説明

ICタグ付き包装体、及び該ICタグ付き包装体のICタグ通信方法

【課題】 本発明は、複数個の商品が包装された包装体に於いて、それぞれの商品に具備されたICタグの情報を個々に確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き包装体を提供することを課題とする。
【解決手段】 底面にICタグ2が具備されている商品3の複数個が、それぞれ底面を下にした状態で、包材によって包装されているICタグ付き包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグが具備された複数個の商品を包装してなるICタグ付き包装体、及びこの包装体のICタグ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の著しい進歩によって、超小型のICチップを備えるICタグが、バーコードなどに代わって商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。例えば、このICタグに商品情報(品名、ロット番号、製造日、品質保持期限等)や入出荷情報(出荷日、入庫日等)などを適宜記録することにより、商品の製造元から流通業者を経て消費者に亘るまでの流通履歴を含めた商品管理を、個々の商品毎に行うことが可能となる。
このようなICタグを商品に具備させる手段として、例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICタグが貼着されているICタグ付きボトル用ラベルを、容器胴部に装着することが開示されている。
また、このような筒状ラベル以外に、ICタグを備えるタックラベルを、容器胴部に貼付する手段も考えられる。
【0003】
ところで、多くの商品は、通常、複数個を纏めて段ボール箱や厚紙箱などの包材に詰められた包装体の形態で、工場から出荷され、保管・運搬などの流通に供している。
しかしながら、容器胴部にICタグが具備された商品の複数個を包装して包装体とした場合、該包装体の状態で、個々の商品毎にそれぞれのICタグ情報を正確に読み取ることなどができないという問題点がある。
すなわち、上記のように胴部にICタグが具備された商品の複数個を纏め、包材にて包装した場合、隣合う商品のICタグ同士が向かい合うことがあり、該対面したICタグが干渉し合うため、リーダ装置などの無線通信装置によって各商品のICタグ情報を正確に読み取ったり、或いは各商品のICタグに情報を書き込むことができない。また、飲料などの液体が収納された商品の場合、液体に電波が吸収され易いので、同様にICタグ情報の読み取り精度が低下する。
【0004】
この点、包材で包装する際に、隣合う商品のICタグが対向しないように包装すれば、隣合う商品や該商品に具備されたICタグの干渉を抑制することも可能となる。しかし、向きを調整して包装することは包装作業の煩雑化を招き、又、容器の形状によっては、向き調整して包装しても運搬中にその向きが変わることがある。さらに、例えば、12個の商品を3列×4行に並べて包装する場合などのように3列以上に並べて包装された包装体にあっては、中央部分に位置する商品の周囲には、他の商品が存在するので、少なくとも中央部分に位置する商品のICタグを正確に読み取ることなどができない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−20771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、複数個の商品が包装された包装体に於いて、それぞれの商品に具備されたICタグの情報を個々に確実に読み取る又は書き込むことができるICタグ付き包装体、及び該ICタグ付き包装体のICタグ通信方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、底面にICタグが具備されている商品の複数個が、それぞれ底面を一面側に向けた状態で、包材によって包装されているICタグ付き包装体を提供する。
【0008】
上記ICタグ付き包装体は、底面にICタグが具備されている商品の複数個が、それぞれ底面を一面側に向けた状態(例えば、商品の底面を下に向けた状態)で、包材によって包装されているので、包装体の一面側に、各商品に具備されたICタグがそれぞれ並んだ状態となっている。
