HCV特異的なT細胞の活性化
HCV特異的なT細胞を活性化する方法について記載する。該方法は、HCVタンパク質組成物の1回以上の投与と、続く第1組成物中に存在する少なくとも1つのHCVエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターの1回以上の投与とを利用する。タンパク質組成物は、免疫刺激性核酸および/または他のアジュバントならびに免疫刺激化合物をさらに含みうる。本発明は、部分的には、HCV E1E2タンパク質ワクチンを使用した免疫応答のプライミングと、欠損アルファウイルス粒子で送達されたHCV E1E2核酸構築物を用いたブーストは、強いCD8+T細胞応答を刺激する、という驚くべき発見に基づいている。それゆえこのような組み合せの使用は、HCV E1E2免疫原に対する細胞性および/または体液性免疫応答を刺激する効果的な手法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、特許法§119(e)(1)の下、2006年1月4日に出願された米国仮出願第60/756,354号;2006年8月25日に出願された米国仮出願第60/840,082号(これらの出願は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)特異的なT細胞の活性化に関するものである。さらに詳細には、本発明は、体液および細胞媒介免疫応答を刺激して、例えばHCV特異的なT細胞を活性化して、HCVウイルスの感染性を中和する抗体を誘発するために、HCV E1E2複合体を含むHCVタンパク質組成物および/またはHCV非構造性遺伝子を含むタンパク質を使用して対象を免疫化することと、続いてHCV E1E2複合体および/またはHCV非構造性遺伝子をコードする核酸組成物を含むウイルスベクターを使用して免疫応答をブーストすることとに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
C型肝炎ウイルス(HCV)は10年以上前に同定され、現在では非Aおよび非B型肝炎の主な原因であることが既知である(Chooら、Science(1989)244:359−362;Armstrongら、Hepatology(2000)31:777)。HCVは、世界の人口の約3%、推定2億人に感染している(Cohen,J.,Science(1999)285:26)。米国では毎年、約30,000件の新たに獲得したHCV感染が発生している。加えて、発展途上国ではHCV感染の発生率が高い。免疫応答はHCV感染を除去できるが、大半の感染は慢性となる。最も急性の感染は無症候性のままであり、長年に亘る慢性感染の後に突然肝疾患が通常発生する。
【0004】
HCVのウイルスゲノム配列は、配列を得る方法として既知である。例えば国際公開番号:WO 89/04669;WO 90/11089;およびWO 90/14436を参照。HCVは、9.5kbプラスセンス1本鎖RNAゲノムを有し、ウイルスのFlaviridaeファミリの一員である。少なくとも6個の別個であるが、関連のあるHCVの遺伝子型が系統発生解析に基づいて同定されている(Simmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399)。ウイルスは約3000個のアミノ酸残基を有する単一のポリタンパク質をコードする(Chooら、Science(1989)244:359−362;Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455;Hanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:1711−1715)。
【0005】
特に図1に示すように、複数のタンパク質がHCVゲノムによってコードされる。HCVポリタンパク質の開裂生成物の順序および命名法は次の通りである:NH2−C−El−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOH。別のタンパク質(F)も同定され、C遺伝子内の翻訳フレームシフトから生じる。Branchら、Semin.Liver Dis.(2005)25:105−117。ポリタンパク質の初期開裂は、3個の構造タンパク質、N末端ヌクレオカプシドタンパク質(□core□と呼ばれる)および2個のエンベロープ糖タンパク質、gpE1(Eとしても既知)およびgpE2(E2/NS1としても既知)はもちろんのこと、ウイルス酵素および他の活性をコードする非構造(NS)タンパク質も遊離する、宿主プロテアーゼによって触媒される。NS領域は、NS2、NS3、NS4およびNS5と呼ばれる。NS2は、タンパク質分解活性を備えた内在性膜タンパク質であり、NS3と組み合されてNS2−NS3接合部を開裂させる。NS3プロテアーゼは、そのNS4a補因子と共に、残存するポリタンパク質の処理を行う。これらの反応において、NS3は、NS3補因子(NS4a)、2個のタンパク質(NS4bおよびNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5b)を遊離する。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒された、NS3−NS4a接合部にて自己触媒開裂によって開始される。
【0006】
E1は、32〜35kDa糖タンパク質種として検出され、エンドグリコシダーゼHによって適切な18kDa種に変換される。対照的にE2糖タンパク質は、複数の種の産生と一致する、免疫沈降時の複雑なパターンを示す(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)。HCVエンベロープ糖タンパク質E1およびE2は、免疫共沈降性である安定した複合体を形成する(Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Lanfordら、Virology(1993)197:225−235;Ralstonら、J.Virol.(1993)62:6753−6761)。
【0007】
全長E1およびE2は、細胞の小胞体内に保持され、安定に/または過渡的なワクシニアウイルス系にて発現されたときに複合糖質が不足している(Spaeteら、Virology(1992)188:819−830;Ralstonら、J.Virol.(1993)67:6753−6761)。E1およびE2タンパク質はこれらの発現系において通常は膜結合されているため、タンパク質の精製を促進するために分泌された切断形が産生されてきた。例えば、特許文献1を参照。加えて、Hela細胞におけるE1E2の細胞内産生が説明されてきた。例えば、特許文献2を参照。
【0008】
HCV E1およびE2糖タンパク質は、それらが霊長類試験におけるウイルス攻撃に対して保護性であることが示されているので、かなり興味深い。(Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:1294−1298;Houghton,M.およびAbrignani,S.、Nature(2005)436:961−966)。Meunierら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2005)102:560−4565は、無傷のE1およびE2糖タンパク質を提示するレトロウイルス偽粒子を使用して、HCV−1感染中に産生されたウイルス中和抗体もHCV遺伝子型4、5および6を中和できるが、HCV遺伝子型2および3に対しては制限された中和性を示すだけであることを見出した。
【0009】
現在、HCVに唯一利用できる療法は、IFN−αおよびリバビリンである。残念ながら、これらの薬剤は治療を受ける患者の半分未満に対し有効である(Poynardら、Lancet(1998)352:1426;McHutchisonら、Engl.J.Med.(1998)339:1485)。したがってHCV感染を防止するためだけでなく、既存の療法に代わる、または既存の療法と併せて使用される免疫療法のためにも、有効なワクチンの開発が緊急に必要とされている。
【0010】
HCVに対するT細胞免疫性は、HCV感染および疾患の結果を決定しうる(Missaleら、J.Clin.Invest.(1996)98:706;Cooperら、Immunity(1999)10:439;およびLechnerら、Exp.Med.(2000)191:1499)。ウイルス特異的なT細胞応答は、急性HCV感染を消散させるのに重要な役割を果たすことが示されてきた(Shoukryら、Ann.Rev.Microbiol.(2004)58:391−424)。1つの研究は、支配的なTh0/Th1 CD4+Tヘルパー応答を示す個体はそのHCV感染から回復したが、Th2型応答の個体は慢性に進行する傾向があると結論付けた(Tsaiら、Hepatology(1997)25:449−458)。加えて、HCV特異性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の頻度とウイルス量との間に逆相関があることが示されている(Nelsonら、J.Immunol.(1997)158:1473)チンパンジーにおけるHCVの制御は、Th1 T細胞応答と関連付けられていることが示された(Majorら、J.Virol.(2002)76:6586−6595)。チンパンジーモデルでは、強い多重特異的なCD8+T細胞応答がHCVの自発的制御に関連付けられており、エスケープミュータントの発生はウイルス存続の発生と関連付けられている(Weinerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:2755−2759)。したがってHCV特異的なT細胞応答は、HCV感染を制御する上で重要な役割を果たすように見える。
【0011】
HIVなど、特定のウイルスに対する医薬品の開発が広範に進歩しているにもかかわらず、急性および慢性HCV感染の制御は、限定された範囲内での成功に止まっている。(非特許文献1)。上で説明したように、強い細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の発生はHCV感染の制御および根絶にとって重要でありうる。それゆえ当分野ではHCVに対し強いCTL応答を誘発する有効な方法が求められている。
【特許文献1】米国特許第6,121,020号明細書
【特許文献2】国際公開第98/50556号パンフレット
【非特許文献1】Hoofnagle and di Bisceglie(1997)N.Engl.J.Med.336:347−356
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明の目的は、HCVに対する免疫応答を刺激または強化する試薬および方法を提供することである。前記免疫応答は、HCVによる感染に対して保護または治療効果を与えうる。前記免疫応答は、体液性および/または細胞性応答、例えばIgがHCVポリペプチドの1個以上のエピトープを認識する免疫グロブリン(Ig)応答を誘発するおよび/またはHCVポリペプチドの1個以上のエピトープを認識するT細胞を活性化することでありうる。本発明のこの目的および他の目的は、後述する実施形態の1つ以上によって与えられる。
【0013】
一実施形態において、本発明は、前記第1HCV抗原に対する免疫応答を刺激または誘発する方法を提供し、そこでは対象がHCVタンパク質抗原に曝露され、次に前記第1HCV抗原からの少なくとも1個のエピトープをコードするDNAを含むウイルスベクターに曝露される。該方法は、タンパク質プライムとしての抗原と、続いてタンパク質抗原からのエピトープをコードするウイルスベクターによって送達されたブーストを用いて、プライミングおよびブーストすることを含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、対象が先に曝露された第1タンパク質抗原に対する免疫応答をブーストする方法を提供し、該方法は、ベクターが対象に投与されたときに第1抗原からの少なくとも1個のエピトープをコードおよび発現するDNAをコードするウイルスベクターを投与することによって第1抗原に対する免疫応答をブーストする工程を含む。
【0015】
E1/E2 HCVヘテロダイマーによる免疫化は、HCVに対する中和抗体を誘発することができ、CpGはE1/E2に対するCD4+T細胞応答を強化しうる。本発明は、HCVに対する中和抗体応答およびT細胞応答(CD4+T細胞およびCTL)の両方を与える改良型併用プライムブースト方法を提供する。
【0016】
HCV NS345タンパク質による免疫化は、HCVに対するT細胞応答を誘発することができ、CpGは該応答を強化しうる。本発明は、HCVに対する中和抗体応答およびT細胞応答(CD4+T細胞およびCTL)の両方を与える改良型併用プライムブースト方法を提供する。
【0017】
特に本発明は、HCVタンパク質および1個以上のHCVタンパク質をコードするポリヌクレオチドの組み合せを使用して、免疫応答を刺激する方法を提供する。一実施形態において、タンパク質をコードするポリヌクレオチドはウイルスベクター粒子の一部として送達される。一実施形態において、ウイルスベクター粒子はアルファウイルスであり、好ましい実施形態においては、欠損アルファウイルス粒子にパッケージされたキメラアルファウイルスレプリコンである。一実施形態において、免疫応答はHCV特異的なT細胞の活性化を含む。本発明は、部分的には、HCV E1E2タンパク質ワクチンを使用した免疫応答のプライミングと、欠損アルファウイルス粒子で送達されたHCV E1E2核酸構築物を用いたブーストは、強いCD8+T細胞応答を刺激する、という驚くべき発見に基づいている。それゆえこのような組み合せの使用は、HCV E1E2免疫原に対する細胞性および/または体液性免疫応答を刺激する効果的な手法を提供する。
【0018】
加えてHCVポリタンパク質またはHCV融合タンパク質を用いたプライミングならびに同じポリタンパク質または融合タンパク質の少なくとも一部をコードするアルファウイルスを用いたブーストも、HCVに対する免疫応答の上昇を与えうる。
【0019】
一実施形態において、本発明は、対象におけるHCVに対する免疫応答を誘発または上昇させるために、いわゆる「プライムブースト」免疫化療法を提供する。好ましい一実施形態において、プライミング免疫化工程は、対象を1個以上のタンパク質によって免疫化することを含み、続くブースト工程は、前記タンパク質の1個以上をコードするウイルスベクターによって対象を免疫化することを含む。ある実施形態において、ウイルスベクターはアルファウイルスである。ある実施形態において、タンパク質はHCVタンパク質である。ある実施形態において、対象は脊椎動物対象である。ある実施形態において、脊椎動物対象はヒトである。好ましい実施形態において、タンパク質はHCVタンパク質であり、ウイルスベクターはアルファウイルスベクターであり、対象は脊椎動物または脊椎動物対象である。ある実施形態において、脊椎動物または脊椎動物対象はヒトである。
【0020】
ある実施形態において、本明細書に記載する免疫原性組成物は哺乳類対象に、一部の実施形態において、対象はヒトである。プライミングは、本明細書で使用するように、本明細書に記載した免疫原性タンパク質組成物による第1免疫化が抗原刺激工程において投与されたのと同じ(複数の)抗原の少なくとも1個を含む本明細書に記載したウイルスレプリコン粒子による第2または続いての免疫化(ブースト)時に、標的抗原に対する免疫応答の産生を可能にするいずれかの方法を意味し、第2免疫応答は、第1免疫化が供給されない場合または投与された第1免疫化が第2免疫化で投与されたのと同じ(複数の)抗原を含まない場合のどちらかに達成された免疫応答よりも大きい。抗原刺激は、毎時、毎日、毎週、毎月または毎年投与される単回用量または複数回投薬量を含む療法を含む。詳細な実施形態において、プライミング(またはプライミング免疫化)は、(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回の投与を含む。例えば詳細な実施形態によって、本明細書に記載した1個以上の免疫原性組成物の投与によるプライミングは、(複数の)免疫原性組成物の(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回(例えば2、3、4、5、6、7回以上)の投与を必要とする。投与間の時間間隔は、時間、日、週、月または年である。さらにある実施形態において、同じまたは異なる免疫原性組成物を使用して反復工程が実施されうる。
【0021】
一部の実施形態において、本明細書に記載する免疫原性組成物は、対象のプライミング後に達成される免疫応答をブーストするためのブースターとして投与される。好ましい一実施形態において、アルファウイルスレプリコン粒子はプライミング後のある時点でブースターとして投与される。ブースターとして投与されるウイルスレプリコン粒子は、少なくとも1つのプライミング工程によって投与される少なくとも1個の同じ抗原でコードされる核酸を含む。詳細な実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、プライミング(またはプライミング免疫化)の2〜27週後である。ブーストは、毎時、毎日、毎週、毎月または毎年投与される単回用量または複数回投薬量を含む療法を含む。ある実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、少なくとも1回の投与を含む。他の実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回の投与を含む。例えばこのような例では、詳細な実施形態において、1個以上のウイルスレプリコンの投与によるブーストは、(複数の)ウイルスレプリコン粒子の(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回(例えば2、3、4、5、6、7回以上)の投与を必要とする。投与間の時間間隔は、時間、日、週、月または年である。さらにある実施形態において、同じまたは異なるウイルスレプリコン粒子または免疫原性組成物を使用して反復工程が実施されうる。
【0022】
プライミングまたはブースト免疫化は、筋肉内、粘膜または全身免疫経路の1つ以上の組み合せでありうる。
【0023】
好ましい一実施形態において、本発明は、HCVタンパク質抗原を用いたプライミング免疫化と、続くプライミング工程のHCV抗原の少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いたブースト免疫化とを含む、免疫化の方法を提供する。HCV抗原は、1個以上の異なるHCV抗原を含みうる。
【0024】
好ましい一実施形態において、本発明は、免疫化方法で使用される薬剤の調製のための本明細書に記載した組成物の使用を提供し、該薬剤は、HCVタンパク質抗原を含むプライミング組成物または対象がすでにプライミングされたHCV抗原をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を含むブースト組成物の少なくとも一方を含む。
【0025】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCV E1/E2ヘテロダイマーおよび一実施形態においてMF59であるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、E1/E2ヘテロダイマー複合体をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にE1/E2タンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのE1/E2に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、E1/E2ヘテロダイマー複合体をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む脊椎動物対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にE1/E2タンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのE1/E2に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0028】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、HCV E1/E2へテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0029】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0030】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCVポリタンパク質および一実施形態においてISCOMであるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、ポリタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。HCVポリタンパク質は、一実施形態においてCpG免疫刺激分子である免疫刺激分子を含む組成物中でさらに投与されうる。
【0031】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCVポリタンパク質および一実施形態においてISCOMであるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、ポリタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。HCVポリタンパク質は、一実施形態においてCpG免疫刺激分子である免疫刺激分子を含む組成物中でさらに投与されうる。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、HCVポリタンパク質をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にHCVポリタンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのHCVポリタンパク質に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、HCVポリタンパク質をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む脊椎動物を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にHCVポリタンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのHCVポリタンパク質に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0034】
タンパク質の投与を含む本発明の免疫化工程、本発明のキットおよび組成物はすべて、CpGまたは他の免疫刺激分子および/またはアジュバントの投与または包含をさらに含みうる。
【0035】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0036】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0037】
ポリペプチドおよび前記ポリペプチドをコードするヌクレオチドは、広範囲のHCV遺伝子型に対して保護向上を与えるために、同じHCV単離物から、または異なる株および各種のHCV遺伝子型のいずれかを有する単離物を含む単離物から得られる。
【0038】
一実施形態において、本発明は、HCV感染にすでに曝露された対象(即ち1個以上のHCV抗原への曝露によってすでにプライミングされた脊椎動物対象)を、脊椎動物対象におけるHCVに対する免疫応答を強化するためにアルファウイルスブースト療法によって治療する方法を提供する。脊椎動物対象がすでにHCVに感染している、またはHCVに曝露されている他の実施形態において、治療方法は1回以上のプライミング工程を、1回以上のブースト工程と共に含みうる。
【0039】
一実施形態において、本発明は、HCV感染にすでに曝露された脊椎動物対象(即ち1個以上のHCV抗原への曝露によってすでにプライミングされた脊椎動物対象)を、脊椎動物対象におけるHCVに対する免疫応答を強化するためにアルファウイルスブースト療法によって治療する方法を提供する。脊椎動物対象がすでにHCVに感染している、またはHCVに曝露されている他の実施形態において、治療方法は1回以上のプライミング工程を、1回以上のブースト工程と共に含みうる。
【0040】
他の実施形態において、本発明は、タンパク質の少なくとも1回の投与と、それに続くアルファウイルス粒子の少なくとも1回の投与による、対象におけるHCVに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造におけるHCVタンパク質またはHCVタンパク質をコードするアルファウイルス粒子を含む組成物の使用を提供する。
【0041】
他の実施形態において、本発明は、タンパク質の少なくとも1回の投与と、それに続くアルファウイルス粒子の少なくとも1回の投与による、個体におけるHCVに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造におけるHCVタンパク質またはHCVタンパク質をコードするアルファウイルス粒子を含む組成物の使用を提供する。
【0042】
本発明は、哺乳類などの対象において免疫応答を誘発または生成するキットも提供する。キットは(i)HCVタンパク質およびアジュバントを含む第1組成物と;(ii)第1組成物のHCVタンパク質の少なくとも一部をコードするウイルスベクターを含む第2組成物とを含む。好ましい一実施形態において、アジュバントは、MF59でありうる水中油型エマルジョンである。一実施形態において、前記キット中の第1組成物はMF59をアジュバントとして含む。別の実施形態において、E1/E2タンパク質およびMF59を含む第1組成物は、CpGをさらに含む。
【0043】
一部の実施形態において、キットは(i)E1/E2タンパク質複合体およびアジュバントを含む第1組成物と;(ii)E1/E2タンパク質複合体をコードするウイルスベクターを含む第2組成物と;を含む。好ましい一実施形態において、アジュバントは、MF59でありうる水中油型エマルジョンである。一実施形態において、前記キット中の第1組成物はMF59をアジュバントとして含む。別の実施形態において、E1/E2タンパク質およびMF59を含む第1組成物は、CpGをさらに含む。好ましい一実施形態において、ウイルスベクターは欠損アルファウイルス粒子である。
【0044】
キットは、第1組成物の、第2組成物の、または第1および第2組成物両方の1回または複数回用量を含みうる。それゆえ詳細な実施形態において、反復投与を容易にするために、キットは一方または両方の組成物のための複数のバイアルを含み、各バイアルは各投与時に対象に投与される用量を含む。該キットは、キットの使用説明書をさらに含む。他の実施形態において、キットは哺乳類に、第1組成物を投与するためのアプリケータおよび/または第2組成物を投与するためのアプリケータも含みうる。
【0045】
本発明のキットは、キットの組成物を単独で、または他の組成物と共に使用するための説明書をさらに含みうる。
【0046】
一実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCVタンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にすでに投与された前記HCVタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCVタンパク質をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させて、HCVタンパク質を産生させる工程と;を含む。免疫応答は、細胞性および/または体液性免疫応答であってもよい。細胞性または体液性免疫応答は、本明細書に記載した各種の第1のタンパク質組成物および第2のウイルスベクター組成物のいずれかを使用して刺激されうる。
【0047】
対象または脊椎動物対象はすでにHCVに曝露されているか、HCVに感染しており、ウイルスへの曝露に関しては未処置である。
【0048】
一実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与し、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と;
を含む。免疫応答は、細胞性および/または体液性免疫応答であってもよい。細胞性または体液性免疫応答は、本明細書に記載した各種の第1のタンパク質組成物および第2のウイルスベクター組成物のいずれかを使用して刺激されうる。
【0049】
E1/E2タンパク質複合体および/または前記E1/E2複合体をコードするアルファウイルスは、本明細書でさらに述べる部分または完全タンパク質(またはウイルスベクターの場合はタンパク質コード)配列でありうる。その上タンパク質免疫化組成物として使用される正確な配列が、タンパク質配列をコードする核酸中に含まれることは必要でない。タンパク質アミノ酸配列またはタンパク質配列をコードする核酸のどちらかが、HCVゲノムに関して部分的または完全でありうる。
【0050】
第1および第2組成物は、例えばタンパク質を含む第1組成物の1、2、3、4、または5回以上の連続投与と、続くウイルスベクターを含む第2組成物の1、2、3、4または5回以上の連続投与などの、いずれの多種多様の組み合せでも1回以上投与されうる。さらに第2組成物の投与は、第2または次の第1組成物の投与前に行われうる。
【0051】
別の実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象のT細胞であって、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を活性化する方法を提供し、該方法は:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与し、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞は前記対象において活性化され、前記活性化T細胞はE1、E2またはE1E2複合体のエピトープを認識する。ウイルスベクターは、アルファウイルスベクターなどの哺乳類ウイルスベクターであり、一実施形態において、アルファウイルスベクターはキメラアルファウイルス不完全レプリコン粒子でありうる欠損アルファウイルスベクター粒子である。
【0052】
対象または脊椎動物対象は、前記第1および第2組成物の1個以上の投与前にHCVにすでに感染しているか、または投与前に感染していないかのどちらかである。それゆえ該方法は、予防および治療効果を提供しうる。
【0053】
好ましい実施形態において、該方法はCD8+T細胞を含むT細胞の活性化を刺激し、活性化はガンマインターフェロンを産生するCD8+T細胞の数の増加を含む。別の実施形態において、該方法はCD4+T細胞を含むT細胞の活性化を刺激し、活性化はガンマインターフェロンを産生するCD4+T細胞の数の増加を含む。
【0054】
別の実施形態において、該方法はB細胞の活性化を刺激して、活性化はHCVに対する治療効果の保護を有する抗体の数の増加を含む。
【0055】
第1タンパク質組成物は、少なくとも1個のアジュバントをさらに含み、1個を超えるアジュバントまたは1個のアジュバントおよび別の免疫刺激組成物を含みうる。1個の好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型エマルジョンである。一実施形態において、タンパク質組成物に添加されるサブミクロン水中油型エマルジョンは、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、および場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。一実施形態において、サブミクロン水中油型エマルジョンはMF59である。1個の好ましい免疫刺激組成物は、1個の好ましい組成物ではCpG免疫刺激核酸である免疫刺激核酸である。
【0056】
好ましい実施形態において、E1E2タンパク質を含む第1組成物は、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生されうる。
【0057】
別の好ましい実施形態において、HCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物は、図2A〜2Cの位置192〜746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする。
【0058】
アジュバントおよび(複数の)タンパク質抗原は、同時に、連続的にまたは個別に投与されうる。アジュバントは、(複数の)抗原の投与前に対象をプライミングするために、または(複数の)抗原の投与後にその抗原に対する免疫応答をブーストするために投与されうる。アジュバントおよび(複数の)タンパク質抗原は好ましくは、混合物で投与される。
【0059】
(複数の)タンパク質抗原およびウイルスベクターは、同時に、連続的にまたは個別に投与されうる。タンパク質組成物は、ウイルスベクターの投与前に対象をプライミングするために投与されうる。(複数の)タンパク質抗原およびウイルスベクターは好ましくは、ウイルスベクターが投与される前に少なくとも1回投与されたタンパク質抗原と連続的に投与される。本発明は、患者における免疫応答を上昇させるための薬剤の製造において少なくとも1個の抗原の使用をも提供し、薬剤はアジュバントと共に投与される。同様に本発明は、患者における免疫応答を上昇させるための薬剤の製造におけるアジュバントの使用を提供し、薬剤は少なくとも1個の抗原と共に投与される。薬剤の製造におけるウイルスベクターの使用も提供される。本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書の開示を考慮すれば、当業者が容易に思いつくであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明の常法は、別途指摘しない限り、当分野の技術の範囲内で化学、生化学、組み換えDNA技法および免疫学の在来の方法を利用するであろう。このような技法は文献で十分に説明されている。例えばFundamental Virology、第2版、vol.I&II(編者:B.N.FieldsおよびD.M.Knipe);Handbook of Experimental Immunology、VoIs.I−IV(編者:D.M.WeirおよびC.C.Blackwell、Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freemanおよびその仲間、1993年);A.L.Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989年);Methods In Enzymology(編者:S.ColowickおよびN.Kaplan、Academic Press,Inc.)を参照。
【0061】
本明細書で引用したすべての公報、特許および特許出願は、前述または後述にかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
次のアミノ酸省略形は本文全般を通じて使用される。
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:GIy(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0063】
1.定義
本発明を説明するにあたり、次の用語が使用され、以下に示すように定義されるものとする。
【0064】
本明細書および添付実施形態で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明確に別途指示しない限り、複数対象物を含むことに注目すべきである。それゆえたとえば例えば「E1E2複合体」への言及は、2個以上のそのような複合体の混合物などを含む。
【0065】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指し、生成物の最小長に制限されない。それゆえペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは定義に含まれる。全長タンパク質およびその断片は定義によって含まれる。該用語はポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、ホスホリル化なども含む。さらに本発明の目的では、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持している限り、ナイーブ配列に対する修飾、例えば欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、まるで部位特異的突然変異誘発のように意図的でありうるか、あるいはタンパク質を産生する宿主の突然変異またはPCR増幅によるエラーであるかのように偶発的でありうる。
【0066】
「E1ポリペプチド」とは、HCV E1領域に由来する分子を意味する。HCV−1の成熟E1領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた、ポリタンパク質の約アミノ酸192で開始し、約アミノ酸383まで継続する。(図1および2A〜2Cを参照。図2A〜2Cのアミノ酸192−383は、配列番号:2のアミノ酸位置20−211に一致する)。173付近から約191までのアミノ酸(配列番号:2のアミノ酸1−19)は、E1のシグナル配列として作用する。それゆえ「E1ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆E1タンパク質、またはこの配列の欠けた成熟E1ポリペプチドのどちらか、または異種シグナル配列を持つE1ポリペプチドすら意味する。E1ポリペプチドは、約アミノ酸位置360−383で発生するC末端膜アンカー配列を含む(1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301を参照)。E1ポリペプチドは、本明細書で定義するように、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも、含まなくてもよい。
【0067】
「E2ポリペプチド」とは、HCV E2領域に由来する分子を意味する。HCV−1の成熟E2領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、約アミノ酸383〜385にて開始する。(図1および2A〜2Cを参照。図2A〜2Cのアミノ酸383〜385は、配列番号:2のアミノ酸位置211〜213に一致する)。シグナルペプチドは、ポリタンパク質の約アミノ酸364にて開始する。それゆえ「E2ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆E2タンパク質、またはこの配列の欠けた成熟E2ポリペプチドのどちらか、または異種シグナル配列を持つE2ポリペプチドすら意味する。E2ポリペプチドは、約アミノ酸位置715−730で発生するC末端膜アンカー配列を含み、約アミノ酸残基746までも延伸しうる(例えばLinら、J.Virol.(1994)68:5063−5073)。E2ポリペプチドは、本明細書で定義するように、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも、含まなくてもよい。その上、E2ポリペプチドは、E2のC末端にすぐ隣接して発生するp7領域の全部または一部も含みうる。図1および2A〜2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、位置747〜809(配列番号:2のアミノ酸位置575−637)にて見出される。加えて、HCV E2の複数の種が存在することが既知である(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)。したがって、本発明の目的では、「E2」という用語は、制限なく、E2のN末端からの1〜20個またはそれ以上のアミノ酸の欠失、例えば1、2、3、4、5...10...15、16、17、18、19...個などのアミノ酸の欠失を有する種を含む、E2のこのような種のいずれかを含む。このようなE2種は、アミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403などにて開始する種を含む。
【0068】
HCV−1からの代表的なE1およびE2領域を図2A〜2Cおよび配列番号:2に示す。本発明の目的では、E1およびE2領域は、HCV−1のゲノムによってコードされたポリタンパク質のアミノ酸数に関して定義され、イニシエータメチオニンは位置1と示される。例えばChooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照。しかしながら「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」という用語は本明細書で使用するように、HCV−1配列に限定されないことに注目すべきである。この点で、他のHCV単離物における対応するE1またはE2領域は、配列を最大アラインメントにするような方法で単離物からの配列を比較することによって容易に決定されうる。これはUniversity of Virginia,Department of Biochemistry(Attn:Dr.William R.Pearson)より入手できるALIGN 1.0などの多数のコンピュータソフトウェアパッケージのいずれによっても実施されうる。Pearsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85−2444−2448を参照。
【0069】
さらに本明細書で定義した「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、図に示す正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際にHCVゲノムは生体内では一定流束の状態であり、単離物間で比較的高度の可変性を示す複数の可変ドメインを含有する。多数の保存および可変領域がこれらの株間で既知であり、一般にこれらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、2つの配列を比較したときに、高度の配列相同性、例えば30%を超える、好ましくは40%を超える、60%を超えるアミノ酸配列相同性、なお80〜90%の相同性を有するであろう。該用語が各種のHCV株およびSimmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399(例えば株1、2、3、4など)に記載されたHCVの6個の遺伝子型のいずれかを有する単離物はもちろんのこと、新たに同定された単離物、およびこれらの単離物のサブタイプ、例えばHCV1a、HCV1bなども含む単離物のいずれかからのE1およびE2ポリペプチドも含むことが容易に明らかとなる。
【0070】
それゆえ例えば「E1」または「E2」ポリペプチドという用語は、各種のHCV株のいずれかからのナイーブE1またはE2配列はもちろんのこと、下でさらに定義するような類似体、ムテインおよび免疫原性断片も指す。これらの株の多くの完全遺伝子型が既知である。例えば米国特許番号:6,150,087ならびにGenBankアクセス番号:AJ238800およびAJ238799を参照。
【0071】
加えて「E1ポリペプチド」および「E2ポリペプチド」という用語は、ナイーブ配列に対する修飾、例えば内部欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)を含むタンパク質、例えば親配列と実質的に相同であるタンパク質を含む。これらの修飾は、まるで部位特異的突然変異誘発のように意図的でありうるか、天然発生型突然変異イベントであるかのように偶発的でありうる。これらの修飾すべては、修飾されたE1およびE2ポリペプチドがその所期の目的のために機能する限り、本発明に含まれる。それゆえ例えばE1および/またはE2ポリペプチドがワクチン組成物で使用される場合、修飾は免疫活性(即ちポリペプチドに対して体液性または細胞性免疫応答を誘発する能力)が消失しないようでなければならない。一般にここで、本発明の目的では、細胞性免疫応答がポリペプチドの送達される対象で産生されうるように、ポリペプチドは少なくとも1個のT細胞エピトープを保持するであろう。
【0072】
「E1E2」またはE1E2タンパク質複合体とは、上記のような少なくとも1個のE1ポリペプチドおよび少なくとも1個のE2ポリペプチドを含有するタンパク質を意味する。このような複合体は、E2のC末端にすぐ隣接して発生するp7領域の全部または一部も含みうる。図1および2A〜2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、位置747−809(配列番号:2のアミノ酸位置575−637)にて見出される。p7タンパク質を含む代表的なE1E2複合体は本明細書では、「E1E2809」と呼ばれる。本発明の常法に有用なE1E2タンパク質複合体を含む組成物は、さらに1個以上のアジュバントを含みうる。
【0073】
E1およびE2複合体におけるE1およびE2の結合方式は重要でない。E1およびE2ポリペプチドは、非共有結合相互作用を通じて、例えば静電力を通じて、または共有結合によって結合されうる。例えば本発明のE1E2ポリペプチドは、上で定義したような免疫原性E1ポリペプチドおよび免疫原性E2ポリペプチドを含む融合タンパク質の形でありうる。融合物はE1E2キメラをコードするポリヌクレオチドから発現されうる。あるいはE1E2複合体は、別個に産生されたE1およびE2タンパク質を単に混合することによって自発的に形成しうる。同様に同時発現され、培地中に分泌されたときに、E1およびE2タンパク質は複合体を自発的に形成しうる。それゆえ該用語は、E1および/またはE2の精製時に自発的に形成されるE1E2複合体(凝集体とも呼ばれる)を含む。このような凝集体は、1個以上のE2モノマーと結合した1個以上のE1モノマーを含みうる。存在するE1およびE2モノマーの数は、少なくとも1個のE1モノマーおよび1個のE2モノマーが存在する限り、同じである必要はない。E1E2複合体の存在の検出は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの標準タンパク質検出技法および免疫沈降などの免疫技法を使用して容易に決定される。
【0074】
「類似体」および「ムテイン」という用語は、所望の活性、例えば本明細書に記載するアッセイにおける免疫反応性を保持する、基準分子の生物活性誘導体、例えばE1E2809、またはこのような誘導体の断片を指す。一般に「類似体」という用語は、修飾が免疫原性活性を破壊しない限り、ナイーブ分子に対して1個以上のアミノ酸付加、置換(一般に本質的に保存的である)および/または欠失を持つナイーブポリペプチド配列および構造を指す。「ムテイン」という用語は、1個以上のペプチドミミック(「ペプトイド」)を有するペプチドを指す。好ましくは類似体またはムテインは、ナイーブ分子と少なくとも同じ免疫反応性を有する。ポリペプチド類似体およびムテインを作製する方法は当分野で既知であり、下でさらに記載する。
【0075】
特に好ましい類似体は、本質的に保存的である置換、即ちその側鎖にて関連するアミノ酸のファミリ内で起こる置換を含む。特に、アミノ酸は一般に4つのファミリ:(1)酸性−アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;(2)塩基性−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分類される。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは場合により芳香族アミノ酸として分類される。例えばロイシンのイソロイシンまたはバリンによる、アスパラギン酸塩のグルタミン酸塩による、トレオニンのセリンによる単離置換、あるいはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による同様の保存的置換が生物活性に大きな影響を持たないことは、合理的に予測されうる。例えば興味のあるポリペプチド、例えばE1E2ポリペプチドは、分子の所望の機能が損なわれない限り、約5〜10個までの保存的または非保存的アミノ酸置換、あるいは約15〜20または50個までの保存的または非保存的アミノ酸置換、あるいは5〜50のいずれかの整数を含みうる。当業者は、当分野で周知のHopp/WoodsおよびKyte−Doolittleプロットへの参照により、変化に耐えうる興味のある分子の領域を容易に決定しうる。
【0076】
「断片」とは、無処置の全長ポリペプチド配列および構造の一部のみから成るポリペプチドを意味する。断片は、C末端欠失およびN末端欠失、および/またはナイーブポリペプチドの内部欠失を含みうる。特定のHCVタンパク質の「免疫原性断片」は一般に、問題の断片が本明細書で定義する免疫応答を誘発する能力を保持するという条件で、エピトープ、または5アミノ酸と全長配列との間の任意の整数を定義する、全長分子の少なくとも約5〜10個の連続アミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続アミノ酸残基、および最も好ましくは、全長分子の少なくとも約20〜50個以上の連続アミノ酸残基を含む。HCV E1およびE2の既知の免疫原性断片の説明については、例えばChienら、国際公開番号:WO 93/00365を参照。
【0077】
「エピトープ」という用語は本明細書で使用するように、少なくとも約3〜5個の、好ましくは約5〜10個または15個の、そして約500個を超えないアミノ酸(またはその間のいずれかの整数)の配列を指し、単独でまたはより大きい配列の一部として、それが投与される対象において免疫応答を誘発する配列を定義する。エピトープは、このような配列に対する応答で生成された抗体に結合することが多い。断片の長さには決定的な上限がなく、タンパク質配列のほぼ全長、またはHCVポリタンパク質からの2個以上のエピトープを含む融合タンパク質さえ含みうる。本発明で使用するエピトープは、それが由来する親タンパク質の一部の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際にウイルスゲノムは一定流束の状態であり、単離物間で比較的高度の可変性を示す複数の可変ドメインを含有する。それゆえ「エピトープ」という用語は、ナイーブ配列と同一の配列はもちろんのこと、ナイーブ配列への修飾、例えば欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)も含む。
【0078】
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当分野で周知のエピトープマッピング技法をいくつでも使用して同定されうる。例えばEpitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(編者:Glenn E.Morris、1996年)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照。例えば直鎖エピトープは固体支持体上でタンパク質分子の一部に相当する多数のペプチドを同時に合成することと、ペプチドをなお支持体に結合させたままペプチドに抗体を反応させることとによって決定できる。このような技法は当分野で既知であり、例えば米国特許番号:4,708,871;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8J.:3998−4002;Geysenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178−182;Geysenら(l986)Molec.Immunol.23:709−715に記載されている。このような技法を使用して、HCVの多数のエピトープが同定されている。例えばChienら、Viral Hepatitis and Liver Disease(1994)pp.320−324、そしてさらに下を参照。同様に、高次構造エピトープは、例えばX線結晶学および2次元核磁気共鳴によって、アミノ酸の空間高次構造を決定することによって容易に同定される。例えば上のエピトープマッピングプロトコルを参照。タンパク質の抗原領域も、標準抗原性およびヒドロパシープロット、例えばOxford Molecular Groupより入手できるOmiga version 1.0ソフトウェアプログラムを使用して計算されたものを使用して同定されうる。本コンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためにはHopp/Woods method、Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824−3828を、ヒドロパシープロットにはKyte−Doolittle technique、Kyteら、J.Mol Biol.(1982)157:105−132を利用する。
【0079】
本明細書で使用するように、「高次構造エピトープ」は、全長天然タンパク質内でエピトープをコードするアミノ酸配列にとってナイーブの構造特徴を有する、全長タンパク質の一部、あるいはその類似体またはムテインを指す。ナイーブの構造特徴としては、これに限定されないが、グリコシル化および3次元構造を含む。配列を定義するエピトープの長さは、これらのエピトープが抗原の3次元形状(例えば折り畳み)によって形成されると考えられているので、幅広い変化を受けることがある。それゆえエピトープを定義するアミノ酸は、比較的数が少ないが、分子の長さに沿って広範に(あるいはダイマーなどの場合には異なる分子にすら)分散して、折り畳みによって正しいエピトープ高次構造に至らせる。エピトープを定義する残基間の抗原の部分は、エピトープの高次構造にとっては重要ではないことがある。例えばこれらの介在配列の欠失または置換は、エピトープ高次構造にとって重要な配列が維持される(例えばジスルフィド結合に関与するシステイン、グリコシル化部位など)という条件で、高次構造エピトープに影響しないことがある。
【0080】
高次構造エピトープは上述の方法を使用して容易に同定される。その上、所与のポリペプチドにおける高次構造エピトープの存在または非存在は、興味のある抗原を抗体(高次構造エピトープに対するポリクローナル血清またはモノクローナル)によってスクリーニングすることと、その反応性を、(もしあれば)直鎖エピトープのみを保持する抗原の変性体の反応性を比較することとによって、容易に決定されうる。ポリクローナル抗体を使用するこのようなスクリーニングにおいて、変性抗原を用いてポリクローナル血清を最初に吸収して、それが興味のある抗原に対する抗体を保持するかどうかを確認することが好都合でありうる。E1およびE2領域に由来する高次構造エピトープは例えば、国際公開番号:WO 94/01778に記載されている。
【0081】
本明細書で使用するように、「T細胞エピトープ」という用語は、ペプチド構造または関連ハプテンに対してT細胞免疫性を誘発できるペプチド構造の特徴を指す。T細胞エピトープは一般に、MHC分子のペプチド結合間隙内で拡張高次構造を取る直鎖ペプチド決定基を含む(Unanueら、Science(1987)236:551−557)。ポリペプチドのMHCクラスII関連直鎖ペプチド決定基(一般に長さ5〜14アミノ酸)への変換は、抗原提示細胞(APC)によって実施される「抗原処理」と呼ばれる。さらに詳細には、T細胞エピトープは、短いペプチド構造の局所的な特徴、例えば電荷および疎水性を含む1次アミノ酸配列特性、およびポリペプチド全体の折り畳みに依存しないらせん性などのある種類の2次構造によって定義される。さらにヘルパーT細胞による認識が可能である短いペプチドは一般に、疎水性側(MHC分子との相互作用のため)および親水性側(T細胞受容体との相互作用のため)を含む、両親媒性構造であることと(Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc、編者:G.C.Woodrowら(1990)pp.109−116)、さらに両親媒性構造がα−らせん配置を有することが考えられる(例えばSpougeら、J.Immunol.(1987)138:204−212;Berkowerら、J.Immunol.(1986)136:2498−2503)。
【0082】
それゆえT細胞エピトープを含むタンパク質のセグメントは、多数のコンピュータプログラムを使用して容易に予測されうる。(例えばMargalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes,New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc,ed.G.C.Woodrowら(1990)pp.109−116)。このようなプログラムは一般に、ペプチドのアミノ酸配列を、T細胞応答を誘発することが既知の配列と比較して、T細胞エピトープに必要と考えられるアミノ酸のパターンを検索する。
【0083】
