説明

LED駆動回路及び電源回路

【課題】LEDのライフサイクルを長くする技術を提供することを目的とする。
【解決手段】交流電源からの交流電力の供給を受けてLEDを点灯させるための電力を生成する駆動回路15である。駆動回路15は、交流電力を整流して第1の脈流電力を生成する第1のダイオードと第1のツェナーダイオードZD1とを有する第1の整流回路と、位相が180度シフトしている第2の脈流電力を生成する第2のダイオードと第2のツェナーダイオードZD2とを有する第2の整流回路と、第1のツェナーダイオードZD1に並列に接続されている第1の出力端子対と、第2のツェナーダイオードZD2に並列に接続されている第2の出力端子対と、出力電流の増大に応じて交流電力からの電流を制限する電流制限抵抗R1と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDに駆動電力を供給するLED駆動回路、及び電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LED駆動回路は、LEDが必要とする直流電力を供給するために、一般に、交流電力を全波整流あるいは半波整流により整流して直流電力を得る構成が採用されている。
一方、このようにして生成された直流電力をLEDに供給してLEDを駆動(点灯)させる駆動回路として、スイッチングでオンオフすることによってLEDをパルス駆動する技術も提案されている。パルス駆動は、パルス幅の調整による調光、あるいは熱の蓄積の抑制による長寿命化を実現する技術として提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0003】
また、電流制限抵抗によってLEDに流れる電流を制限すると共に調光を行う技術も提案されている(例えば、特許文献5、6参照。)。
さらに、交流電源投入時の電圧波形の正負位相に応じて2系統のランプのうちいずれを点灯させるかを決定する技術も提案されている(例えば、特許文献7参照。)。この技術は、確率論的に2系統のランプの使用頻度を均等とし、これによりランプ交換サイクルを長期化させることを目的としている。
【0004】
なお、特許文献4には、全波整流によって得られた直流電力をスイッチングレギュレータで所定電圧に降圧してLEDへ供給する技術についても記載されている。直流電力に限らず、入力された電力を高周波スイッチングによって所望の直流電圧の直流電力に変換して出力する電源回路であるスイッチングレギュレータは、上述したLED駆動回路に限らず、様々な負荷を動作させる電源回路として多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−289442号公報
【特許文献2】特開2009−140765号公報
【特許文献3】特開2009−9817号公報
【特許文献4】特開2008−210588号公報
【特許文献5】特開2002−329587号公報
【特許文献6】特開2002−164182号公報
【特許文献7】特開平8−96971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のLED駆動回路は、交流電源から供給された交流電力を全波整流して直流電力を発生させ、その直流電力をスイッチングしてLED照明用のパルス状の直流電力を生成していた。このため、スイッチング損失が発生していた。
【0007】
また、電源回路としてスイッチングレギュレータを用いてLED等の負荷を駆動する方法は、様々な負荷に対して多用されてはいるものの、高周波スイッチングにより所望の直流電圧を生成するため、その高周波スイッチングによるノイズの影響が問題となる。
【0008】
特に、LEDを用いた照明装置にスイッチングレギュレータを搭載した場合、その照明装置を多数設ければ設けるほど、ノイズの影響は多大となる。そのため、例えばスイッチングレギュレータを搭載したLED照明装置が多数用いられている屋内等において携帯電話やパソコン等を使用すると、LED照明装置からのスイッチングノイズの影響によって携帯電話やパソコン等が誤動作したり使用できなくなったりするおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために創作されたものであり、簡易な構成でLEDのライフサイクルを長くする技術を提供することを第1の目的とする。
