説明

LED照明器具

【課題】遠方の対象物を十分な明るさで照明することができるLED照明器具を提供する。
【解決手段】複数のLED9と、前記LED9を臨ませる始端開口33を底部に設けた放物反射面11を前記LED9ごとに有する反射ユニット5とを備え、前記放物反射面11のそれぞれを、前記LED9が配される底部から終端開口35までの軸長を超狭角配光が得られる長さとし、前記終端開口35の径を1/2ビーム角が5〜7度となる径としつつ、それぞれの前記放物反射面11を互いに平行に設け、所定距離離れた照射野で前記放物反射面11のそれぞれから放射した光が重なるピッチPで前記LED9及び放物反射面11のそれぞれを配置するとともに、前記放物反射面11を長軸に沿って互いに同一形状に分割して成る分割放物反射面のそれぞれに反射膜を形成し、それぞれの分割放物反射面を合わせて前記放物反射面11を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源に備えるLED照明器具に係り、特に、遠方の対象物を十分な明るさで演出照明する投光器として用いて好適なLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等の演出照明に供される照明器具では、その光源に高出力化が容易なHID(High Intensity Discharge)ランプが広く用いられている。近年では、高寿命化、灯具の小型、軽量化が可能なLEDが光源として注目され、また、照明器具として実用化されている。
すなわち、HIDランプを光源とする照明器具においては、配光制御を反射鏡で行っており、器具効率を高めるためにHIDランプの放射光を可能な限り反射する大きさの反射鏡を用いる必要があるから器具が大型、重量化する。これに対し、LEDを光源とする照明器具においては、LEDが、その放射面から光を放射する構造であることから当該放射面にレンズを配して配光制御する構成が一般的である。この構成によれば、LEDの放射光の全てを小型・軽量のレンズで制御することができることから、器具の小型、軽量化が可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−128217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、照射対象物が数十〜百数十メートル以上離れた遠方にある場合、照射対象物を十分な明るさで照らすためには、非常に高出力なLEDを光源に採用する必要がある。また、従来のように、配光制御にレンズを使用した場合、照射面に色収差が発生する。
この問題を解決するに、配光制御に反射鏡を用いることが考え得るが、反射鏡を単純に用いた場合、レンズに比べて光源の放射光の全てを制御できないため軸光度が低下し、遠方で所望の明るさが確保できない。HIDランプを光源に採用した従来の照明器具では、当該HIDランプ自体が比較的大きいため、反射鏡で反射仕切れない光に起因した軸光度不足が顕著になるものの、HIDランプを高出力化し光軸上の光束を増やすことで軸光度不足を補っていた。しかしながら、LEDにおいては、出力を高めたとしてもHIDランプ程の光束増加は望めないため、そのままでは所望の軸光度が得られない。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、遠方の対象物を十分な明るさで照明することができるLED照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のLEDと、前記LEDを臨ませる始端開口を底部に設けた放物反射面を前記LEDごとに有する反射ユニットとを備え、前記放物反射面のそれぞれを、前記LEDが配される底部から終端開口までの軸長を超狭角配光が得られる長さとし、前記終端開口の径を1/2ビーム角が5〜7度となる径としつつ、それぞれの前記放物反射面を互いに平行に設け、所定距離離れた照射野で前記放物反射面のそれぞれから放射した光が重なるピッチで前記LED及び放物反射面のそれぞれを配置するとともに、前記放物反射面を長軸に沿って互いに同一形状に分割して成る分割放物反射面のそれぞれに反射膜を形成し、それぞれの分割放物反射面を合わせて前記放物反射面を構成したことを特徴とするLED照明器具を提供する。
【0007】
また本発明は、上記LED照明器具において、前記LED及び前記放物反射面を納める熱伝導性材から成る灯体ケースを備え、当該灯体ケースの正面から前記放物反射面の終端開口側を突出させ、当該突出させた部位を樹脂製の透明な前面カバーで覆ったことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、LEDが配される底部から終端開口までの軸長を超狭角配光が得られる長さとし、終端開口の径を1/2ビーム角が5〜7度となる径としたことから、従来のものよりも平行光線が放物反射面の長軸に集められ軸光度を向上させることができる。さらに、遠方での照射野の拡がりが抑えられ十分な照度を維持することができる。
