説明

IC製品管理システム

【課題】出荷されたIC製品の管理に混乱を招くことなく、ICチップがIC製品に組み込まれた後に、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認する。
【解決手段】ICチップがIC製品に組み込まれる工程にてICチップから読み取られたUIDと工程における履歴情報とを対応づけて工程履歴データベース22にて管理する工程管理部20と、ICチップが組み込まれたIC製品の出荷時に、UIDをICチップから読み取ってEPCコードに書き換えるとともに、書き換えたUIDとEPCコードとを対応づけてコードデータベース32にて管理するコード書き換え管理部30と、IC製品に組み込まれたICチップからEPCコードが読み取られた場合、そのEPCコードにコードデータベース32にて対応づけられたUIDを検索し、このUIDに工程履歴データベース22にて対応づけられた履歴情報を検索する履歴情報確認部40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードやICタグ等のIC製品を管理するIC製品管理システムに関し、特に、IC製品に組み込まれたICチップに書き込まれた固有情報を用いてIC製品を管理するIC製品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、情報化社会の進展に伴って、商品等に添付されるタグやラベルに情報を記録し、このタグやラベルを用いての商品等の管理が行われている。このようなタグやラベルを用いた情報管理においては、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICタグや非接触型ICラベルがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
【0003】
非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触型ICタグや非接触型ICラベルにおいては、近年、小型化及び通信可能距離を確保するために、マイクロ波帯を利用して通信を行う微細なICチップが用いられることが多くなってきている。
【0004】
このような微細なICチップを用いた場合、ICチップに導電性のアンテナを接続することにより、ICチップに対して情報の書き込みや読み出しが行われることになる。
【0005】
図7は、マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0006】
本構成例は図7に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材103上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部102a,102bからなるアンテナ部102が形成されており、この2つの導体部102a,102bの一端にそれぞれ設けられた給電点に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ101が搭載されて構成されている。
【0007】
上記のように構成された非接触型ICタグ110においては、外部に設けられたリーダ/ライタ(不図示)に近接させることにより、リーダ/ライタからの電波に共振してアンテナ部102に電流が流れ、この電流がICチップ101に供給され、それにより、非接触状態において、リーダ/ライタからICチップ101に情報が書き込まれたり、ICチップ101に書き込まれた情報がリーダ/ライタにて読み取られたりする。
【0008】
このような非接触型ICタグ110に組み込まれたICチップ101においては、製造時にユニークIDと呼ばれるICチップ101毎に固有なシリアルコードが書き込まれており、非接触型ICタグ110が出荷されて商品等に添付された場合にこのユニークIDを用いて商品等が管理されている。また、ICチップ101が非接触型ICタグ110に組み込まれる工程においてもこのユニークIDを用いて工程管理が行われているため、ICチップ101が非接触型ICタグ110に組み込まれた後に、ICチップ101からユニークIDを読み取ることにより、ICチップ101が非接触型ICタグ110に組み込まれる工程における履歴を確認することができる。また、ICチップの種類によっては、上述したユニークIDが書き込まれずに同一コードが書き込まれたものもあり、その場合、工程管理においてICチップを識別するために個別のコードを書き込むことが行われている。
【0009】
また、非接触型ICタグ110が添付されるワークにICチップ101のユニークIDを含む情報を印字しておき、この情報を用いてワークを管理する技術も考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
ところが、ICチップ101は、製造工程において様々な検査が行われ、その検査において不良とされたものが非接触型ICタグ110に組み込まれずに回収されるため、出荷された非接触型ICタグ110においては、ICチップ101に書き込まれたユニークIDがシリアルに並んだものとならず、いわゆる歯抜けが生じたものとなってしまう。そのため、出荷された非接触型ICタグ110を用いた商品等の管理に混乱を招いてしまう虞れが生じるとともに、ICチップ101の歩留り率が第三者に知られてしまうことになる。
【0011】
ここで、近年においては、上述したようにICチップ101が組み込まれた非接触型ICタグ110を出荷する際に、EPC(Electronic Product Code)コードと呼ばれる非接触型ICタグ110毎に固有なシリアルコードをICチップ101に書き込んでおき、このEPCコードをバーコードのように用いて、非接触型ICタグ110が添付された商品等を管理することが行われている。このようなEPCコード等の新たなコードを非接触型ICタグ110の出荷時にICチップ101に書き込んでおくことにより、出荷された非接触型ICカード110のICチップ101に書き込まれたコードがシリアルに並んだものとなり、出荷された非接触型ICタグ110を用いた商品等の管理に混乱を招いてしまうことを回避することができる。
