説明

GUI部品の状態遷移編集装置及びその制御方法

【課題】 アニメーションを伴って状態遷移時に見た目が変わるGUI部品において、部品の作成後に状態遷移を変更した場合に、アニメーションのための補間情報を引き継ぐことができ、手戻りによる手間を削減する。
【解決手段】 部品の状態遷移情報の変更を指示するための状態遷移情報の変更指示部901と、その指示に応じて、変更前の状態遷移情報に含まれる状態を変更後の状態遷移情報に含まれる状態に割り当てる状態の割り当て部902と、状態を割り当てた際に、変更前の状態遷移情報に含まれる状態に対応する静止画を変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対応付ける静止画の対応付け部903と、状態の割り当て部によって割り当てられた、変更後の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報に、変更前の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報を引き継ぐか判断して修正する、補間情報の修正部904とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィカルユーザインタフェースを構成する部品の編集技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事務機器等の計算機と視覚的な対話を行うためにグラフィカル・ユーザインタフェース(以下GUI)という技術がある。近年では、GUIを構成するボタンやチェックボックスなどのGUI部品をプログラムレスに作成するGUI編集ツールがある。これらのツールでは、部品の持つ状態に各状態の見た目を表す静止画を対応付けることで、状態の遷移に同期して見た目が変化するGUI部品を作成する。
【0003】
また、特許文献1では、GUI部品の持つ状態の追加や削除を行うことで容易にGUI部品を作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−244848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなGUI部品の作成において、部品を作り込んだ後に、状態数や状態の遷移情報を変更したい場合がある。例として、マウスクリックされていない状態とマウスクリックされた状態の2状態を持つボタンについて述べる。このボタン上にマウスカーソルが移動した状態を追加する場合に、状態と静止画の割り当てから部品を作成し直すのではなく、マウスカーソルがオーバーした状態の追加による差分のみを作成可能にすることで部品の作成を効率化できる。
【0006】
特許文献1の例では、状態の追加や削除を行う編集手段と各状態の見た目を司る表示部品を追加、削除する状態表示編集手段によって、差分のみの編集を可能にし、効率的にGUI部品を作成することができる。しかし、扱っているGUI部品は状態の遷移が起きると、遷移前の状態の表示を消して、遷移後の状態を単純に切り替えて表示するものである。そのため、状態の遷移時に予め設定した補間情報を元にアニメーションで見た目を補間するような部品に適用すると、補間情報を状態遷移情報の変更後に引き継ぐことができない。
【0007】
本発明はこのような問題を鑑みてなされたものであり、状態間の見た目をアニメーションで補間するGUI部品において、状態遷移情報を変更した際に補間情報の引継ぎを可能にし、作成作業を効率化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、例えば本発明のGUI部品の状態遷移編集装置は以下の構成を備える。すなわち、
状態遷移情報と、前記状態遷移情報における各状態を視覚的に表現するための静止画と、前記静止画をアニメーションで補間するための補間情報を遷移ごとに備えるGUI部品を編集するための状態遷移編集装置であって、
部品の前記状態遷移情報の変更を指示するための状態遷移情報の変更指示手段と、
前記状態遷移情報の変更指示手段による指示に応じて、変更前の状態遷移情報に含まれる状態を変更後の状態遷移情報に含まれる状態に割り当てる状態の割り当て手段と、
前記状態の割り当て手段によって状態を割り当てた際に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態に対応する静止画を前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対応付ける静止画の対応付け手段と、
