説明

LED照明装置用レンズユニット、照明装置および家具

【課題】 比較的広い面積を発光させるとともに、物理的にできる限り小型の照明装置を提供可能な技術を提供する。
【解決手段】 帯状の基板(10)と、 その基板(10)の長手方向に連続して固定した複数のLED(11)と、を用いた照明装置に用いるレンズユニット、およびそのレンズユニットを用いた照明装置とする。 LED(11)に近接させた第一レンズ(20)と、 その第一レンズ(20)の反LED(11)側に位置させた第二レンズ(30)とを備え、第一レンズ(20)および第二レンズ(30)は、集光のためのシリンドリカルレンズとするとともに、 入光面または出光面の少なくとも一面が長手方向に垂直な断面形状がなす表面の曲率を一定としない凸曲面にて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面を発光させる厚みが薄い照明装置、その照明装置に用いるLED照明装置用レンズユニット、その照明装置を用いる家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置は、古くから白熱電灯や蛍光灯が用いられてきた。白熱電灯は自然光に近いこと、蛍光灯は白熱電灯と比較して寿命が長くて消費電力が小さいこと、がそれぞれの特徴であった。
近年では、消費電力が小さくて寿命が更に長い発光ダイオード(LED)も、照明装置に使われ始めた。たとえば、特許文献1に記載されている技術である。
【0003】
【特許文献1】特開2003−281908号公報
【0004】
特許文献1に記載された技術は、長時間の照明が可能で、コンパクトに構成され、且つ平行光を照射できる照明装置である。
LEDを用いれば、蛍光灯やネオンの寿命といわれている1万時間を遙かに上回る5万時間を達成できる、とある。また、蛍光灯やネオンを用いる場合に発生する熱や紫外線が問題となるような箇所でも、照明装置として用いることができるという利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、比較的広い面積が発光する照明装置を提供することが困難だった。特許文献1に記載された技術は、平行光を照射できる照明装置であり、車両室内などにおける読書灯としては使用できるが、比較的広い面積を照射する能力に乏しかった。
【0006】
一方、比較的広い面積を照射し、且つ消費電力が白熱電灯よりも小さいという利点のある蛍光灯であるが、以下のような問題点があった。すなわち、LEDを用いた照明装置よりも小さくすることについては限界がある。蛍光管を折り曲げるなどして球状とするなどの技術によって、棒状とは異なる蛍光灯も登場しているが、小さくすることについての物理的に限界があった。
【0007】
家具に照明装置を組み込むことが、色々な場所、場面で要望されている。例えば、キッチン、書棚などである。しかし、現状の蛍光灯では大きすぎ、特許文献1に記載された技術では照射範囲が狭いので使い勝手が良くない。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、比較的広い面積を発光させるとともに、物理的にできる限り小型の照明装置を提供可能な技術を提供することである。
請求項1から請求項6に記載の発明は、比較的広い面積を発光させるとともに、これまでよりも小型の照明装置に用いるレンズユニットを提供することを目的とする。
請求項7に記載の発明は、比較的広い面積を発光させるとともに、これまでよりも小型の照明装置を提供することを目的とする。
請求項8に記載の発明は、必要な場所を照射できる照明装置を組み込んだ家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、 帯状の基板(10)と、 その基板(10)の長手方向に連続して固定した複数のLED(11)と、を用いた照明装置に用いるレンズユニットに係る。
すなわち、 LEDに近接させた第一レンズ(20)と、 その第一レンズ(20)の反LED(11)側に位置させた第二レンズ(30)とを備え、 第一レンズ(20)および第二レンズ(30)は、集光のためのシリンドリカルレンズとするとともに、 入光面または出光面の少なくとも一面が長手方向に垂直な断面形状がなす表面の曲率を一定としない凸曲面にて形成したことを特徴とする。
【0010】
(用語説明)
「LED(11)」としては、小型のものが好ましい。例えば、厚さが0.2 〜2.0 mm程度にて形成されたものを採用する。省電力型LEDであることが望ましい。
「レンズ」の材質としては、第一レンズ、第二レンズとも、透明なガラス、または透明なプラスチック、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネートなどである。
材質のプラスチックを採用した場合、押し出し成形が可能である。第一レンズ(20)におけるLED(11)側を平面(21)としているので、製造しやすい。
【0011】
(作用)
