説明

CATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステム

【課題】上り回線の周波数利用計画を将来とも固定化しなくても、CATVシステムへの導入を可能にするCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムを提供する。
【解決手段】雑音レベルを測定するための任意の周波数が、コントロールセンタから受信した自動雑音制御指示により選択される。コントロールセンタから受信した全帯域測定指示に応じて、周波数設定手段(MCU6)が雑音レベル測定手段2の中心周波数を上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定し、雑音レベル測定手段の中心周波数が順次変化されたときの雑音レベル測定手段による測定結果のデジタルデータを格納手段(MCU6)が格納し、この格納手段に格納された測定結果のデジタルデータを、送信手段(MCU6)がコントロールセンタに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムに関し、特に、コントロールセンタとホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVラインの上り回線に流合する雑音を自動的に低減するCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にCATVシステムのネットワークはツリー型なので、各ホームターミナルからの雑音がネットワークに乗ると、コントロールセンタに向かう上り回線においては、それぞれのホームターミナルからの雑音が集合して正規の信号を妨害し、正常に通信ができなくなる場合がある。通常この雑音を上り流合雑音という。したがって、正常な通信を確保するためには、この上り流合雑音を抑制する必要がある。上り流合雑音の元となる雑音発生源としては、上記上り回線帯域の周波数源である短波放送の電波、冷蔵庫や掃除機等の家電製品から発生するスプリアス成分等がある。
【0003】
そこで、従来、放送機能を有するコントロールセンタにCATVネットワークを介してツリー状に接続された複数の送受信装置との間で双方向データ通信を行うCATVシステムにおいて、ネットワークのCATVライン上での上り流合雑音を早期に発見して必要な箇所を切断し、より上流側での上り流合雑音の増大により通信に支障をきたすことを防ぐため、送受信装置の各々で、送受信装置からコントロールセンタに向かう上り流合雑音のレベルを検出し、この検出した流合雑音レベルが閾値を超えている場合に、流合雑音の検出点の上流側で上り回線を切断するようにしたものが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
この提案されたものでは、上り流合雑音レベルが閾値を超えていることで上り回線を切断しているので、上流側の上り流合雑音のレベルは、切断した上り回線で検出した雑音レベル分、単純に低減することができ、他のホームターミナルでの双方向通信への悪影響をなくすることができる。しかしながら、上り回線を切断されたホームターミナルは、双方向通信を行うことができなくなってしまう。特に、マンションなどの集合住宅のように、この切断箇所の下流側に多数のホームターミナルが存在する場合には、上り回線の切断による影響は非常に大きなものとなる。
【0005】
そこで、雑音レベルが閾値を超えていても、超えている雑音のレベルによっては、引き続き双方向通信を行うことができるようになして、上り回線の切断による影響を最小限に止めることができるCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムが提供されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0006】
この提案されたCATVラインにおける自動雑音制御装置は、ヘッドエンドを備えるコントロールセンタとホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVライン上の上り流合雑音を自動的に低減するもので、CATVラインの上り回線に直列に挿入された可変減衰手段と、この可変減衰手段の下流側で上り流合雑音のレベルを測定する雑音レベル測定手段と、この雑音レベル測定手段によって測定した雑音レベルに応じて可変減衰手段の減衰率を制御する減衰制御手段とを備える。
【0007】
この自動雑音制御装置では、CATVラインの上り回線に直列に挿入された可変減衰手段の下流側で上り流合雑音のレベルを雑音レベル測定手段が測定し、測定した上り流合雑音のレベルに応じて減衰制御手段が可変減衰手段の減衰率を制御するので、上り流合雑音のレベルの大きさに応じて可変減衰器の減衰率を上り回線を切断しない程度に上り回線の減衰率を増大することで、上り流合雑音のレベルを低減することができるようになり、上り回線の流合雑音の増大に対して上り回線の切断を直ちに行うことなく対応することができる。したがって、雑音レベルが閾値を超えていても、超えている雑音のレベルによっては、引き続き双方向通信を行うことができるようになして、上り回線の切断による影響を最小限に止めることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−25258号公報
【特許文献2】特開2007−336105
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した自動雑音制御装置では、雑音レベル測定手段が流合雑音のレベルを上り回線で使用していない上り回線帯域中の特定周波数の成分のレベルにより測定していて、特定周波数をSAWフィルターを用いて設定していた。このため、一度設定した周波数を後に変更することが現実的に不可能であり、上り回線の周波数利用計画を将来までも見極めなければ、特定周波数を設定することができないという難点があり、この自動雑音制御装置を組み込んだCATVシステムは有効なものであるが、その導入の前に、将来の周波数利用計画を固定化する必要があり、導入が遅れたり、導入に至らないということもあった。
【0010】
