ圧縮音声データが音声デコーダ45で復号化された後、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0037】
次に、AVサーバ3に蓄積されたAVコンテンツを自座席1mの乗客が小型ビデオコントローラ5mで視聴する場合(第2の基本動作)について図4を参照して説明する。
【0038】
図4の第2の基本動作において、乗客が自身の自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して、見たいAVコンテンツを小型ビデオコントローラ5mでの視聴として選択すると、選択情報を含む要求信号は伝送路2を経由してAVサーバ3に送信され、AVサーバ3からは該当のAVコンテンツを含む圧縮映像データ及び圧縮音声データからなるAVデータが自座席1mの座席端末装置4mを経由して小型ビデオコントローラ5mに配信され、内部の映像音声蓄積部53に一旦蓄積される。乗客が小型ビデオコントローラ5mを操作して再生等の指示をすると、例えばCPUが所定のソフトウエアを実行することにより(もしくは、専用のハードウエア回路により)映像音声蓄積部53に蓄積されたAVデータから圧縮映像データ及び圧縮音声データを分離した後、上記圧縮映像データは、小型ビデオコントローラ5m内の映像デコーダ54で復号化されて小型映像表示部58に表示される。一方、上記圧縮音声データは、端末装置I/F57と端末装置伝送路9を介して自座席1mの座席端末装置4m宛に送出される。自座席1mの座席端末装置4mにおいては、前述の座席端末装置での視聴と同様、取り込んだ圧縮音声データが音声デコーダ45で復号化された後、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0039】
次に、乗客が小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58での視聴から座席端末装置4nの映像表示部6nでの視聴に切り替える場合(第1の切替動作)について説明する。
【0040】
図4の第1の切替動作において、自座席1mの小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58でAVコンテンツを視聴している状態(図4の61A)において、乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して座席端末装置4nの映像表示部6nでの視聴を選択すると、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部53に蓄積された圧縮映像データは、内部の映像デコーダ54には渡されず、端末装置I/F57と端末装置伝送路9を介して、さらには座席端末装置4mのネットワークI/F46と伝送路2を介して、前座席1nの座席端末装置4n宛に送出される(図4の61B)。前座席1nの座席端末装置4nにおいては、取り込んだ圧縮映像データが映像デコーダ44で復号化されて映像表示部6nに表示される。一方、圧縮音声データは、視聴する端末装置を切り替える前と変わらず、自座席1mの小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4m宛に送出され、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0041】
この場合、圧縮映像データを伝送路2及び端末装置伝送路9で伝送する時間だけ映像の表示が遅れるので、視聴切り替えに関わらず、自座席1mの座席端末装置4mの映像音声蓄積部43から圧縮音声データを読み出すタイミングを伝送路2で伝送する時間だけ遅らせて、また、小型ビデオコントローラ5mの映像音声蓄積部53から圧縮映像データを読み出すタイミングを、伝送路2及び端末装置伝送路9で伝送する時間だけ遅らせることで、前座席1nの映像との同期を取るようにしている。この映像との同期を取る方法については、本発明はこれに限らず、映像と音声の圧縮データを同時に読み出して当該時間だけ映像と音声をそれぞれ遅延させるための遅延回路を追加してもよい。さらに、映像と音声のデータにタイムスタンプを挿入して再生し、このタイムスタンプに基づいて遅延量を制御すればさらに正確な同期が可能となる。
【0042】
この第1の切替動作の後、乗客が小型ビデオコントローラ5mを操作して、停止あるいは一時停止を指示し、再度再生等の指示をすると、小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58で視聴していたAVコンテンツを含むAVデータがAVサーバ3から前座席1nの座席端末装置4nに配信され、内部の映像音声蓄積部43に一旦蓄積され、以降は前座席1nの座席端末装置4nの映像表示部6nでの視聴動作に切り替わる。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mを設け、小型ビデオコントローラ5mはAVサーバ3のAVコンテンツを受信して、小型映像表示部58に映像を表示し(図4の61A)、音声を自座席1mの座席端末装置4mに送出し、乗客は自座席1mのヘッドホン7mで聴取する。小型ビデオコントローラ5mにて映像を座席端末装置4nの映像表示部6nでの視聴に切り替えると、小型ビデオコントローラ5mは、映像を前座席1nの座席端末装置4nに送出し(図4の61B)、前座席1nの映像表示部6nに表示し、音声は継続して自座席1mのヘッドホン7mで聴取される。
