説明

LCDフレアの軽減

【課題】LCDおよびLEDイメージを計算する既存プロセスに対する改良すること
【解決手段】バックライトをLCDフレアが見えなくなるレベルまで調整し、その後にシミュレートしたベーリンググレアを導入することにより、LCDフレアが低減される。そのグレアは、バックライトシミュレーションによりさらに調整され、バックライトの形状(たとえば、LED配列)を隠す。その低減は、たとえば、二重変調ディスプレイ装置(300)でバックライト変調器(330)とフロント変調器(340)を駆動する信号を処理することにより実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[著作権に関する注記]
本願の書面で開示されるものの一部に、著作権で保護されるものが含まれる。特許庁の出願に関するファイルや記録で閲覧できるものであれば、特許出願の書面や開示を誰が複製しても著作権者にとってはこれに対して異議を有するものではないが、それ以外については著作権者は全ての著作権を維持する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2008年1月9日出願の米国仮特許出願第61/020,104に基づく優先権を主張し、該仮特許出願はその全体を本願に参照して組み込む。
【0003】
[発明の背景]
[発明の分野]
本発明は、アーティファクトの低減に関し、具体的にはLCDフレアの低減に関する。本発明は、LCDやLEDイメージを計算する既存のプロセスの改良を備える。
【背景技術】
【0004】
ダイナミックレンジは、あるシーンの最高輝度部分と最低輝度部分との強度の比である。たとえば、ビデオ投影装置で投影されたイメージは、最大300:1のダイナミックレンジを有する。
【0005】
人間の視覚システムは、非常に高いダイナミックレンジのシーンの特徴を認識することができる。たとえば、ある人は、明るく陽に晒された昼間に、陽の差し込まないガレージの暗がりをのぞき込み、隣接した陽に晒された部分の輝度がそのシーンの暗がりの部分での輝度の数千倍高いような場合でも、その暗がりの物体の細部を見ることができる。そのようなシーンの現実的な表示を生成することは、1000:1を超えるダイナミックレンジのディスプレイを必要とする。用語「高ダイナミックレンジ」は800:1以上のダイナミックレンジを意味する。
【0006】
最新のデジタルイメージ処理システムは、シーンのデジタル表現を捕捉し記録することができ、そのシーンのダイナミックレンジを保持する。コンピュータイメージ処理システムは、高ダイナミックレンジのイメージを合成することができる。しかし、現在のディスプレイ技術では、高ダイナミックレンジを忠実に再生する方法でイメージを表示することはできない。
【0007】
Blackhamらの特許文献1は、スクリーンにイメージを投影するシステムを開示する。そのシステムは、光源からの光を変調する第1光変調器と第2光変調器とを有する。それぞれの光変調器は、光源からの光をピクセルレベルで変調する。両方の光変調器で変調された光はスクリーン上に投影される。
【0008】
Gibbonらの特許文献2は、プレ変調器を含む投影システムを開示する。プレ変調器は、可変鏡ディスプレイ装置への入射光の光量をコントロールする。分かれたプレ変調器を用いて選定した領域(たとえば、ある象限)を暗くしてもよい。
【0009】
Whiteheadらの特許文献3並びに関連特許および関連特許出願は、多くの技術を説明し、とりわけ、二重変調ディスプレイの実施と改良を説明しており、そこでは変調されたバックライト(局所輝度変調とも言われる)をディスプレイのフロント変調器(たとえば、LCD)に投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,978,142号
【特許文献2】国際出願第PCT/USOl/21367号
【特許文献3】米国特許第6,891,672号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、LCDおよびLEDイメージを計算するためのプロセスを改良する必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態で、本発明は、フロント変調器と、フロント変調器を照らす変調光を生成するようになされたバックライトと、イメージ信号をバックライトコントロール信号とフロント変調器コントロール信号に処理するようになされたコントローラとを備えるディスプレイを提供し、バックライトコントロール信号とフロント変調器コントロール信号の少なくとも一つは、アーティファクトを除去し、人為的影響(artificial effect)をそれらの信号により生成されるイメージに導入するコントロール信号を含む。アーティファクトは、たとえばLCDフレアを含んでもよく、人為的影響は、たとえばベーリンググレア(veiling glare)を含んでもよい。ベーリンググレアは、たとえば、バックライトの形状により生ずる影響を最小にするようになされる。
