説明

DICOM通信システム及びDICOM通信プログラム

【課題】DICOM通信において、AEタイトル等の医用装置ごとの情報をサーバに登録して更新する仕様や他の医用装置の情報をサーバから検索する仕様等の拡張仕様を既存の運用に影響を与えることなく導入することが可能なDICOM通信システム及びDICOM通信プログラムを提供することである。
【解決手段】本発明の実施形態に係るDICOM通信システムは、登録情報記憶部、登録部及び変更部を備える。登録部は、医用装置のDICOM通信クライアントから前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報の登録要求を受けて前記登録情報記憶部に前記装置情報を書き込む。変更部は、前記登録情報記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、DICOM通信システム及びDICOM通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療画像データの通信規格としてDICOM (Digital Imaging and Communications in Medicine)が知られている。医用装置のサービスエンジニア等のユーザは、医用装置を設置してネットワークに接続する際に医用装置ごとに接続条件を設定している。ネットワークに接続された各医用装置は、アプリケーションレベルではAE (Application Entity)を識別するためのAEタイトルで相互の認識が行われる。
【0003】
従って、新たに医用装置をネットワークに接続する場合、AEタイトルのユニーク性を確保する必要がある。そこで、AEタイトル専用のレジストリ(登録簿)が用意され、AEタイトルが重複して設定されないように管理されている。そして、AEタイトルが重複している場合には、ユーザがAEタイトルを変更して再登録することが必要となる。
【0004】
また、DICOM通信では、拡張仕様が補遺(Supplement)として作成されている。DICOM Supplement 67 - Configuration Management は、DICOM通信の専用サーバに各医用装置の情報を保存し、保存された医用装置の情報をその医用装置から更新(Update)するための仕様と、DICOM通信の専用サーバに保存された他の医用装置の情報を検索(Query)するための仕様を規定している。つまり、専用サーバに保存された医用装置のAEタイトル等の自局情報を更新する仕様と、専用サーバにアクセスして医用装置の他局情報を検索する仕様がSupplement 67に定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、医用画像データ通信へのSupplement 67の導入は進んでいない。これは、複数の医用装置が相互に接続された既存のDICOM通信ネットワークにSupplement 67用の専用サーバを新たに設置すると、既存の医用装置を含む全ての医用装置のAEタイトルの登録が必要となることに起因している。すなわち、新規装置を新たに接続し、既存装置のAEタイトルと同じAEタイトルを先に新規装置用に専用サーバに登録してしまうと、既存装置のAEタイトルの専用サーバへの登録ができなくなる。この場合、既存装置のUpdateトランザクションがエラーとなり、既存装置のAEタイトルを変更せざるを得なくなる。このため、既存のAEタイトルを用いたDICOM通信の運用ができなくなる。
【0007】
AEタイトルの重複登録を避け、既存のAEタイトルを用いたDICOM通信の運用を続けるためには、全ての既存装置のAEタイトルを全て抽出し、重複しないAEタイトルを新規装置に割り当てることも考えられる。しかしながら、そのためには専用サーバから各既存装置にAEタイトルを問い合わせて登録する仕組みが新たに必要となる。更に、画像診断装置等の医用装置が撮像中である場合に専用サーバからの問い合わせがあると、撮像に悪影響がでる恐れがある。従って、専用サーバが既存装置に問い合わせることは、医療安全の観点から好ましくない。
【0008】
本発明は、DICOM通信において、AEタイトル等の医用装置ごとの情報をサーバに登録して更新する仕様や他の医用装置の情報をサーバから検索する仕様等の拡張仕様を既存の運用に影響を与えることなく導入することが可能なDICOM通信システム及びDICOM通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係るDICOM通信システムは、登録情報記憶部、登録部及び変更部を備える。登録部は、医用装置のDICOM通信クライアントから前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報の登録要求を受けて前記登録情報記憶部に前記装置情報を書き込む。変更部は、前記登録情報記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する。
