説明

IDカード作成装置及び作成方法

【課題】顔画像の開眼状態が目視確認しやすく、IDカードに目つぶり画像が印刷されることを防止すると共に、目の位置の正確な情報を取得する。
【解決手段】IDカード作成装置1は、被撮影者10の顔を撮影して画像データを生成する撮像部102と、前記画像データにおける前記被撮影者の目を含む所定領域及び前記目の位置を検出する検出部103と、前記画像データの表示及び前記所定領域の拡大表示を行い、前記拡大表示した前記所定領域における前記検出部が検出した目の位置にマーカを表示し、前記マーカの表示位置を示す座標を算出する表示部104と、前記マーカの表示位置の変更指示を受け付ける指示受付部105と、前記画像データ及び前記被撮影者を識別する識別情報を用いてIDカードを作成する作成部140と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像が印刷されたIDカードを作成するIDカード作成装置及び作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
免許証などのIDカード(Identification Card)には、IDカード所有者の顔画像が印刷されている場合がある。この顔画像は、IDカード所有者の顔をデジタルカメラやビデオカメラで撮影して取得されることが多い。IDカードに印刷される顔画像は本人確認に使用されることから、IDカード作成時には、撮影した顔画像における被撮影者の開眼状態を確認し、目をつぶっていた場合は再度撮影する必要がある。例えば、撮影した顔画像をモニタに表示し、目つぶりが発見されたときには再度撮影を行い、所望の顔画像データが得られるまで撮影を繰り返すシステムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来のシステムでは、バストショットされた画像がモニタに表示されるため、目の部分の表示が小さくなり、開眼状態を目視確認することが困難であった。撮影された顔画像の開眼状態を自動判定する手法も提案されているが、目の位置が正しく検出されているか操作者には分からず、開眼状態が正しく判定されていないおそれがあった。
【0004】
また、本人確認を行う顔認証ソフトでは、顔画像の特徴量として、目の位置は重要なパラメータとなる。顔認証ソフトの認証精度を向上させるためには、目の位置の正確な情報が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−1985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被撮影者の顔画像の開眼状態が目視確認しやすく、目つぶり画像が印刷されたIDカードを作成することを防止すると共に、顔画像における目の位置の正確な情報を取得できるIDカード作成装置及び作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるIDカード作成装置は、被撮影者の顔を撮影して画像データを生成する撮像部と、前記被撮影者を識別する識別情報が入力される入力部と、前記画像データにおける前記被撮影者の目を含む所定領域及び前記目の位置を検出する検出部と、前記画像データの表示及び前記所定領域の拡大表示を行い、前記拡大表示した前記所定領域における前記検出部が検出した目の位置にマーカを表示し、前記マーカの表示位置を示す座標を算出する表示部と、前記マーカの表示位置の変更指示を受け付ける指示受付部と、前記画像データ及び前記識別情報を用いてIDカードを作成する作成部と、を備える。
【0008】
本発明によるIDカード作成装置においては、前記画像データ及び前記座標を用いて、前記被撮影者の顔の特徴量を算出する算出部と、複数の人についての前記特徴量及び前記識別情報の組み合わせを記憶する記憶部と、前記入力部から入力された識別情報と同じ識別情報と組み合わせられている特徴量を前記記憶部から抽出する抽出部と、前記算出部が算出した特徴量と、前記抽出部が抽出した特徴量との類似度を算出し、前記類似度が所定値以上の場合に、前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定する判定部と、前記判定部が、前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定した場合に、前記作成部に対して前記IDカードの作成の許可を与える管理部と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