【0013】
別の実施の形態では、本発明は、フロント変調器と、フロント変調器を照らす変調光を生成するようになされたバックライトと、イメージ信号からバックライトコントロール信号とフロント変調器コントロール信号を生成するようになされたコントローラとを備えるディスプレイを提供し、バックライトコントロール信号とフロント変調器コントロール信号の少なくとも一つはLCDフレアの発生を最小にする値の調整を含む。値の調整は、たとえば表示されるイメージの可視フレアの減少を含み、ベーリンググレアの導入は、たとえばバックライトに関連するアーティファクトを目立たなくするようになされてもよい。
【0014】
本発明はまた、ディスプレイの出力で可視であるフレアを決定する工程と、フレアが減少するようにバックライトの駆動レベルを調整する工程と、シミュレートしたベーリンググレアを追加する工程と、バックライトの形状を隠すようにベーリンググレアの形状を生成するバックライトのシミュレーションを調整する工程とを備える二重変調ディスプレイの駆動方法を含む、方法として具体化されてもよい。バックライトは、たとえばLED配列を備えてもよく、バックライトシミュレーション調整はLED配列の形状を隠す。
【0015】
さらに別の実施の形態では、本発明は、変調バックライトと該変調バックライトにより照らされたフロント変調器とを備えるディスプレイを駆動する方法であって、イメージデータからフロント変調器イメージとシミュレートしたバックライトイメージとを計算する工程と、少なくとも一つのLED「スカート」の位置を決定する工程と、ベーリンググレアをシミュレートする工程と、「スカート」がシミュレートしたグレアを超える領域を打ち消すようになされたバックライト抑制イメージを計算する工程と、バックライト抑制イメージを考慮してシミュレートしたバックライトを再計算する工程と、「見つからない」グレア光源を決定する工程と、見つからないグレア光源のそれぞれにベーリンググレアを計算する工程と、計算されたベーリンググレアを含む新しいLCDイメージを構築する工程とを備える方法を含む。フロント変調器は、たとえばLCDパネルを含み、バックライトは、たとえばLED配列を含む。バックライトは、RGB、RGBW、または、RGBプラス追加の色(単数あるいは複数)もしくは白色のLED配列でもよい。
【0016】
ベーリンググレアは、たとえば畳み込みを介してシミュレートされてもよい。領域を識別する工程は、たとえばシミュレートしたグレアを生成するのに使用される畳み込みを「スカート」のイメージから減じることを含んでもよい。識別された領域を抑制する工程は、たとえばシミュレートしたグレアの所定のイプシロンを「スカート」が超えるピクセルのそれぞれで乗算を用いることを備えてもよい。再計算の工程は、たとえばバックライト抑制イメージをバックライトシミュレーションを生成するのに用いるイメージデータの少なくとも一部に適用し、それからバックライトシミュレーションを再計算することを備えてもよい。
【0017】
装置と方法のいずれの部分も、好都合なことに、汎用コンピュータまたはネットワークコンピュータのプログラムとして実施されてもよく、その結果は、いかなる汎用コンピュータまたはネットワークコンピュータに接続された出力装置上で表示され、または、出力または表示用のリモート装置に伝達されてもよい。さらに、コンピュータプログラム、データシーケンスおよび/またはコントロール信号で表現された本発明のいかなる構成要素は、無線放送および銅線、光ケーブル、同軸ケーブル等で伝送されるものを含むがこれらには限定されない、いかなる媒体における、ある周波数の電子信号放送(または伝送)として具体化されてもよい。
【0018】