HCV抗原または組成物に対する「免疫応答」は、興味のある組成物中に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の対象における発生である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」は抗体分子によって媒介される免疫応答を指し、これに対して「細胞性免疫応答」はT−リンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答である。細胞免疫性の1つの重要な態様は、細胞溶解性T細胞(「CTL」による抗原特異性応答を含む。CTLは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされるタンパク質と関連して提示され、細胞表面にて発現されるペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはこのような微生物に感染した細胞の溶解を誘発および促進するのを助ける。細胞免疫性の1つの重要な態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異性応答を含む。ヘルパーT細胞は、機能の刺激を促すように作用して、MHC細胞とその表面で結合したペプチド抗原を提示する細胞に対して非特異性エフェクタ細胞の活性を集中させる。「細胞性免疫応答」は、サイトカイン、ケモカインならびにCD4+およびCD8+T細胞に由来する分子を含めて、活性化されたT細胞および/または他の白血球によって産生された他のそのような分子の産生も指す。細胞性免疫応答を誘発する組成物またはワクチンは、細胞表面でMHC細胞と結合した抗原の提示によって脊椎動物対象を感作させるように作用しうる。細胞媒介免疫応答は、その表面で細胞提示抗原またはその付近に向けられている。加えて抗原特異性T−リンパ球は、免疫化宿主の将来の保護を可能にするために生成されうる。特定の抗原が細胞媒介免疫応答を刺激する能力は、多数のアッセイによって、例えばリンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ;CTL細胞毒性細胞アッセイによって、あるいは感作された対象において抗原に対して特異的なT−リンパ球をアッセイすることによって決定されうる。このようなアッセイは当分野で周知である。例えばEricksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376を参照。
【0084】
それゆえ免疫応答は本明細書で使用するように、CTLの産生、および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激する免疫応答でありうる。興味のある抗原は、例えば結合(NOB)抗体の中和を含む抗体媒介免疫応答も誘発しうる。NOB抗体応答の存在は、例えばRosaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1759に記載された技法によって容易に決定される。それゆえ免疫応答は、次の効果:B細胞による抗体の産生および/または興味のある組成物またはワクチン中に存在する1個または複数の抗原に対して特異的に作られたサプレッサT細胞および/またはγδT細胞の活性化の1つ以上を含みうる。これらの応答は、免疫化された宿主に対する保護または緩和を提供するために、感染性を中和する、ならびにあるいは抗原−補体、または抗原依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように作用しうる。このような応答は、当分野で周知である標準イムノアッセイおよび中和アッセイを使用して決定されうる。
【0085】
「単離された」とは、ポリペプチドを指すときに、示された分子が、該分子が天然で見出される、または同じ種類の他の生体巨大分子の実質的な非存在下で存在する生物全体から隔離および分離されていることを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された」という用語は、天然で通常それと結合されている配列;または天然に存在するが、それと結合した異種配列を有する配列;または染色体から解離した分子の、全体または一部を含まない核酸分子である。
【0086】
「同等の抗原決定基」は、HCVの異なる亜種または株からの、例えば抗原決定基が配列変異のために必ずしも同一でないが、問題のHCV配列における同等の位置に発生するHCVの株1、2、3などからの、抗原決定基である。一般に同等の抗原決定基のアミノ酸配列は、2個の配列が比較されたときに、高度の配列相同性、例えば30%を超える、通例40%を超える、例えば60%を超えるアミノ酸配列相同性、さらには80〜90%を超える相同性を有するであろう。
【0087】
「相同性」は、2個のポリヌクレオチドまたは2個のポリペプチド部分の間の同一性パーセントを指す。2個のDNA、または2個のポリペプチド配列は、配列が分子の定義された長さに対して少なくとも50%の、好ましくは少なくとも75%の、さらに好ましくは少なくとも約80%〜85%の、好ましくは少なくとも約90%の、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示すときに、相互に対して「実質的に相同性」である。本明細書で使用するように、実質的相同性は、規定したDNAまたはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列も指す。
【0088】
一般に「同一性」は、2個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列それぞれの、正確なヌクレオチド‐ヌクレオチドまたはアミノ酸−アミノ酸の対応を指す。同一性パーセントは、配列を比較することと、2個の比較された配列間の正確な一致数をカウントすることと、より短い配列の長さによって割ることと、結果に100を掛けることによって、2個の分子間の配列情報の直接比較によって決定されうる。容易に入手可能なコンピュータプログラム、例えばペプチド解析のためにSmith and Waterman Advances in Appl.Math.2:482−489、1981年の局所相同性アルゴリズムを採用する、Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、5 Suppl.3:353−358,National biomedical Research Foundation,Washington,DCのALIGN,Dayhoff,M.O.を使用して解析を補助できる。ヌクレオチド配列同一性を決定するプログラム、例えばまたSmith and Watermanアルゴリズムに依存するBESTFIT、FASTAおよびGAPプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIより入手できる)で利用できる。これらのプログラムは、メーカーが推奨する、そして上で言及したWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されているデフォルトパラメータを用いて容易に利用される。例えば特定のヌクレオチド配列の基準配列に対する同一性パーセントは、デフォルトのスコアリングテーブルおよび6個のヌクレオチド位置のギャップペナルティを用いて、Smith and Watermanの相同性アルゴリズムを使用して決定されうる。
【0089】
本発明の文脈で同一性パーセントを確立する別の方法は、University of Edinburghが著作権を有し、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokが開発して、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,CA)によって配布されたプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この1組のパッケージから、デフォルトパラメータ(例えばギャップオープンペナルティ12、ギャップ拡張ペナルティ1、およびギャップ6)がスコアリングテーブルに使用されるSmith−Watermanアルゴリズムが利用されうる。生成されたデータから、「Match」値は「配列同一性」を反映する。配列間の同一性または類似性パーセントを計算するための他の適切なプログラムは一般に当分野で既知であり、例えば別の配列比較プログラムはデフォルトパラメータと共に使用されるBLASTである。例えばBLASTNおよびBLASTPは、次のデフォルトパラメータを用いて使用されうる:遺伝暗号=標準;フィルタ=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予想=10;マトリクス=BLOSUM62;記述=50配列;ソート=HIGH SCORE;データベース=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は当分野で周知である。
【0090】
あるいは相同性は、相同性領域間に安定な2本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションと、続く(複数の)1本鎖特異性ヌクレアーゼによる消化、および消化された断片のサイズ決定によって決定されうる。実質的に相同性であるDNA配列は、例えば特定の系について定義されるような厳密性条件下にてサザンハイブリダイゼーション実験で同定されうる。適切なハイブリダイゼーション条件の定義は、当分野の技術の範囲内である。例えばSambrookら、同上;DNA Cloning、同上;Nucleic Acid Hybridization,同上を参照。
【0091】
「縮重変異体」という用語は、縮重変異体が由来するポリヌクレオチドによってコードされたポリヌクレオチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、その核酸配列に変化を含有するポリヌクレオチドを意味する。それゆえE1E2809 DNAの縮重変異体は、分子が由来するが、同じE1E2809アミノ酸配列をコードするDNA配列の1個以上の塩基の相違を持つ分子である。
【0092】
「コード配列」即ち選択したポリペプチドを「コードする」配列は、適切な制御配列の管理下に配置されたときに、試験管内または生体内に転写(DNAの場合)および翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列の3’側に位置しうる。E1/E2では、ポリタンパク質には停止開始コドンは当然発生しない。当業者に既知の各種の技法および本明細書に与えた実施例を使用して、開始コドンと、場合により分泌またはリーダー配列とをさらに含むE1/E2融合タンパク質を含む、合成タンパク質発現構築物が作製されうる。
【0093】
「核酸」分子または「ポリヌクレオチド」は2本鎖および1本鎖配列の両方を含むことができ、これに限定されないが、ウイルス、原核または真核mRNAからのcDNA、ウイルス(例えばDNAウイルスおよびレトロウイルス)または原核DNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列を指す。用語は、DNAおよびRNAの既知の塩基類似体のいずれかを含む配列も取り込む。
【0094】
「HCVポリヌクレオチド」は、上で定義したようなHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0095】
「操作可能に連結された」は、そのように記載された成分がその所望の機能を実施するように構成されている要素の配置を指す。それゆえコード配列に操作可能に連結された所与のプロモータは、例えば適正な転写因子が存在するときにコード配列の発現に影響を及ぼすことができる。プロモータは、その発現を指示するように機能する限り、コード配列と隣接する必要はない。それゆえ例えば、介在する未翻訳であるが転写された配列は、転写イントロンが可能であるようにプロモータ配列とコード配列との間に存在可能であり、プロモータ配列はコード配列になお「操作可能に連結される」と見なされうる。
【0096】
「組み換えの」は、核酸分子を説明するために本明細書で使用するように、その起源または操作のためにそれが自然界で結合されているポリヌクレオチドの全体または一部と結合していない、ゲノム、cDNA、ウイルス性、半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。「組み換えの」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して使用するように、組み換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。一般に、下でさらに説明されるように、興味のある遺伝子はクローニングされ、次に形質転換された生物内で発現される。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現して、タンパク質を産生する。
【0097】
「調節要素」は、それが連結されるコード配列の発現を補助するポリヌクレオチド配列を指す。用語はプロモータ、転写終結配列、上流制御ドメイン、ポリアデニル化シグナル、5’−UTRおよび3’−UTRを含む未翻訳領域、適切な場合には、宿主細胞内のコード配列の転写および翻訳を集合的に供給するリーダー配列およびエンハンサを含む。
【0098】
「プロモータ」は本明細書で使用するように、宿主細胞内でRNAポリメラーゼを結合して、それに操作可能に連結された下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA制御領域である。本発明の目的では、プロモータ配列は、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで興味のある遺伝子の転写を開始するのに必要な最低限の数の塩基および要素を含む。プロモータ配列内には、転写開始部位はもちろんのこと、RNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)もある。真核プロモータは、必ずではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することが多い。
【0099】
調節配列は、RNAポリメラーゼがプロモータ配列に結合して、コード配列をmRNA内に転写するときに、細胞におけるコード配列の「転写を指示して」、次にmRNAがコード配列によってコードされたポリペプチド内に翻訳される。
【0100】
「発現カセット」または「発現構築物」は、興味のある(複数の)配列または(複数の)遺伝子の発現を指示できるアセンブリを指す。発現カセットは、上記のような調節要素、例えば興味のある(複数の)配列または(複数の)遺伝子に(その転写を指示するために)操作可能に連結され、ポリアデニル化配列も含むことが多い。本発明の範囲内で、本明細書に記載する発現カセットはプラスミド構築物内に含有されうる。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物は1個以上の選択可能なマーカー、プラスミド構築物を1本鎖DNAとして存在させるシグナル(例えばM13複製起点)、少なくとも1個の多重クローニング部位、および「哺乳類」複製起点(例えばSV40またはアデノウイルス複製起点)も含みうる。
【0101】
「形質転換」は本明細書で使用するように、挿入に使用する方法とは無関係に、外来性ポリヌクレオチドの宿主細胞内への挿入:例えば直接摂取による形質転換、形質移入、感染などを指す。形質転換の詳細な方法については、さらに下を参照。外来性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター、例えばエピソームとして維持されうるか、あるいは宿主ゲノム内に組み込まれうる。
【0102】
「核酸免疫化」とは、免疫原の生体内発現のために、1個以上の選択した免疫原、例えばE1E2複合体を宿主細胞内にコードする核酸分子の導入を意味する。核酸分子は、例えば注射、吸入、経口、経鼻および粘膜投与などによってレシピエント対象に直接導入されうるか、または宿主から取り出された細胞内へ生体外で導入されうる。後者の場合、形質転換細胞は対象内に再導入されて、そこで免疫応答を核酸分子によってコードされた免疫原に対して開始させることができる。
【0103】
「アルファウイルス」という用語は、当分野でその在来の意味を有し、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、エバーグレーズウイルス、ムカンボウイルス、ピクスナウイルス、西部脳炎ウイルス(WEE)、シンドビスウイルス(SIN)、南アフリカアルボウイルスNo.86(S.A.AR86)、ガードウッドS.A.ウイルス、オッケルボーウイルス、セムリキフォレストウイルス、ミドルバーグウイルス、チクングニヤウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、ゲタウイルス、サグリヤマ(Saglyama)ウイルス、ベバルウイルス、マヤロウイルス、ウナウイルス、アウラウイルス、ワタロアウイルス、ババンキウイルス、Kyzlagachウイルス、ハイランズJウイルス、フォートモーガンウイルス、ヌヅム(Ndumu)ウイルス、バギークリークウイルス、および国際ウイルス命名委員会(ICTV)によってアルファウイルスとして分類された他の任意のウイルスを含む。本発明で使用するための好ましいアルファウイルスは、SIN株、VEE株、オッケルボーウイルス、およびそのキメラウイルスである。
【0104】
「ウイルスベクター」は、興味のある核酸分子、例えばE1E2複合体をコードするポリヌクレチドを運搬する、そしてある実施形態においては、その発現を指示することができる核酸構築物を指す。ウイルスベクターは、DNA、RNA、および組み換えレプリコン粒子を含む、複数の形式で利用されうる。それゆえ本明細書で使用するように、ウイルスベクターという用語は、ウイルス粒子の形で与えられる核酸、例えば不完全キメラアルファウイルス粒子を含む。
【0105】
「アルファウイルスベクター」は、興味のある核酸分子、例えばE1E2複合体をコードするポリヌクレチドを運搬する、そしてある実施形態においては、その発現を指示することができる核酸構築物を指す。アルファウイルスベクターは、DNA、RNA、および組み換えレプリコン粒子を含む、複数の形式で利用されうる。 このようなレプリコンベクターは、例えばシンドビスウイルス、セムリキフォレストウイルス、および/またはベネズエラウマ脳炎ウイルスを含むアルファウイルスに由来している。例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:5,789,245;5,814,482;および6,376,235ならびにWO 02/099035を参照。
【0106】
「アルファウイルスRNAレプリコンベクター」、「RNAレプリコンベクター」、「レプリコンベクター」または「レプリコン」という用語は、標的細胞内でそれ自体の増幅または生体内自己複製を指示できるRNA分子を指す。それ自体の増幅を指示するために、RNA分子は、RNA増幅を触媒するのに必要な(複数の)ポリメラーゼ(例えばアルファウイルス非構造タンパク質、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードして、コードされた(複数の)ポリメラーゼによって認識および利用される、増幅に必要なcisRNA配列も含有すべきである。アルファウイルスRNAベクターレプリコンは通例、次の順序付けられた要素を含有する:非構造タンパク質媒介増幅に必要な5’ウイルスまたは細胞配列(5’CSE、または5’cis複製配列、または増幅のためにcisで必要とされる5’ウイルス配列、またはアルファウイルスの転写を開始できる5’配列とも呼ばれうる)、発現されたときに、生物活性アルファウイルス非構造タンパク質をコードする配列(例えばnsPl、nsP2、nsP3、nsP4)、および非構造タンパク質媒介増幅に必要な3’ウイルスまたは細胞配列(3’CSE、または増幅のためにcisで必要とされる3’ウイルス配列、またはアルファウイルスRNAポリメラーゼ認識配列とも呼ばれうる)。アルファウイルスRNAベクターレプリコンは、1個以上の異種配列、例えばある実施形態において、サブゲノム断片のウイルス転写を増加または減少させるために、あるいは不完全ヘルパーまたは構造タンパク質発現カセットとの相同性を低下させるために修飾されうるIRESまたはウイルス(例えばアルファウイルス)サブゲノムプロモータ(例えば結合領域プロモータ)、および1個以上の発現される異種配列を発現させる手段も含有すべきである。 ベクターとして使用される場合、レプリコンは追加の配列、例えば1個以上のポリペプチド(例えばタンパク質コード遺伝子または3’近位遺伝子)および/またはポリアデニレートトラクトをコードする1個以上の異種配列も含有するであろう。
【0107】
本明細書で使用するように、「キメラアルファウイルス粒子」および「キメラアルファウイルスレプリコン粒子」という用語は、特に(例えば他のウイルスからの)カプシドおよび/またはエンベロープ糖タンパク質が由来するアルファウイルス以外のアルファウイルスに由来する核酸を含有するように修飾または組み換えられた、キメラまたはキメラ粒子、例えばウイルス、あるいはウイルス様粒子を指す。このような粒子において、アルファウイルスに由来する核酸は、これに限定されないが、ゲノム長(非構造および構造タンパク質をコードする)およびレプリコン長(1個以上の構造タンパク質が削除された)を含む、いくつもの異なる長さのうち1つを含むRNA分子である。例えば、そして制限としてではないが、キメラレプリコン粒子としては、VEE糖タンパク質エンベロープによって包囲された、シンドビスウイルスRNA結合ドメインおよびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)エンベロープ糖タンパク質相互作用ドメインを有するカプシド内のシンドビスウイルス(SIN)レプリコンRNAおよび/またはnsP3の欠失、nsP3の欠失内に挿入されたSINパッケージングシグナルならびにSINに由来するカプシドおよびエンベロープタンパク質を有するVEEレプリコンRNAが挙げられる。キメラアルファウイルスベクターは例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許公報:20030232324および20030148262に記載されている。
【0108】
好ましい実施形態において、本発明はキメラである欠損アルファウイルス粒子を利用する。本明細書で使用するように、「欠損アルファウイルス粒子」という用語は、細胞内での感染時にそのRNAのコピーを生成することができ、それによりアルファウイルスでコードされたいずれの外来性遺伝子も発現するが、ウイルスが感染後に新たなウイルス粒子の産生に必要な1つ以上の機能を欠いている、ウイルス粒子を指す。通例、このような欠損アルファウイルス粒子には、新たな粒子の生成に必要な1個以上の構造遺伝子が不足している。(例えばWO/61772を参照)。
【0109】
免疫原性組成物の「有効量」または「製薬的有効量」という用語は、本明細書で与えるように、組成物の非毒性であるが、所望の応答、例えば免疫応答、および場合により対応する治療効果を与えるのに十分な量を指す。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重症度、興味のある特定の巨大分子、投与様式などによって、対象間で変化するであろう。いずれの個体においても適切な「有効」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定されうる。
【0110】
「脊椎動物対象」とは、制限なく、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種を含む他の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの農場動物;イヌおよびネコなどの家畜化哺乳類;マウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯類を含む実験用動物;ニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽鳥、アヒル、ガチョウなどの飼育鳥、野生鳥および猟鳥を含む鳥類;を含む多数の脊索動物亜門を意味する。該用語は特定の年齢を示さない。それゆえ成人および新生個体の両方が含まれるものとする。本明細書に記載する本発明は、これらの脊椎動物すべての免疫系が同様に作用するので、上の脊椎動物のいずれにおいても使用されるものとする。
【0111】
「治療」という用語は本明細書で使用するように、(1)感染または再感染の防止(予防)、あるいは(2)興味のある疾患の症状の低減または除去(治療)のどちらかを指す。
【0112】
2.本発明を実施する様式
本発明を詳細に説明する前に、本発明が、それ自体がもちろん変化しうる、特定の調合物またはプロセスパラメータに限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、制限するものではないことは理解されるべきである。
【0113】
本明細書に記載するのと同様または同等の多数の方法および材料が本発明の常法で使用されうるが、好ましい材料および方法が明細書に記載される。
【0114】
本発明の中核を成すのは、HCV E1E2タンパク質複合体の1回以上の初期投与と、続くHCV E1E2をコードする核酸構築物を含むウイルスベクターによるブーストを使用した免疫化方法が高度のHCV CD8+T細胞応答を生じるという発見である。それゆえさらに詳細に後述するように、対象は1回以上の免疫化において、最初にE1E2複合体、例えばE1E2809DNAを使用して発現された複合体を投与される。E1E2複合体を含む組成物は、アジュバント、例えば詳細に後述するサブミクロン水中油型エマルジョンも含有しうる。対象は次に、E1E2複合体をコードする核酸構築物を含むウイルスベクター組成物、例えばE1E2複合体をコードするアルファウイルスレプリコン粒子を含有するウイルスベクター組成物によってブーストされる。核酸構築物によってコードされたE1E2複合体は、最初に使用したのと同じE1E2複合体でありうるか、または免疫応答が生成される限り、さらに後述するような他のE1E2タンパク質をコードしうるかのどちらかである。それゆえ例えばE1E2809DNAに由来する複合体を使用して免疫応答をプライミングする場合、対象はE1E2809をコードする核酸、または別のE1E2タンパク質、例えばE1E2746をコードする核酸を含む組成物によってブーストされうる。好ましい実施形態において、本明細書に記載するようなウイルスベクターは、キメラアルファウイルス粒子でありうる、欠損アルファウイルス粒子である。
【0115】
加えて上の組成物は、単独で、あるいは他の組成物、例えば他のHCVタンパク質を含む組成物、他のHCVタンパク質をコードするDNAを含む組成物はもちろんのこと、補助物質、例えば免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン、これに限定されないが、サイトカイン、例えばIL−1、1L−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12などを含むケモカイン(例えば国際公開番号:WO 99/44636)、修飾IL−2(cys125→ser125)、GM−CSF、M−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンおよびペグ化インターフェロン、例えばγ−インターフェロン、IP−10、MIPIβ、FLP−3、リバビリン、RANTES、siRNA、アンチセンスRNA、ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、GTPase、ATPase、プロテアーゼ、グリコシル化、メタロプロテアーゼ、および/またはIRESの阻害薬を含む組成物で使用されうる。それゆえ本発明は、HCV感染を治療するための他の治療計画によって使用されうる。他の組成物と組み合せて使用する場合、このような組成物はE1E2組成物の前に、E1E2組成物と同時に、またはE1E2組成物の次に投与されうる。
【0116】
本発明をさらに理解するために、以下E1E2タンパク質および核酸組成物、ならびに本方法で使用する追加の組成物に関してより詳細に考察する。
【0117】
E1E2ポリペプチド
上で説明したように、本発明の方法において、対象における免疫応答は、E1E2複合体を含む組成物の1回以上の投与を使用してプライミングされる。対象は次にE1E2核酸構築物を使用してブーストされる。E1、E2およびp7は、ヒトT細胞エピトープ(CD4+およびCD8+)を含有することが既知である。E1E2複合体は、非共有結合または共有結合相互作用のどちらかによって結合された1個以上のT細胞エピトープを含むE1およびE2ポリペプチドを含む。その上、特異性保存T細胞エピトープの複数のコピー、例えば異なる遺伝子型からのエピトープの合成物は、E1E2複合体で使用されうる。
【0118】
HCV E1ポリペプチドは糖タンパク質であり、約アミノ酸192からアミノ酸383(HCV−1のポリタンパク質に対して番号付けられた)まで延伸する。例えばChooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照。173付近から約199までのアミノ酸は、E1のシグナル配列を表す。HCV E2ポリペプチドも糖タンパク質であり、約アミノ酸383または384からアミノ酸746まで延伸する。E2のシグナルペプチドは、ポリタンパク質の約アミノ酸364にて開始する。それゆえ「全長」E1または「切断されていない」E1という用語は本明細書で使用するように、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸192〜383(HCV−1に対して番号付けられた)を含むポリペプチドを指す。E2に関して、「全長」または「切断されていない」という用語は本明細書で使用するように、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸383または384からアミノ酸746(HCV−1に対して番号付けられた)を含むポリペプチドを指す。本開示から明らかとなるように、本発明で使用するE1E2ポリペプチドは、p7領域からの追加のアミノ酸、例えばアミノ酸747−809を含みうる。
【0119】
E2は複数の種として存在し(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)、E1およびE2ポリペプチドのNおよびC末端でクリッピングおよびタンパク質分解が発生しうる。それゆえE1E2複合体で見出されたようなE2ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸405−661、例えば400、401、402...661、例えば383または384−661、383または384−715、383または384−746、383または384−749あるいは383または384−809、あるいは383または384から661−809間のいずれかのC末端までを含みうる。同様に、本明細書で使用するための好ましいE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192−326、192−330、192−333、192−360、192−363、192−383、または192から326−383間のいずれかのC末端を含みうる。
【0120】
E1E2複合体はまた、エピトープ、好ましくはT細胞エピトープを含むE1およびE2の免疫原性断片より成りうる。例えばE1ポリペプチドの断片は、約5から分子のほぼ全長まで、例えばE1ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、125、150、175、185以上のアミノ酸、または示された数字の間のいずれかの整数を含みうる。同様にE2ポリペプチドの断片は、E2ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、150、200、250、300、または350アミノ酸、あるいは示された数字の間のいずれかの整数を含みうる。E1およびE2ポリペプチドは、同じまたは異なるHCV株からでありうる。
【0121】
例えばE2の超可変領域、例えばアミノ酸384−410または390−410に及ぶ領域に由来するエピトープがE2ポリペプチドに含まれうる。E2配列中に包含するために特に有効なE2エピトープは、この領域に由来するコンセンサス配列、例えばHCVタイプ1ゲノムのアミノ酸390〜410のコンセンサス配列に相当する、コンセンサス配列Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys−Gln−Asn(配列番号:3)を含むE2エピトープである。E1およびE2の追加のエピトープは既知であり、例えばChienら、国際公開番号:WO 93/00365に記載されている。
【0122】
その上、複合体のE1およびE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全部または一部が不足している。膜アンカー配列は、ポリペプチドを小胞体に結合するように機能する。通常、そのようなポリペプチドは、タンパク質を発現する生物が培養される成長培地中への分泌が可能である。しかしながら国際公開番号:WO 98/50556に記載されているように、このようなポリペプチドも細胞内に回収されうる。成長培地中への分泌は、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動などを含む多数の検出技法、および例えば1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301に記載されたような免疫沈降アッセイなどの免疫技法を使用して容易に決定される。E1では、一般に約アミノ酸位置370以上(HCV−1 E1の番号付けに基づいて)で終結するポリペプチドはERによって保持され、それゆえ成長培地中には分泌されないであろう。E2では、一般に約アミノ酸位置731以上(またHCV−1 E2配列の番号付けに基づいて)で終結するポリペプチドはERによって保持され、成長培地中には分泌されないであろう。(例えば1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301を参照)。これらのアミノ酸位置が絶対でなく、ある程度まで変化しうることに注目すべきである。それゆえ本発明は、膜貫通結合ドメインを保持するE1およびE2ポリペプチドの使用はもちろんのこと、約アミノ酸369以下で終結するE1ポリペプチド、および約アミノ酸730以下で終結するE2ポリペプチドを含む、膜貫通結合ドメインの全部または一部を欠いたポリペプチドの使用も、本発明に取り入れられるものとすることを考慮する。さらにC末端切断は、膜貫通ドメインを超えてN末端まで延伸しうる。それゆえ、例えば360未満の位置で発生するE1切断および例えば715未満の位置で発生するE2切断も本発明に含まれる。必要なのは切断E1およびE2ポリペプチドがその所期の目的について機能性を維持していることだけである。しかしながら特に好ましい切断E1構築物は、約アミノ酸300を超えて延伸しない切断E1構築物である。最も好ましいのは、位置360で終結するものである。好ましい切断E2構築物は、約アミノ酸位置715を超えて延伸しないC末端切断のある切断E2構築物である。特に好ましいE2切断は、アミノ酸715−730のいずれか、例えば725の後に切断された分子である。切断分子が使用される場合、どちらも切断されたE1およびE2分子を使用することが好ましい。
【0123】
E1およびE2ポリペプチドおよびその複合体もアシアロ糖タンパク質として存在しうる。このようなアシアロ糖タンパク質は、当分野で既知の用法によって、例えば末端グリコシル化が遮断される細胞を使用することによって産生される。これらのタンパク質がこのような細胞内で発現され、GNAレクチンアフィニティクロマトグラフィーによって分離されるとき、E1およびE2タンパク質は自発的に凝集する。これらのE1E2凝集体を産生する詳細な方法は、米国特許番号:6,074,852に記載されている。
【0124】
その上、E1E2複合体は、上記のようにクリッピングおよびタンパク質分解開裂のために、分子の異質混合物を含みうる。それゆえE1E2複合体を含む組成物は、E1E2の複数の種、例えばアミノ酸746で終結するE1E2(E1E2746),アミノ酸809で終結するE1E2(E1E2809)、または上記の他の各種のE1およびE2分子のいずれか、例えば1〜20個のアミノ酸のN末端切断のあるE2分子、例えばアミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403にて開始E2種などを含みうる。
【0125】
便宜上、E1およびE2領域は一般にChooら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載されたようなHCV−1aに対するアミノ酸数に関して定義されることに注目すべきであり、イニシエータメチオニンは位置1と示される。しかしながら本発明で使用するポリペプチドは、HCV−1aに由来するポリペプチドに限定されない。HCVのいずれの株または単離物も、本発明で使用するための免疫原性配列を供給するための基本として作用しうる。この点で、別のHCV単離物における対応する領域は、配列を最大アラインメントにするような方法で2個の単離物からの配列を比較することによって容易に決定されうる。
【0126】
HCVの各種の株および単離物は当分野で既知であり、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の変化によって相互に異なっている。例えば単離物HCV Jl.1は、Kuboら(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchiら(1990)Gene 91:287−291;Takeuchiら(1990)J.Gen.Virol.71:3027−3033;およびTakeuchiら(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載されている。2個の独立単離物HCV−JおよびBKの完全コード配列は、Katoら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawaら(1991)J.Virol.65:1105−1113によってそれぞれ記載されている。HCV−1単離物は、Chooら(1990)Brit.Med.Bull 46:423−441;Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455およびHanら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715によって記載されている。HCV単離物HC−J1およびHC−J4は、Okamotoら(1991)Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載されている。HCV単離物HCT 18、HCT 23、Th、HCT 27、EClおよびEC10は、 Weinerら(1991)Virol.180:842−848に記載されている。HCV単離物Pt−1、HCV−K1およびHCV−K2は、Enomotoら(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021−1025に記載されている。HCV単離物A、C、D&Eは、Tsukiyama−Koharaら(1991)Virus Genes 5:243−254に記載されている。本発明の組成物および方法に使用するためのHCV E1E2ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、HCVの上で引用した株のいずれかから、または感染患者の組織または体液から単離した新たに発見された単離物から得られる。
【0127】
E1E2複合体は、融合タンパク質として、または例えば宿主細胞と、興味のあるE1およびE2ポリペプチドをコードする構築物によって宿主細胞を同時形質移入することのどちらかによって、組み換えにより容易に産生されうる。同時形質移入は、トランスまたはシスのどちらかで、即ち別個のベクターを使用することによって、またはE1およびE2遺伝子の両方を持つ単一ベクターを使用することによってのどちらかにより達成されうる。単一のベクターを使用して実施した場合、どちらの遺伝子も単一のセットの調節要素によって駆動されうるか、あるいは遺伝子は個々の発現カセット内のベクターに存在して、個々の調節要素によって駆動されうる。発現の後に、E1およびE2タンパク質は自発的に結合するであろう。あるいは複合体は、精製形または半精製形のどちらかで別個に産生された個々のタンパク質を共に混合することによって、あるいはタンパク質が分泌される場合、タンパク質を発現する宿主細胞が培養された培地を混合することによって形成されうる。最後に、本発明で使用するためのE1E2複合体は、E1の所望の部分がE2の所望の部分に融合された融合タンパク質として発現されうる。
【0128】
培地中に分泌される全長、切断E1およびE2タンパク質からはもちろんのこと、細胞内産生切断タンパク質からもE1E2複合体を産生する方法は、当分野で既知である。例えばこのような複合体は、米国特許番号:6,121,020;Ralstonら、J.Virol.(1993)67:6753−6761,Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;およびLanfordら、Virology(1993)197:225−235に記載されているように組み換えによって産生されうる。
【0129】
E1E2複合体をコードする核酸構築物
E1、E2およびE1E2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、HCVゲノム全体よりも少なく含有し、RNAあるいは1本鎖または2本鎖DNAでありうる。好ましくは、ポリヌクレオチドは他の成分、例えばタンパク質および脂質を含まずに単離される。ポリヌクレオチドは、上記のようにE1およびE2ポリペプチドおよびその複合体をコードして、それゆえそのコード配列を含む。本発明のポリヌクレオチドは、他の非HCVヌクレオチド配列、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびブドウ球菌タンパク質Aなどのタンパク質精製に有用なリンカ、シグナル配列またはリガンドをコードする配列も含みうる。
【0130】
各種のHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、HCV感染個体の例えば血漿、血清、または肝臓ホモジネートに存在する核酸配列に由来するゲノムライブラリから単離されうるか、あるいは例えば自動合成装置を使用して実験室で合成されうる。PCRなどの増幅方法を使用して、HCVゲノムDNAまたはそれをコードするcDNAのどちらかからポリヌクレオチドを増幅できる。
【0131】
ポリヌクレオチドは、自然に発生するこれらのポリペプチドのコード配列を含みうるか、または自然に発生しない人工配列を含みうる。例えばE1E2タンパク質はより大きな融合タンパク質の一部であるため、E1E2タンパク質のメチオニン開始コドンおよびリーダー配列を供給することが有用でありうる。これらのポリヌクレオチドは標準分子生物学技法を使用して結合され、E1E2複合体のコード配列を形成しうる。所望ならば、本発明の融合タンパク質を細胞培養物中で発現させ、細胞培養物から単離するために、ポリヌクレオチドを発現ベクター内にクローニングし、例えば細菌、酵母、昆虫、または哺乳類細胞に形質転換することができる。
【0132】
E1E2タンパク質をコードする本発明の発現構築物、またはE1およびE2をコードする配列を含む個々の発現構築物は、HCV E1/E2タンパク質をコードおよび発現するウイルスベクターを使用して免疫応答、例えば細胞免疫応答をブーストおよび刺激するために、核酸免疫化に使用されうる。好ましい実施形態において、ウイルスベクターはキメラアルファウイルス粒子である欠損アルファウイルス粒子である。
【0133】
本発明で使用するためのリポソーム調製物は、カチオン性(正に帯電)、アニオン性(負に帯電)および中性調製物を含み、カチオン性リポソームが特に好ましい。カチオン性リポソームは容易に入手できる。例えばN[1−2,3−ジオレイルオキシ]プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、GIBCO BRL,Grand Island,NYから商標リポフェクチンで入手できる(例えばFelgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7413−7416も参照)。他の市販の脂質としては、トランスフェクテース(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当分野で周知の技法を使用して、容易に入手できる物質から調製されうる。DOTAP(1,2−ビス(オレオイロキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明については、例えばSzokaら、Proc.Natl Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;PCT公開番号:WO 90/11092を参照。各種のリポソーム−核酸複合体は、当分野で既知の方法を使用して調製される。例えばStraubingerら、METHODS OF IMMUNOLOGY(1983)、Vol.101、pp.512−527;Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:483;Wilsonら、Cell(1979)17:77);DeamerおよびBangham、Biochim.Biophys.Acta(1976)443:629:Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1977)76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:3348);EnochおよびStrittmatter、Proc.Natl.Acad.Sci. USA(1979)76:145);Fraleyら、J.Biol.Chem.(1980)255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:145;およびSchaefer−Ridderら、Science(1982)215:166を参照。
【0134】
多数のウイルスベース系が哺乳類細胞中への遺伝子移入のために開発されている。例えばレトロウイルスは、遺伝子送達系に好都合なプラットフォーム、例えばマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルスおよびラウス肉腫ウイルスを供給する。選択した遺伝子は当分野で既知の技法を使用して、ベクター内に挿入されて、レトロウイルス粒子内にパッケージされる。組み換えウイルスは次に単離されて、生体内または生体外のどちらかで対象の細胞内に送達されうる。多数のレトロウイルス系が記載されている(米国特許番号:5,219,740;MillerおよびRosman、BioTechniques(1989)7:980−990;Miller,A.D.,Human Gene Therapy(1990)1:5−14;Scarpaら、Virology(1991)180:849−852;Burnsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:8033−8037;およびBoris−LawrieおよびTemin、Cur.Opin.Genet.Develop.(1993)3:102−109。簡潔には、本発明のレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、例えばB、C、およびD型レトロウィルスはもちろんのこと、スプマウイルスおよびレンティウイルス、例えばFIV、HIV、HIV−1、HIV−2およびSIVも含む、広範囲のレトロウイルスから容易に構築されうる(RNA Tumor Viruses、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、1985年を参照)。このようなレトロウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.,Manassas、VA 201 10−2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手されうるか、または一般に利用可能な技法を使用して既知の供給源から単離されうる。
【0135】
多数のアデノウイルスベクター、例えばアデノウイルスタイプ2およびタイプ5ベクターなども記載されている。宿主ゲノムに組み込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に残存するので、それゆえ挿入突然変異と関連するリスクを最小限に抑える(Haj−AhmadおよびGraham、J.Virol.(1986)57:267−274;Beltら、J.Virol(1993)67:5911−5921;Mitterederら、Human Gene Therapy(1994)5:717−729;Sethら、J.Virol.(1994)68:933−940;Barrら、Gene Therapy(1994)1:51−58;Berkner,K.L.BioTechniques(1988)6:616−629;およびRichら、Human Gene Therapy(1993)4:461−476)。
【0136】
分子コンジュゲートベクター、例えばMichaelら、J.Biol Chem.(1993)268:6866−6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099−6103に記載されているアデノウイルスキメラベクターも遺伝子送達に使用されうる。
【0137】
アルファウイルス属のメンバー、例えばこれに限定されないが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、シンドビスウイルス(SIN)およびセムリキフォレストウイルスに由来するベクターは、興味のある遺伝子を送達するためのウイルスベクターとして用途を見出すであろう。アルファウイルス属の複数のメンバーが、ワクチンおよび治療薬として使用するための「レプリコン」発現ベクターとして開発されうる。レプリコンベクターは、レプリコンベクターを含有する組み換えウイルス様粒子(レプリコン粒子)を作製するために、DNAおよびRNAを含む複数の形式で利用されうる。このようなレプリコンベクターは、上記のアルファウイルス、例えばSIN(Xiongら(1989)Science 243:1188−1191;Dubenskyら(1996)J.Virol.70:508−519;Hariharanら(1998)J.Virol.72:950−958;Poloら(1999)PNAS 96:4598−4603)、セムリキフォレストウイルス(Liljestrom(1991)Bio/Technology P:1356−1361;Berglundら(1998)Nat.Biotech.16:562−565)、およびVEE(Pushkoら(1997)Virology 239:389−401)のいずれかから由来しうる。その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:5,789,245;5,814,482;および6,376,235ならびにWO 02/099035も参照。
【0138】
アルファウイルスベース発現ベクターの構築の一般的な方法は、ウイルス構造タンパク質遺伝子を興味のある異種遺伝子で置換する工程と、高活性サブゲノムRNAプロモータによって転写調節を維持する工程とを含む。この配置のベクターはRNA「レプリコン」と呼ばれ、バクテリオファージプロモータを使用してcDNAから試験管内で転写されうるか、または真核プロモータに結合されているときにはDNAから直接生体内で産生されうる。アルファウイルスレプリコンRNAは一般に、試験管内で転写された不完全ヘルパーRNAとの過渡同時形質移入によって、または構造タンパク質発現カセットを有する安定パッケージング細胞株を使用することによって、組み換えベクター粒子内にパッケージされる。ベクターパッケージングに使用される(複数の)構造タンパク質発現カセットは、それらがそれら自体で複製できないときに「不完全ヘルパー」構築物とも呼ばれ、成熟C、E2およびE1へ翻訳後処理される無傷の「ナイーブ」アルファウイルス構造ポリタンパク質;またはCまたはE2/E1のどちらかをコードする別個のカセットに分割されたアルファウイルス構造タンパク質のどちらかをコードする。例えばすべてその全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:6,465,634;6,426,196;6,376,236;6,342,372;6,329,201;6,015,686;5,843,723;および国際公開番号:WO 95/07995およびWO 96/17072;Poloら(1999)Proc.Nat’l Acad.Sci USA 96:4598−4603;Dubenskyら(1996)J.Virology 70(l):508−519;Frolovら(1996).Proc Natl Acad Sci USA.93(21):11371−11377)を参照。
【0139】
E1E2ブーストの送達に使用するのが特に好ましいのは、キメラアルファウイルスベクター、例えばSINおよびVEEのレプリコン粒子キメラである。キメラアルファウイルスベクターは例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられている米国特許公報:20030232324および20030148262、ならびにPerriら、J.Virol(2003)77:10394−10403に記載されている。例えばSINエンベロープ糖タンパク質内にパッケージされたVEE−E1E2レプリコンRNAまたはVEEエンベロープ糖タンパク質内のSIN−E1E2レプリコンRNAは、本方法で用途を見出すであろう。下の例で示すように、VEE/SINレプリコン粒子は、E1E2タンパク質ワクチンを用いたプライミング後に投与したときに、マウスモデルでのHCV特異性CD8+T細胞応答を誘発した。
【0140】
これに限定されないが、シミアンウイルス40およびサイトメガロウイルスを含む他のベクターも使用されうる。細菌ベクター、例えばサルモネラ亜種、エルシニアエンテロコリチカ、赤痢菌亜種、コレラ菌、マイコバクテリウム株BCG、およびリステリアモノサイトゲネスが使用されうる。微小染色体、例えばMCおよびMC1、バクテリオファージ、コスミド(ファージラムダcos部位が挿入されたプラスミド)およびレプリコン(細胞内でそれ自体の制御下で複製が可能である遺伝子要素)も使用されうる。
【0141】
発現構築物はまた、特定の担体によってカプセル化、吸着、または結合されうる。このような担体は、選択した分子の複数のコピーを免疫系に提示して、局所リンパ節への分子の捕捉および保持を促進する。粒子はマクロファージによって貪食され、サイトカイン放出によって抗原提示を強化しうる。微粒子担体の例としては、ポリメチルメタクリレートポリマーに由来するものはもちろんのこと、PLGとして既知のポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド)に由来する微粒子も挙げられる。例えばJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;およびMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照。
【0142】
巨大分子を調製した微粒子に吸着させる1つの好ましい方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、国際公開番号:WO 00/050006に記載されている。簡潔には、微粒子は再水和され、透析可能なアニオン性またはカチオン性洗浄剤を使用して微粒子の本質的にモノマー性の懸濁物へ分散させる。有用な洗浄剤としては、これに限定されないが、各種のN−メチルグルカミド(MEGAとして既知)、例えばヘプタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−7)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−8)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、およびデカノイル−N−メチル−グルカミド(MEGA−10);コール酸;コール酸ナトリウム;デオキシコール酸;デオキシコール酸ナトリウム;タウロコール酸;タウロコール酸ナトリウム;タウロデオキシコール酸;タウロデオキシコール酸ナトリウム;3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルホナート(CHAPS);3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホナート(CHAPSO);−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパン−スルホナート(ZWITTERGENT3−12);N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−ジオキシコルアミド(DEOXY−BIGCHAP);−オクチルグリコシド;モノラウリン酸スクロース;グリココール酸/グリココール酸ナトリウム;ラウロサルコシン(ナトリウム塩);グリコデオキシコール酸/グリコデオキシコール酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS);セトリミド(CTAB、その主成分はヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド);ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ヘキサデシルトリメチル−アンモニウムブロミド;テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチル−ヘキサデシルアンモニウムクロライド;およびベンジルジメチルテトラ−デシルアンモニウムブロミドのいずれかが挙げられる。上の洗浄剤は、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販されている。当分野で既知の各種のカチオン性脂質も洗浄剤として使用されうる。Balasubramaniamら、1996年、Gene Ther.,3:163−72およびGao,X.、およびL.Huang.1995年、Gene Ther.、2:7110−722を参照。
【0143】
