説明

CVTベルト組立装置およびCVTベルトの組立方法

【課題】組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルトの組立作業の自動化を実現することができるCVTベルトの組立装置およびCVTベルトの組立方法を提供する。
【解決手段】CVTベルト組立装置1は、積層リング保持手段たるリング保持部7eおよび積層リング保持装置10と、エレメント組立体保持手段たる下部治具6と、エレメント組立体整列手段たる上部治具7と、ボディー部2aと積層リング3の内周面のクリアランスaを形成する第一クリアランス形成手段たる上部治具7および上部治具変位装置8と、ヘッド部2bと積層リング3のクリアランスbを形成する第二クリアランス形成手段たる積層リング変位装置9と、ヘッド部2bと積層リング3の外周面のクリアランスcを形成する第三クリアランス形成手段たる上部治具7および上部治具変位装置8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVTベルトの組立装置およびCVTベルトの組立方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の無段階変速装置等に用いられる動力伝達要素として、複数のエレメントと2本の積層リング等からなるCVTベルトが広く採用されている。CVTベルトは、複数のエレメントを円環状に保持してなるエレメント組立体に形成される円環状の溝部に積層リングを挿入することによって組み立てられる構成となっている。
このようなCVTベルトは、溝部と積層リングに設定されている設計上のクリアランスが微小であるため、溝部に積層リングを挿入するにはコツが必要であった。このため従来、CVTベルトの組立作業は、組立装置を用いて自動化を図ることが困難であるため、経験を有する作業者によって手作業で行われている状況であった。
【0003】
そこで、このようなCVTベルトの組立作業の自動化を実現する装置が開発されており、例えば、以下に示す特許文献1および特許文献2にその技術が開示され公知となっている。
【0004】
特許文献1に示された従来のCVTベルトの組立装置では、円環状に形成されているエレメント組立体の内側にエレメント内周ガイドを挿入するとともに、エレメントクランパによって、エレメント組立体を外周側から押し付けて、エレメント組立体を保持している。また、このエレメント組立体の上部にリング組立体(積層リング)を保持している。
そして、リング組立体を上リングプッシャが下降することで押し下げて、エレメント組立体の環状の溝に挿入するが、この際に、振動ユニットによってリング組立体を振動させることにより、リング組立体に破損や傷を発生させることなく、組立装置によるCVTベルトの自動組立を実現している。
【0005】
また、特許文献2に示された、従来のCVTベルトの組立装置では、複数のエレメントを円環状に整列させて形成されるエレメント組立体の直径を縮径させる手段と、積層リングの直径を拡径させる手段を備えている。これにより、縮径した溝部の径に合わせて積層リングを拡径させて、スムーズに溝部に対して積層リングを挿入することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−205344号公報
【特許文献2】特開2001−138149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示された従来の組立装置では、エレメントや積層リングには寸法誤差があるため、寸法誤差を微小なクリアランスでは吸収することができず組み立てることができない場合があった。また、組立装置の構成が大掛かりになってしまうという問題もあった。
【0008】
また、特許文献2に示された従来の組立装置では、エレメント径を縮径し、かつ、積層リングを拡径するため、組立装置の構成が大掛かりとなっており、また、エレメント径の縮径量と積層リングの拡径量との調整がうまく行かない場合には、組立不良が発生する可能性があり、エレメントおよび積層リングの傷つきが発生する可能性もあった。
【0009】
本発明は、このような現状の課題を鑑みてなされたものであり、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルトの組立作業の自動化を実現することができる簡易な構成のCVTベルト組立装置および該CVTベルト組立装置によるCVTベルトの組立方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、板状の複数のエレメントを板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体と、フープ状の積層リングと、からなり、前記エレメントに形成される一対の凹部の集合として前記エレメント組立体の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部に、前記積層リングをそれぞれ挿入して形成されるCVTベルト、の組立に用いるCVTベルト組立装置であって、前記積層リングを保持する積層リング保持手段と、前記エレメント組立体を円環状に保持するとともに、前記積層リング保持手段によって保持される前記積層リングの直下に前記溝部を配置するエレメント組立体保持手段と、前記エレメント組立体を形成する各エレメントを均等に整列させて、前記溝部の円環形状を前記積層リングの円環形状に略一致させるエレメント組立体整列手段と、前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体のうち前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径未満に保持し、前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する第一クリアランス形成手段と、前記エレメント組立体の前記溝部に向けて変位する前記積層リングを、前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体における前記積層リングの外部に配置されるヘッド部と接触しない変位に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する第二クリアランス形成手段と、前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体における前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径と略同一に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する第三クリアランス形成手段と、を備えるものである。
【0012】
請求項2においては、前記第一クリアランス形成手段は、前記エレメント組立体保持手段によって保持される前記エレメント組立体の直径を縮径するエレメント組立体縮径手段からなり、かつ、前記第二クリアランス保持手段は、前記積層リング保持手段によって保持される前記積層リングを前記溝部に向けて押圧する積層リング押圧手段からなり、かつ、前記第三クリアランス保持手段は、前記エレメント組立体保持手段によって保持される前記エレメント組立体の直径を拡径するエレメント組立体拡径手段からなるものである。
【0013】
請求項3においては、前記エレメント組立体縮径手段は、前記エレメント組立体の前記ヘッド部を、前記エレメント組立体の中心軸方向に押圧するエレメント組立体押圧手段からなるものである。
【0014】
請求項4においては、前記エレメント組立体縮径手段は、前記エレメント組立体拡径手段を兼ねており、前記エレメント組立体押圧手段による前記ヘッド部に対する押圧を解除して、前記エレメントの発条作用を利用して前記エレメント組立体の直径を復元させることによって、前記エレメント組立体の直径を拡径するものである。
【0015】
