説明

ID装置による情報携帯システム

【課題】登録者のID情報の送信・受信・更新を可能にし、且つ登録者本人にそれらの作業が簡単に行えるようにすると同時に登録者本人が望む情報も簡単に保存することができるID装置による情報携帯システムを提供する。
【解決手段】登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を外部に送信する送信手段と、該ID装置に新規情報を受信する受信手段と、外部のパソコンまたは携帯電話機で更新する更新手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録者個人に関する情報を記憶するID装置を、登録者の口腔内に装着し、その情報を活用可能としたID装置による情報携帯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種の装置としては、例えば、特許文献1に開示されているように、痴呆性老人等の徘徊者を感知して管理者に通告できる読み取り入力装置、または、ドナー登録者等を感知して登録者の善意を読み取ることができる読み取り入力装置なる技術が存在する。
【0003】
また、特許文献2に開示されているように、口腔内情報携帯装置の情報を読み取ったり、当該装置に情報を入力したりする読み取り入力装置なる技術が存在する。
【0004】
これらは共に、発信装置と受信装置を備えた痴呆性老人等の徘徊者感知システム及びドナー登録者の感知システムならびに全てのID情報登録者の感知システムに係るもので、受信装置は管理者が認識できる位置に付設され、発信装置には少なくともアンテナとICパッケージとが備えられており、ID情報を発信することができるものとしている。
【0005】
そして、この感知システムの装着方法として、この発信装置が、徘徊老人等の徘徊者、ドナー登録者及びID情報登録者さらには悪意を持つ第三者が勝手に又は容易に取り外すことができない身体の一部である口腔内に装着されるものとし、より具体的には、発信装置は徘徊者又はドナー登録者等の対象者の義歯及び歯牙等に埋込むことが好ましいものとしている。
【特許文献1】特開2001−134872号公報
【特許文献2】特開2001−256451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、発信装置は、徘徊者又はドナー登録者等の対象者の義歯及び歯牙等に埋込むことが好ましいものとされているものの、その具体的な歯の箇所については限定されていない。
【0007】
すなわち、この取り付け箇所の若干の違いによって、電波が遮られてしまうことから、送受信のレベル感度に大きな差が見られるものとなる。
【0008】
しかも、従来では受信装置は管理者が認識できる位置に付設され、発信装置のみが徘徊者又はドナー登録者等の対象者の義歯及び歯牙等に埋込まれることから、発信装置は情報の送信が可能であるが、情報の受信や更新、さらには漏洩防止等の実行が不可能となっている。
【0009】
このため、登録者本人が望む情報を登録者自らによって保存することができないという欠点があり、登録者側で有利となるように、さらなる改良の余地が残されている。
【0010】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、従来の情報携帯システムの口腔内歯への装着位置の具体化により正確な情報の送受信が得られると共に、当該情報携帯システムを構成する読み取り入力装置のさらに発展的な改良によって、登録者のID情報の送信・受信・更新を可能にし、且つ登録者本人にそれらの作業が簡単に行えるようにすると同時に、登録者本人が望む情報も簡単に保存することができ、さらに情報の漏洩防止が可能となるセキュリティ機能を装備した、ID装置による情報携帯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を外部に送信する送信手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することによって、上述した課題を解決したものである。
【0012】
また、登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に新規情報を受信する受信手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0013】
さらに、登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を、外部のパソコンまたは携帯電話機で更新する更新手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0014】
また、登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を外部に送信する送信手段と、該ID装置に新規情報を受信する受信手段と、外部のパソコンまたは携帯電話機で更新する更新手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0015】
加えて、ID装置は、ICチップ内蔵の薄型シート形状のタグによって形成され、上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着してから、義歯によって成形を施すことで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0016】
