説明

IMアプリケーションにおいて質問表を符号化することによる通信方法

本発明は、インスタント・メッセージングIM・アプリケーションを用いた、第1の端末と第2の端末との間の通信方法に関し、該方法は、
第1の端末のIMアプリケーションが、質問表を含むメッセージを符号化するステップと、
第1の端末が、上記符号化したメッセージを第2の端末へ送信するステップと、
第2の端末のIMアプリケーションが、このメッセージを復号して上記符号化したメッセージに対応する質問表を生成するステップと、
第2の端末が、上記質問表を表示するステップと
を含む。
また本発明は、この通信方法を実施するIMアプリケーションに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント・メッセージングIM・アプリケーションによって第1の端末と第2の端末との間で通信する方法およびこの方法を実施するためのIMアプリケーションに関する。
【0002】
本発明は、特にコールセンターの端末と該コールセンターの顧客の端末との間の通信に適用するが、これに限らない。
【背景技術】
【0003】
コールセンターは、例えば顧客が取得した製品またはサービスに対するオンラインサポートを提供するために、顧客が該センターの所有者のサービスと通信することができるシステムである。
【0004】
当技術分野では、この目的のためにコールセンターと顧客との間で音声電話の通話を使用することが知られている。例えばこのような通話には、音声自動応答装置IVRの通信システムを利用することができる。
【0005】
IVR技術により、電話のキーを押すことによって電話とデータベースとの間で対話し、情報を取得するまたはアクションを起こすことが可能になる。例えばIVRコールセンターは、あらかじめ録音した質問を顧客に送信することができ、顧客は電話の対応するキーを押すことによってこの質問に答える。このような質問に対する回答が顧客および通話の理由を識別し、最も適切なサービスまたはオペレータに誘導することができるようにする。
【0006】
それでもなお、顧客がサービス提供者によって提供されるサービスに期待する権利を有する使い勝手のよさが、IVR技術にはないことが明白である。
【0007】
ウェブ・アプリケーションを使用して質問を表示し、回答を受信することができる。
【0008】
これにより、情報が口頭ではなく文字になるため、この方法はより使い勝手のよいものになる。しかしながら、コールセンターで使用される技術とは異なりこのようなアプリケーションは、特に情報を収集してこれをオペレータに転送することが容易ではないという意味では、通信アプリケーションではない。ウェブ・アプリケーションは、通信をサポートするように構成されておらず、単に情報のページを表示する。
【0009】
また当技術分野では、文字によるメッセージを使用して2つ以上の端末が通信できるようにするインスタント・メッセージングIM・アプリケーションも知られている。MSNメッセンジャー、AOLのAIM、Skype、Google Talk、Yahoo!Messenger、およびGaimなど多くのIMアプリケーションがある。これらのアプリケーションは一般に、端末上の1つまたは複数のウィンドウ内で自由にテキスト編集すること、他の端末にメッセージを送信すること、および他の端末から受信したメッセージを表示することに向いている。これらは使い勝手がよいため、このようなアプリケーションは通信の手段として次第に受け入れられている。
【0010】
しかしながら、送信されるメッセージのテキストに規定がないため、IMアプリケーションによる通信は、顧客とコールセンターとの間で使用することができない。顧客が何を要求するかを識別して、顧客を適切なサービスまたはオペレータに案内するには、尋ねる質問に対して顧客が正確で、あいまいでない回答をすることが必要である。規定のないテキストでは、特に、同じ質問への回答に使用することができる可能な構文およびスペリングの多様性のため、すべての顧客がこの条件を確実に満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に顧客の端末とコールセンターの端末との間の通信に使用することができるように、より信頼性があり、より使い勝手のよい、2つの端末間の通信方法を提案することによって、先行技術の欠点を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、インスタント・メッセージング・アプリケーションによって第1の端末と第2の端末との間で通信する方法を提供し、この方法は、
第1の端末のインスタント・メッセージング・アプリケーションが、質問表を含むメッセージを符号化するステップと、
第1の端末が、上記符号化したメッセージを第2の端末へ送信するステップと、
第2の端末のインスタント・メッセージング・アプリケーションが、このメッセージを復号して上記符号化したメッセージに対応する質問表を生成するステップと、
第2の端末が、上記質問表を表示するステップと
を含む。
【0013】
したがって、本発明の方法は、インスタント・メッセージング・アプリケーションを用いた文字による情報の通信の使い勝手のよさを、この情報に質問表を組み込むことからもたらされる信頼性と結合する。
【0014】
本発明の第2の態様は、2つ以上の端末間において質問表およびそれへの回答を通信する手段を含むインスタント・メッセージング・アプリケーションを提供する。この目的のために、このインスタント・メッセージング・アプリケーションは、メッセージの中に質問表を含むように構成された送信メッセージを符号化する手段と、符号化されたメッセージから質問表を生成するように構成された受信メッセージを復号する手段とを含む。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して行う様々な実施形態の次の説明の過程で明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】端末のインスタント・メッセージング・アプリケーションがメッセージを受信したときの端末上の表示の一形態を示す図である。
【図1b】インスタント・メッセージング・アプリケーションがメッセージへの回答を送信して、別の質問を受信したときの端末上の表示の一形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
コールセンターの第1の端末と顧客の第2の端末との間で通信するための本発明の方法の実施について、図面を参照して以下に説明する。この利用では、顧客とコールセンターとの間の第1の交換は、従来から担当者が介入することなく実施される。したがって、第1の端末は必ずしも物理デバイスではなく、アプリケーションとすることができる。しかしながら、本発明を説明する状況において、このアプリケーションは表示を行わないが、送受信ができるため、このアプリケーションを端末と呼ぶ。
【0018】
これらの端末は、例えば移動体もしくは有線の電気通信ネットワークなど通信ネットワークに、またはインターネット型のネットワークに組み込むことが可能である。これは、当技術分野では知られている。しかしながら、本発明は、いかなる特定の通信形態、または端末間の通信用のいかなる特定のアプリケーションにも決して限定されない。
【0019】
この方法は、インスタント・メッセージングIM・アプリケーションによって通信する端末を提供する。IMアプリケーションにより、ネットワークで相互に接続された端末間の文字による通信が可能になる。この目的のために、IMアプリケーションは、1つまたは複数のウィンドウでメッセージを編集すること、1つまたは複数の他の端末にメッセージを送信すること、および1つまたは複数の他の端末から受信したメッセージを表示することを行う。特にIMアプリケーションは極めて簡単で使いやすいため、通信にIMアプリケーションを使用すると非常にうまくいく。
【0020】
詳細には、この方法により、IMアプリケーションを介して端末間で質問表の通信が可能になる。質問表の使用は、可能な回答の数を制限し、それがコールセンターにより提供されるサービスを信頼できるものにする助けとなるため、本明細書で想定するコールの状況において有利である。詳細には、質問表は限定型とすることができ、すなわち質問表に示した回答のうちの1つを単に選択させることができる。
【0021】
IMアプリケーションを介した質問表の通信を可能にするために、本発明は、第1の端末のIMアプリケーションが上記質問表を含むメッセージを符号化すべきであると教示する。
【0022】
1つの実施では、メッセージはHTMLで符号化される。しかしながら、質問表、詳細には回答をいくつかの選択に制限するための質問表を、他の言語を使用して表示することもできる。このような他の言語には、ASP、JSP、ActivX、Javascript、およびPHPがある。質問表が書かれる様式は、使用される言語によるため、本発明で限定されない。
【0023】
次は、IMアプリケーションによってHTMLで符号化されたメッセージの一例であり、IMアプリケーションはセッション確立プロトコルSIPを使用してネットワーク上で該メッセージを送信する。
【0024】
【表1】

