説明

LCDディスプレイからの有害物質の除去

LCDディスプレイ(1)から有害物質を取り除くためのプロセスは、パネル(3)の前部の周りのオフセットライン(10)を通る切開を含む。次に、上構成要素が取り除かれて、有害物質を含む蛍光管(5)をさらす。切開は、凹部リップから0乃至20mmの範囲の距離で凹部リップに平行である。切断は、20mm乃至50mmの深さにある。好ましくは、少なくとも二つの切開が同時に行われる。蛍光管(5)は、ローラー、チェーンによってあるいはプレートによってアクセスオペレーションの後に粉砕される。粉砕中、解放される粒子及びガスの吸引があり、それによって、ろ過によって有害物質を取り除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットスクリーン液晶ディスプレイ(“LCDs”)からの有害物質の除去に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイは、通常、液晶パネル、金属製のフレーム、フィルターシート、水銀を含む冷陰極蛍光管(CCFTs)、プリント回路基板、取付けフレーム、(アルミやスチールで構成される)バックライトフレーム、及び、プラスチックケースを備える。
【0003】
廃電気・電子製品(WEEE)の一般廃棄物処理方法は、埋め立てごみ処理又は焼却であり、問題は、双方のタイプに関連される。双方は高価であり、潜在的な排出物質によって大気(地球温暖化)、水汚染、及び/又は生物分解の困難性を生じさせる。
【0004】
LCDの廃棄物処理は、それらがバックライトデバイスで非常に有害な物質の水銀を含んでいるため特に問題がある。また、LCDは、(現在有害調査中である)液晶、有毒な難燃剤の添加剤を含むプラスチック、鉛を含むプリント回路基板などの他の潜在的に有害な物質を含む。
【0005】
従って、一般的な処理方法は、廃棄LCDを扱うには適していない。例えば、液晶などのLCD構成要素の焼却は、化合物のタイプ及び存在する難燃剤のレベルやタイプに依存して、ダイオキシンやフランなどの毒素の排出を生じる。一方、埋め立て廃棄のLCDの環境への影響は、土壌への有害物質の潜在的な浸透である。
【0006】
欧州委員会は、欧州議会の2002/96/ECの指令及び2003年2月13日の廃電気・電子製品に関する議会の指令(WEEE指令)において、100cm以上の領域で廃棄LCDパネルの分離を要求している。この指令は、特に、スイッチやバックライトランプなどのWEEE廃棄構成物からの水銀を含有する物質、製品及び部品の除去を要求する。
【0007】
このような状況下で、従来の処理方法は再考されなければならない。LCDの破砕は、LCDが切断された廃棄ごみの流れを汚染する水銀を含むので、効果がないことが証明された。また、破砕プロセスは、回収される材料の品質、従って、廃棄物の流れの価値を減少する。調査は、切断された破片からの水銀の総量を回収することは実用的でないことが示された(WRAP−廃棄物・資源アクションプログラム、英国によって発行された、フラットパネルディスプレイリサイクル技術のデモンストレーション、プロジェクトコード:MDD014、フラットパネルディスプレイリサイクル技術の実証試験に関する最終報告、2009)。
【0008】
焼却は、塩素を含む液晶の潜在的な焼却、生成するダイオキシン及びフラン、続いて埋め立てされる必要がある灰の生成物、潜在的な市場価値を有する材料の損失を含む関連した問題を有する。乾式冶金及び製錬オペレーションは、金属含有物だけがリサイクルされ、残りは埋め立てられるので、LCD全体を処理するために推奨されない。
【0009】
手による分解は、プラスチックカバー、プリント基板、ケーブル、スピーカー及び取付フレームの取り除き及び分離、ライトボックスユニット、ガラス、拡散シート及び複雑なブロックの分解、蛍光管の最終的な取り除き及び分離を含むので、遅くて労働集約的なプロセスである。労働者が水銀にさらされないことを確実にする特別な注意が必要であり、これは、蛍光管が手によって取り除かれる必要があるので達成することが極めて困難である。
【0010】
ロボットを使用する完全に自動化された分解は、非常に高価なオプションであり、複雑で高度な適合性のあるロボット工学を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
CN101209453Aは、LCDディスプレイの組立部でLCDの両側面を切断することによるLCDディスプレイの分解のための方法を開示する。この方法は、LCDを二つの部分、すなわち、LCDパネルとガラスと呼ばれるものと、(アルミニウム/鉄のシェル、蛍光管及びフィルターシートを含む)パネルのバックライトテンプレートと呼ばれるものに分離する。しかしながら、バックライトからの蛍光管のさらなる分解及び取り除きは、手による分解を必要とする。
