DC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置
【課題】例えば専用ICやドライバICを使用せずに、同期整流化を実現することができるDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置を提供する。
【解決手段】DC/DCコンバータ2は、コントローラ4、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6を備える。コントローラ4と両スイッチング素子5,6との間に、CR回路11からなるデッドタイム生成回路7を接続する。CR回路11は、自身の時定数から決まる電圧勾配を持つ駆動電圧により、スイッチング素子5,6をオンオフ制御する。これにより、スイッチング素子5,6のオンタイミングがずれ、スイッチング素子5,6の間にデッドタイムが生成される。
【解決手段】DC/DCコンバータ2は、コントローラ4、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6を備える。コントローラ4と両スイッチング素子5,6との間に、CR回路11からなるデッドタイム生成回路7を接続する。CR回路11は、自身の時定数から決まる電圧勾配を持つ駆動電圧により、スイッチング素子5,6をオンオフ制御する。これにより、スイッチング素子5,6のオンタイミングがずれ、スイッチング素子5,6の間にデッドタイムが生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧を所定値に変換出力するDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電霧化装置の電極を冷却する電源回路として、DC/DCコンバータが使用されている。DC/DCコンバータとしては、図7のように、DC/DCコンバータの一部である昇圧/降圧チョッパ回路において、メインのスイッチング素子81と同期させながら同期整流用スイッチング素子82をスイッチングして、所望の直流電圧を出力する同期整流方式が知られている(特許文献1,2等参照)。同期整流方式は、例えば図8のような転流ダイオード83を使用した場合に比べ、転流ダイオード83による損失がそのまま同期整流用スイッチング素子82の損失に成り代わるので、DC/DCコンバータ全体の損失を少なく抑えられる利点がある。
【0003】
ところで、この種の同期整流方式において、図9に示すように、仮にメインスイッチング素子81と同期整流用スイッチング素子82とが同時にオンしてしまうと、回路に貫通電流Izが流れてしまい、これがDC/DCコンバータの損失を悪化させる要因になる。貫通電流Izを防止する対策としては、図10に示すように、DC/DCコンバータに同期整流用の専用IC(Integrated Circuit)84を設けて、メインスイッチング素子81と同期整流用スイッチング素子82とが同時にオンしないように、図11に示すようなデッドタイムを設ける対策が周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4423464号公報
【特許文献2】特開2008−72872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記対策の場合は、DC/DCコンバータに専用IC84を設ける必要があり、回路構成の簡素化に支障を来す問題があった。また、専用IC84の場合、ICの種類によってデッドタイムが固定されていることが多く、細かい時間設定ができない問題もある。このデッドタイムには、好適な時間があり、時間の長短によっては、逆に損失が悪化する懸念がある。また、通常は、図12に示すように、専用IC84と各スイッチング素子81,82との間にドライバIC85を設けることになるが、同期整流化によって抑えられた消費電力が、ドライバIC85の消費電力によって相殺されてしまう懸念もあった。
【0006】
本発明の目的は、例えば専用ICやドライバICを使用せずに、同期整流化を実現することができるDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式にて、直流の入力電圧を特定の直流に変換して出力するDC/DCコンバータにおいて、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明では、前記デッドタイム生成回路は、前記メインスイッチング素子用のCR回路と、前記同期整流用スイッチング素子用のCR回路とを備え、一対の前記CR回路の一方に順方向のダイオードを設け、他方に逆方向のダイオードを設けることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングを、各々個別に調節可能としたことを要旨とする。
【0009】
本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極に印加して当該放電電極からイオン粒子を放出するイオン発生装置において、前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【0010】
本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極及び対向電極の間に印加して、当該放電電極に発生した帯電微粒子水を前記対向電極から放出する静電霧化装置において、前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば専用ICやドライバICを使用せずに、同期整流化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のDC/DCコンバータの回路図。
【図2】駆動電圧の変化とメインスイッチング素子及び同期整流用スイッチング素子のオン/オフの変化との関係を示す波形図。
【図3】CR回路の時定数切り換えに伴う駆動電圧の変化態様を示す波形図。
【図4】第2実施形態のDC/DCコンバータの回路図。