【0025】
行01から09は、標準的なIMメッセージのSIPの記述を含んでいる。特定の表現をメッセージに挿入することによって、行07は、このメッセージを受信するIMアプリケーションに、メッセージのテキスト部分が標準のテキストではなくHTML形式であることを伝える。行10から31は、行19で指定される形式で質問表を表示できるようにHTMLで書かれている。さらに行19は、メッセージが送信されなければならないURLアドレスを指定する。
【0026】
符号化されたメッセージが、第1の端末から第2の端末へ送信された後、第2の端末のIMアプリケーションがメッセージを復号して、HTML変換器を用いて質問表を生成する。次にIMアプリケーションは、図1aに示すように質問表を表示することができる。
【0027】
この図に示すように、第2の端末のIMアプリケーションは、IMアプリケーションのユーザにはよく知られているような表示ウィンドウおよびテキスト入力ウィンドウを生成する。表示ウィンドウに「どちらのサービスをご希望ですか?」という質問が表示され、同時にテキスト入力ウィンドウで「カスタマー・サービス」および「アフター・サービス」という可能な回答にチェックを入れることができる。図示していない代替形態は、テキスト入力ウィンドウに自由に記載する部分を作ることによって回答できるようにする質問表を含む、他の形式の質問表を提供する。
【0028】
この方法の実施において、第2の端末のIMアプリケーションは、質問表への回答を符号化し、これが第1の端末へ伝達され、上述と同様の方法で第1の端末のIMアプリケーションによって復号される。
【0029】
次は、図1aに示す質問表への回答を含む符号化されたメッセージの一例である。
【0030】
【表2】