【0012】
フラットパネルディスプレイ(FPD)を分解するための他の方法が、米国2004/0002276 A1に開示され、それは、フリットガラスで接合されたフレームの一部分を残りの部分から分離するために前面プレート及び背面プレートの部分を切断することを開示する。これらのタイプのディスプレイは、通常、‘プラズマディスプレイ’、‘真空蛍光ディスプレイ’、‘表面導電性タイプの電子源ディスプレイ’、‘フィールドエミッション電子源ディスプレイ’であり、これらは、危険と考えられディスプレイから取り除かれる必要がある‘鉛ガラス’の重要な部分を含む。この明細書に記載された方法は、LCDディスプレイから有害物質を取り除くのに適当でないことが明らかである。
【0013】
壊れやすい材料で作られた第1マザー基板の表面及び裏面の分離方法が、米国2004/0040997 A1に開示される。この開示は、
壊れやすい材料を切断することによって及びディスプレイ全体からその取り除きの後の刻み及び分断によって、ガラスパネルの後の分解に関係する。しかしながら、LCD及びプラズマディスプレイに存在するガラスパネルは、最初にディスプレイから取り除かれる必要がある。この明細書は、LCDから有害物質を除去するための方法を開示していない。
【0014】
従って、本発明は、LCDから有害物質を除去するための改善された方法を提供することに向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、有害物質を除去するためにLCDディスプレイを処理するためのプロセスが提供され、そのプロセスは、フロントパネルの周りに延びる切開ラインでLCDディスプレイのフレームの前部分で切開するステップと、
蛍光管をさらすために構成要素を取り除くステップと、
元の場所で蛍光管を粉砕し、粉砕した管から発生する粒子及びガスを吸引することにより取り除くステップと、を備える。
【0016】
他の態様では、本発明は、LCDディスプレイから有害物質を取り除くためのシステムを提供し、そのシステムは、フロントパネルの周りに延びる切開ラインでLCDディスプレイのフレームの前部分で切開する手段と、蛍光管をさらすために構成要素を取り除く手段と、元の場所で蛍光管を粉砕する手段と、粉砕した管から発生する粒子及びガスを吸引することにより取り除くための摘出システムと、を備える。
【0017】
一実施形態では、切開は、フレーム及び前パネルと隣接する凹部リップに平行である。一実施形態では、切開は、凹部リップから0乃至30mmの範囲の距離にあり、好ましくは、距離は、10mm乃至20mmの範囲にあり、好ましくは、切開は、フレームの上面から20mm乃至50mmの深さにある。好ましくは、少なくとも二つの切開が同時に行われる。
【0018】
一実施形態では、ビジョンシステムがブレードの位置を案内する。好ましくは、プローブ又はセンサーの平行移動は、切開ツールの位置を案内する。一実施形態では、基準ブロックは、切開ツールの位置を案内する。
【0019】
一実施形態では、ローラーは、粉砕のために使用される。他の実施形態では、往復運動するプレートは、粉砕のために使用される。一実施形態では、回転部材は、粉砕のために使用される。一実施形態では、ブラシは、粉砕のために使用される。
【0020】
一実施形態では、LCDディスプレイは、少なくともいくつかのプロセスの間、キャリヤパレットで運ばれる。好ましくは、キャリヤパレットは、LCDディスプレイの様々な構成に対応するために形状記憶ベースを備える。一実施形態では、キャリヤパレットは、LCDディスプレイを把持するためにピストンを備える。一実施形態では、LCDディスプレイは、少なくともいくつかのプロセスの部分の間、基準ブロック上で逆さまで運ばれ、好ましくは、粉砕は、摘出漏斗上で行われる。
【0021】
一実施形態では、粉砕は、摘出ダクトに向かって粒子及びガスを吹くエアブロワーと共に行われる。
一実施形態では、蛍光管の処理後の残りの構成要素は、粉砕及びリサイクルによって処理される。一実施形態では、残りの非鉄金属の細断及び磁気抽出が行われる。
【0022】
本発明は、添付図面を参照して単に例示によって与えられたそのいくつかの実施形態の以下の説明からより明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明のプロセスのための切断位置を示す、LCDの概略的な断面の長手側面図である。
【図2】図2は、切断位置を示す、断面の短手側面図である。
【図3】図3は、プロセスの第1ステップのためのより詳細な切断位置を示す図である。
【図4】図4は、最初の二つの同時切断を示す。
【図5】図5は、さらに二つの同時切断を示す。
【図6】図6は、蛍光管をさらす切断後のフロント構成要素の除去後のディスプレイを示す。