また、かかる放物反射面は、長さが通常よりも非常に長くなることから均一な反射面の形成が困難となるが、本発明では、当該放物反射面を長軸に沿って互いに同一形状に分割して成る分割放物反射面のそれぞれに反射膜を形成し、それぞれの分割放物反射面を合わせて放物反射面を構成するため、均一な放物反射面を簡単に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLED照明器具の外観構成を示す斜視図である。
【図2】LED照明器具の構成を示す図であり、(A)は正面図、図2は(A)のI−I線における断面視図である。
【図3】LEDユニットの構成を示す図であり、(A)はLEDユニットの平面図、(B)はLEDユニットが備えるLEDを拡大して示す図、(C)は当該LEDの別例を拡大して示す図である。
【図4】反射ユニットの構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は側面図である。
【図5】分割放物反射面の平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るLED照明器具の外観構成を示す斜視図である。
【図7】LED照明器具の正面図である。
【図8】LED照明器具の側面図である。
【図9】LED照明器具を背面側からみた斜視図である。
【図10】本発明の変形例に係る放物反射面の配置例を示す図であり、(A)は多列配置、(B)は同心円状配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るLED照明器具1の外観構成を示す斜視図である。また、図2はLED照明器具1の構成を示す図であり、図2(A)は正面図、図2(B)は図2(A)のI−I線における断面視図である。
LED照明器具1は、数十メートル〜百数十メートル離れた遠方の対象物のライトアップに用いて好適な器具(投光器)であり、図1及び図2に示すように、LEDユニット3(図2)と、反射ユニット5と、これらを納めた灯体ケース7とを備えている。LEDユニット3は、複数個(図示例では5個)のLED9を一列に配列して構成されている。また、反射ユニット5には、それぞれのLED9に対応して放物反射面11が設けられている。そして各放物反射面11でLED9の放射光が平行光化されて出射される。
以下、各部をより詳細に説明する。
【0011】
図3はLEDユニット3の構成を示す図であり、図3(A)はLEDユニット3の平面図、図3(B)はLEDユニット3が備えるLED9を拡大して示す図、図3(C)は当該LED9の別例を拡大して示す図である。
LEDユニット3は、同図に示すように、横長に延びる一枚の回路基板13に、5個のLED9を一定のピッチP(後に詳述)で一列に配置して構成され、当該回路基板13の裏面側には各LED9の点灯回路が実装されている。本実施形態では、約20W(ワット)の出力のLED9を5個用いることで約100W(ワット)の出力のLEDユニット3を構成している。
【0012】
LED9は、図3(B)に示すように、複数個(図示例では4個)のLED素子(LEDチップ)15を1つにパッケージ化して構成されている。すなわち、LED9は、平面視略正方形のパッケージ基板17を備え、このパッケージ基板17の上面17Aに、平面視略円形のリフレクタ19を凹設し、このリフレクタ19の中心部Oに複数のLED素子15を配置し、パッケージ基板17の周囲に設けた正負の電極21、23から各LED素子15に電力を供給し点灯する。また、リフレクタ19には、各LED素子15を一同に覆う封入樹脂25が充填されている。上記LED素子15は、それぞれ略中央に発光点Xを有し、これらのLED素子15が格子状に互いに密接配置されることで、これらLED素子15を取り囲む大きさを有した1つの発光点Qとして光学設計上取り扱われる。
このとき、図3(B)の例では、発光点Qの中心部OにLED素子15の発光点Xが無いことから、これらを1つの発光点Qとして光学設計した際に、照射野の輪郭が不鮮明になり、また、中心部Oが光軸となるので軸光度も低下する。そこで、図3(C)の例に示すように、リフレクタ19の中心部OにLED素子15の発光点Xを配し、このLED素子15の周囲に他のLED素子15を配して発光点Qを構成したLED9Aとすることで照射野の輪郭が鮮明になり、また、軸光度の向上も得られる。
【0013】
ただし、発光点Qが大きくなると点光源として取り扱えなくなる。したがって、後述する放物反射面11に対して発光点Qが光学設計上点光源と見なせる程度の大きさに収まるように、LED素子15をダウンサイズし、或いは、個数を減らすことが望ましい。しかしながら、LED素子15を小型化し、或いは、個数を減らすと、これらをパッケージ化したLED9の高出力化が難しくなる。このため、数十メートル〜百数十メートルという遠方を十分に照らす光源としては出力が不足することとなる。また、発光点Qが大きくても高出力なLED9を採用すると、上述のように、照射野の輪郭が不鮮明になる。換言すれば、配光制御の精度の低下により器具効率も低下することから、遠方を十分に照らすためには、LED9の出力を無駄に高める必要がある。
