説明

ICカードリーダライタ

【課題】挿入口に挿入できるICカードと、挿入できない携帯電話機などとを共に扱える、使い勝手のよいICカードリーダライタを提供する。
【解決手段】第1の通信領域AR11においてICカード150との間で非接触通信を行うための第1のアンテナ81と、第2の通信領域(筐体41の外部)において通信対象(携帯電話機155)との間で非接触通信を行うための第2のアンテナ78と、第1のアンテナ81及び第2のアンテナ78を選択的に切り換える切換手段(リレー310)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードリーダライタに関し、例えば、遊技機間に設置されたサンドと呼ばれる貸玉装置に設けられるICカードリーダライタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコホールのような遊技場では、遊技機が多数設置された島と呼ばれる領域において、隣接する遊技機間に、パチンコ球やコイン等の遊技媒体を貸し出すための縦長状の遊技媒体貸出装置(以下、サンドと呼ぶ)が設置されている。
【0003】
このサンドは、各遊技機間に設置されるフレームに設けられており、前面に設けられた投入口を介して、紙幣、硬貨、プリペイドカード等が挿入されることにより、遊技媒体を貸し出したり、遊技媒体の貸出しを促す信号を遊技機に送信したりするようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
また、遊技者のIDが記憶された非接触型のICカードを携帯電話機に搭載し、このICカードとサンドとの間で非接触による通信を行うことにより、サンドにおいて、ICカードから読み出したIDに基づき、サーバに問い合わせを行って遊技者を特定し、当該遊技者に対する遊技媒体の貸出等を行うものも考えられている(特許文献2参照)。
【0005】
また、サンドに設けられるカードリーダライタとしては、不要になったカードを収納するカード収納部を備えたものも考えられている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−254970号公報
【特許文献2】特開2008−259603号公報
【特許文献3】特開2004−215762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、1つのサンドにおいて、カード挿入口から挿入された非接触型のICカードと情報の授受を行うと共に、携帯電話機といったカード挿入口からは挿入し得ない機器との間で非接触型ICカードと同様の通信を行うことができれば、使い勝手を向上し得ると考えられる。
【0008】
上記の問題を鑑みて、本発明は、使い勝手のよいICカードリーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る特徴は、ICカードリーダライタにおいて、第1の通信領域においてICカードとの間で非接触通信を行うための第1のアンテナと、第2の通信領域において通信対象との間で非接触通信を行うための第2のアンテナと、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを選択的に切り換える切換手段とを備えることである。
【0010】
この構成によれば、第1の通信領域のICカードとの間で第1のアンテナを介して非接触通信を行うことができると共に、第2の通信領域においては、第2のアンテナを介して通信対象との間で非接触通信を行うことができる。これにより、第1の通信領域には搬入し得ない通信対象機器との間においても、第2のアンテナを介して非接触通信を行うことができる。
【0011】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記第1のアンテナは、前記ICカードを搬入する筐体の内部に設けられ、前記第2のアンテナは、前記筐体の外部に設けられていることである。
【0012】
この構成によれば、筐体内部に挿入されたICカードとの間で第1のアンテナを介して非接触通信を行うことができると共に、筐体外部においては、第2のアンテナを介して非接触通信を行うことができる。これにより、ICカードの挿入口から搬入し得ない通信対象機器との間においても、第2のアンテナを介して非接触通信を行うことができる。
【0013】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記筐体は、前記ICカードを筐体内部に挿入するためのカード挿入口を備え、前記第2のアンテナは、前記カード挿入口の周囲に設けられていることである。
【0014】
この構成によれば、カード挿入口の周囲の領域を有効利用することができ、例えば遊技機間の狭い場所に設けられたサンド等においても、その前面部に第2のアンテナの通信領域(第2の通信領域)を確保することができる。
【0015】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記第1の通信領域への前記ICカードの搬入を検出する検出手段を備え、前記切換手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1の通信領域への前記ICカードの搬入が検出された場合に前記第2のアンテナから前記第1のアンテナに切り換えることである。
【0016】
この構成によれば、通常は第2のアンテナを選択しておき、ICカードが第1の通信領域へ搬入された場合にのみ第1のアンテナを選択することにより、切換手段の切換頻度を少なくすることができ、切換手段の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、使い勝手のよいICカードリーダライタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態によるICカードリーダライタの外観を示す斜視図である。
【図2】ICカードリーダライタを組み込んだサンドを示す正面図である。
【図3】ICカードリーダライタの前面部におけるベゼルの取付け状態を示す斜視図である。
【図4】ベゼルの裏面部を示す斜視図である。
【図5】ベゼルの断面を示す断面図である。
【図6】アンテナ基板の裏面を示す平面図である。
【図7】ICカード及び携帯電話機の使用状態を示す斜視図である。
【図8】ICカードリーダライタの筐体の内部構造を示す斜視図である。
【図9】通信領域に設けられたアンテナ基板を示す平面図である。
【図10】アンテナ基板及び制御基板を示す側面図である。
【図11】ICカードリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図12】制御回路によるアンテナ切換処理手順を示すフローチャートである。