請求項5においては、板状の複数のエレメントを板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体と、フープ状の積層リングと、からなり、前記エレメントに形成される一対の凹部の集合として前記エレメント組立体の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部に、前記積層リングをそれぞれ挿入して形成されるCVTベルトの組立方法であって、前記積層リングの直下に前記エレメント組立体の前記溝部を配置する工程と、前記エレメント組立体を形成する各エレメントを均等に整列させて、前記溝部の円環形状を前記積層リングの円環形状に略一致させる工程と、前記エレメント組立体のうち前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径未満に保持し、前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する工程と、前記エレメント組立体の前記溝部に向けて変位する前記積層リングを、前記エレメント組立体における前記積層リングの外部に配置されるヘッド部と接触しない変位に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する工程と、前記エレメント組立体における前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径と略同一に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する工程と、を備えるものである。
【0016】
請求項6においては、前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する工程は、前記エレメント組立体に形成される前記溝部の内周面の直径を、前記積層リングの内周円の直径に比して小さい径となるように、前記エレメント組立体の直径を縮径する工程を備え、かつ、前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する工程は、前記溝部の内周面の直径が、前記積層リングの内周円の直径に比して小さい径となっている状態で、前記積層リングを前記溝部の直前まで挿入する工程を備え、かつ、前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する工程は、前記溝部の内周面の直径が、前記積層リングの内周円の直径と略同一の径となるように、前記エレメント組立体の直径を拡径する工程を備えるものである。
【0017】
請求項7においては、前記エレメント組立体の直径を縮径する工程は、前記エレメント組立体のヘッド部を、前記エレメント組立体の中心軸方向に押圧して、各エレメントを前記中心軸方向に変位させることによって、前記エレメント組立体の直径を縮径するものである。
【0018】
請求項8においては、前記エレメント組立体の直径を拡径する工程は、前記エレメント組立体のヘッド部に対する前記エレメント組立体の中心軸方向への押圧を解除して、各エレメントの復元力を利用して、前記エレメント組立体の直径を拡径するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
請求項1においては、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、CVTベルトの組立作業の自動化を実現することができる。
【0021】
請求項2においては、簡易な構成のCVTベルト組立装置によって、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルトの組立作業の自動化を実現することができる。
【0022】
請求項3においては、CVTベルト組立装置を簡易な構成とすることができる。
【0023】
請求項4においては、CVTベルト組立装置をより簡易な構成とすることができる。
【0024】
請求項5においては、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルトの組立作業の自動化を実現することができる。
【0025】
請求項6においては、簡易な構成のCVTベルト組立装置によって、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルトの組立作業の自動化を実現することができる。
【0026】
請求項7においては、本発明に係るCVTベルトの組立方法に用いるCVTベルト組立装置を簡易な構成とすることができる。
【0027】
請求項8においては、本発明に係るCVTベルトの組立方法に用いるCVTベルト組立装置をより簡易な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の適用に係るCVTベルトの全体構成を示す模式図、(a)CVTベルトを示す模式図、(b)CVTベルトを構成するエレメントを示す模式図。
【図2】本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置の全体構成を示す模式図。
【図3】本発明の一実施例に係る第一下部治具を示す模式図、(a)第一下部治具を示す斜視模式図、(b)図3(a)におけるA−A断面模式図。
【図4】本発明の一実施例に係る第二下部治具を示す模式図、(a)第二下部治具を示す斜視模式図、(b)図4(a)におけるB−B断面模式図。
【図5】本発明の一実施例に係る上部治具を示す平面模式図。
【図6】本発明の一実施例に係る上部治具を示す模式図、(a)図5におけるC−C断面模式図、(b)図5におけるD−D断面模式図。
【図7】本発明の一実施例に係る上部治具を示す斜視断面模式図。
【図8】本発明の一実施例に係る上部治具とエレメント組立体の当接部を示す斜視部分断面模式図。
【図9】本発明の一実施例に係る上部治具によるエレメント組立体の縮径および拡径状態を示す模式図、(a)縮径状態を示す部分断面模式図、(b)拡径状態を示す部分断面模式図。
【図10】本発明の一実施例に係る押圧部と積層リングおよびエレメント組立体の配置状態を示す模式図(a)平面模式図、(b)図10(a)におけるE−E断面図。
【図11】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第一積層リング挿入工程を示すフロー図。
【図12】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法の第一積層リング挿入工程におけるCVTベルト組立装置の作動状態を示す模式図。
【図13】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における積層リングと第一エレメント組立体の組立状態を示す斜視模式図、(a)組立前の状態を示す斜視模式図、(b)第一積層リングを組付ける途中の状態を示す斜視模式図、(c)第二エレメント組立体の組立が完了したときの状態を示す斜視模式図。
【図14】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態を示す模式図、(a)組立前(縮径中)の状態を示す断面模式図、(b)第一積層リングを挿入した状態(縮径中)を示す断面模式図、(c)第一積層リングを挿入した状態(拡径後)を示す断面模式図、(d)第一積層リングの挿入が完了した状態(拡径後)を示す断面模式図。
【図15】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(組立前(縮径前)の状態)を示す部分断面模式図。
【図16】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(組立前(縮径中)の状態)を示す部分断面模式図。
【図17】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(組立前(縮径中)の状態の別実施態様)を示す部分断面模式図。
【図18】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(第一積層リングを挿入した状態(縮径中))を示す部分断面模式図。
