説明

I.S.ガラス成形マシーンのためのブランク型

【課題】漏斗機構を使用することなく、ゴブの軌道を改良することができる改良されたI.S.マシーンの提供。
【解決手段】I.S.マシーンのためのブランク型が一対の対向している係合せしめられるブランク10によって作られている。これらのブランク10は、閉塞されたときに開口を有する頂面36を備えている。当該ブランクは、ブランクの頂面の下方所定距離の位置まで上方へ延びているパリゾンの側壁を規定している内側面と、前記パリゾンの側壁を規定している内側面の頂部と前記ブランクの頂部開口とを結合している連続的な傾斜面とを備えている。各々が、円形の水平方向に配置されている頂部開口61から、比較的小さな中央に配置されている底部開口56まで下方へ延びている連続的な傾斜面を有している一対の漏斗が前記ブランクの頂部に嵌合されており、前記ブランクの頂部開口と前記漏斗の底部開口とは同一の広がりを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスのゴブを成形してボトルにするI.S.マシーンのためのブランク型に関する。
【背景技術】
【0002】
I.S.マシーンには、供給器からの個々の溶融ガラスのゴブが供給される。当該ゴブは、給送装置によって経路を定められ、給送装置は各ゴブをマシーン内の所望のブランク型内へ落下させる。マシーンは、多数の区分例えば10個の区分を有しており、各区分は、サイクル毎に同じ数のボトル、例えば2個のボトルを形成する。このようなダブルゴブマシーンにおいては、各区分は一対のブランク型を有するであろう。各ブランク型は、2つの対向する側方型半体又はブランク型によって規定されており、当該型半体は、型開閉機構によって、開放位置から型半体同士が係合してそれらの間に型底部をクランプする閉塞位置まで動かされる。これらの型は頂部が開いている。ゴブは型内に落下し、頂部開口はバッフル(遮蔽板)によって閉じられるであろう。バッフルの下面は、ブランクの内面及び型底部と共に、ブランク型内に形成される“パリゾン”の外面を規定する。
【0003】
ゴブが型の垂直軸線に沿って型内へ垂直方向に落下することは有利である(このことは、非円形の製品が形成されるようになされている場合には更に重要であり得る)。実際にはこのような垂直落下は起こらず、オペレータは、型内へのゴブの給送を改良するために漏斗機構に頼るかも知れない。1928年に開発されて以来使用されて来ている漏斗機構(米国特許第1,911,119号参照)は、遠隔位置から、漏斗の軸線が型の軸線と同軸で且つ型の真上となる前進作動位置まで動かすことができる漏斗を支持している装置である。漏斗は、ゴブが所望通りにブランク型内へ入るように、ゴブの下方への軌道を改良するであろう(特許文献1参照)。
【0004】
マシーンの実際のシーケンスにおいては、ブランク型は閉じられ(頂部は開いている)、漏斗が型の頂部上の作動位置まで動かされ、ゴブが漏斗を介して型内へ落され、バッフル機構がバッフルを遠隔位置から漏斗の頂部上の作動位置まで進入させるであろう。“吹込み沈降”空気は、バッフルから型内へと下方へ吹き込まれてゴブを型内へと押し下げるであろう。“吹込み沈降”が完了すると、バッフルは遠隔位置へ戻され、漏斗は遠隔位置へ後退せしめられ、バッフルはブランク頂部を閉じる作動位置へ動かされるであろう。このようにして“パリゾン”が形成されるであろう。ひとたび成形され、(そして、搬送できる状態まで冷却されると)、バッフルは遠隔位置へと戻され、ブランク型は開かれ、“パリゾン”は吹き込み成形ステーションへ移動されて吹き込み成形されてボトルにされる。
【特許文献1】米国特許第1,911,119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、漏斗機構を使用することなく、ゴブの軌道を改良することができる改良されたI.S.マシーンを提供することである。
【0006】
本発明のその他の目的及び利点は、本明細書の以下の部分及び特許法による権利付与規定に従って本発明の原理を組み込んでいる現在の好ましい実施形態を例示している添付図面から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明においては、I.S.マシーンのためのブランク型を、相互に境界を画定している対向して係合される一対のブランクと、開口部を備えた頂面と、パリゾンの側壁を形成している内側面であって前記ブランクの頂面の下方規定された距離位置まで上方へ延びている内側面と、前記パリゾンの側壁と前記ブランクの頂部開口を規定している前記内側面の頂部とを結合している連続した傾斜面と、各々が下方に開口している円形の水平方向に配置された頂部開口から当該頂部開口より小さく且つ中心に配置された底部開口まで延びている連続した傾斜面を有している一対の漏斗と、各漏斗を当該漏斗が嵌合するブランクに解除可能に結合するための手段と、によって構成し、前記漏斗の対とブランクの対とが嵌合手段を有し、各漏斗が当該漏斗の前記ブランクの頂部開口と底部開口とが同一の広がりを有する状態で前記ブランクの対の関連するものに嵌合できるようにしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
