説明

IL−25に対する抗体

本発明は、抗体2C3、およびインターロイキン25に結合する2C3に基づいた標的結合メンバーを提供する。これらは治療、例えば喘息の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、インターロイキン25(IL-25)に対する抗体(その結合断片を含む)に関する。本発明の好ましい態様は、抗体2C3の抗体VHおよび/またはVLドメインを使用する。別の局面において、本発明は、ヒトVHおよびVLフレームワーク領域のそれぞれに移植される、本明細書に開示されるVHおよびVLドメインの1つ以上のCDRを提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
喘息は、一般的な気道の慢性炎症性障害である。患者の数はここ10年の間に劇的に増加しており、世界保健機関は世界中で約3億人が喘息に罹患していると推定している。アレルギー性喘息は、種々の刺激的な刺激によって誘導される制御できない気道の過剰反応性(AHR)を特徴とし、肺への2型炎症性浸潤に関連する。
【0003】
2型サイトカインは、寄生性線虫感染に対する防御免疫の媒介、B細胞増殖およびIgE分泌などのエフェクター機能の制御、杯細胞過形成および関連する粘液生成、好酸球増加症、肥満細胞症ならびに線維症の誘導に重要な役割を果たしている(1)。これらのエフェクター機能の制御においてこれらのサイトカインは中心的な役割を担っており、喘息の中心的な治療標的となっている。実際、これらのサイトカインを過剰発現させたマウスモデルは、喘息の有意な特徴を示す。その後、驚くべきことに、特異的な2型サイトカインを阻害することによる実験的な喘息を緩和するための試みは、IL-13の阻害を除いて不首尾となった。
【0004】
IL-13の阻害によりAHRおよび気道の炎症の両方が抑制される(2、3)が、その機構は不明である。しかし、喘息の複雑な病理生理学および病因の理解が不充分であることを考慮すると、個々の経路を標的化することで最終的に治療が成功したと証明されるかどうかは不確かである。
【0005】
最近、構造的に関連のあるIL-17サイトカインファミリーのメンバーである(8)IL-25/IL-17Eの過剰発現により、インビボで2型応答が誘導されること(4〜6)および気道アゴニストに対する反応性が増加すること(7)が示された。Il25-/-マウスは、線虫の寄生を排出できず、これは2型応答能がないことの重要な指標である(9、10)。
【0006】
抗体の基本構造は当該技術分野で周知である。天然に存在する抗体は、通常4本のポリプチド鎖:ジスルフィド結合で結合された2本の同じ重鎖および2本の同じ軽鎖を有する。重鎖および軽鎖はそれぞれ定常領域および可変領域(またはドメイン)を有する。可変領域は主に抗原結合の原因となる。それぞれの可変領域中、相補性決定領域(CDR)として公知である3つの下位領域は抗原との接触を形成する。それぞれの可変ドメインのCDRは、N末端からC末端までCDR1、CDR2およびCDR3と番号が付けられている。CRDの間ならびにNおよびC末端からCRDには、抗原との接触がほとんどない、4つのいわゆるフレームワーク領域がある。抗体の構造に関するさらなる詳細は、参照により本明細書中に援用される、以下で挙げられる多くの書類に説明されている。
【発明の概要】
【0007】
(発明の開示)
本願の発明者は、IL-25に対する抗体を作製し、高親和性および高特異性でIL-25に結合する抗体分子を同定した。ヒトとマウスのIL-25は80%の配列同一性を共有するので、類似性の程度が免疫原性エピトープの数を減少させるため、マウスまたはラットいずれかの従来の免疫により有用な抗IL-25抗体を作製することは、可能ではないと思われた。さらに、レセプター-リガンドの界面は最も程度の高い保存を示す可能性が高かったので、IL-25とそのレセプターの相互作用を阻害し得る抗体の作製は除外した。これらの問題を解決するために、本願の発明者は、このアプローチがIL-25/IL-25Rインターフェイスに対する抗体を生じる可能性を高めると確信して、IL-25発現を欠損する(IL-25-/-)ように改変されたマウスを免疫した。
【0008】
おそらくIL-25自身が体液性免疫応答を高めたるめに、IL-25に対する抗体を生成するという点において、このアプローチは高度に成功裡であった。しかし、このアプローチを使用しても、スクリーニングされた70個の内わずか2個のブロッキング抗体を同定しただけで、そのうち1つだけを回収できた。
【0009】
従来の手段では有効なブロッキング抗体の生成が妨げられると思われたマウスとヒトのIL-25の間の類似性の課題を克服したので、この配列類似性はマウスおよびヒトのIL-25がそれらのレセプターと相互作用することを阻害する点において同等に効果的な抗体の生成を可能にし得ると考えられる。これより本発明はこれが実にその場合であることを示す。
【0010】
IL-25に対する他の抗体は存在するが、本発明はIL-25の生物活性を阻害し得るかかる抗体を最初に示すものであると考えられる。特に、本発明の開示は、喘息のマウスモデルで行った試験を提供し、本発明の抗体が有利で、予期されない性能、特に喘息の重要な症状であるインビボでの気道過剰反応性を予防または減少する能力を有することを示す。
【0011】
可溶性IL-25R-Fc融合タンパク質の投与も、2型気道炎症を低減させることが報告されているが、その効果は本明細書において報告されるものほど劇的でなく、重要なことに、AHRは評価されていなかった(11)。ここで、出願人は、IL-25が気道の炎症およびAHRにおいて重要な役割を果たし、2型サイトカイン媒介性炎症を促進させるために最初に作用するが、古典的な2型サイトカイン独立型のAHRの誘導においても重要な役割を担っていることを示す。IL-25依存型AHRの同定により、IL-25の下流にある新規の治療標的を同定する可能性がもたらされる。現時点で、出願人は、IL-25が気道平滑筋に直接作用して気道狭窄を誘導するかどうか、またはその効果がロイコトリエンなどの公知の気管支狭窄因子の誘導により媒介されるかどうかは知らない。しかし、IL-25の2相の活性により、IL-25はインビボでの気道炎症の抑制および気道過剰反応性の抑阻害制のための良好な治療標的となる。
【0012】
したがって、本発明は、新規の抗体、より一般的には抗体CDR配列を含む標的結合メンバー、および喘息などの状態の治療における標的結合メンバーの使用に関する。
【0013】
一態様において、本発明はIL-25に結合し、配列番号:7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメインを含む標的結合メンバーを提供する。これは本発明の抗体2C3のVH CDR3配列である。
【0014】
より具体的な態様において、本発明の標的結合メンバーは、配列番号:5のCDR1および配列番号:6のCDR2と共に配列番号:7のVH CDR3を含むVHドメインである。
【0015】
VHドメインはヒトフレームワーク領域、または配列番号:2で示されるフレームワーク領域を有し得る。
【0016】
VHドメインは本発明のVLドメイン、例えば配列番号:8のCDR1、配列番号:9のCDR2および配列番号:10のCDR3を有するVLドメインと対を形成し得る。これらのCDRはヒトフレームワーク領域を有するVLドメイン中に存在し得るか、または配列番号:4のVLドメインであり得る。
【0017】
したがって、一局面において、本発明は、IL-25に結合し、2C3 VHドメイン(配列番号:2)および/または2C3 VLドメイン(配列番号:4)を含む標的結合メンバーを提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明の標的結合メンバーをコードする単離された核酸、該核酸を含むベクター、および宿主細胞中で該核酸を発現させて本発明の標的結合メンバーを作製する方法を提供する。
【0019】
本発明はさらに、喘息などの疾患の治療のための、例えば医薬組成物の形態の本発明の標的結合メンバーの使用を提供する。
【0020】
本発明のこれらおよびさらなる局面は、以下および添付の実施例についてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、感作前およびさらに喘息刺激中のIL-25の中和を示す。(A)最後のエアロゾル抗原刺激1日後にOVA感作マウスのメタコリン感受性を測定した。2回の実験のデータを合わせ、14〜18マウス/群の平均±SEMを示す。(アイソタイプ対照に対して*p<0.05、アイソタイプ対照に対して**p<0.01)(B)肺切片をギムザで染色して血管周囲の浸潤について計測した、集団あたりn=8。(C)肺切片の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色により粘液含有量を測定した、集団あたりn=8。(D)ELISAにより抗原特異的血清IgEを測定し、標準血清と比較してOD測定値を任意の単位に変換した、集団あたりn=8。(E)BAL中の好酸球の割合をギムザでサイトスピン染色(cytospins stain)した細胞の差異的計測により測定した、集団あたりn=6。(F)再刺激された縦隔リンパ節細胞由来の抗原誘導サイトカイン産生。タンパク質レベルをELISAで測定した、集団あたりn=6。記号は個々の動物を示し、平均はバーで示す。データは少なくとも2回の独立した実験の代表的なものである。sens=感作前に抗体投与、aero=それぞれのエアロゾル刺激の4時間前に抗体投与。
【図2】図2は、喘息刺激中のみのIL-25の中和を示す。(A)OVA感作マウスのメタコリン感受性を最後のエアロゾル抗原刺激1日後に測定した。2回の実験のデータを合わせて14〜18マウス/群の平均±SEMを示す。(アイソタイプ対照に対して*p<0.05、アイソタイプ対照に対して**p<0.01)(B)肺切片をギムザで染色して血管周囲の浸潤を計測した、集団あたりn=8。(C)肺切片の過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色で粘液含有量を測定した、集団あたりn=8。(D)BAL中の好酸球の割合をギムザでサイトスピン染色した細胞の差異的計測により測定した、集団あたりn=6。(E)抗原特異的血清IgEをELISAで測定し、標準血清と比較してOD測定値を任意の単位に変換した、集団あたりn=8。(F)再刺激した縦隔リンパ節細胞由来の抗原誘導サイトカイン産生。タンパク質レベルをELISAで測定した、集団あたりn=6。記号は個々の動物を示し、平均をバーで示す。データは少なくとも2回の独立した実験の代表的なものである。sens=感作前に抗体投与、aero=それぞれのエアロゾル負荷の4時間前に抗体投与。
