説明

ICカードリーダライタ、ICカード用故障検出方法、およびそのプログラム

【課題】ICカードとICカードリーダとの間においてデータ通信の不具合が生じた場合に、その原因がどちらにあるかを迅速に明らかにすること。
【解決手段】ICカード20用の動作制御信号PをICカード20の入出力端子部21aを介して当該ICカード20に送り込む制御信号出力用の制御用端子3を備え、前記制御用端子3から離れた位置で前記ICカード20の入出力端子21aに接触させ且つ当該入出力端子21aを介して前記制御信号Pを監視制御信号Sとして受信する監視用端子31と、この監視用端子31で捕捉される前記監視制御信号Sが予め特定されたICカード20用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視部33とを装備したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに対する書き込み/読み出しを実行するICカードリーダライタ等に係り、特に、ICカードに対する書き込み又は読み出し時に発生する通信異常に対して、その通信異常の原因を特定するためのICカードリーダライタ、ICカード用故障検出方法、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ICカードリーダライタは、ICカードに接点を接触させて当該ICカード動作用の電源と制御信号とをICカードに印加するためのものである。このようなICカードリーダライタによるICカードアクセスに際し、不具合が発生した場合、上記従来例では、その不具合の原因がICカードリーダライタにあるのか、或いはICカード側にあるのかの判断をすることは出来ない。
【0003】
一方、ICカードアクセス時に発生する不具合に対応して、従来より、アクセスエラー等の故障検出方法等に関する下記の技術内容(特許文献1乃至4)が知られている。
【0004】
即ち、特許文献1(特開平1-177181号)には、ICカードリーダによるICカードアクセス中にICカードリーダからの電源供給がなくなるという事故に対しては、直ちにこれを検知してICカード内のデータを有効に保護する手法が開示されている。
又、特許文献2(特開2000-082119 号)には、ノイズ環境下においてICカードアクセスが実行された場合に、当該ノイズ環境下でICカードに対して正常な情報通信が実行できたか否かを、リーダライタが報知するようにした技術が開示されている。
【0005】
更に、特許文献3(特開2006-40098号)には、非接触式のICカードシステムにおいて、サーバに接続された端末がデータを受信したときに、受信したデータの様式やタイミングをチェックし、データがICカードのデータであると判断したときに、そのデータを報知するようにした技術が開示されている。
又、特許文献4(特開平06-325222 号)には、ICカード上の接点を介してデータ通信が行われるタイプのICカードとICカードリーダライタとにより構成されたシステムが開示され、接点不良による障害を防ぐために、ICカードとの交信信号のレベルをチェックして所定レベルに達しないときに交信を停止し、ICカードを不具合として排出する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平1−177181号公報
【特許文献2】特開2000−082119号公報
【特許文献3】特開2006−40098号公報
【特許文献4】特開平6−325222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記各特許文献1乃至4にあっては、いずれも故障に際してデータを如何にして有効に保護するかを意図したものであり、そのICカードアクセス時のICカードとICカードリーダライタとについて、その不具合を分析して故障原因が何れにあるかを特定したものとはなっていない。
【0007】
一方、ICカードアクセスの不具合には通信異常の発生が多い。かかる状態が発生すると、ICカードリーダライタとICカードとの相互間で通信が出来ない(アクセスエラー)状態となる。このため、上記各従来例にあっては、かかるアクセスエラー状態が発生すると、その通信異常の原因がICカード内部の問題であるのかICカードリーダにあるのかについてその場で迅速にチェックすることは難しい。
【0008】
(発明の目的)
本発明は、上記従来例の有する不都合を改善し、ICアクセス時にICカードに対するデータの通信が出来ない等の不具合が生じた場合に、この原因がICカード側若しくはICカードリーダ側のいずれに有るかを迅速に特定することを可能としたICカードリーダライタ、ICカード用故障検出方法、およびそのプログラムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明にかかるICカードリーダライタは、ICカード用の動作制御信号を生成する制御信号生成部と、この生成されたICカード用の動作制御信号を前記ICカードに設けられた入出力端子に当接し当該入出力端子を介して前記ICカードに送り込む制御信号出力用の信号出力端子とを備えたリータライタ本体を有する。
【0010】
そして、前述したリーダライタ本体に、前記信号出力端子から離れた位置で前記ICカードの入出力端子に接触させ且つ当該入出力端子を介して前記制御信号を監視制御信号として受信する監視用端子と、この監視用端子で捕捉される前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視部とを装備する、という構成を採っている(請求項1)。