また、携帯電話やパソコン等の各種電子機器等の動作に悪影響を与えるような高周波スイッチングノイズを発生させることなく、簡易な構成で所望の電源電力を生成することが可能な電源回路を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明の第1の局面は、交流電源からの交流電力の供給を受けてLEDを点灯させるための電力を生成するLED駆動回路であって、
前記交流電力を整流して第1の脈流電力を生成する第1のダイオードと、前記第1のダイオードと逆の極性で前記第1のダイオードに直列に接続されている第1のツェナーダイオードとを有する第1の整流回路と、
前記交流電力を整流して前記第1の脈流電力と極性が逆で位相が180度シフトしている第2の脈流電力を生成する第2のダイオードと、前記第2のダイオードと逆の極性で前記第2のダイオードに直列に接続されている第2のツェナーダイオードとを有する第2の整流回路と、
前記第1のツェナーダイオードに並列に接続されている第1の出力端子対と、
前記第2のツェナーダイオードに並列に接続されている第2の出力端子対と、
前記第1の出力端子対と前記交流電源との間で直列に接続され、前記第1の出力端子対の出力電流の増大に応じて前記交流電力からの電流を制限する第1の電流制限用インピーダンスと、
前記第2の出力端子対と前記交流電源との間で直列に接続され、前記第2の出力端子対の出力電流の増大に応じて前記交流電力からの電流を制限する第2の電流制限用インピーダンスと、
を備えている。
【0011】
上記構成によれば、逆で相互に位相が180度シフトしている2系統の脈流電力を簡易に生成することができる。これにより、2系統のLEDの交互点灯が可能となるので、LEDの負担を軽減してライフサイクルを長くすることができる。さらに、出力端子対はツェナーダイオードに並列に接続されているので、脈流電圧の変動や突入電流等の不意な電圧変動があってもツェナーダイオードの降伏によってLEDを保護することができる。
【0012】
また、本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面のLED駆動回路において、前記第1の整流回路は、前記第1のツェナーダイオードに対して並列に接続され、前記LEDに供給される電流パルスの幅を拡大するための第1のパルス幅拡大コンデンサを有し、
前記第2の整流回路は、前記第2のツェナーダイオードに対して並列に接続され、前記LEDに供給される電流パルスの幅を拡大するための第2のパルス幅拡大コンデンサを有し、
前記第1の電流制限用インピーダンスは、前記第1のツェナーダイオードと前記第1のパルス幅拡大コンデンサとの間で直列に接続されている抵抗を含み、
前記第2の電流制限用インピーダンスは、前記第2のツェナーダイオードと前記第2のパルス幅拡大コンデンサとの間で直列に接続されている抵抗を含む。
【0013】
上記構成によれば、LEDに供給される電流パルスの幅を拡大して各周期でのLEDに発光時間を長くすることができるので、消灯時間を短くしてちらつきの少ない照明を実現することができる。
【0014】
また、本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面のLED駆動回路において、前記電流パルスの幅は、180度の位相に相当する幅を超えるパルス幅を有している。
上記構成によれば、180度の位相に相当する幅を超えるパルス幅が実現されるので、第1のLED回路と第2のLED回路の少なくとも一方が常に点灯している状態となる。これにより、ちらつきのほとんどない照明を実現することができる。
【0015】
また、本発明の第4の局面は、入力された直流又は脈流の入力電圧をその入力電圧よりも低い中間電圧に降圧して出力する降圧手段と、この降圧手段からの中間電圧をその中間電圧よりも低い出力電圧に降圧すると共に出力電流を所定の電流値範囲内にする定電流出力手段とを備えた電源回路である。
【0016】
降圧手段は、1つのツェナーダイオード又は同一方向に直列接続された複数のツェナーダイオードからなると共にそのカソードが入力側に接続されてアノードが出力側に接続されてなる第1ツェナーダイオード群を少なくとも1つ有し、この第1ツェナーダイオード群によって前記入力電圧を前記中間電圧に降圧する。
【0017】