【図3】図3は、ナイーブマウスへのrmIL-25の投与を示す。野生型(A)、il13-/-(B)またはil4-/- il5-/- il9-/- il13-/-(C)マウスに1.8μg rIL-25またはPBSを鼻腔内投与した。負荷の16時間後にメタコリン感受性を測定した。アイソタイプ対照に対して*p<0.05、アイソタイプ対照に対して**p<0.01、集団あたりn=4〜8。データは少なくとも2回の独立した実験の代表的なものである。
【0022】
配列:
本発明の標的結合メンバーは、以下の配列番号:
配列番号1 2C3 VHコードヌクレオチド配列
配列番号2 2C3 VHアミノ酸配列
配列番号3 2C3 VLコードヌクレオチド配列
配列番号4 2C3 VLアミノ酸配列
配列番号5 2C3 VH CDR1アミノ酸配列
配列番号6 2C3 VH CDR2アミノ酸配列
配列番号7 2C3 VH CDR3アミノ酸配列
配列番号8 2C3 VL CDR1アミノ酸配列
配列番号9 2C3 VL CDR2アミノ酸配列
配列番号10 2C3 VL CDR3アミノ酸配列
に関して、本明細書中にさらに記載される。
【0023】
さらなる配列は添付の配列表に記載する。
【0024】
(発明の詳細な説明)
標的結合メンバー
本明細書には互いに結合特異性を有する一対の分子のメンバーが記載される。特異的結合ペアのメンバーは天然のものに由来するか、または全体もしくは部分的に合成により作製される。分子のペアの一方のメンバーは、その表面上に、分子のペアのもう一方のメンバーの特定の空間的および極性構成に特異的に結合し、そのために相補的である領域または空洞を有する。したがって、該ペアのメンバーは、互いに特異的に結合する特性を有する。特異的結合ペアの種類の例は、抗原-抗体、ビオチン-アビジン、ホルモン-ホルモンレセプター、レセプター-リガンド、酵素-基質である。
【0025】
本願は、抗原-抗体型の反応に関する。したがって、本発明の標的結合メンバーは、抗体分子の少なくとも部分、より具体的にかかる分子の抗原結合ドメインの少なくとも部分を含む。
【0026】
一般的に、抗体の重鎖可変領域(VH領域)は抗体と抗原の結合において重要な役割を果たす。VHドメインのCDR3領域は、CDR1およびCDR2領域よりも多様であることがわかっているので、ほとんどの抗体において抗体の標的に対する特異性を提供する。したがって、本発明の標的結合メンバーは、2C3抗体のVH CDR3領域の周辺を基盤とする。より好ましくは、本発明の標的結合メンバーは2C3抗体のVH領域の3つ全てのCDRを含む。
【0027】
本発明のCDRを含む標的結合メンバーの構造は、一般的に、抗体分子の重鎖または軽鎖配列であるか、または再編成された免疫グロブリン遺伝子にコードされる天然のVHおよびVL抗体可変ドメインのCDRに対応する位置にCDRが配置される実質的なその一部である。免疫グロブリン可変ドメインの構造および位置は、Kabat, E. A. et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest. 第4版. US Department of Health and Human Services. 1987およびその最新版を参照して決定され得る。このデータベースに質問するために、多くの学術的および商業的なオンライン情報源が利用可能である。例えば、Martin, A. C. R. Accessing the Kabat Antibody Sequence Database by Computer PROTEINS: Structure, Function and Genetics, 25 (1996), 130-133および関連のあるオンライン情報源、現在のウェブアドレスhttp://www.bioinf.org.uk/abs/simkab.htmlを参照。
【0028】
一般的に、標的結合メンバーは、抗体抗原結合ドメインを提供するためにVLドメインと対をなすVHドメインを含むが、下記でさらに記載するように、VHドメインは抗原と結合するために単独で使用してもよい。好ましい一態様において、2C3 VHドメイン(配列番号2)は2C3 VLドメイン(配列番号4)と対をなして、2C3 VHおよびVLドメインの両方を含む抗体抗原結合部位を形成する。他の態様において、2C3 VHは2C3 VL以外のVLドメインと対をなす。
【0029】
軽鎖の混在(promiscuity)は、本明細書中でさらに記載するように、当該技術分野で充分に確立されている。
【0030】
本発明の標的結合メンバーは、2C3の親和性と実質的に同等な親和性、例えば±10%でIL-25と結合する。標的結合メンバーは一般的にIL-25に特異的である。したがって、標的結合メンバーは、その特異的結合パートナー(1つまたは複数)以外の分子とは有意な結合を全く示さない。例えば、2C3抗体は、IL-4、IL-5およびIL-13とは交差反応せず、喘息の指標である他のサイトカインに対してのかかる交差反応性の回避、および同様のプロセスが本発明の標的結合メンバーの望ましい特徴であることが分かっている。
【0031】
典型的に、特異性は、抗原のパネルを使用するELISAなどの結合アッセイにより測定し得る。本発明の標的結合メンバーは、IL-25を認識し得るが、IL-17ファミリーの他のメンバー、特にIL-17A、IL-17BおよびIL-17Cのいずれか;より好ましくはIL-17A、IL-17BおよびIL-17Cの3種類全ては認識しない。本発明の標的結合メンバーとIL-25の結合は、リコンビナントIL-25を用いた競合により阻害され得る。
【0032】
種々の標的結合メンバーの結合親和性および中和能力を適切な条件下で比較することができる。
【0033】
抗体分子
本明細書には、天然または部分的もしくは完全に合成により作製された免疫グロブリンが記載される。完全な抗体の断片は、抗原に結合する機能を実行可能であることが示される。したがって、抗体についての参照は、抗体結合断片を含む任意のポリペプチドまたはタンパク質も包含する。
【0034】
結合断片の例は、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFab断片;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片;(iv)VHドメインからなるdAb断片(Ward, E. S. et al., Nature 341, 544-546 (1989));(v)単離CDR領域;(vi)2つの結合したFab断片を含む、二価断片であるF(ab')2断片(vii)2つのドメインを結合して抗原結合部位を形成するペプチドリンカーによりVHドメインおよびVLドメインが結合した単鎖Fv分子(scFv)(Bird et al, Science, 242, 423-426, 1988;Huston et al, PNAS USA, 85, 5879-5883, 1988);(viii)二重特異的単鎖Fvダイマー(PCT/US92/09965)ならびに(ix)遺伝子融合により構築される多価もしくは多重特異性断片である「ダイアボディ」(WO94/13804;P. Holliger et al, Proc. Natl. Acad. Sci . USA 90 6444-6448, 1993)である。Fv、scFvまたはダイアボディ分子は、VHおよびVLドメインを結合するジスルフィド結合の組み込みにより安定化され得る(Y. Reiter et al, Nature Biotech, 14, 1239-1245, 1996)。CH3ドメインに結合されたscFvを含むミニボディも作製され得る(S. Hu et al, Cancer Res., 56, 3055-3061, 1996)。
【0035】
二重特異性抗体が使用される場合、これらは種々の方法により製造することができる、例えば化学的もしくは融合ハイブリドーマから調製し得るか、または上述の二重特異性抗体断片のいずれかであり得る従来の二重特異性抗体であり得る(Holliger, P. and Winter G. Current Opinion Biotechnol. 4, 446-449 (1993))。ダイアボディおよびscFvは、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に減少する可変ドメインのみを使用してFc領域なしで構築することができる。
【0036】
二重特異性完全抗体とは対照的に二重特異性ダイアボディはまた、容易に構築でき大腸菌中で発現できるので特に有用であり得る。適当な結合特異性を有するダイアボディ(および抗体断片などの多くの他のポリペプチド)は、ファージディスプレイ(WO94/13804)を使用してライブラリーから容易に選択することができる。ダイアボディの一本の腕が、例えばIL-25に対する特異性で一定に保たれる場合、他の腕を変更するライブラリーを作製することができ、適切な特異性を有する抗体が選択される。ノブをホールに入れる(knobs-into-holes)操作により二重特異性完全抗体を作製し得る(J. B. B. Ridgeway et al, Protein Eng., 9, 616-621, 1996)。モノクローナル抗体および他の抗体を得ること、ならびにリコンビナントDNA技術を使用して他の抗体または元来の抗体の特異性を保持したキメラ分子を作製することが可能である。かかる技術は、抗体の免疫グロブリン可変領域、または相補鎖決定領域(CDR)をコードするDNAを異なる免疫グロブリンの定常領域または定常領域+フレームワーク領域に導入することを含み得る。例えば、EP-A-184187、GB 2188638AまたはEP-A-239400を参照。
【0037】