【図5】(a),(b)はCR回路の時定数切り換えに伴う駆動電圧の変化態様を示す波形図。
【図6】別例のDC/DCコンバータの回路図。
【図7】従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図8】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図9】貫通電流とメインスイッチング素子及び同期整流用スイッチング素子のオン/オフ状態との関係を示す波形図。
【図10】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図11】デッドタイムを説明する波形図。
【図12】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化したDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置の第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、静電霧化装置1には、降圧チョッパレギュレータとして機能するDC/DCコンバータ2と、DC/DCコンバータ2から変換出力された直流電圧を基に駆動する静電霧化回路3とが設けられている。DC/DCコンバータ2は、入力電圧Vinを繰り返しのスイッチング制御にて所定の直流電流に変換出力する。静電霧化回路3は、ペルチェ方式により放電電極を冷却して、放電電極の表面に水分を付着させる。そして、静電霧化回路3は、DC/DCコンバータ2から入力する直流電圧をパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極と対向電極との間に印加することにより、ミスト状の帯電微粒子水を対向電極から大気中に放出する。
【0015】
DC/DCコンバータ2には、DC/DCコンバータ2の動作を制御するコントローラ4が設けられている。コントローラ4には、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の直列回路が接続されている。メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6とコントローラ4との間には、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングの間にデッドタイムを生成させるデッドタイム生成回路7が接続されている。
【0016】
コントローラ4は、1チップのICからなり、電源とグランドとの間に接続されている。コントローラ4は、1つの制御端子4aから、1本の駆動経路Lを介してメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6に制御信号Svを出力することにより、スイッチング素子5,6をスイッチング制御する。このように、本例のDC/DCコンバータ2は、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の駆動経路Lを一箇所からとる回路構成をとる。コントローラ4の入力側には、入力用のコンデンサ8が接続されている。なお、制御端子4aが共通端子に相当する。
【0017】
メインスイッチング素子5は、PチャンネルFET(Field Effect Transistor)が使用され、ドレイン端子がコントローラ4の電源端子4bに接続され、ソース端子が同期整流用スイッチング素子6に接続され、ゲート端子がデッドタイム生成回路7に接続されている。メインスイッチング素子5は、PチャンネルFETであるので、この素子のスレッシュホールド電圧をVthpとした場合、ゲート端子にかかる電圧がVthp以下のときにオンする。
【0018】
また、同期整流用スイッチング素子6は、ドレイン端子がメインスイッチング素子5に接続され、ソース端子がコントローラ4のグランド端子4cに接続され、ゲート端子がデッドタイム生成回路7に接続されている。同期整流用スイッチング素子6は、NチャンネルFETであるので、この素子のスレッシュホールド電圧をVthn(>Vthp)とした場合、ゲート端子にかかる電圧がVthn以上のときにオンする。
【0019】
デッドタイム生成回路7は、抵抗9とコンデンサ10とを直列接続したCR回路11からなり、コンデンサ10を出力としてとる回路となっている。このため、本例のCR回路11は、抵抗9の入力側がコントローラ4の制御端子4aに接続され、抵抗9とコンデンサ10との中点P1がメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の両ゲート端子に接続されている。CR回路11は、コントローラ4から入力する制御信号Svを、所定の立ち下がり及び立ち上がりの勾配を持つ駆動電圧Vaに変換して、これをスイッチング素子5,6にオン/オフの電源として供給する。
【0020】
図2に示すように、駆動電圧Va(中点P1における電圧)の波形変化は、CR回路11の時定数τ(=1/CR)によって決まる立ち下がり及び立ち上がりの勾配を持つ。即ち、駆動電圧Vaは、最大値から値が徐々に下がる勾配をとり、「0」になった後、値が上昇していく勾配をとる。よって、この電圧変化を利用してメインスイッチング素子5と同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングをずらせば、専用ICを使用しなくても、駆動電圧Vaにてメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフする領域、いわゆるデッドタイムを発生させることが可能となる。本例は、この原理を利用して、メインスイッチング素子5と同期整流用スイッチング素子6との間にデッドタイムを設け、同時オンに起因する貫通電流の発生を防止する。
【0021】
メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の中点P2と、同期整流用スイッチング素子6のソース端子との間には、共振用のインダクタ12及びコンデンサ13が接続されている。DC/DCコンバータ2は、コンデンサ13が出力であって、降圧した直流電圧を出力電圧Voutとして静電霧化回路3に印加する。