また、ID装置は、登録者に関する情報として、毛髪・皮膚・爪の遺伝子情報も併せて保管・保存できる機能を有することで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0017】
この他、前記義歯を情報の送信・受信・更新のアンテナとして使用可能にしたことで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0018】
また、前記ICチップは、情報の送信・受信・更新の機能を備えたことで、同じく上述した課題を解決したものである。
【0019】
さらに、前記ICチップを含むID装置に加えて、携帯用送受信機および上顎下顎を含む歯型認識装置を備え、ID装置・携帯用送受信機・上顎下顎を含む歯型認識装置それぞれからの信号を照合することで、情報の送信・受信・更新・漏洩防止の実行を可能とする三段階のセキュリティ機能を装備したことで、同じく上述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来の情報携帯システムの口腔内歯への装着位置の具体化により正確な情報の送受信が得られると共に、当該情報携帯システムを構成する読み取り入力装置のさらに発展的な改良によって、登録者のID情報の送信・受信・更新を可能にしている。
【0021】
また、登録者本人にそれらの作業が簡単に行えるようにすると同時に、登録者本人が望む情報も簡単に保存することができ、さらに、情報の漏洩防止が可能となるセキュリティ機能を装備したID装置による情報携帯システムを提供することができる。
【0022】
すなわち、本発明では、ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着するものとしたので、これにより、正確な情報の送受信が得られる。しかも、上顎中切歯または上顎側切歯のいずれも面積が広いため、確実に装着することができ、装着の違和感も生じない。
【0023】
また、ID装置は、ICチップ内蔵の薄型シート形状のタグによって形成され、上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着してから、義歯によって成形を施すものとしたので、ID装置自体の存在が他人によって悟られず、しかも、他人によって勝手に外されたりする心配がない。
【0024】
さらに、ID装置は、登録者に関する情報として、毛髪・皮膚・爪の遺伝子情報も併せて保管・保存できる機能を有するので、遺伝子情報に基づいて登録者が本当に本人であるか否かの判別が正確に行える。
【0025】
また、前記義歯を情報の送信・受信・更新のアンテナとして使用可能にしたので、電波による送信・受信の感度が向上する。
【0026】
また、前記ICチップは、情報の送信・受信・更新の機能を備えたので、登録者本人による作業が簡単に行えると共に、登録者本人が望む情報も簡単に保存することができる。
【0027】
さらに、前記ICチップを含むID装置に加えて、携帯用送受信機および上顎下顎を含む歯型認識装置を備え、ID装置・携帯用送受信機・上顎下顎を含む歯型認識装置それぞれからの信号を照合することで、情報の送信・受信・更新・漏洩防止の実行を可能とする三段階のセキュリティ機能を装備したので、登録者情報の第三者への漏洩を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
本発明に係る情報携帯システムのID装置1は、図1に示すように、登録者に関する個人情報を記憶するための、例えば、ICチップ内蔵のメモリー部2と、アンテナ4付きの送受信部3とから構成されている。
【0030】
そして、送受信部3は、メモリー部2に保存されている情報を、外部端末としてのパソコン5や携帯電話機6に送信する送信手段、および外部端末としてのパソコン5や携帯電話機6からメモリー部2に新規情報を受信して記憶させる受信手段、メモリー部2に記憶した情報を、外部端末としてのパソコン5または携帯電話機6で更新する更新手段それぞれの機能を備えている。
【0031】
このID装置1は、ICチップ内蔵の縦横数ミリ単位の薄型シート形状のタグによって形成されており、図2に示すように、登録者の口腔内の歯の中で特に面積が広く且つ遮る障害の少ない上顎中切歯P(図2(a)参照)または上顎側切歯Q(図2(a)参照)のいずれかの位置に貼着され、必要に応じて不図示の義歯による成形を施すものとしている。
【0032】
このID装置1の歯への装着は、口腔内の専門歯科医師によって、外観の相違や違和感が無いように実行されることが好ましい。また、義歯による成形を施す場合には、ID装置1のアンテナ4部分がこの義歯に埋め込まれて一体化させることで、当該義歯自体を情報の送信・受信・更新のアンテナ4として機能させることができる。
【0033】
さらに、本システムには、携帯用送受信機7および上顎下顎を含む歯型認識装置8を備え、ID装置1・携帯用送受信機7・上顎下顎を含む歯型認識装置8それぞれからの信号を相互に照合することで、情報の送信・受信・更新・漏洩防止の実行を可能にした三段階のセキュリティ機能を装備している。
【0034】
ID装置は、登録者に関する個人情報として、例えば、住所、氏名、緊急連絡先、既往症、薬物中毒、アレルギー体質等の医学的情報、その他を登録することが可能である。しかも、登録者の、例えば、毛髪・皮膚・爪の遺伝子情報も併せて保管・保存できる機能を有している。
【0035】
また、登録者が、例えば、徘徊者の場合は、徘徊者と共にID装置1が移動することから、アンテナ4付きの送受信部3からの電波により、外部管理者は絶えず徘徊者の個人情報をキャッチすることができると同時に、外部管理者は徘徊者の位置を的確に把握できるものとしている。
