説明

HIV感染患者を治療するための、サブタイプを一致させた不活化全粒子ウイルスワクチン

特定のサブタイプの不活化全粒子HIVを用いて、ワクチンおよび該ワクチンを含有する医薬組成物を調製する。該ワクチンを生産するために用いたサブタイプと同一のHIVサブタイプに対する防御細胞性免疫反応を個体に誘発することにより、該ワクチンを使用して、HIVに慢性的に感染した個体を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染の治療、特にヒトにおけるHIV感染の治療のためのワクチンの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の発見から20年が経過したが、これまでのところ有効な予防または治療ワクチンは利用可能となっていない。世界保健機関および国連合同エイズ計画の最近の予測では、現在の速度で世界的流行が進行すれば、2010年までに新たな感染者が4500万人に達するという1。抗レトロウイルス療法により、HIV感染
者の生存期間の延長とHIV母子感染の減少に大きな進歩が達成されてきてはいるが、長期にわたる抗レトロウイルス療法下で薬剤耐性および/または重度の薬剤関連有害作用を発現する患者が増加している。このため、HIV感染個体を疾患の進行から守る別の代替治療戦略が緊急に必要とされている。
【0003】
大規模ヒト第3相試験において、HIVを中和する体液性免疫の誘発を目的とした1つのワクチン候補が、最近、その有効性の立証に失敗した2。こうした予防策の欠如は、現
行のワクチンデザインではHIVに対しin vivoで有効な中和抗体(Nab)を誘発できないことが周知であることと一致している3。このように効果的なNabを誘発で
きないことはおそらく、感染因子の性質によって決定されていると考えられる。たとえば、結核、癩(らい)病、およびC型肝炎ウイルス感染などの慢性感染症には有効な予防ワクチンが今のところ存在しない。対照的に、ポリオ、麻疹、ジフテリア、破傷風または天然痘などの急性伝染病は、Nabの誘発を介してワクチンで効果的に予防され、ワクチンは経胎盤的に、または母乳を介して移行し、胎児または新生児を感染から防御することもできる。
【0004】
結核、癩病、B型またはC型肝炎ウイルス、およびHIVによる慢性感染症などのように、感染因子が根絶されない状況では、長期にわたる細胞性免疫によって疾患を制御できる可能性がある。これに関して、活発なウイルス特異的CD41型ヘルパーT(Th1)細胞およびエフェクター(パーフォリン)細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の反応が、慢性HIV−1感染個体におけるウイルス血症のコントロールと長期にわたる非進行に関連していることが示された4-10。さらに、急性感染期に、または急性感染後まもなくの時期に実施した抗レトロウイルス療法(HAART)による早期介入は、HIV−1特異的CD4Th1細胞の反応増強と関連していた11-12。対照的に、後期に実施したHA
ARTでは、HIV−1特異的CD4Th1細胞およびCTLの反応が低下したことから5,13,14、HIV−1を捕捉する抗原提示細胞(APC)(免疫反応の誘発に必要な
細胞)の機能的能力が感染の経過に伴って徐々に失われることが示唆された15-18。これ
に関連して、長期間持続するHIV−1特異的細胞性免疫反応の誘発を目的とした治療ワクチンは、2つの必須条件下で実行可能となると考えられる。すなわち、1)強力で幅広く持続する防御細胞性免疫を誘発できる適切な免疫原を発見すること、2)ex vivoで活性化したAPCの養子移入(すなわち、補充戦略)により、あるいは免疫原および適切なサイトカインまたはアジュバントを同時併用して障害の少ないDC(ランゲルハンス細胞など)をin vivoで直接活性化することにより、in vivoで損なわれたAPC機能を再構築することの2つである。成功する治療ワクチンの最終目標は、HIV−1感染患者のウイルス負荷量を可能な限り低レベルに持続的に低下させることにある。これが可能になれば、疾患の進行から患者を守ることができ、有害で高価な抗レトロウイルス薬の必要が少なくなると考えられる。さらに、HIVウイルス負荷量を持続可能に
低下させることができれば、健康な人にウイルスを性感染させるリスクを最小限に抑えられる可能性がある19
【0005】
