説明

CATV中継器及びその浸水検知方法

【目的】 機器不良、若しくは工事不良によって器内に浸水した雨水を経済的な構成要素で予防処置的な確度の高い検出を行なうこと。
【構成】 筐体1と蓋体2との合わせ面1a,2a内で且つ、防水パッキン3に隣接した内側に連続した電磁シールド機能を兼用する抵抗値変化型の浸水検知体6を有し、また、この浸水検知体6の抵抗値の変化を検出し、浸水情報に変換し上り回線を介してセンサに転送する監視部7を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】屋外柱上等に設置するCATV中継器において、工事不良、若しくは機器不良によって、器内に浸水した雨水を経済的な構成要素で、高確度に検出するCATV中継器及びその浸水検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のCATV中継器は、中継器内に設置され湿度に応じた湿度信号を出力する抵抗値変動形湿度センサと、基準信号を出力する基準信号発生器と、湿度信号と基準信号とを入力して状態情報を出力するコンパレータと、状態情報を出力するコンパレータと、状態情報を状態データ信号に変換して集中監視のためのセンサへ出力するデータ処理部とを有している。
【0003】CATV中継器の浸水検知方法は、中継器筐体内部の特定の箇所に湿度センサを取り付けており、雨水が中継器筐体内部に流入した後に検出していた。(例えば、実開昭63−23837号公報、実開昭64−33236号公報及び実開昭62−75457号公報を参照)
【発明が解決しようとする課題】従来の浸水検知方法では、中継器内の特定の位置にある程度、水が貯留しないと湿度センサが検知出来ないため、浸水検知前に、機器障害を引き起こす可能性が有るため、確実な予防的保守情報が得られないという問題がある。
【0004】それ故に本発明の課題は、機器不良、若しくは工事不良によって器内に浸水した雨水を経済的な構成要素で予防処置的な確度の高い検出を行なうCATV中継器及びその浸水検知方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、一面に開口を有する筐体と、該一面に開閉可能に対向し、該開口を覆う蓋体と、前記一面の合わせ面及び該合わせ面に対向する前記蓋体の合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた防水パッキンとを含むCATV中継器において、該防水パッキンの内側に隣接し、かつ前記各合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた電磁シールド機能を有する同軸状の浸水検知体を具備し、前記浸水検知体は、外部導体と内部導体と、該外部導体及び該内部導体間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し前記外部導体と前記内部導体の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体とを有していることを特徴とするCATV中継器が得られる。
【0006】また、本発明によれば、前記浸水検知体の前記抵抗値の変化情報を検知して浸水情報に変換する監視部を有することを特徴とするCATV中継器が得られる。
【0007】また、本発明によれば、一面に開口を有する筐体と、該一面に開閉可能に対向し、該開口を覆う蓋体と、前記一面の合わせ面及び該合わせ面に対向する前記蓋体の合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた防水パッキンとを含むCATV中継器において、該防水パッキンの内側に隣接し、かつ前記各合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた電磁シールド機能を有する同軸状の浸水検知体を具備し、前記浸水検知体は、外部導体と内部導体と、該外部導体及び該内部導体間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し前記外部導体と前記内部導体の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体とを有し、前記浸水検知体に水分が付着したときに、監視部によって前記浸水検知体の抵抗値の変化情報を浸水情報に変換し、上り回線を介してセンサに転送することを特徴とするCATV中継器の浸水検知方法が得られる。
【0008】
【作用】本発明の構成によると、浸水検知体は、外部導体と内部導体と、外部導体及び内部導体間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し外部導体と内部導体の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体とを有し、浸水検知体に水分が付着したときに、監視部によって前記浸水検知体の抵抗値の変化情報を浸水情報に変換し、上り回線を介してセンサに転送する。
【0009】
【実施例】図1及び図2は、本発明のCATV中継器の一実施例を示している。
【0010】図1及び図2を参照して、CATV中継器は、一面に開口1bを有する筐体1と、この一面に開閉可能に対向し、開口1bを覆う蓋体2と、一面の合わせ面1a及びこの合わせ面1aに対向する蓋体2の合わせ面2aのうち少なくとも一方の合わせ面1a上に環状に設けた防水パッキン3とを含む。
【0011】蓋体2の合わせ面2a上には、同軸状の浸水検知体6が設けられている。浸水検知体6は電磁シールド機能を有しており、筐体1の合わせ面1aに蓋体2の合わせ面2aを合わせたときに、防水パッキン3の内側周囲に位置する。
【0012】筐体1は、基本的に、外部に対し防水機能を有しており、通常は防水パッキン3より内側には雨水は流入しない。防水パッキン3の不良または、筐体1と蓋体2とを締め付ける工事等が不良の場合、隙間が発生したときのみ浸水検知体6に雨水が接水することがある。