従って、複数個の商品を包装する際、隣合う商品の向き調整などを行わなくても、個々の商品に具備されたICタグは、隣合う商品や該商品に具備されたICタグによって干渉を受けることを防止できる。従って、このICタグ付き包装体の一面側から無線通信装置を作用させることにより、個々の商品の情報をそれぞれ確実に読み取る又は書き込むことができる。
【0009】
また、本発明の第2の手段として、底面にICタグが具備されている商品の複数個が、それぞれ底面を一面側に向けた状態で包材によって包装されてなるICタグ付き包装体について、該包装体の一面側から無線通信装置を作用させ、個々の商品に係る情報を、個別に又は所定個を一括してICタグから読み取る及び/又はICタグに書き込むICタグ付き包装体のICタグ通信方法を提供する。
ここで、上記ICタグ付き包装体のICタグ通信方法に於いては、個々の商品に係る情報を、個別に又は所定個を一括してICタグから読み取る及び/又はICタグに書き込むものであるから、ICタグの情報の読み取りとICタグへの情報の書き込みの少なくとも何れか一方を行うものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のICタグ付き包装体及びICタグ付き包装体のICタグ通信方法によれば、複数の商品を包装した状態で、各商品に具備されたICタグの情報をそれぞれ確実に読み取る又は該ICタグに情報を書き込むことができる。
従って、包装体を開封して商品を取り出さなくても、ICタグを利用して、商品毎の商品管理を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、底面3aにICタグ2が具備された商品3と、該商品3の複数個を纏めて外包装する包材5と、からなるICタグ付き包装体を示す。
【0012】
商品3は、底面3aを下にして自立可能な形態とされている。
具体的には、商品3は、底面3aを介して自立可能な容器31と、該容器31内に収納された収納物32と、からなる。
本実施形態に於ける容器31は、図3に示すように、円状の底面31a、この底面31aに続く円筒状の胴部31b、この胴部から次第に細くなる肩部31c、及びこの肩部31cの上端部に開口された円状の開口部31dが形成されたガラス製の容器本体と、容器本体の開口部31dを封緘するゴム栓などの蓋部31eと、から構成されている。
該容器31の底面31aは、胴部31bの軸長方向に対してほぼ直交する面部である。
この容器31内には、収納物32として液状の医薬品が収納されている。
尚、このように医薬品が収納された上記容器31は、一般にバイアル瓶と言われている。
【0013】
容器31の底面31a(商品3の底面3a)の外側に、ICタグ2が具備されている。
ICタグ2は、図3に示すように、ICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部を少なくとも有し、無線通信装置(後述するように、読込み型、書込み型、又は読書き型の何れでもよい)によって非接触でICチップ22の電気的情報を読み込む及び/又はICチップ22に書き込むことができる公知のものを用いることができる。
ICタグ2の具体的構成としては、図示したように、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成された構成のものや、図示しないが、基材21の上にICチップ22及びアンテナ部23からなるモジュール部が形成され、且つこのICチップ22等の上に保護基材が積層された構成のものなどが用いられている。
尚、このICタグ2とは、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
【0014】
このICタグ2は、図示したように、粘着剤が塗工されたタックラベル4の粘着面にICチップ22側を貼付し、このタックラベル4を容器31の底面31aに貼付することにより、容器31の底面31aに具備されている。このようにタックラベル4を用いれば、ICタグ2を容器31の底面31aに簡易に具備させることができるので好ましいが、ICタグ2を具備させる手段はこれに限られず、例えば、ICタグ2の基材21に直接粘着剤を塗工して容器31の底面31aに貼付するなどの他の手段を用いることもできる。
ICタグ2の位置は、容器31の底面31aの中央部(中心部分)に設けることが好ましい。複数個を包装した際に、隣合う容器31のICタグ2同士が接近することを防ぎ、隣合う容器31のICタグ2の干渉を確実に防ぐためである。
