説明

LED基板用電気的接続装置

【課題】両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれを十分に吸収し、実装のために必要なスペースの省スペース化を図るLED基板用電気的接続装置を提供する。
【解決手段】第1端子21及び第1ハウジング22を有する第1コネクタ11aは、LED基板101に実装される。第2端子31及び第2ハウジング32を有する第2コネクタ12aは、LED基板102に実装される。第1端子21がLED基板101に電気的に接続されて固定される。第2端子31がLED基板102に電気的に接続されて固定される。第1及び第2ハウジング(22、32)が嵌合し、第1及び第2端子(21、31)が電気的に接続される。第1端子21は、LED基板101に対して、第1及び第2ハウジング(22、32)の嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続する、LED基板用電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2に開示されているように、基板同士を電気的に接続する基板用電気的接続装置が知られている。特許文献1に開示された基板用電気的接続装置は、一方のプリント回路基板に装着される一方のコネクタと、他方のプリント回路基板に装着される他方のコネクタと、を備え、これらのコネクタが嵌合することで、プリント回路基板同士を電気的に接続するように構成されている。
【0003】
上記の一方のコネクタには、端子(10)のコンタクト部(11)を保持するコンタクト部ハウジング(2)と、端子(10)のテール部(12)を保持するテール部ハウジング(3)とが設けられている。コンタクト部(11)は、他方のコネクタの端子に接触する部分を構成し、テール部(12)は、一方のプリント回路基板に実装される部分を構成している。そして、端子(10)には、コンタクト部(11)とテール部(12)との間に設けられてこれらを一体的に連結する可撓連結部(13)が備えられている。この可撓連結部(13)は、屈曲形成された部分を有するU字状部(14)が複数直列に連結されることで構成されている。
【0004】
特許文献1に開示された基板用電気的接続装置における一方のコネクタには、複数の屈曲形成された部分を有するためにコネクタにおいて相対的に大きなスペースを占有する弾性構造部分としての可撓連結部(13)が設けられている。これにより、この基板用電気的接続装置は、一方のコネクタと他方のコネクタとが嵌合している際の両コネクタの相対的な位置のずれが吸収されるように構成されている。
【0005】
特許文献2に開示された基板用電気的接続装置は、一方の回路基板に実装されるソケットコネクタと、他方の回路基板に実装されるプラグコネクタと、を備え、これらのコネクタが嵌合することで、対向配置された回路基板同士を電気的に接続するように構成されている。そして、ソケットコネクタには、ハウジング要素としてのインナーモールディング(20)、アウターモールディング(30)及びカバーモールディング(60)と、複数の端子(40)と、が備えられている。インナーモールディング(20)は相手方のプラグコネクタに嵌合し、アウターモールディング(30)はインナーモールディング(20)の外側に設けられ、カバーハウジング(60)はアウターモールディング(30)の外側に設けられる。
【0006】
更に、上記のソケットコネクタにおける各端子(40)には、インナーモールディング(20)の溝に圧入される第1基部(41)、アウターモールディング(30)の溝に圧入される第2基部(42)、カバーモールディング(60)の溝に圧入される第3基部(43)、一方の回路基板に半田付けされるテール部(47)、が設けられている。更に、各端子(40)には、第1基部(41)と第2基部(42)とを連結する逆U字状の第1変位吸収部(45)、第2基部(42)と第3基部(43)とを連結する逆U字状の第2変位吸収部(46)、が設けられている。第1変位吸収部(45)及び第2変位吸収部(46)には、それぞれ屈曲形成された部分が設けられている。
【0007】
特許文献2に開示された基板用電気的接続装置におけるソケットコネクタには、複数の屈曲形成された部分を有するために比較的大きなスペースを占有する弾性構造部分としての第1変位吸収部(45)及び第2変位吸収部(46)が設けられている。これにより、この基板用電気的接続装置は、ソケットコネクタとプラグコネクタとが嵌合している際の両コネクタの相対的な位置のずれが吸収されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−44063号公報
【特許文献2】特開2007−109600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続するためのLED基板用電気的接続装置として、特許文献1又は特許文献2に開示された基板用電気的接続装置を用いることができる。特許文献1又は特許文献2に開示された基板用電気的接続装置は、一方のコネクタの端子において、複数の屈曲形成された部分を有するためにコネクタにおいて相対的に大きなスペースを占有する弾性構造部分が設けられている。この弾性構造部分により、特許文献1又は特許文献2に開示された基板用電気的接続装置は、各基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれが吸収されるように構成されている。
【0010】
しかしながら、一方のコネクタの端子に設けられて両コネクタ嵌合時の相対的な位置ずれを吸収する上記の弾性構造部分は、複数の屈曲形成された部分を有するためにコネクタにおいて相対的に大きなスペースを占有してしまうことになる。このため、特許文献1及び特許文献2に開示された基板用電気的接続装置は、実装のために必要なスペースの増大を招いてしまうことになる。よって、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができるLED基板用電気的接続装置の実現が望まれる。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれを十分に吸収することができるとともに、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができるLED基板用電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための第1発明に係るLED基板用電気的接続装置は、LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続する、LED基板用電気的接続装置であって、前記LED基板として設けられた第1LED基板に対して実装される第1コネクタと、前記第1LED基板に電気的に接続される前記LED基板として設けられた第2LED基板に対して実装されるとともに前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、を備えている。そして、第1発明に係るLED基板用電気的接続装置は、前記第1コネクタは、前記第1LED基板の導電部に対して電気的に接続されるとともに当該第1LED基板に固定される第1端子と、前記第1端子を保持する第1ハウジングと、を有し、前記第2コネクタは、前記第2LED基板の導電部に対して電気的に接続されるとともに当該第2LED基板に固定される第2端子と、前記第2端子を保持する第2ハウジングと、を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合することで、前記第1端子と前記第2端子とが電気的に接続され、前記第1端子及び前記第2端子のうちの少なくともいずれか一方が、前記LED基板に対して、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持されることを特徴とする。
