説明

HCV治療のためのシクロスポリン誘導体およびヌクレオシドの配合

【課題】
本発明は、3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、水溶媒和物、和物を含有する配合;特定のヌクレオシド誘導体、および、これらのC型肝炎ウイルスへの治療における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の説明>
本願は2009年1月7日に出願された米国出願第61/143,062号、2009年2月27日に出願された米国出願第61/156,026号および2009年11月2日に出願された米国出願第61/257,231号に基づく優先権を主張するものであり、その内容のすべてを本明細書に参照して援用することで本願に取り込む。
【0002】
本発明は疾患、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療を必要とする対象に使用するための方法および医薬品組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
HCVの治療のための現在の標準的な処置としては、インターフェロンおよびリバビリンと組み合わせたインターフェロン、例えばペグインターフェロンおよびリバビリンが挙げられる。臨床状態の持続的な改善がジェノタイプ1型の患者約50%に見られる。従って、慢性C型肝炎のための治療効果は低い。また、治療はしばしば相当の副作用を伴う。これらの療法は、持続反応率が低く、頻繁に副作用を伴う(Hoofnagle et al. (1907) N. Engl. J. Med. 336:347)。
【0004】
HCVプロテアーゼ阻害剤(テラプレビルおよびボセプレビル等)およびポリメラーゼ阻害剤等の高活性且つ直接的な抗ウイルス薬の出現により、HCV感染症患者に臨床所見の改善を約束した。しかしながら、患者は特定の治療態様に抵抗性となることがありえる。抗HCV薬に対する感受性が減少したHCV変異体についての報告がある。従って、HCV感染症の新規治療および療法が必要とされる。本発明は、HCVの1つ以上の症状の治療または改善に実用的な配合を提供する。さらに本発明はHCVの1つ以上の症状の治療または改善の方法を提供する。
【0005】
特定のウイルス感染症を治療または制御するための、3−置換エーテルシクロスポリンおよびチオエーテルシクロスポリン、ならびにこれらの使用については、文献によって公知である。これらの化合物の1一つに、SCY−635(3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリン)がある。HIVまたはAIDSを治療するためのSCY−635の使用は、米国特許第5,994,299号に、HCVを治療するための使用は、米国特許第7,196,161号に記載されている。SCY−635は、免疫抑制活性のない条件下で、HCV特異的なRNA複製を、サブゲノムおよび全長の複製系の双方において、有効に、且つ選択的に阻害する(Li, K., et al. (2006) "Preclinical evaluation of SCY-635, a cyclophilin inhibitor with potent anti-HCV activity," Abstract number 934, American Association for the Study of Liver Disease)。
【0006】
近年、2’−C−メチル置換基を有するリボヌクレオシド誘導体が、有力な抗ウイルス活性を有するものとして同定された。例えば、国際公開第2007/065829号および第2009/121634号には、HCV NS5Bポリメラーゼを阻害する特定のヌクレオチドが記載されている。特にヌクレオシド誘導体であるβ−D−(2’R)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン(PSI−6130)は、HCVの有力且つ選択的な阻害剤として記載されており、R−7128として知られるPSI−6130のジイソブチリルプロドラッグについては、HCV患者の治療のための臨床試験中である。さらにPSI−7851として知られるヌクレオシドアミド亜リン酸エステルのプロドラッグは、第Ib相臨床試験においてHCV感染症患者に対する活性を示した(Pharmasset Press Release、2009年7月31日)。
【0007】
他の抗HCV薬と、3−置換エーテルシクロスポリンおよびチオエーテルシクロスポリンとの配合体として、NM−103、NM−107経口プロドラッグ(2’−C−メチル−シチジン)といった特定のNS5Bポリメラーゼ阻害剤が、国際公開第2007/041632号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,994,299号
【特許文献2】米国特許第7,196,161号
【特許文献3】国際公開第2007/065829号
【特許文献4】国際公開第2009/121634号
【特許文献5】国際公開第2007/041632号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hoofnagle et al. (1907) N. Engl. J. Med. 336:347
【非特許文献2】Li, K., et al. (2006) "Preclinical evaluation of SCY-635, a cyclophilin inhibitor with potent anti-HCV activity," Abstract number 934, American Association for the Study of Liver Disease
【非特許文献3】Pharmasset Press Release、2009年7月31日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
あらゆる有害もしくは望まざれる効果を予防および/もしくは低減すること、最適な治療効果を奏すること、またはその両方が、治療のための必要事項である。これらの必要事項が、即ち、望ましい治療プロフィールを提供する。またインターフェロンに基づく治療の継続をなくすこと、または低減することを可能とする治療が必要とされている。また、治療を経ている患者における、t領事のウイルス抵抗性発達リスクを低減することが必要とされている。また患者を治療するのに便利な方法として、全てを経口で投薬する形態での治療が必要とされていて、これにより治療中のノンコンプライアンスのリスクを低減する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は治療を要する対象に施される、HCV感染症の治療方法であって、対象に治療有効量の
(a)3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;および
(b)一般式(I)の化合物を投与する工程を有する:
【化1】