【図13】制御回路によるアンテナ切換処理手順の他の実施の形態を示すフローチャートである。
【図14】ICカードリーダライタの背面部側を示す斜視図である。
【図15】スタック部の背面側を示す斜視図である。
【図16】スタック部の前面側を示す斜視図である。
【図17】開閉蓋の側面を示す側面図である。
【図18】膨出部材の構成を示す斜視図である。
【図19】ICカードの搬送動作の説明に供する概略図である。
【図20】携帯電話機の使用方法の説明に供する概略図である。
【図21】筐体の内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るICカードリーダライタ40の外観を示す斜視図である。このICカードリーダライタ40は、図2に示すように、パチンコ機10の間に配設されたサンド(遊技媒体貸出装置)20に設けられている。
【0021】
各サンド20は、ホール全体のシステム管理や売上管理を行うコントローラ(図示せず)と通信可能に接続されている。各サンド20には、例えばホールのカード発行機(図示せず)によって発行されたICカードを挿入するためのカード挿入口61、紙幣を挿入するための紙幣挿入口21、硬貨を投入するための硬貨投入口22及び遊技者が操作する操作ユニット24等が設けられている。操作ユニット24には、テンキーが配列されている。
【0022】
遊技者は、ICカード、所定金額の紙幣又は硬貨を、カード挿入口61、紙幣挿入口21又は硬貨投入口22から投入することにより、遊技に必要な遊技媒体(パチンコ球)の貸出しを受けることができる。
【0023】
価値媒体としてのICカードは、ホールに設置されたカード発行機又はサンド20において発行されるものであり、発行時において、遊技者がカード発行機又はサンド20に投入した金額に応じた金額データが書き込まれる。金額データが書き込まれたICカードが挿入されたサンド20は、当該ICカードに書き込まれている金額データの範囲内で、遊技者が操作ユニット24を操作することにより指定した金額に応じたパチンコ球の貸出し数を、当該サンド20に併設されたパチンコ機10に送出する。パチンコ機10は、サンド20から送出された信号に基づいて、当該信号によって指定された数のパチンコ球を遊技者に提供する。この場合、サンド20は、遊技者に提供されたパチンコ球に相当する金額を、挿入されているICカードの金額データから減算する。これにより、遊技者は、ICカードを現金の代わりに用いることができる。
【0024】
上述したように、サンド20は、ICカードを発行するカード発行機としての機能も有しており、遊技者が紙幣挿入口21又は硬貨投入口22から紙幣又は硬貨を投入し、操作ユニット24を操作してカードの発行及び金額を指定することにより、サンド20に組み込まれたICカードリーダライタ40は、指定された金額に応じた金額データを、当該ICカードリーダライタ40のスタック部(後述)にスタックされているICカードに書き込んだ後、カード挿入口61を介して遊技者に排出する。遊技者は、このICカードを用いてパチンコ球の貸出しを受けることができる。
【0025】
遊技者が挿入したICカードの金額データが0となった場合、サンド20のICカードリーダライタ40は、当該ICカードを排出せずに、スタック部に回収してスタックする。これにより、使い終わったICカードは常にスタック部に回収されることとなり、不要となったICカードがホール内に捨てられることを防止することができる。また、スタック部に回収されたICカードは、サンド20がICカードのカード発行機として用いられる場合に新たなカードとして利用される。これにより、ICカードを使い回すことができる。
【0026】
図1に示すように、ICカードリーダライタ40は、全体が箱型の筐体41に収納されており、この筐体41がサンド20(図2)の内部に固定されるようになっている。筐体41の前面部41Aには、カード挿入口61が形成されたベゼル60が固定されている。このベゼル60は、樹脂材料によって全体が半透明に形成されている。ベゼル60の内部には、携帯電話機等に装着されたICカードとの間で非接触で通信を行うためのアンテナを配したアンテナ基板が設けられている(後述)。
【0027】
ICカードリーダライタ40の筐体41は、パチンコ機10間の狭いスペースに設けられたサンド20内に収まるような形状に形成されている。すなわち、筐体41は、その奥行きDに対して幅方向の厚みWが薄く形成されており、この内部には、複数のICカードをスタックするためのスタック部200、カード挿入口61から挿入されたICカード又はスタック部200から供給されたICカードとの間で非接触で通信を行うための通信手段、動作を制御するための制御基板(CPUボード)等が設けられている。
【0028】
スタック部200においては、筐体41の一方の側面部に開閉蓋201が回動軸202(202A、202B)を介して開閉可能に枢支されている。この開閉蓋201には、複数のICカードを保持するためのカード保持部(後述)が設けられている。図1に一点鎖線で示すように、開閉蓋201を所定角度まで回動させて、開閉蓋201(スタック部200)の前方開口部206が筺体41の外部に露出した状態においては、前方開口部206から内部に積層収納されているICカードを取り出すことができると共に、内部にICカードを補充することができる。この前方開口部206を介してのICカードの取り出し及び補充は、遊技ホールのスタッフが行う行為である。なお、このICカードの取り出し及び補充は、後述するカード挿入口42、61を介して行うこともできる。スタック部200の詳細については後述する。
【0029】
筐体41の前面部41Aには、遊技者がICカードを挿入するためのカード挿入口42(後述)が設けられており、このカード挿入口42を覆うようにベゼル60が装着されている。
【0030】
図3は、ICカードリーダライタ40の前面部41Aにおけるベゼル60の取付け状態を示す斜視図であり、図4は、ベゼル60の裏面部を示す斜視図である。図3に示すように、筐体41の前面部41Aには、ICカードを挿入するためのカード挿入口42が設けられており、前面部41Aにベゼル60が装着された際に、ベゼル60のカード挿入口61と前面部41Aのカード挿入口42とが連通するようになっている。
【0031】
ベゼル60の裏面側の一方の縁部には、平板状の突起部64A、64Bが突設されており、この突起部64A、64Bは、それぞれ筐体41の前面部41Aに穿設された係合孔44A、44Bに挿入されるようになっている。
【0032】
また、ベゼル60の裏面側の隅部には、突起部65A、65Bが突設されており、この突起部65A、65Bは、それぞれ筐体41の前面部41Aに穿設された係合孔45A、45Bに挿入されるようになっている。
【0033】
