説明

LED表示ユニット

【課題】 従来のLED表示ユニットにあっては、前面に庇状の部材が長く突出して形成されていることから、庇状の部材が邪魔をしてLEDの表面の十分な清掃ができないといった問題があった。
【解決手段】 筐体1にLED3がマトリックス状に配置されたプリント基板2が取付けられ、該プリント基板の前面側に前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔51が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバー53が形成された遮光部材が配置されたユニットであって、前記遮光部材側に突出する前記LEDを覆った状態で遮光部材の外周壁において透明板6を水密状態で取付けたLED表示ユニットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置され光源として発光ダイオード(以下、LEDという)を点灯することで情報を表示する表示装置のLED表示ユニット、特に、トンネルのような自動車の排気ガスや走行時に飛散する埃等によって汚れやすい場所に設置するのに適したLED表示ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における道路情報等を表示するLEDを使用した表示装置の表示ユニットとしては、特開平8−320657号公報に開示されている発明がある。この発明はプリント配線板にLEDを半田付けし、該LEDを放熱部材の挿通孔内に挿通すると共に前記挿通孔とLEDとの隙間にシリコン樹脂を充填固定し、該放熱部材を前記プリント配線板に固定し、さらに、前記放熱部材の上に遮光部材を前記LEDを挿通した状態でネジ止め固定したものである。
【0003】
そして、放熱部材の前記挿通孔とLEDとの間を水密状態として、前面(LEDの表面側)からの雨水等がプリント配線板側に侵入しないように構成されている。このように構成した表示ユニットは筐体に対して前記放熱部材との間で水密状態に取付けられているので、雨水等は筐体内に侵入しないようになっている。
【特許文献1】特開平8−320657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように構成された表示装置にあっては、屋外に設置しても雨水等の浸入による故障の発生はない、また、道路上に設置され雨水によるLEDの洗浄作用も多少あることから汚れによる視認性の低下も比較的少ない。しかし、トンネル内に設置した場合には、特に、排気ガス等による汚れがLED表面に付着し易く視認性を確保するためには屋外に比べて清掃を多く行なう必要がある。
【0005】
しかし、従来の表示ユニットにあっては、前面に庇状の部材が長く突出して形成されていることから、庇状の部材が邪魔をしてLEDの表面が十分に清掃できないといった問題があった。
【0006】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、各表示ユニットにおける遮光部材に対して透明板を水密状態で取付けることで、LEDの表面が汚れることがなく透明板の前面のみが汚れることにより、清掃が簡単に行なえるLED表示ユニットを提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のLED表示装置は前記した目的を達成せんとするもので、請求項1の手段は、筐体にLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板が取付けられ、該プリント基板の前面側に前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材が配置されたユニットであって、前記遮光部材側に突出する前記LEDを覆った状態で遮光部材の外周壁において透明板を水密状態で取付けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の手段は、筐体に対してLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板と、前記プリント基板の前面に前記各LEDの胴部が挿入固定される挿入孔が形成された中間部材と、該中間部材の前面に配置され前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材と、前記中間部材より露出する前記LEDを覆った状態で前記遮光部材の外周壁に水密状態で取付けられた透明板とより構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3の手段は、筐体に対してLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板と、該プリント基板の前面に配置され前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材と、前記筐体から前記遮光部材の外周に延長された延長壁に水密状態で取付けられた透明板とより構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4の手段は、前記した請求項1において、前記中間部材は、熱伝導率の高い材料で形成されていることを特徴とし、請求項5の手段は、前記した請求項2において、前記遮光部材は、熱伝導率の高い材料で形成されていることを特徴とし、請求項6の手段は、前記した請求項1乃至3の何れかにおいて、前記プリント基板と前記LEDとの隙間に熱伝導性の高い樹脂が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のLED表示ユニットは前記したように、筐体にLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板が取付けられ、該プリント基板の前面側に前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材が配置されたユニットにおいて、前記遮光部材より露出する前記LEDを覆った状態で遮光部材の外周面において透明板を水密状態で取付けたので、各ユニットの表面が平坦となり清掃を非常に楽に行うことができるものである。
