説明

HBsペプチド融合体

【課題】感染症を生じさせる病原体の抗原決定基などの外来ペプチドを、その表面に発現させた、ワクチンとして利用可能なペプチド粒子を提供する。
【解決手段】HBsタンパクは、膜タンパクの一種であるが、自己集合し膜型の粒子形成能が強い。そこでHBsタンパク質のN末端に外来ペプチド(例えば、病原体のエピトープ)を結合させたHBsペプチド融合体を構築するために、これらをコードするDNAをこのペプチドからHBsまで一つのタンパク質として翻訳されるように、ベクターに組み込んで発現させると、外来ペプチドをその表面に発現させたHBs粒子を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
B型肝炎ウイルス(非特許文献1など)は、その形状が球状であり、ウイルス性の核酸を含むコア粒子を、ウイルス特有の表面タンパク質が覆っている。この表面タンパク質は3つの膜タンパク質(Large S、middle S、small S)から成り、このうち最も小さなsmall S(以下「HBs粒子」という。)は自己集合し膜型の粒子能が強いことが知られている(図1、非特許文献2)。
一方、従来のワクチンは、個々の病原体の感染中和抗体の形成を目的として、感染性病原体を増殖させたものを不活化したものや、病原体遺伝子産物のエピトープペプチドを合成又は野生株病原体を何代も実験室で継代し得た弱毒化生ワクチンであるが、個々の病原体又はその抗原それぞれに応じて個別に条件検討をしなければならず、作製に時間や費用を労し、また野生型病原体を扱うために特別な施設を必要としたりするものであり、更に結果として効果が弱かったりなかったりすることがしばしば生じている。
【0002】
【非特許文献1】Nucleic Acid Research 11:4601-4610, 1983
【非特許文献2】Journal of Virology, 1991, 65(7), 4521-3529
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、感染症を生じさせる病原体の抗原決定基などの外来ペプチドを、その表面に発現させた、ワクチンとして利用可能なペプチド粒子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
HBsタンパクは、膜タンパクの一種であるが、自己集合して、膜型の粒子を形成する。この性質を利用して、HBsタンパク質のN末端に外来ペプチド(例えば、病原体のエピトープ)を結合させたHBsペプチド融合体を構築するために、この外来ペプチドをコードするDNAとその下流に配置されたHBs遺伝子を、一つのタンパク質として翻訳されるように、ベクターに組み込んで発現させると、その表面に外来ペプチドを発現させたHBs粒子の形成を確認した。
また、この外来ペプチド部分に任意のDNAを挿入するためのクローニングサイトを設けて同様のベクターを構築すれば、病原体エピトープなどの任意のペプチドをその表面に発現させたHBs粒子を容易に形成することができる。
【0005】
即ち、本発明は、配列番号1若しくは配列番号2に示すアミノ酸配列から成るHBsタンパク質又はこれらのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から成り粒子形成能を有するHBsタンパク質のN末端に外来ペプチドが結合して成り、形状が粒子状であるHBsペプチド融合体である。
また本発明は、配列番号1若しくは配列番号2に示すアミノ酸配列から成るHBsタンパク質又はこれらのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から成り粒子形成能を有するHBsタンパク質のN末端に外来ペプチドが結合して成り、形状が粒子状であり、該ペプチドによる免疫原性を示すHBsペプチド融合体である。
更に、本発明は、感染症の予防又は治療のためのワクチンであって、この外来ペプチドがこの感染症を生じさせる病原体の抗原決定基を含む、上記HBsペプチド融合体から成るワクチンである。
