説明

HCV遺伝子型タイピングおよび表現型タイピング

本発明は、HCVの遺伝子型タイピングおよび表現型タイピングの方法を含む。一つの実施形態において、本発明の方法は、HCV単離物が抗ウイルス剤に対して耐性であるか否かを決定するために用いられ得る。本発明はまた、HCV NS3領域を増幅するためのプライマーおよびキットを含む。一実施形態において、プライマーの集団が提供され、この集団は、第一および第二ラウンドプライマーを含むことができる。一つの実施形態において、各プライマーはMet/Lys−Glu/Gly−Thr/Ile−Lys−Ile/Val/Leu−Ile/Ala−Thr/Gln−Trp/Lysをコードする核酸配列を含んでいる。別の実施形態において、各プライマーの相補体はSer−Thr−Tyr−Gly/Cys−Lys−Phe−Leu−Ala−Asp−Glyをコードする核酸配列を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2007年10月30日に出願された米国仮出願60/983,854号および2008年4月7日に出願された米国仮出願61/043,020号に対し優先権を主張し、そのいずれも、全容が本明細書において援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明はHCV遺伝子型タイピングおよび表現型タイピングのアッセイに関連する。本発明は、例えば、HCVのNS3プロテアーゼドメイン増幅の為の組成物およびプライマーを含む。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
C型肝炎ウイルス(HCV)はフラビウイルス科のエンベロープをもったプラス鎖のRNAウイルスである。一本鎖HCV RNAゲノムはプラスのポラリティをもち、約9600塩基長の単一のオープンリーディングフレームを含む。そしてこれは約3,010アミノ酸のポリプロテインをコードしている。感染した細胞において、ポリプロテインは宿主とウイルスのプロテアーゼによって複数の部位で切断され、ウイルスの構造および非構造(NS)タンパク質が生産される。
【0004】
構造タンパク質(C、E1、E2/NS1)はヌクレオカプシドタンパク質および1つまたは2つの膜結合グリコプロテインを構成する。非構造タンパク質(N2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5B)はHCV RNAゲノムの複製を触媒および制御する酵素またはアクセサリー因子である。NS3はタンパク質切断酵素であり、かつ、複製のためにウイルスゲノムの巻き戻しを促進するヘリカーゼでもある。NS5bはウイルスの複製に必要なRNA依存的RNAポリメラーゼである。
【0005】
HCVは世界の人口の約3%(1億7000万人)に感染し、世界的な保健伝染病として世界保健機関によって宣言されている。HCVに感染した人々の約50%から80%はウイルス残留を伴なった慢性肝炎を発症する。慢性肝炎の罹患者は肝硬変および肝細胞ガン発症に対し、高リスクである。HCVによって引き起こされる最終段階の肝臓病が、肝臓移植の約30%から40%を占めている。
【0006】
HCV治療の現代の優れた標準的治療は、広範囲のスペクトルをもつ抗ウイルス剤であるリバビリンとペグ化αーインターフェロンの併用である。しかしながらその投与は長期化する上、耐容性が十分ではない。さらに遺伝子型1HCVの感染者の約半数しか、この治療に対する継続した反応を示さない。
【0007】
有効かつ安全なインターフェロンに替わる治療法、またはインターフェロンを含むレジメンにおいて使用され得る治療法に対し、大きな要望がある。いくつかのHCV抗ウイルス治療は臨床試験の段階にある。例えば、これらの治療としては、ウイルスプロテアーゼインヒビターおよびポリメラーゼインヒビターが挙げられる。HCVプロテアーゼのNS3インヒビターはすでに開発されており、これらは高い活性と選択性をもっている。この理由から、これらの化合物は、次世代の抗HCV治療になる可能性をもっている。(例としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照のこと。これらはそれぞれ、本明細書においてその全容が援用される)。
【0008】
HCV感染患者のための新たな治療の選択の開発においてもたらされた進歩にも関わらず、薬剤耐性は主要な懸案事項である。HCVはRNA依存的RNAポリメラーゼの修復活性に欠損があるため高い遺伝的多様性を示す。HCVポリメラーゼの低い正確性のため、HCV薬剤耐性変異は、特異的なHCV抗ウイルス治療(例えばプロテアーゼインヒビターおよびポリメラーゼインヒビター)を用いて治療された患者において起こりやすい。これはHIV抗ウイルス治療が行われた患者において同様に観察される。HCVを特異的に標的とする抗ウイルス治療に対する耐性の発現に加えて、このウイルスはインターフェロンのような非特異的な抗ウイルス治療に対しても耐性を発現することができる。
【0009】
プロテアーゼインヒビターに対する薬剤耐性は特段の懸案事項である。インビトロでの研究は、HCVプロテアーゼ中の変異がプロテアーゼインヒビターに対する耐性を与えることができることを示している。この発見はHIVプロテアーゼでの発見に類似している。例えば、HIVにおいて、HIVプロテアーゼ中の特定の変異が、HIVプロテアーゼインヒビターに対する感受性を低下する表現型をもたらすことが発見されている。
【0010】
本発明はHCV遺伝子型およびHCV表現型を決定するために用いることができるプライマー、キット、および方法を提供する。例えば、本発明の方法は、あるHCV治療に対する患者の応答を予測すること、および、HCV薬剤耐性(例えば、プロテアーゼ薬剤耐性)の決定に対して有用であり得る。本発明の方法はまた、活性に対する潜在的なプロテアーゼインヒビターをスクリーニングするための前臨床薬開発においても有効であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第00/09543号
【特許文献2】国際公開第00/09558号
【特許文献3】国際公開第00/59929号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)のサブタイプを同定するために有用なプライマーの発見およびHCVの遺伝子型タイピングならびに表現型タイピングのための方法の発見を、一部基礎としている。それ故本発明は、プライマー、プライマーを含むキット、遺伝子型1HCVのようなあるHCVの特異的な領域を増幅するための方法、遺伝子型1aまたは1bのようなあるHCVの遺伝子型および表現型を決定するための方法、などを提供する。本発明はまた、薬剤耐性HCVの存在を決定するための方法も含む。
【0013】
本発明はプライマーの集団を提供する。このプライマーの集団は、第一および第二ラウンドプライマーを含むことができる。一つの実施形態において、各プライマーはMet/Lys−Glu/Gly−Thr/Ile−Lys−Ile/Val/Leu−Ile/Ala−Thr/Gln−Trp/Lysをコードする核酸配列を含んでいる。別の実施形態において、各プライマーの相補体はSer−Thr−Tyr−Gly/Cys−Lys−Phe−Leu−Ala−Asp−Glyをコードする核酸配列を含んでいる。
【0014】
また別の実施形態において、各プライマーはAla−Pro/His−Ile−Thr−Ala−Tyr−Ser/Ala−Gln/Arg−Gln−Thrをコードする核酸配列を含んでいる。さらに別の実施形態において、各プライマーの相補体はGly−Ser−Gly/Arg−Lys−Ser/Thr−Thr/Asn−Lys/Arg−Val−Pro−Ala/Val−Ala/Aspをコードする核酸配列を含んでいる。
【0015】
別の実施形態において、本発明のプライマーを含むキットが、提供される。
【0016】
本発明は、NS3 HCVプロテアーゼドメインをコードする核酸を増幅する方法を、提供する。本発明の方法は、例えば、NS3/4Aドメインまたはその一部分、NS3ドメインまたはその一部分(例えば、NS3プロテアーゼおよびNS3ヘリカーゼの両方、またはNS3プロテアーゼおよびNS3ヘリカーゼの一部分の両方)、NS2/NS3ドメインまたはその一部分、あるいは、NS2/NS3/4Aドメインまたはその一部分を、コードする核酸の増幅を含む。
【0017】
本発明は、プライマーの第一および/または第二ラウンドを用いてHCVプロテアーゼドメインを増幅することを含む。本発明の一つの実施形態において、プライマーの第二ラウンド(つまり第二セット)は、プライマーの第一セットを用いて増幅された核酸領域の内側に配置される。例えば、本発明はMet/Lys−Glu/Gly−Thr/Ile−Lys−Ile/Val/Leu−Ile/Ala−Thr/Gln−Trp/LysおよびSer−Thr−Tyr−Gly/Cys−Lys−Phe−Leu−Ala−Asp−Glyをコードする核酸配列を含むプライマーの第一ラウンドを用いて、プロテアーゼドメインをコードするHCV核酸を増幅することを含む。プライマーの第二ラウンドはAla−Pro/His−Ile−Thr−Ala−Tyr−Ser/Ala−Gln/Arg−Gln−ThrおよびGly−Ser−Gly/Arg−Lys−Ser/Thr−Thr/Asn−Lys/Arg−Val−Pro−Ala/Val−Ala/Aspをコードする核酸配列を含むことができる。
【0018】
本発明は、本発明のプライマーを用いて、HCVに感染した患者または感染が疑われる患者のサンプルからの核酸サンプルを増幅する方法を含む。本発明の一つの局面において、HCVプロテアーゼドメインは、遺伝子型非特異的縮重プライマーを用いて増幅される。本発明の別の局面において、HCVプロテアーゼドメインは遺伝子型特異的非縮重プライマーを用いて増幅される。本発明のさらに別の局面において、HCVプロテアーゼドメインは固定された核酸配列プライマーを用いて増幅される。
【0019】
NS3プロテアーゼドメインをコードする核酸配列内の変化にのみ基づいたHCVの遺伝子型決定に、本発明のプライマーを用いることが可能である。本発明は、本発明のプライマーを用いて当業者に公知の方法(例えば、PCR増幅法、配列決定法、ハイブリダイゼーション法)に基づいた核酸によってHCVの遺伝子型タイピングを行うことを含む。
【0020】
本発明の一つの実施形態において、HCV遺伝子型は、NS3プロテアーゼドメインの増幅および/または配列決定によって決定される。例えば、本発明はHCVのプロテアーゼドメイン中の核酸断片の増幅方法、およびその断片の配列に基づいたHCVの遺伝子型決定方法を含む。本発明の一つの局面において、HCVの遺伝子型は、遺伝子型非特異的縮重プライマーを用いたHCVプロテアーゼドメインの増幅およびその増幅された核酸産物の配列決定によって決定される。本発明の別の局面において、HCVの遺伝子型は、遺伝子型特異的非縮重プライマーを用いたHCVプロテアーゼドメインの増幅およびその増幅された核酸産物の配列決定によって決定される。例えば、本発明の方法を用いて、HCV遺伝子型は、標的配列と1aおよび/または1b HCVのような公知の遺伝子型の配列とを比較することによって決定され得る。
【0021】
本発明は、例えば遺伝子型1 HCVをもつ患者において、薬剤耐性HCVの存在を決定する方法も提供する。一つの実施形態において、薬剤耐性HCVの存在は、NS3プロテアーゼドメインをコードする核酸断片の増幅およびその断片内の薬剤耐性に関連する変異の存在の決定によって、決定される。この変異の存在は、薬剤耐性HCVの指標である。一つの実施形態において、増幅された核酸は、位置D168に、例えば、D168AおよびD168Vのような変異をコードしている。この核酸は、薬剤耐性を与えるような更なる変異をコードしてもよい。この変異としてはNS3位置A156(例えばA156TおよびA156S)ならびにF43(例えばF43S)が挙げられるが、これに限定されない。一つの実施例において、実施例2に記述されているプライマーU3420およびU4038は、これらの薬剤耐性関連変異を同定するために使用され得る。
【0022】
本発明はHCVの表現型(例えばプロテアーゼ活性)を決定する方法をさらに提供する。この方法は、1つまたはそれ以上のHCV膜結合タンパク質および分泌可能なレポーター(例えば分泌可能なルシフェラーゼレポーター)をコードするポリヌクレオチドを含むスクリーニングベクターに、HCVのNS3プロテアーゼドメインをクローン化することを含む。一つの実施形態において、このスクリーニングベクターは、このベクター中に許容されるHCV膜結合タンパク質の最大数、例えば、4A、4B、5A(例えば、非特異的バックグラウンドノイズシグナルを最小化または少なくするため)および分泌可能なルシフェラーゼレポーターを含む。他の実施形態において、このスクリーニングベクターはHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)、および分泌可能なルシフェラーゼレポーターを含む。また別の実施形態において、このスクリーニングベクターはHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B(例えば、4Bの最初の6アミノ酸)および分泌可能なルシフェラーゼレポーターを含む。さらに別の実施形態において、このスクリーニングベクターはHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A(例えば、5Aの最初の6アミノ酸)および分泌可能なルシフェラーゼレポーターを含む。
【0023】
このスクリーニングベクターはNS3プロテアーゼドメイン、1つまたはそれ以上のさらなるHCV NSドメイン(例えば、NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A)および分泌可能なレポーターをコードするポリヌクレオチドを発現し、ここで、NS3プロテアーゼドメイン、一つまたはそれ以上のHCV NSドメイン、および分泌可能なレポーターは、作動可能に連結されている。もしNS3プロテアーゼドメインが機能できるならば、すなわちポリプロテインを切断することができるならば、そのレポーター(例えばルシフェラーゼ)は切断され、分泌される。分泌されたレポーター由来のシグナルは、適切な基質(例えばルシフェラーゼ基質)の存在下で細胞の外で検出され得る。もしこのNS3プロテアーゼドメインが機能できないならば、この分泌されたレポーターは切断されず、それゆえ分泌されない(すなわち細胞外のシグナルを生産することができない)。
