ＤＩＮレール取付用アダプター
【課題】盤内に敷設したＤＩＮレールに例えばプログラマブルコントローラのベースユニットをレールに装着する場合に、ベースユニットに新規なネジ穴を加工するなどの面倒な作業を要することなしに、ユーザーでも容易に対応できるように改良したＤＩＮレール取付用アダプターを提供する。
【解決手段】ベースユニット１に搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレール４に装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターで、前記ベースユニット１が板金製の筐体になり、その背面の左右両端部にはネジ通し穴１ａが所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、レール取付用アダプターを、前記ベースユニット１のネジ通し穴１ａを利用してネジ締結し、ベースユニット１の左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具５と、ＤＩＮレール４に掛け留めしたベースユニット１を左右から挟んで取付金具５をレールに押さえ込む機能を備えた固定金具６とで構成する。
【解決手段】ベースユニット１に搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレール４に装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターで、前記ベースユニット１が板金製の筐体になり、その背面の左右両端部にはネジ通し穴１ａが所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、レール取付用アダプターを、前記ベースユニット１のネジ通し穴１ａを利用してネジ締結し、ベースユニット１の左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具５と、ＤＩＮレール４に掛け留めしたベースユニット１を左右から挟んで取付金具５をレールに押さえ込む機能を備えた固定金具６とで構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プログラマブルコントローラ装置などを対象に、ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターに関する。
【背景技術】
【０００２】
周知のように、頭記のプログラマブルコントローラは、プロセッサーユニット，Ｉ／Ｏユニット，電源ユニット，通信ユニットなどを組合せた電子機器ユニットの集合体をベースユニット（板金製のユニットケース）に搭載してステムを構築しており、通常は当該装置をコントロールセンターなどの制御盤内に収納し、前記ベースユニットを盤内の取付パネルにネジ止めして所定の位置に据付ける取付方式を標準として採用している。
【０００３】
次に、前記ベースユニットを制御盤内の取付パネルに固定する取付構造を図７に示す。図７において、１はプログラマブルコントローラのベースユニット、２は盤内の取付パネル、３はベースユニット１を取付パネル２の板面に締結する固定ネジである。ここで、ベースユニット１は、外形サイズをプログラマブルコントローラの仕様に合わせて設計した板金製の筐体になり、その内部にはシステムを構築する電子機器ユニットの支持部，端子台などを備えており、その板金性筐体の背面四隅にはあらかじめ所定のピッチ間隔ｄに定めて固定ネジ３のネジ通し穴１ａが穿孔されている。
【０００４】
そして、このベースユニット１を盤内の取付パネル２に取付けるには、ベースユニット１の四隅にあらかじめ穿孔されている前記ネジ通し穴１ａの位置に合わせて取付パネル２の所定位置にネジ穴２ａをネジ立て加工し、このネジ穴２ａに固定ネジ３を螺合してベースユニット１を盤内の所定位置に固定する。
【０００５】
一方、前記したプログラマブルコントローラのベースユニット１を盤内に設置する取付方法として、取付パネル２にネジ止めする代わりに盤内に敷設したＤＩＮレールにベースユニット１を架設する取付方法も従来から採用されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