定電流ダイオード出力手段は、1つの定電流ダイオード又は同一方向に直列接続された複数の定電流ダイオードからなると共にそのアノードが入力側に接続されてカソードが出力されてなる定電流ダイオード群、及び、1つのツェナーダイオード又は同一方向に直列接続された複数のツェナーダイオードからなると共にそのカソードが前記定電流ダイオードのアノードに接続されてアノードが前記定電流ダイオードのカソードに接続されてなる第2ツェナーダイオード群を有し、少なくとも1つの前記定電流ダイオード群及び前記第2ツェナーダイオード群が並列接続されることにより、入力された前記中間電圧を前記出力電圧に降圧すると共に所定の電流値範囲内の出力電流を出力するよう構成されている。
【0018】
このように構成された本発明の第4の局面の電源回路によれば、ツェナーダイオード及び定電流ダイオードを用いた簡易的な構成で、入力電圧を所望の出力電圧に降圧することができる。
【0019】
そのため、携帯電話やパソコン等の各種電子機器等の動作に悪影響を与えるような高周波スイッチングノイズを発生させることなく、簡易な構成で所望の電源電力を生成することが可能な電源回路を提供することが可能となる。
【0020】
しかも、定電流ダイオードからなる定電流出力手段を備えており、これにより出力電流を所定の電流値範囲内に抑制(定電流化)できるため、簡易的な構成でありながら高性能の電源回路を提供することができる。
【0021】
また、本発明の第5の局面は、本発明の第4の局面の電源回路において、前記定電流出力手段は、並列接続された複数の前記定電流ダイオード群を有している。
このように構成された本発明の第5の局面の電源回路によれば、定電流ダイオード群の並列接続数を適宜設定することで、所望の出力電流を出力することが可能となる。
【0022】
また、本発明の第6の局面は、本発明の第5の局面の電源回路において、前記定電流出力手段は、並列接続された複数の前記定電流ダイオード群のうち何れか1つ又は複数(但し、全ての前記定電流ダイオード群の数よりは少ない数)への通電を遮断することにより、その遮断した前記定電流ダイオード群以外の他の定電流ダイオード群の数に応じた値の前記出力電流を出力させる出力電流切替手段を備えている。
【0023】
このように構成された本発明の第6の局面の電源回路によれば、並列接続された複数の定電流ダイオード群のうち実際に電流を流す定電流ダイオード群の数を切り替える(増減する)ことができるため、出力電流を可変設定することが可能となる。
【0024】
また、本発明の第7の局面は、本発明の第4の局面〜第6の局面の何れかの電源回路において、前記降圧手段は、並列接続された複数の前記第1ツェナーダイオード群を有している。
【0025】
このように構成された本発明の第7の局面の電源回路によれば、降圧手段が、複数の第1ツェナーダイオード群が並列接続された構成となっているため、入力電流が各第1ツェナーダイオード群に分流し、これにより1つの第1ツェナーダイオード群に流れる電流が低減する。そのため、各第1ツェナーダイオード群で消費される電力を低減でき、各第1ツェナーダイオード群における発熱(損失)を低減することができる。
【0026】
また、本発明の第8の局面は、本発明の第4の局面〜第7の局面の何れかの電源回路において、前記第1ツェナーダイオード群は、直列接続された複数のツェナーダイオードと、前記複数のツェナーダイオードの何れか1つ又は複数を短絡させるための短絡手段と、を備えている。
【0027】
このように構成された本発明の第8の局面の電源回路によれば、短絡手段を用いて短絡させるか否かによって、降圧手段において降圧させる電圧を可変設定することができ、延いては出力電圧を可変設定することができる。
【0028】
また、本発明の第9の局面は、本発明の第4の局面〜第8の局面の何れかの電源回路において、並列接続された複数の前記降圧手段を備え、複数の降圧手段の各々に前記入力電圧が入力されると共に、各降圧手段から出力される前記中間電圧がそれぞれ前記定電流出力手段に入力されるよう構成されている。そして、前記各降圧手段のうち何れか1つに前記入力電圧が入力されるようにすると共に、その入力電圧を入力させる1つの前記降圧手段を所定の切替タイミング毎に順次切り替える入力切替手段を備えている。
【0029】
このように構成された本発明の第9の局面の電源回路によれば、1つの降圧手段に入力電圧が常時連続的に入力されるのではなく、並列接続された複数の降圧手段の何れか1つに対して切替タイミング毎に順次切り替え入力される。つまり、1つの降圧手段に着目すると電流が流れる期間と電流が流れない期間が交互に到来する。そのため、1つの降圧手段に流れる電流を実質的に低減することができ、1つの降圧手段における発熱(損失)をより低減することが可能となる。