本発明のより完全な理解と本発明の付随する多くの長所は、添付の図面と関連して考慮したときに以下の詳細な説明を参照して本発明をよりよく理解すると、容易に得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、LCDフレアの図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態の実施を説明する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、LCDおよびLEDイメージを計算する既存プロセスに対する改良を備える。HDRディスプレイで適用されるのが好ましいが、本発明の原理と特徴は、二重変調ディスプレイであって、変調器の1つがLCDパネルであるディスプレイにも適用できる。ディスプレイのダイナミックレンジは、低くてよく、たとえば現在知られている変調バックライトLCDパネルのいかなるものでもよい。
【0021】
本発明の特定の改良は、暗い周囲の小さな明るい対象を照らす問題に取り組む。この場合、LCDパネルは暗い周囲でバックライト(たとえばLED)からの全ての光をブロックすることはできず、よって、これらのLEDのフレアは、ディスプレイの意図された外観を縮小する光のスカートを生成する。その対象が小さいので、輝度にベールを掛ける知覚効果ではLEDフレアを隠すのには十分ではない。LEDを用いる変調バックライトでは、その対象がディスプレイを横切って移動すると、近接するLEDはその対象を照らす必要に応じて点いたり消えたりして、これらのLEDからのフレアは可視となり、よってLED配列の形状が観察者に分かってしまう。
【0022】
ここで図面を参照する。図面では類似の符号は同一のまたは対応する部品を示す。より具体的には図1を参照すると、LCDフレア100の例が示される。図1に示されるように、フレア100は、(1)小さな白い円、(2)LEDフレア、(3)意図された黒い周囲の3つの基本的部分から成る。
【0023】
一実施の形態では、本発明は、LEDからのフレアがどこで可視となるのかを計算し、フレアが可視でなくなるまでLED駆動レベルを調整し、追加でシミュレートしたベイリンググレアをイメージに追加して明るい小さな対象をシミュレートするプロセスである。そして、追加されたグレアは、LEDバックライトシミュレーションにより調整され、LED配列形状を隠す安定したグレア形状を生成する。例示のプロセスは、たとえばディスプレイのプロセッサやコントローラで実行されるが、図2に示され、LCDフレアの計算工程210、LED駆動レベルの調整(工程220)、シミュレートしたグレアの追加(工程230)、バックライトシミュレーションの調整(工程240)を含んでいる。
【0024】
HDRディスプレイでは全ての対象のサイズに対してピーク明度とすることが難しいので、ディスプレイの輝度にベールを掛ける理想的な能力に全面的に依存することは好ましくはない。その代わり、小さな対象は、大きな対象と比較してはるかにぼやけてしか見えない。よって、小さな対象については、LCDパネルのコントラスト比は高周波数(空間)の詳細を提供する。
【0025】
上記したように、現在のLCDは、全ての光をブロックするわけではなく、よって、LCDを黒にセットしたとき、LEDバックライトからの光は弱まるが、完全に消されることはない。小さな明るい対象を照らすには、明るいLEDを用いる(大きな明かるい対象だけでは十分ではなく、小さな明るい対象も必要とされる)。残念なことに、LCDが完全な黒にセットされても、ある光は通り抜ける。
【0026】
よって、暗い(黒い)背景上の小さな明るい、たとえば円のような対象を照らすとき、一般的に3つの領域が観察される。
・小さな明るい中央の対象
・LCDの完全な黒の部分でのLEDの周囲のスカート(フレアすなわちリーク)。これは、レベルの高い駆動LED上に位置する「中央スカート」を含み、「これを囲む周囲スカート部分」はLEDの広い点広がり機能(PSF)から形成される
・LCDの更に離れた黒い部分は、LEDによってあまり照らされず、完全に黒く見える
移動LED問題(Walking LED problems)は、小さな明るい対象を明るく照らそうとすることにより拡大される。しかし、その問題の重要な点は、入力イメージからLED駆動値を計算するのに用いるダウンサンプルスキームである。
【0027】
ぼやけ修正用に設計された種々のアルゴリズムの実施において、入力イメージは、ある量のフィルタでLCDの解像度からLEDバックライトユニット(BLU)配列の解像度にスケーリング(平均)される。たとえば、ダウンサンプリングスキームは、基本的にボックスフィルタ(あるいはLED目標値を計算する他のフィルタ)でよく、その実施により、たとえば黒の上の小さな明るい対象の1ピクセルの移動のような、入力イメージの小さな変更がLEDの「目標値」をゼロへ、またはゼロからジャンプさせるシステムとなる。