【図7】図7は、蛍光管の粉砕及び粒子及びガスの球威後の残りの構成要素を示す。
【図8】図8は、切断のための搬送装置を示す側面図である。
【図9】図9は、LCDディスプレイのためのキャリヤパレットの概略側面図である。
【図10】図10は、二つの側面に沿った切断の概略斜視図である。
【図11】図11は、切断のためのLCDを正確に配置する位置決め装置を示す一対の図である。
【図12】図12は、下方からの切断及び粉砕を示す代替的な搬送装置の側面図である。
【図13】図13は、ローラーが使用される蛍光管粉砕を示す前面図である。
【図14】図14は、ローラーが使用される蛍光管粉砕を示す側面図である。
【図15】図15は、プレートを有する蛍光管粉砕を示す斜視図である。
【図16】図16は、回転チェーンを有する粉砕を示す前面図である。
【図17】図17は、蛍光管の除去後の残りの構成要素の粉砕を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
概観
図1乃至図5を参照すると、LCD1は、フレーム2、液晶パネル3、パースペックス(登録商標)層4、(水銀を含む)冷陰極バックライト蛍光管5、背面の囲いシェル6、PCB取付フレーム7、及び、PCB上の回路8を有する。図1は、蛍光管5がLCDの縁部に平行であるLCDディスプレイの長手側面での断面図を示す。図2は、蛍光管5がLCDの縁部に垂直であるLCDディスプレイの短手側面での断面図を示す。
【0025】
プロセスでは、水銀を含む蛍光管5及び液晶パネル3は、最初に完全に取り除かれ、それらは、欧州のWEEE指令などの基準に従って処理される。これは、図6に示されるように蛍光管5をさらす。それから、蛍光管5は、有害物質が包囲的に除去されるように閉ざされた環境で粒子及びガスの引き抜きと共に元の場所で粉砕される。フレームなどの図7に示されるような残りの構成要素は、その後、一般的な方法で処理される。
【0026】
プロセスは、LCDから取り除かれる有害物質の量に対して量を定める判断を提供し、その結果、チェックが、この値がユニット/ディスプレイごとに予期される値に一致することを行うことができる。これは、水銀の全てがLCDから取り除かれると共に、環境への脅威が効果的に除去されることを確立する。原子蛍光分光法及び原子吸光分光法などの技術は、様々な構成要素の量を確立するために真空抽出システムのフィルターを分析するために使用される。
【0027】
プロセスは、フレーム2と液晶パネル3の凹部の端から0乃至30mm、最も好ましくは10mm乃至20mmの範囲の距離で、フレーム2の上面から20mm乃至50mmの深さまで切断することによってディスプレイ1の前部の特定の部分を切除する初期ステップを含む。四つの切断ラインが図1乃至3に示される。これらのステップは、図5及び図6に示される。切断位置は、LCDを分解しないようにかつディスプレイの前部の一部分を切除するがLCDを無傷のままにすることを可能にするように特に選択される。切断材料は取り除かれ、ディスプレイの後部のCCFT管5はさらされる。
【0028】
また、プロセスは、ローラー(図13及び14)、粉砕プレート(図15)、回転チェーン(図16)又は回転ナイロンデバイスを使用してさらされた蛍光管の粉砕を含む。ガラス、水銀及び蛍光粉体の混合物からなる粉砕した破片は、圧力下でシステムの外部に排出され、ガラス、水銀及び粉体は、フィルターシステムを使用して分離される。
かなりの力が後のステップ中でディスプレイに適用されるので蛍光管の粉砕オペレーションを支持するためにLCDディスプレイ構造が切開プロセスステップの後無傷のままであることが重要である。従って、切開位置は、非常に有利である。研究では、X/Y方向又は深さのどちらかの位置範囲内の位置での切開が、囲いシェルが無傷のままの状態で水銀を含む蛍光管に直接アクセスを得て蛍光管5が続いて完全に取り残されることを生じることを示している。X/Y方向又は深さのどちらかで特定された範囲に基づく位置での切開は、ガラスパネルの破壊及び/又はCCFT管5の早すぎる破壊を生じる。X/Y方向又は深さのどちらかで特定された範囲外での位置での切開は、LCD構造の破壊を生じ、続いて行われる管の除去を不可能にする。浅い切開は、CCFT管5をさらすために十分でない材料の除去を生じる。
【0029】
LCDの残りの部分を無傷にしたままでの有害物質の早期除去は、多くの利点がある。LCDは無傷のままであるので、さらなる処理ステップのために輸送及び移動するのが容易である。破砕は、有害物質が除去され、実際に本発明のプロセスが残りの構成要素の大規模な破砕オペレーションのための前処理ステップとして利用されることができるように実行可能なオプションである。
【0030】
CCFT管5全体を取り除くことにより、WEEE指令の要件が満たされるだけでなく、管のコーティングとして存在する蛍光粉等の有害物質が取り除かれ、環境に対して付加的な利点を生じる。