【0013】
この発明によると、第1コネクタは、その第1端子において、第1LED基板に電気的に接続されるとともに固定される。一方、第2コネクタは、その第2端子において、第2LED基板に電気的に接続されるとともに固定される。そして、第1及び第2コネクタにおいて、LED基板に固定された第1及び第2端子のうちの少なくともいずれか一方が、第1及び第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持されている。このため、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれが、嵌合方向に沿って片持ち状に突出した端子が撓むことで吸収され、電気的接続が維持されることになる。また、両コネクタの相対的な位置ずれを吸収して電気的接続を維持する端子は、両コネクタの嵌合方向に沿って突出する構造のため、両コネクタの相対的な位置ずれをコンパクトなスペースにおいて効率よく十分に吸収することができる。これにより、両コネクタ嵌合時の相対的な位置ずれを吸収する端子の構造が大幅にコンパクト化され、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができる。即ち、本発明のLED基板用電気的接続装置では、従来技術のような、複数の屈曲形成された部分を有するためにコネクタにおいて相対的に大きなスペースを占有してしまう弾性構造部分が設けられておらず、大幅な省スペース化が図られることになる。
【0014】
従って、本発明によると、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれを十分に吸収することができるとともに、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができるLED基板用電気的接続装置を提供することができる。
【0015】
第2発明に係るLED基板用電気的接続装置は、第1発明のLED基板用電気的接続装置において、前記第1ハウジングは、プラグハウジングとして設けられ、前記第2ハウジングは、前記プラグハウジングの端部が挿入される開口が設けられたリセプタクルハウジングとして設けられ、前記第1端子が、前記第1LED基板に対して、前記嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持され、前記プラグハウジングは、前記第1端子をそれぞれ保持するとともに分離形成された複数のハウジング部材を有していることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、リセプタクルハウジングとしての第2ハウジングに嵌合するプラグハウジングとしての第1ハウジングが、撓み可能に突出する第1端子を保持するとともに分離形成された複数のハウジング部材で構成される。このため、第1端子及びプラグハウジングを有して構成される第1コネクタが、プラグハウジングが分離されている箇所において、より撓み易い構造となる。これにより、LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれを更に吸収しやすい構造を、プラグハウジングを分離形成することで容易に構築することができる。
【0017】
第3発明に係るLED基板用電気的接続装置は、第2発明のLED基板用電気的接続装置において、前記第1コネクタは、前記第1端子とは別体の金属部材として設けられて前記第1LED基板に対して固定される第1固定金具、を更に備え、複数の前記ハウジング部材として、前記第1端子における前記第1LED基板の導電部に接続される端部側である接続端部側で当該第1端子の一部を覆う接続側ハウジング部材と、前記第1端子における片持ち状に突出する端部側である先端側で当該第1端子の一部を覆う先端側ハウジング部材と、が設けられ、前記先端側ハウジング部材が前記第1LED基板に対して相対的に変位可能な範囲である可動範囲が、前記第1固定金具によって規制されることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、先端側ハウジング部材と接続側ハウジング部材とが分離されているため、第1端子の先端側とともに先端側ハウジング部材が変位した際であっても、その先端側ハウジング部材の変位の影響が接続側ハウジング部材に伝達され難い構造が構築されることになる。よって、第1端子における第1LED基板の導電部に接続される部分に負荷が作用し難いコネクタ構造を容易に実現することができる。また、本発明によると、第1コネクタは、第1端子とは別体の第1固定金具によっても第1LED基板に取り付けられるため、第1コネクタを第1LED基板に対してより強固に取り付けることができる。そして、第1固定金具は、先端側ハウジング部材の可動範囲を規制するため、先端側ハウジング部材とともに第1端子が過度に変形してしまうことを防止することができる。
【0019】
第4発明に係るLED基板用電気的接続装置は、第2発明又は第3発明のLED基板用電気的接続装置において、前記プラグハウジングは、前記第1LED基板に対して、前記第1端子とともに撓み可能に設けられていることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれが、第1LED基板に対して第1端子とともに撓むプラグハウジングにおいても効率よく吸収されることになる。
【0021】
第5発明に係るLED基板用電気的接続装置は、第2発明乃至第4発明のいずれかのLED基板用電気的接続装置において、前記第2コネクタは、前記第2端子とは別体の金属部材として設けられて前記第2LED基板に対して固定されるとともに、前記リセプタクルハウジングを前記第2LED基板に対して保持する第2固定金具、を更に備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明によると、第2コネクタは、第2端子とは別体の第2固定金具によっても第2LED基板に固定されるため、第2コネクタを第2LED基板に対してより強固に取り付けることができる。また、第2固定金具が、リセプタクルハウジングとしての第2ハウジングにおける開口の周囲に設けられた場合は、プラグハウジングとリセプタクルハウジングとの嵌合部分における強度の向上を図ることができる。
【0023】
第6発明に係るLED基板用電気的接続装置は、第2発明乃至第5発明のいずれかのLED基板用電気的接続装置において、前記リセプタクルハウジングにおける前記開口に挿入される前記プラグハウジングの端部の外面は、前記開口の内面に対して隙間を介して対向することを特徴とする。