【0012】
また、プリント基板の前面に前記各LEDの胴部が挿入固定される挿入孔が形成された中間部材を介在して、中間部材の孔とLEDとの隙間が発生せず、従って、中間部材と遮光手段との隙間から水が侵入してもプリント基板側に水が浸入することがなく、電気的な不都合が発生することがない。
【0013】
さらに、筐体の外周から延長された延長片内に遮光部材を配置し、かつ、前記延長片に透明板を水密状態で取付けたことにより、内部への水の侵入を防止できて電気的な不都合を防止することができる。
【0014】
また、前記中間部材を熱伝導率の高い材料で形成したことで、LEDで発生する熱は中間部材を介して放熱され、熱の上昇によるLEDの発光効率の低下を防止でき、さらに、前記遮光部材を熱伝導率の高い材料で形成することで、より熱の放熱性が向上してLEDの発光効率の低下を防止でき、また、プリント基板とLEDとの隙間に熱伝導性の高い樹脂を充填することで、LEDで発生した熱を放熱することができ、かつ水が回路部分に侵入して電気的な不都合が発生しない等の効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、遮光部材より露出するLEDを覆った状態で遮光部材の外周面において透明板を水密状態で取付けたLED表示ユニットである。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明のLED表示ユニットの第1の実施例を図1〜図5と共に説明する。
図1において、Aはトンネルの内壁に固定された金属製のケース、Bは該ケースAに形成された取付孔A1に水密状態で嵌め込みネジ止めされた本発明のLED表示ユニット(以下、単にユニットという)にして、図示にあっては、縦列に15個、横列に3個のユニットBが取付けられている。
【0017】
次に、本発明のLED表示ユニットBの詳細を図2〜図5と共に説明するに、1は前記ケースAの取付孔A1内に背面側の隆起部11が挿入されるアルミ等からなる筐体にして、ケースAとの重合部12には2つのOリング13が嵌め込まれネジ止め時にケースAと重合部12との間が水密状態に保持される。また、重合部12より内面には後述するプリント基板2を筐体1に固定するためのボス12aが一体的に形成されている。さらに、ケースAより前面に突出する外周部14の内面には段部14aが形成されている。
【0018】
2は16×16個あるいは32×32個の単色あるいは多色のLED3がマトリックス状に半田付け固定されたプリント基板にして、前記筐体1の外周部14の段部14aに支持されるように収納されると共にボス12aにネジ止め固定されている。
【0019】
4はアルミ等の熱伝導率の高い材料で構成した中間部材にして、前記LED3の数に相当する挿入孔41がマトリックス状に形成されている。なお、挿入孔41の内径はLED3の外径より大きく形成され、全体として四角形状となっている。また、前記挿入孔41が形成されていない部分の数カ所にはナット42が埋め込まれている。
【0020】
5はアルミ等の熱伝導率の高い材料で形成された遮光部材にして、前記中間部材と同様にLED3が挿入される孔51がマトリックス状に形成されている。なお、孔51の内径はLED3の外径と略一致するようになっているのでLED3を孔51に挿入するとLED3は孔51に接触する状態となる。なお、外光を反射して表示のコントラストを低下しないように、遮光部材5には、例えば、黒色等の反射率の低い塗装が施されている。
【0021】
そして、遮光部材5は四角形状に形成され、周囲を囲む外周壁52と、LED3の列に沿って外周壁52と一体的に形成されたルーバー53とから構成されると共に前記外周壁52は前記ルーバー53より高さが高く形成され、かつ、先端部はテーパー面52aが形成されている。また、背面側には前記孔51と同径の筒部54が一体的に突出形成されている。さらに、遮光部材5を前記中間部材4に重ねた時に前記ナット42と一致する部分にはネジを挿通する筒部55が形成されている。
【0022】
6はガラスや透明樹脂(例えば、アクリル樹脂)で形成された透明板にして、周囲は前記遮光部材5のテーパー面52aと一致するテーパー面61に形成されている。なお、透明板6が合成樹脂の場合には、表面に傷が着き難くするための耐磨耗性のコーティングを行なうことが望ましい。
【0023】
次に、前記した各部材を組み立てる方法について説明するに、図3に示すように、LED3および該LED3を点滅させるための回路が実装されたプリント基板2を筐体2内に挿入して段部14aで当接した位置においてプリント基板側からボス12aにネジ止め固定する。次いで、プリント基板2の前面側から中間部材4の挿入孔41をLED3に対して挿入する。
【0024】
この状態において、中間部材4の挿入孔41とLED3との隙間およびLED3とプリント基板2との隙間に熱伝導性および耐水性を有するシリコン樹脂等の防水用樹脂7を重点、清掃時の水が中間部材4の前面側から流れ込んでもプリント基板2に進入しないようにして、電気的なショート等の不都合が発生しないようにしてある。
【0025】
次に、前記中間部材4の前面から遮光部材5の孔51にLED3を挿通しながら被せると、筒部54が中間部材4とLED3の隙間に充填されている防水用樹脂7内に入り込む。これにより、中間部材4の外周と遮光部材5の外周との間に隙間があって、該隙間から水が防水用樹脂7に対して浸入することがない。
【0026】
このようにして、中間部材4に対して遮光部材5を仮固定した後、遮光部材5のテーパー面53aに透明板6のテーパー面61を合わせながら防水を兼ねる接着剤62によって透明板6を接着固定すると共に、透明板6に形成された孔63からネジ8を挿通し、遮光部材5の筒部55を介して中間部材4のナット42にネジ込み締めつけて、透明板6および遮光部材5を中間部材4に固定することで完成する。なお、透明板6は、中間部材4に対してネジ止めすることなく前記外周壁52の先端部内側に切欠け溝を設けパッキン等によって直接固定するようにしてもよい。
【0027】
