説明

HPV抗原を保持する組換えアデニル酸シクラーゼによる子宮頚癌の治療

本発明は、癌の治療における使用に適した部分のキットに関し、ここにおいて、前記キットは以下を含み:(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位(pemissive sites)に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている);および、前記部分のキットは更に、少なくとも1つの以下の化合物を含む;(ii)患者における制御性免疫応答の調整に適した薬剤、および、任意に、(iii)患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、患者における免疫応答の適応性、先天性および/または制御性成分の標的化に基づく、癌の治療の設計に適した成分に関する。
【0002】
本発明は、特に、適応性並びに先天性および/または制御性の免疫応答の成分を誘発することによりヒト患者における免疫系を標的化するのに適した化合物の、部分のキット(a kit of parts)における、組み合わせ(association)に関する。
【0003】
本発明は、それゆえ、それを必要とする患者の治療のための、特に悪性腫瘍または癌に苦しむ患者の治療のための、または、腫瘍の悪性転換の開始または維持を妨げるための部分のキットに関する化合物の仕様に関する。
【0004】
特に、本発明は、ウィルスに誘導された癌、特に宿主におけるパピローマウイルス感染の後に誘導される癌の分野に関する。
【0005】
古典的ワクチンの2つの主要な成分(すなわち抗原送達システムおよびアジュバント)を改善する熱心な努力にもかかわらず、ヒト悪性病変のためのマウス腫瘍モデルにて開発される免疫療法的アプローチの良好な実現は、主要な挑戦として残っている。樹状細胞(DCs)に対する抗原を標的とするために、本発明者らはボルデテラ・ペルツシス(Bordetella pertussis)のアデニル酸シクラーゼ(CyaA)に基づく新規の送達系を開発した。CyaAは、αβインテグリン(CD11b/CD18)に特異的に結合し(1)、その触媒ドメインをCD11b細胞のサイトゾルに送達する(2)。この為、CyaAの触媒部位に挿入されたCD4およびCD8T細胞エピトープは、プロセスされ、それぞれMHCクラスIIおよびI分子によってDCの表面に提示される(3)。本発明者らは、オボアルブミンタンパク質を保持する組換えCyaAによる、この抗原を発現する腫瘍に対する処理によって、マウスにおいて強力な治療的抗腫瘍性免疫が誘導されたことを以前に報告した(4)。近年、ヒトパピローマウイルス(HPV)16のE7タンパク質の修飾された形態を保持する組換えCyaA(CyaA−E7)は、E6/E7を発現するTC−1細胞(HPV関連異常増殖に対する免疫療法の有効性を試験するための実証モデル)の皮下移植によってもたらされる触診可能な腫瘍の根絶を誘導することが示された(5)(WO2005/089792)。
【0006】
子宮頚癌は、世界の女性において、乳癌に続いて2番目に頻度の高い癌であり、全体では5番目に頻度が高く、罹患率は1,400,000例と推定される(6)。現在、子宮頚癌は、一部の粘膜志向性のタイプのHPVによる生殖器官の慢性感染症に起因することが示されている(7)。HPV発癌性タンパク質E6およびE7の発現は、悪性転換の開始(8)および維持(9)に必要とされる。興味深いことに、E7に対する細胞性免疫は、HPV誘導性の病変の臨床的および細胞学的な、回復に関連していることがわかった(10)。これらの発見は、HPV異常増殖の免疫療法戦略の開発のための有益な候補とする。
【0007】
本発明者らは、現在、現在利用できる抗癌ワクチンについてどのような改善が実現できるかを検討している。彼らは、先天性免疫の刺激を通して、特に、感染に対する天然のセンサーであるToll様受容体(TLRs)を通して、そのような改善を達成できるという仮説をたてた。TLRファミリーのメンバーの全てが、特定の構造的および機能的特性を共有するにもかかわらず、さまざまなTLRsによって送達されるシグナルは、質的および量的に異なる免疫応答を誘発する可能性がある(11)。その他に想定される別のアプローチは、適応性免疫応答を誘発するワクチン候補と化学療法的化合物との組み合わせである。化学療法は、腫瘍の負担を減少させることによって、腫瘍細胞のCTL感受性を増加させることによって(12)、または、免疫制御性細胞を殺す/不活性化させることによって(13)、抗腫瘍性免疫の増強を助けることができる。
【0008】
本発明において、本発明者らは異なる治療法を設計し、腫瘍関連抗原が組み込まれたCyaAにより誘導される抗腫瘍性免疫を増強するそれらの能力について、特に、このワクチンが、巨大で確立した腫瘍の成長を制御できないような腫瘍の環境において比較した。
【0009】
本発明は、抗癌療法における使用に適した化合物の部分のキットを提供し、ここにおいて前記部分のキットは、
(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位(pemissive sites)に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的化する前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている)を含み;更に、
(ii)患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤を含む。
【0010】
本発明の特定の実施態様において、調節される制御性細胞応答は、腫瘍(腫瘍微環境を含む)によって誘導される、リンパ系サプレッサー細胞応答、特に制御性T細胞応答の調節を包含する。
【0011】
特定の実施態様において、調節される制御性細胞応答は、腫瘍(腫瘍微環境を含む)によって誘導される、骨髄性サプレッサー細胞(MSC)反応の調節を包含する。
【0012】
本発明の特定の実施態様において、部分のキットは、以下の化合物をそれぞれ含む:
(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている);および、前記部分のキットは更に、少なくとも1つの以下の化合物を含む;
(ii)患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤、および
(iii)患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分。
【0013】
本発明の別の特定の実施態様において、部分のキットの活性成分は、化合物(i)、(ii)および(iii)のそれぞれから構成される。
【0014】
「部分のキット」という表現は、それを必要とする患者に対して意図される治療法における、上に定義しおよび本願に開示される少なくとも2つの異なる化合物の組み合わせであって、これらの化合物の1つを、それを必要とする患者に単独で投与した場合では等しく得ることができない治療的効果を提供するための組み合わせに関する。前記組み合わせは、本発明にて定義される少なくとも2つの化合物(それらの化合物は別々に存在する)の、別々のまたは同時の、使用を必要とする。本願に定義される化合物の本発明による組み合わせは、それらの併用療法における使用により得られる新規の効果を提供する。
【0015】
本発明によると、治療は、特に、ヒトさらに動物を含む、哺乳類の宿主(すなわち患者)のために意図される。
【0016】
本発明の特定の実施態様において、部分のキットは、2以上の本願で定義される組換えCyaAタンパク質を含む。
【0017】
本発明はまた、以下を含む化合物に関する:(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている);および、(ii)患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤。
【0018】
組成物はまた、(iii)患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分を含んでもよい。
【0019】
組成物において、成分は、好ましくは混合物中に存在する。
【0020】
本発明はまた、上記の通り定義した(i)、(ii)および(iii)の化合物を含む部分のキットであって、これらの化合物のうちの2つが組成物において組み合わせられ、第3の化合物は独立して存在するキットに関する。
【0021】
本発明による特定の部分のキットは、1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている)、および、患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分、および、独立した化合物としての、患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤を含む組成物を含む。
【0022】
部分のキットまたは組成物の化合物の先天性免疫応答を活性化する能力は、最初に、スクリーニング、特にインビトロにおける機能的スクリーニングを用いて評価できる。
【0023】
従って、免疫増強物質またはアジュバントはインビトロで免疫細胞を刺激し、それにより、免疫細胞によって、またはヒト末梢血単核細胞を含む一次性の細胞(primary cells)によって、誘導されるサイトカインおよび/または生産されるケモカインの測定が可能となることが認められているため、先天性免疫応答の活性化は、インビトロにおいて、樹状細胞といった細胞で試験できる。測定は、ELISAアッセイといったアッセイを行うことで実施できる。先天性免疫応答の推定されるまたは既知の増強物質の活性を測定するためのその他の試験は、本発明によるアジュバント成分として作用する能力を測定するために、実施例に開示される。
【0024】
本願に記述される組換えCyaAタンパク質の機能的活性に依存する適応性免疫応答の活性化は実施例に示されるように試験することができ、特に、前記組換えCyaAタンパク質による処理の後に、四量体またはインビボ溶解によるT細胞の細胞毒性活性を測定することによって、または、腫瘍細胞が播種された動物(特に哺乳類)における腫瘍成長を測定することによって試験することができる。後述する実施例に開示されるように、腫瘍成長はモデルと比較して測定することができる。
【0025】
制御性細胞応答、特にT細胞の制御性細胞応答またはMSC反応の調節に適した薬剤は、制御性免疫細胞の減少を達成することに、または制御性免疫細胞を機能的に失活させることに、または担癌宿主における有害な免疫抑制効果を誘導する制御性免疫細胞応答を後退させることに適している。それは、さらに、または、代わりに、前記制御性免疫細胞の生成物の生産または活性を抑制してもよい。
【0026】
制御性免疫応答の、特に腫瘍誘導された制御性T細胞応答の変化は、後述の実施例にて行われる試験を含む、インビボまたはインビトロにおける様々な試験を通して試験できる。適切な試験はまた、インビトロで実行できる。制御性T細胞は、CD4細胞(Treg細胞)の、またはヒトのCD8細胞(CD8制御性T細胞)およびマウスのCD4細胞のサブグループを含む。アッセイの説明のために、特にZouらによる文献(Nature Reviews/Immunology, vol 6, April 2006, p265−305)が参照される。特に、APC(抗原提示細胞)における制御性T細胞の活性は、特に、APCによるB7−H4発現の誘導(制御性T細胞によれば通常可能である)の検出によって、または、代わりに、T細胞またはAPCの死滅の検出によって、インビトロで試験できる。制御性T細胞の活性およびこの活性における選択された化合物の効果のためのインビボ試験は、インターロイキン10(IL−10)およびトランスフォーミング成長因子(TGFベータ)の放出を測定することによって実行することが可能であり(これは、制御性T細胞がこれらの因子をインビボで放出するため可能である)、または、制御性T細胞活性が抑制されない場合にT細胞活性またはAPC機能の阻害をもたらすCD80、CD86およびIL−12といったMHC分子の発現の阻害によって実行することが可能である。
【0027】
本発明者らは、制御性細胞応答、特にT細胞応答またはMSC応答の減少に適した薬剤は、表在性のまたは非確立された腫瘍にそれが作用する場合よりも効果的に、浸潤性もしくは血管新生化腫瘍または転移性腫瘍に相当する段階にある腫瘍を有する対象の免疫コンパートメントに関して作用する可能性があることを発見した。
【0028】
腫瘍を示している宿主にて認められるTreg細胞の増大は、腫瘍自身にて検出しよく、および/または、それらの一部について、脾臓またはリンパ節といったその他のコンパートメントにおいて検出してよい。
【0029】
Treg細胞の例は、CD4+制御性T細胞および特にCD4CD25Treg細胞、またはCD4CD25Treg細胞である。Treg細胞のより特別な例は、CD4CD25FoxP3細胞またはCD4CD25FOxP3Treg細胞である。ヒトの制御性T細胞は、CD8Treg細胞のサブセット、例えば、CD8CD25Treg細胞またはCD8CD25T細胞またはCD8IL10T細胞であってよいことがわかっている。CD4Treg細胞は、自然発生するTreg細胞または適応的に誘導性Treg細胞であってよい。
【0030】
Treg細胞の別の例は、NKT制御性細胞を含む。
【0031】
別の実施態様によると、制御性細胞応答の調節に適した薬剤は、抑制活性を有する細胞のその他のカテゴリーの活性も調節し、そのため、薬剤は、非抑制性の表現型への成熟といった不活性化または変化を可能にする。細胞のそのようなカテゴリーは、造血細胞に由来し、腫瘍に直面する対象において蓄積する骨髄性サプレッサー細胞を包含する。例として、骨髄由来CD11bGR1細胞集団は、ここに記載されるような腫瘍に冒される対象において増大することがわかっている。
【0032】
本発明の部分のキットのまたは組成物の化合物は、それらの取込みを促進するために処方でき、特に、医薬的に許容可能な媒体、担体とともに、または、ワクチンに利用できる適切な送達系、例えば、リポソーム、水中油乳剤、表面活性薬、微小粒子とともに処方できる。
【0033】
上に定義されたCyaAタンパク質は、特に、腫瘍に存在する1または複数の抗原のCD4および/またはCD8T細胞エピトープを保持し、これは、前記タンパク質の許容部位に挿入されていてよく、特にCyaAの触媒部位に挿入されていてよい。その結果、患者に投与される場合、CD4またはCD8エピトープは、プロセスされ、樹状細胞(DCs)の表面においてMHCクラスIIおよびI分子によってそれぞれ提示され、それによって、患者において免疫の、適応的な、応答の刺激が可能となる。
【0034】
特定の実施態様において、全長CyaAまたはその断片を含むCyaAタンパク質(前記「断片」は2を超えるアミノ酸残基を含む)はまた、それに挿入にされたエピトープの、または前記エピトープを含むポリペプチドの、標的細胞の細胞基質への移行を可能とするCyaAの特質を維持している。エピトープまたは前記エピトープを含むポリペプチドの、標的細胞の細胞基質への移行は、CyaAの断片が、その触媒ドメインの移行を可能にするタンパク質のドメインを保持していれば可能である。
【0035】
ポリペプチドは、CyaAまたは断片において、コドン224および225の間の位置に相当する位置に挿入される。
【0036】
本発明の組換えタンパク質は、組換え技術によって調製することができる。それは、合成によって、特に化学合成によって得ることができる。それゆえ、「組換えタンパク質」という用語は、タンパク質のキメラの形態を意味する。
【0037】
CD11b/CD18細胞を標的にする組換えタンパク質の能力は、特に、EP03291486.3およびEl−Azami−El−Idrissi M.らによる文献(J.Biol.Chem.,278(40)38514−21)またはWO02/22169に開示される方法に従ってアッセイすることができる。更に、エピトープまたは前記エピトープを含むポリペプチドを標的細胞の細胞基質に移行させる組換えタンパク質の能力は、WO02/22169に開示される方法を適用してアッセイすることができる。