【0024】
この発明によると、リセプタクルハウジングの開口の内面とプラグハウジングの端部の外面との間のコンパクトな隙間スペースにおいても、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれが、効率よく吸収されることになる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、各LED基板に実装された両コネクタが嵌合している際の相対的な位置のずれを十分に吸収することができるとともに、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができるLED基板用電気的接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係るLED基板用電気的接続装置及びそのLED基板用電気的接続装置によって接続されたLED基板を示す斜視図である。
【図2】図1に示すLED基板用電気的接続装置及びその近傍を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示すLED基板用電気的接続装置の接続が解除されている状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示すLED基板用電気的接続装置における第1コネクタを示す斜視図である。
【図5】図4に示す第1コネクタの平面図である。
【図6】図4に示す第1コネクタの正面図である。
【図7】図4に示す第1コネクタの側面図である。
【図8】図4に示す第1コネクタの底面図である。
【図9】図5のA−A線矢視位置から見た断面図である。
【図10】図5のB−B線矢視位置から見た断面図、及び、図6のC−C線矢視位置から見た断面図である。
【図11】図2に示すLED基板用電気的接続装置における第2コネクタを示す斜視図である。
【図12】図11に示す第2コネクタの平面図である。
【図13】図11に示す第2コネクタの正面図である。
【図14】図11に示す第2コネクタの側面図である。
【図15】図11に示す第2コネクタの底面図である。
【図16】図12のD−D線矢視位置から見た断面図である。
【図17】図12のE−E線矢視位置から見た断面図、F−F線矢視位置から見た断面図、及び、G−G線矢視位置から見た断面図である。
【図18】図2に示すLED基板用電気的接続装置において両コネクタが嵌合している際の相対的な位置ずれが吸収されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続する、LED基板用電気的接続装置として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態に係るLED基板用電気的接続装置1(以下、単に「電気的接続装置1」ともいう)及びその電気的接続装置1によって接続されたLED基板(101、102)を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す電気的接続装置1及びその近傍を拡大して示す斜視図である。また、図3は、図2に示す電気的接続装置1の接続が解除されている状態を示す斜視図である。尚、図2及び図3において、LED基板(101、102)は、その一部が図示されている。
【0029】
図1乃至図3に例示するLED基板(101、102)は、平板状に形成されるとともに直線状に延びて長手方向を有するリジッド基板として設けられている。LED基板(101、102)としては、本実施形態の第1LED基板を構成するLED基板101(以下、「第1LED基板101」ともいう)と、本実施形態の第2LED基板を構成するLED基板102(以下、「第2LED基板102」ともいう)と、が設けられている。そして、LED基板(101、102)のそれぞれは、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)を含むLEDチップ103が複数表面実装された基板として構成されている。複数のLEDチップ103は、各LED基板(101、102)に対して、その長手方向に沿って直列に並んで設置されている。
【0030】
LED基板(101、102)は、例えば、照明装置、又は、ディスプレイ装置、或いは、ディスプレイ装置のバックライト、等において用いられる。このLED基板(101、102)のいずれか一方は、給電用の電源基板(図示を省略)に接続される。この電源基板からLED基板(101、102)の全てのLEDチップ103への給電が行われることになる。そして、LED基板101及びLED基板102は、電気的接続装置1によって電気的及び機械的に接続される。
【0031】
図1乃至図3に示すように、LED基板(101、102)同士を電気的に接続する電気的接続装置1は、一対の第1コネクタ11(11a、11b)と、一対の第2コネクタ12(12a、12b)とを備えて構成されている。一対の第1コネクタ11は、第1LED基板101に対して実装される。一対の第2コネクタ12は、第1LED基板101に接続される第2LED基板102に対して実装されるとともに、一対の第1コネクタ11に対して接続される。
【0032】
図2は、一対の第1コネクタ11と一対の第2コネクタ12とが接続された状態を示しており、図3は、一対の第1コネクタ11と一対の第2コネクタ12との接続が解除された状態を示している。一対の第1コネクタ11は、第1LED基板101の表面にそれぞれ実装される第1コネクタ11a及び第1コネクタ11bを備えて構成されている。一対の第2コネクタ12は、第2LED基板102の表面にそれぞれ実装される第2コネクタ12a及び第2コネクタ12bを備えて構成されている。
【0033】
一対の第1コネクタ11と一対の第2コネクタ12とが接続されるときには、第1コネクタ11aと第2コネクタ12aとが接続され、第1コネクタ11bと第2コネクタ12bとが接続される。このとき、第1コネクタ(11a、11b)及び第2コネクタ(12a、12b)が嵌合することで、第1コネクタ(11a、11b)及び第2コネクタ(12a、12b)が機械的に接続されるとともに電気的にも接続される。尚、第1コネクタ11a及び第2コネクタ12aが、正極及び負極のうちの一方に対応し、第1コネクタ11b及び第2コネクタ12bが、正極及び負極のうちの他方に対応している。
【0034】
第1コネクタ11a及び第1コネクタ11bは、同様に構成されている。そして、第1コネクタ11a及び第1コネクタ11bは、第1LED基板101に対して、同様の形態で実装される。このため、以下の説明では、同様に構成される第1コネクタ(11a、11b)のうちの一方の第1コネクタ11aの構成について説明し、他方の第1コネクタ11bの構成についての説明を省略する。
【0035】