【0024】
本発明の一つの実施形態において、HCVは単離され、プロテアーゼインヒビターのようなHCVアンチウイルス治療に対する感受性についてスクリーニングされる。この方法は、単離されたHCVのNS3プロテアーゼドメインを、本明細書に記載されるスクリーニングベクター(例えば、HCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)および分泌可能なルシフェラーゼレポーターをコードするポリヌクレオチドを含んでいるスクリーニングベクター)にクローン化する工程を含む。トランスフェクトされた細胞はプロテアーゼインヒビターのような候補治療と接触させられる。もしHCVがこの治療に対し感受性があるならば、NS3プロテアーゼは分泌可能なルシフェラーゼレポーターを切断せず、よってその分泌可能なルシフェラーゼレポーターは分泌されない。そのような方法は、例えば、抗ウイルス活性についての化合物の前臨床スクリーニング、ある患者がある抗ウイルス治療に対し応答するか否かを決定すること、およびある患者が特定の抗ウイルス治療に対し耐性であるか否かを決定するために有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、患者から得られたHCVの耐性の決定の方法の例示的なステップを示しているフローチャートを示す。
【図2】図2は、例示的なレポーターシステムを示す。
【図3】図3は、96ウェルミニプレップから得られたDNAを用いた表現型タイピングアッセイの結果を示す。
【図4】図4は、96ウェルプレート内での表現型タイピングアッセイシグナルの変動を示す。
【図5】図5は、表現型タイピングシステムを用いた同じNS3配列のEC50変動を示す。
【図6】図6は、細胞ベースのレポーターアッセイのための自動化プロトコールの例示的なステップを示しているフローチャートを示す。
【図7】図7は、本発明の例示的プライマーを用いたHCV NS3プロテアーゼドメインの遺伝子型タイピングおよび表現型タイピングを示す。
【図8】図8は、上流側プライマーU3276内の遺伝子型1単離物間でのアミノ酸保存を示す。
【図9】図9は、下流側プライマーD4221内の遺伝子型1単離物間でのアミノ酸保存を示す。
【図10】図10は、上流側プライマーU3420内の遺伝子型1単離物間でのアミノ酸保存を示す。
【図11】図11は、下流側プライマーD4038内の遺伝子型1単離物間でのアミノ酸保存を示す。
【図12】図12は、遺伝子型1a/b非特異的重合プライマーを用いた遺伝子型タイピングアッセイの結果を示す。
【図13】図13は、患者NS3クローンの表現型タイピングの結果を示す。
【図14】図14は、1a/b特異的非縮重プライマーの配列を示す。
【図15】図15は、遺伝子型1a/b特異的非縮重プライマーを用いて得られた結果を示す。
【図16】図16は、本発明の表現型タイピングアッセイの再現性を示す。
【図17】図17は、臨床サンプルを用いた擬似種(quasi−species)解析を示す。
【図18】図18は、集団表現型タイピングおよびクローン表現型タイピング間の比較を示す。
【図19】図19は、この表現型タイピングアッセイがインビトロでの耐性研究で同定された改変体に対する有効性を報告することを示す。
【図20】図20は、混合された集団の解析において表現型タイピングアッセイを用いてインビトロで同定された置換の特徴づけを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(一般的記述)
本発明は、一つまたはそれ以上のNS3ドメインをコードするHCV核酸にアニールすることが可能なHCVプライマーを含む。本発明はまた、一つまたはそれ以上のNS3ドメインをコードする核酸の増幅の方法、HCVのサブ遺伝子型タイピングのような遺伝子型タイピングの方法、薬剤耐性変異を検出する方法およびHCV表現型タイピングの方法も含む。本発明の組成物および方法は、一つまたはそれ以上のNS3ドメインをコードしているウイルス核酸内の遺伝的変動を単独で(すなわちNS3プロテアーゼ部分以外の改変の知識なしで)用いることにより、HCVの遺伝子型、抗ウイルス治療に対するHCVの感受性および抗ウイルス治療(すなわち薬剤)に対するHCVの耐性を決定することができるという発見を、一部基礎としている。
【0027】
異なる定義がなされない限り、本明細書で用いられている全ての技術および科学的用語は、本発明が属する当業者によって普通に理解されることと同じ意味をもつ。本明細書で記述されていることと類似または等価であるあらゆる方法および材料は、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および物質が記述されている。
【0028】
(定義)
本明細書で用いられる場合、用語“EC50”または最大半量(half−maximal)有効濃度とは、ベースラインおよび最大値間の中間の反応を誘導する薬剤の濃度をいう。EC50はインビボで最大効果の50%を得るために必要とされる薬剤の血漿濃度をいう。用語“IC50”または最大半量阻害濃度は、インビトロで50%阻害に必要とされる薬剤またはインヒビターの濃度を表す。
【0029】
本明細書で用いられる場合、用語“遺伝子”とは、生物学的機能に関連したDNAの任意の部分をいう。したがって、遺伝子としては、コード配列および/またはそれらの発現に必要とされる制御配列が挙げられるが、これに限定されない。遺伝子はまた、例えば、他のタンパク質のための認識配列を形成するような非発現DNA部分も含み得る。遺伝子は様々な供給源から取得され得(目的の供給源からのクローン化、または、既知のもしくは予想されている配列情報からの合成が挙げられる)、そして、望ましいパラメーターをもつようデザインされた配列を含み得る。
【0030】
本明細書で用いられる場合、“遺伝子型タイピング”または“遺伝子型タイピングアッセイ”とは、ある生物、ある生物の一部、遺伝子または遺伝子の一部の、遺伝子配列の決定をいう。そのようなアッセイは、ある罹患者が特定の治療に対し順調に反応するであろう可能性を決定するために、HCVのようなウイルス中で行われ得る。そのようなアッセイはまた、薬剤耐性に関連した変異が存在するか否かを決定するためにも行われ得る。
【0031】
本明細書で用いられる場合、用語“HCVカセット”とは、患者(すなわち、臨床的HCV単離物)からのHCV NS3核酸配列をいう。HCVカセットは、更なるNSドメインをコードしている核酸を必要に応じて含んでもよい。例えば、このHCVカセットはNS3プロテアーゼドメイン、NS3ヘリカーゼドメインの全てまたは一部、および/あるいはNS4Aの全てまたは一部を、含んでもよい。
【0032】
本明細書で用いられる場合、用語“単離された”とは、臨床的検体(例えば血液、血清)および/または他のウイルス組成物(例えば、他のタンパク質または核酸)から分離された目的のウイルス核酸またはタンパク質をいう。本明細書で用いられる場合、“単離された”核酸配列とは、他の核酸配列を本質的に含まない核酸配列をいう。例えば、少なくとも約20%純粋、好ましくは少なくとも約40%純粋、より好ましくは約60%純粋、さらにより好ましくは約80%純粋、最も好ましくは約90%純粋、さらに最も好ましくは約95%純粋である。単離された核酸の純度は、例えばアガロースゲルゲル電気泳動によって決定され得る。単離された核酸配列は、その天然の場所から再生産される異なる部位へと移すために、遺伝子工学において用いられている標準的クローン化手順によって取得され得る。クローン化手順としては、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む望ましい核酸配列断片の除去および単離、ベクター分子へのその断片の挿入、および核酸配列の複数のコピーまたはクローンが複製される場所である宿主細胞への組換えベクターの組み込みが、挙げられ得る。
【0033】
本明細書で用いられる場合、用語“核酸”、“ポリヌクレオチド”、“オリゴヌクレオチド”および“プライマー”とは、一本鎖形態もしくは二本鎖形態いずれかにおけるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーをいう。そして、ポリヌクレオチドに含まれるとき、最も一般的に天然に存在しているコードヌクレオチドは、以下のように省略される:アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)。さらに文字RおよびYは、それぞれ、プリン(AまたはG)およびピリミジン(CまたはT)を表す。文字KはGまたはT;文字SはGまたはC;および文字VはA、GまたはCを表す。さらに、ヌクレオチド後の上付き文字“M”は、その核酸が修飾されていることを示す。例えば、AM、GM、CMおよびTMは、修飾されたアデニン、グアニン、シトシンおよびチミンをそれぞれ示している。修飾されたヌクレオチドの例は、固定された核酸(LNA)を含むが、これに限定されない。異なる明記がなされない限り、一本鎖核酸配列は、5’から3’方向において一連の一文字省略形として示される。
【0034】
異なる表示がなされない限り、ある特定の核酸配列はまた、明示的に示されている配列と同様に、それらの保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)およびその相補的配列も、黙示的に包含する。特に、縮重コドン置換体は、配列を作製することによって得られる得る。この配列の作製では、一つもしくはそれ以上の選択された(または全ての)コドンの3番目位置が混合された塩基および/またはデオキシイノシン残基によって置換されている(Batzer et al.(1991)Nucleic Acid Res.19:5081;Ohtsuka et al.(1985)J.Biol.Chem.260:2605−2608;Cassol et al.(1992);Rossolini et al.(1994)Mol.Cell.Probes8:91−98)。用語の核酸は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと、互換可能に使用される。
【0035】
上流側プライマーは、増幅される核酸上の領域に対して、核酸分子の5’末端に近い領域に一般的に結合する。一方、下流側プライマーは、増幅される核酸上の領域に対して、核酸分子の3’末端に近い領域に一般的に結合する。
【0036】
本明細書で用いられる場合、あるDNA部分が、他のDNA部分と機能的な関係にあるように配置されているとき、あるDNAは“作動可能に連結されている”といわれる。例えば、シグナル配列のためのDNAが、本発明の融合タンパク質の分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、シグナル配列のためのDNAは本発明の融合タンパク質をコードしているDNAに作動可能に連結されている;あるプロモーターまたはエンハンサーが、配列の転写を刺激するならば、あるプロモーターまたはエンハンサーはコード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されているDNA配列は、隣接しており、そして、読み取られる状況にある。同様に、あるポリペプチド配列が、別のポリペプチド配列と機能的な関係にあるように配置されているとき、あるポリペプチド配列は“作動可能に連結されている”。すなわち、ある実施形態において、あるプロテアーゼ配列は、別のペプチド配列と作動可能に連結され、その結果、そのプロテアーゼ配列は、機能的ならば、ぺプチド配列に連結されている少なくとも一つのペプチド結合をタンパク分解することが可能である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、“表現型タイピング”または“表現型アッセイ”とは、HCVウイルスの表現型特徴(例えば、ある抗ウイルス剤に対する感受性および/または抗ウイルス治療への耐性など)の決定方法をいう。そのようなアッセイは、薬剤耐性に関連したある変異がHCV検体の中に存在するか否かを証明するために行われ得る。
【0038】
本明細書で用いられる場合、用語“ポリペプチド”とは、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の単一の鎖に作り上げられた化合物をいう。アミノ酸残基の通常の3文字または1文字コードは、本明細書の中で用いられ、アラニンはalaまたはA;アルギニンはargまたはR;アスパラギンはasnまたはN;アスパラギン酸はaspまたはD;システインはcycまたはC;グルタミン酸はgluまたはE;グルタミンはglnまたはQ;グリシンはglyまたはG;ヒスチジンはhisまたはH;イソロイシンはileまたはI;ロイシンはleuまたはL;リジンはlysまたはK;メチオニンはmetまたはM;フェニルアラニンはpheまたはF;プロリンはproまたはP;セリンはserまたはS;スレオニンはthrまたはT;トリプトファンはtrpまたはW;チロシンはtyrまたはYそしてバリンはvalまたはVである。
【0039】
異なる指示がなされない限り、ポリペプチド配列が一連の1文字および/または3文字省略形として表されるとき、一般的慣習に従い、その配列はNからC方向に表される。省略形の後の数は、N末端からのアミノ酸の位置を示す(例えば、Met−1は、位置1にあるメチオニンを表す)。
【0040】
本明細書で用いられる場合、用語“組換え体”とは、遺伝子またはDNAの新たな組み合わせを用いた形質転換を受けた、細胞、組織または生物をいう。
【0041】
本明細書で用いられる場合、用語“被験体”とは、人間、哺乳類、または動物であり得る。治療されている罹患者は、治療が必要または治療が必要である可能性がある患者である。“被験体”および“患者”は本明細書では互換可能に用いられる。
【0042】