【0038】
特定の実施態様において、組換えタンパク質に使用されるCyaAの断片は、CyaAの2つの異なる部分であって、本来CyaAにおいて隣接しないものから構成できる。例えば、CyaAの触媒ドメイン、すなわち、CyaAのN末端の部分の400のアミノ酸残基およびアミノ酸残基1208〜1243を含む断片(CD11b/CD18抗原提示細胞の標的化に要求される)が例として挙げられている。
【0039】
上の定義において、「ポリペプチド」という表現は、アミノ酸配列を有する何れかの分子であって、翻訳後修飾を受けたアミノ配列、特に少なくとも6つのアミノ酸残基を有する特にアミノ酸配列、および、特に5から500残基または約5から約100または約5から約200または約10から約50残基または約30または約50から200残基または約100から約250(または特に210)または約100から約200残基を有するアミノ酸配列(前記アミノ酸配列は少なくとも1のエピトープを含み、すなわち、標的細胞、好都合には宿主、特に哺乳類、特にヒト宿主へのその送達の後に、免疫応答が得られる可能性のあるアミノ酸配列を含む)を含むものを意味する。この定義によるポリペプチドは、従ってエピトープに、さらには固有のエピトープに制限されることができ、または、複数の異なるまたは同一のエピトープを含むことができ、または、病原体すなわちヒトパピローマウイルスからの全長抗原または腫瘍関連抗原またはエピトープ自身を包含することもできる。本発明に含まれるエピトープは、体液性免疫応答および/または細胞介在性免疫応答、特にT細胞免疫応答に関与するアミノ酸配列を有する分子を包含する。従って、本発明の組換え分子のポリペプチドにおけるエピトープは、宿主においてAPC(抗原提示細胞)にプロセスされるもの、特に、MHC(主要組織適合複合体)クラスI分子との結合にて認識されるもの、例えば、標的細胞がCD8Tリンパ球であるエピトープ、または、MHCクラスII分子との結合にて認識されるエピトープ、例えば、標的細胞がCD4Tリンパ球細胞であるものを含む。
【0040】
本発明によると、上述のとおり、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)は、全長タンパク質として、または、その断片として使用される。
【0041】
好都合に、CyaAタンパク質またはその断片は、タンパク質またはその断片であり、ここにおいて、タンパク質は、細胞、特に組換え細胞における、cyaAおよびcyaC遺伝子の同時発現の結果である。標的細胞のための浸潤特性を有するためには、CyaAは、cyaAおよびcyaCの両遺伝子の発現によって可能となる翻訳後修飾を受けなければならないことが示唆された(WO 93/21324)。
【0042】
本発明の特定の実施態様において、CyaAタンパク質の断片は、少なくとも約30のアミノ酸残基を含む断片であり、最大約1300、特に約500のアミノ酸残基を有することができる;前記断片は、特定の実施態様において、CD11b/CD18標的細胞との相互作用のために、CyaAの約1166から約1281のアミノ酸残基またはCyaAタンパク質の1208から1243のアミノ酸残基を含む。特別な断片は、したがって、未変性タンパク質のC末端の部分の全部または一部であって、当該部分は、標的細胞膜および/またはCD11b/CD18受容体へのタンパク質の結合の原因となり、および、その後の、細胞の細胞基質への、ポリペプチドに含まれるエピトープの送達の原因となる(Ladant D. et al., Trends Microbiol., 7:172−176, 1999)。本発明によるCyaAタンパク質の特別な断片は、CyaAタンパク質の372または373から1706のアミノ酸残基を含む。特別な別の断片は、アミノ酸残基225〜234が削除され、そのため1〜224および235〜1706の残基を含むCyaA断片を提供するCyaAタンパク質に相当するものである。
【0043】
本発明の特定の実施態様において、アデニル酸シクラーゼタンパク質は、細菌性タンパク質である。好ましい実施態様において、CyaAタンパク質はボルデテラ種に由来する。「ボルデテラ種に由来する」という表現は、タンパク質が、前記ボルデテラ種によって生産されるタンパク質を表すことを意味する。それは、何れかの利用可能な技術によって回収され、生産され、または発現される。
【0044】
本発明による、関心あるボルデテラ種の中の1つは、ボルデテラ・ペルツシスである。その他の関心あるボルデテラ株は、ボルデテラ・パラペルツシス(Bordetella parapertussis)またはボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)である。B.パラペルツシスのCyaAタンパク質の配列は、登録番号NC002928.3(1740のアミノ酸配列)として、および、Parkhill J.らによる文献(Nat. Genet. DOI, 10 (2003)およびB. ブロンキセプティカについてはBetsou F.らによる文献(Gene 1995, August 30; 162(1): 165−6)に特別に開示されている。
【0045】
アデニル酸シクラーゼ毒素(CyaA)はバクテリアの決定的な病原性因子であり、B.ペルツシス感染に対する抗原保護のうちの1つである。
【0046】
ボルデテラ・ペルツシスのアデニル酸シクラーゼタンパク質は、1706残基の二官能基タンパク質として記述される毒素であって、400アミノ酸残基のN末端触媒ドメインおよび1306残基のC末端部分(毒素と標的細胞膜との結合の原因となり、その後の細胞細胞基質への触媒部分の送達の原因となる)を含む毒素である(Ladant et al, 1999)。
【0047】
CyaAタンパク質は、2つの内部リジン残基(リジン860および983)の翻訳後パルミトイル化によって活性毒素に変換される、不活性プロトキシンとして合成される。この翻訳後修飾は、cyaA遺伝子とともに、付属の遺伝子、すなわちB.ペルツシス染色体上においてcyaAに近接するcyaCの発現を必要とする。
【0048】
ボルデテラ・ペルツシスのcyaAは、Glaser,P.らの文献(1988 Molecular Microbiology 2(1), 19−30)にて、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列として記載されている。従って、B.ペルツシスのCyaAタンパク質のアミノ酸残基もしくは配列またはヌクレオチドもしくはヌクレオチド配列が本発明において引用される場合、それらの位置は、Glaserらによる1988年の前記文献に開示される配列に関して与えられる。
【0049】
本発明において、「許容部位」とは、CyaAタンパク質の機能的な特性を実質的に影響することなく、特に細胞の標的化(特にCyaAによるAPCの標的化)に実質的に影響することなく、ポリペプチドを挿入できる、CyaAタンパク質の配列の部位であり、CD11b−CD18受容体への特異的結合に実質的に影響せず、好都合に、標的細胞へのエピトープの移行の工程に関与するタンパク質のドメインに実質的に影響することなく、挿入できる配列を含む。
【0050】
CyaAの触媒ドメインの移行を可能とし、それによりそのような許容部位に挿入されるエピトープの移行を可能とする、ボルデテラ・ペルツシスのアデニル酸シクラーゼの許容部位は、残基137−138(Val−Ala)、残基224−225(Arg−Ala)、残基228−229(Glu−Ala)、残基235−236(Arg−Glu)、および残基317−318(Ser−Ala)を含むが、これらに限定されない(Sebo et al., 1995, Infection and Immunity, pages 3851−3857)。以下の付加的な許容部位もまた、本発明の実施態様に含まれる:残基107−108(Gly−His)、残基132−133(Met−Ala)、残基232−233(Gly−Leu)、および335−336(Gly−Gln)および336−337(Glaser P. et al, 1988)。
【0051】
その他のボルデテラ種について、対応する許容部位は、配列の比較および対応する残基の決定により決めることができる。
【0052】
別の実施態様によると、ポリペプチドは、さらに、または代わりに、CyaAタンパク質またはその断片の1つのおよび/またはその他の末端に挿入することができる。
【0053】
本発明の目的のために使用されるCyaAタンパク質の特別な断片は、未変性のCyaAタンパク質の最高1300のアミノ酸、または、約30から約500のアミノ酸残基、好都合には約50から約150のアミノ酸残基、特に約1166から約1281へのアミノ酸残基を包含するそのような断片、好都合には未変性のCyaAタンパク質の1208〜1243を含む。
【0054】
従って、本発明によると、いわゆる組換えタンパク質(「ハイブリッドタンパク質」とも称される)を提供するための、全長CyaAまたはその断片を含むCyaAタンパク質におけるポリペプチドの「挿入」は、特に利用可能なDNA技術による遺伝的挿入を包含する。あるいは、「挿入」はまた、非遺伝的挿入を包含し、化学的挿入、例えば、CyaAまたはその断片の1つの末端にて行われる、共有結合性のカップリング、または非共有結合性のカップリングを含む。挿入されるポリペプチドが合成または半合成の場合、非遺伝的な挿入が特に重要であり得る。ポリペプチドに薬剤を結合する方法は、当該分野において既知であり、例えば、N−ピリジルスルホニル活性化スルフヒドリルを使用したジスルヒド結合を含む。
【0055】
特に、Cyaの標的細胞、例えばACP、CD11b/CD18細胞、特に前記細胞の細胞基質をインビボ標的化のために、化学的結合によって、または、遺伝的挿入によって、特に本発明のポリペプチドを含む分子をCyaAにつなぐことが可能である。実際、ジスルフィド結合によって、または、遺伝子移植によって、所望のCD8+T細胞エピトープに相当する分子を、解毒されたCyaAの触媒ドメインに結合する場合、操作された分子は、インビボで特異的CTL応答を誘発することができ、それによって、前記CD8+T細胞エピトープの、CD11bを発現する細胞の細胞基質への移行が示される。
【0056】
特定の実施態様において、タンパク質のベクターを製造するために使用される組換えアデニルシクラーゼは、前記アデニルシクラーゼの触媒ドメイン内に位置する遺伝的に挿入されたシステイン残基にジスルフィド結合によって化学的に結合した、1以上の分子(特に本発明のポリペプチドを含む)を含む、システイン残基の挿入によって特に修飾されたCyaAまたはその断片である。
【0057】
実際、特に本発明のポリペプチドを含む複数の分子は、触媒ドメイン内の異なる許容部位に位置する異なるシステイン残基にジスルフィド結合で結合させることによって、アデニルシクラーゼに化学的に結合させることができる。
【0058】
本発明の別の特定の実施態様によると、エピトープを有するポリペプチドは、例えば、配列内の負に荷電するアミノ酸残基の数を減少させるために、未変性のアミノ酸配列に関して修飾された。そのような修飾は、特にエピトープの隣接する残基として、これらの負に荷電するアミノ酸残基の一部を除去することによって、または、正に荷電する一部のアミノ酸残基を添加することによって行うことができる。このように負の電荷がより低い残基を含むポリペプチドは、標的細胞の細胞基質における、CyaAタンパク質の触媒ドメインの移行に好都合である可能性がある。
【0059】
エピトープを有しているポリペプチドはまた、それらがCyaAまたはその断片に挿入されたときに折りたたみがほどけ、標的細胞へのポリペプチドの内部移行の効率が改善するように設計することができる。それらのアミノ酸の内容に応じて折りたたみを生じるポリペプチドにおける、そのような非折りたたみは、例えば、システイン残基の除去または置換により、ポリペプチドの折りたたみに関与する可能性のあるジスルフィド結合の形成を妨害することで行うことができる。場合によっては、還元剤の存在下でポリペプチドを作製してその折りたたみを防止し、インビボで再折りたたみを可能にすることで行うことができる。
【0060】
特定の実施態様において、ポリペプチドが有するエピトープは潜在性エピトープ(cryptic epitopes)で有りうる。
【0061】
本発明の特定の側面において、本発明者らは、実際に、(a)本願に開示される定義によるアデニル酸シクラーゼ(CyaA)またはその断片と、(b)1または複数の抗原の1または複数の抗原性断片を有するポリペプチドとを含む組換えタンパク質でできているキメラタンパク質構造物は、前記抗原の潜在性エピトープが、組換え構造物におけるそれらの提示の結果として、免疫原性となることを可能とすることを決定した。特に、本発明に定義されるCyaAまたはその断片および特に治療的(ワクチン接種を含む)目的にとって重要な抗原に起因するポリペプチドに関与する前記キメラ構造物は、抗原の潜在性エピトープを含み得るが、当該エピトープは、免疫原性となることを可能とし、および特に宿主におけるT細胞、特にCTL応答の発生を可能とする。
【0062】
従って、本発明はまた、本願に定義される部分のキットまたは組成物における、1または複数の抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の、同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持しており、少なくとも1つの前記エピトープは、亜優占的潜在性T細胞エピトープ(subdominant cryptic T−cell epitope )であり、前記組換えタンパク質は、前記ポリペプチドに対する抗原特異的応答を誘発することができる)の使用に関する。
【0063】
特定の実施態様において、本発明による部分のキットまたは組成物の組換えタンパク質の調製のために、CyaAタンパク質の酵素活性、すなわち、ATPを環状AMPに変換する能力、すなわち、その触媒活性が不活性化される。従って、部分のキットに使用される組換えタンパク質は解毒される。触媒活性のそのような不活性化は、遺伝的不活性化の結果として得られてよい。例えば、遺伝的不活性化は、CyaAの触媒部位の一部であるアミノ酸配列の部位(例えば残基188および189の間)へのジペプチドの導入の結果として得ることができる。そのような不活化されたCyaAタンパク質はPrevilleらの文献(Cancer Res 2005; 65: 641−9)に例示され、およびその製造は以下の実施例に示される。
【0064】
本発明の組換えタンパク質は、好都合に細胞介在性免疫応答を誘発することができる。それは、CTLおよびTh、特にTh1応答を含み、CD4T細胞応答および/またはCD8T細胞応答を含む。
【0065】
この細胞介在性免疫応答を誘発する組換えタンパク質の能力は、特に、インビボでの腫瘍成長を妨げるのに十分であり、または、動物において腫瘍退縮を可能にするのに十分でありさえすることが示された。現在、TLR活性化を通した免疫応答の先天性成分の活性化によって、および、化学療法剤の使用を通した免疫応答の制御性成分の下方活性化(down activating)によって、増強されることも示されている。
【0066】
本発明の特定の実施態様において、腫瘍関連抗原は、パピローマウイルス(HPV)の抗原である。
【0067】
本発明の特定の実施態様において、組換えタンパク質は、従って、CyaAタンパク質またはその断片の1または複数の許容部位に挿入される、1または複数のHPV腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有している1または複数のポリペプチドを含む。
【0068】
本発明の組換えタンパク質は、好都合にHPV関連腫瘍に対する細胞介在性免疫応答を誘発することができる。それは、CTLおよびTh、特にTh1応答を含み、CD4T細胞応答および/またはCD8T細胞応答を含む。
【0069】