本発明によるIDカード作成装置においては、前記判定部が前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定した場合に、前記算出部が算出した特徴量を、前記入力部から入力された識別情報と組み合わせて前記記憶部に格納し、前記記憶部の記憶データを更新する更新部をさらに備えることが好ましい。
【0010】
本発明によるIDカード作成装置においては、前記表示部は、前記画像データの表示と、前記所定領域の拡大表示とを切り替えて行うことが好ましい。
【0011】
本発明によるIDカード作成装置においては、前記表示部及び前記指示受付部の少なくとも一部は、タッチパネルで構成されることが好ましい。
【0012】
本発明によるIDカード作成方法は、被撮影者を識別する識別情報が入力される工程と、前記被撮影者の顔を撮影して画像データを生成する工程と、前記画像データにおける前記被撮影者の目を含む所定領域及び前記目の位置を検出する工程と、前記画像データを表示する工程と、前記所定領域の拡大表示を行うと共に、拡大表示した前記所定領域において、前記検出した目の位置にマーカを表示する工程と、前記マーカの表示位置の変更指示を受け付ける工程と、前記変更指示を受け付けた後に、前記マーカの表示位置を示す座標を求める工程と、前記画像データ及び前記識別情報を用いてIDカードを作成する工程と、を備える。
【0013】
本発明によるIDカード作成方法においては、前記IDカードを作成する工程の前に、前記画像データ及び前記座標を用いて、前記被撮影者の顔の特徴量を算出する工程と、複数の人についての前記特徴量及び前記識別情報の組み合わせを記憶する記憶部から、前記入力された識別情報と同じ識別情報と組み合わせられている特徴量を抽出する工程と、前記算出した特徴量と、前記抽出した特徴量との類似度を算出する工程と、をさらに備え、前記類似度が所定値以上の場合に、前記IDカードを作成することが好ましい。
【0014】
本発明によるIDカード作成方法においては、前記類似度が前記所定値以上の場合に、前記算出した特徴量と、前記入力された識別情報とを組み合わせて前記記憶部に格納し、前記記憶部の記憶データを更新する工程をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被撮影者の顔画像の目の部分を拡大表示しているので、開眼状態を目視確認しやすく、目つぶり画像が印刷されたIDカードを作成することを防止することができる。また、顔画像の目の部分を拡大表示する際に、検出された目の位置をマーカ表示し、オペレータがマーカの位置を修正できる。オペレータにより修正されたマーカの位置から、被撮影者の目の位置の正確な情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るIDカード作成装置の概略構成図である。
【図2】表示部による画像の表示形式の一例を示す図である。
【図3】同実施形態に係るIDカード作成方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に本発明の実施形態に係るIDカード作成装置の概略構成を示す。IDカード作成装置1は、被撮影者を識別する識別情報が入力される入力部101と、被撮影者の顔を撮影して画像データを生成する撮像部102と、画像データにおける被撮影者の目を含む所定領域及び目の位置を検出する検出部103と、画像データ及びマーカを表示する表示部104と、マーカの表示位置の変更指示を受け付ける指示受付部105と、識別情報、画像データ、及びマーカの表示位置についての情報の転送制御を行う制御部110と、画像データ及び識別情報を用いてIDカードを作成する作成部140と、を備えている。
【0019】
また、このIDカード作成装置1には、複数の人についての顔の特徴量を記憶する記憶部130と、被撮影者の顔の特徴量を算出する算出部121と、記憶部130から特徴量を抽出する抽出部122と、算出された特徴量と抽出された特徴量との類似度に基づいて本人確認を行う判定部123と、記憶部130の記憶データを更新する更新部124と、作成部140にIDカード作成許可を与える管理部125とが接続されている。
【0020】
そして、このような構成からなるIDカード作成装置1は、被撮影者10の顔画像が印刷されたIDカードを作成するものである。ここで、IDカードは、例えば、自動車運転免許証等の免許証類、キャッシュカード、クレジットカード、社員証、会員証、身分証明書、医療カードなどである。
【0021】