好ましくは、CDR領域をヒトフレームワーク領域に移植する。ヒトフレームワーク領域は多くの方法で、例えばマウスフレームワーク領域もしくはマウスV領域配列と公知のヒトフレームワーク領域もしくはV領域配列を比較して、アミノ酸類似性または同一性が最大もしくは最大のもののうちの1つを有するヒトフレームワーク領域を選択することで選択し得る。得られるCDR移植抗体をさらに最適化するために、天然のヒト配列のフレームワーク領域の改変がなされ得る。
【0038】
本発明の好ましい局面において、一対のVHおよびVLドメインを含む抗体分子が好ましいが、VHまたはVLドメイン配列のいずれかに基づく単一結合ドメインは本発明のさらなる局面を形成する。単一免疫グロブリンドメイン、特にVHドメインは特異的様式で標的抗原に結合し得ることが公知である。
【0039】
いずれかの単鎖結合ドメインの場合、本明細書の下記にてさらに記載するように、これらのドメインを使用して、IL-25に結合し得る2ドメイン標的結合メンバーを形成し得る相補的なドメインをスクリーニングし得る。
【0040】
本発明の抗体分子はさらに、抗体定常領域またはその一部を含み得る。例えば、VLドメインは、そのC末端で、ヒトCκまたはCλ鎖、好ましくはCλ鎖を含む抗体軽鎖定常ドメインに結合し得る。同様に、VHドメインに基づく標的結合メンバーは、そのC末端で、任意の抗体アイソタイプ、例えばIgG、IgA、IgEおよびIgMならびにアイソタイプサブクラスのいずれか、特にIgG1およびIgG4由来の免疫グロブリン重鎖の全部または一部に結合し得る。IgG4が好ましい。WO99/58572に開示されるようなΔnabおよびΔnacなどのFc領域を使用してもよい。
【0041】
したがって、別のポリペプチドと融合した標的結合ドメインまたは同等部分を含むキメラ分子が含まれる。キメラ抗体のクローニングおよび発現はEP-A-0120694およびEP-A-0125023に記載される。
【0042】
本発明の抗体分子のフレームワーク領域はまた、1つ以上のグリコシル化部位を含むグリコシル化配列を含み得る。標的結合メンバーが発現される宿主細胞に依存して、グリコシル化のパターンは異なり得る。したがって、グリコシル化部位をコードする核酸構築物を修飾して該部位を除去し得るか、またはかかる部位をタンパク質に導入し得る。例えば、真核生物タンパク質中のNグリコシル化部位は、アミノ酸3つ組みAsn-X-Y(式中、XはPro以外の任意のアミノ酸であり、YはSerまたはThrである)を特徴とする。これらの3つ組みをコードするヌクレオチド配列に適切な置換、付加または欠失により、Asn側鎖での炭水化物残基の結合の防止が生じる。単一ヌクレオチドの改変は、Asnが異なるアミノ酸に置き換えられる、例えば、Nグリコシル化部位を不活性化するのに充分であるように選択される。タンパク質のNグリコシル化部位を不活性化する公知の手法としては、米国特許第5,071,972号およびEP276,846に記載されるものが挙げられる。
【0043】
抗原結合ドメイン
本明細書には、抗原の一部もしくは全部に特異的に結合し、相補的な領域を含む抗体分子の一部が記載される。抗原が大きい場合、抗体はエピトープと称される抗原の特定の部分のみに結合する。抗原結合ドメインは、1つ以上の抗体可変ドメイン(例えば、VHドメインからなるいわゆるFd抗体断片)により提供され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)の少なくとも実質的な部分および抗体重鎖可変領域(VH)の少なくとも実質的な部分を含む。
【0044】
免疫グロブリン可変ドメインの実質的な部分は、少なくとも3つのCDR領域とともにその介在フレームワーク領域を含む。好ましくは、該部分はまた、少なくとも約50%の第1および第4のフレームワーク領域のいずれかまたは両方を含み、50%は第1のフレームワーク領域のC末端の50%および第4のフレームワーク領域のN末端の50%である。可変ドメインの実質的な部分のN末端またはC末端のさらなる残基は通常天然に存在する可変ドメイン領域と結合しないものであり得る。例えば、リコンビナントDNA技術により作製される本発明の標的結合メンバーの構築により、クローニングまたは他の操作工程を容易にするために導入されたリンカーにコードされるNまたはC末端残基の導入がもたらされ得る。他の操作工程としては、本発明の可変ドメインを、免疫グロブリン重鎖を含むさらなるタンパク質配列、他の可変ドメイン(例えばダイアボディの作製において)、または以下にさらに詳細に記載されるタンパク質標識と結合させるためのリンカーの導入が挙げられる。
【0045】
含む
これは、一般的に含有の意味、つまり1つ以上の特徴または成分が存在し得ることに使用される。
【0046】
単離された
これは、本発明の標的結合メンバー、またはかかる結合メンバーをコードする核酸が一般的に本発明に従っている状態のことをいう。メンバーおよび核酸は、例えば他のポリペプチドまたは核酸の天然の環境、またはDNAリコンビナント技術によりインビトロまたはインビボで実施される場合、それらが調製された環境(例えば細胞培養)下で見られるように他のポリペプチドまたは核酸などの物質と天然に結合する物質を含まないか、または実質的に含まない。
【0047】
標的結合メンバーおよび核酸は、希釈剤またはアジュバントとともに調製され得、さらに実施目的のために単離され得、例えば免疫アッセイでの使用についてマイクロタイタープレートをコートするために使用される場合、該メンバーは通常ゼラチンまたは他の担体と混合されるか、または診断もしくは治療に使用される場合は薬学的に許容され得る担体もしくは希釈剤と混合される。標的結合メンバーは、天然にまたは異種真核細胞(例えばCHOもしくはNSO(ECACC 85110503)細胞の系のいずれかによりグリコシル化され得るか、または該メンバーは(例えば、原核細胞中での発現により作製される場合)グリコシル化され得ない。
【0048】
標的結合メンバーのさらなる特徴
抗体配列に加えて、本発明の標的結合メンバーは、例えば折りたたまれたドメインなどのペプチドもしくはポリペプチドを形成するかまたは該分子に抗原と結合する能力以外の別の機能的特徴を付与するための他のアミノ酸を含み得る。本発明の標的結合メンバーは、検出可能な標識を有し得るかまたは(例えばペプチジル結合またはリンカーを介して)毒素もしくは酵素と結合し得る。
【0049】
検出可能な標識としては、抗体画像化の技術分野で公知である従来の化学的性質を使用して本発明の抗体に結合し得る131Iまたは99Tcなどの放射性標識が挙げられる。標識には西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識も含まれる。標識にはさらに、特異的な同属の検出可能部分、例えば標識されたアビジンへの結合を介して検出され得るビオチンなどの化学部分が含まれる。
【0050】
さらなる特徴がポリペプチドドメインまたは標識である場合、標的結合メンバーはリコンビナント技術により、つまり標的結合メンバーおよびさらなるドメインの融合体をコードする核酸の発現によって作製され得る。
【0051】
本発明のさらなる標的結合メンバー
配列バリアント
配列が本明細書に記載され、IL-25の標的結合メンバーに使用可能なVHおよびVLドメイン、ならびにCDRのバリアントは、配列変化または変異およびスクリーニングの方法により得ることができる。かかる方法は本発明によっても提供される。
【0052】
本発明の標的結合メンバーは、抗原との結合について、抗原に結合して、かつ本明細書に開示される標的結合メンバー、2C3のVHおよび/またはVLドメイン、またはVH CDR3、または配列が本明細書に実質的に記載されるこれらのいずれかのバリアントを含む任意の標的結合メンバーと競合するものである。したがって、本発明のさらなる局面は、IL-25への結合について2C3と競合するヒト抗体抗原結合部位を含む標的結合メンバーを提供する。結合メンバー間の競合は、例えばELISAを用いておよび/または他のタグ付加されていない結合メンバー(1つまたは複数)の存在下で検出可能な特異的レセプター分子を結合メンバーにタグ付加して、同一のエピトープまたは重複したエピトープに結合する標的結合メンバーの同定を可能にすることによってインビトロで容易にアッセイし得る。
【0053】
IL-25への結合について2C3と競合し得る、IL-25に対する標的結合メンバーを得るために、当該技術分野において種々の方法が利用可能である。
【0054】
配列が本明細書中に具体的に開示される、VHおよびVLドメインのいずれかの可変ドメインアミノ酸配列バリアントは、記載されるように本発明にしたがって使用され得る。特定のバリアントは、おそらく約20未満の変化、約15未満の変化、約10未満の変化または約5未満の変化、4、3、2または1の変化の1つ以上のアミノ酸配列の変化(アミノ酸残基の付加、欠損、置換および/または挿入)を含み得る。変化は、1つ以上のフレームワーク領域および/または1つ以上のCDR中で形成され得る。
【0055】
一局面において、実質的に本明細書中に記載されるCDRアミノ酸配列は、ヒト可変ドメインまたはその実質的な部分中でCDRとして保持される。実質的に本明細書中に記載されるVH CDR3配列は本発明の好ましい態様を示し、これらのそれぞれがヒト重鎖可変ドメインまたは実質的なその部分中でVH CDR3として保持されることが好ましい。
【0056】
「実質的に記載される」は、本発明の関連のあるCDRまたはVHもしくはVLドメインが、配列が本明細書中に記載される特定の領域と同一であるかまたは高度に類似していることを意味する。「高度に類似」は、CDRおよび/またはVHもしくはVLドメイン中に1〜5、好ましくは1〜3または1もしくは2、または3もしくは4など1〜4個のアミノ酸置換がなされ得ることを意味する。
【0057】
本発明の標的結合メンバーの配列バリアントは、2C3 VHおよび/またはVL遺伝子の一方または両方のランダム突然変異誘発を実施して完全な可変ドメイン中に変異を生じさせることで生成され得る。かかる技術は変異性PCRを使用したGramら(1992, Proc . Natl. Acad. Sci., USA, 89:3576-3580)により記載される。
【0058】
使用され得る別の方法は、VHまたはVL遺伝子のCDR領域に突然変異誘発を誘導することである。かかる技術はBarbasら(1994, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 91: 3809-3813)およびSchierら(1996, J. Mol. Biol. 263:551-567)に開示されている。