ワクチンにより誘発される防御免疫反応は、免疫原の性質によって大きく異なりうる。弱毒化生ワクチンは体液性免疫反応と細胞性免疫反応の両方を誘発するが、不活化ワクチンおよび精製した合成タンパク質は体液性(抗体)反応を優先的に誘発する。免疫系の細胞性部分を誘発することを目的とした多施設臨床試験において、HIV遺伝子を含有する細菌DNAから作製した実験的ワクチンで志願者205例を免疫したところ、顕著なHIV特異的細胞性免疫反応を示した志願者は20%に過ぎず(該DNAプライムはマウスの実験では良好に作用しているのだが)、研究者らを失望させた20。これに関連して、本願発明者(および他の研究者)は、エンベロープタンパク質gp120の立体構造が保存されている(たとえば、該ウイルスがアルドリチオール−2[AT−2]で処理された場合など)不活化全粒子HIV−1が、in vitroで強力なHLA−I制限性CTL反応を誘発するため、樹状細胞(DC、最も強力なAPC)により処理されて提示されうることを最近発見した21,22。いくつかの研究からも、in vitroで不活化全粒子HIV−1を負荷した自己由来DCの養子移入がhu−PBL−SCIDマウスに防御抗ウイルス免疫を誘発したことが立証されている。23,24。本願発明者は以前に、不活化全粒子サル免疫不全ウイルス(SIV)株mac251(SIVmac251)を負荷したDCで作製した治療ワクチンが、SIVmac251で2カ月間感染させて免疫感作したChineseアカゲザルにおいて、他の抗ウイルス治療をまったく併用せずに、ウイルスを劇的に抑制したことを示した25。以上の所見を統合すれば、AT不活化全粒子ウイルスは、慢性HIV−1感染を有する人に防御HIV−1特異的CTL反応を誘発するための有効なワクチン免疫原として使用できる可能性があることが示唆される。しかし、世界的規模のHIV−1の可変性のため、GMPグレードの不活化全粒子ウイルス製剤をHIV−1に対する世界共通の治療ワクチンとして使用するという考えに反対する議論がある。(発明の開示)
本発明は、特定のサブタイプの不活化全粒子HIVと、任意でアジュバントとを含むワクチンを提供する。該ワクチンは、該ワクチンを生産するために用いたサブタイプと同一のHIVサブタイプに対する防御細胞性免疫反応を誘発することにより、HIVに慢性的に感染した個体を治療するために使用することができる。
【0006】
本発明はまた、特定のサブタイプの不活化全粒子HIVを含むワクチンと医薬として許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。
本発明はさらに、HIV慢性感染個体の治療用の医薬品を生産するための特定のサブタイプの不活化全粒子HIVの使用方法も提供する。該医薬品は、該ワクチンを生産するために用いたサブタイプと同一のHIVサブタイプに対する防御細胞性免疫反応を誘発することにより、HIV慢性感染個体を治療するために使用することができる。
【0007】
本発明はまたさらに、該個体の特定のサブタイプの不活化全粒子HIVと任意でアジュバントとを含有するワクチンを投与することを含み、その結果該ワクチンを生産するために用いたサブタイプと同一のHIVサブタイプに対する防御細胞性免疫反応が該個体に誘発される、HIV慢性感染個体の治療方法を提供する。1つの実施形態では、不活化HIVをex vivoで抗原提示免疫細胞(APC)に負荷し、続いて該細胞を該個体に投与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
HIVには2つの主要グループ(HIV−1およびHIV−2)と多数のサブグループが存在するが、これはHIVゲノムが絶えず変異しているためである。グループとサブグループとの間の主な違いはウイルスのエンベロープに存在する。HIV−1は主要サブグループ(M)と10番目のアウトライヤーサブグループ(O)に分類され、サブグループ
MはAからJまで設定された9つのサブタイプ(クレード)に分けられる28,29。HIVゲノムに見られる遺伝的変異は、突然変異、組換え、挿入および欠失の結果である29
【0009】
HIVに対する、好ましくはサブタイプA、B、CまたはEのようなHIV−1サブタイプに対する本発明によるワクチンは、サブタイプを一致させたウイルス株では高いCTL殺活性を示し、一方、交差サブタイプ殺活性は低いことが観察された。個々の症例に交差サブタイプ殺活性が観察されたが、サブタイプを一致させなかったウイルス株では一致させたウイルス株に比べ、CTL殺効率が大きくばらついていた(下記の実施例1および図1を参照)。したがって、本発明は、特定のサブタイプの不活化全粒子HIV調製物で作製した、HIVに対するサブタイプ特異的治療ワクチンを提供する。このような本発明のワクチンはHIV慢性感染個体を治療するために使用することができ、ワクチンは、ワクチンを生産するために用いたサブタイプと同一のHIVサブタイプに対する防御細胞性免疫反応を誘発する。
【0010】
本明細書に使用している用語「ワクチン」は、特定の疾患に対する免疫を形成させる、または免疫を人為的に増強させるために投与される組成物を指す。
好ましくは、該ワクチンは、治療される個体の自己由来ではないHIVサブタイプで生産される。実際に本願発明者は、治療される個体の自己由来ではないHIVサブタイプで作製したワクチンが、意外にも該個体のウイルス負荷量を有意に減少させうることを示した。
【0011】
