説明

KRAS変異及びRTK発現レベルを検出することによるB−RAF阻害剤治療に対する細胞の感受性の決定

本発明は、K-ras遺伝子又はタンパク質における変異を検出することによって、又はRTK及び/又はそれらのリガンドの過剰発現を検出することによって、B-Raf阻害剤治療に感受性でない腫瘍を識別する予後予測的方法に関する。該方法を実行するためのキットもまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年8月24日に出願された米国仮出願第61/236466号、及び2010年2月3日に出願された米国仮出願第61/301149号の優先権を米国特許法第119(e)条に基づき主張するものであり、全ての目的に対し出典明記によりその全体を本明細書中に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、癌の診断及び/又は治療、特に、診断的及び/又は予後予測的である変異又はRTK過剰発現の検出及び検出と癌治療との関連付けに関する。
【背景技術】
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)及びそれらのリガンドは、腫瘍細胞増殖、血管新生及び転移の重要な調節因子である。例えば、RTKのErbBファミリーは、EGFR(HER1及びErbB1)、HER2(neu又はErbB2)、HER3(ErbB3)及びHER4(ErbB4)を含み、異なるリガンド結合及びシグナリル活性を有する。ErbB受容体に結合するリガンドは、上皮増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子a(TGFa)、ヘパリン結合EGF様リガンド(HBE-GF)、アンフィレギュリン(AR)、ベータセルリン(BTC)、エピレギュリン(EPR)、エピジェン(EPG)、ヘレグリン(HRG)及びニューレグリン(NRG)を含む。これらのリガンドは直接EGFR、HER3又はHER4に結合し、RAS-ERK及びPI3K-Akt経路を含む多数の下流のシグナルカスケードの引き金を引く。EGF及び他の増殖因子及びサイトカイン、例えば血小板由来増殖因子(PDGF)等は、Rasを介して信シグナルを送る。Ras変異は、Rasを永久にその活性状態、GTP結合状態に固定する(Wislez, M,等, Cancer Drug Discovery and Development: EGFR Signaling Networks in Cancer Therapy, Eds: J. D. Haley and W. J. Gullick, Humana Press, pp. 89-95, 2008)。
【0004】
METは別のRTKであり、そのリガンド肝細胞増殖因子(HGF)による活性化はMETキナーゼ触媒活性を誘発し、チロシンTyr1234及びTyr1235のトランスリン酸化の誘因となる。これらの2つのチロシンは様々なシグナル伝達に関与し、従ってMETによって作動される全範囲の生物学的活性を開始する。HGFはRAS活性を持続させ、従ってMAPK活性を延長する。
【0005】
K-rasは、様々な癌において変異するras遺伝子のうちの1つである。コドン12及び13のK-ras遺伝子の変異は腫瘍形成に関与し、K-ras遺伝子産物であるp21-rasタンパク質の機能的変更を導き、結果として細胞増殖及び分裂を刺激する細胞核への過剰な増殖シグナルの伝達となる。従って、K-ras遺伝子の変異の同定は、例えば膵臓、結腸直腸、及び非小細胞肺癌等の癌の診断における有用なツールとして広く用いられており、また研究はそれが何らかの腫瘍表現型に関連しうることを示唆してきた(Samowitz W S,等, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 9: 1193-1197, 2000; Andreyev H J,等, Br. J. Cancer 85: 692-696, 2001;及びBrink M,等, Carcinogenesis 24: 703-710, 2003)。
【0006】
Rasは、発癌性形質転換及び発生において基本的役割を果たす。発癌性H-、K-、及びN-Rasは少数の部位に限られる点変異から生じる(アミノ酸12、13、59及び61)。正常のRasと異なり、発癌性rasタンパク質は固有のGTPアーゼ活性を欠き、従って恒常的に活性化されている(Trahey, M., and McCormick, F. (1987) Science 238: 542-5; Tabin, C. J.等 (1982) Nature. 300: 143-9; Taparowsky, E.等 (1982) Nature. 300: 762-5)。ヒト癌における発癌性rasの関与は30%であると推定される(Almoguera, C.等(1988) Cell. 53:549-54)。
【0007】
変異はしばしばras遺伝子の内の1つのみに限られ、頻度は組織及び腫瘍のタイプに特異的である。K-rasは、ヒト癌において最も一般的に変異される癌遺伝子であり、特にコドン-12変異である。一塩基置換から生じるH-、K-、及びN-Rasの発癌性活性はヒト癌の30%において観察され(Bos, J. L. (1989) Cancer Res 49, 4682-9)、90%以上のヒト膵臓癌はコドン12K-ras変異を示す(Almoguera, C.等 (1988) Cell 53, 549-54; Smit, V. T.等 (1988) Nucleic Acids Res 16, 7773-82; Bos, J. L. (1989) Cancer Res 49, 4682-9)。膵臓で最も一般的な癌である膵管腺癌は、その急速な発症及び治療に対する耐性で悪名が高い。ヒト膵腫瘍における高頻度のK-ras変異は、恒常的なRas活性が膵臓腫瘍形成の間、重要な役割を果たすことを示唆する。膵外分泌部の腺癌は、西洋諸国における癌関連の死亡原因の第4位である。治療は、限られた成功となり、5年生存率は依然5%未満であり、外科的に切除不可能な腫瘍を有する患者の平均生存期間は4ヵ月である(Jemal, A等(2002) CA Cancer J Clin 52, 23-47; Burris, H. A., 3rd等 (1997) J Clin Oncol 15, 2403-13)。この点変異は、正常の立方膵臓管上皮が扁平過形成性病変へ進行した場合、疾患の経過における早い段階で同定されることが可能であり、膵臓癌の病変形成における原因と考えられる(Hruban, R. H.等(2000) Clin Cancer Res 6, 2969-72; Tada, M.等 (1996) Gastroenterology 110, 227-31)。しかしながら、ヒト膵臓癌におけるK-ras発癌性シグナル伝達の調節は大部分が未知のままである。
【0008】
K-ras変異は結腸及び肺の癌の50%に存在する(Bos, J. L.等 (1987) Nature. 327: 293-7; Rodenhuis, S.等 (1988) Cancer Res. 48: 5738-41)。尿路及び膀胱の癌において、変異は主にH-ras遺伝子にある(Fujita, J.等 (1984) Nature. 309: 464-6; Visvanathan, K. V.等 (1988) Oncogene Res. 3: 77-86)。N-ras遺伝子変異は30%の白血病及び肝癌に存在する。ヒトの皮膚病変のおよそ25%は、Ha-Rasの変異を含む(扁平上皮癌25%及び黒色腫28%)(Bos, J. L. (1989) Cancer Res. 49:4683-9; Migley, R. S, and Kerr, D. J. (2002) Crit Rev Oncol Hematol. 44:109-20)。甲状腺癌の50−60%は全3遺伝子に変異を持つことで特有である(Adjei, A. A. (2001) J Natl Cancer Inst. 93: 1062-74)。
【0009】
Rasの恒常的な活性化は、発癌性変異を通して又は過剰活性化されたEGFR等の増殖因子受容体を介して達成される。EGFRファミリーのメンバー、特にEGFR及びHER2の上昇した発現及び/又は増幅は、様々な形態のヒト悪性腫瘍に関連する(Prenzel, N.等 (2001) Endocr Relat Cancer. 8: 11-31に総説される)。これらの癌(膵臓、結腸、膀胱、肺を含む)の幾つかにおいて、EGFR/HER2の過剰発現は、発癌性Rasへにの存在によって悪化される。腫瘍におけるこれらの受容体の異常な活性化は、過剰発現、遺伝子増幅、恒常的な活性化変異、又は自己分泌増殖因子ループに起因することができる(Voldborg, B. R.等 (1997) Ann Oncol. 8: 1197-206)。増殖因子受容体、特にEGFRに関して、これらの受容体の増幅及び/又は過剰発現は、胸部、卵巣、胃、食道、膵臓、肺、結腸及び神経芽細胞腫の癌でしばしば生じる。
【0010】
RAS-MAPKシグナル伝達経路は、細胞増殖、分化及び生存を制御する。このシグナル伝達経路は、広範なヒト腫瘍からの細胞の増殖及び生存を調整する中心的役割に基づき、抗癌治療の魅力的な経路として見られており、またこのシグナル伝達経路の要素における変異は哺乳動物細胞における腫瘍開始の基礎を成す(Sebolt-Leopold等(2004) Nat Rev Cancer 4, pp 937-47)。
【0011】
RAS-MAPKシグナル経路は、様々な細胞外シグナル(ホルモン及び増殖因子)によって活性化され、それはGDPのGTPとの交換によってRASを活性化する。次にRasはRAFをその活性化が起こる形質膜に動員する。上記の如く、シグナル経路の構成要素における変異は、結果として恒常的な活性化となり、哺乳動物細胞における腫瘍開始の基礎をなす。例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)等の増殖因子受容体は、多くの癌において増幅及び変異を受け、最高で25%の肺非小細胞癌及び60%の神経膠芽腫を占める。Brafもしばしば変異され、特に黒色腫(症例のおよそ70%)及び結腸癌(症例のおよそ15%)で生じる。更に、rasは最も頻繁に変異する癌遺伝子であり、全ヒト癌のおよそ30%で生じる。変異ras遺伝子の頻度及びタイプ(H-ras、K-ras又はN-ras)は腫瘍のタイプに依存して広く異なる。しかしながら、K-rasが最も頻繁に変異される遺伝子であり、膵臓癌(およそ90%)及び結直腸癌(およそ45%)において最も高い頻度で検出される。これは、シグナル経路の他の構成要素と同様に、それを抗癌治療の適切な標的にする。実際、この経路の様々な工程を標的とする設計された小分子量阻害剤が臨床試験に入っている。更には、ソラフェニブ(Nexavar.RTM., Bayer HealthCare Pharmaceuticals)、RASシグナル伝達阻害となるRAF-キナーゼ阻害剤が、腎細胞癌に対して最近承認された。これらのデータを受け、改善された癌治療の発展に対し、RAS-MAPK経路を標的とすることへの高い関心があり続ける。