【0010】
また、本発明の実施形態に係るDICOM通信システムは、DICOM通信サーバ及びDICOM通信クライアントとを備える。DICOM通信クライアントは、ネットワークを介して前記DICOM通信サーバと接続され、医用装置に設けられる。また前記DICOM通信クライアントは、装置情報記憶部及び登録要求部を有する。装置情報記憶部は、前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報を記憶する。登録要求部は、前記装置情報の登録要求を前記DICOM通信サーバに前記ネットワークを介して送信する。一方、前記DICOM通信サーバは、登録情報記憶部、登録部及び変更部を備える。登録情報記憶部は、前記装置情報の登録要求を受けて前記登録情報記憶部に前記装置情報を書き込む。変更部は、前記登録情報記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する。
【0011】
また、本発明の実施形態に係るDICOM通信プログラムは、コンピュータを、医用装置のDICOM通信クライアントから前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報の登録要求を受けて記憶部に前記装置情報を書き込む登録部、及び前記記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する変更部として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るDICOM通信システムの構成図。
【図2】図1に示す複数の医用装置の装置情報記憶部10にそれぞれ保存される装置情報の一例を示す図。
【図3】図1に示すDICOM通信システムにおいて医用装置のAEタイトルを含む装置情報をDICOM通信サーバに登録する際の流れを示すシーケンスチャート。
【図4】図1に示すDICOM通信サーバにおいて新規装置のAEタイトルを変更するための判定処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るDICOM通信システム及びDICOM通信プログラムについて添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るDICOM通信システムの構成図である。
【0015】
DICOM通信システム1は、DICOM通信サーバ2と、複数の医用装置3A、3Bに設けられた通信端末等のDICOM通信クライアントとをネットワーク4を介して接続した構成である。尚、医用装置3A、3BのDICOM通信クライアント以外の構成については省略する。このため、以下、医用装置3A、3BとDICOM通信クライアントとを区別せずに説明する。
【0016】
医用装置3A、3Bには、超音波診断装置、X線CT (computed tomography)装置、磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)、核医学診断装置、X線診断装置等の画像診断装置や病院情報システム(HIS: hospital information system)、放射線情報システム(RIS: radiology information system)、医用画像保管通信システム(PACS: picture archiving and communication system)、臨床検査情報システム(LIS: Laboratory Information System)等の医用情報システムなどがある。尚、医用情報システムにDICOM通信サーバ2を内蔵することもできる。
【0017】
医用装置3A、3Bには、DICOM通信サーバ2に既に接続されている既存装置3AとDICOM通信サーバ2に新たに接続した新規装置3Bとがある。
【0018】
DICOM通信サーバ2は、入力装置2A、記憶装置2B及び演算装置2Cを備えたコンピュータを用いて構成される。DICOM通信サーバ2は、記憶装置2Bに保存されたサーバ用DICOM通信プログラムを演算装置2Cに読み込ませることにより、コンピュータの演算装置2Cを装置情報登録応答部5、AEタイトル重複検知部6、AEタイトル生成更新部7、AEタイトル検索応答部8として、記憶装置2Bを登録情報記憶部9として、それぞれ機能させたものである。
【0019】