【0014】
この問題は、放物反射面11を発光点Qが点光源と見なせる程度まで大きくすれば解決できる。しかしながら、放物反射面11が非常に大きくなり、器具の大型・重量化を招き、光源にLED9を採用したメリットが損なわれる。特に、本実施形態においては、後述するように放物反射面11の軸長が長いため、器具の大型化が顕著となる。
そこで本実施形態では、1個のLED9で光源を構成するのではなく、複数(本実施形態では5個)のLED9を用いて1個のLEDユニット3を構成している。この構成によれば、個々のLED9の出力を低くできるので、発光点Qを小さくでき、より正確な配光制御が実現できるとともに放物反射面11の大型化を招くことがない。
【0015】
図4は反射ユニット5の構成を示す図であり、図4(A)はその正面図、図4(B)はその平面図、図4(C)はその側面図である。
反射ユニット5は、ユニット本体30に、LED9のピッチPに合わせて放物反射面11が横並びに設けて構成されている。このユニット本体30は、図4(B)に示すように、側面視形状が上記放物反射面11に沿った略放物線形状を成し、図2(B)に示すように、ユニット本体30の底部31がLEDユニット3の回路基板13上に位置するように灯体ケース7に支持される。また、反射ユニット5は、図4に示すように、それぞれの放物反射面11の長軸Kを通る面で互いに同一形状になるように2分割して成る分割放物反射面ユニット30A、30Bを備え、これらがネジで締結して構成されている。
【0016】
図5は、分割放物反射面ユニット30Aの平面図である。なお、他方の分割放物反射面ユニット30Bもこの図に示す構成と同様であるため図示及び説明は省略する。
分割放物反射面ユニット30Aは、例えばアルミニウム等の高熱伝導性を有する素材から鋳造により成形され、同図に示すように、長軸Kに沿って縦に2分割された放物反射面11を露出した面を有する。この面には、鋳造後に、放物反射面11の反射率を高めるためのアルミ蒸着が施され、その後、分割放物反射面ユニット30A、30Bを接合して上記反射ユニット5が構成される。かかる構成によれば、放物反射面11が深い場合であっても、その表面全体にアルミ蒸着膜を均一に形成することができ、効率の良い反射鏡が簡単に得られる。
【0017】
反射ユニット5の放物反射面11は、反射面を放物面とした凹面鏡であって、その底部31には、LED9を臨む始端開口33が設けられており、当該始端開口33から放物反射面11内に臨むLED9が放射した放射光を平行光化して終端開口35から出射する。平行光化して出射することで、遠方での光の拡がりを抑え照度低下を防止できる。
ただし、単に平行光化して出射するだけでは、照射対象物までの距離が遠くなったときの光量不足を解消することはできず、軸光度を如何に高めることが重要となる。そこで、本実施形態では、それぞれの放物反射面11での軸光度を高めるために、各放物反射面11の形状を次ぎのようにしている。
【0018】
すなわち、図5に示すように、放物反射面11を、LED9が配される底部31から終端開口35までの軸長Lを超狭角配光が得られる長さとし、なおかつ、終端開口35の径D1を1/2ビーム角が5〜7度となる長さに形成している。ここで、本実施形態において、超狭角配光は、数十〜百数十メートル以上離れた箇所を照射するのに使用される配光であり、1/2ビーム角が5〜7度となる配光である。
【0019】
具体的には、本実施形態では、LED9に幅W(図2(A))が約6.4mmのものを採用し、放物反射面11の始端開口33の径D2(図5)を、当該LED9の幅Wと同程度の大きさの約11mmとするとともに、当該始端開口33から終端開口35までの軸長Lを約116.55mmとし、また、終端開口35の径D1(図5)を1/2ビーム角が5〜7度(本実施形態では5度)となる径である約84.9mmとしている。
これにより、放物反射面11の終端開口35の開きである径D1が軸長Lに対して従来よりも非常に小さな形状となり、また、カットオフ角θ(図5)も約13.03度と小さくなることから、従来のものよりも平行光線が放物反射面11の長軸Kに集められ軸光度を向上させることができる。さらに、1/2ビーム角が5〜7度と小さいことから遠方での照射野の拡がりが抑えられ、遠方での照度が高められる。
【0020】
反射ユニット5においては、上記の通り、複数の放物反射面11のそれぞれから光を照射することで総合の出力を高めている。このとき、所定の遠方の照射野で、放物反射面11のそれぞれの光が分離してしまうと、当該照射野で所望の照度が得られない。したがって、放物反射面11(LED9)のピッチPは、各放物反射面11から放射された光の拡がりを考慮し、それぞれの放射光が所定遠方の照射野で重なりを持つように設定されている。これにより、LEDユニット3及び反射ユニット5を備えたLED照明器具1の軸光度が高められ、遠方で十分な照度を維持することができるのである。