図4は、第1コネクタ11aを示す斜視図である。尚、図4の斜視図は、図2とは異なる角度から見た第1コネクタ11aの状態を示している。図5は、第1コネクタ11aの平面図である。図6は、第1コネクタ11aの正面図である。図7は、第1コネクタ11aの左側面図(図7(a))及び右側面図(図7(b))である。図8は、第1コネクタ11aの底面図である。図9は、図5のA−A線矢視位置から見た断面図である。図10は、図5のB−B線矢視位置から見た断面図(図10(a))、及び、図6のC−C線矢視位置から見た断面図である。図1乃至図10に示す第1コネクタ11aは、第1端子21、第1ハウジング22、第1固定金具23、等を備えて構成されている。
【0036】
第1端子21は、第1LED基板101の表面に回路パターンとして設けられた導電部に対して電気的に接続されるとともに第1LED基板101に対して固定される導電部材として設けられている。この第1端子21は、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第1端子21の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。
【0037】
また、第1端子21には、第1コネクタ11aが第1LED基板101の表面に実装された状態で第1LED基板101の表面と平行な方向に沿って平板状に細長く延びるように設置される本体部分21aが設けられている(図5、図6、図8〜図10を参照)。尚、本実施形態では、本体部分21aは、その長手方向における途中位置の複数個所にて幅方向寸法(長手方向に垂直な方向の寸法)が変化するように構成されている。
【0038】
そして、第1端子21には、本体部分21aの長手方向における一方の端部側において、折り曲げ形成された接続端部21bが設けられている(図5、図7〜図9)。この接続端部21bは、第1端子21における第1LED基板101の導電部に接続される端部として設けられている。即ち、この接続端部21bが、はんだ付けによって、第1LED基板101の導電部に対して電気的に接続され、且つ、第1LED基板101に対して固定される。
【0039】
また、第1端子21には、本体部分21aの長手方向における他方の端部側において、本体部分21aの長手方向に沿って細長い板状に突出する接点部分21cが設けられている(図4、図5、図9を参照)。この接点部分21cは、第1コネクタ11aが第2コネクタ12aに接続するときに、第2コネクタ12aにおける後述の第2端子31に対して電気的に接続される部分として設けられている。そして、第1端子21は、第1コネクタ11aが第1LED基板101に実装された状態で、接点部分21c及び本体部分21aにおいて、第1LED基板101の表面と平行な方向に沿って接点部分21c側に向かって突出するように、第1LED基板101に設置される。これにより、第1端子21は、第1LED基板101に対して、第1コネクタ11aの第1ハウジング22と後述の第2コネクタ12aの第2ハウジング32との嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持される。
【0040】
第1ハウジング22は、第1端子21を保持する要素として構成され、本実施形態では、プラグハウジングとして設けられている。そして、プラグハウジングとして設けられた第1ハウジング22は、第1端子21をそれぞれ保持するとともに分離形成された複数のハウジング部材(24、25)を備えて構成されている(図4〜図10を参照)。更に、プラグハウジングとして設けられた第1ハウジング22は、第1LED基板101に対して、第1端子21とともに撓み可能に設けられている。
【0041】
第1ハウジング22における複数のハウジング部材(24、25)は、絶縁性材料である樹脂材料で形成され、ブロック状の部材として設けられている。ハウジング部材(24、25)を形成するための樹脂材料としては、例えば、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)やPA(ポリアミド、polyamide)、等の材料を用いることができる。また、ハウジング部材(24、25)の成形時は、第1端子21が一体化される同時成形が行われる。これにより、ハウジング部材(24、25)には、第1端子21が一体に組み込まれて保持されている。
【0042】
本実施形態では、複数のハウジング部材(24、25)として、接続側ハウジング部材24と、先端側ハウジング部材25と、が設けられている。接続側ハウジング部材24は、第1端子21の接続端部21b側でこの第1端子21の一部を覆うハウジング部材として設けられている。先端側ハウジング部材25は、第1端子21における片持ち状に突出する端部側である先端側で第1端子21の一部を覆うハウジング部材として設けられている。
【0043】
接続側ハウジング部材24及び先端側ハウジング部材25は、第1端子21の長手方向に沿って直列に設置されている。そして、接続側ハウジング部材24及び先端側ハウジング部材25は、いずれも、第1端子21に対して直接的に固定された状態であり、第1LED基板101に対しては第1端子21を介して支持されている。また、接続側ハウジング部材24と先端側ハウジング部材25とは、それらの隣り合う端部同士において、空間26を介して対向している。
【0044】
また、接続側ハウジング部材24における先端側ハウジング部材25に対向する側と反対側の端部からは、第1端子21の接続端部21bが露出している。また、先端側ハウジング部材25には、ブロック状に形成された本体部25aと、本体部25aから片持ち状に第1端子21の長手方向に沿って突出する突出部25bと、が設けられている。
【0045】
突出部25bは、本体部25aに対して、本体部25aにおける接続側ハウジング部材24に対向する側と反対側の端部側から突出している。そして、突出部25bには、第1端子21における接点部分21cが保持されている。接点部分21cは、突出部25bに対して、この突出部25bにおける第1LED基板101に対向する側と反対側において露出した状態で設置されている。接点部分21cは、この露出した部分において、第2コネクタ12aの第2端子31に接触して電気的に接続される。尚、本実施形態では、接点部分21cは、突出部25bに対して、この突出部25bにおける第1LED基板101に対向する側においても、一部露出した状態で設置されている。
【0046】
第1固定金具23は、第1端子21とは別体の金属部材として設けられて第1LED基板101に対して固定される部材として構成されている。この第1固定金具23は、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第1固定金具23の表面には、例えば、すずめっき、等のめっき処理が施されている。
【0047】
また、第1固定金具23には、一体に形成された、側壁部23a、固定部23b、及び係止突起23c、が設けられている(図4〜図6、図8〜図10を参照)。側壁部23aは、第1ハウジング22の先端側ハウジング部材25における本体部25aに対して、第1端子21の長手方向に対して直交する方向の両側に配置される。そして、側壁部23aは、本体部25aの両側の壁面に沿って平行に延びる一対の壁状部分として設けられている。
【0048】