よって本発明は、上述した従来の状況に鑑み、上り回線の周波数利用計画を将来とも固定化しなくても、CATVシステムへの導入を可能にするCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の発明に係るCATVラインにおける自動雑音制御装置は、ヘッドエンドを備えるコントロールセンタとホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVラインの上り回線に直列に挿入された可変減衰手段と、前記コントロールセンタから前記CATVラインの下り回線を介して受信した自動雑音制御指示により、前記上り回線の周波数帯域中の双方向通信のために使用されていない帯域から選択された任意の周波数を中心周波数として一定の狭帯域幅内に存在する上り流合雑音のレベルを前記可変減衰手段の下流側で測定する雑音レベル測定手段と、該雑音レベル測定手段によって測定した雑音レベルに応じて前記可変減衰手段の減衰率を制御する減衰制御手段とを備え、前記ホームターミナルが接続される前記CATVラインに直列に接続されて、前記CATVライン上の上り流合雑音を自動的に低減するCATVラインにおける自動雑音制御装置であって、前記CATVラインの下り回線を介して前記コントロールセンタから受信した全帯域測定指示に応じて、前記雑音レベル測定手段の前記中心周波数を前記前記上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定する周波数設定手段と、前記周波数設定手段が前記雑音レベル測定手段の前記中心周波数を順次変化させたときの前記雑音レベル測定手段による測定結果のデジタルデータを格納する格納手段と、該格納手段に格納された前記測定結果のデジタルデータを、前記CATVラインの下り回線を介して前記コントロールセンタに送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成により、上り回線の周波数帯域中の双方向通信のために使用されていない帯域から選択された任意の周波数を中心周波数として一定の狭帯域幅内に存在するCATVラインの上り回線に直列に挿入された可変減衰手段の下流側で上り流合雑音のレベルを雑音レベル測定手段が測定し、測定した上り流合雑音のレベルに応じて減衰制御手段が可変減衰手段の減衰率を制御するので、上り流合雑音のレベルの大きさに応じて可変減衰器の減衰率を上り回線を切断しない程度に上り回線の減衰率を増大することで、上り流合雑音のレベルを低減することができるようになり、上り回線の流合雑音の増大に対して上り回線の切断を直ちに行うことなく対応することができる。また、任意の周波数が、コントロールセンタから前記CATVラインの下り回線を介して受信した自動雑音制御指示により選択されるので、予め雑音測定周波数を決めて設備導入を行うことに代わり、雑音測定周波数が任意に上位から可変できる。さらに、CATVラインの下り回線を介してコントロールセンタから受信した全帯域測定指示に応じて、周波数設定手段が雑音レベル測定手段の中心周波数を上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定し、雑音レベル測定手段の中心周波数が順次変化されたときの雑音レベル測定手段による測定結果のデジタルデータを格納手段が格納し、この格納手段に格納された測定結果のデジタルデータを、CATVラインの下り回線を介して送信手段がコントロールセンタに送信するので、コントロールセンタににおいて、上り回線の周波数帯域の雑音レベルの分布を自動測定して集計することができる。
【0013】
請求項2記載の発明に係るCATVシステムは、放送機能を有するコントロールセンタと、該コントロールセンタにCATVラインを介してツリー状に接続されたホームターミナルとを備え、前記コントロールセンタと前記ホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVシステムにおいて、請求項1記載の自動雑音制御装置をさらに備え、前記コントロールセンが、前記自動雑音制御指示と前記全帯域測定指示とを送信する指示送信手段と、前記自動雑音制御指示の送信に応じて前記自動雑音制御装置から送信される前記測定結果のデジタルデータを受信して収集する雑音レベル収集手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記構成により、コントロールセンタの指示送信手段が、自動雑音制御指示と全帯域測定指示とを送信し、雑音レベル収集手段が、自動雑音制御指示の送信に応じて自動雑音制御装置から送信される測定結果のデジタルデータを受信して収集するので、コントロールセンタにおいて、上り回線の周波数帯域の雑音レベルの分布を自動測定して集計することができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び2記載の発明によれば、予め雑音測定周波数を決めて設備導入を行うことに代わり、雑音測定周波数が任意に上位から可変できるので、決定された周波数が永久に他に使用することができなくなることなく、任意時に任意の周波数に中央から変更することができ、周波数計画を修正することができ、上り周波数の利用計画は如何なる時でも可変できるので、その制約が無くなり、飛躍的に利用度が高くなる。また、コントロールセンタににおいて、上り回線の周波数帯域の雑音レベルの分布を自動測定して集計することができるので、上り回線の全周波数帯域の雑音レベル分布の解析により得られるスペクトラム波形分析からノイズ源を推理でき、ノイズ源が判明することで、ノイズ発生を無くす作業を考察でき、ノイズ発生原因を作業により取り除くも可能にする。よって、本発明は、上り回線の周波数利用計画を将来とも固定化しなくても、CATVシステムへの導入を可能にしたCATVラインにおける自動雑音制御装置及びCATVシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動雑音制御装置が組み込まれたCATVシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る自動雑音制御装置の一実施の形態を出力得mすブロック図である。
【図3】図1中の中央制御器の一実施の形態を示すブロック図である。
【図4】図2中の雑音レベル測定部の具体的構成を示すブロック図である。
【図5】図2中の連続可変減衰器の具体的構成を示すブロック図である。
【図6】図3中のレベル測定部の具体的構成を示すブロック図である。
【図7】図2中のMCUが予め定めたプログラムに従って行う処理の一部を示すフローチャートである。
【図8】図2中のMCUが予め定めたプログラムに従って行う処理の他の部分を示すフローチャートである。
【図9】図2中のMCUが予め定めたプログラムに従って行う処理の別の部分を示すフローチャートである。
【図10】図3中のMCUが予め定めたプログラムに従って行う処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のフローチャート中の一部の詳細を示すフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートで行う処理を説明するための、縦軸をdBμV、横軸を周波数としたスペクトログラムであり、(a)が処理前、(b)が処理後をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るCATVラインにおける自動雑音制御装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係るCATVラインにおける自動雑音制御装置を用いて構成したCATVシステムの概略構成を示す図であり、図2はCATVラインにおける自動雑音制御装置を組み込んだ雑音制御端末器のブロック図、図3はCATVシステムのコントロールセンタに設けられた中央制御器のブロック図である。
【0018】