【0012】
この際、ICチップ101の製造時に書き込まれたユニークIDは、ICチップ101内のメモリ領域を確保するために消去することが好ましい。そのため、一般的には、非接触型ICタグ110の出荷時において、ICチップ101内のユニークIDが上述したEPCコード等の出荷コードに書き換えられている。これにより、ICチップ101の歩留り率が第三者に知られてしまうことがなくなる。
【特許文献1】特開2006−302234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述したように非接触型ICタグ等のIC製品の出荷時に、ICチップ内のユニークIDがEPCコード等の出荷コードに書き換えられた場合、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認することができなくなってしまうという問題点がある。
【0014】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、出荷されたIC製品の管理に混乱を招くことなく、ICチップがIC製品に組み込まれた後に、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認することができるIC製品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、
ICチップが組み込まれたIC製品を管理するIC製品管理システムであって、
前記ICチップが前記IC製品に組み込まれる工程にて当該ICチップから読み取られた第1の固有情報と前記工程における履歴情報とを対応づけて第1のデータベースにて管理する工程管理手段と、
前記ICチップが組み込まれた前記IC製品の出荷時に、前記第1の固有情報を当該ICチップから読み取って第2の固有情報に書き換えるとともに、書き換えた第1の固有情報と第2の固有情報とを対応づけて第2のデータベースにて管理するコード書き換え管理手段と、
前記IC製品に組み込まれたICチップから前記第2の固有情報が読み取られた場合、該第2の固有情報に前記第2のデータベースにて対応づけられた第1の固有情報を検索し、該第1の固有情報に前記第1のデータベースにて対応づけられた履歴情報を検索する履歴情報確認手段とを有する。
【0016】
上記のように構成された本発明においては、ICチップが組み込まれたIC製品を出荷する場合、まず、ICチップがIC製品に組み込まれる工程において、そのICチップに書き込まれた第1の固有情報が読み取られると、工程管理手段にて、読み取られた第1の固有情報と、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴情報とが対応づけて第1のデータベースにて管理される。そして、ICチップが組み込まれたIC製品が出荷される際、コード書き換え管理手段において、第1の固有情報がICチップから読み取られて第2の固有情報に書き換えられるとともに、書き換えられた第1の固有情報と第2の固有情報とが対応づけて第2のデータベースにて管理される。これにより、出荷されたIC製品に組み込まれたICチップには、第1の固有情報は書き込まれてはおらず、第2の固有情報が書き込まれた状態となっている。そのため、第2の固有情報としてシリアルなコードを用いることにより、出荷されたIC製品をシリアルに並んだコードによって管理することができ、IC製品の管理に混乱を招くことがなくなる。その後、IC製品に組み込まれたICチップから第2の固有情報が読み取られた場合、履歴情報確認手段において、その第2の固有情報に第2のデータベースにて対応づけられた第1の固有情報が検索され、また、その第1の固有情報に第1のデータベースにて対応づけられた履歴情報が検索される。これにより、出荷されたIC製品に組み込まれたICチップに書き込まれた第2の固有情報を用いて、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明においては、ICチップがIC製品に組み込まれる工程においてICチップに書き込まれた第1の固有情報とその工程における履歴情報とを対応づけて管理しておきながら、IC製品の出荷時には、第1の固有情報をICチップから読み取って第2の固有情報に書き換えるとともに、書き換えた第1の固有情報と第2の固有情報とを対応づけて管理しておく構成としたため、第2の固有情報としてシリアルなコードを用いれば、出荷されたIC製品をシリアルに並んだコードによって管理することができ、また、IC製品の出荷後に、この第2の固有情報を用いて、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認することができ、出荷されたIC製品の管理に混乱を招くことなく、ICチップがIC製品に組み込まれた後に、ICチップがIC製品に組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
まず、本発明のIC製品管理システムにて管理されるIC製品について説明する。
【0020】
図1は、本発明のIC製品管理システムにて管理されるIC製品の実施の一形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0021】
本形態は図1に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材3上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体部2a,2bからなるアンテナ部2が形成されており、この2つの導体部2a,2bの一端にそれぞれ設けられた給電点に接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ1が搭載されて構成されている。