入力部101は、IDカードの発行を申請する被撮影者10を識別する識別情報が入力される。入力部101は、例えばマウスやキーボード等で構成することができる。
【0022】
入力部101に入力される識別情報は、例えば被撮影者10の氏名や個人識別番号を含む。また、識別情報は、被撮影者10の住所や生年月日等を含んでもよい。入力部101は、入力された識別情報を制御部110に通知する。
【0023】
また、撮像部102は、被撮影者10の顔を含む上半身の少なくとも一部を撮影する。撮像部102は、例えばデジタルカメラやビデオカメラであり、レッドR、グリーンG、ブルーBの3色カラーフィルタCCDを用いる。撮像部102は、オペレータが操作部(図示せず)を操作することで、撮影を行う。撮像部102が被撮影者10を撮影した画像データは、検出部103、表示部104、及び制御部110へ出力される。
【0024】
検出部103は、公知の手法を用いて、撮像部102から受け取った画像データから、被撮影者10の目の位置を検出する。
【0025】
例えば、検出部103は、カラー多値画素データである画像データをグレースケール画素データに変換し、各画素の濃度値を算出する。次に、検出部103は、所定の閾値以下の濃度値を持つ黒画素の個数を、画像の水平方向にカウントする。このカウント値を垂直方向にみると、眉、目、鼻孔、口に相当する領域でカウント値は大きくなる。従って、カウント値が大きくなる4つの領域のうち、画像の垂直方向に上から2番目が目に対応する。このような特徴を利用して、検出部103は、目の位置を検出することができる。
【0026】
また、検出部103は、予め目尻や目頭などの画像をテンプレートとして保存しておき、テンプレートマッチングにより目の位置を検出することもできる。
【0027】
さらに、検出部103は、検出した目の位置を中央部分に含む所定サイズの矩形領域を設定する。そして、検出部103は、検出した目の位置(画像中の座標)と、この矩形領域の頂点位置(画像中の座標)とを表示部104に通知する。
【0028】
表示部104は、撮像部102から受け取った画像データを表示する。また、表示部104は、撮像部102から受け取った画像データのうち、検出部103から通知された頂点位置に囲まれる矩形領域に対応する部分の画像を拡大表示する。さらに、表示部104は、拡大表示した矩形領域の画像中の、検出部103から通知された目の位置にマーカを重ねて表示する。
【0029】
図2(a)〜(d)に、表示部104が表示する画像の一例を示す。図2(a)に示すように、表示部104は、撮像部102が撮影した被撮影者10の画像201と、被撮影者10の目を中心とした矩形領域の拡大画像202と、目の位置を示すマーカ203とを表示する。目を中心とした矩形領域の拡大画像が表示部104に表示されるため、オペレータは、被撮影者10の開眼状態を容易に視認することができる。例えば、オペレータは、図2(b)に示すように、被撮影者10が目を瞑っていた状態であることを、拡大画像202から、容易に視認することができる。
【0030】
指示受付部105は、表示部104に表示されている拡大画像202中のマーカ203の表示位置の変更(修正)指示を、オペレータから受け付ける。オペレータは、表示部104に拡大表示された画像202中のマーカ203の表示位置を視認し、マーカ203の表示位置と被撮影者10の目の位置がずれている場合は、指示受付部105を介して、マーカ203の表示位置を正しい位置に修正することができる。
【0031】
例えば、図2(c)に示すように、マーカ203の表示位置と被撮影者10の目の位置がずれている場合、オペレータは、指示受付部105を介して、図2(d)に示すように、マーカ203の表示位置を正しい位置(被撮影者10の目の位置)に変更することができる。
【0032】
ところで、表示部104及び指示受付部105の少なくとも一部は、例えばタッチパネルにより構成することができる。タッチパネルの場合、オペレータはマーカ203に触れ、マーカ203の位置を簡単に移動させることができる。また、表示部104を液晶ディスプレイ、指示受付部105をマウスで構成し、ドラッグアンドドロップによりマーカ203の位置を移動させてもよい。
【0033】
表示部104は、指示受付部105を介して、オペレータから、マーカ203の表示位置を確認したことを受け付けると、画像データにおけるマーカ203の表示位置を示す座標を制御部110に通知する。このことにより、制御部110は、画像データにおける被撮影者10の目の正確な位置(座標)を取得することができる。
【0034】