図1に示すように、コントロールセンタCC内のヘッドエンドHEには、地域A、B及びC別のCATVラインとしての幹線同軸ケーブルLA、LB及びLC(以下、CATVラインという。)が地域別の中央制御器CB−A、CB−B及びCB−Cを介して接続されている。例えば、幹線同軸ケーブルLAは、CATVラインとしての支線同軸ケーブルLa、Lb及びLc(以下、CATVラインという。)に分岐され、例えばCATVラインLaはそのライン上に挿入設置された雑音制御端末器NB1を介してマンションなどの集団住宅内のホームターミナルHTに、CATVラインLbはそのライン上に挿入設置された雑音制御端末器NB2を介して1戸の個別住宅H1内のホームターミナルHTに、CATVラインLcはそのライン上に挿入設置された雑音制御端末器NB3を介して2戸の個別住宅H2及びH3内のホームターミナルHTにそれぞれ接続されている。なお、集団住宅の場合は、雑音制御端末器は各階毎に設置するようにしても良い。この構成によって、ヘッドエンドHEと地域A内の1個又は複数のホームターミナルHTとの間のCATVラインLA並びにLa、Lb及びLc上に、地域別の中央制御器CB−Aと雑音制御端末器NB1、NB2及びNB3が直列に挿入配置されている。
【0019】
上述したように、雑音制御端末器NB1、NB2及びNB3は、ホームターミナルHTの直前に配置され、集団住宅の場合はその入り口に(又は各階に)1個設置され、個別住宅の場合は個々の入り口、又は、近辺をまとめた場所に設置され、その数は多数となる。これに対し、中央制御器CB−A、CB−B及びCB−Cは、コントロールセンタCC内のラックに設置され、一般に地域毎に一台設置され、その数量は少数となる。なお、各中央制御器CB−A、CB−B及びCB−Cには、最大164 =65536個接続可能となっている雑音制御端末器を管理するため、RS232Cシリアル通信ラインを介して接続された専用のコンピュータPC−A、PC−B及びPC−Cが一台ずつ設備されている。
【0020】
図1には図示されていないが、コントロールセンタCCは、ホームターミナルHTに対するCATV放送波信号を送出する放送装置(図示せず)、インターネット接続を行うためのインターネット接続装置(図示せず)などの他、各ホームターミナルHTとの間でCATVラインを通じて双方向通信を行う送受装置(図示せず)を備え、ヘッドエンドHEの運用管理を行うためのホストコンピュータHOSTに接続されている。
【0021】
CATVラインラインは、双方向通信のための下り回線及び上り回線とを有し、中央制御器CB及び地域内の各雑音制御端末器(特定のものを指すとき以外NBなる符号を用いる)間では、CATVラインの下り回線及び上り回線を利用してFSK方式で双方向通信を行う。図示の中央制御器CB−Aは、専用のコンピュータPC−Aを具体的な操作手段として、地域Aの最大65536台の雑音制御端末器に対して一定時間間隔でポーリングを行い、各雑音制御端末器NBで一定時間分時系列的に一時記憶している測定雑音レベルの実態データを各雑音制御端末器NBから送信させて24時間収集し、収集したデータをコンピュータPC−A内のハードディスクなどの記憶手段に格納する。
【0022】
次に、雑音制御端末器NBの具体的な構成を図2を参照して以下説明する。図示のように、雑音制御端末器NBは、伝送回路部1と、雑音レベル測定部2と、パネル部3と、送信器4と、受信器5と、プログラムによって動作するマイクロコンピュータ(MCU)6とを備える。
【0023】
上記伝送回路部1は、上位接続端子TU及び下位接続端子TLと、上位接続端子TU及び下位接続端子TL間に形成された下り回線LD及び上り回線LUとを有する。上位接続端子TUには、途中で切断したCATVラインの切断端のうち、雑音制御端末器から見て上位側、すなわち、コントロールセンタCC側となるCATVラインの切断端が、下位接続端子TLには、雑音制御端末器から見て下位側、すなわち、ホームターミナルHT側となるCATVラインの切断端がそれぞれ接続され、このことによって、雑音制御端末器がCATVラインラインに直列に設置される。具体的には、各接続端子は、CATVラインラインを構成する同軸ケーブルの各切断端に設けた同軸ケーブル用コネクタが接離自在に接続されるコネクタとして構成される。
【0024】
上記伝送回路部1はまた、70MHz以上の周波数帯域を通過させるハイパスフィルタ(HPF)11を介して上位接続端子TU及び下位接続端子TLを接続している下り回線LUと、70MHz以下の周波数帯域を通過させるローパスフィルタ(LPF)12及び連続可変減衰器13を介して上位接続端子TU及び下位接続端子TLを接続している上り回線LUとを有する。連続可変減衰器13は、ピンダイオードで構成された電圧制御型の可変減衰器で、減衰量がMCU6からの制御信号で連続的に変化される。そして、可変減衰器13は、その減衰率が45dB以上にされることで上り回線LUを切断する切断器として、3dB以下とされることで上り回線LUを接続する接続器として、4〜25dBの任意値に設定可能な減衰器としてそれぞれ働くように、減衰率が切り替えられる。
【0025】
上記雑音レベル測定部2は、そのアナログ入力が連続可変減衰器13の入力側において上り回線LUに接続され、そのデジタル入力がMCU6デジタル出力に接続され、その出力がMCU6のデジタル入力に接続されている。そして、雑音レベル測定部2は、MCU6のデジタル出力によって設定される、上り回線LUの通信に使用する周波数帯域(例えば、10MHz〜60MHz)中の任意の周波数を中心とする例えば±1MHzの一定の狭帯域幅の入力レベルを検出し、この検出したレベルを絶対値dBμVで出力する。
【0026】
通常時すなわち自動雑音制御時には、MCU6のデジタル出力によって設定される上記任意の周波数としては、上り回線LUの周波数帯のなかから、当該CATVシステムにおいて双方向通信のために使用されていない周波数帯の中心周波数、例えば、30.5MHzが使用される。この任意の周波数の設定は、コントロールセンタCCの中央制御器からMCU6が受信する指示によって行われる。この設定された周波数を中心周波数とし±1MHzのバンド幅を有する周波数帯には信号が存在しないので、雑音レベル測定部2は、その成分によって、特定周波数帯(30.5MHz±1MHz)の33dBμV〜75dBμVの雑音レベルを測定し、その測定結果をA−D変換によりデジタル化して出力する。デジタル化された雑音レベルのデータはMCU6内に取り込まれる。
【0027】
また、MCU6は、コントロールセンタCCの中央制御器から雑音測定指示を受信すると、上記に入力の周波数を、上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定することでスキャニングする。このスキャニングによって、雑音レベル測定部2は、上り回線LUの通信に使用する周波数帯域の全帯域に亘って、信号を含む雑音レベルを測定し、その測定結果をA−D変換によりデジタル化して出力する。デジタル化された雑音レベルのデータはMCU6内に取り込まれ、MCU6が記憶手段として内蔵するRAM内に格納されることで、上り回線LUの通信に使用する周波数帯域の雑音レベルの分布が自動的に集計される。そして、MCU6は、この集計結果を、雑音測定指示を出したコントロールセンタCCの中央制御器に宛てて上り回線LUを通じて送信する。