Rは、一般式(Ia)または(Ib)を示す:
【化2】

およびRは、独立して水素、リン酸含有基、または−C(=O)CH(アルキル)として示される基;またはその薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸添加塩またはプロドラッグを示す。
【0012】
1つの態様において、本発明は、治療に有効な量のSCY−635および一般式(I)の化合物を含有するHCV感染症の治療への使用に適した医薬品組成物、単回投薬剤形およびキットを提供する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、相乗的効果を奏する量のSCY−635および一般式(I)の化合物を含有するHCV感染症の治療における用途に適切な医薬品組成物、単回投薬剤形およびキットを提供する。
【0014】
またさらなる態様において、本発明は、治療に有効な量の、SCY−635、一般式(I)の化合物および1つ以上の薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含有する適切な医薬品組成物、単回投与剤形およびキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】HCV レプリコン ETにおける3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリン(別名SCY−635およびSCY502635)およびβ−D−(2’R)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン(PSI−6130)の配合に対する抗HCV相乗効果体積(synergy volume)をグラフで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、C型肝炎ウイルス感染症の治療法または予防法、このような方法に実用的な医薬品組成物および剤形を、その必要性がある対象に提供する。方法および組成物を以下に詳細に記載する。
【0017】
<定義>
本明細書の化合物および複合体を指す場合、下記の用語は、特に指示がない限り、以下の意味するものとする。
【0018】
「アルキル」は、一価の飽和性脂肪族ヒドロカルビル基であり、好適には11個までの炭素原子、より好適には1から8個の炭素原子を有する低級アルキル、さらに好適には1から6個の炭素原子を有する低級アルキルを有するものを指す。炭化水素鎖は、直鎖または分岐鎖のいずれかである。この用語は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチル基等を示す。
【0019】
「アリール」は任意に置換された芳香族炭化水素ラジカル、例えばフェニル基を指すものとする。
【0020】
「アラルキル」はここで定義するように、アルキレンリンカー、例えばベンジルによって結合するアリール基を指す。
【0021】
「シクロアルキル」は3から10個、より好適には3から6個の環状炭素原子を有する飽和した、環状の炭化水素部位を指すものとする。この用語は、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を示す。
【0022】
「ヌクレオシド」は、自然発生するリボヌクレオシド前駆体の競合的阻害剤として働く、基質の誘導体を指す。
【0023】
「薬学的に許容可能な塩」は、生物学的性質を保持し、薬学的用途のために望ましくない限り、毒性のないあらゆる塩を指すものとする。該塩としては、
(1)有機酸または無機酸から形成された酸付加塩、有機酸または無機酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオニック酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸等の酸が挙げられる;または
(2)親組成物に存在する酸性陽イオンが、(a)金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン若しくはアルミニウムイオン、またはアルカリ金属の水酸化物若しくはアルカリ土類金属の水酸化物であって、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウム、亜鉛、水酸化バリウムおよびアンモニアに置換された場合;または(b)有機塩基、例えば脂肪族化合物、脂環式化合物または芳香族有機アミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェノールエチルアミン、N−メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム等と組み合された場合に形成する塩が挙げられる。
【0024】
さらに塩としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム等が挙げられ、化合物が塩基性の機能を含有する場合、非毒性の有機酸または無機酸の塩、例えば塩酸塩および臭化水素塩等のハロゲン化水素塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシラート))、エタンスルホン酸塩、1,2−エタン−二硫酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート)、4−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、4−メチルビシクロ[2,2,2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸塩、グルコヘプタン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キニン塩酸、ムコン酸塩等が挙げられる。
【0025】
「生理的に許容可能なカチオン」は、酸性官能基の非毒性の生理的に許容可能な陽イオン性の対イオンを指すものとする。該カチオンとしてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびテトラアルキルアンモニウム等の陽イオンが例示される。
【0026】
本明細書において使用される「プロドラッグ」の用語は、哺乳類への投与に適した活性化合物を提供する組成物のあらゆる許容可能な形状(例えばエステルであるアルキルエステル、アラルキルエステル、アリールエステル等;リン酸エステル、エステルまたは関連する基の塩)を示す。
【0027】
「溶媒和物」は、本発明における組成物、またはその塩を指し、化学量論的または非化学量論的に非共有結合の分子間力によって結合した溶媒が挙げられる。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0028】
同じ分子式を有するが、原子の結合配列または原子配列の立体構造の異なる化合物、を「異性体」と称する。原子の立体構造の異なる異性体は「立体異性体」と称される。
【0029】