【0031】
プロセスは、密封されたユニットで行われ、手動操作を必要としない程度に自動化される。粉砕操作は、真空下で実行され、水銀蒸気を含むすべての有害物質はすぐに除去され、それによって、リサイクル施設やあらゆる汚染物質が入る環境で労働者にさらされるのを防止する。有害物質は、安全に分離され、適当な密閉コンテナに保存される。収集された有害物質は、完全に可鍛性であり、蛍光X線分析(XRF)又はエネルギー分散型X線分析(EDAX)、原子蛍光分光法(AFS)及び原子吸光分光法(AAS)などの標準化された技術を使用して必要に応じて定量と定性分析のために利用できる。
【0032】
切開オペレーションは、サイズ及び形状にかかわらず、LCDディスプレイの全てのタイプ及びバリエーションと互換性がある。蛍光管5は、取り除かれて、蛍光管を前方に駆動して粉砕する、ローラー、チェーン又は一連のプレートを使用して粉砕される。一体の真空システムは、適切な容器に分離された粉砕したガラス及び水銀を吸い込む。
【0033】
有害物質が除去されると、LCDは、例えば、手動分離−ねじを緩めること、破砕又はサイクロン破壊及び分離、残りの部分をばらばらに効果的にポップアップするために油圧プレスを使用したLCDディスプレイの圧縮を組み込むことができるさらなる処理の準備ができている。選択された方法は、個々のリサイクラー及び必要とされる解体の程度の要件によって決定される。
【0034】
切断オペレーション(図1乃至図5及び図8乃至図12)
図8を参照すると、コンベヤ20は、第1及び第2切開ステーション21及び22を通じ、真空摘出を有する密閉チャンバ内の粉砕ステーション23を通じて直立した姿勢(LCDが上方を向いている)でキャリヤ30の中のLCDディスプレイ1を搬送する。図9に示されるように、キャリヤ30は、下部に形状記憶フォーム31を有すると共にディスプレイ1の把持を固定するためのピストン32を有する。図10は、第1切断オペレーションのための並列な切断ブレード35のオペレーションを示す。ブレードは、ステーション22で第2の切断オペレーションのために直交方向にある。図11は、ディスプレイ1の凹部縁部と係合しハードストップ41によって決められた位置までLCD全体を摺動するグリッパーアーム42を有するグリッパーユニット40を示し、ハードストップ41は、続いて行われる切開オペレーションのためのLCDの正確な位置決めを達成するために切開ブレードと整合される。
【0035】
代替的な実施形態が図12に示され、LCDは、手動で基準ブロックに積まれる。基準ブロックは、全てのディスプレイのサイズで使用可能であり、基準ブロックは、LCDディスプレイの凹部縁部の内側に嵌合する。基準ブロックは、プロセスを通じて逆さまの姿勢(すなわち、LCDが下向き)でLCDを搬送する。基準ブロックは、コンベヤ又はチェーンコンベヤシステムを使用して動かされることができる。基準ブロックの位置は、固定された切断ブレードと自動的に整合され、そのブロックの上面に配置されたLCDの正確な位置での切断を保証する。基準ブロック上のLCDは、第1及び第2切開ステーション51及び52に対して下部からのアクセスを許容するコンベヤ50でシステムに入る。切開が行われた後、LCDはステーション53で機械的なアームを使用して持ち上げられ、切開された材料を有する基準ブロックは、重力によって残されてコンベヤ上に載置する。基準ブロック及び切開された材料は、プロセスから手動的又は自動的に取り除かれる。次に、機械的アームによって保持されたLCDは、回転チェーンがシャフトで回転し、囲いパネルに対してLCDの管を破壊する粉砕ステーション54に移動される。全ての破片は、重力によって落下し、図16に見られることができるように下方に配置された抽出システムに取り込まれる。
【0036】
一連の自動化された切開は正確に位置付けられ、それは、LCDディスプレイの前部の特定の部分の直接的な取り除きを可能にする。切開位置の場所は、プロセスにとって非常に重要である。私たちの研究は、様々なメーカーやモデルのLCDディスプレイに二つの一貫性を確認した。ガラスがトップカバーと接する凹部リップとガラススクリーンのサイズの存在である。LCDの凹部リップに平行でかつ20−50mmの深さ範囲でこの凹部リップから15mm(0−30mmの作業範囲)の距離でオフセットする一連の4つの切開は、切除された材料の除去を可能にし、蛍光管の即座の露出を可能にする。これは、サイズやバリエーションに関係なくLCDが配置されて自動的に切開される、切開材料除去セルを自動化する可能性を提供する。切開プロセスの後、切除された材料は、直ちに取り除かれ、その後、CCFL管5は、さらされる。
【0037】
