LED発光装置及びLED発光装置の製造方法
【課題】組み立て性に優れたLED発光装置及びこのLED発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板26にLED29を実装した発光モジュール2と、この発光モジュール2のLED29を係止する係止孔34を有した位置決め部材33とを備え、位置決め部材33の係止孔34にLED29を係止させた状態で、位置決め部材33を保持部材36を介してベース20に設けた保持部22に保持させることにより、発光モジュール2をベース20に固定可能とした。
【解決手段】基板26にLED29を実装した発光モジュール2と、この発光モジュール2のLED29を係止する係止孔34を有した位置決め部材33とを備え、位置決め部材33の係止孔34にLED29を係止させた状態で、位置決め部材33を保持部材36を介してベース20に設けた保持部22に保持させることにより、発光モジュール2をベース20に固定可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを備えるLED発光装置及びLED発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置において、基板に実装されたLEDを有する発光モジュールを備え、LEDを光源として用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
発光モジュールをベースに取り付けて照明装置を組み立てる方法としては、照明装置のベースに雌ねじ部を形成すると共に、発光モジュールの基板にこの雌ねじ部と対応する貫通孔を設け、ビスを貫通孔を介して雌ねじ部に螺合し、ビス止めによって発光モジュールをベースに組み付ける方法(以下、「第一の方法」という。)が知られている。また、上記の方法の他、クリームハンダ等の接着剤を介して発光モジュールをベースに取り付ける方法(以下、「第二の方法」という。)や、ベースに弾性変形可能な係止爪等を設けると共に、発光モジュールの基板にこの係止爪と対応した係止孔等を設け、これら係止片等と係止孔等とを係合させることにより、発光モジュールを弾発的にベースに取り付ける方法(以下、「第三の方法」という。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−241318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した3つの方法によって発光モジュールをベースに取り付ける場合、以下の問題があった。すなわち、第一の方法では、発光モジュールをベースに取り付ける際、取り付け工程においてベースに雌ねじ部を形成し、基板に貫通孔を形成し、さらに所定のビスを螺合させるという作業が必要であり、製造に係る作業が煩雑であった。
また、第二の方法では、発光モジュールの取り付け作業が簡略化されるものの、発光モジュールを接着剤によってベースに一度固着してしまうと、これを取り外すことが非常に困難となる。したがって、例えば、LED素子の寿命に伴い発光モジュールを交換する必要が生じた際、容易に交換することができずメンテナンス性が悪いという問題があった。
また、第三の方法では、ベースや発光モジュールの基板に専用の係止爪や係止孔等を設ける必要があるため、ベースや基板を基材から成形する際に、その係止爪や係止孔を設けるための設備や製造工程が必要になると共に、発光モジュールを取り付ける際に、これら係止爪と係止孔とを対向させ確実に係合させる必要があるため、取り付けに係る作業が煩雑化する、という問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、組み立て性に優れたLED発光装置及びこのLED発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、LED発光装置において、基板にLEDを実装した発光モジュールと、この発光モジュールのLEDを係止する係止孔を有した位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の係止孔にLEDを係止させた状態で、前記位置決め部材を保持部材を介してベースに設けた保持部に保持させることにより、前記発光モジュールを前記ベースに固定可能としたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、位置決め部材にLEDを係止させるだけで発光モジュールが所定の取り付け位置に位置決めされ、そして、発光モジュールを位置決めした状態で、保持部材によって位置決め部材をベースに固定するだけで、LEDを有する発光モジュールのベースへの位置決め及び固定のための作業が完了する。
したがって、発光モジュールをベースに取り付ける際に、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュールとベースを正確に弾発的に係止させる必要がなく、LED発光装置の組み立てが容易となる。
【0007】
また本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材及び前記保持部材は、前記発光モジュールのLEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定することを特徴とする。
この構成によれば、位置決め部材及び保持部材を用いて発光モジュールをベースに固定するだけで、LEDの光を制御する光学系との間の相対的な位置決めがなされるため、光学系が設けられる事を前提としたLED発光装置の組み立てが容易となる。
【0008】
本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材に、前記LEDから前記基板側に放射された光を、前記LEDで照射すべき方向に反射する反射面を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、位置決め部材が、LEDから基板へ向かい無駄になる光を反射面で照射方向に反射することにより、光の使用効率の向上が図られる。
【0009】
本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記保持部材を、その外周部を塑性変形させた状態で、前記ベースの前記保持部に保持させ、前記保持部材を介して前記位置決め部材を前記保持部に保持させることを特徴とする。
この構成によれば、保持部に保持部材を嵌め込むことによって、容易に保持部材を保持部に保持させ、これにより、位置決め部材をベースに固定することができるため、LED発光装置の組み立て作業が容易になる。
また、保持部をベースから取り外し、その外周部の塑性変形を修復することにより、当該保持部を繰り返し使用することができ、取り付け作業のやり直しや、LED発光装置を分解してのメンテナンスを可能にすることができる。
【0010】
また、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材における前記発光モジュールの前記基板と対向する箇所が絶縁材で形成されていてもよい。
この構成によれば、位置決め部材における基板と対向する箇所が絶縁材で形成されているため、位置決め部材が基板と接触した際にも、基板に設けられた配線が短絡する、ということがない。
また、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材と、前記保持部材とが一体的に形成されていてもよい。
この構成によれば、LED発光装置の部品点数が減り、製造コストの削減を図ることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明は、基板にLEDを実装した発光モジュールを有するLED発光装置の製造方法において、前記発光モジュールをベースに載置し、前記LEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定した状態で、位置決め部材を前記ベースに載置した後、保持部材を押圧部材によってベースへ向かって押圧し、前記保持部材の外周を前記ベースの保持部に圧入して、前記保持部材を固定することを特徴とする。
この方法によれば、押圧部材を利用して簡単にLED発光装置を組み立てることができるため、LED発光装置の組み立て作業が容易になると共に、組み立てに要する時間を短縮することができる。
特に、位置決め部材及び保持部材を用いて発光モジュールをベースに固定するだけで、LEDの光を制御する光学系との間の相対的な位置決めがなされるため、光学系が設けられる事を前提としたLED発光装置の組み立てが容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置決め部材にLEDを係止させるだけで発光モジュールが所定の取り付け位置に位置決めされ、そして、発光モジュールを位置決めした状態で、保持部材によって位置決め部材をベースに固定することで、LEDを有する発光モジュールのベースへの位置決め及び固定のための作業が完了するため、発光モジュールをベースに取り付ける際に、従来のように、ねじを螺合させる作業や、発光モジュールとベースを正確に弾発的に係止させる必要がなく、LED発光装置の組み立てが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施の形態に係る照明装置1の斜視図であり、図2は、この照明装置1の断面図である。
