説明

H−CDR3領域の新規集合体およびその使用

本発明は、集合体の多様性が、HCDR3員の長に依存している、抗体重鎖相補性決定領域3(HCDR3)員の調製および使用に関している。HCDR3領域の集合体の多様性は、ヒトレパートリにおけるHCDR3の自然のアミノ酸分布を実質的に表している。この自然のアミノ酸分布は、トリヌクレオチド変異(TRIM)技術を用いることにより、DNA配列をコードするHCDR3におけるアミノ酸の完全なランダム分布にバイアスをかけることにより表し得る。本発明の各々のHCDR3員の集合体は、合成抗体または抗体フラグメントのライブラリーをつくるための抗体(または、その抗体のフラグメント)の可変領域内に含まれ得る。本発明の合成抗体ライブラリーは、本明細書の記載にしたがって調製したHCDR3領域を含んだ1またはそれ以上のCDR領域に隣接しているユニークな制限酵素切断部位を含み得る、化学合成された「マスター遺伝子」フレームワーク領域のような、モジュール特性を含むようにデザインされ得る。本発明は、また、このような多様性集合体をコードする核酸分子および、それらの製造方法およびそれらの使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この出願は、全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2005年12月20日に出願された米国仮出願第60/751,633に基づく優先権の利益を請求している。
【0002】
免疫グロブリン重鎖(H−CDR3)の第三相補性−決定領域は、古典的な抗原結合部位の中心を形成するものであり、そして、しばしば抗体の特異性および親和性を決定する支配的な役割を有している。免疫系が適応できる公知のすべての種においてH−CDR3は、抗原結合部位の外側の境界を形成する他5種のCDR領域(H−CRD1、H−CDR2、L−CDR1、L−CDR2またはL−CDR3)のいずれよりも多様性である(トネガワ、1983;チョチア等、1989)。
【0003】
その種に利用できる抗原結合構造の範囲と、従って抗体レパートリーの機能に大きく影響を与える(ジョンソンおよびユー、1998;コリス等、2003)平均的なH−CDR3長およびH−CDR3の範囲は、マウスからヒトへ、家畜へと増大している(ユー等、1993)ことがわかっている。H−CDR3の多様性は、ある種の中で調整することもできる。例えば、ヒトおよびマウスでは、H−CDR3長の範囲およびH−CDR3の多様性は個体発生中で増加している(フェネイ、1992、ゼムリン等、2002)。
【0004】
抗原結合における顕著な役割のために、H−CDR3領域は合成抗体ライブラリーにおける超変異性導入用の媒体として用いられてきたものであり、その媒体は治療用の抗体の設計に用いることができる(ナピック等、2000)。退化したプライマーによるこの領域のランダム化は、莫大な配列の多様性をもたらすが、これらの構造の多くは、ほとんどではないが、ひずみができ、機能性のないものである。したがって、所定の標的に対する良好な親和性を得るには、非常に大きな合成抗体ライブラリーが必要である。
【0005】
ゼムリンは、ヒトにおけるH−CDR3領域がネズミH−CDR3領域に比較してより長い範囲を示していることに注目し、それに続いて、ネズミとヒトのユニークで機能上公知となったH−CDR3領域についてゼムリンの分析がなされた。ゼムリンは、H−CDR3の長さが増大するにつれて、ある種のアミノ酸の頻度が変化することに注目した。例えばゼムリンは、セリン頻度が8〜14アミノ酸残基の長さで増加すること、しかし14アミノ酸残基以上の長さでは混合パターンを示すことを報告した。
【0006】
最近、ホエット等は、Nature Biotec23:(3)March 2005で、一部が合成されたものであるが、ヒト供与体から捕捉されたHCDR3領域を含んでいる可変重鎖配列(VH)を含む抗体ライブラリーの構築を記載した。特に、HCDR3領域を含まない(FR1−H−CDR1−FR2−HCDR2−FR3)VH鎖の部分は、合成的に造られVH遺伝子に取り込まれた;そして、HCDR領域(HCDR3−FR4)を含むVH鎖の一部分は、自然発生のヒト自己免疫疾患患者に由来した。
【0007】
ホエットは、合成的に造られたHCDR3領域をVH鎖への取込みによっては、同程度の機能的ライブラリーの多様性が質的な理由で達成できなかったという根拠から、ヒト供与体から捕らえたHCDR3の取込みを選んだ。他の者が、いわゆる絞り込んだHCDR3ライブラリーを生じるアプローチをとっていることは、驚くべきことではない(例えば、公表された特許出願US2006/0257937A1を参照)、そこでは、機能的でないバインダー濃度を減少させる努力により多様性が調整され(V、DおよびJセグメントに対する限定的な分析による)、それは、従来の知識では、できるだけ多くの多様性を含めることを目的としたライブラリーに高い期待がされており、そこでは必要とされているものよりも負担の多いライブラリースクリーニングがされている(特許出願‘937A1を参照)。事実、ホエットは、自然発生のヒト抗体において、HCDR3が4から35残基を超えて変化し、非ランダム配列の多様性をもっていることのみならず、自然のH−CDR3レパートリーにおいてみつかった配列と長さの両方の多様性をコードするDNAを合成することは不可能であることに注目した。その目的のために、ホエットは、生殖系細胞Dセグメントが、HCD3ライブラリー員の適切な折りたたみと結合を助けるために選ばれ、そして、ライブラリー中にDセグメントを含むことが望ましいことに注目して、特許出願‘937A1で教えたHCDR3ライブラリーの使用を記載して表している。特許出願’937A1に教示されている絞り込んだライブラリーの一つの実際的な結果は、限定して設けた1つのデータセットを視野に入れて構築されたものである、すなわち、公知のV、DおよびJセグメントが、最適の多様性または多様化を全てのアミノ酸残基で達成することに失敗している。
【0008】
ホエット及び特許出願‘937A1の教示とは対照的に、本発明は、とりわけ、DNA配列をコードするH−CDR3のアミノ酸配列の完全ランダム配列をバイアスをかけることにより、自然アミノ酸配列を模倣して、自然H−CDR3レパートリーで本質的にわかっている多様性をもつ合成ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。
この意味では、本発明は、今まで、構築することが不可能と考えられていた方法で構築された抗体ライブラリーを提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、集合体の多様性が第一多様性要素による第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、そして第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域によって生じ、その多様性要素が異なるものである、変化している範囲のアミノ酸の多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。
【0010】
本発明の目的は、H−CDR3領域の一部分が、約4から約22アミノ酸長の範囲で変化する、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0011】
本発明の目的は、また、第一範囲のアミノ酸が約4〜約13アミノ酸であり、第二範囲のアミノ酸が約14〜約22アミノ酸である、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの態様においては、本発明はその集合体の多様性が、第一多様化要素により第一範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、第二多様性要素により第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化している性H−CDR3領域により生じ、第三多様性要素により第三範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、それらの多様性要素が異なるものである、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。本発明のこのような集合体は、第一範囲のアミノ酸が約4〜約9であり、第二範囲のアミノ酸が約10〜約16であり、第三範囲のアミノ酸が約17から約22である、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域を含んでいてもよい。
【0013】
別の態様においては、本発明は、多様化の集合体が、第一多様性要素により第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、第二の多様性要素により第二の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第三の多様化要素により第三の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第四の多様化要素により第四の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第五の多様化要素により第五の範囲内のアミノ酸の長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、そして第六の多様化要素により第六の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであって、その多様性要素が異なるものである、多様化ヒトまたはヒト化抗体CDR3領域の集合体を提供する。本発明のこのような集合体は、第一の範囲のアミノ酸が約4〜約6アミノ酸であり、第二の範囲のアミノ酸が約7〜約9アミノ酸であり、第三の範囲のアミノ酸が約10〜約12アミノ酸であり、第四の範囲のアミノ酸が約13〜約15アミノ酸であり、第五の範囲のアミノが約16〜約18であり、第六の範囲のアミノ酸が約19〜約22である、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域を含んでいてもよい。
【0014】
さらに、別の形態においては、本発明は、集合体の多様性が、第一の多様性要素によって第一の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第一の多様性要素によって第一の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第二の多様性要素によって第二の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第三の多様性要素によって第三の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第四の多様性要素によって第四の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第五の多様性要素によって第五の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第六の多様性要素によって第六の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、第七の多様性要素によって第七の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、および第八の多様性要素によって第八の範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであって、そして多様性要素が異なるものである、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。本発明のこのような集合体は、第一の範囲のアミノ酸が約4〜約5アミノ酸であり、第二の範囲のアミノ酸が約6〜約7アミノ酸であり、第三の範囲のアミノ酸が約8〜約9アミノ酸であり、第四の範囲のアミノ酸が約10〜約11アミノ酸であり、第五の範囲のアミノ酸が約12〜約13アミノ酸であり、第六の範囲のアミノ酸が約14〜約15アミノ酸であり、第七の範囲のアミノ酸が約16〜約17アミノ酸であり、第八の範囲のアミノ酸が約18〜約19アミノ酸であり、そして第九の範囲のアミノ酸が約20〜約22アミノ酸である、多様化ヒトまたはヒト化抗体CDR3領域を含んでいてもよい。
【0015】
本発明は、第一の範囲のアミノ酸が約4〜約8であり、第一の多様性要素が、位置1においてアラニンが約80%の頻度であり、位置2においてアラニンが約60%の頻度であり、位置3においてグリシンが約40%の頻度であり、位置7においてアスパラギン酸が約50%の頻度であり、そして位置8においてチロシンが約40%の頻度である、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。
【0016】
本発明の別の態様では、第一の範囲のアミノ酸が約9〜約15であり、第一の多様性要素が位置1においてアラニンが約90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約70%の頻度であり、位置10においてチロシンが約20%の頻度であり、位置11においてチロシンが約20%の頻度であり、位置12においてチロシンが約30%の頻度であり、位置13においてフェニルアラニンが約60%の頻度であり、位置14においてアスパラギン酸が約80%の頻度であり、そして位置15においてチロシンが約40%の頻度である、多様性ヒトまたはヒト化抗体CDR3領域の集合体を提供する。
【0017】
本発明は、第一の範囲のアミノ酸が約16〜約22アミノ酸であり、第一の多様性要素が、位置1においてアラニンが約90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約60%の頻度であり、位置3においてアスパラギン酸が約30%の頻度であり、位置4においてグリシンが約20%の頻度であり、位置5においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置6においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置7においてチロシンが約20%の頻度であり、位置15においてチロシンが約40%の頻度であり、位置16においてチロシンが約50%の頻度であり、位置17においてチロシンが約60%の頻度であり、位置18においてチロシンが約50%の頻度であり、位置19においてチロシンが約40%の頻度であり、位置20においてメチオニンが約50%の頻度であり、位置21においてアスパラギン酸が約95%の頻度であり、そして位置22においてバリンが約60%の頻度である、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域を提供する。
【0018】
別の形態においては、本発明は、抗体H−CDR3領域アミノ酸長が約9〜約15アミノ酸である場合は、多様性が、H−CDR3領域内でグリシンおよびセリンの高含量により生じる、多様化ヒトまたはヒト化抗体CDR3領域の集合体を提供する。本発明に関連して、アミノ酸またはその基における「高容量」の用語は、アミノ酸またはその基の10%以上の頻度として定める。
【0019】
さらに、別の態様では、本発明は、抗体H−CDR3領域のアミノ酸長が約16から約22アミノ酸である場合は、その多様性は、そのH−CDR3領域内で高含量のセリン、H−CDR3領域の終末部で高含量の塩基性アミノ酸、H−CDR3の前端部分でアスパラギン酸、全H−CDR3領域にわたり高含量の芳香性アミノ酸により生じる、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する。
【0020】