【0036】
さらに、本システムでは、感知機等に近づけば口腔内のID装置1の個人情報が本人を判別可能にすることから、例えば、キャッシュカード、クレジットカード、デビットカード等の各種カードの代わりが可能となる。
【0037】
次に、以上のように構成された本発明の最良の形態について、使用、動作の一例を説明する。
【0038】
先ず、図2に示すように、ICチップ内蔵のタグによって形成されたID装置1を、登録者の口腔内の歯の中の、特に面積が広く且つ遮る障害の少ない上顎中切歯P(図2(a)参照)または上顎側切歯Q(図2(a)参照)のいずれかの位置に貼着し、必要に応じて義歯による成形を施す。
【0039】
このとき、ID装置1のアンテナ4部分をこの義歯によって一体化すれば、当該義歯自体は、情報の送信・受信・更新のアンテナ4として機能される。
【0040】
ID装置1の送受信部3は、メモリー部2に保存されている情報を、外部端末としてのパソコン5や携帯電話機6に送信することで、登録者の情報を確認する。
【0041】
また、外部端末としてのパソコン5や携帯電話機6から、ID装置1のメモリー部2に新規情報を受信して記憶させることで、登録者の情報量が拡張される。
【0042】
さらに、ID装置1のメモリー部2に記憶した情報を、外部端末としてのパソコン5または携帯電話機6で更新することで、登録者の情報が常に最新のものに置き換えられる。
【0043】
そして、ID装置1・携帯用送受信機7・上顎下顎を含む歯型認識装置8それぞれからの信号を照合し、該信号が相互に適合した際には、情報の送信・受信・更新を可能とさせ、該信号が相互に適合しない場合には、情報の送信・受信・更新を遮断させる。このような三重のセキュリティ機能により、第三者への漏洩が予防される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るID装置1による情報携帯システムは、登録者が、通常健康者、徘徊者、子供、心身障害者を問わず様々な登録者への情報携帯システムとして、幅広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るD装置による情報携帯システムの具体的な構成を示す説明図である。
【図2】ID装置を口腔内の歯に装着した例を示すもので、(a)はID装置を上顎中切歯に貼着する状態の展開平面図、(b)はID装置を上顎側切歯に貼着する状態の展開平面図である。
【符号の説明】
【0046】
P…上顎中切歯
Q…下顎側切歯
1…ID装置
2…メモリー(ICチップ)
3…送受信部
4…アンテナ
5…パソコン
6…携帯電話機
7…携帯用送受信機
8…歯型認識装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を外部に送信する送信手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することを特徴とするID装置による情報携帯システム。
【請求項2】
登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に新規情報を受信する受信手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することを特徴とするID装置による情報携帯システム。
【請求項3】
登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を、外部のパソコンまたは携帯電話機で更新する更新手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することを特徴とするID装置による情報携帯システム。
【請求項4】
登録者に関する情報を記憶するID装置と、該ID装置に記憶した情報を外部に送信する送信手段と、該ID装置に新規情報を受信する受信手段と、外部のパソコンまたは携帯電話機で更新する更新手段とを有するID装置による情報携帯システムであって、前記ID装置を上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着することを特徴とするID装置による情報携帯システム。
【請求項5】
ID装置は、ICチップ内蔵の薄型シート形状のタグによって形成され、上顎中切歯または上顎側切歯のいずれかの位置に貼着してから、義歯によって成形を施すものとしている請求項1乃至4のいずれかに記載のID装置による情報携帯システム。
【請求項6】
ID装置は、登録者に関する情報として、毛髪・皮膚・爪の遺伝子情報も併せて保管・保存できる機能を有する請求項1乃至5のいずれかに記載のID装置による情報携帯システム。
【請求項7】
前記義歯を情報の送信・受信・更新のアンテナとして使用可能にした請求項5に記載のID装置による情報携帯システム。
【請求項8】
前記ICチップは、情報の送信・受信・更新の機能を備えた請求項5乃至7記載のID装置による情報携帯システム。
【請求項9】
前記ICチップを含むID装置に加えて、携帯用送受信機および上顎下顎を含む歯型認識装置を備え、ID装置・携帯用送受信機・上顎下顎を含む歯型認識装置それぞれからの信号を照合することで、情報の送信・受信・更新・漏洩防止の実行を可能とする三段階のセキュリティ機能を装備した請求項1乃至8のいずれかに記載のID装置による情報携帯システム。

【図1】
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【図2】
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