【0044】
このような構成としたので、本実施の形態よれば、乗客に音声の途切れやズレによる不快感を与えることなく視聴する装置を切り替えることが可能である。
【0045】
なお、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4nへの視聴の切り替え(第1の切替動作)を行うとしたが、本発明はこれに限らず、座席端末装置4nから小型ビデオコントローラ5mへの視聴の切り替え(第2の切替操作)を行うとしてもよい。その場合、図4の第2の切替動作において、前述のように、座席端末装置4nの映像表示部6nでAVコンテンツを視聴している状態(図4の61C)において、乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して、小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58での視聴を選択すると、座席端末装置4nは圧縮映像データを内部の映像音声蓄積部43から小型ビデオコントローラ5mに送出し、小型ビデオコントローラ5mがこれを内部の映像デコーダ54で復号化して小型映像表示部58で表示する(図4の61D)。一方、圧縮音声データは、視聴する端末装置を切り替える前と変わらず、座席端末装置4nから座席端末装置4m宛に送出され、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0046】
なお、本実施の形態では、座席端末装置4n又は小型ビデオコントローラ5mは、圧縮音声データを座席端末装置4mに送出し、座席端末装置4mがこれを内部の音声デコーダ45で復号化してヘッドホン7mで音声として聴取されるとしたが、本発明はこれに限らず、座席端末装置4n又はビデオコントローラ5mの内部の音声デコーダ45又は音声デコーダ55にて復号化した後に、復号化した音声データを座席端末装置4mに送出し、座席端末装置4mがこれをヘッドホン7mで音声として出力するとしてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4nへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5mは圧縮映像データを座席端末装置4nに送出し、座席端末装置4nがこれを内部の映像デコーダ44で復号化して映像表示部6nで表示するとしたが、本発明はこれに限らず、小型ビデオコントローラ5mの内部の映像デコーダ54にて復号化した後に、復号化した映像データを座席端末装置4nに送出し、座席端末装置4nがこれを映像表示部6nで表示するとしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4nへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部43に蓄積された圧縮映像データは前座席1nの座席端末装置4n宛に送出されるとしたが、切り替えの選択にかかわらず、小型ビデオコントローラ5mは圧縮映像データを復号化して表示しながら、座席端末装置4n宛に圧縮映像データを送出するとしてもよい。これにより、切り替え時に既に送出され蓄積していた映像を表示することで、より速やかな映像表示が可能となる。
【0049】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4nへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部53に蓄積された圧縮映像データは内部の映像デコーダ54には渡されなくなるとしたが、本発明はこれに限らず、継続して映像デコーダ54に渡し、小型映像表示部58で引き続き表示してもよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2にかかるAVコンテンツ視聴システム200について、図5〜図7を参照して以下説明する。
【0051】
図5は本発明の実施の形態2にかかるAVコンテンツ視聴システム200の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。図5のAVコンテンツ視聴システム200は例えばビジネスクラス又はファーストクラスの座席にかかる装置構成を図示している。図5の本実施の形態のAVコンテンツ視聴システム200の外観上の構成は、図1の実施の形態1におけるAVコンテンツ視聴システム100と比較して、自座席1mの座席端末装置4mに接続されている映像表示部6mが前面に配置されていることを特徴としている。その他の構成要素は実施の形態1におけるものと同じであるので、同一の符号を付して、既に説明した部分については説明を省略する。
【0052】
図6は図4の座席端末装置4m及び4n、小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。図6は、図5で説明した自座席1mに設置される座席端末装置4mと、小型ビデオコントローラ5mと、その周辺の構成を示す。ここで、自座席1mの座席端末装置4m、小型ビデオコントローラ5mを図6の点線枠で示している。各構成要素は実施の形態1におけるものと同じであるので、同一の符号を付して、既に説明した部分については説明を省略する。