固定部23bは、第1固定金具23において第1LED基板101に対して固定される部分として構成され、本体部25aの両側に一対で配置される側壁部23a同士を架橋して連結するように設けられている。この固定部23bは、一対の側壁部23aをそれぞれ連結するように平行に延びる一対の細長い板状の部分として形成され、本体部25aに対して、第1LED基板101側に配置される。そして、固定部23bが第1LED基板101に対してはんだ付けされることによって、第1固定金具23が第1LED基板101に対して固定される。尚、固定部23bに対して折り曲げられて形成された各側壁部23aは、固定部23bに対して、略直交する方向に延びるように設けられている。
【0049】
また、各側壁部23aには、中央部分において、孔状に貫通形成された開放領域が設けられている。そして、第1固定金具23においては、係止突起23cが、各側壁部23aから、各側壁部23aの内側の開放領域に向かって片持ち状に突出するように設けられている。係止突起23cは、各側壁部23aに対応して一対設けられている。そして、各係止突起23cは、各側壁部23aにおける固定部23b側と反対側の端部から固定部23b側に向かって、且つ、第1固定金具23の若干内側に向かって(本体部25a側に斜めに向かって)突出するように設けられている。
【0050】
また、先端側ハウジング部材25の本体部25aにおける各側壁部23aに対向する各側面には、凹み形成された係止溝25cがそれぞれ設けられている。各係止溝25cは、各側壁部23aに対向する本体部25aの各壁面において、本体部25aの内側に向かって凹むとともに、第1LED基板101側と反対側が開口し、第1LED基板101側に端面を有するように、形成されている。そして、第1固定金具23の各係止突起23cにおける突出する先端側の端部は、各係止溝25cにおける上記の端面に対して当接して係止可能に配置されている。また、図6においてよく示されるように、各係止突起23cの先端側の端部と各係止溝25cの上記の端面との間には、機械的な遊び部分としての隙間が設定されている。
【0051】
上記のように、第1固定金具23は、第1LED基板101に対して、固定部23bにおいて固定され、第1ハウジング22に対しては固定されていない。そして、第1端子21とともに第1ハウジング22が撓み、先端側ハウジング部材25が、係止突起23cの端部と係止溝25cの端面との間の隙間がなくなる位置まで変位することで、係止突起23cと係止溝25cとの係止によって、先端側ハウジング部材25の変位量が規制されることになる。即ち、第1コネクタ11aにおいては、先端側ハウジング部材25が第1LED基板101に対して相対的に変位可能な範囲である可動範囲が、第1固定金具23によって規制されるように構成されている。
【0052】
次に、第2コネクタ(12a、12b)について説明する。第2ネクタ12a及び第2コネクタ12bは、同様に構成されている。そして、第2コネクタ12a及び第2コネクタ12bは、第2LED基板102に対して、同様の形態で実装される。このため、以下の説明では、同様に構成される第2コネクタ(12a、12b)のうちの一方の第2コネクタ12aの構成について説明し、他方の第2コネクタ12bの構成についての説明を省略する。
【0053】
図11は、第2コネクタ12aを示す斜視図である。図12は、第2コネクタ12aの平面図である。図13は、第2コネクタ12aの正面図である。図14は、第2コネクタ12aの左側面図(図14(a))及び右側面図(図14(b))である。図15は、第2コネクタ12aの底面図である。図16は、図12のD−D線矢視位置から見た断面図である。図17は、図12のE−E線矢視位置から見た断面図(図17(a))、F−F線矢視位置から見た断面図(図17(b))、及び、G−G線矢視位置から見た断面図である(図17(c))。図1〜図3、図11〜図17に示す第2コネクタ12aは、第2端子31、第2ハウジング32、第2固定金具33、等を備えて構成されている。
【0054】
第2端子31は、第2LED基板102の表面に回路パターンとして設けられた導電部に対して電気的に接続されるとともに第2LED基板102に対して固定される導電部材として設けられている。この第2端子31は、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第2端子31の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。
【0055】
また、第2端子31には、第2コネクタ12aが第2LED基板102の表面に実装された状態で第2LED基板102の表面と平行な方向に沿って平板状に細長く延びるように設置される本体部分31aが設けられている(図11、図12、図16、図17を参照)。尚、本実施形態では、本体部分31aは、その長手方向における途中位置の複数個所にて幅方向寸法(長手方向に垂直な方向)が変化するように構成されている。また、本体部分31aにおける長手方向の中途部分には、幅方向の両側に突出した一対の突出部分(31d、31d)が設けられている。第2端子31は、この突出部分31dにおいて第2ハウジング32に対して強固に一体化されて保持されている。
【0056】
そして、第2端子31には、本体部分31aの長手方向における一方の端部側において、折り曲げ形成された接続端部31bが設けられている(図12〜図17)。この接続端部31bは、第2端子31における第2LED基板102の導電部に接続される端部として設けられている。即ち、この接続端部31bが、はんだ付けによって、第2LED基板102の導電部に対して電気的に接続され、且つ、第2LED基板102に対して固定される。
【0057】
また、第2端子31には、本体部分31aの長手方向における他方の端部側において、本体部分31aの長手方向に沿って突出した部分として構成されるとともに本体部分31aに対して略180°に亘って折り曲げられた部分を有して構成された接点部分31cが設けられている(図11、図12、図14〜図17を参照)。この接点部分31cは、第2コネクタ12aが第1コネクタ11aに接続するときに、第1コネクタ11aにおける第1端子21の接点部分21cに対して電気的に接続される部分として設けられている。尚、第2端子31の接点部分31cは、第1及び第2LED基板(101、102)に対して対向する部分において、第1端子21の接点部分21cにおける第1及び第2LED基板(101、102)に対向する側と反対側の部分に対して、当接する。これにより、第1端子21と第2端子31とが電気的に接続されることになる。
【0058】
図11〜図17に示す第2ハウジング32は、第2端子31を保持する要素として構成されている。そして、第2ハウジング32は、絶縁性材料である樹脂材料で形成され、ブロック状の部材として設けられている。第2ハウジング32を形成するための樹脂材料としては、例えば、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)やPA(ポリアミド、polyamide)、等の材料を用いることができる。また、第2ハウジング32の成形時は、第2端子31が一体化される同時成形が行われる。これにより、第2ハウジング32には、第2端子31が一体に組み込まれて保持されている。
【0059】