プロセスの試験は、切開位置と深さの有効性を調べるために実施された。LCDディスプレイは、ベンチに固定された。LCDの切開位置は、凹部リップから測定され、LCDの表面上にマークされた。手操作環状ノコギリは、ブレードの動きが約16−19.3mm/秒(手の動きの速度)で185mmの直径で3500RPMの多目的TCTブレードを使用して実験で使用された。実験は、LCDディスプレイの前部を通じて凹部縁部から50mmのオフセットの深さの切開は、粉砕のための管全体をさらすことができることを明らかにした。
【0038】
LCDユニットは、切開ブレードと整列されるように自動的に配置され、所望の切開位置を確実にする。LCDの凹部リップは、基準ポイントであり、切開ブレードは、このポイントから一般的に15mmでオフセットされる。
【0039】
そのようなシステムは、位置決めアームがガラス表面から例えば5mmの設定距離まで上方から下方に駆動されるX/Y移動テーブルから構成される(図11)。その表面が検知されると、グリッパーユニット40は、グリッパーがリップの上昇棚を把持するまでX方向に移動する。グリッパーアーム42は、ハードストップが達成されるまでシャトルをわたってLCDを摺動する。このハードストップは、ブレードに沿って位置付けられ、LCDの正確な切開位置を達成する。空気圧クランプは、LCDユニットを保持する。
【0040】
代替的に、リップ検知は、レーザー変位センサー(スキャン)、近接センサー、接触センサー、又は、抵抗や静電容量タッチセンサーを使用して達成されることができる。また、ビジョンシステム及びX線ビジョンは、LCDのリップを検知するのに利用されることができる。デジタルカメラ、スマートカメラ及び画像処理ソフトウェアを使用するマシーンビジョンシステムは、リップの検知を実行するために使用されることができる。
【0041】
(上記センサーによって決定された)リップの位置は、次に、シャトル上のLCDユニットをブレードと整列するように調整する機械的位置付けシステムに供給される。LCDユニットは、シャトル上に固定され、切開オペレーションの準備ができている。また、高さの位置決めは、以前に行われていない場合には、この時点で行われる。
【0042】
切開オペレーションの一実施形態は、シャトルシステムの頭上のステーションに配置された二つの並列なブレードを含む(図10)。一方のブレードは、所定の位置に固定され、動かない。二つ目のブレードは、変化するLCDのサイズに対応するために調整可能である。シャトル上のLCDユニットが切開ステーションに入ると、ブレードによって継続的に供給され、反対側に出る。ブレードは、Z方向に動くことができ、LCDの前部の補正切開パターンを達成するためにプロセスで必要とされるときにLCDと係合する。シャトル上のLCDユニットの動きは、方向を変え、次の切開オペレーションのために再び配置される第2の位置付けシステムに入る。LCDユニットは、第2のセットのブレードの下で供給され、ブレードの反対側に出る。シャトル上のLCDユニットの動きは、方向を変え、粉砕ステーションの方に移動する。粉砕ステーションに到着する前に、切開された材料は、手動的に又は自動化プロセス(例えば、吸引カップ又は機械的なグリッパー)によって取り除かれる必要がある。
【0043】
切開オペレーションの他の実施形態は、コンベヤシステムの下側にあるステーションに配置された二つの並列なブレードを含む(図12)。一方のブレードは、所定の位置に固定され、動かない。二つ目のブレードは、二つ目のブレードは、変化するLCDのサイズに対応するために調整可能である。この方法では、LCDは、正しい切開地を達成するために切開ブレードと自動的に整合された基準ブロックにロードされる。基準ブロック上の
LCDユニットがそのステーションに入ると、ブレードによって継続的に供給され、反対側に出る。レードは、Z方向に動くことができ、LCDの前部の補正切開パターンを達成するためにプロセスで必要とされるときにLCDと係合する。コンベヤ上のLCD/基準ブロックの動きは、方向を変え、第2の切開オペレーションのために整列する。LCDユニットは、第2のセットのブレード上で供給され、ブレードの反対側に出る。粉砕ステーションに到着する前に、切開された材料は取り除かれる必要があり、これは、機械的アームを使用してLCDを持ち上げることによって達成される。切除された材料及び基準ブロックは、重力によってコンベヤ上に残存し、システムから取り除かれることができる。機械的アームによって保持されたLCDは、粉砕ステーションに移動される。
【0044】
粉砕オペレーション(図6−7及び図13−16)
