説明

LED点灯装置および照明装置

【課題】
ノーマリオンスイッチを用いてスイッチングを行わせるとともに、インダクタに帰還巻線を設けなくてよい定電流制御形のLED点灯装置を提供する。
【解決手段】
LED点灯装置は、ノーマリオンスイッチQ1、インダクタL1、フリーホイールダイオードD1および電流検出用インピーダンス素子Z1を備え、電流検出用インピーダンス素子が増加電流および減少電流が流れる位置に挿入されたチョッパCHと、発光ダイオードLEDの負荷回路と、制御スイッチCSがオン時にQ1のゲートに負電圧を印加してオフ状態に制御し、オフ時に上記負電圧印加を解除してQ1をオン状態に制御するスイッチを含み、整合手段MCが増加電流が流れているときにインピーダンス素子の端子電圧が、第1の所定値に達した際に制御スイッチをオンさせ、減少電流が流れているときに第2の所定値に達した際に制御スイッチをオフさせる制御回路とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED点灯装置およびこれを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイドギャップ半導体は、大きなバンドギャップを有する半導体である。半導体基板にSiC(炭化珪素)やGaN(窒化ガリウム)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ半導体素子は、Siパワーデバイスの性能限界を大幅に突破するポテンシャルを有する半導体として注目されていて、高周波パワーデバイスの分野においてもワイドギャップ半導体への期待は大きい。これらワイドバンドギャップ半導体素子は、ゲート電圧がゼロの時に電流が流れるノーマリオン特性を有しているのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。また、ワイドバンドギャップ半導体を用いた代表的半導体素子としてJFET(接合型FET)、SIT(静電誘導型トランジスタ)、MESFET(金属−半導体FET:Metal−Semiconductor−Field−Effect−Transistor)、HFET(Heterojunction Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron
Mobility Transistor)および蓄積型FETなどがある。ノーマリオン特性を有している半導体素子(以下、ノーマリオンスイッチという。)を確実にオフさせるためには負ゲート電圧用の制御回路が必要である。
【0003】
一方、発光ダイオードを、DC−DCコンバータを用いて点灯することにより、回路効率の高いLED点灯装置が得られることは既知である(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載のDC−DCコンバータは、降圧チョッパからなりオン状態のスイッチ素子を経由したインダクタ(第1のインダクタ)への通電によりそこに磁気結合した2次巻線(第2のインダクタ)に誘起する電圧を帰還してスイッチ素子のオン動作を継続させ、スイッチ素子のオフ時において第1のインダクタに流れる電流が0になったときに、2次巻線に発生する逆起電力でスイッチ素子をオンさせる回路動作を繰り返すことでDC−DC変換を行う自励式の定電流制御で動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−006658号公報
【特許文献2】特許第4123886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術のLED点灯装置は、発光ダイオードの定電流制御のためにインダクタに磁気結合した2次巻線を配設して当該2次巻線に誘起される電圧を利用してスイッチング素子のオン信号を得ているために、インダクタの構造が複雑化し、小形化やIC化を阻害するという問題がある。
【0006】
本発明は、ノーマリオンスイッチを用いてスイッチングを行わせるとともに、インダクタに帰還巻線を設けなくてよい定電流制御形のLED点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のLED点灯装置は、直流電源と;ノーマリオンスイッチ、インダクタ、フリーホイールダイオードおよび電流検出用インピーダンス素子を備え、ノーマリオンスイッチのオン、オフに伴ってインダクタに増加電流および減少電流が流れてチョッパ動作を行い、直流電源電圧をDC−DC変換して出力端に出力するとともに、電流検出用インピーダンス素子が増加電流および減少電流が流れる回路上の位置に挿入されているチョッパと;チョッパの出力端に接続された発光ダイオードおよび出力コンデンサの並列回路を備えた負荷回路と;制御スイッチおよび整合手段を備え、制御スイッチは少なくともオン時にノーマリオンスイッチのゲートに負電圧を印加してノーマリオンスイッチをオフ状態に制御し、かつオフ時にノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除してノーマリオンスイッチをオン状態に制御するスイッチを含み、整合手段はインピーダンス素子および制御スイッチの間に介在して増加電流が流れているときにおいてインピーダンス素子の端子電圧が、第1の所定値に達した際に制御スイッチをオンさせ、かつ減少電流が流れているときにおいて第2の所定値に達した際に制御スイッチをオフさせる制御回路と;を具備していることを特徴としている。
【0008】
本発明において、チョッパは、降圧チョッパ、昇圧チョッパおよび昇降圧チョッパなどの各種チョッパを含む。なお、昇降圧チョッパは、昇圧チョッパおよび降圧チョッパをシーケンシャルに接続したものである。上記各チョッパは、いずれもノーマリオンスイッチをオンすることによりインダクタに直流電源から流入する増加電流が流れ、オフすることによりインダクタに蓄積された電磁エネルギーが放出されて減少電流が流れてチョッパ動作を行う点で共通している。
【0009】
制御回路は、制御スイッチおよび整合手段を備えている。
【0010】
制御スイッチは、少なくともノーマリオンスイッチのオン状態からオフ状態への切り換えを行うスイッチを含む。なお、所望によりノーマリオンスイッチのオフ状態からオン状態に切り換える第2のスイッチを備えることが許容される。この場合、ノーマリオンスイッチのオン状態からオフ状態への切り換えを行うスイッチは第1のスイッチとなる。
【0011】
整合手段は、インピーダンス手段と制御スイッチの間に介在して、インピーダンス手段に増加電流が流れる場合において、インピーダンス手段の端子電圧が第1の所定値に達したときに制御スイッチを動作させてノーマリオンスイッチをオフさせる。また、減少電流が流れる場合において、インピーダンス手段の端子電圧が第2の所定値に達したときに制御スイッチを制御してノーマリオンスイッチをオンさせる。なお、第2の所定値は第1の所定値より低い値である。
【0012】
本発明において、整合手段は、上述の機能を備えていればよく、その余の構成は特段限定されない。しかし、好適には整合手段をヒステリシスコンパレータにより構成することができる。また、整合手段を、インピーダンス手段の端子電圧を直接検出する第1の検出手段と電圧分割器を介して検出する第2の検出手段を備え、制御スイッチがノーマリオンスイッチをオフする際に連動して第2の検出手段から第1の検出手段に切り換えるように構成してもよい。
【0013】
そうして、ノーマリオンスイッチがオンしているときに直流電源から増加電流がインダクタに流れるが、インピーダンス手段の端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段を経由して制御スイッチがオンして負電圧をノーマリオンスイッチのゲートに印加させるので、ノーマリオンスイッチがオフして増加電流を遮断する。これに伴いインダクタに蓄積された電磁エネルギーが放出されて減少電流がインダクタから流れるとともに、整合手段を経由して制御スイッチがオフしてノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除するので、ノーマリオンスイッチがオンする。以後、上述の回路動作が繰り返えされてチョッパ動作を行なう。
【0014】
チョッパ動作に伴う増加電流と減少電流がともに流れる回路上の位置に負荷回路が接続しているので、DC−DC電圧変換が行われ、出力端に接続する負荷の発光ダイオードが変換された電圧の下で定電流制御されて点灯する。なお、負荷回路の発光ダイオードに並列接続している出力コンデンサは、チョッパの出力中に含まれる高周波成分を発光ダイオードからバイパスするように作用する。その結果、発光ダイオードは、平滑化された直流電流により点灯する。
【0015】
なお、制御回路に対する制御電源の供給は、本発明において特段限定されないが、好適には次のとおりである。すなわち、負荷回路またはノーマリオンスイッチの高電圧側から制御電源を得る。負荷回路から制御電源を得る態様においては、負荷回路に出力コンデンサにより平滑化された直流電圧が発生するので、ノーマリオンスイッチのゲート閾値電圧より高い電圧を負荷回路から取り出して制御電源を得ることにより、制御電源の回路構成を簡素化することができる。また、ノーマリオンスイッチの高電圧側から制御電源を得る態様においては、例えばノーマリオンスイッチのドレイン側からドロッパを経てノーマリオンスイッチのゲート閾値電圧より高い電圧を得るように構成することができる。