互いに鏡像でない立体異性体を「ジアステレオ異性体」、互いに重ね合わせることができない鏡像の立体異性体を「鏡像異性体」と称する。化合物に非対称性の中心が存在する場合、例えばそれが4つの異なる群に結合している場合、一対の鏡像異性体が存在し得る。鏡像異性体は、その非対称性の中心の全体的な構成によりその特性が定まり、カーン・インゴルド・プレローグ順位則(Cahn et al, 1966, Angew. Chem. 78: 413-447, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5: 385-414 (errata: Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5:511); Prelog and Helmchen, 1982, Angew. Chem. 94: 614-631, Angew. Chem. Internal. Ed. Eng. 21 : 567-583; Mata and Lobo, 1993, Tetrahedron: Asymmetry 4: 657-668)によって(R)または(S)のいずれかが決定づけられ、偏光性平面の回転によりその特性が定まり、右旋性または左旋性のいずれかに決定づけられる(即ち、それぞれ(+)−異性体または(−)−異性体とする)。キラル化合物には、各鏡像異性体またはその混合物のいずれかが存在し得る。各鏡像異性体を等量含有する混合物を「ラセミ混合物」と称する。
【0030】
「サルコシン」または「Sar」は、当業者に公知の−N(Me)CH2C(O)−の構造を有するアミノ酸残基を指すものとする。当業者は、サルコシンをN−メチルグリシンとして認識するであろう。
【0031】
ここでは、「対象」および「患者」の用語が交互に使用される。対象(“subject”および“subjects”)の用語は、哺乳類の非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットおよびマウス)および霊長類(例えばサルであるマカクザル、チンパンジーおよびヒト等)のような動物を示し、例えば、ヒトが挙げられる。1つの実施形態においては、対象はC型肝炎感染症の従来の治療に抵抗性であるか非応答性である。他の実施形態においては、対象は家畜(例えばウマ、ウシ、ブタ等)またはペット(例えばイヌまたはネコ)である。1つの実施形態においては、対象はヒトである。
【0032】
ここに使用するように、「治療薬(“therapeutic agent”および“therapeutic agents”)」の用語は、病気または1以上のその症状の治療に使用することができるあらゆる薬剤を示す。ある実施形態においては、「治療薬」の用語は、本発明の化合物を指す。他の実施形態においては、「治療薬」の用語は、本発明の化合物を指さない。1つの実施形態においては、治療薬は、病気もしくは1以上の症状の治療に有効であることが知られているか、以前からもしくは現在使用されている薬剤を指す。
【0033】
「治療有効量」は、対象の疾患を治療するために投与する際に、係る疾患の治療に十分な複合体または組成物の量を意味する。「治療有効量」は、特に、化合物、疾患およびその重症度ならびに患者の年齢、体重等によって異なる。
【0034】
あらゆる疾患または疾病の「治療(“treating”または“treatment”)」は、1つの実施形態においては、対象の疾患または疾病の改善を指す。他の実施形態においては、「治療(“treating”または“treatment”)」は、対象自身によっては認識できない、少なくとも1つの身体パラメータを改善することを指す。さらに他の実施形態においては、「治療((“treating”または“treatment”))」は、物理的(例えば認識可能な症状の安定化)もしくは生理的(例えば身体パラメータの安定化)、またはその両方のいずれかの、疾患または疾病の制御を指す。さらに他の実施形態においては、「治療(“treating”または“treatment”)」は、疾患または疾病の発症の遅延を指す。
【0035】
ここに使用するように、「予防薬(“prophylactic agent”および“prophylactic agents”)」の用語は、病気または1つ以上の症状の予防に使用することができる、あらゆる薬剤を指す。ある実施形態においては、「予防薬」の用語は、本発明の組成物を指す。ある実施形態においては、「予防薬」の用語は、本明細書に開示の組成物を指さない。例えば、予防薬は疾患の発症、発達、進行および/もしく重篤化を予防もしくは妨げるのに有効なことが知られているか、以前からもしくは現在使用されている薬剤である。
【0036】
ここでは、「予防(“prevent”、“preventing”および“prevention”)」とは、治療の(例えば予防薬または治療薬)の実施、または組み合わせた治療(例えば予防薬または治療薬の配合)の実施による、対象における1つ以上の疾患の症状の再発、発症または発達の予防を指す。
【0037】
ここでは、「予防有効量」とは、1つ以上の疾患と関連のある症状の発達、再発もしくは発症の予防に至るか、他の治療(例えば、他の予防剤)の予防効果を向上もしくは改善するのに十分な治療薬(例えば予防剤)の量を指すものとする。
【0038】
本明細書に使用するように「配合」という用語は、1つを超える治療(例えば1つ以上の予防薬および/または治療薬)の使用を指す。「配合」という用語の使用において、疾患を有する対象に対する治療(例えば予防薬および/または治療薬)の順番は限定されない。第1の治療(例えば本発明の組成物等の予防薬または治療薬)は、疾患を有する対象への第2の治療実施の前に(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間前)、第2の治療と同時に、またはその後(例えば5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間または12週間後)、実施できる。
【0039】
本発明は、部分的には、C型肝炎感染症の治療が必要な対象において、有効な配合を見出したことに基づく。従って、本発明は、治療を必要とするC型肝炎感染症の対象に対する治療方法を提供する。
【0040】
いかなる規定に制限されることなく、本発明の配合は、C型肝炎ウイルス(HCV)複製を、従来のHCV治療で明白にされる機構によって阻害すると考えられる。上記のHCVの従来の治療法は、インターフェロンおよびリバビリンの併用療法である。従来の治療は、対象の免疫系の制御により、HCV感染症を治療または予防すると考えられている。本発明の配合が、宿主におけるHCV複製に重要な細胞での過程を、制御または阻害すると考えられる。新規機構の作用によって、本発明の組成物および方法は、HCV感染症の治療のための新しい療法を提供する。このように、これらはHCVに感染したか、その感染の危険性のある、あらゆる対象にとって有効である。
【0041】
ここで使用されるSCY−635の量は、遊離塩基(即ち、3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリン)の量として表すものとする。
【0042】
さらなる実施形態として、ここでは、HCVに感染したか、その感染の危険性のある対象のヒトにおけるHCV感染症の治療または処置のための方法であり、ヒトの対象にSCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物の有効量を含有する医薬品組成物を24時間の期間のうちに少なくとも2回投与することを含有する方法を提供する。またさらなる実施形態において、投与は、1日あたり2回または3回、継続して数日間、数週間または数月間の間実施する。
【0043】
さらなる実施形態として、ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する方法であり、それを必要とする感染した対象のヒトに、24時間の期間に少なくとも2回活性薬剤を投与し、好ましくは約4から約14時間の投与間隔を設ける方法を提供する。
