説明

ICカードトレイ、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタ

【課題】ICカード挿入・取り出しの操作性向上、装着されたICカードの視認性向上が可能なICカードトレイおよびICカードトレイを備えたICカードリーダライタを提供すること。
【解決手段】載置すべきICカードの片面に面接触可能で、かつ少なくとも一部がほぼ透明である底面部と、この底面部から起立して設けられ、面接触させられたICカードの位置を規制する起立部とを具備するICカードトレイおよびこのICカードトレイを有するICカードリーダライタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードを装着可能なICカードリーダライタへICカードを挿入するため、ICカードリーダライタから取り出すため、およびICカードリーダライタ内部でICカードを保持するため必要なICカードトレイならびにこのようなICカードトレイを備えたICカードリーダライタに係り、特に、小型のICカードに対応するのに好適なICカードトレイおよびICカードトレイを備えたICカードリーダライタに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、ディジタルカメラ、およびディジタル録音装置などの情報商品の普及に伴い、消費者の情報保存機器に対する要求も日増しに増加している。また、いつでもどこでもというユビキタス社会に向かってモバイル機器の開発が活発化している。このような状況の中、軽薄短小の流れに沿って、各種データを保持したカード状電子部品が多く利用されるようになっている。
【0003】
カード状電子部品をホスト機器への挿入し取り出すための機構については、例えば、下記特許文献1、特許文献2にあるようにトレイを利用した機構が提案されている。これらの機構は、PCMCIA(personal computer memory card international association)カードに代表される、カードの端面に入出力コネクタが形成されたカードの使用を前提としており、厚さが1mm以下であるようなICカードには適用が困難である。
【0004】
また、コンピュータシステムやネットワークシステムでは、データ保護やセキュリティ対策の要求が高まっている。このような要求に対して、ICデバイスを組み込んだカード状電子部品であるICカードは、その耐タンパ性やデータの保持性能の点から極めて高いセキュリティを持つものとして広く使用されている。一般的なICカードは、磁気カードと同じ大きさの54mm×86mm×厚み0.8mmであり、上記のPCMCIAカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カードより厚みが薄い。このような薄いカードをホスト機器へ挿入し取り出すための機構には、例えば下記特許文献3にあるようなローディング機構や、挿入時に押し込むことによりロック固定し取り出すときにさらにカードを押すとカードが飛び出してくるような機構(プッシュバック機構)がある。
【0005】
他方、上記のICカードとは異なる、大きさが非常に小さいICカードが、近年、携帯電話端末などに装着可能になっている。SIM、UIM、またはUSIMカードと呼ばれ、セキュリティIDモジュールとして用いられる。UIM(user identity module)は、携帯電話会社が発行する契約者情報を記録した小型ICカードであり携帯電話端末に組み込んで利用者の識別に利用する。このUIMは、同様の機能を有するSIM(subscriber identity module)から機能拡張されたもので、契約者情報以外に電話帳などのプライベート情報やクレジット決済用の個人識別情報などを暗号化して登録することもできる。UIMはSIMをベースとしているのでUSIM(universal SIM)とも呼ばれる。
【0006】
SIMは、GSM携帯電話サービスの利用を目的とするが、UIMは、例えば、米国のcdma2000携帯電話機に差し込んで国際ローミングサービスを受けるといった使用方法が考えられている。携帯電話端末に代表される携帯機器本体を個別に所持するのではなく、SIMカードを差し替えることによって使用者と携帯機器を合致させたり、他人に携帯機器を使用できないようにしたりすることができる。このためSIMカードはホスト機器に挿入、取り出しができるようにすることが必要になる。以下、本願明細書では「SIM」の表記によりUIMやUSIMを含んで意味する場合がある。
【0007】
SIMカードのホスト機器への挿入・取り出しのためには、例えば、上記の通常のICカードと同様にプッシュバック機構を用いることができる。または、下記特許文献4にあるようにトレイを用い、トレイへSIMの装着してこのトレイ自体をカード状電子部品として扱うような形態も提案されている。
【特許文献1】実開平5−36524号公報
【特許文献2】特開2001−101348号公報
【特許文献3】特開平7−244711号公報
【特許文献4】特開2001−143045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