このレール取付け方法では、特許文献１にも述べられているように、ベースユニットの背面左右両端にレール取付用アダプター（通常は市販の汎用製品を使用）を取付け上で、このアダプターを介してＤＩＮレールに掛止するようにしている。
【０００７】
なお、前記の取付用アダプターを介して盤内のＤＩＮレールに掛止しただけの取付構造では、外部から加わる振動などの影響を受けてプログラマブルコントローラが所定の取付位置からＤＩＮレールの長手方向に沿ってずれ動くおそれがあることから、その防止対策として前記の特許文献１では、取付用アダプターに固定補強金具を追加し、この補強金具によりベースユニットの両端部に取付けたアダプターを左右から挟んでＤＩＮレール上に押さえ込むようにしたレール取付用アダプターの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００１−１１９１５６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
ところで、ユーザーサイドで盤内に収納した電子機器ユニット（例えば、プログラマブルコントローラ）の増設，配置変更などを行う場合に、先記した従来の取付構造には次記のような問題点がある。
【００１０】
まず、図７に示した取付方法を採用して盤内に据付けた既存の機器を盤内の新しい位置に移し替えるには、その配置変更に合わせて盤内の取付パネルに新しくネジ穴を開ける必要があるが、盤内にはハーネスなどが複雑に引き回し配線されているために、ユーザーサイドでこの配置変更の作業を行うことは実際面で困難である。
【００１１】
また、盤内にＤＩＮレールを敷設してプログラマブルコントローラなどの機器をこのレールに装着する場合でも、先記した市販品のレール取付用アダプターをプログラマブルコントローラのベースユニットに取付けるには、そのアダプターの形状，サイズ，ネジ取付穴の位置に合わせてベースユニットの背面には新規にネジ穴をネジ立て加工する必要があるなど、収容機器の増設，配置変更に対して柔軟に対応することが難しい。
【００１２】
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、盤内にＤＩＮレールを敷設して先記したプログラマブルコントローラのベースユニットをレールに装着する場合に、ベースユニットに対して新規にネジ穴を開けるなどの面倒な加工作業を行うことなしに、ユーザーでも容易に対応できるように改良したＤＩＮレール取付用アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記目的を達成するために、この発明によれば、ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターであって、前記ベースユニットが板金製の筐体になり、その背面の左右両端部には固定ネジのネジ通し穴が所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、
レール取付用アダプターを、前記ネジ通し穴にネジ締結してベースユニットの左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具と、ＤＩＮレールに掛け留めしたベースユニットを左右から挟んで前記取付金具をレール上に押さえ込む固定金具とのアセンブリーから構成し（請求項１）、ここで前記の取付金具，固定金具は具体的に次記のような態様で構成するものとする。
（１）取付金具は、ベースユニットのネジ通し穴に位置を合わせて板面にネジ穴を穿孔したＬ形片を基材として、その側面には固定金具に設けた押さえ込み片を側方から嵌挿する挿入口を形成するとともに、背面にはＤＩＮレールに掛け留めする係合片を設けた構成とする（請求項２）。
（２）一方、固定金具は、ＤＩＮレールに直交して該レールの係合辺部に係合する一対の鉤形係合爪を先端に形成した爪片と、ＤＩＮレールに掛け留めした取付金具に連結して該取付金具をレール上に押さえ込む押え込み片と、該押え込み片を貫通して前記爪片に螺合した引き締めネジを備えて構成する（請求項３）。
【発明の効果】
【００１４】