このため、これによると、ICカードアクセス信号監視部から出力される判定結果により、ICカードとICカードリーダライタの何れが異常かを、確実に且つ迅速に判断することが可能となる。
【0011】
ここで、前述したICカードアクセス信号監視部は、前記ICカードの異常検査に際し、前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものである場合には前記ICカードが異常である旨判定するICカード異常判定機能を備えた構成としてもよい。又、前述したICカードアクセス信号監視部は、前記ICカードの異常検査に際し、前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して異なったものである場合には前記リーダライタ本体が異常である旨判定するリーダライタ側異常判定機能を備えた構成としてもよい(請求項2乃至3)。
【0012】
更に、前述したICカードアクセス信号監視部の入力側に、前記監視用端子で捕捉される監視制御信号を前記ICカードアクセス信号監視部に送り込む制御信号検出部を装備した構成としてもよい。又、前述したICカードアクセス信号監視部は、前記監視用端子を介して取り込む前記監視制御信号として、前記ICカード用の入力電源の電圧と前記ICカード用の動作制御信号のタイミングとを対象とするように構成してもよい(請求項4乃至5)。
【0013】
又、上記目的を達成するため、本発明にかかるICカード用故障検出方法では、ICカードの動作制御信号を生成する制御信号生成工程と、この生成されたICカードの動作制御信号を信号出力端子によって前記ICカードの入出力端子に当接し当該入出力端子を介して前記ICカードに送り込む制御信号出力工程と、前記ICカードの入出力端子上で前記信号出力端子から離れた位置にて監視用端子を前記ICカードに接触させ且つ当該入出力端子を介して前記制御信号を監視制御信号として受信する監視制御信号受信工程と、前記監視用端子で受信される前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視工程とを備える、という構成を採っている(請求項6)。
【0014】
これにより、最終工程であるICカードアクセス信号監視工程によって判定され出力される制御信号が異常か否かの判定結果に基づいて、ICカードとICカードリーダライタの何れが異常かを確実に且つ迅速に判断することが可能となる。
【0015】
更に、上記目的を達成するため、本発明にかかるICカード用故障検出プログラムでは、ICカード用の動作制御信号を生成する制御信号生成機能、この生成されたICカード用の動作制御信号が前記ICカードに設けられた入出力端子を介して監視制御信号として受信された場合にこれを検出処理する信号検出処理機能、この検出処理された前記監視制御信号を予め特定されたICカード用の制御信号と比較すると共に当該受信された監視制御信号が正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視機能、をコンピュータに実行させるように構成したことを特徴とする(請求項7)。
このため、これによると、コンピュータによる演算処理によって、受信された制御信号が異常か否かの判定され出力されるので、この結果に基づいて、ICカードとICカードリーダライタの何れが異常かを確実に且つ迅速に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、アクセスエラーに対しては、ICカードアクセス信号監視部から出力される判定結果により、ICカードとICカードリーダライタの何れが異常かを、確実に且つ迅速に判断することが可能となり、又、ICカード用の制御信号を用いて当該異常判定がなされるので、故障判定用の信号を別に生成する必要もないことから、回路構成を単純化することができ且つ信頼性あるICカードリーダライタを得ることができる、という従来にない優れたICカードリーダライタ、ICカード用故障検出方法、およびそのプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかるICカードリーダライタの構成を示すブロック図である。この図1において、符号1はICカードアクセス制御部を示す。このICカードアクセス制御部1は、ICカード20に対する電力供給および制御信号の伝送等を規制する機能を備えている。
【0018】
このICカードアクセス制御部1には、その出力側に、前記ICカードアクセス制御部1からの指令によって作動しICカード20用の動作制御信号を生成する制御信号生成部2と、この制御信号生成部2で生成されたICカード20用の動作制御信号を前記ICカード20に送り込む信号出力端子3とが装備されている。符号10は、上記ICカードアクセス制御部1、制御信号生成部2、および信号出力端子3を備えて構成されたリーダライタ本体を示す。
【0019】
このリーダライタ本体10は、本実施形態では、ICカードアクセスに際して日常的に使用されるICカードリーダライタの制御信号Pを生成し出力する構成部分の要部により構成されている。
【0020】
ここで、信号出力端子3は、前述したICカード20に予め設けられている入出力端子21a,21b,21c,……の内の一つ(例えば入出力端子21a)に当接し、前述した制御信号生成部2から送られてくる制御信号Pを入出力端子21aを介してICカード20へ送り込むように機能する。
