説明

LED放熱器及びLED放熱器の製造方法

【課題】放熱効果に優れ、単一又は複数種の材料によって形成できるとともに、製造コストが安いLED放熱器を提供する。
【解決手段】導熱体20は、受熱部21と、受熱部21から延出された導熱部22と、を有し、複数の放熱フィン30は、導熱部22の外周側面22gに接続される接続端31と、導熱部22から該導熱部22の径方向Kに離間して位置する放熱端32と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED放熱器及びLED放熱器の製造方法に関し、特に、製造時間を短縮し、製造コストを低減することができるLED放熱器及びLED放熱器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(light emitting diode)は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する固体光源である。LEDは、通常、エピタキシャル成長技術及び半導体材料製造技術によって製造される。
【0003】
LEDは、体積が小さい、駆動電圧が低い、反応速度が速い、耐震性が高い、寿命が長い、環境を汚染しない等の特性を有する。
【0004】
また、科学技術の発展及び進歩に伴い、LEDの発光効率は、LEDが登場した1960年代以来、高まり続けており、遥か以前に、タングステン電球(約10〜201m/Wの発光効率)を超え、現在は、蛍光灯(約60〜801m/Wの発光効率)をも超えている。
【0005】
さらに、LEDの関連技術は、発展を続けているため、数年内に発光効率が1001m/Wのレベルに達すると見込まれている。このため、LEDは、新世代の固体光源として最も注目を集めている。
【0006】
現在、LED等の電子素子は、更なる軽薄及び短小化が求められている。電球型のLED灯具は、タングステン電球に代わり、照明装置に大量且つ広範囲に使用されている。また、信号灯、街灯、家庭用照明、車両灯、広告灯など、LEDの使用範囲は、広がり続けており、LEDが照明市場の主流となる勢いは止まらない。
【0007】
また、従来のLED照明装置は、外観及び輝度が最も重視されているが、高輝度のLED電球は、多くの熱が発生するため、如何に放熱するかが重要となっている。
【0008】
一部のLED照明装置には、放熱部材が一体に接合されている上、装飾が施されている。このように、LED照明装置に、放熱部材が接合された構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−287547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたLED照明装置においては、放熱部材が一体的に結合されているため、放熱部材の外観及び構造が従来の放熱部材よりも複雑になっているといった問題があった。
【0011】
また、特許文献1に開示された放熱部材の製造方法は複雑である。具体的には、放熱器などの従来の放熱部材は、プレス方式によって複数の放熱フィンが製造された後、放熱フィンが積層されることによって放熱器が形成されたり、アルミニウム材料を射出成形することによってブロック状の放熱器が形成されたりと簡単に製造することができたが、これらの製造方法は、構造が簡単な放熱器に適用できる製造方法であり、構造が複雑な放熱器を製造することはできない。
【0012】
また、アルミニウム材料を射出成形して形成される放熱器は、単一の材料からなるため、2種類以上の材料を組み合わせて放熱器を製造することができないといった問題があった。
【0013】
また、放熱フィンを組み合わせる方式の放熱器は、複数種の材料を組み合わせて放熱器を形成することができるが、製造時間が多く掛かり、製造コストが増大してしまうといった問題があった。
【0014】
即ち、従来の製造方法では、複雑な構造の放熱器を製造できないばかりか、複数種の材料を組み合わせて放熱器を製造できず、さらには、製造コストが高いといった問題があった。
【0015】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、放熱効果に優れ、単一又は複数種の材料によって形成できるとともに、製造コストが安いLED放熱器、LED放熱器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様におけるLED放熱器は、導熱体及び複数の放熱フィンを備えるLED放熱器であって、前記導熱体は、受熱部と、前記受熱部から延出された導熱部と、を有し、前記複数の放熱フィンは、前記導熱部の外周側面に接続される接続端と、前記導熱部から該導熱部の径方向に離間して位置する放熱端と、を有している。
【0017】
また、本発明の一態様におけるLED放熱器の製造方法は、受熱部及び導熱部が形成された導熱体を準備するステップと、一端に接続端が形成され、他端に放熱端が形成された複数の放熱フィンを準備するステップと、前記複数の放熱フィンの前記接続端を前記導熱部の外周側面に接続するステップと、先端放電により、前記放熱フィンの前記接続端を前記導熱部の前記外周側面に接合固定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放熱効果に優れ、単一又は複数種の材料によって形成できるとともに、製造コストが安いLED放熱器、LED放熱器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施の形態におけるLED放熱器を示す斜視図