【図19】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(第一積層リングを挿入した状態(拡径後))を示す部分断面模式図。
【図20】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二エレメント組立体の組立状態(第一積層リングの挿入が完了した状態(拡径後))を示す部分断面模式図。
【図21】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における第二積層リング挿入工程を示すフロー図。
【図22】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法の第二積層リング挿入工程におけるCVTベルト組立装置の作動状態を示す模式図。
【図23】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法における積層リングと第二エレメント組立体の組立状態を示す斜視模式図、(a)組立前の状態を示す斜視模式図、(b)第一積層リングを組付ける途中の状態を示す斜視模式図、(c)CVTベルトの組立が完了したときの状態を示す斜視模式図。
【図24】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態を示す模式図、(a)組立前(縮径中)の状態を示す断面模式図、(b)第二積層リングを挿入した状態(縮径中)を示す断面模式図、(c)第二積層リングを挿入した状態(拡径後)を示す断面模式図、(d)第二積層リングの挿入が完了した状態(拡径後)を示す断面模式図。
【図25】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態(組立前(縮径前)の状態)を示す部分断面模式図。
【図26】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態(組立前(縮径中)の状態)を示す部分断面模式図。
【図27】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態(第二積層リングを挿入した状態(縮径中))を示す部分断面模式図。
【図28】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態(第二積層リングを挿入した状態(拡径後))を示す部分断面模式図。
【図29】本発明の一実施例に係るCVTベルトの組立方法におけるCVTベルトの組立状態(第二積層リングの挿入が完了した状態(拡径後))を示す部分断面模式図。
【図30】本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置が備える縮径手段および拡径手段の別実施態様を示す模式図、(a)縮径手段の別実施態様を示す斜視模式図、(b)拡径手段の別実施態様を示す斜視模式図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の適用に係るCVTベルトの全体構成について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示す如く、本発明の適用に係るCVTベルトの一例であるCVTベルト4は、所定個数のエレメント2・2・・・と、2本の積層リング3・3とからなる円環状の部品である。
【0030】
図1(b)に示す如く、エレメント2は、ボディー部2aとヘッド部2bが形成される板状部材であり、ボディー部2aとヘッド部2bの境界部に、積層リング3・3が挿入される部位である一対の凹部2c・2cが形成されている。また、ヘッド部2bの一方の面にはディンプル2dが形成され、かつ、ヘッド部2bの他方の面のディンプル2dに対応する位置にはディンプルホール2eが形成されている。
そして、凹部2c・2cとボディー部2aとの境界線上に位置する部位であって、ボディー部2aの両端に位置する部位を肩部2f・2fと呼ぶものとする。
【0031】
そして、図1(a)に示す如く、複数のエレメント2・2・・・を板厚方向に積層して円環状に整列させることによって、エレメント組立体11を生成することができる。このエレメント組立体11は、隣り合うエレメント2・2・・・において、ディンプル2d・2d・・・がディンプルホール2e・2e・・・に嵌りこみ、互いに位置決めし合うことによって、円環形状が保持されている。
【0032】
また、エレメント組立体11の中心軸方向に対する両側部には、凹部2c・2c・・・の集合たる溝部11c・11cが形成されている。そして、エレメント組立体11の溝部11c・11cにそれぞれ積層リング3・3(3a・3b)を挿入することによって、円環状のCVTベルト4が形成される。尚、CVTベルト4は、積層リング3・3の内側に各エレメント2・2・・・のボディー部2a・2a・・・が配置され、積層リング3・3の外側にヘッド部2b・2b・・・が配置されている。
【0033】
このようなCVTベルト4を組み立てるときには、所定個数のエレメント2・2・・・を板厚方向に積層して円環状に整列させてエレメント組立体11を形成しておき、該エレメント組立体11の中心軸方向に対する両側部に形成される円環状の溝部11c・11cに対して、積層リング3・3を挿入することによって、CVTベルト4が組み立てられるが、以下に説明する本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、簡易な構成でありながら、溝部11cに対する積層リング3の挿入を、組立異常や組立時の傷つき等を生じさせることなく、スムーズかつ自動的に行うことができる点に特徴を有する組立装置である。
【0034】
次に、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置の全体構成について、図1〜図9を用いて説明する。
図2に示す如く、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、CVTベルト4(図1(a)参照)の組立に用いられる組立装置であり、本体フレーム5、下部治具6、上部治具7、上部治具変位装置8、積層リング変位装置9等を備えている。
【0035】
本体フレーム5は、上部治具変位装置8および積層リング変位装置9を固設し支持するための部位であり、各装置8・9および上部治具7の重量を支持することができ、かつ、上部治具変位装置8によって、上部治具7をエレメント組立体11に押圧する際に生じる反力にも耐え得るよう考慮した剛性を備えている。
本体フレーム5は、基礎等に立設して固設されるとともに、該本体フレーム5の下部の所定位置には下部治具6が配置される。
【0036】
図2〜図4に示す如く、下部治具6は、エレメント組立体11に対して、1本目に挿入される積層リング3(以下、第一積層リング3aと呼ぶ)を組付ける際に用いる第一下部治具6aと、2本目に挿入される積層リング3(以下、第二積層リング3bと呼ぶ)を組付ける際に用いる第二下部治具6bと、からなる構成としている。これらの各治具6a・6bは、CVTベルト4の組立工程の進行状況に応じて使い分けられる。
【0037】
図3(a)・(b)に示す如く、第一下部治具6aは、所定個数のエレメント2・2・・・を板厚方向に積層し、円環状に整列させて保持する役割を果たす治具であり、平板状の基台部6cの上面部に円環状のフープ部材であるダミーフープ6dが固設されている。
【0038】
ダミーフープ6dは、所定個数のエレメント2・2・・・を円環状に整列させる際に積層リング3の代用品(ダミー)の役割を果たす部位であり、このダミーフープ6dにエレメント2の凹部2cを掛止し板厚方向に積層することによって、該ダミーフープ6dに沿ってエレメント2・2・・・を円環状に整列させることができる。そして、ダミーフープ6dに沿って所定個数のエレメント2・2・・・を円環状に整列させることによって、未だ積層リング3が挿入されていない状態のエレメント組立体11(以下、第一エレメント組立体11aと呼ぶ)を形成することができる。
【0039】