【0013】図3は、浸水検知体6の構造例を示す。浸水検知体6は、外部導体4と内部導体5と、外部導体4及び内部導体5間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し外部導体4と内部導体5の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体8とを有している。さらに、蓋体2の内面には、浸水検知体6の抵抗値の変化を検知する監視部7が取り付けらている。監視部7は、蓋体2の合わせ面2bに環状に設けられている浸水検知体6の内側に取り付けられている。
【0014】外部導体4は隙間のある編組形態となっており、装着状態において常に筐体アースと接触し、筐体1の内外の電磁遮蔽として機能する一方、絶縁体8を吸水性のある紙材等にすることにより外部導体4に付着した水は外部導体の編組を通過し、直ちに内部導体5に達する。
【0015】従って、防水パッキン3を通過した雨水などの水は、筐体1の内部(機器部)に流入する手前で浸水検知体6に接水するので、その瞬間、外部導体4と内部導体5の絶縁抵抗が急速に低下する。
【0016】この抵抗値の変化を検出し、情報に変換する監視部7のブロック図を図4に示す。浸水検知体6の外部導体電位は常に筐体1の電位であるアース電位9に固定されている。内部導体5はプルアップ抵抗11より電位をVcc+5V端子10で引き上げられ、比較器14のマイナス端子に入力される。
【0017】一方、基準電圧抵抗器12,13は比較器14の基準電圧設定用である。比較器14の出力はデータ処理部(以下CPU)15に入力され、データ処理部15の出力データは変復調器16を介し上り回線に接続されている監視部7の出力端子17に出力され情報を転送する。
【0018】図4における動作状態は、正常時、浸水検知体6は乾燥しているため、内部導体5は、外部導体4と絶縁状態のため、ほぼ+5Vになっている。比較器14のプラス端子を+2.5V程度に設定すれば比較器14の出力はLowレベルとなりCPU15はこれを正常と判断するようにプログラムしておく。
【0019】浸水時は、浸水検知体6の絶縁体8の水分を介して、外部導体4と内部導体5が電気的に有限抵抗で結合するため、内部導体5の電位は、+5Vより低下する。2.5V以下になるように予め、抵抗器11の値とそのバイアス電圧を設定しておけば、この時、比較器15出力はHighレベルとなり、CPU15は異常と判断し、そのデータを変復調器16によりRF信号に変換した後、上り回線を介してセンサに異常情報として転送する。
【0020】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のCATV中継器及びそのの浸水検知方法によれば、合わせ面に浸水検知体を備えていることから、防水パッキン不良若しくは、設置工事等により、筐体と蓋体の隙間から発生する雨水等の浸入を、内部の電子機器に接水する前に、いち早く、且つ確実に検出できるため、信頼性の高い予防的保守情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCATV中継器の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の側面断面図である。
【図3】図1の浸水検知体を示す外観斜視図である。
【図4】本発明のCATV中継器の浸水検出回路の一実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 蓋体
3 防水パッキン
4 外部導体
5 内部導体
6 電磁シールド線兼用浸水検知体
7 監視部
8 水透過性絶縁物
9 筐体アース
10 Vcc+5V電源端子
11 プルアップ抵抗
12,13 基準電圧抵抗器
14 比較器(コンパレータ)
15 データ処理部(CPU)
16 変復調器
17 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一面に開口を有する筐体と、該一面に開閉可能に対向し、かつ該開口を覆う蓋体と、前記一面の合わせ面及び該合わせ面に対向する前記蓋体の合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた防水パッキンとを含むCATV中継器において、該防水パッキンの内側に隣接し、かつ前記各合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた電磁シールド機能を有する同軸状の浸水検知体を具備し、前記浸水検知体は、外部導体と内部導体と、該外部導体及び該内部導体間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し前記外部導体と前記内部導体の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体とを有していることを特徴とするCATV中継器。
【請求項2】 前記浸水検知体の前記抵抗値の変化情報を検知して浸水情報に変換する監視部を有することを特徴とする請求項1記載のCATV中継器。
【請求項3】 一面に開口を有する筐体と、該一面に開閉可能に対向し、該開口を覆う蓋体と、前記一面の合わせ面及び該合わせ面に対向する前記蓋体の合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた防水パッキンとを含むCATV中継器において、該防水パッキンの内側に隣接し、かつ前記各合わせ面のうち少なくとも一方の前記合わせ面に設けた電磁シールド機能を有する同軸状の浸水検知体を具備し、前記浸水検知体は、外部導体と内部導体と、該外部導体及び該内部導体間に介在され、かつ水分付着時に乾燥時に比較し前記外部導体と前記内部導体の間の抵抗値を変化させる水透過性絶縁体とを有し、前記浸水検知体に水分が付着したときに、監視部によって前記浸水検知体の抵抗値の変化情報を浸水情報に変換し、上り回線を介してセンサに転送することを特徴とするCATV中継器の浸水検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平6−334568
【公開日】平成6年(1994)12月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−122258
【出願日】平成5年(1993)5月25日
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)