【0012】
RAS-MAPKシグナル経路は、様々な細胞外シグナル(ホルモン及び増殖因子)によって活性化され、それはGDPのGTPとの交換によってRASを活性化する。次にRasはRAFをその活性化が起こる形質膜に動員する。上記の如く、シグナル経路の構成要素における変異は、結果として恒常的な活性化となり、哺乳動物細胞における腫瘍開始の基礎をなす。例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)等の増殖因子受容体は、多くの癌において増幅及び変異を受け、最高で25%の肺非小細胞癌及び60%の神経膠芽腫を占める。Brafもしばしば変異され、特に黒色腫(症例のおよそ70%)及び結腸癌(症例のおよそ15%)で生じる。更に、rasは最も頻繁に変異する癌遺伝子であり、全ヒト癌のおよそ30%で生じる。変異ras遺伝子の頻度及びタイプ(H-ras、K-ras又はN-ras)は腫瘍のタイプに依存して広く異なる。しかしながら、K-rasが最も頻繁に変異される遺伝子であり、膵臓癌(およそ90%)及び結直腸癌(およそ45%)において最も高い頻度で検出される。これは、シグナル経路の他の構成要素と同様に、それを抗癌治療の適切な標的にする。実際、この経路の様々な工程を標的とする設計された小分子量阻害剤が臨床試験に入っている。更には、ソラフェニブ(Nexavar.RTM., Bayer HealthCare Pharmaceuticals)、RASシグナル伝達阻害となるRAF-キナーゼ阻害剤が、腎細胞癌に対して最近承認された。これらのデータを受け、改善された癌治療の発展に対しRAS-MAPK経路を標的とすることへの高い関心があり続ける。
【0013】
Downward, J. (2002) Nature Reviews Cancer, volume 3, 11-22頁に記載されるように、RASタンパク質は低分子量GTP結合タンパク質の大きなスーパーファミリーのメンバーであり、配列保存の度合いに従い幾つかのファミリーに分けられる。異なるファミリーは、異なる細胞過程にとって重要である。例えば、RASファミリーは細胞増殖を制御し、RHOファミリーはアクチン細胞骨格を制御する。一般的に、RASファミリーは3つのメンバーH-、N-及びK-RASから成りとされ、K-RASがメジャー(4B)及びマイナー(4A)スプライスバリアントを生成する(Ellis, C. A and Clark, G. (2000) Cellular Signalling, 12:425-434)。RASファミリーのメンバーが、ヒト腫瘍における変異により活性化され、強力な形質転換能を有すると分かった。
【0014】
RASメンバーは非常に密接に関連し、85%のアミノ酸配列同一性を有する。RASタンパク質は非常に類似した方法で機能するが、それらの間の微妙な違いの幾つかの兆候が最近明るみに出た。H-ras、K-ras及びN-rasタンパク質は広く発現され、K-rasはほとんど全ての細胞タイプにおいて発現される。ノックアウト研究は、H-ras及びN-rasはマウスにおける正常発生に単独でも又は組合わせでも必要でないが、K-rasが重要であることを示した(Downward, J. (2002) 12頁)。
【0015】
更に、Downward, J. (2002)に記載されるように、RAS経路の異常なシグナル伝達は、腫瘍細胞における幾つかの異なる種類の変異性損傷の結果として生じる。これらの変異の最も明らかなものは、ras遺伝子それ自身にある。ヒト腫瘍の約20%がrasに活性化点変異を有し、K-rasに最も高い頻度(全体の約85%)、次にN-ras(約15%)、次にH-ras(1%未満)となる。これらの変異は全てRASのGTPアーゼ活性を損なわせ、GAPがRAS上のGTPの加水分解を促進するのを妨げ、これによりRASを活性形態であるGTP結合の状態で蓄積させる。腫瘍におけるほとんど全てのRAS活性化は、コドン12、13及び61における変異で説明される(Downward, J. (2002) 15頁)。
【0016】
癌治療が特定の癌に合わせて調整されると有益である。特に、本発明は、特定の承認された利用可能である治療法が、それでも、特定のタイプの癌に有益でないかどうか決定する手段を提供する。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、K-ras遺伝子又はタンパク質における変異を検出することによって、B-Raf阻害剤治療に感受性でない腫瘍を識別する予後予測方法に関する。方法は、試料における変異K-ras遺伝子又はタンパク質の有無を決定し、これによりB-Raf阻害剤治療に非応答性である腫瘍を識別することを含む。該方法を実行するためのキットもまた開示される。
【0018】
別の態様では、本発明は、K-rasの異常発現レベルを決定することにより、B-Raf阻害剤治療に感受性でない腫瘍を識別する予後予測的方法に関する。方法は、試料における特定のRTKの発現レベルを決定することを含み、ここではRTKの過剰発現はB-Raf阻害剤治療に対する非応答性と相関する。B-Raf治療の応答に相関するRTKの例は、限定するものではないが、EGFR及びcMetを含む。方法はまた、試料におけるRTKの特定のリガンドの誘導レベルを決定することを含み、ここではリガンド誘導の異常に高いレベルはB-Raf阻害剤治療に対する非応答と相関する。B-Raf治療に対する非応答性に相関するリガンドの例は、限定するものではないが、EGF及びHGFを含む。方法はまた試料におけるRas-GTPのレベルを決定することを含み、Ras-GTPの異常に高いレベルはB-Raf阻害剤治療に対する非応答と相関する。該方法を実行するためのキットもまた開示される。
【0019】
別の態様では、本発明は、B-Raf阻害剤治療に非応答性である腫瘍を治療する方法に関する。方法は、B-Raf阻害剤をEGFR阻害剤と組合せて投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は生化学的酵素アッセイデータを示す。データは、生理的[ATP]ではGDC-0879のみがB-RafV600E及びWT Rafアイソフォーム双方に対して効果的効力を維持することを示す。
【図2】図2は異なるRaf/Ras変異状態の腫瘍株における生存率アッセイを示す。
【図3】図3は非B-RafV600E株おいてのみRaf阻害剤による持続されたpMEK誘導を示す。pMEKレベルはWT Rafに対する阻害剤のIC50に相対的にプラトーに達する。
【図4】図4はc-Rafが非B-RafV600E株におけるRaf阻害剤によるpMEK誘導に対する主要な原因であるRafアイソフォームであることを示す。
【図5】図5は非B-RafV600E株においてのみ、両阻害剤によって誘導されるc-Raf特異的活性を示す。Raf誘導の条件下でSproutyレベルの減少はなかった。
【図6】図6はpERKレベルの非誘導を示す。阻害剤の相対的効力はそれらの生化学的IC50と相関する。
【図7】図7は基本条件下でのpMEKレベルへの釣鐘型効果を示す。GDC-0879の阻害効果は血清刺激後に優勢である。
【図8A】図8Aは原発ヒト腫瘍異種移植モデルにおける、BRAF経路阻害の期間及び程度のB-Raf阻害剤、GDC-0879有効性の決定を示す。 Kaplan-Meierプロットは、毎日100mg/kgGDC-0879又はビヒクルで処置された患者由来黒色腫及び非小細胞性肺癌腫瘍モデルの腫瘍倍増速度を示す。BRAF、N-ras及びK-rasの遺伝子型を示す。腫瘍進行における統計学的に有意の(P<0.05)の遅延がMEXF989、MEXF276及びMEXF355腫瘍が認識される。GDC-0879の投与は、例えばLXFA1041及びLXFA983等の幾つかのK-ras変異体非小細胞性肺癌腫瘍の増殖を著しく加速した。
【図8B】図8BはGDC-0879処置がBRAFV600E原発ヒト異種移植片腫瘍におけるERK1/2リン酸化を下方制御したことを示す。経時的薬力学研究では、マウスを100mg/kgGDC-0879で処置し、最終投与(21−24日)後1又は8時間で殺した。リン酸化及び全ERK1/の免疫ブロットを示す。8時間持続の強力なリン酸化ERK1/2の阻害はBRAFV600E状態及びGDC-0879抗腫瘍効果と強く相関した。全ERK1/2発現をローディング・コントロールとして全サンプルにおいて調査した。
【図9】図9A、B、C及びDはK-ras変異腫瘍細胞株を示し、インビボ及びインビトロでのGDC-0879 RAF及びMEK阻害剤に対する異なる感受性を示す。A及びB、RAFでなく、MEKの阻害はK-RAS変異HCT116腫瘍のインビボでの増殖を妨げた。マウスを腫瘍が〜200mmに達した時ランダム化し、治療を100mg/kgGDC-0879(A)又は25mg/kgMEK阻害剤(MEKInh;B)でデイリースケジュールにおいて開始した。点、平均;バー、SE。C、130細胞株に対するGDC-0879EC50値をBRAF及びK-RAS変異状態に応じて示す。細胞増殖のGDC-0879媒介阻害はBRAF変異と強く相関した。D、MEK阻害EC50値のドットプロットを遺伝子型に従い整理する。MEK阻害はまた野生型BRAFを発現している細胞株のかなりの割合において強力であった。データは4重測定の平均を示す。
【図10】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図11】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図12】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図13】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図14】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図15】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図16】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図17】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図18】図10−18はGDC-0879の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖を示す。