【0022】
次に、本例のDC/DCコンバータ2の動作を、図1〜図3を用いて説明する。
静電霧化装置1は、例えば電源スイッチ(図示略)がオンされると起動を開始し、大気中の空気を帯電微粒子水として出力する動作を開始する。このとき、図1に示すように、コントローラ4は、入力電圧Vinの降圧動作を行い、制御端子4aから制御信号Svを出力する。制御信号Svは、所定レベルの電圧信号として出力される。制御信号Svは、CR回路11のコンデンサ10から、駆動電圧Vaとして両方のスイッチング素子5,6に供給される。
【0023】
ここで、図2に示すように、駆動電圧Vaは、最初、高い値から徐々に立ち下がる変化をとるので、両方のスレッシュホールド電圧Vthn,Vthpよりも高い値をとる。よって、同期整流用スイッチング素子6がオンし、一方でメインスイッチング素子5がオフする。即ち、2つのスイッチング素子5,6のうち、まずは同期整流用スイッチング素子6がオンする状態をとる。
【0024】
そして、暫くすると、駆動電圧Vaが同期整流用スイッチング素子6のスレッシュホールド電圧Vthnを下回る。このとき、メインスイッチング素子5がオフの状態を維持したまま、同期整流用スイッチング素子6がオンからオフに切り換わる。このため、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフとなり、これ以降の時間帯がデッドタイムとなる。
【0025】
続いて、暫くすると、駆動電圧Vaがメインスイッチング素子5のスレッシュホールド電圧Vthpを下回る。このとき、同期整流用スイッチング素子6がオフの状態を維持したまま、メインスイッチング素子5がオンに切り換わる。即ち、デッドタイムが終了し、2つのスイッチング素子5,6のうち、メインスイッチング素子5がオンする状態に切り換わる。
【0026】
駆動電圧Vaが「0」まで下がると、今度は駆動電圧Vaが立ち上がる変化をとる。このとき、駆動電圧Vaがメインスイッチング素子5のスレッシュホールド電圧Vthpを上回ると、同期整流用スイッチング素子6がオフを維持したまま、メインスイッチング素子5がオンからオフに切り換わる。よって、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフとなり、これ以降の時間帯がデッドタイムとなる。
【0027】
そして、暫くすると、駆動電圧Vaが同期整流用スイッチング素子6のスレッシュホールド電圧Vthnを上回る。このとき、メインスイッチング素子5がオフの状態を維持したまま、同期整流用スイッチング素子6がオンに切り換わる。即ち、デッドタイムが終了し、2つのスイッチング素子5,6のうち、同期整流用スイッチング素子6がオンする状態に切り換わる。そして、コントローラ4が制御信号Svを出力する間、この動作が繰り返され、入力電圧Vinが所定の直流電圧に変換出力される。
【0028】
以上により、本例においては、2つのスイッチング素子5,6とコントローラ4との間に、CR回路11を有するデッドタイム生成回路7を接続し、CR回路11の時定数τから決まる電圧勾配を利用して、スイッチング素子5,6のオンタイミングをずらし、デッドタイムを発生させる。よって、CR回路11の時定数τを調整することにより、デッドタイムの長短を自由に切り換えることが可能となるので、デッドタイムを好適な値に適宜設定可能となる。このため、DC/DCコンバータ2をエネルギー損失の少ない効率のよい回路にすることが可能となる。
【0029】
また、本例の場合、CR回路11の時定数τを切り換えた際、駆動電圧Vaの立ち下がり勾配及び立ち上がり勾配は全体的に変わる変化をとる。よって、CR回路11の時定数τを高く設定すれば、図3の一点鎖線で示すような立ち下がり及び立ち上がりが急な勾配に設定することが可能である。また、CR回路11の時定数τを低く設定すれば、図3の二点差線で示すような立ち下がり及び立ち上がりが緩やかな勾配に設定することが可能である。
【0030】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)コントローラ4と両スイッチング素子5,6との間にCR回路11を接続し、CR回路11の時定数τから決まる電圧勾配の駆動電圧Vaにてスイッチング素子5,6をオンオフ制御して、スイッチング素子5,6のオンタイミングの間にデッドタイムを生成させる。このため、デッドタイムはCR回路11の時定数τにより適宜調整可能となるので、デッドタイムが短すぎることに起因する同時オンの発生や、逆にデッドタイムが長すぎることに起因する余計な損失を抑制することができる。
【0031】
(2)CR回路11の時定数τの設定は細かなレベルで可能であるので、デッドタイムを高精度に設定することができ、ひいては損失防止に効果が高くなる。
(3)スイッチング素子5,6を駆動するのにドライバICが不要であるので、ドライバICの使用に起因する損失悪化を防止することができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図4及び図5に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態のデッドタイム生成回路7の回路構成を変更した一実施例であって、他の基本的な構成は第1実施形態と同様である。よって、本例は、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0033】
図4に示すように、本例のデッドタイム生成回路7は、メインスイッチング素子5用の第1CR回路21と、同期整流用スイッチング素子6用の第2CR回路22とが設けられている。第1CR回路21は、メインスイッチング素子5のオンタイミング(オン速度、オフ速度)を調整するために機能する。また、第2CR回路22は、同期整流用スイッチング素子6のオンタイミング(オン速度、オフ速度)を調整するために機能する。
【0034】