本発明の目的は、また、抗体H−CDR3領域のアミノ酸長が5アミノ酸である場合は、そのアミノ酸組成は、位置1において60%アラニン、20%スレオニンおよび0.58%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置2において30%アルギニン、30%リジン、30%スレオニンおよび0.55%のシステインを除く自然に生じているすべてのアミノ酸;位置3において40%のアスパラギン酸、40%のフェニルアラニンおよび0.58%のシステインを除く本来生じているすべてのアミノ酸;位置4において30%アスパラギン酸、30%グリシン、30%メチオニンおよび0.63%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸;位置5において30%チロシン、30%アスパラギン酸および0.58%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸である、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、抗体H−CDR3領域のアミノ酸長が12アミノ酸である場合は、そのアミノ酸組成は、位置1において85%アラニンおよび15%のスレオニンとバリンの混合であり;位置2において70%アラニン、30%のセリン、スレオニン、グリシンおよびアラニンの混合物であり;位置9において20%のアラニン、セリンおよびチロシンの混合および0.63%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置10において60%フェニルアラニン、10%メチオニンおよび 0.58%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置11において80%アスパラギン酸、5%グリシンおよび0.58%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置12において50%チロシン、10%のバリンとイソロイシンの混合および 0.63%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸である、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0022】
また、本発明の目的は、抗体H−CDR3領域のアミノ酸長が20アミノ酸である場合は、アミノ酸組成は、位置1においては100%アラニンであり;位置2において50%アルギニンおよび50%がリジンであり、位置3において30%グリシンおよび0.55%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置4において20%アラニン、20%グリシン、20%ロイシンおよび0.63%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置14において、20%セリン、20%スレオニンおよび0.63%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸であり;位置21において95%アスパラギン酸であり;位置22において50%バリンおよび0.55%のシステインを除くすべての自然に生じているアミノ酸である、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0023】
本発明は、また、集合体の多様性が、第一の多様性要素によって第一の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じたものであり、第二の多様性要素によって第二の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じたものである、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を具える多様性ヒトまたはヒト化抗体可変重鎖に関する。
【0024】
別の態様では、本発明によって範囲が変化するアミノ酸の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を具えるヒトまたはヒト化抗体可変重鎖の集合体を具える多様化ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントの集合体を提供する。
【0025】
さらに別の態様では、本発明は、本発明のヒトまたはヒト化抗体可変重鎖の集合体を具える多様性ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントの集合体を具える合成ヒトまたはヒト化抗体ライブラリーを提供する。
【0026】
別の実施態様では、本発明は、ヒトまたはヒト化H−CDR3領域をコードする核酸分子の集合体を調製する方法であって、複数のDNA分子を合成する方法を具え、各々のDNA分子がH−CDR3領域をコードするものであり、そのH−CDR3領域は範囲が変化するものであり、第一範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が第一多様性要素によって合成されたものであり、第二範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が第二多様性要素によって合成されたものであって、その多様性要素が異なることとなる方法である。
【0027】
本発明は、また、本発明の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸の集合体に関する。
【0028】
本発明は、また、集合体の多様性が第一の多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により、および、第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであり、その多様性要素が異なるものである、範囲が変化するアミノ酸の多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸集合体に関する。
【0029】
本発明の目的は、また、核酸集合体の発現を具える変化する長の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を得る方法を提供する。
【0030】
本発明との関連では、他の多様性H−CDR3領域における1またはそれ以上のアミノ酸位置は一定に保たれている。当業者はH−CDR3領域内に多様性を導入するためのトリヌクレオチドの混合物を合成する効率および多様化したH−CDR3領域をクローニングする効率にとって、H−CDR3領域内に1またはそれ以上の定常位置を挿入することが望ましいと考えるであろう。
【0031】
本発明の目的は、また、集合体の員が4から8アミノ酸長である場合は、4から8アミノ酸長をもつ前記員に適用する多様性要素は、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で、0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することである。本発明は、また、集合体の前記員が、9〜10アミノ酸長である場合は、9〜10のアミノ酸長をもつ 前記員に適用する前記多様性要素が、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体に関する。
【0032】
本発明は、また、その集合体の員が11〜13アミノ酸長である場合は、11〜13アミノ酸長をもつ前記員に適用する多様性要素が、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内に0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することである。本発明の目的は、また、その集合体の員が14アミノ酸長である場合は、14アミノ酸長をもつ前記員に適用する前記多様性要素は、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で 0、1、2、3、4または5定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0033】
本発明は、また、その集合体の員が15〜16アミノ酸である場合は、前記15〜16の長をもつ前記員に適用する前記多様性要素が、0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0034】
本発明の目的は、また、その集合体の員が16〜17アミノ酸長をもつ場合は、16〜17アミノ酸長をもつ前記員に適用される多様性要素が、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することである。
【0035】
本発明は、また、その記集合体の員が18アミノ酸長をもつ場合は、18アミノ酸長をもつ前記集合体の前記員に適用する多様性要素が、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で 0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体を提供することに関する。
【0036】
本発明は、また、前記集合体の員が19アミノ酸長またはそれより長いアミノ酸長である場合は、19アミノ酸長またはそれより長いアミノ酸長をもつ前記員の多様性が、前記長をもつ前記員のH−CDR3領域内で0、1、2、3、4、5、6または7定常アミノ酸位置を定める、多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
一つの態様は、本発明は、とりわけ、天然のアミノ酸分布を模倣したものであって、天然のH−CDR3レパートリーとして本来知られている多様性を有する合成ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供することであって、これは、特定のH−CDR領域の長さによってDNA配列をコードするH−CDR3におけるアミノ酸のランダム分布にバイアスをかけることにより達成されたものである。
【0038】
限定した一式のデータ、つまり公知のV、DおよびJセグメントを用いる代わりに、従来から利用できるデータベース(例えば、Ig−BLAST)から入手可能なヒト抗体配列を分析し、H−CDR3領域中のアミノ酸分布を決定するための根拠として用いることができる。
【0039】
この意味では本発明は、今まで構築することが不可能と考えられていた方法により構築された抗体ライブラリーを提供する。
【0040】
本発明は、また、範囲が変化するアミノ酸の多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供するものであり、当該集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつH−CDR3領域を多様化しているH−CDR3領域により、および第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものである。
【0041】
本発明の関連において、「多様性要素」の用語は、各々のH−CDR3領域におけるアミノ酸残基のいずれかの所定のアミノ酸の範囲に対して、前記H−CDR3領域における1またはそれ以上の所与の位置においてアミノ酸が出現する頻度として定義される。本発明との関連では、所与の位置におけるアミノ酸の「頻度」は、本明細書での教示にしたがって頻度が0%〜100%をとることができ、このような位置におけるアミノ酸出現の可能性として定義される。自然に生じているヒト抗体においては、H−CDR3領域は約4〜35アミノ酸長で変化する。したがって、本発明は、各H−CDR3領域におけるアミノ酸残基長が4から35の間をとることができ、好ましくは4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21または22アミノ酸残基長であり、本明細書に十分に記載されているように、特定の多様性要素に適用されるアミノ酸の範囲は変化することができる。本発明の抗体または/および抗体H−CDR3領域は、ヒトまたはヒト化であることができるが、本明細書に十分に記載されているように、多くの関連について使用することができる。
【0042】
一つの態様において、本発明は、2〜4の多様性要素によって変化するアミノ酸長の多様化しているH−CDR3領域を提供する。したがって、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体は、第一多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域および第二多様化要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じる得る。本発明との関連では、第一および第二多様性要素は異なるものである。第一範囲のアミノ酸が約4〜13アミノ酸であり、第二範囲のアミノ酸が約14から22アミノ酸である。多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じる:つまり、約4〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約10〜約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素および約17〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素である。その代わりに、多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、例えば、以下の要素の適用により生じる:すなわち、約4〜約8のアミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性、約9〜13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約14〜約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素および約19〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素である。
【0043】
別の態様では、本発明は、5〜7の多様性要素によって変化する範囲のアミノ酸長の多様化しているH−CDR3領域を提供する。多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の要素の適用により生じる得る:約4〜約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約8〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約12〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約16〜約19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約20〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域における多様性は、また、以下の要素の適用により生じ得る:約4〜約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約7〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約10〜約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約13〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約16〜約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約19〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素である。ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の要素の適用により生じる:約4〜約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約7〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約10〜約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約13〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約16〜約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約19〜約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素および約21〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素である。
【0044】