本発明によれば、いかなるサブタイプのHIVによる慢性感染も治療することができ、たとえば、HIVウイルスによる慢性感染はグループMのA、B、CまたはE(およびその他の)サブタイプの1つや、HIV−2グループおよびHIV Oサブグループから選択される。
【0012】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、たとえば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の異なる不活化HIVサブタイプなど、いくつかの不活化HIVサブタイプを含むことができる。
【0013】
本明細書に使用する場合、HIV慢性感染を有する個体を「治療する」とは、HIV感染の症状を予防、軽減または抑制すること、ワクチンの投与後にウイルス負荷量(特に血漿ウイルス負荷量)が減少すること、および/または個体に抗HIV CTL反応が誘発されることを意味する。個体のHIV慢性感染を「治療する」ことは、個体からHIVが完全に根絶されることを求めてはいない。
【0014】
本明細書に使用する場合、「HIV慢性感染個体」とは、HIVに感染したと診断されうる個体を意味する。
本明細書に使用する場合、「不活化全粒子HIV」とは、不活化され、もはや感染性のない完全なHIV粒子を意味する。
【0015】
本発明を実施するに際し、紫外線照射、加熱、またはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピオラクトンもしくはAT−2処理のような化学的処理など、当業者に周知の適切な手法により、特定のサブタイプのHIVを不活化することができる。
【0016】
好ましくは、HIVを化学的処理に曝すことにより、より好ましくはAT−2処理に曝すことにより、特定のサブタイプのHIVが不活化される。意外にも、このようなAT−2不活化はHIVタンパク質の立体構造を維持することが可能であり、非自己由来による実に強力なCTL反応を誘発することができる。
【0017】
サブタイプ特異的不活化全粒子ウイルス免疫原は、成熟もしくは未成熟の樹状細胞(DC)またはランゲルハンス細胞(LC)などの抗原提示免疫細胞(APC)のex vivo負荷(「パルシング」とも呼ばれる)のためや、APCをベースとした治療ワクチンを製造するため、あるいは無細胞ワクチンを製造するためLCのin vivo負荷を可能にする直接皮内in vivo注射のために使用することができる。
【0018】
1つの実施形態では、本発明の無細胞ワクチンは、たとえば、サブタイプを特定した不活化HIVを当該技術分野の範囲内の方法で患者の皮膚に直接(好ましくは無針で)送達することにより(たとえば、皮内注射器により)、投与することができる。皮内ワクチン投与のための無針の器具は当業者には周知であり、一例として米国特許第6,933,319号および国際特許出願第WO 2004/101025号に記載されている器具が挙げられ、当該器具は参照により本明細書に組み込まれる。表皮には多数のLCが存在するため、皮膚を通じたワクチン接種(皮内投与)は特に好都合である。LCはDCの未成熟形であることが知られており、皮膚の最表面層である角質層に近接した位置に存在する。LCは、皮膚表面積の25%に相当する面積に存在し26、慢性HIV/SIV感染の早期または無症候期には機能的に無傷のままである27。本願発明者は、本発明の無細胞ワクチンを上記のように皮内投与すればSIVウイルス負荷量を顕著に減少させることが可能であることを示した。
【0019】
別の実施形態では、APCをベースとした本発明のワクチンは、たとえば、サブタイプを特定した不活化HIVを負荷したAPCを、当該技術分野の範囲内の方法で患者に直接送達することにより(たとえば、皮下注射器により)、投与することができる。
【0020】
1つの実施形態では、該方法は、本発明の組成物を投与する前に、治療される患者が感染しているHIVのサブタイプを判定する前工程を包含する。このような判定は、上記患者の血液試料に存在するHIVを分析することにより特定の領域のHIV配列の遺伝子型特定を行うなど、当該技術分野で周知の方法により行なうことができる。好ましくは、当該HIVサブタイプ判定工程の後に、治療される患者が感染したサブタイプと同一のHIVサブタイプからなる本発明のAPCベースのワクチンまたは無細胞ワクチンを投与する。
【0021】
別の実施形態では、特定のサブタイプの不活化HIVを負荷したAPCで個体を治療する。まずAPCにex vivoで不活化HIVを負荷し、続いて負荷したAPCを任意の適切な手法により患者に投与する。好ましくは、負荷したAPCを個体の皮下、皮内または筋肉内に注射し、好適には皮下注射により投与する。より好ましくは、治療される個体から単球(CD14+)を単離するために先に行なったPBMCサンプリングによりAPCを入手し、続いて、未成熟樹状細胞と次に成熟樹状細胞において既知のサイトカインでAPCを形質転換させる。このような方法は当業者には周知であり、一例として実施例1に記述する方法がある。