突起部64A、64B及び65A、65Bを係合孔44A、44B及び45A、45Bに挿入した状態において、突起部64A、64Bに形成されたねじ孔を介して当該突起部64A、64Bを筐体41にねじ止めすることにより、ベゼル60を筐体41の前面部41Aに固定することができる。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、ベゼル60の裏面側において、カード挿入口61を挟んで対向する位置に突起部66A、66B及び67A、67Bが、ICカード150の挿入方向に延在するように設けられている。これら突起部66A、66B及び67A、67Bの先端部には、ICカード150の通過領域から外側に広がるようなテーパ形状部66C、67Cが形成されており、矢印b方向(図5)に排出されるICカード150がこのテーパ形状部66C、67Cにガイドされるようになっている。これにより、排出されるICカード150は、円滑にカード挿入口61内にガイドされて排出される。
【0035】
ベゼル60の裏面側には、位置決め用の突起部68A、68Bが設けられており、この突起部68A、68Bをアンテナ基板70(図3)の位置決め孔71A、71Bに嵌合することにより、ベゼル60に対してアンテナ基板70を位置決めすることができる。このように位置決めした状態で、アンテナ基板70の貫通孔72を介してベゼル60の裏面側のねじ孔69にねじ73をねじ止めすることにより、アンテナ基板70をベゼル60の裏面側に固定することができる。
【0036】
アンテナ基板70は、ICカード150を挿通することが可能な大きさの挿通孔75を有し、アンテナ基板70をベゼル60に固定した状態で当該ベゼル60を筐体41の前面部41Aに固定すると、アンテナ基板70の挿通孔75と、ベゼル60のカード挿入口61と、筐体41の前面部41Aに形成されたカード挿入口42とが連通するようになっている。これにより、ベゼル60を筐体41の前面部41Aに固定した状態において、ベゼル60のカード挿入口61、アンテナ基板70の挿通孔75及び筐体41のカード挿入口42を介して、ICカード150を筐体41の内部へ挿入することができ、また、筐体41内部のICカード150を外部へ排出することができる。
【0037】
アンテナ基板70の前面70A(図3)には、ICカードリーダライタ40の動作状態やICカード150の挿入許可状態であるか否かといった情報を発光態様によって表示するLED76A、76Bが設けられている。このLED76A、76Bから発せられた光は、半透明のベゼル60を介して、ベゼル60の前面側に透過するようになっている。これにより、遊技者は、ベゼル60を介してその背後に設けられているLED76A、76Bの光を目視することができる。
【0038】
図6は、アンテナ基板70の裏面70Bを示す平面図である。図6に示すように、アンテナ基板70の裏面70Bには、ICカードリーダライタ40の筐体41の内部に設けられたコネクタと接続するためのコネクタ77がアンテナ基板70の裏面70Bから突出するように設けられており、ベゼル60をアンテナ基板70とともに筐体41に固定した際に、アンテナ基板70のコネクタ77が、筐体41の前面部41Aに形成された貫通孔46を介して筐体内部のコネクタ(図示せず)に接続されるようになっている。これにより、コネクタ77を介して、筐体41側からアンテナ基板70側へ電源及び制御信号を送出することができ、LED76A、76Bを発光制御したり、後述するアンテナ78を介して外部機器との間で非接触により通信を行ったりすることができる。
【0039】
アンテナ基板70の裏面70Bには、電磁誘導方式等により非接触で通信対象と通信を行うためのアンテナ78が設けられている。このアンテナ78は、アンテナ基板70の裏面側に配線されたアンテナパターンであり、アンテナ基板70の挿通孔75の周囲を巻回するように形成されている。このアンテナ78により、ベゼル60の前方に電磁誘導方式による通信を行うことが可能な空間が形成される。
【0040】
これにより、図7に示すように、例えば電磁誘導方式による非接触通信を行うためのアンテナが設けられた携帯電話機155をベゼル60に近づけることにより、アンテナ基板70のアンテナ78を介して、携帯電話機155とICカードリーダライタ40の制御回路(後述)との間で通信を行うことができる。なお、携帯電話機155側のアンテナは、携帯電話機155に内蔵されたもの又は携帯電話機155に非接触型のICカードを装着した構成等、種々の態様を適用することができる。また、この通信の方式は、例えば、キャリア周波数が13.56MHzの電磁誘導方式であるが、これに限られるものではない。また、ベゼル60の内部に設けられたアンテナ基板70のアンテナ78と通信を行う対象は、携帯電話機155に限られるものではなく、要は、アンテナ基板70のアンテナ78との間で非接触による通信を行うことができる通信手段を有する機器であれば、種々の機器を適用することができる。
【0041】
このように、ICカードリーダライタ40においては、ベゼル60に設けられたカード挿入口61から挿入可能なICカード150に対する筐体内部での非接触通信(後述)を行うことに限られず、カード挿入口61からは挿入し得ない形状(例えば携帯電話機155)の機器との間においても、非接触で通信を行うことができる。すなわち、従来は金額データ等の情報をICカードに記憶させてこれをパチンコ球の貸出し等に利用していたが、このような使用方法に加えて、携帯電話機155等をICカードの代わりに用いることができる。この場合、図7に示すように、例えば、携帯電話機155をアンテナ基板70のアンテナ78にかざして携帯電話機155とICカードリーダライタ40との間で非接触の通信を行うことにより、ICカードリーダライタ40が携帯電話機155から当該携帯電話機155の固有の識別番号を取得する。ICカードリーダライタ40が組み込まれたサンド20は、当該サンド20が設置されているホールのサーバにアクセスして、携帯電話機155から取得した識別番号が登録されているか否かを判断し、登録されている場合には、その識別番号に対応した金額データや貯球数等の情報を取得し、これらの情報に基づいてパチンコ球の貸出し等の処理を行う。
【0042】
ICカードリーダライタ40は、パチンコ機10(図2)の間の狭い領域に配置されたサンド20に組み込まれており、ICカードリーダライタ40のICカード150を挿入するためのカード挿入口61は、ICカードリーダライタ40の筐体41の前面部41Aに設けられている。すなわち、比較的狭い前面部41Aにおいては、カード挿入口61の周囲の領域に巻回型のアンテナ78を配置することにより、前面部41Aの面積を有効利用することができる。
【0043】