更に、本発明は、プロモーター、その下流に配置された外来ペプチドをコードするDNAを挿入するためのクローニングサイト、及びその下流に配置された配列番号3又は4の塩基配列を有するHBs遺伝子を有し、このペプチドをコードするDNAとHBs遺伝子が一つのタンパク質として翻訳されるように組み込まれた発現ベクターである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の技術を利用することにより、HBs粒子の外表面に異種病原体のエピトープを人工的に発現させる基本的発現ベクターを構築し、そのエピトープ部分を入れ替えて粒子上に病原体エピトープをもつHBs粒子を作成することができるので、特別な施設を必要としないで種々の病原体エピトープへ対応可能な基本的で万能型ワクチンを創成することができる。このワクチンは粒子形状であるので、多価で力価が高いことが想定され、これまで開発が困難とされてきたHCVやHIVに対するワクチンを開発することが可能になる。またイーストを用いた量産体制へも容易に移行が可能であり、安価にワクチンを産生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のHBs粒子は、HBsタンパク質のN末端に外来ペプチドが結合して成るHBsペプチド融合体である。
HBs粒子は、226アミノ酸から成る4回膜貫通型の膜タンパク質であり、自己集合して、粒子形成能を有する(非特許文献3)。
HBsタンパク質には、adr4(配列番号1、3、NCBI HBVADR4 X01587)とadw2(配列番号2、4、NCBI HBVADW2 X02763)2種のクローンが知られている。これらは、いずれも、粒径が15〜25nmの粒子形成能を有する。
このHBsタンパク質のN末端に任意のペプチド(外来ペプチド)を結合させると、図2に示すように、この融合タンパク質はHBs粒子とほぼ同様の粒径(約15〜25nm)の粒子を形成し、この付加されたペプチドはその粒子の表面に発現する。
HBsタンパク質のN末端に結合させる外来ペプチドは20〜70アミノ酸であることが好ましい。このサイズより大きいと、粒子形成に影響を与える可能性があり、このサイズより小さいと抗原としての活性が低下する可能性がある。
【0008】
この外来タンパク質に、感染症を生じさせる病原体の抗原決定基を含ませてもよい。このような病原体としてC型肝炎ウイルス(HCV)(NCBI HPCHCPO、NCBI AB080299)、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)(NCBI AB077816、NCBI NC_001802)、マラリア又は鳥インフルエンザの抗原(NCBI CY030567、NCBI CY030565、DQ489691)、今後同定される可能性のある癌抗原などが挙げられる。これらに対して同様の系を組むことでワクチン産生系が樹立できる。必要なエピトープがどこにあるかは確実には解っていない場合には想定部分を含んで少し長めに挿入しておけばよい。
また、異なるペプチド(エピトープ)をもつ融合HBsタンパク質を用意して粒子を形成させて、多抗原ワクチンを創成することも可能であり、変異の激しい病原体エピトープへ対応することができる。
【0009】
このような融合タンパク質の粒子を発現させるために、適当な発現ベクターを構築することができる。
このベクターは、一般的に用いられるベクター、例えば、プラスミド、ファージ、ウイルス等のいずれであってもよい。
このようなベクターは、プロモーター、その下流に上記外来ペプチドをコードするDNAを配置し、更にその下流に配置された配列番号3又は4の塩基配列を有するHBs遺伝子を有する。
プロモーターとしては特に限定はなく、ベクター中でRNAへの転写を開始する活性を有するものであればよい。プロモーターとしては、例えば、ほ乳類細胞ではサイトメガロウイルス前初期遺伝子エンハンサー・プロモーター、SV40エンハンサー、レトロウイルスLTR、昆虫細胞ではポリヘドロンプロモーター、イーストではPHO5プロモーターなどを好ましく用いることができる。
【0010】
このペプチドをコードするDNAからHBs遺伝子まで一つのタンパク質として翻訳されるように組み込まれることを要する。即ち、このペプチドをコードするDNAからHBs遺伝子がin-frameで融合するように組み込まれることを要し、具体的には、これらの遺伝子の間に終結コドンを含まず、またこれらの遺伝コードがフレームシフトを起こさないように読まれるように、ベクター上に配置されることを要する。