【0016】
本発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1または2記載のLED点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
【0017】
本発明において、照明装置は、発光ダイオードを光源とする装置を全て含む意味である。したがって、照明器具、表示装置および標識装置などであることを許容する。照明装置本体は、照明装置からLED点灯装置を除去した残余の部分を意味する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、チョッパの主スイッチング素子としてノーマリオンスイッチを用いるとともに、少なくともオン時にノーマリオンスイッチのゲートに負電圧を印加してノーマリオンスイッチをオフ状態に制御し、かつオフ時にノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除してノーマリオンスイッチをオン状態に制御するスイッチを含み、インピーダンス素子および制御スイッチの間に介在して増加電流が流れているときにおいてインピーダンス素子の端子電圧が、第1の所定値に達した際に制御スイッチをオンさせ、かつ減少電流が流れているときにおいて第1の所定値より低い第2の所定値に達した際に制御スイッチをオフさせる制御回路を具備していることにより、インダクタに2次巻線を配設することなしに簡単な回路構成となり、しかも良好な特性を有するとともにIC化が容易なチョッパおよびこれを備えた照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のLED点灯装置を実施するための第1の形態における回路図である。
【図2】本発明のLED点灯装置を実施するための第2の形態における回路図である。
【図3】同じく各部の電流、電圧波形図である。
【図4】本発明のLED点灯装置を実施するための第3の形態における回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1を参照して本発明のLED点灯装置における第1の形態について説明する。
【0022】
本形態において、LED点灯装置は、直流電源DC、チョッパCH、負荷回路LCおよび制御回路CCを具備している。
【0023】
直流電源DCは、どのような構成でもよいが、例えば整流回路DBを主体として構成され、また所望により平滑コンデンサC1などからなる平滑回路を備えていることができる。本形態において、整流回路DBは、好ましくはブリッジ形整流回路からなり、交流電源AC、例えば商用交流電源の交流電圧を全波整流して直流電圧を得る。
【0024】
本形態において、チョッパCHは、非絶縁形降圧チョッパにより構成されている。チョッパCHのパワー部すなわち負荷に供給する電力が通過する回路部は、ノーマリオンスイッチQ1、インダクタL1、フリーホイールダイオードD1および電流検出用インピーダンス素子Z1を含んで構成されている。そして、パワー部は、回路動作上第1の回路Aおよび第2の回路Bに分けることができる。
【0025】
第1の回路Aは、直流電源DCからインダクタL1に電磁エネルギーを蓄積させる回路であり、ノーマリオンスイッチQ1、負荷回路LCおよびインダクタL1を含む直列回路が直流電源DCに接続した構成を備えている。そして、ノーマリオンスイッチQ1のオン時に直流電源DCから増加電流が流れてインダクタL1に電磁エネルギーが蓄積される。
【0026】
第2の回路Bは、インダクタL1に蓄積された電磁エネルギーを放出する回路であり、フリーホイールダイオードD1および負荷回路LCを含む直列回路がインダクタL1に接続した構成を備えていて、ノーマリオンスイッチQ1のオフ時にインダクタL1から減少電流が流れる。
【0027】
ノーマリオンスイッチQ1は、本発明において、背景技術の項において述べた各種ワイドギャップ半導体を用いることが許容されるが、本形態においてはGaN基板を用いたHEMTを用いている。したがって、ノーマリオンスイッチQ1は、ドレイン、ソースおよびゲートを備えた電界効果形のワイドギャップ半導体である。ノーマリオンスイッチQ1は、広く普及しているSi半導体に比較して飛躍的に優れたポテンシャルを有していて、例えばGHz級の動作周波数でチョッパを動作させることが可能になる。このため、インダクタL1の超小形化を実現することができる。その結果、LED点灯装置の全体を著しく小形化することができる。
【0028】