【0015】
包材5は、特に限定されず、例えば、図2に示すように、厚紙、段ボール、硬質プラスチックシートなどの比較的硬いシートを組み立てた組立箱を用いることができる。また、包材5は、非透明なもの又は透明なものの何れでもよい。
この包材5の一面(例えば、包装体1の載置面となる包材5の底面5a)に各商品の底面3aを対面させた状態で、包材5内に複数の商品3が並べられて収納されている。従って、各商品3は、上下に積み重ねられておらず、各商品3は、その底面3aを下にして包材5の一面上に自立した状態で包装されている。このように本発明のICタグ付き包装体1は、包装体1の一面(例えば、流通保管時に包装体1を載置する面)に対して複数の商品3の底面3aが並べられている。尚、5bは、箱型の包材5の開閉蓋を示す。
包材5によって包装される商品3の個数は、複数個(2個以上)であれば特に限定されない。また、各商品3の並べ方も特に限定されず、1列×複数行、2列×複数行、3列×複数行などのように規則的に並べて包装してもよいし、或いは、不規則に並べて包装してもよい。図1では、10個の商品3を2列×5行に並べ、これを包材5にて包装してICタグ付き包装体1を示している。
尚、包材5によって商品3を包装する際、包材5と商品3との間、或いは隣合う商品3の間に、緩衝用のシートなどを介装してもよい。
【0016】
次に、上記ICタグ付き包装体1の製造方法及びICタグ付き包装体1のICタグ通信方法について説明する。
医薬品を容器31に充填し封緘した後、該医薬品に関する商品情報(品名、商品の個別的な識別番号、製造日、製造場所、品質保持期限などの所望の情報)を記録したICタグ2を、容器31の底面31aに貼付することによって、商品3が製造される。
この商品3の複数個を、箱状の包材5に詰め込み、該包材5の開閉蓋5bを封緘することによって、ICタグ付き包装体1が得られる。
尚、ICタグ2への商品情報の記録は、商品3の製造時に行わず、包装体1の製造後にICタグ2へ情報を書き込み可能な書込み型又は読書き型の無線通信装置を用いて行うこともできる。
【0017】
このICタグ付き包装体1は、搬送ラインなどで搬送され、倉庫に保管、或いは製造元から出荷され、流通に供される。そして、搬送ラインなどの所定箇所に於いて、無線通信装置を用いて、包装体1の状態で個々の商品3のICタグ2との通信が行われる。
例えば、この搬送途中に於いて、図4に示すように、コンベア11の間に無線通信装置10を配置し、該コンベア11で搬送される包装体1の載置面側(商品3の底面31aが向けられた一面側)を無線通信装置10上に通過させている間に、該無線通信装置10から電波が送られ、個々の商品3に具備されたICタグ2と通信することで、ICタグ2に記録された情報をそれぞれ読み取る及び/又はICタグ2に情報をそれぞれ書き込むことができる。
また、無線通信装置10を、包装体1の搬送途中に配置してICタグ2と通信する態様に限られず、所望の場所で、包装体1を無線通信装置10の上に載せる又は通過させることにより、ICタグ2と通信することもできる。
【0018】
ここで、無線通信装置10は、ICタグ2と無線(非接触)によってアクセスできる装置であって、ICタグ2の情報を読み込む読込み型、無線でICタグ2に情報を記録する書込み型、又は該読み込みと書き込みの双方を行える読書き型、の何れかの型を用いることができる。
読込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、その記録情報を読み込む機能を有する。かかる読込み型の無線通信装置10を用いる場合、例えば、商品3毎に具備されたICタグ2にそれぞれの識別番号(ID番号)が記録され、且つ該識別番号に対応した商品情報が別途データベース化されたシステムを構築することにより(例えば、別に設置したホストコンピュータに商品情報が記録更新され、且つインターネットなどの通信網を通じてアクセスできるデータベースなど)、読込み型の無線通信装置10で読み込んだICタグ情報(識別番号等)を元にしてこのデータベースと照合し、個々の商品3についての商品情報を確認でき、商品管理を行うことができる。
また、書込み型の無線通信装置10は、ICタグ2に対しては、所定情報を書き込む機能を有する。かかる書込み型の無線通信装置10を用いる場合、流通過程に於ける各箇所で、所定の商品情報を追記更新することにより、商品3毎のICタグ2に重畳的に商品情報を蓄積できる。