第1CR回路21は、抵抗23とコンデンサ24との間に逆方向のダイオード25を有する回路となっている。また、第2CR回路22は、抵抗26とコンデンサ27との間に順方向のダイオード28を有する回路となっている。本例のデッドタイム生成回路7は、抵抗23及びダイオード25と、抵抗26及びダイオード28とが並列接続の回路をとる。この回路は、ダイオード25及び抵抗26の中点P3がコントローラ4の制御端子4aに接続され、抵抗23及びダイオード28の中点P4が中点P1(両スイッチング素子5,6のゲート端子)に接続されている。コンデンサ24は、一端が制御端子4a及び中点P3に接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサ27は、一端が中点P1に接続され、他端がグランドに接続されている。
【0035】
同期整流用スイッチング素子6には、損失抑制用のダイオード29が並列接続されている。このダイオード29は、例えばショットキーバリアダイオードが使用されている。ダイオード29は、同期整流用スイッチング素子6の寄生ダイオードに起因する損失を低減するための素子である。
【0036】
さて、本例においては、デッドタイム生成回路7に一対のダイオード25,28を設けたので、これらダイオード25,28を調整することにより、各スイッチング素子5,6のオン速度とオフ速度とを自由に設定することが可能となる。このため、例えば図5(a)に示すように、駆動電圧Vaの立ち下がり勾配のみを急にしたり、或いは図5(b)に示すように、駆動電圧Vaの立ち上がり勾配のみを急にしたりすることが可能となる。
【0037】
従って、本例の場合は、デッドタイム生成回路7に設けたダイオード25,28を調整することにより、メインスイッチング素子5のオンタイミングと、同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングとを、それぞれ個別に調整することが可能となる。よって、デッドタイムを高精度に設定することが可能となるので、DC/DCコンバータ2におけるエネルギーの損失低減に一層寄与する。
【0038】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(3)に加え、以下の効果を得ることができる。
(4)各CR回路21,22にダイオード25,28を設け、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の各オンタイミングを個別に調整可能とした。このため、デッドタイムを更に高精度に設定することが可能となるので、DC/DCコンバータ2の損失低減に一層効果が高くなる。
【0039】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、静電霧化装置1に適用されることに限定されず、例えば図6に示すようなイオン発生装置41に適用してもよい。イオン発生装置41は、コンデンサ13の出力にイオン発生回路42が接続され、イオン発生回路42の放電電極に高電圧を印加することにより、放電電極からイオン粒子が放出される。この種のイオン発生装置41においても、静電霧化装置1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
・各実施形態において、デッドタイム生成回路7の回路構成は、別の構成に適宜変更可能である。
・各実施形態において、メインスイッチング素子5や同期整流用スイッチング素子6の素子種類は、別のものに適宜変更可能である。
【0041】
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、降圧レギュレータに限定されず、昇圧レギュレータでもよい。
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、静電霧化装置1やイオン発生装置41に採用されることに限定されず、例えば電源装置など、他の装置に適用可能である。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1又は2において、同期整流用スイッチング素子の寄生ダイオードにより発生し得る損失を抑制するダイオードを備えた。この構成によれば、DC/DCコンバータの損失低減に一層効果が高くなる。
【符号の説明】
【0043】
1…静電霧化装置、2…DC/DCコンバータ、4…コントローラ、4a…共通端子としての制御端子、5…メインスイッチング素子、6…同期整流用スイッチング素子、7…デッドタイム生成回路、11…CR回路、21…第1CR回路、22…第2CR回路、25…ダイオード、28…ダイオード、41…イオン発生装置、Vin…入力電圧、Va…駆動電圧、τ…時定数。
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧を所定値に変換出力するDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電霧化装置の電極を冷却する電源回路として、DC/DCコンバータが使用されている。DC/DCコンバータとしては、図7のように、DC/DCコンバータの一部である昇圧/降圧チョッパ回路において、メインのスイッチング素子81と同期させながら同期整流用スイッチング素子82をスイッチングして、所望の直流電圧を出力する同期整流方式が知られている(特許文献1,2等参照)。同期整流方式は、例えば図8のような転流ダイオード83を使用した場合に比べ、転流ダイオード83による損失がそのまま同期整流用スイッチング素子82の損失に成り代わるので、DC/DCコンバータ全体の損失を少なく抑えられる利点がある。
【0003】
ところで、この種の同期整流方式において、図9に示すように、仮にメインスイッチング素子81と同期整流用スイッチング素子82とが同時にオンしてしまうと、回路に貫通電流Izが流れてしまい、これがDC/DCコンバータの損失を悪化させる要因になる。貫通電流Izを防止する対策としては、図10に示すように、DC/DCコンバータに同期整流用の専用IC(Integrated Circuit)84を設けて、メインスイッチング素子81と同期整流用スイッチング素子82とが同時にオンしないように、図11に示すようなデッドタイムを設ける対策が周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4423464号公報