インダクタL1は、本発明において直流電源DCから供給される電磁的エネルギーを蓄積し、次に放出する機能を有しているのであればよいので、従来技術におけるような2次巻線を配設する必要がない。このため、インダクタL1の構造を簡素化してその小形化に寄与することができる。
【0029】
フリーホイールダイオードD1は、インダクタL1に蓄積された電磁的エネルギーを放出して回生するための電流経路すなわち第2の回路Bを提供する手段であり、チョッパCHの動作周波数に応じて例えばショットキーバリヤダイオード、PINダイオードなどのスイッチングダイオードを用いることができる。
【0030】
電流検出用インピーダンス素子Z1は、増加電流および減少電流がともに流れる回路上の位置すなわち第1の回路Aおよび第2の回路Bに共有されている線路部分に挿入されて上記各電流を検出する手段である。そして、例えば抵抗値の小さな抵抗器を用いて構成される。
【0031】
また、チョッパCHは、昇圧チョッパの場合、インダクタL1およびノーマリオンスイッチQ1の直列回路が直流電源DCに接続する第1の回路Aと、インダクタL1、フリーホイールダイオードD1および負荷回路LCの直列回路が直流電源DCに接続する第2の回路Bとで構成することができる。なお、昇降圧チョッパの場合は前述のとおりである。
【0032】
負荷回路LCは、負荷の発光ダイオードLEDと出力コンデンサC2の並列回路により構成されていて、増加電流と減少電流がともに流れる回路上の位置に接続されている。なお、発光ダイオードLEDは、上記電流に対して順方向に単一で、または直列接続した複数で構成される。
【0033】
制御回路CCは、制御スイッチCSおよび整合手段MCを備えていて、適当な制御電源の供給を受けて作動してノーマリオンスイッチQ1のオン、オフを制御する。本形態においては、負荷回路LCの両端から制御回路CCに対して制御電源が供給される。
【0034】
制御スイッチCSは、ノーマリオンスイッチQ1のオン、オフを切り換える手段である。すなわち、制御スイッチCSがオンすることにより、ノーマリオンスイッチQ1のゲートがインピーダンス素子Z1およびインダクタL1の接続点に接続すれば、ノーマリオンスイッチQ1のゲートにはソースに対して負電圧が印加されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフする。また、制御スイッチCSがオフしてノーマリオンスイッチQ1のゲートがインピーダンス素子Z1およびインダクタL1の接続点に対する接続から開放されるか、またはソースと同電位になれば、ノーマリオンスイッチQ1がオンする。
【0035】
整合手段MCは、インピーダンス素子Z1と制御スイッチCSとの間に介在して、増加電流が第1の所定値に達したときに制御スイッチCSをオンさせる。また、減少電流が第2の所定値に達したときに制御スイッチCSをオフさせる。
【0036】
したがって、増加電流が流れているときにインピーダンス素子Z1の端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオンさせるので、ノーマリオンスイッチQ1をオフする。また、減少電流が流れているときにインピーダンス素子Z1の端子電圧が第2の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオフさせるので、ノーマリオンスイッチQ1がオンする。
【0037】
次に、回路動作について説明する。
【0038】
直流電源DCが投入されると、チョッパCHのノーマリオンスイッチQ1がオンして直流電源DCから第1の回路A内を電流が流れ出し、電流は直線的に増加する。これが増加電流であり、インダクタL1内に電磁エネルギーが蓄積される。増加電流が第1の回路A内を流れ出すと、インピーダンス手段Z1の端子電圧が増加電流に比例して増大していく。そして、端子電圧が第1の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオンさせる。
【0039】
制御スイッチCSがオンすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートが負電圧になるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフし、増加電流が遮断される。これにより、インダクタL1に蓄積されていた電磁エネルギーが放出されて第2の回路B内を電流が流れ始め、電流は直線的に減少する。これが減少電流である。減少電流が第2の所定値に達すると、整合手段MCが制御スイッチCSをオフさせる。
【0040】