照明装置1は、光源であるLED29を実装した発光モジュール2(図2)から放射される光を所定の照射方向へ照射する装置であり、発光モジュール2を内部に備えるLED発光装置3と、このLED発光装置3の上方にボルトを介して連結され、発光モジュール2が放射する光を制御するための光学素子の一例たる反射鏡を光学系(光学素子)4として有している。
【0014】
この光学系4は、図2に示すように、円柱状の基材の内部に、その先端から基端へ向かうに従って縮径した回転放物面状の凹部6が反射面9として形成されており、この凹部6の上開口部7が光の照射開口として機能する。また、凹部6の基端側には、凹部6の底部、すなわち、反射面9の焦点位置近傍が切り落とされて上開口部7よりも小径でありLED29よりも若干大きな下開口部8が形成されている。
そして、光学系4にLED発光装置3を連結して照明装置1を構成した場合には、図2に示すように、LED発光装置3のLED29が、上記下開口部8に臨む位置、すなわち、光学系4の反射面9の焦点位置に位置決め固定される。
このような照明装置1においては、砲弾型のLED29から放射された光は、上開口部7を通って光学系4に入射し、この光学系4の反射面9にて進行方向が制御されて上開口部7から照射光として照明装置1の外へ放射される。
また、光学系4の外周には、図1に示すように、放熱用の複数のフィン5が形成されており、発光モジュール2が発する熱が光学系4から効率良く放出され、LED29の長寿命化が図られている。
【0015】
なお、LED29と反射面9との相対位置関係を微調整するために、LED発光装置3の当該LED29が反射面9の焦点位置になるように、LED発光装置3と光学系4との間にスペーサを介在させLED29を位置決め固定したり、或いは、LED発光装置3において後述するベース20と発光モジュール2との間に高さ調整用のスペーサを介在させLED29を位置決め固定したりする構成としてもよい。
【0016】
本実施形態に係る光学系4は、以下の製造方法によって製造されている。すなわち、光学系4の外形の形状が彫り込まれた専用の金型に、光学系4の材料となる円柱状の高純度アルミニウム(本実施形態では純度約99.7%のものを使用)を入れた後、この金型を専用の鍛造プレス装置の所定の位置にセットする。この鍛造プレス装置は、光学系4の一次成形品を鍛造するための装置であり、先端が上記凹部6の形状と略同一の形状に形成された押し型を有している。金型を鍛造プレス装置にセットした後、鍛造プレス装置が作動されると、上記押し型の先端が金型の内部に挿入され、この押し型の圧力によって、金型に彫り込まれた形状と同形状の外形、及び、押し型の先端の形状と同形状の凹部を有した一次成形品が鍛造される。
【0017】
次いで、上記LED発光装置3について、より具体的に説明する。
図3は、LED発光装置3の斜視図であり、図4は、上記LED発光装置3の分解斜視図である。
図4に示すように、LED発光装置3は、筐体たるベース20と、このベース20上に載置された発光モジュール2と、この発光モジュール2をベース20内で位置決めするための位置決め部材33と、この位置決め部材33をベース20に固定するための保持部材36とを備えている。
上記ベース20は、図3及び図4に示すように、有底円筒形状をなしており、円筒部分が、上記発光モジュール2が保持される保持部22として構成され、また、その底面が上記発光モジュール2が載置される載置部21として構成されている。
またベース20には、LED発光装置3と光学系4とを連接する際にボルトが貫通するねじ孔23が形成されている。また、このベース20には、その側面の一部を切り欠いてベース凹部24が形成され、このベース凹部24には、外部電源に接続された電源コードが差し込まれるコネクタ25が嵌め込まれている。
【0018】
上記ベース20の載置部21には、図4に示すように、発光モジュール2が載置される。この発光モジュール2は、平面視六角形の基板26を有し、この基板26上には、電気的に接続された2つの給電部27が形成されている。LED29は、上記2つの給電部27のそれぞれと、LED29の電力の供給を受けるためのリード28と電気的に接続され、基板26上に実装されている。このLED29は、図4に示すように、箱形状をした樹脂製の鍔部30と、この鍔部30の上面に突出して形成された、発光素子(不図示)を封止するための封止部31とを有している。
また、基板26には、図4に示すように、上記コネクタ25と一端が接続されたリード線32の他端が電気的に接続されており、基板26上の回路パターンやLED29には、上記電源コード、上記コネクタ25、及び、このリード線32を介して電力が供給される構成となっている。
【0019】
上記発光モジュール2には、図3及び図4に示すように、発光モジュール2を覆って当該発光モジュール2のLED29を位置決めする位置決め部材33が設けられている。
この位置決め部材33は、図4に示すように、円板形状をなした絶縁性を有する薄い樹脂製の部材であり、中央に上記LED29の封止部31の基端における径と略同一径を有した係止孔34が形成されている。位置決め部材33の外径は、上記ベース20の保持部22の内径と略同一である。
すなわち、位置決め部材33は、図3に示すように、係止孔34にLED29の封止部31が挿入されて係止すると共に、保持部22の内周に嵌め込まれる。この状態においては、発光モジュール2は、LED29の封止部31が位置決め部材33の係止孔34に係止されるため、当該位置決め部材33とLED29との相対位置が規制され、さらに、位置決め部材33の外周(縁部)が保持部22の内周面に嵌め込まれて係合することで、保持部22に対する位置決め部材33の係止孔34の相対位置、すなわち、保持部22に対するLED29の相対位置が規制されることとなる。これにより、ベース20内の所定の位置にLED29が位置決めされる。この所定の位置は、例えば、光学系4によって規定される位置であり、本実施形態では、光学系4が反射鏡であるため、その焦点位置が所定の位置決め位置として規定されることとなる。
【0020】
位置決め部材33の上面の全域には、光反射性を有するフィルム35が貼り付けられている。すなわち、位置決め部材33にLED29を係止させたときには、係止孔34からLED29が突出するため、当該LED29から基板26側に向かって放射され照明に寄与しない光が前掲図2の矢印Y1に示すように、位置決め部材33のフィルム35にて反射され下開口部8を通って光学系4に進入し、当該光学系4から照射光として取り出されることとなる。これにより、照明装置1の効率の向上が図られる。
【0021】
位置決め部材33の上方には、図3及び図4に示すように、保持部材36が取り付けられる。この保持部材36は、図4に示すように、可塑性を有する金属で形成された薄い輪状の部材であり、その外周に、外側に突出して形成された4つの突起37が所定の間隔をあけて形成されている。この保持部材36の外径は、ベース20の保持部22の内径と略同一の大きさである。なお、保持部材36は、弾性を有する材料にて形成されていてもよい。
この保持部材36は、ベース20において位置決め部材33を固定するための部材であり、図3及び図4に示すように、保持部22の内周に嵌め込まれて取り付けられる。保持部材36が保持部22の内周に嵌め込まれると、上記4つの突起37のそれぞれが保持部22の内周面に沿って根元から折り曲がるように塑性変形し、保持部22の内周を外側へ向かって押圧する。このとき、保持部材36は、この突起37の押圧力、及び、突起37と保持部22の内周との接触部分に生じる摩擦力によって、保持部22に保持され、保持部22の内部において固定され、そして、位置決め部材33を下方へ向かって押圧して固定する。このとき、位置決め部材33は、図2に示すように、保持部材36と上記LED29の鍔部30によって挟持されて、ベース20内で保持、固定されると共に、発光モジュール2は、この位置決め部材33とベース20の載置部21とで挟持される。
なお、保持部材36が弾性を有する材料にて形成されている場合、保持部材36が保持部22の内周にはめ込まれると、4つの突起37のそれぞれが保持部22の内周面に沿って根元から折り曲がるように弾性変形する。このとき、保持部材36は、突起37の押圧力、及び、突起37と保持部22の内周との接触部分に生じる摩擦力によって、保持部22の内部において固定される。
【0022】
次いで、LED発光装置3の製造方法として、発光モジュール2をベース20に組み付ける際の作業手順について図5及び図6を参照して説明する。
発光モジュール2のベース20への組み付けの際には、図5の上部に示す押圧部材38を使用する。この押圧部材38は、保持部22の内周の径より僅かに小さい径の円筒状(中空円柱状)をなし、その底面側(押圧側)の縁部に、凹状の切り欠き部39を形成したものである。
【0023】