多種多様の他の方法を使用して、発現構築物を細胞に送達しうる。このような方法は、DEAEデキストラン介在形質移入、リン酸カルシウム沈降、ポリリジンまたはポリオルニチン介在形質移入、または他の不溶性無機塩、例えばリン酸ストロンチウム、ベントナイトおよびカオリンを含むケイ酸アルミニウム、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、タルクを使用する沈降などを含む。形質移入の他の有用な方法としては、電気穿孔、超音波穿孔、プロトプラスト融合、リポソーム、ペプトイド送達、または微量注入が挙げられる。例えば興味のある細胞の形質転換技法の議論については、例えばSambrookら、同上;および遺伝子移入に有用な送達系の総説については、Felgner,P.L.、Advanced Drug Delivery Reviews(1990)5:163−187を参照。電気穿孔を使用するDNAの送達方法は例えば米国特許番号:6,132,419;6,451,00、,6,418,341、6233,483、米国特許公報番号:2002/0146831;および国際公開番号:WO/0045823に記載されており、そのすべてはその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0144】
その上、HCVポリヌクレオチドは、ISCOMに吸着、またはISCOM内に捕捉されうる。古典的なISCOMは、コレステロール、サポニン、リン脂質、および免疫原、例えばウイルスエンベロープタンパク質の組み合せによって形成される。一般にHCV分子(通常は疎水性領域による)は洗浄剤に可溶化されて、反応混合物に添加され、それによりISCOMは中に包含されたHCV分子によって形成される。ISCOMは、本明細書ではIMXとも呼ばれる。ISCOMマトリクス組成物は同様に、しかしウイルスタンパク質なしで生成される。高い陽電荷を持つタンパク質は、疎水性力によってではなく、ISCOM粒子に静電的に結合されうる。サポニンおよびISCOMのさらに詳細な一般的議論、ならびにISCOMを調合する方法については、全体が参照により本明細書に組み入れられている、Barrら(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998);米国特許番号:4,981,684、5,178,860、5,679,354および6,027,732;欧州公開番号:EPA 109,942;180,564および231,039;ならびにCoulterら(1998)Vaccine 16:1243を参照。
【0145】
加えて、金およびタングステンなどの微粒子担体を利用する遺伝子銃送達系は、本発明の発現構築物を送達するのに特に有用である。微粒子は送達される構築物によってコーティングされ、「遺伝子銃」からの火薬放出を使用して、一般に減圧下で高い速度まで加速される。このような技法、およびそのための有用な装置の説明については、例えば米国特許番号:4,945,050;5,036,006;5,100,792;5,179,022;5,371,015;および5,478,744を参照。
【0146】
他のHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチド
上で説明したように、本発明の方法は、HCV免疫原またはこのような免疫原をコードするDNAを含む他の組成物を利用しうる。このような組成物は、免疫応答をブーストするためのE1E2核酸組成物の前に、次に、または同時にと同様に、E1E2組成物の前に、E1E2組成物の次に、またはE1E2組成物と同時に送達されうる。
【0147】
本発明の方法は、HCVに対する免疫応答をプライミングおよびブーストするための抗原として、E1/E2の代わりに他のHCVタンパク質も利用しうる。一部の実施形態において、本発明は、E1、E2および/またはコアタンパク質などのHCVの1個以上の構造タンパク質に融合されたHCVからの非構造(NS)タンパク質を利用しうる。一実施形態において、本発明は、本質的にE2より成るHCV融合タンパク質を含むプライミングタンパク質組成物を提供する。
【0148】
C型肝炎ウイルスのゲノムは通例、約9,600ヌクレオチドの単一の読み取り枠を含有し、これがポリタンパク質内に転写される。ポリタンパク質の全長配列は、欧州公開番号:388,232および米国特許番号:6,150,087に開示されている。表1および図1に示すように、HCVポリタンパク質は開裂時に、少なくとも10個の別個の生成物をNH2−コア−El−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順序で産生する。コアポリペプチドは、HCV−1に対して番号付けられた位置1−191で発生する(例えばHCV−1ゲノムについては、Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照)。このポリペプチドはさらに処理されて、約アミノ酸1−173を持つHCVポリペプチドを産生する。エンベロープポリペプチドE1およびE2は、約位置192−383および384−746にそれぞれ発生する。P7ドメインは約位置747−809に見出される。NS2はタンパク質分解活性を持つ内在性膜タンパク質であり、ポリタンパク質の約位置810−1026で見出される。NS2は、単独で、またはNS3(約位置1027−1657で見出される)と組み合せてのどちらかで、NS2−NS3シスル結合を開裂して、次にNS3N末端を生成して、セリンプロテアーゼおよびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大型のポリペプチドを放出する。約位置1027−1207に見出されるNS3プロテアーゼは、残存するポリタンパク質を処理するように作用する。ヘリカーゼ活性は約位置1193−1657に見出される。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒された、NS3−NS4a接合部にて自己触媒開裂によって開始される。次のHCVポリタンパク質のNS3介在開裂は、別のポリペプチドのNS3分子によるポリタンパク質開裂接合部の認識を含むように思われる。これらの反応において、NS3は、NS3補助因子(NS4a、約位置1658−1711に見出される)、2個のタンパク質(約位置1712−1972に見出されたNS4bおよび位置1973−2420に見出されたNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(約位置2421−3011に見出されたNS5b)を遊離する。
【0149】
【表1】
*HCV−1に対して番号付け。例えばChooら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照。別途指摘しない限り、HCV構築物のすべてのアミノ酸番号付けはHCV−1に対してである。
【0150】
上のHCVポリタンパク質生成物、それをコードするDNAおよびそれに由来する免疫原性ポリペプチドの配列は既知である(例えば米国特許番号:5,350,671を参照)。例えばHCVポリタンパク質に由来する多数の一般および特異性免疫原性ポリペプチドが記載されている。例えばHoughtonら、欧州公開番号:318,216および388,232;Chooら、Science(1989)244:359−362;Kuoら、Science(1989)244:362−364;Houghtonら、Hepatology(1991)14:381−388;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778を参照。これらの刊行物は、一般的なHCVに関してはもちろんのこと、HCVポリペプチド免疫学的試薬の製造および使用に関する広範囲の背景も提供する。
【0151】
いずれの所望の免疫原性HCVポリペプチドまたはそれをコードするDNAも、本発明によって利用されうる。例えばコア領域に由来するHCVポリペプチド、例えばアミノ酸1−191;アミノ酸10−53;アミノ酸10−45;アミノ酸67−88;アミノ酸86−100;81−130;アミノ酸121−135;アミノ酸120−130;アミノ酸121−170の間で見出された領域に由来するポリペプチド;および例えばHoughtonら、米国特許番号:5,350,671;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J. Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778;および米国特許番号:6,150,087に明示されたコアエピトープのいずれも、本方法で用途を見出すであろう。
【0152】
加えて、ウイルスの非構造領域に由来するポリペプチドも本明細書で用途を見出すであろう。Yaoら、Structure(1999年11月)7:1353−1363には、HCVポリタンパク質のNS3/4a領域について記載され、タンパク質のアミノ酸配列および全体の構造が開示されている。Dasmahapatraら、米国特許番号:5,843,752も参照。上で説明したように、ナイーブ配列または免疫原性類似体のどちらかが本調合物で使用されうる。Dasmahapatraら、米国特許番号:5,843,752およびZhangら、米国特許番号:5,990,276はどちらも、NS3/4aの類似体およびその作製方法について記載している。
【0153】
その上、本組成物および方法で使用するためのポリペプチドは、HCVポリタンパク質のNS3領域に由来しうる。これに限定されないが、c33およびc100領域に由来するポリペプチドを含む多数のこのようなポリペプチドはもちろんのこと、c25などのNS3エピトープを含む融合タンパク質も既知である。これらおよび他のNS3ポリペプチドは、本方法で有用であり、当分野で既知であり、例えばHoughtonら、米国特許番号:5,350,671;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778;および米国特許番号:6,150,087に記載されている。
【0154】
加えて、米国特許番号:6,514,731および6,428,792に記載されているような複数のエピトープ融合抗原(「MEFA」と呼ばれる)は、本発明で使用されうる。このようなMEFAは、各種のウイルス領域の2つ以上に由来する複数のエピトープを含む。エピトープは好ましくは、1個を超えるHCV株からであり、それゆえ単一のワクチンでHCVの複数の株から保護する追加の能力を供給する。
【0155】
上で説明したように、便宜上、各種のHCV領域は一般にChooら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載されたようなHCV−1aに対するアミノ酸数に関して定義されており、イニシエータメチオニンは位置1と示される。しかしながら本発明での使用を目的としたHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、HCV−1aに由来するものに限定されず、HCVのいずれの株および単離物も、上で詳細に説明したように、本発明で使用するための抗原配列を供給するための基礎として作用しうる。
【0156】
上のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、E1E2ポリペプチドおよびポリヌクレオチドについて上述した組み換え産生の方法を使用して得られる。
【0157】
免疫原性組成物
ひとたび産生されると、E1E2ポリヌクレオチド複合体または他の免疫原は免疫原性組成物中に、例えば予防(即ち感染を防止するための)または治療(感染後にHCVを治療するための)ワクチン組成物中に供給されうる。組成物は一般に、1個以上の「製薬的に許容される賦形剤またはビヒクル」、例えば水、食塩水、グリセロール、エタノールなどを含む。加えて補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などがそのようなビヒクル中に存在しうる。
【0158】
担体は場合により、例えばE1E2に対する免疫応答をプライミングするために使用されるタンパク質組成物中に存在する。担体は、それ自体は組成物を摂取する個体に有害な抗体の産生を誘発しない分子である。
【0159】
適切な担体分子は通例、大型であり、低速で代謝される巨大分子、例えばタンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体(例えば油液滴またはリポソーム)、および不活性ウイルス粒子である。このような担体は当業者に周知である。その上、免疫原性ポリペプチドは、細菌トキソイド、例えばジフテリア、破傷風、コレラなどからのトキソイドにコンジュゲートされうる。
【0160】
アジュバントも、免疫応答を強化するために組成物中に存在しうる。本発明で使用するためのアジュバントは、これに限定されないが、下で述べる1つ以上を含む:
A.無機物含有組成物
本発明のアジュバントとして使用するのに適した無機物含有組成物としては、無機塩、例えばアルミニウム塩およびカルシウム塩が挙げられる。本発明は無機塩、例えば水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えばVaccine Design...(1995)編者:PowellおとびNewman、ISBN:030644867X.Plenumの第8章および第9章を参照)、または異なる無機化合物の混合物(例えばリン酸塩および水酸化物アジュバントの、場合によりリン酸塩過多の混合物)を含み、化合物はいずれかの適切な形(例えばゲル、結晶、アモルファスなど)を取り、(複数の)塩への吸着が好ましい。無機物含有組成物は、金属塩の粒子としても調合されうる(WO00/23105)。
【0161】
アルミニウム塩は、本発明のワクチン中にAl3+の用量が投薬当たり0.2〜1.0mgであるようにワクチン中に含まれうる。一実施形態において、本発明で使用するためのアルミニウムベースアジュバントはアルム(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2)、またはアルム誘導体、例えばリン酸緩衝液中の抗原をアルムと混合することと、続いての水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基を用いた滴定および沈殿によって所定の位置に生成されたアルム誘導体である。
【0162】
本発明のワクチン調合物で使用するための別のアルミニウムベースアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または約500m2/gの表面積を有する、優れた吸着剤である、結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)である。あるいは水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基の一部または全部の代わりにリン酸基を含有するリン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウムが提供される。本明細書で提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントはアモルファスであり、酸性、塩基性および中性溶媒に可溶性である。
【0163】
別の実施形態において、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのさらに詳細な実施形態において、アジュバントは、リン酸アルミニウムの水酸化アルミニウムに対する重量比で2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1またはそれ以上などの、水酸化アルミニウムよりも大量のリン酸アルミニウムを有する。なおさらに詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、ワクチン用量当たり0.4〜1.0mg、またはワクチン用量当たり0.4〜0.8mg、またはワクチン用量当たり0.5〜0.7mg、またはワクチン用量当たり約0.6mgで存在する。
【0164】
一般に好ましい(複数の)アルミニウムベースアジュバント、または複数のアルミニウムベースアジュバントの比、例えばリン酸アルミニウム対水酸化アルミニウムは、抗原が所望のpHでのアジュバントと反対の電荷を持つように、分子間の静電気引力の最適化によって選択される。例えばリン酸アルミニウムアジュバント(iep=4)はpH7.4にてリソザイムを吸着するが、アルブミンは吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep=11.4)。あるいは水酸化アルミニウムのリン酸塩による前処理は、その等電点を低下させて、それをより塩基性の抗原にとって好ましいアジュバントにする。
【0165】
B.油型エマルジョン
本発明のアジュバントとして使用するのに適切な油型エマルジョン組成物は、スクアレン−水エマルジョン、例えばMF59(5%スクアレン、0.5% Tween 80、および0.5% Span 85、マイクロフルダイザを使用してサブミクロン粒子に調合した)である。その全体が参照により本明細書に組み入れられている、WO90/14837;ならびに米国特許番号:6,299,884および6,451,325を参照。Podda、「The adjuvanted influenza vaccines with novel adjuvants:experience with the MF59−adjuvanted vaccine」、Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、「Comparison of the safety,tolerability,and immunogenicity of a MF59−adjuvanted influenza vaccine and a non−adjuvanted influenza vaccine in non−elderly adults」、Vaccine(2003)21:4234−4237も参照。MF59は、FLUDA(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチン中のアジュバントとして使用される。
【0166】
組成物に使用するのに特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型エマルジョンである。本明細書で使用するための好ましいサブミクロン水中油型エマルジョンは、場合によりMTP−PEの可変量を含有するスクアレン/水エマルジョン、例えば4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/v Tween 80(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、および/または0.25〜1.0% Span 85(商標)(ソルビタントリオレアート)、および場合により、例えばN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含有するサブミクロン水中油型エマルジョン、例えば“MF59”として既知の水中油型エマルジョンである(国際公開番号:WO90/14837;米国特許番号:6,299,884および6,451,325、ならびにOttら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(編者:Powell、M.F.およびNewman,MJ.)Plenum Press,New York、1995年、pp.277−296)。MF59は、4〜5%w/vスクアレン(例えば4.3%)、0.25〜0.5%w/v Tween 80(商標)、および0.5% w/v Span 85(商標)を含有し、場合により各種の量のMTP−PEを含有して、Model 110Yマイクロフルダイザ(Microfluidics,Newton,MA)などのマイクロフルダイザを使用してサブミクロン粒子に調合される。例えばMTP−PEは、約0〜500μg/用量、さらに好ましくは0〜250μg/用量、および最も好ましくは0〜100μg/用量の量で存在しうる。本明細書で使用するように、「MF59−0」という用語は、MTP−PEを含まない上のサブミクロン水中油型エマルジョンを指し、これに対してMF59−MTPをいう用語はMTP−PEを含有する調合物を示す。例えば「MF59−100」は、投薬当たりMTP−PE 100μgを含有するなどである。本明細書で使用するための別のサブミクロン水中油型エマルジョンMF69は、4.3%w/vスクアレン、0.25%w/v Tween 80(商標)、および0.75%w/v Span 85(商標)および場合によりMTP−PEを含有する。なお別のサブミクロン水中油型エマルジョンはSAFとしても既知であるMF75であり、10%スクアレン、0.4% Tween 80(商標)、5%プルロニック封止ポリマーL121、およびthr−MDPを含有して、またサブミクロンエマルジョンへとマイクロフルダイズされる。MF75−MTPは、MTPを例えば投薬当たりMTP−PE 100〜400μgを含むMF75調合物である。
【0167】
本発明の組成物で使用するためのサブミクロン水中油型エマルジョン、その作製方法および免疫刺激剤、例えばムラミルペプチドは、国際公開番号:WO90/14837および米国特許番号:6,299,884および6,451,325に詳細に記載されている。
【0168】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も本発明でアジュバントとして使用されうる。
【0169】
C.サポニン調合物
サポニン調合物も本発明でアジュバントとして使用されうる。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、幹、根および花にすら見いだされるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種基である。Quillaia saponaria Molina木の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして幅広く研究されてきた。サポニンは、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(宿根カスミソウ)、およびSaponaria officianalis(カスミソウ)からも商業的に入手可能である。サポニンアジュバント調合物は、QS21などの精製調合物はもちろんのこと、ISCOMなどの脂質調合物も含む。
【0170】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して精製されている。QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、これらの技法を使用して特に精製された画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の産生方法は、米国特許番号:5,057,540に開示されている。サポニン調合物は、コレステロールなどのステロールも含みうる(WO96/33739を参照)。
【0171】
サポニンおよびコレステロールの組み合せを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独自の粒子を形成できる。ISCOMは通例、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。いずれの既知のサポニンもISCOMで使用されうる。好ましくは、ISCOMはQuil A、QHAおよびQHCの1つ以上を含む。ISCOMはさらに、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739に記載されている。場合により、ISCOMは追加の(複数の)洗浄剤を含まなくてもよい。WO00/07621を参照。
【0172】
サポニンベースアジュバントの開発の総説は、Barrら、「ISCOMs and other saponin based adjuvants」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247−271に見いだされる。Sjolanderら、「Uptake and adjuvant activity of orally delivered saponin and ISCOM vaccines」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321−338も参照。
【0173】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も本発明でアジュバントとして使用されうる。これらの構造は一般に、場合によりリン脂質と組み合された、または調合されたウイルスからの1個以上のタンパク質を含有する。それらは一般に、非病原性で非複製的であり、一般にナイーブウイルスゲノムを一切含有しない。ウイルスタンパク質は、組み換え産生されうるか、または全ウイルスから単離されうる。ビロソームまたはVLPで使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えばHAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、はしかウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、手足口病ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えばコートタンパク質)、GAファージ、frファージ、AP205ファージ、およびTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質が挙げられる。VLPは、WO03/024480、WO03/024481、およびNiikuraら、「Chimeric Recombinant Hepatitis E Virus−Like Particles as an Oral Vaccine Vehicle Presenting Foreign Epitopes」、 Virology(2002)293:273−280;Lenzら、「Papillomarivurs−Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells」、Journal of Immunology(2001)5246−5355;Pintoら、「Cellular Immune Responses to Human Papillomavirus(HPV)−16 Ll Healthy Volunteers Immunized with Recombinant HPV− 16 Ll Virus−Like Particles」、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327−338;ならびにGerberら「Human Papillomavrisu Virus−Like Particles Are Efficient Oral Immunogens when Coadministered with Escherichia coli Heat−Labile Entertoxin Mutant R192G or CpG」、Journal of Virology(2001)75(10):4752−4760でさらに議論されている。ビロソームはさらに例えばGluckら、「New Technology Platforms in the Development of Vaccines for the Future」、Vaccine(2002)20:B10−B16で議論されている。免疫増強再構成インフルエンザビロソーム(IRIV)は、経鼻3価INFLEXAL(商標)製品(Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 Suppl 5:B17−23)およびINFLUVAC PLUS(商標)製品でサブユニット抗原送達システムとして使用される。
【0174】
E.細菌または微生物誘導体
本発明で使用するのに適したアジュバントは、次のような細菌または微生物誘導体を含む:
(1)腸内細菌リポサッカライド(LPS)の非毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと4、5または6アシル化鎖との混合物である。3De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小型粒子」形は、EP 0689454に開示されている。3dMPLのこのような「小型粒子」は、0.22ミクロン膜で滅菌濾過されるのに十分な小ささである(EP 0689454を参照)。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣薬、例えばアミノアルキルグルコサミドホスフェート誘導体、例えばRC−529が挙げられる。Johnsonら、(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照。
【0175】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体としては、OM−174などの大腸菌からの脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は例えば、Meraldiら、「OM−174,a New Adjuvant with a Potential for Human Use,Induces a Protective Response with Administered with the Synthetic C−Terminal Fragment 242−310 from the circumsporozoite protein of Plasmodium berghei」、Vaccine(2003)2J.:2485−2491;およびPajakら、「The Adjuvant OM−174 induces both the migration and maturation of murine dendritic cells in vivo」、Vaccine(2003)21:836−842に記載されている。
【0176】
(3)免疫刺激オリゴヌクレオチド
本発明でアジュバントとして使用するのに適した免疫刺激オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含有するヌクレオチド配列(非メチル化シトシンと、続くグアノシンを含有し、リン酸結合によって連結された配列)が挙げられる。パリンドロームまたはポリ(dG)配列を含有する細菌2本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドも免疫刺激性であることが示されている。
【0177】
CpGは、ホスホロチオエート修飾などのヌクレオチド修飾/類似体を含み、2本鎖または1本鎖でありうる。場合により、グアノシンは2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどの類似体によって置換されうる。考えられる類似体置換の例については、Kandimallaら、「Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern:design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles」、Nucleic Acids Research(2003)31.(9):2393−2400;WO02/26757およびWO99/62923を参照。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg、「CpG motifs:the active ingredient in bacterial extracts?」,Nature Medicine(2003)9(7):831−835; McCluskieら、「Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA」、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179−185;WO98/40100;米国特許番号:6,207,646;米国特許番号:6,239,116および米国特許番号:6,429,199にさらに記載されている。
【0178】
CpG配列はTLR9、例えばモチーフGTCGTTまたはTTCGTTに対して作られうる。Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):654−658を参照。CpG配列は、CpG−A ODNなどのようにTh1免疫応答を誘発することに特異性でありうるか、CpG−B ODNなどのB細胞応答を誘発することに特異性でありうる。CpG−AおよびCpG−B ODNは、Blackwellら、「CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Derived IFN−alpha」、J.Immunol.(2003)170(8):4061−4068;Krieg、「From A to Z on CpG」、TRENDS in Immunology(2002)23(2):64−65およびWO01/95935に記載されている。
【0179】
好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、レセプタ認識のために5’末端にアクセスできるように構築される。場合により、2個のCpGオリゴヌクレオチド配列がその3’末端に結合されて「イムノマー」を形成しうる。例えばKandimallaら、「Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity」、BBRC(2003)306:948−953;Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic GpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):664−658;Bhagatら、「CpG penta−and hexadeoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents」BBRC(2003)300:853−861およびWO03/035836を参照。
【0180】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体は、本発明でアジュバントとして使用されうる。好ましくは、タンパク質は大腸菌(即ち大腸菌易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)に由来する。解毒ADP−リボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用はWO95/17211に、非経口アジュバントとしてはWO98/42375に記載されている。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLTR1 92Gなどの解毒LTミュータントである。ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、次の参考文献に見出されうる:Beignonら、「The LTR72 Mutant of Heat−Labile Enterotoxin of Escherichia coli Enhances the Ability of Peptide Antigens to Elicit CD4+T Cells and Secrete Gamma Interferon after Co application onto Bare Skin」、 Infection and Immunity(2002)70(6):3012−3019;Pizzaら、「Mucosal vaccines:non toxic derivatives of LT and CT as mucosal adjuvants」、Vaccine(2001)19:2534−2541;Pizzaら、「LTK63 and LTR72,two mucosal adjuvants ready for clinical trials」Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、「Transcutaneous Immunization with Bacterial ADP−Ribosylating Exotoxins,Subunits and Unrelated Adjuvants」、Infection and Immunity(2000)68(9):5306−5313;Ryanら、「Mutants of Escherichia coli Heat−Labile Toxin Act as Effective Mucosal Adjuvants for Nasal Delivery of an Acellular Pertussis Vaccine:Differential Effects of the Nontoxic AB Complex and Enzyme Activity on Th1 and Th2 Cells」Infection and Immunity(1999)67(12):6270−6280;Partidosら、「Heat−labile enterotoxin of Escherichia coli and its site−directed mutant LTK63 enhance the proliferative and cytotoxic T−cell responses to intranasally co−immunized synthetic peptides」、Immunol.Lett.(1999)67(3):209−216;Peppoloniら、「Mutants of the Escherichia coli heat−labile enterotoxin as safe and strong adjuvants for intranasal delivery of vaccines」、Vaccines(2003)2(2):285−293;およびPineら、(2002)「Intranasal immunization with influenza vaccine and a detoxified mutant of heat labile enterotoxin from Escherichia coli(LTK63)」J.Control Release(2002)85(1−3):263−270。アミノ酸置換基の参照番号は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167で述べられたADP−リボシル化毒素AおよびBサブユニットの配列比較に基づいている。
【0181】
F.生体接着剤および粘膜接着剤
生体接着剤および粘膜接着剤も本発明でアジュバントとして使用されうる。適切な生体接着剤は、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267−276)またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体などの粘膜接着剤を含む。キトサンおよびその誘導体も、本発明でアジュバントとして使用されうる。例えばWO99/27960。
【0182】
G.微小粒子
微小粒子も本発明でアジュバントとして使用されうる。生分解性および非毒性である物質(例えばポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)とポリ(ラクチド−co−グリコリド)から形成された微小粒子(即ち直径〜100nm〜150μmの、さらに好ましくは直径〜200nm〜30μmの、最も好ましくは直径〜500nm〜10μmの)が好ましく、場合により負に帯電した表面(例えばSDSによって)または正に帯電した表面(例えばカチオン性洗浄剤、例えばCTABによって)を有するように処理される。
【0183】
H.リポソーム
アジュバントとしての使用に適したリポソーム調合物の例は、米国特許番号:6,090,406、米国特許番号:5,916,588、およびEP 0 626 169に記載されている。
【0184】
I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル調合物
本発明での使用に適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。WO99/52549。このような調合物は、オクトオキシノールと組み合せたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)はもちろんのこと、オクトオキシノールなどの少なくとも1個の追加の非イオン性界面活性剤と組み合せたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤をさらに含む(WO01/21152)。
【0185】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、次の群:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテルより選択される。
【0186】
J.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP調合物は例えば、Andrianovら、「Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions」、Biomaterials(1998)19(l−3):109−l15およびPayneら、「Protein Release from Polyphosphazene Matrices」、Adv.Drug.Delivery Review(1998)31.(3):185−196に記載されている。
【0187】
K.ムラミルペプチド
本発明でアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−1−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−1−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0188】
L.イミダゾキノリン化合物
本発明でアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノリン化合物の例としては、Stanley、「Imiquimod and the imidazoquinolines: mechanism of action and therapeutic potential」Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571−577;Jones、「Resiquimod 3M」、Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214−218;ならびに米国特許番号:4,689,338、5,389,640、5,268,376、4,929,624、5,266,575、5,352,784、5,494,916、5,482,936、5,346,905、5,395,937、5,238,944、および5,525,612でさらに記載されている、Imiquimodおよびその類似体が挙げられる。
【0189】
M.チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物の例はもちろんのこと、本発明でのアジュバントとしての使用に適した化合物すべての調合、製造およびスクリーニング方法としては、WO04/60308に記載されているものが挙げられる。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えばTNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0190】
N.トリプタントリン化合物
トリプタントリン化合物の例はもちろんのこと、本発明でのアジュバントとしての使用に適した化合物すべての調合、製造およびスクリーニング方法としては、WO04/64759に記載されているものが挙げられる。トリプタントリン化合物は、サイトカイン、例えばTNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0191】
本発明は、上に明示したアジュバントの1個以上の態様の組み合せも含みうる。例えば次のアジュバント組成物が本発明で使用されうる:
(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)(WO94/00153を参照);
(3)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL−12(場合により+ステロール)(WO98/57659);
(5)3dMPLと、例えばQS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合せ(欧州特許出願番号:0835318、0735898および0761231を参照)。
【0192】
(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルダイズされたか、またはより大きい粒経のエマルジョンを生成するためにボルテックスされた、10%スクアラン、0.4% Tween 80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有するSAF。
【0193】
(7)2%スクアレン、0.2% Tween 80、およびモノホスホリピッドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))から成る群からの1個以上の細菌細胞壁成分を含有する、Ribi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem);
(8)1個以上の無機塩(例えばアルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば3dPML)。
【0194】
(9)1個以上の無機塩(例えばアルミニウム塩)+免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えばCpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0195】
O.ヒト免疫調節物質
本発明でのアジュバントとしての使用に適したヒト免疫調節物質としては、サイトカイン、例えばインターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0196】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンによる使用のための好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着剤は、粘膜送達ワクチン、例えば経鼻ワクチンによる使用のための好ましいアジュバントである。上で引用した特許、特許出願および雑誌記事すべての内容は、本明細書で完全に述べられたかのように参照により組み入れられている。
【0197】
本発明での使用のための組成物は、E1E2複合体をコードするDNAの治療的有効量(またはタンパク質の治療的有効量)および上記の成分の他のいずれかを必要に応じて含むであろう。「治療的有効量」とは、それが投与される個体において免疫応答、好ましくは保護免疫応答を誘発するであろうタンパク質またはそれをコードするDNAの量を意味する。このような応答は一般に、対象において組成物に対する抗体介在および/あるいは分泌または細胞免疫応答の発生を引き起こすであろう。通常、このような応答は、これに限定されないが、次の効果の1つ以上;免疫クラスのいずれかからの抗体、例えば免疫グロブリンA、D、E、GまたはMの産生;BおよびTリンパ球の増殖;免疫細胞への活性化、成長および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサT細胞、および/または細胞傷害性T細胞および/またはγδT細胞個体群の増殖;を含む。
【0198】
E1E2タンパク質組成物は、例えば1個を超えるウイルス単離物に由来するE1E2複合体などのE1E2複合体の1個以上の混合物はもちろんのこと、追加のHCV抗体も含みうる。その上、上で説明したように、E1E2複合体は、クリッピングおよびタンパク質分解開裂のために分子の異種混合物として存在しうる。それゆえE1E2複合体を含む組成物は、E1E2の複数の種、例えばアミノ酸746で終結するE1E2(E1E2746),アミノ酸809で終結するE1E2(E1E2809)、または上記の他の各種のE1およびE2分子のいずれか、例えば1〜20アミノ酸のN末端切断のあるE2分子、例えばアミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403にて開始するE2種などを含みうる。
【0199】
上で説明したように、組成物(DNAおよびタンパク質の両方)が、他の抗原および免疫調節剤、例えば免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびこれに限定されないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など(例えば国際公開番号:WO 99/44636を参照)、修飾IL−2(cysl25→serl25)などのケモカインを含むケモカイン、GM−CSF、M−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンおよびペグ化インターフェロン、例えばγ−インターフェロン、IP−10、MIPlβ、FLP−3、リバビリン、RANTES、SiRNA、アンチセンスRNA、ポリメラーゼのインヒビタ、ヘリカーゼ、GTPase、ATPase、プロテアーゼ、グリコシル化、メタロプロテアーゼ、および/またはIRESと併せて投与されうる。それゆえ本発明は、HCV感染を治療するための他の治療計画によって使用されうる。他の組成物と組み合せて使用する場合、このような組成物はE1E2組成物の前に、E1E2組成物と同時に、E1E2組成物の次に投与されうる。
【0200】
HCV特異的なT細胞
生体内または試験管内で発現された上記のE1E2複合体によって活性化されるTCV特異的なT細胞は好ましくは、E1および/またはE2ポリペプチドなどのHCVポリペプチドのエピトープ、あるいはE1E2複合体を認識する。HCV特異的なT細胞は、CD8+またはCD4+でありうる。
【0201】
HCV特異性CD8+T細胞は好ましくは、MHCクラスI分子によって複合体化されたE1および/E2エピトープを提示するHCV感染細胞を死滅させうる細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。HCV特異性CD8+T細胞は、インターフェロン−γ(IFN−γ)も発現しうる。HCV特異性CD8+T細胞は、例えば51Cr放出アッセイによって検出されうる(実施例を参照)。51Cr放出アッセイは、HCV特異性CD8+T細胞がE1、E2またはE1E2エピトープを提示する標的細胞を溶解させる能力を測定する。IFN−γを発現するHCV特異性CD8+T細胞は、免疫学的方法によって、好ましくはE1、E2またはE1E2ポリペプチドを用いた試験管内刺激後のIFN−γの細胞内染色によっても検出されうる(実施例を参照)。
【0202】
生体内または試験管内で発現された、上記のE1E2複合体によって活性化されたHCV特異性CD4+T細胞は、好ましくは、HCV感染細胞のMHCクラスII分子に結合された、E1E2複合体のエピトープを含むE1および/またはE2ポリペプチドのエピトープを認識して、E1E2複合体を用いた刺激に応答して増殖する。
【0203】
HCV特異性CD4+T細胞は、リンパ球増殖アッセイによって検出されうる(実施例を参照)。リンパ球増殖アッセイは、HCV特異性CD4+T細胞がE1、E2および/またはE1E2エピトープに対して応答して増殖する能力を測定する。
【0204】
HCV特異的なT細胞を活性化する方法
E1E2タンパク質またはポリヌクレオチドは、例えば試験管内または生体内のどちらかでHCV特異的なT細胞を活性化するために、免疫応答を刺激するために使用されうる。HCV特異的なT細胞の活性化は、特にHCVに対するCTL応答を最適化するためのモデル系を提供するために、そしてHCV感染に対する予防または治療処置を提供するために使用されうる。試験管内活性化では、タンパク質は好ましくは、プラスミドまたはウイルスベクター、例えば上記のようなアルファウイルスベクターを介してT細胞に供給される。
【0205】
T細胞のポリクローナル個体群は、HCVに感染した哺乳類の、血液に、好ましくは末梢リンパ器官、例えばリンパ節、脾臓、または胸腺に由来しうる。好ましい哺乳類としては、マウス、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトが挙げられる。HCVは、哺乳類における活性化HCV特異的なT細胞の数を増加させるように作用する。哺乳類に由来するHCV特異的なT細胞は次に、試験管内でHCV E1E2をT細胞に添加することによって再刺激されうる。HCV特異的なT細胞は次に、特に増殖、INF−γの産生、および試験管内でE1E2エピトープを提示する標的細胞を溶解させる能力について試験されうる。
【0206】
リンパ球増殖アッセイにおいて、HCV活性化CD4+T細胞は、E1E2エピトープペプチドを用いて培養したときには増殖するが、エピトープペプチドの非存在下では増殖しない。それゆえHCV活性化CD4+T細胞によって認識される詳細なE1およびE2エピトープまたは他のHCV抗原は、リンパ球増殖アッセイを使用して同定されうる。
【0207】
同様に、上記のHCVタンパク質を用いた試験管内刺激後のHCV活性化CD8+T細胞におけるIFN−γの検出は、CD8+T細胞を刺激してIFN−γを産生させるのに特に有効であるE1、E2、およびE1E2エピトープまたは他のHCV抗原を同定するのに使用されうる(実施例を参照)。
【0208】
さらに51Cr放出アッセイは、HCVに対するCTL応答のレベルを判定するのに有用である。Cooperら、Immunity 10:439−449を参照。例えばHCV活性化CD8+T細胞は、HCV感染哺乳類の肝臓に由来しうる。これらのT細胞は、51Cr放出アッセイで例えばE1E2エピトープを提示する標的細胞に対して試験されうる。各標的細胞個体群がE1E2の異なるエピトープを提示するために、異なるE1E2エピトープを発現する複数の標的細胞個体群が構築されうる。HCV特異性CD8+細胞は、これらの標的細胞個体群のそれぞれに対してアッセイされうる。51Cr放出アッセイの結果を使用して、HCVに対して最強のCTL応答を担うE1E2のエピトープを決定することができる。最強のCTL応答を担うエピトープを含有するE1E2複合体は次に、51Cr放出アッセイに由来する情報を使用して構築されうる。
【0209】
投与
通例、免疫原性組成物(DNAおよびタンパク質の両方)は、液体液剤または懸濁剤のどちらかとしての注射用剤として調製される;注射前に液体ビヒクルへの溶解または懸濁に適した固体形も調製されうる。それゆえいったん調合されると、組成物は例えば皮下または筋肉内に注射によって非経口的に好都合に投与される。他の投与様式に適した追加の調合物としては、経口および肺調合物、坐剤、および経皮施用が挙げられる。
【0210】
投薬治療は単回プライミング投薬および単回ブーストでありうるか、または複数回用量スケジュールでありうる。投薬間(プライミングおよびブースト)の間隔は、患者の年齢および組成物の性質などの因子に従って変化し、これらの因子は医師によって評価されうる。初回プライミングおよびブースト用量の投与は一般に、少なくとも2週間、通例は4週間の間隔を置く。本発明の方法は、1回を超えるプライミング投薬および/または1回を超えるブースト投薬、例えば2回以上のプライミング投薬と、続く2回以上のブースター投薬を含みうる。「メモリ」ブーストという用語は、初回ブースト後に与えられるいずれかのブースト投薬を指す。「メモリ」ブーストが投与される時間は、初回ブーストから数時間(例えば1〜72時間またはその間のいずれかの時点)または数日(例えば1〜90日またはその間のいずれかの時点)から数か月(例えば1〜36か月またはその間のいずれかの時点)または数年すら変化しうる。1回を超えるメモリブーストは、相互に対して同じまたは異なる時間間隔で投与されうる。同じまたは異なる免疫原性組成物が各プライミング投薬に使用されうる。プライミングおよびブースト投薬はしたがって、それらのタイミングではなくて、投与経路によって区別されうる。
【0211】
好ましくは、投与された量は疾患症状の治療または予防を引き起こすのに十分である。正確な必要量は他の因子の中で特に、治療される患者;治療される個体の年齢および全身状態;免疫応答に関与する個体の免疫系の能力;所望の保護度;治療される状態の重症度;選択された特定の巨大分子およびその投与様式によって変化するであろう。適切な有効量は、当業者によって容易に決定されうる。「治療的有効量」は、当分野で既知の試験管内および生体内モデルを使用した日常的な試験によって決定されうる比較的広範な範囲に当てはまるであろう。下の実施例で使用するE1E2核酸およびポリペプチドの量は、例えば生体内でHCV特異的なT細胞を活性化するために、HCV特異性細胞免疫応答の誘発を最適化するのに使用されうる一般的な指針を与える。
【0212】
例えば免疫原は好ましくは、霊長類などの大型哺乳類、例えばヒヒ、チンパンジー、またはヒトに筋肉内注射される。E1E2タンパク質の送達では、投薬当たり免疫原0.1μg〜約5.0mg、または示した範囲の任意の量、例えば投薬当たり5μg〜約10mg、1μg〜約2mg、2.5μg〜約250μg、4μg〜約200μg、例えば4、5、6、7、8、9、10...20...30...40...50...60...70...80...90...100μgなどが送達されるであろう。ブースター投与では、送達されるE1E2核酸構築物の量は、使用される場合はベクターに依存するであろう。例えばE1E2 DNAがウイルスベクターなしで送達される場合、DNA約1μg〜500mg、例えばDNA5μg〜100mg、例えばDNA 10μg〜50mg、または10μg〜5mg、例えば20...30...40...50...60...100...200μgなど〜500μg、および示した範囲の任意の整数は、本方法で用途を見出すであろう。アルファウイルスレプリコンなどのウイルスベクターを送達に使用する場合、一般に有効量はウイルスベクターの約105〜1020感染単位、さらに好ましくはウイルスベクターの108〜1015の、なおさらに好ましくは約1010〜1013感染単位、またはこれらの範囲内の任意の値を含むであろう。