【0044】
他の実施形態として、ここでは、継続的な治療方法であり、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を一定期間(例えば5、7、10、14、20、24、28、60、120、360日以上)、それを必要とする感染した対象のヒトに投与する方法を提供する。
【0045】
他の実施形態として、ここでは、HCVと感染したか、その感染の危険性のある対象のヒトに約4mg/kgから約50mg/kg;約10mg/kgから約50mg/kg;約10mg/kgから約34mg/kg;約13mg/kgから約27mg/kg;約14mg/kgから約20mg/kg;約15mg/kgから約19mg/kg;または約15mg/kgから約18mg/kgの分割投与量(例えば1日2回または3回)で、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を投与する方法を提供する。具体的な実施形態において、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を、約10mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約17mg/kgまたは約18mg/kgの投薬量で投与する。他の実施形態において、以下の実施形態に記載されたSCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物のあらゆる投薬量を24時間の一定期間に2または3回投与する。
【0046】
他の実施形態として、ここでは、HCVに感染した対象のヒトへの治療方法であり、対象のヒトにSCY−635を(a)1回に約200mgの量で1日3回;(b)1回に約250mgの量で1日3回;(c)1回に約280mgの量で1日3回;(d)1回に約300mgの量で1日3回;(e)1回に約330mgの量で1日3回;(f)1回に約350mgの量で1日3回;(g)1回に約400mgの量で1日3回;(h)1回に約500mgの量で1日3回;(i)1回に約600mgの量で1日3回投与する工程を備えた方法を提供する。上記実施形態の1つの態様において、SCY−635をヒトの対象に8時間おきに1回投与する。上記実施形態の1つの態様において、SCY−635を1日に7,7および10時間の間隔(例えば、午前7:00頃、午後2:00頃および午後9:00頃)で投与した。
【0047】
24時間の一定期間において、分割投与されるSCY量が600mgを超える場合、効果として、血漿中のSCY−635のトラフ濃度が高くなる。ここで使用する「トラフ濃度」の用語は、体内に存在する最も低い薬物濃度を指すものとする。特にウイルス性疾患において、薬物濃度を一定の濃度を超えるように維持し、ウイルス複製の適度な阻害を維持するためにも重要である。特に、1回に約200mgを超えるSCY−635で、1日3回、8時間おきという投薬処方は、投薬量が低い場合と比して、SCY−635の顕著に高いトラフ濃度を見出した。しかしながら、相乗作用を生ずる第2の薬剤、例えば一般式(I)の化合物の存在がある場合、SCY−635の服用量は低くしてもよく、例えば24時間の期間に渡って400mgとしてもよいと理解される。
【0048】
他の実施形態として、ここでは、HCVに感染した対象のヒトを治療する方法であり、24時間の一定期間において、SCY−635を(a)1日当たり800から999mg;(b)1日当たり810から997mg;(c)1日当たり820から995mg;(d)1日当たり850から950mg;(e)1日当たり870から930mg;(f)1日当たり880から920mg;(g)1日当たり890から910mgの量で対象のヒトに分割投与する方法を提供する。これらの実施形態の1つの態様において、SCY−635を24時間の一定期間において2回分の投薬量で与える。これらの実施形態の他の態様において、SCY−635を24時間の期間において3回の投薬量で与える。
【0049】
他の実施形態として、ここでは、HCVに感染した対象のヒトを治療する方法であり、24時間の一定期間において、SCY−635を(a)1日当たり少なくとも1001mg;(b)1日当たり1003mg;(c)1日当たり1005mg;(d)1日当たり1010から1200mg;(e)1日当たり1020から1200mg;(e)1日当たり1040から1150mg;(f)1日当たり1050から1120mg;(g)1日当たり1060から1100mgの量で対象のヒトに分割投与する方法を提供する。これらの実施形態の1つの態様において、SCY−635を24時間の一定期間において2回分の投薬量で与える。これらの実施形態の他の態様において、SCY−635を24時間の期間において3回の投薬量で与える。
【0050】
他の実施形態において、SCY−635を治療に有効な血漿濃度とし、SCY−635の一定のトラフ濃度を定常状態に維持する。これらの方法は、SCY−635製剤の投与によるHCVに感染したヒトの治療に特に有用であり、SCY−635の血漿トラフ濃度を定常状態で24時間に渡って、約110ng/mL以上、約115ng/mL、約135ng/mL、約216ng/mLまたは約400ng/mLに維持する。ある実施形態において、SCY−635のトラフ血漿濃度を、定常状態で、24時間の期間に渡って、約115ng/mL以上で維持する投与方法は、HCV感染症に罹患しているヒトの治療のためのSCY−635製剤投与において特に有用である。ある実施形態において、定常状態で、約115ng/mLを超える化合物の血漿トラフ濃度を維持するのに十分な化合物を投与する方法は、HCVに感染したか、その感染の危険性のある対象のヒトにおけるHCV感染症の治療または制御において特に有用である。
【0051】
1つの実施形態において、一般式(I)の化合物を1日当たり約50mgから約5000mg投与する。他の実施形態において、一般式(I)の化合物を1日当たり約100mgから約3000mg投与する。
【0052】
本発明の1つの実施形態において、一般式(I)の化合物は、PSI−6130として公知であり、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ水素を示す化合物である。本発明の他の実施形態において、一般式(I)の化合物は、R−7128として公知であり、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ−C(=O)CH(CHを示す化合物である。本発明のさらなる実施形態において、一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)、Rが水素、Rが、例えば一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)CO(Rが水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリール;Rが水素またはアルキル;Rが水素またはアルキルを示す化合物)で表されるホスホロアミダート(phosphoramidate)である。 本発明のさらなる実施形態において、一般式(I)の化合物は、PSI−7851として公知であり、Rが一般式(I)、Rが水素、Rが一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)CO(Rがフェニル基、Rがメチル基;Rがイソプロピル)で表されるリン酸エステルである。
【0053】
1つの実施形態として、本発明は対象に