これら読込み型、書込み型、読書き型の無線通信装置10は、各流通箇所に於いて適宜選択して使用でき、例えば、製造元から販売業者又は消費者に至るまで、同じ型の無線通信装置(例えば、読込み型や読書き型など)を用いたり、或いは、製造元では書込み型の無線通信装置、問屋などの流通業者では読書き型、販売業者又は消費者では読込み型をそれぞれ用いるなどのように、流通箇所で異なる型の無線通信装置10を用いることもできる。
【0019】
また、無線通信装置10は、包装体1に包装された商品3のICタグ2に個々にアクセスするものでも良いし、或いは、複数個に一括してアクセスする方式のものでもよい。
【0020】
このような無線通信装置10としては、複数個に対してアクセスするマルチアクセス方式、特定のICチップ22を探しながらアクセスするセレクティブアクセス方式、順にアクセスするFIFOアクセス方式などがあり、無線通信装置と一つ又は複数のICタグ間の通信が衝突しないアンチコリジョン機能を持っている。尚、ICチップには個々のID番号が振り分けられており、それぞれの情報を読み書きできるようになっている。これら方式の中では、マルチアクセス方式の無線通信装置が好ましく、包材5や外装材33にて商品3を包装してなる包装体1に於いて、個々の商品3のICタグ2を一括読み書きすることができる。
マルチアクセス方式の無線通信装置としては、例えば、特開2000−113127号公報などが例示される。この公報に記載の装置は、TDMA(時分割多重方式)により、リーダライタがICタグへマルチリード用のコマンドを送信し、ICタグはICチップ内部で発生した乱数によって応答するタイムスロットを選択して要求されたデータをリーダライタへ送信することでデータの衝突を避け、一括読み取りに対応している。
【0021】
上記包装体1は、底面3aにICタグ2が備えられた商品3の複数個が、それぞれの底面3aを一面側に向けた状態で包材5によって包装された構成からなる。従って、該包装体1は、その一面に対して、各商品3のICタグ2が並べられたような状態となっている。従って、同一包装されている隣合う商品3や該商品3に具備されたICタグ2の干渉を受けず、各商品3に具備されたICタグ2の情報をそれぞれ確実に読み取る又は各商品3に具備されたICタグ2に情報を記録できる。特に、収納物32が液状の場合、従来のようにICタグを容器胴部に装着していると電波が吸収されて読み取り感度などが低下するが、本発明の包装体1によれば、無線通信装置10と各商品3のICタグ2の間に、液状の収納物が介在しないので、読み取り感度などが低下する虞もない。
よって、包装体1を開封して商品3を取り出さなくても、包装した状態のまま、商品毎にその商品管理を用いて行うことができる。尚、後述するように、流通保管時に、各商品のICタグ2が向けられた包装体1の一面が、載置面とならない場合には、該一面に対向する側に無線通信装置を配置することが好ましい。
尚、このようにICタグ2と無線通信装置10によって情報を通信するので、バーコードなどの光学的な手段に比してより確実に情報を読み込むことができ、又、包材5として非透明なものを用いることもできる。
【0022】
さらに、ICタグ2が、任意に読み書き可能なICチップ22を備えている場合には、書込み型又は読書き型の無線通信装置10によって、所望の情報を追記又は更新記録することができる。
従って、例えば、製造元から流通業者を経て消費者に至るまでの各流通拠点で、上記包装体1に無線通信装置10を作用させ、各商品3のICタグ2のそれぞれに、入出荷情報(出荷日、入庫日等)や検品情報などの所望の情報を追加又は更新記録していくことにより、極めて正確な流通履歴が記録されたICタグ2を個々の商品毎に得ることができる。
このICタグ2の記録情報に従えば、商品3の追跡管理を容易に行えるので、医薬品の流通管理システムとして特に好適に利用できる。
【0023】
次に、本発明の変形例を示す。但し、下記変形例の説明では、上記各実施形態と異なる部分について主として説明し、同様の構成についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
上記実施形態では、商品3として、液状の医薬品が収納されたバイアル瓶を例示しているが、本発明の商品3はこれに限定されず、種々のものに適用できる。