【0030】
また、本発明の第10の局面は、本発明の第9の局面の電源回路において、前記入力切替手段は、前記降圧手段毎に設けられ、対応する降圧手段への前記入力電圧の入力を遮断することが可能な遮断手段と、前記各降圧手段のうち何れか1つに前記入力電圧が入力されるよう前記各遮断手段を制御すると共に、その入力電圧が入力される1つの前記降圧手段が予め設定した切替タイミング毎に順次切り替わるように前記各遮断手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0031】
このように構成された本発明の第10の局面の電源回路によれば、降圧手段毎に設けられた遮断手段を制御するという簡易的な方法によって、通電対象の降圧手段を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態のLED電球10の概略構成を示す模式図。
【図2】光源ユニット12の外観を示す斜視図。
【図3】第1実施形態の駆動回路15の構成を示す回路図。
【図4】第1実施形態の駆動回路15の作動内容を示すタイムチャート。
【図5】第2実施形態の駆動回路15aの構成を示す回路図。
【図6】第2実施形態の駆動回路15aの作動内容を示すタイムチャート。
【図7】第3実施形態の駆動回路30の構成を示す回路図。
【図8】第4実施形態の駆動回路40の構成を示す回路図。
【図9】第4実施形態の駆動回路40の作動内容(各スイッチSW1〜SW4の制御内容)を示すタイムチャート。
【図10】第5実施形態の駆動回路60の構成を示す回路図。
【図11】第6実施形態の駆動回路70の構成を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。本実施形態は、白色LEDを使用するLED照明として具体化しており、まずは照明装置の基本構成を図1、図2の概略図に基づいて説明する。
【0034】
図1は、第1実施形態のLED電球10の概略構成を示す模式図である。LED電球10は、電球型のLED照明である。LED電球10は、電球用のソケットに適合する口金を有し、電球の代わりに使用することができる。LED電球10は、電球と比較して低消費電力で長寿命を有することを一般的な特徴としている。本実施形態では、LED照明装置が電球型の照明装置として例示されているが、たとえば蛍光灯型の照明装置や野菜の栽培用のLED照明装置(野菜栽培用のLED照射装置)といった他の形態として構成してもよい。LED電球10は、LED照明装置とも呼ばれる。
【0035】
LED電球10は、電極口金11と、光源ユニット12と、透光カバー13と、を備えている。電極口金11は、電球類の口金及び受金に関する目本工業規格(JIS−C−7709)に適合する口金である。光源ユニット12は、電極口金11に電気的に接続されているとともに、機械的に締結されている。透光カバー13は、光源ユニット12を覆う形状の乳白色の透光材料のカバーであり、電極口金11に締結されている。
【0036】
図2は、光源ユニット12の外観を示す斜視図である。光源ユニット12は、第1の白色LED群51Gと、第2の白色LED群52Gと、3個の光源基板14(図2では3個のうち2個が直接示されている。)と、光源端部17と、駆動回路15とを備えている。第1の白色LED群51Gは、18個の白色LED51が相互に直列に接続された回路である。第2の白色LED群52Gは、18個の白色LED52が相互に直列に接続された回路である。本構成では、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gは、相互に独立して点灯することが可能である。第1の白色LED群51Gに属する18個の白色LED51と、第2の白色LED群52Gに属する18個の白色LED52とは、それぞれが一体的に点灯することになる。
【0037】
各光源基板14には、第1の白色LED群51Gに属する18個の白色LED51のうち6個と、第2の白色LED群52Gに属する18個の白色LED52のうち5個とが装備されている。光源端部17には、3個の白色LED52が装備されている。これにより、光源ユニット12は、18個の白色LED51と18個の白色LED52とを備えていることになる。このような均一な配列により、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gが交互に点灯する際の照度分布の変動を小さくすることができる。第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gとは、それぞれ第1のLEDと第2のLEDとも呼ばれる。