【特許文献2】特開2008−72872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記対策の場合は、DC/DCコンバータに専用IC84を設ける必要があり、回路構成の簡素化に支障を来す問題があった。また、専用IC84の場合、ICの種類によってデッドタイムが固定されていることが多く、細かい時間設定ができない問題もある。このデッドタイムには、好適な時間があり、時間の長短によっては、逆に損失が悪化する懸念がある。また、通常は、図12に示すように、専用IC84と各スイッチング素子81,82との間にドライバIC85を設けることになるが、同期整流化によって抑えられた消費電力が、ドライバIC85の消費電力によって相殺されてしまう懸念もあった。
【0006】
本発明の目的は、例えば専用ICやドライバICを使用せずに、同期整流化を実現することができるDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式にて、直流の入力電圧を特定の直流に変換して出力するDC/DCコンバータにおいて、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明では、前記デッドタイム生成回路は、前記メインスイッチング素子用のCR回路と、前記同期整流用スイッチング素子用のCR回路とを備え、一対の前記CR回路の一方に順方向のダイオードを設け、他方に逆方向のダイオードを設けることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングを、各々個別に調節可能としたことを要旨とする。
【0009】
本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極に印加して当該放電電極からイオン粒子を放出するイオン発生装置において、前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【0010】
本発明では、メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極及び対向電極の間に印加して、当該放電電極に発生した帯電微粒子水を前記対向電極から放出する静電霧化装置において、前記DC/DCコンバータは、前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば専用ICやドライバICを使用せずに、同期整流化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態のDC/DCコンバータの回路図。
【図2】駆動電圧の変化とメインスイッチング素子及び同期整流用スイッチング素子のオン/オフの変化との関係を示す波形図。
【図3】CR回路の時定数切り換えに伴う駆動電圧の変化態様を示す波形図。
【図4】第2実施形態のDC/DCコンバータの回路図。
【図5】(a),(b)はCR回路の時定数切り換えに伴う駆動電圧の変化態様を示す波形図。
【図6】別例のDC/DCコンバータの回路図。
【図7】従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図8】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図9】貫通電流とメインスイッチング素子及び同期整流用スイッチング素子のオン/オフ状態との関係を示す波形図。
【図10】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【図11】デッドタイムを説明する波形図。
【図12】他の従来のDC/DCコンバータの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化したDC/DCコンバータ、イオン発生装置及び静電霧化装置の第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、静電霧化装置1には、降圧チョッパレギュレータとして機能するDC/DCコンバータ2と、DC/DCコンバータ2から変換出力された直流電圧を基に駆動する静電霧化回路3とが設けられている。DC/DCコンバータ2は、入力電圧Vinを繰り返しのスイッチング制御にて所定の直流電流に変換出力する。静電霧化回路3は、ペルチェ方式により放電電極を冷却して、放電電極の表面に水分を付着させる。そして、静電霧化回路3は、DC/DCコンバータ2から入力する直流電圧をパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極と対向電極との間に印加することにより、ミスト状の帯電微粒子水を対向電極から大気中に放出する。
【0015】
DC/DCコンバータ2には、DC/DCコンバータ2の動作を制御するコントローラ4が設けられている。コントローラ4には、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の直列回路が接続されている。メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6とコントローラ4との間には、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングの間にデッドタイムを生成させるデッドタイム生成回路7が接続されている。
【0016】
コントローラ4は、1チップのICからなり、電源とグランドとの間に接続されている。コントローラ4は、1つの制御端子4aから、1本の駆動経路Lを介してメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6に制御信号Svを出力することにより、スイッチング素子5,6をスイッチング制御する。このように、本例のDC/DCコンバータ2は、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の駆動経路Lを一箇所からとる回路構成をとる。コントローラ4の入力側には、入力用のコンデンサ8が接続されている。なお、制御端子4aが共通端子に相当する。