【図19AB】図19A及びBは非B-RAFV600E細胞における形質膜への野生型RAFのRAS依存トランスロケーションを誘導するRaf阻害剤を示す。(A)MeWo(RAS/RAFWT)細胞を、GDC-0879(2-{4-[(1E)-1-(ヒドロキシイミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル]-3-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル}エタン-1-オル)、PLX4720(N-[3-[(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)カルボニル]-2,4-ジフルオロフェニル]-1-プロパンスルホンアミド)又はAZ-628(3-(2-シアノプロパ-2-イル)-N-(4-メチル-3-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロキナゾリン-6-イルアミノ)フェニル)ベンズアミド)(全て0.1、1、10mM)で1時間処理し、膜(P100)及び細胞質(S100)画分に分画した。一定分量の膜及び細胞質画分を表示抗体で免疫ブロットした。(B)HEK293T細胞をVenus-C-RAF(緑)、CFP-K-RAS(赤)及びmCherry-H2B(青)で一過性に形質移入した。10mMのGDC-0879又はAZ-628で4時間処理され、その後共焦点蛍光顕微鏡を使用したライブ細胞イメージングを行った細胞において、VenusタグC-RAFは形質膜にCFP-KRASと共局在する。KRASWTの代わりにドミナントネガティブCFPタグKRASS17Nが形質移入された時、膜移行が遮断された(右パネル)。
【図20AB】図20A、B、C及びDは、RAF阻害剤によるC-RAF活性化及びリン酸MEK誘発において活性Rasが果たす役割の重要性を示す。(A)A375(B-RAFV600E)細胞をGDC-0879又はPLX4720で1時間処理し、膜分画のために低張緩衝液において溶解した。膜(P100)及び細胞質(S100)画分を表示抗体で免疫ブロットした。(B)MeWo細胞をKRASWT又はKRASS17Nで一過性に形質移入し、GDC-0879又はPLX4720(0.1、1、10mMで)で1時間処理し、膜(P100)及び細胞質(S100)画分に分画した。一定分量の膜及び細胞質画分を、抗リン酸化及び抗全MEK抗体で免疫ブロットした。(C)RAS-GTPレベルを、RAS-GTP捕獲のベイトとして固定化されたC-RAF-RBDを使用し、Ras-GTP ELISAプロトコルにより、MeWo(RAS/RAFWT)、A375(B-RAFV600E)及びH2122(KRASMT)細胞の溶解物から測定した。相対蛍光単位は、RBDに結合した抗RAS抗体のRAS検出を表す。RAS-GTP H2122>>Mewo>A375。(D)A375(B-RAFV600E)細胞における変異体KRASG12D(KRASWTではない)の形質移入は、細胞が、RAF阻害剤GDC-0879(0.1、1、10mMで投与)の存在下で、B-RAF:C-RAFヘテロ二量体及びC-RAFキナーゼ活性化を誘導することを可能にする。C-RAFを、コントロール及び阻害剤処理細胞から免疫沈降し、タンパク質活性及びB-RAFヘテロ二量体化について検定した。免疫沈降においてWBにより示される全C-RAFレベルは各通路に対するローディングを示す。
【図20CD】図20A、B、C及びDは、RAF阻害剤によるC-RAF活性化及びリン酸MEK誘発において活性Rasが果たす役割の重要性を示す。(A)A375(B-RAFV600E)細胞をGDC-0879又はPLX4720で1時間処理し、膜分画のために低張緩衝液において溶解した。膜(P100)及び細胞質(S100)画分を表示抗体で免疫ブロットした。(B)MeWo細胞をKRASWT又はKRASS17Nで一過性に形質移入し、GDC-0879又はPLX4720(0.1、1、10mMで)で1時間処理し、膜(P100)及び細胞質(S100)画分に分画した。一定分量の膜及び細胞質画分を、抗リン酸化及び抗全MEK抗体で免疫ブロットした。(C)RAS-GTPレベルを、RAS-GTP捕獲のベイトとして固定化されたC-RAF-RBDを使用し、Ras-GTP ELISAプロトコルにより、MeWo(RAS/RAFWT)、A375(B-RAFV600E)及びH2122(KRASMT)細胞の溶解物から測定した。相対蛍光単位は、RBDに結合した抗RAS抗体のRAS検出を表す。RAS-GTP H2122>>Mewo>A375。(D)A375(B-RAFV600E)細胞における変異体KRASG12D(KRASWTではない)の形質移入は、細胞が、RAF阻害剤GDC-0879(0.1、1、10mMで投与)の存在下で、B-RAF:C-RAFヘテロ二量体及びC-RAFキナーゼ活性化を誘導することを可能にする。C-RAFを、コントロール及び阻害剤処理細胞から免疫沈降し、タンパク質活性及びB-RAFヘテロ二量体化について検定した。免疫沈降においてWBにより示される全C-RAFレベルは各通路に対するローディングを示す。
【図21AB】図21A、B、C及びDは、B-RafV600E及びWT B-Raf細胞株におけるRaf阻害剤による基本及びEGF刺激pERKノックダウンの測定を示す。(A)試験された株間の遺伝子型及びEGFRレベルの表。(B)基本及び刺激pERKレベルの測定:細胞を無血清媒体において1時間、0.0004−10mMの化合物で処理した。刺激のために20ng/mlEGFを細胞を溶解する前5分間加えた。溶解物をMDプレートに移動し、そこでリン酸化及び全ERKレベルを測定した。(C)pERK IC50データを、基本及びEGF刺激条件下での2つのRaf阻害剤(CHR−265、1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン及びGDC-0879)に対してプロットした。(D)表示WT B-Raf株のRaf阻害剤による1時間の処理におけるpERK誘導の用量反応曲線。
【図21CD】図21A、B、C及びDは、B-RafV600E及びWT B-Raf細胞株におけるRaf阻害剤による基本及びEGF刺激pERKノックダウンの測定を示す。(A)試験された株間の遺伝子型及びEGFRレベルの表。(B)基本及び刺激pERKレベルの測定:細胞を無血清媒体において1時間、0.0004−10mMの化合物で処理した。刺激のために20ng/mlEGFを細胞を溶解する前5分間加えた。溶解物をMDプレートに移動し、そこでリン酸化及び全ERKレベルを測定した。(C)pERK IC50データを、基本及びEGF刺激条件下での2つのRaf阻害剤(CHR−265、1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンズイミダゾール-2-アミン及びGDC-0879)に対してプロットした。(D)表示WT B-Raf株のRaf阻害剤による1時間の処理におけるpERK誘導の用量反応曲線。
【図22AB】図22A及びBはEGFはEGF刺激を示し、リン酸化MEKレベル及びRAF阻害剤に耐性のB-RAF V600E変異細胞株の細胞増殖を表示する。(A)細胞を無血清培地において1時間、0.0004−10mMの化合物で処理した。刺激のために、20ng/mlEGFを細胞を溶解する前の5分間添加した。溶解物をMSDプレートに移し、リン酸化及び全MEKレベルを測定した。リン酸化MEK(pMEK)IC50データを、基本及びEGF刺激条件下で表示される2つのRaf阻害剤に対してプロットした。GDC-0879はノックダウンリン酸化MEKレベルにおいてより効果的であり、なぜならPLX4720より野生型C-RAF及びB-RAFアイソフォームに対してより低い調整IC50を有するためである。(B)EGF処理はB-RAFV600E細胞をRAF阻害剤耐性にするが、タルセバ(又はMEK阻害剤、例えばPD-0325901)との組み合わせはこの耐性を克服する。細胞に表示阻害剤を、培地の20ng/mlEGFの存在下で単独で又は組合わせで投与した。
【図23】図23は、B-RAFV600E変異体株(LOX、888が黒色腫でありHT29が結腸である)におけるB-RAF及びC-RAF活性を誘導するEGF刺激を示す。全細胞株は表面EGFRレベルを発現する。888はB-RAF V600E対立遺伝子についてホモ接合型であり、全ての他の株はヘテロ接合型であり従って野生型B-RAF対立遺伝子も同様に保有する。ヘテロ接合型細胞株はB-RAF及びC-RAF活性双方を誘導するが、ホモ接合型株はC-RAF活性のみを誘発する。この野生型RAF活性は、B-RAF V600E選択性RAF阻害剤によって阻害されることができず、よって、EGFによるリン酸化MEK誘導レベルはこれらの株においてRAF阻害剤に耐性であるが、B-RAF V600Eにより作動される内因性リン酸化MEKレベルはB-RAF V600E選択的RAF阻害剤に感受性である。
【図24】図24は、高EGFmRNAレベル(x軸)及びRAF阻害剤IC50(uM、y軸)間の逆相関の傾向を示す。細胞有効性データをB-RAF V600E黒色腫細胞株について示し、B-RAF V600Eアイソフォームに対して生化学的に選択的であり、野生型RAFアイソフォームに対してより低い各生化学的及び細胞効力を有するRAF阻害剤を示す。
【図25】図25は様々な腫瘍タイプにおけるRAS-GTPレベルを示す。RAS-GTPレベルはK-RASWT腫瘍において低く、変異K-RASを有する腫瘍、例えばH2122腫瘍、において高い。Ras-GTPレベルはRBD-Elisaアッセイによって決定した。
【図26】図26は、EGFの導入の有(+EGF)無(NI)でのB-Raf V600E細胞におけるRas-GTPレベルを示す。EGF刺激はBRAF V600E細胞におけるRas-GTPレベルを増加する。
【図27】図27は、EGFの導入の有(刺激)無(非刺激)でのB-Raf V600E細胞におけるpERKレベルを示す。EGF刺激は、BRAF V600E細胞におけるRas-GTPレベルを増加し、C-Rafの活性化を介したB-RAF V600E細胞株におけるpERKレベルの増加を導く(図23に示すC-Raf活性化を参照)。全4つの細胞株はB-Raf V600E変異体であるが、この中でもA375は最も低いRas-GTPレベル(最低レベルの活性Ras)を有し、EGFに応答したpMEK及びpERKレベルの頑強な誘導を示さない。A375細胞はRaf阻害剤に感受性であることが知られている。
【図28】図28は、EGFの導入の有(刺激)無(非刺激)でのB-Raf V600E細胞におけるpMEKレベルを示す。EGF刺激は、BRAF V600E細胞におけるRas-GTPレベルを増加し、C-Rafの活性化を介したB-RAF V600E細胞株におけるpMEKレベルの増加を導く(図23に示すC-Raf活性化を参照)。