前記状態の割り当て手段によって割り当てられた、前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報を引き継ぐか判断して修正する、補間情報の修正手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アニメーションを伴って状態遷移時に見た目が変わるGUI部品において、部品の作成後に状態遷移を変更した場合に、アニメーションのための補間情報を引き継ぐことができ、手戻りによる手間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態における状態遷移編集装置のハード構成を示す図。
【図2】第1の実施形態の処理の概要を表すフローチャート。
【図3】第1の実施形態におけるアニメーション修正処理を示すフローチャート。
【図4】第1の実施形態における処理の概要を示す図。
【図5】第1の実施形態における状態の対応付け処理を示す図。
【図6】第1の実施形態におけるアニメーション修正処理を示す図。
【図7】第2の実施形態におけるアニメーション修正処理を示す図。
【図8】第3の実施形態における状態の対応付け処理を示す図。
【図9】実施形態における状態遷移編集装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は本実施形態におけるGUI部品の状態遷移編集装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。102はCPU(Central Processing Unit)であり、各種処理のための演算や論理判断などを行い、バス101に接続された各構成要素を制御する。
【0013】
本状態遷移編集装置は、プログラムメモリとデータメモリを含むメモリが搭載されている。プログラムメモリには、フローチャートにより後述する各種処理手順を含むCPUによる制御のためのプログラムを格納する。このメモリはROM(Read-Only Memory)103であってもよいし、外部記憶装置などからプログラムがロードされるRAM(Random Access Memory)104であってもよい。あるいは、これらの組合せで実現しても構わない。
【0014】
105は本実施形態に係るデータやプログラムを記憶しておくためのハードディスクなどの記憶装置である。また、記憶装置105と同様の役割を果たすものとして、外部記憶装置106を用いてもよい。ここで、外部記憶装置106は、例えば、コンピュータが読み取り可能なメディア(記録媒体)と、当該メディアへのアクセスを実現するための外部記憶ドライブとで実現することができる。このようなメディアとしては、例えば、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVD、USBメモリ、MO、フラッシュメモリ等が知られている。107はユーザからの指示を入力するための入力装置である。ユーザは入力装置107を介して、当該状態遷移編集装置に指示を行う。108は本実施形態における表示手段としての出力装置である。出力装置108は、例えば、出力のための回路を含むCRT(Cathode-Ray Tube)や液晶表示器などのディスプレイ装置により実現することができる。また、入力装置107は出力手段を兼ねたタッチパネルのような出力装置を用いてもよい。
【0015】
図2が、本実施形態の処理の概要を表すフローチャートである。図4が、本実施形態の処理について状態遷移図を用いて表現した図である。図5が、当該状態遷移編集装置の機能をGUIとして提示する際の例である。図9が、当該状態遷移編集装置のブロック図である。
【0016】
901の変更指示部は、当該状態遷移編集装置に編集対象のGUI部品の持つ状態遷移情報をどのような状態遷移情報に変更するか指示する。902の状態の割り当て部は、901の変更指示部で指示された状態遷移情報に含まれる状態に、変更前の状態の状態遷移情報に含まれるどの状態を割り当てるか指定する。903の静止画の対応付け部は、変更後の状態遷移情報に含まれる状態に、静止画を対応付ける処理を行う。904の補間情報の修正部は、補間情報の修正に関する処理を行う。
【0017】
本実施形態では、図4を用いて作成済みの2状態を持つGUI部品を、3状態のGUI部品へ変更する例について述べる。該GUI部品は、状態を視覚的に表現するための静止画を持ち、イベントなどのトリガによって遷移が発生すると、状態間の静止画を補間するようにアニメーションを伴い遷移する。そして、どのようなアニメーションで補間するかを設定するための補間情報を、このGUI部品が備えるものとする。補間情報の一例としては、アニメーションの開始から終了するまでに要する時間、線形に補間する、加速度を持って補間するかといったアニメーションタイプの設定などがある。あるいは、一般的なアニメーション編集ツールでキーフレームと呼ばれる、中間状態の静止画を挿入することもできるものとする。また、状態遷移情報とは、それぞれがIDを備えた状態と、各状態にどのような遷移があり、イベントを受けたらどの状態に遷移するのかという情報である。また、それぞれの遷移に対応して、上述した補間情報を持つ。