上記構成のレール取付用アダプターを採用することにより、先記したプログラマブルコントローラのベースユニットをＤＩＮレールに装着するに際して、ベースユニットの背面四隅に当初から定ピッチ間隔に穿孔されている固定ネジのネジ通し穴を利用してこの位置にアダプターの取付金具をネジ止めし、この取付金具を介してベースユニットをＤＩＮレールに掛け留めすることができる。また、ベースユニットをＤＩＮレールに掛け留めした状態で、左右から前記取付金具に連結した固定金具をレール上に固定することにより、振動などの影響を受けてベースユニットがレールの長手方向にずれ動いたり脱落するのを抑止して所定の取付位置に安定支持することができる。しかも、このアダプターをベースユニットに取付ける際には新たな位置にネジ穴の加工が必要なく、これにより盤内に設置する機器の増設，配置変更にも容易に対応できてユーザーへのサービス性向上が図れる。
【００１５】
また、アダプターの取付金具の基材をＬ形片としてベースユニットの左右側縁に沿って固定したことにより、この取付金具が板金製のベースユニットを補強するフレームとしての役目も果たす。さらに、前記構造になる固定金具についても、その引き締めネジをねじ込むことにより、係合爪を手前に引き寄せてＤＩＮレールの係合辺部に掛止固定すると同時に、押え込み片を介して取付金具をＤＩＮレールに押付けてベースユニットを所定位置に安定支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】この発明によるレール取付用アダプターを採用してプログラマブルコントローラのベースユニットをＤＩＮレールに装着した状態を表す図であり、（ａ），（ｂ）はそれぞれ正面側，背面側から見た外観斜視図である。
【図２】図１でベースユニットの左右側縁に結合した取付金具の詳細構造を表す外形斜視図である。
【図３】図２の取付金具に側方から組み付ける固定金具の詳細構造を表す外形斜視図である。
【図４】図２の取付金具をベースユニットにネジ締結する作業手順の説明図である。
【図５】図３の固定金具を取付金具に組み付ける作業手順の説明図である。
【図６】図１のベースユニットに電子機器ユニットを搭載したプログラマブルコントローラをＤＩＮレールに装着した状態を表す外観斜視図である。
【図７】図１のベースユニットを盤内の取付パネルにネジ止めする作業手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、この発明の実施の形態を図１〜図６に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図７に対応する部材には同じ符号を付している。
すなわち、プログラマブルコントローラのベースユニット１をＤＩＮレール４に装着するために用いる図示実施例のレール取付用アダプターは、ベースユニット１の背面の左右両側縁に結合してＤＩＮレール４に掛け留めする左右一対の取付金具５と、該取付金具５に組み合わせて取付金具５をレール上に押さえ込む左右一対の固定金具６とのアセンブリーで構成されている。
【００１８】
ここで、取付金具５は図２で示すような縦長なＬ形鋼を基材として、その背面にはＤＩＮレール５に掛け留めする係合片５ａを設けるとともに、板面にはベースユニット１の背面四隅に穿孔したネジ通し穴１ａのピッチ間隔ｄ（図７参照）に合わせて上下二箇所にネジ穴５ｂがネジ立て加工されている。また、Ｌ形鋼の側面には後記する固定金具６の押え込み片を嵌挿連結するための挿入口（角穴）５ｃが開口している。
【００１９】
一方、固定金具６は、図３で示すように内外に重ね合わせた三つのパーツ（符号６ａ〜６ｃ）と、引き締めネジ６ｄとの組立体からなる。ここで、内外に重なり合うパーツ６ａと６ｂはＵ字形の溝鋼で、第１のパーツ６ａは爪片としてその先端側の上下端部にはＤＩＮレール４の両側縁に形成した係合辺部４ａに係合する上下一対の鉤形係合爪６ａ−１が形成されている。また、第２のパーツ６ｂは固定金具６のベース片で、その先端の中央部位がＤＩＮレール４に向けて凸状に突き出している。さらに、その外側に重なる第３のパーツ６ｃは前記取付金具５を掛け留め位置に押え込み保持するために押え込み板であり、取付金具５の側面に開口した挿入口５ｃ（図２参照）に向けてタブ状の押え込み片５ｃ−１が側方に突き出し形成されている。また、引き締めネジ６ｄはベース片６ｂ，押え込み板６ｃを貫通し、ネジの先端が爪片６ａの中央に設けた入れ子式のネジ座６ｅに螺合している。