プライマーに関連して、用語“実質的に相補的”とは、プライマーが指定されたアニーリング条件下で核酸配列に選択的にハイブリダイズするために十分に相補的であり、その結果、アニールされたプライマーがポリメラーゼによって伸長され、核酸配列の相補的コピーを形成し得ることを意味するために、本明細書中で用いられる。
【0043】
本明細書で用いられる場合、用語“形質転換”は、細胞内に核酸(すなわちヌクレオチドポリマー)を移送することをいう。本明細書で用いられる場合、用語“遺伝的形質転換”とは、細胞内への、DNA、特に組換えDNAの移送および取り込みをいう。本明細書で用いられる場合“形質転換”はトランスフェクションを含む。
【0044】
本明細書で用いられる場合、用語“形質転換体”とは、形質転換またはトランスフェクションを受けた細胞、組織または生物をいう。
【0045】
本明細書で用いられる場合、用語“ベクター”とは、外来性の核酸をコードするプラスミド、ファージミドまたはウイルスのいずれかを広くいう。この用語はまた、ビリオンまたは細胞内への核酸の移行を容易にするような非プラスミド、非ファージミドおよび非ウイルス化合物(例えば、ポリリジン化合物など)を含むと解釈される。ベクターは、細胞内に核酸、またはその変異体を送達するための送達ビヒクルとして適しているウイルス性のベクターでもよい。または、ベクターは同じ目的のために適している非ウイルス性のベクターでもよい。細胞および組織へのDNAの送達のためのウイルス性および非ウイルス性のベクターの例は、当該分野で周知であり、例えば、Ma et al.(1997、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.94:12744−12746)に記述されている。ウイルス性ベクターの例としては、組換えサイトメガロウイルス、組換えワクシニアウイルス、組換えアデノウイルス、組換えレトロウイルス、組換えアデノ関連ウイルス、組換えトリポックスウイルス、など(Cranage et al.、1986、EMBO J.5:3057−3063;1994年8月18日に公開された国際公開公第WO94/17810号;1994年10月27日に公開された国際公開公第WO94/23744号)が挙げられるがこれらに限定されない。非ウイルス性ベクターの例としては、リポソーム、DNAのポリアミン誘導体、などが挙げられるが、これらに制限されない。
【0046】
本明細書で用いられる場合、用語“野生型”とは、天然に存在しているポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列をいう。
【0047】
(HCVプライマー)
本発明は、少なくとも1、2、3、4、または5つのプライマーを含むプライマーの集団を提供する。一つの実施形態において、一つまたはそれ以上のプライマーは、HCVゲノムの領域にアニーリング(すなわちハイブリダイズ)することが可能である。一つの実施形態において、一つまたはそれ以上のプライマーは、HCVプロテアーゼをコードする核酸にアニーリングすることが可能である。別の実施形態において、一つまたはそれ以上のプライマーは、NS3プロテアーゼドメインをコードする核酸にアニーリングすることが可能である。さらに別の実施形態において、一つまたはそれ以上のプライマーは、NS3/4Aドメインまたはその一部をコードする核酸にアニーリングすることが可能である。
【0048】
本発明の別の実施形態において、本明細書中に開示された、一つまたはそれ以上のプライマーは、核酸増幅に必要な条件下でHCVゲノムの領域を増幅することが可能である。ある場合において、一つまたはそれ以上のプライマーは、HCVプロテアーゼをコードする核酸を増幅することが可能である。ある場合において、一つまたはそれ以上のプライマーは、NS3プロテアーゼドメインまたはその一部をコードする核酸を増幅することが可能である。さらに別の場合において、一つまたはそれ以上のプライマーは、NS3/4Aドメインまたはその一部をコードする核酸を増幅することが可能である。
【0049】
このプライマーは、遺伝子型特異的または縮重プライマーであり得る。また、このプライマーは上流側プライマーまたは下流側プライマーであり得る。さらに増幅の第一ラウンド、第二ラウンド、またはその後のいずれのラウンドの間に、用いられ得る。このプライマーは、あらゆる公知の増幅方法に用いられ得る。公知の増幅方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(“RT−PCR”)、リガーゼ連鎖反応(“LCR”)、自己持続配列複製(“3SR”)これは核酸配列に基づいた増幅(“NASBA”)としても知られている、Q−B−レプリカーゼ増幅、ローリングサークル増幅(“RCA”)、転写媒介増幅(“TMA”)、リンカー補助DNA増幅(“LADA”)、多重置換増幅(“MDA”)、インベーダーおよび鎖置換増幅(“SDA”)が挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
一つの実施形態において、この集団の各プライマーは、アミノ酸配列:Met/Lys−Glu/Gly−Thr/Ile−Lys−Ile/Val/Leu−Ile/Ala−Thr/Gln−Trp/Lys(配列番号1)を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
【0051】
配列番号1のプライマーは、上流側プライマーまたは下流側プライマーであり得、そして、増幅の第一またはその後のラウンドの間に用いられ得る。一つの実施形態において、配列番号1のプライマーは上流側プライマーである。別の実施形態において、このプライマーは増幅の第一ラウンドの間に用いられる。
【0052】
配列番号1のアミノ酸配列のMet−1、Glu−2、Thr−3、Ile−6、Thr−7、およびTrp−8のパーセンテージは、約95%から約99.9%の範囲であり。対応して、Lys−1、Gly−2、Ile−3、Ala−6、Gln−7およびLys−8のパーセンテージは、約5%から約0.1%の範囲である。いくつかの実施形態において、Met−1、Glu−2、Thr−3、Ile−6、Thr−7、またはTrp−8のパーセンテージは、約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。Lys−1、Gly−2、Ile−3、Ala−6、Gln−7およびLys−8のパーセンテージは、それ応じて変化する。そして、各アミノ酸位置の2つのパーセンテージの合計は、100%である。
【0053】
配列番号1のアミノ酸配列のIle−5、Val−5およびLeu−5のパーセンテージは、それぞれ約67%から約72%、約14%から約18%、約12%から約17%の範囲である。いくつかの実施形態において、Ile−5のパーセンテージは、約67%、68%、69%、69.1%、69.2%、69.3%、69.4%、69.5%、70%、71%または72%である;Val−5のパーセンテージは、約14%、15%、15.9%、16%、16.1%、16.2%、16.3%、17%または18%である;Leu−5のパーセンテージは、約12%、13%、14%、14.4%、14.5%、14.6%、14.7%、14.8%、15%、16%または17%である。これらの、各アミノ酸のパーセンテージの合計は、100%である。
【0054】
一つの例示的な実施形態において、プライマーの集団は、次のアミノ酸配列の集団(各アミノ酸に関して、以下のような配分になっている)をコードする核酸配列を含む:Met(99.5%)/Lys(0.5%)−Glu(99.5%)/Gly(0.5%)−Thr(96.5%)/Ile(3.5%)−Lys(100%)−Ile(69.3%)/Val(16.1%)/Leu(14.6%)−Ile(99.5%)/Ala(0.5%)−Thr(99.5%)/Gln(0.5%)−Trp(99.5%)/Lys(0.5%)
他の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:ATGGAGACYAAGVTYATYACSTGGG(配列番号2)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。配列番号2において、いずれのヌクレオチドも修飾され得る。修飾されたヌクレオチドの例としては、固定された核酸(LNA)が挙げられるが、これに限定されない。本発明のプライマーは、修飾された塩基(例えばLNAを有するプライマー)をいくつでも含み得るが、いくつかの実施形態においては、プライマーは約4または約8のLNAを含む。一般に、AsおよびTsでの修飾は、GsおよびCsでの修飾より一般的である。いくつかの実施形態において、各プライマーは次の核酸配列を含む:ATGGAGACYAMAMGVTYAMTYAMCSTGGG、またはAMTGMGMAGACYAMAMGVTYAMTYAMCMSTGGG。
【0055】
別の実施形態において、集団中の各プライマーの相補体は、アミノ酸配列:Ser−Thr−Tyr−Gly/Cys−Lys−Phe−Leu−Ala−Asp−Gly(配列番号3)を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
【0056】
配列番号3のプライマーは、上流側または下流側プライマーであり得、そして、増幅の第一またはその後のラウンドの間に用いられ得る。いくつかの実施形態において、配列番号3のプライマーは下流側プライマーである。別の実施形態において、このプライマーは増幅の第一ラウンドの間に用いられる。配列番号3のアミノ酸配列のGly−4のパーセンテージは、約95%から約99%の範囲である。対応して、Cys−4のパーセンテージは、約5%から約1%の範囲である。いくつかの実施形態において、Gly−4のパーセンテージは、約95%、96%、97%、98%、または99%である。対応して、Cys−4のパーセンテージは、5%、4%、3%、2%または1%である。
【0057】
ある例示的な実施形態において、集団中のプライマーの相補体は、次のアミノ酸配列の集団(各アミノ酸に関して、以下のような配分になっている)をコードする核酸配列を含む:Ser(100%)−Thr(100%)−Tyr(100%)−Gly(97.0%)/Cys(3.0%)−Lys(100%)−Phe(100%)−Leu(100%)−Ala(100%)−Asp(100%)−Gly(100%)。
【0058】
別の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:CCGTCGGCAAGRAACTTGCCRTAGGTGGA(配列番号4)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。配列番号4において、いずれのヌクレオチドも修飾され得る。修飾されたヌクレオチドの例としてはLNAが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、各プライマーは次の核酸配列を含む:CCGTCGGCAAGRAMACTTMGCCRTMAGGTMGGA、またはCCGTMCGGCAAMGRAMACTMTMGCCRTMAMGGTMGGA。
【0059】
また別の実施形態において、この集団中の各プライマーは、アミノ酸配列:Ala−Pro/His−Ile−Thr−Ala−Tyr−Ser/Ala−Gln/Arg−Gln−Thr(配列番号5)を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
【0060】
配列番号5のプライマーは、上流側または下流側プライマーであり得、そして、増幅の第一またはその後のラウンドの間に用いられ得る。いくつかの実施形態において、配列番号5のプライマーは上流側プライマーである。別の実施形態において、このプライマーは増幅の第二ラウンドの間に用いられる。
【0061】
配列番号5のアミノ酸配列のPro−2、およびGln−8のパーセンテージは、約95%から約99.9%の範囲である。対応して、His−2、およびArg−8のパーセンテージは、約5%から約0.1%の範囲である。いくつかの実施形態において、Pro−2またはGln−8のパーセンテージは、約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。His−2およびArg−8のパーセンテージは、それに応じて変化する。そして、各アミノ酸位置の2つのパーセンテージの合計は、100%である。
【0062】
配列番号5のアミノ酸配列のSer−7およびAla−7のパーセンテージは、それぞれ約64%から約68%、および約32%から約36%の範囲である。いくつかの実施形態において、Ser−7のパーセンテージは、約64%、65%、66%、67%、または68%である;また、Ala−7のパーセンテージは、約32%、33%、34%、35%または36%である。これらの、各アミノ酸のパーセンテージの合計は、100%である。
【0063】
ある例示的な実施形態において、プライマーの集団は、次のアミノ酸配列の集団(各アミノ酸に関して、以下のような配分になっている)をコードする核酸配列を含む:Ala(100%)−Pro(99.5%)/His(0.5%)−Ile(100%)−Thr(100%)−Ala(100%)−Tyr(100%)−Ser(66%)/Ala(34%)−Gln(99%)/Arg(1%)−Gln(100%)−Thr(100%)。
【0064】
別の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:GCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARAC(配列番号6)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。配列番号6において、いずれのヌクレオチドも修飾され得る。修飾されたヌクレオチドの例としてはLNAが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、各プライマーは次の核酸配列を含む:GCGCCYAMTMYACGGCMCTMAMYKCCCMARCMAMRAC、またはGCGCCYAMTMYACGGCCTAMYKCCCARCAMRAC。