そして、発光モジュール2をベース20に組み付ける際には、まず、ベース20の載置部21に発光モジュール2を載置する。次いで、この発光モジュール2を覆うように位置決め部材33を被せると共に、この位置決め部材33の係止孔34からLED29の封止部31を突出させてLED29を係止孔34に係止させ、位置決め部材33とLED29との相対位置を規制する。このとき、位置決め部材33の外周(縁部)がベース20の保持部22の内周面と係合することにより、保持部22に対する位置決め部材33の係止孔34の相対位置、すなわち、保持部22に対するLED29の相対位置が規制され、LED29の位置決めが行われる。そして、保持部材36を保持部22の内周に嵌め込んだ状態で位置決め部材33の上に載置する。
【0024】
その後、図5に示すように、上記切り欠き部39と上記リード線32とを上下方向において対向させた状態で、押圧部材38を図5中の矢印に示す方向へ押すことにより、保持部材36を保持部22の内周に嵌め込みつつ押し込む。その際、この押し込みに応じて、保持部材36の外周に形成された4つの突起37は、保持部22の内周に接触しつつ、根元から上方へ向かって塑性変形し、保持部22の内周に圧入されて固定される。
保持部材36は、押圧部材38によって、鍔部30の上面と位置決め部材33の下面が接触し、かつ、位置決め部材33の上面と保持部材36の下面とが接触する状態(図2の状態)に至るまで押し込まれる。このとき、図2に示すように、位置決め部材33は、発光モジュール2を位置決めしつつ、鍔部30と保持部材36とで挟持され、また、発光モジュール2は、位置決め部材33と載置部21とで挟持される。このようにして、LED発光装置3は、製造される。
【0025】
LED発光装置3を分解する際は、保持部材36を保持部22から抜き取ることによって、保持部22における保持部材36の保持を解除する。これにより、ベース20における位置決め部材33の固定が解除され、これに伴い、発光モジュール2の固定が解除され、LED発光装置3を分解することができる。
そして、再度、発光モジュール2をベース20に組み付ける際には、保持部材36の突起37の塑性変形を指などで延ばすなどして戻し、上述した手順にしたがって組み付けを行う。
なお、保持部材36が弾性を有する材料にて形成されている場合には、保持部22における保持部材36の保持を解除すると、突起37は、弾性力により元の形状に戻るため、突起37を指で伸ばす、という作業を省くことができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、LED発光装置3のベース20において、発光モジュール2は、位置決め部材33によって位置決めされる。さらに、発光モジュール2は、この位置決め部材33が保持部材36によって固定されることにより、ベース20において位置決めされつつ固定されるため、発光モジュール2をベース20に取り付ける際に、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュール2とベース20を正確に弾発的に係止させる必要がなく、製造に係る作業が単純化される。また、発光モジュール2は、保持部22における保持部材36の保持を解除することにより、簡単にベース20から取り外すことができるため、メンテナンス性が良好である。
また、本実施の形態によれば、位置決め部材33及び保持部材36によって、発光モジュール2のLED29を、光学系4の反射面9の焦点の位置に位置決め固定するため、例えばLED29を光学系4の反射面9の焦点の位置に位置決めするべく、ベース20の所定の位置に雌ねじ部を設け、この雌ねじ部にねじを螺合させて発光モジュール2をねじ止めし、位置決めする、といった煩雑な作業を経ることなく、LED29を光学系4の反射面9の焦点の位置に容易に位置決めすることができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、位置決め部材33の上面に光反射性を有するフィルム35が貼り付けられており、このフィルム35が、発光モジュール2から発光される光のうち基板26側に向かう放射光を照射方向へ向かって反射し、この光を利用可能とするため、光の使用効率を向上することができる。
また、本実施形態によれば、保持部材36の外周に形成された4つの突起37が塑性変形した状態で保持部22の内周に接触し、この突起37を介して保持部材36が保持部22に保持される。このため、保持部22に保持部材36を嵌め込むことによって、容易に保持部材36を保持部22に保持させることができるので、LED発光装置3の作成が容易である。
また、本実施形態によれば、位置決め部材33が絶縁材で形成されているため、位置決め部材33が基板26と接触した際に、基板26に設けられた配線が短絡する、ということがない。
【0028】
また、本実施形態によれば、押圧部材38を利用して、簡単にLED発光装置3を製造することができるため、LED発光装置3の製造に係る作業が単純化されると共に、製造に係る時間を短縮することができ製造コストの削減を図ることができる。
【0029】
<第2実施形態>
本実施形態では、ベース60に複数の発光モジュール2が設けられ、これら発光モジュール2のそれぞれに、透過型光学素子の一例たるレンズ型の光学系61が対応して設けられたLED発光装置62について説明する。
図7は、LED発光装置62の斜視図(後述の蓋体64をベース60に取り付ける前の状態における斜視図)であり、図8は、LED発光装置62に設けられた発光モジュール2のうち1つの発光モジュール2の断面図である。なお、これらの図において、図2および図3に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図7に示すように、本実施形態では、板状のベース60に、上面視略円形の凹部63が複数設けられている。これらの凹部63は、第1実施形態にて説明した保持部22に相当するものであり、凹部63の内部に、発光モジュール2が配設されている。このとき、第1実施形態と同様に、位置決め部材33及び保持部材36により、発光モジュール2のLED29が凹部63の内で所定の位置に位置決め固定されている。
このベース60には、各発光モジュール2を覆うように蓋体64が取り付けられる。このとき蓋体64とベース60との間には、若干の隙間を有して構成しても良い。
【0031】
蓋体64には、ベース60に設けた凹部63に対向する箇所に、レンズ型の光学系61が設けられている。すなわち、発光モジュール2は、図8に示すように、ベース60に蓋体64が取り付けられた際に、LED29が上記光学系61の直下(特に、光学中心上)に配置されるように、位置決め部材33及び保持部材36により凹部63に対して位置決め固定されることとなる。
【0032】
そして、LED29から放射された光は、図8の矢印Y3に示すように、直上の光学系61に入射し、当該光学系61によって進行方向が制御されて照射光として光学系61から出射される。このとき、LED29から基板26側に向かう光は、図8の矢印Y4に示すように、位置決め部材33の上面に貼り付けられたフィルム35によって光学系61に向けて反射され当該光学系61から照射光として外部へ放たれる。
【0033】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、位置決め部材33及び保持部材36により発光モジュール2をベース60の凹部63に取り付ける構成としたため、ねじを螺合させる作業等が必要がなく、組み立て作業が容易となる。
特に本実施形態のように、多数の発光モジュール2を備えたLED発光装置62では、各LED29の位置決め固定を容易に行うことができるため、組み付けに要する時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0034】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、位置決め部材33及び保持部材36がそれぞれ別部材であったが、第3実施形態では、これら2部材が一体的に形成されているLED発光装置50について説明する。
図9は、本実施形態に係るLED発光装置50の分解斜視図である。なお、この図において、図4に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すように、位置決め部材51の外周に、外側に突出して形成された4つの突起52が所定の間隔をあけて形成されている。この位置決め部材51がベース20に取り付けられると、位置決め部材51は、第1実施形態と同様、発光モジュール2を位置決めし、さらに、位置決め部材51は、上記突起52が塑性変形しつつ保持部22の内周に接触することにより、保持部22の内周において固定される。
なお、位置決め部材51は、弾性を有する材料にて形成されていてもよく、この場合、位置決め部材51は、突起52が弾性変形しつつ保持部22の内周に接触することにより、保持部22の内周において固定される。
この第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができると共に、以下の効果を得ることができる。すなわち、第二実施形態では、第一実施形態における位置決め部材33及び保持部材36(図4参照)の機能を、1つの位置決め部材51(図9参照)で実現するため、部品点数を削減することができ、製造に係るコストの削減を図ることができる。
【0035】
<第4実施形態>
