説明

ICタグ読取方法及び装置

【課題】小型の物品が大量に密集して存在する場合でもICタグの情報が読み取れるICタグ読取装置および物品の管理システムを提供すること。
【解決手段】ICタグ4を付した物品(試験管1)をリーダライタアンテナ3A,3Bに対して相対的に移動させることにより、ICタグ4の情報を一括で読み取るようにICタグ読取装置を構成する。ここで、物品(試験管1)は、物品(試験管1)を密に収容できるホルダ(試験管ホルダ2)に収容されていてもよく、移動方向は、直線的な移動、直線的な移動同士の組み合わせ、非直線的な移動、又は直線的な移動と非直線的な移動との組み合わせのいずれかによるものとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験管等の小物品の一括管理に利用可能なICタグ読み取り方法及びそれを具現化した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試験管等の小物品の一括管理に無線タグ(ICタグ、RFIDタグともいう)を使用するものとしては、例えば、特許文献1に開示されているものがある。特許文献1における無線タグへの読み書きは、マイクロ波帯(2.45GHz帯)である。このように、無線タグをマイクロ波帯で動作させる場合の読み書きには、通常、電波方式が採用されている(動作周波数帯と動作方式との関係については、例えば、特許文献2の0003段落や特許文献3の0010段落参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−156953号公報
【特許文献2】特開2006−172101号公報
【特許文献2】特開2006−168757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の方法のような電波方式では、特許文献1の0003段落にも書かれているように、試験管等に入っている液体の影響を受けやすく、その読み取り精度には限界がある。
【0005】
一方、例えば13.56MHz帯を動作周波数とする方式として、リーダライタアンテナで発生した磁束がICタグの有するループコイルを通過することによりICタグ側に起電力が発生してICタグとリーダライタ(リーダライタアンテナ)との通信が可能となる電磁誘導方式がある。この電磁誘導方式の場合、従来、複数のタグを一括して読み取るようなケースでは高い読み取り精度が得られないという問題が指摘されていた(例えば、特許文献1の0003段落や特許文献3の0011段落など)。
【0006】
そこで、本発明は、電磁誘導方式に従って高い読み取り精度をもって複数のタグを一括して読み取ることを可能とする方法及びそれを具現化した装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1の方法として、複数の物品のそれぞれに付したICタグの情報を一括して読み取る方法であって、前記ICタグの読み取りに電磁誘導方式を採用し、少なくとも1以上のリーダライタアンテナに対して相対的に且つ一括して前記複数の物品を移動させることにより、前記ICタグの情報を読み取る方法が得られる。
【0008】
また、本発明によれば、第2の方法として、第1の方法において:画像認識手段を用いて前記物品の数を取得し;取得した前記物品の数と前記リーダライタアンテナを介して読み取った前記ICタグの数とが一致しない場合に、前記物品の数と前記ICタグの数とが一致するまで、前記物品を前記リーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させる、方法が得られる。
【0009】
また、本発明によれば、第3の方法として、第1又は第2の方法において、前記電磁誘導方式の動作周波数帯はUHF帯である、方法が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、第4の方法として、第1乃至第3の方法のいずれかにおいて、前記物品は、ガラス、樹脂その他の材料を原料とし、円筒形状又は円錐形状の容器である、方法が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、第5の方法として、第1乃至第4の方法のいずれかにおいて、前記ICタグの読み取りを行うに際しては、前記物品を密に収容できるホルダに対して前記複数の物品を収容し、前記ホルダを前記リーダライタアンテナに対して相対的に移動させる、方法が得られる。
【0012】
更に、本発明によれば、第6の方法として、第1乃至第6の方法のいずれかにおいて、前記相対的な移動は、直線的な相対的移動、直線的な相対的移動同士の組み合わせ、非直線的な相対的移動、又は直線的な相対的移動と非直線的な相対的移動との組み合わせのいずれかである、方法が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、第1のICタグ読取装置として、複数の物品のそれぞれに付したICタグの情報を一括して読み取るICタグ読取装置であって、電磁誘導方式で動作するICタグ読取装置において:リーダライタアンテナと;前記リーダライタアンテナに対して前記複数の物品を相対的に移動させる移動手段と;を備えるICタグ読取装置が得られる。