【0065】
さらに別の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:AGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARAC(配列番号7)、またはAAAAAGGCGCGCCACCATGGCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARAC(配列番号8)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。ここで、核酸配列、配列番号7または8のいずれのヌクレオチドも修飾され得る。
【0066】
例示的なプライマーは、次の核酸配列:AGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCYAMTMYACGGCCTAMYKCCCARCAMRAC、またはAGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCYAMTMYACGGCMCTMAMYKCCCMARCMAMRACを含むプライマーを、さらに包含する。
【0067】
なお別の実施形態において、この集団中の各プライマーの相補体は、アミノ酸配列:Gly−Ser−Gly/Arg−Lys−Ser/Thr−Thr/Asn−Lys/Arg−Val−Pro−Ala/Val−Ala/Asp(配列番号9)を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。配列番号9のプライマーは、上流側または下流側プライマーであり得、そして、増幅の第一またはその後のラウンドの間に用いられ得る。いくつかの実施形態において、配列番号9のプライマーは下流側プライマーである。別の実施形態において、このプライマーは増幅の第二ラウンドの間に用いられる。
【0068】
配列番号9のアミノ酸配列のGly−3、Ser−5、Thr−6、Ala−10、およびAla−11のパーセンテージは、約95%から約99.9%の範囲である。対応して、Arg−3、Thr−5、Asn−6、Val−10、およびAsp−11のパーセンテージは、約5%から約0.1%の範囲である。いくつかの実施形態において、Gly−3、Ser−5、Thr−6、Ala−10、またはAla−11のパーセンテージは、約95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%である。Arg−3、Thr−5、Asn−6、Val−10およびAsp−11のパーセンテージは、それに応じて変化する。そして、各アミノ酸位置の2つのパーセンテージの合計は、100%である。
【0069】
配列番号9のアミノ酸配列のLys−7およびArg−7のパーセンテージは、それぞれ約90%から約95%および約10%から約5%の範囲である。いくつかの実施形態において、Lys−7のパーセンテージは、約90%、91%、92%、93%、94%または95%である;対応して、Arg−7のパーセンテージは、約10%、9%、8%、7%、6%または5%である。
【0070】
ある例示的な実施形態において、集団中のプライマーの相補体は、次のアミノ酸配列の集団(各アミノ酸に関して、以下のような配分になっている)をコードする核酸配列を含む:Gly(100%)−Ser(100%)−Gly(99.5%)/Arg(0.5%)−Lys(100%)−Ser(99.5%)/Thr(0.5%)−Thr(99%)/Asn(1%)−Lys(93%)/Arg(7%)−Val(100%)−Pro(100%)−Ala(99%)/Val(1%)−Ala(99%)/Asp(1%)。
【0071】
別の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:GCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCC(配列番号10)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。ここで、配列番号10のいずれのヌクレオチドも修飾され得る。修飾されたヌクレオチドの例としてはLNAが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、各プライマーは次の核酸配列を含む:GCAGCCGGCAMCYTTMRGTMGCTMYTMTMRCMCGCTMRCC、またはGCAGCCGGCACYTTMRGTGCTMYTTMRCCGCTMRCC。また別の例示的な実施形態において、各プライマーは、核酸配列:AAAAAGCGGCCGCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCC(配列番号11)、またはCTTGGTTAATTAATGCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCC(配列番号12)に対して80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%相同である核酸配列を含む。ここで、配列番号11または12のいずれの核酸配列のヌクレオチドも修飾され得る。
【0072】
例示的なプライマーは、次の核酸配列:AAAAAGCGGCCGCAGCCGGCACYTTMRGTGCTMYTTMRCCGCTMRCC、またはAAAAAGCGGCCGCAGCCGGCAMCYTTMRGTMGCTMYTMTMRCMCGCTMRCCを含むプライマーを、さらに包含する。
【0073】
別の例示的な実施形態において、非縮重プライマーまたは特定の遺伝子型もしくはサブ遺伝子型に特異的なプライマーが、提供される。HCV遺伝子型1aのための例示的なプライマーとしては、
【0074】
【化1】

が挙げられる。HCV遺伝子型1bへの例示的なプライマーとしては、
【0075】
【化2】

が挙げられる。
【0076】
(キット)
本発明は、本発明のプライマーもしくはその相補体の一つ以上を含むキットを包含する。このキットは、本発明のプライマーのあらゆる組み合わせも含み得る。一つの実施形態において、このキットは、配列番号1および/または配列番号3あるいはそれらの相補体のポリペプチド配列をコードする、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。別の実施形態において、このキットは、配列番号5および/または配列番号9あるいはそれらの相補体のポリペプチド配列をコードする、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。さらに別の実施形態において、このキットは、配列番号2および/または配列番号4あるいはそれらの相補体の、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。なお別の実施形態において、このキットは、配列番号6、7および/または8あるいはそれらの相補体の、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。なお別の実施形態において、このキットは、配列番号10、11および/または12あるいはそれらの相補体の、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。なお別の実施形態において、このキットは、配列番号6、7および/または8あるいはそれらの相補体の、一つまたはそれ以上のプライマー、ならびに配列番号10、11および/または12あるいはそれらの相補体の、一つまたはそれ以上のプライマーを含む。
【0077】
なお別の実施形態において、このキットは、HCVの領域を増幅する工程、HCVの遺伝子型または表現型を決定する工程、または薬剤耐性HCVの存在を決定する工程のための指示書をさらに含む。例えば、あるキットは、治療に対するHCVの感受性を決定するための指示書を含み得る。そのようなキットは、抗ウイルス効果に対する候補治療薬をスクリーニングするために用いられ得る。
【0078】
さらに別の実施形態において、このキットは、HCV核酸を増幅するための一つまたはそれ以上の酵素あるいは試薬を、さらに含む。例えば、一つの実施形態において、このキットは一つまたはそれ以上のプライマーおよびポリメラーゼ(例えば、タック(Taq)ポリメラーゼなどの好熱性ポリメラーゼまたは中温性ポリメラーゼ)を含む。さらに別の実施形態において、このキットはdNTPsを含む。このキットは必要に応じて、増幅バッファーを含んでもよい。
【0079】
本発明のキットは、ラベルされた容器またはラベルされた複数の容器中の、一つまたはそれ以上のプライマーを含み得る。
【0080】
本発明の別の実施形態において、このキットは、HCV核酸をクローン化するためのベクターを含む。例えば、本発明は、CMVプロモーターを有するベクターを含むキットを包含する。本発明は、レポーター部分(例えば、ルシフェラーゼ部分)をコードするベクターを含んでいるキットを包含する。本発明の一つの実施形態において、このキットはルシフェリンなどのルシフェラーゼの基質を含む。本発明のさらに別の実施形態において、このキットは、HCV核酸をクローニングするための一つまたはそれ以上のプライマーおよびベクターを含む。
【0081】
(HCVの増幅)
本発明は、HCV核酸を増幅するための方法を含む。本発明の方法は、DNAまたはRNAを増幅するために用いられ得る。この分子は、二本鎖または一本鎖のいずれかであり得る(好ましくは、二本鎖である)。出発物質としての核酸が二本鎖である場合、二本の鎖を一本鎖または部分的に一本鎖の形態にすることが好ましい。二本鎖を分離するための公知の方法としては、加熱処理、アルカリ処理、ホルムアミド処理、尿素処理、グリコサル(glycoxal)処理、酵素法(例えば、ヘリカーゼ作用)および結合タンパク質などが挙げられるが、これらに制限されない。例として、二本鎖の分離は、80℃から105℃の範囲の温度で加熱することにより果たされ得る。この処理を行うための一般的な方法は、Joseph Sambrook、et al.、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2001)によって提供される。
【0082】
一つの実施形態において、この方法は、本発明のプライマーを用いてHCVサンプルからの核酸を増幅することを含む。HCVサンプルは、例えば、HCVに感染したまたは感染が疑われる患者からの臨床的検体であり得る。HCVを含む臨床的検体は、例えば、静脈穿刺または生検(例えば、血液および肝臓のサンプル)から得られ得る。ウイルス核酸は、検体から直接(すなわち、増幅前に単離および/または精製の段階が無い)増幅され得る。または、ウイルス核酸は、増幅前に当該分野で公知の方法によって単離および精製され得る。
【0083】
本発明の方法は、HCVのプロテアーゼ領域を増幅するために用いられ得る。例えば、本発明は、HCVのNS3プロテアーゼドメインを増幅する方法を含む。本発明のプライマーの一つまたはそれ以上(例えば配列番号1−12)は、HCVの領域を増幅するために用いられ得る。このプライマーは、一つまたはそれ以上の修飾されたヌクレオチドを含み得る。一つの例示的な実施形態において、配列番号1および配列番号3のプライマー、または配列番号5および配列番号9のプライマー、またはこれらの組み合わせが、用いられる。別の例示的な実施形態において、配列番号2および配列番号4のプライマー、または配列番号6、7もしくは8および配列番号10、11もしくは12のプライマー、またはこれらの組み合わせが、ウイルスの核酸を増幅するために用いられる。
【0084】
本発明は、全長NS3/4Aプライマーを用いて、NS3をコードする核酸を増幅する方法を含む。一つの実施形態において、プライマーは、HCVに感染したまたは感染が疑われる患者に特異的な、全長NS3/4Aプライマーである。別の実施形態において、プライマーは、NS3/4Aまたはその一部分、NS3(NS3プロテアーゼおよびNS3ヘリカーゼ)またはその一部分、NS2/NS3またはその一部分、あるいはNS2/NS3/NS4Aまたはその一部分をコードする核酸に、アニールする。別の実施形態において、プライマーはHCVプロテアーゼドメインをコードする。
【0085】
一つまたはそれ以上のプライマーは、特定のHCV配列に特異的であり得る(例えば、遺伝子型特異的)。本発明の一つの実施形態において、一つまたはそれ以上のプライマーは、縮重プライマーである。
【0086】
異なったプライマーは、HCVの所望の領域を増幅するために、同時にまたは連続的に用いられ得る。本発明の一つの実施形態において、プライマーの二つまたはそれ以上のセットが用いられる。この実施形態において、プライマーの第二セットは、プライマーの第一セットで増幅された産物中の領域を、増幅するために用いられ得る(すなわち、プライマーの少なくとも一つのセットは内側に配置される)。
【0087】
核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当該分野で公知の方法によって、本発明のプライマーを用いて増幅され得る。PCRにおいて、本発明のプライマーのセットは、後のプライマーの伸長および変性を許容する条件下で、ポリメラーゼおよびdNTPsの存在下で、一本鎖HCV核酸鋳型にアニールされる。例としては、米国特許第4,683,202号および同第5,766,889号を参照のこと。これらはそれぞれ、本明細書においてその全体が援用される。当業者によって理解され得るように、様々な増幅方法が、本発明のプライマーを用いてNS3プロテアーゼドメインをコードする核酸を増幅するために、用いられ得る。増幅法には、当該分野において公知の方法が用いられ、これには、非ポリメラーゼ連鎖反応法および好熱性ポリメラーゼの使用に頼らない方法(例えば、phi29のような中温性ポリメラーゼ)が含まれる。増幅は、本明細書に記載されている方法を含む現在公知の増幅法または今後発見されるいずれかの増幅法を用いて行われ得るが、これらに制限されない。
【0088】
(HCV遺伝子型タイピングの方法)