【0018】
図4(a)では、状態「state1」には401の静止画が対応し、状態「state2」には402の静止画が対応している様子を示している。401と402のそれぞれには、破線で、GUI部品が表示される領域が示されている。401では、該領域外にアイコンが配置されている静止画であり、402では、該領域内にアイコンが配置されている静止画である。つまり、state1からstate2への遷移が起きると、該遷移に対応した補間情報の記述内容に従い、各アイコンが該領域外から中へスライドインしてくるようなアニメーションが実行される。
【0019】
上述したGUI部品を作成中のユーザが、状態遷移の変更指示の開始を当該状態遷移編集装置に伝えることでS201の処理に入る。具体的には、GUI画面を作成中、その中には幾つものGUI部品が配置されうる。そこで、操作者はその中の1つをマウスカーソルで指定し、例えば右クリックして表示されるメニュー中の「編集」を指示することで、この処理に移る。
【0020】
S202では、901の変更指示部により、状態遷移情報を変更する際に、どのような状態遷移情報を持つGUI部品に変更するかの変更指示を取得する。変更後の状態遷移情報は、図5(a)で示すようなダイアログを表示して、ユーザに入力させる方法がある。同図(a)の例では、変更後の状態遷移情報に対応する名前を選択候補としてユーザに提示し、選択候補の中からユーザが選択する(501)。ここでは、3statesという3状態の状態遷移を選択する。選択後に、ユーザがOKボタンを押下することで、状態遷移情報の変更指示が完了する。選択候補として表示される状態遷移情報の名前、及び状態遷移情報は予め、該状態遷移編集装置に登録されているものとし、登録方法や状態遷移情報の作成についてはここでは、言及しない。上記方法に限らず、状態遷移編集装置上で、右クリックメニューから変更後の状態を選ぶといった方法でもよい。あるいは、状態遷移装置にメニューバーを用意して、そこから選択するという方法でもよい。
【0021】
S203では、902の状態の割り当て部により、変更後の状態遷移に含まれる各状態と、変更前の状態遷移に含まれる状態の割り当て情報を取得する。該割り当て情報は、図5(b)で示すようなダイアログを表示して、ユーザに入力させる方法がある。同図(b)は、S203の処理に制御が入った直後のGUI画面の状態を表している。502で示す列には、変更後の状態遷移情報に含まれる全ての状態のIDが表示される。503、504、505には、状態遷移の変更処理が行われる前の状態遷移に含まれる全状態のIDに加えて、新規状態という項目がコンボボックスの選択候補として表示されている。新規状態を割り当てた際には、新たに状態を生成して割り当てる。新規状態を割り当てた直後では、対応する静止画はまだ存在しない。初期状態では、状態遷移情報の変更後の状態遷移に含まれる状態のIDと、変更前の状態遷移に含まれる状態のIDを比較し、一致するものが存在すれば表示する。一致するものがない場合には、新規状態と表示しておく。この状態でOKボタンを押すと、ユーザによる状態の割り当て情報が入力される。ここまでの処理で図4(b)に破線で示したstate3(403)が生成される。
【0022】
S204では、静止画の対応付け部903により、変更後の状態遷移情報に含まれる状態に、静止画を対応付ける処理を行う。変更前の状態に静止画が対応付いている場合は、変更後の状態に該静止画をそのまま対応付ける。状態遷移情報に新規状態が存在する場合には、新規状態に対応する静止画を生成して対応付ける処理を行う。ここで生成される新規静止画は、何も描かれていない白紙の静止画とする。このような処理で、図4(b)における404のような何も描かれていない白紙の静止画が生成される。また、本実施形態は新規状態に対応する静止画として、何も描かれていない白紙の静止画を生成するが、既存の状態の静止画を複製して生成してもよいし、既存の状態に対応する静止画を参照する形で対応付けてもよい。
【0023】
S205では、補間情報の修正部905により、状態遷移情報の変更前と変更後の状態間の対応関係情報を利用して、補間情報の引き継ぎに関する判断と処理を行う。
【0024】
図3がS205の処理の詳細を表すフローチャートである。このS204の処理が終わった時点で、制御がS301に移る。
【0025】
S302では、状態遷移情報の変更後に含まれる全状態について、処理が終わっているか判断する。S302以降の処理が、状態遷移情報の変更後に含まれる全ての状態に対して行われるまで繰り返す。確認していない状態が存在する場合には、YのフローでS303へ進み、全ての状態について確認済みであれば、Nのフローでアニメーション情報修正処理を終了する。
【0026】