すなわち、収納物32としては、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の医薬品でも良いし、又、医薬品に限られず、液状、顆粒状、錠剤状、粉状、ゼリー状、固形状などの性状の食品、飲料、化粧品、サニタリー品などでもよく、或いは、玩具などでもよい。
また、該収納物32を収納する容器31はバイアル瓶に限られず、例えば、アンプルやプレフィルドシリンジなどの医療用容器、胴部よりも小径の注出口が形成されたボトル型、底面から上面まで略同寸法の円筒又は四角筒などの筒状型、底面から上面に向かって拡がるカップ型、瓢箪型、樽型、壺型、胴部に窪みを有するなどの異形型などの各種形状の成形容器の他、厚紙や合成樹脂シートなどの展開シートを組み立てた箱型の組立容器(いわゆるキャラメル箱)などでもよい。
また、容器31の材質についても特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製、金属製、陶器製、ガラス製などでもよい。但し、金属製容器を用いる場合には、磁束の異常反射などが発生して電磁誘導に影響を及ぼして無線通信装置10による読み取り感度などが低下する虞があるので、金属面でも正常に使用可能なICタグ2を用いることが好ましい。
【0024】
図5(a)は、商品3としてアンプルが用いられている例である。該アンプル3は、例えば底面6aに続く円筒状の胴部6bの一部分に縊れ部6cが形成されたアンプル本体6と、該アンプル本体6内に封入された薬剤と、を有する。アンプル3の底面6aは、胴部6bの軸長方向に対してほぼ直交する面部である。該アンプル3は、医療用容器として公知なものを用いることができる。ICタグ2は、このアンプル本体6の底面6aに具備されている。ICタグ2をアンプル3に具備させる手段としては、上記実施形態のように粘着剤を用いてICタグ2を貼付する方法、図示したように、アンプル本体6の胴部6bからICタグ2の周縁部にかけて熱収縮性筒状フィルム8を熱収縮させることによってICタグ2を固定する方法などが挙げられる。
図5(b)、(c)に示すように、アンプル3を包装したICタグ付き包装体1は、包材5内に、このアンプル3の複数個が、アンプル3の底面6aを包装体1の一面側に向けて収納されている。尚、包材5は、図示したような着脱自在な凹状蓋を有する組立箱などが挙げられる。また、51は、該包材5に具備された波形緩衝シート(ロンドレーション)を示す(図5(b)では図示せず)。
【0025】
図6(a)は、商品3としてプレフィルドシリンジが用いられている例である。該シリンジ3は、端部に注射針装着部71aが形成された筒状の胴部71bを有するシリンジ本体71と、注射針装着部71aに取り付けられた栓体72と、シリンジ本体71の後方開口部に挿入されたピストンロッド部73と、シリンジ本体71内に封入された薬剤と、を有し、ピストンロッド部73の端面73a(底面に相当する)は、シリンジ本体71の胴部71bの軸長方向に対してほぼ直交する面部である。このピストンロッド部73の端面73aには、ICタグ2が具備されている。該プレフィルドシリンジ3は、予め薬剤が封入された注射容器であり、公知なものを用いることができる。ICタグ2をシリンジ3に具備させる手段は、上記の例示と同様に、例えば熱収縮性筒状フィルム8などを用いることができる。
図6(b)、(c)に示すように、シリンジ3を包装したICタグ付き包装体1は、組立箱などからなる包材5内に、このシリンジ3の複数個が、シリンジ3の端面を包装体1の一面側に向けて収納されている。尚、51は、包材5に具備された波形緩衝シートを示す(図6(b)では図示せず)。
【0026】
尚、上記アンプルやシリンジなどのような比較的細長い容器からなる商品を、一列又は二列に並べて収納する場合、図5及び図6に示すように、厚みの薄い扁平状の箱(包材)に、該商品を横に置いて収納することが多い。このように商品を横置き収納するタイプの場合、各容器は、それぞれの底面を包材の一側面1a(小面積の面部)に向けた状態で収納される。得られる包装体1は、包材5の形状に従って扁平状となるため、通常、大面積の面部1bを載置して保管流通に供される。該包装体1は、保管流通時に載置される面部1bに対して商品3のICタグ2が並んでいないため、各商品3のICタグ2が並んでいる包装体の一側面1a側から無線通信装置を作用させればよい。
【0027】