制御部110は、撮像部102から受け取った画像データと、表示部104から通知された被撮影者10の目の位置と、入力部101から通知された被撮影者10の識別情報とを算出部121へ出力する。また、制御部110は、入力部101から通知された被撮影者10の識別情報を抽出部122へ出力する。さらに、制御部110は、撮像部102から受け取った画像データを作成部140へ出力する。
【0035】
算出部121は、制御部110から受け取った画像データ及び被撮影者10の目の位置を用いて、被撮影者10の顔の特徴量を算出する。顔の特徴量は、例えば、目の位置、目と鼻、口、耳、眉等との相互の位置関係、顔の輪郭、目、鼻、口、耳、眉等の形状である。顔の特徴量は公知の手法で算出することができる。
【0036】
そして、算出部121は、算出した被撮影者10の顔の特徴量を判定部123へ出力する。また、算出部121は、被撮影者10の識別情報及び算出した被撮影者10の顔の特徴量を更新部124へ出力する。
【0037】
記憶部130は、複数の人間についての顔の特徴量と識別情報との組み合わせを記憶しており、例えばハードディスクで構成される。例えば、記憶部130は、過去にIDカードを作成するために撮影された人間の顔の特徴量と、その人の識別情報とを組み合わせて記憶している。
【0038】
抽出部122は、記憶部130を検索し、制御部110から受け取った識別情報(被撮影者10の識別情報)と同じ識別情報と組み合わされている特徴量を抽出する。抽出部122は、抽出した特徴量を判定部123へ出力する。抽出部122は、制御部110から受け取った識別情報と同じ識別情報が記憶部130に記憶されていない場合は、抽出する特徴量が無い旨を判定部123に通知する。
【0039】
判定部123は、算出部121から受け取った被撮影者10の顔の特徴量と、抽出部122が記憶部130から抽出した特徴量とを比較して類似度を算出する。例えば、類似度は、特徴量の標準ユークリッド距離から算出できる。判定部123は、算出した類似度が所定の閾値以上である場合には、一致すると判定する。一方、判定部123は、算出した類似度が所定の閾値未満である場合には、不一致と判定する。
【0040】
従って、被撮影者10が、過去にIDカードを作成したことのある本人であるか否かについて、判定することができる。
【0041】
また、判定部123は、抽出部122から、抽出する特徴量が無い旨を通知された場合、判定を行わない。従って、判定部123による判定結果は、一致、不一致、未判定のいずれかとなる。判定部123は、判定結果を更新部124及び管理部125に通知する。
【0042】
更新部124は、判定部123の判定結果が“一致”である場合、算出部121から受け取った被撮影者10の顔の特徴量を、記憶部130に記憶されているこの被撮影者10の特徴量に上書き又は追加書き込みし、データを更新する。
【0043】
また、更新部124は、判定部123の判定結果が“未判定”である場合、算出部121から受け取った被撮影者10の顔の特徴量と識別情報とを組み合わせて、新たに記憶部130に書き込む。
【0044】
このことにより、記憶部130は、被撮影者10の顔の特徴量について、最新の情報を記憶することができる。
【0045】
管理部125は、判定部123の判定結果に基づいて、IDカードの発行(作成)の許否を決定し、作成部140に通知する。例えば、管理部125は、判定部123の判定結果が“一致”である場合、作成部140に対し、IDカードの作成を許可する。一方、判定部123の判定結果が“不一致”である場合、管理部125は、作成部140に対し、IDカードの作成を許可しない。
【0046】
判定部123の判定結果が“未判定”である場合、管理部125は、作成部140に対してIDカードの作成を許可してもよいし、オペレータにIDカード作成の許否の判断を委ねてもよい。
【0047】
作成部140は、管理部125によりIDカードの作成が許可されると、制御部110から受け取った画像データを用いてIDカードを作成する。例えば、作成部140は、IDカードのカード材料が収納されているカードカセットと、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各色のプリント部と、紫外線硬化樹脂の塗布部と、紫外線照射部とを備える。
【0048】
作成部140は、被撮影者10の顔画像をカラープリントするために、レッドR、グリーンG、ブルーBの3原色信号の画像データを、イエローY、マゼンタM、シアンCの濃度情報に変換する。そして、作成部140は、カードカセットからカード材料を1枚取り出し、イエローY、マゼンタM、シアンCを順次プリントし、各色を重ねることで、被撮影者10の顔画像をカラープリントする。さらに、作成部104は、被撮影者10の住所、氏名等の文字情報をブラックBでプリントする。