制御スイッチCSがオフすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートに対する負電圧の印加が解除されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオンし、再度増加電流が流れ始める。以後、以上の回路動作を繰り返すことで、DC−DC変換動作を継続する。
【0041】
図2を参照して本発明のLED点灯装置における第2の形態について説明する。
【0042】
本形態は、制御回路CCが第1の形態と異なっている。なお、図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0043】
本形態において、制御回路CCは、制御スイッチCSが並列接続したP形FET1およびN形FET2により構成されている。そして、P形FET1のドレインとN形FET2のソースとの接続端がノーマリオンスイッチQ1のゲートに接続している。
【0044】
また、整合回路MCは、ヒステリシスコンパレータCPhにより構成されている。そして、ヒステリシスコンパレータCPhは、反転入力端子がインピーダンス手段Z1の負荷回路LC側の一端に接続し、非反転入力端子が基準電位Eに接続し、出力端子がP形FET1およびN形FET2のゲートに接続している。また、非反転入力端子と出力端子の間に予め抵抗値が調整された帰還抵抗器R1が接続している。上記基準電位Eは、負荷回路LCおよびインピーダンス手段Z1の直列部分に対して並列接続している抵抗器R2およびR3からなる電圧分割器VDの接続点に形成されている。
【0045】
そうして、ノーマリオンスイッチQ1がオンしてインピーダンス手段Z1に増加電流Iが流れている場合において、インピーダンス手段Z1の端子電圧が第1の所定値に達すると、ヒステリシスコンパレータCPhの反転入力端子に正の第1の所定値電圧が入力し、出力端子に負の最大出力電圧が出力する。この負の最大出力電圧は、制御スイッチCSのP形FET1のゲートに印加されるので、P形FET1がオンする。なお、このときN形FET2はオフ状態を維持する。
【0046】
P形FET1がオンすると、ノーマリオンスイッチQ1のゲートが負電位になるので、ノーマリオンスイッチQ1はオフし、増加電流Iが遮断される。これに伴いインダクタL1から減少電流Iが流れ出す。減少電流Iが流れているときのインピーダンス手段Z1の端子電圧がヒステリシスコンパレータCPhの反転入力端子に増加電流の端子電圧に引続いて入力するので、その値が第2の所定値に達すると、今度はヒステリシスコンパレータCPhの出力端子から正の最大電圧が出力される。その結果、P形FET1がオフし、N形FET2がオンする。
【0047】
P形FET1がオフし、N形FET2がオンする結果、ノーマリオンスイッチQ1がオンするので、再度増加電流が負荷回路LCに流れる。以後、以上の動作を繰り返してチョッパ動作が行われる。
【0048】
次に、図3を参照して本発明の第2の形態における各部の電流、電圧波形の関係を説明する。すなわち、図3の(a)は増加電流Iの波形、(b)は減少電流Iの波形、(c)はインピーダンス手段の端子電圧VZ1の波形、(d)はインダクタの電圧VL1の波形、(e)はノーマリオンスイッチのゲート電圧VGSの波形であり、時間軸を揃えて示している。なお、図において、増加電流Iのピーク値が第1の所定値に達したときに相当する。また、減少電流Iの0値が第2の所定値に達したときに相当する。
【0049】
図3の電流波形図は、制御に遅れがない場合の理想的な波形であるが、増加電流の遮断時の制御に無視することができない遅れが生じる場合には、ピーク値より制御の遅れに相当する値だけ低い位置に第1の所定値があることになる。また、減少電流が第2の所定値に達したときの制御に無視することができない遅れが生じる場合には、減少電流と次の増加電流との間に制御の遅れに相当する電流の遮断時間が生じる。
【0050】
図4を参照して本発明のLED点灯装置における第3の形態について説明する。
【0051】
本形態は、制御回路CCが第および第2の形態と異なっている。なお、図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0052】
すなわち、制御スイッチCSがバイポーラトランジスタQ2を主体として構成されている。バイポーラトランジスタQ2は、コレクタがノーマリオンスイッチQ1のゲートに接続するとともに、ドロッパからなる制御電源Vddを介してノーマリオンスイッチQ1のソースに接続し、エミッタがインダクタL1およびインピーダンス手段Z1の接続点に接続している。
【0053】
