説明

L型溝

【課題】
雨水を導く機能を損なうことなく、L型溝を乗り越えることが容易であり、特に身障者にとっても安全かつ容易な通行が実現できてバリアフリー社会に大いに資するL型溝を提供する。
【解決手段】
L型溝1を、高溝型2、低溝型3、接続型4、接続型5の4種で構成し、高溝型2は垂直部2aを一定の高さで形成し、低溝型3は垂直部3aを高溝型2よりも低い一定の高さで形成し、かつ水平部3b上面3dを水平部3bの垂直部3aと反対方向の遊端部近傍から垂直部3aの上端に向って上り勾配を有する傾斜面とし、また、水平部3bに水路トンネル3eを設け、接続型4、5は、垂直部4a、5aの延伸方向における一方の上端縁を高溝型2の垂直部2a上端と同じ高さにし、他方の上端縁を低溝型3の垂直部3a上端と同じ高さにして、それら両上端縁の間の垂直部4a、5a上面4c、5cを傾斜面で形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路側部に設けられるL型溝に関し、より詳しくは、車輌出入り部分に設けるL型溝に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路側部にはL型溝を設けていて、道路上に降り、路側端に集まった雨水を地下排水管の流入口まで導水するための導水溝として用いている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、L型溝は道路上の雨水を路側端に導く水平部と、路側端にて雨水の流れを案内する垂直部とで構成されているので、道路の側部に設けられている施設や歩道への出入りの際、前記垂直部により形成される段差を乗り越えなければならず、歩行者や自転車にとっては通行が困難であり、特に身障者、車椅子利用者などにとっては垂直部の数センチメートルの段差が通行の大きな障害となっているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】特開2002−242116号公報(第1〜5頁、図1〜7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、雨水を導く機能を損なうことなく、L型溝を乗り越えることが容易であり、特に身障者にとっても安全かつ容易な通行が実現できてバリアフリー社会に大いに資することのできるL型溝を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係るL型溝は、道路の側部に設けて雨水を導き、水平部と垂直部を備えるL型溝であって、L型溝は、前記垂直部を一定の高さで形成してある高溝型と、垂直部を高溝型のものよりも低い一定の高さで形成してある低溝型と、垂直部の長手方向における一方の上端縁を前記高溝型の垂直部と同じ高さにし、他方の上端縁を前記低溝型の垂直部と同じ高さにして、それら両上端縁の間の垂直部上面を傾斜面で形成してある第1の接続型と、前記傾斜面の傾斜方向を反対に形成してある第2の接続型の形状が異なる4種で構成しており、また、前記低溝型は、水平部上面を同水平部における垂直部と反対方向に位置する遊端部の近傍から垂直部の上端に向かって上り勾配を付した傾斜面を備え、かつ、同水平部には、前記接続型の水平部上を流れる雨水を導水できる水路トンネルを設けたものとしてある。
【0007】
また前記高溝型と、第1および第2の接続型における水平部上面を、同水平部における垂直部と反対方向に位置している遊端部の近傍から垂直部の基部に向かって下り勾配の傾斜面にしたものとしてある。
【0008】
さらに前記第1の接続型、第2の接続型における垂直部上面の両端縁間に位置する傾斜面を、両端縁の手前で高溝型、低溝型の垂直部上端と同じ高さの水平面にしたものとしてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明のL型溝によれば、道路から施設への出入口などの歩行者や自転車などの通行が必要となる場所に低溝型のL型溝を適数配置し、この低溝型の左右両側における所定の側に第1の接続型、第2の接続型をそれぞれ1つずつ配置し、そして第1の接続型、第2の接続型に続けて高溝型を設置することにより、低溝型を設置した部分から歩行者、自転車などのL型溝を横切る通行をスムースに行うことができる。
【0010】
すなわち、歩行者や自転車は道路上から低溝型のL型溝上を、この低溝型の水平部上に設けた傾斜面を通って垂直部側に通行でき、しかも低溝型のL型溝に設けたトンネル状の水路によって雨水は円滑に案内される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のL型溝を添付図面に基づいて説明する。
本L型溝1は、図1に示すように、高溝型2、低溝型3、接続型4、接続型5の4種で構成してある。
【0012】
前記高溝型2は、道路と例えば歩道との境に設置するもので、その垂直部2aは、L型溝1を設置する道路の道路面と例えば歩道面との段差高に合わせた高さに構成してあって、その上面2cを水平面としてある。
【0013】
また、同高溝型2の水平部2bにおける上面2dは、垂直部2aと反対方向に位置する遊端部方向から同垂直部2aの基部に向う下り勾配を付した傾斜面にしている。
【0014】
前記低溝型3は、例えば道路脇の施設などへの出入りをする部分における道路と例えば歩道との境に設置するもので、その垂直部3aは前記高溝型2の垂直部2aよりも低い一定の高さに設定してあって、その上面3cを水平面に形成してある。
【0015】
また、同低溝型3の水平部3bにおける上面3dは、垂直部3aと反対方向に位置する遊端部方向から同垂直部3aの上端に向う上り勾配を付した傾斜面にしてある。