【0022】
上記のように構成された非接触型ICタグ10においては、外部に設けられたリーダ/ライタ(不図示)に近接させることにより、リーダ/ライタからの電波に共振してアンテナ部2に電流が流れ、この電流がICチップ1に供給され、それにより、非接触状態において、リーダ/ライタからICチップ1に情報が書き込まれたり、ICチップ1に書き込まれた情報がリーダ/ライタにて読み取られたりする。
【0023】
図2は、本発明のIC製品管理システムの実施の一形態を示す図である。
【0024】
本形態は、図1に示した非接触型ICタグ10を管理するものであって、図1に示すように、工程管理部20と、コード書き換え管理部30と、履歴情報確認部40とを有している。
【0025】
工程管理部20には、非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれた第1の固有情報であるユニークIDを読み取る複数のR/W11−1〜11−nが接続されている。このR/W11−1〜11−nは、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれる複数の工程のうち履歴情報の管理が必要となる工程にそれぞれに設置されている。工程管理部20は、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれる工程において、非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれたユニークIDがその工程に設置されたR/W11−1〜11−nにて読み取られると、読み取られたユニークIDとその工程における履歴情報とを対応づけて第1のデータベースである工程履歴データベース22に登録して管理する。この工程履歴データベース22は、インタネットやイントラネット等の通信網50からアクセス可能に構成されている。
【0026】
コード書き換え管理部30には、非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれたユニークIDを読み取り、このユニークIDをシリアルに並んだEPCコードに書き換えるR/W31が接続されている。このR/W31は、ICチップ1が組み込まれた非接触型ICタグ10の出荷工程に設置されている。コード書き換え管理部30は、ICチップ1が組み込まれた非接触型ICタグ10の出荷時に、非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれたユニークIDがその工程に設置されたR/W31にて読み取られると、第2のデータベースであるコードデータベース32を参照し、シリアルに並んだ第2の固有情報であるEPCコードをR/W31を用いてICチップ1に順次書き込む。この際、EPCコードをICチップ1に書き込まれたユニークIDに上書きするように書き込むことにより、ユニークIDをEPCコードに書き換える。また、コード書き換え管理部30は、この書き換えたユニークIDとEPCコードとを対応づけてコードデータベース32に登録して管理する。このコードデータベース32は、通信網50からアクセス可能に構成されている。
【0027】
履歴情報確認部40は、通信網50に接続可能に構成されるとともに、出荷された非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれたEPCコードを読み取る複数のR/W41−1〜41−Nが接続されている。このR/W41−1〜41−Nは、ICチップ1が組み込まれた非接触型ICタグ10の出荷先にそれぞれに設置されている。
【0028】
以下に、上記のように構成されたIC製品管理システムを用いた非接触型ICタグ10の管理方法について説明する。
【0029】
まず、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれ、その非接触型ICタグ10が出荷されるまでの管理方法について説明する。
【0030】
図3は、図2に示したIC製品管理システムにおいて非接触型ICタグ10が出荷されるまでの管理方法を説明するためのフローチャートである。
【0031】
図2に示した非接触型ICタグ10が製造、出荷されるまでには、ICチップ1がベース基材3上に搭載、接着される工程や、ベース基材3が非接触型ICタグ10毎に断裁される工程、あるいは、非接触型ICタグ10が複数層構造である場合はその層の積層工程、また、ICチップ1の通信性能の検査工程等、様々な工程が行われる。
【0032】
これらの工程の中で、履歴情報を管理する必要がある工程において(ステップS1)、その工程に設置されたR/W11−1〜11−nにて、ICチップ1に書き込まれたユニークIDが読み取られる(ステップS2)。R/W11−1〜11−nにてICチップ1から読み取られたユニークIDは工程管理部20に通知される。
【0033】
工程管理部20においては、R/W11−1〜11−nから通知されてきたユニークIDと、そのR/W11−1〜11−nが設置された工程における履歴情報が工程履歴データベース22に対応づけて登録される(ステップS3)。ここで、履歴情報としては、その工程を行った工場名、その工程が実施された実施日、その工程を実施したマシン名、その工程を実施した担当者名等の情報が考えられ、これらの情報が工程管理部20に入力され、R/W11−1〜11−nから通知されてきたユニークIDと対応づけて工程履歴データベース22に登録される。この際、工程管理部20においては、上述したように入力された工場名、マシン名及び担当者名等の情報がR/W11−1〜11−n毎に管理されており、R/W11−1〜11−nからユニークIDとともに通知されてきたR/W11−1〜11−nを識別可能なIDによってR/W11−1〜11−nが識別され、識別されたR/W11−1〜11−n毎に管理された工場名、マシン名及び担当者名等の情報と、R/W11−1〜11−nから通知されてきたユニークIDとその通知時間とが対応づけて工程履歴データベース22に登録されることになる。