一方、新規装置3Bには、入力装置3Cの他、DICOM通信を行うための装置情報記憶部10、装置情報登録要求部11、AEタイトル検索要求部12、AEタイトル変更検知部13及びAEタイトル変更部14が設けられる。これらの要素も新規装置3Bに備えられる記憶装置に保存されたクライアント用DICOM通信プログラムを演算装置に読み込ませることにより構築することができる。図1において既存装置3Aの詳細構成は省略しているが、少なくとも装置情報記憶部10及び装置情報登録要求部11を備えており、新規装置3Bと同様に構成することもできる。また、新規装置3B及び既存装置3AのDICOM通信に関連しない要素については省略する。
【0020】
尚、DICOM通信サーバ2及び医用装置3A、3BのDICOM通信用の一部の要素を構成するために回路を用いてもよい。また、DICOM通信サーバ用プログラム及びDICOM通信クライアント用プログラムは、CD (compact disc)やUSB (Universal Serial Bus)メモリー等のメディアに記録してプログラムプロダクトとして流通させることもできる。
【0021】
各医用装置3A、3Bの装置情報記憶部10には、AEタイトルを含むDICOM通信に必要な医用装置3A、3Bごとの装置情報が保存される。AEタイトル等のユーザが任意に設定できる装置情報は、医用装置3A、3Bに接続された入力装置3Cの操作によって装置情報記憶部10に入力することができる。設定されたAEタイトルは、医用装置3A、3Bの識別情報として用いられる。
【0022】
図2は、図1に示す複数の医用装置3A、3Bの装置情報記憶部10にそれぞれ保存される装置情報の一例を示す図である。
【0023】
図2は、2つの既存装置3A及び1つの新規装置3Bにそれぞれ保存される装置情報の例を示している。装置情報の設定項目としては、図2に示すように、ホスト名、IP (Internet Protocol)アドレス、AEタイトル、ポート番号及びサービス種等の医用装置3A、3Bの属性情報に加え、医用装置3A、3Bが新規である既存であるかを示すステータスが挙げられる。
【0024】
例えば、既存装置3Aである医用装置Aの装置情報では、ホスト名の設定値がHostAに、IPアドレスの設定値が192.168.0.10に、AEタイトルの設定値がDICOM_LOCAL_SCUに、ポート番号の設定値が104に、サービス種の設定値がMWMに、ステータスの設定値が既存に、それぞれ設定されている。医用装置B及び医用装置Cについても同様に図2に示すように装置情報がそれぞれ設定されている。但し、医用装置Cは新規装置3Bであるため、ステータスの値が新規となっている。
【0025】
尚、SCU (Service Class User)はDICOM通信において特定のサービスを利用する側であることを示しており、SCP (Service Class Provider)はサービスを提供する側であることを示しえいる。MWM(Modality Worklist Management)は、モダリティがRIS等の医用システムに問い合わせて予約済み検査情報を検索する予約検査情報発行制御を行うサービスであり、MPPS (Modality Performed Procedure Step)は、モダリティによる検査の実施状況をRIS等の医用システムに伝える検査状態通知制御を行うサービスである。また、STORAGEは、画像情報の送信及び受信を行うサービスである。
【0026】
装置情報登録要求部11は、装置情報記憶部10に保存された装置情報を取得して、装置情報の登録要求を、ネットワーク4を介してDICOM通信サーバ2に送信する機能を有する。
【0027】
DICOM通信サーバ2の装置情報登録応答部5は、医用装置3A、3Bの装置情報登録要求部11から装置情報とともに装置情報の登録要求を受けた場合に、登録要求を受けた装置情報のステータスが新規であるか既存であるかを判定する機能と、登録要求を受けた装置情報のステータスが新規である場合には登録要求を受けた装置情報を登録情報記憶部9に書き込む機能を有する。また、装置情報登録応答部5は、登録要求を受けた装置情報のステータスが既存である場合には、ステータスが既存であり、かつ登録要求を受けた装置情報のAEタイトルと同一のAEタイトルを設定値とする装置情報が登録情報記憶部9に保存されているか否かを判定し、保存されていないと判定された場合には登録要求を受けた装置情報を登録情報記憶部9に書き込む機能を有する。
【0028】
従って、登録情報記憶部9には、図2に示すような複数の医用装置3A、3Bに対応する複数の装置情報が保存され、集中管理可能な装置情報のデータベースが構築される。そして、登録情報記憶部9に、装置情報が保存されることにより、その装置情報の登録が実行される。また、既存装置3A間では、AEタイトルの重複登録がなく、AEタイトルのユニーク性が確保される一方、既存装置3AのAEタイトルと同一のAEタイトルを設定値とする新規装置3Bの装置情報を登録させることができる。従って、新規装置3Bと既存装置3A間においてはAEタイトルが重複登録される場合がある。