【0053】
以上のように構成されたAVコンテンツ視聴システム200の動作について、図7を参照して以下説明する。図7は図4のAVコンテンツ視聴システム200の各動作を示すタイミングチャートである。まず、AVサーバ3に蓄積されたAVコンテンツを、自座席1mの乗客が映像表示部6mで視聴する場合(第1の基本動作)について説明する。
【0054】
図7の第1の基本動作において、乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して、見たいAVコンテンツを映像表示部6mでの視聴として選択すると、選択情報を含む要求信号は伝送路2を経由してAVサーバ3に送信され、AVサーバ3からは該当のAVコンテンツを含む圧縮映像データ及び圧縮音声データからなるAVデータが自座席1mの座席端末装置4mに配信され、内部の映像音声蓄積部43に一旦蓄積される。乗客が小型ビデオコントローラ5mを操作して再生等の指示をすると、例えばCPUが所定のソフトウエアを実行することにより(もしくは、専用のハードウエア回路により)AVデータから圧縮映像データ及び圧縮音声データを分離した後、上記映像音声蓄積部43に蓄積された圧縮映像データは、自座席1mの座席端末装置4m内の映像デコーダ44で復号化されて映像表示部6mに表示される。一方、選択した圧縮音声データは、自座席1mの座席端末装置4m内の音声デコーダ45で復号化された後、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0055】
次いで、AVサーバ3に蓄積されたAVコンテンツを、乗客が小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58で視聴する場合(第2の基本動作)については、本実施の形態1における動作と同様であり、図7において図示している。
【0056】
さらに、乗客が小型ビデオコントローラ5mでの視聴から、座席端末装置での視聴に切り替える場合(第1の切替動作)について説明する。
【0057】
図7の第1の切替動作において、自座席1mの小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58でAVコンテンツを視聴している状態(図7の62A)において、乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して映像表示部6mでの視聴を選択すると、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部53に蓄積された圧縮映像データは、内部の映像デコーダ54には渡されず、端末装置I/F57と端末装置伝送路9を介して、自座席1mの座席端末装置4m宛に送出される(図7の62B)。自座席1mの座席端末装置4mにおいては、取り込んだ圧縮映像データが映像デコーダ44で復号化されて映像表示部6mに表示される。一方、圧縮音声データは、視聴する端末装置を切り替える前と変わらず、自座席1mの小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4m宛に送出され、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0058】
この場合、圧縮映像データを端末装置伝送路9で伝送する時間だけ映像の表示が遅れるので、視聴切り替えに関わらず、小型ビデオコントローラ5mの映像音声蓄積部53から圧縮映像データを読み出すタイミングを当該時間だけ遅らせて、座席端末装置4mの映像及び音声との同期を取るようにしている。この映像との同期を取る方法については、本発明はこれに限らず、映像と音声の圧縮データを同時に読み出して当該時間だけ音声のみを遅延させるための遅延回路を追加してもよい。さらに、映像と音声のデータにタイムスタンプを挿入して再生し、このタイムスタンプに基づいて遅延量を制御すればさらに正確な同期が可能となる。
【0059】
この第1の切替動作の後、乗客が小型ビデオコントローラ5mを操作して、停止あるいは一時停止を指示し、再度再生等の指示をすると、視聴していたAVコンテンツを含むAVデータがAVサーバ3から自座席1mの座席端末装置4mに配信され、内部の映像音声蓄積部43に一端蓄積され、以降は映像表示部6mでの視聴動作に切り替わる。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mを設け、小型ビデオコントローラ5mはAVサーバ3のAVコンテンツを受信して、小型映像表示部58に映像を表示し(図7の62A)、音声は自座席1mの座席端末装置4mに送出し、自座席1mのヘッドホン7mで聴取される。ビデオコントローラ5mにて映像表示部6mでの視聴に切り替えると、小型ビデオコントローラ5mは映像を自座席1mの座席端末装置4mに送出し(図7の62B)、自座席1mの映像表示部6mに表示し、音声は継続して自座席1mのヘッドホン7mで聴取される。
【0061】
このような構成としたので、本実施の形態によれば、乗客に音声の途切れやズレによる不快感を与えることなく視聴する装置を切り替えることが可能である。
【0062】