【図2】図1のLED放熱器の断面図
【図3】図1のLED放熱器の製造方法を示すフローチャート
【図4】図1のLED放熱器の分解斜視図
【図5】第2実施の形態におけるLED放熱器の製造方法を示すフローチャート
【図6】第2実施の形態におけるLED放熱器の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照にして、本発明の実施の形態を説明する。尚、図面は模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、それぞれの部材の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるLED放熱器を示す斜視図、図2は、図1のLED放熱器の断面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、LED放熱器10は、導熱体20及び複数の放熱フィン30を具備している。
【0023】
導熱体20は、受熱部21と導熱部22とを具備して主要部が構成されている。受熱部21は、導熱部22内に設けられたLED等の放熱部材に接触する部位であり、導熱部22は、受熱部21が受熱したLEDの熱を、放熱フィン30に伝達するものである。
【0024】
導熱部22は、受熱部21の上面から、上方に延出されており、円筒状を有している。即ち、受熱部21は、導熱体20の底部に位置している。尚、図2に示すように、導熱部22は、受熱部21よりも小径に形成されている。
【0025】
複数の放熱フィン30は、導熱部22の外周側面22gから導熱部22の径方向Kに放射状に延出されて形成されており、それぞれ、各放熱フィン30は、接続端31及び放熱端32をそれぞれ有している。また、各放熱フィン30は、導熱部22の円周方向Cにおいて、等間隔に配置されている。
【0026】
接続端31は、導熱部22に接続固定されている。即ち、接続端31は、各放熱フィン30における導熱部22への接続部位を構成している。また、放熱端32は、導熱部22から、該導熱部22の径方向Kに離間する方向に離間して位置しており、各放熱フィン30の上述した径方向Kにおける延出端部を構成している。
【0027】
導熱体20及び複数の放熱フィン30は、同一の材料又は異なる材料から形成されている。尚、以下、本実施形態においては、異なる材料から形成されている場合を例示して説明するが、これのみに限定されない。
【0028】
導熱体20は、熱伝導率の高い銅材料からなる。複数の放熱フィン30は、放熱効率の高いアルミニウム材料からなる。尚、当然、導熱体20及び放熱フィン30は、同じ材料、即ち、銅材料又はアルミニウム材料から形成されていてもよい。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、LED放熱器の製造方法を説明する。
図3は、図1のLED放熱器の製造方法を示すフローチャート、図4は、図1のLED放熱器の分解斜視図である。
【0030】
図3及び図4に示すように、本実施形態によるLED放熱器10の製造方法は、以下S11〜S14のステップを含む。
【0031】
図3に示すように、先ず、ステップS11において、図4に示すように、受熱部21及び導熱部22が形成された導熱体20を準備する。
【0032】
次いで、ステップS12において、図4に示すように、複数の放熱フィン30を準備する。尚、複数のフィン30の径方向Kの一端及び他端には、接続端31及び放熱端32がそれぞれ形成されている。
【0033】
次いで、ステップS13において、複数の放熱フィン30の接続端31を導熱部22の外周側面22gに接続する。その結果、放熱端32は、導熱部22から径方向Kに離れて位置する。
【0034】
最後にステップS14において、先端放電による溶接等により、各放熱フィン30の接続端31を導熱部22に接合固定する。その結果、LED放熱器10が製造される。
【0035】
(第2実施の形態)
図5は、本実施の形態におけるLED放熱器の製造方法を示すフローチャート、図6は、本実施の形態におけるLED放熱器の分解斜視図である。
【0036】
この第2実施の形態のLED放熱器の構成、LED放熱器の製造方法は、上述した図1〜図4に示した第1実施の形態のLED放熱器、LED放熱器の製造方法と比して、導熱体の導熱部の外周側面に凹溝が形成されている点が異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0037】
図5及び図6に示すように、本実施形態によるLED放熱器の製造方法は、以下S21〜S24のステップを含む。
【0038】
先ず、ステップS21において、図6に示すように、受熱部21及び導熱部22が形成された導熱体20を準備する。尚、導熱部22の外周側面22gには、受熱部21から導熱部22の上端まで延出されたレール状の凹溝221が、円周方向Cに所定の間隔を有して複数本形成されている。尚、凹溝221は、導熱部22の外周側面22gの表面積を増大させて、導熱部22の放熱効率を高めるものである。