前述のような構成の第一レンズ(20)および第二レンズ(30)を採用することにより、LED(21)を帯状の長手方向に連続して複数固定することで形成する照明装置において、点光源であるLEDを多数採用している照明装置であっても、長手方向における照度ムラの少ない線光源とすることができ、照射面が比較的広い照明装置の提供が可能となった。
【0012】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のレンズユニットを限定したものである。
前記第一レンズ(20)は、その両端から前記第二レンズ(30)側へ延設させた立設板部(23)を備え、 その立設板部(23)は、前記第二レンズ(30)の両端に接して支持することによって、第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする。
【0013】
(作用)
第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めが、極めて簡単に行えるので、組立の手間を軽減できる。
【0014】
(請求項3)
請求項3記載の発明もまた、請求項1に記載のレンズユニットを限定したものである。
すなわち、前記第二レンズ(30)は、その両端から前記第一レンズ(20)側へ延設させた立設板部(33)を備え、 その立設板部(33)は、前記第一レンズ(20)の両端に接して支持することによって、第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする。
【0015】
(作用)
第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めが、極めて簡単に行えるので、組立の手間を軽減できる。
【0016】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1に記載のレンズユニットを限定したものである。
すなわち、 前記第一レンズ(20)は、その両端から前記第二レンズ(30)側へ延設させた立設板部(23a)を備え、 前記第二レンズ(30)は、その両端から前記第一レンズ(20)側へ延設させた立設板部(33a)を備え、 それぞれの立設板部(23a,33a)の端部は、互いに接することで第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする。
【0017】
(作用)
第一レンズ(20)および第二レンズ(30)の相対的な位置決めが、極めて簡単に行えるので、組立の手間を軽減できる。
【0018】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のレンズユニットを限定したものである。
すなわち、 第一レンズ(20)または第二レンズ(30)の少なくとも一方は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とする。
【0019】
(作用)
第一レンズ(20)または第二レンズ(30)の少なくとも一方に光拡散機能が備えられているので、従来技術におけるLED照明装置では必要とされていた光拡散シートを省略することができる。このため、照明装置の構造、組立工程などが単純化される。
【0020】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のLED照明装置用レンズユニットを用いた照明装置に係る。
すなわち、請求項1から請求項5のいずれかに記載のLED照明装置用レンズユニットと、 帯状の基板(10)と、 その基板(10)の長手方向に連続して固定した複数のLED(11)と、 前記基板(10)と前記LED照明装置用レンズユニットとの相対的な位置決めを行う固定部材(40)とを備えたことを特徴とするLED照明装置である。
【0021】
(作用)
LED照明装置用レンズが極めてシンプルに、しかも小型に形成できるので、本請求項に係る照明装置も小型でシンプルに形成することができる。
【0022】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、 請求項6に記載のLED照明装置において、
前記LED(11)は、低電力LEDを前記基板(10)の長手方向に多数並べることとしたことを特徴とする。
【0023】
(作用)
低電力LEDを前記基板(10)の長手方向に多数並べることによって線光源を構成するが、前記のLED照明装置用レンズユニットを採用しているので、長手方向における照度ムラの少ない線光源とすることができ、照射面が比較的広い照明装置となる。
【0024】
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の照明装置を組み込んだことを特徴とする家具に係る。
【0025】
(用語説明)
「家具」とは、たとえば、食器棚、キッチンの収納スペース、小物の陳列棚、学習机、壁などに埋め込まれて用いる各種の間接照明などを備えた家具である。商品の陳列棚なども含む。
請求項8記載する照明装置は、従来の照明装置に比べても薄型なので、たとえば棚板の寸法を異ならせることなく内蔵することも可能である。
また、蛍光灯やハロゲンなどを用いていた商品の陳列棚において、発光に伴う発熱や紫外線などの問題が生じないので、商品を照明できる陳列棚として、要求を満たすことができる性能が高い。