【0213】
本発明のE1E2核酸構築物は、標準遺伝子送達プロトコルを使用して投与される。遺伝子送達の方法は当分野で既知である。例えば米国特許番号:5,399,346、5,580,859、5,589,466を参照。E1E2核酸構築物は、脊椎動物対象に直接送達されるか、あるいは生体外で対象に由来する細胞に送達されて、細胞が対象に再植え込みされるかのどちらかである。
【0214】
E1E2ポリペプチドおよび核酸の投与は、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上続く、細胞免疫応答、および/または抗E1、抗E2および/または抗E1E2抗体力価を哺乳類にて誘発しうる。上で説明したように、E1E2核酸はメモリ応答を提供するためにも投与されうる。このような応答が達成されると、抗体力価または細胞免疫応答は経時的に低下しうるが、しかしながらHCVウイルスまたは免疫原への曝露は、例えばわずか2、3日以内で抗体および/または細胞免疫応答の迅速な誘発を引き起こす。場合により、このような応答は哺乳類において、上で説明したようなE1E2核酸構築物の1回以上のブースター注射を初回注射の2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上後に供給することによって維持されうる。
【0215】
本発明の方法による使用のための組成物は、例えば特に51Cr放出アッセイ、リンパ球増殖アッセイによって、またはIFN−γの細胞内染色によって測定されたようにHCV特異的なT細胞を活性化するために、使用した特定の組成物に適合する方法で、そして免疫応答を刺激するのに有効な量で投与される。タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、HCVに感染していない哺乳類に投与されうるか、またはHCV感染哺乳類に投与されうるかのどちらかである。本発明の組成物の有効量は、日常的な実験のみを使用して容易に決定されうる。上記の試験管内および生体内モデルは、適切な用量を識別するために使用されうる。後述する実施例で使用したタンパク質およびポリヌクレオチドの量は、HCV特異的なT細胞の生体内または試験管内どちらかでの活性化を最適化するために使用されうる一般的指針を提供する。
【実施例】
【0216】
下は、本発明を実施するための具体的な実施形態の例である。実施例は例示的目的のためだけに与えられ、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【0217】
使用した数字(例えば量、温度など)に関して正確を期するための努力が払われたが、一部の実験誤差および偏差はもちろん許容されるべきである。
【0218】
物質および方法
酵素は市販供給元から購入して、製造者の指示に従って使用した。
【0219】
DNA断片の単離では、記載した場合を除いて、すべてのDNA操作は標準手順に従って実施した。Sambrookら、同上を参照。制限酵素、T4 DNAリガーゼ、大腸菌、DNAポリメラーゼII、クレノウ断片、および他の生物試薬は市販の供給者から購入して、標準手順に従って実施した。2本鎖DNA断片をアガロースゲル上で分離した。
【0220】
化学試薬の供給源は一般に、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO;Alrich,Milwaukee,WI;Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,INを含む。
【0221】
E1E2809タンパク質の産生
プラスミドpCMVtpaElE2p7(6275bp)は、アミノ酸192から809をコードするHCV−1を上流組織プラスミノゲン活性化物質(tpa)シグナル配列によってpnewCMV−II発現ベクター内へクローニングすることによって構築した。pnewCMVベクターは、次の要素:pUC19ベースクローニングベクターである:SV40複製起点、ヒトCMVエンハンサ/プロモータ、ヒトCMVイントロン、ヒト組織プラスミノゲン活性化物質(tPA)リーダー、ウシ成長ホルモンポリAターミネータおよびアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0222】
E1E2809は、先に記載されているように組み換えCHO細胞から発現された(Spaeteら、Virology(1992)188:819−830)。E1E2複合体は、Triton X−100洗浄剤を用いてCHO細胞内から抽出した。E1E2複合体は、スノードロップレクチンアガロース(Vector Laboratories,Burlingame,Calif.)クロマトグラフィーおよび高速流S−セファロースカチオン交換クロマトグラフィー(Pharmacia)を使用して精製した。
【0223】
E1E2809ポリヌクレオチドを発現することによって産生されたE1E2複合体2μgは、サブミクロン水中油型エマルジョンMF59によって乳化させた。MF59はChiron Vaccines,Marburgにて製造され、先に詳細に記載されている(Ottら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(編者:Powell,M.F.およびNewman,MJ.)Plenum Press,New York、1995年、pp.277−296)。
【0224】
E1E2809をコードするアルファウイルス
複製欠損アルファウイルス粒子は、外来抗原の高レベル発現、ヒトにおける既存の免疫性、樹状細胞のターゲッティング、および生得の免疫性の強力な刺激のために、効率的なワクチン送達プラットフォームである。特に、選択した所望の品質のシンドビスウイルス(SIN)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)を組み合せるVEE/SINレプリコン粒子キメラが使用された。このようなキメラは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、Perriら、J.Virol.(2003)77:10394−10403ならびに特許公報番号:20030232324および20030148262に記載されている。
【0225】
細胞株の増殖および感染
BHK−21細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)、10mMピルビン酸ナトリウム、ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したダルベッコ最小必須培地(DMEM)中で37℃、5%CO2下で維持した。約80%コンフルエントの細胞単層をレプリコン粒子によって、1%FCSを含有するDMEM中で37℃にて1時間感染させて、次に10%FCSを含有するDMEM中で一晩インキュベートした。
【0226】
レプリコンベクターおよび不完全ヘルパー構築物
VCR−Chim2.1はVCR(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)から、(i)PCR増幅シンドビスウイルス(SIN)パッケージング配列(SlNゲノムのnt945−1076)をnt5493および5595のXhol部位間のベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)非構造タンパク質遺伝子3(nsP3)遺伝子内にインフレーム融合として挿入することと、(ii)VEE 3’未翻訳領域(3’UTR)を、先に公開されたSIN由来レプリコンベクター、SINCRからのSIN 3’UTRによって置換することと(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)によって得た。キメラベクター内への挿入のためのE1E2(746)およびE1E2p7(809)遺伝子断片は、pCMVtpaE1E2p7のPCR増幅によって生成し、次にcDNAをVCR−Chim2.1レプリコンベクター内に挿入すると、構築物VEE/SIN−E 1E2746およびVEE/SIN−E1E2809が生じた。
【0227】
HCVタンパク質を発現するアルファウイルスレプリコン粒子の産生
SINからカプシドまたはエンベロープ糖タンパク質のどちらかをコードする配列を、VEEベース不完全ヘルパー主鎖(VCR−DH)内に挿入した(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)。
【0228】
キメラレプリコン粒子は、先に記載されているように、レプリコンおよび一方がカプシドタンパク質を発現して、他方がエンベロープ糖タンパク質を発現する2個の不完全ヘルパー試験管内転写RNAの同時電気穿孔によって生成した(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)。
【0229】
HCV−E1E2746またはE1E2809を発現するレプリコン粒子を電気穿孔の24時間後に培養上清として回収して、濾過によって浄化し、カチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。レプリコン粒子力価は、粒子の連続希釈物によるBHK−21細胞の一晩の感染後に、発現されたE1およびE2の細胞内染色によって決定した。感染細胞はCytofix/Cytopermキット(Pharmingen)を使用して透過処理および固定して、次にHCV E1またはE2抗原に対するフルオレセインイソチオシアナートコンジュゲート抗体によって染色した。フローサイトメトリー分析を使用して、E1またはE2陽性細胞を決定して、力価を計算するのに使用した。汚染複製可能ウイルスの非存在は、ナイーブBHK−21細胞の5回の連続感染および力価の決定によって決定した。最後に、エンドトキシンレベルをすべてのレプリコン粒子サンプルについて測定して、<0.5エンドトキシン単位/mlであることが示された。
【0230】
NSポリタンパク質
HCV活性化T細胞のT細胞受容体によって認識されたエピトープも例えば、5Cr放出アッセイによって、またはリンパ球増殖アッセイによって同定されうる(実施例を参照)。5Cr放出アッセイでは、エピトープをコードするポリヌクレオチドを発現ベクター内にクローニングして、発現ベクターを標的細胞内へ形質転換することによって、興味のあるエピトープを提示する標的細胞が構築されうる。HCV30特異性CD8+T細胞は、例えばNS3、NS4、NS5a、NS5b、NS3NS4NS5a、またはNS3NS4NS5aNS5bエピトープを提示する標的細胞を溶解させて、このようなエピトープを提示しない細胞を溶解させないであろう。リンパ球増殖アッセイにおいて、HCV活性化CDE4+T細胞は、例えばNS3、NS4、NS5a、NS5b、NS3NS4NS5a、またはNS3NS4NS5aNS5bエピトープペプチドによって培養されたときに増殖するが、HCVエピトープペプチドの非存在下では増殖しない。
【0231】
E2、NS3、NS4、NS5a、およびNS5bポリペプチドは、融合タンパク質においていずれの順序ででも発生しうる。所望ならば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の、1個以上のポリペプチドが融合タンパク質において発生する。HCVの多重ウイルス株が発生し、これらの株のいずれのNS3、NS4、NS5a、およびNS5bポリペプチドも融合タンパク質において使用されうる。本発明での使用のための代表的な融合タンパク質を図7に示し、アミノ酸番号付けはHCV−1ポリタンパク質に対してである。
【0232】
NS345ポリタンパク質を発現するアルファウイルス
レプリコンベクターおよび不完全ヘルパー構築物
NS345をコードする核酸はNS3−NS5のPCR増幅によって生成して、次にcDNA(aa1027−3012)をVCR−Chim2.1(J Virol.2003年、77:10394−403)レプリコンベクターに挿入して、構築物VEE/SIN−NS345を生じさせた。
【0233】
アルファウイルスレプリコン粒子の産生
HCV−NS345を発現するレプリコン粒子を電気穿孔の24時間後に培養上清として回収して、濾過によって浄化し、カチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。レプリコン粒子力価は、粒子の連続希釈物によるBHK−21細胞の一晩の感染後に、発現されたNS3、NS4、NS5aおよびNS5bの細胞内染色によって決定した。感染細胞はCytofix/Cytopermキット(Pharmingen)を使用して透過処理および固定して、HCV NS3、NS4、NS5aおよびNS5bに対する抗体およびAlexa fluor 488−コンジュゲート抗マウスIgGによって染色した。フローサイトメトリー分析を使用して、NS3、NS4、NS5aおよびNS5b陽性細胞を決定して、力価を計算するのに使用した。汚染複製可能ウイルスの非存在は、ナイーブBHK−21細胞の5回の連続感染および力価の決定によって決定した。最後に、エンドトキシンレベルをすべてのレプリコン粒子サンプルについて測定して、<0.03エンドトキシン単位/mlであることが示された。
【0234】
グループ当たり10匹のbalb/cマウスに指示した物質を0、3および6週に筋肉内注射した。プライム−ブースト実験では、マウスを0および3週にプライミングして、6週にブーストした。我々は注射に、ISCOMATRIX(CSL)5μgと混合した、VEE/SIN−NS345の5E6複製粒子およびポリタンパク質(NS345core)50μgを使用した。マウスを8週に殺処分して、脾臓を回収してCD4およびCD8応答を検出した。
【0235】
細胞内染色(ICS)
脾臓細胞(1E×6)を抗CD28(lμg/ml)(BD Biosciences,San Jose,CA)およびBrefeldin A(BD Biosciences, San Jose,CA)の存在下で指示したペプチド10μg/mlによって37℃にて6時間刺激して、次にCD8の抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)によって染色した。細胞を次にIFN−γ染色(BD Biosciences,San Jose,CA)のために固定および透過処理した。染色後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。データは、CD8+T細胞におけるINF−γおよびCD8二重陽性個体群を表す。
NS3、NS4、NS5aまたはNS5bプール:NS3、NS4、NS5aまたはNS5b領域をカバーする20mer重複ペプチド。
NS3−1 pep:LVALGINAVAYYRGL(配列番号:6)(Simon、Cornellら、2003年)
NS3−2 pep:TTVRLRAYMNTPGLP(配列番号:7)(Simon、Cornellら、2003年)
NS3−3 pep:SSPPVVPQSF(配列番号:8)(Arribillaga、de Cerioら、2002年;Arribillaga、Sarobeら、2005年)。
NS5b pep:MSYSWTGALVTPCAAE(配列番号:9)(Uno−Furuta,Matsuoら、2003年)
SOD−C100:酵母から精製した組み換えNS4タンパク質
SOD−NS5:酵母から精製した組み換えNS5A/Bタンパク質。
【0236】
インターフェロンガンマ(IFN−γ)の細胞内染色
IFN−γの細胞内染色を使用して、下に示すように、E1またはE2プールペプチドによる試験管内刺激後にIFN−γを分泌するCD8+T細胞、あるいは個々のCD4 E2またはCD8 E2ペプチドを同定した。詳細には、脾臓細胞1x106個を、抗CD28(lμg/ml)(BD Biosciences,San Jose,CA)およびBrefeldin A(BD Biosciences,San Jose,CA)の存在下で図4に示したE1またはE2ペプチド10μg/mlによって37℃にて6時間刺激して、次にCD8の抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)によって染色した。細胞を次にIFN−γ染色BD Biosciences,San Jose,CA)のために固定および透過処理した。染色後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
【0237】
データは、CD8+T細胞におけるINF−γおよびCD8二重陽性個体群を表す。
【0238】
E1プール:E1領域をカバーする20mer重複ペプチド。
【0239】
E2プール:E2領域をカバーする20mer重複ペプチド。
【0240】
CD4 E2 pep:QTHTTGGQAGHQAHSLTGLFSPGAKQN(配列番号:4)(Zucchelliら、J.Virol.(2000)74:11598−11607)。
【0241】
CD8 E2 pep:DATYSRCGSGPWITPRCLVD(配列番号:5)(Zucchelliら、J.Virol.(2000)74:11598−11607)。
【0242】
本明細書に記載したNSタンパク質および融合タンパク質のエピトープは複数の方法によって同定されうる。例えば上のいずれかの組み合せを含むNS3、NS4、NS5a、NS5bポリペプチドまたは融合タンパク質は、例えばポリペプチドまたはタンパク質のモノクローナル抗体免疫親和性精製によって単離されうる。単離タンパク質配列は次に、精製タンパク質のタンパク質分解開裂によって、共にタンパク質配列全体に及ぶ一連の20個の短いペプチドを調製することによってスクリーニングされうる。例えば100merポリペプチドで開始することによって、各ポリペプチドはHCV活性化T細胞のT細胞受容体によって認識されたエピトープの存在について試験することが可能であり、次に同定された100merからの徐々に小さくなる重複断片が試験されて興味のあるエピトープをマッピングできる。
【0243】
(実施例1)
E1E2またはE1E2P7レプリコンを使用するマウスの免疫化
Balb/cマウスをPBS(naive)、VEE/SINキメラアルファウイルスレプリコン(V/S−E1E2およびV/S−E1E2P7の4E+6または4E+5複製粒子)、E1E2P7タンパク質プラスMF59、およびE1E2P7タンパク質プラスMF59およびCpGによって3回免疫化した。マウスを0および3、および6週に免疫化して、次に脾臓を8週に回収した。脾臓細胞を10ug/mlのHCVペプチドプール(E1プールおよびE2プール)または個々のペプチド(CD4 E2 pepおよびCD8 E2 pep)で刺激して、次にフローサイトメトリー分析のためにCD8およびIFN−γの抗体によって染色した。データは、免疫化後のCD8+T細胞におけるIFN−γ陽性個体群のパーセンテージを示す。赤色矢印で示すように、V/S−E1E2またはV/S−E1E2P7を用いたプライムは、IFN−γ産生のために非常に良好なCD8+T細胞応答を刺激しうる。
【0244】
結果を図3に示す。見てわかるように、VEE/SIN−E1E2およびVEE/SIN−E 1E2P7レプリコンはどちらも、E1タンパク質に対する強いCD8+T細胞応答を刺激したが、HCV特異性CD4+T細胞応答は刺激しなかった(図5a)。これらの結果は、p7なしでE1E2抗原をコードするポリヌクレオチドが、E1E2P7/MF59タンパク質プライムを先に行わずに欠損アルファウイルス粒子によって送達されるときに、E1抗原に対するCD8+T細胞応答が強化されることを証明した。
【0245】
(実施例2)
E1E2P7タンパク質ワクチンと、続いてのE1E2またはE1E2P7キメラレプリコン粒子ブーストとを使用するマウスの免疫化
次の試験は、E1E2P7一次免疫化と、続くE1E2レプリコンブーストのHCV特異的なT細胞応答に対する効果を決定するために実施した。Balb/cマウス(グループ当たりマウス10匹)に0、3、および6週に指示した物質(図4)を筋肉内(im)注射して、血清を2、5、および8週に収集した。プライム−ブースト実験では、マウスを0および3週にE1E2P7タンパク質+MF59を用いてプライミングして、指示したキメラレプリコン粒子によって6週にブーストした。VEE/SIN−E1E2およびVEE/SIN−ElE2809(E1E2P7とも呼ばれる)の複製粒子4×106個を使用して、E1E2タンパク質複合体(物質および方法、「E1E2809タンパク質」で上述したE1E2809構築物の発現に由来するE1E2809)2μgを注射用にMF59によって乳化した。E1E2/MF59タンパク質産生は例えばWO03/002065に記載されている。マウスを8週に殺処分して、脾臓を回収してCD4およびCD8応答を検出した。
【0246】
結果を図4に示す。見てわかるように、VEE/SIN−E1E2は、強いCD8+T細胞応答を刺激したが、HCV特異性CD4+T細胞応答は刺激しなかった(図5a)。図4に示すように、E1E2809/MF59によるプライミングと、続いての「VEE/SIN−E1E2」および「VEE/SIN−ElE2809」(E1E2P7とも呼ばれる)によるブーストは、IFN−γ産生のために非常に良好なCD8T細胞応答を刺激した。CD8+T細胞応答の最終プライミングは、E1E2809/MF59による最初のプライミングと、続いてのVEE/SIN−E1E2によるブーストによって得た。これらの結果は、上記のプライム−ブースト療法がHCV E2特異性CD+8応答の上昇を生じたため、この療法がHCVに対する予防および治療ワクチン手法において有益でありうることを証明した。
【0247】
(実施例3)
E1E2P7プラスCpGタンパク質ワクチンと、続いてのE1E2P7キメラレプリコン粒子ブーストを使用したマウスの免疫化
実施例2のような免疫化を実施したが、本実施例ではCpGをE1/E2タンパク質プライム免疫原性組成物に添加した。すべての方法は上の通りであり、E1/E2タンパク質を50ul中2ugまで希釈した。このタンパク質50ulをMF59 50ulに添加して、これにCpG 1ul(濃度10μg/ul)を添加した。上の通りのタンパク質プライミングの後に、E1/E2をコードするキメラアルファウイルス(即ちVEE/SIN−E1E2)を免疫化をブーストするために使用した。
【0248】
CpGをE1/E2 MF59プライミング療法に加えた結果を図5aおよび5bに示す。
【0249】
各種の免疫化方法の後にIgGアイソタイプ応答の決定を実施した。結果を図6に示す。ここで図6を参照すると、E1E2/MF59およびE1E2/MF59/CpG免疫化が同等のAb応答を誘発したが、IgG1/2a比は異なっていた。またCpGを含まないプライム/ブースト療法は、E1/E2をコードするアルファウイルス単独よりも高いが、タンパク質単独よりも低い抗体Ab応答を誘発した。
【0250】
これらの実験で使用したCpG配列「7909」は、5’−3’方向で、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT(配列番号:10)であった。(例えば米国特許番号:6,239,116を参照)。CpG7909は、24mer BクラスCpGオリゴデオキシヌクレオチド(Vaccine.2004年8月13日;22(23−24):3136−43)。
【0251】
(実施例5)
E1およびE2に対する抗体力価も、E1/E2療法によるプライムブーストの後に検査した。E1/E2またはE1/E2P7をコードするアルファウイルス単独では著しい抗E1またはE2応答を誘発しなかったが、E1/E2タンパク質によるプライミングおよびE1/E2をコードするアルファウイルスによるブーストの一部として投与されたときに、E1およびE2に対する抗体が産生された。E1/E2のプライム−ブースト療法に対するアイソタイプ応答を、タンパク質プライミング工程の一部としてCpGを含む、および含まないタンパク質プライム間で比較した。図6に示すように、CpGがタンパク質プライミングと共に投与されたときに、免疫応答はTH1応答と似ていたが(IgG2Aが上昇)、CpGを含まないと、TH2様応答が誘発された(IgG1が上昇)。
【0252】
(実施例6)
結合抗体の中和:ブロッキングE1E2のCD81に対する抗体力価
定量的サイトフルオロメトリーアッセイを使用して、C型肝炎エンベロープ糖タンパク質のヒト細胞への結合を評価した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.93、pp.1759−1763、1996年;Science Vol.282、pp.938−941、1998年)。本アッセイは、チンパンジー保護抗体力価とこれらの抗体が組み換えE2タンパク質を標的細胞に結合するのを防止する能力との間の正の相関を証明した。テトラスパニンスーパーファミリーの一員であるヒトCD81は、組み換えE2タンパク質を、最も重要なことにはエンベロープ結合HCV RNAを結合する。HCV E2結合部位は、ヒトおよびチンパンジーの両方で保存されているCD81(EC2)の主要な細胞外ループにマッピングされた。チオレドキシンのC末端に融合されたヒトCD81の大型細胞外ループを含有する組み換え融合分子をクローニング、発現および精製した。我々のアッセイデータは、E1/E2ワクチンによって免疫化されたチンパンジーに由来するHCV保護抗体は、E1/E2およびE2タンパク質の両方のCD81への結合を阻害しうることを示唆している。CD81組み換え受容体タンパク質を96ウェルプレートにコーティングする。ユウロピウム標識された抗E2特異性モノクローナル抗体を検出に使用する。
【0253】
ホウ酸ナトリウム緩衝液中のCD81組み換え受容体250ng/アッセイを96ウェル培地結合Costerプレート(プレートA)に一晩コーティングした。抗原CHO E1/E2(5ug/ml)およびMoab 5E5/H7*Eu3+(0.33ug/mlを作用試薬で別々に希釈した。希釈プレート(プレートB)において、希釈CHO E1/E2 55ulを、作用試薬中の5E5/H7−Eu3+Moab 55ulを各ウェルに添加した。プレートを40℃にて15分間振とうした。次にプレートBの各ウェルに、PBS/BSA緩衝液で2倍希釈した希釈血清サンプル110ulを添加して、40℃にて45分間振とうした。プレートBの各ウェルからの内容200ulをCD81コーティングプレート(プレートA)に適宜に移した。プレートを40℃にて45分間振とうした。プレートを洗浄緩衝液(1×PBS、0.1% Tween−20)によって5回洗浄して、ウェル当たり200ulのEnhancement Solution(Wallac)を各ウェルに添加して、室温にて5分間振とうした。プレートをWallac 1420 Multilabel Counterに置き、プロトコル「ユウロピウム」で読み取った。
【0254】
希釈係数を掛けた50%阻害を使用して、CD81力価を概算した。アッセイ希釈1:10における所与の対照の免疫化前出血を負の対照として使用した。阻害パーセントは、次の式を使用することによって各免疫化後出血日について概算した:
%阻害=(負の対照のシグナル−サンプルのシグナル)/負の対照のシグナル×100。
【0255】
本明細書に記載する各種のワクチン療法によって生成された中和抗体の結果(即ちCD81に対するブロッキングE1E2の抗体力価)を図12に与える。これらの結果は、E1E2ポリタンパク質プラスMF59および場合によりCpGが最高の中和抗体力価を産生したが、E1/E2 MF59プラスCpGによるプライミングと、続いてのE1E2をコードする欠損アルファウイルスの療法も結合抗体の著しい中和を産生したことを証明した。MF59を含み、CpGを含まないE1E2糖タンパク質は、最高の中和(即ち抗CD81)抗体力価を産生したが、E1/E2 MF59プラスCpGによるプライミングと、続いてのE1E2をコードする欠損アルファウイルスによるブーストおよびE1E2糖タンパク質プラスMF59およびCpGによる免疫化の療法を用いた免疫化も、結合抗体の著しい中和を産生した(抗CD81)。
【0256】
(実施例7)
E2NS345corel21タンパク質プラスISCOMSを使用するマウスの免疫化
Balb/cマウスを、PBS(ナイーブ)、緑色蛍光タンパク質をコードするVEE/SINキメラアルファウイルスレプリコンまたはNS345(5E+5または5E+6)によって3回免疫化した。マウスを0および3、および6週に免疫化して、次に脾臓を8週に回収した。脾臓細胞をHCVペプチドプール10ug/mlで刺激して、次にフローサイトメトリー分析のためにCD4(図8)またはCD8(図9)の抗体、およびIFN−γによって染色した。データは、免疫化後のCD8+またはCD4+T細胞におけるIFN−γ陽性個体群のパーセンテージを示す。結果を図8および9に示す。見て分かる通り、VEE/S1N−NS345レプリコンは、幅広いHCV特異性CD4+およびCD8+T細胞応答、特にCD8+T細胞応答を誘発した。
【0257】
(実施例8)
NS345core/ISCOMタンパク質ワクチンプライムと、続いての粒子ブーストのために上記のようにNS345タンパク質領域をコードするアルファウイルスキメラレプリコを使用するマウスの免疫化
アミノ−カルボキシ配列において、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NSのアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121の配列より成るHCV融合タンパク質をコードする合成HCV 1a核酸であって、NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、コア配列のアミノ酸9がリジンであり、コア配列のアミノ酸11がアルギニンである合成HCV 1a核酸を構築した。本配列を図7に図式的に示し、アミノ酸番号付けはHCV−1配列に対してである。
【0258】
一実施形態において、本発明は、プロテアーゼ活性を不活性化するNS3に突然変異を有するHCV NSポリタンパク質を含む。このような突然変異は、WO2004/005473に記載されているような融合タンパク質の発現を可能にする。加えて、一実施形態において、本発明は、融合タンパク質中のHCVからの1個以上の構造タンパク質配列をさらに含むHCV NSポリタンパク質を含み、また好ましい。
【0259】
その中でコードされた融合タンパク質は、酵母カッカロミセスセレビシエ内で発現させた。融合タンパク質は、標準組み換えクローニング技法および特にUS2006−0088819A1、WO01/38360およびWO2004/005473で先に記載された方法を利用して、クローニングされて、さらに融合タンパク質挿入DNAを含有するプラスミドpBS24.1から発現させた。上の融合タンパク質は、「e2ns3mns5tr.c121」または「E2NS3*NS4NS5tcore121」と呼ばれる。
【0260】
e2ns3mns5tr.c121ポリタンパク質は、酵母発現ベクターpBS24.1を使用してカッカロミセスセレビシエにおける発現のために遺伝子組み換えした(米国特許番号:6,458,527 section 4.2.4.2および米国特許番号:5,635,374)。ベクターは酵母における自己複製のための2μ配列および選択可能なマーカーとしての酵母遺伝子leu2dおよびURA3を含有する。細菌におけるプラスミド複製に必要なα因子ターミネータ、βラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製起点も本発現ベクター内に存在する。
【0261】
次の工程は、e2ns3mns5tr.c121ポリタンパク質の発現カセットを構築するために行った。
【0262】
最初に、N末端領域を構築するために、819bpのHindIII/AcII断片をpGEM7.d.E2(HindIII/Xhol)サブクローン#3から単離した。5’HindIIIクローニング部位には、イニシエータATGの配列ACAAAACAAAと、aa384で開始してaa650のAcII制限部位まで続くHCV−1 E2外部ドメインのコドンが続く。HindIII/AcII断片およびE2外部ドメインのaa651−aa662に相当する34bp AcII/CelIIキナーゼ合成断片を、HCV−1 E2外部ドメイン配列のaa662−aa715をコードする228bp CelII/BlnI断片と、続いてのHCV−1 NS2およびNS3のaa1018−aa1039のコドンを含有するpT7Blue2 HindIII/CelIIベクター内に結合させた。結合混合物をHB101コンピテント細胞に形質転換させて、ルリア−アンピシリン寒天プレートにプレーティングした(100μg/ml)。miniprepDNA分析、所望のクローンの同定および配列確認の後、pT7Blue2.E2/ns2.3#23をHindIIIおよびBlnIで消化して、1081bp断片を単離した。
【0263】
第2に、Ser1165−Ala突然変異をNS3ドメインに導入するために、703bpのBlnI/ClaI断片をpSP72.HindIII/ClaI.ns3mut 1165#15からゲル単離した。この703bp断片は、Ser1165が部位特異的突然変異誘発によってAlaに突然変異されたHCV−1ゲノムのaa1040−aa1274をコードする。
【0264】
第3に、e2.ns3m−ns5corel21発現カセットのクローニングを促進するために、1081bp HindIII/BlnI断片および703bp Bln/ClaI断片をpSP72 HindIII/ClaIベクター内に結合した。結合混合物を上のように形質転換して、DNA分析の後に得られたクローンをpSP72.HindIII/Clae2.ns3m#1と名付けた。
【0265】
第4に、1784bp HindIII/ClaI断片を上記のpSP72.HindIII/Clae2ns3m#1からゲル精製した。HCV−1のNS3−NS5aからaal274−aa2202をコードするClaI/NheI 2787bp断片を、全長HCV−1クローン、pUC.HCV3から単離した。2732bp Nhe/SalI断片をpSP72.HindIII/SalI.ns5ab.2990.corel21#27サブクローンからゲル単離した。Nhe/Sal断片は、NS5aおよびNS5bのaa2203−2990と、続くコアドメインのaa1−121に相当する。HCV−1コア配列内では、コンセンサスaaが位置9(Lys)および11(Arg)に包含されていた。
【0266】
最後に、米国特許番号:6,183,985に記載された1366bp BamHI/HindIII ADH2/GAPDHプロモータ断片を1784bp HindIII/ClaI断片、2787bp Cla/NheI断片、および 2732bp NheI/SaII断片とpBS24.1 BamHI/SalI酵母発現ベクター内へ結合させて、それによりプラスミドpd.e2ns3mns5tr.cl21を作製した。
【0267】
S.セレビシエ株AD3*遺伝子型(matα、leu2、trp1、ura3−52、prb−1122、pep4−3、prcl−407、cir°、trp+、:DM15[GAP/ADR]をpd.e2ns3mns5tr.c121酵母発現プラスミドによって形質転換して、酢酸リチウムプロトコルを使用して酵母細胞を発現プラスミドによって形質転換した。Ura形質転換体は単一コロニーのために画線して、leu−/8%グルコースプレートにパッチしてプラスミドコピー数を増加させた。Leuスターター培養物を30℃で24時間培養して、次にYEPD(酵母抽出バクトペプトン2%グルコース)培地で1:20に希釈した。細胞を30℃にて48時間培養して、培地中のグルコース消耗後に回収した。e2ns3mns5tr.cl21組み換え抗原の発現を試験するために、細胞の一定分量を溶解緩衝液(10mM Tris−Cl pH7.5、1mM EDTA、10mM DTT)中でガラスビーズによって溶解させた。溶解液を高速での遠心分離によって浄化した。可溶性および不溶性画分の一定分量をSDSサンプル緩衝液pH12+50mM DTT中で煮沸して、4〜20% Tris−グリシンゲルを通して、クマシーブルーによって染色した。ガラスビーズ溶解後に不溶性画分中で組み換えタンパク質を検出した。
【0268】
S.セレビシエ株AD3*は本来、米国特許番号:6,458,527、2.4.42節」に記載されている株BJ2168に由来していた。
【0269】
E2NS3*NS4NS5tcore121融合タンパク質は、ADH2/GAPDHプロモータを使用して酵母プラスミドから発現させた。E2NS345tcore121融合タンパク質は、アミノ−カルボキシ末端アミノ酸384−715(E2)−1018−1026(NS2)−1027−1972(NS3NS4)−1973−2990(NS5t)−l−121(Core)を含む。アミノ酸番号付けは全長HCVポリタンパク質に対してであり、NS3およびコアは上で示したように修飾される。
【0270】
上記のように産生されたE2NS3*NS4NS5tcore121タンパク質を使用して、HCV融合−ISCOMを次のように産生した。融合−ISCOM調合物は、融合タンパク質とアジュバントとの間の結合を最大化するためにイオン相互作用を利用して、融合タンパク質をあらかじめ生成されたISCOMATRIX(空のISCOM)と混合することによって調製した。ISCOMATRIXは本質的にCoulterら(1998)Vaccine 16:1243に記載されているように調製する。HCVポリタンパク質プラスISCOM、融合−ISCOM調合物のさらなる産生方法は、本明細書では「IMX/ポリ」とも呼ぶ。
【0271】
次の試験は、GpG一次免疫化を含む、または含まないE2NS3*NS4NS5tcore121/ISCOMSと、続いてのNS345レプリコンブースとのHCV特異的なT細胞応答に対する効果を決定するために実施した。あるいは免疫化を反対にして、NS345をコードするアルファウイルスを融合−ISCOM調合物の前に投与した。Balb/cマウス(グループ当たりマウス10匹)に0、3、および6週に指示した物質(図10および11)を筋肉内(im)注射して、血清を2、5、および8週に収集した。
【0272】
(実施例9)
Huh7細胞へのJFH1−HCVcc(HCV−2a)感染を遮断する交差中和抗体
本明細書に記載した各種のプライムブースト療法からの免疫血清を、HCV組織培養アッセイにおける異種HCV株の感染性を中和する能力について分析した。JH1ゲノムを持つモノシストロニック配置で供給されたルシフェラーゼリポーター遺伝子によってタイプ2a HCV株をコードするHCVゲノム構築物が生成され、JFH1 2a HCVccと呼ばれた。本アッセイでは、JFH1ルシフェラーゼの複製は、相対光単位(RLU)としてルシフェラーゼ活性を観察することによって検出され、これを次に対照(PBSと共に注射)の%として図13に示す。感染粒子にパッケージされたJFH−1ルシフェラーゼ構築物を使用して、肝細胞を感染させた。ウイルス粒子がを37℃にて1時間処理して、次にHuH7細胞を感染させるために使用された後に、感染を発生させた。感染細胞を3日間インキュベートして、次にルシフェラーゼ活性をアッセイした。
【0273】
マウスを用いた本実施例の結果は、E1/E2 MF59/CpGによるプライムブーストと、続いてのHCV1aからE1E2をコードするアルファウイルスが、異種2a HCVタイプ、JFH1 2a HCVccの感染を中和した中和抗体を生成したことを証明した(図13)。先の実施例は、この特定のプライムブーストの組み合せが著しいT細胞応答も誘発させることを証明した。
【0274】
図14は、E1E2 MF59および精製CD81タンパク質によって免疫化されたチンパンジーからの免疫血清が、本実施例でマウス血清に使用した条件下でルシフェラーゼ活性の低下を引き起こすことを証明している。本対照は、中和を検出するためのアッセイの有用性を証明する。
【0275】
本発明の好ましい実施形態を多少詳細に説明したが、請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに明白な変更が実施されうることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0276】
【図1】HCVポリタンパク質の各種の領域を示した、HCVゲノムの図式表現である。
【図2A】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図2B】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図2C】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図3】凡例および実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図4】実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図5a】凡例および実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD4+およびIFN−γ発現を示す。
【図5b】実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図6】実施例で記載したような抗体産生の判定のためのELISAの結果を示す。
【図7】実施例で記載したようなE2NS3*NS4NS5tcore121融合タンパク質の図を示す。
【図8】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルス構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD4 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図9】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルス構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD8 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図10】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルスおよび/またはNSポリペプチド構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD8 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図11】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルスおよび/またはNSポリペプチドを用いた免疫化の後に生成されたCD4 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図12】実施例で記載したようなE1E2のプライムブースト療法を用いて免疫化したマウスにおいて産生された中和抗体力価(即ちCD81へのE1E2結合を遮断する抗体力価)の結果をグラフで示す。
【図13】HCV細胞培養/ルシフェラーゼアッセイ(即ちHCVcc中和アッセイ)におけるプライムブースト血清による感染性防止の結果をグラフで示す。
【図14】HCV細胞培養/ルシフェラーゼアッセイ、特にHCVcc中和アッセイでの感染性防止をグラフで示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、特許法§119(e)(1)の下、2006年1月4日に出願された米国仮出願第60/756,354号;2006年8月25日に出願された米国仮出願第60/840,082号(これらの出願は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)特異的なT細胞の活性化に関するものである。さらに詳細には、本発明は、体液および細胞媒介免疫応答を刺激して、例えばHCV特異的なT細胞を活性化して、HCVウイルスの感染性を中和する抗体を誘発するために、HCV E1E2複合体を含むHCVタンパク質組成物および/またはHCV非構造性遺伝子を含むタンパク質を使用して対象を免疫化することと、続いてHCV E1E2複合体および/またはHCV非構造性遺伝子をコードする核酸組成物を含むウイルスベクターを使用して免疫応答をブーストすることとに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
C型肝炎ウイルス(HCV)は10年以上前に同定され、現在では非Aおよび非B型肝炎の主な原因であることが既知である(Chooら、Science(1989)244:359−362;Armstrongら、Hepatology(2000)31:777)。HCVは、世界の人口の約3%、推定2億人に感染している(Cohen,J.,Science(1999)285:26)。米国では毎年、約30,000件の新たに獲得したHCV感染が発生している。加えて、発展途上国ではHCV感染の発生率が高い。免疫応答はHCV感染を除去できるが、大半の感染は慢性となる。最も急性の感染は無症候性のままであり、長年に亘る慢性感染の後に突然肝疾患が通常発生する。
【0004】
HCVのウイルスゲノム配列は、配列を得る方法として既知である。例えば国際公開番号:WO 89/04669;WO 90/11089;およびWO 90/14436を参照。HCVは、9.5kbプラスセンス1本鎖RNAゲノムを有し、ウイルスのFlaviridaeファミリの一員である。少なくとも6個の別個であるが、関連のあるHCVの遺伝子型が系統発生解析に基づいて同定されている(Simmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399)。ウイルスは約3000個のアミノ酸残基を有する単一のポリタンパク質をコードする(Chooら、Science(1989)244:359−362;Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455;Hanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:1711−1715)。
【0005】
特に図1に示すように、複数のタンパク質がHCVゲノムによってコードされる。HCVポリタンパク質の開裂生成物の順序および命名法は次の通りである:NH2−C−El−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOH。別のタンパク質(F)も同定され、C遺伝子内の翻訳フレームシフトから生じる。Branchら、Semin.Liver Dis.(2005)25:105−117。ポリタンパク質の初期開裂は、3個の構造タンパク質、N末端ヌクレオカプシドタンパク質(□core□と呼ばれる)および2個のエンベロープ糖タンパク質、gpE1(Eとしても既知)およびgpE2(E2/NS1としても既知)はもちろんのこと、ウイルス酵素および他の活性をコードする非構造(NS)タンパク質も遊離する、宿主プロテアーゼによって触媒される。NS領域は、NS2、NS3、NS4およびNS5と呼ばれる。NS2は、タンパク質分解活性を備えた内在性膜タンパク質であり、NS3と組み合されてNS2−NS3接合部を開裂させる。NS3プロテアーゼは、そのNS4a補因子と共に、残存するポリタンパク質の処理を行う。これらの反応において、NS3は、NS3補因子(NS4a)、2個のタンパク質(NS4bおよびNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5b)を遊離する。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒された、NS3−NS4a接合部にて自己触媒開裂によって開始される。
【0006】
E1は、32〜35kDa糖タンパク質種として検出され、エンドグリコシダーゼHによって適切な18kDa種に変換される。対照的にE2糖タンパク質は、複数の種の産生と一致する、免疫沈降時の複雑なパターンを示す(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)。HCVエンベロープ糖タンパク質E1およびE2は、免疫共沈降性である安定した複合体を形成する(Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Lanfordら、Virology(1993)197:225−235;Ralstonら、J.Virol.(1993)62:6753−6761)。
【0007】
全長E1およびE2は、細胞の小胞体内に保持され、安定に/または過渡的なワクシニアウイルス系にて発現されたときに複合糖質が不足している(Spaeteら、Virology(1992)188:819−830;Ralstonら、J.Virol.(1993)67:6753−6761)。E1およびE2タンパク質はこれらの発現系において通常は膜結合されているため、タンパク質の精製を促進するために分泌された切断形が産生されてきた。例えば、特許文献1を参照。加えて、Hela細胞におけるE1E2の細胞内産生が説明されてきた。例えば、特許文献2を参照。
【0008】
HCV E1およびE2糖タンパク質は、それらが霊長類試験におけるウイルス攻撃に対して保護性であることが示されているので、かなり興味深い。(Chooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:1294−1298;Houghton,M.およびAbrignani,S.、Nature(2005)436:961−966)。Meunierら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2005)102:560−4565は、無傷のE1およびE2糖タンパク質を提示するレトロウイルス偽粒子を使用して、HCV−1感染中に産生されたウイルス中和抗体もHCV遺伝子型4、5および6を中和できるが、HCV遺伝子型2および3に対しては制限された中和性を示すだけであることを見出した。
【0009】
現在、HCVに唯一利用できる療法は、IFN−αおよびリバビリンである。残念ながら、これらの薬剤は治療を受ける患者の半分未満に対し有効である(Poynardら、Lancet(1998)352:1426;McHutchisonら、Engl.J.Med.(1998)339:1485)。したがってHCV感染を防止するためだけでなく、既存の療法に代わる、または既存の療法と併せて使用される免疫療法のためにも、有効なワクチンの開発が緊急に必要とされている。
【0010】
HCVに対するT細胞免疫性は、HCV感染および疾患の結果を決定しうる(Missaleら、J.Clin.Invest.(1996)98:706;Cooperら、Immunity(1999)10:439;およびLechnerら、Exp.Med.(2000)191:1499)。ウイルス特異的なT細胞応答は、急性HCV感染を消散させるのに重要な役割を果たすことが示されてきた(Shoukryら、Ann.Rev.Microbiol.(2004)58:391−424)。1つの研究は、支配的なTh0/Th1 CD4+Tヘルパー応答を示す個体はそのHCV感染から回復したが、Th2型応答の個体は慢性に進行する傾向があると結論付けた(Tsaiら、Hepatology(1997)25:449−458)。加えて、HCV特異性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の頻度とウイルス量との間に逆相関があることが示されている(Nelsonら、J.Immunol.(1997)158:1473)チンパンジーにおけるHCVの制御は、Th1 T細胞応答と関連付けられていることが示された(Majorら、J.Virol.(2002)76:6586−6595)。チンパンジーモデルでは、強い多重特異的なCD8+T細胞応答がHCVの自発的制御に関連付けられており、エスケープミュータントの発生はウイルス存続の発生と関連付けられている(Weinerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1995)92:2755−2759)。したがってHCV特異的なT細胞応答は、HCV感染を制御する上で重要な役割を果たすように見える。
【0011】
HIVなど、特定のウイルスに対する医薬品の開発が広範に進歩しているにもかかわらず、急性および慢性HCV感染の制御は、限定された範囲内での成功に止まっている。(非特許文献1)。上で説明したように、強い細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の発生はHCV感染の制御および根絶にとって重要でありうる。それゆえ当分野ではHCVに対し強いCTL応答を誘発する有効な方法が求められている。
【特許文献1】米国特許第6,121,020号明細書
【特許文献2】国際公開第98/50556号パンフレット
【非特許文献1】Hoofnagle and di Bisceglie(1997)N.Engl.J.Med.336:347−356
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明の目的は、HCVに対する免疫応答を刺激または強化する試薬および方法を提供することである。前記免疫応答は、HCVによる感染に対して保護または治療効果を与えうる。前記免疫応答は、体液性および/または細胞性応答、例えばIgがHCVポリペプチドの1個以上のエピトープを認識する免疫グロブリン(Ig)応答を誘発するおよび/またはHCVポリペプチドの1個以上のエピトープを認識するT細胞を活性化することでありうる。本発明のこの目的および他の目的は、後述する実施形態の1つ以上によって与えられる。
【0013】
一実施形態において、本発明は、前記第1HCV抗原に対する免疫応答を刺激または誘発する方法を提供し、そこでは対象がHCVタンパク質抗原に曝露され、次に前記第1HCV抗原からの少なくとも1個のエピトープをコードするDNAを含むウイルスベクターに曝露される。該方法は、タンパク質プライムとしての抗原と、続いてタンパク質抗原からのエピトープをコードするウイルスベクターによって送達されたブーストを用いて、プライミングおよびブーストすることを含む。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、対象が先に曝露された第1タンパク質抗原に対する免疫応答をブーストする方法を提供し、該方法は、ベクターが対象に投与されたときに第1抗原からの少なくとも1個のエピトープをコードおよび発現するDNAをコードするウイルスベクターを投与することによって第1抗原に対する免疫応答をブーストする工程を含む。
【0015】
E1/E2 HCVヘテロダイマーによる免疫化は、HCVに対する中和抗体を誘発することができ、CpGはE1/E2に対するCD4+T細胞応答を強化しうる。本発明は、HCVに対する中和抗体応答およびT細胞応答(CD4+T細胞およびCTL)の両方を与える改良型併用プライムブースト方法を提供する。
【0016】
HCV NS345タンパク質による免疫化は、HCVに対するT細胞応答を誘発することができ、CpGは該応答を強化しうる。本発明は、HCVに対する中和抗体応答およびT細胞応答(CD4+T細胞およびCTL)の両方を与える改良型併用プライムブースト方法を提供する。
【0017】
特に本発明は、HCVタンパク質および1個以上のHCVタンパク質をコードするポリヌクレオチドの組み合せを使用して、免疫応答を刺激する方法を提供する。一実施形態において、タンパク質をコードするポリヌクレオチドはウイルスベクター粒子の一部として送達される。一実施形態において、ウイルスベクター粒子はアルファウイルスであり、好ましい実施形態においては、欠損アルファウイルス粒子にパッケージされたキメラアルファウイルスレプリコンである。一実施形態において、免疫応答はHCV特異的なT細胞の活性化を含む。本発明は、部分的には、HCV E1E2タンパク質ワクチンを使用した免疫応答のプライミングと、欠損アルファウイルス粒子で送達されたHCV E1E2核酸構築物を用いたブーストは、強いCD8+T細胞応答を刺激する、という驚くべき発見に基づいている。それゆえこのような組み合せの使用は、HCV E1E2免疫原に対する細胞性および/または体液性免疫応答を刺激する効果的な手法を提供する。
【0018】
加えてHCVポリタンパク質またはHCV融合タンパク質を用いたプライミングならびに同じポリタンパク質または融合タンパク質の少なくとも一部をコードするアルファウイルスを用いたブーストも、HCVに対する免疫応答の上昇を与えうる。
【0019】
一実施形態において、本発明は、対象におけるHCVに対する免疫応答を誘発または上昇させるために、いわゆる「プライムブースト」免疫化療法を提供する。好ましい一実施形態において、プライミング免疫化工程は、対象を1個以上のタンパク質によって免疫化することを含み、続くブースト工程は、前記タンパク質の1個以上をコードするウイルスベクターによって対象を免疫化することを含む。ある実施形態において、ウイルスベクターはアルファウイルスである。ある実施形態において、タンパク質はHCVタンパク質である。ある実施形態において、対象は脊椎動物対象である。ある実施形態において、脊椎動物対象はヒトである。好ましい実施形態において、タンパク質はHCVタンパク質であり、ウイルスベクターはアルファウイルスベクターであり、対象は脊椎動物または脊椎動物対象である。ある実施形態において、脊椎動物または脊椎動物対象はヒトである。
【0020】
ある実施形態において、本明細書に記載する免疫原性組成物は哺乳類対象に、一部の実施形態において、対象はヒトである。プライミングは、本明細書で使用するように、本明細書に記載した免疫原性タンパク質組成物による第1免疫化が抗原刺激工程において投与されたのと同じ(複数の)抗原の少なくとも1個を含む本明細書に記載したウイルスレプリコン粒子による第2または続いての免疫化(ブースト)時に、標的抗原に対する免疫応答の産生を可能にするいずれかの方法を意味し、第2免疫応答は、第1免疫化が供給されない場合または投与された第1免疫化が第2免疫化で投与されたのと同じ(複数の)抗原を含まない場合のどちらかに達成された免疫応答よりも大きい。抗原刺激は、毎時、毎日、毎週、毎月または毎年投与される単回用量または複数回投薬量を含む療法を含む。詳細な実施形態において、プライミング(またはプライミング免疫化)は、(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回の投与を含む。例えば詳細な実施形態によって、本明細書に記載した1個以上の免疫原性組成物の投与によるプライミングは、(複数の)免疫原性組成物の(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回(例えば2、3、4、5、6、7回以上)の投与を必要とする。投与間の時間間隔は、時間、日、週、月または年である。さらにある実施形態において、同じまたは異なる免疫原性組成物を使用して反復工程が実施されうる。