開いたときに実際にLCDが壊れた管5を有する割合が高いことが判明した。従って、管を格納しようとして、プロセスは、微量の汚染物質のすべてが取り除かれることを確実にするために管材料を粉砕して吸い取ることを含む。図6に示されるように、切開及び材料除去ステップの後に管5への完全なアクセスがある。図13は、囲い部6及び2において元の場所で管を粉砕するためにローラー60がストロークで下方に動く粉砕構成を示す。図14に示されるように、粉砕を処理するエアナイフブロワー61と粉砕機60の下流側の真空抽出器62とがある。図15は、プレート71が囲いシェル6の管5に下方の力をかける、代替的な構成を示す。図16を参照すると、粉砕オペレーションの他の実施形態が、回転シャフト80に取り付けられたチェーン81を含み、回転シャフト80は、蛍光管5に近接して回転し、チェーンを管5と接するように延ばし、管5を小さな破片に粉砕する。破片は、抽出ユニットに取り付けられた下部に配置された漏斗の中に重力によって落下する。
【0045】
粉砕オペレーションは、直立した姿勢又は逆さになった姿勢にLCDを予め形成することができる。図13乃至図15は、直立した状態で粉砕する管を示す。図13及び図14の実施形態では、ローラーは、LCDの開口面にわたって押され、内側で管を粉砕する。このローラーは、X及びZ移動を有する機械的なアームにあり、下方への力をかけることができ、囲いシェルの表面にわたって動くことができ、管を粉砕することができる。そのオペレーションの後、ローラーは、オペレーションの停止と連動しないようにLCDから離れた方向にある‘ホーム位置’まで戻る。次に、エアナイフ61は、全ての粉砕材料を囲いシェル6の一方側に駆動する空気流れを形成する。この時点で、その材料は、真空抽出器62に取り付けられた円筒形漏斗によってLCDから摘出される。
【0046】
図16は、逆さまの姿勢のLCDを示す。チェーン81を有した回転シャフト80は、LCD1の下方に直接的に配置され、モーターによって駆動される。シャフトは、X及びY方向に横断する移動コンベヤ上にある。チェーンは、シャフト上で高速回転し、囲いシェル6に対してLCDの管を粉砕する。次に、プロセスは、全ての粉砕材料及び破片が真空抽出システムに接続された漏斗83に下方に落下するように重力アシストされる。上記の全ての選択肢について、粉砕オペレーションは密閉されたユニットで実行される。
【0047】
粉砕オペレーションでは、囲いシェル6は、管に圧力をかけるために粉砕ツールに対して必要なサポートを提供し、囲いシェル6は、有害物質の摘出の前に有害物質に対する封じ込め領域として機能する。切開位置は、囲いシェルが粉砕オペレーションの間無傷のままであるのを確実にする。抽出及びろ過のために、囲いシェル6に収容された粉砕破片は、重力(図16)あるいはエアナイフの支援(図11及び図13乃至図15)のいずれかによって真空抽出セルの方に移動される。ひとたび破片が抽出セルに入ると、最大のフィルターの寿命と効率のために木炭の吸収の方法を使用して水銀を抽出するための工業用グレードのろ過モジュールを通過する。そのユニットは、効率的な水銀ろ過を確保するためにすべての重要なろ過ポイントでトータルのマイナスの空気の圧力下にある。
【0048】
さらなる処理(図7及び図17)
有害物質を取り除くと、残りの構成要素は、リサイクラーの要件によって決定されるさらなる処理に対して準備ができている。利用可能なプロセスは、ねじを緩めることによる手動分離、破砕又はサイクロンの破壊及び分離プロセス、及び圧縮を含む。
【0049】
破砕又はサイクロンの破壊及び分離プロセス
有害物質は、LCDディスプレイ1から取り除かれるので、細断処理(又は破壊プロセス)は、LCDディスプレイの残りを処理するためのオプションとして実行可能である。この細断処理及び分離オプションは、WEEEを大量に処理する大規模なリサイクル施設が不可欠である。破砕は、廃棄物の流れの水銀汚染のリスクなしに環境に優しいプロセスとして使用されることができる。LCDの初期の処理は、約60秒かかる。プロセスのこの時点での破砕は、高スループットでLCDの残りを処理する迅速かつ効率的な手段である。従って、全体的なプロセスは、非常に高速である。LCDが初期オペレーションを通過した後、LCDは、細断処理オペレーションのために一般的なWEEEの廃棄物と混合される。これは、リサイクルプラントの効率を向上し、一般的なWEEEのリサイクラーがLCDリサイクル市場に参入することを許容する。
【0050】
LCDディスプレイの残りの圧縮破壊
図17は、LCDディスプレイの残りの圧縮破壊を示す。フレーム2は、油圧シリンダ90の間に垂直にロードされる。多数のLCDディスプレイは、油圧シリンダの直径に依存して、並んで積まれることができる。このオペレーションは、LCDのフレーム及びカバー構造を折りたたむ。有害物質が前もって除去されると、ガラスパネルによって提供されたフロントサポートも取り除かれ、外側ケース及びフレームは崩壊し、残りのフレーム及び価値があるプリント基板を破砕してさらす。従って、そのプロセスは、高速な方法でLCDディスプレイから最大の構成要素を取得する。
【0051】