【0059】
上述される全ての技術そのものは当該技術分野に公知であり、それら自体では本発明の部分を形成しない。当業者は当該技術分野の常套的な方法を使用して、本発明の標的結合メンバーを提供するためにかかる技術を使用し得る。
【0060】
したがって、さらなる局面において、本発明は、
配列番号:2または配列番号:4の1つ以上のCDR配列を有する標的結合メンバーをコードする出発核酸を提供する工程;
該核酸を修飾してCDR配列(1つまたは複数)を改変する工程;
該修飾された標的結合メンバーを発現する工程;および
IL-25に対する結合について該修飾された標的結合メンバーを試験する工程
を含む、IL-25に対する抗体を得るための方法を提供する。
【0061】
好ましくは、修飾は、多様な結合親和性を有する修飾された配列のレパートリーを提供するために、複数の開始核酸分子に対して実施される。
【0062】
一局面において、開始核酸は、配列番号:2自身の形態のいずれかで配列番号:2の3つ全ての重鎖CDRを含むか、または別のフレームワーク配列中に保持される。
【0063】
一態様において、修飾は単一のCDR、例えばCDR3で誘導され得るか、または2もしくは3個のCDR領域で同時に誘導され得る。
【0064】
CDR3ベース標的結合メンバーの作製
本発明に使用される種々のドメインは、任意の生殖細胞系もしくは再編成されたヒト可変ドメインから得られるか、または公知のヒト可変ドメインのコンセンサス配列に基づく合成可変ドメインであり得る。本発明のCDR配列(例えばCDR3)は、リコンビナントDNA技術を使用して、CDR(特にCDR3)を欠く可変ドメインのレパートリー中に導入され得る。
【0065】
例えば、Marksら(Bio/Technology, 1992, 10:779-783)には、可変ドメイン領域の5'末端でまたは5'末端と隣り合って指向されたコンセンサスプライマーを、ヒトVH遺伝子の第3のフレームワーク領域に対するコンセンサスプライマーと合わせて使用して、CDR3を欠くVH可変ドメインのレパートリーを提供する、抗体可変ドメインのレパートリーの作製方法が記載される。Marksらにはさらに、このレパートリーをどのようにして特定の抗体のCDR3と組み合わせ得るかが記載されている。類似の技術を使用して、本発明のCDR3由来配列を、CDR3を欠くVHまたはVLドメインのレパートリーと組み替えて、組み替えた完全VHまたはVLドメインを同種のVHまたはVLドメインと組み合わせて、本発明の標的結合メンバーを提供し得る。次いで、レパートリーをWO92/01047のファージディスプレイ系などの適切な宿主系でディスプレイして、適切な標的結合メンバーを選択し得る。レパートリーは、104個のメンバー以上、例えば106〜108または1010個のメンバーのいずれかからなる。
【0066】
類似のシャッフリングまたはコンビナトリアル技術もStemmer(Nature, 1994, 370:389-391)に開示され、βラクタマーゼ遺伝子に関する技術が記載されるが、抗体の生成に該アプローチが使用され得ることが認められる。
【0067】
したがって、本発明のさらなる局面は、
(a)置き換えられるCDR3を含むかまたはCDR3コード領域を欠損するVHドメインをコードする核酸の開始レパートリーを提供する工程;
(b)該レパートリーを、VH CDR3について本明細書中に実質的に記載されたアミノ酸配列をコードするドナー核酸と組み合わせ、ドナー核酸をレパートリー中のCDR3領域に挿入して、VHドメインをコードする核酸の生成物レパートリーを提供する工程;
(c)該生成物レパートリーの核酸を発現させる工程;
(d)IL-25に特異的な標的結合メンバーを選択する工程;および
(e)該標的結合メンバーまたはそれをコードする核酸を回収する工程
を含む、IL-25に特異的な標的結合メンバーを調製する方法を提供する。
【0068】
生成物レパートリーは、同一のベクターまたは異なるベクターからVLドメインと共発現され得る。VLドメインは、鎖の組み替えに関して以下に記載されるように、本発明のVLドメインであり得るかまたは1つ以上の異なるVLドメインであり得る。
【0069】
本発明のVL CDR3を、置き換えられるCDR3を含むかまたはCDR3コード領域を欠損するVLドメインをコードするかのいずれかである核酸のレパートリーと組み合わせる類似の方法を使用してもよい。上述の方法のように、VL生成物レパートリーは、同一のベクターまたは異なるベクターからVHドメインと共発現され得る。VHドメインは、鎖の組み替えに関して以下に記載されるように、本発明のVHドメインであり得るか、または1つ以上の異なるVHドメインであり得る。
【0070】
同様に、1つ以上または3つ全てのCDRがVHまたはVLドメインのレパートリーに移植され得、次いで標的結合メンバーまたはIL-25に特異的な標的結合メンバーについてスクリーニングされる。
【0071】
この様式で得られる標的結合メンバーは、本発明のさらなる局面を形成する。
【0072】
鎖シャッフリング
本発明のさらなる局面は、1つ以上のVLドメインと組み合わされた本発明の標的結合メンバーのVHドメイン(上述のバリアントを含む)を提供する工程、およびIL-25に対する抗体抗原結合ドメインのVH/VLの1つまたは複数の組合せを試験する工程を含む、IL-25に対する抗体抗原結合ドメインを得る方法を提供する。
【0073】
前記VLドメインは、実質的に本明細書中に記載されたアミノ酸配列を有し得る。
【0074】
本明細書中に開示されるVLドメインの1つ以上の配列バリアントを1つ以上のVHドメインと組み合わせる類似の方法を使用してもよい。
【0075】
これは、HまたはL鎖のクローンのいずれかを含む個々のコロニーを使用して他方の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全ライブラリーを感染させ、得られた二本鎖標的結合メンバーを、参照中に記載される技術などのファージディスプレイ技術に従って選択する、WO92/01047に開示されるいわゆる階層的二重コンビナトリアルアプローチを使用して、ファージディスプレイスクリーニング法により達成され得る。
【0076】
したがって、本発明は、
(a)IL-25に結合し、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメインを含む標的結合メンバーを含むVHドメインを提供する工程;
(b)該VHドメインを複数の抗体VLドメインと組み合わせて抗体分子を提供する工程;
(c)IL-25への結合について該抗体分子をスクリーニングする工程;および
(d)IL-25に結合する抗体分子を選択する工程
を含む、IL-25に対する抗体分子の選択方法を提供する。
【0077】
VHおよびVLドメインは、リコンビナントDNA、特にファージまたはファージミドDNAにより発現されるタンパク質の形態で提供され得る。
【0078】
複数のVLドメインは、104個以上のドメイン、例えば106〜108または1010個のドメインのいずれかであり得る。
【0079】
抗体分子およびかかる分子をコードする核酸は、本発明のさらなる部分を形成し得る。
【0080】
IL-25
Il-25は、当該技術分野においてIL-17Eとも称され、市販供給業者(例えばR&D Systems, MN, USA)から入手可能であるか、または当該技術分野で利用可能であるIL-25の配列を参照してクローニングもしくは合成してもよい。マウスIL-25(NCBI Protein NP_542767)は、Hurstら、2002(参考文献7、下記)により記載される。ヒトIL-25(NCBI Protein Q9H293)は、Fortら(参考文献4、下記)により記載される。抗体の作製または免疫アッセイにおける使用について、リコンビナントIL-25の断片、特にN末端が切断された断片を使用し得る。例えば、市販のリコンビナントヒトIL-25(IL-17E)はTyr33〜GIy177の成熟タンパク質配列受託番号Q9H293)を含み、市販のマウスIL-25はマウスIL-17Eの残基Val17〜Ala169(受託番号NP_542767)を含む。
【0081】
核酸およびベクター
さらなる局面において、本発明は、本発明の標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインをコードする配列を含む単離された核酸、ならびに標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインの産生を生じる条件下で該核酸を発現させる工程、およびそれを回収する工程を含む、本発明の標的結合メンバー、VHドメインまたはVLドメインを調製する方法を提供する。
【0082】
本発明の別の局面は、一般的に、単離された核酸であって、本明細書に開示したVH CDRまたはVL CDR配列、特に、配列番号:5、6および7から選択されるVH CDR、配列番号:8、9および10から選択されるVL CDR、最も好ましくは2C3 VH CDR3(配列番号7) をコードする核酸を提供する。
【0083】
本発明の核酸は、配列番号:1または配列番号:3の配列またはその関連部分(例えば、CDRコード領域)を含み得る。しかしながら、コドン使用頻度は、例えば、所望の宿主細胞内での配列の発現を最適化するために変更され得る。
【0084】
本発明は、さらに、本発明の標的結合メンバーをコードする単離核酸を提供する。核酸はDNAおよびRNAを含む。好ましい局面において、本発明は、上記に規定の本発明のCDRもしくはVHまたはVLドメインをコードする核酸を提供する。
【0085】
本発明による核酸はDNAまたはRNAを含み得、全体または一部が合成であり得る。本明細書に示すヌクレオチド配列に対する言及は、文脈上、他の場合が必要とされない限り、特定の配列を有するDNA分子を包含し、TがUで置換された特定の配列を有するRNA分子を包含する。
【0086】
本発明はまた、少なくとも1つの上記の核酸を含む、例えば、プラスミド、ファージなどのウイルス、またはファージミド、コスミド、転写もしくは発現カセットの形態のベクターを提供する。
【0087】