【0031】
行01から09は、標準的なIMメッセージのSIPの記述を含んでいる。行07は、このメッセージを受信するIMアプリケーションに、メッセージのテキスト部分が標準のテキストではなくHTML形式であることを伝えている。行10は、質問表へのHTML形式の回答、「カスタマー・サービス」を含んでいる。
【0032】
あるいは、本発明は、IMアプリケーションに別の端末が接続され、この第2の端末は、回答が送信されなければならない端末に関する情報を回答が含むように質問表への回答を符号化する通信方法を提供する。したがってこの方法により、IMアプリケーションは符号化したメッセージを関係する端末に送信することができる。
【0033】
図1bは、本方法によって第2の端末に次のメッセージを送信するときの第2の端末上の表示を表しており、符号化されたメッセージの質問表は、前述の符号化されたメッセージに対応する質問表への回答に応じて生成される。
【0034】
図1bにおいて次の質問は、「顧客番号は何番ですか?」である。テキスト入力ウィンドウは、対応する番号を入力するための自由フィールドおよびチェックを入れて選択の回答を送信することができる領域を含んでいる。さらに、この図に示すように、この方法により回答の履歴の少なくとも一部を表示ウィンドウに表示することができる。詳細にはこの表示は、IMアプリケーションのユーザにはよく知られている標準のテキスト形式とすることができる。この目的のために、この方法は、チェックした回答のHTMLリンクのタイトルを使用できるようにする。
【0035】
本発明の第2の態様は、上述の方法を実施するために互いと通信しなければならない端末のそれぞれにインストールされるIMアプリケーションを提案する。この目的のために、本発明は、IMアプリケーションが受信したメッセージを復号する手段および送信するメッセージを符号化する手段を含むようにIMアプリケーションを適合させる。この符号化手段はIMメッセージに質問表を挿入し、復号手段は符号化されたメッセージから質問表を生成する。
【0036】
さらに、符号化手段は、質問表への回答を符号化するおよび/または特定の表現をメッセージに差し込むことができ、復号手段は、該表現を解釈する。
【0037】
実施において、符号化手段は、メッセージにHTMLの情報を含め、復号手段は、HTMLの情報を解釈して質問表を生成する。
【0038】
上述のように本発明は、使い勝手がよい作りで、多くのユーザが知っている単一の通信アプリケーションを使用できるようにする。詳細には、ユーザは、ウェブ・アプリケーションと別個の通信アプリケーションとを巧みに操作する必要がない。さらに、本発明はIMアプリケーションの利点を保持し、詳細にはコールの履歴を保存して、各関係者はこのコールの履歴を調べることができる。さらに、コールに他の端末を含む簡単な方法も、特に一般的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスタント・メッセージングIM・アプリケーションを用いた、第1の端末と第2の端末との間の通信方法であって、
前記第1の端末の前記IMアプリケーションが、質問表を含むメッセージを符号化するステップと、
前記第1の端末が、前記符号化したメッセージを前記第2の端末へ送信するステップと、
前記第2の端末の前記IMアプリケーションが前記メッセージを復号して、前記符号化したメッセージに対応する前記質問表を生成するステップと、
前記第2の端末が、前記質問表を表示するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記質問表への回答が、前記第2の端末の前記IMアプリケーションによって符号化され、前記第1の端末へ送信されて、そのIMアプリケーションによって復号される、請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記IMアプリケーションに別の端末が接続され、前記質問表への前記回答が、前記回答を送信しなければならない前記端末に関する情報を含むように前記第2の端末によって符号化され、前記IMアプリケーションが前記関係する端末へ前記回答を送信する、請求項1に記載の通信方法。
【請求項4】
前記第2の端末に次のメッセージが送信され、前記先の符号化されたメッセージに対応する前記質問表に応じて前記符号化されたメッセージの前記質問表が生成される、請求項2または請求項3に記載の通信方法。
【請求項5】
回答の履歴の少なくとも一部が、前記第2の端末の表示ウィンドウに表示される、請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記質問表が限定型である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項7】
前記質問表が、前記第2の端末のテキスト入力ウィンドウに表示される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項8】
前記メッセージおよび/または回答が、HTMLで符号化される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項9】
メッセージの中に質問表を挿入するように構成された送信メッセージを符号化する手段と、符号化されたメッセージから前記質問表を生成するように構成された受信メッセージを復号する手段とを含むインスタント・メッセージングIM・アプリケーション。
【請求項10】
前記符号化手段が、質問表への回答を符号化する、請求項9に記載のIMアプリケーション。
【請求項11】
前記符号化手段が、前記メッセージに特定の表現を挿入し、前記復号手段が、前記表現を解釈する、請求項9または請求項10に記載のIMアプリケーション。
【請求項12】
前記符号化手段が、前記メッセージにHTMLの情報を挿入し、前記復号手段が、HTMLの前記情報を解釈して前記質問表を生成する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のIMアプリケーション。

【図1a】
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【図1b】
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【公表番号】特表2009−542134(P2009−542134A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516935(P2009−516935)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005289
【国際公開番号】WO2008/003393
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】