SIMカードをホスト機器に挿入・取り出す操作性は製品として重要なポイントになっている。従来のSIMカードの挿入・取り出しのための構造は、機構が複雑、SIMカードと電気的接触するコネクタが高価になるというような改善すべき点がある。また機構が複雑であるため、機構が壊れた場合への対応も必要になっている。例えば、SIMカードがホスト機器に挿入して取り外しができなくなるという問題を避けるため、SIMカードをコネクタの端子とコンタクトしている力によって保持し、ピンセットなどを使用して取り出し可能にするなどである。
【0009】
このような取り出しは面倒であり、さらには、SIMカードがコネクタの端子とコンタクトしている力によって保持されているだけでは、何らかの衝撃でSIMカードが正規位置から外れることもあり得る。また、挿入されたSIMカードは、その端面や側面が見えるだけであり何のあるいは誰のSIMカードが挿入されているかが分からないという不都合がある。確認するにはホスト機器からSIMカードを取り出す必要が生じ使い勝手が悪い。
【0010】
本発明は、上記の状況を考慮してなされたもので、ICカードを装着可能なICカードリーダライタへICカードを挿入するため、ICカードリーダライタから取り出すため、およびICカードリーダライタ内部でICカードを保持するため必要なICカードトレイならびにこのようなICカードトレイを備えたICカードリーダライタにおいて、挿入・取り出しの操作性向上、装着されたICカードの視認性向上が可能なICカードトレイおよびICカードトレイを備えたICカードリーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係るICカードトレイは、載置すべきICカードの片面に面接触可能で、かつ少なくとも一部がほぼ透明である底面部と、前記底面部から起立して設けられ、前記面接触させられたICカードの位置を規制する起立部とを具備することを特徴とする。
【0012】
すなわち、このICカードトレイは、載置されたICカードを起立部により位置規制することができ、かつICカードをICカードリーダライタに挿入、取り出すときにも起立部がICカードを確実に移動させる。トレイに載置されたICカードはトレイと反対の側からコネクタで電気的接続可能である。このとき、トレイとコネクタとでICカードの上下方向の確実な保持ができる。したがって、このICカードトレイを用いることでICカードの挿入・取り出しの操作性を向上することができる。さらに、トレイ底面部の少なくとも一部が透明なのでトレイにICカードが載置されていることをトレイを介して視認することが容易である。
【0013】
また、本発明に係る、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタは、ICカードが載置されたICカードトレイを挿入するための挿入口を有する、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタであって、上記のICカードトレイと、前記ICカードトレイが前記挿入口に挿入された状態で、前記ICカードトレイの前記起立部に位置規制され載置されたICカードに前記ICカードトレイの側とは反対側から電気的接触すべく設けられたコネクタとを具備することを特徴とする。
【0014】
すなわち、このICカードリーダライタでは、上記のICカードトレイが本体であるこのICカードリーダライタに挿入されたとき、その載置されたICカードの露出する側の面にコネクタが位置する。コネクタとICカードトレイとにより、ICカードの上下方向の位置保持が確実になされつつICカードとコネクタとの電気的接触が確立する。また、ICカードトレイにより上記のようにICカードの位置規制および移動が可能である。さらに、ICカードに面接触するICカードトレイの底面部が少なくとも一部透明なので、ICカードトレイが本体に挿入された状態において、ICカードリーダライタに装着されたICカードの視認がトレイを介して容易にできる。したがって、ICカードの挿入・取り出しの操作性向上、装着されたICカードの視認性向上が達せられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ICカードを装着可能なICカードリーダライタへICカードを挿入するため、ICカードリーダライタから取り出すため、およびICカードリーダライタ内部でICカードを保持するため必要なICカードトレイならびにこのようなICカードトレイを備えたICカードリーダライタにおいて、挿入・取り出しの操作性向上、装着されたICカードの視認性向上が可能なICカードトレイおよびICカードトレイを備えたICカードリーダライタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施態様として上記ICカードトレイは、トレイ形状としてほぼ矩形であり、前記矩形としての頂点の近傍に、突起またはへこみを少なくとも1つ有する、としてもよい。突起またはへこみに対応する相補の部位を本体側に設けることにより、このICカードトレイが本体から引き出されたとき、本体から容易には離脱することがなくなる。