本発明は、HCVの遺伝子型を決定する方法をさらに提供する。具体的には、本発明は、HCVゲノム全体の配列決定をせずにHCVの遺伝子型を決定することを可能にする。むしろ、本発明は、当業者がHCVプロテアーゼ(例えば、NS3、NS3/4AまたはNS3およびNS4Aの一部分)の配列のみに基づいたHCV遺伝子型の決定をすることを、可能にする。
【0089】
一つの実施形態において、この方法は、すでに記載されたように、プロテアーゼドメインをコードする核酸を増幅する工程(例えば、遺伝子型特異的プライマーまたは縮重プライマーを使用する)および、上述のプロテアーゼをコードする核酸断片の配列に基づいてHCVの遺伝子型を決定する工程を含む。一つの実施形態において、この断片は、HCVのNS3プロテアーゼドメインの中である。
【0090】
本発明はまた、非増幅法(例えば、配列決定技術またはハイブリダイゼーション技術)によって、HCVの遺伝子型を決定する方法も提供する。一つの実施形態において、HCVの遺伝子型は、NS3遺伝子型特異的なプライマーまたはプライマーのセットがHCV核酸にハイブリダイズすることが可能か否かを決定することによって、決定される。
【0091】
本発明の遺伝子型タイピング方法は、HCV単離物がHCV抗ウイルス治療に対し感受性であるか否かを決定するために用いられ得る。例えば、本発明の遺伝子型タイピング方法は、HCV単離物のNS3配列が抗ウイルス治療に対する耐性と関連があるか否かを決定するために用いられ得る。特定の理論に拘束されることを望まないが、本発明の発明者らは、NS3プロテアーゼ領域中の単一アミノ酸置換が抗ウイルス治療に対する耐性を与え得る一方で、ヘリカーゼドメインおよびNS4A中のアミノ酸置換が例えばプロテアーゼインヒビターに対する耐性に影響することはないことを見出した。
【0092】
本発明のさらに別の実施形態において、HCV単離物の臨床的遺伝子型およびサブタイプが決定され得る。HCVの主要な臨床的遺伝子型は11こ存在する。これらは、(a、b、c、その他と指定された)サブタイプによってさらに特徴づけがなされる。特定の臨床的遺伝子型は、他の遺伝子型よりも、現代の治療を用いてより治療しやすいことが示されている。例えば、遺伝子型1は、遺伝子型2および3と比較して、インターフェロン単独に対しては弱く反応する。それゆえ、本発明の方法は、HCVに感染した患者に対し、最も適切な(すなわち最も効果的かつ安全な)治療を選択する上で、医師を助けることに用いられ得る。このことは、例えば、HCV遺伝子型1aおよび1bを含むHCV遺伝子型1であるというように、HCVの遺伝子型またはサブタイプを決定する事によって行われる。
【0093】
患者からのHCVの遺伝子型決定のため、ウイルスを含む臨床的検体は、患者から得られなければならない。一つの実施形態において、検体は生検、例えば肝臓生検から得られる。別の実施形態において、検体は血液である。
【0094】
ウイルスRNAは、臨床的検体から単離され、増幅のための鋳型として用いられる。一つの実施形態において、核酸鋳型は、プロテアーゼ(例えば、NS3またはNS3/4A)をコードするウイルス核酸にアニールすることが可能な遺伝子型特異的プライマーを用いて増幅される。他の実施形態において、この核酸鋳型は、プロテアーゼ(例えば、NS3またはNS3/4A)をコードするウイルス核酸を増幅することが可能な縮重プライマーを用いて増幅される。本発明は、配列番号1および配列番号3(またはこれらの相補体)ならびに/あるいは配列番号5および配列番号9(またはこれらの相補体)のアミノ酸配列をコードするプライマーを用いた遺伝子型タイピングの方法を含む。本発明は、配列番号2、4、6、7、8、10、11または12あるいはこれらの相補体に対応する一つまたはそれ以上のプライマーを用いた遺伝子型タイピングの方法もまた含む。本発明の一つの実施形態において、複数のプライマーセットは、遺伝子型解析のための多重アンプリコンを作製する目的で、NS3核酸を増幅するために用いられる。
【0095】
増幅されたプロテアーゼ核酸は、その後、例えばサンガー配列決定法などの当該分野で公知の方法を用いて、配列決定される。ある実施形態において、増幅されたプロテアーゼ核酸は、集団として配列決定される(例えば、被験体から単離されたHCVの集団に対し、NS3プロテアーゼの配列を決定するため)。別の実施形態において、増幅されたプロテアーゼ核酸は、個々に配列決定される(例えば、被験体から単離された個々のHCVに対し、NS3プロテアーゼの配列を決定するため)。一つの実施形態において、増幅されたプロテアーゼ核酸は、当該分野で公知の方法(ショットガン配列決定などが挙げられるが、これに限定されない)によって配列決定される前に、クローン化される。一つの実施形態において、増幅されたプロテアーゼ核酸は、始めにクローン化されること無く、配列決定される。
【0096】
一つの実施形態において、配列決定されたプロテアーゼ核酸の遺伝子型は、その配列と一つまたはそれ以上の公知の遺伝子型のプロテアーゼ配列とをアライメントする工程、および配列決定されたプロテアーゼ核酸と相同である公知の遺伝子型のプロテアーゼ配列を同定する工程によって決定され得る。この解析はコンピューターソフトウェア(例えば、ブラスト(Blast))および当該分野で公知のコンピューターで読み取り可能なメディア上のデータベースを用いて行われ得る。
【0097】
別の実施形態において、配列決定されたプロテアーゼ核酸の遺伝子型は、配列決定されたプロテアーゼ核酸の重要なヌクレオチド(または配列決定されたヌクレオチドにコードされるアミノ酸)と、公知の遺伝子型のコントロールとを比較することによって、決定され得る。
【0098】
好ましい実施形態において、ウイルスRNAは血清サンプルから単離される。このサンプルは、遺伝子型に関わらずNS3プロテアーゼを増幅するように設計された縮重プライマーを用いて増幅される。増幅された核酸はその後、配列決定される。
【0099】
当業者によって理解されているように、本発明の範囲は、上述の遺伝子型タイピング方法の変化形を含む。例えば、HCVは、ウイルス検体から始めにRNAを単離することなく、増幅され得る。また、プライマーは、プロテアーゼ領域をコードするウイルス核酸にアニールすることが可能なプライマーである限り、改変され得る。例えば、増幅された領域は、NS3に加えて、p7、NS2、NS4A、および/またはNS4B、あるいはそれらの一部などの、周囲のタンパク質ドメインをコードする核酸を、さらに含み得る。さらに、増幅された核酸は、配列決定の前にクローン化され得る。
【0100】
(HCV表現型タイピングの方法)
本発明は、HCV表現型を決定する方法もさらに含む。一つの実施形態において、目的の表現型は、プロテアーゼ機能(例えば、NS3プロテアーゼ活性のレベル)である。別の実施形態において、目的の表現型は、抗ウイルス治療に対するHCVの感受性である。例えば、本発明は、あるプロテアーゼインヒビターに対するHCVの感受性を決定する方法を含む。本発明の別の実施形態において、目的の表現型は、抗ウイルス治療への耐性である。
【0101】
患者からのHCVの表現型決定のため、HCVの臨床サンプルは、既に記載している被験者から得られる。例えば、HCVは、患者の血清から得られ得る。HCVのプロテアーゼドメインは、増幅され、そしてアンプリコン(すなわち、HCVカセット)は、スクリーニングベクター中にクローン化され得る。患者のHCVカセットを含むこのスクリーニングベクターは、宿主細胞のトランスフェクションの前に、当該分野で公知の方法(例えば、マキシプレップ(maxi−prep))によって精製され得る。
【0102】
本発明の表現型タイピング方法は、患者のHCVカセットを必要とする。既に論じたように、HCV核酸は、患者から得られ、そして増幅される。NS3プロテアーゼドメインをコードする核酸は、この出願を通じて開示された方法によって、増幅され得る。例えば、HCV核酸は、遺伝子型特異的プライマーを用いて増幅され得る。別の実施形態において、HCV核酸は、縮重プライマーを用いて増幅される。本発明は、配列番号1および配列番号3(またはこれらの相補体)ならびに/あるいは配列番号5および配列番号9(またはこれらの相補体)のアミノ酸配列をコードするプライマーを用いた、表現型タイピングの方法を含む。本発明は、配列番号2、4、6、7、8、10、11、または12あるいはこれらの相補体に対応する、一つまたはそれ以上のプライマーを用いて表現型タイピングする方法を、さらに含む。
【0103】
本発明の表現型タイピングレポーターシステムは、分泌可能なレポーター部分などの、レポーター部分をコードする核酸を含むスクリーニングベクターに依存している。一つの実施形態において、このスクリーニングベクターは、一つまたはそれ以上のHCV膜結合タンパク質および分泌可能レポーターをコードするポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、このスクリーニングベクターは、ベクター中に許容されるHCV膜結合タンパク質の最大数、例えば、4A、4B、および5A(例えば、非特異的バックグラウンドノイズシグナルを最小化または少なくするため)および分泌可能なレポーターを含む。他の実施形態において、このスクリーニングベクターはHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)および分泌可能なレポーターを含む。さらに別の実施形態において、このスクリーニングベクターは、HCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B(例えば、4Bの最初の6アミノ酸)および分泌可能なレポーターを含む。なお別の実施形態において、このスクリーニングベクターはHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A(例えば、5Aの最初の6アミノ酸)および分泌可能なレポーターを含む。
【0104】
一つの実施形態において、このスクリーニングベクターは、HCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)および分泌されるレポーターをコードするポリヌクレオチドを含む。この実施形態において、NS3ドメインカセットは、このスクリーニングベクター中にクローン化される。NS3ドメインカセットは、例えばNS3プロテアーゼドメイン、または、NS3プロテアーゼドメインおよびヘリカーゼドメインの一部をコードする核酸を、含み得る。本発明の一つの実施形態において、このカセットは、NS3プロテアーゼドメインおよびヘリカーゼドメイン一部(例えば、ヘリカーゼドメインの約4アミノ酸、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、または約10アミノ酸またはそれ以上)をコードする核酸を含む。
【0105】
一つの実施形態において、このスクリーニングベクターは、HCV NS4B、5A、5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)および分泌されるレポーターをコードするポリヌクレオチドを含む。この実施形態において、NS3/4Aドメインカセットは、このスクリーニングベクター中にクローン化される。本発明の別の実施形態において、このカセットは、NS3ドメイン(すなわち、NS3プロテアーゼおよびヘリカーゼドメイン)ならびにNS4Aドメインの一部(例えば、NS4Aドメインの約4アミノ酸、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、または約10アミノ酸またはそれ以上)をコードする核酸を含む。
【0106】
既に論じたように、HCVカセットは、レポーター(例えば、分泌可能レポーター)をコードするポリヌクレオチドを含むスクリーニングベクター中にクローン化される。NS3プロテアーゼドメインまたは全長プロテアーゼ(例えば、NS3 ProまたはNS3/4A)をコードするHCVカセット、NS部分(例えば、NS4Bおよび5B)をコードするベクター核酸、ならびに分泌されるレポーターをコードするべクター核酸は、作動可能に連結されている。そのため、分泌されたレポーターからのシグナルの検出は、機能的に所望のドメインの存在を示している。本発明の一つの実施形態において、このベクターはCMVプロモーターの制御下にある。
【0107】
本発明のスクリーニングベクターは、多数の細胞株に一過的にトランスフェクトされ得る。一つの実施形態において、このスクリーニングベクターは、293細胞株(例えば、293−FS細胞)にトランスフェクトされ得る。このシステムが、Huh−7細胞株または“治療された”レプリコン細胞株に制限されないことに注意することは、重要である。表現型タイピングアッセイに用いられ得る例示的なHCVプロモーターシステムを、図2に示す。図2に記載されているように、NS3活性はレポーター活性(例えば、分泌されるルシフェラーゼ活性)に結び付けられる。図2のシステムは、DNAの容易かつ一貫性あるトランスフェクションを提供し、そして、RNAのトランスフェクションに関連した問題を回避する。
【0108】
本発明のレポーターシステムは、NS3カセットが機能的なプロテアーゼをコードするか否かを検出することが可能なレポーター部分を分泌することによって、機能する。具体的には、ポリペプチド内の機能的なプロテアーゼドメインは、翻訳されたポリペプチドからのレポーターを切断する。このプロテアーゼドメインが機能的でないならば、レポーター部分は切断されない。そのため、分泌されたシグナルの検出は、機能的なプロテアーゼドメインの存在を示し、一方、分泌されたシグナルの不存在は、機能的なプロテアーゼドメインの不存在を示す。特定の実施形態において、弱いシグナルは、非効率的なプロテアーゼの指標である。
【0109】