なお、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4mへの視聴の切り替え(第1の切替動作)を行うとしたが、本発明はこれに限らず、座席端末装置4mから小型ビデオコントローラ5mへの視聴の切り替えを行う(第2の切替動作)としてもよい。その場合、図7の切替動作において、前述のように、映像表示部6mでAVコンテンツを視聴している状態(図7の62C)において、乗客が自座席1mの小型ビデオコントローラ5mを操作して小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58での視聴を選択すると、座席端末装置4mは圧縮映像データを小型ビデオコントローラ5mに送出し(図7の62D)、小型ビデオコントローラ5mがこれを内部の映像デコーダ44で復号化して、復号化した映像データを小型映像表示部58で表示する。一方、圧縮音声データは、視聴する端末装置を切り替える前と変わらず、自座席1mのヘッドホン7mで音声として聴取される。
【0063】
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、小型ビデオコントローラ5mは圧縮音声データを内部の音声デコーダ45にて復号化した後に座席端末装置4mに送出し、座席端末装置4mがこれをヘッドホン7mで音声として出力するとしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58から映像表示部6mへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5mは圧縮映像データを座席端末装置4mに送出し、座席端末装置4mがこれを内部の映像デコーダ44で復号化した後に映像表示部6mで表示するとしたが、本発明はこれに限らず、小型ビデオコントローラ5mの内部の映像デコーダ44にて復号化して、復号化した映像データを座席端末装置4mに送出し、座席端末装置4mがこれを映像表示部6mで表示するとしてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mの小型映像表示部58から映像表示部6mへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部43に蓄積された圧縮映像データは自座席1mの座席端末装置4m宛に送出されるとしたが、本発明はこれに限らず、切り替えの選択にかかわらず、小型ビデオコントローラ5mは圧縮映像データを復号化して表示しながら、座席端末装置4m宛に圧縮映像データを送出するとしてもよい。これにより、切り替え時に既に送出され蓄積していた映像を表示することで、より速やかな映像表示が可能となる。
【0066】
また、本実施の形態では、小型ビデオコントローラ5mから座席端末装置4mへの視聴の切り替え(第1の切替動作)において、小型ビデオコントローラ5m内の映像音声蓄積部53に蓄積された圧縮映像データは内部の映像デコーダ54には渡されなくなるとしたが、本発明はこれに限らず、継続して映像デコーダ54に渡し、小型映像表示部58で引き続き表示してもよい。
【0067】
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3にかかるAVコンテンツ視聴システム300の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。また、図9は図8の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。図8及び図9の実施の形態3にかかるAVコンテンツ視聴システム300は、図1の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100に比較して、
(1)ヘッドホン7mを、自座席1mの座席端末装置4mに接続することに代えて、前座席1nの座席端末装置4nに接続したこと、並びに、
(2)前面の映像表示部6nを用いて視聴する場合において、前座席1nの座席端末装置4nが圧縮映像データ及び圧縮音声データの処理を行うことを特徴としている。
【0068】
図10は図8のAVコンテンツ視聴システム300の各動作を示すタイミングチャートである。図10の基本動作及び切替動作(図10の63Aから63Bへの切り替え)は、図7の第2の基本動作及び第1の切替動作に対応し、これらの動作は、自座席1mの座席端末装置4mが前座席1nに移動したのみで実施の形態2の動作と同様である。
【0069】
(実施の形態4)
図11は本発明の実施の形態4にかかるAVコンテンツ視聴システム400の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。また、図12は図11の座席端末装置4m,4n及び小型ビデオコントローラ5mの詳細構成を示すブロック図である。図11及び図12の実施の形態4にかかるAVコンテンツ視聴システム400は、図1の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100に比較して、
(1)小型ビデオコントローラ5mを、自座席1mの座席端末装置4mに接続することに代えて、前座席1nの座席端末装置4nに接続したことを特徴とし、
(2)前面の映像表示部6nを用いて視聴する場合において、前座席1nの座席端末装置4nが圧縮映像データの処理を行うことは実施の形態1と同様である。
【0070】