本実施形態では、発光モジュール2を4個備えるLED発光装置71について説明する。なお、本実施形態で使用されている発光モジュール2の構成は、第1実施形態で使用されている発光モジュール2の構成と同一である。
【0036】
図10は、LED発光装置71の斜視図であり、図11は、上記LED発光装置71の分解斜視図であり、図12は、LED発光装置71を横から見た図である。
LED発光装置71は、4つの発光モジュール2を固定するための装置であり、板状のベース82と、これらの図に示すように、このベース82の上面に突設された8本のピン状の保持部84と、ベース82おいて保持部84で囲まれた箇所に載置された発光モジュール2と、この発光モジュール2を位置決めするための位置決め部材92と、この位置決め部材92を固定するための保持部材86と、を有している。
【0037】
上記ベース82は、図10及び図11に示すように、板形状の部材であり、その上面には、ピン状の8本の保持部84が照射方向へ突出した形状で設けられており、ベース82においてこれら保持部84によって囲まれた箇所に載置部85が形成されている。これら8本の保持部84は、ベース82の上面に略等間隔で突設されており、詳細は後述するが、保持部材86がベース82に取り付けられた際、その保持部材86の外周が、全ての保持部84と接触する構成となっている。
【0038】
この載置部85には、図11に示すように、4つの発光モジュール2が所定の間隔をあけて載置されており、この4つの発光モジュール2の上方には、この4つの発光モジュール2を覆うように、位置決め部材92が取り付けられる。
この位置決め部材92は、図10に示すように、絶縁性を有する部材で成形された、正面視長方形の薄い部材であり、同一の径を有した4つの係止孔93が長手方向に所定の間隔をあけて形成されている。この係止孔93の径は、LED29の封止部31の基端における径と略同一の大きさである。また、位置決め部材92の上面の全域には、光反射性を有するフィルム94が貼り付けられている。
この位置決め部材92は、図10及び図12に示すように、係止孔93のそれぞれにLED29の封止部31を貫通させた状態で、載置部85に取り付けられる。その際、発光モジュール2のそれぞれは、それらのLED29の封止部31が位置決め部材92の係止孔93に係止することにより、載置部85において位置決めされると共に、この位置決め部材92は、その外周が保持部84に保持され、保持部84において位置決めされる。このように、4つの発光モジュール2のそれぞれは、位置決め部材92によってベース82の載置部85の所定の位置に位置決めされる。
また、上述したように、位置決め部材92の上面には、光反射性を有するフィルム94が貼り付けられているため、図12の矢印Y2に示すように、LED29から放射された光うち下方へ向かう光の一部が、このフィルム94により上方へ向かって反射する構成となっている。
【0039】
位置決め部材92の照射方向には、図10〜図12に示すように、保持部材86が設けられる。
この保持部材86は、図11に示すように、可塑性を有する金属で形成された正面視長方形の薄い部材であり、中央が大きく切り欠かれている。
なお、保持部材86は、弾性を有する材料にて形成されていてもよい。
この保持部材86は、ベース82の載置部85において、位置決め部材92を固定するための部材であり、図12に示すように、その下面が、位置決め部材92の上面に接触し、かつ、位置決め部材92を下方へ向かって付勢した状態で、保持部84で囲まれた空間に嵌めこまれる。このとき、保持部材86の外周は、保持部84の全てに塑性変形しつつ接触する構成となっており、保持部材86と保持部84との間に生じる摩擦力によって、保持部材86が保持部84に保持される。保持部材86が固定されると、図12に示すように、位置決め部材92は、この保持部材86とLED29の鍔部30によって挟持されると共に、発光モジュール2は、位置決め部材92と載置部85とで挟持される。
なお、保持部材86が弾性を有する材料にて形成されている場合、保持部材86の外周は、保持部84に弾性変形しつつ接触し、保持部材86と保持部84との間に生じる摩擦力によって、保持部材86は、保持部84に保持される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の発光モジュール2を、位置決め部材92及び保持部材86によって、同時にベースに位置決め及び固定することができるため、第1実施形態と同様、発光モジュール2をベース82に固定する際、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュール2とベース82を正確に弾発的に係止させる必要がなく、製造に係る作業が単純化される。また、発光モジュール2は、保持部84における保持部材86の保持を解除することにより、簡単にベース82から取り外すことができるため、メンテナンス性が良好である。
【0041】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
また、第1実施形態において、位置決め部材33にLED29の封止部31の基端における径と同じ大きさの径を有する係止孔34を設け、この係止孔34の内周によって、封止部31の外周を支持する構成となっているが、これは、例えば、係止孔34の径を封止部31の基端における径より大きく形成し、この係止孔34の内周に中心へ向かって突出した突起を3つ以上形成し、これら突起により封止部31を支持する構成としてもよい。すなわち、係止孔34の形状は任意であり、位置決め部材33を確実に支持可能な形状であればよい。同様のことは、第2,第3実施形態についても言うことができる。
また、第3実施形態において、8本のピン状の保持部84が、保持部材86を保持する構成としているが、保持部材86の本数はこの本数に限らず、また、形状もピン状に限らず、例えば、複数の板状の壁を設け、この壁によって保持部材86を保持する構成としてもよい。すなわち、保持部84の形状は任意であり、位置決め部材92を保持可能な形状であればよい。同様のことは、第1,第2実施形態についても言うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態に係る照明装置の斜視図。
【図2】第1実施形態に係る照明装置の断面図。
【図3】第1実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図4】第1実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図5】第1実施形態に係るLED発光装置の製造方法を説明するための図。
【図6】第1実施形態に係るLED発光装置の製造方法を説明するための図。
【図7】第2実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図8】第2実施形態に係るLED発光装置の断面図。
【図9】第3実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図10】第4実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図11】第4実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図12】第4実施形態に係るLED発光装置の側面図。
【符号の説明】
【0043】
2 発光モジュール
3,50,62,71 LED発光装置
4,61 光学系
20,60,82 ベース
22,84 保持部
26 基板
29 LED
33,92 位置決め部材
34,93 係止孔
35,94 フィルム
36,86 保持部材
38 押圧部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを備えるLED発光装置及びLED発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置において、基板に実装されたLEDを有する発光モジュールを備え、LEDを光源として用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
発光モジュールをベースに取り付けて照明装置を組み立てる方法としては、照明装置のベースに雌ねじ部を形成すると共に、発光モジュールの基板にこの雌ねじ部と対応する貫通孔を設け、ビスを貫通孔を介して雌ねじ部に螺合し、ビス止めによって発光モジュールをベースに組み付ける方法(以下、「第一の方法」という。)が知られている。また、上記の方法の他、クリームハンダ等の接着剤を介して発光モジュールをベースに取り付ける方法(以下、「第二の方法」という。)や、ベースに弾性変形可能な係止爪等を設けると共に、発光モジュールの基板にこの係止爪と対応した係止孔等を設け、これら係止片等と係止孔等とを係合させることにより、発光モジュールを弾発的にベースに取り付ける方法(以下、「第三の方法」という。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−241318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した3つの方法によって発光モジュールをベースに取り付ける場合、以下の問題があった。すなわち、第一の方法では、発光モジュールをベースに取り付ける際、取り付け工程においてベースに雌ねじ部を形成し、基板に貫通孔を形成し、さらに所定のビスを螺合させるという作業が必要であり、製造に係る作業が煩雑であった。