この外来ペプチドをコードするDNAとして挿入できるサイズは60〜210bp程度が好ましい。
また、この外来ペプチドをコードするDNAの代わりに、このDNAを挿入するためのクローニングサイトを有する配列を用いてもよい。
【0011】
本発明のベクターに含有される上記の構成要素以外の領域として、例えば、エンハンサー、転写調節領域、転写終結配列、複製起点、選択マーカーとして使用される薬剤耐性遺伝子、オペレーターの機能に必要な調節遺伝子等を有してもよい。
このエンハンサーとしては、ほ乳類細胞ではサイトメガロウイルス前初期遺伝子エンハンサー・プロモーター、SV40エンハンサー、レトロウイルスLTR、昆虫細胞ではポリヘドロンプロモーター、イーストではPHO5プロモーターなどが考えられる。
この調節領域としては、プロモーターの下流に位置する遺伝子の発現を制御可能なものであれば特に限定はない。例えば、大腸菌ラクトースオペロン由来のlacオペレーターなどを使用することができる。このようなオペレーター配列は、通常、プロモーター下流の転写開始点付近に配置される。
【0012】
また、本発明で用いる発現ベクターとしては、ほ乳類培養細胞を用いた発現ベクター、昆虫細胞を用いた発現ベクター、イーストを用いた発現ベクターなどを利用できる。特にHBsタンパク質はイーストで発現可能であり、実際現在用いられているHBVワクチンとして臨床応用されていることから、本技術もイースト発現系へ導入することも極めて容易であり大量生産が短時間で樹立できる。
【0013】
ほ乳類培養細胞を用いた発現ベクター(プラスミド)を利用する場合には、ほ乳類エンハンサー−プロモーター−外来ペプチド融合HBs遺伝子−ポリA付加シグナルを構成要素にもつほ乳類発現プラスミドを構築する。エンハンサー−プロモーターは発現させる細胞の種類により任意に置換可能である。外来ペプチド部分に病原体エピトープを挿入しHBs融合型とすることで実際のワクチン産生ベクターとしてもよい。このようなエピトープは塩基配列情報をもとにプライマー(場合によっては制限酵素部位を付加したもの)を合成し、クローン化したプラスミド又は感染患者から採取した病原体ゲノム若しくは産生RNAからのcDNAを鋳型にしたPCRによって合成することができる。HBs翻訳領域についてもプライマーを合成しクローン化プラスミドを鋳型にPCRによって合成すればよい。エピトープとHBsはin-frameで融合するように構築し、HBs融合遺伝子カセット構築ベクター(図3b)に挿入して、構築する。発現ベクターへはエピトープ−HBs部分を制限酵素で切り出して、図3aに示す発現ベクターに挿入する。
【0014】
昆虫細胞を用いた発現ベクター(プラスミド)を利用する場合には、昆虫細胞エンハンサー−プロモーター−エピトープ融合HBs遺伝子−昆虫細胞転写終了配列とすることで昆虫細胞発現ベクター(プラスミド)とする。
また、イーストを用いた発現ベクター(プラスミド)を利用する場合には、イーストエンハンサー−プロモーター−エピトープ融合HBs遺伝子−イースト転写終了配列とすることでイースト発現ベクター(プラスミド)とする。
【0015】
本発明のHBsペプチド融合体及びその粒子を得るためには、例えば、上記発現ベクターを適宜宿主へトランスフェクション又はトランスフォーメンションによって導入し、一過性発現系又は薬剤耐性遺伝子活性を利用した安定発現系を樹立し、安定発現株における発現を免疫蛍光抗体法等で確認する。培養上清中又は細胞破砕によって溶液中に分泌された融合HBs粒子を、硫安沈殿法、ゲル濾過、超遠心法、アフィニティーカラム法で精製・濃縮する。

以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0016】
本実施例では、HBsタンパク質(配列番号1)のN末端に、外来ペプチドとしてヒスチジンヘキサマー(His6)を含むペプチド(HisHBs、65アミノ酸)を結合させた融合タンパク質を発現させて、それが粒子であることを確認し、その表面の性質を調べた。