本発明のキットまたは部分または組成物に適し、免疫応答(特に宿主における細胞介在性免疫応答)を誘発することができる化合物の設計に適した組換えタンパク質のために、および特にHPVが感染した宿主にて認められる有害効果に対する免疫応答誘発することができるそのような化合物の設計のために、本発明者らは、非常に発癌性のHPV株から、および、特にHPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV45、HPV52またはHPV58から選択される株由来の抗原から、エピトープを有しているポリペプチドを得ることを提案した。
【0070】
これらの株の中で、HPV18およびHPV16は特に重要である。HPV16は、哺乳類宿主(特にヒト)の子宮頚癌の発生との関連に起因して、HPVに感染した宿主の治療のための特に特別な標的である。
【0071】
これらのHPV株から始めて、発明者等は、L1、L2、E1、E2、E4およびE5タンパク質の中から選択される抗原から、エピトープを有しているポリペプチドを得ることを提案する。
【0072】
代わりとして、または、組合せにより、本発明者らはまた、HPVのE6またはE7タンパク質からエピトープを有しているそのようなポリペプチドを得ることを提案する。
【0073】
本発明の特定の実施態様において、HPV16のE6またはE7タンパク質またはHPV18からのE6またはE7タンパク質は、エピトープを有しているポリペプチドの設計に使用される。
【0074】
HPV抗原に由来するポリペプチドの設計に引用することができる特別なHPVタンパク質は、HPVのE7タンパク質、特にHPV16またはHPV18のE7である。本発明の実施態様によると、ポリペプチドは、異なるHPV株、特にHPV16およびHPV18のいくつかのE7タンパク質に由来する。例えば、ポリペプチドは、HPV16およびHPV18の全長E7タンパク質であり、または、HPV16またはHPV18のE7タンパク質のそれぞれの1または複数の断片(前記断片の多量体、特に二量体を含む)である。
【0075】
HPVのこれらのタンパク質およびそれらのアミノ酸およびヌクレオチド配列は、HPV16についてはSeedorf,K.らによる文献(Human papillomavirus type 16 DNA sequence. Virology, 145: 181−185, 1985)、Cole S.T.、Danos O.による文献(Nucleotide sequence and comparative analysis of the human papillomavirus type 18 genome. Phylogeny of papillomaviruses and repeated structure of the E6 and E7 gene products. J. Mol. Biol. 193: 599−606 (1987))、または、Fernando GJ.らによる文献(T−helper epitopes of the E7 transforming protein of cervical cancer associated human papillomavirus type 18 (HPV18) Virus Res. 1995 Apr. 36(1): 1−13)に開示されている。
【0076】
E6およびE7タンパク質は、特に、HPV16またはHPV18によって、ウイルスの複製サイクル全体を通して発現される腫瘍性タンパク質であり、HPV株の感染に伴う宿主細胞の悪性転換の開始および維持に必須であることが示された。それゆえ、これら両方の腫瘍特異性抗原は、養子性CTL介在免疫療法の潜在的標的として考えられている。
【0077】
本発明の特別な実施態様によれば、組換えタンパク質は、複数のポリペプチドを含み、それらの各々は、1または複数のHPV抗原の1または複数のエピトープを有する。
【0078】
例えば、そのような複数のポリペプチドは、HPV株の1つ、特にHPV16またはHPV18のE6およびE7タンパク質に由来し得る。別の例によれば、これらの複数のポリペプチドは、HPV16およびHPV18の両方からのE6またはE7タンパク質に由来するエピトープを包含し得る。
【0079】
複数のポリペプチドはまた、関心あるCyaAタンパク質の異なる許容部位に挿入される、異なるエピトープを有する1つのタンパク質(例えばE7またはE6タンパク質)の断片から構成できる。
【0080】
上の定義による特別な別の組換えタンパク質は、エピトープを有している複数のポリペプチドが、HPV16のE7タンパク質の残基1〜29を含む断片または残基1〜29からなる断片または残基42〜98を含む断片または残基42〜98からなる断片を含み、または、CyaAタンパク質の異なる許容部位に挿入される両断片を含むまたはこれらから成る複数のポリペプチドを含む、組換えCyaAタンパク質である。
【0081】
本発明による別の組換えタンパク質は、複数のポリペプチドが、アミノ酸配列RAHYNIVTF(E749−57)および/またはGQAEPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIR(E743−77)を有する断片を包含するタンパク質である。
【0082】
CyaAタンパク質またはその断片の許容部位に挿入されたポリペプチドのアミノ酸残基の数は、全長抗原、特にHPVの全長E6またはE7タンパク質から成るポリペプチドを、CyaAタンパク質またはその断片に挿入できるような数であることが認められた。
【0083】
HPV16抗原の発現ベクターは、以下の通りに設計し、寄託された。それらは、本発明による組換えタンパク質をコードするプラスミド、すなわち、2004年3月18日にCNCM(フランス、パリ)にCNCM I−3191という番号で寄託したpTRACE5−HPV16E7Full(CyaAE5−HPV16E7FULLとも名付けられる);2004年3月18日にCNCM(フランス、パリ)にCNCM I−3190という番号で寄託したpTRACE5−HPV16E7Δ30−42(CyaAE5−HPV16E7Δ30−42とも名付けられる)、またはコンストラクトpTRACE5−HPV16E749−57である。これらのベクターは、WO2005/089792および本願の実施例に記述される。
【0084】
本発明の特別な実施態様によると、組換えCyaAに含まれるポリペプチドは、CyaAのコドン224および235の間、または、CyaAのコドン319および320の間に挿入される、E7タンパク質、特にHPV16のE7タンパク質である。
【0085】
別の実施態様において、本発明の組換えタンパク質は複数のポリペプチドを含み、その一部は、1または複数のHPVのエピトープまたは複数のエピトープを有しているポリペプチドであり、その他は、腫瘍関連抗原のエピトープを有しているポリペプチドである。
【0086】
特別な別の実施態様において、本発明の組換えタンパク質は更に、異なる病原性薬剤に由来する1または複数のエピトープを含む。クラミジア、または、HIVレトロウイルスまたはHPV、HBC、HCV、アデノウイルスEBV、ヘルペスウイルス、HTLV.1ウイルスおよびCMVに由来するエピトープと、HPVに由来するエピトープとの組み合わせは、特に重要である。
【0087】
特に、潜在性エピトープは、HPV抗原、特に、HPV16および/またはHPV18抗原、特にE7抗原に含まれる。
【0088】
このように定義される組換えタンパク質は、特に、HPV18 E7タンパク質に由来するペプチド、すなわち、アミノ酸配列IDGVNHQHLを有するものを含む。
【0089】
本発明はまた、この配列において、特に位置1および/または2に置換を有するペプチド、特に配列(I/A)(D/S)GVNHQHLを有するペプチド(ここにおいて、位置1および2の残基の1つまたは2つが、記載される意味の何れかを有する)に関する。
【0090】
特別な実施態様によれば、潜在性エピトープは、修飾でき、例えば、最初の2つの位置において置換を有することができ、例えば、ASGVNHQHLという配列を有することができる。
【0091】
本発明はまた、前記ペプチドの変種であって、それらが免疫原性の特性(特に、T細胞、特にCTL応答を誘発できる特性)を有する程度の変種を含む。
【0092】
CyaAタンパク質またはその断片を含む組換えタンパク質とは別に、本発明による部分のキットまたは組成物の更なる成分の1つは、患者において、腫瘍によって引き起こされる先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分であってよい。
【0093】
本発明の特定の実施態様において、アジュバント成分は、核酸、ペプチドグリカン、炭水化物、ペプチド、サイトカイン、ホルモンおよび小分子から成る成分の群から選択され、ここにおいて、前記アジュバント成分は、パターン認識受容体(pattern−recognition receptors)(PRRs)を介したシグナル伝達が可能である。
【0094】
PRRsは、病原体からのいわゆる進化的に保存されたサイン(signatures)(病原体関連分子パターン(pathogen−associated molecule patterns)(PAMPs))の認識によって、先天性免疫応答を病原体におよび腫瘍に仲介することが知られている。PRRsは、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞を含む様々な免疫細胞に存在し、また、一部の非免疫細胞、例えば、上皮細胞または内皮細胞に存在する。PRRsおよびそれらの先天性免疫応答との関係は、Pashine A.らによって記述されている(Nature medicine supplement volume 11, N° 4, April 2005)。
【0095】
本発明による部分のキットは、それゆえ、PRRsを標的とし、それによって、PRRsを通したシグナル伝達を活性化する、先天性免疫応答の活性化のためのアジュバント成分を提供し、ここにおいて、前記PRRsは、Toll様受容体またはヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)またはC型レクチンを含む。
【0096】
本発明の特定の実施態様において、アジュバント成分は、Toll様受容体アゴニストである。
【0097】
Toll様受容体アゴニストは、特に、患者の先天性免疫系を効率的に活性化するために処方される。
【0098】
前記TLRアゴニストは、TLRを結合することができ、すなわち、TLRのリガンドであり、そのうえ前記TLRの制御下で誘発される免疫応答を増強することができる。
【0099】
例として、TLRアゴニストは、TLR−9、TLR−8、TLR−3およびTLR−7アゴニストの群から選択される。しかしながら、例えばTLR2、TLR4、TLR5、…受容体のアゴニストといった、その他のTLR受容体のアゴニストを、本発明を実行するために使用してよい。
【0100】
本発明に使用されるTLRアゴニストは、天然のまたは合成アゴニストでありえる。それは、同一または異なるToll様受容体の異なるアゴニストの組合せでありえる。
【0101】
本発明の特別な実施態様によれば、TLRアゴニストは、免疫賦活性ヌクレオチド配列、特に安定化されたヌクレオチド配列(例えば、ホスホロチオネート修飾のような構造的修飾の結果として安定化したもの)である。ヌクレオチド配列はまた、特定の製剤によって分解から保護することができる。特にそのリポソーム製剤、例えばリポソーム懸濁剤は、免疫賦活性ヌクレオチド配列の効果的な投与に好都合である。
【0102】
本発明の特定の実施態様において、免疫賦活性核酸配列は一本鎖RNAである。
【0103】
本発明の特定の実施態様において、免疫賦活性ヌクレオチド配列は、CpGモチーフを含み、特にCpGオリゴヌクレオチド(CpG ODNs)である。
【0104】
適切なCpGオリゴヌクレオチドの例として、本発明は、TLR−9リガンド、例えばA型CpG ODN、すなわち、ヌクレオチド配列5’−GGGGGACGATCGTCGGGGGG−3’を有しているCpG 2216、または、B型CpG ODN、すなわち、ヌクレオチド配列5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’を有しているCpG 1826を提供する。
【0105】
CpGオリゴヌクレオチドは、分解からそれを保護し、その取込みを促進するために、DOTAP(Roche Manheim, Germany)と複合体を成した後に使用することができる。
【0106】
本発明の別の特定の実施態様によると、TLRアゴニストは小分子である。
【0107】
TLRアゴニストとして適した小分子は、例えば、TLR−7リガンドとして、イミダゾキノリンアミン誘導体、例えば、R848(レスキモド(resiquimod))と名付けられるもの、すなわち、Invivogenから入手可能な4−アミノ−2−エトキシメチル−a,a,ジメチル−1−H−イミダゾ[4,5c]キノリン−1−エタノール、または、TLR−7アゴニストとして、Aldaraから入手可能なR837(イミキモド(imiqimod))という名付けられるものである。
【0108】
TLRアゴニストとして適切なその他の分子は、TLR−3リガンドとしてポリウリジン(pU)またはTLR−7リガンドとしてポリシチジル酸(PIC)である。
【0109】
これらの分子は、それらの取込みを促進し、および/または、それらを分解から保護するように処方できる。
【0110】
これらの分子は、患者に対する投与のための、リポソーム製剤として、特にリポソーム懸濁剤として製造することもできる。
【0111】
本発明の別の特定の実施態様によると、アジュバント成分は、細胞に基づくアジュバント成分であり得る。その例は、主要なリンパ球応答が可能であることが知られる樹状細胞であり、そのような樹状細胞は、T細胞応答の刺激のそれらの活性を増加させるために、おそらくそれらの投与より前にエキソビボで条件付けされている。樹状細胞は、それ故、TLRリガンドまたはアゴニストを含むPRRsと相互作用するアジュバントで刺激される(Pashine A. et al Nature Medicine Supplement Volume 11, N°4, April 2005 p S63−S68)。
【0112】
TLRアゴニストまたはその他のアジュバントの可能な存在とは別に、本発明の部分のキットはまた、特に制御性T細胞の免疫抑制能力を低下させまたは遮断することによる、患者における細胞応答に適した薬剤または分子を含む。
【0113】
本発明の特別な実施態様によれば、制御性細胞応答におけるそのような効果は、制御性T細胞を調節するおよび/またはその他の細胞抑制性応答(例えば骨髄性サプレッサー細胞応答)を調節する薬剤であって、前記制御性細胞、特にT細胞を標的とする薬剤を用いて、これらの細胞を減少または失活させ(例えばCD25特異的抗体またはシクロホスファミドにより)、前記細胞、特に制御性T細胞の輸送を変化させ(例えばCCL22特異的抗体)、または、前記細胞の分化およびシグナル伝達を変化させる(FOXP3(フォークヘッドボックスP3)シグナルを遮断することにより)ことで得られてよい。
【0114】
本発明の特別な実施態様によれば、制御性細胞応答を調節する薬剤は、抑制性の分子、特に、APCsに存在する分子(例えばB7−H1、B7−H4、IDO(インドールアミン2,3−ジオキシゲナーゼ)またはアルギナーゼ)またはT細胞に存在する分子(例えばCTLA4(細胞障害性Tリンパ球関連抗原4)またはPD1(プログラム細胞死1))を標的とし、または、可溶性免疫抑制因子(例えばTGFベータ(トランスフォーミング成長因子)、IL−10、VEGF(血管内皮成長因子)、COX2(シクロオキシゲナーゼ2))を標的とする。
【0115】
制御性細胞応答に対して効果を有する薬剤の例として、Treg細胞またはその他の免疫抑制の細胞を殺すことができる細胞障害性薬剤、または、それらの活性および/または発生および/または蓄積を遮断することができる細胞障害性薬剤が提案される。
【0116】