図4(a)・(b)に示す如く、第二下部治具6bは、既に1本目の第一積層リング3aが挿入され円環状に整列されている状態のエレメント組立体11(以下、第二エレメント組立体11bと呼ぶ)を円環状に保持する役割を果たす治具であり、平板状の基台部6eの上面部に略円形に窪んだ部位である凹部6fが形成されている。また、該凹部6fの外周縁部には、傾斜部6gが形成されており、定常状態(即ち、縮径されていない状態)の第二エレメント組立体11bの円環形状に沿う形状としている。
【0040】
図2に示す如く、上部治具7は、エレメント組立体11を形成する各エレメント2・2・・・を均等に整列させるための型枠の役割を果たし、また、エレメント組立体11を押圧する役割を果たす部位を形成している治具であり、第一本体部7a、第二本体部7b、第三本体部7c等を備え、本体フレーム5に固設した上部治具変位装置8によって、上下方向に変位可能に支持される構成としている。
【0041】
さらに上部治具7は、下部治具6(即ち、第一下部治具6aあるいは第二下部治具6b)の直上において、エレメント組立体11の溝部11cに挿入される積層リング3(即ち、第一積層リング3aあるいは第二積層リング3b)を保持する役割を果たす治具である。
【0042】
上部治具変位装置8は、図2に示す如く、本体フレーム5に固設されるアクチュエータによって構成され、伸縮軸8a、固定部8b等を備えている。そして、図2および図6に示すように、固定部8bに対して、上部治具7の第一本体部7aをボルト等により締結し固定する構成としている。
これにより、上部治具変位装置8を作動させて、伸縮軸8aを伸縮させることによって、上部治具7を上下方向に変位させることができる。
【0043】
図2および図5〜図8に示す如く、上部治具7の最下部を形成する第三本体部7cには、エレメント組立体11の円環形状に沿う傾斜部7dが形成されている。そして、上部治具変位装置8によって上部治具7を下方に変位させて、上部治具7の下方に配置されるエレメント組立体11(より詳しくは、各エレメント2・2・・・の各ヘッド部2b・2b・・・)に、傾斜部7dが当接する高さまで変位させることによって、エレメント組立体11をより真円に近い状態であって、かつ、その直径がCVTベルト4の設計値により近い直径となるように、各エレメント2・2・・・を均等に整列させることができる。
【0044】
図9(a)に示す如く、上部治具7を、上部治具変位装置8によって下方に変位させて、傾斜部7dがエレメント組立体11(より詳しくは、各エレメント2・2・・・の各ヘッド部2b・2b・・・)に当接する高さからさらに下方へ変位させると、傾斜部7dによって、各エレメント2・2・・・の各ヘッド部2b・2b・・・をエレメント組立体11の中心軸方向に押圧することができる。このとき、傾斜部7dの傾きによって各エレメント2・2・・・は、エレメント組立体11の円中心に向けて押圧されるため、各エレメント2・2・・・がエレメント組立体11の円中心に向けて変位し、その結果エレメント組立体11の直径を縮径することができる。
【0045】
また、図9(b)に示す如く、上部治具7を、図9(a)に示す状態から上部治具変位装置8によって上部治具7を上方に変位させて、傾斜部7dがエレメント組立体11(より詳しくは、各エレメント2・2・・・の各ヘッド部2b・2b・・・)に当接しなくなる高さまで変位させると、各エレメント2・2・・・が有する発条力(たわみ)に起因して生じる復元力によって、各エレメント2・2・・・がエレメント組立体11の円中心から外側に向かう方向に変位し、その結果エレメント組立体11の直径を拡径することができる。このときのエレメント組立体11の直径は、CVTベルト4の直径の設計値と略同一(定常状態)に拡径される。
【0046】
なおこの場合、上部治具7による各エレメント2・2・・・に対する押圧時に生じるヒステリシスを考慮して、傾斜部7dが各ヘッド部2b・2bと当接しなくなる丁度の高さよりも若干高めに上部治具7を上昇させることが望ましい。
【0047】
また図2および図6(a)・(b)に示す如く、第三本体部7cの傾斜部7dよりも上方の第二本体部7bの下面には、積層リング3を外嵌することができるリング保持部7eが形成されている。該リング保持部7eは、積層リング3の内周円の直径と略一致する(但し、若干小さい)直径に形成されている。
【0048】
積層リング3とリング保持部7eの各直径の関係についてさらに詳述すると、リング保持部7eの直径は、積層リング3をリング保持部7eに対して容易に嵌め込むことができ、かつ、嵌め込んだ状態では、積層リング3の内周面とリング保持部7eの外周面との間で生じる摩擦力の作用により、積層リング3自身の自重で脱落してしまうことがない直径に設定している。さらに、リング保持部7eの直径は、積層リング3をリング保持部7eの軸方向に押圧すれば、容易にリング保持部7eに沿ってスライドさせることができる程度の摩擦力が生じる直径に設定している。
【0049】
図5および図6(a)に示す如く、上部治具7の第一本体部7aおよび第二本体部7bには、リング保持部7eから積層リング3が脱落することを確実に防止するための装置である積層リング保持装置10が備えられている。積層リング保持装置10は、アクチュエータ10a、リンク部材10b・10b・・・、支持軸10c・10c・・・等により構成されている。
【0050】
積層リング保持装置10は、図5に示すように、上部治具7の平面視において、略90度ずつ位相が異なる方向に放射状にリンク部材10b・10b・・・を4箇所設ける構成としており、各リンク部材10b・10b・・・から突設されているピン10d・10d・・・によって積層リング3の下面を掛止して、積層リング3が脱落することおよび水平方向に対して傾きながら下降することを防止している。
【0051】
また積層リング保持装置10は、図6(a)に示すように、アクチュエータ10aの伸縮軸10eを下方に伸長させて、円盤状の部位である掛合部10fを下方に変位することによって、該掛合部10fによって掛合されている各リンク部材10b・10b・・・を支持軸10c・10c・・・回りに回動させることができる。このとき、ピン10d・10d・・・による積層リング3に対する掛止が解除されるため、積層リング3を下方に変位可能な状態とすることができる。
【0052】
また図5および図6(b)に示す如く、上部治具7の第二本体部7bの上面には、リング保持部7eにおいて保持される積層リング3を部分的に露出させることができる4箇所の開口部7g・7g・・・が形成されている。該開口部7g・7g・・・は、図5に示すように、上部治具7の平面視において、略90度ずつ位相が異なり、かつ、積層リング保持装置10のリンク部材10b・10b・・・と略45度ずつ位相が異なる方向に放射状に4箇所設けている。
【0053】
積層リング変位装置9は、図2および図10に示す如く、アクチュエータ9a・9a・・・、支持部材9b、押圧部9c・9c・・・等により構成されており、上部治具7に形成される4箇所の開口部7g・7g・・・の直上に4個の押圧部9c・9c・・・を配置している。
【0054】
アクチュエータ9a・9a・・・は、本体フレーム5に固定されており、アクチュエータ9a・9a・・・の伸縮軸9e・9eの下端部には、支持部材9bが固設されている。
支持部材9bは、上部治具変位装置8の伸縮軸8aを取り囲むようにして設けられる平面視略円形(あるいは略矩形)状の部材である。そして、該支持部材9bを利用して、前記4箇所の開口部7g・7g・・・の直上に4個の押圧部9c・9c・・・を配置している。
【0055】
押圧部9cは、平面視において、開口部7gの開口形状に適合する形状が与えられており、ツメ部9d・9dが形成されている。本実施態様では、一つの押圧部9cに二つのツメ部9d・9dを形成しているが、本発明に係るCVTベルト組立装置の押圧部に設けるツメ部の個数および形状等はこれに限定するものではなく、適宜選択することができる。
【0056】
そして、開口部7gにおけるリング保持部7eには、ツメ部9d・9dに対応する切欠き部7h・7h(図5参照)が形成されている。このため積層リング3は、切欠き部7h・7hにおいては、リング保持部7eの外周面7fと接しておらず、平面視における切欠き部7h・7hの配置とツメ部9d・9dの配置を略一致させた状態で押圧部9cを下降させることにより、ツメ部9d・9dで積層リング3を下方に押圧することができる。