【0017】
また、実施態様として、前記載置されたICカードが面接触する前記底面部の表面とは反対側の前記底面部の表面に溝が形成されている、としてもよい。この溝が形成された底面部の表面は、ICカードトレイが本体に挿入されたとき、載置されたICカードの視認のため外部空間にさらされる面である。そこで、この面に溝を形成してあれば、ICカードトレイを引っ掛けて本体から引き出すのに都合がよい。
【0018】
また、実施態様として、スライド可能な方向と垂直の方向にかつ前記載置されたICカードに干渉しない位置に突起部が形成されている、としてもよい。この突起部を例えば本体から突出させることで、ICカードトレイを本体から引き出すための補助として用いることができる。
【0019】
また、実施態様として、前記載置されたICカードとの面接触を避けるように、端部に連絡しかつ貫通している溝が前記底面部に形成されている、としてもよい。この溝を利用して本体側にICカードの装着の有無を検出する検出器を設けることができる。
【0020】
また、実施態様として、前記起立部は、前記載置されたICカードの一辺に対しては形成されていない、とすることができる。この一辺は例えば本体に挿入するときの手前側とすることができる。手前側から奥にICカードトレイとともにICカードを直接押し込む態様である。ここで、前記起立部が形成されていない前記底面部の部位の少なくとも一部が、前記載置されたICカードとの面接触を避けるように欠落しているとしてもよい。このようにICカードトレイに欠落があると、ICカードトレイが本体から引き出されたとき、ICカードをつまんで取り出すことが容易になる。
【0021】
また、ICカードリーダライタの実施態様として、前記ICカードトレイが挿入された状態で前記挿入口をふさぐトレイカバーをさらに具備し、該トレイカバーにより前記挿入口がふさがれることによって前記ICカードトレイの前記挿入口側への位置規制がされる、としてもよい。このようなトレイカバーにより、ICカードの位置規制とともに、挿入口において筐体の外面との連続性が増しデザイン的にもよい印象を生む。
【0022】
また、実施態様として、前記挿入口に前記ICカードトレイが挿入された状態でかど後退部が手前に位置するように前記ICカードトレイに載置されたICカードをさらに具備する、としてもよい。ICカードをこのような方向で本体内に保持すれば、ICカードがICカードトレイにより本体から挿抜されるときに、ICカードの電極端子の配置上、これとコネクタ接点との接触が移動することによる短絡を確実に防止できる利点がある。
【0023】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るICカードトレイの構成を、その載置されたICカードとともに示す斜視図である。図1をはじめ以下の図3、図4、図12では、説明の都合上、トレイ形状を下から見上げた方向でICカードトレイ1を描く。
【0024】
図1に示すように、このICカードトレイ1は、ICカード2の片面に面接触する底面部と、底面部に載置されたICカード2を位置規制するための起立部1aとを有する。起立部1aは、底面部から起立して設けられるが、載置されたICカード2の一辺の側に対しては全く形成されていない。これは、後述するが、ICカードトレイ1からのICカード2の取り出し・載置の便宜を考慮したものである。ICカードトレイ1の材質は、例えば多少可撓性を有する樹脂とすることができる。
【0025】
図1において、符号1bは引き抜け防止突起、符号1cは貫通溝部である。それらの機能等は後述する。ICカード2には、その片面(ICカードトレイ1の側とは反対側になる面)に電極端子2aが設けられ、ICカードトレイ1に載置されたとき起立部1aの全くない側にそのかど後退部2bが位置する。
【0026】
図2は、ICカード2の構成を示す平面図である。この図は、電極端子2aが設けられた面を示している。SIMカードの場合大きさは図示縦が15mm、横が25mmであり、磁気カードと同じサイズ(54mm×86mm×厚み0.8mm)のICカードより非常に小さい。しかし搭載されるICの機能として変わるところはなく、ICカードとして有し得る機能性は同じである。かど後退部2bはICカード2の向きをユーザに示すためのものである。
【0027】
図3は、図1中に示したICカードトレイ1をそれのみで示す斜視図である。各符号は図1と共通する。図3に示すように、ICカードトレイ1は、その底面部1d(の一部)が少なくとも透明であり、これを通して底面部1d側から載置されたICカードを確認可能である。また、起立部1aの全く形成されていない底面部1d部位の一部には、欠落部1eが形成されている。これは、このICカードトレイ1を欠落部1eを手前に本体から引き出したとき、ICカードをつまんで取り出しやすくまた載置しやすくするためである。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおけるICカードの装着態様を説明する斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。上記説明のICカードトレイ1が本体であるICカードリーダライタに挿入されたときには、その載置されたICカード2を図4に示すような状態で保持する。すなわち、ICカード2の図で上側をICカードトレイ1の底面部1dで、下側を配線基板4に実装されたICカードコネクタ3で位置規制し、かつICカード2の短辺方向と長辺方向のうち一方とをICカードトレイ1の起立部1aにより位置規制する。