【0038】
第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gを構成する各白色LEDは、必ずしも全てを白色LEDとする必要はなく、疑似白色LEDなどの白色LEDと他の色のLEDを混合するような構成としてもよい。具体的には、たとえば擬似白色LEDに加えて、赤色LED、青色LED、及び緑色LEDを装備するようにしてもよい。擬似白色ダイオードとは、たとえば青色ダイオードのチップと蛍光体(たとえばYAG)を使用したダイオードである。擬似白色ダイオードは、赤から緑の帯域では連続したスペクトルを有するという利点を有している。これに対して、光の三原色である赤色・緑色・青色の発光ダイオードのチップを用いて1つの発光源として白色を得る方法では、3つのピークを有する光なので演色性の観点からは自然光とは程遠い光である。
【0039】
ただし、擬似白色LEDは、赤色や深紅色の発色が悪いという性質を有している。一方、演色性の向上のために赤色蛍光体を増加させて赤色領域で多くの光エネルギーを発生させると、この領域における人間の視覚感度の低さゆえに、ランプ効率上の評価が低くなってしまうというトレードオフの問題が発生する。
【0040】
このようなトレードオフの問題は、本変形例では、擬似白色LEDの赤色や深紅色の発色を抑制しつつランプ効率を向上させ、赤色LEDの数を青色LEDや緑色LEDよりも多くし、全体として演色性を向上させるという方法で解決することができる。透光カバー13は、光源ユニット12を覆う形状の乳白色の透光材料のカバーとして構成されているので、透光カバー13の内部での光の拡散によって外部には白色光を照射することができる。
【0041】
次に、図3を参照して駆動回路15の構成を説明する。図3は、第1実施形態の駆動回路15の構成を示す回路図である。図3では、駆動回路15には、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gとが接続されている。
【0042】
駆動回路15は、電極口金11を介して商用交流電源20から供給された交流電力を変換して、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gに電力を供給する回路である。駆動回路15は、変圧器(トランス)を使用しないトランスレス電源装置として簡易な構成を有している。商用交流電源20は、実効値が100Vの単相交流電源であり、ピーク電圧は141Vとなる。ただし、トランスを使用する構成としても実装可能である。
【0043】
駆動回路15は、入力端子対T1,T2と、第1の出力端子対T3,T4と、第2の出力端子対T5,T6と、電圧制限用の2つのツェナーダイオードZD1、ZD2と、2つの逆流防止ダイオードD1、D2と、電流制限抵抗R1と、を備えている。入力端子対T1,T2には、単相100Vの商用交流電源20が接続されている。第1の出力端子対T3,T4には、白色LED51が18個直列接続されてなる第1の白色LED群51Gが接続されている。第2の出力端子対T5,T6には、白色LED52が18個直列接続されてなる第2の白色LED群52Gが接続されている。
【0044】
電圧制限用の各ツェナーダイオードZD1、ZD2は、突入電流等の急激な電圧変化の際に降伏して第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gを保護するために設けられた素子である。各ツェナーダイオードZD1,ZD2は、それぞれ第1のツェナーダイオード,第2のツェナーダイオードとも呼ばれる。
【0045】
本駆動回路15の接続状態は以下のとおりである。一方の入力端子T1には、電流制限抵抗R1の一端が接続されている。電流制限抵抗R1の他端には、一方の逆流防止ダイオードD1のアノードと他方の逆流防止ダイオードD2のカソードとが接続されている。このように、各逆流防止ダイオードD1,D2は、電流制限抵抗R1の他端に対して相互に極性が逆となる方向に接続されている。各逆流防止ダイオードD1,D2は、それぞれ第1のダイオード,第2のダイオードとも呼ばれる。
【0046】