プロセス中のLCD処理に対し、図9は、パースペックス(登録商標)本体を有するキャリヤ30を示し、調整可能なピストン32が適所にLCD1をクランプするために使用される。パレット30は、LCD1がLCDのバックカバーの形状にかかわらずパレットに平らに設置するのを確実にする薄い形状記憶フォーム31で積層される。調整可能なピストンの代替的なクランプ機構は、オペレータがLCDを固定するために摺動してクランプすることができる二つの移動可能な側面を有するパレットである。また、トグルクランプが使用されることができる。このパレット30は、シャトルコンベヤシステムで回転する。従って、シャトルの底部とパレットが載置するテーブルは、同じ高さでローラーボールのベッドを有する。シャトル上のパレット/LCDユニットの高さ位置は、この時点で調整される。このシャトルシステムは、プロセス全体を通じて上を向く姿勢でLCD/パレットを移動する必要がある。プロセスツール(例えば、切開ブレード及び粉砕機構)は、上からコンベヤシステムを突き出るステーションに全て配置される。図15は、パレットコンベヤシステムのための切開オペレーションを図示する。
【0052】
図12は、LCDをリサイクルするための移動ブロックコンベヤシステムの概略を示す。LCD1は、手動で基準ブロック45に積まれる。基準ブロックは、全てのディスプレイのサイズに利用可能であり、そのブロックは、LCDディスプレイの凹部リップの内側に嵌合する。基準ブロック45は、プロセスを通じて逆さまの姿勢(すなわち、LCDが下向き)でLCDを搬送する。基準ブロック45は、コンベヤ又はチェーンコンベヤシステムを使用して動かされることができ、固定された切断ブレードと自動的に整合され、そのブロックの上面に配置されたLCDの正確な位置での切断を保証する。
【0053】
二つの切開オペレーションが実行された後、一対の並列な機械的アームは、LCD1の両側の下に移動し、LCDを上方に持ち上げ、切開された材料は重力によってコンベヤ上に遅れて残され、保管場所に運ばれる。粉砕オペレーションの間、LCDは、チェーンが囲いシェルに対して管を破壊し破片がシステムからさらされる回転シャフト上に機械的アームによって支持される。
【0054】
本発明は、プロセスがサイズ、構造、モデル又は形状にかかわらずあらゆるタイプのLCDを扱うことができるので、汎用性を備え、環境に優しいプロセスで有害物質の除去の利点を実現する。LCDに含まれる約70乃至100のねじを緩める問題が回避される。有害物質の除去は、大規模なオペレーションに対して下流の細断処理プロセスの可能性を許容する。一般的に51%以上の残りの材料が非鉄金属であるので磁気分離が実行可能である。
【0055】
処理の前に壊れた蛍光管の問題は、フレーム6及び2が粉砕を支持するために使用されているために効果的に対処される。プロセスは、有害物質を除去することにより、WEEE指令の要件を満たし、材料の約75%の重量の回復を達成することができる。3段階のプロセスは、3つのLCDを一度のプロセスで行われるのを許容し、スループットを3倍にする。
【0056】
LCD内の多くの構成要素が汚染されていない廃棄物の流れとして大きな価値を有するので、このリサイクルプロセスは、これらの構成要素の安全な回復を保証する。例えば、下流工程は、大きな価値を持っている、PCBボード、プラスチック及びスチールの金属フレームを回復することができる。
【0057】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、構成及び細部を変形できる。例えば、ブレード、バンドソー、丸鋸、切削工具、ダイヤモンドブレード、ダイヤモンドツール、ファイル、ガラスカッター、弓のこ、ハンドソー、ナイフ、レーザーカッター、フライスカッター、プラズマカッター、のこぎり、メス、ハサミ、飛び出しナイフ、ツールビット、旋盤の旋削工具、及び/又はウォータージェットカッターなどのあらゆるものが切開オペレーションのために使用される。また、切開オペレーションは、真空下で実施することができることが想定される。また、ブラシが管をつぶすために使用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害物質を取り除くためにLCDディスプレイを処理するためのプロセスであって、
フロントパネル(3)の周りに延びる切開ライン(10)でLCDディスプレイのフレーム(2)の前部分で切開するステップと、
蛍光管(5)をさらすために構成要素(3、4)を取り除くステップと、
元の場所で蛍光管(5)を粉砕(60、71、81)し、粉砕した管から発生する粒子及びガスを吸引することにより取り除くステップと、を備える、プロセス。
【請求項2】
請求項1記載のプロセスにおいて、
切開は、フレーム(2)及び前パネル(3)と隣接する凹部リップに平行である、プロセス。
【請求項3】