【0017】
メインスイッチング素子5は、PチャンネルFET(Field Effect Transistor)が使用され、ドレイン端子がコントローラ4の電源端子4bに接続され、ソース端子が同期整流用スイッチング素子6に接続され、ゲート端子がデッドタイム生成回路7に接続されている。メインスイッチング素子5は、PチャンネルFETであるので、この素子のスレッシュホールド電圧をVthpとした場合、ゲート端子にかかる電圧がVthp以下のときにオンする。
【0018】
また、同期整流用スイッチング素子6は、ドレイン端子がメインスイッチング素子5に接続され、ソース端子がコントローラ4のグランド端子4cに接続され、ゲート端子がデッドタイム生成回路7に接続されている。同期整流用スイッチング素子6は、NチャンネルFETであるので、この素子のスレッシュホールド電圧をVthn(>Vthp)とした場合、ゲート端子にかかる電圧がVthn以上のときにオンする。
【0019】
デッドタイム生成回路7は、抵抗9とコンデンサ10とを直列接続したCR回路11からなり、コンデンサ10を出力としてとる回路となっている。このため、本例のCR回路11は、抵抗9の入力側がコントローラ4の制御端子4aに接続され、抵抗9とコンデンサ10との中点P1がメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の両ゲート端子に接続されている。CR回路11は、コントローラ4から入力する制御信号Svを、所定の立ち下がり及び立ち上がりの勾配を持つ駆動電圧Vaに変換して、これをスイッチング素子5,6にオン/オフの電源として供給する。
【0020】
図2に示すように、駆動電圧Va(中点P1における電圧)の波形変化は、CR回路11の時定数τ(=1/CR)によって決まる立ち下がり及び立ち上がりの勾配を持つ。即ち、駆動電圧Vaは、最大値から値が徐々に下がる勾配をとり、「0」になった後、値が上昇していく勾配をとる。よって、この電圧変化を利用してメインスイッチング素子5と同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングをずらせば、専用ICを使用しなくても、駆動電圧Vaにてメインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフする領域、いわゆるデッドタイムを発生させることが可能となる。本例は、この原理を利用して、メインスイッチング素子5と同期整流用スイッチング素子6との間にデッドタイムを設け、同時オンに起因する貫通電流の発生を防止する。
【0021】
メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の中点P2と、同期整流用スイッチング素子6のソース端子との間には、共振用のインダクタ12及びコンデンサ13が接続されている。DC/DCコンバータ2は、コンデンサ13が出力であって、降圧した直流電圧を出力電圧Voutとして静電霧化回路3に印加する。
【0022】
次に、本例のDC/DCコンバータ2の動作を、図1〜図3を用いて説明する。
静電霧化装置1は、例えば電源スイッチ(図示略)がオンされると起動を開始し、大気中の空気を帯電微粒子水として出力する動作を開始する。このとき、図1に示すように、コントローラ4は、入力電圧Vinの降圧動作を行い、制御端子4aから制御信号Svを出力する。制御信号Svは、所定レベルの電圧信号として出力される。制御信号Svは、CR回路11のコンデンサ10から、駆動電圧Vaとして両方のスイッチング素子5,6に供給される。
【0023】
ここで、図2に示すように、駆動電圧Vaは、最初、高い値から徐々に立ち下がる変化をとるので、両方のスレッシュホールド電圧Vthn,Vthpよりも高い値をとる。よって、同期整流用スイッチング素子6がオンし、一方でメインスイッチング素子5がオフする。即ち、2つのスイッチング素子5,6のうち、まずは同期整流用スイッチング素子6がオンする状態をとる。
【0024】
そして、暫くすると、駆動電圧Vaが同期整流用スイッチング素子6のスレッシュホールド電圧Vthnを下回る。このとき、メインスイッチング素子5がオフの状態を維持したまま、同期整流用スイッチング素子6がオンからオフに切り換わる。このため、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフとなり、これ以降の時間帯がデッドタイムとなる。
【0025】
続いて、暫くすると、駆動電圧Vaがメインスイッチング素子5のスレッシュホールド電圧Vthpを下回る。このとき、同期整流用スイッチング素子6がオフの状態を維持したまま、メインスイッチング素子5がオンに切り換わる。即ち、デッドタイムが終了し、2つのスイッチング素子5,6のうち、メインスイッチング素子5がオンする状態に切り換わる。
【0026】
駆動電圧Vaが「0」まで下がると、今度は駆動電圧Vaが立ち上がる変化をとる。このとき、駆動電圧Vaがメインスイッチング素子5のスレッシュホールド電圧Vthpを上回ると、同期整流用スイッチング素子6がオフを維持したまま、メインスイッチング素子5がオンからオフに切り換わる。よって、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6がともにオフとなり、これ以降の時間帯がデッドタイムとなる。
【0027】
そして、暫くすると、駆動電圧Vaが同期整流用スイッチング素子6のスレッシュホールド電圧Vthnを上回る。このとき、メインスイッチング素子5がオフの状態を維持したまま、同期整流用スイッチング素子6がオンに切り換わる。即ち、デッドタイムが終了し、2つのスイッチング素子5,6のうち、同期整流用スイッチング素子6がオンする状態に切り換わる。そして、コントローラ4が制御信号Svを出力する間、この動作が繰り返され、入力電圧Vinが所定の直流電圧に変換出力される。