【００２０】
次に、ベースユニット１に前記取付金具５，固定金具６を取付けてＤＩＮレール４に装着する作業手順を図４，図５で説明する。まず、図４で示すようにＬ形の取付金具５を背面側からベースユニット１の左右両側縁に重ね合わせ、この位置でベースユニット１の前方から固定ネジ３を螺合して固定金具５をベースユニット１の四隅にあらかじめ穿孔されているネジ通し穴１ａに締結する。次いで、盤内に敷設したＤＩＮレール４に対してベースユニット１の取付け位置を位置決めし、この位置でベースユニット１の背面に結合した取付棚具５の係合片５ａをレールの上側係合片部に引っ掛けてベースユニット１を所定位置に掛け留めする（図１（ｂ）参照）。
【００２１】
次に、ＤＩＮレール４に掛け留めしたベースユニット１を左右両側から挟むようにしてＤＩＮレール４の係合辺部に固定金具６の爪片６ａに形成した上下一対の鉤形係合爪６ａ−１を引っ掛ける。なお、この状態では固定金具６の引き締めネジ６ｄは弛めおく。続いて固定金具６を左右から取付金具５に寄せるようにレール上を移動しながら、その過程で固定金具６の押え込み辺６ｃ−１を取付金具５の側面に開口した挿入口５ｃに嵌挿する。そして、最後に固定金具６の引き締めネジ６ｅを前方からドライバーを用いてねじ込む。
【００２２】
この引き締めネジ６ｅのねじ込み操作により、固定金具６のベース片６ｂおよび押え込み板６ｃがＤＩＮレール４に向けて押し込まれるとともに、取付金具５は固定金具６の押え込み片６ｃ−１を介してレール上に圧接するように押さえ込まれる。また、このねじ込み操作の過程で固定金具６のベース片６ｂの先端凸部がレール面に突き当たった後、さらに引き締めネジ６ｅをねじ込むと、ベース片６ｂを固定支点に爪片６ａが前方側に引き寄せられてその先端に形成した鉤形係合爪６ａ−１がレールの係合辺部と強固に掛かり合うように引き締めされる。
【００２３】
これにより、ＤＩＮレール４の所定位置に架設したベースユニット１は左右から固定金具４に挟まれてレール上に押圧支持され、外部から加わる振動などの影響を受けてレールの長手方向にズレ動くのが防止される。また、支持金具５も固定金具６の押え込み片６ｃ−１によりレール上に強く押さえ込まれので、ベースユニット１が上下，前後方向にガタついてＤＩＮレール４から不測に脱落する畏れもなく、信頼性の高い支持状態を確保できる。
【００２４】
また、図６は図１に示したベースユニット１にプログラマブルコントローラの基本的なユニットに、拡張ユニット７，端子台８などを追加搭載してＤＩＮレール４に装着した使用状態を表している。
【００２５】
なお、図示実施例のレール取付用アダプターは、プログラマブルコントローラのベースユニット１をＤＩＮレール４に装着する場合を例に述べたが、取付金具５に開けたネジ穴５ｂのピッチ間隔ｄが同一であれば、プログラマブルコントローラ以外の電子機器ユニットに適用するベースユニットにも実施することが可能である。
【符号の説明】
【００２６】
１ プログラマブルコントローラのベースユニット
１ａ ネジ通し穴
３ 固定ネジ
４ ＤＩＮレール
５ 取付金具
５ａ 係合片
５ｂ ネジ穴
５ｃ 押え込み片の挿入口
６ 固定金具
６ａ 爪片
６ａ−１ 鉤形係合爪
６ｃ 押え込み板
６ｃ−１ 押え込み片
６ｄ 引き締めネジ
【技術分野】
【０００１】
この発明は、プログラマブルコントローラ装置などを対象に、ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターに関する。
【背景技術】
【０００２】
周知のように、頭記のプログラマブルコントローラは、プロセッサーユニット，Ｉ／Ｏユニット，電源ユニット，通信ユニットなどを組合せた電子機器ユニットの集合体をベースユニット（板金製のユニットケース）に搭載してステムを構築しており、通常は当該装置をコントロールセンターなどの制御盤内に収納し、前記ベースユニットを盤内の取付パネルにネジ止めして所定の位置に据付ける取付方式を標準として採用している。
【０００３】
次に、前記ベースユニットを制御盤内の取付パネルに固定する取付構造を図７に示す。図７において、１はプログラマブルコントローラのベースユニット、２は盤内の取付パネル、３はベースユニット１を取付パネル２の板面に締結する固定ネジである。ここで、ベースユニット１は、外形サイズをプログラマブルコントローラの仕様に合わせて設計した板金製の筐体になり、その内部にはシステムを構築する電子機器ユニットの支持部，端子台などを備えており、その板金性筐体の背面四隅にはあらかじめ所定のピッチ間隔ｄに定めて固定ネジ３のネジ通し穴１ａが穿孔されている。