【0014】
また、本発明によれば、第2のICタグ読取装置として、第1のICタグ読取装置において:前記物品の数を読み取る画像認識部を更に備えており;該画像認識部を用いて取得した前記物品の数と前記リーダライタアンテナを介して読み取った前記ICタグの数とが一致しない場合に、前記物品の数と前記ICタグの数とが一致するまで、前記物品を前記リーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させる;ICタグ読取装置が得られる。
【0015】
また、本発明によれば、第3のICタグ読取装置として、第1又は第2のICタグ読取装置において、UHF帯で動作するICタグ読取装置が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、第4のICタグ読取装置として、第1乃至第3のICタグ読取装置のいずれかにおいて、前記物品は、ガラス、樹脂その他の材料を原料とし、円筒形状又は円錐形状の容器である、ICタグ読取装置が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、第5のICタグ読取装置として、第1乃至第4のICタグ読取装置のいずれかにおいて:前記物品を密に収容できるホルダを更に備えており;前記移動手段は、前記複数の物品を収容した前記ホルダを前記リーダライタアンテナに対して相対的に移動させるものである;ICタグ読取装置が得られる。
【0018】
更に、本発明によれば、第6のICタグ読取装置として、第1乃至第5のICタグ読取装置のいずれかにおいて、前記移動手段は、直線的な相対的移動、直線的な相対的移動同士の組み合わせ、非直線的な相対的移動、又は直線的な相対的移動と非直線的な相対的移動との組み合わせのいずれかに従って、前記複数の物品を前記アンテナに対して相対的に移動させる、ICタグ読取装置が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電磁誘導方式によるICタグ読取装置の場合、管理対象となる複数の物品のそれぞれにICタグを貼り付け、当該物品をリーダライタアンテナに対して相対的に移動させることにより、リーダライタアンテナから発生される磁束がすべてのICタグのアンテナループを通過する可能性が高くなるため、ICタグを読み取る確率を格段に高めることができる。
【0020】
また、画像認識手段を用いて認識した物品数とリーダライタアンテナで読み取ったICタグの数とを比較し、物品数とICタグ数が一致しない場合に物品数とICタグ数が一致するまで物品をリーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させることにより、すべてのICタグを確実に読み取ることができる。加えて、かかる構成をとることで、物品を密に収容できるホルダに物品を収容し、ホルダをアンテナに対して相対的に移動させることとしても、すべてのICタグを確実に読み取ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の第1の最良の形態に係るICタグ読取装置は、ICタグを付した複数の物品をリーダライタに接続されたリーダライタアンテナに対して移動手段を用いて移動させることにより、ICタグの情報を一括で読み取る構成を備えたICタグ読取装置である。
【0022】
管理対象となる物品は、実際の作業性を考慮すると、一方向に移動するのが好ましいが、読み取り率を向上させるために複数の方向に移動させてもよい。また、リーダライタアンテナが1つだけ配置されている場合、管理対象となる物品をリーダライタアンテナに近接した状態で移動するように配置する。一方、リーダライタアンテナは、管理対象となる物品に対して2つ以上配置してもよい。配置の方法は任意に設定できるが、リーダライタアンテナが2つ以上ある場合には、物品を挟み込むように対向配置しても良く、また、リーダライタアンテナから発生する磁界の多くが直交するように配置してもよい。
【0023】
本発明の第2の最良の形態に係るICタグ読取装置は、ICタグを付した複数の物品に対してリーダライタに接続されたリーダライタアンテナを移動手段を用いて移動させることにより、ICタグの情報を一括で読み取る構成を備えたICタグ読取装置である。
【0024】
管理対象となる物品に対するリーダライタアンテナの移動方向は、実際の作業性を考慮すると、一方向に直線的に移動させるのが好ましいが、読み取り率を向上させるために、直線的な移動同士の組み合わせ、非直線的な移動、又は直線的な移動と非直線的な移動との組み合わせによって移動させてもよい。また、本形態においても、リーダライタアンテナは第1の最良の形態と同様に、1または2以上配置することができる。
【0025】
本発明の第3の最良の形態に係るICタグ読取装置は、ICタグを付した複数の物品をリーダライタに接続されたリーダライタアンテナに対して移動させることによりICタグの情報を一括で読み取るICタグ読み取り部と、ICタグの数を読み取る画像認識部とを備えたICタグ読取装置であって、画像認識部で確認された物品の数とリーダライタアンテナで読み取ったICタグの情報から得られるICタグの数が一致しない場合に、画像認識部で確認された物品の数とリーダライタアンテナで読み取ったICタグの数が一致するまで、移動手段によりICタグを付した物品をリーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させる、ICタグ読取装置である。