【0028】
以上により、本例においては、2つのスイッチング素子5,6とコントローラ4との間に、CR回路11を有するデッドタイム生成回路7を接続し、CR回路11の時定数τから決まる電圧勾配を利用して、スイッチング素子5,6のオンタイミングをずらし、デッドタイムを発生させる。よって、CR回路11の時定数τを調整することにより、デッドタイムの長短を自由に切り換えることが可能となるので、デッドタイムを好適な値に適宜設定可能となる。このため、DC/DCコンバータ2をエネルギー損失の少ない効率のよい回路にすることが可能となる。
【0029】
また、本例の場合、CR回路11の時定数τを切り換えた際、駆動電圧Vaの立ち下がり勾配及び立ち上がり勾配は全体的に変わる変化をとる。よって、CR回路11の時定数τを高く設定すれば、図3の一点鎖線で示すような立ち下がり及び立ち上がりが急な勾配に設定することが可能である。また、CR回路11の時定数τを低く設定すれば、図3の二点差線で示すような立ち下がり及び立ち上がりが緩やかな勾配に設定することが可能である。
【0030】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)コントローラ4と両スイッチング素子5,6との間にCR回路11を接続し、CR回路11の時定数τから決まる電圧勾配の駆動電圧Vaにてスイッチング素子5,6をオンオフ制御して、スイッチング素子5,6のオンタイミングの間にデッドタイムを生成させる。このため、デッドタイムはCR回路11の時定数τにより適宜調整可能となるので、デッドタイムが短すぎることに起因する同時オンの発生や、逆にデッドタイムが長すぎることに起因する余計な損失を抑制することができる。
【0031】
(2)CR回路11の時定数τの設定は細かなレベルで可能であるので、デッドタイムを高精度に設定することができ、ひいては損失防止に効果が高くなる。
(3)スイッチング素子5,6を駆動するのにドライバICが不要であるので、ドライバICの使用に起因する損失悪化を防止することができる。
【0032】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図4及び図5に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態のデッドタイム生成回路7の回路構成を変更した一実施例であって、他の基本的な構成は第1実施形態と同様である。よって、本例は、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0033】
図4に示すように、本例のデッドタイム生成回路7は、メインスイッチング素子5用の第1CR回路21と、同期整流用スイッチング素子6用の第2CR回路22とが設けられている。第1CR回路21は、メインスイッチング素子5のオンタイミング(オン速度、オフ速度)を調整するために機能する。また、第2CR回路22は、同期整流用スイッチング素子6のオンタイミング(オン速度、オフ速度)を調整するために機能する。
【0034】
第1CR回路21は、抵抗23とコンデンサ24との間に逆方向のダイオード25を有する回路となっている。また、第2CR回路22は、抵抗26とコンデンサ27との間に順方向のダイオード28を有する回路となっている。本例のデッドタイム生成回路7は、抵抗23及びダイオード25と、抵抗26及びダイオード28とが並列接続の回路をとる。この回路は、ダイオード25及び抵抗26の中点P3がコントローラ4の制御端子4aに接続され、抵抗23及びダイオード28の中点P4が中点P1(両スイッチング素子5,6のゲート端子)に接続されている。コンデンサ24は、一端が制御端子4a及び中点P3に接続され、他端がグランドに接続されている。コンデンサ27は、一端が中点P1に接続され、他端がグランドに接続されている。
【0035】
同期整流用スイッチング素子6には、損失抑制用のダイオード29が並列接続されている。このダイオード29は、例えばショットキーバリアダイオードが使用されている。ダイオード29は、同期整流用スイッチング素子6の寄生ダイオードに起因する損失を低減するための素子である。
【0036】
さて、本例においては、デッドタイム生成回路7に一対のダイオード25,28を設けたので、これらダイオード25,28を調整することにより、各スイッチング素子5,6のオン速度とオフ速度とを自由に設定することが可能となる。このため、例えば図5(a)に示すように、駆動電圧Vaの立ち下がり勾配のみを急にしたり、或いは図5(b)に示すように、駆動電圧Vaの立ち上がり勾配のみを急にしたりすることが可能となる。
【0037】
従って、本例の場合は、デッドタイム生成回路7に設けたダイオード25,28を調整することにより、メインスイッチング素子5のオンタイミングと、同期整流用スイッチング素子6のオンタイミングとを、それぞれ個別に調整することが可能となる。よって、デッドタイムを高精度に設定することが可能となるので、DC/DCコンバータ2におけるエネルギーの損失低減に一層寄与する。
【0038】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(3)に加え、以下の効果を得ることができる。
(4)各CR回路21,22にダイオード25,28を設け、メインスイッチング素子5及び同期整流用スイッチング素子6の各オンタイミングを個別に調整可能とした。このため、デッドタイムを更に高精度に設定することが可能となるので、DC/DCコンバータ2の損失低減に一層効果が高くなる。
【0039】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、静電霧化装置1に適用されることに限定されず、例えば図6に示すようなイオン発生装置41に適用してもよい。イオン発生装置41は、コンデンサ13の出力にイオン発生回路42が接続され、イオン発生回路42の放電電極に高電圧を印加することにより、放電電極からイオン粒子が放出される。この種のイオン発生装置41においても、静電霧化装置1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