【0022】
DCは成熟すると所属リンパ節へ効果的に遊走して免疫刺激機能を果たすが、不活化全粒子HIVは、細菌産物とは異なり単独ではDCの成熟を誘発するほどの効力がない25。このため、アジュバントとして知られている強力な分子種を不活化全粒子HIVと併用して、LCなどの免疫細胞の最適な成熟を誘発することが好ましく、これによりHIV−1に対する効果的な細胞性免疫反応が生み出される。
【0023】
用語「アジュバント」は、免疫反応を改善するためにワクチンに加えられる物質を指す。
適切なアジュバントには、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、サポニン、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性物
質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性もしくは炭化水素系乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、通例の細菌産物(コレラ毒素、易熱性エンテロトキシン、弱毒化もしくは不活化BCG(カルメットゲラン桿菌)およびコリネバクテリウムパルブムまたはBCG由来タンパク質など)、生化学的分子(TNF−α、IL−1−β、IL−6、PGE2もしくはCD40Lなど)、あるいはCpGモチーフを有するオリゴデオキシヌクレオチドなどが挙げられる。ワクチン組成物に使用するのに適した材料の例は、たとえば、Osol, A., ed., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1980), pp. 1324-1341に開示されており、当該文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
樹状細胞は、単球の分化の調節、特にCD4−Th1プロフィール対CD4−Th2プロフィールの分化の調節に中心的な役割を果たしている。好適には、本発明の無細胞ワクチン組成物は、慢性感染において誘発されることが多いCD4−Th2プロフィールでの細胞分化を阻害するために樹状細胞を刺激でき、かつ同時に、CD4−Th1プロフィールでの細胞分化を活性化するために樹状細胞を刺激できるアジュバントを含む。そのようなアジュバントは、当業者には周知であり、細菌産物(Ag85BのようなBCG由来タンパク質など)、または抗COX活性、特に抗COX2活性を有する化合物のような化合物(VIOX(登録商標)、CELEBREX(登録商標)またはRIBAVERIN(登録商標)など)が含まれる。
【0025】
本発明のワクチンは、HIVに慢性的に感染した個体を治療するため、医薬組成物(「医薬品」とも呼ばれる)に配合することができる。本発明の医薬組成物は、無菌で、発熱物質を含まないことが好ましく、かつ医薬として許容される担体をも含有する。医薬として許容される適切な担体には、水、食塩溶液(たとえば生理食塩水)、粘度調整剤および他の通例の医薬賦形剤、および/またはヒトに使用する医薬組成物の配合に使用される添加物が挙げられる。適切な医薬賦形剤には、安定剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤、緩衝液、およびpH調整剤が挙げられる。適切な添加物には、生体適合性緩衝液(たとえばトロメタミン塩酸塩など)、キレート化合物(たとえばDTPA、DTPA−ビスアミドなど)またはカルシウムキレート錯体(たとえばカルシウムDTPA、CaNaDTPA−ビスアミドなど)が挙げられ、あるいは任意でカルシウム塩またはナトリウム塩(たとえば塩化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウムなど)を加えてもよい。本発明の医薬組成物の配合は当該技術分野の範囲内にあり、たとえばRemington's Pharmaceutical Science, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa. (1985)に記載されており、当該開示内容はすべて、参照により本明細書に組み込まれ
る。
【0026】
積極療法による細胞性免疫反応により緩和することができる、HIV慢性感染個体を治療するための典型的投薬計画は、上記のようなワクチン組成物の有効量を、1週間から約24カ月を含む期間にわたって、単回治療として投与するか、または増量もしくは追加量として反復投与することを包含する。
【0027】