また、第二の方法では、発光モジュールの取り付け作業が簡略化されるものの、発光モジュールを接着剤によってベースに一度固着してしまうと、これを取り外すことが非常に困難となる。したがって、例えば、LED素子の寿命に伴い発光モジュールを交換する必要が生じた際、容易に交換することができずメンテナンス性が悪いという問題があった。
また、第三の方法では、ベースや発光モジュールの基板に専用の係止爪や係止孔等を設ける必要があるため、ベースや基板を基材から成形する際に、その係止爪や係止孔を設けるための設備や製造工程が必要になると共に、発光モジュールを取り付ける際に、これら係止爪と係止孔とを対向させ確実に係合させる必要があるため、取り付けに係る作業が煩雑化する、という問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、組み立て性に優れたLED発光装置及びこのLED発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、LED発光装置において、基板にLEDを実装した発光モジュールと、この発光モジュールのLEDを係止する係止孔を有した位置決め部材とを備え、前記位置決め部材の係止孔にLEDを係止させた状態で、前記位置決め部材を保持部材を介してベースに設けた保持部に保持させることにより、前記発光モジュールを前記ベースに固定可能としたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、位置決め部材にLEDを係止させるだけで発光モジュールが所定の取り付け位置に位置決めされ、そして、発光モジュールを位置決めした状態で、保持部材によって位置決め部材をベースに固定するだけで、LEDを有する発光モジュールのベースへの位置決め及び固定のための作業が完了する。
したがって、発光モジュールをベースに取り付ける際に、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュールとベースを正確に弾発的に係止させる必要がなく、LED発光装置の組み立てが容易となる。
【0007】
また本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材及び前記保持部材は、前記発光モジュールのLEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定することを特徴とする。
この構成によれば、位置決め部材及び保持部材を用いて発光モジュールをベースに固定するだけで、LEDの光を制御する光学系との間の相対的な位置決めがなされるため、光学系が設けられる事を前提としたLED発光装置の組み立てが容易となる。
【0008】
本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材に、前記LEDから前記基板側に放射された光を、前記LEDで照射すべき方向に反射する反射面を設けたことを特徴とする。
この構成によれば、位置決め部材が、LEDから基板へ向かい無駄になる光を反射面で照射方向に反射することにより、光の使用効率の向上が図られる。
【0009】
本発明は、上記発明のLED発光装置において、前記保持部材を、その外周部を塑性変形させた状態で、前記ベースの前記保持部に保持させ、前記保持部材を介して前記位置決め部材を前記保持部に保持させることを特徴とする。
この構成によれば、保持部に保持部材を嵌め込むことによって、容易に保持部材を保持部に保持させ、これにより、位置決め部材をベースに固定することができるため、LED発光装置の組み立て作業が容易になる。
また、保持部をベースから取り外し、その外周部の塑性変形を修復することにより、当該保持部を繰り返し使用することができ、取り付け作業のやり直しや、LED発光装置を分解してのメンテナンスを可能にすることができる。
【0010】
また、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材における前記発光モジュールの前記基板と対向する箇所が絶縁材で形成されていてもよい。
この構成によれば、位置決め部材における基板と対向する箇所が絶縁材で形成されているため、位置決め部材が基板と接触した際にも、基板に設けられた配線が短絡する、ということがない。
また、上記発明のLED発光装置において、前記位置決め部材と、前記保持部材とが一体的に形成されていてもよい。
この構成によれば、LED発光装置の部品点数が減り、製造コストの削減を図ることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明は、基板にLEDを実装した発光モジュールを有するLED発光装置の製造方法において、前記発光モジュールをベースに載置し、前記LEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定した状態で、位置決め部材を前記ベースに載置した後、保持部材を押圧部材によってベースへ向かって押圧し、前記保持部材の外周を前記ベースの保持部に圧入して、前記保持部材を固定することを特徴とする。
この方法によれば、押圧部材を利用して簡単にLED発光装置を組み立てることができるため、LED発光装置の組み立て作業が容易になると共に、組み立てに要する時間を短縮することができる。
特に、位置決め部材及び保持部材を用いて発光モジュールをベースに固定するだけで、LEDの光を制御する光学系との間の相対的な位置決めがなされるため、光学系が設けられる事を前提としたLED発光装置の組み立てが容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置決め部材にLEDを係止させるだけで発光モジュールが所定の取り付け位置に位置決めされ、そして、発光モジュールを位置決めした状態で、保持部材によって位置決め部材をベースに固定することで、LEDを有する発光モジュールのベースへの位置決め及び固定のための作業が完了するため、発光モジュールをベースに取り付ける際に、従来のように、ねじを螺合させる作業や、発光モジュールとベースを正確に弾発的に係止させる必要がなく、LED発光装置の組み立てが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施の形態に係る照明装置1の斜視図であり、図2は、この照明装置1の断面図である。
照明装置1は、光源であるLED29を実装した発光モジュール2(図2)から放射される光を所定の照射方向へ照射する装置であり、発光モジュール2を内部に備えるLED発光装置3と、このLED発光装置3の上方にボルトを介して連結され、発光モジュール2が放射する光を制御するための光学素子の一例たる反射鏡を光学系(光学素子)4として有している。
【0014】
この光学系4は、図2に示すように、円柱状の基材の内部に、その先端から基端へ向かうに従って縮径した回転放物面状の凹部6が反射面9として形成されており、この凹部6の上開口部7が光の照射開口として機能する。また、凹部6の基端側には、凹部6の底部、すなわち、反射面9の焦点位置近傍が切り落とされて上開口部7よりも小径でありLED29よりも若干大きな下開口部8が形成されている。
そして、光学系4にLED発光装置3を連結して照明装置1を構成した場合には、図2に示すように、LED発光装置3のLED29が、上記下開口部8に臨む位置、すなわち、光学系4の反射面9の焦点位置に位置決め固定される。
このような照明装置1においては、砲弾型のLED29から放射された光は、上開口部7を通って光学系4に入射し、この光学系4の反射面9にて進行方向が制御されて上開口部7から照射光として照明装置1の外へ放射される。
また、光学系4の外周には、図1に示すように、放熱用の複数のフィン5が形成されており、発光モジュール2が発する熱が光学系4から効率良く放出され、LED29の長寿命化が図られている。
【0015】
なお、LED29と反射面9との相対位置関係を微調整するために、LED発光装置3の当該LED29が反射面9の焦点位置になるように、LED発光装置3と光学系4との間にスペーサを介在させLED29を位置決め固定したり、或いは、LED発光装置3において後述するベース20と発光モジュール2との間に高さ調整用のスペーサを介在させLED29を位置決め固定したりする構成としてもよい。
【0016】
本実施形態に係る光学系4は、以下の製造方法によって製造されている。すなわち、光学系4の外形の形状が彫り込まれた専用の金型に、光学系4の材料となる円柱状の高純度アルミニウム(本実施形態では純度約99.7%のものを使用)を入れた後、この金型を専用の鍛造プレス装置の所定の位置にセットする。この鍛造プレス装置は、光学系4の一次成形品を鍛造するための装置であり、先端が上記凹部6の形状と略同一の形状に形成された押し型を有している。金型を鍛造プレス装置にセットした後、鍛造プレス装置が作動されると、上記押し型の先端が金型の内部に挿入され、この押し型の圧力によって、金型に彫り込まれた形状と同形状の外形、及び、押し型の先端の形状と同形状の凹部を有した一次成形品が鍛造される。
【0017】