【0021】
このICカード20の概要を図2に示す。この図2において、ICカード20は、例えば面状に形成された複数の入出力端子21a,21b,21c,……から成る入出力端子部21と、この入出力端子部21の内の一の入出力端子(例えば21a)を介して前述した制御信号Pに付勢されて作動すると共に,予め設定されたプログラムに従って所定の情報処理を実行し,且つ当該ICカード20内の各構成部分全体の動作を制御する演算制御部22と、この演算制御部22の動作を規制するプログラム及び必要な情報が格納された記憶部24と、これら各構成部分に動作用の電力を供給する電源回路部23とを備えて構成されている。この電源回路部23には、上記出力端子21a,21b,21c,……を介して電力が前述した制御信号Pにより供給されるようになっている。
【0022】
上述したリーダライタ本体10には、故障検出手段30が装備されている。この故障検出手段30は、通信異常が発生した場合に、前述したリーダライタ本体10(ICカードリーダライタ側)およびICカード20側の双方を対象としてその通信異常にかかる故障がいずれの側にあるかを検出する異常検出機能を備えている。
【0023】
この故障検出手段30は、前述した信号出力端子3から離れた位置で前記ICカード20の入出力端子21aに接触させ且つ当該入出力端子21aを介して前記制御信号Pを監視制御信号Sとして受信する監視用端子31と、この監視用端子31で捕捉される前記監視制御信号Sが予め特定されたICカード20用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視部33とを含んで構成されている。更に、上述した監視用端子31とICカードアクセス信号監視部33との間には、前述した監視用端子31で捕捉される監視制御信号Sを、増幅し且つ雑音を排除して前述したICカードアクセス信号監視部33へ送り込む制御信号検出部32が介装されている。
【0024】
前述したICカードアクセス信号監視部33は、前述したICカードの異常検査に際しては、監視用端子31で捕捉される監視制御信号Sが予め特定されたICカード用の制御信号(前述した制御信号Pに相当する信号情報)と比較して正常なもの(ほぼ一致している)である場合には「ICカード側が異常である」旨判定するICカード異常判定機能を備えている。又、このICカードアクセス信号監視部33は、前述したICカードの異常検査に際しては、監視用端子31で捕捉される監視制御信号Sが予め特定されたICカード用の制御信号と比較して異なったものである場合には「ICカードリーダライタ側が異常である」旨判定するリーダライタ側異常判定機能を備えている。
【0025】
ここで、前述したICカードアクセス信号監視部33は、監視用端子31を介して取り込む監視制御信号Sと同等の信号情報(前述したICカード用の給電電力の電圧レベル及び前記ICカード用の動作制御信号のタイミング)を比較対象として予め特定し記憶した構成となっている。
尚、この制御信号P(監視制御信号S)については、上記給電電力の電圧レベル又は前記ICカード用の動作制御信号のタイミングの何れか一方だけでもよい。
【0026】
又、符号34はICカードリーダライタ側の記憶部を示す。この記憶部34は、ICカードアクセス信号監視部33が有効に作動するための演算処理プログラム或いはICカードアクセス信号監視部33でデータ処理された各種の情報等が格納されている。又、符号35はICカードアクセス信号監視部33で処理された各種情報を表示する表示部を示し、符号36は前記表示部35の表示内容を外部出力する外部出力端子を示す。
【0027】
そして、この記憶部34に対する情報の入出力動作、表示部36の情報表示動作、および外部出力端子36からの情報の外部出力は、本実施例ではそれぞれ前述したICカードアクセス信号監視部33によって制御されている。
【0028】
更に、前述したリーダライタ本体10は、実際には図示しない筐体内に収納装備され、各端子(信号出力端子,監視用端子)3,31は、この筐体からケーブル3a,31aを介して外部にて移動自在に接続されている。これにより、オペレータは、前述したICカード20上の入出力端子21a上の任意の位置に、前述した各端子3,31を自在に当接可能となっている。
【0029】
次に、上記図1乃至図2に開示した実施形態の動作を、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
最初に、ICカードリーダライタに電源を投入し当該リーダライタ本体10を含む装置全体を稼働状態に設定する。
続いて、リーダライタ本体10内では、まずICカードアクセス制御部1が作動し、制御信号生成部2に対して制御信号(動作制御信号)Pの生成を指令する(ステップS101)。制御信号生成部2は、ICカードアクセス制御部1からの指令に基づいて作動し、ICカード20用の制御信号Sを生成する(ステップS102:制御信号生成工程)。この制御信号Pについては、前述したように電源用の電力の出力電圧を予め設定された値の特定、及びICカード20に対して必要な各種動作を指令する制御信号のタイミング等、をその内容とする。
【0031】