【0026】
管理対象の物品、又はリーダライタアンテナは、実際の作業性を考慮すると、一方向に移動させるのが好ましく、繰り返し移動させる際には往復運動とするのが好ましいが、読み取り率を向上させるために、任意の方向に移動させるように設定してもよい。
【0027】
本発明の第4の最良の形態に係るICタグ読取装置は、ICタグを付した複数の物品に対してリーダライタに接続されたリーダライタアンテナを移動させることによりICタグの情報を一括で読み取るICタグ読み取り部と、ICタグの数を読み取る画像認識部とを備えたICタグ読取装置であって、画像認識部で確認された物品の数と、リーダライタアンテナで読み取ったICタグの情報から得られるICタグの数が一致しない場合に、画像認識部で確認された物品の数とリーダライタアンテナで読み取ったICタグの数が一致するまで、移動手段によりICタグを付した物品に対してリーダライタアンテナを繰り返し相対的に移動させる、ICタグ読取装置である。
【0028】
管理対象の物品、又はリーダライタアンテナは、実際の作業性を考慮すると、一方向に移動させるのが好ましく、繰り返し移動させる際には往復運動とするのが好ましいが、読み取り率を向上させるために、直線的な移動同士の組み合わせ、非直線的な移動、又は直線的な移動と非直線的な移動との組み合わせ等によって移動させてもよい。
【0029】
また、上述したICタグ読取装置は、電磁誘導方式で動作するものである。即ち、リーダライタアンテナは電磁誘導型アンテナであり、ICタグも電磁誘導型アンテナを備えている。特に、動作周波数をUHF帯(950MHz帯:860〜960MHz帯)とした電磁誘導方式で動作させることが好ましい。この場合、少なくとも特許文献1などに記載されていたような読み取り精度が低いという問題は生じなかった。
【0030】
なお、ICタグ読取装置は、物品を密に収容できるホルダを更に備えることが好ましく、その場合、ホルダに物品を収容して、ホルダをリーダライタアンテナに対して相対的に移動させることとするのが好ましい。
【0031】
また、上述した物品は、ガラス、樹脂その他の材料を原料とし、円筒形状又は円錐形状の容器であることが好ましく、血液、尿、大便等の検体を入れる試験管であることが更に好ましい。
【0032】
また、上述したICタグ読取装置において、ICタグを付した物品のリーダライタアンテナに対する相対的な移動は、当該装置の備える移動手段(図示せず)を用いて行うこととするが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、多数の物品を収容したホルダを手で移動させることとしてもよいし、載置された物品の近辺でリーダライタアンテナを手動で移動させることとしてもよい。
【0033】
以下は、幾つかの実施例および比較例を挙げ、本発明のICタグ読取装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明の実施例1にかかるICタグ読取装置の一例を模式的に示した斜視図である。管理対象となる物品としては試験管1を用いてある。また、50本の試験管1を密に収容できる試験管ホルダ2を用意し、試験管ホルダ2に50本の試験管1を収容したものを1ロットとした。図2に示すように、試験管1の一部には、ICタグ4が取り付けられており、ICタグには予め必要な情報が書き込まれた状態になっている。
【0035】
ここで、リーダライタ(図示せず)に接続された平板状のリーダライタアンテナ3を検査台(図示せず)の上に配置し、リーダライタアンテナ3との距離が一定に保たれるように、50本の試験管1を試験管ホルダ2に収容した状態で、試験管ホルダ2ごと一度だけ直線的に移動させた。このとき、試験管1に付された50個のICタグの情報をリーダライタアンテナ3で一括して読み込み、これを20ロット繰り返し行った。
【実施例2】
【0036】
図3は、本発明の実施例2にかかるICタグ読取装置の一例を模式的に示した斜視図である。実施例1と同様に、予め必要な情報が書き込まれたICタグ4を付した試験管1を50本準備し、この試験管1を試験管ホルダ2に密に収容して、これを1ロットとした。
【0037】
ここで、平板状のリーダライタアンテナ3を検査台(図示せず)の上に移動可能に配置するとともに、50本の試験管1を収容した試験管ホルダ2を、リーダライタアンテナとの距離が一定に保たれるように、検査台から垂直方向に離間した位置でスタンド(図示せず)に固定した。この状態からリーダライタアンテナ3を一度だけ直線的に移動させるとともに、リーダライタアンテナ3で試験管1に付された50個のICタグの情報を一括して読み込み、これを20ロット繰り返し行った。
【実施例3】
【0038】
図4は、本発明の実施例3に係るICタグ読取装置の一例を模式的に示した斜視図である。実施例1と同様に、予め必要な情報が書き込まれたICタグ4を付した試験管1を50本準備し、この試験管1を試験管ホルダ2に密に収容して1ロットとしたものを検査台(図示せず)の上に載置した。