図13は図11のAVコンテンツ視聴システム400の各動作を示すタイミングチャートである。図13の基本動作及び切替動作(図13の64Aから64Bへの切り替え)は、図4の第2の基本動作及び第1の切替動作に対応し、これらの動作は実施の形態1の動作と同様である。
【0071】
(実施の形態5)
図14は本発明の実施の形態5にかかるAVコンテンツ視聴システム500の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。図14の実施の形態5にかかるAVコンテンツ視聴システム500は、図1の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100と比較して、ヘッドホン7m及び小型ビデオコントローラ5mを、自座席1mの座席端末装置4mに接続することに代えて、前座席1nの座席端末装置4nに接続したことを特徴としている。以上のように構成することにより、映像表示部6n、小型ビデオコントローラ5m及びヘッドホン7mがともに前座席1nの座席端末装置4nに接続されており1つの装置により圧縮映像データ及び圧縮音声データの処理が実行されるので、基本動作及び切替動作は実施の形態2と同様である。
【0072】
(実施の形態6)
図15は本発明の実施の形態6にかかるAVコンテンツ視聴システム600の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。図15の実施の形態6にかかるAVコンテンツ視聴システム600は、図1の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100に比較して、
(1)小型ビデオコントローラ5mを、自座席1mの座席端末装置4mに接続することに代えて、伝送路2に直接に接続したこと、並びに、
(2)前記(1)に伴い、小型ビデオコントローラ5mは、端末装置I/F57に代えて、ネットワークI/F46を備えたことを特徴としている。
【0073】
以上のように構成することにより、小型ビデオコントローラ5mは、圧縮音声データを自座席1mの座席端末装置4mに転送するとともに、圧縮映像データを前座席1nの座席端末装置4nに転送する。従って、当該基本動作は、実施の形態1にかかる図4の第2の基本動作に対応する。
【0074】
(実施の形態7)
図16は本発明の実施の形態7にかかるAVコンテンツ視聴システム700の全体構成を示すブロック図及び外観斜視図である。図16の実施の形態7にかかるAVコンテンツ視聴システム700は、図1の実施の形態1にかかるAVコンテンツ視聴システム100に比較して、
(1)小型ビデオコントローラ5mを、自座席1mの座席端末装置4mに接続することに代えて、伝送路2に直接に接続したこと、並びに、
(2)前記(1)に伴い、小型ビデオコントローラ5mは、端末装置I/F57に代えて、ネットワークI/F46を備え、
(3)ヘッドホン7mを前座席1nの座席端末装置4nに接続したことを特徴としている。
【0075】
以上のように構成することにより、小型ビデオコントローラ5mは、圧縮音声データ及び圧縮映像データを前座席1nの座席端末装置4nに転送する。従って、当該基本動作は、実施の形態3にかかる図10の基本動作及び切替動作に対応する。
【0076】
(変形例)
以上の各実施の形態においては、ヘッドホン7m,7nを用いているが、本発明はこれに限らず、ヘッドホン7m,7nに代えて、自座席又は前座席に設けられ、音声デコーダ45,55に接続されたアンプ付きスピーカ、もしくは、音声デコーダ45,55からアンプを介して接続されたスピーカを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上詳述したように、本発明にかかるAVコンテンツ視聴システムによれば、航空機などの旅客移動体の客室内に設置される各座席に搭載、配備されて、映画、音楽などのAVソフトやゲームソフトを視聴するAVコンテンツ視聴システムに有用であり、バス、鉄道などの車両やフェリー、客船などの船舶などの公共交通機関にも利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1m,1n…座席、
2…伝送路、
3…AVサーバ、
4m,4n…座席端末装置、
5m,5n…小型ビデオコントローラ、
6m,6n…映像表示部、
7m,7n…ヘッドホン、
8…乗務員室、
8a…マイクロホン、
8b…IPアダプタ、
9…端末装置伝送路、
40,50…バス、
41,51…CPU、
42,52…ROM、
43,53…映像音声蓄積部、
44,54…映像デコーダ、
45,55…音声デコーダ、
45a…ヘッドホン端子、
46…ネットワークI/F、
47,57…端末装置I/F、
47a…コントローラ用端子、
58…小型映像表示部、
59…コントロールI/F、
59A…操作部、
100,200,300,400,500,600,700…AVコンテンツ視聴システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データ及び音声データを含む配信用のAVコンテンツを蓄積したAVサーバと伝送路を介して接続されるとともに、少なくとも前記音声データを受信して出力する座席端末装置と、
前記座席端末装置に端末装置伝送路を介して接続されるとともに、少なくとも前記映像データを受信して表示する小型端末装置と、
前記小型端末装置から前記映像データを受信して表示する表示端末装置とを備え、
