説明

LED照明装置

【課題】
DC-DCコンバータで点灯されるLEDの放熱構造を改良して照明機能の向上を容易にしたLED照明装置を提供する。
【解決手段】
LED照明装置は、LED1と、交流電圧を整流平滑して直流電圧を得る直流電源2aおよびワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子を含み直流電源から得られる直流電圧を入力してMHz領域のスイッチング周波数で作動してLEDを付勢するDC-DCコンバータ2bを備えた点灯回路12と、LEDおよびDC-DCコンバータを同一面側に配設してこれらを冷却する共通の放熱手段3とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを付勢するDC-DCコンバータを備えたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DC-DCコンバータを用いてLEDを付勢することにより、LEDを高効率点灯することができる。交流電源を用いてDC-DCコンバータを経由してLEDを点灯する場合、LEDの点灯回路は、直流電源およびDC-DCコンバータを主体として構成される。そして、上記直流電源は、交流電圧を整流し平滑化した直流電圧を得て、その直流電圧をDC-DCコンバータに入力してスイッチング動作によりLEDを点灯するのに所望の直流電圧に変換する。
【0003】
LEDは、点灯時の電力密度が高いため、発熱密度が高くなるので、十分な放熱手段が必要である。また、DC-DCコンバータもそのスイッチング素子などが動作に伴って発熱するので、放熱が必要である。従来のLED照明装置においては、DC-DCコンバータ全体を配線基板に実装していて放熱を考慮しているものの直流電源と一緒に実装されてLEDとは別に配置されている。
【0004】
SiC(炭化珪素)、GaN(窒化ガリウム)およびダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を主体とする半導体素子は、高周波スイッチング特性および耐熱性が優れていて、Siパワーデバイスの性能限界を大幅に突破するポテンシャルを有するとして注目されている。したがって、パワーデバイスの分野においてもワイドギャップ半導体素子への期待は大きい。
【0005】
ワイドバンドギャップ半導体を用いた代表的な半導体素子すなわちワイドバンド半導体スイッチング素子としては、JFET(接合型FET)、SIT(静電誘導型トランジスタ)、MESFET(金属−半導体FET:Metal−Semiconductor−Field−Effect−Transistor)、HFET(Heterojunction Field Effect Transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)および蓄積型FETなどがある。
【0006】
ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子は、上述のように優れた高周波スイッチング特性および耐熱性を有しているので、これをDC-DCコンバータに用いてMHz以上の領域で高周波動作をさせることによって、スイッチング素子およびLC部品の顕著な小形化が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4482706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子の場合、上述のように耐熱温度が高く小形化に伴い発熱密度が高くなる。一方、直流電源に用いられている平滑コンデンサは、一般的に容量の大きなアルミニウム電解コンデンサが用いられるが、温度が低いほど寿命が延びるという特性を有している。また、交流電源に接続した直流電源およびDC-DCコンバータを用いてLED照明装置を点灯する場合、安全面からヒューズや雑音防止回路を直流電源側に付設するが、これらの部品もその保護機能重視のため、耐熱温度の高いものが少ない。さらに、調光、リモコンなどを制御するマイコンなどの制御部品を付設する場合、これらの部品も格別耐熱温度が高いものが少ない。
【0009】
本発明は、DC-DCコンバータで点灯されるLEDの放熱構造を改良して照明機能の向上を容易にしたLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、LED照明装置は、LED、点灯回路ならびにLEDおよびDC-DCコンバータに共通の放熱手段を具備している。点灯回路は、直流電源およびDC-DCコンバータを備えている。直流電源は、交流電圧を整流平滑して直流電圧を得る。DC-DCコンバータは、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子を含みMHz領域のスイッチング周波数で作動してLEDを点灯する。共通の放熱手段には、LEDおよびDC-DCコンバータが同一面側に配設されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、DC-DCコンバータのスイッチング素子にワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子を用いてこれをMHz領域のスイッチング周波数で作動することでDC-DCコンバータが低スイッチング損失となり、小形化できるとともに高耐熱なので、DC-DCコンバータを共通の放熱手段のLEDと同一面側に配設されていることにより、放熱手段が簡素化されて小形化が可能になるので、照明機能の向上が容易になるLED照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるLED照明装置の断面図である。