【0057】
また、積層リング変位装置9の押圧部9c・9c・・・は、図5に示すように、上部治具7の平面視において、略90度ずつ位相が異なり、かつ、開口部7g・7g・・・に対応する位置に放射状に4箇所設ける構成としており、下降する積層リング3の水平状態を保持しつつ、該積層リング3を下方に押圧することができる。
【0058】
次に、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1によるCVTベルトの組立方法について、図11〜図30を用いて説明する。
本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1を用いたCVTベルト4の組立方法は、1本目の第一積層リング3aを第一エレメント組立体11aに形成される溝部11cに挿入し、第二エレメント組立体11bを形成する第一積層リング挿入工程(STEP−1)と(図11参照)、該第一積層リング挿入工程(STEP−1)の後で、2本目の第二積層リング3bを第二エレメント組立体11bの溝部11cに挿入し、CVTベルト4を形成する第二積層リング挿入工程(STEP−2)と(図21参照)、を経てなる構成としている。
【0059】
図11に示す如く、第一積層リング挿入工程(STEP−1)では、まず始めに、作業者の手作業により、第一下部治具6aのダミーフープ6dに複数のエレメント2・2・・・を掛止していく(図3(b)参照)。そして、所定個数のエレメント2・2・・・によって、円環状の第一エレメント組立体11aを形成する(STEP−1−1)。
【0060】
そして、図12に示す如く、第一エレメント組立体11aが形成された状態の第一下部治具6aをCVTベルト組立装置1の所定位置(即ち、本体フレーム5の下部)に配置する(STEP−1−2)。これにより、図13(a)に示すように、第一エレメント組立体11aの溝部11cの直上に、第一積層リング3aを保持する状態に設定することができる。
【0061】
次に、図11、図12および図15に示す如く、上部治具変位装置8を作動させて、上部治具7の傾斜部7dが、各エレメント2・2・・・のヘッド部2b・2b・・・に当接する高さXまで、上部治具7を自動的に下降させる(STEP−1−3)。この高さXは、CVTベルト4の設計寸法等から予め算出することができ、算出した高さXを、予め上部治具変位装置8にティーチングしておくことによって、自動的に所定の高さXまで上部治具7を下降させることができる。
【0062】
次に、図11、図14(a)および図16に示す如く、さらに上部治具変位装置8を作動させて、上部治具7を高さXからさらに下降させることによって、傾斜部7dによって、ヘッド部2b・2b・・・を押圧する。このとき、第一エレメント組立体11aを形成する各エレメント2・2・・・は、第一エレメント組立体11aの円中心に向かう方向に押圧されるため、第一エレメント組立体11aの直径が縮小される。このときの縮小量は、上部治具7の高さXからの下降量によって決まるため、上部治具変位装置8によって、上部治具7の下降量を調整することによって、所望するクリアランスaを確保することができる(STEP−1−4)。ここで、クリアランスaの値は、a>0となる値であれば良い。
【0063】
このクリアランスaの値は、溝部11cの内周面と第一積層リング3aの内周面との間に生じる隙間の距離と言うことができるが、言い換えれば、肩部2fと積層リング3aの内周面との間に生じる隙間の距離と言うこともできる。
【0064】
尚、このときの上部治具7の下降量は、実験結果やCVTベルト4の設計寸法等から予め算出することができ、算出した下降量を、予め上部治具変位装置8にティーチングしておくことによって、自動的に所定の下降量で上部治具7を下降させることができる。
【0065】
あるいは、図17に示す如く、上部治具7を高さXからさらに下降させることによって、傾斜部7dによって、ヘッド部2b・2b・・・を押圧し、第一エレメント組立体11aを形成する各エレメント2・2・・・を、円中心に向かって前傾させることによっても、クリアランスaを確保することが可能である。この場合、第一エレメント組立体11aを形成するボディー部2aの肩部2fと第一積層リング3aの内周面との距離がクリアランスaとなる。このときのクリアランスaも、上部治具7の高さXからの下降量に応じて調整することができる。
【0066】
つまり、エレメント組立体11を形成するボディー部2aの肩部2fにおける外径を、エレメント組立体11の直径を縮径したり、あるいは、各エレメント2・2・・・を傾けたりすることによって、積層リング3aの内周円に比して小さくすることができ、これによりクリアランスaを形成することができる。尚、本発明におけるクリアランスaを確保する手段(即ち、第一クリアランス形成手段)はこれに限定するものではなく、例えば、積層リング3aを拡径することによってもクリアランスaを確保することができ、その他、種々の手段を採用することができる。
【0067】
このように、本発明に係るCVTベルト組立装置1では、クリアランスaを確保する手段(第一クリアランス形成手段)を、上部治具7および上部治具変位装置8によって構成し、クリアランスaを確実に確保することによって、溝部11cに向けて第一積層リング3aを下降させる際に、第一積層リング3aと第一エレメント組立体11aが接触することを確実に防止するようにしている。
【0068】
即ち、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、エレメント組立体縮径手段をエレメント組立体押圧手段たる上部治具7および上部治具変位装置8によって構成し、上部治具変位装置8を作動させて、エレメント組立体11のヘッド部2b・2b・・・を、上部治具7によって、エレメント組立体11の円環の中心軸方向に押圧している。
【0069】
また、本発明の一実施例に係るCVTベルト4の組立方法は、エレメント組立体11の直径を縮径する工程は、エレメント組立体11のヘッド部2b・2b・・・を、エレメント組立体11の中心軸方向に押圧して、各エレメント2・2・・・を円環の中心軸方向に変位させることによって、エレメント組立体11の直径を縮径している。
このような構成により、本発明に係るCVTベルト4の組立方法に用いるCVTベルト組立装置1をより簡易な構成とすることができる。
【0070】
次に、図11に示す如く、上部治具変位装置8によって、上部治具7の下降量を一定に保持し、クリアランスaを保持した状態で、積層リング保持装置10を自動的に解除する(STEP−1−5)。
【0071】
そしてさらに、図11、図14(b)および図18に示す如く、積層リング変位装置9を作動させて、押圧部9c・9c・・・のツメ部9d・9d・・・によって第一積層リング3aを下方に押圧する。このとき、押圧部9c・9c・・・の下降量を調整して、第一積層リング3aの下端とヘッド部2b・2b・・・との距離がクリアランスbとなる高さに第一積層リング3aを下降させる(STEP−1−6)(図13(b)参照)。ここで、クリアランスbの値は、b>0となる値であれば良い。尚、このときの押圧部9c・9c・・・の下降量は、実験結果やCVTベルト4の設計寸法等から予め算出することができ、算出した下降量を、予め積層リング変位装置9にティーチングしておくことによって、自動的に所定の下降量で押圧部9c・9c・・・を下降させることができる。
【0072】
次に、図11、図14(c)および図19に示す如く、上部治具変位装置8を作動させて、上部治具7を高さXまで上昇させることによって、傾斜部7dによる、ヘッド部2b・2b・・・に対する押圧を解除する。これにより、各エレメント2・2・・・が有する発条作用によって生じる復元力により第一エレメント組立体11aの円中心から外側に向かう方向への応力が作用するため、第一エレメント組立体11aが形成する円環の直径が拡径される(STEP−1−7)。尚、このときの上部治具7の上昇量は、実験結果やCVTベルト4の設計寸法等から予め算出することができ、算出した上昇量を、予め上部治具変位装置8にティーチングしておくことによって、自動的に所定の上昇量で上部治具7を上昇させることができる。