次に、カード挿入口61から挿入されたICカード150との間で非接触で通信を行うための構成について説明する。図7に示すように、ICカードリーダライタ40の筐体41の前面部41Aに設けられたカード挿入口61に対してICカード150を挿入すると、ICカードリーダライタ40は、筐体41の内部に設けられたカード搬送機構部によって、挿入されたICカード150を所定位置まで引き込み、所定位置においてICカード150との間で非接触による通信を行うことにより、ICカード150に対する情報の書込み及び読出しを行う。なお、ICカード150との間の通信としては、例えばキャリア周波数が13.56MHzの電磁誘導方式を用いるが、これに限られるものではない。
図8は、ICカードリーダライタ40の筐体41の内部構造を示す斜視図である。図8は、図1に示したスタック部200(開閉蓋201)等を省略して示す図である。
【0044】
図8に示すように、ICカードリーダライタ40の内部には、カード挿入口61から挿入されたICカード150(図7)との間で非接触で通信を行うための通信領域AR11と、複数のICカードをスタックするためのスタック領域(保管領域)AR12とが設けられている。
【0045】
筐体41においては、カード挿入口61から通信領域AR11及びスタック領域AR12が順次直列に配置されており、これら2つの領域に亘って、複数の搬送ローラ91〜95に掛け渡された搬送ベルト105と、複数の搬送ローラ96〜100に掛け渡された搬送ベルト106とが設けられている。これらの搬送ベルト105、106は、搬送ローラ91、96がモータ(図示せず)によって回転駆動されることにより、ICカード150を搬入方向(カード挿入口61から通信領域AR11、スタック領域AR12へと搬入する方向)又は排出方向(スタック領域AR12から通信領域AR11、カード挿入口61へと排出する方向)へ搬送するように駆動される。
【0046】
通信領域AR11には、ICカード150に対向する位置にアンテナ基板80が設けられている。このアンテナ基板80には、電磁誘導方式等により非接触でICカード150と通信を行うためのアンテナ81(図9)が設けられている。図9に示すように、アンテナ81は、アンテナ基板80のICカード対向面側に配線されたアンテナパターンであり、アンテナ基板80の面上において巻回パターンを形成するように設けられている。このアンテナ81により、通信領域AR11に電磁誘導方式による通信を行うことが可能な空間が形成される。これにより、ICカードリーダライタ40の制御回路(CPU)は、通信領域AR11に搬送されたICカード150に対して、アンテナ基板80のアンテナ81を介して通信を行うことができる。なお、この通信の方式は、例えば、キャリア周波数が13.56MHzの電磁誘導方式であるが、これに限られるものではない。
【0047】
図10に示すように、アンテナ基板80には、所定間隔を隔てて制御基板120が固定されており、この制御基板120には上述した制御回路が設けられている。さらに、この制御回路とアンテナ基板80のアンテナ81とが接続されている。これにより、制御基板120の制御回路の制御によりアンテナ81を介したICカード150との間の通信を行う。また、図3、図6及び図7について上述したように、制御基板120の制御回路には、ベゼル60のアンテナ基板70に形成されたアンテナ78が接続されており、制御回路は、アンテナ78を介した通信対象(携帯電話機155等)との通信を行う。
【0048】
アンテナ基板80には、アンテナ基板70のアンテナ78と、アンテナ基板80のアンテナ81との切り換えを行うためのリレーが設けられている。制御回路は、このリレーを制御することにより、アンテナ78を介した通信又はアンテナ81を介した通信のいずれかを選択的に実行する。
【0049】
アンテナ78及びアンテナ81の切換え処理について説明する。図11は、ICカードリーダライタ40の構成を示すブロック図である。図11に示すようにICカードリーダライタ40の筐体41の内部には、制御基板120及びアンテナ基板80が設けられており、筐体41の外側(ベゼル60内)には、アンテナ基板70が設けられている。制御基板120には、CPU、ROM及びRAM等が設けられている。
【0050】
筐体41の内部の通信領域AR11には、ICカード150が搬入されたか否かを検出するための光センサ301が設けられている。この光センサ301の取り付け位置は、筐体41の内部のカード挿入口61(図8)の近傍位置又は通信領域AR11の最奥部等であり、通信領域AR11に搬入されたICカード150を検出するようになっている。なお、ICカード150を検出するためのセンサは光センサ301に限られず、種々のセンサを適用することができる。また、その設置位置としては、通信領域AR11にICカード150が搬入されることを検出し得る位置であれば種々の位置を適用することができる。また、1つのセンサに限らず、複数のセンサによってICカード150を検出するようにしてもよい。
【0051】
図8について上述したように、アンテナ基板80に設けられたアンテナ81は、筐体内部の通信領域AR11においてICカード150と非接触通信を行うためのアンテナであり、また、アンテナ基板70に設けられたアンテナ78は、携帯電話機155等の機器(又は当該機器に装着されたICカード)との間で非接触通信を行うためのアンテナである。
【0052】
筐体41の内部には、これら2つのアンテナ81、78を選択的に切り換える切換手段としてのリレー310が設けられている。本実施の形態の場合、リレー310は、機械式接点を有するものであり、アンテナ基板80に設けられている。制御基板120の制御回路は、リレー310を切換制御することにより、アンテナ78又はアンテナ81を選択的に切り換えるようになっている。
【0053】
またベゼル60に設けられたアンテナ基板70には、図3について上述したLED76A、76Bが設けられている。
【0054】
以上の構成において、制御基板120の制御回路は、リレー310を第1の切換端310A側に切り換えた状態を基本状態とし、この状態においてはベゼル60側のアンテナ78を選択している。
【0055】
そして、光センサ301の検出結果に基づいて、通信領域AR11にICカード150が挿入されたことを検出した場合には、制御回路は、リレー310を第2の切換端310B側に切り換えることにより、通信領域AR11側のアンテナ81を選択する。
【0056】
図12は、制御回路によるアンテナ切換処理手順を示すフローチャートである。制御回路は、ステップS11において、通信領域AR11にICカード150が搬入されたか否かを光センサ301の検出結果に基づいて判断する。ここで否定結果が得られると、このことは、ICカード150が通信領域AR11に存在していないことを意味している。この場合、制御回路は、ステップS11からステップS12に処理を移して、外部アンテナ(ベゼル60側のアンテナ78)の選択を維持し、続くステップS13において、LED76A、76Bの発光態様を維持し、上述のステップS11に処理を戻す。