【0039】
ここでは、平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bを、50本の試験管1を収容した試験管ホルダ2を両側から挟みこむよう配置した。試験管ホルダ2は、これら2枚の平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bに対して平行に、かつ検査台(図示せず)の表面に沿って一度だけ直線的に移動させた。このとき、リーダライタアンテナ3で試験管1に付された50個のICタグ4の情報を、2枚の平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bを用いて一括して読み込み、これを20ロット繰り返し行った。
【実施例4】
【0040】
図5は、本発明の実施例4に係るICタグ読取装置の一例を模式的に示した斜視図である。本実施例においては、50本の試験管1を収容した試験管ホルダ2を挟みこむように配置した2枚の平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bを、検査台に沿って、且つ、50本の試験管1を収容した試験管ホルダ2に対して一度だけ直線的に移動させた以外は、実施例3と同じ条件にて、ICタグ4の情報の読み込みを行った。
【0041】
(比較例1)
比較例1においては、実施例1における試験管ホルダ2を、リーダライタアンテナ3に対して相対的に移動させなかった以外は、実施例1の条件と同じ条件にて、ICタグ4の情報の読み込みを行った。
(比較例2)
比較例2においては、実施例3における試験管ホルダ2を、リーダライタアンテナ3A、3Bのいずれに対しても相対的に移動させなかった以外は、実施例3の条件と同じ条件にて、ICタグ4の情報の読み込みを行った。
【実施例5】
【0042】
本実施例は、実施例1における試験管ホルダ2ごと移動させる速度を、実施例1の3倍にした以外は、実施例1の条件と同じである。
【実施例6】
【0043】
本実施例は、実施例1における試験管ホルダ2ごと一度だけ移動させる方向を、直線的ではなく、非直線的にした以外は、実施例1の条件と同じである。
【実施例7】
【0044】
図6は、本実施例に係るICタグ読取装置の一例を模式的に示した斜視図である。実施例3と同様に、予め必要な情報が書き込まれたICタグ4を付した試験管1を50本準備し、この試験管1を密に試験管ホルダ2に収容して1ロットとしたものを、検査台(図示せず)の上に載置した。検査台から垂直方向に離間した上方には、試験管1の数を読み取る画像認識部5が配置されており、画像認識部5は、認識可能範囲に試験管ホルダが入ってくると、試験管ホルダ2に収容されている試験管1の数を読み込み、数値判定部(図示せず)にデータを格納する。
【0045】
更に、平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bを、50本の試験管1を収容した試験管ホルダ2を両側から挟みこむよう配置し、試験管ホルダ2を、これら2枚の平板状のリーダライタアンテナ3A、3Bに対して平行に、且つ、検査台(図示せず)の表面に沿って一定方向に一度だけ移動させた。このときの速度は、効率化のために実施例1の3倍とした。試験管ホルダ2を移動する際、試験管1に付された50個のICタグの情報をリーダライタアンテナで読み取り、ここから試験管の数を抽出して、数値判定部(図示せず)に格納する。
【0046】
数値判定部において、画像認識部によって得られた試験管の数と、リーダライタアンテナ3A、3BによってICタグの情報から得られた試験管の数とが一致しない場合には、図示しない移動手段により試験管ホルダ2を直前の移動とは反対方向に移動させ、両者の数が一致するまで繰り返されるよう構成されている。本実施例でも、これを20ロット繰り返し行った。
【0047】
なお、本実施例では、両者の数が一致するまで繰り返されるようプログラムされているが、一定回数繰り返した後、いったん画像認識部による数値判定を行うようにしてもよく、そのようにすることで、画像認識における認識エラーも防ぐことができる。
【0048】
【表1】

【0049】
表1は、実施例1〜6及び比較例1〜2のそれぞれにおいてリーダライタアンテナ3,3A,3Bを用いてICタグ4から得た試験管1の数を表すものである。比較例1,2の場合、実施例と比較して多くのICタグ4の認識漏れが発生しているが、それに対して、実施例1〜4の場合、いずれも認識率が向上している。また、実施例5においては、試験管ホルダ2の移動速度を速めたために実施例1に比べて認識率が低下しているものの、比較例1、2によりも認識率は改善されていることが分かる。加えて実施例6では、試験管ホルダ2を非直線的に移動したことで、リーダライタアンテナ3A,3Bから発生される磁界ベクトルが、ICタグ3のアンテナループをより通過しやすくなったために認識率が向上している。更に、実施例7では、繰り返し試験管ホルダ2を移動したことにより、すべての試験管1の数を認識できていることが分かる。なお、実施例7における移動の繰り返し回数は1回であった(最初の移動を含まず)。
【0050】