【0029】
ICカードトレイ1がその載置されたICカード2の長辺方向に欠落部1eを手前にして引き出されるときには、起立部1aの一部がICカード2を確実に位置変化させ本体からの取り出しを補助する。ICカード2を本体に挿入するときには、本体から引き出されたICカードトレイ1にICカード2を所定方向で載置し、そのあとICカードトレイ1の欠落部1e側およびその側のICカード2の端面を同時に本体側に押し込む。ICカードトレイ1は、本体側に設けられた突き当て面により所定の挿入方向位置で止まる。
【0030】
なお、ICカード2のかど後退部2bが挿入する手前側になるように配線基板4およびICカードコネクタ3を配置しているのは、ICカード2の電極端子2aの配置を考慮したからである。すなわち、ICカード2をこのような方向で本体内に保持すれば、ICカード2がICカードトレイ1により本体から挿抜されるときに、ICカード2の電極端子2aの配置上、これとコネクタ3接点との接触が移動することによる短絡を確実に防止できる。
【0031】
図5は、本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおける配線基板4とICカードコネクタ3との位置関係を示す斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。配線基板4上には、図示していないが、電気的処理を行う各電気/電子部品が実装され、その一部としてICカード2との電気的接触を行うICカードコネクタ3も実装されている。ICカードコネクタ3には、ICカード2の電極端子2aと電気的接触を行うためのばね性のある端子が設けられている。このばね性により本体内にICカード2が装着されたときこれを確実にICカードトレイ1側に押しつけ保持する。
【0032】
図6は、図5に示した配線基板4およびICカードコネクタ3と、装着されたICカード2との位置関係を示す斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。図6に示すように、ICカード2はその電極端子2aの側がICカードコネクタ3に向き合う。
【0033】
図7は、図6に示した配線基板4およびICカード2と、図3に示したICカードトレイ1とのあるべき位置関係を示す斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。図7に示すように、ICカード2の配線基板4とは反対側にICカードトレイ1が位置し、この状態がICカード2の装着状態(保持状態)である。装着されたICカード2は、ICカードトレイ1の一部が透明なのでこれを通してその存在を視認することができる。
【0034】
ICカードトレイ1のICカード2が位置する側とは反対の表面には引き出し溝1fが形成されている。ユーザはこの溝に爪などを引っ掛けて、本体から引き出す方向にICカードトレイ1を動かすことができる。引き出し溝1fに代えて、ICカードトレイ1がスライドする方向と垂直の方向にかつICカード2の位置に干渉しないようにこのICカードトレイ1から突起部を設け本体から突き出させるようにしてもよい。この場合、本体にはその突起部がスライドできるスリットを設けておき、スリット内でこの突起部を動かすことで、本体から引き出す方向にICカードトレイ1をスライドさせることができる。
【0035】
引き抜け防止突起1bは、ICカードトレイ1を本体から引き出すときの引き抜けを防止するためのものであり、矩形のトレイ形状としての頂点近傍に少なくともひとつ設けられる。突起ではなくへこみでもよく、要は本体側の相補する部位の形状による。
【0036】
貫通溝部1cは、載置されたICカード2との面接触を避けるように、ICカードトレイ1の端部に連絡しかつ貫通している。このような形状にすることにより、配線基板4にはICカード2の存在を検出するスイッチを容易に設けることができる。すなわち、貫通溝部1cがスライド方向の切れ込みとしてICカード2の載置位置にくい込んでいるので、図7に示すような位置のICカードトレイ1には反応せず、その装着されたICカード2にのみ反応するスイッチを配線基板4上に設けることは容易である。
【0037】
さらに、切れ込みをトレイ形状の中ほど以上まで深くすることで、このICカードトレイ1を本体から引き出すときその根元を幅方向に狭めて、引き抜け防止突起1bをよけてICカードトレイ1を本体から容易に外せるようにすることも可能である。貫通溝部1cはまた、製造時には、ICカードトレイ1を別体として形成しておき組み立て時に本体側にICカードトレイ1を組み込む(挿入する)ことを容易化する。ICカードトレイ1の組み込み前には本体側に可動部位がないので、その組み立て性が非常によい。