【0057】
これに対して、ステップS11において肯定結果が得られると、このことは、通信領域AR11にICカード150が搬入されたことを意味している。この場合、制御回路は、ステップS11からステップS14に処理を移して、リレー310を第2の切換端310B側に切り換えることにより、筐体内部のアンテナ81(内部アンテナ)を選択する。そして、制御回路は、ステップS15において、LED76A、76Bの発光態様を、筐体内部でICカード150と通信を行っていることを表す発光態様に変化させる。
【0058】
これにより、制御回路は、筐体内部のアンテナ81を介して、通信領域AR11のICカード150との間で非接触通信を行うことができると共に、遊技者は、LED76A、76Bの発光態様の変化を見ることにより、筐体内部でICカード150との間で通信が行われていることを認識することができる。
【0059】
制御回路は、ステップS15の処理を実行した後、ステップS16に移って、通信領域AR11のICカード150との間の通信が完了したか否かを判断する。この判断方法としては、制御回路が実際に通信内容を判断する方法、光センサ301の検出結果に基づいてICカード150が通信領域AR11から搬出されたことを検出する方法、又はリレー310を内部アンテナ(切換端310B)に切り換えた後の時間経過を計測する方法等がある。
【0060】
ステップS16において否定結果が得られると、このことは、通信領域AR11におけるICカード150との通信が完了していないことを意味しており、制御回路は、ステップS16おいて肯定結果が得られるまで、当該処理ステップを繰り返す。
【0061】
ステップS16において肯定結果が得られると、このことは、通信領域AR11のICカード150との通信が完了したことを意味しており、制御回路は、ステップS16からステップS17に移って、リレー310を第1の切換端310A(外部アンテナ側)に切り換える。これにより、筐体内部のアンテナ81から外部(ベゼル60側)のアンテナ78に切り換えられる。制御回路は、ステップS17の処理の後、ステップS18に処理を移して、LED76A、76Bの発光態様を、アンテナ78が選択されていることを表す発光態様に変化させる。その後、制御部は、上述にステップS11へ処理を戻す。
【0062】
このように、本実施の形態においては、2つのアンテナ78、81が設けられている構成において、いずれか一方が選択的に切り換えられて使用されることにより、両方のアンテナが接続されている場合に生じる通信上の障害の発生を防止して、アンテナ78又はアンテナ81のいずれかによる確実な通信を行うことができる。
【0063】
また、リレー310によって2つのアンテナ78、81を切り換えることにより、これらのアンテナ78、81を介して通信を行うための制御基板120をアンテナごとに個別に設ける必要がなくなる。これにより、構成を簡単化することができる。
【0064】
なお、アンテナ78、81を切り換える処理は、図12に示した処理手順に限られるものではなく、種々の手順を用いることができる。図13は、アンテナ切換処理手順の他の例を示すフローチャートである。図13の処理は、制御回路によって所定時間毎に呼び出されて実行される処理である。
【0065】
図13に示すように、制御回路は、ステップS21において、ICカード150が通信領域AR11に存在するか否かを光センサ301等の検出手段の検出結果に基づいて判断する。
【0066】
ステップS21において否定結果が得られると、このことは、通信領域AR11にICカード150が存在していないことを意味しており、制御回路は、ステップS21からステップS22に処理を移して、既に外部アンテナ(アンテナ78)に切り換えられているかを判断する。既に外部アンテナに切り換えられている場合には、制御回路は、上述のステップS21に戻って、同様の処理を繰り返す。
【0067】
これに対して、未だ外部アンテナに切り換えられていない場合、制御回路は、ステップS22において否定結果を得ることにより、ステップS22からステップS23に処理を移して、リレー310を第1の切換端310A側に切り換えることにより、外部アンテナ(アンテナ78)を選択する。そして、制御回路は、ステップS24において、LED76A、76Bの発光態様を、外部アンテナ(アンテナ78)に切り換えられていることを表す発光態様に変化させる。
【0068】
これに対して、ステップS21において肯定結果が得られると、このことは、通信領域AR11にICカード150が搬入されたことを意味しており、制御回路は、ステップS21からステップS25に移って、既に内部アンテナ(アンテナ81)に切り換えられているか否かを判断する。既に内部アンテナに切り換えられている場合には、制御回路は、上述のステップS21に戻って、同様の処理を繰り返す。
【0069】
これに対して、未だ内部アンテナに切り換えられていない場合、制御回路は、ステップS25において否定結果を得ることにより、ステップS25からステップS26に処理を移して、リレー310を第2の切換端310B側に切り換えることにより、内部アンテナ(アンテナ81)を選択する。そして、制御回路は、ステップS27において、LED76A、76Bの発光態様を、筐体内部でICカード150と通信を行っていることを表す発光態様に変化させた後、上述のステップS21に戻る。
このように、図13のアンテナ切換処理によっても、アンテナ78、81の切り換えを行うことができる。
【0070】
次に、スタック領域AR12に設けられたスタック部200について説明する。スタック領域AR12には、複数枚のICカード150を積層して収納するスタック部200(図1)が設けられている。図1に示したように、スタック部200は、ICカードリーダライタ40の筐体41に対して回動軸202A、202Bを介して回動可能に枢支されている。スタック部200を回動させることにより、内部に収納されたICカード150も一体に回動され、スタック部200の開閉蓋201の前方開口部206(図17)を筐体41の外部に向けた状態で内部のICカード150を取り出し、また、内部へICカード150を収納することができる。例えば、スタック部200内のICカード150が全てカード挿入口61から排出されて遊技者の利用に供された場合、遊技ホールのスタッフは、スタック部200の開閉蓋201を開けて内部に新たなICカード150を挿入することができる。また、内部に収納されているICカード150の数が多くなった場合、遊技ホールのスタッフは、スタック部200の開閉蓋201を開けて内部のカードを取り出すことができる。
【0071】