【０００４】
そして、このベースユニット１を盤内の取付パネル２に取付けるには、ベースユニット１の四隅にあらかじめ穿孔されている前記ネジ通し穴１ａの位置に合わせて取付パネル２の所定位置にネジ穴２ａをネジ立て加工し、このネジ穴２ａに固定ネジ３を螺合してベースユニット１を盤内の所定位置に固定する。
【０００５】
一方、前記したプログラマブルコントローラのベースユニット１を盤内に設置する取付方法として、取付パネル２にネジ止めする代わりに盤内に敷設したＤＩＮレールにベースユニット１を架設する取付方法も従来から採用されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
このレール取付け方法では、特許文献１にも述べられているように、ベースユニットの背面左右両端にレール取付用アダプター（通常は市販の汎用製品を使用）を取付け上で、このアダプターを介してＤＩＮレールに掛止するようにしている。
【０００７】
なお、前記の取付用アダプターを介して盤内のＤＩＮレールに掛止しただけの取付構造では、外部から加わる振動などの影響を受けてプログラマブルコントローラが所定の取付位置からＤＩＮレールの長手方向に沿ってずれ動くおそれがあることから、その防止対策として前記の特許文献１では、取付用アダプターに固定補強金具を追加し、この補強金具によりベースユニットの両端部に取付けたアダプターを左右から挟んでＤＩＮレール上に押さえ込むようにしたレール取付用アダプターの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特開２００１−１１９１５６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
ところで、ユーザーサイドで盤内に収納した電子機器ユニット（例えば、プログラマブルコントローラ）の増設，配置変更などを行う場合に、先記した従来の取付構造には次記のような問題点がある。
【００１０】
まず、図７に示した取付方法を採用して盤内に据付けた既存の機器を盤内の新しい位置に移し替えるには、その配置変更に合わせて盤内の取付パネルに新しくネジ穴を開ける必要があるが、盤内にはハーネスなどが複雑に引き回し配線されているために、ユーザーサイドでこの配置変更の作業を行うことは実際面で困難である。
【００１１】
また、盤内にＤＩＮレールを敷設してプログラマブルコントローラなどの機器をこのレールに装着する場合でも、先記した市販品のレール取付用アダプターをプログラマブルコントローラのベースユニットに取付けるには、そのアダプターの形状，サイズ，ネジ取付穴の位置に合わせてベースユニットの背面には新規にネジ穴をネジ立て加工する必要があるなど、収容機器の増設，配置変更に対して柔軟に対応することが難しい。
【００１２】
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、盤内にＤＩＮレールを敷設して先記したプログラマブルコントローラのベースユニットをレールに装着する場合に、ベースユニットに対して新規にネジ穴を開けるなどの面倒な加工作業を行うことなしに、ユーザーでも容易に対応できるように改良したＤＩＮレール取付用アダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
上記目的を達成するために、この発明によれば、ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターであって、前記ベースユニットが板金製の筐体になり、その背面の左右両端部には固定ネジのネジ通し穴が所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、
レール取付用アダプターを、前記ネジ通し穴にネジ締結してベースユニットの左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具と、ＤＩＮレールに掛け留めしたベースユニットを左右から挟んで前記取付金具をレール上に押さえ込む固定金具とのアセンブリーから構成し（請求項１）、ここで前記の取付金具，固定金具は具体的に次記のような態様で構成するものとする。