別の態様では、本発明は、8〜10の多様性要素によりアミノ酸長が変化する多様化しているH−CDR3領域を提供する。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体部位における多様性は、以下の要素の適用により生じ得る:約4から約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約7〜約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約9〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約12〜約14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約15〜約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約17〜約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約19〜約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員をもつ第七多様性要素および約21〜22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素である。別の例としては、多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の要素の適用により生じ得る:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6〜約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約8〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約10〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約12〜約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約14〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約16〜約17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約18〜19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素および約20〜22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の要素の適用により生じることができる:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6〜約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約8〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約10〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約12〜約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約14〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約16〜約17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約18〜19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約20〜21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素である。
【0045】
別の態様においては、本発明は、11〜14の多様性要素によって変化しているアミノ酸長の多様化しているH−CDR3領域を提供する。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じ得る:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6〜約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約9〜約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約12〜約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約14〜約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約16〜17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約18〜19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素および約21〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体CDR3領域の集合体における多様性は、また、以下の適用により生じることができる:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約11〜約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約14〜15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約16〜17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約19〜20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素および約21〜約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素である。多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じ得る: 約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8〜約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約11〜約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約14〜15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約16〜17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約19〜20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性が以下適用により生じ得る: 約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約10〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約13〜14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約15〜16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約18〜19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素である。
【0046】
さらに、別の態様においては、本発明は、15から17の多様性要素によって変化しているアミノ酸長の多様化しているH−CDR3領域を提供する。多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じることができる:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約10〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約14〜15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約17〜18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素、約21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素および約22アミノ酸長をもつ第十五多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じ得る:約4〜約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約10〜約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約18〜19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素、約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素、約21アミノ酸長をもつ第十五多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十六多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下により適用することができる: 約4アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約6〜約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約17〜18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素、約19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素、約20アミノ酸長をもつ第十五多様性要素、約21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十六多様性要素および22アミノ酸長をもつ第十七多様性要素である。
【0047】
別の態様においては、本発明は、18〜19の多様性要素によって変化するアミノ酸長の多様化しているH−CDR3領域を提供する。多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じることができる: 約4アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約16〜17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素、約18アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素、約19アミノ酸長をもつ第十五多様性要素、約20アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十六多様性要素、約21アミノ酸長をもつ第十七多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十八多様性要素である。多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体における多様性は、以下の適用により生じることができる: 約4アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第一多様性要素、約5アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第二多様性要素、約6アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第三多様性要素、約7アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第四多様性要素、約8アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第五多様性要素、約9アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第六多様性要素、約10アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第七多様性要素、約11アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第八多様性要素、約12アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第九多様性要素、約13アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十多様性要素、約14アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十一多様性要素、約15アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十二多様性要素、約16アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十三多様性要素、約17アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十四多様性要素、約18アミノ酸長をもつ第十五多様性要素、約19アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十六多様性要素、約20アミノ酸長をもつ第十七多様性要素、約21アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十八多様性要素および約22アミノ酸長をもつH−CDR3領域員に対する第十九多様性要素である。
【0048】
当業者は、多様性要素の数は、所定の長をもつH−CDR3領域員におけるアミノ酸の位置の数にまで合わせることができると考えるであろう。好ましくは、19までの多様性要素が用いられる、そして、本発明の多様化したH−CDR3領域の集合体は、多様化したH−CDR3領域の種々の集合体を形成するために、単独でまたは可変重鎖ドメインまたは全配列または実質的に免疫グロブリン鎖の完全長として併せることができる。
【実施例】
【0049】
次のような限定されない実施例は、とりわけ、特定の範囲内のアミノ酸(aa)長をもつH−CDR3領域に適用することができる一定の多様性要素に対するパラメーターを特定することによって本発明の種々の実施態様を画定する。このような理論的デザインに、少なくとも一部は、基づいたある種のクローニング効率を満たす要望があるために、下記に述べる理論的なデザインから多様性(アミノ酸頻度)におけるいくらかの偏差が本発明の範囲から逸脱することなしに許容されることを当業者は理解するであろう。
【0050】
H−CDR3−設計作成のための配列の検索順序と編集:
分析用のデータ類は、NCBI−サーバー上のIg−BLASTから得た。Ig−BLASTのデータレコードを含む次のファイル、ftp:ftp.ncbi.nih.gov.blast/db/FASTA/igSeqProt.gz.、をダウンロードした。ヒトまたはマウスまたは、FASTAフォーマット中にデータ収録さている名称−タグに認定がないもの、合計40,808データレコ−ドをダウンロードした。MS−ワード中の名称タグで「ヒト」というキーワードでデータをフィルターをかけることにより、ヒト抗体として収録されている22,500を抽出した。ヒト抗体22,500収録の中で、13,235が重鎖に、5,490が軽鎖に認定されていた。名称−タグにキーワードがみつからなかったので、残りの抗体は、hc-κ(カッパ)およびIc -λ(ラムダ)であるとさらに認定した。重鎖については、MS−Excelで異なる長さには異なるワークシートを用いて長さにしたがってH−CDR3集合体を処理した。H−CDR3−分析のために、13,235の配列中8,886が重鎖分析用に取りだされた。
【0051】
長さ依存性H−CDR3−デザイン:
一例として、3つの多様性要素によって次の3つのデザインが生じた。
4aa−7aa
8aa−14aa
15aa−23aa
カバット位置(以下、位置という。)102でY−容量は、50%から5%へ8aa−23aa長を超える減少を示す、一方、この位置でV−容量は、12%から65%へ増加している。付け加えると、位置101におけるD−容量は、75%から100%に増大している。その長さを超えて異なるaaを見いだすためには、本発明の範囲を限定することにはならないが、ループベースのデザイン下では2つの異なる多様性要素を選ぶことを決めた:それは、一つは8−14aaであり、他は15−23aaであり、一方、4−7aa長をもつH−CDR3領域に適用する多様性要素は、左のデザインによることができる。
【0052】
アライメント−タイプ:
数種のaa長の一つのデザインを要約するために、次のようなタイプのアライメントが、8−14aaおよび15−23aaを含むライブラリー員をデザインするための代表的な選択(物)である(表1):つまり、左側へのアライメント、右側へのアライメントおよび対称アライメントである。
【0053】
【表1】