【0021】
一部の実施形態において、本明細書に記載する免疫原性組成物は、対象のプライミング後に達成される免疫応答をブーストするためのブースターとして投与される。好ましい一実施形態において、アルファウイルスレプリコン粒子はプライミング後のある時点でブースターとして投与される。ブースターとして投与されるウイルスレプリコン粒子は、少なくとも1つのプライミング工程によって投与される少なくとも1個の同じ抗原でコードされる核酸を含む。詳細な実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、プライミング(またはプライミング免疫化)の2〜27週後である。ブーストは、毎時、毎日、毎週、毎月または毎年投与される単回用量または複数回投薬量を含む療法を含む。ある実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、少なくとも1回の投与を含む。他の実施形態において、ブースト(またはブースト免疫化)は、(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回の投与を含む。例えばこのような例では、詳細な実施形態において、1個以上のウイルスレプリコンの投与によるブーストは、(複数の)ウイルスレプリコン粒子の(1回分以上の用量または投薬量を含む)少なくとも2回(例えば2、3、4、5、6、7回以上)の投与を必要とする。投与間の時間間隔は、時間、日、週、月または年である。さらにある実施形態において、同じまたは異なるウイルスレプリコン粒子または免疫原性組成物を使用して反復工程が実施されうる。
【0022】
プライミングまたはブースト免疫化は、筋肉内、粘膜または全身免疫経路の1つ以上の組み合せでありうる。
【0023】
好ましい一実施形態において、本発明は、HCVタンパク質抗原を用いたプライミング免疫化と、続くプライミング工程のHCV抗原の少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いたブースト免疫化とを含む、免疫化の方法を提供する。HCV抗原は、1個以上の異なるHCV抗原を含みうる。
【0024】
好ましい一実施形態において、本発明は、免疫化方法で使用される薬剤の調製のための本明細書に記載した組成物の使用を提供し、該薬剤は、HCVタンパク質抗原を含むプライミング組成物または対象がすでにプライミングされたHCV抗原をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を含むブースト組成物の少なくとも一方を含む。
【0025】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCV E1/E2ヘテロダイマーおよび一実施形態においてMF59であるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、E1/E2ヘテロダイマー複合体をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にE1/E2タンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのE1/E2に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、E1/E2ヘテロダイマー複合体をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む脊椎動物対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にE1/E2タンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのE1/E2に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0028】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、HCV E1/E2へテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0029】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0030】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCVポリタンパク質および一実施形態においてISCOMであるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、ポリタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。HCVポリタンパク質は、一実施形態においてCpG免疫刺激分子である免疫刺激分子を含む組成物中でさらに投与されうる。
【0031】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCVポリタンパク質および一実施形態においてISCOMであるアジュバントを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、ポリタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。HCVポリタンパク質は、一実施形態においてCpG免疫刺激分子である免疫刺激分子を含む組成物中でさらに投与されうる。
【0032】
別の実施形態において、本発明は、HCVポリタンパク質をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む対象を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にHCVポリタンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのHCVポリタンパク質に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、HCVポリタンパク質をコードするアルファウイルスを投与する工程を含む脊椎動物を免疫化する方法を提供し、該方法では前記対象はHCV感染後にHCVポリタンパク質にすでに曝露されており、それにより対象でのHCVポリタンパク質に対する細胞免疫応答は上昇する。
【0034】
タンパク質の投与を含む本発明の免疫化工程、本発明のキットおよび組成物はすべて、CpGまたは他の免疫刺激分子および/またはアジュバントの投与または包含をさらに含みうる。
【0035】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0036】
一実施形態において、(複数の)プライミング工程は、脊椎動物対象をHCV E1/E2ヘテロダイマー、MF59およびCpGを用いて免疫化することを含み、続いてのブースト工程は、E1/E2タンパク質をコードする核酸を含むアルファウイルスレプリコン粒子を用いた免疫化を含む。
【0037】
ポリペプチドおよび前記ポリペプチドをコードするヌクレオチドは、広範囲のHCV遺伝子型に対して保護向上を与えるために、同じHCV単離物から、または異なる株および各種のHCV遺伝子型のいずれかを有する単離物を含む単離物から得られる。
【0038】
一実施形態において、本発明は、HCV感染にすでに曝露された対象(即ち1個以上のHCV抗原への曝露によってすでにプライミングされた脊椎動物対象)を、脊椎動物対象におけるHCVに対する免疫応答を強化するためにアルファウイルスブースト療法によって治療する方法を提供する。脊椎動物対象がすでにHCVに感染している、またはHCVに曝露されている他の実施形態において、治療方法は1回以上のプライミング工程を、1回以上のブースト工程と共に含みうる。
【0039】
一実施形態において、本発明は、HCV感染にすでに曝露された脊椎動物対象(即ち1個以上のHCV抗原への曝露によってすでにプライミングされた脊椎動物対象)を、脊椎動物対象におけるHCVに対する免疫応答を強化するためにアルファウイルスブースト療法によって治療する方法を提供する。脊椎動物対象がすでにHCVに感染している、またはHCVに曝露されている他の実施形態において、治療方法は1回以上のプライミング工程を、1回以上のブースト工程と共に含みうる。
【0040】
他の実施形態において、本発明は、タンパク質の少なくとも1回の投与と、それに続くアルファウイルス粒子の少なくとも1回の投与による、対象におけるHCVに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造におけるHCVタンパク質またはHCVタンパク質をコードするアルファウイルス粒子を含む組成物の使用を提供する。
【0041】
他の実施形態において、本発明は、タンパク質の少なくとも1回の投与と、それに続くアルファウイルス粒子の少なくとも1回の投与による、個体におけるHCVに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造におけるHCVタンパク質またはHCVタンパク質をコードするアルファウイルス粒子を含む組成物の使用を提供する。
【0042】
本発明は、哺乳類などの対象において免疫応答を誘発または生成するキットも提供する。キットは(i)HCVタンパク質およびアジュバントを含む第1組成物と;(ii)第1組成物のHCVタンパク質の少なくとも一部をコードするウイルスベクターを含む第2組成物とを含む。好ましい一実施形態において、アジュバントは、MF59でありうる水中油型エマルジョンである。一実施形態において、前記キット中の第1組成物はMF59をアジュバントとして含む。別の実施形態において、E1/E2タンパク質およびMF59を含む第1組成物は、CpGをさらに含む。
【0043】
一部の実施形態において、キットは(i)E1/E2タンパク質複合体およびアジュバントを含む第1組成物と;(ii)E1/E2タンパク質複合体をコードするウイルスベクターを含む第2組成物と;を含む。好ましい一実施形態において、アジュバントは、MF59でありうる水中油型エマルジョンである。一実施形態において、前記キット中の第1組成物はMF59をアジュバントとして含む。別の実施形態において、E1/E2タンパク質およびMF59を含む第1組成物は、CpGをさらに含む。好ましい一実施形態において、ウイルスベクターは欠損アルファウイルス粒子である。
【0044】
キットは、第1組成物の、第2組成物の、または第1および第2組成物両方の1回または複数回用量を含みうる。それゆえ詳細な実施形態において、反復投与を容易にするために、キットは一方または両方の組成物のための複数のバイアルを含み、各バイアルは各投与時に対象に投与される用量を含む。該キットは、キットの使用説明書をさらに含む。他の実施形態において、キットは哺乳類に、第1組成物を投与するためのアプリケータおよび/または第2組成物を投与するためのアプリケータも含みうる。
【0045】
本発明のキットは、キットの組成物を単独で、または他の組成物と共に使用するための説明書をさらに含みうる。
【0046】
一実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCVタンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にすでに投与された前記HCVタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCVタンパク質をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させて、HCVタンパク質を産生させる工程と;を含む。免疫応答は、細胞性および/または体液性免疫応答であってもよい。細胞性または体液性免疫応答は、本明細書に記載した各種の第1のタンパク質組成物および第2のウイルスベクター組成物のいずれかを使用して刺激されうる。
【0047】
対象または脊椎動物対象はすでにHCVに曝露されているか、HCVに感染しており、ウイルスへの曝露に関しては未処置である。
【0048】
一実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与し、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と;
を含む。免疫応答は、細胞性および/または体液性免疫応答であってもよい。細胞性または体液性免疫応答は、本明細書に記載した各種の第1のタンパク質組成物および第2のウイルスベクター組成物のいずれかを使用して刺激されうる。
【0049】
E1/E2タンパク質複合体および/または前記E1/E2複合体をコードするアルファウイルスは、本明細書でさらに述べる部分または完全タンパク質(またはウイルスベクターの場合はタンパク質コード)配列でありうる。その上タンパク質免疫化組成物として使用される正確な配列が、タンパク質配列をコードする核酸中に含まれることは必要でない。タンパク質アミノ酸配列またはタンパク質配列をコードする核酸のどちらかが、HCVゲノムに関して部分的または完全でありうる。
【0050】
第1および第2組成物は、例えばタンパク質を含む第1組成物の1、2、3、4、または5回以上の連続投与と、続くウイルスベクターを含む第2組成物の1、2、3、4または5回以上の連続投与などの、いずれの多種多様の組み合せでも1回以上投与されうる。さらに第2組成物の投与は、第2または次の第1組成物の投与前に行われうる。
【0051】
別の実施形態において、本発明は対象または脊椎動物対象のT細胞であって、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識するT細胞を活性化する方法を提供し、該方法は:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を前記対象または脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に前記対象または脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与し、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞は前記対象において活性化され、前記活性化T細胞はE1、E2またはE1E2複合体のエピトープを認識する。ウイルスベクターは、アルファウイルスベクターなどの哺乳類ウイルスベクターであり、一実施形態において、アルファウイルスベクターはキメラアルファウイルス不完全レプリコン粒子でありうる欠損アルファウイルスベクター粒子である。
【0052】
対象または脊椎動物対象は、前記第1および第2組成物の1個以上の投与前にHCVにすでに感染しているか、または投与前に感染していないかのどちらかである。それゆえ該方法は、予防および治療効果を提供しうる。
【0053】
好ましい実施形態において、該方法はCD8+T細胞を含むT細胞の活性化を刺激し、活性化はガンマインターフェロンを産生するCD8+T細胞の数の増加を含む。別の実施形態において、該方法はCD4+T細胞を含むT細胞の活性化を刺激し、活性化はガンマインターフェロンを産生するCD4+T細胞の数の増加を含む。
【0054】
別の実施形態において、該方法はB細胞の活性化を刺激して、活性化はHCVに対する治療効果の保護を有する抗体の数の増加を含む。
【0055】
第1タンパク質組成物は、少なくとも1個のアジュバントをさらに含み、1個を超えるアジュバントまたは1個のアジュバントおよび別の免疫刺激組成物を含みうる。1個の好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型エマルジョンである。一実施形態において、タンパク質組成物に添加されるサブミクロン水中油型エマルジョンは、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、および場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。一実施形態において、サブミクロン水中油型エマルジョンはMF59である。1個の好ましい免疫刺激組成物は、1個の好ましい組成物ではCpG免疫刺激核酸である免疫刺激核酸である。
【0056】
好ましい実施形態において、E1E2タンパク質を含む第1組成物は、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生されうる。
【0057】
別の好ましい実施形態において、HCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物は、図2A〜2Cの位置192〜746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする。
【0058】
アジュバントおよび(複数の)タンパク質抗原は、同時に、連続的にまたは個別に投与されうる。アジュバントは、(複数の)抗原の投与前に対象をプライミングするために、または(複数の)抗原の投与後にその抗原に対する免疫応答をブーストするために投与されうる。アジュバントおよび(複数の)タンパク質抗原は好ましくは、混合物で投与される。
【0059】
(複数の)タンパク質抗原およびウイルスベクターは、同時に、連続的にまたは個別に投与されうる。タンパク質組成物は、ウイルスベクターの投与前に対象をプライミングするために投与されうる。(複数の)タンパク質抗原およびウイルスベクターは好ましくは、ウイルスベクターが投与される前に少なくとも1回投与されたタンパク質抗原と連続的に投与される。本発明は、患者における免疫応答を上昇させるための薬剤の製造において少なくとも1個の抗原の使用をも提供し、薬剤はアジュバントと共に投与される。同様に本発明は、患者における免疫応答を上昇させるための薬剤の製造におけるアジュバントの使用を提供し、薬剤は少なくとも1個の抗原と共に投与される。薬剤の製造におけるウイルスベクターの使用も提供される。本発明のこれらおよび他の実施形態は、本明細書の開示を考慮すれば、当業者が容易に思いつくであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明の常法は、別途指摘しない限り、当分野の技術の範囲内で化学、生化学、組み換えDNA技法および免疫学の在来の方法を利用するであろう。このような技法は文献で十分に説明されている。例えばFundamental Virology、第2版、vol.I&II(編者:B.N.FieldsおよびD.M.Knipe);Handbook of Experimental Immunology、VoIs.I−IV(編者:D.M.WeirおよびC.C.Blackwell、Blackwell Scientific Publications);T.E.Creighton、Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freemanおよびその仲間、1993年);A.L.Lehninger、Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989年);Methods In Enzymology(編者:S.ColowickおよびN.Kaplan、Academic Press,Inc.)を参照。
【0061】
本明細書で引用したすべての公報、特許および特許出願は、前述または後述にかかわらず、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0062】
次のアミノ酸省略形は本文全般を通じて使用される。
アラニン:Ala(A) アルギニン:Arg(R)
アスパラギン:Asn(N) アスパラギン酸:Asp(D)
システイン:Cys(C) グルタミン:Gln(Q)
グルタミン酸:Glu(E) グリシン:GIy(G)
ヒスチジン:His(H) イソロイシン:Ile(I)
ロイシン:Leu(L) リジン:Lys(K)
メチオニン:Met(M) フェニルアラニン:Phe(F)
プロリン:Pro(P) セリン:Ser(S)
トレオニン:Thr(T) トリプトファン:Trp(W)
チロシン:Tyr(Y) バリン:Val(V)。
【0063】
1.定義
本発明を説明するにあたり、次の用語が使用され、以下に示すように定義されるものとする。
【0064】
本明細書および添付実施形態で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が明確に別途指示しない限り、複数対象物を含むことに注目すべきである。それゆえたとえば例えば「E1E2複合体」への言及は、2個以上のそのような複合体の混合物などを含む。
【0065】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指し、生成物の最小長に制限されない。それゆえペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどは定義に含まれる。全長タンパク質およびその断片は定義によって含まれる。該用語はポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、ホスホリル化なども含む。さらに本発明の目的では、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持している限り、ナイーブ配列に対する修飾、例えば欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、まるで部位特異的突然変異誘発のように意図的でありうるか、あるいはタンパク質を産生する宿主の突然変異またはPCR増幅によるエラーであるかのように偶発的でありうる。
【0066】
「E1ポリペプチド」とは、HCV E1領域に由来する分子を意味する。HCV−1の成熟E1領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた、ポリタンパク質の約アミノ酸192で開始し、約アミノ酸383まで継続する。(図1および2A〜2Cを参照。図2A〜2Cのアミノ酸192−383は、配列番号:2のアミノ酸位置20−211に一致する)。173付近から約191までのアミノ酸(配列番号:2のアミノ酸1−19)は、E1のシグナル配列として作用する。それゆえ「E1ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆E1タンパク質、またはこの配列の欠けた成熟E1ポリペプチドのどちらか、または異種シグナル配列を持つE1ポリペプチドすら意味する。E1ポリペプチドは、約アミノ酸位置360−383で発生するC末端膜アンカー配列を含む(1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301を参照)。E1ポリペプチドは、本明細書で定義するように、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも、含まなくてもよい。
【0067】
「E2ポリペプチド」とは、HCV E2領域に由来する分子を意味する。HCV−1の成熟E2領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、約アミノ酸383〜385にて開始する。(図1および2A〜2Cを参照。図2A〜2Cのアミノ酸383〜385は、配列番号:2のアミノ酸位置211〜213に一致する)。シグナルペプチドは、ポリタンパク質の約アミノ酸364にて開始する。それゆえ「E2ポリペプチド」とは、シグナル配列を含む前駆E2タンパク質、またはこの配列の欠けた成熟E2ポリペプチドのどちらか、または異種シグナル配列を持つE2ポリペプチドすら意味する。E2ポリペプチドは、約アミノ酸位置715−730で発生するC末端膜アンカー配列を含み、約アミノ酸残基746までも延伸しうる(例えばLinら、J.Virol.(1994)68:5063−5073)。E2ポリペプチドは、本明細書で定義するように、C末端アンカー配列またはその部分を含んでも、含まなくてもよい。その上、E2ポリペプチドは、E2のC末端にすぐ隣接して発生するp7領域の全部または一部も含みうる。図1および2A〜2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、位置747〜809(配列番号:2のアミノ酸位置575−637)にて見出される。加えて、HCV E2の複数の種が存在することが既知である(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)。したがって、本発明の目的では、「E2」という用語は、制限なく、E2のN末端からの1〜20個またはそれ以上のアミノ酸の欠失、例えば1、2、3、4、5...10...15、16、17、18、19...個などのアミノ酸の欠失を有する種を含む、E2のこのような種のいずれかを含む。このようなE2種は、アミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403などにて開始する種を含む。
【0068】
HCV−1からの代表的なE1およびE2領域を図2A〜2Cおよび配列番号:2に示す。本発明の目的では、E1およびE2領域は、HCV−1のゲノムによってコードされたポリタンパク質のアミノ酸数に関して定義され、イニシエータメチオニンは位置1と示される。例えばChooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照。しかしながら「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」という用語は本明細書で使用するように、HCV−1配列に限定されないことに注目すべきである。この点で、他のHCV単離物における対応するE1またはE2領域は、配列を最大アラインメントにするような方法で単離物からの配列を比較することによって容易に決定されうる。これはUniversity of Virginia,Department of Biochemistry(Attn:Dr.William R.Pearson)より入手できるALIGN 1.0などの多数のコンピュータソフトウェアパッケージのいずれによっても実施されうる。Pearsonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85−2444−2448を参照。
【0069】
さらに本明細書で定義した「E1ポリペプチド」または「E2ポリペプチド」は、図に示す正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際にHCVゲノムは生体内では一定流束の状態であり、単離物間で比較的高度の可変性を示す複数の可変ドメインを含有する。多数の保存および可変領域がこれらの株間で既知であり、一般にこれらの領域に由来するエピトープのアミノ酸配列は、2つの配列を比較したときに、高度の配列相同性、例えば30%を超える、好ましくは40%を超える、60%を超えるアミノ酸配列相同性、なお80〜90%の相同性を有するであろう。該用語が各種のHCV株およびSimmondsら、J.Gen.Virol.(1993)74:2391−2399(例えば株1、2、3、4など)に記載されたHCVの6個の遺伝子型のいずれかを有する単離物はもちろんのこと、新たに同定された単離物、およびこれらの単離物のサブタイプ、例えばHCV1a、HCV1bなども含む単離物のいずれかからのE1およびE2ポリペプチドも含むことが容易に明らかとなる。
【0070】
それゆえ例えば「E1」または「E2」ポリペプチドという用語は、各種のHCV株のいずれかからのナイーブE1またはE2配列はもちろんのこと、下でさらに定義するような類似体、ムテインおよび免疫原性断片も指す。これらの株の多くの完全遺伝子型が既知である。例えば米国特許番号:6,150,087ならびにGenBankアクセス番号:AJ238800およびAJ238799を参照。
【0071】
加えて「E1ポリペプチド」および「E2ポリペプチド」という用語は、ナイーブ配列に対する修飾、例えば内部欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)を含むタンパク質、例えば親配列と実質的に相同であるタンパク質を含む。これらの修飾は、まるで部位特異的突然変異誘発のように意図的でありうるか、天然発生型突然変異イベントであるかのように偶発的でありうる。これらの修飾すべては、修飾されたE1およびE2ポリペプチドがその所期の目的のために機能する限り、本発明に含まれる。それゆえ例えばE1および/またはE2ポリペプチドがワクチン組成物で使用される場合、修飾は免疫活性(即ちポリペプチドに対して体液性または細胞性免疫応答を誘発する能力)が消失しないようでなければならない。一般にここで、本発明の目的では、細胞性免疫応答がポリペプチドの送達される対象で産生されうるように、ポリペプチドは少なくとも1個のT細胞エピトープを保持するであろう。
【0072】
「E1E2」またはE1E2タンパク質複合体とは、上記のような少なくとも1個のE1ポリペプチドおよび少なくとも1個のE2ポリペプチドを含有するタンパク質を意味する。このような複合体は、E2のC末端にすぐ隣接して発生するp7領域の全部または一部も含みうる。図1および2A〜2Cに示すように、p7領域は、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けられた、位置747−809(配列番号:2のアミノ酸位置575−637)にて見出される。p7タンパク質を含む代表的なE1E2複合体は本明細書では、「E1E2809」と呼ばれる。本発明の常法に有用なE1E2タンパク質複合体を含む組成物は、さらに1個以上のアジュバントを含みうる。
【0073】
E1およびE2複合体におけるE1およびE2の結合方式は重要でない。E1およびE2ポリペプチドは、非共有結合相互作用を通じて、例えば静電力を通じて、または共有結合によって結合されうる。例えば本発明のE1E2ポリペプチドは、上で定義したような免疫原性E1ポリペプチドおよび免疫原性E2ポリペプチドを含む融合タンパク質の形でありうる。融合物はE1E2キメラをコードするポリヌクレオチドから発現されうる。あるいはE1E2複合体は、別個に産生されたE1およびE2タンパク質を単に混合することによって自発的に形成しうる。同様に同時発現され、培地中に分泌されたときに、E1およびE2タンパク質は複合体を自発的に形成しうる。それゆえ該用語は、E1および/またはE2の精製時に自発的に形成されるE1E2複合体(凝集体とも呼ばれる)を含む。このような凝集体は、1個以上のE2モノマーと結合した1個以上のE1モノマーを含みうる。存在するE1およびE2モノマーの数は、少なくとも1個のE1モノマーおよび1個のE2モノマーが存在する限り、同じである必要はない。E1E2複合体の存在の検出は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などの標準タンパク質検出技法および免疫沈降などの免疫技法を使用して容易に決定される。
【0074】
「類似体」および「ムテイン」という用語は、所望の活性、例えば本明細書に記載するアッセイにおける免疫反応性を保持する、基準分子の生物活性誘導体、例えばE1E2809、またはこのような誘導体の断片を指す。一般に「類似体」という用語は、修飾が免疫原性活性を破壊しない限り、ナイーブ分子に対して1個以上のアミノ酸付加、置換(一般に本質的に保存的である)および/または欠失を持つナイーブポリペプチド配列および構造を指す。「ムテイン」という用語は、1個以上のペプチドミミック(「ペプトイド」)を有するペプチドを指す。好ましくは類似体またはムテインは、ナイーブ分子と少なくとも同じ免疫反応性を有する。ポリペプチド類似体およびムテインを作製する方法は当分野で既知であり、下でさらに記載する。
【0075】
特に好ましい類似体は、本質的に保存的である置換、即ちその側鎖にて関連するアミノ酸のファミリ内で起こる置換を含む。特に、アミノ酸は一般に4つのファミリ:(1)酸性−アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩;(2)塩基性−リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分類される。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは場合により芳香族アミノ酸として分類される。例えばロイシンのイソロイシンまたはバリンによる、アスパラギン酸塩のグルタミン酸塩による、トレオニンのセリンによる単離置換、あるいはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸による同様の保存的置換が生物活性に大きな影響を持たないことは、合理的に予測されうる。例えば興味のあるポリペプチド、例えばE1E2ポリペプチドは、分子の所望の機能が損なわれない限り、約5〜10個までの保存的または非保存的アミノ酸置換、あるいは約15〜20または50個までの保存的または非保存的アミノ酸置換、あるいは5〜50のいずれかの整数を含みうる。当業者は、当分野で周知のHopp/WoodsおよびKyte−Doolittleプロットへの参照により、変化に耐えうる興味のある分子の領域を容易に決定しうる。
【0076】
「断片」とは、無処置の全長ポリペプチド配列および構造の一部のみから成るポリペプチドを意味する。断片は、C末端欠失およびN末端欠失、および/またはナイーブポリペプチドの内部欠失を含みうる。特定のHCVタンパク質の「免疫原性断片」は一般に、問題の断片が本明細書で定義する免疫応答を誘発する能力を保持するという条件で、エピトープ、または5アミノ酸と全長配列との間の任意の整数を定義する、全長分子の少なくとも約5〜10個の連続アミノ酸残基、好ましくは全長分子の少なくとも約15〜25個の連続アミノ酸残基、および最も好ましくは、全長分子の少なくとも約20〜50個以上の連続アミノ酸残基を含む。HCV E1およびE2の既知の免疫原性断片の説明については、例えばChienら、国際公開番号:WO 93/00365を参照。
【0077】
「エピトープ」という用語は本明細書で使用するように、少なくとも約3〜5個の、好ましくは約5〜10個または15個の、そして約500個を超えないアミノ酸(またはその間のいずれかの整数)の配列を指し、単独でまたはより大きい配列の一部として、それが投与される対象において免疫応答を誘発する配列を定義する。エピトープは、このような配列に対する応答で生成された抗体に結合することが多い。断片の長さには決定的な上限がなく、タンパク質配列のほぼ全長、またはHCVポリタンパク質からの2個以上のエピトープを含む融合タンパク質さえ含みうる。本発明で使用するエピトープは、それが由来する親タンパク質の一部の正確な配列を有するポリペプチドに限定されない。実際にウイルスゲノムは一定流束の状態であり、単離物間で比較的高度の可変性を示す複数の可変ドメインを含有する。それゆえ「エピトープ」という用語は、ナイーブ配列と同一の配列はもちろんのこと、ナイーブ配列への修飾、例えば欠失、付加および置換(一般に本質的に保存的である)も含む。
【0078】
エピトープを含む所与のポリペプチドの領域は、当分野で周知のエピトープマッピング技法をいくつでも使用して同定されうる。例えばEpitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66(編者:Glenn E.Morris、1996年)Humana Press,Totowa,New Jerseyを参照。例えば直鎖エピトープは固体支持体上でタンパク質分子の一部に相当する多数のペプチドを同時に合成することと、ペプチドをなお支持体に結合させたままペプチドに抗体を反応させることとによって決定できる。このような技法は当分野で既知であり、例えば米国特許番号:4,708,871;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8J.:3998−4002;Geysenら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:178−182;Geysenら(l986)Molec.Immunol.23:709−715に記載されている。このような技法を使用して、HCVの多数のエピトープが同定されている。例えばChienら、Viral Hepatitis and Liver Disease(1994)pp.320−324、そしてさらに下を参照。同様に、高次構造エピトープは、例えばX線結晶学および2次元核磁気共鳴によって、アミノ酸の空間高次構造を決定することによって容易に同定される。例えば上のエピトープマッピングプロトコルを参照。タンパク質の抗原領域も、標準抗原性およびヒドロパシープロット、例えばOxford Molecular Groupより入手できるOmiga version 1.0ソフトウェアプログラムを使用して計算されたものを使用して同定されうる。本コンピュータプログラムは、抗原性プロフィールを決定するためにはHopp/Woods method、Hoppら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(1981)78:3824−3828を、ヒドロパシープロットにはKyte−Doolittle technique、Kyteら、J.Mol Biol.(1982)157:105−132を利用する。
【0079】
本明細書で使用するように、「高次構造エピトープ」は、全長天然タンパク質内でエピトープをコードするアミノ酸配列にとってナイーブの構造特徴を有する、全長タンパク質の一部、あるいはその類似体またはムテインを指す。ナイーブの構造特徴としては、これに限定されないが、グリコシル化および3次元構造を含む。配列を定義するエピトープの長さは、これらのエピトープが抗原の3次元形状(例えば折り畳み)によって形成されると考えられているので、幅広い変化を受けることがある。それゆえエピトープを定義するアミノ酸は、比較的数が少ないが、分子の長さに沿って広範に(あるいはダイマーなどの場合には異なる分子にすら)分散して、折り畳みによって正しいエピトープ高次構造に至らせる。エピトープを定義する残基間の抗原の部分は、エピトープの高次構造にとっては重要ではないことがある。例えばこれらの介在配列の欠失または置換は、エピトープ高次構造にとって重要な配列が維持される(例えばジスルフィド結合に関与するシステイン、グリコシル化部位など)という条件で、高次構造エピトープに影響しないことがある。
【0080】
高次構造エピトープは上述の方法を使用して容易に同定される。その上、所与のポリペプチドにおける高次構造エピトープの存在または非存在は、興味のある抗原を抗体(高次構造エピトープに対するポリクローナル血清またはモノクローナル)によってスクリーニングすることと、その反応性を、(もしあれば)直鎖エピトープのみを保持する抗原の変性体の反応性を比較することとによって、容易に決定されうる。ポリクローナル抗体を使用するこのようなスクリーニングにおいて、変性抗原を用いてポリクローナル血清を最初に吸収して、それが興味のある抗原に対する抗体を保持するかどうかを確認することが好都合でありうる。E1およびE2領域に由来する高次構造エピトープは例えば、国際公開番号:WO 94/01778に記載されている。
【0081】
本明細書で使用するように、「T細胞エピトープ」という用語は、ペプチド構造または関連ハプテンに対してT細胞免疫性を誘発できるペプチド構造の特徴を指す。T細胞エピトープは一般に、MHC分子のペプチド結合間隙内で拡張高次構造を取る直鎖ペプチド決定基を含む(Unanueら、Science(1987)236:551−557)。ポリペプチドのMHCクラスII関連直鎖ペプチド決定基(一般に長さ5〜14アミノ酸)への変換は、抗原提示細胞(APC)によって実施される「抗原処理」と呼ばれる。さらに詳細には、T細胞エピトープは、短いペプチド構造の局所的な特徴、例えば電荷および疎水性を含む1次アミノ酸配列特性、およびポリペプチド全体の折り畳みに依存しないらせん性などのある種類の2次構造によって定義される。さらにヘルパーT細胞による認識が可能である短いペプチドは一般に、疎水性側(MHC分子との相互作用のため)および親水性側(T細胞受容体との相互作用のため)を含む、両親媒性構造であることと(Margalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes、New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc、編者:G.C.Woodrowら(1990)pp.109−116)、さらに両親媒性構造がα−らせん配置を有することが考えられる(例えばSpougeら、J.Immunol.(1987)138:204−212;Berkowerら、J.Immunol.(1986)136:2498−2503)。
【0082】
それゆえT細胞エピトープを含むタンパク質のセグメントは、多数のコンピュータプログラムを使用して容易に予測されうる。(例えばMargalitら、Computer Prediction of T−cell Epitopes,New Generation Vaccines Marcel−Dekker,Inc,ed.G.C.Woodrowら(1990)pp.109−116)。このようなプログラムは一般に、ペプチドのアミノ酸配列を、T細胞応答を誘発することが既知の配列と比較して、T細胞エピトープに必要と考えられるアミノ酸のパターンを検索する。
【0083】
HCV抗原または組成物に対する「免疫応答」は、興味のある組成物中に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の対象における発生である。本発明の目的のために、「体液性免疫応答」は抗体分子によって媒介される免疫応答を指し、これに対して「細胞性免疫応答」はT−リンパ球および/または他の白血球によって媒介される免疫応答である。細胞免疫性の1つの重要な態様は、細胞溶解性T細胞(「CTL」による抗原特異性応答を含む。CTLは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされるタンパク質と関連して提示され、細胞表面にて発現されるペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはこのような微生物に感染した細胞の溶解を誘発および促進するのを助ける。細胞免疫性の1つの重要な態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異性応答を含む。ヘルパーT細胞は、機能の刺激を促すように作用して、MHC細胞とその表面で結合したペプチド抗原を提示する細胞に対して非特異性エフェクタ細胞の活性を集中させる。「細胞性免疫応答」は、サイトカイン、ケモカインならびにCD4+およびCD8+T細胞に由来する分子を含めて、活性化されたT細胞および/または他の白血球によって産生された他のそのような分子の産生も指す。細胞性免疫応答を誘発する組成物またはワクチンは、細胞表面でMHC細胞と結合した抗原の提示によって脊椎動物対象を感作させるように作用しうる。細胞媒介免疫応答は、その表面で細胞提示抗原またはその付近に向けられている。加えて抗原特異性T−リンパ球は、免疫化宿主の将来の保護を可能にするために生成されうる。特定の抗原が細胞媒介免疫応答を刺激する能力は、多数のアッセイによって、例えばリンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ;CTL細胞毒性細胞アッセイによって、あるいは感作された対象において抗原に対して特異的なT−リンパ球をアッセイすることによって決定されうる。このようなアッセイは当分野で周知である。例えばEricksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376を参照。
【0084】
それゆえ免疫応答は本明細書で使用するように、CTLの産生、および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激する免疫応答でありうる。興味のある抗原は、例えば結合(NOB)抗体の中和を含む抗体媒介免疫応答も誘発しうる。NOB抗体応答の存在は、例えばRosaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1996)93:1759に記載された技法によって容易に決定される。それゆえ免疫応答は、次の効果:B細胞による抗体の産生および/または興味のある組成物またはワクチン中に存在する1個または複数の抗原に対して特異的に作られたサプレッサT細胞および/またはγδT細胞の活性化の1つ以上を含みうる。これらの応答は、免疫化された宿主に対する保護または緩和を提供するために、感染性を中和する、ならびにあるいは抗原−補体、または抗原依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように作用しうる。このような応答は、当分野で周知である標準イムノアッセイおよび中和アッセイを使用して決定されうる。
【0085】
「単離された」とは、ポリペプチドを指すときに、示された分子が、該分子が天然で見出される、または同じ種類の他の生体巨大分子の実質的な非存在下で存在する生物全体から隔離および分離されていることを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された」という用語は、天然で通常それと結合されている配列;または天然に存在するが、それと結合した異種配列を有する配列;または染色体から解離した分子の、全体または一部を含まない核酸分子である。
【0086】
「同等の抗原決定基」は、HCVの異なる亜種または株からの、例えば抗原決定基が配列変異のために必ずしも同一でないが、問題のHCV配列における同等の位置に発生するHCVの株1、2、3などからの、抗原決定基である。一般に同等の抗原決定基のアミノ酸配列は、2個の配列が比較されたときに、高度の配列相同性、例えば30%を超える、通例40%を超える、例えば60%を超えるアミノ酸配列相同性、さらには80〜90%を超える相同性を有するであろう。
【0087】
「相同性」は、2個のポリヌクレオチドまたは2個のポリペプチド部分の間の同一性パーセントを指す。2個のDNA、または2個のポリペプチド配列は、配列が分子の定義された長さに対して少なくとも50%の、好ましくは少なくとも75%の、さらに好ましくは少なくとも約80%〜85%の、好ましくは少なくとも約90%の、最も好ましくは少なくとも約95%〜98%の配列同一性を示すときに、相互に対して「実質的に相同性」である。本明細書で使用するように、実質的相同性は、規定したDNAまたはポリペプチド配列に対して完全な同一性を示す配列も指す。
【0088】
一般に「同一性」は、2個のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列それぞれの、正確なヌクレオチド‐ヌクレオチドまたはアミノ酸−アミノ酸の対応を指す。同一性パーセントは、配列を比較することと、2個の比較された配列間の正確な一致数をカウントすることと、より短い配列の長さによって割ることと、結果に100を掛けることによって、2個の分子間の配列情報の直接比較によって決定されうる。容易に入手可能なコンピュータプログラム、例えばペプチド解析のためにSmith and Waterman Advances in Appl.Math.2:482−489、1981年の局所相同性アルゴリズムを採用する、Atlas of Protein Sequence and Structure M.O.Dayhoff編、5 Suppl.3:353−358,National biomedical Research Foundation,Washington,DCのALIGN,Dayhoff,M.O.を使用して解析を補助できる。ヌクレオチド配列同一性を決定するプログラム、例えばまたSmith and Watermanアルゴリズムに依存するBESTFIT、FASTAおよびGAPプログラムは、Wisconsin Sequence Analysis Package、Version 8(Genetics Computer Group,Madison,WIより入手できる)で利用できる。これらのプログラムは、メーカーが推奨する、そして上で言及したWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されているデフォルトパラメータを用いて容易に利用される。例えば特定のヌクレオチド配列の基準配列に対する同一性パーセントは、デフォルトのスコアリングテーブルおよび6個のヌクレオチド位置のギャップペナルティを用いて、Smith and Watermanの相同性アルゴリズムを使用して決定されうる。
【0089】
本発明の文脈で同一性パーセントを確立する別の方法は、University of Edinburghが著作権を有し、John F.CollinsおよびShane S.Sturrokが開発して、IntelliGenetics,Inc.(Mountain View,CA)によって配布されたプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。この1組のパッケージから、デフォルトパラメータ(例えばギャップオープンペナルティ12、ギャップ拡張ペナルティ1、およびギャップ6)がスコアリングテーブルに使用されるSmith−Watermanアルゴリズムが利用されうる。生成されたデータから、「Match」値は「配列同一性」を反映する。配列間の同一性または類似性パーセントを計算するための他の適切なプログラムは一般に当分野で既知であり、例えば別の配列比較プログラムはデフォルトパラメータと共に使用されるBLASTである。例えばBLASTNおよびBLASTPは、次のデフォルトパラメータを用いて使用されうる:遺伝暗号=標準;フィルタ=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予想=10;マトリクス=BLOSUM62;記述=50配列;ソート=HIGH SCORE;データベース=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は当分野で周知である。
【0090】
あるいは相同性は、相同性領域間に安定な2本鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションと、続く(複数の)1本鎖特異性ヌクレアーゼによる消化、および消化された断片のサイズ決定によって決定されうる。実質的に相同性であるDNA配列は、例えば特定の系について定義されるような厳密性条件下にてサザンハイブリダイゼーション実験で同定されうる。適切なハイブリダイゼーション条件の定義は、当分野の技術の範囲内である。例えばSambrookら、同上;DNA Cloning、同上;Nucleic Acid Hybridization,同上を参照。
【0091】
「縮重変異体」という用語は、縮重変異体が由来するポリヌクレオチドによってコードされたポリヌクレオチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、その核酸配列に変化を含有するポリヌクレオチドを意味する。それゆえE1E2809 DNAの縮重変異体は、分子が由来するが、同じE1E2809アミノ酸配列をコードするDNA配列の1個以上の塩基の相違を持つ分子である。
【0092】
「コード配列」即ち選択したポリペプチドを「コードする」配列は、適切な制御配列の管理下に配置されたときに、試験管内または生体内に転写(DNAの場合)および翻訳(mRNAの場合)される核酸分子である。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列の3’側に位置しうる。E1/E2では、ポリタンパク質には停止開始コドンは当然発生しない。当業者に既知の各種の技法および本明細書に与えた実施例を使用して、開始コドンと、場合により分泌またはリーダー配列とをさらに含むE1/E2融合タンパク質を含む、合成タンパク質発現構築物が作製されうる。
【0093】
「核酸」分子または「ポリヌクレオチド」は2本鎖および1本鎖配列の両方を含むことができ、これに限定されないが、ウイルス、原核または真核mRNAからのcDNA、ウイルス(例えばDNAウイルスおよびレトロウイルス)または原核DNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列を指す。用語は、DNAおよびRNAの既知の塩基類似体のいずれかを含む配列も取り込む。
【0094】
「HCVポリヌクレオチド」は、上で定義したようなHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである。
【0095】
「操作可能に連結された」は、そのように記載された成分がその所望の機能を実施するように構成されている要素の配置を指す。それゆえコード配列に操作可能に連結された所与のプロモータは、例えば適正な転写因子が存在するときにコード配列の発現に影響を及ぼすことができる。プロモータは、その発現を指示するように機能する限り、コード配列と隣接する必要はない。それゆえ例えば、介在する未翻訳であるが転写された配列は、転写イントロンが可能であるようにプロモータ配列とコード配列との間に存在可能であり、プロモータ配列はコード配列になお「操作可能に連結される」と見なされうる。
【0096】
「組み換えの」は、核酸分子を説明するために本明細書で使用するように、その起源または操作のためにそれが自然界で結合されているポリヌクレオチドの全体または一部と結合していない、ゲノム、cDNA、ウイルス性、半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。「組み換えの」という用語は、タンパク質またはポリペプチドに関して使用するように、組み換えポリヌクレオチドの発現によって産生されたポリペプチドを意味する。一般に、下でさらに説明されるように、興味のある遺伝子はクローニングされ、次に形質転換された生物内で発現される。宿主生物は、発現条件下で外来遺伝子を発現して、タンパク質を産生する。
【0097】
「調節要素」は、それが連結されるコード配列の発現を補助するポリヌクレオチド配列を指す。用語はプロモータ、転写終結配列、上流制御ドメイン、ポリアデニル化シグナル、5’−UTRおよび3’−UTRを含む未翻訳領域、適切な場合には、宿主細胞内のコード配列の転写および翻訳を集合的に供給するリーダー配列およびエンハンサを含む。
【0098】
「プロモータ」は本明細書で使用するように、宿主細胞内でRNAポリメラーゼを結合して、それに操作可能に連結された下流(3’方向)コード配列の転写を開始することができるDNA制御領域である。本発明の目的では、プロモータ配列は、バックグラウンドを超える検出可能なレベルで興味のある遺伝子の転写を開始するのに必要な最低限の数の塩基および要素を含む。プロモータ配列内には、転写開始部位はもちろんのこと、RNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)もある。真核プロモータは、必ずではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有することが多い。
【0099】
調節配列は、RNAポリメラーゼがプロモータ配列に結合して、コード配列をmRNA内に転写するときに、細胞におけるコード配列の「転写を指示して」、次にmRNAがコード配列によってコードされたポリペプチド内に翻訳される。
【0100】
「発現カセット」または「発現構築物」は、興味のある(複数の)配列または(複数の)遺伝子の発現を指示できるアセンブリを指す。発現カセットは、上記のような調節要素、例えば興味のある(複数の)配列または(複数の)遺伝子に(その転写を指示するために)操作可能に連結され、ポリアデニル化配列も含むことが多い。本発明の範囲内で、本明細書に記載する発現カセットはプラスミド構築物内に含有されうる。発現カセットの構成要素に加えて、プラスミド構築物は1個以上の選択可能なマーカー、プラスミド構築物を1本鎖DNAとして存在させるシグナル(例えばM13複製起点)、少なくとも1個の多重クローニング部位、および「哺乳類」複製起点(例えばSV40またはアデノウイルス複製起点)も含みうる。
【0101】
「形質転換」は本明細書で使用するように、挿入に使用する方法とは無関係に、外来性ポリヌクレオチドの宿主細胞内への挿入:例えば直接摂取による形質転換、形質移入、感染などを指す。形質転換の詳細な方法については、さらに下を参照。外来性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター、例えばエピソームとして維持されうるか、あるいは宿主ゲノム内に組み込まれうる。
【0102】
「核酸免疫化」とは、免疫原の生体内発現のために、1個以上の選択した免疫原、例えばE1E2複合体を宿主細胞内にコードする核酸分子の導入を意味する。核酸分子は、例えば注射、吸入、経口、経鼻および粘膜投与などによってレシピエント対象に直接導入されうるか、または宿主から取り出された細胞内へ生体外で導入されうる。後者の場合、形質転換細胞は対象内に再導入されて、そこで免疫応答を核酸分子によってコードされた免疫原に対して開始させることができる。
【0103】
「アルファウイルス」という用語は、当分野でその在来の意味を有し、東部ウマ脳炎ウイルス(EEE)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、エバーグレーズウイルス、ムカンボウイルス、ピクスナウイルス、西部脳炎ウイルス(WEE)、シンドビスウイルス(SIN)、南アフリカアルボウイルスNo.86(S.A.AR86)、ガードウッドS.A.ウイルス、オッケルボーウイルス、セムリキフォレストウイルス、ミドルバーグウイルス、チクングニヤウイルス、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、バーマフォレストウイルス、ゲタウイルス、サグリヤマ(Saglyama)ウイルス、ベバルウイルス、マヤロウイルス、ウナウイルス、アウラウイルス、ワタロアウイルス、ババンキウイルス、Kyzlagachウイルス、ハイランズJウイルス、フォートモーガンウイルス、ヌヅム(Ndumu)ウイルス、バギークリークウイルス、および国際ウイルス命名委員会(ICTV)によってアルファウイルスとして分類された他の任意のウイルスを含む。本発明で使用するための好ましいアルファウイルスは、SIN株、VEE株、オッケルボーウイルス、およびそのキメラウイルスである。
