説明

ICカード読み取り装置

【課題】
ICカードの挿入操作における操作性を向上し、ICチップ部に対する損傷を軽減することのできるICカード読み取り装置を提供する。
【解決手段】
ICチップ読み取り部を搭載したカード基板8を備え、ICカードに搭載された前記ICチップの記憶内容を読み取るICカードリーダ7と、その一端にICカード挿入するための挿入口を備え他端に前記ICカードリーダを備え、更に前記挿入口に挿入されたICカードを前記ICカードリーダに案内するための搬送路を有するICカードスロット4とを備え、前記カード基板は前記搬送路に並行するように前記ICカードスロットに取り付け、前記ICカードスロットの前記挿入口には、該挿入口を中心にしてICカードスロットを本体に対して回転可能に支持する回転軸14を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード読み取り装置に係り、特に、カードの読み取り装置への挿入操作における操作性を向上し、ICチップ部に対する損傷を軽減することのできるICカード読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のICカード読み取り装置におけるICカード搬送機構は、例えば、読み取り装置側面にICカードスロットを設け、該ICカードスロットの挿入口にICカードを挿入することによって、読み取り装置に形成したICカード搬送路内をICカードが搬送される構造となっている。このようなICカード搬送機構としては、特許文献1を挙げることができる。
【0003】
また、ICカード搬送時のカードの保護機構として、例えば特許文献2を挙げることができる。この文献には、ICカード読み取り装置のカード挿入口にICカードを保護するための保護部材等を設けることが示されている。
【特許文献1】特開2004−94841号公報
【特許文献2】特開平9−293124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICカード読み取り装置では、ICカードスロットの挿入口よりICカードを挿入し、挿入されたICカードをICチップ読み取り部まで搬送することにより、ICチップの記憶内容を読み取り、決済などの処理を行なっている。
【0005】
ICカードの搬送方法としては、モータ等により駆動されるローラ等によってICカードをICチップ読み取り部まで自動搬送するもの、あるいはカードスロットにICカードを挿入して、ICチップ読み取り部まで手動によって搬送するもの等が知られている。
【0006】
このようなICカード読み取り装置では、ICカードスロット、ICカード搬送路およびICチップ読み取り部がそれぞれ別構造になっていることが多い。
【0007】
この場合、ICカードの挿入方向に対して、ICカードスロットの挿入口、ICカード搬送路、およびICチップ読み取り部をそれぞれ平行に取付けることにより、ICカードの挿入時にICカードが搬送路等に接触してICカード自体に不要な力が加わるようなことなく搬送することができる。しかしながら、各部品の取り付け精度によっては、その取り付け方向がICカードの挿入方向に対して並行にならないことがある。
【0008】
このような場合、ICカードスロットにICカードを挿入する際、ICカードの挿入方向と搬送路内の搬送方向とが不一致となる。このような場合は、ICカードとICカード搬送路との間で不要な摩擦が生じ、また、ICカードが湾曲することがある。
【0009】
ICカードが湾曲した場合には、該カードが搬送されてICチップ読み取り部に到達した段階でICチップ読み取り部に不要な力をかけ、該読み取り部あるいはICカードに搭載したICチップに損傷を与えることになる。また、読み取り部の読み取りエラーを誘発することになる。
【0010】
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、ICカードの挿入操作における操作性を向上し、ICチップ部に対する損傷を軽減することのできるICカード読み取り装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0012】
ICチップ読み取り部を搭載したカード基板を備え、ICカードに搭載された前記ICチップの記憶内容を読み取るICカードリーダと、その一端にICカード挿入するための挿入口を備え他端に前記ICカードリーダを備え、更に前記挿入口に挿入されたICカードを前記ICカードリーダに案内するための搬送路を有するICカードスロットとを備え、前記カード基板は前記搬送路に並行するようにICカードスロットに取り付け、前記ICカードスロットの前記挿入口には、該挿入口を中心にしてICカードスロットを本体に対して回転可能に支持する回転軸を備えた。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上の構成を備えるため、ICカードの挿入操作における操作性を向上し、ICチップ部に対する損傷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るICカード読み取り部を備えた決済端末を説明する図であり、図2は、図1に示すICカード読み取り部の内部構造を説明する図である。
【0015】
この種の決済端末は、図1に示すように、決済端末等の読み取り装置本体1の表面部に操作部2、あるいは処理結果を表示する表示部3を配置するとともに、ICカードスロット4、プリンターユニット5、本体カバー6を備えている。
【0016】
また、図2に示すように、本体1の内部には、ICカードリーダ7、ICカードリーダ7を取付けるカード基板8、端末全体を制御する制御基板9、前記カード基板8と制御基板9を接続する接続ケーブル10、カード基板8をカードスロット4のアーム部15に固定する固定金具11、制御基板9を取り付けた基板取付フレーム12を備えている。
【0017】
また、カード基板固定金具11は、カード基板回転案内機構16を備え、案内機構16を構成する軸16aは前記基板取り付け金具12に形成した円弧状の切欠き20に嵌合している。
【0018】