【0073】
このとき、第一積層リング3aの下端とヘッド部2b・2b・・・とのクリアランスbが保持されているため、第一エレメント組立体11aが拡径する際に、第一積層リング3aと第一エレメント組立体11aが接触することを確実に防止するようにしている。
このように、本発明に係るCVTベルト組立装置1では、クリアランスbを確保する手段(第二クリアランス形成手段)を、積層リング変位装置9によって構成している。
【0074】
そしてこのとき、第一積層リング3aは、第一エレメント組立体11aの溝部11cの内周面に沿うようになる。このとき、第一積層リング3aの外周面と溝部11cの外周面のクリアランスcが確保される。ここで、クリアランスcの値は、c>0となる値であり、CVTベルト4(即ち、エレメント2および積層リング3)の設計値として規定される値に略一致している。
【0075】
そして、図11、図14(d)および図20に示す如く、積層リング変位装置9によって、押圧部9c・9c・・・をさらに下降させて、第一積層リング3aが溝部11cの底に接触するまで、第一積層リング3aを下降させて、第二エレメント組立体11b(図13(c)参照)を形成する(STEP−1−8)。尚、このときの押圧部9c・9c・・・の下降量は、実験結果やCVTベルト4の設計寸法等から予め算出することができ、算出した下降量を、予め積層リング変位装置9にティーチングしておくことによって、自動的に所定の下降量で押圧部9c・9c・・・を下降させることができる。
【0076】
このように、本発明に係るCVTベルト組立装置1では、クリアランスcを確保する手段(第三クリアランス形成手段)を、上部治具7および上部治具変位装置8によって構成し、第一積層リング3aの外周面と溝部11cの外周面(即ち、ヘッド部2b)のクリアランスcを確保することによって、溝部11cに向けて第一積層リング3aを挿入する際に、第一積層リング3aと第一エレメント組立体11aが接触することを確実に防止している。
【0077】
即ち、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、エレメント組立体縮径手段たる上部治具7および上部治具変位装置8は、エレメント組立体拡径手段を兼ねており、エレメント組立体押圧手段によるヘッド部2b・2b・・・に対する押圧を解除して、エレメント2・2・・・の発条作用を利用してエレメント組立体11の直径を復元させることによって、エレメント組立体11の直径を拡径している。
【0078】
また、本発明の一実施例に係るCVTベルト4の組立方法は、エレメント組立体11の直径を拡径する工程は、エレメント組立体11のヘッド部2b・2b・・・に対するエレメント組立体11の中心軸方向への押圧を解除して、各エレメント2・2・・・の復元力を利用して、エレメント組立体11の直径を拡径している。
このような構成により、本発明に係るCVTベルト4の組立方法に用いるCVTベルト組立装置1をより簡易な構成とすることができる。
【0079】
以上により、第一エレメント組立体11aの溝部11cに対して、1本目の第一積層リング3aを自動的に挿入する工程(第一積層リング挿入工程(STEP−1))が完了し、第二エレメント組立体11bが形成される。そして続いて、第二エレメント組立体11bに対する2本目の第二積層リング3bの挿入工程(第二積層リング挿入工程(STEP−2))に移行する。
【0080】
即ち、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、第一クリアランス形成手段は、下部治具6によって保持されるエレメント組立体11の直径を縮径するエレメント組立体縮径手段たる上部治具7および上部治具変位装置8からなり、かつ、第二クリアランス形成手段は、リング保持部7eおよび積層リング保持装置10によって保持される積層リング3を溝部11cに向けて押圧する積層リング押圧手段たる積層リング変位装置9からなり、かつ、第三クリアランス形成手段は、下部治具6によって保持されるエレメント組立体11の直径を拡径するエレメント組立体拡径手段たる上部治具7および上部治具変位装置8からなるものである。
【0081】
また、本発明の一実施例に係るCVTベルト4の組立方法は、ボディー部2aと積層リング3の内周面のクリアランスaを形成する工程は、エレメント組立体11に形成される溝部11cの内周面の直径を、積層リング3の内周円の直径に比して小さい径となるように、エレメント組立体11の直径を縮径する工程を備え、かつ、ヘッド部2bと積層リング3のクリアランスbを形成する工程は、溝部11cの内周面の直径が、積層リング3の内周円の直径に比して小さい径となっている状態で、積層リング3を溝部11cの直前まで挿入する工程を備え、かつ、ヘッド部2bと積層リング3の外周面のクリアランスcを形成する工程は、溝部11cの内周面の直径が、積層リング3の内周円の直径と略同一の径となるように、エレメント組立体11の直径を拡径する工程を備えている。
このような構成により、簡易な構成のCVTベルト組立装置1によって、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルト4の組立作業の自動化を実現することができる。
【0082】
図21に示す如く、第二積層リング挿入工程(STEP−2)では、まず始めに、作業者の手作業または図示しない反転装置等を用いて、1本目の第一積層リング3aが挿入された状態の第二エレメント組立体11bの上下を反転させた後に、第二下部治具6bの凹部6fに配置する(STEP−2−1)。
【0083】
そして、図22に示す如く、第二エレメント組立体11bが凹部6fに配置された状態の第二下部治具6b(図4(b)参照)をCVTベルト組立装置1の所定位置に配置する(STEP−2−2)。これにより、図23(a)に示すように、第二エレメント組立体11bの溝部11cの直上に、第二積層リング3bを保持する状態に設定することができる。
【0084】
次に、図21、図22および図25に示す如く、上部治具変位装置8を作動させて、上部治具7の傾斜部7dが、各エレメント2・2・・・のヘッド部2b・2b・・・に当接する高さXまで、上部治具7を自動的に下降させる(STEP−2−3)。
【0085】
そして、図21、図24(a)および図26に示す如く、この状態で、上部治具変位装置8を作動させて、さらに上部治具7を自動的に下降させて、傾斜部7dによって、ヘッド部2b・2b・・・を押圧する。これにより、各エレメント2・2・・・が第二エレメント組立体11bの円中心に向かう方向に押圧されるため、第二エレメント組立体11bが形成する円環の直径が縮径される。そして、このときの上部治具7の高さXからの下降量を調整することにより、所望するクリアランスaを確保するようにしている(STEP−2−4)。
【0086】
このようにして、クリアランスaを確実に確保することによって、溝部11cに向けて第二積層リング3bを下降させる際に、第二積層リング3bと第二エレメント組立体11bが接触することを確実に防止するようにしている。
【0087】
次に、図21に示す如く、上部治具変位装置8によって、上部治具7の下降量を一定に保持し、クリアランスaを保持した状態で、積層リング保持装置10を自動的に解除する(STEP−2−5)。
【0088】
そしてさらに、図21、図24(b)および図27に示す如く、積層リング変位装置9を作動させて、押圧部9c・9c・・・のツメ部9d・9d・・・によって第二積層リング3bを下方に押圧する。このとき、押圧部9c・9c・・・の下降量を調整して、第二積層リング3bの下端とヘッド部2b・2b・・・との間のクリアランスbを確保しつつ、第二積層リング3bを自動的に下降させる(STEP−2−6)(図23(b)参照)。
【0089】