【0028】
上記パネル部3は、自身を他の雑音制御端末器と識別するためのID番号を設定するため、各々に0000−FFFFが設定でき、最大、65536個のID番号が設定できるように4個の16進デジタルロータリスイッチからなるID設定スイッチ31有する。パネル部3はまた、動作を自動/手動に切り替えるスライドスイッチからなる自動/手動切替スイッチ33と、自動/手動切替スイッチ33によって手動に切り替えられているとき、連続可変減衰器13を切断器、接続器、減衰器として働かせるようにモードを設定するモードスイッチ32とを有する。自動/手動切替スイッチ33が自動に切替えられているときには、測定雑音レベル値によって、連続可変減衰器が、切断器、接続器、減衰器として働くように減衰率が自動的に制御される。なお、自動/手動切替スイッチ33が手動に切り替えられているとき、モードスイッチ32によって減衰器が設定されたときの減衰率については、測定雑音レベルに準ずる値が用いられる。パネル部3にはまた、雑音制御端末器の各種の状態を点灯・不点灯の組み合わせにより表示するための例えば9個のLED34も設けられている。パネル部3はMCU6に接続されており、ID設定スイッチ31によって設定されたID番号、自動/手動切替スイッチ33による切り替えられた自動/手動及びモードスイッチ32による設定モードは、MCU6により読み取られ、MCU6の制御の下でLED34が点灯・不点灯制御される。
【0029】
雑音制御端末器が備える送信器4と受信器5は、その出力と入力が相互接続された上で下り回線LDのHPF11の入力と、上り回線LUのLPF12の入力とにそれぞれ接続されるとともに、その入力と出力がMCU6に接続されている。送信器4は、MCU6からの送信データに基づいて、CATVラインの70.5MHzの周波数帯を利用してコントロールセンタCCの受信器に対してレベル60dB〜100dBのFSK変調信号を送信する。また、受信器5は、コントロールセンタCCの送信器が送信する単周波数50.5MHz、最小45dBまでのデジタルFSK変調信号を受信して復調したデータをMCU6に対して入力する。このことによって、MCU6は送信器4及び受信器5によってコントロールセンタCCと双方向通信を行う。送信器4の出力レベルは、ゲイン調整器41によって各端末設置時に推薦値に設定されるが、テスト発信時には、コントロールセンタCCの中央制御器CBからの指令によって、最大100dBを出力できるようになっている。なお、送受信周波数はCATVシステムの運用業者によって変更されるので、上記説明での値は、標準仕様での周波数を採用している。
【0030】
MCU6は、プログラムを格納した読み出し専用のメモリ(ROM)、各所のデータを格納するデータ格納領域、各種の処理を行う際に使用する作業領域を有する読み出し書き込み自在のメモリ(RAM)の他、ROMに格納したプログラムに従って各種の処理を行う中央処理ユニット(CPU)を内蔵しており、CPUは、詳細には後述するが、プログラムに従って、設定された任意の周波数での雑音レベルの測定処理、設定された任意の周波数で測定した雑音レベルに基づく連続可燃減衰器の減衰率を制御するPWM(パルス幅変調)制御信号の出力処理、スキャニングした周波数での雑音レベルの測定処理、スキャニングした周波数で測定した雑音レベルに関するデータの格納処理、コントロールセンタCC内の中央制御器CBと雑音制御端末器NBとの間の双方向通信処理を行う。なお、雑音測定処理においては、独自のキャリブレーション方式によって雑音レベルを測定し、双方向通信処理においては、格納処理で格納したスキャニングした周波数で測定した雑音レベルに関するデータをコントロールセンタCCの中央制御器CBに送信する。
【0031】
なお、7は伝送回路部1の上位接続端子TUとLFPF12との間の上り回線に設けた分岐器14から分岐して設けた上り回線モニタ端子である。
【0032】
雑音制御端末器NBは、その実装配置を図示しないが、約170mmx82mmの母基板上に、子基板に構成部品が配置されて小型のシールケース内に収容された伝送回路部1、送信器4及び受信器5と、子基板に構成電子部品が配置された小型のシールケース内に収容された雑音レベル測定部2とが固定されている。母基板には、パネル部3を構成するID設定スイッチ31と、自動/手動切替スイッチ33と、モードスイッチ32と、LED34が配置されるとともに、MCU6と、AC100Vを入力とするDC電源が配置されている。これらの全体は、178mmx82mmx40mmの金属ケースに納められている。金属ケースには、パネル部3と、ACコンセントと、上り回線モニタ端子7と、上位接続端子TU及び下位接続端子TL用の雌コネクタとが配されている。
【0033】
次に、コントロールセンタCC内の中央制御器CB−Aについて、その具体的な構成を図3を参照して以下説明する。中央制御器CB−Aは、主に、地域Aに配した雑音制御端末器との交信、雑音制御端末器からのデータの収集と、収集したデータを専用コンピュータPC−Aへの転送とを行う。図示のように、中央制御器CB−Aは、ヘッドエンドHEからのCATVラインを上位、各雑音制御端末器を下位として配置され、送信器21と、受信器22と、雑音レベル測定部23と、シリアル/パラレル変換器24と、RS232Cドライバ25と、MCU26とを有する。
【0034】
送信器21の出力、受信器22の入力及びレベル測定部23の入力は相互接続された上でCATVラインに接続され、送信器21の入力及び受信器22の出力はシリアル/パラレル変換器24を介してMCU26の入出力ポートに雑音レベル測定部33の出力はMCU26の入力ポートにそれぞれ接続されている。
【0035】
送信器21はMCU26の入出力ポートからシリアル/パラレル変換器24を介して入力する各雑音制御端末器の受信器に対するデータを70.5MHzのデジタルFSK変調方式の信号としてCATVラインて送信し、受信機22は各雑音制御端末器の送信器から50.5MHzのデジタルFSK変調方式の信号として送信されるデータを受信し、シリアル/パラレル変換器24を介してMCU26の入出力ポートに入力する。MCU26は、受信機22によって受信して入力された各雑音制御端末器からのデータをRS232Cドライバ25を介して専用のコンピュータPC−Aに対して転送してコンピュータPC−A内も記憶手段に格納させるとともに専用のコンピュータPC−AからのでデータをRS232Cドライバ25を介して入力する。
【0036】
上記レベル測定部23は、送信器21の出力、受信器22の入力の信号強度をdBμVで測定して通信信号の強さを測定し、測定した信号レベルをMCU26に入力してMCU26に通信が的確に行われているかをチェックさせる。
【0037】
中央制御器CBは、その実装配置を図示しないが、約250mmx120mmの母基板上に、子基板に構成部品が配置されて小型のシールケース内に収容された送信器21及び受信器22と、子基板に構成電子部品が配置され小型のシールケース内に収容された雑音レベル測定部23とが固定されている。母基板には、MCU26の他、AC100Vを入力とするDC電源が配置されている。これらの全体は、金属ケースに納められている。金属ケースには、ACコンセントと、RS232C用コネクタと、上位と下位のCATVラインを接続するための雌コネクタとが配されている。