(a)1日当たり約800mgから約1400mgの量のSCY−635;および
(b)1日当たり約800mgから約2200mgの量のR−7128を提供する。
【0054】
他の実施形態として、本発明は対象に
(a)1日当たり約900mgから約1200mgの量のSCY−635;および
(b)1日当たり約800mgから約2200mgの量のR−7128を提供する。
【0055】
1つの実施形態として、本発明は対象に
(a)1日当たり約400mgから約1000mgの量のSCY−635;および
(b)1日当たり約800mgから約2200mgの量のR−7128を提供する。
【0056】
他の実施形態として、本発明は対象に
(a)1日当たり約800mgから約1000mgの量のSCY−635;および
(b)1日当たり約800mgから約2200mgの量のR−7128を提供する。
【0057】
本発明の実施形態として、対象はHCVに感染したか、その感染の危険性のある、あらゆる対象である。感染または感染の危険性は、当業者に適当であると考えられるあらゆる技術によって判定することができる。1つの実施形態として、対象はHCVに感染したヒトである。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、(a)および(b)の配合は、対象に約2週間から約96週間投与される。本発明の他の実施形態において、(a)および(b)の配合は、約6週間から約72週間投与される。本発明のさらなる実施形態において、(a)および(b)の配合は、約12週間から約48週間投与される。本発明のさらなる実施形態において、(a)および(b)の配合は、約12週間から約24週間投与される。
【0059】
HCVは当業者に公知のあらゆるHCVとすることができる。現在、当業者に知られているHCVとしては、少なくとも6つのジェノタイプおよび少なくとも50個のサブタイプが存在する。HCVは当業者に公知のあらゆるジェノタイプまたはサブタイプであってよい。ある実施形態において、HCVは、依然として同定されていないジェノタイプまたはサブタイプとする。ある実施形態では、対象は単一のジェノタイプのHCVに感染している。ある実施形態では、複数のサブタイプ、準種または多数のジェノタイプのHCVに感染している。
【0060】
ある実施形態において、HCVはジェノタイプ1型であり、あらゆるサブタイプであってよい。例えば、ある実施形態において、HCVはサブタイプ1a型、1b型または1c型である。ジェノタイプ1型のHCV感染は、最近のインターフェロン療法に対して感受性が低いと考えられている。本発明の方法はジェノタイプ1型のHCV感染症の療法に有効となり得る。
【0061】
ある実施形態において、HCVはジェノタイプ1型以外のものである。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ2型であり、あらゆるサブタイプであってよい。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ2型であり、あらゆるサブタイプであってよい。例えば、ある実施形態において、HCVはサブタイプ2a型、2b型または2c型である。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ3型であり、あらゆるサブタイプであってよい。例えば、ある実施形態において、HCVはサブタイプ3a型、3b型または10a型である。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ4型であり、あらゆるサブタイプであってよい。例えば、ある実施形態において、HCVはサブタイプ4a型である。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ5型であり、あらゆるサブタイプであってよい。例えば、ある実施形態において、HCVはサブタイプ5a型である。ある実施形態において、HCVはジェノタイプ6型であり、あらゆるサブタイプであってよい。ある実施形態において、HCVはサブタイプ6a型、6b型、7b型、8b型、9a型または11a型である。例えばSimmonds, 2004, J Gen Virol. 85: 3173-88; Simmonds, 2001, J. Gen. Virol. 82: 693-712を参照し、その内容のすべてをここに取り込む。
【0062】
本発明のある実施形態において、対象は一度もHCV感染症に対する治療または予防を受けたことがないものとする。本発明のさらなる実施形態において、対象は以前HCV感染症に対する治療または予防を受けたことがあるものとする。例えば、ある実施形態において、対象はHCV療法に反応しない。実際、最近のインターフェロン療法下において、50%までの、またはそれ以上のHCV対象者が療法に反応しない。ある実施形態において、対象は治療を受けたことがあるが、ウイルス感染症またはその1つ以上の症状を有する対象とすることができる。ある実施形態において、対象は、治療を受けたが、ウイルス低減の達成に失敗したものとすることができる。ある実施形態において、対象は、HCV感染症の治療を受けたが、療法から12週間後HCV RNAレベルにおいて、2log10低減することことに失敗したものとする。治療12週間後に血清HCVのRNAが、2log10を超える減少を示さない対象は、97〜100%の確率で反応しないと考えられている。本発明の配合は、従来のHCV療法以外の機構によって作用するため、本発明の配合はこのような非応答の対象の治療に効果的であると考えられる。
【0063】
ある実施形態において、対象は1つ以上の治療と関連する有害事象のため、HCV療法を中断した対象としてもよい。ある実施形態において、対象は従来の治療が勧められない対象とする。例えば、HCVのためのある治療は、神経精神病学的症状と関連している。インターフェロン(IFN)−αとリバビリンは高い割合で、うつ病と関連する。うつ病の症状は、数々の治療失敗例に関連している。生死に関わるか、致命的な神経精神病学的現象として、HCV治療中の、自殺および自殺念慮、殺人念慮、うつ病、薬物中毒の再発/過剰摂取および攻撃的な行動等が、前兆としての身体的な不具合を伴って、または伴わずに生じてきた。インターフェロンによって誘発されるうつ病は、特に精神医学的障害を有する対象に対する慢性C型肝炎の治療を制限してしまう。精神的な副作用はインターフェロン療法に一般的であり、従来の対HCV感染症療法の中断原因の約10%から20%を占める。
【0064】
従って、本発明は、従来のHCV治療では治療禁忌とされる、神経精神病学的症状、例えばうつ病の危険性のある対象におけるHCV感染症の治療方法を提供する。また本発明は、従来のHCV治療では治療の中断が推奨される、神経精神病学的症状、例えばうつ病またはその危険性のある対象に、HCV感染症の治療または予防の方法を提供する。また、本発明は、従来のHCV治療では投薬量の低減が推奨される、神経精神病学的症状、例えばうつ病またはその危険性のある対象に、HCV感染症の治療または予防の方法を提供する。
【0065】
また、従来の治療は、インターフェロンもしくはリバビリン、またはそれら双方、またはあらゆるインターフェロンもしくはリバビリンの他の製剤製品の成分に対して、過敏性の対象を禁忌としている。従来の治療は、異常血色素症である対象(例えばサラセミアメジャー、鎌型赤血球貧血症)、および従来の治療の血液学的副作用の危険性のある他の対象には推奨されない。一般的な血液学的な副作用として、骨髄抑制、好中球減少および血小板減少が挙げられる。さらに、リバビリンは赤血球に対して毒性があり、溶血と関与する。従って、また本発明はインターフェロンもしくはリバビリンまたはそれら双方に敏感な対象、異常血色素症を有する対象であり、例えばサラセミアメジャーの対象および鎌型赤血球貧血症の対象、ならびに従来の治療の血液学的な副作用の危険性のある他の対象における、HCV感染症の治療方法を提供する。