【0054】
「階段」の各ステップは、ある長さのコンセンサス−配列を表わす。最初の3つの位置は、近接するフレームワーク領域の部分を表している:カバット位置92、93、94でのCAR領域およびカバット位置103でのFW4(WGQG)の始めのWである。
【0055】
左アライメント(表1および図1):
最初の3つの位置(カバット番号付け96、97および98)はブロックとして整列された。これらの位置は、Vセグメントとセグメント間の境界にあって、V−コード(生殖細胞系)であるかもしれない。このようにこれらの位置は、残部のHCDRとは配置構成が異なっており、それらは、分離している。ここではY容量が減少しているので、位置96と97は他のHCDRの位置とは異なっており、一方、位置96では、D容量が上昇している。優性なFDY−配列を含む最後の5つの位置(カバット位置l、m、n、101および102)は、ブロックとして整列されている。101および102の位置は、しばしば、コードされたJ−セグメントであり、そして、類似したアミノ酸分布を示す。先ず、最初の3つと最後の5つの位置をaaで満たした後、左側へのアライメントが、カバット位置99で始まり、続いてカバット位置99と「l」間のギャップを満たしている。
【0056】
右側アライメント(表1および図2):
ここでは、左側アライメントについての記述と同様な考えにより、カバット位置96、97および98が、カバット位置、l、m、n、101および102は、ブロックとして整列されている。先ず、最初の3つを、そして最後の5つをaaで満たした後、右側へのアライメントはカバット位置「l」で始まり、続いて カバット位置「l」と99のギャップを満たした。
【0057】
センターアライメント(表1および図3a、3b、3c):
構造上の側面を考えると、左右対称アライメントが、アライメントの望ましいタイプであり、付け加えると、ループ中でaaとの相互作用を速い認識を可能にする。ここで、新アミノ酸が、ある位置に対称に加えられる。免疫グロブリン可変ドメインに対するさらに別の符番図:「分析手段の自動的なモデル化、A.ホネガー、A.プルックサン、J.Mol.Biol(2001)309,657−670」に記載しているように、AHO−位置123に対して対称アライメントを実行した。
【0058】
2つの対称アライメントが可能である:一つのアライメントは、123の位置でギャップをつくり、その配列をフレームワークの方へずらし、そして、別のアライメントは、対称軸としての位置123へ配列をずらし、同数のaaをもつ2つの部分に分割するものである。第一のアライメントは、隣接領域(図3a)の aa−分布を記載している、一方、同じ配列が取り出されて、別の方法で整列されているのであるが、第二のアライメントは、H−CDR3領域のループ−チップを記載している(図3b)。ループにとっては、新しいアミノ酸がループの基盤に対称に取り込まれている。混合センターアライメント(図3c)においては、その配列は、AHO−123位置に対して対称におかれたが、しかし、ループと側面領域の整列を組み合わせたものである。位置123を囲んでいる5個のaaのブロックは一定に維持されているが、一方では、他の配列が隣接領域に並んでいる。抗体可変領域に用いることができる符番システムの例を図4に示している。
【0059】
表2は、4−7aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(隣接領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等な分布であるという記載である。
【0060】
【表2】