前記映像データを前記小型端末装置と前記表示端末装置とで選択的に切り替えて表示し、又は同時に表示させることを特徴とするAVコンテンツ視聴システム。
【請求項2】
前記座席端末装置は、前後に配列された複数の座席にそれぞれ配設され、自座席に配設された座席端末装置は、少なくとも前記音声データを受信し出力する座席端末装置であり、
自座席の前座席の背部に配設された座席端末装置は、映像表示部が接続され、前記小型端末装置から前記映像データを受信して表示する表示端末装置であることを特徴とする請求項1に記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項3】
前記小型端末装置は、小型映像表示部と、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部とを備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、
前記分離された映像データは、前記小型映像表示部に表示され、又は、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、自座席の前記座席端末装置に接続された映像表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項4】
前記小型端末装置は、小型映像表示部と、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部とを備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、
前記分離された映像データは、前記小型映像表示部に表示され、又は、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、前記前座席の座席端末装置に接続された映像表示部に表示されることを特徴とする請求項2に記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項5】
前記座席端末装置は、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部を備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、
前記分離された音声データを自座席の座席端末装置から出力し、
前記分離された映像データは、自座席の前記座席端末装置に接続された映像表示部に表示され、又は、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、前記小型端末装置の前記小型映像表示部に表示されることを特徴とする請求項1に記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項6】
前記座席端末装置は、前記AVサーバから配信されたAVコンテンツを蓄積する映像音声蓄積部を備え、
前記映像音声蓄積部から読み出された前記AVコンテンツは、映像データと音声データとに分離され、
前記分離された音声データを自座席の座席端末装置から出力し、
前記分離された映像データは、自座席の座席端末装置の前記端末装置伝送路を経由して伝送された後、前記小型端末装置の前記小型映像表示部に表示され、又は、前記前座席の座席端末装置に接続された映像表示部に表示されることを特徴とする請求項2に記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項7】
前記小型端末装置は小型ビデオコントローラであり、所定のAVコンテンツの選択、及び前記AVサーバに配信を指示する操作を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項8】
前記AVサーバから配信されるAVコンテンツは符号化された圧縮データであり、前記小型端末装置又は前記座席端末装置の前記映像音声蓄積部に蓄積され、前記小型端末装置又は前記座席端末装置に設けられた復号器により、復号されて出力されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかにに記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項9】
前記音声データは、自座席の座席端末装置に接続されるヘッドホンにより出力されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項10】
前記小型映像表示部で表示される映像又は前記映像表示部で表示される映像と、前記ヘッドホンで出力される音声とが同期するように、前記映像データの表示タイミング及び前記音声データの出力タイミングを調整することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のAVコンテンツ視聴システム。
【請求項11】
航空機に搭載されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のAVコンテンツ視聴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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