【図2】同じくLED基板に対するLEDおよびDC-DCコンバータの配置を示す平面図である。
【図3】同じくLED基板に対するLEDおよびDC-DCコンバータの配置の変形例を示す平面図である。
【図4】同じく回路図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係わるLED照明装置の正面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態は、図1に示すように、LED照明装置がLED1、点灯回路2、放熱手段3、透光カバー4および受電手段5を具備した電球形LEDランプである。
【0015】
LED1は、LED照明装置の光源として機能する。したがって、光源として所望の発光量、演色性および光色を確保できるようにLED1の発光色およびその使用個数などを任意に選択して配設することができる。また、複数のLED1を使用する場合、それらの接続の態様は、直列接続、並列接続または直並列接続にすることができる。
【0016】
また、LED1は、これをLED基板11に実装したうえで後述する放熱手段3に配設することができる。LED基板11は、放熱手段3への熱伝導が良好な構成を備えているものを用いるが好ましい。例えば、熱伝導性金属層を積層した配線基板、例えば窒化アルミニウムなどの熱伝導性絶縁体を用いた配線基板および薄いシート状絶縁体を基材としていて放熱手段3に熱抵抗小さく貼着される配線基板などが該当する。なお、図1において、符号11aは通線孔であり、後述する放熱手段3の図において上面に接着されたときに放熱手段3の通線孔3aに連通する。
【0017】
点灯回路2は、LED1を付勢して点灯するための回路手段であり、直流電源2aおよびDC-DCコンバータ2bを備えている。
【0018】
直流電源2aは、交流電圧を整流平滑して直流電圧を得て、これを後述するDC-DCコンバータ2bに入力電力を供給する回路手段である。そして、本実施形態においては、絶縁ケース12の内部に収納されている。絶縁ケース12は、その一端部に受電手段5が装着されている。また、絶縁ケース12は、その内部にDC-DCコンバータ2bを収納しないので、例えば管軸方向の寸法を小さくすることができ、これに伴い後述する放熱手段3の管軸方向の寸法を短縮することができる。絶縁ケース12の他端部側は、後述する放熱手段3の他端に形成された凹窪部3c内に嵌合し、かつ例えば接着剤により固定されて放熱手段3と一体に組み立てられている。なお、絶縁ケース12の頂部には通線孔12aが形成されている。
【0019】
また、直流電源2aは、その構成回路部品、例えば整流回路および平滑コンデンサなどが配線基板13に実装されていることを許容する。構成回路部品は、既述のように比較的耐熱性が低くてもよく、また熱質量が小さいので、配線基板13には、紙フェノールやガラスエポキシなどからなる放熱性能が相対的に低いものを用いることができる。そして、直流電源2aの入力端が受電部5に接続している。また、直流電源2aの出力端がこれと離間した位置に配置されたDC-DCコンバータ2bの入力端に導電線(図示しない。)を介して接続している。なお、上記構成回路部品を配線基板13に実装するには、フローはんだまたは/およびリフローはんだ方式で実装することができる。
【0020】
DC-DCコンバータ2bは、スイッチング電源の一種であり、直流電力を所望の直流電力に変換する手段である。そして、DC-DCコンバータ2bは、図4に示すようにスイッチング素子としてワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1を用いており、MHz領域のスイッチング周波数で作動して直流電源2aから入力する直流電圧を所望の直流電圧に変換して出力することにより、LED1を付勢して点灯する。なお、DC-DCコンバータ2bの回路構成については特段限定されないが、その好ましい一例については後述する。
【0021】
また、DC-DCコンバータ2bは、共通の放熱手段3にLED1と同一面側に配設されている。ここで、DC-DCコンバータ2bが放熱手段3に配設されるとは、その少なくともワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1を含む主要部が放熱手段3に配設されていることをいう。また、上記主要部とは、DC-DCコンバータ2bのパワー部の大部分である。上記パワー部を構成する回路部品は、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1と同様に耐熱性が比較的高いものを選択することが容易であるとともに、動作時の熱質量が比較的大きくなるので、冷却することが要求される。
【0022】