【0066】
ある実施形態において、対象はHCV治療を受け、本発明の方法を投与する前に、その治療を中断する。またさらなる実施形態において、対象に治療を実施し、その治療を本発明の方法と併用して継続する。本発明の方法は、当業者の判断に従って、HCVに対する他の療法と併用してもよい。ある実施形態において、本発明の方法または組成物を、投与量を減じた他のHCV治療と、同時に実施し、または投与することができる。
【0067】
ある実施形態において、本発明はインターフェロンによる治療に対して抵抗性のある対象の治療方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、対象はインターフェロン、インターフェロンα、ペグインターフェロンα、インターフェロンとリバビリン、インターフェロンαとリバビリン、およびペグインターフェロンαとリバビリンからなる群から選択される1以上の薬剤との治療に対する反応に劣る対象である。例えば、いくつかの実施形態において、対象はインターフェロン、インターフェロンα、ペグインターフェロンα、インターフェロンとリバビリン、インターフェロンαとリバビリンおよびペグインターフェロンαとリバビリンからなる群から選択される1以上の薬剤との治療に対する反応がない対象としてもよい。上記実施形態において、プロドラッグ形態のリバビリン、例えばタリバビリンのプロドラッグを使用してもよい。
【0068】
また、さらなる実施形態において、従来の治療が、妊娠した女性において禁忌を示すため、本発明は妊娠しているか、妊娠の可能性がある対象におけるHCV感染症の治療方法を提供する。
【0069】
ある実施形態において、対象はHCVとHIVに重感染しているか、その危険性のある対象とする。例えば、米国において、HIV感染対象の30%はHCVに重感染していて、HIVと感染した人々はC型肝炎単独に感染した人々より比較的速い進行を見せることがMaier and Wu, 2002, World J Gastroenterol 8: 577- 57に示されている。このような対象において、HCV感染症の治療に本発明の方法を使用することができる。これら対象におけるHCVの除去は、末期肝臓疾患による死亡率を低下させると考えられる。実際、進行性の肝臓疾患の危険性は、重篤なAIDS指標免疫不全である対象において、そうでない者より高い。例えばLesens et al., 1999, J. Infect. Dis. 179: 1254-1258を参照のこと。
【0070】
ある実施形態において、本発明の方法または組成物を肝移植後の対象に投与する。C型肝炎は米国において肝移植の原因となり、肝移植を経た多くの対象は移植後も依然としてHCV陽性のままである。本発明は、本発明に開示された化合物または組成物及び治療方法を、このようにHCVを再発した対象に提供する。ある実施形態において、本発明は、HCV感染症の再発を予防するため、肝臓移植前、その移植中またはその後の対象への治療方法を提供する。
【0071】
<医薬品組成物および単位投薬処方>
ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物および一般式(I)の化合物を含む医薬品組成物、および単位投薬製剤を提供する。個々の剤形は経口、粘膜(舌下、口腔、直腸、鼻または膣を挙げる)または非経口(皮下、筋肉内、静脈内ボーラス、動脈内または静脈内)の投与に適切である。医薬品組成物および単位剤形は、好ましくは、経口投与に適した形態とする。
【0072】
1つの実施形態において、医薬品組成物は固形状経口剤形である。1つの実施形態において、医薬品組成物を液状経口剤形とする。ある実施形態において、ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、その溶媒和物もしくは水和物および一般式(I)の化合物が、経口的に生物的利用性を有する、ここでは、服用量、単位投薬製剤および医薬品組成物を提供する。経口投与の利点としては、投与の容易さ、対象のヒトと投薬処方との比較的高いコンプライアンス、臨床有効量、比較的少ない合併症、比較的短い入院および総体的なコスト削減が挙げられる。
【0073】
他の実施形態として、ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を、約30mgから約1400mg、約100mgから約1000mg、約200mgから約1000mg、または約250mgから約1000mg;一般式(I)の化合物を約100mgから約3000mg含有する単位投薬製剤を提供する。1つの実施形態において、単位投薬製剤は、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物、一般式(I)の化合物およびボトル中の薬学的に許容可能な溶媒(例えば水、牛乳、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、離乳食または粉ミルク)への懸濁に適した1つ以上の担体もしくは賦形剤を含有する。
【0074】
他の実施形態として、ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を、約35mg、約50mg、約70mg、約100mg、約125mg、約140mg、約175mg、約200mg、約250mg、約280mg、約350mg、約500mg、約560mg、約700mg、約750mg、約1000mgまたは約1400mg含有する単位投薬製剤を提供する。単位投薬製剤は、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物を、約125mg、約250、約300mg、約500mgまたは約1000mg含有することが好ましい。1つの実施形態において、単位投薬製剤は、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物およびボトル中の薬学的に許容可能な溶媒(例えば水、牛乳、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、離乳食または粉ミルク)への懸濁に適した1つ以上の担体もしくは賦形剤を含有する。好ましい単位投薬製剤としては、カプセル、粉末および小袋が挙げられる。特に好ましい単位投薬はカプセルである。
【0075】
経口投与に適切な単独の単位剤形としては、小袋;カシェ剤;錠剤;カプレット;カプセル、例えば軟ゼラチンカプセル剤;トローチ剤;菱形剤;分散剤;粉末;溶液;懸濁液を含む液体剤形(例えば水溶性または非水溶性の懸濁液);エマルジョン(例えば水中油滴エマルジョンまたは油中水滴液状エマルジョン);およびエリキシルが挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。1つの実施形態にとして、ここでは、コロイド溶液、飽和濃度を超える併用活性薬剤を含む溶液を提供する。本発明に包含される特徴的な剤形が多様な形態を示す、これらの方法及び他の方法は、当業者にとって、明確に理解できるであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton PA (1990)、またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA (2005)を参照のこと。