S303では、まだ処理がなされていない状態に関する状態遷移情報を取得する。特定の状態に関する状態遷移情報とは、該状態のID、該状態が遷移元状態になる遷移、該遷移の遷移先状態のID、及び該遷移に対応する補間情報のことである。S304では、S303で取得した状態遷移情報より、現在処理を行っている状態が遷移元状態になっている遷移に関して、まだ確認処理が行われていない遷移が存在するかを判断する。確認処理が終わっていない遷移が存在すれば該遷移の情報を保持して、YのフローでS305へ進み、確認処理が全ての遷移について終わっていれば、NのフローでS302へ進む。
【0027】
S304でまだ確認が行われていないと判断された遷移を遷移Aとする。S305では、遷移Aの遷移先と、状態遷移情報の変更前に現在処理を行っている状態と対応していた状態が遷移元状態となる遷移の遷移先状態との比較を行う。本実施形態では、状態が保持する静止画が一致するかどうかで比較を行う。
【0028】
S306では、S305で比較した結果について、同じ遷移先状態があるかどうかの判断を行う。遷移Aと同じ遷移先状態があれば、その遷移を遷移Bとし、YのフローでS307へ、同じ遷移先状態が存在しなければNのフローでS304へ戻る。S307では、遷移Aと遷移Bの遷移先状態が同じであった場合に、遷移Aに対応する補間情報に、遷移Bの補間情報をコピーする処理を行う。
【0029】
図6を用いて本処理を詳しく説明する。図6(a)は、図5(b)のように変更前のstate1は、変更後のstate1へ割り当て、変更前のstate2は変更後のstate2へ割り当てた場合の様子を示し、新規にstate3(アイコンの半透明化)を追加する例を示している。
【0030】
図6(a)において、現在処理を行っている状態がstate1である場合、遷移先状態のstate2には、変更前と同じ状態が割り当てられている(601)。つまり、変更前と変更後で状態が保持する静止画が一致するので、state1からstate2への遷移には、アニメーションの補間情報がコピーされ保持される。同様にstate2からstate1への遷移に関しても、変更前と変更後で同じ状態が割り当てられているのでアニメーションの補間情報はコピーされ保持される。
【0031】
一方で、図6(b)は、変更前のstate1は、変更後のstate1へ割り当て(605)、変更前のstate2は、変更後のstate3へ割り当てた場合である(606)。State2に関する静止画は、新たに生成したものである。変更後のstate1に関しても、変更後のstate3に関しても、遷移先状態として存在しているのは、新規に作成された静止画を持つstate2なので、変更前の遷移先状態と同じ静止画を持つ状態が存在しない。そのためアニメーションの補間情報はいずれの場合も引き継がれない。
【0032】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、状態遷移情報の変更前と変更後で対応する状態の関係が保たれれば、アニメーションに関する補間情報が保つことができる。これにより、状態遷移の変更を行っても補間情報を全て作成し直す必要が無くなるので、作業効率の向上に繋がる。
【0033】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、状態間の補間情報を引き継ぐ例について述べた。本第2の実施形態では、状態間に中間状態(キーフレーム)を持つ場合の処理について説明する。
【0034】
図7(a)が、本第2の実施形態の処理による状態遷移情報の変更前の様子を、同図(b)が変更後の様子を示している。
【0035】
第1の実施形態で説明した領域外から中へスライドインしてくるGUI部品において、図7(a)のようにstate1からstate2への遷移の途中に各アイコンが状態702のように領域中央に集結している静止画が対応付けられた中間状態(701)を持つものとする。この例は、state1からstate2への遷移を起こすと、領域外から一旦、領域中央にアイコンが集結し、そこから最終的な位置へ整列するように移動する。
【0036】
第1の実施形態と同様にGUI部品を作成中のユーザが、状態遷移の編集指示を当該状態遷移編集装置に行うことでS201の処理に入る。このS202に関しては、第1の実施形態と同様の処理である。S203では、変更後の状態遷移に含まれる各状態と、変更前の状態遷移に含まれる状態と中間状態の対応情報を取得する。状態の対応情報は、図8で示すようなダイアログを表示して、ユーザが入力する。初期状態では、図5(b)と同じ状態になる。符号801には、状態遷移情報の変更処理が行われる前の状態遷移に含まれる全状態のIDに加えて、新規状態とキーフレームという名前で中間状態のIDがコンボボックスの選択候補として表示されている。初期状態では、状態遷移情報の変更後の状態遷移に含まれる状態のIDと、変更前の状態遷移に含まれる状態のIDを比較し、一致するものが存在すれば表示する。一致するものがない場合には、新規状態を表示しておく。図8で示すように、変更後のstate1には、変更前のstate1を割り当て、変更後のstate2には、変更前の符号701で表されるキーフレームを割り当て、変更後のstate3には、変更前のstate2を割り当てる。