（１）取付金具は、ベースユニットのネジ通し穴に位置を合わせて板面にネジ穴を穿孔したＬ形片を基材として、その側面には固定金具に設けた押さえ込み片を側方から嵌挿する挿入口を形成するとともに、背面にはＤＩＮレールに掛け留めする係合片を設けた構成とする（請求項２）。
（２）一方、固定金具は、ＤＩＮレールに直交して該レールの係合辺部に係合する一対の鉤形係合爪を先端に形成した爪片と、ＤＩＮレールに掛け留めした取付金具に連結して該取付金具をレール上に押さえ込む押え込み片と、該押え込み片を貫通して前記爪片に螺合した引き締めネジを備えて構成する（請求項３）。
【発明の効果】
【００１４】
上記構成のレール取付用アダプターを採用することにより、先記したプログラマブルコントローラのベースユニットをＤＩＮレールに装着するに際して、ベースユニットの背面四隅に当初から定ピッチ間隔に穿孔されている固定ネジのネジ通し穴を利用してこの位置にアダプターの取付金具をネジ止めし、この取付金具を介してベースユニットをＤＩＮレールに掛け留めすることができる。また、ベースユニットをＤＩＮレールに掛け留めした状態で、左右から前記取付金具に連結した固定金具をレール上に固定することにより、振動などの影響を受けてベースユニットがレールの長手方向にずれ動いたり脱落するのを抑止して所定の取付位置に安定支持することができる。しかも、このアダプターをベースユニットに取付ける際には新たな位置にネジ穴の加工が必要なく、これにより盤内に設置する機器の増設，配置変更にも容易に対応できてユーザーへのサービス性向上が図れる。
【００１５】
また、アダプターの取付金具の基材をＬ形片としてベースユニットの左右側縁に沿って固定したことにより、この取付金具が板金製のベースユニットを補強するフレームとしての役目も果たす。さらに、前記構造になる固定金具についても、その引き締めネジをねじ込むことにより、係合爪を手前に引き寄せてＤＩＮレールの係合辺部に掛止固定すると同時に、押え込み片を介して取付金具をＤＩＮレールに押付けてベースユニットを所定位置に安定支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】この発明によるレール取付用アダプターを採用してプログラマブルコントローラのベースユニットをＤＩＮレールに装着した状態を表す図であり、（ａ），（ｂ）はそれぞれ正面側，背面側から見た外観斜視図である。
【図２】図１でベースユニットの左右側縁に結合した取付金具の詳細構造を表す外形斜視図である。
【図３】図２の取付金具に側方から組み付ける固定金具の詳細構造を表す外形斜視図である。
【図４】図２の取付金具をベースユニットにネジ締結する作業手順の説明図である。
【図５】図３の固定金具を取付金具に組み付ける作業手順の説明図である。
【図６】図１のベースユニットに電子機器ユニットを搭載したプログラマブルコントローラをＤＩＮレールに装着した状態を表す外観斜視図である。
【図７】図１のベースユニットを盤内の取付パネルにネジ止めする作業手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、この発明の実施の形態を図１〜図６に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図７に対応する部材には同じ符号を付している。
すなわち、プログラマブルコントローラのベースユニット１をＤＩＮレール４に装着するために用いる図示実施例のレール取付用アダプターは、ベースユニット１の背面の左右両側縁に結合してＤＩＮレール４に掛け留めする左右一対の取付金具５と、該取付金具５に組み合わせて取付金具５をレール上に押さえ込む左右一対の固定金具６とのアセンブリーで構成されている。
【００１８】
ここで、取付金具５は図２で示すような縦長なＬ形鋼を基材として、その背面にはＤＩＮレール５に掛け留めする係合片５ａを設けるとともに、板面にはベースユニット１の背面四隅に穿孔したネジ通し穴１ａのピッチ間隔ｄ（図７参照）に合わせて上下二箇所にネジ穴５ｂがネジ立て加工されている。また、Ｌ形鋼の側面には後記する固定金具６の押え込み片を嵌挿連結するための挿入口（角穴）５ｃが開口している。