【0038】
上記雑音制御端末器の雑音レベル測定部2は、具体的には図4に示すように、MCU6からのデータによって設定された周波数信号を発生するPLLシンセサイザ2−1と、分波器2−2により上り回線LUから分波した上り回線LUの成分をPLLシンセサイザ2−1が発生する周波数信号と混合して中間周波数信号に変換する混合器2−3と、混合器2−3での混合によって得られる中間周波数信号を通過させる中間周波数フィルタ2−4と、中間周波数フィルタを通過した中間周波数信号を一定レベルまで増幅する増幅器2−5と、中間周波数フィルタ2−4及び増幅器2−5を経由して狭帯域となった中間周波数信号をDC変換する積分器2−6と、積分器2−6により変換されたDC信号を一定レベルまで増幅するDC増幅器2−7と、DC増幅器2−7により得られるDC信号をAD変換してデジタルデータを出力する10ビットAD変換器2−8とを有し、AD変換器2−8が出力するデジタルデータはMCU6に取り込まれる。なお、増幅器2−5及びDC増幅器2−7の増幅率は、10ビットA/D変換器2−8の入力が最適なDCレベルに調整されるように設定される。また、MCU6内のROM内には、各種の周波数でキャリブレーションされたキャリブレーション済みのデータが用意されているので、測定値データから即座にキャリブレーションされた真値dBμVとしてMCU6に読み込まれる。
【0039】
因みに、PLLシンセサイザ2−1は、基準周波数frで発振する水晶基準発振器、固定の分周比1/Mの分周器、位相検波器、LPF(ローパスフィルタ)、VCO(電圧制御発振器)、分周比1/Nのプログラム可能分周器から構成されており、FをVCOの発振周波数、frを基準発振器の周波数、Frを比較周波数とすると、Fr=fr/M、F=Fr×Nが成立し、Nを可変することでVCOのFをFrの周波数ピッチで可変できることになり、NをMCU6のデジタル出力により可変することによって、Frの周波数ピッチで変化する周波数信号をVCOから出力することができる。
【0040】
MCU6内のROM内に予め用意されるキャリブレーション済みのデータは、雑音レベル測定部2を構成しているPLLシンセサイザ2−1、混合器2−3、中間周波数フィルタ2−4、増幅器2−5、積分器2−6、DC増幅器2−7、AD変換器2−8などの個体特性(レベル特性、周波数特性、減衰器の特性、各使用部品のバラツキなど)をキャンセルさせるためのもので、以下のようにして作成される。測定する周波数帯域の中心周波数の例えば30dBμV,45dBμV,55dBμV,70dBμVの強度の信号をアナログの信号発生器から雑音レベル測定部2に入力したときの測定出力値をMCU6にてデータを収録する。一般に、利得特性は自然対数LogeXで変化するので、一周波数において収録された4つの強度の違う入力に対する測定データXから真値Yは、Y=aLogeX+bとなるため、a,b値を算出して決定することができるので、各測定周波数についてのa,b値を計算してこれをMCU6内にキャリブレーション済みのデータとして格納させておくことにより、このデータに基づいて、各測定周波数についてのデジタル入力値Xにあわせて、真値YdBμVはY=aLogeX+bによって算出することができる。上述のようなキャリブレーション済みのデータを有することによって、安価な部品構成で高性能なレベル測定器が構成され、すべての個体部品、個体システム誤差はすべてキャンセルされたレベル測定器となる。このレベル測定器にて構成された雑音レベル測定部2は、安価に製作された部品として自動雑音制御端末器に内臓させることができる。
【0041】
以上の構成によって、雑音レベル測定部2は、単一周波数(例えば30.5MHz)の信号強度を33−75dBμVの範囲で測定する。測定された雑音レベルによって、MCU6は次のような制御を行う。まず、測定値が40dBμV以下であるときには、低雑音レベルであるとして、連続可変減衰器13の減衰率を最小にして、上り回線を実質的に接続状態にし、測定値が70dBμV以上であるときには、高雑音レベルであるとして、減衰率を45dB以上にして、上り回線を実質的に遮断する切断状態にする。そして、測定値が40−70dBμVの範囲にあるときには、測定雑音レベルに比例した減衰率4dB−25dBまでの値を連続可変減衰器13に設定する。この制御はMCU6によって全自動で行われる。
【0042】
上記伝送回路部1内の連続可変減衰器13は、具体的には図5に示すように、デジタル化されて測定された雑音レベルに応じてMCU6が出力するパルス幅が可変されるPWM信号を復調して直流電圧に変換するパルス幅復調回路13−1と、パルス幅復調回路13−1による復調よって発生される雑音レベルに応じた大きさの電圧を出力するダイオード電圧制御部13−2と、ダイオード電圧制御部13−2が出力する制御電圧によって減衰率が最小値―45dBまで連続無段階に変化するように制御されるピンダイオード減衰器13−3とを有し、雑音レベル測定部2によって測定された雑音レベルに応じて連続可変減衰器13の減衰率が制御され、その詳細については、後述する。
【0043】
また、上記中央制御器CB内のレベル測定部23は、詳細には図6に示すように、測定しようとする信号が入力され、入力されたる信号の強さによって自動的に切替えられるようにCPU26によって減衰率が制御され、30dBμVの弱小信号から110dBμVの巨大信号までを測定可能にする3段減衰器及び1段アンプ23−1と、測定したい周波数がMCU26によって設定されるPLLシンセサイザを有する30−950MHzダブルコンバージョン式チューナ23−2と、チューナ23−2によって選択された周波数の信号を入力し、中間周波数の狭帯域SAWフィルタ及びアンプを経て、ピーク値整流又は平均値整流でDCアナログレベル信号に変換するピーク値/平均値整流検出部23−3と、ピーク値/平均値整流検出部23−3の出力信号を2つの異なる増幅率で増幅して、後のA/D変換に適した信号の大きさに調整する2段切替増幅器23−4と、2段切替増幅器23−4で増幅した信号レベルを16ビットのデジタルデータに変換するA/D変換器23−5とを有し、A/D変換器23−5により変換された信号レベルを表すデジタルデータはMCU26に取り込まれる。MCU26は、3段減衰器及び1段アンプ23−1と、30−950MHzダブルコンバージョン式チューナ23−2と、ピーク値/平均値整流検出部23−3と、2段切替増幅器23−4の個体特性に合わせたキャリブレーション済みのテーブルが用意されており、入力された16ビットのデジタル値はその大きさと周波数特性に合わせた内臓自然対数方程式で計算され、入力された信号の強さが絶対値dBμVで測定される。測定結果は3桁デジタル表示器23−7によって表示されるか、ホストコンピュータHOSTにデータとして転送される。
【0044】