また、本実施形態においては、第2ハウジング32は、プラグハウジングとしての第1ハウジング22の端部である突出部25bが挿入される開口32aが設けられたリセプタクルハウジングとして設けられている。第2ハウジング32は、開口32aに突出部25bが挿入されることで、第1ハウジング22が嵌合した状態となる。そして、このように第1ハウジング22と第2ハウジング32とが嵌合することで、第1端子21と第2端子31とが電気的に接続される。
【0060】
また、第2ハウジング32の開口32aは、第2ハウジング32において、第1ハウジング22が嵌合する端面側から第2LED基板102に対向する端面側にかけて、第2ハウジング32の内側を開放するように開口形成された凹み領域として設けられている。この開口32aの内側の凹み領域内において、第1端子21に当接する第2端子31の接点部分31cが露出した状態で設置されている。尚、第2ハウジングに設けられる開口の形態は、上述した開口32aの形態に限らず、種々変更されてもよい。例えば、筒形状における孔状に開口形成された開口が第2ハウジングに設けられていてもよい。
【0061】
また、第1及び第2コネクタ(11a、12a)においては、リセプタクルハウジングとしての第2ハウジング32における開口32aに挿入されるプラグハウジングとしての第1ハウジング22の端部の外面は、開口32aの内面に対して隙間を介して対向するように構成されている。即ち、第1ハウジング22及び第2ハウジング32の嵌合方向と垂直な方向における寸法に関し、第1ハウジング22の突出部25aにおける寸法よりも、第2ハウジング32の開口32aの寸法の方が大きくなるように、設定されている。
【0062】
また、第2ハウジング32には、第2LED基板102に対して対向する側と反対側の端面において、壁面を貫通する貫通孔32bが形成されている。そして、第2ハウジング32の内側であって貫通孔32bに対向する領域には、第2LED基板102に接続端部31bで固定されるとともに第2ハウジング32に突出部分31dで固定されて片持ち状に支持された第2端子31の接続端部31b側と反対側の端部が配置されている。このため、板バネと同様の作用を奏するように第2端子31が弾性変形して撓むことを許容する領域が、貫通孔32bによって確保されている。そして、第1端子21の接点部分21cと第2端子31の接点部分31cとが当接した際には、第2端子31の板バネとしてのバネ力が生じ、第1端子21及び第2端子31の電気的接続がより強固に確保されることになる。
【0063】
第2固定金具33は、第2端子31とは別体の金属部材として設けられて第2LED基板102に対して固定されるとともに、リセプタクルハウジングとして設けられた第2ハウジング32を第2LED基板102に対して保持する部材として構成されている。この第2固定金具33は、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、第2固定金具33の表面には、例えば、すずめっき、等のめっき処理が施されている。
【0064】
第2固定金具33は、別体の金属部材として形成された一対の部材として設けられている。そして、各第2固定金具33は、板状の部材として設けられ、第2ハウジング32に対して、第2端子31の長手方向に対して直交する方向の両側の壁部において、一体に固定されている。また、一対の第2固定金具(33、33)は、第2ハウジング32の壁部において、開口32aの両側方を補強する位置に組み込まれている。即ち、第2固定金具33は、第2ハウジング32における開口32aの近傍の領域を補強する補強金具としての機能も果たすように構成されている。尚、本実施形態では、第2ハウジング32の成形時には、第2端子31とともに第2固定金具33も一体化される同時成形が行われる。これにより、第2ハウジング32には、第2端子31に加え、第2固定金具33も一体に組み込まれて保持されている。
【0065】
また、第2固定金具33には、第2LED基板102に当接する端部において、第2LED基板102に対して固定される部分である固定部33aが設けられている。この固定部33aが第2LED基板102に対してはんだ付けされることによって、第2固定金具33が第2LED基板102に対して固定される。
【0066】
尚、第1コネクタ(11a、11b)においては、第1端子21と第1固定金具23とは、別体の金属部材として設けられている。そして、第2コネクタ(12a、12b)においては、第2端子31と第2固定金具33とは、別体の金属部材として設けられている。これにより、第1端子21及び第2端子31と、第1及び第2LED基板(101、102)が取り付けられる放熱構造体としての金属製のヒートシンクとの絶縁距離が、十分に確保されるように設定されている。即ち、電気的接続装置1では、ヒートシンクに対する絶縁距離がより小さい位置であるLED基板(101、102)の縁部近傍の位置に設置される第1及び第2固定金具(23、33)に対して、第1及び第2端子(21、31)が分離して設置されることで、容易にヒートシンクに対する絶縁距離が確保されるように構成されている。
【0067】
次に、上述した電気的接続装置1の作動について説明する。電気的接続装置1によって第1LED基板101と第2LED基板102とが接続される際には、まず、第1LED基板101に対して一対の第1コネクタ11(11a、11b)が実装され、第2LED基板102に対して一対の第2コネクタ12(12a、12b)が実装される(図3を参照)。
【0068】
このとき、第1LED基板101に対して、第1コネクタ(11a、11b)のそれぞれにおける第1端子21の接続部分21bがはんだ付けされ、第1コネクタ(11a、11b)が実装される。そして、第1ハウジング22の先端側ハウジング部材25に対して係止可能に取り付けられた第1固定金具23が、固定部23bにおいてはんだ付けによって第1LED基板101に対して固定される。
【0069】
一方、第2LED基板102に対して、第2コネクタ(12a、12b)のそれぞれにおける第2端子31の接続部分31bがはんだ付けされ、第2コネクタ(12a、12b)が実装される。そして、第2ハウジング32に一体化された第2固定金具33が、固定部33aにおいてはんだ付けによって第2LED基板102に対して固定される。
【0070】
第1及び第2LED基板(101、102)に第1コネクタ(11a、11b)及び第2コネクタ(12a、12b)が実装されると、第1LED基板101と第2LED基板102との接続作業が行われる。このとき、第1コネクタ11aの突出部25bが第2コネクタ12aの開口32aに挿入され、第1コネクタ11bの突出部25bが第2コネクタ12bの開口32aに挿入される。即ち、第1コネクタ11aの第1ハウジング22が第2コネクタ12aの第2ハウジング32に嵌合し、第1コネクタ11bの第1ハウジング22が第2コネクタ12bの第2ハウジング32に嵌合する。これにより、第1コネクタ11aの第1端子21と第2コネクタ12aの第2端子31とが電気的に接続され、第1コネクタ11a及び第2コネクタ12aの電気的及び機械的接続が完了する。そして、第1コネクタ11bの第1端子21と第2コネクタ12bの第2端子31とが電気的に接続され、第1コネクタ11b及び第2コネクタ12bの電気的及び機械的接続が完了する。上記により、第1LED基板101と第2LED基板102との接続作業が完了することになる。
【0071】