【0038】
図8は、図7に示した配線基板4、ICカード2、およびICカードトレイ1と、ICカードトレイカバー5との位置関係を示す斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。図7に示すように装着されたICカード2は、図8に示すようにその引出し手前側をICカードトレイカバー5により位置規制される。これによりICカード2は上下方向、短辺方向、長辺方向の6方向すべてに位置規制されるので本体側との位置関係が固定する。
【0039】
図9は、図8に示した配線基板4、ICカード2、ICカードトレイ1、およびICカードトレイカバー5と、筐体カバー6との位置関係を示す斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。図9に示すように、筐体カバー6は装着されたICカード2を視認するためのICカード視認開口部6aを有している。この開口部6aは、図示するように、ICカードトレイ1を本体から引き出すための引き出し溝1fにアクセスする開口部でもある。
【0040】
ICカードトレイカバー5は、筐体カバー6に設けられたICカードトレイ挿入口6bにはまり込み、これにより筐体カバー6との連続性を示す形状になっている。またICカードトレイカバー5は、ICカードトレイ1が本体から引き出されている状態では、長手方向の一方端部が筐体カバー6に係合して外れないようになっており、紛失が防止される。なお、符号6cはLED導光穴であり、配線基板4上に実装されたLEDの発光を通過させるためのものである。
【0041】
図10は、本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいてICカードトレイカバー5を外したときのICカードトレイ挿入口6bを望む側面図(ICカード装着済)である。符号はすでに説明した図と共通する。図10に示すように、ICカード2は、図で上部および左右がICカードトレイ1により位置規制され、下部がICカードコネクタ3に接触して位置規制されている。また、ICカードトレイ1は、筐体カバー6との関係ではトレイスライド枠6dに案内されて本体からの挿抜スライドが可能になっており、かつスライド方向の可動範囲が規定されている。
【0042】
図11は、本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいてICカードトレイカバー5をはめ込んだときのICカードトレイ挿入口6bを望む側面図である。符号はすでに説明した図と共通する。図9でも述べた通り、ICカードトレイカバー5は、ICカードトレイ挿入口6bにはまり込み筐体カバー6の外面と連続性を有する形状になっている。
【0043】
図12は、本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいて、ICカードトレイ1がスライドする態様を説明する斜視図である。符号はすでに説明した図と共通する。図12(a)は、ICカードトレイ1が本体に挿入された状態を示し、図12(b)はICカードトレイ1が本体から引き出されている状態を示し、いずれも説明の都合上配線基板4の側の図示を省略している。
【0044】
この実施形態では、ICカードトレイ1の引き抜け防止突起1bは、図12(b)に示す状態で本体側からの引き出しを停止させるようにはたらく。したがって、この状態でICカード2はICカードトレイ1上に載置されるかまたは取り出されるかである。このときICカードトレイ1に欠落部1eがあるためICカード2をつまむようにしてハンドリングが容易に可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態を述べたが、全体的な特徴として構造が単純であり部品点数が少なく加工の程度も小さいという利点がある。これにより、ICカードの挿入・取り出しの操作性向上、装着されたICカードの視認性向上という機能面のほか、コスト的にも好ましい結果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係るICカードトレイの構成を、その載置されたICカードとともに示す斜視図。
【図2】ICカードの構成を示す平面図。
【図3】図1中に示したICカードトレイをそれのみで示す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおけるICカードの装着態様を説明する斜視図。
【図5】本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおける配線基板とICカードコネクタとの位置関係を示す斜視図。
【図6】図5に示した配線基板およびICカードコネクタと、装着されたICカードとの位置関係を示す斜視図。
【図7】図6に示した配線基板およびICカードと、図3に示したICカードトレイとのあるべき位置関係を示す斜視図。
【図8】図7に示した配線基板、ICカード、およびICカードトレイと、ICカードトレイカバーとの位置関係を示す斜視図。