本発明によれば、ワクチン組成物の「有効量」とは望ましい生物学的効果を達成するに足る量であり、この場合は、HIVに対する少なくとも1つの細胞性または体液性免疫反応、好適には1つの細胞性免疫反応が生物学的効果となる。当然のことながら、有効量は、レシピエントの年齢、性別、健康状態および体重、もしあれば併用治療の種類、治療の頻度、望む効果の性質によって異なる。下に提供する有効量の範囲は、本発明を限定することを意図したものではなく、好ましい投与量範囲を表している。しかし、当業者には当然のことであり、かつ決定可能であるように、最も好ましい投与量は、過度の実験を伴うことなく、個々の対象者に合わせて調整される。たとえば、下記のBerkow(1987年)、下記のGoodman(1990年)、下記のAvery(1987年)、Ebad
i, Pharmacology, Little, Brown and Co., Boston, Mass. (1985)および下記のKatsung(1992年)を参照されたいが、これらの文献とそこに引用された文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
一般的には、成人投与量は投与1回あたり不活化全粒子HIV約106〜1014個であ
り、108〜1012個が好ましい。どのような投与量が用いられるとしても、本明細書に
も記述するように、周知の方法で測定した安全かつ有効な量でなければならない。
【0029】
以下に記述する非限定的な実施例により、本発明を説明する。
実施例
(実施例1)
方法
ウイルスおよび細胞試料
HIV−1サブタイプA(n=10)、B(n=10)、C(n=10)またはE(n=10)に感染した患者のCD8枯渇末梢血単核細胞(PBMC)の培養により、HIV−1株を得た。続いて、参照により開示内容がすべて本明細書に組み込まれる文献21に記載されているように、HIV−1サブタイプ(A、B、CまたはE)株をAT−2(Sigma,St Louis,Missouri)で不活化した。標準化した7日間培養25により、GMP条件下で各患者から単球由来のDCを調製した。簡単に述べると、新たに採取したPBMCに、0.5%臨床用ヒト血清アルブミン(LFB,Les UHs,フランス)の存在下で106細胞/cm2の密度でプラスチック付着法を行なった。37℃、5%CO2で2時間インキュベートした後、滅菌PBS緩衝液ですすいで非付着細胞を除
去した。次に、GM−CSF 2000U/ml(Schering−Plough,Brinny,アイルランド)および臨床グレードのIL−4 50ng/ml(CellGenix,Freiburg,ドイツ)を補った臨床グレードのCellGro DC培地(CellGenix)を含有する完全培地中で、付着細胞を5日間培養した。5日目に、DCをAT−2不活化自己由来ウイルス(109ウイルス粒子/ml)に37℃で
2時間曝した。2回洗浄して非結合不活化ウイルスを除去した後、臨床グレードのサイトカインIL−1β(10ng/ml)(CellGenix)、IL−6(100ng/ml)(CellGenix)およびTNF−α(50ng/ml)(CellGenix)を補った完全培地中でさらに2日間細胞を培養した。7日目に、参照により開示内容がすべて本明細書に組み込まれるフローサイトメトリー25により、DCの品質管理(QC)を行なった。続いて、QCに合格した生存能力のあるDCを用い、上記文献21に記載されているように混合培養プロトコルにより、自己由来ウイルスに特異的なCTLを拡大させた。
細胞傷害性測定
DCをAT−HIV−1(109/ml)で90分間パルスし、続いてCFSE(Mo
lecular Probes,PoortGebouw,オランダ)(10nM)で15分間標識し、2回洗浄した。非パルスDCをCFSEで標識して特異性の対照とした。HIV−1サブタイプ株に特異的なCTLを、CFSEで標識したサブタイプを一致させるかまたは一致させていないAT−2−HIV−1パルス樹状細胞(DC)の存在下で、Micro Tubes−Bulk(Bio−Rad,Hercules,CA)中においてE:T比10:1で37℃で4時間平板培養した。インキュベーションの終わりに、10μlのヨウ化プロピジウム(PI,Sigma)(20μg/ml)を各チューブに加えた。FACSCalibur(BD Immunocytometry System,San Jose,CA)で標的細胞溶解を分析した。非パルスDCの非特異的CFSE/PI染色を差し引いた後、CFSE/PI染色DCの割合を算出することにより、ウイルス特異的細胞溶解活性を判定した。
統計解析
HIV−1サブタイプを一致させた場合と一致させていない場合の細胞殺活性の障害デ
ータをMann−Whitney検定により比較した。
結果
HIV−1サブタイプA、B、CまたはEに特定した本発明によるワクチンは、サブタイプを一致させたウイルス株(n=10)では高いin vitro CTL殺活性(28〜37%)を示したが、交差サブタイプ殺活性は低い(5〜17%)ことが観察された(P<0.001)。個々の症例に交差サブタイプ殺活性が観察されたが、サブタイプを一致させなかったウイルス株(SD/平均値>50%)では一致させたウイルス株(SD/平均値<20%)に比べ、CTL殺効率が大きくばらついていた(P<0.001)(図1)。これらの所見は、サブタイプを特定したHIV−1用の医薬治療ワクチンが、GMPグレードの不活化全粒子ウイルス製剤により作製できることを示している。