【0061】
表3は、4−7aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(ループ−領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載する。
【0062】
【表3】

【0063】
表4は、4−7aa長をもつH−CDR3領域に対する左アライメントの結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載している。
【0064】
【表4】

【0065】
表5は、4−7aa長をもつH−CDR3領域の右アライメントを示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載している。
【0066】
【表5】

【0067】
表6は、8−14aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(隣接−領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載している。表7は、8−14aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(ループ領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等分布を記載している。表8は、8−14 aa長をもつH−CDR3領域のセンターアライメント(混合−センター)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等な分布を記載している。表9は、8−14aa長をもつH−CDR3領域に対する左アライメントの結果を示している。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載している。表10は、8−14aa長をもつH−CDR3領域に対する右アライメントの結果を示している。「All」は、システインを除く全ての19aaの均等分布を記載している。表11は、15−23aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(隣接領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等な分布を記載している。表12は、15−23aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(ループ領域)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等分布を記載している。表13は、15−23aa長をもつH−CDR3領域に対するセンターアライメント(混合−センター)の結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等分布を記載している。表14は、15−23aa長をもつH−CDR3領域に対する左アライメントの結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等分布を記載している。表15は、15−23aa長をもつH−CDR3領域に対する右アライメントの結果を示す。「All」は、システインを除く全ての19aa長の均等分布を記載している。
【0068】
【表6】

【0069】
【表7】

【0070】
【表8】

【0071】
【表9】

【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
【表12】

【0075】
【表13】

【0076】
【表14】

【0077】
【表15】

【0078】
別の限定されない実施例では、本発明は、H−CDR3領域の多様性が、第一の多様性要素による第一範囲内の約4〜約8アミノ酸の長をもつH−CDR3領域により生じ得るものであり第一多様性要素が、位置1においてアラニンが約80%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約60%の頻度であり、位置3においてグリシンが約40%の頻度であり、位置7においてアスパラギン酸が約50%の頻度であり、位置8においてチロシンが約40%の頻度であることを要する変化する長の多様性H−CDR3領域の集合体を提供する(表16)。
【0079】
【表16】

【0080】
別の限定しない実施例においては、本発明は、H−CDR3領域の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲内の約9〜約15アミノ酸の長をもつH−CDR3領域により生じ得るものであり、第一多様性要素が、位置1においてアラニンが約90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約70%の頻度であり、位置10においてチロシンが約20%の頻度であり、位置11においてチロシンが約20%の頻度であり、位置12においてチロシンが約30%の頻度であり、位置13においてフェニルアラニンが約60%の頻度であり、そして位置14においてアスパラギン酸が約80%の頻度であり、位置15においてチロシンが約40%の頻度であることを要する、変化する長のヒトまたはヒト化抗体CDR3領域の集合体を提供する。好ましくは、約9〜約15アミノ酸長をもつヒトまたはヒト化H−CDR3領域の多様性が、前記H−CDR3領域の内側で高容量のグリシンおよびセリンにより生じるものである(表17)。
【0081】
【表17】

【0082】
さらなる別の限定されない実施態様では、本発明は、H−CDR3領域の多様性要素が、第一多様性要素によって生じる約16〜約22アミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ得るものであり、第一多様性要素が、位置1においてアラニンが約90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約60%の頻度であり、位置3においてアルパラギン酸が約30%の頻度であり、位置4においてグリシンが約20%の頻度であり、位置5においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置6においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置7においてチロシンが約20%の頻度であり、位置15においてチロシンが約40%の頻度であり、位置16においてチロシンが約50%の頻度であり、位置18においてチロシンが約60%の頻度であり、位置19においてチロシンが約40%の頻度であり、位置20においてメチオニンが約50%の頻度であり、位置21においてアスパラギン酸が約95%の頻度であり、そして位置22においてバリンが約60%の頻度であることを要する、長さが多様化している多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を提供する(表18)。
【0083】
【表18】