レベル測定部23では、測定しようとする信号は3段減衰器及び1段アンプ23−1に入力される。3段減衰器及び1段アンプ23−1は減衰率及び増幅率が信号の強さによって自動的に切替えられるようにMCU26によって制御され、30dBμVの弱小信号から110dBμVの巨大信号までを測定可能にする。30−950MHzダブルコンバージョン式チューナ23−2では、測定したい周波数がMCU26によってPLLシンセサイザーに設定される。選択された周波数の信号はピーク値/平均値整流検出器23−3に送られて、中間周波数の狭帯域SAWフィルタ及びアンプを経て、ピーク値整流又は平均値整流でDCアナログレベル信号に変換される。ピーク値/平均値清流検出部23−3の出力信号によって2段増幅器23−4を経て、A/D変換に適した信号の大きさに調整されて、A/D変換器23−5において16ビットのデジタル信号に変換される。デジタル信号はMCU26に読み込まれる。MCU26には予め、キャリブレーション済みのテーブルが用意されており、入力された16ビットのデジタル値はその大きさと周波数特性に合わせた内臓の自然対数方程式で計算され、入力された信号の強さが絶対値dBμVで測定される。測定結果は3桁デジタル表示器23−7によって表示されるか、ホストコンピュータHOSTにデータとして転送される。
【0045】
レベル測定部23は、測定する周波数が50−950MHzの範囲となっているので、50MHz毎に4種の異なった強度の信号を入力して作成したキャリブレーション済みのテーブルに予め有している。このキャリブレーション済みのテーブルの作成は、デジタル及びアナログの信号発生器から周波数ごとに4つの異なる強度の信号、例えば30dBμV,45dBμV,55dBμV,70dBμVの信号をレベル測定部23に入力し、A/D変換器23−5において測定出力値をAD変換してMCU26にてデータを収録する。この収録した4つの強度の違う測定データーXから真値Yは、Y=aLogeX+bとなることを利用して、a,b値を算出決定することによって、各測定周波数毎にa,b値を計算してこれをMCU26内にキャリブレーション済みのテーブルとして格納しておく。このテーブルを基に、デジタル入力値Xにあわせて、真値YdBμVは Y=aLogeX+bによって算出することができる。このキャリブレーション済みのテーブルの利用によって、安価な部品構成で高性能なレベル測定部が構成され、すべての個体部品、個体システム誤差はすべてキャンセルされたレベル測定部となる。
【0046】
以上説明した雑音制御端末器2の動作を、MCU6がプログラムに従って行う処理を示す図7〜図9のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
雑音制御端末器NBのMCU6は、電源の投入よって動作を開始して初期化処理を行った後(ステップS1)、コントロールセンタCCの専用のコンピュータPC−Aによって設定された制御に必要なパラメータを送信機21によって送信された制御に必要なパラメータの受信処理を行う(ステップS2)。続いて、専用のコンピュータPC−Aからのテキストの受信処理を行う(ステップS2−1)。専用のコンピュータPC−Aからのテキスト受信があるとき(ステップS2−2がYESのとき)には、受信情報が雑音制御端末器NBの雑音制御に係るものであれば(ステップS2−3がYESのとき)、受信した情報に含まれている測定のために指定された周波数に基づいて雑音レベル測定部2の測定周波数を設定し(ステップS2−4)、雑音制御端末器NBによる全帯域の雑音レベル測定情報の要求であれば(ステップS2−5がYESのとき)、雑音レベル測定部2に最低の測定周波数を設定し(ステップS2−6)、この設定した周波数での雑音レベルを測定してその測定値をMCU6のデジタル出力6内のRAMの所定のエリアに格納する(ステップS2−7)。そして、設定されている周波数が最大測定周波数でないとき(ステップS2−8がNOのとき)には、設定している測定周波数を所定の周波数ピッチでインクリメントし、この設定されている周波数が最大測定周波数になるまで(ステップS2−8がYESになるまで)、設定された周波数での雑音レベルの測定とその測定値の格納を繰り返す。そして、設定されている周波数が最大測定周波数になると(ステップS2−8がYESのとき)には、上記格納した測定値を測定データとしてコントロールセンタCCの専用のコンピュータPC−Aに送信して(ステップS2−10)から、既にコントロールセンタCCの専用のコンピュータPC−Aから受信しいる情報に含まれている測定のために指定された周波数に基づいて雑音レベル測定部2の測定周波数を設定する(ステップS2−4)。
【0048】
そして、パネル部3の自動/手動切替スイッチ33が自動となっているとき(ステップS3がYESのとき)、33dBμV〜75dBμVの雑音レベルを測定する(ステップS4)。測定した雑音レベルが10分毎のものであるとき(ステップS5がYESのとき)には、MCU6内のRAMのデータ領域に2時間分の雑音レベルデータを記憶することによって時系列雑音データとして収録する(ステップS6)。
【0049】
測定した雑音レベルが40dB以下のとき(ステップS7がYESのとき)には、可変減衰器13の減衰率を最低値に設定して実質的に信号を通過させる接続状態にする(ステップS8)。測定した雑音レベルが40dB以下でないとき(ステップS7がNOのとき)には、70dB以上であるかを判定し(ステップS9)、70dB以上のとき(ステップS9がYESのとき)には、可変減衰器13の減衰率を最大値に設定して実質的に信号を遮断させる切断状態にし(ステップS10)、CATVラインを切断状態にしたことを割り込み処理によってコントロールセンタCCの中央制御器CB−Aに報告する(ステップS12)。また、測定した雑音レベルが70dB以上でないとき(ステップS9がNOのとき)には、1dB毎に定めた予め用意しある減衰テーブルを参照して求めた値に可変減衰器13の減衰率を設定する(ステップS12)。この減衰率の設定によってCATVラインの切断状態が解除されたとき(ステップS13がYESのとき)には、CATVラインの切断状態を解除したことを割り込み処理によってコントロールセンタCCの中央制御器CB−Aに報告する(ステップS12)。表示LED34に表示すべき状態あるいはエラーがあるときにLEDを点灯・不点灯にする信号を出力する(ステップS14)。コントロールセンタCCのホストコンピュータHOSTからの処理要求があるとき(ステップS15がYESのとき)には、要求のあった処理を行い(ステップS16)、中央制御器CB−Aからの処理要求があるとき(ステップS17がYESのとき)には、要求のあった処理を行う(ステップS18)。この処理要求のなかには、中央制御器CB−Aからのポーリングによる処理要求があり、この要求があったときには、MCU6内のメモリに格納された、最大2時間分のデータが中央制御器CBに転送される。
【0050】