また、整合手段MCがバイポーラトランジスタQ3、抵抗器R4およびR5を主体として構成されている。バイポーラトランジスタQ3のコレクタが抵抗器R4を介して制御スイッチCSのバイポーラトランジスタQ2のベースに接続し、エミッタがインダクタL1およびインピーダンス手段Z1の接続点に接続し、ベースが抵抗器R6を介してバイポーラトランジスタQ2のコレクタに接続している。また、抵抗器R5、R4およびバイポーラトランジスタQ3のコレクタ・エミッタの直列回路がインピーダンス手段Z1に並列接続している。
【0054】
そうして、ノーマリオンスイッチQ1がオンして増加電流が流れている場合においては、制御スイッチCSのバイポーラトランジスタQ2がオフし、整合手段MCのバイポーラトランジスタQ3がオンしている。このため、インピーダンス手段Z1の端子電圧は、抵抗器R4および抵抗器R5の直列回路で分圧され、抵抗器R4の両端電圧がバイポーラトランジスタQ2のベース・エミッタ間に印加される。
【0055】
そこで、抵抗器R4と抵抗器R5の値を予め調整して抵抗器R4の値を相対的に小さく設定しておくことにより、増加電流が第1の所定値に達する以前のレベルではバイポーラトランジスタQ2がオフ状態となるように構成することができる。しかし、増加電流が第1の所定値に達すると、バイポーラトランジスタQ2がオン状態になり、ノーマリオンスイッチQ1のゲートに負電圧が印加されるので、ノーマリオンスイッチQ1がオフして増加電流が遮断される。
【0056】
バイポーラトランジスタQ2がオン状態になると、バイポーラトランジスタQ3がオフするので、ノーマリオンスイッチQ1がオフして減少電流が流れている場合には、インピーダンス手段Z1の端子電圧が分圧されることなくバイポーラトランジスタQ2に印加され、引き続きバイポーラトランジスタQ2がオン状態を維持する。しかし、インピーダンス手段Z1の端子電圧が低下していき第2の所定値に達すると、バイポーラトランジスタQ2がオン状態を維持できないでオフする。その結果、ノーマリオンスイッチQ1が再びオンする。以後、上述の回路動作を繰り返し、チョッパ動作を継続する。
【符号の説明】
【0057】
1…P形FET、2…N形FET、A…第1の回路、B…第2の回路、C1…平滑コンデンサ、C2…出力コンデンサ、CC…制御手段、CH…チョッパ、CPh…ヒステリシスコンパレータ、CS…制御スイッチ、D1…フリーホイールダイオード、DC…直流電源、DB…整流回路、L1…インダクタ、LED…発光ダイオード、LC…負荷回路、MC…整合回路、Q1…ノーマリオンスイッチ、Z1…電流検出用インピーダンス手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と;
ノーマリオンスイッチ、インダクタ、フリーホイールダイオードおよび電流検出用インピーダンス素子を備え、ノーマリオンスイッチのオン時にインダクタに増加電流が流れるとともにノーマリオンスイッチのオフ時にインダクタから減少電流が流れてチョッパ動作を行い、直流電源電圧をDC−DC変換して出力端に出力するとともに、電流検出用インピーダンス素子が増加電流および減少電流が流れる回路上の位置に挿入されているチョッパと;
チョッパの出力端に接続された発光ダイオードおよび出力コンデンサの並列回路を備えた負荷回路と;
制御スイッチおよび整合手段を備え、制御スイッチは少なくともオン時にノーマリオンスイッチのゲートに負電圧を印加してノーマリオンスイッチをオフ状態に制御し、かつオフ時にノーマリオンスイッチのゲートに対する負電圧の印加を解除してノーマリオンスイッチをオン状態に制御するスイッチを含み、整合手段はインピーダンス素子および制御スイッチの間に介在して増加電流が流れているときにおいてインピーダンス素子の端子電圧が、第1の所定値に達した際に制御スイッチをオンさせ、かつ減少電流が流れているときにおいて第1の所定値より低い第2の所定値に達した際に制御スイッチをオフさせる制御回路と;
を具備していることを特徴とするLED点灯装置。
【請求項2】
制御回路は、整合手段がヒステリシスコンパレータにより構成されていることを特徴とする請求項1記載のLED点灯装置。
【請求項3】
照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項1または2記載のLED点灯装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−165920(P2011−165920A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27398(P2010−27398)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】