【発明の効果】
【0026】
請求項1から請求項5に記載の発明によれば、比較的広い面積を発光させるとともに、これまでよりも小型の照明装置に用いるレンズユニットを提供することができた。
請求項6に記載の発明によれば、比較的広い面積を発光させるとともに、これまでよりも小型の照明装置を提供することができた。
請求項7に記載の発明によれば、必要な場所を照射できる照明装置を組み込んだ家具を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、図1から図6を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
【0028】
(図1)
図1に示すのは、実施形態に係る照明装置の斜視図および端面図である。
帯状の基板10と、 その基板10の長手方向に連続して固定した複数のLED11と、 そのLED11の照射面が適度に広がるようにした二枚のレンズユニット20,30を備えた照明モジュールである。
第一レンズ20、第二レンズ30とも、長手方向の断面形状が同一なシリンドリカルレンズである。 レンズの材質、光源の選択、照射性能などの諸条件によって、曲率や厚さなどの寸法は異なるが、第一レンズ20および第二レンズ30いずれも、入光面または出光面の少なくとも一面が長手方向に垂直な断面形状がなす表面の曲率を一定としない凸曲面にて形成している。
【0029】
基板10は、絶縁性のある樹脂にて成型した基材に、銅箔などの導電体にて回路パターンを配線して形成したものである。
前記LED11は、その封止剤にはシリコンを用いている。
【0030】
図示は省略するが、入射した光を乱反射させるなどして拡散させ、広い面全体を均一な明るさにする機能をなす光拡散シートを、必要に応じて備える。その材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレートであり、50μm〜200μm厚程度である。
また、実質的な発光効率を高める機能をなす反射シートも、必要に応じて備える。その材質は、たとえば、熱可塑性樹脂成形フィルムに銀やアルミニウム合金などを蒸着したものが一般的である。厚さは、50μm〜200μm程度である。
【0031】
(図2)
図2は、図1に示した照明モジュールに用いる第一レンズ20を示す。
この第一レンズ20は、前述のLED11側を平面21とするとともに、反LED11側に凸条22を備える。また、その凸条22を囲うように両側へ立設させた立設板部23を備えている。
「レンズ」は、アクリル製であり、射出成型品である。第一レンズ20におけるLED11側を平面21としているので、製造しやすい。
【0032】
第一レンズ20は、光が入射する面を平面とし、光が放射される面の一部を平面とし、中央部分を凸型の曲面としている。その曲面は、長手方向に垂直な断面が一定の円弧とならない。
立設板部23は、第二レンズ30の両端に接して支持することによって、第一レンズ20および第二レンズ30の相対的な位置決めを、極めて簡単に行えるので、組立の手間を軽減できる。
なお、本実施形態では、第一レンズ20と第二レンズ30とは互いに接するように形成することで、極めて薄い照明装置を形成することとした。
【0033】
(図3)
図3に示すのは、第二レンズ30である。
両面がいずれも、長手方向に垂直な断面が一定の円弧ではない凸条をなしており、第一レンズ20側の凸条を第一凸条31、反対側の凸条を第二凸条32とする。
このような構成とすることで、二枚という少ない枚数のレンズにて、ある程度の照射角度のあるLED照明装置が可能となった。
【0034】
(図4)
図4に示すのは、本実施形態に係る照明装置における主要部の組立斜視図である。
前述した基板10、第一レンズ20および第二レンズ30を組み込む筐体40が用意されている。この筐体40は、アルミニウム合金の押し出し成型品である。LED11が発する熱を放熱可能であり、耐熱性にも優れ、成型も容易だからである。
【0035】
図示は省略するが、棚の天板の下面奥に、前記の照明装置を組み込めば、照明棚となる。水平方向または垂直方向に中仕切り板が存在する棚の場合、その中仕切り板に照明装置を組み込むことも、無理なく可能である。モジュールが小型だからである。
キッチンの吊り戸棚の下面に前記の照明装置を組み込めば、照明付きキッチンとなる。
【0036】
(図5)
図5には、第一レンズ20および第二レンズ30の嵌め合い部分の形状に関するバリエーションを示す。
図5(A)には、第一レンズ20に立設板部23を備えた例を示す。図5(B)には、第二レンズ30に立設板部33を備えた例を示す。図5(C)には、第一レンズ20の立設板部23aと、第二レンズ30の立設板部33aの両方によって、両者が位置決めをして嵌め合う構造を示す。
いずれも、第一レンズ20および第二レンズ30の相対的な位置決めが極めて簡単に行えるので、組立の手間を軽減できる。
【0037】
(図6)
図6には、レンズユニットの固定部材に関するバリエーションを示す。