次に、制御信号Pをアクセス制御信号としてICカード20に送り込むため、前記制御信号出力端子3がICカード20側に予め装備された面状の入出力端子21aの一端に当接される(ステップS103:制御信号出力工程)。この場合、制御信号出力端子3のICカード20に対する当接動作は、オペレータによっても、或いは予め設置された計測システム(図示せず)によって保持されつつその動作が実行されたものであってもよい。このICカードアクセス制御部1、制御信号生成部2、および制御信号出力端子3の上記動作は、本実施例では、ICカード20に対する通常のアクセス動作と同一の動作手順でなされる。
【0032】
上記した制御信号出力端子3の前述した入出力端子21aに対する当接動作とほぼ同時に、リーダライタ本体10内に装備された故障検出手段30側の監視用端子31が、前記ICカード20の入出力端子21a上で前記制御信号出力端子から離れた位置にて当該入出力端子21aに当接される。この場合、監視用端子31の前記入出力端子21aに対する当接動作は、前述したステップS101,S102およびS103よりも先に実行してもよい(かかる状況であっても、当然のことながら、制御信号Pが出力されて監視制御信号Sが受信される状況は不変である)。
【0033】
これにより、制御信号生成部2で生成された制御信号Pは、ICカード20の入出力端子21aを介して故障検出手段30の監視用端子31に監視制御信号Sとして捕捉(受信)され、故障検出手段30の制御信号検出部32を介してICカード用アクセス信号監視部33に送られる(ステップS104:監視制御信号受信工程)。この場合はICカード20に対するアクセス状態の再現であり、ICカード20がアクセスされた状態にあって且つ当該アクセス信号である制御信号Pが、ICカード20に入力されると共に監視制御信号Sとして故障検出手段30側に送りこまれるような状態となっている。
【0034】
そして、上述した制御信号検出部32では、監視用端子31で捕捉された雑音を含む受信信号から前述した制御信号Pが監視制御信号Sとして検出され、その監視制御信号Sにかかる給電電圧及び制御信号のタイミングがICカード用アクセス信号監視部33に送られる。
【0035】
このICカード用アクセス信号監視部33では、送信されてきた監視制御信号Sの電圧及びタイミングを予め記憶している適正な電圧及びタイミングと比較して当該送信された制御信号Sが適正なものか否かを判定しその結果を表示部35等を介して外部出力する(ステップS105:ICカードアクセス信号監視工程)。
【0036】
この場合、本実施形態では、ICカード用アクセス信号監視部33によって、前述した監視制御信号Sが適正なものであれば、直ちに前述したICカード異常判定機能が作動して「ICカードに異常あり」とし、不適正なものであれば、直ちに前述したリーダライタ側異常判定機能が作動して「ICカードに異常なし、ICカードリーダライタ側に異常あり」とする判断をし、その旨、表示部35で表示すると共に端子36を介して外部出力し、同時に記憶部34に記憶する(ステップS106,S107)。
【0037】
ここで、上記各ステップS101〜S107における各工程の実行内容をプログラム化すると共に、当該プログラムを制御信号Pの信号生成処理にかかる工程については対応する制御手段であるICカードアクセス制御部1に予め装備されたコンピュータによって実行するように構成してもよい。更に、前述した各ステップS101〜S107における各工程でプログラム化された実行内容の内、受信信号である監視制御信号Sの信号処理にかかる工程については対応する制御手段であるICカード用アクセス信号監視部33に予め装備されたコンピュータによって実行するように構成してもよい。
このようにしても、このため、これによると、コンピュータによる演算処理によって、受信された制御信号が異常か否かの判定され出力されるので、この結果に基づいて、ICカードとICカードリーダライタの何れが異常かを確実に且つ迅速に判断することが可能となり、前述した実施形態の場合と同様に、本発明の目的を迅速に且つ効率良く達成することができる。
【0038】
以上のように、ICカード20とICカードリーダライタとの間において、アクセスエラーが発生したとき、信号出力端子3をICカード20の入出力端子21aに当接したままで、当該入出力端子21aに監視用端子を31をも接続し、制御用端子3から制御信号Pを当該入出力端子21aに印加することにより、監視用端子31によってその制御信号Pが検出される。そして、ICカード20とICカードリーダライタとの間でアクセスエラーが生じた場合には、制御信号Pが正常であれば、ICカード20に不具合があり、制御信号Pが異常であればICカードリーダライタ側に不具合があることが迅速に判断でき、その対応策を迅速に取ることができる。
【0039】
即ち、上記実施形態にあっては、ICカード20とICカードリーダライタのいずれかが不具合であるかを、リアルタイムで迅速に且つ明確に判定され、それが表示部35等にて表示される。従って、信号出力端子3からICカード20に印加される制御信号Pが正常であれば、アクセスエラーの不具合はICカード20にあることが判明し、信号出力端子3の制御信号Pが正常でなければ、アクセスエラーの不具合はICカードリーダライタ側にあることが判明する。
【0040】
このように、本実施形態にあっては、ICカードアクセス信号監視部33から出力される判定結果により、ICカード20側とICカードリーダライタ側の何れが異常かを、確実に且つ迅速に判断することが可能となる。同時に、ICカード20用の制御信号Sを用いて当該異常判定がなされるので、チェック用の信号を別に生成する必要もないことから、回路構成を単純化することができ、異常検出時の作業も迅速化することができ、かかる機能を別に測定機を準備することなく実施し得るので、ICカードリーダライタの信頼性を高めることができるばかりでなく、汎用性を著しく高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