次いで、上記LED発光装置3について、より具体的に説明する。
図3は、LED発光装置3の斜視図であり、図4は、上記LED発光装置3の分解斜視図である。
図4に示すように、LED発光装置3は、筐体たるベース20と、このベース20上に載置された発光モジュール2と、この発光モジュール2をベース20内で位置決めするための位置決め部材33と、この位置決め部材33をベース20に固定するための保持部材36とを備えている。
上記ベース20は、図3及び図4に示すように、有底円筒形状をなしており、円筒部分が、上記発光モジュール2が保持される保持部22として構成され、また、その底面が上記発光モジュール2が載置される載置部21として構成されている。
またベース20には、LED発光装置3と光学系4とを連接する際にボルトが貫通するねじ孔23が形成されている。また、このベース20には、その側面の一部を切り欠いてベース凹部24が形成され、このベース凹部24には、外部電源に接続された電源コードが差し込まれるコネクタ25が嵌め込まれている。
【0018】
上記ベース20の載置部21には、図4に示すように、発光モジュール2が載置される。この発光モジュール2は、平面視六角形の基板26を有し、この基板26上には、電気的に接続された2つの給電部27が形成されている。LED29は、上記2つの給電部27のそれぞれと、LED29の電力の供給を受けるためのリード28と電気的に接続され、基板26上に実装されている。このLED29は、図4に示すように、箱形状をした樹脂製の鍔部30と、この鍔部30の上面に突出して形成された、発光素子(不図示)を封止するための封止部31とを有している。
また、基板26には、図4に示すように、上記コネクタ25と一端が接続されたリード線32の他端が電気的に接続されており、基板26上の回路パターンやLED29には、上記電源コード、上記コネクタ25、及び、このリード線32を介して電力が供給される構成となっている。
【0019】
上記発光モジュール2には、図3及び図4に示すように、発光モジュール2を覆って当該発光モジュール2のLED29を位置決めする位置決め部材33が設けられている。
この位置決め部材33は、図4に示すように、円板形状をなした絶縁性を有する薄い樹脂製の部材であり、中央に上記LED29の封止部31の基端における径と略同一径を有した係止孔34が形成されている。位置決め部材33の外径は、上記ベース20の保持部22の内径と略同一である。
すなわち、位置決め部材33は、図3に示すように、係止孔34にLED29の封止部31が挿入されて係止すると共に、保持部22の内周に嵌め込まれる。この状態においては、発光モジュール2は、LED29の封止部31が位置決め部材33の係止孔34に係止されるため、当該位置決め部材33とLED29との相対位置が規制され、さらに、位置決め部材33の外周(縁部)が保持部22の内周面に嵌め込まれて係合することで、保持部22に対する位置決め部材33の係止孔34の相対位置、すなわち、保持部22に対するLED29の相対位置が規制されることとなる。これにより、ベース20内の所定の位置にLED29が位置決めされる。この所定の位置は、例えば、光学系4によって規定される位置であり、本実施形態では、光学系4が反射鏡であるため、その焦点位置が所定の位置決め位置として規定されることとなる。
【0020】
位置決め部材33の上面の全域には、光反射性を有するフィルム35が貼り付けられている。すなわち、位置決め部材33にLED29を係止させたときには、係止孔34からLED29が突出するため、当該LED29から基板26側に向かって放射され照明に寄与しない光が前掲図2の矢印Y1に示すように、位置決め部材33のフィルム35にて反射され下開口部8を通って光学系4に進入し、当該光学系4から照射光として取り出されることとなる。これにより、照明装置1の効率の向上が図られる。
【0021】
位置決め部材33の上方には、図3及び図4に示すように、保持部材36が取り付けられる。この保持部材36は、図4に示すように、可塑性を有する金属で形成された薄い輪状の部材であり、その外周に、外側に突出して形成された4つの突起37が所定の間隔をあけて形成されている。この保持部材36の外径は、ベース20の保持部22の内径と略同一の大きさである。なお、保持部材36は、弾性を有する材料にて形成されていてもよい。
この保持部材36は、ベース20において位置決め部材33を固定するための部材であり、図3及び図4に示すように、保持部22の内周に嵌め込まれて取り付けられる。保持部材36が保持部22の内周に嵌め込まれると、上記4つの突起37のそれぞれが保持部22の内周面に沿って根元から折り曲がるように塑性変形し、保持部22の内周を外側へ向かって押圧する。このとき、保持部材36は、この突起37の押圧力、及び、突起37と保持部22の内周との接触部分に生じる摩擦力によって、保持部22に保持され、保持部22の内部において固定され、そして、位置決め部材33を下方へ向かって押圧して固定する。このとき、位置決め部材33は、図2に示すように、保持部材36と上記LED29の鍔部30によって挟持されて、ベース20内で保持、固定されると共に、発光モジュール2は、この位置決め部材33とベース20の載置部21とで挟持される。
なお、保持部材36が弾性を有する材料にて形成されている場合、保持部材36が保持部22の内周にはめ込まれると、4つの突起37のそれぞれが保持部22の内周面に沿って根元から折り曲がるように弾性変形する。このとき、保持部材36は、突起37の押圧力、及び、突起37と保持部22の内周との接触部分に生じる摩擦力によって、保持部22の内部において固定される。
【0022】
次いで、LED発光装置3の製造方法として、発光モジュール2をベース20に組み付ける際の作業手順について図5及び図6を参照して説明する。
発光モジュール2のベース20への組み付けの際には、図5の上部に示す押圧部材38を使用する。この押圧部材38は、保持部22の内周の径より僅かに小さい径の円筒状(中空円柱状)をなし、その底面側(押圧側)の縁部に、凹状の切り欠き部39を形成したものである。
【0023】
そして、発光モジュール2をベース20に組み付ける際には、まず、ベース20の載置部21に発光モジュール2を載置する。次いで、この発光モジュール2を覆うように位置決め部材33を被せると共に、この位置決め部材33の係止孔34からLED29の封止部31を突出させてLED29を係止孔34に係止させ、位置決め部材33とLED29との相対位置を規制する。このとき、位置決め部材33の外周(縁部)がベース20の保持部22の内周面と係合することにより、保持部22に対する位置決め部材33の係止孔34の相対位置、すなわち、保持部22に対するLED29の相対位置が規制され、LED29の位置決めが行われる。そして、保持部材36を保持部22の内周に嵌め込んだ状態で位置決め部材33の上に載置する。
【0024】
その後、図5に示すように、上記切り欠き部39と上記リード線32とを上下方向において対向させた状態で、押圧部材38を図5中の矢印に示す方向へ押すことにより、保持部材36を保持部22の内周に嵌め込みつつ押し込む。その際、この押し込みに応じて、保持部材36の外周に形成された4つの突起37は、保持部22の内周に接触しつつ、根元から上方へ向かって塑性変形し、保持部22の内周に圧入されて固定される。
保持部材36は、押圧部材38によって、鍔部30の上面と位置決め部材33の下面が接触し、かつ、位置決め部材33の上面と保持部材36の下面とが接触する状態(図2の状態)に至るまで押し込まれる。このとき、図2に示すように、位置決め部材33は、発光モジュール2を位置決めしつつ、鍔部30と保持部材36とで挟持され、また、発光モジュール2は、位置決め部材33と載置部21とで挟持される。このようにして、LED発光装置3は、製造される。
【0025】
LED発光装置3を分解する際は、保持部材36を保持部22から抜き取ることによって、保持部22における保持部材36の保持を解除する。これにより、ベース20における位置決め部材33の固定が解除され、これに伴い、発光モジュール2の固定が解除され、LED発光装置3を分解することができる。
そして、再度、発光モジュール2をベース20に組み付ける際には、保持部材36の突起37の塑性変形を指などで延ばすなどして戻し、上述した手順にしたがって組み付けを行う。
なお、保持部材36が弾性を有する材料にて形成されている場合には、保持部22における保持部材36の保持を解除すると、突起37は、弾性力により元の形状に戻るため、突起37を指で伸ばす、という作業を省くことができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、LED発光装置3のベース20において、発光モジュール2は、位置決め部材33によって位置決めされる。さらに、発光モジュール2は、この位置決め部材33が保持部材36によって固定されることにより、ベース20において位置決めされつつ固定されるため、発光モジュール2をベース20に取り付ける際に、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュール2とベース20を正確に弾発的に係止させる必要がなく、製造に係る作業が単純化される。また、発光モジュール2は、保持部22における保持部材36の保持を解除することにより、簡単にベース20から取り外すことができるため、メンテナンス性が良好である。