DC-DCコンバータ2bがチョッパの場合、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1、後述するインダクタL1から流出する減少電流を第2の回路Bに流すダイオードD1およびワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のオフ制御用として定電流手段Q2がパワー部を構成する。これらの回路部品は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて形成することができる。また、これらの回路部品でワンチップまたはマルチチップからなり、5つの接続ピンを有する集積回路を構成することができる。
【0023】
また、DC-DCコンバータ2bに用いられるインダクタL1やこれに代えたトランスは、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子がMHz領域、好ましくは1MHz以上のスイッチング周波数で作動することで所要のインダクタンスがかなり小さな値になるので、インダクタやトランスを小形化することができる。このため、LED基板11にコイルを印刷してインダクタL1やトランスを形成することが容易になる。また、インダクタL1やトランスをLED基板11とは別個に薄形に構成して、LED基板11にはんだレス実装することもできる。なお、所望により上記集積回路、インダクタL1またはトランスおよび制御手段をモジュール化して放熱手段3に配設することもできる。
【0024】
さらに、DC-DCコンバータ2bをLED基板11に実装する場合、既知のはんだレス接合を採用するのが好ましい。はんだを用いて実装すると、回路部品の耐熱温度が高くてもはんだによって耐熱温度が低くなる制約を受けるので、好ましくない。また、はんだに含まれる鉛は環境負荷が大きいので、使わないようにしたい。
【0025】
図2は、LED基板11の平面図であり、LED1およびDC-DCコンバータ2bをLED基板11に実装している。LED1は、直列接続した複数のLEDチップを備えていて、これらのLED基板11の周縁側にリング状に配置されている。LED1のLED基板11への配置は、配光および発熱バランスの良好な分散の両方を考慮して決めることができる。これに対して、DC-DCコンバータ2bは、LED基板11のLED1の位置に対して中央側に配置されている。すなわち、主として発熱のバランスのよい分散およびLED基板11の余裕スペースを考慮してDC-DCコンバータ2b配置を決めることができる。なお、DC-DCコンバータ2bの実装高さがLED1のそれよりある程度高くてもLED1は、LEDチップの配光角が狭いので、LED照明装置の配光特性に悪影響を与えることが少ない。
【0026】
図3は、LED基板11に対するLED1およびDC-DCコンバータ2bの配置の変形例を示す平面図である。すなわち、LED1およびDC-DCコンバータ2bの配置が図2と逆になっている。なお、図3では、DC-DCコンバータ2bに接近した位置にLED1が配置されているが、LED1およびDC-DCコンバータ2bの発熱の分散のバランスが良好になるように隣接するこれら発熱部品間の間隔を例えば均一にしたり、LED基板11から見たときの発熱密度を均一化したりすることができるのはいうまでもない。
【0027】
放熱手段3は、主としてLED1およびDC-DCコンバータ2bを冷却する手段である。そして、図1に示すように、LED基板11の下面に伝熱関係に密接してLED基板11をその上面で支持している。なお、図示実施形態においては、その外周面の輪郭形状が例えば杯状をなしている。
【0028】
また、放熱手段3は、熱伝導率が高い金属、例えばアルミニウムなどを用いて構成されている。なお、放熱手段3の放熱面積を大きくするために、多数の放熱フィンを例えばダイキャストなどにより形成していることが許容される。図1において、放熱フィンは、図面と平行な方向に延在し、かつ図面と直行する方向に複数が平行して形成されている。すなわち、図1において、放熱手段3の断面は、中央に位置するフィンと通線孔3aを形成する円筒部の断面を示している。なお、通線孔3aは、管軸方向に延在し、かつ管軸に対して偏心した位置に形成されていて、上端がLED基板11の通線孔11aに、また下端が絶縁ケース12の通線孔12aに、それぞれ連通している。
【0029】
さらに、放熱手段3は、図において上端部の周囲に起立縁3bが形成されている。そして、この起立縁3bを利用して後述する透光カバー4が放熱手段3に例えば接着により固着されている。
【0030】
そうして、絶縁ケース12の通線孔12aから直流電源2aの出力が例えば絶縁被覆導電線(図示しない。)により導出され、放熱手段3の通線孔3aおよびLED基板11の通線孔11a内をそれぞれ挿通して延在し、DC-DCコンバータ2bの入力端に接続していている。これにより受電手段5を経由して交流電源を直流電源2aに接続すれば、点灯回路2が作動してLED1が付勢されて点灯する。
【0031】
透光カバー4は、LED1を機械的に保護するとともに、所望によりLED1の発光にLED照明装置として所望の配光特性を付与する手段である。本実施形態において、透光カバー4は、ほぼ半球状をなしているとともに光拡散性を有している。これは絶縁ケース12および放熱手段3のサイズが管軸方向に短縮することで簡素化されたことにより、実現可能になり、その結果十分な光拡散性が得られるようになり、配光特性が良好になる。
【0032】