【0104】
「ウイルスベクター」は、興味のある核酸分子、例えばE1E2複合体をコードするポリヌクレチドを運搬する、そしてある実施形態においては、その発現を指示することができる核酸構築物を指す。ウイルスベクターは、DNA、RNA、および組み換えレプリコン粒子を含む、複数の形式で利用されうる。それゆえ本明細書で使用するように、ウイルスベクターという用語は、ウイルス粒子の形で与えられる核酸、例えば不完全キメラアルファウイルス粒子を含む。
【0105】
「アルファウイルスベクター」は、興味のある核酸分子、例えばE1E2複合体をコードするポリヌクレチドを運搬する、そしてある実施形態においては、その発現を指示することができる核酸構築物を指す。アルファウイルスベクターは、DNA、RNA、および組み換えレプリコン粒子を含む、複数の形式で利用されうる。 このようなレプリコンベクターは、例えばシンドビスウイルス、セムリキフォレストウイルス、および/またはベネズエラウマ脳炎ウイルスを含むアルファウイルスに由来している。例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:5,789,245;5,814,482;および6,376,235ならびにWO 02/099035を参照。
【0106】
「アルファウイルスRNAレプリコンベクター」、「RNAレプリコンベクター」、「レプリコンベクター」または「レプリコン」という用語は、標的細胞内でそれ自体の増幅または生体内自己複製を指示できるRNA分子を指す。それ自体の増幅を指示するために、RNA分子は、RNA増幅を触媒するのに必要な(複数の)ポリメラーゼ(例えばアルファウイルス非構造タンパク質、nsP1、nsP2、nsP3、nsP4)をコードして、コードされた(複数の)ポリメラーゼによって認識および利用される、増幅に必要なcisRNA配列も含有すべきである。アルファウイルスRNAベクターレプリコンは通例、次の順序付けられた要素を含有する:非構造タンパク質媒介増幅に必要な5’ウイルスまたは細胞配列(5’CSE、または5’cis複製配列、または増幅のためにcisで必要とされる5’ウイルス配列、またはアルファウイルスの転写を開始できる5’配列とも呼ばれうる)、発現されたときに、生物活性アルファウイルス非構造タンパク質をコードする配列(例えばnsPl、nsP2、nsP3、nsP4)、および非構造タンパク質媒介増幅に必要な3’ウイルスまたは細胞配列(3’CSE、または増幅のためにcisで必要とされる3’ウイルス配列、またはアルファウイルスRNAポリメラーゼ認識配列とも呼ばれうる)。アルファウイルスRNAベクターレプリコンは、1個以上の異種配列、例えばある実施形態において、サブゲノム断片のウイルス転写を増加または減少させるために、あるいは不完全ヘルパーまたは構造タンパク質発現カセットとの相同性を低下させるために修飾されうるIRESまたはウイルス(例えばアルファウイルス)サブゲノムプロモータ(例えば結合領域プロモータ)、および1個以上の発現される異種配列を発現させる手段も含有すべきである。 ベクターとして使用される場合、レプリコンは追加の配列、例えば1個以上のポリペプチド(例えばタンパク質コード遺伝子または3’近位遺伝子)および/またはポリアデニレートトラクトをコードする1個以上の異種配列も含有するであろう。
【0107】
本明細書で使用するように、「キメラアルファウイルス粒子」および「キメラアルファウイルスレプリコン粒子」という用語は、特に(例えば他のウイルスからの)カプシドおよび/またはエンベロープ糖タンパク質が由来するアルファウイルス以外のアルファウイルスに由来する核酸を含有するように修飾または組み換えられた、キメラまたはキメラ粒子、例えばウイルス、あるいはウイルス様粒子を指す。このような粒子において、アルファウイルスに由来する核酸は、これに限定されないが、ゲノム長(非構造および構造タンパク質をコードする)およびレプリコン長(1個以上の構造タンパク質が削除された)を含む、いくつもの異なる長さのうち1つを含むRNA分子である。例えば、そして制限としてではないが、キメラレプリコン粒子としては、VEE糖タンパク質エンベロープによって包囲された、シンドビスウイルスRNA結合ドメインおよびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)エンベロープ糖タンパク質相互作用ドメインを有するカプシド内のシンドビスウイルス(SIN)レプリコンRNAおよび/またはnsP3の欠失、nsP3の欠失内に挿入されたSINパッケージングシグナルならびにSINに由来するカプシドおよびエンベロープタンパク質を有するVEEレプリコンRNAが挙げられる。キメラアルファウイルスベクターは例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許公報:20030232324および20030148262に記載されている。
【0108】
好ましい実施形態において、本発明はキメラである欠損アルファウイルス粒子を利用する。本明細書で使用するように、「欠損アルファウイルス粒子」という用語は、細胞内での感染時にそのRNAのコピーを生成することができ、それによりアルファウイルスでコードされたいずれの外来性遺伝子も発現するが、ウイルスが感染後に新たなウイルス粒子の産生に必要な1つ以上の機能を欠いている、ウイルス粒子を指す。通例、このような欠損アルファウイルス粒子には、新たな粒子の生成に必要な1個以上の構造遺伝子が不足している。(例えばWO/61772を参照)。
【0109】
免疫原性組成物の「有効量」または「製薬的有効量」という用語は、本明細書で与えるように、組成物の非毒性であるが、所望の応答、例えば免疫応答、および場合により対応する治療効果を与えるのに十分な量を指す。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、治療される状態の重症度、興味のある特定の巨大分子、投与様式などによって、対象間で変化するであろう。いずれの個体においても適切な「有効」量は、日常的な実験を使用して当業者によって決定されうる。
【0110】
「脊椎動物対象」とは、制限なく、ヒトおよび非ヒト霊長類、例えばチンパンジーおよび他の類人猿およびサル種を含む他の霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの農場動物;イヌおよびネコなどの家畜化哺乳類;マウス、ラットおよびモルモットなどのげっ歯類を含む実験用動物;ニワトリ、シチメンチョウおよび他の家禽鳥、アヒル、ガチョウなどの飼育鳥、野生鳥および猟鳥を含む鳥類;を含む多数の脊索動物亜門を意味する。該用語は特定の年齢を示さない。それゆえ成人および新生個体の両方が含まれるものとする。本明細書に記載する本発明は、これらの脊椎動物すべての免疫系が同様に作用するので、上の脊椎動物のいずれにおいても使用されるものとする。
【0111】
「治療」という用語は本明細書で使用するように、(1)感染または再感染の防止(予防)、あるいは(2)興味のある疾患の症状の低減または除去(治療)のどちらかを指す。
【0112】
2.本発明を実施する様式
本発明を詳細に説明する前に、本発明が、それ自体がもちろん変化しうる、特定の調合物またはプロセスパラメータに限定されないことが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は本発明の特定の実施形態を説明することのみを目的としており、制限するものではないことは理解されるべきである。
【0113】
本明細書に記載するのと同様または同等の多数の方法および材料が本発明の常法で使用されうるが、好ましい材料および方法が明細書に記載される。
【0114】
本発明の中核を成すのは、HCV E1E2タンパク質複合体の1回以上の初期投与と、続くHCV E1E2をコードする核酸構築物を含むウイルスベクターによるブーストを使用した免疫化方法が高度のHCV CD8+T細胞応答を生じるという発見である。それゆえさらに詳細に後述するように、対象は1回以上の免疫化において、最初にE1E2複合体、例えばE1E2809DNAを使用して発現された複合体を投与される。E1E2複合体を含む組成物は、アジュバント、例えば詳細に後述するサブミクロン水中油型エマルジョンも含有しうる。対象は次に、E1E2複合体をコードする核酸構築物を含むウイルスベクター組成物、例えばE1E2複合体をコードするアルファウイルスレプリコン粒子を含有するウイルスベクター組成物によってブーストされる。核酸構築物によってコードされたE1E2複合体は、最初に使用したのと同じE1E2複合体でありうるか、または免疫応答が生成される限り、さらに後述するような他のE1E2タンパク質をコードしうるかのどちらかである。それゆえ例えばE1E2809DNAに由来する複合体を使用して免疫応答をプライミングする場合、対象はE1E2809をコードする核酸、または別のE1E2タンパク質、例えばE1E2746をコードする核酸を含む組成物によってブーストされうる。好ましい実施形態において、本明細書に記載するようなウイルスベクターは、キメラアルファウイルス粒子でありうる、欠損アルファウイルス粒子である。
【0115】
加えて上の組成物は、単独で、あるいは他の組成物、例えば他のHCVタンパク質を含む組成物、他のHCVタンパク質をコードするDNAを含む組成物はもちろんのこと、補助物質、例えば免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびケモカイン、これに限定されないが、サイトカイン、例えばIL−1、1L−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12などを含むケモカイン(例えば国際公開番号:WO 99/44636)、修飾IL−2(cys125→ser125)、GM−CSF、M−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンおよびペグ化インターフェロン、例えばγ−インターフェロン、IP−10、MIPIβ、FLP−3、リバビリン、RANTES、siRNA、アンチセンスRNA、ポリメラーゼ、ヘリカーゼ、GTPase、ATPase、プロテアーゼ、グリコシル化、メタロプロテアーゼ、および/またはIRESの阻害薬を含む組成物で使用されうる。それゆえ本発明は、HCV感染を治療するための他の治療計画によって使用されうる。他の組成物と組み合せて使用する場合、このような組成物はE1E2組成物の前に、E1E2組成物と同時に、またはE1E2組成物の次に投与されうる。
【0116】
本発明をさらに理解するために、以下E1E2タンパク質および核酸組成物、ならびに本方法で使用する追加の組成物に関してより詳細に考察する。
【0117】
E1E2ポリペプチド
上で説明したように、本発明の方法において、対象における免疫応答は、E1E2複合体を含む組成物の1回以上の投与を使用してプライミングされる。対象は次にE1E2核酸構築物を使用してブーストされる。E1、E2およびp7は、ヒトT細胞エピトープ(CD4+およびCD8+)を含有することが既知である。E1E2複合体は、非共有結合または共有結合相互作用のどちらかによって結合された1個以上のT細胞エピトープを含むE1およびE2ポリペプチドを含む。その上、特異性保存T細胞エピトープの複数のコピー、例えば異なる遺伝子型からのエピトープの合成物は、E1E2複合体で使用されうる。
【0118】
HCV E1ポリペプチドは糖タンパク質であり、約アミノ酸192からアミノ酸383(HCV−1のポリタンパク質に対して番号付けられた)まで延伸する。例えばChooら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1991)88:2451−2455を参照。173付近から約199までのアミノ酸は、E1のシグナル配列を表す。HCV E2ポリペプチドも糖タンパク質であり、約アミノ酸383または384からアミノ酸746まで延伸する。E2のシグナルペプチドは、ポリタンパク質の約アミノ酸364にて開始する。それゆえ「全長」E1または「切断されていない」E1という用語は本明細書で使用するように、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸192〜383(HCV−1に対して番号付けられた)を含むポリペプチドを指す。E2に関して、「全長」または「切断されていない」という用語は本明細書で使用するように、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸383または384からアミノ酸746(HCV−1に対して番号付けられた)を含むポリペプチドを指す。本開示から明らかとなるように、本発明で使用するE1E2ポリペプチドは、p7領域からの追加のアミノ酸、例えばアミノ酸747−809を含みうる。
【0119】
E2は複数の種として存在し(Spaeteら、Virol.(1992)188:819−830;Selbyら、J.Virol.(1996)70:5177−5182;Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;Tomeiら、J.Virol.(1993)67:4017−4026)、E1およびE2ポリペプチドのNおよびC末端でクリッピングおよびタンパク質分解が発生しうる。それゆえE1E2複合体で見出されたようなE2ポリペプチドは、全長HCV−1ポリタンパク質に対して番号付けされた、HCVポリタンパク質の少なくともアミノ酸405−661、例えば400、401、402...661、例えば383または384−661、383または384−715、383または384−746、383または384−749あるいは383または384−809、あるいは383または384から661−809間のいずれかのC末端までを含みうる。同様に、本明細書で使用するための好ましいE1ポリペプチドは、HCVポリタンパク質のアミノ酸192−326、192−330、192−333、192−360、192−363、192−383、または192から326−383間のいずれかのC末端を含みうる。
【0120】
E1E2複合体はまた、エピトープ、好ましくはT細胞エピトープを含むE1およびE2の免疫原性断片より成りうる。例えばE1ポリペプチドの断片は、約5から分子のほぼ全長まで、例えばE1ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、125、150、175、185以上のアミノ酸、または示された数字の間のいずれかの整数を含みうる。同様にE2ポリペプチドの断片は、E2ポリペプチドの6、10、25、50、75、100、150、200、250、300、または350アミノ酸、あるいは示された数字の間のいずれかの整数を含みうる。E1およびE2ポリペプチドは、同じまたは異なるHCV株からでありうる。
【0121】
例えばE2の超可変領域、例えばアミノ酸384−410または390−410に及ぶ領域に由来するエピトープがE2ポリペプチドに含まれうる。E2配列中に包含するために特に有効なE2エピトープは、この領域に由来するコンセンサス配列、例えばHCVタイプ1ゲノムのアミノ酸390〜410のコンセンサス配列に相当する、コンセンサス配列Gly−Ser−Ala−Ala−Arg−Thr−Thr−Ser−Gly−Phe−Val−Ser−Leu−Phe−Ala−Pro−Gly−Ala−Lys−Gln−Asn(配列番号:3)を含むE2エピトープである。E1およびE2の追加のエピトープは既知であり、例えばChienら、国際公開番号:WO 93/00365に記載されている。
【0122】
その上、複合体のE1およびE2ポリペプチドは、膜貫通ドメインの全部または一部が不足している。膜アンカー配列は、ポリペプチドを小胞体に結合するように機能する。通常、そのようなポリペプチドは、タンパク質を発現する生物が培養される成長培地中への分泌が可能である。しかしながら国際公開番号:WO 98/50556に記載されているように、このようなポリペプチドも細胞内に回収されうる。成長培地中への分泌は、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動などを含む多数の検出技法、および例えば1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301に記載されたような免疫沈降アッセイなどの免疫技法を使用して容易に決定される。E1では、一般に約アミノ酸位置370以上(HCV−1 E1の番号付けに基づいて)で終結するポリペプチドはERによって保持され、それゆえ成長培地中には分泌されないであろう。E2では、一般に約アミノ酸位置731以上(またHCV−1 E2配列の番号付けに基づいて)で終結するポリペプチドはERによって保持され、成長培地中には分泌されないであろう。(例えば1996年2月15日に公開された国際公開番号:WO 96/04301を参照)。これらのアミノ酸位置が絶対でなく、ある程度まで変化しうることに注目すべきである。それゆえ本発明は、膜貫通結合ドメインを保持するE1およびE2ポリペプチドの使用はもちろんのこと、約アミノ酸369以下で終結するE1ポリペプチド、および約アミノ酸730以下で終結するE2ポリペプチドを含む、膜貫通結合ドメインの全部または一部を欠いたポリペプチドの使用も、本発明に取り入れられるものとすることを考慮する。さらにC末端切断は、膜貫通ドメインを超えてN末端まで延伸しうる。それゆえ、例えば360未満の位置で発生するE1切断および例えば715未満の位置で発生するE2切断も本発明に含まれる。必要なのは切断E1およびE2ポリペプチドがその所期の目的について機能性を維持していることだけである。しかしながら特に好ましい切断E1構築物は、約アミノ酸300を超えて延伸しない切断E1構築物である。最も好ましいのは、位置360で終結するものである。好ましい切断E2構築物は、約アミノ酸位置715を超えて延伸しないC末端切断のある切断E2構築物である。特に好ましいE2切断は、アミノ酸715−730のいずれか、例えば725の後に切断された分子である。切断分子が使用される場合、どちらも切断されたE1およびE2分子を使用することが好ましい。
【0123】
E1およびE2ポリペプチドおよびその複合体もアシアロ糖タンパク質として存在しうる。このようなアシアロ糖タンパク質は、当分野で既知の用法によって、例えば末端グリコシル化が遮断される細胞を使用することによって産生される。これらのタンパク質がこのような細胞内で発現され、GNAレクチンアフィニティクロマトグラフィーによって分離されるとき、E1およびE2タンパク質は自発的に凝集する。これらのE1E2凝集体を産生する詳細な方法は、米国特許番号:6,074,852に記載されている。
【0124】
その上、E1E2複合体は、上記のようにクリッピングおよびタンパク質分解開裂のために、分子の異質混合物を含みうる。それゆえE1E2複合体を含む組成物は、E1E2の複数の種、例えばアミノ酸746で終結するE1E2(E1E2746),アミノ酸809で終結するE1E2(E1E2809)、または上記の他の各種のE1およびE2分子のいずれか、例えば1〜20個のアミノ酸のN末端切断のあるE2分子、例えばアミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403にて開始E2種などを含みうる。
【0125】
便宜上、E1およびE2領域は一般にChooら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載されたようなHCV−1aに対するアミノ酸数に関して定義されることに注目すべきであり、イニシエータメチオニンは位置1と示される。しかしながら本発明で使用するポリペプチドは、HCV−1aに由来するポリペプチドに限定されない。HCVのいずれの株または単離物も、本発明で使用するための免疫原性配列を供給するための基本として作用しうる。この点で、別のHCV単離物における対応する領域は、配列を最大アラインメントにするような方法で2個の単離物からの配列を比較することによって容易に決定されうる。
【0126】
HCVの各種の株および単離物は当分野で既知であり、ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の変化によって相互に異なっている。例えば単離物HCV Jl.1は、Kuboら(1989)Japan.Nucl.Acids Res.17:10367−10372;Takeuchiら(1990)Gene 91:287−291;Takeuchiら(1990)J.Gen.Virol.71:3027−3033;およびTakeuchiら(1990)Nucl.Acids Res.18:4626に記載されている。2個の独立単離物HCV−JおよびBKの完全コード配列は、Katoら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:9524−9528およびTakamizawaら(1991)J.Virol.65:1105−1113によってそれぞれ記載されている。HCV−1単離物は、Chooら(1990)Brit.Med.Bull 46:423−441;Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455およびHanら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1711−1715によって記載されている。HCV単離物HC−J1およびHC−J4は、Okamotoら(1991)Japan J.Exp.Med.60:167−177に記載されている。HCV単離物HCT 18、HCT 23、Th、HCT 27、EClおよびEC10は、 Weinerら(1991)Virol.180:842−848に記載されている。HCV単離物Pt−1、HCV−K1およびHCV−K2は、Enomotoら(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.170:1021−1025に記載されている。HCV単離物A、C、D&Eは、Tsukiyama−Koharaら(1991)Virus Genes 5:243−254に記載されている。本発明の組成物および方法に使用するためのHCV E1E2ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、HCVの上で引用した株のいずれかから、または感染患者の組織または体液から単離した新たに発見された単離物から得られる。
【0127】
E1E2複合体は、融合タンパク質として、または例えば宿主細胞と、興味のあるE1およびE2ポリペプチドをコードする構築物によって宿主細胞を同時形質移入することのどちらかによって、組み換えにより容易に産生されうる。同時形質移入は、トランスまたはシスのどちらかで、即ち別個のベクターを使用することによって、またはE1およびE2遺伝子の両方を持つ単一ベクターを使用することによってのどちらかにより達成されうる。単一のベクターを使用して実施した場合、どちらの遺伝子も単一のセットの調節要素によって駆動されうるか、あるいは遺伝子は個々の発現カセット内のベクターに存在して、個々の調節要素によって駆動されうる。発現の後に、E1およびE2タンパク質は自発的に結合するであろう。あるいは複合体は、精製形または半精製形のどちらかで別個に産生された個々のタンパク質を共に混合することによって、あるいはタンパク質が分泌される場合、タンパク質を発現する宿主細胞が培養された培地を混合することによって形成されうる。最後に、本発明で使用するためのE1E2複合体は、E1の所望の部分がE2の所望の部分に融合された融合タンパク質として発現されうる。
【0128】
培地中に分泌される全長、切断E1およびE2タンパク質からはもちろんのこと、細胞内産生切断タンパク質からもE1E2複合体を産生する方法は、当分野で既知である。例えばこのような複合体は、米国特許番号:6,121,020;Ralstonら、J.Virol.(1993)67:6753−6761,Grakouiら、J.Virol.(1993)67:1385−1395;およびLanfordら、Virology(1993)197:225−235に記載されているように組み換えによって産生されうる。
【0129】
E1E2複合体をコードする核酸構築物
E1、E2およびE1E2タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、HCVゲノム全体よりも少なく含有し、RNAあるいは1本鎖または2本鎖DNAでありうる。好ましくは、ポリヌクレオチドは他の成分、例えばタンパク質および脂質を含まずに単離される。ポリヌクレオチドは、上記のようにE1およびE2ポリペプチドおよびその複合体をコードして、それゆえそのコード配列を含む。本発明のポリヌクレオチドは、他の非HCVヌクレオチド配列、例えばグルタチオン−S−トランスフェラーゼおよびブドウ球菌タンパク質Aなどのタンパク質精製に有用なリンカ、シグナル配列またはリガンドをコードする配列も含みうる。
【0130】
各種のHCVポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、HCV感染個体の例えば血漿、血清、または肝臓ホモジネートに存在する核酸配列に由来するゲノムライブラリから単離されうるか、あるいは例えば自動合成装置を使用して実験室で合成されうる。PCRなどの増幅方法を使用して、HCVゲノムDNAまたはそれをコードするcDNAのどちらかからポリヌクレオチドを増幅できる。
【0131】
ポリヌクレオチドは、自然に発生するこれらのポリペプチドのコード配列を含みうるか、または自然に発生しない人工配列を含みうる。例えばE1E2タンパク質はより大きな融合タンパク質の一部であるため、E1E2タンパク質のメチオニン開始コドンおよびリーダー配列を供給することが有用でありうる。これらのポリヌクレオチドは標準分子生物学技法を使用して結合され、E1E2複合体のコード配列を形成しうる。所望ならば、本発明の融合タンパク質を細胞培養物中で発現させ、細胞培養物から単離するために、ポリヌクレオチドを発現ベクター内にクローニングし、例えば細菌、酵母、昆虫、または哺乳類細胞に形質転換することができる。
【0132】
E1E2タンパク質をコードする本発明の発現構築物、またはE1およびE2をコードする配列を含む個々の発現構築物は、HCV E1/E2タンパク質をコードおよび発現するウイルスベクターを使用して免疫応答、例えば細胞免疫応答をブーストおよび刺激するために、核酸免疫化に使用されうる。好ましい実施形態において、ウイルスベクターはキメラアルファウイルス粒子である欠損アルファウイルス粒子である。
【0133】
本発明で使用するためのリポソーム調製物は、カチオン性(正に帯電)、アニオン性(負に帯電)および中性調製物を含み、カチオン性リポソームが特に好ましい。カチオン性リポソームは容易に入手できる。例えばN[1−2,3−ジオレイルオキシ]プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、GIBCO BRL,Grand Island,NYから商標リポフェクチンで入手できる(例えばFelgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1987)84:7413−7416も参照)。他の市販の脂質としては、トランスフェクテース(DDAB/DOPE)およびDOTAP/DOPE(Boerhinger)が挙げられる。他のカチオン性リポソームは、当分野で周知の技法を使用して、容易に入手できる物質から調製されうる。DOTAP(1,2−ビス(オレオイロキシ)−3−(トリメチルアンモニオ)プロパン)リポソームの合成の説明については、例えばSzokaら、Proc.Natl Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;PCT公開番号:WO 90/11092を参照。各種のリポソーム−核酸複合体は、当分野で既知の方法を使用して調製される。例えばStraubingerら、METHODS OF IMMUNOLOGY(1983)、Vol.101、pp.512−527;Szokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:4194−4198;Papahadjopoulosら、Biochim.Biophys.Acta(1975)394:483;Wilsonら、Cell(1979)17:77);DeamerおよびBangham、Biochim.Biophys.Acta(1976)443:629:Ostroら、Biochem.Biophys.Res.Commun.(1977)76:836;Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1979)76:3348);EnochおよびStrittmatter、Proc.Natl.Acad.Sci. USA(1979)76:145);Fraleyら、J.Biol.Chem.(1980)255:10431;SzokaおよびPapahadjopoulos、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1978)75:145;およびSchaefer−Ridderら、Science(1982)215:166を参照。
【0134】
多数のウイルスベース系が哺乳類細胞中への遺伝子移入のために開発されている。例えばレトロウイルスは、遺伝子送達系に好都合なプラットフォーム、例えばマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、モロニーマウス白血病ウイルスおよびラウス肉腫ウイルスを供給する。選択した遺伝子は当分野で既知の技法を使用して、ベクター内に挿入されて、レトロウイルス粒子内にパッケージされる。組み換えウイルスは次に単離されて、生体内または生体外のどちらかで対象の細胞内に送達されうる。多数のレトロウイルス系が記載されている(米国特許番号:5,219,740;MillerおよびRosman、BioTechniques(1989)7:980−990;Miller,A.D.,Human Gene Therapy(1990)1:5−14;Scarpaら、Virology(1991)180:849−852;Burnsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:8033−8037;およびBoris−LawrieおよびTemin、Cur.Opin.Genet.Develop.(1993)3:102−109。簡潔には、本発明のレトロウイルス遺伝子送達ビヒクルは、例えばB、C、およびD型レトロウィルスはもちろんのこと、スプマウイルスおよびレンティウイルス、例えばFIV、HIV、HIV−1、HIV−2およびSIVも含む、広範囲のレトロウイルスから容易に構築されうる(RNA Tumor Viruses、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、1985年を参照)。このようなレトロウイルスは、American Type Culture Collection(「ATCC」;10801 University Blvd.,Manassas、VA 201 10−2209)などの寄託機関またはコレクションから容易に入手されうるか、または一般に利用可能な技法を使用して既知の供給源から単離されうる。
【0135】
多数のアデノウイルスベクター、例えばアデノウイルスタイプ2およびタイプ5ベクターなども記載されている。宿主ゲノムに組み込まれるレトロウイルスとは異なり、アデノウイルスは染色体外に残存するので、それゆえ挿入突然変異と関連するリスクを最小限に抑える(Haj−AhmadおよびGraham、J.Virol.(1986)57:267−274;Beltら、J.Virol(1993)67:5911−5921;Mitterederら、Human Gene Therapy(1994)5:717−729;Sethら、J.Virol.(1994)68:933−940;Barrら、Gene Therapy(1994)1:51−58;Berkner,K.L.BioTechniques(1988)6:616−629;およびRichら、Human Gene Therapy(1993)4:461−476)。
【0136】
分子コンジュゲートベクター、例えばMichaelら、J.Biol Chem.(1993)268:6866−6869およびWagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:6099−6103に記載されているアデノウイルスキメラベクターも遺伝子送達に使用されうる。
【0137】
アルファウイルス属のメンバー、例えばこれに限定されないが、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)、シンドビスウイルス(SIN)およびセムリキフォレストウイルスに由来するベクターは、興味のある遺伝子を送達するためのウイルスベクターとして用途を見出すであろう。アルファウイルス属の複数のメンバーが、ワクチンおよび治療薬として使用するための「レプリコン」発現ベクターとして開発されうる。レプリコンベクターは、レプリコンベクターを含有する組み換えウイルス様粒子(レプリコン粒子)を作製するために、DNAおよびRNAを含む複数の形式で利用されうる。このようなレプリコンベクターは、上記のアルファウイルス、例えばSIN(Xiongら(1989)Science 243:1188−1191;Dubenskyら(1996)J.Virol.70:508−519;Hariharanら(1998)J.Virol.72:950−958;Poloら(1999)PNAS 96:4598−4603)、セムリキフォレストウイルス(Liljestrom(1991)Bio/Technology P:1356−1361;Berglundら(1998)Nat.Biotech.16:562−565)、およびVEE(Pushkoら(1997)Virology 239:389−401)のいずれかから由来しうる。その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:5,789,245;5,814,482;および6,376,235ならびにWO 02/099035も参照。
【0138】
アルファウイルスベース発現ベクターの構築の一般的な方法は、ウイルス構造タンパク質遺伝子を興味のある異種遺伝子で置換する工程と、高活性サブゲノムRNAプロモータによって転写調節を維持する工程とを含む。この配置のベクターはRNA「レプリコン」と呼ばれ、バクテリオファージプロモータを使用してcDNAから試験管内で転写されうるか、または真核プロモータに結合されているときにはDNAから直接生体内で産生されうる。アルファウイルスレプリコンRNAは一般に、試験管内で転写された不完全ヘルパーRNAとの過渡同時形質移入によって、または構造タンパク質発現カセットを有する安定パッケージング細胞株を使用することによって、組み換えベクター粒子内にパッケージされる。ベクターパッケージングに使用される(複数の)構造タンパク質発現カセットは、それらがそれら自体で複製できないときに「不完全ヘルパー」構築物とも呼ばれ、成熟C、E2およびE1へ翻訳後処理される無傷の「ナイーブ」アルファウイルス構造ポリタンパク質;またはCまたはE2/E1のどちらかをコードする別個のカセットに分割されたアルファウイルス構造タンパク質のどちらかをコードする。例えばすべてその全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国特許番号:6,465,634;6,426,196;6,376,236;6,342,372;6,329,201;6,015,686;5,843,723;および国際公開番号:WO 95/07995およびWO 96/17072;Poloら(1999)Proc.Nat’l Acad.Sci USA 96:4598−4603;Dubenskyら(1996)J.Virology 70(l):508−519;Frolovら(1996).Proc Natl Acad Sci USA.93(21):11371−11377)を参照。
【0139】
E1E2ブーストの送達に使用するのが特に好ましいのは、キメラアルファウイルスベクター、例えばSINおよびVEEのレプリコン粒子キメラである。キメラアルファウイルスベクターは例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられている米国特許公報:20030232324および20030148262、ならびにPerriら、J.Virol(2003)77:10394−10403に記載されている。例えばSINエンベロープ糖タンパク質内にパッケージされたVEE−E1E2レプリコンRNAまたはVEEエンベロープ糖タンパク質内のSIN−E1E2レプリコンRNAは、本方法で用途を見出すであろう。下の例で示すように、VEE/SINレプリコン粒子は、E1E2タンパク質ワクチンを用いたプライミング後に投与したときに、マウスモデルでのHCV特異性CD8+T細胞応答を誘発した。
【0140】
これに限定されないが、シミアンウイルス40およびサイトメガロウイルスを含む他のベクターも使用されうる。細菌ベクター、例えばサルモネラ亜種、エルシニアエンテロコリチカ、赤痢菌亜種、コレラ菌、マイコバクテリウム株BCG、およびリステリアモノサイトゲネスが使用されうる。微小染色体、例えばMCおよびMC1、バクテリオファージ、コスミド(ファージラムダcos部位が挿入されたプラスミド)およびレプリコン(細胞内でそれ自体の制御下で複製が可能である遺伝子要素)も使用されうる。
【0141】
発現構築物はまた、特定の担体によってカプセル化、吸着、または結合されうる。このような担体は、選択した分子の複数のコピーを免疫系に提示して、局所リンパ節への分子の捕捉および保持を促進する。粒子はマクロファージによって貪食され、サイトカイン放出によって抗原提示を強化しうる。微粒子担体の例としては、ポリメチルメタクリレートポリマーに由来するものはもちろんのこと、PLGとして既知のポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド−co−グリコリド)に由来する微粒子も挙げられる。例えばJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;およびMcGeeら、J.Microencap.(1996)を参照。
【0142】
巨大分子を調製した微粒子に吸着させる1つの好ましい方法は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、国際公開番号:WO 00/050006に記載されている。簡潔には、微粒子は再水和され、透析可能なアニオン性またはカチオン性洗浄剤を使用して微粒子の本質的にモノマー性の懸濁物へ分散させる。有用な洗浄剤としては、これに限定されないが、各種のN−メチルグルカミド(MEGAとして既知)、例えばヘプタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−7)、オクタノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−8)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(MEGA−9)、およびデカノイル−N−メチル−グルカミド(MEGA−10);コール酸;コール酸ナトリウム;デオキシコール酸;デオキシコール酸ナトリウム;タウロコール酸;タウロコール酸ナトリウム;タウロデオキシコール酸;タウロデオキシコール酸ナトリウム;3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパン−スルホナート(CHAPS);3−[(3−コルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパン−スルホナート(CHAPSO);−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパン−スルホナート(ZWITTERGENT3−12);N,N−ビス−(3−D−グルコンアミドプロピル)−ジオキシコルアミド(DEOXY−BIGCHAP);−オクチルグリコシド;モノラウリン酸スクロース;グリココール酸/グリココール酸ナトリウム;ラウロサルコシン(ナトリウム塩);グリコデオキシコール酸/グリコデオキシコール酸ナトリウム;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸(DSS);セトリミド(CTAB、その主成分はヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド);ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ヘキサデシルトリメチル−アンモニウムブロミド;テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロミド;ベンジルジメチル−ヘキサデシルアンモニウムクロライド;およびベンジルジメチルテトラ−デシルアンモニウムブロミドのいずれかが挙げられる。上の洗浄剤は、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから市販されている。当分野で既知の各種のカチオン性脂質も洗浄剤として使用されうる。Balasubramaniamら、1996年、Gene Ther.,3:163−72およびGao,X.、およびL.Huang.1995年、Gene Ther.、2:7110−722を参照。
【0143】
多種多様の他の方法を使用して、発現構築物を細胞に送達しうる。このような方法は、DEAEデキストラン介在形質移入、リン酸カルシウム沈降、ポリリジンまたはポリオルニチン介在形質移入、または他の不溶性無機塩、例えばリン酸ストロンチウム、ベントナイトおよびカオリンを含むケイ酸アルミニウム、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、タルクを使用する沈降などを含む。形質移入の他の有用な方法としては、電気穿孔、超音波穿孔、プロトプラスト融合、リポソーム、ペプトイド送達、または微量注入が挙げられる。例えば興味のある細胞の形質転換技法の議論については、例えばSambrookら、同上;および遺伝子移入に有用な送達系の総説については、Felgner,P.L.、Advanced Drug Delivery Reviews(1990)5:163−187を参照。電気穿孔を使用するDNAの送達方法は例えば米国特許番号:6,132,419;6,451,00、,6,418,341、6233,483、米国特許公報番号:2002/0146831;および国際公開番号:WO/0045823に記載されており、そのすべてはその全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0144】
その上、HCVポリヌクレオチドは、ISCOMに吸着、またはISCOM内に捕捉されうる。古典的なISCOMは、コレステロール、サポニン、リン脂質、および免疫原、例えばウイルスエンベロープタンパク質の組み合せによって形成される。一般にHCV分子(通常は疎水性領域による)は洗浄剤に可溶化されて、反応混合物に添加され、それによりISCOMは中に包含されたHCV分子によって形成される。ISCOMは、本明細書ではIMXとも呼ばれる。ISCOMマトリクス組成物は同様に、しかしウイルスタンパク質なしで生成される。高い陽電荷を持つタンパク質は、疎水性力によってではなく、ISCOM粒子に静電的に結合されうる。サポニンおよびISCOMのさらに詳細な一般的議論、ならびにISCOMを調合する方法については、全体が参照により本明細書に組み入れられている、Barrら(1998)Adv.Drug Delivery Reviews 32:247−271(1998);米国特許番号:4,981,684、5,178,860、5,679,354および6,027,732;欧州公開番号:EPA 109,942;180,564および231,039;ならびにCoulterら(1998)Vaccine 16:1243を参照。
【0145】
加えて、金およびタングステンなどの微粒子担体を利用する遺伝子銃送達系は、本発明の発現構築物を送達するのに特に有用である。微粒子は送達される構築物によってコーティングされ、「遺伝子銃」からの火薬放出を使用して、一般に減圧下で高い速度まで加速される。このような技法、およびそのための有用な装置の説明については、例えば米国特許番号:4,945,050;5,036,006;5,100,792;5,179,022;5,371,015;および5,478,744を参照。
【0146】
他のHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチド
上で説明したように、本発明の方法は、HCV免疫原またはこのような免疫原をコードするDNAを含む他の組成物を利用しうる。このような組成物は、免疫応答をブーストするためのE1E2核酸組成物の前に、次に、または同時にと同様に、E1E2組成物の前に、E1E2組成物の次に、またはE1E2組成物と同時に送達されうる。
【0147】
本発明の方法は、HCVに対する免疫応答をプライミングおよびブーストするための抗原として、E1/E2の代わりに他のHCVタンパク質も利用しうる。一部の実施形態において、本発明は、E1、E2および/またはコアタンパク質などのHCVの1個以上の構造タンパク質に融合されたHCVからの非構造(NS)タンパク質を利用しうる。一実施形態において、本発明は、本質的にE2より成るHCV融合タンパク質を含むプライミングタンパク質組成物を提供する。
【0148】
C型肝炎ウイルスのゲノムは通例、約9,600ヌクレオチドの単一の読み取り枠を含有し、これがポリタンパク質内に転写される。ポリタンパク質の全長配列は、欧州公開番号:388,232および米国特許番号:6,150,087に開示されている。表1および図1に示すように、HCVポリタンパク質は開裂時に、少なくとも10個の別個の生成物をNH2−コア−El−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順序で産生する。コアポリペプチドは、HCV−1に対して番号付けられた位置1−191で発生する(例えばHCV−1ゲノムについては、Chooら(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照)。このポリペプチドはさらに処理されて、約アミノ酸1−173を持つHCVポリペプチドを産生する。エンベロープポリペプチドE1およびE2は、約位置192−383および384−746にそれぞれ発生する。P7ドメインは約位置747−809に見出される。NS2はタンパク質分解活性を持つ内在性膜タンパク質であり、ポリタンパク質の約位置810−1026で見出される。NS2は、単独で、またはNS3(約位置1027−1657で見出される)と組み合せてのどちらかで、NS2−NS3シスル結合を開裂して、次にNS3N末端を生成して、セリンプロテアーゼおよびRNAヘリカーゼ活性の両方を含む大型のポリペプチドを放出する。約位置1027−1207に見出されるNS3プロテアーゼは、残存するポリタンパク質を処理するように作用する。ヘリカーゼ活性は約位置1193−1657に見出される。ポリタンパク質成熟の完了は、NS3セリンプロテアーゼによって触媒された、NS3−NS4a接合部にて自己触媒開裂によって開始される。次のHCVポリタンパク質のNS3介在開裂は、別のポリペプチドのNS3分子によるポリタンパク質開裂接合部の認識を含むように思われる。これらの反応において、NS3は、NS3補助因子(NS4a、約位置1658−1711に見出される)、2個のタンパク質(約位置1712−1972に見出されたNS4bおよび位置1973−2420に見出されたNS5a)、およびRNA依存性RNAポリメラーゼ(約位置2421−3011に見出されたNS5b)を遊離する。
【0149】
【表1】
*HCV−1に対して番号付け。例えばChooら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455を参照。別途指摘しない限り、HCV構築物のすべてのアミノ酸番号付けはHCV−1に対してである。
【0150】
上のHCVポリタンパク質生成物、それをコードするDNAおよびそれに由来する免疫原性ポリペプチドの配列は既知である(例えば米国特許番号:5,350,671を参照)。例えばHCVポリタンパク質に由来する多数の一般および特異性免疫原性ポリペプチドが記載されている。例えばHoughtonら、欧州公開番号:318,216および388,232;Chooら、Science(1989)244:359−362;Kuoら、Science(1989)244:362−364;Houghtonら、Hepatology(1991)14:381−388;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778を参照。これらの刊行物は、一般的なHCVに関してはもちろんのこと、HCVポリペプチド免疫学的試薬の製造および使用に関する広範囲の背景も提供する。
【0151】
いずれの所望の免疫原性HCVポリペプチドまたはそれをコードするDNAも、本発明によって利用されうる。例えばコア領域に由来するHCVポリペプチド、例えばアミノ酸1−191;アミノ酸10−53;アミノ酸10−45;アミノ酸67−88;アミノ酸86−100;81−130;アミノ酸121−135;アミノ酸120−130;アミノ酸121−170の間で見出された領域に由来するポリペプチド;および例えばHoughtonら、米国特許番号:5,350,671;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J. Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778;および米国特許番号:6,150,087に明示されたコアエピトープのいずれも、本方法で用途を見出すであろう。
【0152】
加えて、ウイルスの非構造領域に由来するポリペプチドも本明細書で用途を見出すであろう。Yaoら、Structure(1999年11月)7:1353−1363には、HCVポリタンパク質のNS3/4a領域について記載され、タンパク質のアミノ酸配列および全体の構造が開示されている。Dasmahapatraら、米国特許番号:5,843,752も参照。上で説明したように、ナイーブ配列または免疫原性類似体のどちらかが本調合物で使用されうる。Dasmahapatraら、米国特許番号:5,843,752およびZhangら、米国特許番号:5,990,276はどちらも、NS3/4aの類似体およびその作製方法について記載している。
【0153】
その上、本組成物および方法で使用するためのポリペプチドは、HCVポリタンパク質のNS3領域に由来しうる。これに限定されないが、c33およびc100領域に由来するポリペプチドを含む多数のこのようなポリペプチドはもちろんのこと、c25などのNS3エピトープを含む融合タンパク質も既知である。これらおよび他のNS3ポリペプチドは、本方法で有用であり、当分野で既知であり、例えばHoughtonら、米国特許番号:5,350,671;Chienら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1992)89:10011−10015;Chienら、J.Gastroent.Hepatol.(1993)8:S33−39;Chienら、国際公開番号:WO 93/00365;Chien,D.Y.、国際公開番号:WO 94/01778;および米国特許番号:6,150,087に記載されている。
【0154】
加えて、米国特許番号:6,514,731および6,428,792に記載されているような複数のエピトープ融合抗原(「MEFA」と呼ばれる)は、本発明で使用されうる。このようなMEFAは、各種のウイルス領域の2つ以上に由来する複数のエピトープを含む。エピトープは好ましくは、1個を超えるHCV株からであり、それゆえ単一のワクチンでHCVの複数の株から保護する追加の能力を供給する。
【0155】
上で説明したように、便宜上、各種のHCV領域は一般にChooら(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:2451に記載されたようなHCV−1aに対するアミノ酸数に関して定義されており、イニシエータメチオニンは位置1と示される。しかしながら本発明での使用を目的としたHCVポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、HCV−1aに由来するものに限定されず、HCVのいずれの株および単離物も、上で詳細に説明したように、本発明で使用するための抗原配列を供給するための基礎として作用しうる。
【0156】
上のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、E1E2ポリペプチドおよびポリヌクレオチドについて上述した組み換え産生の方法を使用して得られる。
【0157】
免疫原性組成物
ひとたび産生されると、E1E2ポリヌクレオチド複合体または他の免疫原は免疫原性組成物中に、例えば予防(即ち感染を防止するための)または治療(感染後にHCVを治療するための)ワクチン組成物中に供給されうる。組成物は一般に、1個以上の「製薬的に許容される賦形剤またはビヒクル」、例えば水、食塩水、グリセロール、エタノールなどを含む。加えて補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などがそのようなビヒクル中に存在しうる。
【0158】
担体は場合により、例えばE1E2に対する免疫応答をプライミングするために使用されるタンパク質組成物中に存在する。担体は、それ自体は組成物を摂取する個体に有害な抗体の産生を誘発しない分子である。
【0159】
適切な担体分子は通例、大型であり、低速で代謝される巨大分子、例えばタンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体(例えば油液滴またはリポソーム)、および不活性ウイルス粒子である。このような担体は当業者に周知である。その上、免疫原性ポリペプチドは、細菌トキソイド、例えばジフテリア、破傷風、コレラなどからのトキソイドにコンジュゲートされうる。
【0160】
アジュバントも、免疫応答を強化するために組成物中に存在しうる。本発明で使用するためのアジュバントは、これに限定されないが、下で述べる1つ以上を含む:
A.無機物含有組成物
本発明のアジュバントとして使用するのに適した無機物含有組成物としては、無機塩、例えばアルミニウム塩およびカルシウム塩が挙げられる。本発明は無機塩、例えば水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など(例えばVaccine Design...(1995)編者:PowellおとびNewman、ISBN:030644867X.Plenumの第8章および第9章を参照)、または異なる無機化合物の混合物(例えばリン酸塩および水酸化物アジュバントの、場合によりリン酸塩過多の混合物)を含み、化合物はいずれかの適切な形(例えばゲル、結晶、アモルファスなど)を取り、(複数の)塩への吸着が好ましい。無機物含有組成物は、金属塩の粒子としても調合されうる(WO00/23105)。
【0161】
アルミニウム塩は、本発明のワクチン中にAl3+の用量が投薬当たり0.2〜1.0mgであるようにワクチン中に含まれうる。一実施形態において、本発明で使用するためのアルミニウムベースアジュバントはアルム(硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO4)2)、またはアルム誘導体、例えばリン酸緩衝液中の抗原をアルムと混合することと、続いての水酸化アンモニウムまたは水酸化ナトリウムなどの塩基を用いた滴定および沈殿によって所定の位置に生成されたアルム誘導体である。
【0162】
本発明のワクチン調合物で使用するための別のアルミニウムベースアジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバント(Al(OH)3)または約500m2/gの表面積を有する、優れた吸着剤である、結晶性オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)である。あるいは水酸化アルミニウムアジュバントのヒドロキシル基の一部または全部の代わりにリン酸基を含有するリン酸アルミニウムアジュバント(AlPO4)またはヒドロキシリン酸アルミニウムが提供される。本明細書で提供される好ましいリン酸アルミニウムアジュバントはアモルファスであり、酸性、塩基性および中性溶媒に可溶性である。
【0163】
別の実施形態において、本発明のアジュバントは、リン酸アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの両方を含む。そのさらに詳細な実施形態において、アジュバントは、リン酸アルミニウムの水酸化アルミニウムに対する重量比で2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1またはそれ以上などの、水酸化アルミニウムよりも大量のリン酸アルミニウムを有する。なおさらに詳細には、ワクチン中のアルミニウム塩は、ワクチン用量当たり0.4〜1.0mg、またはワクチン用量当たり0.4〜0.8mg、またはワクチン用量当たり0.5〜0.7mg、またはワクチン用量当たり約0.6mgで存在する。
【0164】
一般に好ましい(複数の)アルミニウムベースアジュバント、または複数のアルミニウムベースアジュバントの比、例えばリン酸アルミニウム対水酸化アルミニウムは、抗原が所望のpHでのアジュバントと反対の電荷を持つように、分子間の静電気引力の最適化によって選択される。例えばリン酸アルミニウムアジュバント(iep=4)はpH7.4にてリソザイムを吸着するが、アルブミンは吸着しない。アルブミンが標的であるならば、水酸化アルミニウムアジュバントが選択される(iep=11.4)。あるいは水酸化アルミニウムのリン酸塩による前処理は、その等電点を低下させて、それをより塩基性の抗原にとって好ましいアジュバントにする。
【0165】
B.油型エマルジョン