【0037】
S204では、新規状態が変更後の状態遷移情報に存在しないので、そのまま変更前の状態に対応する静止画を対応付ける。S205のアニメーション修正処理に制御が移ると、S301のフローに入る。
【0038】
S302で、S303では、第1の実施形態と同様の処理を行う。S305では、S304でまだ確認が行われていないと判断された遷移(遷移Cとする)の遷移先と、状態遷移情報の変更前に現在処理を行っている状態に対応する状態から延びていた遷移の遷移先との比較を行う。第2の実施形態では、上記に加えて、状態遷移情報の変更前に現在処理を行っている状態と対応付けられた状態から延びていた遷移に中間状態が含まれていたら、中間状態とも比較を行う。
【0039】
本第2の実施形態においても、状態が保持する静止画が一致するかどうかで比較を行う。S306では、第1の実施形態と同様の処理を行う。S307では、状態遷移情報の変更前において、中間状態と状態を含め、同じ遷移先が変更後においても見つかった場合に、遷移Cの補間情報として補間情報をコピーする。
【0040】
ここで、S305からS307までの流れについて図7を用いて詳細に説明する。
【0041】
図7(b)は、状態遷移情報の変更後においてstate1が遷移元になる遷移(705)の遷移先状態であるstate2(703)が持つ静止画704を比較用に取得する。状態遷移情報変更前の図7(a)におけるstate1と変更後の同図(b)におけるstate1は対応しているので、同図(a)におけるstate1が遷移元になっている遷移の遷移先を調べる。まず、図7(a)におけるstate2の持つ静止画(709)と704の静止画を比較し、その後、中間状態(701)の持つ静止画(702)との比較を行う。すると704の静止画と該中間状態の持つ702の静止画が一致するので、図7(a)におけるstate1と701の中間状態間の補間情報を、図7(b)におけるstate1とstate2の補間情報としてコピーする。この場合、図7(b)におけるstate2からstate1への遷移に対応する補間情報は存在しないため、予め決めておいたdefault値を割り当てておけばよい。補間情報としてアニメーションをしないで見た目が変わるという設定にしておいてもよい。

さらに、現在処理を行っている状態が、状態遷移情報変更前には中間状態に対応していた場合にもついて述べる。図7(b)のstate2から延びる遷移(706)の遷移先状態であるstate3(712)が持つ静止画713を比較用に取得する。図7(b)のstate2には図7(a)における701の中間状態が対応しているため、該中間状態が挿入されていた遷移の遷移先状態として図7(a)におけるstate2を取得する。図7(a)におけるstate2の持つ静止画(709)と図7(b)におけるstate3の持つ静止画(713)の比較を行う。すると709の静止画と713の静止画が一致するので、図7(a)における701とstate2の間の補間情報を、図7(b)におけるstate2とstate3の補間情報としてコピーする。この場合、708の遷移に対応する補間情報は存在しないため、何らかのdefault値を割り当ててもよいし、補間情報としてアニメーションをしないで見た目が変わるという設定にしておいてもよい。
【0042】
以上説明したように、本第2の実施形態によれば、状態遷移情報を変更前と変更後で、中間状態を含めて状態の関係が保たれれば、アニメーションに関する補間情報を保つことができる。これにより、変更後の状態に変更前の中間状態を割り当てた場合も補間情報を保持することができ、作業効率の向上に繋がる。
【0043】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状態遷移情報と、前記状態遷移情報における各状態を視覚的に表現するための静止画と、前記静止画をアニメーションで補間するための補間情報を遷移ごとに備えるGUI部品を編集するための状態遷移編集装置であって、
部品の前記状態遷移情報の変更を指示するための状態遷移情報の変更指示手段と、
前記状態遷移情報の変更指示手段による指示に応じて、変更前の状態遷移情報に含まれる状態を変更後の状態遷移情報に含まれる状態に割り当てる状態の割り当て手段と、
前記状態の割り当て手段によって状態を割り当てた際に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態に対応する静止画を前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対応付ける静止画の対応付け手段と、