I.S.マシーンの各部分のブランクステーションは、1以上のブランク型を有しているであろう。各ブランク型は、一対の対向する型半体又はブランク10を有している。各ブランクは多数の空気通路12を有しており、これらの多数の空気通路12は型内を垂直方向に貫通して延びており且つブランクの周囲に配置されている。当該ブランクは、型開閉機構上の適当なフランジ16によって受け取られる多数の吊り部材14を有している。更に、型開閉機構の一部分は、空気を空気通路に供給する吹出口18でもある。
【0009】
ブランク10は、パリゾンの側壁を規定している内側面20を備えている。バッフル24の底面22は、ねじ26によってバッフル頭部28に固定されている。図示したように、バッフルがその最も下方の位置にあるときに、前記底面はパリゾンの底面を規定する(パリゾンは逆さまに形成されている)。バッフル24とブランク10とは、閉塞されたブランクの内側の所望の密封にもたらすように適合する傾斜環状面30,32を有している。
【0010】
図2は、半環状開口34が長円形の基部を有している非円形ボトル用として長円形とされていることを示している。ブランクの傾斜面32は、水平な平らな頂面36において終端している。この面は、ブランクの半円筒形外方頂部40から始まっている半円筒形外方端縁38を有している。半環状凹部42が半円筒形外方端縁に規定されており、当該半円筒形外方端縁38内にはねじ穴44が設けられている。
【0011】
半円筒形漏斗50は、ブランクの凹んだ頂部内に配置するための内側に凹んだ底部52を備えている。ねじ54が前記漏斗をブランクの頂部上の定位置に保持している。図3からわかるように、漏斗は、ブランクの頂部長円形開口58に対応する底部長円形開口56を有している。漏斗の内側を向いた面60は、円形頂部開口61へと上方に推移している。傾斜が付けられた半円筒形密封面62が、頂部開口61と狭い頂面64との間に延びている。
【0012】
バッフル機構は、アームに固定されている頭部28を含んでおり、当該アームは、一般的な方法で、遠隔位置から、閉塞されたブランクの上方位置まで移動可能である。前記頭部は、2つの垂直方向位置を有している。すなわち、1.バッフルがブランクの傾斜密封面32から隔置されている“吹込み沈降”位置と、2.頭部の傾斜密封面30がブランクの密封面32と係合する下方位置と、を有している。図4は、位置決めピン72を受け入れるための垂直方向穴70を備えたバッフルの長円形形状を示している。“吹込み沈降”位置においては、空気は、頭部28内の穴66を介してブランク型内へと導かれる。下方位置においては、バッフルの底部の傾斜面68は、バッフル24をブランクに対して配置するように漏斗上の対応する面62と係合している。
〔発明の効果〕
【0013】
漏斗がブランクの一部分である状態では、もはや漏斗を移動可能な機構上に支持する必要はない。このことは、所望の機能を果たすコストを著しく低減させるばかりでなく、プロセスをスピードアップさせる。なぜならば、バッフルは、一回動かすだけで良く、漏斗機構の動きが排除されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、閉塞位置にある一対のブランク型の正面断面図である。
【図2】図2は、図1のY−Yにおいて断面したブランクのうちの一つの断面図である。
【図3】図3は、図1のX−Xにおいて断面した漏斗の断面図である。
【図4】図4は、図1に示したバッフル機構内のバッフルの頂面図である。
【符号の説明】
【0015】
10 ブランク、
12 空気通路、
14 吊り部材、
16 フランジ、
18 吹出口、
20 内側面、
22 底面、
24 バッフル、
26 ねじ、
28 バッフル頭部、
30,32 傾斜環状面
34 半環状開口、
36 頂面、
38 半円筒形外方端縁、
40 半円筒形外方頂部、
42 半環状凹部、
44 ねじ穴、
50 半円筒形漏斗、
52 内側に凹んだ底部、
54 ねじ、
56 ブランクの底部長円形開口、
58 ブランクの頂部長円形開口、
60 漏斗の内側を向いた面、
61 円形頂部開口、
62 半円筒形密封面、
64 頂面、
66 穴、
68 バッフルの底部の傾斜面、
70 垂直方向穴、
72 位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
I.S.マシーンのためのブランク型であって、
相互に境界を画定している対向して係合される一対のブランクと、
開口部を備えた頂面と、
パリゾンの側壁を形成している内側面であって、前記ブランクの頂面の下方規定された距離位置まで上方へ延びている内側面と、
前記パリゾンの側壁を規定している前記内側面と前記ブランクの頂部開口とを結合している連続した傾斜面と、
各々が、下方に開口している円形の水平方向に配置された頂部開口から、当該頂部開口より小さく且つ中心に配置された底部開口まで延びている連続した傾斜面を有している一対の漏斗と、
各漏斗を当該漏斗が嵌合するブランクに解除可能に結合するための手段と、を含み、
前記漏斗の対とブランクの対とは嵌合手段を有し、各漏斗が当該漏斗の前記ブランクの頂部開口と底部開口とが同一の広がりを有する状態で、前記ブランクの対の関連するものに嵌合できるようになされているブランク型。
【請求項2】
請求項1に記載のブランク型であって、
前記漏斗の底部開口が前記ブランクに適合し、前記係合されたブランクの頂部開口が長円形であるブランク型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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