【００１９】
一方、固定金具６は、図３で示すように内外に重ね合わせた三つのパーツ（符号６ａ〜６ｃ）と、引き締めネジ６ｄとの組立体からなる。ここで、内外に重なり合うパーツ６ａと６ｂはＵ字形の溝鋼で、第１のパーツ６ａは爪片としてその先端側の上下端部にはＤＩＮレール４の両側縁に形成した係合辺部４ａに係合する上下一対の鉤形係合爪６ａ−１が形成されている。また、第２のパーツ６ｂは固定金具６のベース片で、その先端の中央部位がＤＩＮレール４に向けて凸状に突き出している。さらに、その外側に重なる第３のパーツ６ｃは前記取付金具５を掛け留め位置に押え込み保持するために押え込み板であり、取付金具５の側面に開口した挿入口５ｃ（図２参照）に向けてタブ状の押え込み片５ｃ−１が側方に突き出し形成されている。また、引き締めネジ６ｄはベース片６ｂ，押え込み板６ｃを貫通し、ネジの先端が爪片６ａの中央に設けた入れ子式のネジ座６ｅに螺合している。
【００２０】
次に、ベースユニット１に前記取付金具５，固定金具６を取付けてＤＩＮレール４に装着する作業手順を図４，図５で説明する。まず、図４で示すようにＬ形の取付金具５を背面側からベースユニット１の左右両側縁に重ね合わせ、この位置でベースユニット１の前方から固定ネジ３を螺合して固定金具５をベースユニット１の四隅にあらかじめ穿孔されているネジ通し穴１ａに締結する。次いで、盤内に敷設したＤＩＮレール４に対してベースユニット１の取付け位置を位置決めし、この位置でベースユニット１の背面に結合した取付棚具５の係合片５ａをレールの上側係合片部に引っ掛けてベースユニット１を所定位置に掛け留めする（図１（ｂ）参照）。
【００２１】
次に、ＤＩＮレール４に掛け留めしたベースユニット１を左右両側から挟むようにしてＤＩＮレール４の係合辺部に固定金具６の爪片６ａに形成した上下一対の鉤形係合爪６ａ−１を引っ掛ける。なお、この状態では固定金具６の引き締めネジ６ｄは弛めおく。続いて固定金具６を左右から取付金具５に寄せるようにレール上を移動しながら、その過程で固定金具６の押え込み辺６ｃ−１を取付金具５の側面に開口した挿入口５ｃに嵌挿する。そして、最後に固定金具６の引き締めネジ６ｅを前方からドライバーを用いてねじ込む。
【００２２】
この引き締めネジ６ｅのねじ込み操作により、固定金具６のベース片６ｂおよび押え込み板６ｃがＤＩＮレール４に向けて押し込まれるとともに、取付金具５は固定金具６の押え込み片６ｃ−１を介してレール上に圧接するように押さえ込まれる。また、このねじ込み操作の過程で固定金具６のベース片６ｂの先端凸部がレール面に突き当たった後、さらに引き締めネジ６ｅをねじ込むと、ベース片６ｂを固定支点に爪片６ａが前方側に引き寄せられてその先端に形成した鉤形係合爪６ａ−１がレールの係合辺部と強固に掛かり合うように引き締めされる。
【００２３】
これにより、ＤＩＮレール４の所定位置に架設したベースユニット１は左右から固定金具４に挟まれてレール上に押圧支持され、外部から加わる振動などの影響を受けてレールの長手方向にズレ動くのが防止される。また、支持金具５も固定金具６の押え込み片６ｃ−１によりレール上に強く押さえ込まれので、ベースユニット１が上下，前後方向にガタついてＤＩＮレール４から不測に脱落する畏れもなく、信頼性の高い支持状態を確保できる。
【００２４】
また、図６は図１に示したベースユニット１にプログラマブルコントローラの基本的なユニットに、拡張ユニット７，端子台８などを追加搭載してＤＩＮレール４に装着した使用状態を表している。
【００２５】
なお、図示実施例のレール取付用アダプターは、プログラマブルコントローラのベースユニット１をＤＩＮレール４に装着する場合を例に述べたが、取付金具５に開けたネジ穴５ｂのピッチ間隔ｄが同一であれば、プログラマブルコントローラ以外の電子機器ユニットに適用するベースユニットにも実施することが可能である。
【符号の説明】
【００２６】
１ プログラマブルコントローラのベースユニット
１ａ ネジ通し穴
３ 固定ネジ
４ ＤＩＮレール
５ 取付金具
５ａ 係合片
５ｂ ネジ穴
５ｃ 押え込み片の挿入口
６ 固定金具
６ａ 爪片
６ａ−１ 鉤形係合爪
６ｃ 押え込み板
６ｃ−１ 押え込み片