このとき、各放物反射面11の長軸Kを互いに平行とすることで、所定距離離れた照射野で集光することもなく、高い軸光度を長距離に亘って維持することができる。
【0021】
前掲図2に戻り、灯体ケース7は、正面視横長の箱形形状に構成され、熱伝導性の高い例えばアルミニウム合金により形成されている。その正面側には、反射ユニット5及びLEDユニット3を収容する収容部41が設けられ、この収容部41の背後側には、電源回路などを納めるスペースが設けられており、また、取付用の支持アーム43が設けられている。また、灯体ケース7の収容部41は、図1及び図2に示すように、反射ユニット5の先端側(終端開口35側)が正面に向けて突出する深さに成形されており、この突出した箇所を覆うように、ポリカーボネイト等の軽量な樹脂製透明カバー(前面カバー)45が設けられている。このように灯体ケース7から反射ユニット5の先端側を突出させることで、意匠性に優れたLED照明器具1が得られる他、灯体ケース7の前後の長さを短縮できるため軽量化及び低コスト化が可能になる。ただし、灯体ケース7の前後の長さは、灯体ケース7からLEDユニット3の発熱を十分に放熱できる程度に設定されている。このとき、反射ユニット5の放物反射面11の軸長Lが従来のものよりも長いため当該反射ユニット5の熱容量が増すことから灯体ケース7の更なる短縮化が可能になる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態によれば、放物反射面11を、LED9が配される底部31から終端開口35までの軸長Lを超狭角配光が得られる長さとし、終端開口35の径D2を1/2ビーム角が5〜7度となる径とする構成とした。
この構成によれば、従来のものよりも平行光線が放物反射面11の長軸Kに集められ軸光度を向上させることができる。さらに、1/2ビーム角が小さいため遠方での照射野の拡がりが抑えられ十分な照度を維持することができる。これにより、約100W(ワット)の出力のLEDユニット3を光源として、100メートル離れた対象物を十分な明るさで照らすことができるLED照明器具1が得られる。
【0023】
また本実施形態によれば、複数のLED9を備えてLEDユニット3を構成し、放物反射面11をLED9ごとに有する反射ユニット5を構成し、また、放物反射面11を互いに平行に設け、所定距離離れた照射野で放物反射面11のそれぞれから放射した光が重なるピッチPで複数のLED9及び放物反射面11をそれぞれ配置する構成とした。
この構成により、1つのLED9を無理に高出力化せずとも所定距離離れた照射野で十分な照度が得られる。また、各放物反射面11が互いに平行であるため、所定距離離れた照射野で集光することもなく、高い軸光度を長距離に亘って維持することができる。
【0024】
また本実施形態によれば、反射ユニット5の放物反射面11の長軸Kに沿って分割して成る互いに同一形状の分割放物反射面ユニット30A、30Bのそれぞれにアルミ蒸着をし、それぞれの分割放物反射面ユニット30A、30Bを合わせて反射ユニット5を構成した。これにより、放物反射面11が深い場合であっても、その表面全体にアルミ蒸着を均一に形成することができ、効率の良い反射鏡が簡単に得られる。
【0025】
また本実施形態によれば、LEDユニット3及び反射ユニット5を納める熱伝導性材から成る灯体ケース7を備え、当該灯体ケース7の正面から反射ユニット5の放物反射面11の終端開口35側を突出させ、当該突出させた部位を樹脂製透明カバー45で覆う構成とした。この構成により、意匠性に優れたLED照明器具1が得られ、また、灯体ケース7の前後の長さを短縮できるため軽量化及び低コスト化が可能になる。さらに、反射ユニット5の放物反射面11の軸長Lが従来のものよりも長いため当該反射ユニット5の熱容量が増すことから灯体ケース7の更なる短縮化が可能になる。
【0026】
<第2実施形態>
図6〜図9は、本発明の第2実施形態に係るLED照明器具100の構成を示す図であり、図6は正面からみた斜視図、図7は正面図、図8は側面図、及び図9は背面からみた斜視図である。なお、これらの図において、第1実施形態で説明した部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
これらの図に示すように、LED照明器具100においては、3つのLED9及び放物反射面11を1列に配置した反射ユニット105Aと、2つのLED9及び放物反射面11を1列に配置した反射ユニット105Bと、を上下に2段配置した構成としている。各反射ユニット5の製造方法、及び光学特性については、第1実施形態で説明した通りである。
【0027】