【図29】図29は、特定のRAF阻害剤(GDC-0879、PLX-4720、及び2,6-ジフルオロ-N-(3-メトキシ-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル)-3-(プロピルスルホンアミ)ベンズアミド)である「Raf 阻害剤 a」)EGF刺激に応答して細胞性pERK誘導を遮断する効力をまとめる。EGFRを発現するBRAF V600E細胞を血清飢餓にし、次に異なる用量での表示RAF阻害剤の存在下で非刺激(−EGF)のままか又はEGF(+EGF)で刺激した。pERK阻害曲線を作成し、IC50値をグラフ化した。GDC-0879は、図1に示すように、野生型RAFシグナル伝達をより効果的に遮断し、残りの2つの阻害剤はBRAF V600E選択的である。
【図30】図30は、c-METを過剰発現している細胞において、HGF刺激(+HGF)がどのようにpERK誘導を導くか示す。この誘導はRAF阻害剤によって阻害されない。しかしながら、BRAF V600Eによって作動される基本pERKレベルはRAF阻害剤によって効果的に遮断される。これはc-METシグナル伝達がまた野生型RAFアイソフォームを介することを実証する。 このように、EGFRを含む受容体チロシンキナーゼ(RTK)の異常発現、又は対応のリガンドによる異常誘導は細胞をRAF阻害剤に耐性にすることができる。
【図31】図31は、B-RAF V600E細胞の間でEGFR発現がどのようにRAF阻害剤に対する耐性と関連するか示す。このグラフは、細胞生存率決定の前の4日間RAF阻害剤で処理したB-RAF V600E変異体黒色腫及び結腸細胞株の細胞生存率EC50値(uM)を示す。EGFRレベルをウエスタンブロットにより決定し、細胞溶解物の抗EGFR抗体を用いたウエスタンブロットによりバンドが検出されない場合に陰性として分類した。EGFR陽性細胞株の間で、低から中及び高の発現の範囲がある。耐性である(>20uM EC50)唯一のEGFR陰性細胞株はPTEN欠損である。
【図32ABC】図32A−Cは、異なるレベルのEGFR発現を有する結腸腫瘍株におけるRAF阻害剤及びEGFR阻害剤(タルセバ)の組み合わせ研究を示す。図32Aでは、2つのBRAF V600E結腸株からの溶解物のウエスタンブロットが異なるレベルの全EGFRを示す:COLO201は低いEGFRレベルを有しCX-1は比較的高いEGFRレベルを有する。図32Bでは、RAF阻害剤単独、タルセバ単独又はRAF阻害剤及びタルセバの組合せでのCOLO201細胞の組合せ治療の効果を示す。図32Cでは、RAF阻害剤単独、タルセバ単独又はRAF阻害剤及びタルセバの組合せでのCOLO201細胞の併用治療の効果を示す。RAF阻害剤単独、又はタルセバ単独のどちらも併用ほど効果的には増殖を抑制しない。両阻害剤とも、CX-1細胞に共に投与された場合に良い相乗効果を示す。従って、EGFR発現BRAFV600E細胞の中で、高レベルのEGFRはRAF阻害剤及びEGFR阻害剤間の強い相乗効果を予測する。特に、高いEGFR発現がBRAFV600E腫瘍間で一般的である結腸癌において、これらのRAF阻害剤及びタルセバの併用は腫瘍細胞の増殖の阻害において相乗効果を示す。
【図33】図33は、高EGFRレベルを発現するBRAFV600E腫瘍細胞におけるRAF阻害剤及びタルセバ間の相乗作用の基本メカニズムを示す。細胞EC50値に等しい濃度で、阻害剤無し(通路1、5、9、13)又はRAF阻害剤単独(通路2、6、10、14)、タルセバ単独(通路3、7、11、15)又はRAF阻害剤及びタルセバの組み合わせ(通路4、8、12、16)により1時間又は24時間処理された細胞のウエスタンブロットを調整した。24時間の時間点は、高いEGFR発現を有するB-RAFV600E変異細胞(CX-1)におけるERKリン酸化はRAF阻害剤による阻害に対し低減された感受性を持ち、最大効率のためにRAF阻害剤及びEGFR阻害剤の組合せを必要とすることを示す。ERKに対する一部の活性化シグナルは野生型RAFから来、EGFRの下流で活性化されBRAF V600E選択的RAF阻害剤によって遮断されない。
【図34A】図34A−Cは、皮下HT-29 BRAF V600Eヒト結腸直腸癌異種移植片を有するNCRヌード(Taconic)マウスに組合わせで与えられるRAF阻害剤a及びエルロチニブ(タルセバ)の相互作用及び有効性からの結果を示す。図34Aでは、RAF阻害剤は漸増用量のタルセバと共に100mg/kgで与えられた。図34Bでは、Tarcevaは漸増濃度のRAF阻害剤aと共に全ての動物に与えられた。両化合物を組合わせで投与した場合、増加した有効性が観察された。図34Cでは、34A図及びBにおける表示した用量の阻害剤で処理した腫瘍からの溶解物を、ウェスタンブロットによってリン酸化ERK(pERK)レベルについて分析した。RAF阻害剤a及びタルセバは、マウスに共投与された場合、腫瘍における減少リン酸化ERKレベルにおいて相乗された。
【図34B】図34A−Cは、皮下HT-29 BRAF V600Eヒト結腸直腸癌異種移植片を有するNCRヌード(Taconic)マウスに組合わせで与えられるRAF阻害剤a及びエルロチニブ(タルセバ)の相互作用及び有効性からの結果を示す。図34Aでは、RAF阻害剤は漸増用量のタルセバと共に100mg/kgで与えられた。図34Bでは、Tarcevaは漸増濃度のRAF阻害剤aと共に全ての動物に与えられた。両化合物を組合わせで投与した場合、増加した有効性が観察された。図34Cでは、34A図及びBにおける表示した用量の阻害剤で処理した腫瘍からの溶解物を、ウェスタンブロットによってリン酸化ERK(pERK)レベルについて分析した。RAF阻害剤a及びタルセバは、マウスに共投与された場合、腫瘍における減少リン酸化ERKレベルにおいて相乗された。
【図34C】図34A−Cは、皮下HT-29 BRAF V600Eヒト結腸直腸癌異種移植片を有するNCRヌード(Taconic)マウスに組合わせで与えられるRAF阻害剤a及びエルロチニブ(タルセバ)の相互作用及び有効性からの結果を示す。図34Aでは、RAF阻害剤は漸増用量のタルセバと共に100mg/kgで与えられた。図34Bでは、Tarcevaは漸増濃度のRAF阻害剤aと共に全ての動物に与えられた。両化合物を組合わせで投与した場合、増加した有効性が観察された。図34Cでは、34A図及びBにおける表示した用量の阻害剤で処理した腫瘍からの溶解物を、ウェスタンブロットによってリン酸化ERK(pERK)レベルについて分析した。RAF阻害剤a及びタルセバは、マウスに共投与された場合、腫瘍における減少リン酸化ERKレベルにおいて相乗された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法であって、RTK及び/又はそれらのリガンドの発現又は誘導の量を決定することを含んでなる。方法は、試料における特定のRTK及び/又はそれらのリガンドの発現又は誘導レベルを決定することを含み、ここではRTK及び/又はそれらのリガンドの過剰発現はB-Raf阻害剤治療への非応答性と相関する。一実施態様では、試料はB-Raf V600E変異体を発現する。B-Raf治療の応答性に相関するRTKの例は、限定するものではないがEGFR又はcMETを含む。方法はまた、試料におけるRTKの特定のリガンドの発現のレベルを決定することを含み、異常に高レベルのリガンド発現はB-Raf阻害剤治療への非応答性と相関する。B-Raf治療の応答性に相関するリガンドの例は、限定するものではないがEGF及びHGFを含む。
【0022】
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法に関し、試料におけるRas-GTPの量を決定することを含んでなり、上昇した量は患者が前記B-Raf阻害剤治療に応答しないことを示す。一実施例では、上昇した量は、正常の非刺激試料に見られる量より大きい。試料におけるRas-GTPのレベルを測定する方法は公知であり、例えばELISAアッセイが使用される(例えばUpstate, Inc.のRas-GTPase ELISAアッセイ)。一実施例では、方法は、前記非応答性患者に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0023】
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法に関し、試料におけるEGF又はEGFR発現のレベルを決定することを含んでなり、EGF又はEGFRの過剰発現レベルは、患者がB-Raf阻害剤治療に応用しないことを示す。一実施例では、EGFmRNAの量が決定される。試料におけるEGF及びEGFRのレベルを測定する方法は公知であり、例えばELISAイムノアッセイが使用される(例えばR&D Systems, Inc.のQUANTIKINE(登録商標)イムノアッセイ)。一実施例では、方法は、前記非応答性患者に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0024】
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法に関し、試料におけるHGF又はcMET発現のレベルを決定することを含んでなり、HGF又はcMETの過剰発現レベルは、患者がB-Raf阻害剤治療に応用しないことを示す。一実施例では、患者はB-Raf V600Eを発現する。一実施例では、HGF mRNAの量が決定される。試料におけるHGF又はcMETのレベルを測定する方法は公知であり、例えば定量的RT-リアルタイムPCRアッセイが使用される。別の実施態様では、ELISAイムノアッセイが使用される(例えばEMD Chemicals, IncのPhosphoDetect(登録商標)cMET ELISAキット、又はInvitrogen, Inc.のcMET Human ELISAキット)。一実施例では、方法は、前記非応答性患者に有効量のHGF又はcMET阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のHGF又はcMET阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0025】
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法に関し、K-ras変異の有無を決定することを含んでなり、K-ras変異の存在は患者がB-Raf阻害剤治療に応用しないことを示す。一実施例では、前記非応答性患者に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0026】