【0029】
AEタイトル重複検知部6は、登録情報記憶部9に保存されている複数の医用装置3A、3Bに対応する装置情報を検索し、新規装置3Bと既存装置3A間において重複しているAEタイトルを検知する機能と、重複しているAEタイトルを検知した場合には、検知したAEタイトルをAEタイトル生成更新部7に通知する機能を有する。AEタイトル重複検知部6は、例えば、予め指定された時間や入力装置2Aからの指示情報などをトリガとして登録情報記憶部9を検索するように構成することができる。或いは、装置情報登録応答部5が、既存装置3Aの装置情報を登録情報記憶部9に書き込む都度、装置情報が登録されたことをAEタイトル重複検知部6に通知し、AEタイトル重複検知部6が、装置情報登録応答部5からの通知をトリガとして登録情報記憶部9を検索するように構成することもできる。
【0030】
AEタイトル生成更新部7は、AEタイトル重複検知部6から重複するAEタイトルを受けた場合に、装置情報記憶部10に保存されていない新たなAEタイトルを生成する機能と、生成した新たなAEタイトルをステータスの設定値が新規となっている新規装置3Bの装置情報に割り当てることによって装置情報記憶部10に保存されているAEタイトルを更新する機能を有する。
【0031】
尚、新規装置3Bの装置情報において重複しているAEタイトルが更新された場合に、AEタイトル生成更新部7が装置情報のステータスの設定値を既存に更新するようにしてもよい。但し、AEタイトルが更新され、重複していないことを示す情報をAEタイトル生成更新部7が装置情報に付加し、入力装置2Aからの指示情報などをトリガとしてステータスの設定値を既存に更新するようにしてもよい。
【0032】
AEタイトル検索応答部8は、医用装置3A、3BからAEタイトルの検索要求をネットワーク4を介して受信した場合に、登録情報記憶部9を検索して対応するAEタイトルを取得する機能と、取得したAEタイトルを対応する医用装置3A、3Bにネットワーク4を介して送信することによって通知する機能を有する。
【0033】
一方、医用装置3A、3BのAEタイトル検索要求部12は、DICOM通信サーバ2の登録情報記憶部9に登録された自局情報であるAEタイトルの検索要求情報を、所望の時点においてネットワーク4を介してDICOM通信サーバ2のAEタイトル検索応答部8に送信する機能と、要求に対する応答としてAEタイトル検索応答部8から取得したAEタイトルをAEタイトル変更検知部13に与える機能とを有する。検索要求情報の送信のためのトリガとしては、入力装置3Cからの指示情報やイメージング動作の終了情報などを用いることができる。
【0034】
AEタイトル変更検知部13は、装置情報記憶部10に保存された、つまり初期設定されたAEタイトルを取得し、装置情報記憶部10に保存されたAEタイトルとAEタイトル検索応答部8から取得したAEタイトルとを比較することによりAEタイトルの変更を検知する機能を有する。すなわち、AEタイトル変更検知部13は、新規装置3Bにおいて初期設定されたAEタイトルがDICOM通信サーバ2において変更されて登録されたか否かを検知する機能を備えている。そして、AEタイトル変更検知部13は、AEタイトルが変更されている場合にはAEタイトル検索応答部8から取得したAEタイトルを、AEタイトル変更部14に与えるように構成される。
【0035】
尚、AEタイトル検索要求部12が、AEタイトル検索応答部8から取得したAEタイトルを初期設定されたAEタイトルとは別に装置情報記憶部10に一旦書き込み、AEタイトル変更検知部13が入力装置3Cからの指示情報などのトリガに応答して装置情報記憶部10から読み込んだ2つのAEタイトルを比較するように構成してもよい。
【0036】
AEタイトル変更部14は、AEタイトル変更検知部13からDICOM通信サーバ2における変更後のAEタイトルを取得した場合には、装置情報記憶部10に保存されたAEタイトルを、変更後のAEタイトルに更新する機能を有する。
【0037】
尚、装置情報記憶部10に保存された装置情報のステータスの設定値は、入力装置3Cの操作によって、所望のタイミングで新規から既存に変更することができる。例えば、全ての既存装置3Aの装置情報がDICOM通信サーバ2に登録された後などに入力装置3Cの操作によってステータスを新規から既存に変更することができる。
【0038】
次にDICOM通信システム1の動作および作用について説明する。
【0039】