分泌可能なレポーターは、当該分野で公知のいずれのレポーター部分でもあり得る。一つの実施形態において、分泌可能なレポーターは、自らで分泌可能な検出可能部分、または分泌シグナルペプチドに作動可能に連結された後に分泌可能である検出可能部分である。別の実施形態において、分泌可能なレポーターは分泌可能ルシフェラーゼである。ルシフェラーゼが検出可能なシグナルを提供するためには、ルシフェラーゼの基質は利用可能でなければならない。本発明の一つの実施形態において、本発明のベクターを含む宿主細胞は、ルシフェラーゼの基質と接触させられる。一つの実施形態において、ルシフェリンなどのレポーター基質は細胞に添加され、その結果のシグナルが読まれる。一つの実施形態において、シグナルは蛍光シグナルである。一つの実施形態において、このシグナルは、例えばルミノメーターを用いる、当該分野で公知の方法によって読まれる。当業者によって理解されるように、別の状況で、レポーター部分がこのアッセイを行うために用いられる細胞中に他に存在していないならば、更なる分泌可能レポーター部分も、このシステムに用いられ得る。他の適切なレポーター部分としては、SEAPが挙げられるが、これに限定されない。
【0110】
一つの実施形態において、本発明の表現型アッセイは、HCV単離物が抗ウイルス処置(例えば、プロテアーゼインヒビター治療)に対して感受性であるか否かを決定するために用いられ得る。この実施形態において、スクリーニングベクターを含む宿主細胞は、薬剤に接触させられる。この薬剤は、段階的に希釈され得る。もしこの薬剤がレポーターの分泌を阻止または低下させるのであれば、この薬剤はウイルスプロテアーゼ阻害において効果的である。この薬剤がレポーターの分泌を阻止または減少させるのか否かを決定するために、レポーター基質は添加され得る。例えば、もしレポーターがルシフェラーゼであるならば、ルシフェラーゼ基質が添加され得る。そしてシグナル強度は、決定され得る。
【0111】
別の実施形態において、本発明の表現型アッセイは、HCVの集団(例えば、被験者から単離されたのHCVの集団)が、抗ウイルス治療(例えば、プロテアーゼインヒビター治療)に対し感受性であるか否かを決定するために用いられ得る。この実施形態において、スクリーングベクターを含む宿主細胞は、薬剤と接触させられる。ここで、個々のスクリーニングベクターはHCVの集団からの異なったNS3プロテアーゼドメインをコードする核酸を含み得る。上述および本明細書の他の部分で記載されているように、薬剤は段階的に希釈され得、レポーター基質が添加され得、そしてレポーター活性が決定され得る。
【0112】
別の実施形態において、目的の薬剤に対する薬剤耐性は、患者のHCVカセットを含むスクリーニングベクターを用いて一過的にトランスフェクトされた宿主細胞を、目的の薬剤と接触することによって、決定される。一つの実施形態において、目的の薬剤は、プロテアーゼインヒビターである。例えば、目的の薬剤はITMN−191であり得る。本発明の一つの実施形態において、目的の薬剤は段階的に希釈される(例えば、段階的に希釈されたITMN−191)。薬剤耐性は、レポーターの分泌によって示される。一つの実施形態において、分泌可能ルシフェラーゼは、レポーターであり、そしてルシフェラーゼ基質が添加される。分泌可能ルシフェラーゼ基質の添加の後、シグナル(すなわち蛍光)は、読まれる。シグナルの存在および強度に基づいて、解析が、薬剤耐性を決定するために行われ得る。一つの実施形態において、EC50値は、薬剤濃度に対するレポーターシグナルをプロットすることによって、決定され得る。表現型タイピングアッセイでのEC50値のあらゆる上昇は、患者のHCV中の薬剤耐性の指標である。
【0113】
本発明の表現型タイピングの方法は、ハイスループットフォーマット中で、行われ得る。この分泌されるレポーターは、測定が容易であり、そして表現型タイピングシステムは、ロボティクスに修正することが可能である。一つの実施形態において、自動化は、一日あたり約96、144、192、240または288個のサンプルへの12点のEC50決定を可能にする。
【0114】
(核酸)
本発明はまた、HCV NSポリプロテインのNS3プロテアーゼドメインをコードする単離された核酸分子を提供する。例えば、本発明はNS3プロテアーゼドメインならびに必要に応じてNS2ドメイン、NS3ヘリカーゼドメイン、NS4Aドメイン、NS4Bドメインおよび/またはNS5Aドメイン、あるいはあらゆるこれらのドメインの一部をコードする単離された核酸分子を含む。一つの実施形態において、単離された核酸分子は、およそアミノ酸170から開始しているNS2の一部をコードする。別の実施形態において、核酸分子は、NS3プロテアーゼドメインおよびNSポリプロテインのNS3ヘリカーゼドメインの少なくとも一部をコードする。例えば、本発明はNS3プロテアーゼドメインおよびNS3ヘリカーゼドメインの約4アミノ酸、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、または約10アミノ酸またはそれ以上をコードする単離された核酸分子を含む。本発明の一つの実施形態において、単離された核酸分子は、NS3プロテアーゼドメイン、NS3ヘリカーゼドメイン、およびNS4Aドメインをコードする。例えば、本発明は、NS3プロテアーゼドメイン、NS3ヘリカーゼドメイン、およびNS4Aドメインの少なくとも約4アミノ酸、約5アミノ酸、約6アミノ酸、約7アミノ酸、約8アミノ酸、約9アミノ酸、または約10アミノ酸またはそれ以上をコードする単離された核酸分子を含む。
【0115】
一つの実施形態において、NS3プロテアーゼドメインをコードする単離された核酸分子は、本発明のプライマーを用いて取得される。例えば、単離された核酸分子は、NS3遺伝子型特異的プライマーを用いて取得され得る。別の実施形態において、単離された核酸分子は、遺伝子型に拘らずNS3領域を増幅するために設計された縮重プライマーを用いて取得される。本発明は、配列番号1および配列番号3(またはこれらの相補体)ならびに/あるいは配列番号5および配列番号9(またはこれらの相補体)のアミノ酸配列をコードするプライマーを用いて取得された、単離された核酸を含む。本発明は、配列番号2、4、6、7、8、10、11または12あるいはそれらの相補体に対応する一つまたはそれ以上のプライマーを用いて取得された、単離された核酸もまた、含む。
【0116】
本発明の単離された核酸分子は、一本鎖または二本鎖(例えば、二本鎖DNA)であり得る。本発明は修飾されたヌクレオチドを含む核酸分子を包含する。例えば、本発明の核酸分子は、対応するHCV NS3ヌクレオチド配列に配列への一つまたはそれ以上のヌクレオチド置換、付加または欠失を導入することによって作製され得る。その結果、一つまたはそれ以上のアミノ酸置換、付加または欠失は、コードされたプロテイン中に導入される。
【0117】
別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、長さにおいて、少なくとも約10ヌクレオチド、約12ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、約18ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、または約25ヌクレオチドであり、少なくとも一つのNS3ヌクレオチド配列を含む核酸分子に対し、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
【0118】
核酸分子を複製するための、ならびに、ポリペプチドを発現するための宿主細胞およびベクターもまた、提供される。あらゆるベクターおよび宿主細胞が、用いられ得る(例えば、原核細胞または真核細胞)。多くのベクターおよび宿主細胞が、そのような目的のために、当該分野において公知である。当業者は、所望の適用のために適切なセットを選択することを容易になし得る。一つの実施形態において、ベクターはpcDNA3であり、また宿主細胞は293−FS細胞である。
【0119】
プローブに基づいた方法を用いてNS3プロテアーゼドメインをコードする核酸配列を単離するための技術は、通常の技術であり、そして当業者に周知である。例えば、Mullis et al.(米国特許第4,683,195号)およびMullis(米国特許第4,683,202号)によって開示されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法が、用いられ得る。これらは本明細書において援用される。そのような核酸配列を単離するためのプローブは、公表された核酸またはタンパク質の配列に基づき得る。
【0120】
単離されたNS3核酸(または、ポリペプチド)の配列は、(核酸が単離された)HCVの遺伝子型を決定するために、コントロールNS3配列と比較され得る。当該分野で公知のように、2つのポリヌクレオチド間、または2つのポリペプチド間の類似性は、一つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列およびその保存されたヌクレオチド置換またはアミノ酸の置換を、第二のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列と比較することによって決定される。また、当該分野でさらに公知であることは、“同一性”である。同一性とは、2つの配列間の一致を同定することによって決定される、2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。同一性および類似性は、容易に計算され得る(Computational Molecular Biology、Lesk、A.M.、ed.、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.、ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin、A.M.、およびGriffin、H.G.、eds.、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.、Academic Press、1987;およびSequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991)。
【0121】
2つのポリヌクレオチド配列間または2つのポリペプチド配列間の同一性および類似性を測定するための多数の方法が存在するが、用語“同一性”および“類似性”は、当業者に周知である(Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.、Academic Press、1987;Sequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991;およびCarillo、H.、およびLipman、D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1998))。2つの配列間の同一性または類似性を決定するために一般的に用いられる方法は、Guide to Huge Computers、Martin J.Bishop、ed.、Academic Press、San Diego、1994、ならびに、Carillo、H.、およびLipman、D.、SIAM J.Applied Math.48:1073(1998)の中で開示されているものを含むが、これに限定されない。
【0122】
同一性を決定するための好ましい方法は、検査される2つの配列間で、最も大きな一致を生み出すように設計されている。同一性および類似性を決定するため方法は、コンピュータープログラムにコーディングされている。2つの配列間の同一性および類似性を決定するためのコンピュータープログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux、et al.、Nucl.Acid Res.12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul、et al.、J.Mol.Biol.215:403(1990))を含むが、これに限定されない。上に記載した類似性または同一性の程度は、2つの配列間の同一性の程度として決定される。また、これは、しばしば第二配列と第一配列との差異を示す。2つの核酸配列間の同一性の程度は、GCGプログラムパッケージ(NeedlemanおよびWunsch、J.Mol.Biol.48:443−453(1970))中に提供されているGAPなどの、当該分野で公知のコンピュータープログラム手段によって決定され得る。本発明のために2つの核酸配列間の同一性の程度を決定する目的のために、GAPは以下のセッティングを伴なって用いられ得る:5.0のGAP挿入ペナルティおよび0.3のGAP伸長ペナルティ。
【0123】
本発明は、表現型スクリーニングベクター中にクローン化されたHCVカセットを用いて、本発明の翻訳されたポリペプチドを生産するための方法をさらに含む。一般的用語において、タンパク質の組換え体の生産は、典型的には、以下の工程を含む。
【0124】
核酸分子は始めに取得される。この核酸分子は、NS3プロテアーゼドメインならびに必要に応じてNS3ヘリカーゼおよび/またはNS4Aドメインをコードする。この核酸分子は、次に、適切な制御配列、ならびに、NSポリプロテイン(例えば、NS4B、NS5A)の一部または全てをコードする核酸、および、レポーター分子に作動可能に連結されて、タンパク質オープンリーディングフレームを含む発現単位を形成する。この発現単位は、適切な宿主を形質転換(例えば、トランスフェクト)するために用いられ、そしてこの形質転換された宿主は、組換えポリペプチドの生産を許容する条件下で培養される。ポリペプチドの生産において、もしそのポリペプチドのプロテアーゼ部分が機能的であるならば、リポーター分子はポリペプチドから切断され、そして、細胞から分泌される。
【0125】
前述の工程の各々は、様々な方法で完遂され得る。例えば、様々な宿主で作動可能である発現ベクターの構築は、上述の適切なレプリコンおよび制御配列を用いて、完遂される。制御配列、発現ベクター、および形質転換法は、遺伝子を発現するために用いられる宿主細胞のタイプに依存し、上記に詳しく議論されているか、そうでなければ、当業者に公知である。適切な制限部位をもし普通に利用できないのであれば、適切な制限部位をコード配列の末端に添加して、切除可能な遺伝子を提供して、ベクター中に挿入し得る。当業者は、当該分野で公知の任意の宿主/発現システムを、本発明の核酸分子との使用に容易に適合させて、所望の組換えポリペプチドを生産し得る。
【0126】