本発明の特定の実施態様において、制御性細胞応答、特に制御性T細胞応答を調節する薬剤は、化学療法剤である。特に、それは、抗癌薬として知られ化学療法にて使用される化学療法剤の中から選択される。そのような薬剤は、腫瘍の負担の減少を助けるもの、治療に対する腫瘍細胞の感受性を増加させて作用するもの、または免疫制御性細胞を死滅または失活させるものを含む。本発明の骨格において使用される化学療法剤は、それゆえ、抗腫瘍性免疫を増強する。
【0117】
本発明の特定の実施態様において、化学療法剤はアルキル化剤である。特に、それはシクロホスファミド(CTX)(Sigma, Steinheim, Germany)である。シクロホスファミドは、制御性T細胞を減少または失活させることができる。
【0118】
本発明の特別な別の実施態様において、化学療法剤は挿入剤(intercalating agent)である。
【0119】
特定の実施態様において、化学療法剤はドキソルビシン(DOX)(Calbiochem, La Jolla, CA, USA)である。
【0120】
化学療法剤は、好都合に、低用量にて投与される。
【0121】
部分のキットの組み合わせにて使用される、本発明を実行するための、本願にて記述される分子の様々な型は、別々に提示され、そして投与されるが、時間的に同時に(特に組換えタンパク質およびTLRアゴニストについて)または時間的に別々に(特に組換えタンパク質および化学療法剤について)投与される。
【0122】
本発明の特定の実施態様において、部分のキットが組換えタンパク質および化学療法剤の両方の使用を含む場合、この薬剤は、治療ワクチンとして作用する組換えタンパク質の前に投与される。例として、化学療法剤は、ワクチンが投与される24時間前に与えられる。
【0123】
化学療法剤の投与は、代わりに、組換えタンパク質および/またはTLRアゴニストの投与の前および後に実行される。それはまた、時間的に経時的とすることができる。
【0124】
本発明の部分のキットまたは組成物にて採用されてよい特定の療法は、反復投与プロトコールにおけるその使用、特に、少なくとも1つの部分のキットの化合物または組成物の2回以上の投与を含むプロトコールにおける使用である。
【0125】
本発明の部分のキットの化合物または組成物は、静脈内投与、腫瘍内投与または皮下適用を通して、特に患者に与えることができる。
【0126】
本発明の部分のキットまたは組成物は、(i)本願に開示される組換えCyaAまたはその断片に関する組換えタンパク質を通した適応性免疫応答を標的化する能力、(ii)化学療法剤を通して制御性免疫応答をダウンレギュレートする能力、および、アジュバントが存在する場合には、(iii)アジュバントを通して前記先天的反応を活性化することによる免疫応答の先天性成分を標的化する能力を有する。
【0127】
本発明者らは、特に、3つの化合物、すなわち、組換えタンパク質、アジュバント成分(例えばTLRアゴニスト)および制御性免疫応答の調節のための薬剤(例えば化学療法剤)の組み合わせの使用は、例えば進行癌の状況で生じる、確立された腫瘍(血管新生化または浸潤性腫瘍または転移性腫瘍を含む)を患う患者の症状の改善を可能とし、および、恐らく、そのような腫瘍および/または転移の根絶させ得ることを示した。特に、本発明による部分のキットは、単独の組換えタンパク質から成るワクチン、または単独の化学療法剤といった制御性T細胞免疫応答を変化させる薬剤、または単独で使用されるTLRといった先天的反応のアジュバントよりも、腫瘍成長の後期の段階を治療することに適す可能性があることも発見された。
【0128】
本発明はまた、本願に開示される部分のキットまたは組成物の成分を投与する工程を含む、それを必要とする患者(ヒトまたは動物の患者)の治療法に関する。
【0129】
特に、本発明の特定の実施態様において、部分のキットまたは組成物またはヒトもしくは動物患者の治療方法は、腫瘍の分類のための認められた臨床判定基準に従って、浸潤性または血管新生化腫瘍対表在性腫瘍の治療に、または、転移性腫瘍対原発腫瘍の治療に、意図されおよび適している。
【0130】
固形腫瘍は、特に、本発明の部分のキットまたは組成物の化合物の使用を通した治療のための標的である。
【0131】
部分のキットまたは本発明の組成物による治療のための候補としてよい腫瘍の中で、腫瘍関連抗原について特徴づけられる以下のものが例として挙げられる:
メラノーマ、特に転移性メラノーマ;肺癌;頭頚部癌(Head & neck carcinoma);子宮頚癌、食道癌;膀胱癌、特に浸潤性膀胱癌;前立腺癌;乳癌;結腸直腸癌;腎臓細胞癌;肉腫;白血病;骨髄腫。癌のこれらの様々な組織学的タイプのために、抗原性ペプチドは、腫瘍サンプルにて特異的に発現され、T細胞、特にCD8+T細胞またはCD4T細胞によって認識されることが示された。
【0132】
これらの腫瘍タイプにおいて腫瘍関連抗原として発見されたペプチドの総説は、Van der Bruggen P.らによって書かれている(Immunological Reviews, 2002, vol 188:51−64)。特に、前記総説の表3に含まれるペプチドの開示は、本願ではそのような腫瘍関連抗原の提供される例として引用され、前記表3は本願に援用される。
【0133】
以下の抗原は、Kawakami Y.らの文献(Cancer Sci, October 2004, vol.95, no. 10, p784−791)(これらの抗原または更なるもののスクリーニング法も提供している)によると、T細胞によって認識される腫瘍関連抗原の例として引用される:以下を含む様々な癌にて共有される抗原;メラノーマにおける、MAGE(特にメラノーマにて)、NY−ESO−1、Her2/neu、WT1、サバイビン(Survivin)、hTERT、CEA、AFP、SART3、GnT−V、一部の特定の癌に特異的な抗体(例えばβベータ−カテニン)、CDK4、MART−2、MUM3、gp100、MART−1、チロシナーゼ;白血病におけるbcr−abl、TEL AML1;前立腺癌における、PSA、PAP、PSM、PSMA;骨髄性白血病におけるプロテイナーゼ3;乳癌、卵巣癌または膵臓癌におけるMUC−1;リンパ腫、ATLまたは子宮頚癌におけるEBV−EBNA、HTLV−1 tax;腎臓細胞癌における変異型HLA−A2;白血病/リンパ腫におけるHA1。動物における腫瘍関連抗原もまた記述されており、例えば、腫瘍を患うネコまたはイヌにおけるサイクリンD1およびサイクリンD2が記述される。
【0134】
T細胞に認識される腫瘍関連抗原はまた、Novellino L.らによって記述されている(Immunol Immunother 2004, 54:187−207:以下のサイトでも更新されているhttp://www.istitutotumori.mi.it/INT/AreaProfessionale/Human_Tumor/pdf/human_tumor_antigens.pdf)。
【0135】
より一般的には、本発明における関心あるTAAは、変異された抗原、腫瘍細胞にて過剰発現される抗原、共有される抗原、組織特異的分化抗原またはウイルス性抗原に相当するものである。
【0136】
引用される抗原は、部分のキットまたは本発明の組成物における使用のための、組換えCyaA(その断片を含む)タンパク質の製造のための候補となり得る。
【0137】
特に、例示目的として、本発明において、先天性免疫応答のアジュバント、特にTLRアゴニストは、特に組換えタンパク質がE7抗原または本願で定義されるその断片を有する場合に、HPV感染後に生じる、進行した腫瘍における、本願で開示される組換えタンパク質の治療的効果を増大させることが示された。腫瘍関連抗原に再結合されたCyaAと組み合わせられる一部のTLRリガンドは、有意に大きな腫瘍の退行のパーセンテージを増大した。そのうえ、低用量のシクロホスファミドは、制御性T細胞(Treg)の数および活性を制御することができることが示された(13)。
【0138】
部分のキットまたは組成物は、治療した患者の腫瘍の容積または関連転移が、一過的にまたは明確に遮断されまたは減少し、および、より好ましくは根絶した場合に、治療的効果を達成したと考えられる。
【0139】
本発明のその他の特徴および特性は、以下の実施例および図に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1.1】巨大担癌マウス(large tumor−bearing mice)におけるCyaA−E7治療効果の抑止。C57BL/6マウスに、0日目に5x10TC−1細胞を播種し、その後4日目においてPBSを与え(A)、または、4日目(B)、7日目(C)、11日目(D)、18日目(E)、25日目(F)または30日目(G)において50μgのCyaA−E7を静脈内注射した。それぞれの曲線は、単一のマウスにおける腫瘍の平均直径を表す。含まれる動物の総数に対する100日目における腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージおよびPBS処理群の腫瘍成長に対する腫瘍成長と比較した尤度比検定のP値が示される。H)は、マウス生存のカプラン−マイヤープロットである。腫瘍直径が20mmに達したとき、または、動物の生理状態によって必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図1.2】RAG−/−マウスにおける腫瘍成長に対するCTX効果。A:C57BL/6−RAG−1−−/−マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を注入した。24日目において、腹腔内で2.5mgCTXまたは200μlのPBSを与えた。含まれる動物の総数に対する60日目における腫瘍を含まないマウスの数、60日目における生存のパーセンテージおよびCTX処理群の腫瘍成長とPBS処理群の腫瘍成長とを比較する尤度比検定のP値が、それぞれの実験のセットにて示される。B:マウス生存のカプラン−マイヤープロット。ログランク検定を、CTXを受けている群とPBSで処理した群との比較に使用した(p=0.22)。腫瘍直径が20nmに達したとき、または動物の生理状態に起因して必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験からのまとめたデータが示される。
【図2.1】CyaA−E7および異なるTLR−リガンドによる、併用腫瘍治療。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種した。25日目において、PBS(A)、50μgのCyaA−E7単独(B)、60μgのDOTAPと組み合わせた30μgのCpG−B(C)もしくは25μgのPIC(D)の何れかを与え、または、50μgのCyaA−E7とともに、50μgのR848(E)、30μgのpU/DOTAP(F)、30μgのCpG−A/DOTAP(G)または30μgのCpG−B/DOTAP(H)、または25μgのPIC(I)を静脈注射した。それぞれの曲線は、単一のマウスにおける腫瘍の平均値直径を表す。含まれる動物の総数に対する100日目における腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージおよびPBS処理群の腫瘍成長またはPBS処理群の腫瘍成長に対する腫瘍成長と比較した尤度比検定のP値が示される。J)マウス生存のカプラン−マイヤープロット。腫瘍直径が20mmに達したとき、または、動物の生理状態により必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図2.2】CTX用量の評価。A:C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を注射した。24日目において、未処理のままとし、または、100mg/kgまたは300mg/kgのCTXを腹腔内に与えた。25日目において、PBSまたは50μgCyaA−E7を注射した。含まれる動物の総数に対する75日目における腫瘍を含まないマウスの数、75日目における生存のパーセンテージおよび300mg/kgのCTXで処理した群の腫瘍成長と100mg/kgのCTXで処理した群の腫瘍成長とを比較した尤度比検定のP値が、それぞれの実験のセットについて示される。B:マウス生存のカプラン−マイヤープロット。ログランク検定を、300mgkgのCTXを受けた群と100mg/mgのCTXを受けた群とを比較するために使用した(p=0.95)。腫瘍直径が20nmに達したとき、または動物の生理状態に起因して必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図3】CyaA−E7と化学療法薬剤とによる併用腫瘍治療。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種した。24日目において、マウスは、未処理のままとし(A、B)、または、2.5mgのシクロホスファミド(CTX)腹腔内(C、D)もしくは125μgのドキソルビシン(DOX)(静脈内)(E)の何れかを与えた。25日目に、マウスに、PBS(A、C)または50μgのCyaA−E7(B、D、E)の何れかを静脈注射した。含まれる動物の総数に対する100日目において腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージおよびCyaA−E7処理群の腫瘍成長に対するまたはPBS処理群の腫瘍成長に対する腫瘍成長とを比較する尤度比検定のP値が示される。F)マウス生存のカプラン−マイヤープロット。腫瘍直径が20mmに達したとき、または、動物の生理状態に要求された場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図4】CyaA−E7、CpG−B/DOTAPおよびCTXによる併用腫瘍治療(三重療法)。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種し、24日目において、未処理のままとし(A、B)、2.5mgのCTXを腹腔内に投与した(C、D)。25日目に、PBS(A)、50μgのCyaA−E7(B)、CpG−B/DOTAP(C)または50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAP(D)を静脈内投与した。含まれる動物の総数に対する100日目において腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージおよびCyaA−E7処理群の腫瘍成長またはPBS処理群の腫瘍成長に対する腫瘍成長を比較する尤度比検定のP値が示される。E)マウス生存のカプラン−マイヤープロット。腫瘍直径が20mmに達したとき、または、動物の生理状態により必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図5.1】三重療法の治療効果は、進行した腫瘍において低下する。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種し、未処理のままとし(A、B)または、24日目において(C)、29日目において(D)もしくは39日目において(E)2.5mgのCTXを腹腔内投与した。25日目において、コントロールマウスに、PBS(A)または50μgのCyaA−E7単独(B)を投与した。25日目において(C)、30日目おいて(D)または40日目において(E)、マウスの群に、50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPを静脈投与した。含まれる動物の総数に対する100日目における腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージおよび腫瘍成長と三重療法群の腫瘍成長とを比較する尤度比検定のP値が示される。F)マウス生存のカプラン−マイヤープロット。腫瘍直径が25mmに達したとき、または動物の生理状態によって必要となった場合に、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図5.2】三重療法の第2の投与の抗腫瘍効果。A:C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を注入した。39日目において、未処理のままとし、または、2.5mgのCTXを腹腔内で投与した。40日目において、コントロールマウスにPBSを注入し、三重療法で処理するマウスに、50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPを静脈注射した。マウスの群はまた、54日目において、CTXで処理し、55日目において、CyaA−E7およびCpG−B/DOTAPで処理した。含まれる動物の総数に対する処理後90日の腫瘍を含まないマウスの数、処理後90日の生存パーセント、および、40日目に三重療法で処理した群における腫瘍成長とPBS処理群における腫瘍成長とを比較した尤度比検定のP値、または、40および55日目に三重療法で処理した群の腫瘍成長と40日目に三重療法で処理した群における腫瘍成長とを比較した尤度比検定のP値が示される。B:マウス生存のカプラン−ミアープロット。ログランク検定を、40日目に三重療法を受けた群とPBSで処理した群との比較(p<0.0001)、および、40および55日目に処理した群と40日目に処理した群との比較(p=0.0012)に使用した。腫瘍直径が20nmに達したとき、または、動物の生理状態に起因して必要となったときに、マウスは殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図6】EL4−E7モデルにおける三重療法の評価。C57BL/6マウスに、0日目において、4x10のEL4−E7細胞を播種し、未処理のままとし(A)、または、6日目(B)、13日目(C)または20日目(D)において2.5mgのCTXを腹腔内に投与した。マウスに、25日目においてPBSを(A)、または、7日目(B)、14日目(C)または21日目(D)において50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPを静脈注射した。含まれる動物の総数に対する100日目において腫瘍を含まないマウスの数、100日目における生存のパーセンテージが示される。E)マウス生存のカプラン−マイヤープロット。腫瘍直径が25mmに達したとき、または、動物の生理状態によって必要となったとき、マウスを殺処分した。2つの独立した実験のまとめたデータが示される。