パネル部3の自動/手動切替スイッチ33が自動となっていないとき(ステップS3がNOのとき)、モードスイッチ32が接続モードを選択していれば(ステップS19がYESESのとき)、可変減衰器13の減衰率を最低値に設定して実質的に信号を通過させる接続状態にするライン接続処理を行い(ステップS20)、モードスイッチ32が切断モードを選択していれば(ステップS21がYESのとき)、可変減衰器13の減衰率を最大値に設定して実質的に信号を遮断させる切断状態にするライン切断処理を行う(ステップS22)。モードスイッチ32が接続モード、切断モードのいずれも選択していないとき(ステップS19及びS21がともにNOのとき)には、ラインレベルを測定し(ステップS23)、その測定値に応じて(ステップS24及びS25)、接続処理(ステップS26)、切断処理(ステップS27)、測定した雑音レベルに応じた減衰率の設定処理(ステップS28)をそれぞれ行う。
【0051】
以上の説明から明らかなように、マイクロコンピュータ(MCU)6は、測定した雑音レベルに応じて可変減衰器13の減衰率を制御する減衰制御手段として、CATVラインの下り回線を介してコントロールセンタから受信した全帯域測定指示に応じて、雑音レベル測定部2の中心周波数を上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定する周波数設定手段として、周波数設定手段が雑音レベル測定部2の中心周波数を順次変化させたときの雑音レベル測定部2による測定結果のデジタルデータを格納する格納手段として、格納手段に格納された測定結果のデジタルデータを、CATVラインの下り回線を介してコントロールセンタに送信する送信手段としてそれぞれ機能している。マイクロコンピュータ(MCU)6はまた、特定周波数の少なくとも3つの異なるレベルYの信号を入力したときの出力レベルXに基づいて係数a及びbを定めた近似式Y=alogX+bを予め記憶した記憶手段として、変換された直流レベルをXとして記憶した近似式に代入し、上り流合雑音レベルとしてYを求める演算手段6−3として、上り回線LUを実質的に切断状態にする減衰率に制御したとき、雑音レベルを送信器4によってコントロールセンタCCに送信させる送信制御手段として、測定した雑音レベルを一定時間分時系列に記憶する雑音レベル記憶手段としてもそれぞれ機能している。
【0052】
次に、中央制御器CBの動作を、MCU26がプログラムに従って行う処理を示す図10のフローチャートを参照して説明する。
【0053】
中央制御器CBのMCU26は、電源の投入よって動作を開始して初期化処理を行った後(ステップS31)、専用のコンピュータPC−Aによって設定された制御に必要なパラメータの受信処理を行う(ステップS32)。続いて、ホストコンピュータHOSTからの受信処理を行う(ステップS33)。HOSTからのテキスト受信があるとき(ステップS34がYESのとき)には、受信情報が中央制御器CB用のものであれば(ステップS35がYESのとき)中央制御器CBの内部処理を行い(ステップS36)、雑音制御端末器NBのレベル測定情報の要求であれば(ステップS37がYESのとき)、その内容により、レベル測定部23に、送信器21の出力、受信器22の入力の信号強度をdBμVで通信信号の強さを測定させ、測定した信号レベルをMCU26に入力してMCU26に通信が的確に行われているかをチェックさせ、その結果をHOSTに送信したり、口述するNB受信処理(ステップS41)において雑音制御端末器NBからの受信した全周波数帯域の雑音レベルデータを内部処理(ステップS46)した結果をHOSTに送信する(ステップS38)。受信情報が雑音制御端末器NBへの転送テキストであれば(ステップS39がYESのとき)雑音制御端末器NBにテキストを送信する(ステップS40)。
【0054】
その後、雑音制御端末器NBからの受信処理を行う(ステップS41)。雑音制御端末器NBからのテキスト受信があるとき(ステップS42がYESのとき)には、受信情報がHOSTへの転送テキストであれば(ステップS43がYESのとき)HOSTへテキストを送信する(ステップS44)。受信情報が中央制御器CB用のものであれば(ステップS45がYESのとき)中央制御器CBの内部処理を行う(ステップS46)。この内部処理では、図11のフローチャートに示すように、雑音制御端末器NBからのテキスト受信が、図12(a)に示すような全周波数帯域の雑音レベルデータであるときには、図12のフローチャートに示すように、信号高のある部分の各々で(ステップS46−1がYESで)、Modem(モデム)1及び2の周波数帯域において、下限側dBμV値と上限側dBμV値をそれぞれ検出し(ステップS46−2)、検出した両値により、図12(b)に示すような補正(疑似)波形を計算する(ステップS46−3)ことによって、信号成分を除いた雑音レベルデータを得る。
【0055】
上述した実施形態によれば、全ての自動雑音制御端末器NBがID番号を付加した雑音レベルの時系列データ、全周波数帯域の雑音レベルデータ、自動切断状況などを中央制御器CBにFSK通信で伝達し、中央制御器CBのコンピュータで同データの蓄積及び分析処理が可能となっている。なお、上述の説明では特に言及しなかったが、ID番号を設定された自動雑音制御端末器NBをその設置場所などを特定できるID番号に対応した情報のデータベースが、コントロールセンタCC側のコンピュータに格納されている。
【0056】
また、インターネット等の双方向通信に利用されるCATVラインの上り回線の近辺において全く使用していない周波数帯を選択して設定し、その単一周波数帯に存在するレベルを検出しているので、ここに存在するレベルはインターネット上り回線に対して有害ノイズと断定できる、極めて安価なキャリブレーション方式の雑音レベル測定器を自動雑音制御端末器NBに部品として使用することができるようになっている。
【0057】
実施形態のCATVシステムは、一定のCATV会社で使用されている特定周波数のインターネット上り回線において、自動切断、自動減衰器挿入、自動回復が可能になっているので、自動雑音制御器NBにおいて、測定した雑音レベルに合わせ連動する無段減衰量の挿入制御が自動的に行うことができるようになっている。また、実施形態のCATVシステムは、一定のCATV会社で使用されているインターネット上り回線において、雑音測定周波数が任意に上位から可変できるために、上り回線の利用設計の変更が容易となる。また、雑音レベル測定部2の周波数可変機能を利用して、上り回線全周波数帯域の雑音レベル分布を容易に取得することができるので、その周波数成分や波形状況からノイズ源を推理することができるほか、雑音制御端末器NBを設置した物件内で発生しているノイズスペクトラムを定期的に取得することによって、ノイズ発生によって障害が起こりえる周波数帯域を推理することができる。ノイズ源が判明することで、ノイズ発生を無くす作業を考察でき、ノイズ発生原因を作業により取り除くことができる。
【0058】
なお、ポーリングによって自動雑音制御端末器NBから中央制御器CBに転送されるデータは最大48バイトであり、その内訳は、先頭コードが1バイト、ID番号が4バイト、自動状況が3バイト(切断、通過、挿入減衰器値)、雑音レベル値の10分毎のデータ−2時間分が24バイト(最大2桁x12回分)、そして、終了コードが1バイトとなっている。また、10分毎のデータ−2時間分に代えて、10〜60MHzの全周波数帯域を1MHz間隔で設定した周波数を中心周波数として±1MHzの帯域で測定した雑音レベルデータも転送されることができる。