適宜、適切な調節配列、例えば、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子および他の配列を含む適当なベクターが選択または構築され得る。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第2版、Sambrook et al. ,1989、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。
【0088】
本発明のベクターはまた、ヒト細胞にインビボで感染し得るウイルスベクター、例えば、アデノウイルス、レトロウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクターを含む。かかるベクターは、被験体への標的結合メンバーの産生および送達を提供するための、ヒトまたは動物被験体細胞内での本発明の標的結合メンバーの発現に有用であり得る。
【0089】
本発明の標的結合メンバーをコードする核酸配列は、一局面において、宿主細胞内で標的結合メンバーの発現を行なうためのプロモーターに作動可能に連結される。該配列は、宿主細胞内および/または宿主細胞からの標的結合メンバーの発現および/または分泌を促進するためのリーダー配列を5'末端に含み得る。数多くの適当なリーダー配列が、それ自体として当該技術分野で公知であり、宿主細胞を考慮して当業者によって選択され得る。
【0090】
例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞内へのDNAの導入および遺伝子発現、ならびにタンパク質の解析における核酸の操作のための多くの公知の技術およびプロトコルが、Current Protocols in Molecular Biology、第2版、Ausubel et al.編、John Wiley & Sons、1992に詳細に記載されている。Sambrook et al.およびAusubel et al.の開示は、参照により本明細書に援用される。
【0091】
宿主細胞および標的結合メンバーの作製
さらなる局面は、本発明の核酸(例えば、ベクターの形態の核酸配列)で形質転換された宿主細胞を提供する。
【0092】
一態様において、本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)に組み込まれる。組み込みは、ゲノムの組換えを促進する配列を標準的な技術に従って含ませることによって促進され得る。
【0093】
またさらなる局面は、コード核酸から発現を引き起こす工程を含む、本発明の標的結合メンバーの作製方法を提供する。かかる方法は、前記標的結合メンバーの産生のための条件下で宿主細胞を培養する工程を含み得る。
【0094】
発現による産生後、VHもしくはVLドメインまたは標的結合メンバーは、任意の適当な技術を用いて単離および/または精製され得、次いで、適宜使用される。作製方法は、生成物の単離および/または精製の工程を含み得る。
【0095】
生成物の精製後、標的結合メンバーは、例えば、タンパク質の安定性または生物学的半減期を改変する、例えば増加する保護基を導入するために、物理的または化学的手段によって修飾され得る。例えば、かかる効果を得るためのタンパク質のPEG化は、それ自体が当該技術分野で公知であり、本発明の標的結合メンバーはPEG化された形態であり得る。
【0096】
作製方法は、生成物を、薬学的に許容され得る賦形剤などの少なくとも1つのさらなる成分を含む組成物に製剤化する工程を含み得る。
【0097】
本発明はまた、1つまたは複数の上記の核酸もしくはベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。任意のCDR、VHもしくはVLドメイン、または標的結合メンバーをコードする核酸は、提供されたものそれ自体が、コード核酸からの発現を含むコード産物の産生方法と同様、本発明の一局面を形成する。
【0098】
種々の異なる宿主細胞におけるポリペプチドのクローニングおよび発現ための系は周知である。適当な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、酵母およびバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドの発現のために当該技術分野において利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、乳児ハムスター腎臓細胞、NSOマウス骨髄腫細胞、YB2/0ラット骨髄腫細胞および他の多くが挙げられる。一般的に好ましい細菌宿主は大腸菌である。
【0099】
大腸菌などの原核生物細胞における抗体および抗体断片の発現は、当該技術分野において充分確立されている。概要については、例えば、Plueckthun,A. Bio/Technology 9:545-551(1991)参照のこと。真核生物の培養細胞における発現もまた、標的結合メンバーの作製のための選択肢として当業者に利用可能であり、最近の概説については、例えば、Ref,M. E.(1993) Curr. Opinion Biotech. 4:573-576; Trill J.J. et al.(1995) Curr. Opinion Biotech 6:553-560を参照のこと。
【0100】
組成物
したがって、本発明による医薬組成物、および本発明による使用のための医薬組成物は、活性成分に加えて、薬学的に許容され得る賦形剤、担体、バッファー、安定剤または当業者に周知の他の物質を含み得る。かかる物質は、無毒性でなければならず、活性成分の有効性を妨げるものであってはならない。担体または他の物質の厳密な性質は投与経路に依存し、投与経路は経口、注射、例えば、静脈内注射であり得る。
【0101】
標的結合メンバーの治療製剤は、所望の程度の純度を有する標的結合メンバーを、任意の生理学的に許容され得る担体、賦形剤、または安定剤(例えば、"Remington:The Science and Practice of Pharmacy"、第20版、2000、pub. Lippincott、Williams & Wilkins参照)と混合することにより、凍結乾燥粉末または水溶液の形態で保存用に調製され得る。許容され得る担体、賦形剤または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、リン酸、クエン酸および他の有機酸などのバッファー; アスコルビン酸などの抗酸化剤; 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; 血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなどのタンパク質; ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー; グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなどのアミノ酸; 単糖類、二糖類、および他の炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン; EDTAなどのキレート化剤; マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール; ナトリウムなどの塩形成性対イオン;および/またはTween、Pluronicsまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0102】
インビボ投与に使用される標的結合メンバーについては、滅菌されたものでなければならない。これは、凍結乾燥および再構成の前または後での滅菌濾過膜による濾過によって容易に行なわれ得る。標的結合メンバーは、通常、凍結乾燥形態または溶液で保存される。
【0103】
経口投与のための医薬組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンなどの固体担体または補助剤を含み得る。液体医薬組成物は、一般的に、水、石油、動物油または植物油、鉱油または合成油などの液体担体を含む。生理食塩水溶液、デキストロースまたは他の糖溶液またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールが含まれ得る。
【0104】
静脈内注射、または罹患部位への注射のためには、活性成分は、発熱物質無含有であり、適当なpH、等張性および安定性を有する非経口に許容され得る水溶液の形態である。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸化リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて、適当な溶液を調製する能力が充分ある。保存剤、安定剤、バッファー、抗酸化剤および/または他の添加剤が必要に応じて含まれ得る。
【0105】
本発明の治療的使用
本発明は、IL-25に対する抗体が、喘息の主な症状である気道の過剰応答性のインビボでの予防または低減に有効であるという実証を初めて提供する。したがって、一局面において、本発明は、標的結合メンバー、特に、IL-25に結合する抗体分子を被験体に投与する工程を含む、治療を必要とする被験体(例えば、ヒト)における気道の過剰応答性の予防または低減方法を提供する。別の局面において、本発明は、標的結合メンバー、特に、IL-25に結合する抗体分子を被験体に投与する工程を含む、治療を必要とする被験体における喘息の予防、低減または治療方法を提供する。
【0106】
上記の方法は、IL-25への結合、好ましくはその拮抗作用に有用であり、IL-25が役割を果たす種々の疾患および障害において治療潜在性を有する本発明による標的結合メンバー(その組成物を含む)を用いて実施され得る。該方法はまた、IL-25に結合する添付の実施例に後述するようにして得られ得る他の標的結合メンバー(その組成物を含む)を用いて実施され得る。
【0107】
本発明による標的結合メンバー(その組成物を含む)は、ヒトまたは動物被験体における治療方法(予防的治療を含む)または診断方法に使用され得る。かかる治療または診断(これは、予防的治療を含み得る)方法は、前記被験体に有効量の本発明の標的結合メンバーを投与する工程を含み得る。例示的な疾患および障害は、以下のさらに記載する。