【図7】腫瘍接種後の免疫細胞の変化。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種し、3匹のマウスを、0日目、10日目、25日目および40日目に殺処分した。脾臓、腫瘍流入領域リンパ節および腫瘍を摘出し、破砕して細胞懸濁液を調製し、染色してフローサイトメトリーで分析した。2回の実験のまとめたデータが示される(n=6−9マウス)。バーは平均値を表し、エラーバーは平均値の標準誤差に相当する。<0.05 **<0.01。A)CD4CD25FoxP3細胞のパーセンテージ。B)CD25およびFoxP3を発現するCD4細胞のパーセンテージ。C)CD11c細胞のパーセンテージ。D)CD11b細胞のパーセンテージ。E)GR1細胞のパーセンテージ。F)CD11bGR1ポジティブの細胞のパーセンテージ。
【図8】異なる処理後のコントロールおよび担癌マウスにおける腫瘍特異的免疫応答の分析。C57BL/6マウスは、未処理のままとし(A、C)または、0日目において、5x10TC−1細胞を播種した(B、D)。25日後、コントロールおよび担癌マウスに、50μgのコントロールCyaAまたは50μgのCyaA−E7を、PBSを、または、30μgのCpG−BまたはpU/DOTAP、25μgのPIC、50μgのR848、2.5mgのCTX(24時間前)を、または、CTXおよびCpG−B/DOTAPを注射した。コントロール(A)および担癌マウス(B)における、CD8四量体細胞のパーセンテージ。処理後7日目において、マウスを殺処分し、四量体ポジティブ細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーで分析した。コントロール(C)および担癌マウス(D)におけるインビボCTL。処理後7日目において、マウスに、CFSEhighおよびE749−57ペプチドを充填した5x10の脾細胞を、およびCFSElowを充填した5x10の脾細胞を静脈内注射した。24時間後において、脾臓を除去し、単細胞懸濁液をフローサイトメトリーで分析し、CFSEhighとCFSElow細胞との比を決定した。2つの実験のまとめた結果を示す(n=6)。バーは平均値を表し、エラーバーは平均値の標準誤差に相当する。データは、ANOVA、その後のダネット事後試験によって比較した。
【図9】25日目における、三重療法後の免疫細胞の変化。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を播種した。24日目において、2.5mgのCTXを腹腔内に与え、24時間後、50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPを与えた。マウスの群は、処理前に(0日目)、CTX処理後の24時間(1日目)にて、または、三重療法投与後4、7または11日目において、殺処分した。脾臓、腫瘍流入領域リンパ節および腫瘍を摘出し、破砕して細胞懸濁液を作製し、染色してフローサイトメトリーで分析した。2つの実験のまとめたデータが示される(n=4−6マウス)。バーは平均値を表し、エラーバーは平均値の標準誤差に相当する。<0.05**<0.01.A)CD25およびFoxP3を発現するCD4細胞のパーセンテージ。B)CD25およびFoxP3であるCD4細胞のパーセンテージ。C)FoxP3を発現するCD4細胞のパーセンテージ。D)四量体およびCD44であるCD8細胞のパーセンテージ。E)CD11c細胞のパーセンテージ。F)CD11b細胞のパーセンテージ。G)GR1細胞のパーセンテージ。H)CD11bGR1ポジティブ細胞のパーセンテージ。
【図10】CD3の免疫染色。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を注入した。24または39日目において、2.5mgのCTXを腹腔内に与えた。25日または40日目において、マウスに、50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPを静脈注射した。処理から11日後、マウスを殺処分した。未処理の担癌マウスは、25日および40日目に殺処分した。CD3についての腫瘍の免疫染色は、材料および方法に記載されるとおり行った。
【図11】三重療法によっておよび腫瘍成長によって誘導される骨髄性細胞の表現型。C57BL/6マウスに、0日目において、5x10TC−1細胞を注入した。三重療法で処理したマウスに、24日目において2.5mgのCTXを腹腔内で与え、24時間後、50μgのCyaA−E7および30μgのCpG−B/DOTAPで与えた。PBS処理したマウスは、25日目に200μlのPBSを与えた。腫瘍をもたないコントロールマウスにも同様の処理を行った。全てのマウスは、処理後11日目(腫瘍接種後の36日目)に殺処分した。脾臓を摘出し、破砕して細胞懸濁液を作製し、染色してフローサイトメトリーで分析した。2つの代表的な実験が示される(n=6マウス)。バーは平均値を表し、エラーバーは平均値の標準誤差に相当する。CD11bCD124およびCD11bLy6G細胞のパーセンテージが、それぞれパネルAおよびBに示される。
【実施例】
【0141】
免疫系の先天性(TLR9リガンドによる)、適応性(CyaA−E7による)および制御性(低用量のシクロホスファミドによる)成分の同時的な標的化に基づく三重療法が、処理した動物の約90%において巨大腫瘍の十分な根絶を誘導することが示された。
【0142】
[材料および方法]
マウスおよび腫瘍
特定の病原体を含まない5週齢のメスC57BL/6マウスを、Charles River(L’Arbresle, France)から購入し、パスツール研究所動物施設において、水および食物を自由に摂取させ、病原体フリーの条件に維持した。C57BL/6−RAG1−/−マウスは、米国のJackson Laboratoryから得た。動物に関与する実験は、動物配慮のための施設内ガイドラインに従って実施した。
【0143】
原発性のマウス肺上皮細胞に由来する、HPV16−E6およびHPV16−E7タンパク質を発現するTC−1細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(LGC Promochem, Molsheim, France)から得られる(14)。EL4−E7細胞、HPV16−E7を発現するマウスリンパ腫(15)。細胞は、GlutaMAXを含み、10%熱失活ウシ胎児血清、100ユニット/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、0.4mg/mlジェネティシン(geneticin)および5x10−5mol/lの2−メルカプトエタノール(Life Technologies, Cergy−Pontoise, France)を添加したRPMI1640にて維持した。
【0144】
腫瘍細胞株(5x10TC−1細胞または4×10EL4−E7細胞)を、200μl量のPBSにてC57BL/6マウスの剪毛された左側背部に播種した。2つの垂直な直径の平均として表される腫瘍サイズ(ミリメートル)を、一定の間隔で測定した。
【0145】
試薬
HPV16−E7 H2−D制限エピトープ(16)に相当する、合成ペプチドE749−57(アミノ酸の1文字表記でRAHYNIVTF)は、NeoMPS(Strasbourg,France)から購入した。
【0146】
切断型のE7タンパク質を保有するボルデテラ・ペルツシスのアデニル酸シクラーゼの解毒された形態(CyaA−E7)および何れの挿入体も有さないコントロールアデニル酸シクラーゼ(CyaA)は、(5)の記載及び以下に要約する通りに精製した。
【0147】
CpG ODNs
【化1】

【0148】
は、Proligo(Paris,France)によって合成された。太字のヌクレオチドは、ホスホロチオネートのバックボーンに相当する。ポリウリジン(pU)はSigma(Steinheim,Germany)から、R848はPharmaTech(Shanghai,China)から、ポリイノシン−ポリシチジル酸(PIC)はInvivogen(San Diego,CA, USA)から購入した。30μgのCpG ODNまたはpUは、50μlのOptimen培地(Gibco, Grand Island, NY, USA)で希釈し、100μlのOptimenに希釈した60 μgのDOTAP(Roche, Mannheim, Germany)と混合した。残りの試薬は、注入前にPBSで希釈した。シクロホスファミド(CTX)(Sigma, Steinheim, Germany)およびドキソルビシン(DOX) (Calbiochem, La Jolla, CA, USA)は、注入前に、それぞれPBSおよび滅菌水に希釈した。
【0149】
異なる抗原性の製剤およびアジュバントは、化学療法剤をワクチンの24時間前に投与した以外は、同時に注射した。静脈内投与は、200μlの量で、後眼窩注入(retroorbital injection)によって行い、腫瘍内投与は、50μlの量で、注射によって行い、および皮下投与は200μlで行った。
【0150】
HPV16−E7エピトープを保有する組換えB.ペルツシスアデニル酸シクラーゼの構築および精製
使用される組換えアデニル酸シクラーゼは、酵素的に不活性なCyaAをコードするプラスミドpTRACE5(5)の誘導体を用いて、E.コリにて発現させた(Dadaglio G et al Int Immunol, 15: 1423−1430, 2003)(Gmira S. et al Res Microbiol, 152: 889−900, 2001)。プラスミドpTRACE5は、B.ペルツシスCyaAの酵素的に不活性で、ゆえに無細胞毒性の変種の発現ベクターである。それはまた、CyaAの翻訳後アシル化のために必要であるB.ペルツシスcyaC遺伝子を発現する。このプラスミドは、前述したpTRACGプラスミドの誘導体である(Gmira et al., 2001, Res. Mic. 152: 889)。それは、cyaA DNA配列の5’部分内に位置するEcoRVサイトに、6ヌクレオチドCTGCAGを挿入することによって得た。これは、触媒部位の本質的部分内のCyaAのAsp188からIle189の間への、ジペプチドLeu−Glnのインフレームの挿入に帰着する(Guermonprez et al. 2000, Meth. Enzymol. 326:527)。
【0151】
プラスミドpTRACE5は、ColE1複製開始点およびアンピシリン抵抗性マーカーをもっている。このプラスミドにおいて、cyaCおよび修飾されたcyaA遺伝子は、λファージPrプロモーターの制御の下、同じ転写ユニットに位置する。pTRCAGプラスミドはまた、32℃未満の温度でλPrプロモーターにて強く遺伝子の転写を抑制する温度感受性のλリプレッサーcI857をコードする。
【0152】
E.コリ株 XL1−Blue (Stratagene, La Jolla, CA)は、標準プロトコール(Maniatisら)によって行った全てのDNA操作のために使用した。
【0153】
CyaA−E749−57は、CyaAのコドン224から235の間に挿入される、9−アミノ酸長のポリペプチド配列(RAHYNIVTF)を含む。CyaA−E749−57のための発現プラスミドは、以下の通りに造った。2つの合成オリゴヌクレオチド(MWG, Courtaboeuf, France)、BTP1 (5’−CTA GCC GTG CCC ATT ACA ATA TTG TAA CCT TTG GTA C−3’コーディング鎖)およびBTP2 (5’−CAA AGG TTA CAA TAT TGT AAT GGG CAC GG−3’非コーディング鎖)をアニールさせ、NheIおよびKpnIで消化したpTRACE5につないだ。CyaA−E7Fullは、n° CNCM I−3191の下、2004年3月18日にCNCM(フランス、パリ)に寄託された、酵素的に不活性なCyaAの同じ224の位置に挿入される、HPV16−E7タンパク質の完全な配列(すなわち98アミノ酸)を含む。E7タンパク質をコードするDNA配列は、特異的なプライマーBTP3(5’−GGG CGC TAG CAT GCA TGG AGA TAC ACC TAC−3’)およびBTP4 (5’−GGG CGG TAC CTG GTT TCT GAG AAC AGA TGG G−3’)を使用して、HPV16 DNA (Seedorf K et al Virology 145: 181−185, 1985)から増幅した。得られたPCR生成物はNheIおよびKpnIで消化し、NheIおよびKpnIで切断したpTRACE5に結合した。アニールされたオリゴヌクレオチドならびにHPV16−E7の完全な配列に存在するSspIサイトは、挿入された変異体の迅速な同定を可能にする。CyaA−E7Δ30−42は、CyaAのコドン319から320の間に挿入されるHPV16−E7の最初の29のアミノ酸残基並びにCyaAのコドン224から235の間に挿入されるHPV16−E7の43から98残基を含む。CyaA−E7Δ30−42のための発現プラスミドは、2段階で作製し、n° CNCM I−3190 の下、2004年3月18日にCNCMに寄託した。HPV16−E7の(アミノ酸残基1〜29)をコードする第1のDNA断片は、標的DNAとして合成HPV16−E7遺伝子(E.コリでの生産に適す、GTP Technology, Labege, Franceによって設計される)およびプライマーとしてBTP5 (5’−GGG CAC CGG TAA ACG TAT GCA CGG CGA TAC TCC G−3’)およびBTP6 (5’−CGT GAG CAT CTG GCT TTC ACT AGT ACG TTT GTT CAG CTG CTC GTA GCA−3’)を使用して、PCRで増幅した。CyaAのコドン320から372をコードする第2のDNA断片は、pTRACE5を標的DNAとして、BTP7(5’−GGG CAC TAG TGA AAG CCA GAT GCT CAC GCG CGG G−3’)および BTP8 (5’−AGT ACA TCC GGC GAG AAC−3’)をプライマーとして使用して、PCR増幅した。(部分的に重複する)これらの2つのDNA断片は、精製し、プライマーBTP5およびBTP8と組み合わせて、第3のPCRにて、294bp長のDNA断片を増幅した。この断片は、AgeIおよびBstBIによって消化し、pTRACE5の対応する部位の間に挿入し、プラスミドpTRACE5−E71−29を得た。その後、HPV16−E7の43から98アミノ酸残基をコードするDNA断片を、合成HPV16−E7遺伝子を標的DNAとして、BTP9 (5’−GGG CGC TAG CGG TCA AGC AGA ACC GGA C−3’)およびBTP10(5’−GGG CGG TAC CAG GTT TTT GAG AGC AAA TCG GAC AAA CAA TCC CCA GAG TAC CCA TC−3’)をプライマーとして用いて、PCR増幅した。精製したPCR断片を、NheIおよびKpnIによって消化し、同じ制限酵素で消化したプラスミドpTRACE5−E71−29につないだ。