【0076】
他の実施形態として、ここでは、SCY−635またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物および一般式(I)の化合物を含有する無水医薬品組成物および剤形を提供する。本発明の無水性医薬品組成物および剤形は、無水の、または含水量の低い材料を用いて、低水分または低湿度条件下で製造することができる。
【0077】
従来の薬学的合成技術に従って、活性薬剤を、少なくとも1つの担体または賦形剤と十分に混合して、本発明の特徴的な経口剤形を製造する。賦形剤は、投与に好ましい製造形態であれば、多種多様な形態とすることができる。例えば、経口液体またはエアロゾルの剤形としての使用に適切な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料(バニラ抽出物)、防腐剤および着色剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。固体経口剤形(例えば粉末、錠剤、小袋、カプセルおよびカプレット)における使用に適切な賦形剤の例として、澱粉、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤および崩壊剤が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0078】
1つの実施形態において、単位投薬製剤は、薬学的に許容可能な溶媒(例えば水、ミルク、炭酸飲料、ジュース、アップルソース、ベビーフードまたは粉ミルク)中の再組成、およびその後の経口投与に適切な活性薬剤の有効量を含有する粉末製剤とする。ある実施形態において、粉末は任意に1つ以上の担体または賦形剤と活性薬剤との組み合わせを含有する。他の実施形態において、投与または再組成の前に、粉末を密封容器に保存することができる。さらに他の実施形態において、粉末をカプセル化(例えばゼラチンカプセル中に)することができる。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、本発明の方法に典型的な化合物の合成およびそれらの使用を説明する。これらの例は、本発明の範囲の限定を意図するものでも、そのように解釈されるべきものでもない。本明細書に具体的に記載された態様以外でも、本発明を実施することができることが明白である。本発明の多くの修正変更が本明細書の教示の観点から可能な、本発明の多くの修正・変更は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0080】
3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリン(SCY−502635)は米国特許第5,994,299号に記載されるように製造される。β−D−(2’R)−2’−デオキシ−2’−フルオロ−2’−C−メチルシチジン(PSI−6130)は、Wang et. al., J. Org. Chem. 2009, 74, 6819. HCV replicon cell lineに記載された方法を使用して製造される。
【0081】
<HCVレプリコン細胞株>
ET細胞株はハイデルベルグ大学(University of Heidelberg)のDr.Ralf Bartenschlagerから提供されたものである。ET細胞株はconc1(遺伝子型1b型)バイシストロニックなサブゲノムレプリコンを含有するヒト肝癌細胞株(Huh−7)である。レプリコンは、安定的なルシフェラーゼレポーター遺伝子、および3つの細胞培養に適した変異を有する。サブゲノムレプリコンはルシフェラーゼ、ユビキチンおよびネオマイシンホスホトランスフェラーゼ融合タンパク質の産出を促進するHCV配列内リボソーム進入部位(IRES)およびHCVコアタンパク質の最初の数アミノ酸コドンを含有する。脳心筋炎ウイルス(EMCV) IRES要素は、非構造的タンパク質NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bをコードする第2のシストロンユニットの翻訳を導く。37℃、5%のCOインキュベーターで、細胞は10%のウシ胎仔血清(FBS)、1%ペニシリンストレプトマイシン、1%の非必須アミノ酸および5mg/mLのG418を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養された。全ての細胞培養試薬はMediatech(Herndon, ヴァージニア州)から得られた。
【0082】
<抗ウイルス活性および細胞毒性分析>
抗ウイルス活性および細胞毒性の評価を、透明な底の96穴プレート中で並行して実施した。陽性コントロールとして、組み換えインターフェロンα−2b(rIFNα−2b)は、通常0.0064から2.0IU/mLの範囲となるように半対数希釈して含まれる。レポータレプリコン細胞を0.1mLのDMEM中に、1ウェルあたり5×10細胞の密度で、特異的な抗体の不存在下、5%CO、37℃にて加湿大気中で播種した。0.03から3.0μMの範囲に渡る被験化合物の半対数連続希釈液をDMEM中で作成し、その後対応するウェルに加えた。インキュベーション72時間後に細胞を処理した。抗ウイルス活性は、レプリコン由来のルシフェラーゼ活性として評価した。細胞毒性はCytoTox-One Homogeneous Membrane Integrity Assay Kit(細胞増殖分析、Promega, Madison, WI)を使用して評価した。阻害の割合は、ウイルス複製の50%阻害(EC50)および50%細胞生存率(CC)の値を示す化合物の基準濃度に対するプロットとして示した。
【0083】
<薬物の配合分析>
上記のHCVサブゲノムレプリコンを、PSI−6130と配合したSCY−502635の効果を評価するために使用した。細胞は、1ウェルあたり5000細胞となるように播種した。抗ウイルス活性および細胞毒性測定用のプレートを並行して調製する。翌日、40〜45のプレートにウェルごとに2つの薬剤の配合を生成するため、被験物を希釈して添加した。SCY−502635は8回から9回、2倍濃度で、第2の被験物は5回、2倍の希釈で試験した。インキュベーション期間から72時間後、細胞は抗ウイルス活性(ルシフェラーゼ)および細胞毒性(LDH放出)を測定するために処理した。
【0084】
2つの薬剤の配合の効果が、相乗的、相加的、または相反的かを決定するため、Prichard and Shipman MacSynergy IIデータ分析プログラムを使用して抗ウイルス活性データを分析した。一般的に、観測結果と予測結果差異の絶対値が、観測結果の標準偏差の1.96倍を超える場合、2つの薬物の配合のそれぞれについて、統計学的に有意な差を有することとなる。分析結果を3次元デカルト座標系に示し、xy軸中心平面より上(相乗効果を示す)、その下(相反効果を示す)またはxy軸中心平面上(相加作用を示す)のいずれに該当するかを検討する。表面体積は(濃度;x)(濃度;y)(阻害%;z)の方向で算出される。算出された体積が50を超える場合は相乗効果、−50から+50の範囲の体積を示す場合は相加効果、−50未満を示す場合は相反効果を示す。この分析の結果は、95%信頼区間で統計学的に有意な効果を表す。
【0085】
得られた結果は以下の通りであった。
【0086】
【表1】