本発明のアジュバントとして使用するのに適切な油型エマルジョン組成物は、スクアレン−水エマルジョン、例えばMF59(5%スクアレン、0.5% Tween 80、および0.5% Span 85、マイクロフルダイザを使用してサブミクロン粒子に調合した)である。その全体が参照により本明細書に組み入れられている、WO90/14837;ならびに米国特許番号:6,299,884および6,451,325を参照。Podda、「The adjuvanted influenza vaccines with novel adjuvants:experience with the MF59−adjuvanted vaccine」、Vaccine(2001)19:2673−2680;Freyら、「Comparison of the safety,tolerability,and immunogenicity of a MF59−adjuvanted influenza vaccine and a non−adjuvanted influenza vaccine in non−elderly adults」、Vaccine(2003)21:4234−4237も参照。MF59は、FLUDA(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチン中のアジュバントとして使用される。
【0166】
組成物に使用するのに特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油型エマルジョンである。本明細書で使用するための好ましいサブミクロン水中油型エマルジョンは、場合によりMTP−PEの可変量を含有するスクアレン/水エマルジョン、例えば4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/v Tween 80(商標)(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、および/または0.25〜1.0% Span 85(商標)(ソルビタントリオレアート)、および場合により、例えばN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含有するサブミクロン水中油型エマルジョン、例えば“MF59”として既知の水中油型エマルジョンである(国際公開番号:WO90/14837;米国特許番号:6,299,884および6,451,325、ならびにOttら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(編者:Powell、M.F.およびNewman,MJ.)Plenum Press,New York、1995年、pp.277−296)。MF59は、4〜5%w/vスクアレン(例えば4.3%)、0.25〜0.5%w/v Tween 80(商標)、および0.5% w/v Span 85(商標)を含有し、場合により各種の量のMTP−PEを含有して、Model 110Yマイクロフルダイザ(Microfluidics,Newton,MA)などのマイクロフルダイザを使用してサブミクロン粒子に調合される。例えばMTP−PEは、約0〜500μg/用量、さらに好ましくは0〜250μg/用量、および最も好ましくは0〜100μg/用量の量で存在しうる。本明細書で使用するように、「MF59−0」という用語は、MTP−PEを含まない上のサブミクロン水中油型エマルジョンを指し、これに対してMF59−MTPをいう用語はMTP−PEを含有する調合物を示す。例えば「MF59−100」は、投薬当たりMTP−PE 100μgを含有するなどである。本明細書で使用するための別のサブミクロン水中油型エマルジョンMF69は、4.3%w/vスクアレン、0.25%w/v Tween 80(商標)、および0.75%w/v Span 85(商標)および場合によりMTP−PEを含有する。なお別のサブミクロン水中油型エマルジョンはSAFとしても既知であるMF75であり、10%スクアレン、0.4% Tween 80(商標)、5%プルロニック封止ポリマーL121、およびthr−MDPを含有して、またサブミクロンエマルジョンへとマイクロフルダイズされる。MF75−MTPは、MTPを例えば投薬当たりMTP−PE 100〜400μgを含むMF75調合物である。
【0167】
本発明の組成物で使用するためのサブミクロン水中油型エマルジョン、その作製方法および免疫刺激剤、例えばムラミルペプチドは、国際公開番号:WO90/14837および米国特許番号:6,299,884および6,451,325に詳細に記載されている。
【0168】
完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も本発明でアジュバントとして使用されうる。
【0169】
C.サポニン調合物
サポニン調合物も本発明でアジュバントとして使用されうる。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、幹、根および花にすら見いだされるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの異種基である。Quillaia saponaria Molina木の樹皮から単離されたサポニンは、アジュバントとして幅広く研究されてきた。サポニンは、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(宿根カスミソウ)、およびSaponaria officianalis(カスミソウ)からも商業的に入手可能である。サポニンアジュバント調合物は、QS21などの精製調合物はもちろんのこと、ISCOMなどの脂質調合物も含む。
【0170】
サポニン組成物は、高速薄層クロマトグラフィー(HP−TLC)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を使用して精製されている。QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、これらの技法を使用して特に精製された画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の産生方法は、米国特許番号:5,057,540に開示されている。サポニン調合物は、コレステロールなどのステロールも含みうる(WO96/33739を参照)。
【0171】
サポニンおよびコレステロールの組み合せを使用して、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独自の粒子を形成できる。ISCOMは通例、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。いずれの既知のサポニンもISCOMで使用されうる。好ましくは、ISCOMはQuil A、QHAおよびQHCの1つ以上を含む。ISCOMはさらに、EP0109942、WO96/11711およびWO96/33739に記載されている。場合により、ISCOMは追加の(複数の)洗浄剤を含まなくてもよい。WO00/07621を参照。
【0172】
サポニンベースアジュバントの開発の総説は、Barrら、「ISCOMs and other saponin based adjuvants」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:247−271に見いだされる。Sjolanderら、「Uptake and adjuvant activity of orally delivered saponin and ISCOM vaccines」、Advanced Drug Delivery Reviews(1998)32:321−338も参照。
【0173】
D.ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も本発明でアジュバントとして使用されうる。これらの構造は一般に、場合によりリン脂質と組み合された、または調合されたウイルスからの1個以上のタンパク質を含有する。それらは一般に、非病原性で非複製的であり、一般にナイーブウイルスゲノムを一切含有しない。ウイルスタンパク質は、組み換え産生されうるか、または全ウイルスから単離されうる。ビロソームまたはVLPで使用するのに適したこれらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス(例えばHAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、はしかウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、手足口病ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えばコートタンパク質)、GAファージ、frファージ、AP205ファージ、およびTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質が挙げられる。VLPは、WO03/024480、WO03/024481、およびNiikuraら、「Chimeric Recombinant Hepatitis E Virus−Like Particles as an Oral Vaccine Vehicle Presenting Foreign Epitopes」、 Virology(2002)293:273−280;Lenzら、「Papillomarivurs−Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells」、Journal of Immunology(2001)5246−5355;Pintoら、「Cellular Immune Responses to Human Papillomavirus(HPV)−16 Ll Healthy Volunteers Immunized with Recombinant HPV− 16 Ll Virus−Like Particles」、Journal of Infectious Diseases(2003)188:327−338;ならびにGerberら「Human Papillomavrisu Virus−Like Particles Are Efficient Oral Immunogens when Coadministered with Escherichia coli Heat−Labile Entertoxin Mutant R192G or CpG」、Journal of Virology(2001)75(10):4752−4760でさらに議論されている。ビロソームはさらに例えばGluckら、「New Technology Platforms in the Development of Vaccines for the Future」、Vaccine(2002)20:B10−B16で議論されている。免疫増強再構成インフルエンザビロソーム(IRIV)は、経鼻3価INFLEXAL(商標)製品(Mischler & Metcalfe(2002)Vaccine 20 Suppl 5:B17−23)およびINFLUVAC PLUS(商標)製品でサブユニット抗原送達システムとして使用される。
【0174】
E.細菌または微生物誘導体
本発明で使用するのに適したアジュバントは、次のような細菌または微生物誘導体を含む:
(1)腸内細菌リポサッカライド(LPS)の非毒性誘導体
このような誘導体としては、モノホスホリル脂質A(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aと4、5または6アシル化鎖との混合物である。3De−O−アシル化モノホスホリル脂質Aの好ましい「小型粒子」形は、EP 0689454に開示されている。3dMPLのこのような「小型粒子」は、0.22ミクロン膜で滅菌濾過されるのに十分な小ささである(EP 0689454を参照)。他の非毒性LPS誘導体としては、モノホスホリル脂質A模倣薬、例えばアミノアルキルグルコサミドホスフェート誘導体、例えばRC−529が挙げられる。Johnsonら、(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−2278を参照。
【0175】
(2)脂質A誘導体
脂質A誘導体としては、OM−174などの大腸菌からの脂質Aの誘導体が挙げられる。OM−174は例えば、Meraldiら、「OM−174,a New Adjuvant with a Potential for Human Use,Induces a Protective Response with Administered with the Synthetic C−Terminal Fragment 242−310 from the circumsporozoite protein of Plasmodium berghei」、Vaccine(2003)2J.:2485−2491;およびPajakら、「The Adjuvant OM−174 induces both the migration and maturation of murine dendritic cells in vivo」、Vaccine(2003)21:836−842に記載されている。
【0176】
(3)免疫刺激オリゴヌクレオチド
本発明でアジュバントとして使用するのに適した免疫刺激オリゴヌクレオチドとしては、CpGモチーフを含有するヌクレオチド配列(非メチル化シトシンと、続くグアノシンを含有し、リン酸結合によって連結された配列)が挙げられる。パリンドロームまたはポリ(dG)配列を含有する細菌2本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドも免疫刺激性であることが示されている。
【0177】
CpGは、ホスホロチオエート修飾などのヌクレオチド修飾/類似体を含み、2本鎖または1本鎖でありうる。場合により、グアノシンは2’−デオキシ−7−デアザグアノシンなどの類似体によって置換されうる。考えられる類似体置換の例については、Kandimallaら、「Divergent synthetic nucleotide motif recognition pattern:design and development of potent immunomodulatory oligodeoxyribonucleotide agents with distinct cytokine induction profiles」、Nucleic Acids Research(2003)31.(9):2393−2400;WO02/26757およびWO99/62923を参照。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg、「CpG motifs:the active ingredient in bacterial extracts?」,Nature Medicine(2003)9(7):831−835; McCluskieら、「Parenteral and mucosal prime−boost immunization strategies in mice with hepatitis B surface antigen and CpG DNA」、FEMS Immunology and Medical Microbiology(2002)32:179−185;WO98/40100;米国特許番号:6,207,646;米国特許番号:6,239,116および米国特許番号:6,429,199にさらに記載されている。
【0178】
CpG配列はTLR9、例えばモチーフGTCGTTまたはTTCGTTに対して作られうる。Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic CpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):654−658を参照。CpG配列は、CpG−A ODNなどのようにTh1免疫応答を誘発することに特異性でありうるか、CpG−B ODNなどのB細胞応答を誘発することに特異性でありうる。CpG−AおよびCpG−B ODNは、Blackwellら、「CpG−A−Induced Monocyte IFN−gamma−Inducible Protein−10 Production is Regulated by Plasmacytoid Dendritic Cell Derived IFN−alpha」、J.Immunol.(2003)170(8):4061−4068;Krieg、「From A to Z on CpG」、TRENDS in Immunology(2002)23(2):64−65およびWO01/95935に記載されている。
【0179】
好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、レセプタ認識のために5’末端にアクセスできるように構築される。場合により、2個のCpGオリゴヌクレオチド配列がその3’末端に結合されて「イムノマー」を形成しうる。例えばKandimallaら、「Secondary structures in CpG oligonucleotides affect immunostimulatory activity」、BBRC(2003)306:948−953;Kandimallaら、「Toll−like receptor 9:modulation of recognition and cytokine induction by novel synthetic GpG DNAs」、Biochemical Society Transactions(2003)31(part 3):664−658;Bhagatら、「CpG penta−and hexadeoxyribonucleotides as potent immunomodulatory agents」BBRC(2003)300:853−861およびWO03/035836を参照。
【0180】
(4)ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体
細菌ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体は、本発明でアジュバントとして使用されうる。好ましくは、タンパク質は大腸菌(即ち大腸菌易熱性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)、または百日咳(「PT」)に由来する。解毒ADP−リボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用はWO95/17211に、非経口アジュバントとしてはWO98/42375に記載されている。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72、およびLTR1 92Gなどの解毒LTミュータントである。ADP−リボシル化毒素およびその解毒誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は、次の参考文献に見出されうる:Beignonら、「The LTR72 Mutant of Heat−Labile Enterotoxin of Escherichia coli Enhances the Ability of Peptide Antigens to Elicit CD4+T Cells and Secrete Gamma Interferon after Co application onto Bare Skin」、 Infection and Immunity(2002)70(6):3012−3019;Pizzaら、「Mucosal vaccines:non toxic derivatives of LT and CT as mucosal adjuvants」、Vaccine(2001)19:2534−2541;Pizzaら、「LTK63 and LTR72,two mucosal adjuvants ready for clinical trials」Int.J.Med.Microbiol(2000)290(4−5):455−461;Scharton−Kerstenら、「Transcutaneous Immunization with Bacterial ADP−Ribosylating Exotoxins,Subunits and Unrelated Adjuvants」、Infection and Immunity(2000)68(9):5306−5313;Ryanら、「Mutants of Escherichia coli Heat−Labile Toxin Act as Effective Mucosal Adjuvants for Nasal Delivery of an Acellular Pertussis Vaccine:Differential Effects of the Nontoxic AB Complex and Enzyme Activity on Th1 and Th2 Cells」Infection and Immunity(1999)67(12):6270−6280;Partidosら、「Heat−labile enterotoxin of Escherichia coli and its site−directed mutant LTK63 enhance the proliferative and cytotoxic T−cell responses to intranasally co−immunized synthetic peptides」、Immunol.Lett.(1999)67(3):209−216;Peppoloniら、「Mutants of the Escherichia coli heat−labile enterotoxin as safe and strong adjuvants for intranasal delivery of vaccines」、Vaccines(2003)2(2):285−293;およびPineら、(2002)「Intranasal immunization with influenza vaccine and a detoxified mutant of heat labile enterotoxin from Escherichia coli(LTK63)」J.Control Release(2002)85(1−3):263−270。アミノ酸置換基の参照番号は、好ましくは、Domenighiniら、Mol.Microbiol(1995)15(6):1165−1167で述べられたADP−リボシル化毒素AおよびBサブユニットの配列比較に基づいている。
【0181】
F.生体接着剤および粘膜接着剤
生体接着剤および粘膜接着剤も本発明でアジュバントとして使用されうる。適切な生体接着剤は、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア(Singhら(2001)J.Cont.Rele.70:267−276)またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体などの粘膜接着剤を含む。キトサンおよびその誘導体も、本発明でアジュバントとして使用されうる。例えばWO99/27960。
【0182】
G.微小粒子
微小粒子も本発明でアジュバントとして使用されうる。生分解性および非毒性である物質(例えばポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)とポリ(ラクチド−co−グリコリド)から形成された微小粒子(即ち直径〜100nm〜150μmの、さらに好ましくは直径〜200nm〜30μmの、最も好ましくは直径〜500nm〜10μmの)が好ましく、場合により負に帯電した表面(例えばSDSによって)または正に帯電した表面(例えばカチオン性洗浄剤、例えばCTABによって)を有するように処理される。
【0183】
H.リポソーム
アジュバントとしての使用に適したリポソーム調合物の例は、米国特許番号:6,090,406、米国特許番号:5,916,588、およびEP 0 626 169に記載されている。
【0184】
I.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル調合物
本発明での使用に適したアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる。WO99/52549。このような調合物は、オクトオキシノールと組み合せたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)はもちろんのこと、オクトオキシノールなどの少なくとも1個の追加の非イオン性界面活性剤と組み合せたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤をさらに含む(WO01/21152)。
【0185】
好ましいポリオキシエチレンエーテルは、次の群:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステロイルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテルより選択される。
【0186】
J.ポリホスファゼン(PCPP)
PCPP調合物は例えば、Andrianovら、「Preparation of hydrogel microspheres by coacervation of aqueous polyphophazene solutions」、Biomaterials(1998)19(l−3):109−l15およびPayneら、「Protein Release from Polyphosphazene Matrices」、Adv.Drug.Delivery Review(1998)31.(3):185−196に記載されている。
【0187】
K.ムラミルペプチド
本発明でアジュバントとしての使用に適したムラミルペプチドの例としては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−1−アラニル−d−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−1−アラニル−d−イソグルタミニル−l−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンMTP−PE)が挙げられる。
【0188】
L.イミダゾキノリン化合物
本発明でアジュバントとしての使用に適したイミダゾキノリン化合物の例としては、Stanley、「Imiquimod and the imidazoquinolines: mechanism of action and therapeutic potential」Clin Exp Dermatol(2002)27(7):571−577;Jones、「Resiquimod 3M」、Curr Opin Investig Drugs(2003)4(2):214−218;ならびに米国特許番号:4,689,338、5,389,640、5,268,376、4,929,624、5,266,575、5,352,784、5,494,916、5,482,936、5,346,905、5,395,937、5,238,944、および5,525,612でさらに記載されている、Imiquimodおよびその類似体が挙げられる。
【0189】
M.チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物の例はもちろんのこと、本発明でのアジュバントとしての使用に適した化合物すべての調合、製造およびスクリーニング方法としては、WO04/60308に記載されているものが挙げられる。チオセミカルバゾンは、サイトカイン、例えばTNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0190】
N.トリプタントリン化合物
トリプタントリン化合物の例はもちろんのこと、本発明でのアジュバントとしての使用に適した化合物すべての調合、製造およびスクリーニング方法としては、WO04/64759に記載されているものが挙げられる。トリプタントリン化合物は、サイトカイン、例えばTNF−αの産生のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0191】
本発明は、上に明示したアジュバントの1個以上の態様の組み合せも含みうる。例えば次のアジュバント組成物が本発明で使用されうる:
(1)サポニンおよび水中油型エマルジョン(WO99/11241);
(2)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)(WO94/00153を参照);
(3)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール;
(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL−12(場合により+ステロール)(WO98/57659);
(5)3dMPLと、例えばQS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合せ(欧州特許出願番号:0835318、0735898および0761231を参照)。
【0192】
(6)サブミクロンエマルジョンにマイクロフルダイズされたか、またはより大きい粒経のエマルジョンを生成するためにボルテックスされた、10%スクアラン、0.4% Tween 80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDPを含有するSAF。
【0193】
(7)2%スクアレン、0.2% Tween 80、およびモノホスホリピッドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))から成る群からの1個以上の細菌細胞壁成分を含有する、Ribi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem);
(8)1個以上の無機塩(例えばアルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば3dPML)。
【0194】
(9)1個以上の無機塩(例えばアルミニウム塩)+免疫刺激オリゴヌクレオチド(例えばCpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0195】
O.ヒト免疫調節物質
本発明でのアジュバントとしての使用に適したヒト免疫調節物質としては、サイトカイン、例えばインターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など)、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子が挙げられる。
【0196】
アルミニウム塩およびMF59は、注射用インフルエンザワクチンによる使用のための好ましいアジュバントである。細菌毒素および生体接着剤は、粘膜送達ワクチン、例えば経鼻ワクチンによる使用のための好ましいアジュバントである。上で引用した特許、特許出願および雑誌記事すべての内容は、本明細書で完全に述べられたかのように参照により組み入れられている。
【0197】
本発明での使用のための組成物は、E1E2複合体をコードするDNAの治療的有効量(またはタンパク質の治療的有効量)および上記の成分の他のいずれかを必要に応じて含むであろう。「治療的有効量」とは、それが投与される個体において免疫応答、好ましくは保護免疫応答を誘発するであろうタンパク質またはそれをコードするDNAの量を意味する。このような応答は一般に、対象において組成物に対する抗体介在および/あるいは分泌または細胞免疫応答の発生を引き起こすであろう。通常、このような応答は、これに限定されないが、次の効果の1つ以上;免疫クラスのいずれかからの抗体、例えば免疫グロブリンA、D、E、GまたはMの産生;BおよびTリンパ球の増殖;免疫細胞への活性化、成長および分化シグナルの供給;ヘルパーT細胞、サプレッサT細胞、および/または細胞傷害性T細胞および/またはγδT細胞個体群の増殖;を含む。
【0198】
E1E2タンパク質組成物は、例えば1個を超えるウイルス単離物に由来するE1E2複合体などのE1E2複合体の1個以上の混合物はもちろんのこと、追加のHCV抗体も含みうる。その上、上で説明したように、E1E2複合体は、クリッピングおよびタンパク質分解開裂のために分子の異種混合物として存在しうる。それゆえE1E2複合体を含む組成物は、E1E2の複数の種、例えばアミノ酸746で終結するE1E2(E1E2746),アミノ酸809で終結するE1E2(E1E2809)、または上記の他の各種のE1およびE2分子のいずれか、例えば1〜20アミノ酸のN末端切断のあるE2分子、例えばアミノ酸387、アミノ酸402、アミノ酸403にて開始するE2種などを含みうる。
【0199】
上で説明したように、組成物(DNAおよびタンパク質の両方)が、他の抗原および免疫調節剤、例えば免疫グロブリン、サイトカイン、リンホカイン、およびこれに限定されないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12など(例えば国際公開番号:WO 99/44636を参照)、修飾IL−2(cysl25→serl25)などのケモカインを含むケモカイン、GM−CSF、M−CSF、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンおよびペグ化インターフェロン、例えばγ−インターフェロン、IP−10、MIPlβ、FLP−3、リバビリン、RANTES、SiRNA、アンチセンスRNA、ポリメラーゼのインヒビタ、ヘリカーゼ、GTPase、ATPase、プロテアーゼ、グリコシル化、メタロプロテアーゼ、および/またはIRESと併せて投与されうる。それゆえ本発明は、HCV感染を治療するための他の治療計画によって使用されうる。他の組成物と組み合せて使用する場合、このような組成物はE1E2組成物の前に、E1E2組成物と同時に、E1E2組成物の次に投与されうる。
【0200】
HCV特異的なT細胞
生体内または試験管内で発現された上記のE1E2複合体によって活性化されるTCV特異的なT細胞は好ましくは、E1および/またはE2ポリペプチドなどのHCVポリペプチドのエピトープ、あるいはE1E2複合体を認識する。HCV特異的なT細胞は、CD8+またはCD4+でありうる。
【0201】
HCV特異性CD8+T細胞は好ましくは、MHCクラスI分子によって複合体化されたE1および/E2エピトープを提示するHCV感染細胞を死滅させうる細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。HCV特異性CD8+T細胞は、インターフェロン−γ(IFN−γ)も発現しうる。HCV特異性CD8+T細胞は、例えば51Cr放出アッセイによって検出されうる(実施例を参照)。51Cr放出アッセイは、HCV特異性CD8+T細胞がE1、E2またはE1E2エピトープを提示する標的細胞を溶解させる能力を測定する。IFN−γを発現するHCV特異性CD8+T細胞は、免疫学的方法によって、好ましくはE1、E2またはE1E2ポリペプチドを用いた試験管内刺激後のIFN−γの細胞内染色によっても検出されうる(実施例を参照)。
【0202】
生体内または試験管内で発現された、上記のE1E2複合体によって活性化されたHCV特異性CD4+T細胞は、好ましくは、HCV感染細胞のMHCクラスII分子に結合された、E1E2複合体のエピトープを含むE1および/またはE2ポリペプチドのエピトープを認識して、E1E2複合体を用いた刺激に応答して増殖する。
【0203】
HCV特異性CD4+T細胞は、リンパ球増殖アッセイによって検出されうる(実施例を参照)。リンパ球増殖アッセイは、HCV特異性CD4+T細胞がE1、E2および/またはE1E2エピトープに対して応答して増殖する能力を測定する。
【0204】
HCV特異的なT細胞を活性化する方法
E1E2タンパク質またはポリヌクレオチドは、例えば試験管内または生体内のどちらかでHCV特異的なT細胞を活性化するために、免疫応答を刺激するために使用されうる。HCV特異的なT細胞の活性化は、特にHCVに対するCTL応答を最適化するためのモデル系を提供するために、そしてHCV感染に対する予防または治療処置を提供するために使用されうる。試験管内活性化では、タンパク質は好ましくは、プラスミドまたはウイルスベクター、例えば上記のようなアルファウイルスベクターを介してT細胞に供給される。
【0205】
T細胞のポリクローナル個体群は、HCVに感染した哺乳類の、血液に、好ましくは末梢リンパ器官、例えばリンパ節、脾臓、または胸腺に由来しうる。好ましい哺乳類としては、マウス、チンパンジー、ヒヒ、およびヒトが挙げられる。HCVは、哺乳類における活性化HCV特異的なT細胞の数を増加させるように作用する。哺乳類に由来するHCV特異的なT細胞は次に、試験管内でHCV E1E2をT細胞に添加することによって再刺激されうる。HCV特異的なT細胞は次に、特に増殖、INF−γの産生、および試験管内でE1E2エピトープを提示する標的細胞を溶解させる能力について試験されうる。
【0206】
リンパ球増殖アッセイにおいて、HCV活性化CD4+T細胞は、E1E2エピトープペプチドを用いて培養したときには増殖するが、エピトープペプチドの非存在下では増殖しない。それゆえHCV活性化CD4+T細胞によって認識される詳細なE1およびE2エピトープまたは他のHCV抗原は、リンパ球増殖アッセイを使用して同定されうる。
【0207】
同様に、上記のHCVタンパク質を用いた試験管内刺激後のHCV活性化CD8+T細胞におけるIFN−γの検出は、CD8+T細胞を刺激してIFN−γを産生させるのに特に有効であるE1、E2、およびE1E2エピトープまたは他のHCV抗原を同定するのに使用されうる(実施例を参照)。
【0208】
さらに51Cr放出アッセイは、HCVに対するCTL応答のレベルを判定するのに有用である。Cooperら、Immunity 10:439−449を参照。例えばHCV活性化CD8+T細胞は、HCV感染哺乳類の肝臓に由来しうる。これらのT細胞は、51Cr放出アッセイで例えばE1E2エピトープを提示する標的細胞に対して試験されうる。各標的細胞個体群がE1E2の異なるエピトープを提示するために、異なるE1E2エピトープを発現する複数の標的細胞個体群が構築されうる。HCV特異性CD8+細胞は、これらの標的細胞個体群のそれぞれに対してアッセイされうる。51Cr放出アッセイの結果を使用して、HCVに対して最強のCTL応答を担うE1E2のエピトープを決定することができる。最強のCTL応答を担うエピトープを含有するE1E2複合体は次に、51Cr放出アッセイに由来する情報を使用して構築されうる。
【0209】
投与
通例、免疫原性組成物(DNAおよびタンパク質の両方)は、液体液剤または懸濁剤のどちらかとしての注射用剤として調製される;注射前に液体ビヒクルへの溶解または懸濁に適した固体形も調製されうる。それゆえいったん調合されると、組成物は例えば皮下または筋肉内に注射によって非経口的に好都合に投与される。他の投与様式に適した追加の調合物としては、経口および肺調合物、坐剤、および経皮施用が挙げられる。
【0210】
投薬治療は単回プライミング投薬および単回ブーストでありうるか、または複数回用量スケジュールでありうる。投薬間(プライミングおよびブースト)の間隔は、患者の年齢および組成物の性質などの因子に従って変化し、これらの因子は医師によって評価されうる。初回プライミングおよびブースト用量の投与は一般に、少なくとも2週間、通例は4週間の間隔を置く。本発明の方法は、1回を超えるプライミング投薬および/または1回を超えるブースト投薬、例えば2回以上のプライミング投薬と、続く2回以上のブースター投薬を含みうる。「メモリ」ブーストという用語は、初回ブースト後に与えられるいずれかのブースト投薬を指す。「メモリ」ブーストが投与される時間は、初回ブーストから数時間(例えば1〜72時間またはその間のいずれかの時点)または数日(例えば1〜90日またはその間のいずれかの時点)から数か月(例えば1〜36か月またはその間のいずれかの時点)または数年すら変化しうる。1回を超えるメモリブーストは、相互に対して同じまたは異なる時間間隔で投与されうる。同じまたは異なる免疫原性組成物が各プライミング投薬に使用されうる。プライミングおよびブースト投薬はしたがって、それらのタイミングではなくて、投与経路によって区別されうる。
【0211】
好ましくは、投与された量は疾患症状の治療または予防を引き起こすのに十分である。正確な必要量は他の因子の中で特に、治療される患者;治療される個体の年齢および全身状態;免疫応答に関与する個体の免疫系の能力;所望の保護度;治療される状態の重症度;選択された特定の巨大分子およびその投与様式によって変化するであろう。適切な有効量は、当業者によって容易に決定されうる。「治療的有効量」は、当分野で既知の試験管内および生体内モデルを使用した日常的な試験によって決定されうる比較的広範な範囲に当てはまるであろう。下の実施例で使用するE1E2核酸およびポリペプチドの量は、例えば生体内でHCV特異的なT細胞を活性化するために、HCV特異性細胞免疫応答の誘発を最適化するのに使用されうる一般的な指針を与える。
【0212】
例えば免疫原は好ましくは、霊長類などの大型哺乳類、例えばヒヒ、チンパンジー、またはヒトに筋肉内注射される。E1E2タンパク質の送達では、投薬当たり免疫原0.1μg〜約5.0mg、または示した範囲の任意の量、例えば投薬当たり5μg〜約10mg、1μg〜約2mg、2.5μg〜約250μg、4μg〜約200μg、例えば4、5、6、7、8、9、10...20...30...40...50...60...70...80...90...100μgなどが送達されるであろう。ブースター投与では、送達されるE1E2核酸構築物の量は、使用される場合はベクターに依存するであろう。例えばE1E2 DNAがウイルスベクターなしで送達される場合、DNA約1μg〜500mg、例えばDNA5μg〜100mg、例えばDNA 10μg〜50mg、または10μg〜5mg、例えば20...30...40...50...60...100...200μgなど〜500μg、および示した範囲の任意の整数は、本方法で用途を見出すであろう。アルファウイルスレプリコンなどのウイルスベクターを送達に使用する場合、一般に有効量はウイルスベクターの約105〜1020感染単位、さらに好ましくはウイルスベクターの108〜1015の、なおさらに好ましくは約1010〜1013感染単位、またはこれらの範囲内の任意の値を含むであろう。
【0213】
本発明のE1E2核酸構築物は、標準遺伝子送達プロトコルを使用して投与される。遺伝子送達の方法は当分野で既知である。例えば米国特許番号:5,399,346、5,580,859、5,589,466を参照。E1E2核酸構築物は、脊椎動物対象に直接送達されるか、あるいは生体外で対象に由来する細胞に送達されて、細胞が対象に再植え込みされるかのどちらかである。
【0214】
E1E2ポリペプチドおよび核酸の投与は、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上続く、細胞免疫応答、および/または抗E1、抗E2および/または抗E1E2抗体力価を哺乳類にて誘発しうる。上で説明したように、E1E2核酸はメモリ応答を提供するためにも投与されうる。このような応答が達成されると、抗体力価または細胞免疫応答は経時的に低下しうるが、しかしながらHCVウイルスまたは免疫原への曝露は、例えばわずか2、3日以内で抗体および/または細胞免疫応答の迅速な誘発を引き起こす。場合により、このような応答は哺乳類において、上で説明したようなE1E2核酸構築物の1回以上のブースター注射を初回注射の2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上後に供給することによって維持されうる。
【0215】
本発明の方法による使用のための組成物は、例えば特に51Cr放出アッセイ、リンパ球増殖アッセイによって、またはIFN−γの細胞内染色によって測定されたようにHCV特異的なT細胞を活性化するために、使用した特定の組成物に適合する方法で、そして免疫応答を刺激するのに有効な量で投与される。タンパク質および/またはポリヌクレオチドは、HCVに感染していない哺乳類に投与されうるか、またはHCV感染哺乳類に投与されうるかのどちらかである。本発明の組成物の有効量は、日常的な実験のみを使用して容易に決定されうる。上記の試験管内および生体内モデルは、適切な用量を識別するために使用されうる。後述する実施例で使用したタンパク質およびポリヌクレオチドの量は、HCV特異的なT細胞の生体内または試験管内どちらかでの活性化を最適化するために使用されうる一般的指針を提供する。
【実施例】
【0216】
下は、本発明を実施するための具体的な実施形態の例である。実施例は例示的目的のためだけに与えられ、本発明の範囲を決して制限するものではない。
【0217】
使用した数字(例えば量、温度など)に関して正確を期するための努力が払われたが、一部の実験誤差および偏差はもちろん許容されるべきである。
【0218】
物質および方法
酵素は市販供給元から購入して、製造者の指示に従って使用した。
【0219】
DNA断片の単離では、記載した場合を除いて、すべてのDNA操作は標準手順に従って実施した。Sambrookら、同上を参照。制限酵素、T4 DNAリガーゼ、大腸菌、DNAポリメラーゼII、クレノウ断片、および他の生物試薬は市販の供給者から購入して、標準手順に従って実施した。2本鎖DNA断片をアガロースゲル上で分離した。
【0220】
化学試薬の供給源は一般に、Sigma Chemical Company,St.Louis,MO;Alrich,Milwaukee,WI;Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,INを含む。
【0221】
E1E2809タンパク質の産生
プラスミドpCMVtpaElE2p7(6275bp)は、アミノ酸192から809をコードするHCV−1を上流組織プラスミノゲン活性化物質(tpa)シグナル配列によってpnewCMV−II発現ベクター内へクローニングすることによって構築した。pnewCMVベクターは、次の要素:pUC19ベースクローニングベクターである:SV40複製起点、ヒトCMVエンハンサ/プロモータ、ヒトCMVイントロン、ヒト組織プラスミノゲン活性化物質(tPA)リーダー、ウシ成長ホルモンポリAターミネータおよびアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0222】
E1E2809は、先に記載されているように組み換えCHO細胞から発現された(Spaeteら、Virology(1992)188:819−830)。E1E2複合体は、Triton X−100洗浄剤を用いてCHO細胞内から抽出した。E1E2複合体は、スノードロップレクチンアガロース(Vector Laboratories,Burlingame,Calif.)クロマトグラフィーおよび高速流S−セファロースカチオン交換クロマトグラフィー(Pharmacia)を使用して精製した。
【0223】
E1E2809ポリヌクレオチドを発現することによって産生されたE1E2複合体2μgは、サブミクロン水中油型エマルジョンMF59によって乳化させた。MF59はChiron Vaccines,Marburgにて製造され、先に詳細に記載されている(Ottら、「MF59−Design and Evaluation of a Safe and Potent Adjuvant for Human Vaccines」in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(編者:Powell,M.F.およびNewman,MJ.)Plenum Press,New York、1995年、pp.277−296)。
【0224】
E1E2809をコードするアルファウイルス
複製欠損アルファウイルス粒子は、外来抗原の高レベル発現、ヒトにおける既存の免疫性、樹状細胞のターゲッティング、および生得の免疫性の強力な刺激のために、効率的なワクチン送達プラットフォームである。特に、選択した所望の品質のシンドビスウイルス(SIN)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)を組み合せるVEE/SINレプリコン粒子キメラが使用された。このようなキメラは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、Perriら、J.Virol.(2003)77:10394−10403ならびに特許公報番号:20030232324および20030148262に記載されている。
【0225】
細胞株の増殖および感染
BHK−21細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)、10mMピルビン酸ナトリウム、ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したダルベッコ最小必須培地(DMEM)中で37℃、5%CO2下で維持した。約80%コンフルエントの細胞単層をレプリコン粒子によって、1%FCSを含有するDMEM中で37℃にて1時間感染させて、次に10%FCSを含有するDMEM中で一晩インキュベートした。
【0226】
レプリコンベクターおよび不完全ヘルパー構築物
VCR−Chim2.1はVCR(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)から、(i)PCR増幅シンドビスウイルス(SIN)パッケージング配列(SlNゲノムのnt945−1076)をnt5493および5595のXhol部位間のベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)非構造タンパク質遺伝子3(nsP3)遺伝子内にインフレーム融合として挿入することと、(ii)VEE 3’未翻訳領域(3’UTR)を、先に公開されたSIN由来レプリコンベクター、SINCRからのSIN 3’UTRによって置換することと(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)によって得た。キメラベクター内への挿入のためのE1E2(746)およびE1E2p7(809)遺伝子断片は、pCMVtpaE1E2p7のPCR増幅によって生成し、次にcDNAをVCR−Chim2.1レプリコンベクター内に挿入すると、構築物VEE/SIN−E 1E2746およびVEE/SIN−E1E2809が生じた。
【0227】
HCVタンパク質を発現するアルファウイルスレプリコン粒子の産生
SINからカプシドまたはエンベロープ糖タンパク質のどちらかをコードする配列を、VEEベース不完全ヘルパー主鎖(VCR−DH)内に挿入した(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)。
【0228】
キメラレプリコン粒子は、先に記載されているように、レプリコンおよび一方がカプシドタンパク質を発現して、他方がエンベロープ糖タンパク質を発現する2個の不完全ヘルパー試験管内転写RNAの同時電気穿孔によって生成した(Perriら、J Virol.2003年、77:10394−403)。
【0229】
HCV−E1E2746またはE1E2809を発現するレプリコン粒子を電気穿孔の24時間後に培養上清として回収して、濾過によって浄化し、カチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。レプリコン粒子力価は、粒子の連続希釈物によるBHK−21細胞の一晩の感染後に、発現されたE1およびE2の細胞内染色によって決定した。感染細胞はCytofix/Cytopermキット(Pharmingen)を使用して透過処理および固定して、次にHCV E1またはE2抗原に対するフルオレセインイソチオシアナートコンジュゲート抗体によって染色した。フローサイトメトリー分析を使用して、E1またはE2陽性細胞を決定して、力価を計算するのに使用した。汚染複製可能ウイルスの非存在は、ナイーブBHK−21細胞の5回の連続感染および力価の決定によって決定した。最後に、エンドトキシンレベルをすべてのレプリコン粒子サンプルについて測定して、<0.5エンドトキシン単位/mlであることが示された。
【0230】
NSポリタンパク質
HCV活性化T細胞のT細胞受容体によって認識されたエピトープも例えば、5Cr放出アッセイによって、またはリンパ球増殖アッセイによって同定されうる(実施例を参照)。5Cr放出アッセイでは、エピトープをコードするポリヌクレオチドを発現ベクター内にクローニングして、発現ベクターを標的細胞内へ形質転換することによって、興味のあるエピトープを提示する標的細胞が構築されうる。HCV30特異性CD8+T細胞は、例えばNS3、NS4、NS5a、NS5b、NS3NS4NS5a、またはNS3NS4NS5aNS5bエピトープを提示する標的細胞を溶解させて、このようなエピトープを提示しない細胞を溶解させないであろう。リンパ球増殖アッセイにおいて、HCV活性化CDE4+T細胞は、例えばNS3、NS4、NS5a、NS5b、NS3NS4NS5a、またはNS3NS4NS5aNS5bエピトープペプチドによって培養されたときに増殖するが、HCVエピトープペプチドの非存在下では増殖しない。
【0231】
E2、NS3、NS4、NS5a、およびNS5bポリペプチドは、融合タンパク質においていずれの順序ででも発生しうる。所望ならば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10以上の、1個以上のポリペプチドが融合タンパク質において発生する。HCVの多重ウイルス株が発生し、これらの株のいずれのNS3、NS4、NS5a、およびNS5bポリペプチドも融合タンパク質において使用されうる。本発明での使用のための代表的な融合タンパク質を図7に示し、アミノ酸番号付けはHCV−1ポリタンパク質に対してである。
【0232】
NS345ポリタンパク質を発現するアルファウイルス
レプリコンベクターおよび不完全ヘルパー構築物
NS345をコードする核酸はNS3−NS5のPCR増幅によって生成して、次にcDNA(aa1027−3012)をVCR−Chim2.1(J Virol.2003年、77:10394−403)レプリコンベクターに挿入して、構築物VEE/SIN−NS345を生じさせた。
【0233】
アルファウイルスレプリコン粒子の産生
HCV−NS345を発現するレプリコン粒子を電気穿孔の24時間後に培養上清として回収して、濾過によって浄化し、カチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。レプリコン粒子力価は、粒子の連続希釈物によるBHK−21細胞の一晩の感染後に、発現されたNS3、NS4、NS5aおよびNS5bの細胞内染色によって決定した。感染細胞はCytofix/Cytopermキット(Pharmingen)を使用して透過処理および固定して、HCV NS3、NS4、NS5aおよびNS5bに対する抗体およびAlexa fluor 488−コンジュゲート抗マウスIgGによって染色した。フローサイトメトリー分析を使用して、NS3、NS4、NS5aおよびNS5b陽性細胞を決定して、力価を計算するのに使用した。汚染複製可能ウイルスの非存在は、ナイーブBHK−21細胞の5回の連続感染および力価の決定によって決定した。最後に、エンドトキシンレベルをすべてのレプリコン粒子サンプルについて測定して、<0.03エンドトキシン単位/mlであることが示された。
【0234】
グループ当たり10匹のbalb/cマウスに指示した物質を0、3および6週に筋肉内注射した。プライム−ブースト実験では、マウスを0および3週にプライミングして、6週にブーストした。我々は注射に、ISCOMATRIX(CSL)5μgと混合した、VEE/SIN−NS345の5E6複製粒子およびポリタンパク質(NS345core)50μgを使用した。マウスを8週に殺処分して、脾臓を回収してCD4およびCD8応答を検出した。
【0235】
細胞内染色(ICS)
脾臓細胞(1E×6)を抗CD28(lμg/ml)(BD Biosciences,San Jose,CA)およびBrefeldin A(BD Biosciences, San Jose,CA)の存在下で指示したペプチド10μg/mlによって37℃にて6時間刺激して、次にCD8の抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)によって染色した。細胞を次にIFN−γ染色(BD Biosciences,San Jose,CA)のために固定および透過処理した。染色後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。データは、CD8+T細胞におけるINF−γおよびCD8二重陽性個体群を表す。
NS3、NS4、NS5aまたはNS5bプール:NS3、NS4、NS5aまたはNS5b領域をカバーする20mer重複ペプチド。
NS3−1 pep:LVALGINAVAYYRGL(配列番号:6)(Simon、Cornellら、2003年)
NS3−2 pep:TTVRLRAYMNTPGLP(配列番号:7)(Simon、Cornellら、2003年)
NS3−3 pep:SSPPVVPQSF(配列番号:8)(Arribillaga、de Cerioら、2002年;Arribillaga、Sarobeら、2005年)。
NS5b pep:MSYSWTGALVTPCAAE(配列番号:9)(Uno−Furuta,Matsuoら、2003年)
SOD−C100:酵母から精製した組み換えNS4タンパク質
SOD−NS5:酵母から精製した組み換えNS5A/Bタンパク質。
【0236】
インターフェロンガンマ(IFN−γ)の細胞内染色
IFN−γの細胞内染色を使用して、下に示すように、E1またはE2プールペプチドによる試験管内刺激後にIFN−γを分泌するCD8+T細胞、あるいは個々のCD4 E2またはCD8 E2ペプチドを同定した。詳細には、脾臓細胞1x106個を、抗CD28(lμg/ml)(BD Biosciences,San Jose,CA)およびBrefeldin A(BD Biosciences,San Jose,CA)の存在下で図4に示したE1またはE2ペプチド10μg/mlによって37℃にて6時間刺激して、次にCD8の抗体(BD Biosciences,San Jose,CA)によって染色した。細胞を次にIFN−γ染色BD Biosciences,San Jose,CA)のために固定および透過処理した。染色後、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
【0237】