図3は、図1に示すDICOM通信システム1において医用装置3A、3BのAEタイトルを含む装置情報をDICOM通信サーバ2に登録する際の流れを示すシーケンスチャートである。
【0040】
ここでは、既存装置3AのAEタイトルと同一のAEタイトルを含む新規装置3Bの装置情報を既存装置3Aよりも先にDICOM通信サーバ2に登録する場合を例に説明する。
【0041】
まずステップS1において、新規装置3Bにおいて、AEタイトルを含む装置情報が設定される。設定された装置情報は、新規装置3B内の装置情報記憶部10に保存される。
【0042】
次に、ステップS2において、新規装置3Bの装置情報登録要求部11は、装置情報記憶部10に保存された装置情報を取得して、DICOM通信サーバ2に装置情報の登録要求を行う。
【0043】
そうすると、ステップS3において、DICOM通信サーバ2の装置情報登録応答部5は、登録要求を受けた装置情報のステータスが新規であるか既存であるかを判定する。そして、装置情報登録応答部5は、装置情報のステータスが新規であると判定する。
【0044】
このため、ステップS4において、装置情報登録応答部5は、新規装置3Bの装置情報をDICOM通信サーバ2の登録情報記憶部9に書き込む。これにより、DICOM通信サーバ2に新規装置3Bの装置情報が登録される。
【0045】
一方、ステップS5において、新規装置3Bは撮像が可能となり、撮像状態又は休止状態となる。
【0046】
次に、ステップS6において、既存装置3Aにおいて、AEタイトルを含む装置情報が設定される。設定された装置情報は、既存装置3A内の装置情報記憶部に保存される。
【0047】
次に、ステップS7において、既存装置3Aの装置情報登録要求部は、既存装置3Aの装置情報記憶部に保存された装置情報を取得して、DICOM通信サーバ2に装置情報の登録要求を行う。
【0048】
そうすると、ステップS8において、DICOM通信サーバ2の装置情報登録応答部5は、登録要求を受けた装置情報のステータスが新規であるか既存であるかを判定する。そして、装置情報登録応答部5は、装置情報のステータスが既存であると判定する。このため、装置情報登録応答部5は、同一のAEタイトルを設定値とする他の既存装置3Aの装置情報が登録情報記憶部9に保存されているか否かを判定する。ここでは、装置情報登録応答部5は、同一のAEタイトルを設定値とする他の既存装置3Aの装置情報が登録情報記憶部9に保存されていないと判定するものとする。
【0049】
このため、ステップS9において、装置情報登録応答部5は、登録要求を受けた既存装置3Aの装置情報を登録情報記憶部9に書き込む。これにより、DICOM通信サーバ2に既存装置3Aの装置情報が登録される。また、装置情報登録応答部5は、既存装置3Aの装置情報が登録されたことをAEタイトル重複検知部6に通知する。
【0050】
そうすると、ステップS10において、AEタイトル重複検知部6は、登録情報記憶部9に保存されている複数の医用装置3A、3Bに対応する装置情報を検索し、新規装置3Bと既存装置3A間において重複しているAEタイトルが存在するか否かを判定する。ここでは、AEタイトル重複検知部6が重複しているAEタイトルが存在すると判定するものとする。このため、AEタイトル重複検知部6は、重複しているAEタイトルを検知し、検知したAEタイトルをAEタイトル生成更新部7に通知する。
【0051】
尚、AEタイトル重複検知部6は、入力装置2Aからの検索開始の指示情報をトリガとして重複しているAEタイトルの検索を開始するようにしてもよい。
【0052】
次に、ステップS11において、AEタイトル生成更新部7は、装置情報記憶部10に保存されていない新たなAEタイトルを生成し、生成した新たなAEタイトルを新規装置3Bの装置情報に割り当てる。これにより、装置情報記憶部10に保存されている新規装置3BのAEタイトルが更新される。
【0053】
一方、ステップS12において、既存装置3Aは撮像が可能となり、撮像状態又は休止状態となる。
【0054】
また、新規装置3Bの撮像が終了し、休止状態となる。そして、例えば新規装置3Bの入力装置3CからAEタイトル検索要求部12にDICOM通信サーバ2へのAEタイトルの検索要求指示が入力される。
【0055】
そうすると、ステップS13において、新規装置3BのAEタイトル検索要求部12は、DICOM通信サーバ2に、新規装置3BのAEタイトルの検索要求を行う。
【0056】
このため、ステップS14において、DICOM通信サーバ2のAEタイトル検索応答部8は、登録情報記憶部9を検索し、対応する新規装置3BのAEタイトルを取得する。そして、AEタイトル検索応答部8は、取得したAEタイトルを新規装置3Bに通知する。
【0057】