【0034】
図4は、図2に示した工程履歴データベース22の一構成例を示す図である。
【0035】
図4に示すように、図2に示した工程履歴データベース22においては、R/W11−1〜11−nにてICチップ1から読み取られたユニークIDが、そのICチップ1が組み込まれる非接触型ICタグ10の製造工程毎に、その工程を行った工場名、その工程が実施された実施日、その工程を実施したマシン名、その工程を実施した担当者名と対応づけて登録されている。
【0036】
図1に示した非接触型ICタグ10が完成し、出荷する工程になると(ステップS4)、まず、ICチップ1が組み込まれた非接触型ICタグ10の出荷工程に設置されたR/W31において、出荷される非接触型ICタグ10のICチップ1に書き込まれたユニークIDが読み取られ、読み取られたユニークIDがコード書き換え管理部30に通知される。
【0037】
コード書き換え管理部30においては、ICチップ1から読み取られたユニークIDがR/W31から通知されてくると、出荷順にシリアルに並んだEPCコードがR/W31に通知され、シリアルに並んだEPCコードがR/W31によってICチップ1に書き込まれる。この際、R/W31におけるEPCコードの書き込みが、EPCコードがICチップ1に書き込まれたユニークIDに上書きするように行われることにより、ICチップ1に書き込まれたユニークIDがEPCコードに書き換えられる(ステップS5)。
【0038】
また、コード書き換え管理部30において、この書き換えられたユニークIDとEPCコードとが対応づけてコードデータベース32に登録される(ステップS6)。
【0039】
図5は、図2に示したコードデータベース32の一構成例を示す図である。
【0040】
図5に示すように、図2に示したコードデータベース32においては、R/W31にてICチップ1から読み取られたユニークIDと、R/W31にてこのICチップ1に書き込まれたEPCコードとが対応づけて登録されている。
【0041】
R/W31にてICチップ1に書き込まれたEPCコードは、上述したようにコード書き換え管理部30にて出荷順にシリアルに並んだものとして付与されるため、図5に示すように、ICチップ1から読み取られたユニークIDが、検査工程において不良とされたものが非接触型ICタグ10に組み込まれずに回収されることにより、シリアルに並んだものとならず、いわゆる歯抜けが生じたものとなってしまっていても、ICチップ1に書き込まれるEPCコードは出荷順にシリアルに並んだものとなる。このように、出荷された非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1には、出荷順にシリアルに並んだEPCコードが書き込まれているため、出荷された非接触型ICタグ10あるいは非接触型ICタグ10が添付された商品等をシリアルに並んだコードによって管理することができ、管理に混乱を招くことがなくなる。
【0042】
次に、上述したようにした出荷されて非接触型ICタグ10について、ICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認する際の処理について説明する。
【0043】
図6は、図2に示したIC製品管理システムにおいて非接触型ICタグ10が出荷された後に、ICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【0044】
非接触型ICタグ10が出荷された後、その非接触型ICタグ10にICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認する場合は、その非接触型ICタグ10の出荷先に設置されたR/W41−1〜41−Nにて、非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1に対して情報の読み取り動作が行われる。出荷された非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1においては、上述したようにEPCコードが書き込まれているため、R/W41−1〜41−NにおいてこのEPCコードが読み取られる(ステップS11)。R/W41−1〜41−NにてICチップ1から読み取られたEPCコードは履歴情報確認部40に通知される。
【0045】
履歴情報確認部40においては、ICチップ1から読み取られたEPCコードがR/W41−1〜41−Nから通知されると、まず、通信網50を介してコードデータベース32が参照される。そして、コードデータベース32においてR/W41−1〜41−Nから通知されたEPCコードに対応づけられたユニークIDが検索される(ステップS12)。コードデータベース32においては、図5に示したように、ICチップ1に書き込まれたEPCコードがユニークIDと対応づけて登録されている。このユニークIDは、EPCコードが読み取られたICチップ1が組み込まれた非接触型ICタグ10が出荷されるまでにICチップ1に書き込まれていたものであるため、このユニークIDに対応づけて、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれる工程の履歴情報が管理されていれば、ICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【0046】