一実施態様では、ここに開示される主題は、B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法に関し、前記腫瘍の試料における変異体K-rasタンパク質又は遺伝子の存在を決定することを含んでなり、変異体K-rasタンパク質又は遺伝子の存在は腫瘍がB-Raf阻害剤を用いた治療に応用しないことを示す。一実施例では、前記非応答性患者に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0027】
ある実施態様では、患者がB-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性か予測する方法が提供される。ある実施態様では、患者の腫瘍における腫瘍のK-ras変異の有無を決定することを含み、K-ras変異がコドン12又はコドン13にある。ある実施態様では、K-ras変異が存在する場合、患者は特定のB-Raf阻害剤を用いた治療に非応答であると予測される方法。
【0028】
ある実施態様では、腫瘍がB-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性か予測する方法が提供される。ある実施態様では、前記腫瘍の試料におけるK-ras変異の有無を決定することを含み、K-ras変異はコドン12又はコドン13にある。ある実施態様では、K-ras変異の存在は、腫瘍がB-Raf阻害剤を用いた治療に非応答であることを示す。
【0029】
ある実施態様では、治療プロトコルにおいてヒト被験体を層別化する方法を提供する。方法は、被験体からの試料における変異体K-ras遺伝子又はそれらのタンパク質の存在を決定することを含み、変異体K-ras遺伝子又はタンパク質の存在は、被験体がB-Raf阻害剤治療に応答しないことを示し、B-Raf阻害剤を用いた治療からの被験体は除く。この方法は、例えば臨床試験等の特定のサブグループに被験体を層別化することを含むことができる。別の実施態様では、方法は、前記変異体K-ras遺伝子又はタンパク質を有する前記被験体に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0030】
一実施態様では、乳房、肺、結腸、卵巣、甲状腺、黒色腫又は膵臓腫瘍を分類する方法を提供する。方法は、腫瘍試料を得る又は提供する工程;試料における(i)B-Raf V600E変異体をコードする遺伝子及び(ii)k-Ras変異体をコードする遺伝子の発現又は活性を検出する工程を含んでなる。方法は、検出工程の結果に基づいて腫瘍を腫瘍サブクラスに属するとして分類する工程;及び分類工程に基づいて治療を選択する工程を更に含んでなり、前記k-RAS変異体が前記腫瘍試料において過剰発現されている場合、前記治療はB-Raf V600E特異的阻害剤以外である。別の実施態様では、方法は、前記変異体K-ras遺伝子又はタンパク質を有する前記非応答性の被験体に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0031】
別の実施態様では、結腸直腸又は肺癌を治療する方法を提供する。方法は、癌がK-ras又はB-Raf作動性であるか決定することを含み、K-ras作動性であると決定されたこのような癌の治療において治療はB-Raf阻害剤を含まない。一実施例では、治療は、K-ras作動性の癌に有効量のMEK又はERK阻害剤を投与することを含む。また、癌がK-ras作動性又はB-Raf作動性であるか決定するための特定の材料を含んでなるキット、及びB-Raf阻害剤治療に非応答性である患者又は腫瘍を識別する指示を提供する。
【0032】
ある実施態様では、被験体における一又は複数のK-ras変異の有無を決定することは、被験体からの試料における変異体K-rasポリペプチドの発現の存在又は量を決定することを含む。ある実施態様では、被験体における一又は複数のK-ras変異の有無を決定することは、被験体からの試料における変異体K-rasポリペプチドの転写又は翻訳の存在又は量を決定することを含む。
【0033】
ある実施態様では、被験体における一又は複数のK-ras変異の有無を決定することは、以下からなる群、US2009/0075267に挙げられる配列番号:配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から選択される少なくとも一アミノ酸配列を含んでなるポリペプチドの発現の存在又は量を決定することを含む。ある実施態様では、被験体における一又は複数のK-ras変異の有無を決定することは、被験体からの試料における、以下からなる群、US2009/0075267に挙げられる配列番号:配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、及び配列番号:16から選択される少なくとも一アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの転写又は翻訳の存在又は量を決定することを含む。
【0034】
ある実施態様では、変異体K-rasポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在又は量を決定することが提供される。ある実施態様では、試料における変異体K-rasポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有無を決定する方法は、(a)変異体K-rasポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブに試料を曝す工程であって、領域はG12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A、及びG13Dから選択される少なくとも一つのK-ras変異を含む工程、及び(b)試料において変異体K-rasポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有無を決定する工程を含む。ある実施態様では、試料において変異体K-rasポリペプチドの有無を決定する方法は、(a)変異体K-rasポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブに試料を曝す工程であって、領域はG12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A及びG13Dから選択される少なくとも一つのK-ras変異を含む工程、及び(b)試料における変異体K-rasポリペプチドの有無を決定する工程を含む。
【0035】
ある実施態様では、変異体B-Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有無を決定することが提供される。ある実施態様では、試料における変異体B-Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有無を決定する方法は、(a)変異体B-Rafポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブに試料を曝す工程であって、領域はV600E変異を有する工程、及び(b)試料において変異体B-Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの有無を決定する工程を含む。ある実施態様では、試料において変異体B-Rafポリペプチドの有無を決定する方法は、(a)変異体B-Rafポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブに試料を曝す工程であって、領域はV600E変異を有する工程、及び(b)試料における変異体B-Rafポリペプチドの有無を決定する工程を含む。
【0036】
ある実施態様では、被験体における変異体K-rasポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出するためのキットを提供する。特定のこのような実施態様では、キットは、変異体K-rasポリペプチドの領域をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブを含み、領域はG12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A、及びG13Dから選択される少なくとも一つのK-ras変異を含む。ある実施態様では、キットは2つ異常の増幅プライマを更に含む。ある実施態様では、キットは検出要素を更に含む。ある実施態様では、核酸サンプリング要素を更に含む。キットは、B-Raf変異を検出する材料を任意で含むことができる。これらの材料は当技術分野で公知である。K-ras及びB-Raf変異体遺伝子又はタンパク質を検出可能なキットの組合せが、結腸及び肺癌の治療において特に有用である。キットに含まれるものは、癌がK-ras作動性である場合、B-Raf阻害剤に非応答性である患者又は腫瘍を識別するための指示である。RAS作動性の癌は当技術分野において公知である。RAS作動性の癌は、RASタンパク質の異常活性が形質転換細胞の生成又は癌又は腫瘍の形成となる何れかの癌又は腫瘍である。
【0037】
ある実施態様では、B-Raf阻害剤に非応答性であると決定されたそれらの試料、腫瘍、癌、被験体又は患者に対して、方法は、前記非応答性の試料、腫瘍、癌、被験体又は患者に有効量のMEK阻害剤を投与することを更に含む。
ある実施態様では、B-Raf阻害剤に非応答性であると決定されたそれらの試料、腫瘍、癌、被験体又は患者に対して、方法は、前記非応答性の試料、腫瘍、癌、被験体又は患者に有効量のERK阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤を投与することを更に含む。別の実施例では、方法は、有効量のEGFRシグナル伝達阻害剤をB-Raf阻害剤と組み合わせて投与することを更に含む。
【0038】
EGFRシグナル伝達は様々な方法によって阻害されることが可能であり、EGFRキナーゼ活性の阻害、活性を阻害するためにEGFRの細胞外ドメインへの結合又はEGFリガンドの活性及びシグナル伝達の阻害によることを含む。
EGFRシグナル伝達の阻害剤は当技術分野で知られており、例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標))、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))、ラパチニブ、ペリチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ及びマツズマブ、及び米国特許第5,747,498号に記載のものを含む。
【0039】