データは、CD8+T細胞におけるINF−γおよびCD8二重陽性個体群を表す。
【0238】
E1プール:E1領域をカバーする20mer重複ペプチド。
【0239】
E2プール:E2領域をカバーする20mer重複ペプチド。
【0240】
CD4 E2 pep:QTHTTGGQAGHQAHSLTGLFSPGAKQN(配列番号:4)(Zucchelliら、J.Virol.(2000)74:11598−11607)。
【0241】
CD8 E2 pep:DATYSRCGSGPWITPRCLVD(配列番号:5)(Zucchelliら、J.Virol.(2000)74:11598−11607)。
【0242】
本明細書に記載したNSタンパク質および融合タンパク質のエピトープは複数の方法によって同定されうる。例えば上のいずれかの組み合せを含むNS3、NS4、NS5a、NS5bポリペプチドまたは融合タンパク質は、例えばポリペプチドまたはタンパク質のモノクローナル抗体免疫親和性精製によって単離されうる。単離タンパク質配列は次に、精製タンパク質のタンパク質分解開裂によって、共にタンパク質配列全体に及ぶ一連の20個の短いペプチドを調製することによってスクリーニングされうる。例えば100merポリペプチドで開始することによって、各ポリペプチドはHCV活性化T細胞のT細胞受容体によって認識されたエピトープの存在について試験することが可能であり、次に同定された100merからの徐々に小さくなる重複断片が試験されて興味のあるエピトープをマッピングできる。
【0243】
(実施例1)
E1E2またはE1E2P7レプリコンを使用するマウスの免疫化
Balb/cマウスをPBS(naive)、VEE/SINキメラアルファウイルスレプリコン(V/S−E1E2およびV/S−E1E2P7の4E+6または4E+5複製粒子)、E1E2P7タンパク質プラスMF59、およびE1E2P7タンパク質プラスMF59およびCpGによって3回免疫化した。マウスを0および3、および6週に免疫化して、次に脾臓を8週に回収した。脾臓細胞を10ug/mlのHCVペプチドプール(E1プールおよびE2プール)または個々のペプチド(CD4 E2 pepおよびCD8 E2 pep)で刺激して、次にフローサイトメトリー分析のためにCD8およびIFN−γの抗体によって染色した。データは、免疫化後のCD8+T細胞におけるIFN−γ陽性個体群のパーセンテージを示す。赤色矢印で示すように、V/S−E1E2またはV/S−E1E2P7を用いたプライムは、IFN−γ産生のために非常に良好なCD8+T細胞応答を刺激しうる。
【0244】
結果を図3に示す。見てわかるように、VEE/SIN−E1E2およびVEE/SIN−E 1E2P7レプリコンはどちらも、E1タンパク質に対する強いCD8+T細胞応答を刺激したが、HCV特異性CD4+T細胞応答は刺激しなかった(図5a)。これらの結果は、p7なしでE1E2抗原をコードするポリヌクレオチドが、E1E2P7/MF59タンパク質プライムを先に行わずに欠損アルファウイルス粒子によって送達されるときに、E1抗原に対するCD8+T細胞応答が強化されることを証明した。
【0245】
(実施例2)
E1E2P7タンパク質ワクチンと、続いてのE1E2またはE1E2P7キメラレプリコン粒子ブーストとを使用するマウスの免疫化
次の試験は、E1E2P7一次免疫化と、続くE1E2レプリコンブーストのHCV特異的なT細胞応答に対する効果を決定するために実施した。Balb/cマウス(グループ当たりマウス10匹)に0、3、および6週に指示した物質(図4)を筋肉内(im)注射して、血清を2、5、および8週に収集した。プライム−ブースト実験では、マウスを0および3週にE1E2P7タンパク質+MF59を用いてプライミングして、指示したキメラレプリコン粒子によって6週にブーストした。VEE/SIN−E1E2およびVEE/SIN−ElE2809(E1E2P7とも呼ばれる)の複製粒子4×106個を使用して、E1E2タンパク質複合体(物質および方法、「E1E2809タンパク質」で上述したE1E2809構築物の発現に由来するE1E2809)2μgを注射用にMF59によって乳化した。E1E2/MF59タンパク質産生は例えばWO03/002065に記載されている。マウスを8週に殺処分して、脾臓を回収してCD4およびCD8応答を検出した。
【0246】
結果を図4に示す。見てわかるように、VEE/SIN−E1E2は、強いCD8+T細胞応答を刺激したが、HCV特異性CD4+T細胞応答は刺激しなかった(図5a)。図4に示すように、E1E2809/MF59によるプライミングと、続いての「VEE/SIN−E1E2」および「VEE/SIN−ElE2809」(E1E2P7とも呼ばれる)によるブーストは、IFN−γ産生のために非常に良好なCD8T細胞応答を刺激した。CD8+T細胞応答の最終プライミングは、E1E2809/MF59による最初のプライミングと、続いてのVEE/SIN−E1E2によるブーストによって得た。これらの結果は、上記のプライム−ブースト療法がHCV E2特異性CD+8応答の上昇を生じたため、この療法がHCVに対する予防および治療ワクチン手法において有益でありうることを証明した。
【0247】
(実施例3)
E1E2P7プラスCpGタンパク質ワクチンと、続いてのE1E2P7キメラレプリコン粒子ブーストを使用したマウスの免疫化
実施例2のような免疫化を実施したが、本実施例ではCpGをE1/E2タンパク質プライム免疫原性組成物に添加した。すべての方法は上の通りであり、E1/E2タンパク質を50ul中2ugまで希釈した。このタンパク質50ulをMF59 50ulに添加して、これにCpG 1ul(濃度10μg/ul)を添加した。上の通りのタンパク質プライミングの後に、E1/E2をコードするキメラアルファウイルス(即ちVEE/SIN−E1E2)を免疫化をブーストするために使用した。
【0248】
CpGをE1/E2 MF59プライミング療法に加えた結果を図5aおよび5bに示す。
【0249】
各種の免疫化方法の後にIgGアイソタイプ応答の決定を実施した。結果を図6に示す。ここで図6を参照すると、E1E2/MF59およびE1E2/MF59/CpG免疫化が同等のAb応答を誘発したが、IgG1/2a比は異なっていた。またCpGを含まないプライム/ブースト療法は、E1/E2をコードするアルファウイルス単独よりも高いが、タンパク質単独よりも低い抗体Ab応答を誘発した。
【0250】
これらの実験で使用したCpG配列「7909」は、5’−3’方向で、TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT(配列番号:10)であった。(例えば米国特許番号:6,239,116を参照)。CpG7909は、24mer BクラスCpGオリゴデオキシヌクレオチド(Vaccine.2004年8月13日;22(23−24):3136−43)。
【0251】
(実施例5)
E1およびE2に対する抗体力価も、E1/E2療法によるプライムブーストの後に検査した。E1/E2またはE1/E2P7をコードするアルファウイルス単独では著しい抗E1またはE2応答を誘発しなかったが、E1/E2タンパク質によるプライミングおよびE1/E2をコードするアルファウイルスによるブーストの一部として投与されたときに、E1およびE2に対する抗体が産生された。E1/E2のプライム−ブースト療法に対するアイソタイプ応答を、タンパク質プライミング工程の一部としてCpGを含む、および含まないタンパク質プライム間で比較した。図6に示すように、CpGがタンパク質プライミングと共に投与されたときに、免疫応答はTH1応答と似ていたが(IgG2Aが上昇)、CpGを含まないと、TH2様応答が誘発された(IgG1が上昇)。
【0252】
(実施例6)
結合抗体の中和:ブロッキングE1E2のCD81に対する抗体力価
定量的サイトフルオロメトリーアッセイを使用して、C型肝炎エンベロープ糖タンパク質のヒト細胞への結合を評価した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.93、pp.1759−1763、1996年;Science Vol.282、pp.938−941、1998年)。本アッセイは、チンパンジー保護抗体力価とこれらの抗体が組み換えE2タンパク質を標的細胞に結合するのを防止する能力との間の正の相関を証明した。テトラスパニンスーパーファミリーの一員であるヒトCD81は、組み換えE2タンパク質を、最も重要なことにはエンベロープ結合HCV RNAを結合する。HCV E2結合部位は、ヒトおよびチンパンジーの両方で保存されているCD81(EC2)の主要な細胞外ループにマッピングされた。チオレドキシンのC末端に融合されたヒトCD81の大型細胞外ループを含有する組み換え融合分子をクローニング、発現および精製した。我々のアッセイデータは、E1/E2ワクチンによって免疫化されたチンパンジーに由来するHCV保護抗体は、E1/E2およびE2タンパク質の両方のCD81への結合を阻害しうることを示唆している。CD81組み換え受容体タンパク質を96ウェルプレートにコーティングする。ユウロピウム標識された抗E2特異性モノクローナル抗体を検出に使用する。
【0253】
ホウ酸ナトリウム緩衝液中のCD81組み換え受容体250ng/アッセイを96ウェル培地結合Costerプレート(プレートA)に一晩コーティングした。抗原CHO E1/E2(5ug/ml)およびMoab 5E5/H7*Eu3+(0.33ug/mlを作用試薬で別々に希釈した。希釈プレート(プレートB)において、希釈CHO E1/E2 55ulを、作用試薬中の5E5/H7−Eu3+Moab 55ulを各ウェルに添加した。プレートを40℃にて15分間振とうした。次にプレートBの各ウェルに、PBS/BSA緩衝液で2倍希釈した希釈血清サンプル110ulを添加して、40℃にて45分間振とうした。プレートBの各ウェルからの内容200ulをCD81コーティングプレート(プレートA)に適宜に移した。プレートを40℃にて45分間振とうした。プレートを洗浄緩衝液(1×PBS、0.1% Tween−20)によって5回洗浄して、ウェル当たり200ulのEnhancement Solution(Wallac)を各ウェルに添加して、室温にて5分間振とうした。プレートをWallac 1420 Multilabel Counterに置き、プロトコル「ユウロピウム」で読み取った。
【0254】
希釈係数を掛けた50%阻害を使用して、CD81力価を概算した。アッセイ希釈1:10における所与の対照の免疫化前出血を負の対照として使用した。阻害パーセントは、次の式を使用することによって各免疫化後出血日について概算した:
%阻害=(負の対照のシグナル−サンプルのシグナル)/負の対照のシグナル×100。
【0255】
本明細書に記載する各種のワクチン療法によって生成された中和抗体の結果(即ちCD81に対するブロッキングE1E2の抗体力価)を図12に与える。これらの結果は、E1E2ポリタンパク質プラスMF59および場合によりCpGが最高の中和抗体力価を産生したが、E1/E2 MF59プラスCpGによるプライミングと、続いてのE1E2をコードする欠損アルファウイルスの療法も結合抗体の著しい中和を産生したことを証明した。MF59を含み、CpGを含まないE1E2糖タンパク質は、最高の中和(即ち抗CD81)抗体力価を産生したが、E1/E2 MF59プラスCpGによるプライミングと、続いてのE1E2をコードする欠損アルファウイルスによるブーストおよびE1E2糖タンパク質プラスMF59およびCpGによる免疫化の療法を用いた免疫化も、結合抗体の著しい中和を産生した(抗CD81)。
【0256】
(実施例7)
E2NS345corel21タンパク質プラスISCOMSを使用するマウスの免疫化
Balb/cマウスを、PBS(ナイーブ)、緑色蛍光タンパク質をコードするVEE/SINキメラアルファウイルスレプリコンまたはNS345(5E+5または5E+6)によって3回免疫化した。マウスを0および3、および6週に免疫化して、次に脾臓を8週に回収した。脾臓細胞をHCVペプチドプール10ug/mlで刺激して、次にフローサイトメトリー分析のためにCD4(図8)またはCD8(図9)の抗体、およびIFN−γによって染色した。データは、免疫化後のCD8+またはCD4+T細胞におけるIFN−γ陽性個体群のパーセンテージを示す。結果を図8および9に示す。見て分かる通り、VEE/S1N−NS345レプリコンは、幅広いHCV特異性CD4+およびCD8+T細胞応答、特にCD8+T細胞応答を誘発した。
【0257】
(実施例8)
NS345core/ISCOMタンパク質ワクチンプライムと、続いての粒子ブーストのために上記のようにNS345タンパク質領域をコードするアルファウイルスキメラレプリコを使用するマウスの免疫化
アミノ−カルボキシ配列において、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NSのアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121の配列より成るHCV融合タンパク質をコードする合成HCV 1a核酸であって、NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、コア配列のアミノ酸9がリジンであり、コア配列のアミノ酸11がアルギニンである合成HCV 1a核酸を構築した。本配列を図7に図式的に示し、アミノ酸番号付けはHCV−1配列に対してである。
【0258】
一実施形態において、本発明は、プロテアーゼ活性を不活性化するNS3に突然変異を有するHCV NSポリタンパク質を含む。このような突然変異は、WO2004/005473に記載されているような融合タンパク質の発現を可能にする。加えて、一実施形態において、本発明は、融合タンパク質中のHCVからの1個以上の構造タンパク質配列をさらに含むHCV NSポリタンパク質を含み、また好ましい。
【0259】
その中でコードされた融合タンパク質は、酵母カッカロミセスセレビシエ内で発現させた。融合タンパク質は、標準組み換えクローニング技法および特にUS2006−0088819A1、WO01/38360およびWO2004/005473で先に記載された方法を利用して、クローニングされて、さらに融合タンパク質挿入DNAを含有するプラスミドpBS24.1から発現させた。上の融合タンパク質は、「e2ns3mns5tr.c121」または「E2NS3*NS4NS5tcore121」と呼ばれる。
【0260】
e2ns3mns5tr.c121ポリタンパク質は、酵母発現ベクターpBS24.1を使用してカッカロミセスセレビシエにおける発現のために遺伝子組み換えした(米国特許番号:6,458,527 section 4.2.4.2および米国特許番号:5,635,374)。ベクターは酵母における自己複製のための2μ配列および選択可能なマーカーとしての酵母遺伝子leu2dおよびURA3を含有する。細菌におけるプラスミド複製に必要なα因子ターミネータ、βラクタマーゼ遺伝子およびColE1複製起点も本発現ベクター内に存在する。
【0261】
次の工程は、e2ns3mns5tr.c121ポリタンパク質の発現カセットを構築するために行った。
【0262】
最初に、N末端領域を構築するために、819bpのHindIII/AcII断片をpGEM7.d.E2(HindIII/Xhol)サブクローン#3から単離した。5’HindIIIクローニング部位には、イニシエータATGの配列ACAAAACAAAと、aa384で開始してaa650のAcII制限部位まで続くHCV−1 E2外部ドメインのコドンが続く。HindIII/AcII断片およびE2外部ドメインのaa651−aa662に相当する34bp AcII/CelIIキナーゼ合成断片を、HCV−1 E2外部ドメイン配列のaa662−aa715をコードする228bp CelII/BlnI断片と、続いてのHCV−1 NS2およびNS3のaa1018−aa1039のコドンを含有するpT7Blue2 HindIII/CelIIベクター内に結合させた。結合混合物をHB101コンピテント細胞に形質転換させて、ルリア−アンピシリン寒天プレートにプレーティングした(100μg/ml)。miniprepDNA分析、所望のクローンの同定および配列確認の後、pT7Blue2.E2/ns2.3#23をHindIIIおよびBlnIで消化して、1081bp断片を単離した。
【0263】
第2に、Ser1165−Ala突然変異をNS3ドメインに導入するために、703bpのBlnI/ClaI断片をpSP72.HindIII/ClaI.ns3mut 1165#15からゲル単離した。この703bp断片は、Ser1165が部位特異的突然変異誘発によってAlaに突然変異されたHCV−1ゲノムのaa1040−aa1274をコードする。
【0264】
第3に、e2.ns3m−ns5corel21発現カセットのクローニングを促進するために、1081bp HindIII/BlnI断片および703bp Bln/ClaI断片をpSP72 HindIII/ClaIベクター内に結合した。結合混合物を上のように形質転換して、DNA分析の後に得られたクローンをpSP72.HindIII/Clae2.ns3m#1と名付けた。
【0265】
第4に、1784bp HindIII/ClaI断片を上記のpSP72.HindIII/Clae2ns3m#1からゲル精製した。HCV−1のNS3−NS5aからaal274−aa2202をコードするClaI/NheI 2787bp断片を、全長HCV−1クローン、pUC.HCV3から単離した。2732bp Nhe/SalI断片をpSP72.HindIII/SalI.ns5ab.2990.corel21#27サブクローンからゲル単離した。Nhe/Sal断片は、NS5aおよびNS5bのaa2203−2990と、続くコアドメインのaa1−121に相当する。HCV−1コア配列内では、コンセンサスaaが位置9(Lys)および11(Arg)に包含されていた。
【0266】
最後に、米国特許番号:6,183,985に記載された1366bp BamHI/HindIII ADH2/GAPDHプロモータ断片を1784bp HindIII/ClaI断片、2787bp Cla/NheI断片、および 2732bp NheI/SaII断片とpBS24.1 BamHI/SalI酵母発現ベクター内へ結合させて、それによりプラスミドpd.e2ns3mns5tr.cl21を作製した。
【0267】
S.セレビシエ株AD3*遺伝子型(matα、leu2、trp1、ura3−52、prb−1122、pep4−3、prcl−407、cir°、trp+、:DM15[GAP/ADR]をpd.e2ns3mns5tr.c121酵母発現プラスミドによって形質転換して、酢酸リチウムプロトコルを使用して酵母細胞を発現プラスミドによって形質転換した。Ura形質転換体は単一コロニーのために画線して、leu−/8%グルコースプレートにパッチしてプラスミドコピー数を増加させた。Leuスターター培養物を30℃で24時間培養して、次にYEPD(酵母抽出バクトペプトン2%グルコース)培地で1:20に希釈した。細胞を30℃にて48時間培養して、培地中のグルコース消耗後に回収した。e2ns3mns5tr.cl21組み換え抗原の発現を試験するために、細胞の一定分量を溶解緩衝液(10mM Tris−Cl pH7.5、1mM EDTA、10mM DTT)中でガラスビーズによって溶解させた。溶解液を高速での遠心分離によって浄化した。可溶性および不溶性画分の一定分量をSDSサンプル緩衝液pH12+50mM DTT中で煮沸して、4〜20% Tris−グリシンゲルを通して、クマシーブルーによって染色した。ガラスビーズ溶解後に不溶性画分中で組み換えタンパク質を検出した。
【0268】
S.セレビシエ株AD3*は本来、米国特許番号:6,458,527、2.4.42節」に記載されている株BJ2168に由来していた。
【0269】
E2NS3*NS4NS5tcore121融合タンパク質は、ADH2/GAPDHプロモータを使用して酵母プラスミドから発現させた。E2NS345tcore121融合タンパク質は、アミノ−カルボキシ末端アミノ酸384−715(E2)−1018−1026(NS2)−1027−1972(NS3NS4)−1973−2990(NS5t)−l−121(Core)を含む。アミノ酸番号付けは全長HCVポリタンパク質に対してであり、NS3およびコアは上で示したように修飾される。
【0270】
上記のように産生されたE2NS3*NS4NS5tcore121タンパク質を使用して、HCV融合−ISCOMを次のように産生した。融合−ISCOM調合物は、融合タンパク質とアジュバントとの間の結合を最大化するためにイオン相互作用を利用して、融合タンパク質をあらかじめ生成されたISCOMATRIX(空のISCOM)と混合することによって調製した。ISCOMATRIXは本質的にCoulterら(1998)Vaccine 16:1243に記載されているように調製する。HCVポリタンパク質プラスISCOM、融合−ISCOM調合物のさらなる産生方法は、本明細書では「IMX/ポリ」とも呼ぶ。
【0271】
次の試験は、GpG一次免疫化を含む、または含まないE2NS3*NS4NS5tcore121/ISCOMSと、続いてのNS345レプリコンブースとのHCV特異的なT細胞応答に対する効果を決定するために実施した。あるいは免疫化を反対にして、NS345をコードするアルファウイルスを融合−ISCOM調合物の前に投与した。Balb/cマウス(グループ当たりマウス10匹)に0、3、および6週に指示した物質(図10および11)を筋肉内(im)注射して、血清を2、5、および8週に収集した。
【0272】
(実施例9)
Huh7細胞へのJFH1−HCVcc(HCV−2a)感染を遮断する交差中和抗体
本明細書に記載した各種のプライムブースト療法からの免疫血清を、HCV組織培養アッセイにおける異種HCV株の感染性を中和する能力について分析した。JH1ゲノムを持つモノシストロニック配置で供給されたルシフェラーゼリポーター遺伝子によってタイプ2a HCV株をコードするHCVゲノム構築物が生成され、JFH1 2a HCVccと呼ばれた。本アッセイでは、JFH1ルシフェラーゼの複製は、相対光単位(RLU)としてルシフェラーゼ活性を観察することによって検出され、これを次に対照(PBSと共に注射)の%として図13に示す。感染粒子にパッケージされたJFH−1ルシフェラーゼ構築物を使用して、肝細胞を感染させた。ウイルス粒子がを37℃にて1時間処理して、次にHuH7細胞を感染させるために使用された後に、感染を発生させた。感染細胞を3日間インキュベートして、次にルシフェラーゼ活性をアッセイした。
【0273】
マウスを用いた本実施例の結果は、E1/E2 MF59/CpGによるプライムブーストと、続いてのHCV1aからE1E2をコードするアルファウイルスが、異種2a HCVタイプ、JFH1 2a HCVccの感染を中和した中和抗体を生成したことを証明した(図13)。先の実施例は、この特定のプライムブーストの組み合せが著しいT細胞応答も誘発させることを証明した。
【0274】
図14は、E1E2 MF59および精製CD81タンパク質によって免疫化されたチンパンジーからの免疫血清が、本実施例でマウス血清に使用した条件下でルシフェラーゼ活性の低下を引き起こすことを証明している。本対照は、中和を検出するためのアッセイの有用性を証明する。
【0275】
本発明の好ましい実施形態を多少詳細に説明したが、請求項によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱せずに明白な変更が実施されうることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0276】
【図1】HCVポリタンパク質の各種の領域を示した、HCVゲノムの図式表現である。
【図2A】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図2B】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図2C】(配列番号:1および2、各列上のアミノ酸配列:および各列下の2本鎖核酸トリプレットコドン配列)HCV−1 E1/E2/p7領域のヌクレオチドおよび対応するアミノ酸配列を示す。図に示した番号は、全長HCV−1ポリタンパク質に関連している。E1、E2およびp7領域を示す。
【図3】凡例および実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図4】実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図5a】凡例および実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD4+およびIFN−γ発現を示す。
【図5b】実施例で記載したようなワクチン接種マウスにおけるHCV特異性CD8+およびIFN−γ発現を示す。
【図6】実施例で記載したような抗体産生の判定のためのELISAの結果を示す。
【図7】実施例で記載したようなE2NS3*NS4NS5tcore121融合タンパク質の図を示す。
【図8】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルス構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD4 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図9】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルス構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD8 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図10】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルスおよび/またはNSポリペプチド構築物を用いた免疫化の後に生成されたCD8 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図11】実施例で記載したような各種のNSアルファウイルスおよび/またはNSポリペプチドを用いた免疫化の後に生成されたCD4 HCV特異的なT細胞の結果をグラフで示す。
【図12】実施例で記載したようなE1E2のプライムブースト療法を用いて免疫化したマウスにおいて産生された中和抗体力価(即ちCD81へのE1E2結合を遮断する抗体力価)の結果をグラフで示す。
【図13】HCV細胞培養/ルシフェラーゼアッセイ(即ちHCVcc中和アッセイ)におけるプライムブースト血清による感染性防止の結果をグラフで示す。
【図14】HCV細胞培養/ルシフェラーゼアッセイ、特にHCVcc中和アッセイでの感染性防止をグラフで示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象においてC型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドの少なくとも1個のエピトープに対する免疫応答を生成する方法であって:
該対象にHCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む少なくとも1個の第1組成物を投与する工程と;
次に該第1組成物の該少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物を少なくとも1回投与する工程であって、それにより該第2組成物の核酸が対象の1個以上の細胞で発現されて、該第1組成物のタンパク質の少なくとも一部が産生される、工程と;
を含む方法。
【請求項2】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記免疫応答がT細胞応答を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記免疫応答が抗体応答を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記T細胞応答がCD8T細胞応答を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記T細胞応答がCD4T細胞応答を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体応答がHCV感染性を中和する中和抗体応答を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記中和抗体応答が1個を超えるHCV株またはタイプの感染性を中和する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中和抗体応答がHCV1aおよびHCV2aの感染性を中和する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
HCVポリタンパク質を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アジュバントがISCOMを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1組成物が免疫刺激配列をさらに含む、請求項1〜18に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫刺激配列がCpG配列を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記CpGオリゴヌクレオチドが5’−3’方向で5TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT−3(配列番号:10)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞は該対象において活性化され、該活性化T細胞はE1、E2または該E1E2複合体のエピトープを認識する;
方法。
【請求項23】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記T細胞がCD8+T細胞を含む、請求項22〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記CD8+T細胞がインターフェロン−γを発現する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
HCV E1E2複合体を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項22〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質組成物中の前記E1E2複合体が、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項22〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質組成物中の前記HCV E1E2複合体が図2A〜Cの位置192−809に示したアミノ酸の配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192〜746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列をコードする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列をコードする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、キメラ欠損アルファウイルスレプリコン粒子である、請求項22〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1組成物中の前記HCV E1E2複合体が図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸の配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列をコードする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
HCV E1E2複合体をコードする前記核酸が、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記核酸組成物中の前記核酸構築物が図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列をコードする、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と;
を含む方法。
【請求項47】
前記免疫応答が細胞免疫応答を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫応答が体液性免疫応答を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
請求項46にしたがって、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって、該方法は、
HCVタンパク質を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象に該HCVタンパク質由来の少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それにより該HCVタンパク質をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、該HCVタンパク質を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞が該対象において活性化され、該活性化T細胞が該HCVタンパク質のエピトープを認識する、
方法。
【請求項50】
前記第1組成物がCpGオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項22〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記CpGオリゴヌクレオチドが5’−3’方向で5TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT−3(配列番号:10)を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記体液性免疫応答が、HCV E2タンパク質のCD81タンパク質への結合を中和する抗体を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記体液性免疫応答が1個を超えるHCVタイプを中和する抗体を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記抗体が少なくともHCVタイプ1aおよびHCVタイプ2aの感染性を中和する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって:
HCVポリタンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象に該HCVポリタンパク質複合体由来の少なくとも1個の抗原をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCVポリタンパク質複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、ポリタンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞が該対象において活性化され、該活性化T細胞が該ポリタンパク質複合体のエピトープを認識する;
方法。
【請求項56】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記T細胞が、前記HCVポリタンパク質に特異的なCD8+T細胞を含む、請求項55〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記T細胞が、前記HCVポリタンパク質に特異的なCD4+T細胞を含む、請求項55〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記HCVポリタンパク質特異的なT細胞がインターフェロン−γを発現する、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
HCVポリタンパク質複合体を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項55〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記タンパク質組成物中の前記ポリタンパク質複合体がアミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121をコードするアミノ酸の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生され、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項55〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記タンパク質組成物中の前記ポリタンパク質複合体が、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121より成るHCV融合ポリタンパク質を含み、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項55〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記タンパク質組成物中の前記HCVポリタンパク質複合体が、アミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121より成るHCV融合ポリタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生され、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
アミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121の配列より成るHCV融合ポリタンパク質を含む免疫原組成物であって、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、免疫原組成物。
【請求項72】
対象においてC型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドの少なくとも1個のエピトープに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造における、HCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む第1組成物と、該第1組成物の該少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それにより該第2組成物の該核酸が対象の1個以上の細胞で発現され、該第1組成物の該タンパク質の少なくとも一部が産生される、使用。
【請求項73】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する脊椎動物対象のT細胞を活性化させるための薬剤の製造における、HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物と、HCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる、使用。
【請求項74】
脊椎動物対象における免疫応答を刺激するための薬剤の製造における、HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物と、HCV E1E2複合体をコードする該核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる、使用。
【請求項75】
HCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む第1組成物によってプライミングされた対象における免疫応答を生成するための薬剤の製造における、該HCVタンパク質またはペプチドの少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む組成物の使用であって、それにより該組成物の該核酸が対象の1個以上の細胞において発現される、使用。
【請求項76】
対象における免疫応答を誘発または生成するためのキットであって:
(i)HCVタンパク質およびアジュバントを含む第1組成物と;
(ii)該第1組成物の該HCVタンパク質の少なくとも一部をコードするウイルスベクターを含む第2組成物と;
を含むキット。
【請求項1】
対象においてC型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドの少なくとも1個のエピトープに対する免疫応答を生成する方法であって:
該対象にHCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む少なくとも1個の第1組成物を投与する工程と;
次に該第1組成物の該少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物を少なくとも1回投与する工程であって、それにより該第2組成物の核酸が対象の1個以上の細胞で発現されて、該第1組成物のタンパク質の少なくとも一部が産生される、工程と;
を含む方法。
【請求項2】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記免疫応答がT細胞応答を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記免疫応答が抗体応答を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記T細胞応答がCD8T細胞応答を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記T細胞応答がCD4T細胞応答を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体応答がHCV感染性を中和する中和抗体応答を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記中和抗体応答が1個を超えるHCV株またはタイプの感染性を中和する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中和抗体応答がHCV1aおよびHCV2aの感染性を中和する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
HCVポリタンパク質を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アジュバントがISCOMを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1組成物が免疫刺激配列をさらに含む、請求項1〜18に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫刺激配列がCpG配列を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記CpGオリゴヌクレオチドが5’−3’方向で5TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT−3(配列番号:10)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞は該対象において活性化され、該活性化T細胞はE1、E2または該E1E2複合体のエピトープを認識する;
方法。
【請求項23】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項3に記載の方法。
【請求項26】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記T細胞がCD8+T細胞を含む、請求項22〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記CD8+T細胞がインターフェロン−γを発現する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
HCV E1E2複合体を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項22〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質組成物中の前記E1E2複合体が、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項22〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質組成物中の前記HCV E1E2複合体が図2A〜Cの位置192−809に示したアミノ酸の配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192〜746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列をコードする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項22〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列をコードする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、キメラ欠損アルファウイルスレプリコン粒子である、請求項22〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1組成物中の前記HCV E1E2複合体が図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸の配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
HCV E1E2複合体をコードする核酸を含む前記ウイルスベクターが、図2A〜2Cの位置192−746に示したアミノ酸配列をコードする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
HCV E1E2複合体をコードする前記核酸が、図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記核酸組成物中の前記核酸構築物が図2A〜2Cの位置192−809に示したアミノ酸配列をコードする、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
脊椎動物対象における免疫応答を刺激する方法であって:
HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象にHCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、E1E2タンパク質複合体を産生させる工程と;
を含む方法。
【請求項47】
前記免疫応答が細胞免疫応答を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記免疫応答が体液性免疫応答を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
請求項46にしたがって、C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって、該方法は、
HCVタンパク質を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象に該HCVタンパク質由来の少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2の組成物を少なくとも1回投与して、それにより該HCVタンパク質をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、該HCVタンパク質を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞が該対象において活性化され、該活性化T細胞が該HCVタンパク質のエピトープを認識する、
方法。
【請求項50】
前記第1組成物がCpGオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項22〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記CpGオリゴヌクレオチドが5’−3’方向で5TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT−3(配列番号:10)を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記体液性免疫応答が、HCV E2タンパク質のCD81タンパク質への結合を中和する抗体を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記体液性免疫応答が1個を超えるHCVタイプを中和する抗体を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記抗体が少なくともHCVタイプ1aおよびHCVタイプ2aの感染性を中和する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する、脊椎動物対象のT細胞を活性化する方法であって:
HCVポリタンパク質複合体を含む第1組成物を該脊椎動物対象に少なくとも1回投与する工程と;
次に該脊椎動物対象に該HCVポリタンパク質複合体由来の少なくとも1個の抗原をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物を少なくとも1回投与して、それによりHCVポリタンパク質複合体をコードする該核酸を該対象の1個以上の細胞において発現させて、ポリタンパク質複合体を産生させる工程と、を含み;
それによりT細胞が該対象において活性化され、該活性化T細胞が該ポリタンパク質複合体のエピトープを認識する;
方法。
【請求項56】
前記ウイルスベクターが哺乳類ウイルスベクターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ウイルスベクターがアルファウイルスベクターである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記アルファウイルスベクターが欠損アルファウイルス粒子である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染している、請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記第1および第2組成物の1個以上の投与前に前記対象がHCVに感染していない、請求項55〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記T細胞が、前記HCVポリタンパク質に特異的なCD8+T細胞を含む、請求項55〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記T細胞が、前記HCVポリタンパク質に特異的なCD4+T細胞を含む、請求項55〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記HCVポリタンパク質特異的なT細胞がインターフェロン−γを発現する、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
HCVポリタンパク質複合体を含む前記第1組成物がアジュバントをさらに含む、請求項55〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記アジュバントがサブミクロン水中油型エマルジョンである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンが、4〜5%w/vスクアレン、0.25〜1.0%w/vポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、および/または0.25〜1.0%ソルビタントリオレアート、ならびに場合により、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記サブミクロン水中油型エマルジョンがMF59である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記タンパク質組成物中の前記ポリタンパク質複合体がアミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121をコードするアミノ酸の配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生され、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項55〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記タンパク質組成物中の前記ポリタンパク質複合体が、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121より成るHCV融合ポリタンパク質を含み、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項55〜67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記タンパク質組成物中の前記HCVポリタンパク質複合体が、アミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121より成るHCV融合ポリタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現によって産生され、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
アミノ−カルボキシ配列において、メチオニン、E2のアミノ酸384−715、NS2のアミノ酸1018−1026、NS3のアミノ酸1027−1657、NS4のアミノ酸1658−1972、NS5のアミノ酸1973−2990およびコアのアミノ酸1−121の配列より成るHCV融合ポリタンパク質を含む免疫原組成物であって、該NS3配列の位置1165におけるセリンがアラニンによって置換され、該コア配列のアミノ酸9がリジンであり、該コア配列のアミノ酸11がアルギニンである、免疫原組成物。
【請求項72】
対象においてC型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドの少なくとも1個のエピトープに対する免疫応答を生成するための薬剤の製造における、HCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む第1組成物と、該第1組成物の該少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それにより該第2組成物の該核酸が対象の1個以上の細胞で発現され、該第1組成物の該タンパク質の少なくとも一部が産生される、使用。
【請求項73】
C型肝炎ウイルス(HCV)ポリペプチドのエピトープを認識する脊椎動物対象のT細胞を活性化させるための薬剤の製造における、HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物と、HCV E1E2複合体をコードする核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それによりHCV E1E2複合体をコードする該核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる、使用。
【請求項74】
脊椎動物対象における免疫応答を刺激するための薬剤の製造における、HCV E1E2タンパク質複合体を含む第1組成物と、HCV E1E2複合体をコードする該核酸を含むウイルスベクターを含む第2組成物との使用であって、それによりHCV E1E2複合体をコードする核酸を対象の1個以上の細胞において発現させ、E1E2タンパク質複合体を産生させる、使用。
【請求項75】
HCVエピトープを含むHCVタンパク質またはペプチドを含む第1組成物によってプライミングされた対象における免疫応答を生成するための薬剤の製造における、該HCVタンパク質またはペプチドの少なくとも1個のエピトープをコードする核酸を含むウイルスベクターを含む組成物の使用であって、それにより該組成物の該核酸が対象の1個以上の細胞において発現される、使用。
【請求項76】
対象における免疫応答を誘発または生成するためのキットであって:
(i)HCVタンパク質およびアジュバントを含む第1組成物と;
(ii)該第1組成物の該HCVタンパク質の少なくとも一部をコードするウイルスベクターを含む第2組成物と;
を含むキット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−522368(P2009−522368A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549583(P2008−549583)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/000362
【国際公開番号】WO2007/081848
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/000362
【国際公開番号】WO2007/081848
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】
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