【0108】
また、ヒトまたは動物被験体への投与のための医薬の製造における本発明の標的結合メンバー(その組成物を含む)の使用が提供される。
【0109】
治療的利益を提供するために抗IL-25標的結合メンバーが使用され得る臨床的適応症には、IL-25が病理学的影響を有する任意の状態が含まれる。したがって、一般に、本発明の標的結合メンバーは、望ましくないTh-2応答と関連する任意の状態の治療において使用され得る。例えば、本発明の標的結合メンバーは、アレルギーおよび喘息、特に喘息の治療のために使用され得る。
【0110】
抗IL-25治療は、注射(例えば、静脈内)または局所送達方法によって与えられ得る。抗IL-25は、遺伝子媒介技術によって送達され得る。代替的な製剤化ストラテジーは、経口または坐剤経路に適した調製物を提供し得る。投与経路は、有効性が最適化または副作用が最小限化されるような疾患に対する特別な考慮によって、治療の物理化学特性によって決定され得る。
【0111】
本発明によれば、提供する組成物は個体に投与され得る。投与は、好ましくは「治療有効量」であり、これは、患者に利点が示されるのに充分な量である。かかる利点は、少なくとも1つの症状の少なくとも改善であり得る。実際の投与量、ならびに投与速度および投与時間推移は、治療対象の性質および重症度に依存する。治療の処方、例えば、投薬量などの決定は、一般的な開業医および他の医師の責任の範囲内である。抗体の適切な用量は、当該技術分野において周知である; Ledermann J. A. et al.(1991) Int. J. Cancer 47:659-664; Bagsha本発明者らは、K. D. et al.(1991) Antibody,Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4:915-922参照のこと。
【0112】
正確な用量は、多くの因子、例えば、抗体が診断用か治療用か、治療される領域のサイズおよび位置、抗体の正確な性質(例えば、完全抗体、断片またはダイアボディ)、および抗体に結合された任意の検出可能な標識または他の分子の性質に依存する。典型的な抗体用量は0.5mg〜1.0gであり、これはボーラスとして静脈内投与され得る。他の投与様式としては、類似した累積総用量を達成するための数時間にわたる静脈内注入が挙げられる。これは、成人患者の単独療法のための用量であり、小児および幼児に対して比例して調整され得、また、分子量に比例して他の抗体形式に対して調整され得る。治療は、医師の判断で毎日、週2回、1週間または1ヶ月おきに繰返され得る。
【0113】
さらなる投与様式では、体内留置用デバイスのプレコーティングあるいは組み込みが使用され、そのための抗体の最適量は、適切な実験によって決定される。
【0114】
本発明のいくつかの好ましい態様における抗体分子は、F(ab)またはscFvなどの単量体断片である。かかる抗体断片は、半減期が比較的短いおよび受容体クラスタリングによってもたらされ得る血小板活性化のリスクが低いという利点を有し得る。血小板活性化をもたらすクラスタリングは、例えば、IL-25分子またはFcγRII分子を有するIL-25のいずれかであり得る。
【0115】
完全抗体が使用される場合、好ましくは、血小板を活性化および/または破壊できない形態である。IgG4アイソタイプあるいはIgG1主鎖由来の「デザイナー」アイソタイプ(新規なFc遺伝子構築物WO99/58572,Clark,Armour,Williamson)が好ましい選択肢である。F(ab')2などのより小さな抗体断片が使用され得る。また、完全抗体または二重エピトープ特異性(例えば、scFv 2C3によって認識されるエピトープに対する)を有する断片(例えば、F(ab')2またはダイアボディ)が使用され得る。かかる態様は、受容体クラスタリングを促進し得るが、個々の受容体に対する高い会合速度によってこの問題は排除され得る。
【0116】
本発明の標的結合メンバーは、通常、標的結合メンバーに加えて少なくとも1種類の成分を含み得る医薬組成物の形態で投与される。
【0117】
本発明の標的結合メンバーは、単独または他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時または逐次のいずれかで投与され得る。他の治療としては、適当な用量の非ステロイド系抗炎症薬などの鎮痛薬(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェンもしくはケトプロフェン)またはモルヒネなどのアヘン剤;制吐薬の投与; または喘息に対して活性な少なくとも1種類の他の化合物、一般的に、気道の弛緩をもたらすか、もしくは粘膜クリアランスを増強する気管支拡張剤、例えば、β-アゴニスト(例えば、サルブタモール、サルメテロール) 、クロモグリク酸二ナトリウム、ステロイド系もしくはPDEIVインヒビターの投与が挙げられる。
【0118】
アッセイ方法
本発明は、IL-25への本明細書に提供する標的結合メンバーの結合を引き起こすか、または可能にする工程を含む方法を提供する。記載のように、かかる結合は、例えば、標的結合メンバー、標的結合メンバーをコードする核酸の投与後、インビボで起こり得るか、または例えば、ELISA、ウエスタンブロッティング、免疫細胞化学、免疫沈降もしくはアフィニティクロマトグラフィーにおいてインビトロで起こり得る。
【0119】
IL-25への標的結合メンバーの結合の量が測定され得る。定量は、診断上重要であり得る試験試料中の抗原の量と関連し得る。
【0120】
試料に対する抗体の反応性は、任意の適切な手段によって測定され得る。ラジオイムノアッセイ(RIA)は1つの可能性である。放射性標識抗原を非標識抗原(試験試料)と混合し、抗体に結合させる。結合抗原を非結合抗原から物理的に分離し、抗体に結合された放射性抗原の量を測定する。試験試料中に存在する抗原が多いほど、抗体に結合する放射性抗原は少ない。また、レポーター分子に連結された抗原またはアナログを使用し、非放射性抗原との競合的結合アッセイが使用され得る。レポーター分子は、スペクトルによって単離される吸光または発光特性を有する蛍光色素、リン光体またはレーザー色素であり得る。適当な蛍光色素としては、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリンおよびテキサスレッドが挙げられる。適当な色原体色素としては、ジアミノベンジジンが挙げられる。
【0121】
他のレポーターとしては、着色、磁性または常磁性のラテックスビーズなどの巨大分子コロイド状粒子または粒子状物質、および直接または間接的に検出可能なシグナルを視覚的に観察、電気的に検出あるいは記録させ得る生物学的または化学的に活性な薬剤が挙げられる。これらの分子は、例えば、発色もしくは変色を起こすか、または電気的性質の変化を引き起こす反応を触媒する酵素であり得る。これらは、分子が、エネルギー状態間の電子遷移によって特性スペクトル吸光または発光がもたらされるように励起可能であり得る。これらとしては、バイオセンサーと組み合わせて使用される化学的実体が挙げられる。ビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジンおよびアルカリホスファターゼ検出系が使用され得る。
【0122】
個々の抗体-レポーターコンジュゲートによって生成されるシグナルは、試料(正常および試験)中の関連抗体結合の定量可能な絶対または相対データを誘導するために使用され得る。
【0123】
本発明はまた、競合アッセイにおいて抗原レベルを測定するための上記の標的結合メンバーの使用、すなわち、競合アッセイにおいて本発明によって提供される標的結合メンバーを使用することによる、試料中の抗原のレベルの測定方法を提供する。これは、非結合抗原からの結合抗原の物理的分離が必要とされない場合であり得る。結合すると物理的または光学的変化が起こるような標的結合メンバーへのレポーター分子の連結は1つの可能性である。レポーター分子は、検出可能な、好ましくは測定可能なシグナルを直接または間接的に生成し得る。レポーター分子の結合は、直接または間接的、例えばペプチド結合を介して共有結合性、または非共有結合性であり得る。ペプチド結合を介した結合は、抗体およびレポーター分子をコードする遺伝子融合体の組換え発現の結果であり得る。
【0124】
本発明はまた、例えば、バイオセンサー系において本発明による標的結合メンバーを使用することによる抗原のレベルの直接測定を提供する。
【0125】
結合の決定様式は本発明の特徴ではなく、当業者は、好みと一般知識に従って
適当な様式を選択することができよう。
【0126】
本発明は、さらに、IL-25への結合に関して、抗原に結合し、かつ実質的に本明細書に示したアミノ酸を有するCDRを含むVドメイン、または実質的に本明細書に示したアミノ酸配列を有するVドメインを含む任意の標的結合メンバーと競合する標的結合メンバーに拡張される。結合メンバー間の競合は、例えば、特定のレポーター分子を、他の非タグ化結合メンバー(1つまたは複数)の存在下で検出され得る1つの結合メンバーにタグ化し、同じエピトープまたは重複エピトープに結合する標的結合メンバーの同定を可能にすることにより、インビトロで容易にアッセイされ得る。競合は、例えば、ELISAまたはフローサイトメトリーを用いて測定され得る。
【0127】
競合反応は、1つ以上のさらなる、または改善された性質を有するものであり得る2C3の誘導体などの1種類以上の標的結合メンバーを選択するために使用され得る。これは、IL-25がそのミニリガンドからではなく、抗体分子から溶出されること以外は、本発明による2C3の選択方法と類似している。これは、親と直接競合する娘抗体を多くの割合でもたらすはずであるため重要であり得る。実際、選択されるかかる娘抗体は、抗原に対して親よりも大きな親和性を有し得る(ファージ1つあたりの1つより多くの抗体分子のディスプレイにより生じ得るアビディティの増強が可能になる)。改善された親和性を有する「娘」ファージ抗体の現行の選択方法は、
元の親抗体の解離定数より低い(標識)標的抗原の濃度を使用する工程;
Hawkins et al(1992)に示された競合体として過剰の非標識標的抗原を使用する工程