【0049】
そして、作成部140は、カード材料に紫外線硬化樹脂を塗布した後、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、IDカードを作成する。作成部140は、IDカードのホットスタンプ加工(箔押し)を施すようにしてもよい。
【0050】
次に、IDカード作成装置1を用いたIDカード作成方法の一例について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0051】
(ステップS101)IDカードの作成を申請する被撮影者10の識別情報が入力部101を介して入力される。
【0052】
(ステップS102)オペレータの操作により、撮像部102が、被撮影者10の顔を含む上半身の少なくとも一部を撮影(バストショット)する。撮像部102は、撮影した画像データを検出部103、表示部104、及び制御部110へ出力する。
【0053】
(ステップS103)検出部103が、撮像部102から受け取った画像データから、被撮影者10の顔画像中の目の位置(座標)を検出する。また、検出部103は、被撮影者10の顔画像中の目を含む所定サイズの矩形領域を設定し、この矩形領域の頂点の位置(座標)を検出する。そして、検出部103は、目の位置及び矩形領域の頂点位置を表示部104に通知する。
【0054】
(ステップS104)表示部104が、撮像部102から受け取った画像データをディスプレイ上に表示する。また、表示部104は、検出部103から通知された頂点位置で囲まれる矩形領域を拡大表示すると共に、検出部103から通知された被撮影者10の目の位置にマーカを重ねて表示する。
【0055】
(ステップS105)オペレータが、ステップS104で拡大表示された矩形領域から、被撮影者10の開眼状態を確認する。被撮影者10の目が開いている場合はステップS106へ進み、目を瞑っていたり半開きだったりした場合はステップS102に戻り、再度撮影を行う。被撮影者10の目の周辺領域が拡大表示されているため、被撮影者10の開眼状態を容易に視認することができる。
【0056】
(ステップS106)オペレータにより、ステップS104で表示されたマーカの位置が、被撮影者10の目の位置に正しく合っているか否かが確認される。合っている場合はステップS108に進み、合っていない場合はステップS107に進む。
【0057】
(ステップS107)オペレータが、表示部104により表示されているマーカの位置と被撮影者10の目の位置とが一致するように、指示受付部105を介して、マーカの位置を修正する。
【0058】
例えば、表示部104及び指示受付部105がタッチパネルで構成されている場合、オペレータは、マーカに触れて移動させることで、マーカの位置を修正できる。
【0059】
(ステップS108)表示部104が、画像データにおけるマーカの位置を算出し、制御部110に通知する。制御部110は、表示部104から、被撮影者10の目の位置の正確な情報を取得できる。
【0060】
(ステップS109)算出部121が、制御部110から画像データ及び被撮影者10の目の位置の情報を受け取り、これらを用いて、被撮影者10の顔の特徴量を算出する。
【0061】
(ステップS110)抽出部122が、制御部110からステップS101で入力された被撮影者10の識別情報を受け取り、記憶部130を検索して、この識別情報と同じ識別情報を探し出す。記憶部130は、過去にIDカードを作成した複数の人間の顔の特徴量と識別情報とを組み合わせて記憶している。
【0062】
(ステップS111)記憶部130にステップS101で入力された被撮影者10の識別情報と同じ識別情報が記憶されている場合はステップS112へ進み、記憶されていない場合はステップS115へ進む。
【0063】
(ステップS112)抽出部122が、被撮影者10の識別情報と同じ識別情報と組み合わされている特徴量を記憶部130から抽出する。
【0064】
(ステップS113)判定部123が、ステップS109で算出された特徴量と、ステップS112で記憶部130から抽出された特徴量との類似度を算出する。
【0065】
(ステップS114)ステップS113で算出された類似度が所定の閾値以上である場合、ステップS109で算出された特徴量と、ステップS112で記憶部130から抽出された特徴量とが一致すると判定される。すなわち、被撮影者10が、ステップS101で入力された識別情報に対応する過去にIDカードの作成を行った人物と一致する(本人である)と判定され、ステップS115へ進む。