このように構成した第1の実施例のLED表示ユニットBは、各ユニットの前面は透明板6によって覆われているので、排気ガス等による油脂がLED3の表面に付着することがなく、また、汚れを清掃する場合には、平坦な透明板6の前面を清掃することで行なえるので、従来のように個々のLEDを清掃する手間が無く表示装置の清掃を短時間に行なえるものである。
【0028】
また、ユニットBとケースAとは水密状態であり、かつ、中間部材4からプリント基板2側に清掃時における水が浸入することがないので電気的な不都合が発生することがなく、また、中間部材と遮光部材5との隙間から遮光部材5側にも水が浸入することがないのでLED3による情報の視認性が悪くなることもないものである。
【実施例2】
【0029】
次に、図6、図7と共に第2の実施例を説明する。なお、前記した第1の実施例と同一符号は同一部材を示し説明は省略する。
この実施例においては、筐体1の外周部14を前面に向かって延長して延長壁15とし、また、遮光部材5をルーバー53のみで構成し、かつ、長さが透明板6の裏面からプリント基板2まで達する長さとなっている。そして、遮光部材5には筒部54が形成されておらず、また、中間部材4がないものである。
【0030】
次に、第2の実施例の組み立て方法について説明するに、前記した第1の実施例と同様に、LED3が半田付けされているプリント基板2を段部14aで支持すると共にボス12でネジ止め固定する。次いで、プリント基板2とLED3との間にシリコン樹脂等の熱伝導性と耐水性の高い防水用樹脂7を充填し、該樹脂7が硬化する前に遮光部材5を、該遮光部材5の孔51にLED3を挿入しながら差し込むことで、各LED3はそれぞれ独立して孔51内に入り込む。
【0031】
この状態において、遮光部材5のテーパー面52aに透明板6のテーパー面61を合わせながら防水を兼ねる接着剤62によって透明板6を接着固定すると共に、透明板6に形成された孔63からネジ8を挿通し、遮光部材5の筒部55を介してプリント基板2に貫通し裏面側でナット9にネジ込み締めつけて、透明板6および遮光部材5をプリント基板2に固定することで完成する。なお、透明板6は、前記のように延長壁15の先端部に直接固定するようにしてもよい。
【0032】
このように構成した第1の実施例のLED表示ユニットBは、筐体1の延長壁15と透明板6とによってLED3およびプリント基板2は囲まれているので、清掃時の水が内部に入り込むことがなく、水の浸入による電気的な不都合が発生することがない。また、第1の実施例よりも構造が簡単であるので低コストで製作することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のLED表示ユニットは、トンネル内に設置するものとして特に好適なものであるが、屋外に設置しても雨水による電気的な不都合は発生せず、かつ、洗浄も楽に行なえるものである。なお、特に屋外においては、透明板に酸化チタンを塗布し、表面が太陽光と雨水によって自動洗浄されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るLED表示ユニットをケースに取付けた状態を示す正面図である。
【図2】第1の実施例の断面図である。
【図3】LED表示ユニットを分解した断面図である。
【図4】組み立て状態の拡大断面図である。
【図5】同上の固定部分を示す断面図である。
【図6】第2の実施例の拡大断面図である。
【図7】同上の固定部分を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ケース
2 筐体
3 LED
4 中間部材
5 遮光部材
51 孔
52 外周壁
53 ルーバー
6 透明板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体にLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板が取付けられ、該プリント基板の前面側に前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材が配置されたユニットであって、前記遮光部材側に突出する前記LEDを覆った状態で遮光部材の外周壁において透明板を水密状態で取付けたことを特徴とするLED表示ユニット。
【請求項2】
筐体に対してLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板と、前記プリント基板の前面に前記各LEDの胴部が挿入固定される挿入孔が形成された中間部材と、該中間部材の前面に配置され前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材と、前記中間部材より露出する前記LEDを覆った状態で前記遮光部材の外周壁に水密状態で取付けられた透明板とより構成したことを特徴とするLED表示ユニット。
【請求項3】
筐体に対してLEDがマトリックス状に配置されたプリント基板と、該プリント基板の前面に配置され前記LEDの中間部が接触状態で挿入される孔が形成されると共にLEDの列に沿ってルーバーが形成された遮光部材と、前記筐体から前記遮光部材の外周に延長された延長壁に水密状態で取付けられた透明板とより構成したことを特徴とするLED表示ユニット。
【請求項4】
前記中間部材は、熱伝導率の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項2記載のLED表示ユニット。
【請求項5】
前記遮光部材は、熱伝導率の高い材料で形成されていることを特徴とする請求項2記載のLED表示ユニット。
【請求項6】
前記プリント基板と前記LEDとの隙間に熱伝導性の高い樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のLED表示ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−276268(P2006−276268A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92843(P2005−92843)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】