図14は、ICカードリーダライタ40の背面部41B側を示す斜視図である。図14に示すように、ICカードリーダライタ40の背面部41Bの縁部には、スタック部200の開閉蓋201の回動軸202A及び202Bを枢支するための支持部47、48が設けられている。回動軸202A及び202Bは、互いに同一軸線上に設けられている。
【0072】
図15は、スタック部200の背面側を示す斜視図であり、図16は、スタック部200の前面側を示す斜視図である。スタック部200は、直方体形状の開閉蓋201の内部に複数のICカード150を積層収納するように構成されている。図16に示すように開閉蓋201には、内部に収納されたICカード150を押さえる押さえ板210が設けられている。この押さえ板210は、開閉蓋201の天板205(開閉蓋201の内面部)に対面し、天板205に接近する方向又は離間する方向に移動可能に開閉蓋201に支持されている。また、押さえ板210は、コイルばね等の付勢手段(図示せず)により、天板205から離間する方向に付勢されている。これにより、開閉蓋201内において、ICカード150を押さえ板210の当接面210A側で押さえるようになっている。
【0073】
開閉蓋201の側面部には、内部に収納されるICカード150を支持する支持板211A〜211Dが設けられている。この支持板211A〜211DのL字状に曲折した先端部にICカード150の引掛けることにより、開閉蓋201の内部において天板205に平行にICカード150を保持することができる。
【0074】
図17は、開閉蓋201の側面を示す側面図である。図17に示すように、開閉蓋201においては、その前方開口部206から内部へICカード150を挿入することにより、複数のICカード150を積層収納することができる。
【0075】
開閉蓋201が筺体41に対して閉じられた状態においては、その前方開口部206が通信領域AR11(図8)側に向けて配置されることにより、開閉蓋201が閉じられた状態において、通信領域AR11にあるICカード150が搬送ベルト105、106の送り駆動に伴ってスタック領域AR12へ搬送されると、当該ICカード150は、開閉蓋201の前方開口部206からその内部へ挿入される。
【0076】
ここで、スタック領域AR12(図8)の底面部には、当該底面部から筺体41の内部空間へ膨出可能に支持された膨出部材250が設けられている。図18に示すように、膨出部材250は、搬送ローラ94、99の回転軸に固定され当該回転軸と一体に回転する偏心カム251に係合されており、偏心カム251の回転に伴って、矢印dで示す方向に上下動するようになっている。これにより、搬送ローラ91〜100をモータ(図示せず)によって回転させてICカード150を通信領域AR11からスタック領域AR12へ搬送する際に、搬送ローラ94、99の回転に伴って膨出部材250がスタック領域AR12へ膨出する。膨出部材250が膨出すると、スタック部200の開閉蓋201内に既にICカード150が収納されている場合には、このICカード150が膨出部材250によって押し上げられ、その下に通信領域AR11から搬送された新たなICカード150が挿入される空間が確保される。このとき、膨出部材250によって押し上げられた既に保持されているICカード150の下に新たなICカード150が挿入開始されるタイミングで、膨出部材250はスタック領域AR12から退避する。この退避のタイミングは、偏心カム251の形状によって設定されている。このように膨出部材250が退避することにより、通信領域AR11から搬入された新たなICカード150は、膨出部材250に邪魔されることなく、開閉蓋201へ確実に搬入される。
【0077】
以上説明したように、本実施の形態のICカードリーダライタ40は、ICカード150との間の通信処理と、携帯電話機155との間の通信処理を行うことができる。図19に示すように、ベゼル60のカード挿入口61を介してICカード150が挿入されると、ICカードリーダライタ40は、搬送ベルト105、106を駆動することによって、ICカード150をアンテナ基板80に対向する通信領域AR11まで搬送する(図19(A)、(B))。この通信領域AR11においてアンテナ基板80を介したICカード150との間の通信が終了し例えばICカード150の金額データが0となると、ICカードリーダライタ40は、搬送ベルト105、106を駆動して、ICカード150をスタック領域AR12まで搬送する。この場合、図15について上述したように、膨出部材250がスタック部200にスタックされているICカード150を押し上げて、その下に新たなICカード150の挿入空間を形成する(図19(C))。
【0078】
この状態において、ICカードリーダライタ40は、さらに搬送ベルト105、106を駆動することにより、通信が終了したICカード150を、膨出部材250によって形成された挿入空間内に搬入する(図19(D))。
これにより、通信が終了してスタックすべきと判断されたICカード150は、スタック部200にスタックされる。
【0079】
また、遊技者が紙幣挿入口21や硬貨投入口22(図2)から紙幣や硬貨を挿入してICカード150の発行を指定した場合、サンド20は、ICカードリーダライタ40のスタック部200にスタックされているICカード150を搬送ベルトの排出方向への駆動により、通信領域AR11まで搬送して通信を行うことにより、当該ICカード150に金額データを書き込んだ後、これをカード挿入口61から排出する。
【0080】
一方、図20に示すように、ベゼル60のカード挿入口61から挿入し得ない形状の通信対象(例えば、携帯電話機155)との間においても、当該携帯電話機155をベゼル60に設けられたアンテナ基板70に近づけることにより、ICカードリーダライタ40は、アンテナ基板70を介して携帯電話機155と非接触通信を行うことができる(図20(A)、(B))。
【0081】
なお、図17に示したように、開閉蓋201の内部には、ICカード150が積層収納されるようになっており、図1に一点鎖線で示したように開閉蓋201を開いた状態において、開閉蓋201の前方開口部206を介して開閉蓋201の内部に収納されているICカード150を取り出すことができると共に、前方開口部206を介して開閉蓋201の内部へICカード150を補充することができる。
【0082】
ICカード150を所持しない遊技者が現金を紙幣挿入口21や硬貨投入口22から投入することにより、開閉蓋201の内部に補充されたICカード150は、搬送ベルト105、106の駆動により通信領域AR11まで搬送され、アンテナ81を介した非接触通信により所定の金額データが書き込まれる。
【0083】
一方、ICカード150を所持する遊技者が当該ICカード150をカード挿入口61を介して挿入すると、ICカード150は搬送ベルト105、106の駆動により通信領域AR11まで搬送されて、アンテナ81を介した通信により、当該ICカード150内に記憶されている金額データが制御回路により読み出される。