このLED照明器具100においては、約40W(ワット)の出力のLED9を用いることとし、第1実施形態のLED照明器具1よりも高出力化を図っている。
また本実施形態では、放物反射面11の始端開口33の径D2を、約20.7mmとするとともに、当該始端開口33から終端開口35までの軸長Lを約166mmとし、また、終端開口35の径D1を1/2ビーム角が5〜7度(本実施形態では5度)となる径である約113.6mmとしている。これにより、第1実施形態と同様に、平行光線が放物反射面11の長軸に集められて軸光度が向上し、さらに、1/2ビーム角が5〜7度と小さいことから遠方での照射野の拡がりが抑えられて遠方での照度が高められることとなる。
また、このLED照明器具100においては、図7に示すように、上下の反射ユニット105A、105Bは、全てのLED9及び放物反射面11の離間距離であるピッチPが全て等距離となるように配置されており、照射野での照度ムラ発生を抑制することとしている。
このとき、各列の放物反射面11から放射された光が所定距離離れた照射野で重なりを有するように各列間のピッチPが規定される。これにより、LED照明器具1の更なる高出力化が容易にできる。
【0028】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0029】
上述した第2実施形態では、上下段の反射ユニット105A、105BでLED9及び放物反射面11の数を異ならせたが、これに限らず、例えば図10(A)に示すように、同一個数としても良い。このとき、各列の放物反射面11から放射された光が所定距離離れた照射野で重なりを有するように各列間のピッチが規定されることは第2実施形態で説明した通りである。なお、図10(B)に示すように、LED照明器具1の光軸位置に放物反射面11を配し、この放物反射面11を取り囲むように複数の放物反射面11を配した、同心円状の配置構成とすることで、LED照明器具1の軸光度を更に高めることもできる。この場合において、それぞれの放物反射面11から放射された光が所定距離離れた照射野で重なりを有するように配置が規定される。
【0030】
また上述した実施形態において、超狭角配光以外の配光(例えば狭角配光など)を有する放物反射面を反射ユニット5に付加的に設けても良いことは勿論である。
さらに、上述した実施形態において、1つのLED9により所定距離離れた照射野で十分な照度が得られる場合には、LED9及び放物反射面11の数をそれぞれ1つとしても良い。
【0031】
また上述した実施形態で説明したLED照明器具1は、数十メートル〜百数十メートル離れた照射野を十分な明るさで照らすことができることから、高層の建物を演出する投光器として好適に用いることができる。またLED照明器具1を複数並べて配置することで、野球場や競技場など、遠方から広範囲を照明する必要があるスタジアム照明にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1、100 LED照明器具
3 LEDユニット
5 反射ユニット
7 灯体ケース
9、9A LED
D1 終端開口の径
D2 始端開口の径
11 放物反射面
15 LED素子
30A、30B 分割放物反射面ユニット
31 底部
33 始端開口
35 終端開口
45 樹脂製透明カバー(前面カバー)
K 長軸
L 軸長
P ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDと、前記LEDを臨ませる始端開口を底部に設けた放物反射面を前記LEDごとに有する反射ユニットとを備え、
前記放物反射面のそれぞれを、前記LEDが配される底部から終端開口までの軸長を超狭角配光が得られる長さとし、前記終端開口の径を1/2ビーム角が5〜7度となる径としつつ、それぞれの前記放物反射面を互いに平行に設け、
所定距離離れた照射野で前記放物反射面のそれぞれから放射した光が重なるピッチで前記LED及び放物反射面のそれぞれを配置するとともに、
前記放物反射面を長軸に沿って互いに同一形状に分割して成る分割放物反射面のそれぞれに反射膜を形成し、それぞれの分割放物反射面を合わせて前記放物反射面を構成したことを特徴とするLED照明器具。
【請求項2】
前記LED及び前記放物反射面を納める熱伝導性材から成る灯体ケースを備え、当該灯体ケースの正面から前記放物反射面の終端開口側を突出させ、当該突出させた部位を樹脂製の透明な前面カバーで覆ったことを特徴とする請求項1に記載のLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−9280(P2012−9280A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144308(P2010−144308)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)
【Fターム(参考)】