【0154】
全ての組換えアデニル酸シクラーゼは、以前に記述されるように(26)、大腸菌株BLR(Novagen, Madison, WI)で作製した。組換えタンパク質は、以前に記述されるとおり(26)、DEAE−セファロースおよびフェニル−セファロースクロマトグラフィーを含む2段階の手法によって、封入体から、ほぼ均一になるように精製した(図1B)。60%イソプロパノール(20mMHepes−Na中、pH7.5)による付加的な洗浄工程を、混入する大部分のLPSを除去するために、フェニル−セファロースクロマトグラフィーに添加した。LPS内容物は、キットQCL−1000(Biowhittaker, Walkersville, MD)を使用して測定した。精製した組換えタンパク質は、SDS−ゲル分析によって分析した。タンパク質濃度は142,000M−1.cm−1の分子吸光係数を使用して280nmの吸収から、分光光度的に測定した。
【0155】
フローサイトメトリー分析
腫瘍成長の間または治療の後における細胞の変化を分析するために、固形腫瘍、脾臓および鼠径リンパ節を摘出し、破砕して細胞懸濁液を作製し、その後染色した。
【0156】
染色に使用したモノクローナル抗体は、FITC融合型抗CD11b、抗CD4、抗CD69、抗CD8;PE融合型抗GR1+、抗CD124、抗NK1.1;APC融合型抗CD25、抗CD44、抗CD69、抗CD8、抗CD11cであった(全てPharMingen, Erembodegem, Belgiumから購入)。PE融合型H−2D/E749−57四量体は、Beckman Coulter (Fullerton, CA, USA)から得た。T制御性細胞の染色は、Mouse Regulatory Stainingキット(E−biosciences, San Diego, CA, USA)を用いて行った。
【0157】
FACScalibur (Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ, USA)をフローサイトメトリーのために使用し、結果はCELLQuestソフトウェア(Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ, USA)で分析した。
【0158】
インビボ死滅アッセイ
ナイーブ脾細胞に、9μMのE749−57ペプチドを、37℃で30分パルスした(pulsed)。大量に洗浄した後に、細胞を2.5μM CFSE(CFSEhigh)(Molecular Probes)でラベルした。コントロールの非ペプチド処理脾細胞は、0.25μMのCFSE(CFSElow)でラベルした。CFSEhighおよびCFSElow細胞は1:1の比率で混合し、10細胞をナイーブ動物または免疫化した動物に静脈注射した。24時間後、脾臓を取り出し、フローサイトメトリーによって単一の細胞懸濁液を分析し、CFSEhigh細胞とCFSElow細胞との比率を測定した。特異的溶解のパーセンテージを、以下の様に算出した:%特異的溶解=100−(100(%免疫化CFSEhigh/%免疫化 CFSElow)/(%コントロールCFSEhigh/%コントロールCFSElow))。
【0159】
抗CD3免疫組織化学
腫瘍サンプルは、ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。3マイクロメーターの切片を、抗原の回収のために、Tris−EDTA (0.001M pH9)において10分間電子レンジで加熱し、内因性ペルオキシダーゼは、ペルオキシダーゼブロッキング剤(Dako, Carpintero, CA)でクエンチした。組織切片は、親和性で精製した抗ヒトCD3(Lab Vision Corporation, Fremont, CA)をトリス緩衝食塩水で1:300に希釈したものと一晩4℃でインキュベートした。ペルオキシダーゼ活性は、抗ウサギEnVision System(Dako)およびDAB+ Substrate Chromogen System(Dako)で顕在化させた。最後に、切片をメチルグリーンで対比染色した。
【0160】
統計分析
腫瘍成長データは、Monolixソフトウェア(http://www.math.u-psud.fr/~lavielle/monolix/)を使用して、非線形混合効果モデルによって分析した。時簡に対する腫瘍の平均直径は、(17)に記載されるモデルを使用して適合させ、処理は尤度比試験を使用して比較した。カプラン−マイヤープロットを生存の分析のために使用し、ログランク検定を、Prismソフトウェア(GraphPad Software, Inc. San Diego, USA)を用いて、生存曲線の差の有意性を調べるために使用した。インビボCTLおよび四量体染色からのデータは、ダネット事後試験に従うANOVAによって比較した。0.05未満のp値を、統計学的に有意であると考えた。
【0161】
[結果]
CyaA−E7の治療効果は、巨大担癌マウスにおいて抑制される
我々は以前に、5x10TC−1腫瘍細胞の移植から10日後における、HPV E7抗原を保有するCyaA組換えタンパク質(CyaA−E7)の単一の注射は、腫瘍成長の完全な退行を誘導し、全ての処理したマウスの生存がもたらされることを示した(5)。そのような治療的ワクチン接種が、腫瘍成長の後期の段階でもなお有効であるかを決定するため、マウスに5x10TC−1細胞を注入し、その後、様々な時点において50μgのCyaA−E7の単一の静脈注射で処理した。TC−1細胞の注入から4日後に処理したマウスにおいて、初期段階の成長の後、腫瘍は全ての動物において拒絶された。しかしながら、60日後における腫瘍の再発が1匹のマウスで発見された(図1.1B)。CyaA−E7の抗腫瘍効果の漸進的減少が、遅延性の処理を受けたマウスにおいて観察された。この為、TC−1細胞の注入から25日後にCyaA−E7の処理を受けたマウスの20%のみが、腫瘍成長から保護された。しかしながら、腫瘍成長の遅延および生存の増加は、PBS処理マウスと比較して、なお有意であった(図1.1F、H)。腫瘍接種から30日後に処理したマウスでは、PBS処理群と比較して、腫瘍成長および生存の有意差は観察できなかった(図1.1G、H)。従って、腫瘍移植の1ヵ月後に注入される場合、CyaA−E7は、治療的抗腫瘍性応答を誘導する能力を失った。
【0162】
TLR−リガンドは、進行した腫瘍に対するCyaA−E7の治療効力を増加させる
次に、我々は、アジュバントが、進行性の腫瘍を患うマウスにおいて、CyaA−E7投与によって誘導される抗腫瘍性の治療的応答を回復することができるかどうかを試験した。これらの実験のために、マウスは、腫瘍細胞注入から25日後に処理した。これは、我々がCyaA−E7の治療的活性を検出できた最後の時点であったためである。
【0163】
Toll様受容体(TLR)リガンドは、インビボでのDC成熟を誘引するの能力により、近年大きな注目を集めている。我々は、これらの実験のために、5つの合成TLRリガンドを選択した:TLR−3リガンド、ポリイノシン−ポリシチジル酸(PIC)、2つのTLR−7のリガンド、ポリウリジン(pU)およびR848並びに2つのTLR−9リガンド、CpG−AおよびCpG−B。pUおよびCpGsは、DOTAPにて組み合わせて、それらを分解から保護し、それらの取り込みを促進した。
【0164】
腫瘍退縮の有意な増加は、TC−1細胞の注入から25日後において、CyaA−E7で処理したマウスおよびpUまたはCpGsまたはPICで処理したマウスでは観察されたが、R848で処理したマウスでは観察されなかった。生存パーセンテージは、pUおよびPICによる41%から、CpG−Bによる50%およびCpG−Aによる58%までの範囲であった(図2.1F、G、H、IおよびJ)。25日後におけるCyaA−E7およびこれらのTLRアゴニストの注入の後、腫瘍は5から7日間成長を続け、14mmの直径まで達した。その後、大部分の腫瘍のサイズは減少を始め、治療的な免疫応答の良好な誘導を反映した。この状態は25日間持続し、最終的に腫瘍の完全な治癒がもたらされた。しかしながら、一部のマウスでは、完全な根絶の前に、腫瘍の再発が観察された。
【0165】
CyaA−E7ワクチンを伴わず、単独で投与された2つのこれらのTLRリガンド(PICおよびCpG−B)の治療的効果を、これらのTLRリガンドが腫瘍によって刺激される免疫応答を増強できるかどうかを研究するために試験した。しかしながら、単独で投与したこれらのTLRリガンドの何れも腫瘍成長に対して効果を示さなかった(図2.1C、DおよびJ)。それゆえ、CyaAによるE7送達は、これらの大きな腫瘍の退行を達成するために必要とされる。
【0166】
我々は次に、化学療法剤が、巨大担癌マウスに投与した場合に、CyaA−E7の治療的活性を回復できるかどうかを分析した。我々は、この目的のために2つの薬剤を選択した:シクロホスファミド(CTX)(抗腫瘍性ワクチンの効力を長期間増強することが示された、ナイトロジェンマスタード型のアルキル化剤(20)(21));およびドキソルビシン(DOX)(トポイソメラーゼII酵素の作用を抑制し、腫瘍内注入後に腫瘍の成長を制御できる免疫原性の細胞死を誘導する挿入剤(22))。我々の巨大腫瘍のモデルにおいて、DOXは、腫瘍内(図3E、F)または静脈内に投与された場合、CyaA−E7 の効果を増強しなかった。対照的に、CyaA−E7ワクチンの24時間前に注射された低用量のCTXは、全ての腫瘍の成長の遅延をもたらし、58%のマウスで、完全に腫瘍が根絶した。TLRリガンドと異なり、CTX単独の投与は、有意に腫瘍成長を遅延させたが、この効果は一過的で、腫瘍の根絶には至らなかった(図3C)。この腫瘍成長の遅延はRAG1−/−マウスで観察されず(図1.2)、このことは、この効果がT細胞によって仲介されることを強く示唆する。最後に、CTXおよびCyaA−E7の組み合わせの投与の抗腫瘍性の効力は、CTX用量を3倍に増大することで改善されなかった(図2.2)。100mg/kgのCTXは、最大の抗腫瘍効果を示し、この併用療法に関する潜在的な副作用を低減させた。
【0167】
化学療法、TLR−9リガンドおよび抗腫瘍性ワクチンを組み合わせた三重療法治療による巨大腫瘍の根絶
次に、我々は、yaA−E7、CTXおよびCpGが異なる作用機構を有するために、それらが相乗効果を有し得ると仮説をたてた。従って、我々は、24日目の担癌マウスにCTXを投与し、24時間後、CyaA−E7およびCpG−B(DOTAP中)を注入した。この三重療法は、87.5%の生存率という強力な抗腫瘍効果を示した。三重療法を受けた16匹のマウスの内2匹のみは、腫瘍を根絶しなかった(図4D、E)。CyaA−E7ワクチンはこの治療効果にとって必須であった。というのは、CTXおよびCpG−B/DOTAPの投与は腫瘍の退行を誘導できないものの、この処理は、CTX単独の投与の後、以前に認められたように、腫瘍成長の有意な遅延を誘導したためである(図4C、E)。
【0168】
非常に巨大腫瘍を治療するための三重療法の可能性を決定するために、我々は、腫瘍接種後30日または40日おいて、担癌マウスにこの処理を施した。三重療法を30日目に投与した場合、有効性の減少があったが、なお41.7%の動物が腫瘍を根絶できた(図5.1D、F)。40日目においても、腫瘍直径が15から20mmの間であった場合、2匹のマウスは明確に腫瘍を根絶した。注目すべきは、全ての処理したマウスにいおいて、腫瘍は退行を開始し、これは、およそ20日間持続する有効な免疫応答の誘導を示しており、その後腫瘍再発が続いた(図5.1E、F)。しかしながら、退行状態は、55日における三重療法の第2の投与によって延長され、43%の処理したマウスにおける腫瘍根絶がもたらされた(図5.2)。
【0169】
これらの結果をHPV誘導性腫瘍のその他のモデルに拡張するために、我々は、E7タンパク質を形質移入したEL4細胞(EL4−E7細胞)をマウスに皮下注入した(15)。これらの細胞の成長はTC−1成長よりも速く、14日目において、EL4−E7腫瘍は、30日目のTC−1腫瘍と同等のサイズに達した(図6A、E)。腫瘍細胞の注入から7、14または21日後、マウスを三重療法で処理した。図6に示されるように、三重療法は、接種から14日目まで、腫瘍を治療する効果があったが、接種から21日後、腫瘍の根絶に失敗した。TC−1モデルと同様に、全ての腫瘍は、退行を開始したが、それらのほとんどが再発した。
【0170】
腫瘍発生の間の免疫細胞の変化
我々は、次に、巨大担癌マウスにおけるCyaA−E7の治療的活性の減少の根底にある機構を調べた。特に、我々は、制御性T細胞(Treg)および/または骨髄性サプレッサー細胞(MDSCs)の増大がCyaA−E7活性のそのような減少の原因であるかどうか調べた。従って、脾臓、鼠径流入領域リンパ節(inguinal draining lymph nodes)(DLN)および腫瘍におけるこれらの細胞集団のパーセンテージを、TC−1細胞の注入の後の異なる時点において分析した(図7)。
【0171】
CD4CD25FoxP3細胞の高いパーセンテージは、分析した全ての時点において腫瘍を浸潤させることがわかり、これらの細胞の特異的な動員および/または増大を示している。この集団はまた、担癌マウスの脾臓およびDLNsにおいて、次第に増加した。この増加はDLNおいてより速く、10日目までにおいて、腫瘍接種前の鼠径リンパ節との差は有意であり(10.8 vs 8.7 %; p<0.05)、この差は、25日目(12.6 vs 8.7% p<0.01)および40日目(16.1 vs 8.7%; p<0.01)において更に増大した。脾臓では、有意差は40日目において検出可能なだけであった(20.7 vs 11.0%; p<0.01)。
【0172】
骨髄由来CD11bGR1細胞集団は、担癌動物の脾臓においておよび40日目において次第に増加し、これらの細胞における有意なより高いパーセンテージが、コントロールマウスと比較して担癌マウスの脾臓にてわかった(11.6 vs 1.0%; p<0.01)。この集団はIL−4受容体α鎖(CD124)を発現し、近年免疫抑制のMDSCsとの関連が示された(図11A)(36)。
【0173】
結論として、Tregの著しい増大は、腫瘍内にて認められ、そしてまた系統的に認められたものの、脾臓およびリンパ節においてはより低く記録された。骨髄由来サプレッサー細胞CD11bGR1細胞の増大は、後期段階の担癌マウスの脾臓においてのみ検出された。
【0174】
コントロールおよび担癌マウスにおける三重療法によって誘導される抗腫瘍性の免疫応答の分析