(実施例2)
HIV慢性感染個体を特定し、個体が感染しているHIVのサブタイプを判定する。本発明のワクチンで治療を行う前に、各個体の血漿ウイルス負荷量を測定する。個体が感染しているサブタイプと同一のサブタイプのHIVを入手し、上記の実施例1に記述したように、培養してAT−2で不活化する。
【0030】
不活化HIVサブタイプを1つの慢性感染個体群に無針皮内送達により投与し、血漿ウイルス負荷量を測定する。慢性感染個体の血漿ウイルス負荷量は、本ワクチンの投与により有意に減少すると期待される。
【0031】
別の慢性感染個体群に、上記の実施例1に記述したようなAT−2で不活化したHIVを負荷した樹状細胞を投与する。HIVを負荷した該樹状細胞を個体群に投与する。当該慢性感染個体の血漿ウイルス負荷量は、負荷した樹状細胞の投与により有意に減少すると期待される。
(実施例3)
SIVmac251に慢性的に(>1年)感染させ、血漿ウイルス負荷量が1000コピー/mlを超えるマカクザル40匹を、自動注入ピストル(AKRADERMO JET,Pau,フランス)を用いた5カ月間にわたるSIVac LA2.1(1010のAT−2不活化SIVmac251を含有する0.9%NaCl溶液2.5ml)の月1回皮内注射(100μl/cm2/注射)(背部25cm2)(n=20)、または5カ月間にわたるプラセボ(0.9%NaCl溶液のみ2.5ml)の月1回皮内注射(n=20)のいずれかに無作為化した。ベースライン時とその後6カ月まで毎月、血漿試料を採取し、使用時まで−80℃で保存した。最後に、定量的RT−PCR測定法(MUPROVAMA)により、血漿SIV RNA負荷量を測定した。
結果
本発明によるサブタイプを特定したSIV無細胞ワクチンは、3カ月時点(P=0.037)および6カ月時点(P=0.013)において血中ウイルス量をほぼ30%減少させている。これらの所見は、サブタイプを特定したSIV用の医薬治療ワクチンがGMPグレードの不活化全粒子ウイルス製剤により作製できることを示している。
(実施例4)
SIVmac251に慢性的に(>1年)感染させ、血漿ウイルス負荷量が1000コピー/mlを超えるマカクザル140匹を、CELEBREX(登録商標)200mgの1日1回4週間経口投与を併用した場合と併用しない場合において、自動注入ピストル(AKRADERMO JET,Pau,フランス)を用い、異なるアジュバント(弱毒化または加熱不活化BCGの105UFC、BCG由来組換え型Ag85B)を使用したS
IVac LA2.1(1010のAT−2不活化SIVmac251を含有する0.9%NaCl溶液2.5ml)を投与する月1回5カ月間皮内注射(背部25cm2)(10
0μl/cm2/注射)(各群n=20)、またはプラセボ(0.9%NaCl溶液のみ
2.5ml)の月1回5カ月間皮内注射(n=20)のいずれかに無作為化した。ベースライン時とその後6カ月まで毎月、血漿試料を採取し、使用時まで−80℃で保存した。
最後に、定量的RT−PCR測定法(MUPROVAMA)により、血漿SIV RNA負荷量を測定した。
【0032】
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上に列記した参考文献を含め、本出願で引用した文書はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。上に記述した実施形態に対して種々の変更を加え得ることは、本明細書で提供した開示内容から当業者には明らかである。したがって本発明は、その趣旨または本質的特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のワクチンの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)殺活性を示す図。
【図2】SIVmac251慢性感染マカクザルの血漿ウイルス負荷量に対する、AT−2不活化SIVmac251による皮内免疫感作の効果を示す図。データは、免疫感作前後の血漿1ミリリットルあたりのSIV RNAコピー数の幾何平均を示す。P値は、免疫感作の前および免疫感作から3または6カ月後における対のあるデータのWilcoxon検定による統計解析結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のサブタイプの不活化全粒子HIVを含む組成物。
【請求項2】
医薬として許容される担体をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記不活化全粒子HIVサブタイプが非自己由来である請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが、グループMのサブタイプ、HIV−2グループおよびHIV Oサブグループから選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