B-Raf阻害剤は当技術分野で公知であり、例えば、ソラフェニブ、PLX4720、PLX-3603、GSK2118436、GDC-0879、N-(3-(5-(4-クロロフェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド、及びWO2007/002325、WO2007/002433、WO2009111278、WO2009111279、WO2009111277、WO2009111280及び米国特許第7,491,829号に記載に記載のものを含む。
【0040】
cMET阻害剤は当技術分野で知られており、限定するものではないがAMG208、ARQ197、ARQ209、PHA665752(3Z)-5-[(2,6-ジクロロベンジル)スルホニル]-3-[(3,5-ジメチル-4-{[(2R)-2-(ピロリジン-1-イルメチル)ピロリジン-1-イル]カルボニル}-1H-ピロール-2-イル)メチレン]-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-オン、N-(4-(3-((3S,4R)-1-エチル-3-フルオロピペリジン-4-イルアミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イルオキシ)-3-フルオロフェニル)-2-(4-フルオロフェニル)-3-オキソ-2,3-ジヒドロピリダジン-4-カルボキサミド及びSU11274、及び米国特許第7,723,330号に記載のものを含む。
【0041】
MEK阻害剤は当技術分野において知られており、限定するものではないがARRY-162、AZD8330、AZD6244、U0126、GDC-0973、PD184161及びPD98059、及びWO2003047582、WO2003047583、WO2003047585、WO2003053960、WO2007071951、WO2003077855、WO2003077914、WO2005023251、WO2005051300、WO2005051302、WO2007022529、WO2006061712、WO2005028426、WO2006018188、US20070197617、WO2008101840、WO2009021887、WO2009153554、US20090275606、WO2009129938、WO2009093008、WO2009018233、WO2009013462、WO2008125820、WO2008124085、WO2007044515、WO2008021389、WO2008076415及びWO2008124085に記載のものを含む。
ERK阻害剤は当技術分野において知られており、限定するものではないが、FR180204及び3-(2-アミノエチル)-5-((4-エトキシフェニル)メチレン)-2,4-チアゾリジンジオン、及びWO2006071644、WO2007070398、WO2007097937、WO2008153858、WO2008153858、WO2009105500及びWO2010000978に記載のものを含む。
【0042】
変異体K-ras遺伝子又はタンパク質を検出する何れの既知の方法がここに開示される方法に適する。エクソン1における特定の変異は:G12C;G12A;G12D;G12R;G12S;G12V;G13C;G13Dである。K-rasへにの存在を決定する方法はまたK-ras及びEGFR変異を同定するために使用されるものと類似であり、例えば、米国特許出願公開US2009/0202989A1号に記載される配列番号55、56、57及び58として挙げられるPCRのK-rasオリゴ(oligos)があり、出典明記によりその全体を本明細書中に援用する。例として、K-ras遺伝子又はタンパク質を検出する他の方法、及びプライマー、オリゴ及び配列番号は、米国特許出願公開第US2009/0202989A1、同第US2009/0075267A1号、同第US20090143320号、同第US20040063120号及び同第US2007/0003936号に開示される。技術及び手順は一般的に当技術分野で周知である従来的な方法により実施され、本明細書を通して引用及び検討される様々な一般的な及びより具体的な引例に記載される。出典明記により本明細書に援用される、例えばSambrook等. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照のこと。
【0043】
ポリヌクレオチドにおける変異を検出する特定の方法は当技術分野で公知である。特定の例示的な方法は、限定するものではないが、配列決定、プライマー伸長反応、電気泳動、picogreenアッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNPlexアッセイ、及び例えば米国特許第5,470,705号、同第5,514,543号、同第5,580,732号、同第5,624,800号、同第5,807,682号、同第6,759,202号、同第6,756,204号、同第6,734,296号、同第6,395,486及び米国特許出願公開第US 2003-0190646 A1号に記載のアッセイを含む。
【0044】
ある実施態様では、ポリヌクレオチドにおける変異を検出する方法は、始めに変異を有しうるポリヌクレオチドを増幅することを含む。ポリヌクレオチドを増幅する特定の方法が当技術分野で公知である。かかる増幅産物は、ポリヌクレオチドにおける変異を検出するために、ここに記載の又は当技術分野で公知の何れかの方法で用いられることができる。
ポリペプチドにおける変異を検出する特定の方法は当技術分野で公知である。特定の例示的なそのような方法は、限定するものではないが、変異体ポリペプチドに特異的な特異的結合剤を使用して検出することを含む。変異体ポリペプチドを検出する他の方法は、限定するものではないが、電気泳動及びペプチド配列決定を含む。
【0045】
ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドにおける変異を検出するある例示的な方法は、例えばSchimanski等 (1999) Cancer Res., 59: 5169-5175; Nagasaka等 (2004) J. Clin. Oncol., 22: 4584-4596; PCT Publication No. WO 2007/001868 A1; 米国特許出願公開第2005/0272083 A1号;及びLievre等 (2006) Cancer Res. 66: 3992-3994に記載される。
【0046】
ある実施態様では、一又は複数の変異体K-rasポリペプチドをコードする一又は複数のポリヌクレオチドを含んでなるマイクロアレイを提供する。ある実施態様では、一又は複数の変異体K-rasポリペプチドをコードする一又は複数のポリヌクレオチドに相補的な一又は複数のポリヌクレオチドを含んでなるマイクロアレイを提供する。ある実施態様では、一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドをコードする一又は複数のポリヌクレオチドを含んでなるマイクロアレイを提供する。ある実施態様では、一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドをコードする一又は複数のポリヌクレオチドに相補的な一又は複数のポリヌクレオチドを含んでなるマイクロアレイを提供する。
【0047】
ある実施態様では、一又は複数の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの有無がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。ある実施態様では、二以上の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの量がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。
ある実施態様では、一又は複数の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの有無がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。ある実施態様では、二以上の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの量がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。
【0048】
ある実施態様では、二以上の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの有無がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。ある実施態様では、mRNAがまず細胞又は組織試料から抽出され、次いでcDNAに変換されこれがマイクロアレイにハイブリダイズされる。特定のかかる実施態様では、マイクロアレイに特異的に結合されるcDNAの有無が変異体K-rasポリペプチドの有無を示す。特定のかかる実施態様では、一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの発現レベルが、マイクロアレイに特異的に結合されるcDNAの量を定量化することによって評価される。
【0049】
ある実施態様では、二以上の細胞又は組織試料における一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの有無がマイクロアッセイ技術を使用して評価される。ある実施態様では、mRNAがまず細胞又は組織試料から抽出され、次いでcDNAに変換されこれがマイクロアレイにハイブリダイズされる。特定のかかる実施態様では、マイクロアレイに特異的に結合されるcDNAの有無が変異体B-Rafポリペプチドの有無を示す。特定のかかる実施態様では、一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの発現レベルが、マイクロアレイに特異的に結合されるcDNAの量を定量化することによって評価される。
【0050】
ある実施態様では、一又は複数の変異体K-rasポリペプチドに対する一又は複数の特異的結合剤を含んでなるマイクロアレイが提供される。特定のかかる実施態様では、細胞又は組織における一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの有無が検定される。特定のかかる実施態様では、細胞又は組織における一又は複数の変異体K-rasポリペプチドの量が検定される。
【0051】