【0084】
さらに、約16〜約22アミノ酸のアミノ酸長をもつヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体の多様性が、H−CDR3領域中の高容量のセリン、H−CDR3領域の末端(C−末端)で高容量の塩基性アミノ酸、H−CDR3領域中の前端部(N−末端)でのアスパラギン酸および全H−CDR3領域にわたり高容量の芳香性アミノ酸により生じている。
【0085】
本発明に関連して、H−CDR3領域の所定のアミノ酸位置において、所与のアミノ酸位置における定められた頻度が特定されていないアミノ酸の出現は、実質的に互いに等しい比率であり、あるいは、あるアミノ酸はこのような位置においては、他のアミノ酸に比較して高い頻度であるかもしれない、ある場合では、ある種のアミノ酸は、一またはそれ以上の一定のアミノ酸位置において除外されているかもしれない(例えば、システイン)。
【0086】
本発明に関連して、多様化H−CDR3領域のデザインが、DNA配列をコードするH−CDR3領域におけるアミノ酸の完全なランダム分布にバイアスをかけることで公知の自然のアミノ酸分布を模倣することによりなされ得る。多様化H−CDR3領域の生成は、トリヌクレオチド変異技術(TRIM)(ビルネケス等、1994)を用いて行うことができる、その技術は、どのような位置においても、いずれかのアミノ酸バイアスをいずれかの位置に導入することにより、各一つの位置において、意のままに希望するアミノ酸混合物を合成することができる。一般的には、TRIMテクノロジーは、標準DNA合成用に入力される予め調合したトリヌクレオチドの使用すること、その方法を用いて、フレームシフト、ストップコドン、望んでいないアミノ酸を回避し、莫大な量の配列の多様性を得ることについて信頼し得る。それ故、十分に広範囲な機能性配列スペースを生じさせるためには、大変大きな規模のライブラリーが必要となる。したがって、長さ依存アミノ酸組成物の知見をTRIMテクノロジーに併用すると、より高度な機能内容をもつH−CDR3領域のより小さい集合体のデザインが可能になるはずである。
【0087】
別の態様では、本発明は、各々のH−CDR3領域の多様性が、第一の多様性要素による第一の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域および第二の多様性要素によって第二の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、そして各多様性要素が各H−CDR3領域のアミノ酸長の機能である、多様化しているH−CDR3領域の集合体を具える、ヒトまたはヒト化抗体可変重鎖の集合体を提供する。さらに、本発明は、本発明のヒトまたはヒト化抗体可変重鎖をその各々に含む多様化ヒトまたはヒト化抗体または機能的なフラグメントの集合体を提供する。
本発明に関連して、多様化ヒトまたはヒト化抗体またはその機能性フラグメントの集合体の生成に対して、当業者は多様化H−CDR3領域の集合体の理論的なデザインを改変するであろうと考えられる。当業者は、例えば、お互いに等モル濃度でこのような頻度以下で現れるアミノ酸を添加することにより、低い頻度(例えば、5%以下頻度、好ましくは、3%以下)で現れるアミノ酸に関してデザインを変更することは受け入れられるように思われ、従って、多様化ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントの集合体がこのような濃度でこのようなアミノ酸との混合物を含むことにより生じるかもしれない。
【0088】
別の態様においては、本発明は、多様性ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントの集合体を具える合成ヒトまたはヒト化抗体ライブラリーを提供する。合成コンセンサス配列は、ヒトゲノムにおいてコードされる抗体の構造上のレパートリーに及ぶことができる。合成ヒトまたはヒト化抗体ライブラリーは、抗体または抗体フラグメント、好ましくは、Fv,ジスルフィド結合をもつFv,単鎖Fv(scFv)、またはFabフラグメントに基づいている、そして、それらは新しい標的抗原に対する特異性の出所源として用いることができる。
【0089】
本発明に関連して、合成ヒトまたはヒト化抗体ライブラリーは、インシリコでデザインされ、合成的に創られた核酸によりコードされるアミノ酸配列に基づくことができる。インシリコにおいて、例えば、ヒト配列のデータベースを分析し、そこから得たデータを用いてポリペプチド配列を立案することにより抗体配列のデザインが達成されている。公知のヒト免疫グロブリン、可変ドメインの生殖系細胞のアミノ酸配列を分析することにより、抗体遺伝子が、配列のホモモロジーおよび標準構造に従い、サブファミリーに分類され得る(チョチア等1992,トムリンソン1995)。ある一つのサブファミリー内でのアミノ酸配列と標準構造の手法により高い相同性のために、7VHとVLコンセンサス配列(マスター遺伝子)をデザインし、結合して49の基本骨組(マスターフレームワーク)の組合わせを創った(クナップ等、2000)。マスター遺伝子は、全ての機能的なモジュールを側面にもつユニークな制限サイトを導入することにより完全なモジュラー遺伝子構造をそこに生成するように化学合成され得る。
【0090】
デザインされ、イン シリコで創られた配列を得る方法が記載されている、例えば、クナピック等、J.Mol.Biol.(2000)296:57;クレブ等、J.Immunol.Methods.(2001)254:67;およびU.S.特許6,300,064、クナップ等に記載されており、これらは、全内容が参照により本明細書に取り込まれている。
【0091】
別の態様においては、本発明は、多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域をコードする核酸分子の集合体を調製する方法を提供する。このことは、例えば、各々がH−CDR3領域をコードするものであり、そのH−CDR3領域は範囲が変化するものである、複数のDNA分子を合成することによりなし得る。この目的のために、第一範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が第一多様性要素によって合成され、そして、第二の範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が、第二多様性要素によって合成され、その多様性要素が異なるものである。
【0092】
一つの態様においては、本発明は、集合体の多様性が、第一の多様性要素によって第一の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、および第二の多様性要素により第二の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであり、その多様性要素が異なるものである、変化している範囲のアミノ酸の多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸の集合体を提供する。
【0093】
多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CSDR3領域の集合体を得る方法が、本発明の範囲内で提供されている。これは、本発明の多様化ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸の集合体を発現させることにより達成し得る。
【0094】
別の態様においては、所定の標的に結合する本発明の1またはそれ以上のH−CDR3領域をコードする1つまたはそれ以上の遺伝子を特定する方法を提供する。これは、例えば、H−CDR3領域を発現させ、次に、所定の標的分子に結合する一つまたはそれ以上のH−CDR3領域を単離するスクリーニングにより達成される。H-CDR3領域は、抗体可変重鎖範囲内に具えられる。スクリーニングは、ファージ提示法またはCysDisplay(例えば、US特許6,753,136に記載)のような、その分野の熟練者により公知の方法の一つを用いて行うことができる。
【0095】
本発明に関連して、ヒトまたはヒト化抗体ライブラリーはデザインされた合成DNAをヒト供与者からの遺伝子断片に併用することに基づくものであり得る。一例に、軽鎖可変領域またはある範囲の重鎖領域をコードするヒト供与体に由来する断片が、特定の部位に導入された多様性をもつヒト抗体配列をコードする合成DNAに組み合わせられている。
【0096】
本発明は、本明細書に開示したような抗体またはそのフラグメントに由来する変異または最適化した抗体(またはそのフラグメント)を提供する。抗体は、2つのペプチド鎖により構成され、各々は、1つ(軽鎖)または3つ(重鎖)の定常ドメインおよび可変領域(VL,VH)を含み、後者は、各々が4つのFR領域と3つの空隙をもつCDRから造られている。 抗原結合部位は、1またはそれ以上のCDRにより形成され、さらに、FR領域はCDRの構造フレームワークを提供し、そして抗原結合に重要な役割を演ずる。CDRまたはFR領域中の1またはそれ以上のアミノ酸残基を変えることにより、当業者は定型の仕事として、変異または多様化させた抗体配列を生成させることができ、それらは、抗原に対してスクリーニングでき、例えば、新規なまたは改良された性質をもつ抗原に対して選抜することができる。
【0097】
また、本明細書で用いられているように、本明細書による「免疫グロブリン」(Ig)は、IgG、IgM、IgE、IgAまたはIgD(またはそれらのサブクラス)に属するタンパクとして定義され、全ての従来の公知の抗体およびその機能的なフラグメントをも含まれる。抗体/免疫グロブリンの「機能的なフラグメント」は、本明細書では、抗原−結合領域を保持する抗体/免疫グロブリン(例えば、IgGの可変領域)と定義する。抗体の「抗原−結合領域」は、1またはそれ以上の抗体の超可変領域、すなわち、CDR−1、−2および/または−3領域にあることが知られているが、しかしながら、CDRにとっての足場の提供といった、可変フレームワーク領域もまた、抗原結合に重要な役割をもつ。好ましくは、「抗原結合−領域」は、少なくとも4〜103の可変軽鎖(VL)および5〜109の可変重鎖(VH)鎖を、より好ましくは、3〜107のVLおよび4〜111のVHであり、最も好ましくは、完全長のVLおよびVH鎖(VLの1〜109のアミノ酸位置、VHでは1〜113のアミノ酸位置;WO97/08320に基づく数値)のアミノ酸残基を具えている。本発明において用いられる免疫グロブリンの好ましいクラスは、IgGである。本発明の「機能的なフラグメント」は、フラグメントF(ab)、フラグメントFabおよびscFvを含む。F(ab)およびFabは、CH1およびCLドメイン間で生じる分子間ジスルフィド結合の相互作用を最小化するために、または完全に取りはずすために設計される。
【0098】
本明細書で用いる「超可変」の用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」からのアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおいては24〜34残基(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)、重鎖可変ドメインにおいては31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);カバット等、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, Md.(1991))、および/または「超可変ループ」からのそれらの残基(すなわち、軽鎖可変領域における、26〜32(L1),50〜52(L2)および91〜96(L3)であり、重鎖可変ドメインでは、26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)である(チョチア、および レスク、J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))を具える。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で規定する以外のそれらの可変ドメイン残基である。