上記の表および図1に示すように、SCY−502635およびPSI−6130の配合に対して、95%信頼区間で、抗ウイルス相乗効果の体積は、若干または非常に相乗的であった。上記表に示すように、この配合について、相反作用を示す細胞毒性は存在しなかった。
【0087】
本明細書中で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は、特に個別に参考文献として示す場合、ここに参照して援用するものとする。本発明は、数々の好ましい実施形態を開示しているが、一方で、当業者はその趣旨から逸脱することなく、様々な修正、置換、省略および変更することができると解釈される。従って、本発明の範囲は、これに相当する以下に掲げる請求項の範囲のみによって、限定することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を要する対象のHCV感染症をについて治療する方法であって、対象に治療有効量の
(a)3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;および
(b)一般式(I)の化合物:
【化1】

Rは一般式(Ia)もしくは(Ib)であり:
【化2】

およびRは、それぞれ水素、リン酸含有基、もしくは−C(=O)CH(アルキル)で示される基である;または
これらの薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸付加塩もしくはプロドラッグを投与する工程を含む方法。
【請求項2】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ水素である、またはそのプロドラッグである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ−C(=O)CH(CHであり、R−7128として知られる化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが−P(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)−O−P(=O)OHである、またはそのプロドラッグである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)COのリン酸基であり、Rがフェニル基を示し;Rがメチル基であり;Rがイソプロピル基である、PSI−7851として知られる化合物である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a)1日当たり400mg以上の3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンを投与し;
(b)一般式(I)の化合物を1日当たり約50mgから1日当たり約5000mg投与する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(a)3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;
(b)一般式(I)の化合物;
【化3】

Rは、一般式(Ia)または(Ib)を示し、
【化4】

およびRは、それぞれ水素、リン酸含有基、もしくは−C(=O)CH(アルキル)で示される基である;または
その薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸付加塩またはプロドラッグ;および
薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含有する組成物。
【請求項8】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ水素であり、またはそのプロドラッグである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ水素または−C(=O)CH(CHである、R−7128として知られる化合物である、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)COのリン酸基であり、Rがフェニル基を示し;Rがメチル基であり;Rがイソプロピルである、PSI−7851として知られる化合物である、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが−P(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)−O−P(=O)OHである、またはそのプロドラッグである、請求項7記載の組成物。
【請求項12】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが−P(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)−O−P(=O)OHである、またはそのプロドラッグである、請求項7記載の化合物。
【請求項13】
治療を要する対象のHCV感染を治療する方法であって、対象に相乗作用的な治療有効量の
(a)3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;および
(b)一般式(I)の化合物:
【化5】

Rは、一般式(Ia)または(Ib):
【化6】

およびRは、それぞれ水素、リン酸含有基、もしくは−C(=O)CH(アルキル)として示される基である;または
その薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸付加塩もしくはプロドラッグを投与する工程を含む方法。
【請求項14】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ−C(=O)CH(CHである、R−7128として知られる化合物である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)COのリン酸基であり、Rがフェニル基を示し;Rがメチル基であり;Rがイソプロピル基である、PSI−7851として知られる化合物である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
対象に
(a)1日当たり400mg以上の3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリン;および
(b)1日当たり約50mgから約5000mgの一般式(I)の化合物を投与する工程を含有する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
(a)3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;および
(b)一般式(I)の化合物:
【化7】

Rは、一般式(Ia)もしくは(Ib):
【化8】

およびRは、それぞれ水素、リン酸含有基、もしくは−C(=O)CH(アルキル)として示される基である;または
その薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸付加塩もしくはプロドラッグを含有する、医薬品として使用するための組成物。
【請求項18】
(a)3[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンまたはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物もしくは水和物;および
(b)一般式(I)の化合物:
【化9】

Rは、一般式(Ia)もしくは(Ib)
【化10】

およびRは、それぞれ水素、リン酸含有基、もしくは−C(=O)CH(アルキル)で示される基である;または
その薬学的に許容可能な水和物、溶媒和物、酸付加塩もしくはプロドラッグを含有する、対象のHCV感染症の治療または予防に使用される組成物。
【請求項19】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ水素である、またはそのプロドラッグである、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ia)であり、RおよびRがそれぞれ−C(=O)CH(CHである、R−7128として知られる化合物である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが−P(=O)(OH)−O−P(=O)(OH)−O−P(=O)OHである、またはそのプロドラッグである、請求項17〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
一般式(I)の化合物は、Rが一般式(Ib)であり、Rが水素であり、Rが一般式−P(=O)(OR)NHCH(R)COのリン酸基であり、Rがフェニル基を示し;Rがメチル基であり、Rがイソプロピル基である、PSI−7851として知られる化合物である、請求項17〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
(a)1日当たり400mg以上3−[(R)−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルチオ−Sar]−4−(ガンマヒドロキシメチルロイシン)シクロスポリンが投与され投与し;
(b)一般式(I)の化合物が1日当たり約50mgから1日当たり約5000mgの量で投与される、請求項17〜22のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−514606(P2012−514606A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544685(P2011−544685)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/020323
【国際公開番号】WO2010/080878
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508296370)サイネクシス,インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】