６ｄ 引き締めネジ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターであり、前記ベースユニットが板金製の筐体になり、その背面の左右両端部には固定ネジのネジ通し穴が所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、
レール取付用アダプターを、前記ネジ通し穴にネジ締結してベースユニットの左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具と、ＤＩＮレールに掛け留めしたベースユニットを左右から挟んで前記取付金具をレール上に押さえ込む固定金具とのアセンブリーから構成したことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【請求項２】
請求項１に記載のＤＩＮレール取付用アダプターにおいて、取付金具が、ベースユニットのネジ通し穴に位置を合わせて板面にネジ穴を穿孔したＬ形片を基材として、その側面には固定金具に設けた押さえ込み片を側方から嵌挿する挿入口を形成するとともに、背面にはＤＩＮレールに掛け留めする係合片を設けたことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【請求項３】
請求項１に記載のＤＩＮレール取付用アダプターにおいて、固定金具が、ＤＩＮレールに直交して該レールの係合辺部に係合する一対の鉤方係合爪を先端に形成した爪片と、ＤＩＮレールに掛け留めした取付金具に連結して該取付金具をレール上に押さえ込む押え込み片と、該押え込み片を貫通して前記爪片に螺合した引き締めネジを備えたことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【請求項１】
ベースユニットに搭載した電子機器ユニットの集合体を盤内に敷設したＤＩＮレールに装着するためのＤＩＮレール取付用アダプターであり、前記ベースユニットが板金製の筐体になり、その背面の左右両端部には固定ネジのネジ通し穴が所定のピッチ間隔に穿孔されているものにおいて、
レール取付用アダプターを、前記ネジ通し穴にネジ締結してベースユニットの左右両側縁に結合した上でＤＩＮレールに掛け留めする取付金具と、ＤＩＮレールに掛け留めしたベースユニットを左右から挟んで前記取付金具をレール上に押さえ込む固定金具とのアセンブリーから構成したことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【請求項２】
請求項１に記載のＤＩＮレール取付用アダプターにおいて、取付金具が、ベースユニットのネジ通し穴に位置を合わせて板面にネジ穴を穿孔したＬ形片を基材として、その側面には固定金具に設けた押さえ込み片を側方から嵌挿する挿入口を形成するとともに、背面にはＤＩＮレールに掛け留めする係合片を設けたことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【請求項３】
請求項１に記載のＤＩＮレール取付用アダプターにおいて、固定金具が、ＤＩＮレールに直交して該レールの係合辺部に係合する一対の鉤方係合爪を先端に形成した爪片と、ＤＩＮレールに掛け留めした取付金具に連結して該取付金具をレール上に押さえ込む押え込み片と、該押え込み片を貫通して前記爪片に螺合した引き締めネジを備えたことを特徴とするＤＩＮレール取付用アダプター。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１１−２３４３７（Ｐ２０１１−２３４３７Ａ）
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１６５２７７（Ｐ２００９−１６５２７７）
【出願日】平成２１年７月１４日（２００９．７．１４）
【出願人】（５９１０８３２４４）富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月１４日（２００９．７．１４）
【出願人】（５９１０８３２４４）富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Ｆターム（参考）】
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