また、本実施の形態によれば、位置決め部材33及び保持部材36によって、発光モジュール2のLED29を、光学系4の反射面9の焦点の位置に位置決め固定するため、例えばLED29を光学系4の反射面9の焦点の位置に位置決めするべく、ベース20の所定の位置に雌ねじ部を設け、この雌ねじ部にねじを螺合させて発光モジュール2をねじ止めし、位置決めする、といった煩雑な作業を経ることなく、LED29を光学系4の反射面9の焦点の位置に容易に位置決めすることができる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、位置決め部材33の上面に光反射性を有するフィルム35が貼り付けられており、このフィルム35が、発光モジュール2から発光される光のうち基板26側に向かう放射光を照射方向へ向かって反射し、この光を利用可能とするため、光の使用効率を向上することができる。
また、本実施形態によれば、保持部材36の外周に形成された4つの突起37が塑性変形した状態で保持部22の内周に接触し、この突起37を介して保持部材36が保持部22に保持される。このため、保持部22に保持部材36を嵌め込むことによって、容易に保持部材36を保持部22に保持させることができるので、LED発光装置3の作成が容易である。
また、本実施形態によれば、位置決め部材33が絶縁材で形成されているため、位置決め部材33が基板26と接触した際に、基板26に設けられた配線が短絡する、ということがない。
【0028】
また、本実施形態によれば、押圧部材38を利用して、簡単にLED発光装置3を製造することができるため、LED発光装置3の製造に係る作業が単純化されると共に、製造に係る時間を短縮することができ製造コストの削減を図ることができる。
【0029】
<第2実施形態>
本実施形態では、ベース60に複数の発光モジュール2が設けられ、これら発光モジュール2のそれぞれに、透過型光学素子の一例たるレンズ型の光学系61が対応して設けられたLED発光装置62について説明する。
図7は、LED発光装置62の斜視図(後述の蓋体64をベース60に取り付ける前の状態における斜視図)であり、図8は、LED発光装置62に設けられた発光モジュール2のうち1つの発光モジュール2の断面図である。なお、これらの図において、図2および図3に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図7に示すように、本実施形態では、板状のベース60に、上面視略円形の凹部63が複数設けられている。これらの凹部63は、第1実施形態にて説明した保持部22に相当するものであり、凹部63の内部に、発光モジュール2が配設されている。このとき、第1実施形態と同様に、位置決め部材33及び保持部材36により、発光モジュール2のLED29が凹部63の内で所定の位置に位置決め固定されている。
このベース60には、各発光モジュール2を覆うように蓋体64が取り付けられる。このとき蓋体64とベース60との間には、若干の隙間を有して構成しても良い。
【0031】
蓋体64には、ベース60に設けた凹部63に対向する箇所に、レンズ型の光学系61が設けられている。すなわち、発光モジュール2は、図8に示すように、ベース60に蓋体64が取り付けられた際に、LED29が上記光学系61の直下(特に、光学中心上)に配置されるように、位置決め部材33及び保持部材36により凹部63に対して位置決め固定されることとなる。
【0032】
そして、LED29から放射された光は、図8の矢印Y3に示すように、直上の光学系61に入射し、当該光学系61によって進行方向が制御されて照射光として光学系61から出射される。このとき、LED29から基板26側に向かう光は、図8の矢印Y4に示すように、位置決め部材33の上面に貼り付けられたフィルム35によって光学系61に向けて反射され当該光学系61から照射光として外部へ放たれる。
【0033】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、位置決め部材33及び保持部材36により発光モジュール2をベース60の凹部63に取り付ける構成としたため、ねじを螺合させる作業等が必要がなく、組み立て作業が容易となる。
特に本実施形態のように、多数の発光モジュール2を備えたLED発光装置62では、各LED29の位置決め固定を容易に行うことができるため、組み付けに要する時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0034】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、位置決め部材33及び保持部材36がそれぞれ別部材であったが、第3実施形態では、これら2部材が一体的に形成されているLED発光装置50について説明する。
図9は、本実施形態に係るLED発光装置50の分解斜視図である。なお、この図において、図4に示す構成要素と同じものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すように、位置決め部材51の外周に、外側に突出して形成された4つの突起52が所定の間隔をあけて形成されている。この位置決め部材51がベース20に取り付けられると、位置決め部材51は、第1実施形態と同様、発光モジュール2を位置決めし、さらに、位置決め部材51は、上記突起52が塑性変形しつつ保持部22の内周に接触することにより、保持部22の内周において固定される。
なお、位置決め部材51は、弾性を有する材料にて形成されていてもよく、この場合、位置決め部材51は、突起52が弾性変形しつつ保持部22の内周に接触することにより、保持部22の内周において固定される。
この第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができると共に、以下の効果を得ることができる。すなわち、第二実施形態では、第一実施形態における位置決め部材33及び保持部材36(図4参照)の機能を、1つの位置決め部材51(図9参照)で実現するため、部品点数を削減することができ、製造に係るコストの削減を図ることができる。
【0035】
<第4実施形態>
本実施形態では、発光モジュール2を4個備えるLED発光装置71について説明する。なお、本実施形態で使用されている発光モジュール2の構成は、第1実施形態で使用されている発光モジュール2の構成と同一である。
【0036】
図10は、LED発光装置71の斜視図であり、図11は、上記LED発光装置71の分解斜視図であり、図12は、LED発光装置71を横から見た図である。
LED発光装置71は、4つの発光モジュール2を固定するための装置であり、板状のベース82と、これらの図に示すように、このベース82の上面に突設された8本のピン状の保持部84と、ベース82おいて保持部84で囲まれた箇所に載置された発光モジュール2と、この発光モジュール2を位置決めするための位置決め部材92と、この位置決め部材92を固定するための保持部材86と、を有している。
【0037】
上記ベース82は、図10及び図11に示すように、板形状の部材であり、その上面には、ピン状の8本の保持部84が照射方向へ突出した形状で設けられており、ベース82においてこれら保持部84によって囲まれた箇所に載置部85が形成されている。これら8本の保持部84は、ベース82の上面に略等間隔で突設されており、詳細は後述するが、保持部材86がベース82に取り付けられた際、その保持部材86の外周が、全ての保持部84と接触する構成となっている。
【0038】
この載置部85には、図11に示すように、4つの発光モジュール2が所定の間隔をあけて載置されており、この4つの発光モジュール2の上方には、この4つの発光モジュール2を覆うように、位置決め部材92が取り付けられる。
この位置決め部材92は、図10に示すように、絶縁性を有する部材で成形された、正面視長方形の薄い部材であり、同一の径を有した4つの係止孔93が長手方向に所定の間隔をあけて形成されている。この係止孔93の径は、LED29の封止部31の基端における径と略同一の大きさである。また、位置決め部材92の上面の全域には、光反射性を有するフィルム94が貼り付けられている。
この位置決め部材92は、図10及び図12に示すように、係止孔93のそれぞれにLED29の封止部31を貫通させた状態で、載置部85に取り付けられる。その際、発光モジュール2のそれぞれは、それらのLED29の封止部31が位置決め部材92の係止孔93に係止することにより、載置部85において位置決めされると共に、この位置決め部材92は、その外周が保持部84に保持され、保持部84において位置決めされる。このように、4つの発光モジュール2のそれぞれは、位置決め部材92によってベース82の載置部85の所定の位置に位置決めされる。
また、上述したように、位置決め部材92の上面には、光反射性を有するフィルム94が貼り付けられているため、図12の矢印Y2に示すように、LED29から放射された光うち下方へ向かう光の一部が、このフィルム94により上方へ向かって反射する構成となっている。
【0039】
位置決め部材92の照射方向には、図10〜図12に示すように、保持部材86が設けられる。