(1)HBs遺伝子のクローニング
HBVゲノムDNA(配列番号3)をクローン化したプラスミドpBR322?HBVadr4(浜松医科大学感染症学所有)10ngを鋳型にSS5'FW; 5'-AAGTCGAC(SalI)ATGGAGAACACAACATCAGGA-3'(配列番号7)プライマーとSS3'RV; 5'-CACCGCGG(SacI)TTTATTAGGGTTTAAATGTAT-3'(配列番号8)プライマーで増幅し、制限酵素SalIとSacIで消化後pbluescriptIIの同様のサイトにクローニングし、pBSII-HBsを得た。塩基配列にもともとのクローンと相違がないことを確認した。
(2)ヒスチジンヘキサマー(His6)を含むペプチドのクローニング
pEBVHisAベクター(浜松医科大学感染症学所有)10ngを鋳型にしてHis5'FW; 5'-AACTCGAGT(XhoI)CTCATCATCATCATCATCATGGT-3(配列番号9)'プライマーとHis3'RV; 5'-AACTCGAG(XhoI)GGATCGATCCGGCCTGCCGGCCT-3'(配列番号10)プライマーで増幅し、制限酵素XhoIで消化後、上記で得たpBSII-HBsのXhoIに挿入し、HBs融合遺伝子カセット構築ベクターpBSII-His6HBsを得た。遺伝子の向き塩基配列が元々の配列と相違ないこと、読み取り枠が融合型になっていることを塩基配列解析により確認した(配列番号5及び6、図4)。
【0017】
(3)ほ乳類発現ベクターの構築
上記で得たpBSII-His6HBsを制限酵素KpnIとSacIで消化後、アガロース電気泳動により切り出されたフラグメントを分離し、ゲルからHis6HBs断片を精製した。このフラグメント末端をT4DNAポリメラーゼで平坦化し、pREP4(浜松医科大学感染症学所有)のPvuIIサイトにクローニングしpREP4-His6HBsを得た。遺伝子の方向性を塩基配列解析により確認した。
(4)ほ乳類培養細胞における発現
上記で得たpREP4-His6HBs 5μgを培養細胞HEK293(浜松医科大学感染症学所有)2x106/10cmディッシュにトランスフェクションした。トランスフェクション2日後の一過性発現培養上清液10mlを回収後、ハイグロマイシン0.5mg/mlを含む培養液で選択し出現したコロニーを分離し、His6HBs/293細胞6クローンを樹立した。抗His6抗体を用いた免疫蛍光抗体法で細胞質中に発現する産物を確認した。
(5)培養上清中のHis6HBsの分離・濃縮
上記の一過性発現培養上清、His6HBs/293細胞培養上清液50mlにNi-NTAアガロース20μlを入れ室温で30分反応させた。3000 x gの遠心分離でNi-NTAアガロースを沈殿させた。上清分画の一部100μlを非結合分画(UB)として採取した。Ni-NTAアガロースを洗浄液(50mM NaPO42-、300mM NaCL、20mM imidazol、pH8.0)、5mlで2回洗浄後、溶出液(50mM NaPO42-、300mM NaCl、300mM imidazol、pH8.0)、100μlで2回溶出し、E1とE2を得た。
【0018】
(6)His6HBsの分離濃縮の確認
上記で得た非結合分画(UB)及び溶出分画(E1、E2)の各10μlをタンパク泳動SDS-PAGE用に処理し、SDS-PAGE後、ウェスタンブロット解析のため、PVDF膜にトランスファーした。トランスファー後、この膜を10%ドライミルク入のバッファー(TBS-T;50mM Tris-HCl、150MM NaCl、0.1% Tween20)に1時間浸しブロッキング操作を行った。終了後、TBS-Tで3回洗浄後、一次抗体マウスモノクローナル抗His6抗体(ナカライテスク社)(100ng/ml)入のTBS-Tで3時間反応させたのち、TBS-Tで3回洗浄し、二次抗体HRP共役化ヒツジ抗マウスIgG抗体(GEヘルケア社製)を10,000希釈濃度で含むTBS-Tで1時間反応させた。TBS-Tで3回洗浄後、HRP発光反応液に浸し反応産物をケミルミネッセンス検出機(フジフィルムLAS3000)で検出した。その結果を図5に示す。溶出分画(E1、E2)に抗His6抗体で反応するタンパク質分子を検出した。この結果はHis6HBsが発現し、少なくともHis6が認識される形で分泌されていることを意味している。