【図9】図8に示した配線基板、ICカード、ICカードトレイ、およびICカードトレイカバーと、筐体カバーとの位置関係を示す斜視図。
【図10】本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいてICカードトレイカバーを外したときのICカードトレイ挿入口を望む側面図(ICカード装着済)。
【図11】本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいてICカードトレイカバーをはめ込んだときのICカードトレイ挿入口を望む側面図。
【図12】本発明の一実施形態に係るICカードリーダライタにおいて、ICカードトレイがスライドする態様を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0047】
1…ICカードトレイ、1a…起立部、1b…引き抜け防止突起、1c…貫通溝部、1d…底面部、1e…欠落部、1f…引き出し溝、2…ICカード(SIMカード)、2a…電極端子、2b…かど後退部、3…ICカードコネクタ、4…配線基板、5…トレイカバー、6…筐体カバー、6a…ICカード視認開口部、6b…ICカードトレイ挿入口、6c…LED導光穴、6d…トレイスライド枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置すべきICカードの片面に面接触可能で、かつ少なくとも一部がほぼ透明である底面部と、
前記底面部から起立して設けられ、前記面接触させられたICカードの位置を規制する起立部と
を具備することを特徴とするICカードトレイ。
【請求項2】
トレイ形状としてほぼ矩形であり、
前記矩形としての頂点の近傍に、突起またはへこみを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1記載のICカードトレイ。
【請求項3】
前記載置されたICカードが面接触する前記底面部の表面とは反対側の前記底面部の表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載のICカードトレイ。
【請求項4】
スライド可能な方向と垂直の方向にかつ前記載置されたICカードに干渉しない位置に突起部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のICカードトレイ。
【請求項5】
前記載置されたICカードとの面接触を避けるように、端部に連絡しかつ貫通している溝が前記底面部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のICカードトレイ。
【請求項6】
前記起立部が、前記載置されたICカードの一辺に対しては形成されていないことを特徴とする請求項1記載のICカードトレイ。
【請求項7】
前記起立部が形成されていない前記底面部の部位の少なくとも一部が、前記載置されたICカードとの面接触を避けるように欠落していることを特徴とする請求項6記載のICカードトレイ。
【請求項8】
ICカードが載置されたICカードトレイを挿入するための挿入口を有する、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタであって、
請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載のICカードトレイと、
前記ICカードトレイが前記挿入口に挿入された状態で、前記ICカードトレイの前記起立部に位置規制され載置されたICカードに前記ICカードトレイの側とは反対側から電気的接触すべく設けられたコネクタと
を具備することを特徴とする、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタ。
【請求項9】
前記ICカードトレイが挿入された状態で前記挿入口をふさぐトレイカバーをさらに具備し、
該トレイカバーにより前記挿入口がふさがれることによって前記ICカードトレイの前記挿入口側への位置規制がされることを特徴とする請求項8記載の、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタ。
【請求項10】
前記挿入口に前記ICカードトレイが挿入された状態でかど後退部が手前に位置するように前記ICカードトレイに載置されたICカードをさらに具備することを特徴とする請求項8記載の、ICカードトレイを備えたICカードリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−134087(P2006−134087A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322565(P2004−322565)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(300091119)ディー・ティー・サーキットテクノロジー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】