【0028】
Brightside DR37−Pディスプレイプロセッサを用いて、LEDを、孤立した小さな明るい対象を十分に照らすように「過駆動(over-drive)」することができる。MATLAB上での参考実施と、DR37−Pディスプレイプロセッサでの通常作動は、LEDの周囲のブロック平均輝度レベルを用いてLED駆動レベルを決定する。よって、一般的に小さな明るい対象が一般的に照らされるのが不足し、より大きく明るい対象が小さな明るい対象の近くに移動すると、その小さな対象の明るさは増す。明るさのこの変化は好ましくはなく、スカートのアーティファクトは、小さな対象を一杯に照らそうとする、意図しない副次的影響である。
【0029】
ダウンサンプルに続いて、LED駆動値が、隣接するLEDの寄与を受けた光量を考慮しようとする「交換」プロセスにより計算される。交換工程は、均一な領域のLED駆動値を低減し、周縁や孤立した対象で駆動値を増加する鮮鋭化フィルタと考えることができる。LED駆動値は、[0.0,1.0]の範囲に制限されるので、単一のLEDは1フレームから次のフレームでオフと完全なオンの間でジャンプすることができる。
【0030】
一実施の形態では、本発明は、たとえば以下の工程で具体化される。
1.標準的方法を用いて、LCD1イメージとシミュレートしたバックライトイメージBを計算する。
2.最小LCD透過率を用いて、最終HDRディスプレイDをシミュレートする。
3.シミュレートしたディスプレイからオリジナルの(スケーリングされた)HDRであるHを減じ、LED「スカート」を位置決めする。これをイメージLとする。
4.下記のベーリンググレア畳み込み式を用いて、入力イメージの「完全な」ディスプレイと関連するベーリンググレアをシミュレートする。これをイメージGとする。グレアフィルタのサイズに+/−3LEDを用いる。
5.スカートがグレアを超過する領域を識別することにより、どこでLEDスカートが抑制されなければならないかを決定する。このことは、上記の畳み込みイメージGを(3)で計算されたスカートイメージLから減じることにより行われ、その値があるイプシロン(ここでは0.0005を用いる)を超えたならば、そのピクセルでベール/スカートの乗算を用いる。他のピクセルには、1.0(単位スケーリング)を用いる。抑制を必要とするのは実際のLED値であるので、結果として得られるイメージを最小化関数(たとえば、ガウス核)を用いてバックライト六角格子分解能にダウンサンプルする。これをバックライト抑制イメージRとする。
6.上記のスケーリングRをLEDに適用した後、調整したバックライトコントロール値を用いて(1)のようにシミュレートしたバックライトイメージを再計算する。これをBとする。
7.新しいディスプレイシミュレーションDをオリジナルの(スケーリングした)HDR入力Hから減じることにより、調整したディスプレイでの「見つからない」グレア光源を計算する。差のイメージの負の値をゼロにセットする。これをSとする。
8.(4)からの畳み込み式に上記の光源Sを用いて、見つからないフレアを決定し、観察者は経験するはずだが、明るい点は今ではぼやけているので経験しないであろう見つからないフレアを決定する。これを見つからないフレアGとする。
9.計算した「見つからないフレア」をオリジナル入力HDR値に加え、新たな目標イメージH+Gとなる。この目標を用いて、バックライトイメージBでのLCD2イメージ出力の実際の前面ピクセル値を計算する。
【0031】
結果は、観察者が、実際のフレアを経験した領域でシミュレートしたフレアのある、残りのLEDスカートを十分にマスキングした、ディスプレイとなる。
[説明]
= 物理単位
LCD1イメージ = 正規化単位
= 物理単位
= 物理単位(もともとは、正規化単位)
= 物理単位
= 物理単位
−G= 物理単位
= 正規化単位
= 物理単位
= 物理単位
= 物理単位
= 物理単位
+G = 物理単位
LCD2イメージ = 正規化単位
この計算で最も費用の掛かる部分は、ディスプレイのベーリンググレアを計算する工程4と工程8である。LCDパネルの全解像度で比較的大きなグレアフィルタを用いるよりは、グレアフィルタを低周波数成分と高周波数成分に分離して、
・低周波数成分をダウンサンプルされたイメージに適用し、それからその結果をアップスケールする、
・高周波数成分をオリジナルイメージに適用する、
・2つの結果を一緒に足し合わせる。