図18は、図2に示す電気的接続装置1において両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置ずれが吸収されている状態を示す斜視図であって、図2とは異なる方向から見た状態を示す斜視図である。第1及び第2LED基板(101、102)の接続作業が完了した状態において、第1コネクタ11a及び第2コネクタ12aと、第1コネクタ11b及び第2コネクタ12bとにおいて、図18に示すように、嵌合している際の相対的な位置ずれが生じる場合がある。この場合、電気的接続装置1においては、第1コネクタ(11a、11b)における第1端子21と第1ハウジング22の先端側ハウジング25とが、第1端子21と第2端子31との電気的接続が維持されるとともに突出部25bが開口32aに嵌合した状態のままで、撓むことになる。これにより、電気的接続装置1において両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置ずれが吸収されることになる。
【0072】
以上説明したように、電気的接続装置1によると、第1コネクタ(11a、11b)は、その第1端子21において、第1LED基板101に電気的に接続されるとともに固定される。一方、第2コネクタ(12a、12b)は、その第2端子31において、第2LED基板102に電気的に接続されるとともに固定される。そして、第1及び第2コネクタ(11a、11b、12a、12b)において、第1LED基板101に固定された第1端子21が、第1及び第2ハウジング(22、32)の嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持されている。このため、各LED基板(101、102)に実装された両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置のずれが、嵌合方向に沿って片持ち状に突出した第1端子21が撓むことで吸収され、電気的接続が維持されることになる。
【0073】
また、両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)の相対的な位置ずれを吸収して電気的接続を維持する第1端子21は、両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)の嵌合方向に沿って突出する構造のため、両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)の相対的な位置ずれをコンパクトなスペースにおいて効率よく十分に吸収することができる。これにより、両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)嵌合時の相対的な位置ずれを吸収する端子の構造が大幅にコンパクト化され、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができる。即ち、LED基板用電気的接続装置1では、従来技術のような、複数の屈曲形成された部分を有するためにコネクタにおいて相対的に大きなスペースを占有してしまう弾性構造部分が設けられておらず、大幅な省スペース化が図られることになる。
【0074】
従って、本実施形態によると、各LED基板(101、102)に実装された両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置のずれを十分に吸収することができるとともに、実装のために必要なスペースの省スペース化を図ることができるLED基板用電気的接続装置1を提供することができる。
【0075】
また、電気的接続装置1によると、リセプタクルハウジングとしての第2ハウジング32に嵌合するプラグハウジングとしての第1ハウジング22が、撓み可能に突出する第1端子21を保持するとともに分離形成された複数のハウジング部材(24、25)で構成される。このため、第1端子21及びプラグハウジング(第1ハウジング22)を有して構成される第1コネクタ(11a、11b)が、プラグハウジング(第1ハウジング22)が分離されている箇所において、より撓み易い構造となる。これにより、LED基板に実装された両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置のずれを更に吸収しやすい構造を、プラグハウジング(第1ハウジング22)を分離形成することで容易に構築することができる。
【0076】
また、電気的接続装置1によると、接続側ハウジング部材24と先端側ハウジング部材25とが分離されているため、第1端子21の先端側とともに先端側ハウジング部材25が変位した際であっても、その先端側ハウジング部材25の変位の影響が接続側ハウジング部材24に伝達され難い構造が構築されることになる。よって、第1端子21における第1LED基板101の導電部に接続される部分に負荷が作用し難いコネクタ構造を容易に実現することができる。また、本実施形態によると、第1コネクタ(11a、11b)は、第1端子21とは別体の第1固定金具23によっても第1LED基板101に取付けられるため、第1コネクタ(11a、11b)を第1LED基板101に対してより強固に取り付けることができる。そして、第1固定金具23は、先端側ハウジング部材25の可動範囲を規制するため、先端側ハウジング部材25とともに第1端子21が過度に変形してしまうことを防止することができる。
【0077】
また、電気的接続装置1によると、各LED基板(101、102)に実装された両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置のずれが、第1LED基板101に対して第1端子21とともに撓むプラグハウジング(第1ハウジング22)においても効率よく吸収されることになる。
【0078】
また、電気的接続装置1によると、第2コネクタ(12a、12b)は、第2端子31とは別体の第2固定金具33によっても第2LED基板102に固定されるため、第2コネクタ(12a、12b)を第2LED基板102に対してより強固に取り付けることができる。また、第2固定金具33が、リセプタクルハウジングとしての第2ハウジング32における開口32aの周囲に設けられるため、プラグハウジング(第1ハウジング22)とリセプタクルハウジング(第2ハウジング32)との嵌合部分における強度の向上を図ることができる。
【0079】
また、電気的接続装置1によると、リセプタクルハウジング(第2ハウジング32)の開口32aの内面とプラグハウジング(第1ハウジング22)の端部の外面との間のコンパクトな隙間スペースにおいても、各LED基板(101、102)に実装された両コネクタ(11a及び12a、11b及び12b)が嵌合している際の相対的な位置のずれが、効率よく吸収されることになる。
【0080】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0081】
(1)前述の実施形態では、第1コネクタ及び第2コネクタが、それぞれ一対で設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1コネクタ及び第2コネクタが、それぞれ複数対で設けられる形態が実施されてもよい。