【0099】
「ヒト」抗体または機能性ヒト抗体フラグメントは、本明細書では、キメラ(例えば、
「ヒト化」ではない。)ではなく、そして、(全部または一部が)ヒト以外の種に由来するものはなない。ヒト抗体または機能性ヒト抗体フラグメントは、ヒトに由来するものであり得るか、または合成ヒト抗体でり得る。本明細書で「合成ヒト抗体」は、公知のヒト抗体配列の分析に基づいた、全部または一部がイン シリコでの合成配列に由来する配列をもつ抗体として定義される。ヒト抗体配列またはそのフラグメントのイン シリコでのデザインは、例えば、ヒト抗体または抗体フラグメント配列のデータベースを分析し、そこから得られたデータを用いてポリペプチド配列を立案することにより、達成することができる。ヒト抗体または機能的なフラグメントの別の例は、ヒト起源のライブラリーまたは抗体配列から単離した核酸によりコードされるものである(すなわち、ヒト自然源から取り出された抗体に基づいたライブラリーのごときもの)。
【0100】
「ヒト化抗体」または機能的なヒト化抗体フラグメントは、(i)少なくとも一部がヒトではない出所源に由来し(例えば、異種の免疫系をもつトランスジェニックマウス)、その抗体がヒト生殖細胞系列の配列に基づくもの、(ii)少なくとも可変領域の一部がヒト以外の起源に由来し、定常ドメインがヒト起源に由来するキメラ、(iii)可変ドメインのCDRの少なくとも一部がヒト以外の起源に由来するものであり、一方、可変ドメインの1または1以上のフレームワークが、ヒト起源であって、定常領域がヒト起源である(もしあれば)、の中のいずれか一つとして本明細書では定義される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、左アライメントを示す図である。図1bにおいて描いた各「階段」における各ステップは、所定のHCDR3長をもつ平均380配列のコンセンサス配列を表す。左アライメントでは、左から右にかけて長さが増加するにつれて対角線に沿って付加するアミノ酸残基を挿入することにより異なる長さのものが並んでいる。
【図2】図2は、右アライメントを示す図である。図2bにおいて描いた各「階段」における各ステップは、所定のHCDR3長をもつ、平均380配列のコンセンサス配列を表す。右アライメントでは、右から左へ長さが増加増するにつれて対角線に沿って付加するアミノ酸残基を挿入することにより異なる長さのものが並んでいる。
【図3】図3aは、センターアライメント(隣接領域)を示す図である。右図に描かれた図中の各層は、所定のHCDR3長をもつ平均380配列のコンセンサス配列を表す。隣接領域のアライメントにおいては、外側の中程から内側へ(隣接領域からループ領域へ)長さが増加するにつれて、対角線に沿って付加アミノ酸残基の挿入により異なる長さのものが並んでいる。濃い灰色の部分は、新しく追加した残基を例示する。 図3bは、センターアライメント(ループ領域)を示す図である。右図に描かれた図中の各層は、所定のHCDR3長をもつ平均380配列のコンセンサス配列を表す。濃い灰色の部分は、新しく追加した残基を例示する。 図3cは、センターアライメント(混合−センター)を示す図である。右図に描かれた図中の各層は、所定のHCDR3長をもつ平均380配列のコンセンサス配列を表す。濃い灰色の部分は、新しく追加した残基を例示する。
【図4】図4は、抗体可変領域の符番模式図の例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、そして第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであって、該多様性要素が異なるものである、アミノ酸の範囲が変化する多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項2】
少なくとも前記H−CDR3の一部分が、約4〜約22アミノ酸長の範囲が変化する請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3の集合体。
【請求項3】
前記第一範囲のアミノ酸が約4〜約13アミノ酸であり、前記第二の範囲のアミノ酸が約14〜約22である請求項2に記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項4】
集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、および第三の多様性要素によって第三の範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じるものであって、前記多様性要素が異なるものである請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項5】
前記第一の範囲のアミノ酸が約4〜約9アミノ酸であり、前記第二の範囲のアミノ酸が約10〜約16であり、前記第三の範囲のアミノ酸が約17〜約22アミノ酸である、請求項4記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項6】
集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第三多様性要素によって第三範囲内のアミノ長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第四多様性要素によって第四範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第五多様性要素によって第五範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域および第六多様性要素によって第六範囲内のアミノ長をもつ多様化しているH−CDR3領域によって生じるものであって、前記多様性要素が異なるものである請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項7】
前記第一範囲のアミノ酸が約4〜約6アミノ酸であり、前記第二範囲のアミノ酸が約7〜約9アミノ酸であり、前記第三範囲のアミノ酸が約10〜約12アミノ酸であり、前記第四範囲のアミノ酸が約13〜約15アミノ酸であり、前記第五範囲のアミノ酸が約16〜約18であり、前記第六範囲のアミノ酸が約19〜約22である、請求項6記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項8】
集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第二多様性要素によって第二範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第三多様性要素によって第三範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第四多様性要素によって第四範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第五多様性要素によって第五範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第六多様性要素によって第六範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第七多様性要素によって第七範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、第八多様性要素によって第八範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、および第九多様性要素によって第九範囲内のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3、により生じるものであって、前記多様性要素が異なるものである、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項9】
前記第一範囲のアミノ酸が約4〜約5アミノ酸であり、前記第二範囲のアミノ酸が約6〜約7アミノ酸であり、前記第三範囲のアミノ酸が約8〜約9であり、前記第四範囲のアミノ酸が約10〜約11であり、前記第五範囲のアミノ酸が約12〜約13であり、前記第六範囲のアミノ酸が約14〜約15であり、前記第七の範囲のアミノ酸が約16〜約17であり、前記第八範囲のアミノ酸が約18〜約19であり、そして前記第九範囲のアミノ酸が約20〜約22である、請求項8記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項10】
前記第一範囲が約4〜約8アミノ酸であり、そして、前記第一多様性要素が、位置1においてアラニンが約80%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約60%の頻度であり、位置3においてグリシンが約40%の頻度であり、位置7においてアスパラギン酸が約50%の頻度であり、位置8においてチロシンが約40%の頻度であることを要する、請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項11】
前記第一範囲が約9〜約15アミノ酸であり、該第一多様性要素が、位置1においてアラニンが約90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約70%の頻度であり、位置10においてチロシンが約20%の頻度であり、位置11においてチロシンが約20%の頻度であり、位置12においてチロシンが約30%の頻度であり、位置13においてフェニルアラニンが約60%の頻度であり、位置14においてアスパラギン酸が約80%の頻度であり、そして位置15においてチロシンが約40%の頻度であることを要する、請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項12】
前記第一範囲が約16〜約22のアミノ酸であって、そして該第一多様性要素が、位置1においてアラニンが90%の頻度であり、位置2においてアルギニンが約60%の頻度であり、位置3においてアスパラギン酸が約30%の頻度であり、位置4においてグリシンが約20%の頻度であり、位置5においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置6においてアルギニンが約10%の頻度であり、位置7においてチロシンが約20%の頻度であり、位置15においてチロシンが約40%の頻度であり、位置16においてチロシンが約50%の頻度であり、位置17においてチロシンが約50%の頻度であり、位置18においてチロシンが約60%の頻度であり、位置19においてチロシンが約40%の頻度であり、位置20においてメチオニンが約50%の頻度であり、位置21においてアスパラギン酸が約95%の頻度であり、位置22においてバリンが約60%の頻度である、ことを要する請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体HCDR3領域の集合体。
【請求項13】