また、透光カバー4は、その開口端部に周段部4aが形成されている。そして、この周段部4aが放熱手段3の起立縁3bの内側へ嵌合し、かつ例えば接着剤などにより周段部4aの内面に固着されることで、透光カバー4がLED1を内包して放熱手段3に一体的に取り付けられている。
【0033】
受電手段5は、本実施形態の場合、ねじ口金からなる。そして、絶縁ケース12の放熱手段3から外部へ露出した一端部側に固着されている。また、受電手段5は、絶縁ケース12内に収納されている点灯回路2の直流電源2aの後述する入力端t1、t2に接続している。
【0034】
図4は、本実施形態において採用し得る点灯回路2の一例を示している。すなわち、点灯回路2は、前述のように直流電源2aおよびDC-DCコンバータ2bを備えているが、そのDC-DCコンバータ2bが例えば降圧チョッパ、昇圧チヨッパ、昇降圧チョッパ、フライバックコンバータおよびフォワードコンバータなど既知の各種回路方式を採用することができ、その一例として図4においては降圧チョッパを示している。
【0035】
直流電源2aは、受電手段を経由して交流電圧を整流平滑して直流電圧を得る回路手段であり、図示の実施形態においては、入力端子t1、t2、電流ヒューズF1、雑音防止回路NF、整流回路DB1、平滑コンデンサC1および出力端子t3、t4を備えている。
【0036】
入力端子t1、t2は、受電手段5を介して交流電源ACに接続する。電流ヒューズF1は、入力電流が所定値を超えた過電流時に溶断して点灯回路2を保護する。雑音防止回路NFは、DC-DCコンバータ2bから発生する高周波雑音が交流電源側へ漏出しないように濾波する回路手段であり、電流ヒューズF1および整流回路DB1の間に接続されている。そして、高周波バイパスコンデンサC2およびコモンモードチョークコイルT1により構成されている。整流回路DB1は、ブリッジ形全波整流回路であり、交流電圧を全波整流する。平滑コンデンサC1は、整流回路DB1の直流出力端に並列接続して直流電圧のリップルを低減する。出力端子t3、t4は、平滑コンデンサC1の両端に接続していて、平滑化された直流電圧を出力する。
【0037】
DC-DCコンバータ2bは、入力端t5、t6、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1、定電流手段Q2、インダクタL1、ダイオードD1および出力コンデンサC3を主要な構成要素として降圧チョッパが構成されている。すなわち、直列電源2aの出力端t3(正極)、導電線l1、入力端t5、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1、定電流手段Q2、出力コンデンサC3、インダクタL1、入力端t6、導電線l2および直流電源2aの出力端t4(負極)の直列回路からなる第1の回路Aと、インダクタL1、ダイオードD1および出力コンデンサC3の閉回路からなる第2の回路Bとがパワー回路の主回路を形成している。なお、導電線l1、l2は、図1において、絶縁ケース12の通線孔12a、放熱手段3の通線孔3aおよびLED基板11の通線孔11a内を延在して、直流電源2aおよびDC-DCコンバータ2bの間を導電的に接続している。
【0038】
また、出力コンデンサC3の両端にDC-DCコンバータ2bの出力端t7、t8が配設されている。
【0039】
さらに、制御回路として、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1の駆動回路がインダクタL1に磁気結合する駆動巻線DWおよび結合コンデンサC4の直列回路により構成している。この駆動回路は、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のゲートとソースとの間に出力コンデンサC3および定電流手段Q2を直列に介して接続している。また、定電流手段Q2の定電流値可変回路が可変電位源E1および抵抗器R1の直列回路により構成されている。この定電流値可変回路は、出力コンデンサC3を介して定電流手段Q2のゲート・ソース間に接続している。
【0040】
さらに、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1および定電流手段Q2のそれぞれゲートおよびソース間にゲート保護回路が接続している。このゲート保護回路は、一対のダイオードD2、D3およびD4、D5の逆並列回路が接続してなり、ゲートおよびソース間に過大電圧が印加されないように保護回路する。また、入力端t5、t6間に高周波バイバスコンデンサC5が接続している。
【0041】
DC-DCコンバータ2bのパワー回路の主回路に用いられているワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1は、ワイドバンドギャップ半導体を用いたスイッチング素子であれば、半導体の具体的な物質は特段限定されない。例えば、SiC(炭化珪素)、GaN(窒化ガリウム)およびダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を主体とするスイッチング素子であればよい。また、定電流手段Q2についても上記と同様である。
【0042】