グループMのサブタイプがA、B、CまたはEである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記不活化全粒子HIVが化学的処理により不活化されている請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記不活化全粒子HIVがアルドリチオール−2(AT−2)処理により不活化されている請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
アジュバントをさらに含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記アジュバントが樹状細胞の成熟を刺激する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記アジュバントがCD4−Th2プロフィールでの細胞分化を阻害するために樹状細胞を刺激できる請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記アジュバントがCD4−Th1プロフィールでの細胞分化を活性化するために樹状細胞を刺激できる請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記不活化全粒子HIVが抗原提示免疫細胞(APC)により提示されている請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記APCがランゲルハンス細胞(LC)、成熟樹状細胞(DC)および未成熟樹状細胞(DC)のグループから選択される請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
特定のサブタイプの不活化全粒子HIVの含むHIV慢性的に感染した個体を治療するための医薬品であって、医薬品を生産するために使用したサブタイプと同一のHIVサブタイプに対し該個体に防御細胞性免疫反応を誘発する医薬品。
【請求項15】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVがHIV慢性感染のために治療される前記個体の自己由来ではない請求項14に記載の医薬品。
【請求項16】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが化学的処理により不活化されている請求項14に記載の医薬品。
【請求項17】
前記不活化全粒子HIVがアルドリチオール−2(AT−2)処理により不活化されている請求項16に記載の医薬品。
【請求項18】
アジュバントをさらに含む請求項14に記載の医薬品。
【請求項19】
前記アジュバントが樹状細胞の成熟を刺激する請求項18に記載の医薬品。
【請求項20】
前記アジュバントがCD4−Th2プロフィールでの細胞分化を阻害するために樹状細胞を刺激できる請求項14に記載の医薬品。
【請求項21】
前記アジュバントがCD4−Th1プロフィールでの細胞分化を活性化するために樹状細胞を刺激できる請求項20に記載の医薬品。
【請求項22】
前記樹状細胞がランゲルハンス細胞である請求項14に記載の医薬品。
【請求項23】
皮内投与によりHIV慢性感染個体を治療するための請求項14から22のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項24】
前記不活化全粒子HIVが抗原提示免疫細胞(APC)により提示されている請求項14から17のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項25】
前記APCがランゲルハンス細胞(LC)、成熟樹状細胞(DC)および未成熟樹状細胞(DC)のグループから選択される請求項24に記載の医薬品。
【請求項26】
皮下投与によりHIV慢性感染個体を治療するための請求項24または25のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項27】
特定のサブタイプの不活化全粒子HIVを含むワクチンをHIV慢性感染個体に投与することを含む、該個体を治療する方法であって、該ワクチンを生産するために使用したサブタイプと同一のHIVサブタイプに対し該個体に防御細胞性免疫反応を誘発する方法。
【請求項28】