ある実施態様では、一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドに対する一又は複数の特異的結合剤を含んでなるマイクロアレイが提供される。特定のかかる実施態様では、細胞又は組織における一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの有無が検定される。特定のかかる実施態様では、細胞又は組織における一又は複数の変異体B-Rafポリペプチドの量が検定される。
【0052】
特許、特許出願、論文、教科書等、及びそこに引用される引例を含むここに引用される全ての引例は、既にでない範囲で、出典明記によりその全体を本明細書中に援用に援用する。出典明記により援用する一又は複数の資料が、本出願における用語の定義に矛盾して用語を定義する場合本出願が支配する。ここで使用されるセクションの表題は編成目的のみのためであり、記載の主題を制限するとして解釈されるものではない。
【0053】
定義
特に明記しない限り、本発明に関連して使用される化学的及び技術的用語は、当技術分野の通常の技術者により一般的に理解される意味を持つ。更には、文脈により別に定められない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。
【0054】
用語「B-Raf阻害剤」は、B-Rafキナーゼの活性を阻害する何れかの化合物又は薬剤を意味する。かかる阻害剤は、他のrafキナーゼを含む他のキナーゼを阻害しうる。「特異的B-Rafキナーゼ阻害剤」は、野生型B-Rafと比較して変異体B-Rafに対する選択性を持つ阻害剤を意味し、アミノ酸位置600のバリン残基の変異等であり、例えばV600E変異である。かかる阻害剤は、少なくとも2倍、より多くの場合少なくとも3倍以上、野生型B-Rafと比較して強力である。効力はまた増殖阻害を測る細胞アッセイのIC50値において比較されることができる。
用語「治療プロトコルは、障害又は疾患を治療するための、一又は複数の薬剤を投与する治療レジメン又は課程を意味する。これは臨床試験を含む。
【0055】
ポリペプチド配列における変異に関連する用語「X#Y」は、当該技術分野において承認され、「#」はポリペプチドのアミノ酸番号による変異の位置を表し、「X」は野生型アミノ酸配列のその位置にあるアミノ酸を表し、また「Y」はその位置での変異体アミノ酸を表す。例えば、K-rasポリペプチドへの言及での表記「G12S」は、野生型K-ras配列のアミノ酸番号12にグリシンがあり、グリシンは変異体K-ras配列のセリンと置換されることを表す。
【0056】
用語「変異体K-rasポリペプチド」及び「変異体K-rasタンパク質」は互換的に用いられ、G12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A及びG13Dから選択される少なくとも一つのK-ras変異を含んでなるK-rasポリペプチドを意味する。特定の例示的変異体K-rasポリペプチドは、限定するものではないが、対立遺伝子多様体、スプライス多様体、派生多様体、置換多様体、欠失多様体、及び/又は挿入多様体、融合ポリペプチド、オルソログ、及び種間相同体を含む。ある実施態様では、変異体K-rasポリペプチドは、C-又はN-末端に更なる残基を含み、例えば、限定するものではないが、リーダー配列残基、標的残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基及び/又は融合タンパク質残基等である。
【0057】
用語「変異体B-Rafポリペプチド」及び「変異体B-Rafタンパク質」は互換的に用いられ、V600E変異を含んでなるB-Rafポリペプチドを意味する。特定の例示的変異体B-Rafポリペプチドは、限定するものではないが、対立遺伝子多様体、スプライス多様体、派生多様体、置換多様体、欠失多様体、及び/又は挿入多様体、融合ポリペプチド、オルソログ、及び種間相同体を含む。ある実施態様では、変異体B-Rafポリペプチドは、C-又はN-末端に更なる残基を含み、例えば、限定するものではないが、リーダー配列残基、標的残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基及び/又は融合タンパク質残基等である。
【0058】
用語「変異体K-rasポリペプチド」、「変異体K-rasオリゴヌクレオチド」及び「変異体K-ras核酸」は互換的に用いられ、G12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A及びG13Dから選択される少なくとも一つのK-ras変異を含んでなるK-rasポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
用語「変異体B-Rafポリペプチド」、「変異体B-Rafオリゴヌクレオチド」及び「変異体B-Raf核酸」は互換的に用いられ、V600E変異を含んでなるB-Rafポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0059】
用語「薬剤」はここで使用される場合、化学物質、化学物質の混合物、生物学的高分子、又は生物学的物質から得られた抽出物を示す。
用語「医薬品又は薬」はここで使用される場合、患者に適切に投与された場合に所望の治療効果を誘導可能である化学物質又は組成物を意味する。ここでの他の化学用語は当技術分野における一般的な使用に準拠して使用され、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))に例示されており、出典明記により本明細書中に援用する。
用語患者はヒト及び動物被験体を含む。
【0060】
治療の目的のための「哺乳動物」及び「動物」なる用語は、哺乳動物に分類される任意の動物を意味し、ヒト、家畜用及び農業用動物、及び動物園、スポーツ、又はペット動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシ等を含む。好ましくは哺乳動物はヒトである。
用語「疾患状態」は、細胞又は身体機能、系、又は器官の妨害、休止、又は障害が生じている細胞又は哺乳動物全体の生理学的状態を指す。
【0061】
用語「治療する」又は「治療」とは、治療上の処置及び予防的療法又は防護的療法の双方を称し、その目的は、望まれない生理学的変化又は疾患、癌の形成又は広がり等を防ぐか又は衰え(小さく)させることである。本発明の目的に対し、有益な又は望ましい臨床結果は、検出の可、不可に関わらず、症状の軽減、疾患程度の減少、安定化された疾患状態(すなわち悪化していない)、疾患進行の遅延又は緩徐化、病状の改善又は緩和、及び寛解(部分的又は全体の)を含むがこれに限定するものではない。「治療」はまた、治療を受けなかった場合の予想される生存期間と比較した延長生存期間を意味する。治療を必要とするものは、既に状態又は疾患を有するもの、並びに状態又は疾患を有する傾向にあるもの、又は状態又は疾患が予防されるべきものを含む。
【0062】
用語「応答性」は、ここで使用される場合、薬剤を投与した後、患者又は腫瘍がRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)により完全奏効又は部分奏効を示すことを意味する。用語「非反応性」は、ここで使用される場合、薬剤を投与した後、患者又は腫瘍がRECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)により安定疾患又は進行性疾患を示すことを意味する。RECISTは、例えばTherasse等, February 2000, "New Guidelines to Evaluate the Response to Treatment in Solid Tumors," J. Natl. Cancer Inst. 92(3): 205-216に記載され、出典明記によりその全体を本発明書中に援用する。
【0063】
「障害」は、一又は複数の治療から益を受けうる何れかの状態である。これは慢性及び急性障害を含み、哺乳類の問題の障害の素因になる病的状態を含む。ここにおいて治療される障害の非制限的な例は、良性及び悪性腫瘍、白血病、及びリンパ系腫瘍を含む。「腫瘍」は、一又は複数の癌細胞を有する。癌の例は、限定するものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又は悪性腫瘍を含む。このような癌の更なる具体的な例は、扁平上皮癌(例えば上皮性扁平上皮癌)、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌「NSCLC)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌を含む、腹膜の癌、肝細胞性癌、胃(gastric又はstomach)癌、胃腸癌を含む、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵嚢癌、肝癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓又は腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門の癌、陰茎癌、並びに 頭頸部癌を含む。特に、本方法は、胸部、結腸直腸、卵巣、膵臓又は肺癌に適している。より具体的には、癌は結腸、肺又は卵巣のものである。癌は、Ras促進性の癌でありうる。
【0064】
変異体K-rasに関連した疾患又は状態は、以下の一又は複数を含む:変異体K-ras遺伝子又はタンパク質によって引き起こされる疾患又は状態;変異体K-ras遺伝子又はタンパク質により貢献される疾患又は状態;及び変異体K-ras遺伝子又はタンパク質の存在と関連している疾患又は状態。ある実施態様では、変異体K-rasに関連した疾患又は状態は癌である。
【0065】
「変異体K-rasポリペプチドに関連した疾患又は状態」は、以下の一又は複数を含む:変異体K-rasポリペプチドによって引き起こされる疾患又は状態;変異体K-rasポリペプチドにより貢献される疾患又は状態;変異体K-rasポリペプチドを引き起こす疾患又は状態;及び変異体K-rasポリペプチドの存在と関連している疾患又は状態。ある実施態様では、変異体K-rasに関連した疾患又は、変異体K-rasポリペプチドの非存在下で存在しうる。ある実施態様では、変異体K-rasに関連した疾患又は状態は、変異体K-rasポリペチドの存在により悪化される。ある実施態様では、変異体K-rasポリペプチドに関連した疾患又は状態は癌である。
【0066】
以下の実験は、実施された実験及び得られた結果を含め、例証目的のみのために提供され、請求の範囲を制限するものとして解釈されるものではない。
【0067】
実施例
実施例1
B-RAF欠損及び薬理学的阻害はK-ras作動性腫瘍形成を増強する