・各実施形態において、デッドタイム生成回路7の回路構成は、別の構成に適宜変更可能である。
・各実施形態において、メインスイッチング素子5や同期整流用スイッチング素子6の素子種類は、別のものに適宜変更可能である。
【0041】
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、降圧レギュレータに限定されず、昇圧レギュレータでもよい。
・各実施形態において、DC/DCコンバータ2は、静電霧化装置1やイオン発生装置41に採用されることに限定されず、例えば電源装置など、他の装置に適用可能である。
【0042】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1又は2において、同期整流用スイッチング素子の寄生ダイオードにより発生し得る損失を抑制するダイオードを備えた。この構成によれば、DC/DCコンバータの損失低減に一層効果が高くなる。
【符号の説明】
【0043】
1…静電霧化装置、2…DC/DCコンバータ、4…コントローラ、4a…共通端子としての制御端子、5…メインスイッチング素子、6…同期整流用スイッチング素子、7…デッドタイム生成回路、11…CR回路、21…第1CR回路、22…第2CR回路、25…ダイオード、28…ダイオード、41…イオン発生装置、Vin…入力電圧、Va…駆動電圧、τ…時定数。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式にて、直流の入力電圧を特定の直流に変換して出力するDC/DCコンバータにおいて、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路と
を備えたことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記デッドタイム生成回路は、前記メインスイッチング素子用のCR回路と、前記同期整流用スイッチング素子用のCR回路とを備え、
一対の前記CR回路の一方に順方向のダイオードを設け、他方に逆方向のダイオードを設けることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングを、各々個別に調節可能とした
ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極に印加して当該放電電極からイオン粒子を放出するイオン発生装置において、
前記DC/DCコンバータは、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えた
ことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項4】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極及び対向電極の間に印加して、当該放電電極に発生した帯電微粒子水を前記対向電極から放出する静電霧化装置において、
前記DC/DCコンバータは、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えた
ことを特徴とする静電霧化装置。
【請求項1】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式にて、直流の入力電圧を特定の直流に変換して出力するDC/DCコンバータにおいて、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路と
を備えたことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記デッドタイム生成回路は、前記メインスイッチング素子用のCR回路と、前記同期整流用スイッチング素子用のCR回路とを備え、
一対の前記CR回路の一方に順方向のダイオードを設け、他方に逆方向のダイオードを設けることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングを、各々個別に調節可能とした
ことを特徴とする請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極に印加して当該放電電極からイオン粒子を放出するイオン発生装置において、
前記DC/DCコンバータは、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えた
ことを特徴とするイオン発生装置。
【請求項4】
メインスイッチング素子と同期整流用スイッチング素子とを交互にオンする同期整流方式で動作するDC/DCコンバータによって、直流の入力電圧を特定の直流に変換し、変換後の直流電圧をスイッチングしてパルス状の電圧に変換するとともに昇圧し、昇圧後の高電圧を放電電極及び対向電極の間に印加して、当該放電電極に発生した帯電微粒子水を前記対向電極から放出する静電霧化装置において、
前記DC/DCコンバータは、
前記スイッチング素子及び前記同期整流用スイッチング素子を、1つの共通端子から出力される駆動電圧にてスイッチング制御するコントローラと、
前記コントローラから両スイッチング素子に印加される前記駆動電圧を、CR回路の時定数を利用して勾配のある波形とすることにより、前記メインスイッチング素子と前記同期整流用スイッチング素子とのオンタイミングをずらして、両者がともにオンしないデッドタイムを生成するデッドタイム生成回路とを備えた
ことを特徴とする静電霧化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−78226(P2013−78226A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217515(P2011−217515)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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