図6(A)に示すのは、第一レンズ20におけるLED11側に固定用リング41を備えることによって、第一レンズ20とLED11とのスペースを確保する固定構造となっている。なお、第二レンズ30は、筐体40における返し部40aによって固定される。以上によって、LED11、第一レンズ20および第二レンズ30の相対的な位置決めが行われる。
【0038】
図6(B)に示すのは、筐体40の一部として一体に形成した、第一レンズ20とLED11とのスペースを確保するのは、筐体40においてLED11側に突出させた突起として形成したレンズ支持部40bである。そのレンズ支持部40bに第一レンズ20を載置し、その第一レンズ20の上に第二レンズ30を載置してから、第二レンズ30の上縁部を、固定用リング42にて固定する。以上によって、LED11、第一レンズ20および第二レンズ30の相対的な位置決めが行われる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明は、照明装置の製造業、照明モジュールの製造業、家具の製造業などにおいて、利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る照明装置の斜視図および端面図である。
【図2】第一レンズの詳細図であり、Aが斜視図、Bが断面図である。
【図3】第二レンズの詳細図であり、Aが斜視図、Bが断面図である。
【図4】実施形態に係る照明装置の主要部の組立斜視図である。
【図5】第一レンズ20および第二レンズ30の嵌め合い部分の形状に関するバリエーションを示す断面図である。
【図6】レンズユニットの固定部材に関するバリエーションを示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 基板 11 LED
12 端子
20 第一レンズ 21 平面
22 凸条
23,23a 立設板部
30 第二レンズ 31 第一凸条
32 第二凸条
33,33a 立設板部
40 筐体 40a 返し部
40b レンズ支持部
41,42 固定用リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基板と、
その基板の長手方向に連続して固定した複数のLEDと、を用いた照明装置に用いるレンズユニットであって、
LEDに近接させた第一レンズと、
その第一レンズの反LED側に位置させた第二レンズとを備え、
第一レンズおよび第二レンズは、集光のためのシリンドリカルレンズとするとともに、
入光面または出光面の少なくとも一面が長手方向に垂直な断面形状がなす表面の曲率を一定としない凸曲面にて形成したことを特徴とするLED照明装置用レンズユニット。
【請求項2】
前記第一レンズは、その両端から前記第二レンズ側へ延設させた立設板部を備え、
その立設板部は、前記第二レンズの両端に接して支持することによって、第一レンズおよび第二レンズの相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置用レンズユニット。
【請求項3】
前記第二レンズは、その両端から前記第一レンズ側へ延設させた立設板部を備え、
その立設板部は、前記第一レンズの両端に接して支持することによって、第一レンズおよび第二レンズの相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置用レンズユニット。
【請求項4】
前記第一レンズは、その両端から前記第二レンズ側へ延設させた立設板部を備え、
前記第二レンズは、その両端から前記第一レンズ側へ延設させた立設板部を備え、
それぞれの立設板部の端部は、互いに接することで第一レンズおよび第二レンズの相対的な位置決めを行うこととしたことを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置用レンズユニット。
【請求項5】
第一レンズまたは第二レンズの少なくとも一方は、その材質である合成樹脂原料に対して光拡散剤を0.01乃至1重量%を含有させたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のLED照明装置用レンズユニットと、
帯状の基板と、
その基板の長手方向に連続して固定した複数のLEDと、
前記基板と前記LED照明装置用レンズユニットとの相対的な位置決めを行う固定部材とを備えたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載のLED照明装置において、
前記LEDは、低電力LEDを前記基板の長手方向に多数並べることとしたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項8】
請求項6から請求項7のいずれかに記載のLED照明装置を用いた家具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−43566(P2009−43566A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207292(P2007−207292)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)
【Fターム(参考)】