【0084】
このように、通信領域AR11には、スタック部200及びカード挿入口61のいずれもからICカード150が搬入される構成となっており、光センサ301は、これらの搬入経路に関わらず、通信領域AR11に搬入されたICカード150の存在を検出することができるようになっている。
【0085】
ICカードリーダライタ40は、上述したICカード150に対する通信機能及びICカードを装着した携帯電話機155等のカード挿入口61から挿入し得ない形状の通信対象との間の通信機能、これら通信機能の切換手段(リレー310)、ICカード150をスタックするスタック部200等の構成に加えて、カード挿入口61から挿入されるICカード150の挿入制限を行う機構を有している。
【0086】
図21は、筐体41の内部構造を示す斜視図である。図21に示すように、筐体41の内部には、ベゼル60(カード挿入口61)が設けられた側に、ICカード150の挿入を制限するカードロック部160が設けられている。このカードロック部160は、ICカード150を搬送するための搬送ローラ91〜95、96〜100の回転に伴って回転するシャフト165に嵌合された2つのロック爪161、162を有する。このロック爪161、162は、シャフト165に対して、僅かな摩擦力をもってシャフト165と一体に回動するようになっている。
【0087】
ICカード150がカード挿入口61(図8)から挿入されると、所定位置に設けられたセンサ(図示せず)によって当該ICカード150が検出され、ICカード150をカード挿入口61(図8)から搬入する方向に搬送ローラ91〜95、96〜100が回転駆動される。これに応じてロック爪161、162はその先端部をカード挿入経路上に持ち上げるように回動する。センサの位置に応じて、搬送ローラ91〜95、96〜100が回転開始するタイミング(すなわち、ロック爪161、162が回動開始するタイミング)が決定されており、ICカード150がカード挿入口61から搬送ベルト105、106に達する程度まで挿入された際に、搬送ローラ91〜95、96〜100が回転開始し、これに応じてロック爪161、162が回動開始するようになっている。
【0088】
ロック爪161、162の位置は、搬送ベルト105、106よりもカード挿入口61側に設けられていることにおり、ICカード150が搬送ベルト105、106に達する程度まで挿入された状態においては、ロック爪161、162の回動方向にICカード150が既に存在することとなり、ロック爪161、162が回動してもICカード150の側面に当接する。この場合、上述したようにロック爪161、162は、シャフト165に対して所定の摩擦力をもって嵌合されているため、ロック爪161、162がICカード150の側面に当接した状態でさらにシャフト165が回転しても、シャフト165のみが回転し、ロック爪161、162はそれ以上回動しないこととなる。これにより、ロック爪161、162は、このとき挿入されているICカード150の搬入動作の妨げにはならない。
【0089】
このとき挿入されているICカード150が搬送ベルト105、106によってさらに搬入され、ロック爪161、162の位置を通過すると、ロック爪161、162は、ICカード150の挿入経路内に入り込む。これにより、その後新たなICカード150がカード挿入口61から挿入されても、当該ICカード150は、ロック爪161、162にロックされて内部に挿入することができない状態にロックされる。
【0090】
このように、1枚のICカード150が挿入されて搬送ベルト105、106によって内部に搬入された状態においては、ロック爪161、162によって、新たなICカード150が挿入されることを防止することができる。
【0091】
また、通信領域AR11(図8)まで搬入されたICカード150について通信処理が終了すると、当該ICカード150は、カード挿入口61まで搬出されてカード挿入口61を介して外部に排出される。この搬出動作において、搬送ローラ91〜95、96〜100は、搬入時と逆回転することにより、これに応じて、ロック爪161、162は、その先端部がICカード150の挿入経路外に退避する状態となる。これにより、ICカード150が排出された場合には、新たにICカード150を挿入してもロック爪161、162によるロックはされずに、筐体内部に搬入可能な状態となる。
【0092】
また、通信領域AR11(図8)において通信処理が終了したICカード150がスタック部200に搬入された場合、ロック爪161、162は、ICカード150の挿入経路上に突出した状態が維持されるため、搬送ローラ91〜95、96〜100を僅かに逆回転させる。これにより、ロック爪161、162をICカード150の挿入経路から退避させて、新たなICカード150の挿入が可能な状態とすることができる。
【0093】
なお、上述の実施の形態においては、本発明をパチンコ機のサンドに用いられるICカードリーダライタ40に適用する場合について述べたが、これに限られるものではなく、パチスロ機など、他の種々の遊技機に用いられるICカードリーダライタに適用することができる。
【0094】
また、遊技機用に限らず、例えば、自動販売機に用いられるICカードリーダライタなど、他の用途に用いられるICカードリーダライタに広く適用することができる。
【0095】
また、上述の実施の形態においては、機械式の接点を有するリレー310を用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、半導体スイッチング素子を用いるようにしてもよい。また、リレー310の取り付け位置は、アンテナ基板80に限らず、アンテナ基板70又は制御基板120であってもよい。
【0096】
また、上述の実施の形態においては、アンテナ基板70にLED76A、76Bを設ける場合について述べたが、これに限られるものではなく、アンテナ基板以外に専用の基板を設けるようにしてもよい。また、LED76A、76Bの数は、2つに限られず、種々の数を適用することができる。
【0097】
また、上述の実施の形態においては、カード挿入口61の周囲を巻回するようにアンテナ78を設けるようにしたが、アンテナ78の形成位置はこれに限られるものではなく、例えばICカードリーダライタ40の前面部のいずれかの位置等、要は外部に露出した部位であれば種々の位置に設けることができる。
【0098】