【0039】
次いで、ステップS22において、図6に示すように、複数の放熱フィン30を準備する。尚、複数のフィン30の両端には、接続端31及び放熱端32がそれぞれ形成されている。
【0040】
次いで、ステップS23において、複数の放熱フィン30の接続端31を導熱部22の外周側面22gの凹溝221に接続する。その結果、放熱端32は、導熱部22から径方向Kに離れて位置する。
【0041】
最後にステップS24において、先端放電による溶接等により、各放熱フィン30の接続端31を導熱部22の凹溝221に接合固定し、導熱部22と一体とする。その結果、LED放熱器10が製造される。
【0042】
以上、説明したように、第1、第2実施の形態によれば、導熱体20に複数の放熱フィン30を別途に接続して製造する構造、または製造方法のため、導熱体20と放熱フィン30とが一体的に形成された構造、または製造方法ではないことから、構造が複雑な放熱器10を製造することができる他、2種類以上の材料を組み合わせて放熱器を製造することができる。
【0043】
また、単一又は複数種の材料によってLED放熱器10を製造することができるため、材料を節約して製造コストを安くすることができる。また、複数の放熱フィン30によって、受熱部21から導熱部22に熱伝達された熱を確実に放熱することができることから、放熱性に優れる。
【符号の説明】
【0044】
10…LED放熱器
20…導熱体
21…受熱部
22…導熱部
30…放熱フィン
31…接続端
32…放熱端
221…凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導熱体及び複数の放熱フィンを備えるLED放熱器であって、
前記導熱体は、
受熱部と、
前記受熱部から延出された導熱部と、
を有し、
前記複数の放熱フィンは、
前記導熱部の外周側面に接続される接続端と、
前記導熱部から該導熱部の径方向に離間して位置する放熱端と、
を有していることを特徴とするLED放熱器。
【請求項2】
前記導熱体と前記複数の放熱フィンとは、異なる材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED放熱器。
【請求項3】
前記導熱体と前記複数の放熱フィンとは、同一材料から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED放熱器。
【請求項4】
前記導熱体及び前記複数の放熱フィンは、アルミニウム材料又は銅材料のいずれかから形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のLED放熱器。
【請求項5】
前記導熱体が、銅材料から形成されている場合は、前記複数の放熱フィンは、アルミニウム材料から形成されており、
前記導熱体が、アルミニウム材料から形成されている場合は、前記複数の放熱フィンは、銅材料から形成されていることを特徴とする請求項2に記載のLED放熱器。
【請求項6】
前記導熱部の前記外周側面に、凹溝が前記導熱部の周方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED放熱器。
【請求項7】
受熱部及び導熱部が形成された導熱体を準備するステップと、
一端に接続端が形成され、他端に放熱端が形成された複数の放熱フィンを準備するステップと、
前記複数の放熱フィンの前記接続端を前記導熱部の外周側面に接続するステップと、
先端放電により、前記放熱フィンの前記接続端を前記導熱部の前記外周側面に接合固定するステップと、
を含むことを特徴とするLED放熱器の製造方法。
【請求項8】
前記先端放電により、前記放熱フィンの前記接続端を前記導熱部に接合固定するステップは、先端放電により、放熱フィンの前記接続端を前記導熱部に溶接して固定するステップであることを特徴とする請求項7に記載のLED放熱器の製造方法。
【請求項9】
前記導熱体と前記複数の放熱フィンとは、異なる材料から形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のLED放熱器の製造方法。
【請求項10】
前記導熱体と前記複数の放熱フィンとは、同一材料から形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載のLED放熱器の製造方法。
【請求項11】
前記導熱部の前記外周側面には、前記導熱部の周方向に沿って複数の凹溝が形成され、前記複数の凹溝に、前記放熱フィンの前記接続端を接続することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のLED放熱器の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−252954(P2012−252954A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126435(P2011−126435)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(511064801)奇▲こう▼科技股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】