酵母システム、細菌システム、動物システム、植物システム、原核細胞システムおよび真核細胞システムを含む、様々な発現システムが、利用され得る。いくつかの実施形態において、哺乳類の細胞培養システムが、好まれる。
【0127】
(ベクター)
本発明中で用いるための発現単位には、5’から3’方向に作動可能に連結された以下の要素が一般的に含まれる:哺乳類の細胞で作動可能な転写プロモーター(例えば、CMVプロモーター)、患者からのHCVカセット(すなわち、NS3/4Aをコードする核酸またはNS3プロテアーゼドメインをコードする核酸)、少なくとも一つの更なるNSドメイン(例えば、必要に応じて5B(例えば、5Bの最初の6アミノ酸)をコードしているDNA配列に連結されている、NS3ヘリカーゼ/4A/4B/5A(NS3プロテアーゼを含むカセットを使用しているとき)またはNS4B/5A(NS3/4Aを含むカセットを使用しているとき))をコードするDNA配列、および、レポーター(例えば、ルシフェラーゼ)をコードするDNA配列。上で議論したように、HCV NSポリプロテイン部分をコードする核酸に対しまたは核酸中に融合されたHCVカセットおよびレポーターの任意の他の配置は、本発明のベクター中で用いられ得る。適切なプロモーターの選択は、選択された宿主細胞によって決定される。また、このことは当業者にとって明白であり、より具体的に以下で議論される。
【0128】
本発明を実行する上で用いる哺乳類発現ベクターは、融合タンパク質の転写を指示することが可能なプロモーターを含む。好ましいプロモーターとしては、ウイルスプロモーターおよび細胞性プロモーターが挙げられる。ウイルスプロモーターとしては、CMVプロモーター、アデノウイルス2由来の主要な後期プロモーター(KaufmanおよびSharp、Mol.Cell.Biol.2:1304−13199、1982)およびSV40プロモーター(Subramani et al.、Mol.Cell.Biol.1:854−864、1981)が挙げられる。細胞性プロモーターとしては、マウスのメタロチオネイン1プロモーター(Palmiter et al.、Science 222:809−814、1983)およびマウスVカッパー(米国特許第6,291,212号を参照のこと)プロモーター(Grant et al.、Nuc.Acids Res.15:5469、1987)が挙げられる。特に好ましいプロモーターは、マウスV(米国特許第6,291,212号を参照のこと)プロモーター(Loh et al.、同書)である。
【0129】
(形質転換)
本発明の表現型スクリーニングベクターおよびHCVカセットは、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(Wigler et al.、Cell 14:725、1978;CorsaroおよびPearson、Somatic Cell Genetics 7:603、1981;GrahamおよびVan der Eb、Virology 52:456、1973)によって培養哺乳動物細胞中に導入され得る。電気穿孔法(Neumann et al.、EMBO J.1:841−845、1982)、またはリポフェクション(lipofection)などの、哺乳動物細胞へのクローン化されたDNA配列の導入のための他の方法もまた、用いられ得る。
【0130】
クローン化されたDNAが組み込まれた細胞を同定するために、選択可能マーカーは、目的の遺伝子またはcDNAと共に細胞中に導入され得る。培養される哺乳動物細胞中で用いるための選択可能マーカーとしては、ネオマイシン、ハイグロマイシン、およびメトトレキサートなどの薬剤に対し耐性を与える遺伝子が挙げられる。選択可能マーカーは、増幅可能な選択可能マーカーであり得る。増幅可能な選択可能マーカーとしては、DHFR遺伝子(米国特許第6,291,212号を参照のこと)が挙げられる。選択可能マーカーは、Thilly(Mammalian Cell Technology、Butterworth Publishers、Stoneham、Mass.)によって概説されており、選択可能マーカーの選択は、十分に当業者のレベル内である。
【0131】
(宿主細胞)
本発明はまた、本発明の組換えポリペプチド(すなわち、NS3/4A/4B/5A/レポーター)を発現するために形質転換された(すなわち、トランスフェクトされた)細胞、好ましくは哺乳動物細胞を含む。形質転換された宿主細胞それ自体に加えて、本発明はまた、栄養培地中のそれらの細胞の培養物、好ましくは単一クローンの(クローン的に均質な)培養物、または単一クローン培養物由来の培養物もまた含む。もしレポーターペプチドが分泌されるのであれば、この培地はレポーターペプチドを細胞と共に含む。もしも、細胞がろ過されるか、または遠心分離機にかけられて除かれるのであれば、この培地は細胞を含まずにレポーターペプチドを含む。
【0132】
本発明の実施に用いるための宿主細胞としては、培養された哺乳動物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、植物細胞および細菌細胞のような、外因性のDNAによって形質転換またはトランスフェクトされることおよび培地中で生育することが可能な、真核細胞およびいくつかのケースの原核細胞が挙げられる。
【0133】
本発明のDNA構築物を含む宿主細胞は、適切な増殖培地の中で育てられる。本明細書で用いらる場合、用語“適切な増殖培地”とは、細胞の増殖に必要とされる栄養物を含む培地を意味する。細胞増殖に必要とされる栄養物には、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン、ミネラルおよび増殖因子が挙げられる。増殖培地は、例えば、薬剤選択によって、あるいは、DNA構築物上の選択可能マーカーまたはDNA構築物と共にトランスフェクトされる選択可能マーカーによって相補される必須栄養素の欠乏によって、DNA構築物を含む細胞を、一般的に選択する。
【0134】
培養される哺乳動物細胞は、市販の血清含有培地または血清非含有培地中で、通常の場合、増殖させられる。用いられる特定の細胞株に対して適切な培地を選択することは、当業者のレベル内である。トランスフェクトされた哺乳動物細胞は、目的のDNA配列の発現を開始するため、一定の期間、通常1−2日間増殖することが許される。次に、薬剤選択が、安定的に選択可能マーカーを発現している細胞の増殖を選択するために、行われる。増幅可能な選択可能マーカーを用いてトランスフェクトされた細胞に対し、薬剤濃度を段階的な様式で上昇させ、クローン化された配列のコピー数の増加について選択して、これによって発現レベルを上昇させ得る。
【0135】
上記の例を参照して本発明を詳細に記載してきたが、発明の本質から乖離することなく種々の改変がなされ得ることが、理解される。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。この出願に引用された全ての引用特許、特許出願および特許公報は、本明細書においてその全体が援用される。
【実施例】
【0136】
(実施例)
以下の実施例は、明示的または暗示的に、あらゆる様式、形態、または、型において本発明を説明することを意図しているが、限定することは意図していない。これらは、用いられるであろうものの典型であるが、一方で、当業者に公知の他の手順、方法論、または技術を、代替的に用いることができる。
【0137】
(実施例1:HCV NS3ドメイン縮重プライマーの設計)
好ましくはHCV遺伝子型1aおよび1bの両方にアニーリング可能なプライマーを、HCV NS3領域を増幅するために設計した。これらのプライマーを設計するために、公表されたHCV遺伝子型1(大部分は1aおよび1b)配列を集め、アラインメントして、高程度のホモロジーをもつ領域を見つけた。ホモロジー領域内での各核酸の出現頻度を計算した。カットオフ頻度パーセンテージを、許容可能な範囲内で、設計したプライマーの縮重を保つように割り当てた。縮重プライマーを設計する上で他に考慮している要素は、最も3’末端に位置する5塩基に縮重を含まないようにすることである。
【0138】
(実施例2:HCV NS3ドメインの増幅)
ウイルスRNAを臨床サンプルから単離し、そして、HCV NS3ドメインを第一、および第二ラウンド縮重プライマーを用いて増幅した。増幅されたHCVの領域を、図7に示す。図7は、理にかなったホモロジーが同定された領域を表示している。示してあるように、“U”は上流側プライマーを表しており、“D”は下流側プライマーを表しており、それぞれ相同性領域の5’末端について、Con−1位置に対応する番号を伴なっている。第二ラウンドのプライマーであるU3420およびD4038は、表現型タイピングベクター中にカセットクローニングをするための制限サイトを保持している。U3420はタンパク質翻訳のための開始コドンおよびコザック配列を持っている。図8−11は、プライマーU3276、D4221、U3420、およびD4038それぞれの中における、遺伝子型1単離物におけるアミノ酸保存を示す。
【0139】
(実施例3:臨床サンプルを用いたHCV遺伝子型検査)
臨床単離物を、病院、臨床的研究室、および商業的団体を含む複数のソースより入手した。
【0140】
患者NS3クローンの表現型タイピングの結果を図13に示す。図12に示されている3つの増幅された臨床サンプルを、表現型タイピングベクターにクローン化し、そして表現型タイピングアッセイによって特徴づけた。
【0141】
図14は遺伝子型1a/b特異的非縮重プライマーの配列を示す。図15は遺伝子型1a/b特異的非縮重プライマーを用いたPCR増幅の結果の産物を示す。PCR産物を精製し、そしてその集団を配列決定した。配列決定の結果は、これらがHCV 1aまたは1b配列であることを明らかにした。
【0142】
(実施例4:HCV表現型タイピングアッセイ)
図3は96ウェルミニプレップで得られたDNAを用いた表現型タイピングアッセイを示す。
【0143】
図4はハイスループットロボティックシステム中の96ウェルプレート内でのシグナル変動を示す。
【0144】
図5は同じ表現型タイピングベクターを用いた同一日内、および複数日間のEC50変動を示す。
【0145】
図19はインビトロHCVレプリコン耐性研究で同定されたNS3改変体の表現型タイピングEC50を示す。各改変体の個々のEC50値および異なる改変体のEC50ランクの順番は、レプリコントランジエントトランスフェクションデータと良い相関がある。
【0146】
(実施例5:HCV表現型タイピングアッセイの自動化)
細胞ベースの表現型タイピングアッセイにハイスループットシステム(HTS)を適用することができる。例えば、このアッセイを用いて、40人の患者の5つの時点での少なくとも96配列をスクリーニングすることが可能である。つまり19,200の対象を10ヶ月以内に特徴付けることが可能である。
【0147】
図6は細胞ベースのレポーターアッセイのための自動化プロトコールの例示的なステップを示しているフローチャートを示す。実施例1に記載されている96ウェルミニプレップから得られたDNAを、このアッセイに用いることができる。このDNAを細胞にトランスフェクションし、その後、その細胞を、段階的に希釈したITMN−191などのNS3/4Aプロテアーゼ活性インヒビターで処理することが可能である。レポーターによって分泌されるルシフェラーゼの基質を添加し、分泌ルシフェラーゼの活性を決定する。分泌ルシフェラーゼ活性はプロテアーゼ活性の指標であり、つまりこれはHCV表現型の指標となる。
【0148】
現在のところ、好ましい実施形態を参照して本発明を記述してきたが、当業者に明らかなように、本発明の本質から乖離することなく種々の変更や改変をなし得るということを理解すべきである。それ故、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各プライマーがMet/Lys−Glu/Gly−Thr/Ile−Lys−Ile/Val/Leu−Ile/Ala−Thr/Gln−Trp/Lysをコードする核酸配列を含む、第一ラウンド上流側プライマーの集団。
【請求項2】
請求項1に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがアミノ酸配列をコードしており、そしてここで、該アミノ酸配列の集団が各アミノ酸に関して以下の配分:
Met(99.5%)/Lys(0.5%)−Glu(99.5%)/Gly(0.5%)−Thr(96.5%)/Ile(3.5%)−Lys(100%)−Ile(69.3%)/Val(16.1%)/Leu(14.6%)−Ile(99.5%)/Ala(0.5%)−Thr(99.5%)/Gln(0.5%)−Trp(99.5%)/Lys(0.5%)
を有する、プライマーの集団。
【請求項3】
請求項1に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがATGGAGACYAAGVTYATYACSTGGGの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、VがAまたはGまたはC、およびSがGまたはCである、プライマーの集団。
【請求項4】
請求項1に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがATGGAGACYAMAMGVTYAMTYAMCSTGGGの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、VがAまたはGまたはC、およびSがGまたはCであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンである、プライマーの集団。
【請求項5】
請求項1に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがAMTGMGMAGACYAMAMGVTYAMTYAMCMSTGGGの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、VがAまたはGまたはC、およびSがGまたはCであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありGMが修飾されたグアノシンである、プライマーの集団。