他の電子機器における能動素子に対する駆動回路に、かかるチェック機構を組み込むという発想が、今後広まる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態にかかるICカードリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に開示した実施形態におけるICカードの一例を示す概略平面図である。
【図3】図1に開示した実施形態におけるICカードリーダライタの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 ICカードアクセス制御部
2 制御信号生成部
3 信号出力端子
10 リードライタ本体
20 ICカード
21 入出力端子部
21a,21b,21c,・・ 入出力端子
30 故障検出手段
31 監視用端子
32 制御信号検出部
33 ICカードアクセス信号監視部
34 記憶部
35 表示部
P 制御信号(出力制御信号)
S 監視制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカード用の動作制御信号を生成する制御信号生成部と、この生成されたICカード用の動作制御信号を前記ICカードに設けられた入出力端子に当接し当該入出力端子を介して前記ICカードに送り込む制御信号出力端子とを備えたリータライタ本体を有するICカードリーダライタにおいて、
前記リーダライタ本体に、前記制御信号出力端子から離れた位置で前記ICカードの入出力端子に接触させ且つ当該入出力端子を介して前記制御信号を監視制御信号として受信する監視用端子と、この監視用端子で捕捉される前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視部とを装備したことを特徴とするICカードリーダライタ。
【請求項2】
前記請求項1に記載のICカードリーダライタにおいて、
前記ICカードアクセス信号監視部は、前記ICカードの異常検査に際し、前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものである場合には前記ICカードが異常である旨判定するICカード異常判定機能を備えていることを特徴としたICカードリーダライタ。
【請求項3】
前記請求項2に記載のICカードリーダライタにおいて、
前記ICカードアクセス信号監視部は、前記ICカードの異常検査に際し、前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して異なったものである場合には前記リーダライタ本体が異常である旨判定するリーダライタ側異常判定機能を備えていることを特徴としたICカードリーダライタ。
【請求項4】
前記請求項1乃至4に何れか一つに記載のICカードリーダライタにおいて、
前記監視用端子で捕捉される監視制御信号を前記ICカードアクセス信号監視部に送り込む制御信号検出部を、前記ICカードアクセス信号監視部の入力側に装備したことを特徴とするICカードリーダライタ。
【請求項5】
前記請求項1、2又は3に記載のICカードリーダライタにおいて、
前記ICカードアクセス信号監視部は、前記監視用端子を介して取り込む前記監視制御信号として、前記ICカード用の入力電源の電圧と前記ICカード用の動作制御信号のタイミングとを対象としたことを特徴とするICカードリーダライタ。
【請求項6】
ICカードの動作制御信号を生成する制御信号生成工程と、
この生成されたICカードの動作制御信号を制御信号出力端子により前記ICカードの入出力端子に当接し当該入出力端子を介して前記ICカードに送り込む制御信号出力工程と、
前記ICカードの入出力端子上で前記制御信号出力端子から離れた位置にて監視用端子を前記ICカードに接触させ且つ当該入出力端子を介して前記制御信号を監視制御信号として受信する監視制御信号受信工程と、
前記監視用端子で受信される前記監視制御信号が予め特定されたICカード用の制御信号と比較して正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視工程とを備えたことを特徴とするICカード用故障検出方法。
【請求項7】
ICカード用の動作制御信号を生成する制御信号生成機能、
この生成されたICカード用の動作制御信号が前記ICカードに設けられた入出力端子を介して監視制御信号として受信された場合にこれを検出処理する信号検出処理機能、
この検出処理された前記監視制御信号を予め特定されたICカード用の制御信号と比較すると共に当該監視制御信号が正常なものであるか否かを判定しその結果を出力するICカードアクセス信号監視機能、
をコンピュータに実行させるように構成したことを特徴とするICカード用故障検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−186301(P2008−186301A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20126(P2007−20126)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】