図示の実施形態においては、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1は、GaNを主体として構成されたGaN−HEMTからなるスイッチング素子を採用している。ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1は、これをMHz領域でスイッチングすることにより、著しく小形化されるとともにスイッチング損失が著しく低減するという特徴がある。また、定電流手段Q2も上記と同様である。また、定電流手段Q2も上記と同様である。
【0043】
また、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1には、ノーマリオン形とノーマリオフ形があるが、そのいずれであってもよい。ノーマリオン形の場合には、そのゲート電位をソース電位に対して負電圧にすることにより、オフさせることができる。ノーマリオフ形の場合には、そのゲート電位をソース電位に対して正電位にすることにより、オンさせることができる。図4に示す本実施形態において、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1は、ノーマリオン形である。
【0044】
LED1は、点灯回路2のDC-DCコンバータ2bの出力端t7、t8間に接続されている。
【0045】
次に、第1の実施形態における回路動作を説明する。
【0046】
直流電源2aが投入されると、DC-DCコンバータ2bのワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1がノーマリオン形のためオンしているので、直流電源2aからワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1、定電流手段Q2を経由して第1の回路A内を増加電流が流れ出し、電流は直線的に増加する。これにより、インダクタL1内に電磁エネルギーが蓄積される。なお、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1がオンの期間中当該スイッチング素子Q1のゲート・ソース間電圧は0になる。増加する電流が定電流手段Q2の定電流値に達すると、電流の増加傾向が停止して定電流に保持される。なお、増加する電流がインダクタL1に流れている間、インダクタL1の端子電圧は、正極性である。
【0047】
増加電流が定電流手段Q2の定電流値に達したとき、インダクタL1に流れる電流がさらに増加しようとするので、定電流手段Q2の電圧がパルス状に大きくなる。そして、これに伴ってワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のソース電位がゲート電位より高くなり、その結果ゲートが相対的に明らかに負電位になるため、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1はオフする。このため、インダクタL1に流入する増加電流は、スイッチング素子Q1のオフによって遮断される。
【0048】
ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1がオフすると同時にインダクタL1に蓄積されていた電磁エネルギーが放出されて、インダクタL1から減少電流が第2の回路B内を増加電流と同一極性で流れ出す。なお、に減少電流が流れている間、インダクタL1の電圧極性が反転して負極性になり、駆動巻線DWにはワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のゲートが負電位になる電圧が誘起され、その負電圧が定電流手段Q2ならびに出力コンデンサC3およびLED1の並列回路を経由してワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のゲート・ソース間に印加するので、ゲートを十分な負電圧にすることができ、当該スイッチング素子Q1はオフ状態に維持される。
【0049】
第2の回路Bに流れる減少電流が0になると、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1のゲートに印加されていた負電圧が誘起されなくなると同時に、逆起電力によりゲートが正になる電圧が駆動巻線DWに誘起されるので、ワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1は再びオンし、以後上述したのと同様な回路動作が繰り返され、その結果出力コンデンサC3の両端の出力端t7、t8間に直流電源2aの出力電圧より降圧された直流の出力電圧が現れる。
【0050】
以上の回路動作から明らかなように、DC-DCコンバータ2bは、降圧チョッパ動作を行い、その出力端t7、t8間に接続するLED1に増加電流と減少電流とが交互に流れる出力電流が形成され、それらの直流成分でLED1が点灯し、出力コンデンサC3は高周波成分をバイパスする。
【0051】
次に、点灯回路2に付随するその他の図示しない回路の配置について説明する。その他の回路に該当するものとして例えば調光信号の受信回路(例えば、フォトカプラ)およびリモコン回路の受信回路などがあるが、これらは格別耐熱温度が高いものが少ないといった事情により、LED基板11とは別にして直流電源2aと一緒に例えば絶縁ケース12内に配置するのが好ましい。
【0052】
〔第2の実施形態〕