【請求項6】
前記集団が少なくとも1つのプライマーを含む、請求項1に記載のプライマーの集団。
【請求項7】
各プライマーの相補体がSer−Thr−Tyr−Gly/Cys−Lys−Phe−Leu−Ala−Asp−Glyをコードする核酸配列を含む、第一ラウンド下流側プライマーの集団。
【請求項8】
請求項7に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーの相補体がアミノ酸配列をコードしており、そしてここで、該アミノ酸配列の集団が各アミノ酸に関して以下の配分:
Ser(100%)−Thr(100%)−Tyr(100%)−Gly(97.0%)/Cys(3.0%)−Lys(100%)−Phe(100%)−Leu(100%)−Ala(100%)−Asp(100%)−Gly(100%)
を有する、プライマーの集団。
【請求項9】
請求項7に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがCCGTCGGCAAGRAACTTGCCRTAGGTGGAの核酸配列を含んでおり、そしてここで、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項10】
請求項7に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがCCGTCGGCAAGRAMACTTMGCCRTMAGGTMGGAの核酸配列を含んでおり、そしてここで、RがAまたはGであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありTMが修飾されたチミジンである、プライマーの集団。
【請求項11】
請求項7に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがCCGTMCGGCAAMGRAMACTMTMGCCRTMAMGGTMGGAの核酸配列を含んでおり、そしてここで、RがAまたはGであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありTMが修飾されたチミジンである、プライマーの集団。
【請求項12】
前記集団が少なくとも1つのプライマーを含む、請求項7に記載のプライマーの集団。
【請求項13】
各プライマーがAla−Pro/His−Ile−Thr−Ala−Tyr−Ser/Ala−Gln/Arg−Gln−Thrをコードする核酸配列を含む、第二ラウンド上流側プライマーの集団。
【請求項14】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがアミノ酸配列をコードしており、そしてここで、該アミノ酸配列の集団が各アミノ酸に関して以下の配分:
Ala(100%)−Pro(99.5%)/His(0.5%)−Ile(100%)−Thr(100%)−Ala(100%)−Tyr(100%)−Ser(66%)/Ala(34%)−Gln(99%)/Arg(1%)−Gln(100%)−Thr(100%)
を有する、プライマーの集団。
【請求項15】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARACの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、KがGまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項16】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCGCCYAMTMYACGGCMCTMAMYKCCCMARCMAMRACの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、KがGまたはT、そして、RがAまたはGであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありCMが修飾されたシチジンでありTMが修飾されたチミジンである、プライマーの集団。
【請求項17】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCGCCYAMTMYACGGCCTAMYKCCCARCAMRACの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、KがGまたはT、そして、RがAまたはGであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありTMが修飾されたチミジンである、プライマーの集団。
【請求項18】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがAGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARACの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがT、KがGまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項19】
請求項13に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがAAAAAGGCGCGCCACCATGGCGCCYATYACGGCCTAYKCCCARCARACの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、KがGまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項20】
前記集団が少なくとも1つのプライマーを含む、請求項13に記載のプライマーの集団。
【請求項21】
各プライマーの相補体がGly−Ser−Gly/Arg−Lys−Ser/Thr−Thr/Asn−Lys/Arg−Val−Pro−Ala/Val−Ala/Aspをコードする核酸配列を含む、第二ラウンド下流側プライマーの集団。
【請求項22】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーの相補体がアミノ酸配列をコードしており、そしてここで、該アミノ酸配列の集団が各アミノ酸に関して以下の配分:
Gly(100%)−Ser(100%)−Gly(99.5%)/Arg(0.5%)−Lys(100%)−Ser(99.5%)/Thr(0.5%)−Thr(99%)/Asn(1%)−Lys(93%)/Arg(7%)−Val(100%)−Pro(100%)−Ala(99%)/Val(1%)−Ala(99%)/Asp(1%)
を有する、プライマーの集団。
【請求項23】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCCの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項24】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCAGCCGGCAMCYTTMRGTMGCTMYTMTMRCMCGCTMRCCの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、そして、RがAまたはGであり、さらにここで、AMが修飾されたアデノシンでありTMが修飾されたチミジンであり、そして、CMが修飾されたシチジンである、プライマーの集団。
【請求項25】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがGCAGCCGGCACYTTMRGTGCTMYTTMRCCGCTMRCCの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、そして、RがAまたはGであり、さらにここで、TMが修飾されたチミジンである、プライマーの集団。
【請求項26】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがAAAAAGCGGCCGCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCCの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項27】
請求項21に記載のプライマーの集団であって、ここで、各プライマーがCTTGGTTAATTAATGCAGCCGGCACYTTRGTGCTYTTRCCGCTRCCの核酸配列を含んでおり、そしてここで、YがCまたはT、そして、RがAまたはGである、プライマーの集団。
【請求項28】
前記集団が少なくとも1つのプライマーを含む、請求項21に記載のプライマーの集団。
【請求項29】
請求項1および請求項7のプライマーを含む、キット。
【請求項30】
請求項13および請求項21のプライマーを含む、キット。
【請求項31】
請求項1および請求項7のプライマーまたは請求項13および請求項21のプライマーまたはこれらの組合せのプライマーを用いて、HCVに感染した患者または感染が疑われる患者のサンプル由来の核酸サンプルを増幅する工程を包含する、該サンプルからHCV NS3プロテアーゼドメインを増幅する方法。
【請求項32】
HCVウイルスのプロテアーゼドメイン内の断片を増幅する工程、および、該断片の遺伝子型に基づいて該HCVウイルスの遺伝子型を決定する工程を包含する、HCVウイルスの遺伝子型を決定する方法。
【請求項33】
前記断片が請求項1および請求項7のプライマーまたは請求項13および請求項21のプライマーまたはこれらの組合せのプライマーを用いて増幅される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
HCVサンプル由来のHCVのプロテアーゼドメイン内の断片の増幅を実施する工程、該断片内の薬剤耐性に関連した変異の存在を決定する工程を包含する、薬剤耐性HCVウイルスの存在を決定する方法であって、ここで該変異の存在は薬剤耐性HCVの存在の指標となる、方法。
【請求項35】
増幅が請求項1および請求項7のプライマーまたは請求項13および請求項21のプライマーまたはこれらの組合せのプライマーを用いて実施される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
HCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、および分泌されるルシフェラーゼレポーターをコードするポリヌクレオチドを含むスクリーニングベクター中にHCVウイルスのNS3プロテアーゼドメインをクローン化する工程を包含する、HCVウイルスの表現型を決定する方法であって、ここで、機能的なNS3プロテアーゼドメインの存在が該分泌されるルシフェラーゼレポーターの分泌によって示されるように該NS3プロテアーゼドメイン、NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5Aおよび該分泌されるルシフェラーゼレポーターをコードする該ポリヌクレオチドが作動可能に連結されている、方法。
【請求項37】
前記ポリヌクレオチドがHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5Bの最初の6アミノ酸および分泌されるルシフェラーゼレポーターをコードする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
スクリーニングベクター中への機能的なNS3プロテアーゼドメインの挿入が分泌されるルシフェラーゼレポーターの分泌によって示されるように作動可能に連結されたHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、および該分泌されるルシフェラーゼレポーターをコードするポリヌクレオチドを包む、該スクリーニングベクター。
【請求項39】
前記ポリヌクレオチドがHCV NS3ヘリカーゼ、4A、4B、5A、5Bの最初の6アミノ酸および分泌されるルシフェラーゼレポーターをコードする、請求項38に記載のスクリーニングベクター。
【請求項40】
ATGGAGACCAAGATCATCACCTGGGおよびATGGAGACCAAGCTCATCACGTGGGからなる群から選択された配列を含む上流側プライマー、ならびにCCGTCGGCAAGGAACTTGCCATAGGTGGAおよびACCCGCCGTCGGCAAGGAACTTGCCGTAからなる群から選択された配列を含む下流側プライマーを含む、プライマーのセット。
【請求項41】
AGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCCATCACGGCCTACTCCCAACAGACおよびAGGGCATTTAAATAGCCACCATGGCGCCCATCACGGCGTACGCCCAGCAGACからなる群から選択された配列を含む上流側プライマー、ならびにAAAAAGCGGCCGCAGCCGGCACCTTAGTGCTCTTGCCGCTGCCおよびAAAAAGCGGCCGCAGCCGGGACCTTGGTGCTCTTACCGCTGCCからなる群から選択された配列を含む下流側プライマーを含む、プライマーのセット。
【請求項42】
【化3】

からなる群から選択された配列を含む、プライマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−501953(P2011−501953A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531337(P2010−531337)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081816
【国際公開番号】WO2009/059021
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(502191619)インターミューン インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】