なお、上述した実施例においては、試験管ホルダ2の下方にリーダライタアンテナ3を配置させた例と、試験管ホルダ2を2つのリーダライタアンテナ3A,3Bにて挟むようにしてリーダライタアンテナ3A,3Bを配置させた例を示したが、これらを組み合わせてもよい。
【0051】
以上説明したように、本発明においては、複数の物品のそれぞれにICタグを貼り付け、それらの物品をリーダライタアンテナと相対的に移動させることにより、ICタグをより確実に一括で読み取ることが可能となる。とりわけ、血液、尿、大便などの検体を入れたICタグを付した試験管などの小さい物品を、試験管ホルダ等の容器に入れて密集した状態で物品を管理する場合において、ICタグを一括で読み取ることができる確率が格段に向上するICタグの読取装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るICタグ読取装置の一例を、模式的に示した斜視図である。
【図2】ICタグを試験管に付す場合の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係るICタグ読取装置の一例を、模式的に示した斜視図である。
【図4】本発明の更に別の実施形態に係るICタグ読取装置の一例を、模式的に示した斜視図である。
【図5】本発明の更に別の実施形態に係るICタグ読取装置の一例を、模式的に示した斜視図である。
【図6】本発明の更に別の実施形態に係るICタグ読取装置の一例を、模式的に示した斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 試験管
2 試験管ホルダ
3,3A,3B リーダライタアンテナ
4 ICタグ
5 画像認識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品のそれぞれに付したICタグの情報を一括して読み取る方法であって、前記ICタグの読み取りに電磁誘導方式を採用し、少なくとも1以上のリーダライタアンテナに対して相対的に且つ一括して前記複数の物品を移動させることにより、前記ICタグの情報を読み取る方法。
【請求項2】
画像認識手段を用いて前記物品の数を取得し、取得した前記物品の数と前記リーダライタアンテナを介して読み取った前記ICタグの数とが一致しない場合に、前記物品の数と前記ICタグの数とが一致するまで、前記物品を前記リーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電磁誘導方式の動作周波数帯はUHF帯である、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記物品は、ガラス、樹脂その他の材料を原料とし、円筒形状又は円錐形状の容器である、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ICタグの読み取りを行うに際しては、前記物品を密に収容できるホルダに対して前記複数の物品を収容し、前記ホルダを前記リーダライタアンテナに対して相対的に移動させる、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記相対的な移動は、直線的な相対的移動、直線的な相対的移動同士の組み合わせ、非直線的な相対的移動、又は直線的な相対的移動と非直線的な相対的移動との組み合わせのいずれかである、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
複数の物品のそれぞれに付したICタグの情報を一括して読み取るICタグ読取装置であって、電磁誘導方式で動作するICタグ読取装置において、
リーダライタアンテナと、
前記リーダライタアンテナに対して前記複数の物品を相対的に移動させる移動手段と
を備えるICタグ読取装置。
【請求項8】
前記物品の数を読み取る画像認識部を更に備えており、
該画像認識部を用いて取得した前記物品の数と前記リーダライタアンテナを介して読み取った前記ICタグの数とが一致しない場合に、前記物品の数と前記ICタグの数とが一致するまで、前記物品を前記リーダライタアンテナに対して繰り返し相対的に移動させる、請求項7記載のICタグ読取装置。
【請求項9】
UHF帯で動作する、請求項7又は請求項8記載のICタグ読取装置。
【請求項10】
前記物品は、ガラス、樹脂その他の材料を原料とし、円筒形状又は円錐形状の容器である、請求項7乃至請求項9のいずれかに記載のICタグ読取装置。
【請求項11】
前記物品を密に収容できるホルダを更に備えており、
前記移動手段は、前記複数の物品を収容した前記ホルダを前記リーダライタアンテナに対して相対的に移動させるものである、
請求項7乃至請求項10のいずれかに記載のICタグ読取装置。
【請求項12】
前記移動手段は、直線的な相対的移動、直線的な相対的移動同士の組み合わせ、非直線的な相対的移動、又は直線的な相対的移動と非直線的な相対的移動との組み合わせのいずれかに従って、前記複数の物品を前記アンテナに対して相対的に移動させる、請求項7乃至請求項11のいずれかに記載のICタグ読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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