説明

LED点灯システム

【課題】第2LEDモジュールを多く接続しても第1LEDモジュールの発光ダイオードのチラツキが発生することのないLED点灯システムを提供する。
【解決手段】交流電圧を位相制御するトライアック11を有する調光器10と、この調光器10から出力される位相制御された交流電圧でLEDモジュール30の発光ダイオードLEDを点灯させる点灯装置20と、前記交流電圧を位相制御するトライアック41を有する調光器40と、この調光器40から出力される位相制御された交流電圧で複数のLEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる複数の第2点灯装置とを備え、調光器10,40でLEDモジュール30等の発光ダイオードLEDの点灯の明るさが調整可能となっているLED点灯システムであって、点灯装置20に並列に抵抗成分の負荷31を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させるLED点灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インバータ回路を備えたLED点灯装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかるLED点灯装置は、交流電圧を位相制御する第1トライアックと、この第1トライアックにトリガ信号を出力する第1調光回路と、第1トライアックで位相制御された脈流電圧で第1LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる第1点灯回路とを備え、この第1点灯回路は上記脈流電圧を整流する整流回路と、この整流回路の出力電圧を平滑して第1LEDモジュールに印加する平滑コンデンサと、この平滑コンデンサから第1LEDモジュールへの電流供給を遮断するトランジスタとを有している。
【0004】
このLED点灯装置は、第1調光回路から出力されるトリガ信号により第1トライアックが交流電圧を位相制御することによって第1LEDモジュールの発光ダイオードの点灯の明るさを調整するようになっている。
【0005】
ところで、上記点灯装置に第2トライアックおよび第2調光回路を追加し、この第2トライアックおよび第2調光回路に複数の第2点灯回路を並列接続して複数の第2LEDモジュールを点灯させるようにしたLED点灯システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−273267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなLED点灯システムにあっては、第1トライアックが導通している最中に第2トライアックが導通すると、複数の第2LEDモジュールの各発光ダイオードに電流が流れていくため、第2トライアックに大きな突入電流が流れることになる。このため、第2LEDモジュールを多く接続すればするほど第1点灯回路の入力電圧が低下し、第1点灯回路の入力電流が一瞬マイナスに振れることになる。
【0008】
マイナスに振れることは、入力電流が途切れることであり、第1トライアックに流れる電流がゼロとなる。このため、第1トライアックはオフとなり、第1点灯回路の第1LEDモジュールの各発光ダイオードの点灯が一瞬消灯され、チラツキが発生するという問題がある。
【0009】
この発明の目的は、第2LEDモジュールを多く接続しても第1LEDモジュールの発光ダイオードのチラツキが発生することのないLED点灯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、交流電圧を位相制御する第1位相制御素子を有する第1調光器と、この第1調光器から出力される位相制御された交流電圧で第1LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる第1点灯装置と、前記交流電圧を位相制御する第2位相制御素子を有する第2調光器と、この第2調光器から出力される位相制御された交流電圧で複数の第2LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる複数の第2点灯装置とを備え、第1,第2調光器で第1,第2LEDモジュールの発光ダイオードの点灯の明るさが調整可能となっているLED点灯システムであって、
前記第1点灯装置に並列に抵抗成分の負荷を接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、第2LEDモジュールを多く接続しても第1LEDモジュールの発光ダイオードのチラツキの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】LED点灯システムの構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示すLED点灯システムの一部の回路を示した回路図である。
【図3】点灯装置に入力する入力電圧の波形と、負荷がない場合の点灯装置に入力する入力電流の波形を示した説明図である。
【図4】負荷に流れる電流の波形と、トライアックに流れる電流の波形を示した説明図である。