次に、図21、図24(c)および図28に示す如く、上部治具変位装置8を作動させて、上部治具7を高さXまで自動的に上昇させることによって、傾斜部7dによる、ヘッド部2b・2b・・・に対する押圧を解除する。これにより、各エレメント2・2・・・が有する発条作用によって第二エレメント組立体11bの円中心から外側に向かう方向への応力(復元力)が作用するため、第二エレメント組立体11bの直径が拡径される(STEP−2−7)。
【0090】
このとき、第二積層リング3bの下端とヘッド部2b・2b・・・とのクリアランスbが保持されているため、第二エレメント組立体11bが拡径する際に、第二積層リング3bと第二エレメント組立体11bが接触することを確実に防止するようにしている。
【0091】
そしてこのとき、第二積層リング3bは、第二エレメント組立体11bの溝部11cの内周面に沿うようになる。このとき、第二積層リング3bの外周面と溝部11cの外周面のクリアランスcが確保される。
【0092】
そして、図21、図24(d)および図29に示す如く、積層リング変位装置9によって、押圧部9c・9c・・・をさらに下降させて、第二積層リング3bが溝部11cの底に接触するまで、第二積層リング3bを自動的に下降させて、CVTベルト4(図23(c)参照)を形成する(STEP−2−8)。
【0093】
このとき、第二積層リング3bの外周面と溝部11cの外周面のクリアランスcが確保されているため、溝部11cに向けて第二積層リング3bを挿入する際に、第二積層リング3bと第二エレメント組立体11bが接触することを確実に防止するようにしている。
【0094】
以上により、第二エレメント組立体11bの溝部11cに対して、2本目の第二積層リング3bを自動的に挿入する工程(第二積層リング挿入工程(STEP−2))を完了し、CVTベルト4が形成される。このようにして、CVTベルト組立装置1によるCVTベルト4の組立工程を完了する。
【0095】
尚、本実施例では、積層リング3の内周面とエレメント組立体11(即ち、ボディー部2a)との間のクリアランスaを形成する手段(第一クリアランス形成手段)を、エレメント組立体11を中心軸方向に押圧する手段である上部治具7および上部治具変位装置8による構成とし、エレメント組立体11の直径を縮径することによって、積層リング3の内周面とエレメント組立体11との間のクリアランスaを確保する構成としているが、本発明に係るCVTベルト組立装置における第一クリアランス形成手段の構成はこれに限定するものではない。
【0096】
つまり、例えば図30(a)に示すように、図示しない駆動源によってエレメント組立体11の円環の中心軸方向に変位可能に構成される縮径部15a・15a・・・を有する縮径機構15を備えるCVTベルト組立装置とし、該縮径機構15によってエレメント組立体11の直径を縮径する構成等とすることが可能である。
【0097】
また、本実施例では、積層リング3の下端とエレメント組立体11(即ち、ヘッド部2b)との間のクリアランスbを形成する手段(第二クリアランス形成手段)を、積層リング3を溝部11cに向けて押圧する手段である積層リング変位装置9による構成とし、積層リング3の下降量を調整して、積層リング3の下端とエレメント組立体11との間のクリアランスbを確保する構成としているが、本発明に係るCVTベルト組立装置における第二クリアランス形成手段の構成はこれに限定するものではなく、例えば、エレメント組立体11を保持する手段である下部治具6を積層リング3に対して変位可能な構成とし、下部治具6の変位量を調整してクリアランスbを確保する構成等とすることも可能である。
【0098】
さらに、本実施例では、積層リング3の外周面とエレメント組立体11(即ち、ヘッド部2b)との間のクリアランスcを形成する手段(第三クリアランス形成手段)を、エレメント組立体11を中心軸方向に押圧する手段である上部治具7および上部治具変位装置8による構成とし、上部治具7および上部治具変位装置8によるエレメント組立体11に対する中心軸方向への押圧を解除して、エレメント組立体11の直径を拡径することによって、積層リング3の外周面とエレメント組立体11との間のクリアランスcを確保する構成としているが、本発明に係るCVTベルト組立装置における第三クリアランス形成手段の構成はこれに限定するものではない。
【0099】
つまり、例えば図30(b)に示すように、図示しない駆動源によってエレメント組立体11の円環中心から円環外側に向けた方向に変位可能に構成される拡径部16a・16a・・・を有する拡径機構16を備えるCVTベルト組立装置とし、該拡径機構16によって、積極的にエレメント組立体11の直径を拡径する構成等とすることも可能である。
【0100】
即ち、本発明の一実施例に係るCVTベルト組立装置1は、板状の複数のエレメント2・2・・・を板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体11と、フープ状の積層リング3・3と、からなり、エレメント2に形成される一対の凹部2c・2cの集合としてエレメント組立体11の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部11c・11cに、積層リング3・3をそれぞれ挿入して形成されるCVTベルト4、の組立に用いるCVTベルト組立装置1であって、積層リング3を保持する積層リング保持手段たるリング保持部7eおよび積層リング保持装置10と、リング保持部7eおよび積層リング保持装置10によって保持される積層リング3の直下に溝部11cを配置するエレメント組立体保持手段たる下部治具6と、エレメント組立体11を形成する各エレメント2・2・・・を均等に整列させて、溝部11cの円環形状を積層リング3の円環形状に略一致させるエレメント組立体整列手段たる上部治具7と、下部治具6によって円環状に保持されるエレメント組立体11のうち積層リング3の内部に挿通されるボディー部2aの両端に位置する肩部2fにおける外径を、積層リング3の内周円の直径未満に保持し、ボディー部2aと積層リング3の内周面のクリアランスaを形成する第一クリアランス形成手段たる上部治具7および上部治具変位装置8と、エレメント組立体11の溝部11cに向けて変位する積層リング3を、下部治具6によって円環状に保持されるエレメント組立体11における積層リング3の外部に配置されるヘッド部2bと接触しない変位に保持し、ヘッド部2bと積層リング3のクリアランスbを形成する第二クリアランス形成手段たる積層リング変位装置9と、下部治具6によって円環状に保持されるエレメント組立体11における積層リング3の内部に挿通されるボディー部2aの両端に位置する肩部2fにおける外径を、積層リング3の内周円の直径と略同一に保持し、ヘッド部2bと積層リング3の外周面のクリアランスcを形成する第三クリアランス形成手段たる上部治具7および上部治具変位装置8と、を備えている。
【0101】
また、本発明の一実施例に係るCVTベルト4の組立方法は、板状の複数のエレメント2・2・・・を板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体11と、フープ状の積層リング3・3と、からなり、エレメント2・2・・・に形成される一対の凹部2c・2cの集合としてエレメント組立体11の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部11c・11cに、積層リング3・3をそれぞれ挿入して形成されるCVTベルト4の組立方法であって、積層リング3の直下にエレメント組立体11の溝部11cを配置する工程((STEP−1−2)および(STEP−2−2))と、エレメント組立体11を形成する各エレメント2・2・・・を均等に整列させて、溝部11cの円環形状を積層リング3の円環形状に略一致させる工程((STEP−1−3)および(STEP−2−3))と、エレメント組立体11のうち積層リング3の内部に挿通されるボディー部2aの両端に位置する肩部2fにおける外径を、積層リング3の内周円の直径未満に保持し、ボディー部2aと積層リング3の内周面のクリアランスaを形成する工程((STEP−1−4)および(STEP−2−4))と、エレメント組立体11の溝部11cに向けて変位する積層リング3を、エレメント組立体11における積層リング3の外部に配置されるヘッド部2b・2b・・・と接触しない変位に保持し、ヘッド部2bと積層リング3のクリアランスbを形成する工程((STEP−1−6)および(STEP−2−6))と、エレメント組立体11における積層リング3の内部に挿通されるボディー部2aの両端に位置する肩部2fにおける外径を、積層リング3の内周円の直径と略同一に保持し、ヘッド部2bと積層リング3の外周面のクリアランスcを形成する工程((STEP−1−7)および(STEP−2−7))と、を備えている。