異なる処理によって誘導される免疫応答の研究のために、我々は、四量体細胞のパーセンテージおよびコントロールおよび担癌マウスにて生じるインビボ細胞溶解活性を決定することで、E749−57CD8T細胞エピトープに特異的なCD8T細胞応答を分析した。コントロールマウスにおいて、CyaA−E7単独と比較して四量体細胞の数を有意に増大させた唯一の処理は、CTXの投与に依存してCpG−B/DOTAPおよびCyaA−E7による免疫化であった。驚くべきことに、三重療法は、そのより強力な抗腫瘍性の活性にもかかわらず、有効性はより低かった(図8A)。対照的に、インビボCTLアッセイは、CyaA−E7 + CpG−B/DOTAPの両方又は三重療法による免疫化に続く、細胞溶解活性の有意な増加を明らかにした。
【0175】
免疫化の25日前にTC−1腫瘍細胞を移植されたマウスは、コントロール免疫化マウスよりも低い四量体細胞の増大を示し、試験した何れの組み合わせも、CyaA−E7単独による免疫化に比べて有意に異なることはなかった(図8B)。対照的に、CyaA−E7単独の場合に比べて、CTXの非存在または存在下でCyaA−E7 + CpG−B/DOTAPにより免疫化したマウスにおいて、有意により強力なインビボCTL活性が観察された(p<0.05)(図8D)。CyaA−E7を伴うCTXの投与は、その強力な抗腫瘍活性にもかかわらず、CyaA−E7により誘導される免疫応答を増強しなかった。
【0176】
TC−1注入から40日後において、担癌マウスにおいて四量体細胞は検出されなかった。インビボ細胞溶解活性は、低くいものの検出された(図8E−F)。従って、TC−1成長に関する骨髄由来サプレッサー細胞およびTregの増大は、段階的に、三重療法によって誘導される抗腫瘍性の免疫応答を減じる。そのうえ、抗腫瘍性のデータと一致して、担癌マウスにおいて、三重療法は、試験される全ての組合せの最も高いインビボ細胞毒性活性を誘導した。
【0177】
25日目における三重療法後の免疫細胞の変化
次に、我々は、腫瘍が拒絶される際に三重療法によって誘導される免疫系の変化を評価した。具体的には、我々は、T制御性細胞、骨髄性サプレッサー細胞、腫瘍特異性CD8T細胞およびNK細胞の進化を分析した。
【0178】
予想通り、シクロホスファミドの投与は、7日目までに回復する、脾臓およびリンパ節における一時的なリンパ球枯渇(lymphodepletion)を誘導した。CD25FoxP3CD4集団は、全CD4細胞よりわずかに顕著な減少を示したが、脾臓および流入領域リンパ節では有意性に達しなかった(図9)。非常に興味深いことに、腫瘍関連制御性T細胞は有意に減少した。CD25FoxP3/CD4細胞のパーセンテージは、処理の後の4および7日目において、非処理マウスの50%から30%まで降下した(図9のA)。驚くべきことに、三重療法の11日後、CD25FoxP3細胞の増加は分析される全ての器官において認められ、脾臓および流入領域リンパ節におけるFoxP3CD4T細胞のパーセンテージの有意な増加および腫瘍における制御性T細胞パーセンテージの迅速な回復がもたらされた(図9B、C)。FoxP3細胞のこれらの増大と平行して、腫瘍特異性のCD8T細胞の有意な増加は、脾臓、DLNおよび腫瘍において検出され、四量体ポジティブの細胞のパーセンテージは特に高かった(図9D)。免疫応答開始のその他の証拠は、たとえば、脾臓およびDLNにおけるNK細胞の一時的な活性化として検出され、更に免疫応答の開始を示している。抗CD3免疫組織化学は、三重療法後11日目において劇的に増大した、非処理腫瘍の低いT細胞浸入を明らかにした。40日目に処理した腫瘍は、25日目に処理した腫瘍と比較して、T細胞浸入の減少を示した(図10)。
【0179】
我々は、コントロールマウスと比較して、三重療法を受けたマウスの脾臓において、CD11bGR1細胞のパーセンテージが非常に高いこと発見した(最高30%の細胞)。断言できないものの、コントロールと比較して、三重療法を受けたマウスのDLNにおいて、CD11bGR1細胞のパーセンテージがより高かった(図9F、G、H)。この集団は、特異的な顆粒球マーカーLy6Gを発現するが、IL−4受容体α鎖を発現しない。これらのマーカーは、この集団を非抑制性の顆粒球/好中球として同定した(図11)。最後に、CD11b+GR1+骨髄性サプレッサー細胞の強力な増加が脾臓において認められ、およびDLNでもより中程度に認められた(図9F、G、H)。
【0180】
[考察]
本研究の目的は、最近開発されたCyaA−E7治療ワクチンによって示される抗腫瘍活性を増強する組み合わせ治療を試験することであった。このワクチンは、いずれかのアジュバントが存在しない場合に、抗腫瘍性免疫を誘導する著しい特質を有するが、腫瘍の進行に伴って、その効果は消失する(図1)。我々の結果は、このワクチンの最大の活性を示すためには、先天性免疫系が活性化され、同時に、免疫系の制御性成分が下方制御されなければならないことを示す。
【0181】
先天性免疫系の活性化は、合成TLRリガンドによって容易に実行できる。にもかかわらず、全てのリガンドが良好に機能するわけではなく、我々は、DOTAPとの組み合わせによるTLR−7リガンド、R848およびpUの場合に、同じTLRのリガンドの中においてでさえ差を検出することができた。この知見に対する説明は、オリゴヌクレオチドのリポソーム製剤に対する小分子R848の異なる薬物動態学的プロファイルでありえ、TLR誘発に基づく新規のアジュバントの開発のための基礎的な範囲を強調している。最高の結果は、DOTAPとの組み合わせにおけるホスホロチオネートCpGオリゴヌクレオチドにて得られ、接種から25日目にて処理された腫瘍の50から60%の完全な根絶が得られた。残りの腫瘍において、成長の遅延を達成できたものの、最終的には成長した。この進行した腫瘍モデルでは、TLRリガンド単独の投与は、腫瘍成長に対して何ら効果を有しなかった。それゆえに、CyaA−E7の同時投与が、治療効果を得るために要求された。
【0182】
試験した異なるアプローチは、免疫療法および化学療法の共同作用である。我々は、抗腫瘍性ワクチンの有効性を増強することが示されている(21)、シクロホスファミドおよびドキソルビシンという名の2つの広く使用される薬剤を選択した。そのうえ、ドキソルビシンの腫瘍内注入は、腫瘍免疫拒否をもたらす免疫原性の細胞死を誘導することが近年示された(22)。しかしながら、我々のモデルでは、シクロホスファミドのみが、CyaA−E7と組み合わせた場合にアジュバント活性を有し、処理したマウスの約60%において腫瘍の退縮が誘導された。対照的に、ドキソルビシンは、腫瘍内経路または静脈内経路にて使用された場合、何ら効果を示さなかった。シクロホスファミドの低用量の単回投与は、一過的に腫瘍成長を制御したが、完全な根絶を誘導することはできなかった。TLRリガンドの場合、CyaA−E7の投与は不可欠であった。低用量のシクロホスファミドは、Tregの数を減少させおよびTregを不活性化させることが近年示された(13,23,24)。我々のモデルにおいて、CD4+細胞に対するCD25+FoxP3+細胞の高いパーセンテージは、腫瘍浸透型リンパ球(tumor−infiltrated lymphocytes)において検出され、このパーセンテージは、腫瘍の進行にともない、流入領域リンパ節および脾臓において増大した。シクロホスファミドの投与の4日後、脾臓および流入領域リンパ節において、これらの細胞のわずかな減少が検出されたが、最も強力な減少は腫瘍浸透型リンパ球にて検出され、CD25+FoxP3+/CD4+のパーセンテージは、約50%から30%未満まで減少し、腫瘍関連T制御性細胞(TA−Treg)のシクロホスファミドに対するより高い感受性を反映している。TA−Tregの恒常性の変化は、CTX処理に続く腫瘍間質細胞相互作用の障害における鍵となるステップである可能性がある(25)。CTX処理は、実際、IFN−γを産生することができず、およびIL−10産生腫瘍浸潤性マクロファージをIFN−γ生産者に変更させることができないことが示され、腫瘍浸潤性T細胞の機能的プロファイルを修飾することが報告された。この障害は、我々のモデルにおいて完全な退行を誘導するには不十分であるものの、CyaA−E7によって誘導される効果細胞の道を開く。それゆえ、CyaA−E7によって誘導される効果細胞を増強する処理は、低用量シクロホスファミドと協同するということが予想できる。実際、最大の応答は、低用量シクロホスファミド、CpG−B/DOTAPおよびワクチン接種のCyaA−E7との組み合わせによって達成された。DC由来エキソソーム(exosomes)の形態におけるCpG、CTXおよびワクチンの組合せは、Taiebらによって、大きなB16A2/gp100腫瘍の治療のために研究されている(23)。しかしながらこのモデルにおいて、CpGは、CTXとの組み合わせで投与されるDC由来エキソソームの抗腫瘍性の有効性を増強しなかった。これらの結果と対照的に、我々は、三重療法の3つの成分、CyaA−E7、CpG−B/DOTAPおよびCTXの間での強力な共同作用を認めた。この三重療法は、平均直径が8mmの腫瘍の接種から25日後において、治療した動物の87%において、大きく、確立された腫瘍を根絶することができた。有効性は、大きな腫瘍であるが接種から40日後に処理したマウスにおいてでさえ減少し、腫瘍の平均直径がおよそ2cmに達したとき、全ての腫瘍が一時的なサイズ減少を示し、有効な免疫応答の誘導を反映している。注目に値するのは、これらの巨大な腫瘍を有する12匹のマウスの内2匹が完全にそれらを根絶したことである。そのうえ、最初の処理から15日目後の三重療法の第2の投与は、処理したマウスの43%において腫瘍の根絶をもたらした。これらの結果は、E7タンパク質が形質移入されたEL4細胞の接種に基づく異なる腫瘍モデルを使用して、更に確証された。
【0183】
三重療法によって誘導される免疫応答の分析は、CpG/DOTAP処理が、試験したアジュバントの内、CyaA−E7単独と比較してE7特異的なCD8T細胞応答を有意に増大させることができた唯一のアジュバントであることを示した。担癌動物において、この差は減少し、その処理がなお四量体細胞のパーセンテージを増加させたにもかかわらず、差は統計学的に有意でなかった。CpG/DOTAPおよびワクチンとのCTXの投与は、おそらく全身リンパ球枯渇の結果として、E7特異的CD8T細胞応答を減少させた。対照的に、インビボCTL活性は、CpG/DOTAPのそれと同等のレベルに維持され、または、担癌マウスにてより高かった。この為、三重療法によって誘導されるCTLsは、細胞あたりのより高い死滅活性を示した。CTXの投与は、担癌動物にてわずかに免疫応答を増加させたが、コントロールマウスでは増加させなかった。この増加は、CpG/DOTAPによって誘導される場合以下であった。それゆえに、両処理は、CyaA−E7の抗腫瘍性の活性を増強できるが、明らかに異なる作用機序によるものである。
【0184】
担癌宿主のワクチン接種後のTregの増大は、マウス(26,27)およびヒト(28)の両方において報告され、治療的癌ワクチンが腫瘍特異性のT細胞耐性を強化できる可能性が強調される。我々の腫瘍モデルでは、処理されたマウスの約90%において腫瘍の根絶をもたらす、三重療法によって誘導される強力な抗腫瘍性の免疫と平行して、FoxP3+CD4+の増大は、脾臓および流入領域リンパ節において検出された。加えて、脾臓、流入領域リンパ節および腫瘍におけるCD25マーカーに関するFoxP3+CD4+コンパートメントの組成は、三重療法後に変化し、CD25−細胞の増加を示している。これは、以前に報告されたように、腫瘍誘導型制御性CD25−CD4+の増大を反映している可能性がある(27)。細胞当たり細胞基準(cell per cell basis)において、CD4CD25FoxP3細胞は、CD4CD25FoxP3細胞と同定度に制御性であることが示されている(31)。我々は、三重療法に続いて、脾臓および流入領域リンパ節における好中球の実質的な増大を認めた。炎症反応の鍵となる成分として、好中球は、抗原提示細胞の動員、活性化およびプログラミングに対して重要な役割を果たし、第2の免疫応答の質に寄与する(33、34)。しかしながら、好中球の増大は、活性酸素種の分泌によって、進行中の抗腫瘍性の応答に対して、有害に影響する可能性がある(35)。
【0185】
さらに、脾臓および流入領域リンパ節において、CD11b+GR1+骨髄性サプレッサー細胞は大きく増大し、このことは、NOの分泌によって直接的に(29)またはT制御性細胞のシミュレーションによって間接的に(30)、進行中の抗腫瘍性の応答に有害な影響を及ぼす可能性がある。興味深いことに、これらの細胞はまた、TC−1成長の後期に、三重療法が完全な腫瘍退縮を誘導できなかった脾臓において増大した。
【0186】
この為、シクロホスファミドは、唯一、ワクチンの初回刺激段階の免疫系の制御性成分を制御し、エフェクター段階の制御システムの増大は、腫瘍接種後40日に免疫化されたマウスにおけるエフェクター免疫応答の抑止の、部分的な原因となる可能性がある。従って、免疫応答のエフェクター段階の際における、免疫系の制御性成分の誘導を遮断するまたは不活性化を促進する新規の戦略は、エフェクター機能の利益となるようにバランスを変えて、評価されるべきである。
【0187】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗癌療法における使用に適した化合物を含む部分のキットであって、ここにおいて前記部分のキットの前記化合物は、
(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的化する前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている)を含み;更に、
(ii)患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤、
を含む部分のキット。
【請求項2】
以下のそれぞれの化合物を含む、請求項1に記載の部分のキット:
(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的とする前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている);
(ii)患者における制御性細胞応答の調整に適した薬剤;および
(iii)患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部分のキットであって、同一または異なる腫瘍関連抗原の異なるエピトープを有する、少なくとも2つの異なる組換えCyaAタンパク質またはその断片を含む部分のキット。
【請求項4】
請求項2または3に記載の部分のキットであって、患者における先天性免疫応答の活性化に適した前記アジュバント成分が、核酸、ペプチドグリカン、炭水化物、ペプチド、サイトカイン、ホルモンおよび小分子から成る成分の群から選択され、前記アジュバント成分が、パターン認識受容体(PRRs)を介したシグナル伝達が可能である部分のキット。
【請求項5】
請求項4に記載の部分のキットであって、前記アジュバント成分によって標的化されるパターン認識受容体が、Toll様受容体(TLR)、ヌクレオチド結合オリゴマー形成ドメイン(NOD)タンパク質またはC型レクチンである部分のキット。
【請求項6】
請求項2から5の何れか1項に記載の部分のキットであって、患者の先天性免疫応答の活性化に適した前記アジュバント成分が、TLRアゴニストである部分のキット。
【請求項7】
請求項6に記載の部分のキットであって、前記TLRアゴニストが、TLR−9、TLR−8、TLR−3およびTLR−7アゴニストの群から選択される部分のキット。
【請求項8】
請求項6または7に記載の部分のキットであって、前記TLRアゴニストが、合成TLRアゴニストまたは合成TLRアゴニストの組み合わせである部分のキット。
【請求項9】
請求項8に記載の部分のキットであって、前記TLRアゴニストが、CpGオリゴヌクレオチド(CpG ODNs)、一本鎖RNAポリウリジン(pU)、イミダゾキノリンアミン誘導体、例えばR848(レスキモド)またはR837(イミキモド)、ポリシチジル酸(PIC)の群から選択される部分のキット。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の部分のキットであって、制御性細胞応答の調整に適した前記薬剤が、患者における制御性T細胞応答の調整に適した薬剤であり、且つ、制御性T細胞の免疫抑制能力を低下させまたは遮断することができる部分のキット。