さらに、上記実施形態では、商品3は、容器31とこれに収納された収納物32とからなるが、例えば、図7に示すように、収納物32の収納された容器31が更に外装材33にて個包装されてなる商品3でもよい。外装材33としては、厚紙や合成樹脂シートなどの展開シートを組み立てた組立小箱や樹脂成形箱などが例示される。
収納物の収納された容器31と外装材33とからなる上記商品3についても同様に、それぞれ底面3aを包装体1の一面側に向けた状態で、包材5によって複数個が包装される。
かかる態様の商品3の場合、容器31の底面31aにICタグ2を具備させてもよいし、又、図7(a)又は(b)に示すように、外装材33の底面の外側又は内側にICタグ2を具備させてもよい。
【0028】
さらに、上記実施形態では、包材5は、厚紙などを組み立てた組立箱が用いられているが、複数個の商品3を包装する包材5は組立箱に限られず、例えば、容体と蓋体からなる合成樹脂ケースなどの樹脂成形品を用いることもできる。また、図8(a)に示すように、包材5として、熱収縮性フィルムなどの軟質フィルム51を用い、複数個の商品3を纏めてオーバーラップすることによりICタグ付き包装体1を構成することもできる。さらに、同図(b)に示すように、包装する各商品3の底面3aに対面するように厚紙や合成樹脂シートなどの板材52を添付し且つ全体を軟質フィルム51で包装してもよい。また、包材5として、結束ベルトを用いることもできる。包材5は、複数個の商品3が離れないように一体化できるものであれば、図1や図8などに示すように全体を被包して一体化する態様、特に図示しないが複数個の商品3の一部分が露出した状態で一体化する態様の何れでもよい。もっとも、商品3の底面3aに具備されたICタグ2を保護できることから、包材5としては、厚紙などのシートを組み立てた組立箱や合成樹脂ケースなどの樹脂成形品、図8(b)に示すような板材52を添付したものが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)は、ICタグ付き包装体の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図2】図1のA−A線に於いて包材のみを切断した状態で示す断面図。
【図3】商品の一実施形態を示す縦断面。
【図4】(a)は、無線通信装置を用いてICタグにアクセスする状態の一実施形態を示す正面図、(b)は、同上面図。
【図5】(a)は、商品(アンプル)の変形例を示す縦断面図、(b)は、同商品を包装した包装体の平面図(但し、包材を断面で示している)、(c)は、B−B線断面図。
【図6】(a)は、商品(シリンジ)の変形例を示す縦断面図、(b)は、同商品を包装した包装体の平面図(但し、包材を断面で示している)、(c)は、C−C線断面図。
【図7】ICタグ付き包装体の変形例を示し、(a)は、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図、(b)は、その包装体のうち包材及び外装材を切断した状態で示す縦断面図。
【図8】(a)、(b)ともに、ICタグ付き包装体の変形例であってし、その包装体のうち包材のみを切断した状態で示す縦断面図。但し、軟質フィルムについては、切断面を表す斜線を入れず、単なる実線で示している。
【符号の説明】
【0030】
1…ICタグ付き包装体、2…ICタグ、21…基材、22…ICチップ、23…アンテナ部、3…商品、3a…商品の底面、31…容器、31a…容器の底面、5…包材、5a…包材の底面、51…軟質フィルム、52…板材、10…無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面にICタグが具備されている商品の複数個が、それぞれ底面を一面側に向けた状態で、包材によって包装されていることを特徴とするICタグ付き包装体。
【請求項2】
請求項1記載のICタグ付き包装体の一面側から無線通信装置を作用させ、個々の商品に係る情報を、個別に又は所定個を一括してICタグから読み取る及び/又はICタグに書き込むことを特徴とするICタグ付き包装体のICタグ通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−1663(P2007−1663A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141371(P2006−141371)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】