履歴情報確認部40においては、次に、通信網50を介して工程履歴データベース22が参照される。そして、工程履歴データベース22においてコードデータベース32から検索されたユニークIDに対応づけられた履歴情報が検索される(ステップS13)。工程履歴データベース22においては、図4に示したように、非接触型ICタグ10が出荷される前にこの非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1に書き込まれていたユニークIDが、このICチップ1が組み込まれる非接触型ICタグ10の製造工程毎に、その工程を行った工場名、その工程が実施された実施日、その工程を実施したマシン名、その工程を実施した担当者名等の履歴情報と対応づけて登録されている。そのため、非接触型ICタグ10が出荷される前にこの非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1に書き込まれていたユニークIDを用いることにより、この非接触型ICタグ10について、ICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【0047】
このようにして、出荷後の非接触型ICタグ10に組み込まれたICチップ1に書き込まれたEPCコードを読み取るだけで、この非接触型ICタグ10にICチップ1が組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【0048】
上述したように本形態においては、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれる工程においてICチップ1に書き込まれたユニークIDと工程における履歴情報とを対応づけて管理しておきながら、非接触型ICタグ10の出荷時には、ユニークIDをICチップ1から読み取って出荷順にシリアルとなるEPCコードに書き換えるとともに、書き換えたユニークIDとEPCコードとを対応づけて管理しておくため、出荷された非接触型ICタグ10をシリアルに並んだコードによって管理することができ、また、非接触型ICタグ10の出荷後に、ICチップ1に書き込まれたEPCコードを用いて、ICチップ1が非接触型ICタグ10に組み込まれる工程における履歴を確認することができる。
【0049】
なお、本形態においては、第1の固有情報として、ICチップ1に既に書き込まれているユニークIDを用いたが、ICチップ1が組み込まれる非接触型ICタグ10の製造時に、初期工程においてこれに代わる固有情報をICチップ1に書き込み、この固有情報と工程における履歴情報とを対応づけて工程履歴データベース22に登録してもよい。また、第2の固有情報においてもEPCコードに限らず、非接触型ICタグ10の出荷時においてICチップ1に出荷順にシリアルに書き込むことができるものであればよい。
【0050】
また、ICチップ1が組み込まれたIC製品として、図1に示したように、ベース基材3上に2つの導体部2a,2bからなるアンテナ部2が形成されるとともにこれと接続されるようにICチップ1が搭載されてなる非接触型ICタグ10を例に挙げて説明したが、その形状はこれに限らず、1つの導体部からなるアンテナ部を有するものであってもよい。また、非接触状態にて情報の書き込みや読み取りが可能な非接触型ICタグ10ではなく、接触状態にて情報の書き込みや読み取りが可能なもの等、情報の書き込みや読み取りが可能なICチップが組み込まれたものであれば、様々なIC製品を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明のIC製品管理システムにて管理されるIC製品の実施の一形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】本発明のIC製品管理システムの実施の一形態を示す図である。
【図3】図2に示したIC製品管理システムにおいて非接触型ICタグが出荷されるまでの管理方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2に示した工程履歴データベースの一構成例を示す図である。
【図5】図2に示したコードデータベースの一構成例を示す図である。
【図6】図2に示したIC製品管理システムにおいて非接触型ICタグが出荷された後に、ICチップが組み込まれる工程における履歴を確認する際の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】マイクロ波帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ICチップ
2 アンテナ部
2a,2b 導体部
3 ベース基材
10 非接触型ICタグ
20 工程管理部
21−1〜21−n,31,41−1〜41−N R/W
22 工程履歴データベース
30 コード書き換え管理部
32 コードデータベース
40 履歴情報確認部
50 通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップが組み込まれたIC製品を管理するIC製品管理システムであって、
前記ICチップが前記IC製品に組み込まれる工程にて当該ICチップから読み取られた第1の固有情報と前記工程における履歴情報とを対応づけて第1のデータベースにて管理する工程管理手段と、
前記ICチップが組み込まれた前記IC製品の出荷時に、前記第1の固有情報を当該ICチップから読み取って第2の固有情報に書き換えるとともに、書き換えた第1の固有情報と第2の固有情報とを対応づけて第2のデータベースにて管理するコード書き換え管理手段と、
前記IC製品に組み込まれたICチップから前記第2の固有情報が読み取られた場合、該第2の固有情報に前記第2のデータベースにて対応づけられた第1の固有情報を検索し、該第1の固有情報に前記第1のデータベースにて対応づけられた履歴情報を検索する履歴情報確認手段とを有するIC製品管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−181191(P2009−181191A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17775(P2008−17775)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】