【0032】
この計算で次に費用の掛かる部分は、バックライトをシミュレートする工程1と工程6である。1つのオプションでは、工程1の結果を用い、それを工程6でLEDの値が大きな量(または、どんな量でも)変化したときだけ調整する。このことは、光照射野シミュレーション計算を、ディスプレイの全てのLEDに対してではなく、変化するLED値に対してに制限する。しかし、入力のどんなフレームの全バックライトを計算するのに十分な処理能力が与えられる。
【0033】
最後に、標準的方法を用いて工程1でLCD1とB1を計算するのではなく、一つの代案として大きな誤差(たとえば全ての/または多くのLEDを点灯する)で開始して、アルゴリズムにそれらを小さくさせる(工程2−9)。
【0034】
緩和アルゴリズムは、LEDの値を最初に設定するのに用いるダウンサンプルアルゴリズムに敏感にとてもなり易い。アルゴリズム対種々のダウンサンプルスキームの性能の分析によれば、それでも、LEDはオフからオンへそしてオフへの急激な切り換えに、イメージ中の小さな明るい対象の位置に非常に敏感であるダウンサンプルスキームを与える。
【0035】
重大なパラメータは、ベイリング輝度関数(これは、観察者の広い分類に対してほぼ同じ関数であり、特定のディスプレイに縛られない)である。
本発明で実施される緩和技術は、黒い周囲の小さな明るい対象を照らす問題を解決するためのプロセスを含む。そのプロセスでは、先ずイメージの対象に対する予測ベーリンググレアを見直し/決定し、それを超えるLEDスカートを抑制する。それから、プロセスは、見つからない刺激から存在するフレアのシミュレーションを加える。プロセスは、太陽や他の強いハイライトなど、通常存在するよりも遥かに明るい光源をシミュレートする追加の利益を有する。
【0036】
本発明による例示的緩和技術は以下の工程を備える。
(1)LED駆動値を計算し、シミュレートしたバックライトイメージを計算し、LCDイメージを計算する工程。
(2)最小LCD透過率を用いて最終HDRをシミュレートする工程。
(3)シミュレートしたディスプレイからオリジナルの(スケーリングした)HDRを減じてLED「スカート」を位置決めする工程。
(4)畳み込み核を用いて、入力イメージの「完全な」ディスプレイと関連するベーリンググレアをシミュレートする工程。
(5)スカートがグレアを超過する領域を識別することによりどこでLEDスカートを抑制すべきかを決定する工程。スカートがグレアを超過する領域を識別することは、(3)で計算したLEDスカートイメージから畳み込みイメージを減じることにより行われ、その値がイプシロン(たとえば、0.0005)を超えたとき、そのピクセルにベール/スカートの乗算を用いる。他のピクセルには、たとえば、単位スケーリング(1.0)を用いる。抑制を必要とするのは実際のLED値であるので、結果として得られるイメージをバックライト六角格子分解能にダウンサンプルする。ダウンサンプルすることは、たとえば、工程(1)でLED駆動値を計算するのに用いたのと同じダウンサンプル関数(たとえば、最小化関数{理想的に}、ガウス核など)を用いて行われる。
(6)調整したバックライトコントロール値を用いて(1)と同様にシミュレートしたバックライトイメージを再計算する工程。
(7)新たなディスプレイシミュレーションをオリジナルの(スケーリングした)HDR入力から減じて、調整したディスプレイにおける「見つからない」グレア光源を計算する工程。差のイメージにおける負の値をゼロにセットする。
(8)見つからないフレアを決定するために(4)からの畳み込み式での上記の光源を用いる工程。見つからないフレアは、観察者が経験するはずであったが、今は明るいポイントがあまりにぼやけているので経験しないであろう。
(9)計算した「見つからない」フレアをオリジナルの入力HDR値に加えて新たな目標イメージに到達する工程。この目標をLCD出力用の実際の前面ピクセル値を計算するのに用いる工程。
【0037】
工程(4)の畳み込み核は、たとえば、次のように表わされる。
for angle = [0:degreesPerPixel:max_angle]
if angle < 0.5
mag (index) = 9.2 / (0.5^2);
else
mag (index) = 9.2 / (angle^2);
end
index++
end
他に使用可能な畳み込みは以下に類似したものである。
【0038】
convolve[t=0,max_theta] ((1.58724464>t) ?