【0066】
一方、ステップS113で算出された類似度が所定の閾値未満である場合、被撮影者10は、ステップS101で入力された識別情報に対応する過去にIDカードの作成を行った人物とは一致しないと判定される。この場合、被撮影者10が他人になりすましてIDカードの作成を行おうとしていることが考えられるため、IDカードの作成を行わずに、IDカード作成処理を終了する。
【0067】
(ステップS115)管理部125が、作成部140に対して、IDカードの作成許可を与える。
【0068】
(ステップS116)作成部140が、制御部110から受け取った画像データを用いて、被撮影者10の顔画像が印刷されたIDカードを作成する。
【0069】
(ステップS117)更新部124が、被撮影者10の識別情報と、ステップS113で算出された類似度とを組み合わせて記憶部130に格納(上書き又は追加書き込み)し、記憶部130の記憶データを更新する。
【0070】
このように、本実施形態に係るIDカード作成装置1によれば、被撮影者10の目の周辺領域が表示部104により拡大表示されるため、オペレータは、被撮影者10の顔画像の開眼状態を目視確認しやすく、IDカードに目つぶり画像が印刷されることを防止することができる。
【0071】
さらに、本実施形態に係るIDカード作成装置1によれば、検出部103が検出した被撮影者10の目の位置を、表示部104により拡大表示された目の周辺領域の画像中にマーカで表示し、指示受付部105を介して、このマーカの位置の修正指示を、オペレータから受け付けることができる。従って、IDカード作成装置1は、被撮影者10の目の位置について正確な情報を取得することができる。このことにより、被撮影者10の目が小さかったり、被撮影者10が眼帯をしていたりする場合など、検出部103が目の位置を検出することが困難な場合であっても、オペレータによるマーカ位置の修正指示を受け付けることで、被撮影者10の目の位置について正確な情報を取得することができる。
【0072】
目の位置は、算出部121による顔の特徴量の算出の際に重要なパラメータとなるため、目の位置について正確な情報を取得することで、顔認証に適した特徴量を算出でき、顔認証精度の向上を図ることができる。また、算出部121により算出された特徴量と、記憶部130に記憶されている特徴量とを比較することで、被撮影者10が、過去にIDカードを作成した本人であるか否かを精度良く判定することができる。
【0073】
このように、本実施形態に係るIDカード作成装置1によれば、被撮影者10の顔画像の開眼状態をオペレータが目視確認しやすく、目つぶり画像が印刷されたIDカードを作成することを防止すると共に、顔画像における目の位置の正確な情報を取得できる。
【0074】
さらに、IDカード作成時の本人確認の精度が向上し、他人のなりすましによるIDカードの不正な発行を効果的に防止することができる。
【0075】
上記実施形態では、図2に示すように、表示部104は、被撮影者10の顔画像(バストショット画像)201と、被撮影者10の目の周辺領域の拡大画像202とを同時に表示する例について説明したが、顔画像201と拡大画像202との表示を切り替えるようにしてもよい。このことにより、表示部104のディスプレイ全体に、被撮影者10の目の周辺領域の拡大画像202を表示することができ、被撮影者10の開眼状態をさらに視認しやすくなる。
【0076】
マーカ203は、一定時間(例えば2秒)毎に表示/非表示が切り替わるようにしてもよいし、指示受付部105を介してマーカ203の表示/非表示の切り替え指示を行えるようにしてもよい。マーカ203を非表示にすることで、被撮影者10の開眼状態をさらに視認しやすくなる。
【0077】
また、上記実施形態では、検出部103が、被撮影者10の目を含む所定サイズの矩形領域を設定し、この矩形領域の頂点位置を表示部104に通知するとしていたが、検出部103がこの矩形領域に対応する画像データそのものを表示部104に出力するようにしてもよい。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 IDカード作成装置
10 被撮影者
101 入力部
102 撮像部
103 検出部
104 表示部
105 指示受付部
110 制御部
121 算出部
122 抽出部
123 判定部
124 更新部
125 管理部
130 記憶部