前記状態の割り当て手段によって割り当てられた、前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報を引き継ぐか判断して修正する、補間情報の修正手段と、
を備えることを特徴とする状態遷移編集装置。
【請求項2】
前記補間情報の修正手段は、変更後の状態遷移情報に含まれる遷移と、変更前の状態遷移情報に含まれる遷移に、遷移元状態と遷移先状態が対応する遷移が存在するか判断する、遷移の対応関係の判断手段をさらに備え、
前記補間情報の修正手段は、前記遷移元状態と前記遷移先状態が対応する遷移が状態遷移情報の変更前と変更後で見つかった場合に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる遷移に対応する補間情報を、前記変更後の状態遷移情報に含まれる遷移に対応する補間情報へ複製する補間情報の複製手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の状態遷移編集装置。
【請求項3】
前記状態の割り当て手段は、変更前の状態遷移情報に含まれる中間状態を前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に割り当てる中間状態の割り当て手段をさらに備え、
前記静止画の対応付け手段は、更に、変更前の中間状態に対応する静止画を、前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対応付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の状態遷移編集装置。
【請求項4】
前記状態の割り当て手段は、前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対して、変更前の状態遷移情報に含まれない状態を新規に生成して割り当てる新規状態の割り当て手段をさらに備え、
前記静止画の対応付け手段は、新規の状態が割り当てられた際に、該新規の状態に対応する静止画を生成する静止画の生成手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の状態遷移編集装置。
【請求項5】
前記静止画の生成手段は、白紙の静止画を生成する白紙の静止画の生成手段であって、
前記静止画の対応付け手段は、新規の状態が割り当てられた際に、該新規の状態に対応する白紙の静止画を生成することを特徴とする請求項4に記載の状態遷移編集装置。
【請求項6】
前記静止画の生成手段は、既存の状態に対応している静止画から複製して生成する静止画の複製手段であって、
前記静止画の対応付け手段は、「新規の状態」が割り当てられた際に、該新規の状態に対応する静止画を既存の状態に対応する静止画から複製して生成することを特徴とする請求項4に記載の状態遷移編集装置。
【請求項7】
コンピュータに読み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至6のいずれか1項に記載の状態遷移編集装置として機能させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項9】
状態遷移情報と、前記状態遷移情報における各状態を視覚的に表現するための静止画と、前記静止画をアニメーションで補間するための補間情報を遷移ごとに備えるGUI部品を編集するための状態遷移編集装置の制御方法であって、
状態遷移情報の変更指示手段が、部品の前記状態遷移情報の変更を指示するための状態遷移情報の変更指示工程と、
状態の割り当て手段が、前記状態遷移情報の変更指示工程による指示に応じて、変更前の状態遷移情報に含まれる状態を変更後の状態遷移情報に含まれる状態に割り当てる状態の割り当て工程と、
静止画の対応付け手段が、前記状態の割り当て工程によって状態を割り当てた際に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態に対応する静止画を前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態に対応付ける静止画の対応付け工程と、
補間情報の修正手段が、前記状態の割り当て工程によって割り当てられた、前記変更後の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報に、前記変更前の状態遷移情報に含まれる状態の状態間の補間情報を引き継ぐか判断して修正する、補間情報の修正工程と、
を備えることを特徴とする状態遷移編集装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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