請求項2記載のプロセスにおいて、
切開は、凹部リップから0乃至30mmの範囲の距離にある、プロセス。
【請求項4】
請求項3記載のプロセスにおいて、
距離は、10mm乃至20mmの範囲にある、プロセス。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
切開は、フレームの上面から20mm乃至50mmの深さにある、プロセス。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
少なくとも二つの切開が同時に行われる、プロセス。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
ビジョンシステムがブレードの位置を案内する、プロセス。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
プローブ又はセンサー(40、41)の平行移動は、切開ツールの位置を案内する、プロセス。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
基準ブロックは、切開ツールの位置を案内する、プロセス。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
ローラー(60)は、粉砕のために使用される、プロセス。
【請求項11】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
往復運動するプレート(71)は、粉砕のために使用される、プロセス。
【請求項12】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
回転部材(81)は、粉砕のために使用される、プロセス。
【請求項13】
請求項1乃至9のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
ブラシは、粉砕のために使用される、プロセス。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
LCDディスプレイは、少なくともいくつかのプロセスの間、キャリヤパレット(30)で運ばれる、プロセス。
【請求項15】
請求項14記載のプロセスにおいて、
キャリヤパレットは、LCDディスプレイの様々な構成に対応するために形状記憶ベース(31)を備える、プロセス。
【請求項16】
請求項14記載のプロセスにおいて、
キャリヤパレットは、LCDディスプレイを把持するためにピストン(32)を備える、プロセス。
【請求項17】
請求項1乃至13のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
LCDディスプレイは、少なくともいくつかのプロセスの部分の間、基準ブロック(45)上で逆さまで運ばれる、プロセス。
【請求項18】
請求項17記載のプロセスにおいて、
粉砕は、摘出漏斗(83)上で行われる、プロセス。
【請求項19】
請求項1乃至18のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
粉砕は、摘出ダクトに向かって粒子及びガスを吹くエアブロワー(61)と共に行われる、プロセス。
【請求項20】
請求項1乃至19のうちのいずれか一つに記載のプロセスにおいて、
蛍光管の処理後の残りの構成要素は、粉砕及びリサイクル(90)によって処理される、プロセス。
【請求項21】
請求項20記載のプロセスにおいて、
残りの非鉄金属の細断及び磁気抽出が行われる、プロセス。
【請求項22】
LCDディスプレイから有害物質を取り除くためのシステムであって、
フロントパネル(3)の周りに延びる切開ライン(10)でLCDディスプレイのフレーム(2)の前部分で切開する手段と、
蛍光管(5)をさらすために構成要素(3、4)を取り除く手段と、
元の場所で蛍光管(5)を粉砕する手段(60、71、81)と、
粉砕した管から発生する粒子及びガスを吸引することにより取り除くための摘出システム(62、83)と、を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−514170(P2013−514170A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543992(P2012−543992)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/IE2010/000072
【国際公開番号】WO2011/073966
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(506016495)ユニバーシティ・オブ・リムリック (6)
【Fターム(参考)】