【0016】
さらに、同低溝型3の水平部3bには、後述する接続型4、5の水平部4b、5bの上面を流れる雨水を導水する水路トンネル3eを設けていて、この水路トンネル3eの上端は、水平部3bの上面3dと垂直部3aの上端に合わせてある。
【0017】
実施例の水路トンネル3eは、開口3fの下方部分を後述する接続型4、5の垂直部4a、5aと水平部4b、5bの基部形状に合わせた角パイプで形成してある。
【0018】
また、水路トンネル3eは、水平部3bの内部に埋設した状態で設ける場合もある。
【0019】
前記接続型4、5は、高溝型2と低溝型3の間に配設するもので、接続型4の垂直部4aにおける上面4cと接続型5の垂直部5aにおける上面5cは所定方向の傾斜面にしていて、高溝型2の垂直部2aにおける上面2dと低溝型3の垂直部3aにおける上面3dとの間に段差ができないようにしている。
【0020】
本実施例では、接続型4を低溝型3の、向って左側に配設する第1の接続型とし、接続型5は低溝型の、向って右側に配設する第2の接続型として、それぞれ垂直部4a、5aの上面4c、5cにおける傾斜方向を決めている。
【0021】
そして同接続型4、5の水平部4b、5bにおける上面4d、5dは、それぞれの垂直部4a、5aと反対方向に位置する遊端部方向から同垂直部4a、5aの基部に向う下り勾配を付した傾斜面にしている。すなわち、溝型2の水平部2bにおける上面2dの傾斜面と同じ傾斜面にしている。
【0022】
また、接続型4、5の垂直部4a、5aにおける所定方向に傾斜している上面4c、5cは、図6に示すように、両端縁の手前で高溝型2、低溝型3の垂直部2a、3aにおける上端と同じ高さの水平面4eにする場合もある。
【0023】
図7は、本L型溝の使用例を示す斜視図を示していて、図中の出入り箇所における道路6の上面とL型溝1の低溝型3における水平部3bの上端すなわち上面3dと、歩道7の上面と低溝型3における垂直部3aの上端すなわち上面3cとの段差をゼロに等しくできる。
【0024】
したがって、道路6上から低溝型3の水平部3b上、同低溝型3の水平部3b上から水路トンネル3e上そして垂直部3a上から歩道7上へと歩行者や自転車がスムースに通行することができる。
また、車輌が通過する場合には車輌のタイヤに付着する砂やタイヤの溝に挟まっている石が段差を通過する際の衝撃によって落下するというようなことも生じにくく、このような砂や石の落下、堆積によって雨水の流れが妨げられるというような問題も解消することができる。
【0025】
そして、低溝型3のL型溝には水路トンネル3eを設けているので、それぞれのL型溝上を流れて来た雨水は堰き止められてしまうことなく水路トンネル3eを通過して後段のL型溝上を流れて行くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るL型溝を示す斜視図。
【図2】図1中の矢印A方向から示した高溝型の側面図。
【図3】図1中の矢印A方向から示した接続型の側面図。
【図4】図1中の矢印A方向から示した低溝型の側面図。
【図5】図1中の矢印A方向から示した接続型の側面図。
【図6】他形態の接続型を示す斜視図。
【図7】本L型溝の使用例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 L型溝
2 高溝型
2a 垂直部
2b 水平部
2c 上面
2d 上面
3 低溝型
3a 垂直部
3b 水平部
3c 上面
3d 上面
3e 水路トンネル
3f 開口
4 接続型
4a 垂直部
4b 水平部
4c 上面
4d 上面
4e 水平面
5 接続型
5a 垂直部
5b 水平部
5c 上面
5d 上面
6 道路
7 歩道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の側部に設けて雨水を導き、水平部と垂直部を備えるL型溝であって、L型溝は、前記垂直部を一定の高さで形成してある高溝型と、垂直部を高溝型のものよりも低い一定の高さで形成してある低溝型と、垂直部の長手方向における一方の上端縁を前記高溝型の垂直部と同じ高さにし、他方の上端縁を前記低溝型の垂直部と同じ高さにして、それら両上端縁の間の垂直部上面を傾斜面で形成してある第1の接続型と、前記傾斜面の傾斜方向を反対に形成してある第2の接続型の形状が異なる4種で構成しており、また、前記低溝型は、水平部上面を同水平部における垂直部と反対方向に位置する遊端部の近傍から垂直部の上端に向かって上り勾配を付した傾斜面を備え、かつ、同水平部には、前記接続型の水平部上を流れる雨水を導水できる水路トンネルを設けてなるL型溝。
【請求項2】
前記高溝型と、第1および第2の接続型の水平部上面を、同水平部における垂直部と反対方向に位置している遊端部の近傍から垂直部の基部に向かって下り勾配の傾斜面にしてなる請求項1に記載のL型溝。
【請求項3】
前記第1の接続型、第2の接続型における垂直部上面の両端縁間に位置する傾斜面を、両端縁の手前で高溝型、低溝型の垂直部上端と同じ高さの水平面にしてなる請求項1に記載のL型溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−249812(P2009−249812A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94939(P2008−94939)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000147866)株式会社石畑型枠 (4)
【Fターム(参考)】