また、上述の実施の形態においては、アンテナ78の通信対象を、携帯電話機155又はこれに装着されたICカードとした場合について述べたが、これに限られるものではなく、他の種々の機器であってもよい。この場合、当該機器をベゼル60の前方(アンテナ78の通信領域)にかざすことにより、これらの機器との間で非接触通信を行うことができる。これらの機器は、カード挿入口61から筐体41の内部へ挿入し得ない形状であっても、ベゼル60の前方にかざすだけで通信を行うことができる。また、当該アンテナ78による通信対象としては、携帯電話機155をはじめとするこれらの機器に限られず、カード挿入口61から挿入し得るICカード150であってもよい。例えば、遊技者が予め所持するICカード150をベゼル60の前方(アンテナ78の通信領域)にかざすだけでICカードリーダライタ40はこのICカード150との間で通信を行うことができる。従って、遊技者は、所持するICカード150をカード挿入口61から挿入するといった手間をかけずに、ICカード150の情報をICカードリーダライタ40に読み取らせることができる。この場合、筐体41内のアンテナ81は、スタック部200に用意されているICカード150を新たに発行する場合に、当該ICカード150に金額データ等を書き込むための通信手段として用いられることになる。新たに発行されたICカード150は、通信領域AR11において情報が書き込まれた後、カード挿入口61を介して外部へ排出(発行)される。
【0099】
(ICカードリーダライタの概要)
本発明の実施の形態におけるICカードリーダライタ40は、第1の通信領域AR11においてICカードとの間で非接触通信を行うための第1のアンテナ81と、第2の通信領域(筐体41の外部)において通信対象との間で非接触通信を行うための第2のアンテナ78と、第1のアンテナ81及び第2のアンテナ78を選択的に切り換える切換手段(リレー310)とを備えることを特徴とする。
【0100】
この構成によれば、第1の通信領域AR11のICカード150との間で第1のアンテナ81を介して非接触通信を行うことができると共に、第2の通信領域(ベゼル60の前面側)においては、第2のアンテナ78を介して通信対象との間で非接触通信を行うことができる。これにより、第1の通信領域AR11には搬入し得ない通信対象機器(携帯電話機155等)との間においても、第2のアンテナ78を介して非接触通信を行うことができる。
【0101】
本実施の形態におけるICカードリーダライタ40は、前記構成において、第1のアンテナ81は、ICカード150を搬入する筐体41の内部に設けられ、第2のアンテナ78は、筐体41の外部に設けられていることを特徴とする。
【0102】
この構成によれば、筐体内部に挿入されたICカード150との間で第1のアンテナ81を介して非接触通信を行うことができると共に、筐体外部においては、第2のアンテナ78を介して非接触通信を行うことができる。これにより、ICカードの挿入口(カード挿入口61)から挿入し得ない通信対象機器(携帯電話機155等)との間においても、第2のアンテナ78を介して非接触通信を行うことができる。
【0103】
本実施の形態におけるICカードリーダライタ40は、前記構成において、筐体41は、ICカード150を筐体内部に挿入するためのカード挿入口61を備え、第2のアンテナ78は、カード挿入口61の周囲に設けられていることを特徴とする。
【0104】
この構成によれば、カード挿入口61の周囲の領域を有効利用することができ、例えば遊技機間の狭い場所に設けられたサンド20においても、その前面部に第2のアンテナ78の通信領域(通信対象機器をかざす領域)を確保することができる。
【0105】
本実施の形態におけるICカードリーダライタ40は、前記構成において、第1の通信領域AR11へのICカード150の搬入を検出する検出手段(光センサ301)を備え、切換手段(リレー310)は、検出手段(光センサ301)の検出結果に基づいて、第1の通信領域AR11へのICカード150の搬入が検出された場合に第2のアンテナ78から第1のアンテナ81に切り換えることを特徴とする。
【0106】
この構成によれば、通常は第2のアンテナ78を選択しておき、ICカード150が第1の通信領域AR11へ搬入された場合にのみ第1のアンテナ81を選択することにより、切換手段(リレー130)の切換頻度を少なくすることができ、切換手段の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 パチンコ機
20 サンド
21 紙幣挿入口
22 硬貨投入口
24 操作ユニット
40 ICカードリーダライタ
41 筐体
41A 前面部
42、61 カード挿入口
47、48 支持部
60 ベゼル
70、80 アンテナ基板
78、81 アンテナ
91〜100 搬送ローラ
105、106 搬送ベルト
150 ICカード
155 携帯電話機
200 スタック部
201 開閉蓋
202A、202B 回動軸
301 光センサ
310 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信領域においてICカードとの間で非接触通信を行うための第1のアンテナと、
第2の通信領域において通信対象との間で非接触通信を行うための第2のアンテナと、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを選択的に切り換える切換手段と
を備えることを特徴とするICカードリーダライタ。
【請求項2】
前記第1のアンテナは、前記ICカードを搬入する筐体の内部に設けられ、
前記第2のアンテナは、前記筐体の外部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICカードリーダライタ。
【請求項3】
前記筐体は、前記ICカードを筐体内部に挿入するためのカード挿入口を備え、
前記第2のアンテナは、前記カード挿入口の周囲に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のICカードリーダライタ。
【請求項4】
前記第1の通信領域への前記ICカードの搬入を検出する検出手段を備え、
前記切換手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1の通信領域への前記ICカードの搬入が検出された場合に前記第2のアンテナから前記第1のアンテナに切り換えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のICカードリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−38016(P2012−38016A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176175(P2010−176175)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(510157007)
【Fターム(参考)】