【請求項11】
請求項1から9の何れか1項に記載の部分のキットであって、制御性細胞応答の調整に適した前記薬剤が、患者における骨髄性サプレッサー細胞(MSCs)の活性の調整に適した薬剤である部分のキット。
【請求項12】
請求項11に記載の部分のキットであって、制御性T細胞応答を調節する前記薬剤が、これらの細胞を減少または失活させることによって、前記制御性T細胞の輸送を変化させることによって、または、前記細胞の分化およびシグナル伝達を変化させることによって、前記制御性T細胞を標的化する部分のキット。
【請求項13】
請求項10または11に記載の部分のキットであって、制御性応答を調節する前記薬剤が、APCsまたはT細胞における抑制性の分子を標的化する、または、可溶性抑制分子を標的化する部分のキット。
【請求項14】
請求項1から12の何れか1項に記載の部分のキットであって、制御性応答を調節する前記薬剤が、腫瘍の負担を減少させること、腫瘍細胞のCTL感受性を増加させること、または、免疫制御性T細胞の数および/または活性を減少させることにおけるその特性のために選択された化学療法剤である部分のキット。
【請求項15】
請求項10から14の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記化学療法剤が、シクロホスファミドといったアルキル化剤である部分のキット。
【請求項16】
請求項10から14の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記化学療法剤が、挿入剤である部分のキット。
【請求項17】
請求項2から16の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記アジュバント成分、特にTLR−アゴニストが、リポソーム懸濁剤として処方される部分のキット。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1項に記載の部分のキットであって、抗癌療法における使用に適した(i)組換えタンパク質および(ii)TLRアゴニストが、時間的に同時の投与のために処方される部分のキット。
【請求項19】
請求項14、15または16に記載の部分のキットであって、前記化学療法剤が、組換えタンパク質TLRリガンドに関して、先の、後のまたはその両方の経時的投与のために処方される部分のキット。
【請求項20】
請求項1から19の何れか1項に記載の部分のキットであって、HPV感染に苦しむ患者における免疫応答を刺激および/または増強するための使用のための部分のキット。
【請求項21】
請求項1から20の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記腫瘍関連抗原が、腫瘍関連HPV抗原である部分のキット。
【請求項22】
請求項20に記載の部分のキットであって、癌がHPV感染に関連する抗癌療法における使用のための部分のキット。
【請求項23】
請求項1から19の何れか1項に記載の部分のキットであって、腫瘍関連抗原が、メラノーマ、特に転移性メラノーマ;肺癌;頭頚部癌;食道癌;膀胱癌、特に浸潤性膀胱癌;前立腺癌;乳癌;結腸直腸癌;腎臓細胞癌;肉腫;白血病;骨髄腫に特有である部分のキット。
【請求項24】
請求項1から23の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記腫瘍が、血管新生化、浸潤性または転移性腫瘍を含む、確立された腫瘍である、または、前記癌が進行癌である部分のキット。
【請求項25】
請求項1から24の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、CD11b/CD18抗原提示細胞を標的化する前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特性を維持するCyaAタンパク質の断片を含む部分のキット。
【請求項26】
請求項25に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、前記標的化細胞の細胞質への、前記ポリペプチドの前記エピトープの移行または前記ポリペプチドの移行を可能にするCyaAの特性を維持するCyaAタンパク質の断片を含む部分のキット。
【請求項27】
請求項1から26の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、CyaAタンパク質の断片の同一または異なる許容部位に挿入された、1または複数の腫瘍関連抗原、特にHPV抗原の1または複数のエピトープを有するポリペプチドを含み、前記断片が約30から約1300のアミノ酸残基を含み、前記断片が、前記CyaAタンパク質のアミノ酸残基1208から1243または前記CyaAタンパク質のアミノ酸残基1166から1281を包含する部分のキット。
【請求項28】
請求項1から24の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、前記ポリペプチドの、前記標的化細胞の細胞質への移行を可能にする能力を有する全長CyaAタンパク質である部分のキット。
【請求項29】
請求項28に記載の部分のキットであって、前記CyaAタンパク質が、コドン224から225の間の位置に相当する位置における、1または複数のポリペプチドの挿入によって組み込まれた部分のキット。
【請求項30】
請求項1から29の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、約5から約500若しくは約5から約200若しくは約10から約50のアミノ酸残基または約30若しくは50から200のアミノ酸残基を含むポリペプチド、および/または、前記アミノ酸残基を一緒に含む複数のポリペプチドを含む部分のキット。
【請求項31】
請求項1から30の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記ポリペプチドに対する抗原特異的応答を誘発することができる部分のキット。
【請求項32】
請求項20から22の何れか1項に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有し、前記組換えタンパク質に含まれる少なくとも1つのポリペプチドが、発癌性HPV、特にHPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV45、HPV52またはHPV58に由来する部分のキット。
【請求項33】
請求項20から22の何れか1項または請求項32に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有し、前記組換えタンパク質に含まれるポリペプチドが、L1、L2、E1、E2、E4およびE5タンパク質の中から選択されるHPV抗原に由来する部分のキット。
【請求項34】
請求項1から22の何れか1項または請求項32に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有し、前記組換えタンパク質に含まれるポリペプチドが、HPV16および/またはHPV18のE6またはE7タンパク質に由来する部分のキット。
【請求項35】
請求項1から22の何れか1項または請求項32から34の何れか1項に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有し、前記組換えタンパク質に含まれる複数のポリペプチド(前記ポリペプチドは、1または複数のHPV抗原に由来する)を含む部分のキット。
【請求項36】
請求項34または35に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有するポリペプチドが、HPV16のE7タンパク質に、または、HPV18のE7タンパク質に由来する部分のキット。
【請求項37】
請求項34から36の何れか1項に記載の部分のキットであって、1または複数のエピトープを有し、前記組換えタンパク質に含まれるポリペプチドが、全長E6またはE7タンパク質である部分のキットである。
【請求項38】
請求項1から37の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記CyaA配列またはその断片の異なる許容部位に挿入される、組換えタンパク質に含まれる複数のポリペプチドを含む部分のキット。
【請求項39】
請求項38に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質に含まれる複数のポリペプチドが、HPV16のE7タンパク質の残基1から29を含む断片および/または残基42から98を含む断片、または両断片を包含し、前記ポリペプチドが、前記CyaAタンパク質またはその断片の異なる許容部位に挿入される部分のキット。
【請求項40】
請求項1から39の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質に含まれるポリペプチドが、アミノ酸配列RAHYNIVTF(E749−57)および/またはGQAEPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIR(E743−77)または(I/A)(D/S)GVNHQHLを含む断片を包含する、または前記断片から成る部分のキット。
【請求項41】
請求項1から40の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質に含まれる前記ポリペプチドまたは前記複数のポリペプチドが、分裂したナイーブHPV抗原から成り、前記分裂が、前記HPV抗原の酸性領域の1または複数のアミノ酸残基の欠失から成り、および/または、前記アデニル酸シクラーゼの少なくとも2つの許容部位に挿入される前記HPV抗原の少なくとも2つのポリペプチド断片に存する部分のキット。
【請求項42】
請求項1から41の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質CyaAタンパク質が細菌性タンパク質である部分のキット。
【請求項43】
請求項42に記載の部分のキットであって、前記CyaAタンパク質が、ボルデテラ種、特にボルデテラ・ペルツシスに由来する部分のキット。
【請求項44】
請求項1から43の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質がCyaAタンパク質を含み、酵素活性が不活性化されており、特に遺伝的に不活性化されており、または、シクラーゼ活性に関するCyaAのアミノ酸配列の部位にジペプチドが挿入された結果として不活性化された部分のキット。
【請求項45】
請求項1から44の何れか1項に記載の部分のキットであって、前記組換えタンパク質が、1または複数の抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片が、抗原提示細胞に標的化する前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特性を維持しており、少なくとも1つの前記エピトープが、亜優占的潜在性T細胞エピトープであり、および、前記組換えタンパク質が、前記ポリペプチドに対する抗原特異的応答を誘発できる部分のキット。
【請求項46】
請求項45に記載の部分のキットであって、前記潜在性エピトープが、HPVのエピトープ、特にHPVのE7タンパク質のエピトープである部分のキット。
【請求項47】
請求項46に記載の部分のキットであって、前記潜在性エピトープが、HPV18 E7タンパク質のエピトープ、特に配列IDGVNHQHLを有するエピトープである部分のキット。
【請求項48】
請求項2から47の何れか1項に記載の部分のキットであって、(i)、(ii)および(iii)として示される前記化合物のうち2つが組成物として処方され、第3の化合物が独立して存在する部分のキット。
【請求項49】
請求項48に記載の部分のキットであって、a)前記組成物が、(i)1または複数の腫瘍関連抗原の1または複数のエピトープを有する1または複数のポリペプチドを含む組換えタンパク質(ここにおいて、前記ポリペプチドは、アデニル酸シクラーゼ(CyaA)タンパク質またはその断片の同一または異なる許容部位に挿入されており、前記CyaA断片は、抗原提示細胞を標的化する前記アデニル酸シクラーゼタンパク質の特質を維持している)、または、そのような組換えタンパク質の混合物(ここにおいて、少なくとも1つの前記エピトープ、または腫瘍関連抗原、またはCyaAタンパク質の挿入部位、または前記CyaAタンパク質の断片は、混合物中の様々な組換えタンパク質の間で異なっている);および(ii)患者における先天性免疫応答の活性化に適したアジュバント成分を含み、および、b)患者における制御性応答の調整に適した薬剤が独立に存在する部分のキット。
【請求項50】
請求項1から47の何れか1項に定義される化合物を含む組成物。
【請求項51】
哺乳類宿主における細胞介在性免疫応答の誘発のための、請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
細胞介在性細胞溶解性免疫応答の誘発のための、請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
体液性免疫応答の誘発のための、請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
患者におけるHPV感染に起因した悪性転換の開始および維持の予防または治療のための、請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項55】
浸潤性または血管新生化または転移性腫瘍の治療における使用のための請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項56】
メラノーマ、癌腫、肉腫または白血病の治療における使用のための請求項1から47の何れか1項に記載の部分のキットまたは請求項50に記載の組成物。
【請求項57】
少なくとも1つの前記部分のキットの化合物または組成物の2回以上の投与を包含する治療プロトコールにおける使用のための請求項51から56の何れか1項に記載の部分のキットまたは組成物。

【図1.1】
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【図1.2】
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【図2.1】
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【図2.2】
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【図3】
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【図4】
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【図5.1】
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【図5.2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−509191(P2010−509191A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526197(P2009−526197)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003093
【国際公開番号】WO2008/026071
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(596009674)アンスティテュ・パストゥール (23)
【出願人】(596005872)アンスティテュ・ナシオナル・デゥ・ラ・サンテ・エ・デゥ・ラ・ルシェルシュ・メディカル (8)
【Fターム(参考)】