を含む。しかしながら、この方法は、必ずしも「改善された」抗体は、親と同じエピトープを置き換える/占めるはずであることが特定されない。溶出工程を組み込むと、親と置き換えられる、より高い割合の娘抗体がもたらされるはずである。このようにして選択された娘抗体は、親抗体と非常に類似したエピトープに結合し得るが、より大きな親和性を有する。
【0128】
競合試験では、抗原のペプチド断片、特に、目的のエピトープを含むペプチドが使用され得る。いずれかの末端にエピトープ配列+1つ以上のアミノ酸を有するペプチドが使用され得る。かかるペプチドは、特定の配列から「本質的になる」と言われ得る。本発明による標的結合メンバーは、抗原への結合が、所定の配列を有するか、または含むペプチドによって阻害されるようなものであり得る。この試験では、いずれかの配列+1つ以上のアミノ酸を有するペプチドが使用され得る。
【0129】
特定のペプチドに結合する標的結合メンバーは、例えば、ペプチド(1種類または複数種)の選別によってファージディスプレイライブラリーから単離され得る。
【実施例】
【0130】
実施例
次に、一例として以下の実験を参照しながら、本発明の局面および態様を説明する。
【0131】
実施例1:IL-25に対する抗体の作製
マウスIL-25(R&D Systems)で免疫したil25-/-マウスにおいて生成させた大きな抗体パネルをスクリーニングした。これらの抗IL-25抗体(2C3)のうちの1つは、インビトロバイオアッセイにおいて、用量依存的にrmIL-25と可溶性mIL-25R-Fc融合タンパク質間の相互作用、ならびに始原マウス非B細胞、非T 細胞によるIL-13のIL-25依存性産生の両方を阻害することがわかった。また、該抗体は、hIL-25と可溶性hIL-25R-Fc融合体間の相互作用を阻害した。喘息の治療における有用性を示すため、これらの性質の組合せを、インビボ系においてさらに調べた。
【0132】
実施例2:アレルギー性喘息の実験モデル
BALB/cマウスを、エーロゾル化OVA刺激する前に、まず抗原オボアルブミン(OVA)で感作させた。感作および刺激されたBALB/cマウスは、異なる喘息表現型を示した。これは、PBSで刺激した対照BALB/cマウスと比べて、誘発剤メタコリン曝露後のAHR増大、気道の好酸球浸潤、杯細胞過形成および血清IgE分泌を特徴とした(図1)。
【0133】
対照的に、各感作およびOVAでのエーロゾル刺激前の抗IL-25 mAbの投与では、エーロゾル化メタコリンでの刺激後、AHRにおいて顕著な排除がもたらされ、抵抗性値はPBS対照マウスと同等であった(図1A)。アイソタイプ適合対照mAbの投与ではAHRは抑制されなかった(図1A)。
【0134】
また、抗IL-25 mAbは、肺脈管構造周囲の細胞浸潤(図1Bおよび3A)、気道内の杯細胞過形成(図1Cおよび3B)ならびに抗原特異的血清IgEのレベル(図1D)のレベルを有意に低下させた。
【0135】
気管支肺胞洗浄(BAL)の解析により、好酸球浸潤はまた、抗IL-25 mAb投与後、アイソタイプ対照治療マウスと比べて有意に抑制されたことが示された(図1E)。2型サイトカインはこれらのエフェクター機能を調節することが知られているため、本発明者らは、抗原再刺激後、排液縦隔リンパ節から単離された細胞から分泌されたサイトカインのレベルを測定した。BALB/cマウスにおけるOVA感作および刺激によって誘導された2型サイトカイン、IL-4、IL-5およびIL-13のレベルの上昇とは対照的に、抗IL-25 mAbの投与では、これらのサイトカインレベルの有意な低下がもたらされた(図1F)。
【0136】
これらのデータは、IL-25 シグナル伝達をブロックすることにより、2型 エフェクター機能、例えば炎症およびAHRの排除をもたらす2型サイトカインの生成が抑制されたという本発明者らの仮説を支持する。したがって、IL-25のアンタゴニストは、該応答の最初から投与した場合、2型炎症を有効に抑制する。
【0137】
材料および方法:
マウス
BALB/cマウスをHarlan UKから入手し、SABU/CBSまたは国立心肺研究所の施設において特定の無菌環境で維持した。本報告に概要を示すすべての動物実験は、UK内務省の承認を得て行なった。
【0138】
感作およびアレルゲン曝露
BALB/cマウス(6〜12週齢)を、第0日目および第12日目に、ミョウバンと複合体形成したオボアルブミンの腹腔内投与(20μg/注射)、またはミョウバンのみ(対照)によって感作した。1%オボアルブミンのエーロゾル投与を、第19、20、21日目に1日あたり20分間行なった。第22日目、プレチスモグラフィを用いて動物を解析し、AHRを評価した。
【0139】
抗rmIL-25モノクローナル抗体の投与
気道過剰応答性(AHR)を記載のようにして誘導し、抗IL-25 mAb(500μg/投与)を、各腹腔内OVA感作の前日、肺内への初期OVA刺激の前日、および各OVAエーロゾル投与の4時間前に腹腔内投与した。さらなる実験において、抗IL-25 mAb(500μg/投与)を、各エーロゾル投与の当日だが投与前のみに腹腔内投与した。対照マウスは、抗IL25 mAbの代わりに生理食塩水またはアイソタイプ対照(500μg/投与)のいずれかを受けた。アイソタイプ対照は抗c-myc(マウスIgG1、クローン9E10.2)であった。
【0140】
気道応答性の測定
動物を麻酔し、気管切開し、150呼吸/分の速度、0.2mlの一回換気量の人工呼吸器(SAR-830 series、CWE Inc)下に置いた。マウスを全身プレチスモグラフ(EMKA Technologies、Paris)においてモニターし、インライン変換器によって経肺圧を評価した。安定なベースライン肺抵抗性を記録した後、漸増濃度のアセチル-β-メチルコリンクロリド(メタコリン)(Sigma、Dorset、UK)をエーロゾルによって超音波ネブライザーを用いて各濃度15秒間投与した。肺抵抗性を5分間記録した。IOXソフトウェアを用いて気道抵抗性、コンプライアンスおよび標準的な肺パラメータを解析した。
【0141】
気管支肺胞洗浄(BAL)
マウスを頚部脱臼によって死亡させ、PBS の4×500μlアリコートを気管開口によって注射し、回収した。ギームザで染色したサイトスピンにおいて、150個の細胞に対して示差細胞カウントを行なった。
【0142】
実施例3:刺激前の投与
本発明者らはまた、OVAエーロゾル投与刺激の前だけに投与した場合、抗IL-25 mAbが有効であるかどうかを評価した。抗IL-25 mAbでの治療により、応答後期に投与した場合であっても、メタコリン誘発によって誘導された気道抵抗性が劇的に低下した(図2A)。対照的に、対照アイソタイプ適合mAbの投与ではAHRは排除されなかった。
【0143】
重要なことに、肺組織学切片の解析では、抗IL-25 mAb 治療マウスとOVA刺激BALB/c 対照またはアイソタイプ適合mAb 治療対照間で、血管周囲の細胞浸潤(図2B)または気道杯細胞過形成(図2C)のレベルに有意な変化は示されなかった。
【0144】
さらに、抗IL-25 mAbの投与後、BAL液中の好酸球の割合(図2D)または抗原特異的血清IgEのレベル(図2E)において、観察可能な低下はなかった。注目すべきことには、2型サイトカインIL-5およびIL-13のレベルは、抗原再刺激後、OVA刺激BALB/c 対照またはアイソタイプ適合mAb 治療対照のものと同等のままであり(図2F)、BAL中のIL-13レベルもまた変化しなかった。したがって、応答刺激期間中での抗IL-25 投与により、2型サイトカインおよびその下流エフェクターが下方調節されない場合であっても、AHRが特異的に排除され得る。これらの所見は、IL-25が、古典的な2型応答とは独立した経路によってAHRを開始させ得ることを示す。
【0145】
材料および方法
材料および方法は、実施例2に記載のものに、以下のものを加えた。
【0146】
肺組織収集および組織学
組織学的解析のため、肺をホルマリン(0.9%生理食塩水溶液中10%ホルムアルデヒド)中に固定した。肺切片を、炎症性浸潤についてギームザで、および杯細胞について過ヨウ素酸-シッフ(PAS)で染色した。気道上皮内のPAS染色杯細胞を、数値スコアリングシステム(0:<5%杯細胞; 1:5〜25%; 2:25〜50%; 3:50〜75%; 4:>75%)を用いて盲験的に測定した。各肺の気道スコアの合計を、調べた気道の数20〜40気道/マウスで割り算し、自由裁量単位のPASスコアとして示した。数値スコアリングシステムを用いて炎症を評価し、血管周囲の浸潤細胞の数を評価した(0:浸潤炎症性細胞の層< 血管周囲2細胞厚、1:2〜4細胞厚、2:5〜8細胞厚、3>8細胞厚)。各肺の気道スコアの合計を、調べた管の数20〜40気道/マウスで割り算し、自由裁量単位で示した。
【0147】
実施例4:IL-25は、2型非依存性経路によって作用する
本発明者らは、外来的に投与したrmIL-25が、抗原感作または刺激の非存在下であってもAHRの増強を誘発し得るかどうかを評価した。BALB/cマウスへのrmIL-25の鼻腔内投与後16時間という速い段階で、本発明者らは、有意に上昇した気道抵抗性を検出した(図3A)。これまでの報告では、喘息表現型、特にAHRにおいてIL-13によって果たされる中心的役割が示されていた。IL-25がそのIL-13によるAHRにおける役割を媒介しているかどうかを調べるため、本発明者らは、rmIL-25をil13-/-マウスに投与した。再度、本発明者らは、rmIL-25治療後にAHRの上昇を観察した(図3B)。その他の2型サイトカインもまた喘息表現型に寄与することが示されていたため、本発明者らは、鼻腔内投与されたrmIL-25に対するil4-/-il5-/-il9-/-il13-/-の応答もまた評価した。すべての古典的2型サイトカインの非存在下であっても、IL-25治療によりメタコリン誘発後のAHRが向上した(図3C)。これらのデータは、2型サイトカイン非依存性経路によるAHR増悪におけるIL-25の役割を支持する。
【0148】
材料および方法
材料および方法は、実施例2および3に記載のものに以下のものを加えた。
【0149】
マウス