【0059】
収納されたこれらのデータは中央制御器CBに付属した専用コンピュータPCによって分析され、切断された自動雑音制御端末器の表示、自動切断された自動雑音制御端末器がの地域別にID番号がディスプレイ上に大きく点滅表示され、警報が発せられる。従って、この被を見ることで、トラブル発生の自動雑音制御端末器が特定でき、そのユーザからの問合せ・苦情に即座に対応でき、過去実績から修復時期・ノイズ状況などの情報から適切な回答うすることができる。同時に緊急対応が必要かどうかの判断を的確にすることができる。
【0060】
収集された切断データの分析を、1日、1週間、1ヶ月のデータで実行し、切断回数の多い自動雑音制御端末器と地域、ノイズ発生の多い自動雑音制御端末器と地域が表示することができるので、ライン改善工事計画が容易に立てられる。
【0061】
雑音データの発生時間の分析を、雑音レベルと発生時間について行うことによって、各自動雑音制御端末器と地域のノイズ対策が具体的に立てられる。家庭電化製品の雑音減少対策の実施・指導などで地域のラインの品質改善が図られる。
【0062】
対策工事の計画のため、雑音発生レベルと時間の積分結果によって、ノイズの発生しやすい自動雑音制御端末器と地域を限定できるので、集中的に対応策の検討と実施計画が立てられ、ユーザーの不満解消に役立つ。
【0063】
データの集積は各端末器の近辺に於ける雑音の実態が管理データとして残るので、これらの実態が分析されて、雑音対策工事計画や増設計画に多大の方向性を与え、正常なCATV経営に重要な指針を与えることができる。
【0064】
従来行うことが出来なかったCATV端末付近の伝送回路網の電気的伝送特性を、現場検出データ−を基に簡単に制御できる他、中央制御器と自動雑音制御端末器との間のデータ通信によって、端末器個別に、グループ別に、端末器全体に制御データの設定、制御モードの設定を行うことができる。各雑音制御端末器で自動で行う自動切断、自動減衰量挿入、自動回復は中央からのリモートコントロールで自在に行われる。また、自動・手動が中央から自由に切替えられ、各種閾値の設定が可能となる。従来のCATVラインの管理の手間が大幅に縮小し、省力化・信号の品質向上・自動化によるライン安定が容易に得ることができる。
【0065】
特に、雑音レベル測定部2は、入手し易く安価な従来の民生受信器器部品を使用し独特なキャリブレーション方式を用いて、今まで高価であったレベル測定を安価・高性能に行うことができ、しかも、自動雑音制御端末器に使用するために単一周波数のノイズ測定を行うために、周波数選択機能もたないキャリブレーション方式のレベル測定を用いている。
【0066】
自動雑音測定器をCATVラインに設置しているので、採用可能な経済的価格で製作可能となり、CATVライン上で課題となっていた雑音発生源の発見と無段減衰器挿入の自動対応が可能となった。無段減衰器自動挿入は雑音発生源で行われるために、雑音の合流が防がれ、上流で増大する合流雑音が極めて減少する。さらに、これらの雑音測定データは中央制御器と個々の自動雑音制御端末器との間で行われるFSK通信によって、中央制御器を経て接続されたコンピュータに蓄積され分析されるので、現場において雑音発生の状況と場所が明確にされて、ユーザサービスを容易にし、改善工事計画へデータを提供し、合わせて、CATVラインの信号品質管理を著しく向上させる。
【0067】
上述した実施形態では、自動雑音制御端末器NBから中央制御器CBへの時系列データ、全周波数帯域の雑音レベルデータ、自動切断状況などの伝送をFSK通信で行っているが、CATV通信技術者協会)で承認されたDOCSIS(Data Over Cable Service Interface Specifications)に準拠した通信で行っても良い。
【0068】
また、上述した実施の形態では、パネル部3には、ID設定スイッチ31、モードスイッチ32、モード切替や自動/手動の切替をコントロールセンタCCからの指示によって行うようにしても良い。このようにすることによって、雑音制御端末器NBの外径寸法を154×67×36mmまで小型化することができる。
【符号の説明】
【0069】
CC コントロールセンタ
HE ヘッドエンド
CB 中央制御器(雑音レベル収集手段)
HT ホームターミナル
LA〜LC CATVライン
LU 上り回線
NB,NB1、NB2、NB3 自動雑音制御端末器(自動雑音制御装置)
13 連続可変減衰器(可変減衰手段)
2 雑音レベル測定部(雑音レベル測定手段)
4 送信器(送信手段)
5 受信器(受信手段)
6 MCU(減衰制御手段、周波数設定手段、格納手段、送信手段、)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドエンドを備えるコントロールセンタとホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVラインの上り回線に直列に挿入された可変減衰手段と、前記コントロールセンタから前記CATVラインの下り回線を介して受信した自動雑音制御指示により、前記上り回線の周波数帯域中の双方向通信のために使用されていない帯域から選択された任意の周波数を中心周波数として一定の狭帯域幅内に存在する上り流合雑音のレベルを前記可変減衰手段の下流側で測定する雑音レベル測定手段と、該雑音レベル測定手段によって測定した雑音レベルに応じて前記可変減衰手段の減衰率を制御する減衰制御手段とを備え、前記ホームターミナルが接続される前記CATVラインに直列に接続されて、前記CATVライン上の上り流合雑音を自動的に低減するCATVラインにおける自動雑音制御装置であって、
前記CATVラインの下り回線を介して前記コントロールセンタから受信した全帯域測定指示に応じて、前記雑音レベル測定手段の前記中心周波数を前記上り回線の周波数帯域の範囲内で一定間隔で自動的に順次変化させて設定する周波数設定手段と、
前記周波数設定手段が前記雑音レベル測定手段の前記中心周波数を順次変化させたときの前記雑音レベル測定手段による測定結果のデジタルデータを格納する格納手段と、
該格納手段に格納された前記測定結果のデジタルデータを、前記CATVラインの下り回線を介して前記コントロールセンタに送信する送信手段と
を備えることを特徴とするCATVラインにおける自動雑音制御装置。
【請求項2】
放送機能を有するコントロールセンタと、該コントロールセンタにCATVラインを介してツリー状に接続されたホームターミナルとを備え、前記コントロールセンタと前記ホームターミナルとの間で双方向通信を行うCATVシステムにおいて、
請求項1記載の自動雑音制御装置をさらに備え、
前記コントロールセンが、前記自動雑音制御指示と前記全帯域測定指示とを送信する指示送信手段と、前記自動雑音制御指示の送信に応じて前記自動雑音制御装置から送信される前記測定結果のデジタルデータを受信して収集する雑音レベル収集手段とを備える
ことを特徴とするCATVシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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