前記第一の範囲が約9〜約15アミノ酸であり、前記第一多様性要素が、前記第一の範囲内の少なくとも2アミノ酸の位置で高含量のグリシンとセリンを要する請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項14】
前記第一範囲が約16〜約22アミノ酸であり、前記第一多様性要素が、(i)前記第一範囲内の少なくとも1アミノ酸位置で高含量のセリンを、(ii)H−CDR3領域の終端末部で高含量の塩基性アミノ酸を、(iii)H−CDR3の前端部で高含量のアスパラギン酸を、および(iv)前記第一範囲内の少なくとも2アミノ酸部位で高含量の芳香性アミノ酸を、要する請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項15】
前記第一範囲が約5アミノ酸であり、そして、前記第一の多様性要素が位置1において、アラニンが約60%の頻度であり、スレオニンが約20%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.58%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置2において、アルギニンが約30%の頻度であり、リジンが約30%の頻度であり、スレオニンが約30%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.55%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置3において、アスパラギン酸が約40%の頻度であり、フェニルアラニンが約40%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.58%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置4において、アスパラギン酸が約30%の頻度であり、グリシンが約30%の頻度であり、メチオニンが約30%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.63%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置5において、チロシンが約30%の頻度であり、アスパラギン酸が約30%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.58%の頻度であることを要する、請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項16】
前記第一範囲が約12アミノ酸であり、前記第一多様性要素が位置1において、アラニンが約80%の頻度であり、スレオニンおよびバリンが併せて約15%の頻度であることを要し;該第一多様性要素が位置2において、アルギニンが約70%の頻度であり、セリン、スレオニン、グリシンおよびアラニンが併せて約30%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置9において、アラニン、セリンおよびチロシンが併せて、約20%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.63%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置10において、フェニルアラニンが約60%の頻度であり、メチオニンが約10%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.58%の頻度であることを要し; 前記第一多様性要素が位置11において、アスパラギン酸が、約80%の頻度であり、グリシンが約5%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.58%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置12において、チロシンが約50%の頻度であり、バリンおよびイソロイシンが併せて約10%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.63%の頻度であることを要する、請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項17】
前記第一範囲が約20アミノ酸であり、前記第一多様性要素が位置1において、アラニンが約100%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置2において、アルギニンが約50%の頻度であり、リジンが約50%の頻度であることを要し;前記第一の多様性要素が、位置3においてグリシンが約30%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.55%の頻度であることを要し;前記第一の多様性要素が位置4において、アラニンが約20%の頻度であり、グリシンが約20%の頻度であり、ロイシンが約20%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.63%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置14において、セリンが約20%の頻度であり、スレオニンが約20%の頻度であり、システインが約20%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.63%の頻度であることを要し;前記第一多様性要素が位置21において、アスパラギン酸が約95%の頻度であることを要し;そして、前記第一の多様性要素が位置22において、バリンが約50%の頻度であり、システインを除く他のすべてのアミノ酸が約0.55%の頻度であることを要する、請求項2記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体。
【請求項18】
請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を具える多様性ヒトまたはヒト化抗体可変重鎖の集合体。
【請求項19】
請求項18記載のヒトまたはヒト化抗体可変重鎖を具える、多様性ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントの集合体。
【請求項20】
請求項19記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体またはその機能的なフラグメントを具える合成ヒトまたはヒト化抗体ライブラリー。
【請求項21】
複数のDNA分子がDNA分子を合成するステップを具え、各DNA分子がH−CDR3領域をコードし、前記H−CDR3領域が範囲が変化するものであり、第一範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が第一多様性要素によって合成され、第二範囲のアミノ酸のH−CDR3領域をコードするDNA分子が第二多様性要素によって合成され、前記多様性要素が異なるものであることを特徴とする、多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域をコードする核酸分子の集合体を調製する方法。
【請求項22】
請求項21の方法により調製された多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸集合体。
【請求項23】
集合体の多様性が、第一多様性要素によって第一範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域、および第二多様性要素によって第二範囲のアミノ酸長をもつ多様化しているH−CDR3領域により生じ、そして前記多様化要素が異なるものであることを特徴とする、範囲が変化するアミノ酸の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体をコードする核酸の集合体。
【請求項24】
請求項22または23記載の核酸集合体を発現する工程を具える、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化抗体H−CDR3領域の集合体を得る方法。
【請求項25】
前記集合体の員が4〜8アミノ酸長をもつ場合は、前記4〜8アミノ酸長をもつ前記員に適用する前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項26】
該集合体の員が9〜10アミノ酸長をもつ場合は、前記9〜10アミノ酸長をもつ前記員に適用される前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項27】
前記集合体の前記員が11〜13アミノ酸長をもつ場合は、前記11〜13アミノ酸長をもつ前記員に適用される前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2または3定常アミノ酸位置を定める、請求項1の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項28】
前記集合体の員が14アミノ酸長である場合は、前記14アミノ酸長をもつ前記員に適用される前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2、3、4または5定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項29】
前記集合体の員が15〜16アミノ酸長をもつ場合は、前記アミノ酸長をもつ前記員に適用される前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載のヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項30】
前記集合体の員が16〜17アミノ酸長をもつ場合は、前記16〜17アミノ酸長をもつ前記員に適用する前記多様性要素は前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様化ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項31】
前記集合体の員が18アミノ酸長をもつ場合は、前記18アミノ酸長をもつ前記員に適用する前記多様性要素が前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で、0、1、2、3、4、5、6、7または8定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。
【請求項32】
前記集合体の員が19アミノ酸長またはそれより長いアミノ酸長をもつ場合は、前記19アミノ酸またはそれより長いアミノ酸長をもつ前記員に適用する前記多様性要素が前記アミノ酸長をもつ前記員の前記H−CDR3領域内で、0、1、2、3、4、5、6または7定常アミノ酸位置を定める、請求項1記載の多様性ヒトまたはヒト化H−CDR3領域の集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−519727(P2009−519727A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546696(P2008−546696)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004301
【国際公開番号】WO2008/053275
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(504315886)モルフォシス アーゲー (4)
【Fターム(参考)】