9.2 / ((t>.00291)?t:.00291)^3.44 :
9.2 * (1.5+t)/t)) ;
離心率(角)は角ピクセルからの角度で表現され、予測による見える距離に基づいて計算される。max_angleは、おおよそ1と4のLED間隔の間であるのが典型的で、見える距離に基づき、たとえば7度に設定され、あるいは、畳み込み式がその最大値のパーセントの1/2未満に低下するとangle=0に設定される。
【0039】
このプロセスの結果は、観察者が実際のフレアを経験したはずの領域での、残りのLEDスカートをマスキングするのに十分な、シミュレートしたフレアを有するディスプレイとなる。
【0040】
上記のプロセスあるいは技術は、たとえば、図3に示す構造300を備える二重変調ディスプレイで実施される。イメージデータ305はコントローラ310に入力され、プロセッサ320を含むコントローラにより処理され、プロセッサ320は、フレア識別装置322、駆動レベル調整装置324、ベールシミュレータ326、バックライトシミュレーション調整装置328を含み、それぞれは、上記のプロセス/技術の1つ以上に従って構成される。
【0041】
バックライトインターフェース330は、LED配列350を駆動するデータを提供し、LCDインターフェースはフロントパネル360のLCDを駆動するように構成される。LED配列350とフロントパネル360のLCDは、上記のプロセスや技術の1つ以上に従って計算され/調整されるように二重変調を提供する。
【0042】
図面に示された本発明の好適な実施の形態の説明において、明確化のために特定の専門用語を用いる。しかし、そのように選定された特定の専門用語に本発明を限定することは意図しておらず、それぞれの技術的要素は、類似の方法で作動する技術的に均等なもの全て含むことを理解すべきである。たとえば、LED BLUと記載したとき、レーザまたはシリコンベースの光アレイのようなもの、シリコン反射アレイ(たとえば、LCoS)、DLP上のレーザ、電子ペーパー、有機光源(たとえば、OLED)、あるいは、均等な機能や能力を有する他の光源装置など、いかなる他の均等な装置が、本書に記載されたか否かに関わらず、記載したものに取って代わることができる。さらに、本発明者らは、現在知られていない新たに開発された技術が、説明した部分に取って代わりうることも理解しており、それらも本発明の範囲から離れるものではない。二重変調ディスプレイシステム、サンプラ、フィルタ、LCD、LED等を含むがそれらには限定されない全ての他の説明した項目もまた、いかなる全ての使用しうる均等物を考慮して理解されなければならない。
【0043】
本発明の一部分は、コンピュータ技術の当業者にとっては明らかなように、本開示による教示に従ってプログラムされたマイクロプロセッサまたは専用デジタルコンピュータまたは従来の汎用コンピュータを用いて、都合よく実施される。
【0044】
適切なソフトウェアコーディングは、ソフトウェア技術の当業者にとっては明らかなように、本開示による教示に基づいて優れたプログラマにより容易に作成できる。本発明を、本開示に基づいて当業者には明らかなように、特定用途向け集積回路の作成により、または、従来の構成回路の適切なネットワークを相互連結することにより実施してもよい。
【0045】
本発明は、本発明のあるプロセスをコンピュータが実行するようにさせる、またはコントロールするのに使用される命令をそこに有する記憶媒体である、コンピュータプログラム製品を含む。記憶媒体は、フロッピディスク、ミニディスク(MD)、光ディスク、DVD、HD−DVD、ブルーレイ、CD−ROM、CDもしくはDVD RW+/−、マイクロドライブ、および、光磁気ディスクを含むいかなるタイプのディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM,DRAM、VRAM、フラッシュメモリ装置(フラッシュカード、メモリスティックを含む)、磁気または光カード、SIMカード、MEMS、ナノシステム(分子メモリICを含む)、RAID装置、リモートデータストレージ/アーカイブ/貯蔵、あるいは、命令および/またはデータを記憶するのに適したいかなるタイプの媒体や装置を含むが、これらには限定されない。
【0046】
コンピュータ可読媒体のいずれか1つに記憶されて、本発明は汎用/専用コンピュータのハードウェアまたはマイクロプロセッサのいずれをもコントロールし、コンピュータまたはマイクロプロセッサがユーザまたは本発明の結果を利用する別の機構と情報交換できるようにするソフトウェアを含む。そのようなソフトウェアには、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、および他のユーザアプリケーションが含まれるが、これらには限定されない。最終的に、そのようなコンピュータ可読媒体は、上記のように、本発明を実行するソフトウェアをさらに含む。
【0047】
汎用/専用コンピュータまたはマイクロプロセッサのプログラミング(ソフトウェア)には、イメージのバックライトと最終的なディスプレイを計算/シミュレートすること、イメージ、イメージの対象、収差、フレア、グレア、スカート、ベール、および、本発明のプロセスの結果のディスプレイ、記憶または通信を識別し、加え、減じ、畳み込みおよび比較する計算を含むが、これらには限定されない本発明の教示を実施するソフトウェアモジュールが含まれる。
【0048】
本発明は、本発明の要素、一部あるいは特徴のいずれか、またはそれらの均等物を適切に備え、それらからなり、または、それらから基本的になる。さらに、本書で説明として開示された本発明は、具体的に本書で開示されていてもいなくても、ある要素がなくても実行できる。明らかに、本発明の数値の修正や改変は上記の教示を踏まえれば可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本書で具体的に説明されたのとは別に、本発明は実行することができる。
【符号の説明】
【0049】
300:二重変調ディスプレイ(二重変調装置)、330:バックライトインターフェース(第1の変調システム)、340:LCDインターフェース(第2の変調システム)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察者によって見られるべきイメージを投影するように構成された二重変調装置を駆動する方法であって、