(7)His6HBsが粒子を形成していることの証明
Ni-NTAアガロースで分離・濃縮されたHisHBsが実際に粒子を形成していることをショ糖密度勾配遠心法で確認した。上記Ni-NTAアガロースで分離・濃縮された分画300μlを下から700μlショ糖60%、10%の上に重層し、超遠心機ベックマンTLS100、TLS55ローターで4℃で20時間遠心し、トップから100μlずつ回収した。それぞれの10μlをタンパク質泳動SDS-PAGE用に処理し、泳動後PVDF膜にトランスファーした。以後、(6)に記載した同様にマウスモノクローナル抗His6抗体を用いてウェスタンブロット解析を行った。その結果、図6に示すように、HBs粒子の密度の約1.20g/mlに相当する分画で検出されるタンパク質分子を得た。
以上の結果は、His6HBsを表面上に有するHBs粒子が形成されたことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】HBV粒子とHBs粒子の概念図である。(a)HBV粒子の粒径は約45nmであり、(b)HBs粒子の粒径は約20nmである。
【図2】HBsタンパク質に外来ペプチドを結合させた融合タンパク質の粒子形成の様子を示す図である。
【図3】発現ベクターとカセットベクターを示す図である。
【図4】HBs遺伝子にヒスチジンヘキサマー(His6)を含む配列を結合させたHBs融合遺伝子を示す図である。7〜201番目はヒスチジンヘキサマー(His6)を含む配列(195bp)、214〜894番目はHBs遺伝子(681bp)である。下線は制限酵素を示し、1〜6番目及び202〜207番目はXhoI(6bp)、208〜213番目はSalI(6bp)、895〜900番目はSacI(6bp)である。
【図5】実施例でベクターの培養上清のNi-NTAアガロースの沈殿物のゲル泳動図を示す。E1とE2は溶出分画、UBは非結合分画を示す。
【図6】実施例でHBsペプチド融合体のショ糖密度勾配遠心したものの抗His6抗体を用いたウエスタンブロット及び密度測定の結果を示す図である。密度が1.22g/mlの粒子が形成されていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1若しくは配列番号2に示すアミノ酸配列から成るHBsタンパク質又はこれらのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から成り粒子形成能を有するHBsタンパク質のN末端に外来ペプチドが結合して成り、形状が粒子状であるHBsペプチド融合体。
【請求項2】
配列番号1若しくは配列番号2に示すアミノ酸配列から成るHBsタンパク質又はこれらのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から成り粒子形成能を有するHBsタンパク質のN末端に外来ペプチドが結合して成り、形状が粒子状であり、該ペプチドによる免疫原性を示すHBsペプチド融合体。
【請求項3】
感染症の予防又は治療のためのワクチンであって、前記外来ペプチドがこの感染症を生じさせる病原体の抗原決定基を含む、請求項2のHBsペプチド融合体から成るワクチン。
【請求項4】
プロモーター、その下流に配置された外来ペプチドをコードするDNAを挿入するためのクローニングサイト、及びその下流に配置された配列番号3又は4の塩基配列を有するHBs遺伝子を有し、このペプチドをコードするDNAとHBs遺伝子が一つのタンパク質として翻訳されるように組み込まれた発現ベクター。
【請求項5】
前記ペプチドが、感染症を生じさせる病原体の抗原決定基を含む請求項4に記載のベクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115042(P2011−115042A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63642(P2008−63642)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】