BALB/c背景のトランスジェニックil4-/-il5-/-il9-/-il13-/-マウス(P. G. Fallon et al.,2002. Immunity 17,7)およびil13-/-マウス(G. J. McKenzie et al.,1998. Curr Biol. 8,339)は、記載のものとした。C57BL/6×129 F2背景のIl25-/-マウスは、記載のものとした(P. G. Fallon et al. 2006. J. Exp. Med. 203,1105)。
【0150】
鼻腔内IL-25 投与
第0日、マウスに、40μlのPBS中1.8μgのrIL-25(R&D Systems)または1.8μgのrIL-13(Peprotech)/マウスを鼻腔内投与した。対照動物はPBSのみを受けた。
【0151】
実施例5:2C3可変ドメインのクローニング
3つの2c3のサブクローン由来のRNAを単離し、逆転写反応によってcDNAを調製した。
【0152】
IgG1定常領域プライマーMHCG1(配列番号:12)と組み合わせた保存5' VH領域プライマー、MHV7(配列番号:11)を用いたPCRによって、免疫グロブリン重鎖(IgH) cDNAを増幅した。
【0153】
同様に、κ定常領域プライマーMKC(配列番号:14)と組み合わせた保存5'IgK領域プライマーMKV9(配列番号:13)を用いて、免疫グロブリン軽鎖(IgK)を増幅した。
【0154】
PCR反応全体を通して、熱安定性ポリメラーゼPhusion(NEB F-531L)を使用した。
【0155】
3つの独立したcDNAのVH7 + MHCG1プライムしたPCR反応の2c3増幅産物を、TOPO-blunt cloning(登録商標)キット(カタログ45-0245)を用いて、軽鎖増幅反応の増幅産物の場合のようにしてpCRII(登録商標)Blunt-TOPO(登録商標)ベクターに直接ライゲートした。ライゲートしたpCRII-平滑端ベクター構築物で形質転換した大腸菌TOP10細菌を、白色コロニーを寒天グリッド上およびPCRスクリーニング混合物中に採取することにより、LB-アンピシリン-XGal寒天プレート上でクローニングした。クローニングしたプラスミド挿入物をPCR増幅した。増幅産物をゲル電気泳動し、予測産物を同定した。正しいサイズのPCR増幅産物を産生した各クローンの一夜培養物(5ml)を、QIAprep Spin Miniprep Kit Protocol(カタログ27106)を用いて処理し、DNAプラスミドミニ調製物を作製した。
【0156】
BigDye(登録商標)Terminator v3.0 Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(ABIカタログ4390242)を用いてプラスミドを配列決定した。M13フォワードおよびリバースプライマーを使用し、GeneAmp9600 PCR装置でサイクルさせて各選択されたプラスミドを両方向で配列決定した。ABIキャピラリーシーケンサーにおいて電気泳動による配列解析を行なった。
【0157】
各免疫グロブリン鎖について完全に独立した3組の配列情報を得るために、RT-PCR、クローニング、およびDNA配列解析の完全サイクルを繰返した。
【0158】
VHおよびVκ遺伝子の推定全ヌクレオチド配列を、それぞれ配列番号:15および配列番号:16として示す。これらの配列は、新たに合成された抗体鎖を小胞体内に輸送するために使用されるシグナル配列をコードする各可変遺伝子セグメントの最初にリーダー配列を含む。これらは、最終の重鎖および軽鎖には存在しない。
【0159】
参考文献
1. P. G. Fallon et al.,Immunity 17,7(JuI,2002)。
2. G. Grunig et al.,Science 282,2261(1998)。
3. M. Wills-Karp et al.,Science 282,2258(1998)。
4. M. M. Fort et al.,Immunity 15,985(Dec,2001)。
5. M. R. Kim et al.,Blood 100,2330(Oct 1,2002)。
6. G. Pan et al.,J Immunol 167,6559(Dec 1,2001)。
7. S. D. Hurst et al.,J Immunol 169,443(JuI 1,2002)。
8. T. A. Moseley,D. R. Haudenschild,L. Rose,A. H. Reddi,Cytokine Growth Factor Rev 14,155(Apr,2003)。
9. P. G. Fallon et al.,J Exp Med 203,1105(Apr 17,2006)。
10. A. M. Owyang et al.,J Exp Med 203,843(Apr 17,2006)。
11. T. Tamachi et al.,J Allergy Clin Immunol 118,606(Sep,2006)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-25に結合し、実質的に配列番号:7に示されたアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメインを含む標的結合メンバー。
【請求項2】
VHドメインが、さらに、実質的に配列番号:5に示されたアミノ酸配列を有するCDR1、および実質的に配列番号:6に示されたアミノ酸配列を有するCDR2を含む、請求項1記載の標的結合メンバー。
【請求項3】
VHドメインがヒトフレームワーク領域を含む、請求項1または2記載の標的結合メンバー。
【請求項4】
VHドメインが配列番号:2を含む、請求項1または2記載の標的結合メンバー。
【請求項5】
さらに、実質的に配列番号:8に示されたアミノ酸配列を有するCDR1、実質的に配列番号:9に示されたアミノ酸配列を有するCDR2、および実質的に配列番号:10に示されたアミノ酸配列を有するCDR3を有するVLドメインを含む、前記請求項いずれか記載の標的結合メンバー。
【請求項6】
VLドメインがヒトフレームワーク領域を含む、請求項5記載の標的結合メンバー。
【請求項7】
VLドメインが配列番号:4を含む、請求項5記載の標的結合メンバー。
【請求項8】
Fab、F(ab')2、scFv 抗体断片である、前記請求項いずれか記載の標的結合メンバー。
【請求項9】
抗体定常領域を含む、請求項1〜7いずれか記載の標的結合メンバー。
【請求項10】
定常領域がIgG1またはIgG4定常領域である、請求項9記載の標的結合メンバー。
【請求項11】
完全抗体を含む、請求項9記載の標的結合メンバー。
【請求項12】
前記請求項いずれか記載の標的結合メンバーをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。
【請求項13】
前記請求項いずれか記載の標的結合メンバーの発現のための発現ベクターであって、プロモーターに作動可能に連結された請求項12記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項14】
請求項13記載の発現ベクターを有する宿主細胞。
【請求項15】
請求項14記載の宿主細胞を、標的結合メンバーの作製条件下で培養する工程を含む、標的結合メンバーの作製方法。
【請求項16】
さらに、前記標的結合メンバーを単離する工程を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
さらに、標的結合メンバーを、少なくとも1種類のさらなる成分を含む組成物に製剤化する工程を含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜11いずれか記載の標的結合メンバーおよび薬学的に許容され得る担体を含む組成物。
【請求項19】
凍結乾燥粉末の形態の請求項18記載の組成物。
【請求項20】
治療を必要とする被検体に、請求項1〜11いずれか記載の標的結合メンバーまたは請求項18記載の組成物の有効量を投与する工程を含む、喘息の治療または予防方法。
【請求項21】
喘息の治療または予防における使用のための請求項1〜11いずれか記載の標的結合メンバーまたは請求項18記載の組成物。
【請求項22】
(a) IL-25に結合し、実質的に配列番号:7に示されたアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメインを含む標的結合メンバーを含むVHドメインを提供する工程;
(b) 前記VHドメインを複数の抗体VLドメインと組み合わせて抗体分子を提供する工程;
(c) 前記抗体分子をIL-25への結合に関してスクリーニングする工程; ならびに
(d) IL-25に結合する抗体分子を選択する工程
を含む、IL-25に対する抗体の作製方法。
【請求項23】
VHドメインが請求項2〜4いずれか記載のものである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
(a) 置き換えられるCDR3を含むか、またはCDR3コード領域が欠損しているかのいずれかであるVHドメインをコードする核酸の出発レパートリーを提供する工程;
(b) 前記レパートリーを、実質的に配列番号:7に示されたアミノ酸配列を有するVH CDR3をコードするドナー核酸と組み合わせて、前記ドナー核酸をレパートリー内のCDR3領域内に挿入して、VHドメインをコードする核酸の産物レパートリーを提供する工程;
(c) 前記産物レパートリーの核酸を発現させる工程;
(d) IL-25に特異的な標的結合メンバーを選択する工程; および
(e) 前記標的結合メンバーまたはこれをコードする核酸を回収する工程
を含む、IL-25に対する抗体の作製方法。
【請求項25】
前記産物レパートリーがVLドメインと共発現される、請求項24記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−524450(P2010−524450A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503589(P2010−503589)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001365
【国際公開番号】WO2008/129263
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【Fターム(参考)】