このような構成により、組立不良や部品の傷つきを発生させることなく、容易にCVTベルト4の組立作業の自動化を実現することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 CVTベルト組立装置
2 エレメント
3 積層リング
4 CVTベルト
6 下部治具
6a 下部第一治具
6b 下部第二治具
7 上部治具
7e リング保持部
8 上部治具変位装置
9 積層リング変位装置
10 積層リング保持装置
11 エレメント組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数のエレメントを板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体と、
フープ状の積層リングと、
からなり、
前記エレメントに形成される一対の凹部の集合として前記エレメント組立体の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部に、前記積層リングをそれぞれ挿入して形成されるCVTベルト、の組立に用いるCVTベルト組立装置であって、
前記積層リングを保持する積層リング保持手段と、
前記エレメント組立体を円環状に保持するとともに、前記積層リング保持手段によって保持される前記積層リングの直下に前記溝部を配置するエレメント組立体保持手段と、
前記エレメント組立体を形成する各エレメントを均等に整列させて、前記溝部の円環形状を前記積層リングの円環形状に略一致させるエレメント組立体整列手段と、
前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体のうち前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径未満に保持し、前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する第一クリアランス形成手段と、
前記エレメント組立体の前記溝部に向けて変位する前記積層リングを、前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体における前記積層リングの外部に配置されるヘッド部と接触しない変位に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する第二クリアランス形成手段と、
前記エレメント組立体保持手段によって円環状に保持される前記エレメント組立体における前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径と略同一に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する第三クリアランス形成手段と、
を備える、
ことを特徴とするCVTベルト組立装置。
【請求項2】
前記第一クリアランス形成手段は、
前記エレメント組立体保持手段によって保持される前記エレメント組立体の直径を縮径するエレメント組立体縮径手段からなり、かつ、
前記第二クリアランス保持手段は、
前記積層リング保持手段によって保持される前記積層リングを前記溝部に向けて押圧する積層リング押圧手段からなり、かつ、
前記第三クリアランス保持手段は、
前記エレメント組立体保持手段によって保持される前記エレメント組立体の直径を拡径するエレメント組立体拡径手段からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載のCVTベルト組立装置。
【請求項3】
前記エレメント組立体縮径手段は、
前記エレメント組立体の前記ヘッド部を、前記エレメント組立体の中心軸方向に押圧するエレメント組立体押圧手段からなる、
ことを特徴とする請求項2に記載のCVTベルト組立装置。
【請求項4】
前記エレメント組立体縮径手段は、
前記エレメント組立体拡径手段を兼ねており、
前記エレメント組立体押圧手段による前記ヘッド部に対する押圧を解除して、
前記エレメントの発条作用を利用して前記エレメント組立体の直径を復元させることによって、前記エレメント組立体の直径を拡径する、
ことを特徴とする請求項3に記載のCVTベルト組立装置。
【請求項5】
板状の複数のエレメントを板厚方向に積層しつつ、円環状に保持して形成するエレメント組立体と、
フープ状の積層リングと、
からなり、
前記エレメントに形成される一対の凹部の集合として前記エレメント組立体の中心軸方向に対する両側部に形成される溝部に、前記積層リングをそれぞれ挿入して形成されるCVTベルトの組立方法であって、
前記積層リングの直下に前記エレメント組立体の前記溝部を配置する工程と、
前記エレメント組立体を形成する各エレメントを均等に整列させて、前記溝部の円環形状を前記積層リングの円環形状に略一致させる工程と、
前記エレメント組立体のうち前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径未満に保持し、前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する工程と、
前記エレメント組立体の前記溝部に向けて変位する前記積層リングを、前記エレメント組立体における前記積層リングの外部に配置されるヘッド部と接触しない変位に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する工程と、
前記エレメント組立体における前記積層リングの内部に挿通されるボディー部の両端に位置する肩部における外径を、前記積層リングの内周円の直径と略同一に保持し、前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する工程と、
を備える、
ことを特徴とするCVTベルトの組立方法。
【請求項6】
前記ボディー部と前記積層リングの内周面のクリアランスを形成する工程は、
前記エレメント組立体に形成される前記溝部の内周面の直径を、前記積層リングの内周円の直径に比して小さい径となるように、前記エレメント組立体の直径を縮径する工程を備え、かつ、
前記ヘッド部と前記積層リングのクリアランスを形成する工程は、
前記溝部の内周面の直径が、前記積層リングの内周円の直径に比して小さい径となっている状態で、前記積層リングを前記溝部の直前まで挿入する工程を備え、かつ、
前記ヘッド部と前記積層リングの外周面のクリアランスを形成する工程は、
前記溝部の内周面の直径が、前記積層リングの内周円の直径と略同一の径となるように、前記エレメント組立体の直径を拡径する工程を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載のCVTベルトの組立方法。
【請求項7】
前記エレメント組立体の直径を縮径する工程は、
前記エレメント組立体のヘッド部を、前記エレメント組立体の中心軸方向に押圧して、各エレメントを前記中心軸方向に変位させることによって、前記エレメント組立体の直径を縮径する、
ことを特徴とする請求項6に記載のCVTベルトの組立方法。
【請求項8】
前記エレメント組立体の直径を拡径する工程は、
前記エレメント組立体のヘッド部に対する前記エレメント組立体の中心軸方向への押圧を解除して、各エレメントの復元力を利用して、前記エレメント組立体の直径を拡径する、
ことを特徴とする請求項7に記載のCVTベルトの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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