【0082】
(2)また、前述の実施形態では、一対の第1コネクタが同じLED基板に対して実装され、一対の第2コネクタが同じLED基板に対して実装される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、一対の第1コネクタのうちの一方が、互いに接続されるLED基板のうちの一方に実装され、一対の第1コネクタのうちの他方が、互いに接続されるLED基板のうちの他方に実装されてもよい。この場合、一対の第2コネクタのうちの一方が、互いに接続されるLED基板のうちの他方に実装され、一対の第2コネクタのうちの他方が、互いに接続されるLED基板のうちの一方に実装されることになる。そして、上記の一方の第1コネクタと他方の第1コネクタとにおいては、本発明の第1LED基板として対応するLED基板が、互いに異なることになる。同様に、上記の一方の第2コネクタと他方の第2コネクタとにおいては、本発明の第2LED基板として対応するLED基板が、互いに異なることになる。
【0083】
(3)前述の実施形態では、第1端子が、第1LED基板に対して、第1及び第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1端子及び第2端子のうちの少なくともいずれか一方が、LED基板に対して、第1及び第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持されていればよい。例えば、第1及び第2端子の両方が、第1及び第2LED基板に対して、第1及び第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持された形態が実施されてもよい。
【0084】
(4)前述の実施形態では、第1ハウジングがプラグハウジングとして設けられ、第2ハウジングがリセプタクルハウジングとして設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第2ハウジングがプラグハウジングとして設けられ、第1ハウジングがリセプタクルハウジングとして設けられた形態が実施されてもよい。また、第1ハウジング及び第2ハウジングの両方において、互いに嵌合し合うプラグ部分及びリセプタクル部分が設けられた形態が実施されてもよい。
【0085】
(5)第1ハウジング、第1端子、第1固定金具、第2ハウジング、第2端子、第2固定金具のそれぞれの形状については、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続する、LED基板用電気的接続装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 LED基板用電気的接続装置
11a、11b 第1コネクタ
12a、12b 第2コネクタ
21 第1端子
22 第1ハウジング
31 第2端子
32 第2ハウジング
101 第1LED基板(LED基板)
102 第2LED基板(LED基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップが実装された基板としてのLED基板同士を電気的に接続する、LED基板用電気的接続装置であって、
前記LED基板として設けられた第1LED基板に対して実装される第1コネクタと、
前記第1LED基板に電気的に接続される前記LED基板として設けられた第2LED基板に対して実装されるとともに前記第1コネクタに接続される第2コネクタと、
を備え、
前記第1コネクタは、前記第1LED基板の導電部に対して電気的に接続されるとともに当該第1LED基板に固定される第1端子と、前記第1端子を保持する第1ハウジングと、を有し、
前記第2コネクタは、前記第2LED基板の導電部に対して電気的に接続されるとともに当該第2LED基板に固定される第2端子と、前記第2端子を保持する第2ハウジングと、を有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合することで、前記第1端子と前記第2端子とが電気的に接続され、
前記第1端子及び前記第2端子のうちの少なくともいずれか一方が、前記LED基板に対して、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持されることを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED基板用電気的接続装置であって、
前記第1ハウジングは、プラグハウジングとして設けられ、前記第2ハウジングは、前記プラグハウジングの端部が挿入される開口が設けられたリセプタクルハウジングとして設けられ、
前記第1端子が、前記第1LED基板に対して、前記嵌合方向に沿って片持ち状に突出して撓み可能に支持され、
前記プラグハウジングは、前記第1端子をそれぞれ保持するとともに分離形成された複数のハウジング部材を有していることを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。
【請求項3】
請求項2に記載のLED基板用電気的接続装置であって、
前記第1コネクタは、前記第1端子とは別体の金属部材として設けられて前記第1LED基板に対して固定される第1固定金具、を更に備え、
複数の前記ハウジング部材として、前記第1端子における前記第1LED基板の導電部に接続される端部側である接続端部側で当該第1端子の一部を覆う接続側ハウジング部材と、前記第1端子における片持ち状に突出する端部側である先端側で当該第1端子の一部を覆う先端側ハウジング部材と、が設けられ、
前記先端側ハウジング部材が前記第1LED基板に対して相対的に変位可能な範囲である可動範囲が、前記第1固定金具によって規制されることを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のLED基板用電気的接続装置であって、
前記プラグハウジングは、前記第1LED基板に対して、前記第1端子とともに撓み可能に設けられていることを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のLED基板用電気的接続装置であって、
前記第2コネクタは、前記第2端子とは別体の金属部材として設けられて前記第2LED基板に対して固定されるとともに、前記リセプタクルハウジングを前記第2LED基板に対して保持する第2固定金具、を更に備えていることを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のLED基板用電気的接続装置であって、
前記リセプタクルハウジングにおける前記開口に挿入される前記プラグハウジングの端部の外面は、前記開口の内面に対して隙間を介して対向することを特徴とする、LED基板用電気的接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−243462(P2012−243462A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110447(P2011−110447)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】