【図5】点灯装置に入力する入力電圧が突入電流により低下した場合の波形を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明に係るLED点灯システムの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
図1に示すLED点灯システム1は、交流電源Eの交流電圧を位相制御する調光器(第1調光器)10と、この調光器10で位相制御された交流電圧を基にしてLEDモジュール(第1LEDモジュール)30の発光ダイオードLED(図2参照)を点灯する点灯装置(第1点灯装置)20と、この点灯装置20に並列接続された抵抗成分の負荷31と、交流電源Eの交流電圧を位相制御する調光器(第2調光器)40と、この調光器40で位相制御された交流電圧を基にしてLEDモジュール(第2LEDモジュール)60の発光ダイオードLED(図示せず)を点灯する点灯装置(第2点灯装置)50と、この点灯装置50に並列接続されるとともに調光器40で位相制御された交流電圧を基にしてLEDモジュール(第2LEDモジュール)80の発光ダイオードLED(図示せず)を点灯する点灯装置(第2点灯装置)70とを備えている。
【0015】
調光器10は、図2に示すように、トライアック(第1位相制御素子)11とトライアック11のゲート12にトリガ信号を出力する位相制御回路13などとを有している。位相制御回路13は、例えば交流電圧のゼロクロスを基準にして所定のタイミングで一定の周期毎にトリガ信号を出力するものであり、図示しない調整部材の操作によりそのタイミングを調整することが可能となっている。
【0016】
調光器40は、トライアック(第2位相制御素子)41と位相制御回路43等とを有し、調光器10と同様な構成なのでその説明は省略する。
【0017】
点灯装置20は、図2に示すように、入力フィルタ回路21と入力平滑回路22とインバータ回路23と出力平滑回路24とを有している。
【0018】
入力フィルタ回路21は、電源ループ(電源E−調光器10−点灯装置20のループ)で発生する減衰振動を防止するとともに外部への雑音を防止するものであり、抵抗R1とコンデンサC1とラインフィルタL1等とを有している。
【0019】
入力平滑回路22は、調光器10で位相制御された交流電圧を全波整流する整流回路22Dと、全波整流された整流電圧を平滑して脈流を含んだ直流電圧に変換するコンデンサC2等とを有している。
【0020】
インバータ回路23は、コンデンサC2で変換された直流電圧を所定の直流電圧に変換する一般的な降圧チョッパ回路であり、制御回路25とトランジスタ(スイッチ素子)Q1とダイオードD1と抵抗R2とインダクタL2などとを有している。
【0021】
トランジスタQ1のベースは制御回路25の出力端子25aに抵抗R3を介して接続され、トランジスタQ1のコレクタはダイオードD1のアノードとインダクタL2の一方の端子に接続されている。ダイオードD1のカソードはコンデンサC2の陽極端子に接続され、トランジスタQ1のエミッタは抵抗R2を介してコンデンサC2の陰極端子に接続されている。また、制御回路25の入力端子25bには抵抗R2の一方の端子が接続され、抵抗R2に生じる電圧が制御回路25の入力端子25bに入力するようになっている。
【0022】
制御回路25は、出力端子25aから制御信号(パルス信号)を所定の周期毎に出力してトランジスタQ1をオンさせるものである。また、制御回路25は、入力端子25bに入力する電圧に応じて制御信号のパルス幅を調整してLEDモジュール30の発光ダイオードLEDの明るさを一定にするものである。
【0023】
出力平滑回路24は、一方の端子がダイオードD1のカソードに接続され他方の端子がインダクタL2の他方の端子に接続されたコンデンサC3を有している。
【0024】
LEDモジュール30は、複数の発光ダイオードLEDを直列接続したものであり、一端の発光ダイオードLEDのアノードが出力平滑回路24のコンデンサC3の一方の端子に接続され、他端の発光ダイオードLEDのカソードがコンデンサC3の他方の端子とインダクタL2の他方の端子に接続されている。
【0025】
点灯装置50,70およびLEDモジュール60,80は、点灯装置20およびLEDモジュール30と同様な構成となっているのでその説明は省略する。
【0026】
ここで、LED点灯システム1の一使用例を簡単に説明する。
【0027】
点灯装置20のLEDモジュール30により、例えば壁に掛けたバッグ1個をスポットで照らし、点灯装置50,70のLEDモジュール60,80により棚に陳列した洋服全体を照らすようにする。そして、バッグの照明光の明るさを調光器10で調整し、洋服の照明光の明るさを調光器40で調整することにより、同じフロアであってもそれぞれ異なる明るさで照明することができる。
[動 作]
次に、上記のように構成されるLED点灯システム1の動作について説明する。
【0028】
調光器10の位相制御回路13から所定のタイミングで所定の周期毎にトリガ信号が出力されるとトライアック11が導通し、この導通により例えば図3(A)に示す波形の電圧が調光器10から出力され、点灯装置20に入力電圧として入力する。また、このときに点灯装置20に入力する入力電流は図3(B)に示す電流波形となる。