第1の変調光を生成するように構成された第1の変調システムのために、所望のイメージデータに基づいて第1の駆動信号を計算すること、
前記観察者によって見られるべき前記イメージを生成するように前記第1の変調光をさらに変調するように構成された第2の変調システムのために、前記イメージデータに基づいて第2の駆動信号を計算することを備え、
前記第1の駆動信号および前記第2の駆動信号のうちの少なくとも一つは、前記観察者によって見られるべき前記イメージの比較的暗い領域において高輝度部分を囲むスカート効果を取り除き、且つ前記観察者によって見られるべき前記イメージにアーティフィシャルグレアを付与するように調整される変調信号を含む、方法。
【請求項2】
前記アーティフィシャルグレアの形状は、バックライトの可視である領域を最小化する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アーティフィシャルグレアは、安定したグレアを含むシミュレーションしたベーリンググレアを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の駆動信号は、光アレイからのレーザを制御するように構成された信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の駆動信号を、DLP装置上のレーザを含む前記第1の変調システムに適用することを備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
DLP上のレーザを有する前記第2の変調システムを照明すること、
前記第2の駆動信号を前記第2の変調システムに適用することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アーティフィシャルグレアは、ベーリンググレアを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
レーザー光およびLED源のうちの少なくとも1つを含む複数の光源を含む前記第1の変調システムに前記第1の駆動信号を適用する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
イメージを表示するディスプレイであって、
前記イメージを投影するように構成された一連の光学要素であって、
第2の変調システムの変調器上に光パターンを投影するように構成される照明要素のアレイを含む第1の変調システムと、
光パターンを変調して前記イメージを生成するように構成される第2の変調システムと、
前記第1及び第2の変調システムを活性化させて、前記イメージのスカート効果又はフレアを最小化し、ディスプレイの望ましくないアーティファクトを目立たなくするアーティフィシャル効果を付与するように構成されるコントローラとを含む、前記一連の光学要素を備える、ディスプレイ。
【請求項10】
前記アーティフィシャル効果は、最小化されたスカート効果又はフレアを含む前記イメージの領域に付与されたアーティフィシャルグレアである、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記望ましくないグレアは、移動アーティファクトを含み、前記アーティフィシャル効果は、安定したグレアを含む、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記第1の変調システムは、DLP装置上のレーザを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記アーティフィシャル効果は、二重変調ディスプレイの第1の変調システムの1個から4個の照明要素に対応する表示されるべきイメージの領域を畳み込みする畳み込み核に基づくアーティフィシャルグレアである、請求項12に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記第1の変調システムは、複数のLED、LEDアレイ、レーザ、デジタル光処理(DLP)装置、変調に基づくマイクロミラー、反射シリコン変調器、DLPシステム上のレーザのうちの少なくとも1つを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記アーティフィシャル効果は、0度の視野角で最大値のパーセントの1/2未満に低下する値を生成する小さな明るい領域を含む表示すべきイメージの領域の畳み込みに基づく、請求項14に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記畳み込みは、高ダイナミックレンジ(HDR)イメージデータ上で実行され、前記ディスプレイは、1000:1以上のコントラスト比を有する高ダイナミックレンジ(HDR)を生成する、請求項15に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記第1の変調システムは、シリコン上の液晶(LCoS)変調器を含み、
前記畳み込みは、HDRイメージデータ上で実行され、前記ディスプレイは、1000:1以上のコントラスト比を有する高ダイナミックレンジ(HDR)を生成する、請求項9〜11のいずれか1項に記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−77020(P2013−77020A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274608(P2012−274608)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2010−542311(P2010−542311)の分割
【原出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(507236292)ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション (82)
【Fターム(参考)】