読み取り装置本体(決済端末)1の使用に際しては、例えば、顧客はPOS端末等に入力された商品の代金を支払うために、電子マネーが入金されているICカード等のクレジットカードを店員に手渡す。ICカードを受け取った店員は、該カードを読み取り装置本体1のICカードスロット4に挿入する。本体1はICカードに記憶された顧客情報を読み出し、顧客に暗証番号を入力するように促す。暗証番号の入力を促された顧客は、本体1等を操作して暗証番号入力し、入力データを上位装置に送信する。店員は上位装置から顧客の認証が得られた場合には、本体1を操作して決済の受付を行い、決済伝票を印字して顧客に渡す。
【0019】
図3は、ICカード読み取り部の詳細を説明する図である。ICカード13は、ICカードスロット4の挿入口より挿入する。ICカードスロット4は挿入口近傍に配置したICカードスロット回転軸14を中心にして図示矢印A方向(上下方向)に回転可能に支持されている。なお、この回転は、前記カード基板回転案内機構16を構成する軸16aおよび切欠き20により所定範囲に制限されている。
【0020】
このため、ICカード13を前記カードスロット14に挿入する際、ICカードスロットは、利用者の手などによって操作力が加えられると、所定範囲内の角度まで回転軸14の回りを回転することができる。すなわち、ICカード13の挿入される方向に沿ってICカードスロット4が回転するようになっている。
【0021】
なお、ICカードリーダ7が取付けられたカード基板8は、ICカードスロット4と、ICカードスロットのアーム部15に取り付けたカード基板固定金具11よって保持されている。このため、前記カード基板8及びカードリーダは7は、ICカードが挿入されたとき、このICカード挿入方向と常に一致する方向に回動することができる。
【0022】
図4は、ICカード読み取り部の読み取り処理を説明する図である。例えば、ICカード13をICカードスロット4の挿入口に対し、斜め上方より挿入した場合、ICカードスロット4はICカード13が挿入されたとき、操作者の手などによって掛けられた荷重により、挿入された向きに沿うようにICカードスロット回転軸14を中心に上向き(右回り)に回転する。
【0023】
これと同時に、アーム部15によって保持されたカード基板8およびカードリーダ7は、下向き(右回り)に回転する。なお、この右回りの回転は、前述のように前記カード基板回転案内機構16を構成する軸16aおよび切欠き20により所定範囲に制限される。
【0024】
したがって、ICカードスロット4と、カード基板8に取付けられたICカードリーダ7は、挿入されたICカード13と常に平行を保つことができる。このため、ICカード13は、ICカードスロット4からICカード搬送路17を介して、カード基板8およびカード基板に取付けられたICカードリーダ7に平行して搬送されることになる。
【0025】
このため、ICカード13がICカード搬送路17との摩擦によって湾曲されることがなくなる。また、ICチップ読み取り器18がICカード13に搭載したICチップ19に当接してICチップに不要な力を加えることがなくなる。これにより、ICチップ19の損傷を軽減することができる。
【0026】
なお、以上はICカード13を手動で挿入し、手動で搬送する例について説明したが、自動で搬送することも可能である。手動で搬送する場合は、手動搬送にかかる力以外の力は掛からないので、搬送に対する安全性をより高めることができる。
【0027】
以上、説明したように、本実施形態によれば、ICカードスロット4およびICカードリーダ7を一体化して、ICカードリーダの読み取り面側に形成したカード搬送路17とICカードスロットとを一体に動く構造とした。さらに、この一体化したICカードスロット4およびICカードリーダ7は、ICカードを挿入する際の操作者の操作力により、カードの挿入方向と常に平行になるように回動する。このため、ICカードとICカード搬送路との不要な摩擦もなく、ICカードが湾曲することもないため、ICチップ部への損傷を軽減することができ、またICカードの挿入動作の操作性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るICカード読み取り部を備えた決済端末を説明する図であ。
【図2】ICカード読み取り部の内部構造を説明する図である。
【図3】ICカード読み取り部の詳細を説明する図である。
【図4】ICカード読み取り部置の読み取り処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0029】
1 読み取り装置本体
2 操作部
3 表示部
4 ICカードスロット
5 プリンターユニット
6 本体カバー
7 ICカードリーダ
8 カード基板
9 制御基板
10 接続ケーブル
11 カード基板固定金具
12 基板取付金具
13 ICカード
14 ICカードスロット回転軸
15 アーム部
16 カード基板回転案内機構
17 ICカード搬送路
18 ICチップ読み取り器
19 ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップ読み取り部を搭載したカード基板を備え、ICカードに搭載されたICチップの記憶内容を読み取るICカードリーダと、
その一端にICカード挿入するための挿入口を備え他端に前記ICカードリーダを備え、更に前記挿入口に挿入されたICカードを前記ICカードリーダに案内するための搬送路を有するICカードスロットとを備え、
前記カード基板は前記搬送路に並行するようにICカードスロットに取り付け、前記ICカードスロットの前記挿入口には、該挿入口を中心にしてICカードスロットを本体に対して回転可能に支持する回転軸を備えたことを特徴とするICカード読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載のICカード読み取り装置において、
前記ICカード基板の端部にはICカードスロットおよびICカード基板の回転範囲を規制する回転案内機構を備えたことを特徴とするICカード読み取り装置。
【請求項3】
請求項1記載のICカード読み取り装置において、
ICカードスロットはICカード基板の端部および前記回転案内機構を支持するアーム部を備えたことを特徴とするICカード読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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