【0029】
入力電圧は、入力フィルタ回路21を通って入力平滑回路22へ入力し、この入力平滑回路22で全波整流されるとともに平滑されて直流電圧に変換される。そして、この直流電圧はインバータ回路23に入力することになる。
【0030】
一方、インバータ回路23の制御回路25は、出力端子25aから制御信号を所定の周期毎に出力する。この制御信号が出力されている間、トランジスタQ1がオンし、図2の矢印Io−Qで示すようにLEDモジュール30の各発光ダイオードLEDに電流が流れ、各発光ダイオードLEDが点灯する。
【0031】
制御回路25からの制御信号の出力が停止されると、トランジスタQ1がオフし、インダクタL2に蓄えられたエネルギーにより、図2の矢印Io−Dで示すループで電流が流れる。この電流は制御回路25から制御信号が出力するまで継続し、各発光ダイオードLEDの点灯が維持されることになる。
【0032】
制御回路25から制御信号が出力される毎に上記動作が繰り返し行われ、LEDモジュール30の各発光ダイオードLEDが点灯し続けることになる。この発光ダイオードLEDの点灯の明るさを変えるには、調光器10の位相制御回路13の調整部材を操作すればよい。この操作により、位相制御回路13から出力されるトリガ信号の出力のタイミングが変わって発光ダイオードLEDの点灯の明るさが変わることになる。
【0033】
ところで、調光器10から出力される入力電圧は負荷31に入力し、この負荷31に図4(A)に示す波形の電流が流れる。このため、調光器10のトライアック11には図4(B)に示す電流が流れる。
【0034】
すなわち、図3(B)に示す電流に図4(A)に示す電流を加算した電流が流れることになる。
【0035】
そして、調光器10のトライアック11が導通した後、調光器40のトライアック41が導通すると、点灯装置50,70のLEDモジュール60,80の各発光ダイオードLED(図示せず)に電流が流れることにより、トライアック41に大きな突入電流が流れる。このため、点灯装置20に入力する入力電圧が、その突入電流時t1に図5に示すように低下する。
【0036】
この入力電圧の低下により、調光器10のトライアック11の電流が図4(B)の鎖線で示すように低下する。しかし、トライアック11に流れる電流は、図3(B)に示す電流に図4(A)に示す電流を加算した電流であるため、嵩上げされており、入力電圧の低下によりマイナスに振れてしまうことが防止される。
【0037】
このため、トライアック11には電流が流れ続けることになり、LEDモジュール30の点灯が一瞬消灯してしまうことがなく、LEDモジュール30の各発光ダイオードLEDのチラツキの発生が防止される。
【0038】
このように、点灯装置20に並列に抵抗である負荷31を接続するだけで、LEDモジュール30の各発光ダイオードLEDのチラツキの発生を防止することができるので、安価なLED点灯システム1を提供することができる。
【0039】
上記実施例では、負荷31に抵抗を使用しているが豆電球や電球であってもよく、豆電球を利用して調光器10が動作していることを表示する表示灯として使用すれば無駄な電力消費を防止することができる。
【0040】
また、上記実施例では、1つの調光器40に対して2つの点灯装置50,70を接続しているが、3つ以上の点灯装置を接続してもよく、また、調光器40を複数設けて多数のLEDモジュールを点灯させるようにしてもよい。
【0041】
また、この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0042】
10 調光器(第1調光器)
11 トライアック(第1位相制御素子)
20 点灯装置(第1点灯装置)
30 LEDモジュール(第1LEDモジュール)
31 負荷
40 調光器(第2調光器)
41 トライアック(第2位相制御素子)
50,70 点灯装置(第2点灯装置)
60,80 LEDモジュール(第2LEDモジュール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を位相制御する第1位相制御素子を有する第1調光器と、この第1調光器から出力される位相制御された交流電圧で第1LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる第1点灯装置と、前記交流電圧を位相制御する第2位相制御素子を有する第2調光器と、この第2調光器から出力される位相制御された交流電圧で複数の第2LEDモジュールの発光ダイオードを点灯させる複数の第2点灯装置とを備え、第1,第2調光器で第1,第2LEDモジュールの発光ダイオードの点灯の明るさが調整可能となっているLED点灯システムであって、
前記第1点灯装置に並列に抵抗成分の負荷を接続することを特徴とするLED点灯システム。
【請求項2】
前記負荷が電球であることを特徴とする請求項1に記載のLED点灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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