Ras GTPアーゼファミリーは、増殖及び生存を含む細胞過程を調節するシグナルに応答して、多くの下流シグナル伝達カスケードを制御する。Rasがヒト腫瘍における機能獲得型変異に対する最も一般的な標的の一つであるが、Rasエフェクター経路が変異体K-ras作動性腫瘍形成においてどのように機能するかに関しての疑問が残る。K-rasの重要な機能は標準的MAPKシグナル伝達経路内でのB-RAF活性化を含むため、我々は、変異体K-ras作動性の腫瘍促進及び維持に関係してB-RAFの役割を決定する研究を開始した。幾つかのK-ras変異体腫瘍において、B-RAF阻害は、何れかの腫瘍利点を示さないだけでなく、更には腫瘍増殖を加速した。腫瘍倍増時間を示す図8を参照のこと。
【0068】
Creレコンビナーゼを発現するアデノウィルスを、条件K-rasG12D対立遺伝子(K-rasLSL−G12D)及びLoxP部位に隣接されたB-raf遺伝子(B-rafCKO)の0、1又は両コピーを有する遺伝子操作されたマウスの肺に送達した。この手順は結果として、マウスの肺内で欠失された一又は両B-raf対立遺伝子の有無における変異体K-rasG12Dの発現となる。驚くことに、B-raf欠失は著しく肺腫瘍数及び組織量を増強し、全生存率を低下した。K-rasG12D 変異を持つマウス非小細胞肺癌株におけるB-Rafを標的とする高特異的な小分子阻害剤を使用した場合に、我々は細胞増殖及び軟寒天コロニー形成を観察した。更なる調査は、K-rasG12D発現細胞をB-raf阻害剤で処理することはMEK及びErkリン酸化を強化することを示した。従って、これらのデータは、B-raf欠失はK-ras作動性腫瘍発生を阻害しないが、その存在は恒常的な変異体K-ras活性の負のフィードバック調節の構築において極めて重要な役割を果たしうることを示唆する。
【0069】
実施例2
B-RAFV600E変異体対野生型腫瘍のRAFシグナル伝達の理解
Ras及びRaf遺伝子に異なる変異を有するRaf経路の役割を理解するために、我々は、野生型(WT)B-Raf及びc-Raf対変異体(MT)B-RafV600Eに対して異なる効力プロファイルを有する2つの選択的小分子Raf阻害剤を特徴づけた。それらの生化学差異にも関わらず、それらは同一の細胞性プロファイルを有し、B-RafV600Eに対して有効性でありWT又はRas MT腫瘍には異なる。両阻害剤は、主にc-Rafアイソフォームを介して非BRAFV600E株におけるRaf/MEK/ERK経路の活性化を誘導した。一方、それらは、それらの予測される生化学能力により、ホルボールエステル及び増殖因子刺激Raf/MEK/ERK活性を阻害した。このように、B-RafV600E株に対する選択的Raf阻害剤の細胞特異性は、B-RafV600Eアイソフォームに対するそれらの選択性の単なる反映ではなく、むしろ異なる細胞状況におけるRaf活性の複雑な調節を反映する。B-RafV600Eに対する生化学的選択性は、Raf阻害剤の細胞有効性プロファイルの唯一の推進力ではない。阻害剤は、c-Rafを介し非V600E変異体株において選択的にpMEKレベルを誘導する。阻害剤は、急速に、またそれらの効力に従い用量依存的に、c-Raf特異的活性及びpMEKレベルを誘導する。基本条件下で、GDC-0879に関する釣鐘状曲線はc-Rafへの二重刺激対阻害効果を示唆する。異なる条件でのB-及びc-Raf経路状態はRaf阻害薬力学を決定する。特徴付けの結果は図1−7に示される。
【0070】
実施例3
B-RAF阻害剤の投与後の肺腫瘍異種移植片における増殖
データを以下に示し、実験H331については図10−14、実験H327については図15−18に示す。















【特許請求の範囲】
【請求項1】
B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別する方法であって、K-ras変異の有無を決定することを含んでなり、これによりK-ras変異の存在は患者が前記B-Raf阻害剤治療に応答しないことを示す方法。
【請求項2】
腫瘍がB-Raf阻害剤を用いた治療に応答するか決定する方法であって、前記腫瘍の試料において変異体K-rasタンパク質又は遺伝子の存在を決定することを含んでなり、変異体K-rasタンパク質又は遺伝子の存在は腫瘍がB-Raf阻害剤を用いた治療に応答しないことを示す方法。
【請求項3】
前記K-ras変異が活性化変異である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記K-ras変異が、G12C;G12A;G12D;G12R;G12S;G12V;G13C;及びG13Dの少なくとも一つである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記B-Raf阻害剤が特異的B-Rafキナーゼ阻害剤である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
K-ras変異の存在が、変異を有すると疑われる前記腫瘍からのK-ras核酸、又はそれらの断片を増幅し、前記増幅された核酸の配列を決定することにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
K-ras変異の存在が、変異を有すると疑われる前記腫瘍からのK-ras核酸、又はそれらの断片を増幅し、増幅された核酸の電気泳動移動度を対応する野生型のK-ras核酸又は断片の電気泳動移動度と比較することにより決定される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者が特異的B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答であるか予測する方法であって、患者の腫瘍におけるK-ras変異の有無を決定することを含んでなり、K-ras変異がコドン12又はコドン13にあり;またK-ras変異が存在する場合、患者は特異的B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答であると予測される方法。
【請求項9】
腫瘍におけるK-ras変異の有無の決定が、腫瘍からのK-ras核酸の増幅及び増幅された核酸の配列の決定を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
腫瘍におけるK-ras変異の有無の決定が、変異体K-rasポリペプチドに特異的に結合する薬剤を用いて腫瘍の試料における変異体K-rasポリペプチドを検出することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
K-ras変異が、G12S、G12V、G12D、G12A、G12C、G13A及びG13Dから選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
K-ras変異体遺伝子又はタンパク質を検出することに特異的である材料、及びB-Raf変異体遺伝子又はタンパク質を検出することに特異的である材料を含んでなる請求項1に記載の方法に使用可能なキット。
【請求項13】
B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である患者を識別することに用いる指示を更に含んでなる請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記患者が肺又は結腸直腸癌を有する請求項13に記載のキット。
【請求項15】
乳房、肺、結腸、卵巣、甲状腺、黒色腫又は膵臓腫瘍を分類する方法において、腫瘍試料を得る工程;試料における(i)B-Raf V600E変異体をコードする遺伝子及び(ii)k-Ras変異体をコードする遺伝子の発現又は活性を検出する工程を含んでなる方法。
【請求項16】
検出工程の結果に基づいて腫瘍を腫瘍サブクラスに属するとして分類する工程;及び分類工程に基づいて治療を選択する工程を更に含んでなり、前記k-RAS変異体が前記腫瘍試料において過剰発現されている場合、前記治療はB-Raf V600E特異的阻害剤以外である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
B-Raf阻害剤を用いた治療に非応答性である腫瘍を識別する方法であって、受容体チロシンキナーゼ(RTK)の発現レベルを決定することを含んでなり、前記RTKの異常発現又は誘発は前記患者が前記B-Raf阻害剤治療に応答しないことを示し、前記腫瘍はB-Raf V600Eを発現している方法。
【請求項18】
前記RTKがEGFR又はcMETである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記EGFR又はcMETの阻害剤の有効量をB-Raf阻害剤と組合わせて投与することによって前記腫瘍を治療することを更に含んでなる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記EGFR阻害剤がエルロチニブである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組合せが相乗的な量で投与される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍タイプが結腸又は黒色腫である請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19AB】
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【図20AB】
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【図20CD】
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【図21AB】
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【図21CD】
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【図22AB】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32ABC】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【公表番号】特表2013−502236(P2013−502236A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526924(P2012−526924)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/046520
【国際公開番号】WO2011/028540
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】