この保持部材86は、図11に示すように、可塑性を有する金属で形成された正面視長方形の薄い部材であり、中央が大きく切り欠かれている。
なお、保持部材86は、弾性を有する材料にて形成されていてもよい。
この保持部材86は、ベース82の載置部85において、位置決め部材92を固定するための部材であり、図12に示すように、その下面が、位置決め部材92の上面に接触し、かつ、位置決め部材92を下方へ向かって付勢した状態で、保持部84で囲まれた空間に嵌めこまれる。このとき、保持部材86の外周は、保持部84の全てに塑性変形しつつ接触する構成となっており、保持部材86と保持部84との間に生じる摩擦力によって、保持部材86が保持部84に保持される。保持部材86が固定されると、図12に示すように、位置決め部材92は、この保持部材86とLED29の鍔部30によって挟持されると共に、発光モジュール2は、位置決め部材92と載置部85とで挟持される。
なお、保持部材86が弾性を有する材料にて形成されている場合、保持部材86の外周は、保持部84に弾性変形しつつ接触し、保持部材86と保持部84との間に生じる摩擦力によって、保持部材86は、保持部84に保持される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の発光モジュール2を、位置決め部材92及び保持部材86によって、同時にベースに位置決め及び固定することができるため、第1実施形態と同様、発光モジュール2をベース82に固定する際、ねじを螺合させる作業や、また、発光モジュール2とベース82を正確に弾発的に係止させる必要がなく、製造に係る作業が単純化される。また、発光モジュール2は、保持部84における保持部材86の保持を解除することにより、簡単にベース82から取り外すことができるため、メンテナンス性が良好である。
【0041】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
また、第1実施形態において、位置決め部材33にLED29の封止部31の基端における径と同じ大きさの径を有する係止孔34を設け、この係止孔34の内周によって、封止部31の外周を支持する構成となっているが、これは、例えば、係止孔34の径を封止部31の基端における径より大きく形成し、この係止孔34の内周に中心へ向かって突出した突起を3つ以上形成し、これら突起により封止部31を支持する構成としてもよい。すなわち、係止孔34の形状は任意であり、位置決め部材33を確実に支持可能な形状であればよい。同様のことは、第2,第3実施形態についても言うことができる。
また、第3実施形態において、8本のピン状の保持部84が、保持部材86を保持する構成としているが、保持部材86の本数はこの本数に限らず、また、形状もピン状に限らず、例えば、複数の板状の壁を設け、この壁によって保持部材86を保持する構成としてもよい。すなわち、保持部84の形状は任意であり、位置決め部材92を保持可能な形状であればよい。同様のことは、第1,第2実施形態についても言うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1実施形態に係る照明装置の斜視図。
【図2】第1実施形態に係る照明装置の断面図。
【図3】第1実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図4】第1実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図5】第1実施形態に係るLED発光装置の製造方法を説明するための図。
【図6】第1実施形態に係るLED発光装置の製造方法を説明するための図。
【図7】第2実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図8】第2実施形態に係るLED発光装置の断面図。
【図9】第3実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図10】第4実施形態に係るLED発光装置の斜視図。
【図11】第4実施形態に係るLED発光装置の分解斜視図。
【図12】第4実施形態に係るLED発光装置の側面図。
【符号の説明】
【0043】
2 発光モジュール
3,50,62,71 LED発光装置
4,61 光学系
20,60,82 ベース
22,84 保持部
26 基板
29 LED
33,92 位置決め部材
34,93 係止孔
35,94 フィルム
36,86 保持部材
38 押圧部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にLEDを実装した発光モジュールと、
この発光モジュールのLEDを係止する係止孔を有した位置決め部材とを備え、
前記位置決め部材の係止孔にLEDを係止させた状態で、前記位置決め部材を保持部材を介してベースに設けた保持部に保持させることにより、前記発光モジュールを前記ベースに固定可能とした
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記位置決め部材及び前記保持部材は、前記発光モジュールのLEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定する
ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記位置決め部材に、前記LEDから前記基板側に放射された光を、前記LEDで照射すべき方向に反射する反射面を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記保持部材を、その外周部を塑性変形または弾性変形させた状態で、前記ベースの前記保持部に保持させ、前記保持部材を介して前記位置決め部材を前記保持部に保持させる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のLED発光装置。
【請求項5】
基板にLEDを実装した発光モジュールを有するLED発光装置の製造方法において、
前記発光モジュールをベースに載置し、
前記LEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定した状態で、位置決め部材を前記ベースに載置した後、
保持部材を押圧部材によってベースへ向かって押圧し、前記保持部材の外周を前記ベースの保持部に圧入して、前記保持部材を固定する
ことを特徴とするLED発光装置の製造方法。
【請求項1】
基板にLEDを実装した発光モジュールと、
この発光モジュールのLEDを係止する係止孔を有した位置決め部材とを備え、
前記位置決め部材の係止孔にLEDを係止させた状態で、前記位置決め部材を保持部材を介してベースに設けた保持部に保持させることにより、前記発光モジュールを前記ベースに固定可能とした
ことを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
前記位置決め部材及び前記保持部材は、前記発光モジュールのLEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定する
ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光装置。
【請求項3】
前記位置決め部材に、前記LEDから前記基板側に放射された光を、前記LEDで照射すべき方向に反射する反射面を設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光装置。
【請求項4】
前記保持部材を、その外周部を塑性変形または弾性変形させた状態で、前記ベースの前記保持部に保持させ、前記保持部材を介して前記位置決め部材を前記保持部に保持させる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項記載のLED発光装置。
【請求項5】
基板にLEDを実装した発光モジュールを有するLED発光装置の製造方法において、
前記発光モジュールをベースに載置し、
前記LEDを、前記LEDの放射光を制御する光学系に応じて規定される所定の位置に位置決め固定した状態で、位置決め部材を前記ベースに載置した後、
保持部材を押圧部材によってベースへ向かって押圧し、前記保持部材の外周を前記ベースの保持部に圧入して、前記保持部材を固定する
ことを特徴とするLED発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−21144(P2009−21144A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183863(P2007−183863)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【出願人】(592247768)大成電機工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【出願人】(592247768)大成電機工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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