前記個体にアジュバントを投与することをさらに含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アジュバントが樹状細胞の成熟を刺激する請求項27または28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記樹状細胞がランゲルハンス細胞である請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アジュバントがCD4−Th2プロフィールでの細胞分化を阻害するために樹状細胞を刺激できる請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記アジュバントがCD4−Th1プロフィールでの細胞分化を活性化するために樹状細胞を刺激できる請求項27に記載の方法。
【請求項33】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが、グループMのサブタイプ、HIV−2グループおよびHIV Oサブグループから選択される請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記グループMのサブタイプがA、B、CまたはEである請求項33に記載の方法。
【請求項35】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが化学的処理により不活化されている請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記不活化全粒子HIVがアルドリチオール−2(AT−2)処理により不活化されている請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記不活化全粒子HIVが皮内送達により投与される請求項27から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記皮内送達が無針による直接送達である請求項27から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが、HIV慢性感染のために治療される個体の自己由来ではない請求項27から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
治療される個体が感染しているHIVのサブタイプを判定する第一の工程を含む請求項27から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
投与される前記不活化HIVと治療される個体が感染しているHIVとが同一のサブタイプを有する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
HIV慢性感染個体を治療する方法であって、
1)ex vivoにおいて特定のサブタイプの不活化全粒子HIVを抗原提示細胞に負荷することと、
2)負荷された抗原提示細胞を該個体に投与し、これにより、該ワクチンを生産するために使用したサブタイプと同一のHIVサブタイプに対し防御細胞性免疫反応を誘発することと、を含む方法。
【請求項43】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である請求項42に記載の方法。
【請求項44】
特定のサブタイプの前記不活化全粒子HIVが、グループMのサブタイプ、HIV−2グループおよびHIV Oサブグループから選択される請求項42または43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記グループMのサブタイプがA、B、CまたはEである請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記不活化全粒子HIVを皮下送達により投与する請求項41から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
治療される個体が感染しているHIVのサブタイプを判定する第一の工程を含む請求項41から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
投与される前記不活化HIVと治療される個体が感染しているHIVとが同一のサブタイプを有する請求項41から47のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−515795(P2008−515795A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534112(P2007−534112)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003384
【国際公開番号】WO2006/038124
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507109457)バイオバクシム リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BIOVAXIM LIMITED
【Fターム(参考)】