次に、ステップS15において、新規装置3BのAEタイトル検索要求部12は、AEタイトル検索応答部8からAEタイトルを取得し、取得したAEタイトル変更検知部13に与える。そして、AEタイトル変更検知部13は、装置情報記憶部10に保存されたAEタイトルとAEタイトル検索応答部8から取得したAEタイトルとを比較することによりDICOM通信サーバ2において自局のAEタイトルが変更されたか否かを判定する。AEタイトルは、ステップS11において変更されているため、AEタイトル変更検知部13はAEタイトルが変更されたと判定し、AEタイトルの変更を検知する。そして、AEタイトル変更検知部13は、AEタイトル検索応答部8から取得した変更後のAEタイトルをAEタイトル変更部14に与える。
【0058】
次に、ステップS16において、AEタイトル変更部14は、装置情報記憶部10に保存されたAEタイトルを、AEタイトル変更検知部13から取得した変更後のAEタイトルに更新する。これにより、装置情報記憶部10には、重複しないようにDICOM通信サーバ2において変更されたAEタイトルが保存される。
【0059】
そして、ステップS17において、新規装置3Bは撮像が可能となり、撮像状態又は休止状態となる。
【0060】
一方、ステップS18において、DICOM通信サーバ2は、装置情報の登録要求及びAEタイトルの検索要求の監視状態となる。
【0061】
図4は、図1に示すDICOM通信サーバ2において新規装置3BのAEタイトルを変更するための判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
DICOM通信サーバ2側において新規装置3BのAEタイトルを変更する処理は、例えば図4に示すフローチャートのようになる。
【0063】
すなわち、ステップS20において、DICOM通信サーバ2は、装置情報の登録要求の監視状態となっている。
【0064】
そして、医用装置3A、3Bから装置情報の登録要求があると、ステップS21において、装置情報登録応答部5は、登録要求が検知されたと判定する。
【0065】
次に、ステップS22において、装置情報登録応答部5は、登録要求されている装置情報において、AEタイトルが更新されているか否かを判定する。
【0066】
そして、AEタイトルが更新されていると判定された場合には、ステップS23において、装置情報登録応答部5が、登録要求があった装置情報が新規装置3Bのものであるか否かを判定する。すなわち、装置情報のステータスが新規であるか既存であるかが判定される。
【0067】
そして、登録要求があった装置情報が新規装置3Bのものでないと判定された場合には、ステップS24において、AEタイトル重複検知部6が、AEタイトルが重複しているか否かを判定する。つまり、登録情報記憶部9に、登録要求のあったAEタイトルと同一のAEタイトルを含む装置情報が保存されているか否かが判定される。
【0068】
そして、AEタイトルが重複していると判定され、かつ装置情報登録応答部5が登録要求のあったAEタイトルと同一のAEタイトルを含む他の既存装置3Aの装置情報が登録情報記憶部9に保存されていないと判定した場合には、ステップS25において、AEタイトルの重複先が新規装置3Bであると判定される。
【0069】
この場合、ステップS26において、AEタイトル生成更新部7は、装置情報記憶部10に保存されている新規装置3BのAEタイトルを付け替えて変更する。
【0070】
一方、ステップS21〜ステップS25の判定においてNOと判定された場合には、装置情報記憶部10に保存されている新規装置3BのAEタイトルは変更されずにDICOM通信サーバ2は装置情報の登録要求の監視状態となる。
【0071】
つまり以上のような、DICOM通信システム1は、医用装置がDICOM通信サーバ2に新たに接続された新規装置3Bであることを示す識別情報を項目として有する装置情報をDICOM通信サーバ2に登録できるようにしたものである。更に、DICOM通信システム1は、DICOM通信サーバ2に登録要求のあったAEタイトルが新規装置3Bのものである場合にはそのまま登録する一方、登録要求のあったAEタイトルが既存装置3Aのものである場合には既に登録されているAEタイトルとの重複を確認し、重複する新規装置3BのAEタイトルを変更登録するようにしたものである。
【0072】
このため、DICOM通信システム1によれば、既存装置3AのAEタイトルの登録が新規装置3BのAEタイトルの登録に対して優先される。これにより、既存装置3AのAEタイトルを変更せざるを得ないといった影響を与えることなくDICOM Supplement 67を既存のDICOM通信に導入することができる。すなわち、医用装置3A、3B側からDICOM通信サーバ2にアクセスしてDICOM通信サーバ2に保存された自局の装置情報を更新するUpdateトランザクション及び相手局のAEタイトルを含む装置情報を検索するQueryトランザクションを既存の運用に影響を与えることなくDICOM通信の拡張規格として実行することができる。