図5を参照して第2の実施形態を説明する。なお、図5において、(a)は光拡散体を透視した状態の平面図、(b)は側面断面図である。また、図1と同一部分については同一符号を付している。
【0053】
第2の実施形態は、放熱手段3を兼ねたLED基板11にLED1とDC-DCコンバータ2bが同一面に実装され、さらにこれら組立体の発光面側を光拡散体6で被覆して、LED照明装置全体をモジュール化している。
【0054】
放熱手段3を兼ねたLED基板11は、その具体的な構成は特段限定されない。例えば、例えば窒化アルミニウム(SiAl)基板に配線パターンを印刷してなる構成や配線パターンを印刷してなる薄いプラスチックスシートをアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属基板に貼着してなる構成や配線基板の中間層に熱伝導性金属板を配設してなる構成などであることを許容する。
【0055】
DC-DCコンバータ2bは、前述の第1の実施形態におけるのと同様であることを許容する。しかし、所望によりDC-DCコンバータ2bに加えて直流電源2aの部分を高耐熱化して一緒に実装して点灯回路のほぼ全体をLED基板11に一体化して実装することができる。
【0056】
また、DC-DCコンバータ2bの高耐熱性のパワー回路部品、例えば図1に示すワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子Q1、定電流手段Q2、ダイオードD1およびインダクタL1をLED基板11に直接実装し、直流電源2aは紙フェノールやガラスエポキシなどからなる相対的に放熱性が劣る安価な別体の配線基板13に実装して、この配線基板13をLED基板11に対して直交するように起立させて配置することができる。こうすれば、直流電源2aに対するLED基板11からの伝熱を抑制できるので、直流電源2aの構成回路部品を高耐熱化しなくてもよい。
【0057】
さらに、DC-DCコンバータ2bは、放熱手段3を兼ねたLED基板11の中央部に配置されている。これにより、放熱手段3に対する発熱部の分散が良好になるとともに、配光特性に悪影響を与えないという利点がある。
【0058】
さらにまた、LED基板11にLED1と一緒に実装されたDC-DCコンバータ2bの外周面に光反射膜を配設することができる。これにより、LED照明装置の配光特性が改善されたり、全光束を増加させたりすることができる。
【0059】
光拡散体6は、透明樹脂、例えばポリカーボネートなどに高反射率金属化合物、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ピロリン酸ストロンチウムおよびピロリン酸カルシウムなどのグループから選択された一種または複数種の微粒子を均一に分散させることで得ることができる。また、成形型を用いて上記組立体をその中に入れ、次に光拡散体6の流動性材料を注型して固化させることにより、LED照明装置を形成することができる。
【0060】
そうして、得られた本実施形態におけるLED照明装置は、薄形で、しかも小形化することができる。したがって、このLED照明装置を単独で照明目的に使用することができる。また、本実施形態のLED照明装置を照明器具の光源として照明器具本体内に装着して使用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
1…LED、2…点灯回路、2a…直流電源、2b…DC-DCコンバータ、3…放熱手段、3a、11a、12a…通線孔、3b…起立縁、4…透光カバー、4a…周段部、5…受電手段、11…LED基板、12…絶縁ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと;
交流電圧を整流平滑して直流電圧を得る直流電源およびワイドバンドギャップ半導体スイッチング素子を含み直流電源から得られる直流電圧を入力してMHz領域のスイッチング周波数で作動してLEDを付勢するDC-DCコンバータを備えた点灯回路と;
LEDおよびDC-DCコンバータを同一面側に配設してこれらを冷却する共通の放熱手段と;
を具備していることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
点灯回路は、その直流電源が、DC-DCコンバータから離間して配置され、かつ導線を介してDC-DCコンバータと接続していることを特徴とする請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
放熱手段は、その周縁側にLEDを取り付けるとともに、LEDより中央側にDC-DCコンバータを取り付けていることを特徴とする請求項1または2記載のLED照明装置。
【請求項4】
放熱手段は、相対的にその周縁側にDC-DCコンバータを取り付けるとともに、DC-DCコンバータより中央側にLEDを取り付けていることを特徴とする請求項1または2記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−54181(P2012−54181A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197515(P2010−197515)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】