140 作成部
201 顔画像
202 拡大画像
203 マーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撮影者の顔を撮影して画像データを生成する撮像部と、
前記被撮影者を識別する識別情報が入力される入力部と、
前記画像データにおける前記被撮影者の目を含む所定領域及び前記目の位置を検出する検出部と、
前記画像データの表示及び前記所定領域の拡大表示を行い、前記拡大表示した前記所定領域における前記検出部が検出した目の位置にマーカを表示し、前記マーカの表示位置を示す座標を算出する表示部と、
前記マーカの表示位置の変更指示を受け付ける指示受付部と、
前記画像データ及び前記識別情報を用いてIDカードを作成する作成部と、
を備えるIDカード作成装置。
【請求項2】
前記画像データ及び前記座標を用いて、前記被撮影者の顔の特徴量を算出する算出部と、
複数の人についての前記特徴量及び前記識別情報の組み合わせを記憶する記憶部と、
前記入力部から入力された識別情報と同じ識別情報と組み合わせられている特徴量を前記記憶部から抽出する抽出部と、
前記算出部が算出した特徴量と、前記抽出部が抽出した特徴量との類似度を算出し、前記類似度が所定値以上の場合に、前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定する判定部と、
前記判定部が、前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定した場合に、前記作成部に対して前記IDカードの作成の許可を与える管理部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のIDカード作成装置。
【請求項3】
前記判定部が前記被撮影者と、前記抽出部が抽出した特徴量に対応する人とが同一人物であると判定した場合に、前記算出部が算出した特徴量を、前記入力部から入力された識別情報と組み合わせて前記記憶部に格納し、前記記憶部の記憶データを更新する更新部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のIDカード作成装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記画像データの表示と、前記所定領域の拡大表示とを切り替えて行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のIDカード作成装置。
【請求項5】
前記表示部及び前記指示受付部の少なくとも一部は、タッチパネルで構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のIDカード作成装置。
【請求項6】
被撮影者を識別する識別情報が入力される工程と、
前記被撮影者の顔を撮影して画像データを生成する工程と、
前記画像データにおける前記被撮影者の目を含む所定領域及び前記目の位置を検出する工程と、
前記画像データを表示する工程と、
前記所定領域の拡大表示を行うと共に、拡大表示した前記所定領域において、前記検出した目の位置にマーカを表示する工程と、
前記マーカの表示位置の変更指示を受け付ける工程と、
前記変更指示を受け付けた後に、前記マーカの表示位置を示す座標を求める工程と、
前記画像データ及び前記識別情報を用いてIDカードを作成する工程と、
を備えるIDカード作成方法。
【請求項7】
前記IDカードを作成する工程の前に、
前記画像データ及び前記座標を用いて、前記被撮影者の顔の特徴量を算出する工程と、
複数の人についての前記特徴量及び前記識別情報の組み合わせを記憶する記憶部から、前記入力された識別情報と同じ識別情報と組み合わせられている特徴量を抽出する工程と、
前記算出した特徴量と、前記抽出した特徴量との類似度を算出する工程と、
をさらに備え、
前記類似度が所定値以上の場合に、前記IDカードを作成することを特徴とする請求項6に記載のIDカード作成方法。
【請求項8】
前記類似度が前記所定値以上の場合に、前記算出した特徴量と、前記入力された識別情報とを組み合わせて前記記憶部に格納し、前記記憶部の記憶データを更新する工程をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のIDカード作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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