【0073】
また、DICOM通信システム1では、DICOM通信サーバ2において自動的に重複する新規装置3BのAEタイトルが変更されるとともに、新規装置3Bからの自局情報の検索要求に対する応答としてDICOM通信サーバ2から変更後のAEタイトルが新規装置3Bに通知される。つまり、DICOM通信サーバ2から医用装置3A、3Bに問い合わせせずに、新規装置3B側においてAEタイトルが変更されているか否かを所望の時点で確認し、DICOM通信サーバ2から取得した自局情報を用いてAEタイトルを再設定することができる。
【0074】
このため、撮像中である可能性のある医用装置3A、3Bへの問い合わせを回避し、医療における安全を確保することができる。また、DICOM通信サーバ2から医用装置3A、3Bへの問い合わせといった特別な規格を用いることなく、DICOM通信の規格の範囲内においてDICOM Supplement 67の導入を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 DICOM通信システム
2 DICOM通信サーバ
2A 入力装置
2B 記憶装置
2C 演算装置
3A 医用装置(既存装置)
3B 医用装置(新規装置)
3C 入力装置
4 ネットワーク
5 装置情報登録応答部
6 AEタイトル重複検知部
7 AEタイトル生成更新部
8 AEタイトル検索応答部
9 登録情報記憶部
10 装置情報記憶部
11 装置情報登録要求部
12 AEタイトル検索要求部
13 AEタイトル変更検知部
14 AEタイトル変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録情報記憶部と、
医用装置のDICOM通信クライアントから前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報の登録要求を受けて前記登録情報記憶部に前記装置情報を書き込む登録部と、
前記登録情報記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する変更部と、
を備えるDICOM通信システム。
【請求項2】
DICOM通信サーバと、
ネットワークを介して前記DICOM通信サーバと接続され、医用装置に設けられたDICOM通信クライアントとを備え、
前記DICOM通信クライアントは、
前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報を記憶する装置情報記憶部と、
前記装置情報の登録要求を前記DICOM通信サーバに前記ネットワークを介して送信する登録要求部とを有する一方、
前記DICOM通信サーバは、
登録情報記憶部と、
前記装置情報の登録要求を受けて前記登録情報記憶部に前記装置情報を書き込む登録部と、
前記登録情報記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する変更部と、
を備えるDICOM通信システム。
【請求項3】
前記新規装置のDICOM通信クライアントから変更後の識別情報の検索要求を前記ネットワークを介して受けた場合に、前記変更後の識別情報を前記登録情報記憶部から取得して前記新規装置のDICOM通信クライアントに前記ネットワークを介して送信する検索応答部を更に備える請求項1又は2記載のDICOM通信システム。
【請求項4】
前記DICOM通信クライアントは、前記変更後の識別情報を用いて前記装置情報記憶部に記憶された識別情報を更新する変更部を更に備える請求項2記載のDICOM通信システム。
【請求項5】
コンピュータを、
医用装置のDICOM通信クライアントから前記医用装置の識別情報及び前記医用装置が新規にDICOM通信に接続された新規装置であるか前記DICOM通信に接続されていた既存装置であるのかを示す情報を含む装置情報の登録要求を受けて記憶部に前記装置情報を書き込む登録部、及び
前記記憶部に新規装置の識別情報と同一の既存装置の識別情報が記憶されている場合に前記新規装置の識別情報を変更する変更部、
として機能させるDICOM通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37993(P2012−37993A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175891(P2010−175891)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】