一方の逆流防止ダイオードD1のカソードには、第1の出力端子対T3,T4のうち一方の出力端子T3を介して第1の白色LED群51Gのアノードが接続されている。第1の白色LED群51Gのカソードには、他方の出力端子T4を介して他方の入力端子T2が接続されている。一方、他方の逆流防止ダイオードD2のアノードには、第2の出力端子対T5,T6のうち一方の出力端子T5を介して第2の白色LED群52Gのカソードが接続されている。第2の白色LED群52Gのアノードには、他方の出力端子T6を介して他方の入力端子T2が接続されている。このように、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gは、他方の入力端子T2に対して相互に極性が逆となる方向に接続されている。
【0047】
電流制限抵抗R1は、第1の白色LED群51Gあるいは第2の白色LED群52Gの電流の上昇に応じて、第1の白色LED群51G等の分圧を小さくすることによって第1の白色LED群51G等に流れる電流を制限する抵抗である。電流制限抵抗R1は、本実施形態では、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gと一方の入力端子T1との間に直列に接続されていて共有されている。しかしながら、このような形態に限られず、たとえば第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gと他方の入力端子T2との間に直列に接続されていてもよい。
【0048】
さらに、第1の白色LED群51G及び第2の白色LED群52Gと各逆流防止ダイオードD1,D2の間において、それぞれに1個ずつの電流制限抵抗を有するように構成してもよい。ただし、電圧制限用のツェナーダイオードZD1,ZD2と逆流防止ダイオードD1,D2との間に直列に接続されることが好ましい。こうすれば、電圧制限用の各ツェナーダイオードZD1,ZD2にツェナー電流が流れるような状態においても各ツェナーダイオードZD1,ZD2の分圧を小さくしてツェナー電流を制限することができる。
【0049】
駆動回路15は、第1の白色LED群51Gに電力を供給するための第1の整流回路と、第2の白色LED群52Gに電力を供給するための第2の整流回路と、を備えているとも把握することができる。第1の整流回路は、単相の交流電力を整流して第1の脈流電力を生成する逆流防止ダイオードD1と、この逆流防止ダイオードD1に直列に接続されているツェナーダイオードZD1と、を備えている。第1の整流回路は、このツェナーダイオードZD1の両端に接続されている第1の出力端子対T3,T4を備えている。
【0050】
第2の整流回路は、単相の交流電力を整流して第2の脈流電力を生成する逆流防止ダイオードD2と、この逆流防止ダイオードD2に直列に接続されているツェナーダイオードZD2と、を備えている。第2の整流回路は、このツェナーダイオードZD2の両端に接続されている第2の出力端子対T5,T6を備えている。第2の脈流電力は、第1の脈流電力と極性が逆で位相が180度シフトしている。これは、各逆流防止ダイオードD1,D2が、前述のように電流制限抵抗R1の他端に対して相互に極性が逆となる方向に接続されているからである。ただし、第2の出力端子対T5,T6への第2の白色LED群52Gの接続において極性が逆となっているので、第1の出力端子対T3,T4及び第2の出力端子対T5,T6極性は、相互に一致することになる。
【0051】
次に、図4を参照して第1実施形態の駆動回路15の作動内容を説明する。図4は、駆動回路15の作動内容を示すタイムチャートである。図4(a)は、入力端子対T1,T2の電位差V0を示している。図4(b)は、第1の出力端子対T3,T4の電位差V1を示している。図4(c)は、第2の出力端子対T5,T6の電位差V2を示している。図4(d)は、第1の白色LED群51Gに流れる電流を示している。図4(e)は、第2の白色LED群52Gに流れる電流を示している。図4(f)は、LED電球10の相対光度を示している。なお、図中の電圧VFは、各白色LED群51G,52Gそれぞれの全体としての順方向降下電圧、即ち、各LED群51G,52Gをそれぞれ等価的に1つのLEDとみなしたときのそのLEDの順方向降下電圧である。
【0052】
第1の整流回路は以下のように機能している。逆流防止ダイオードD1は、電流制限抵抗R1を経てピーク電圧Vpの半波の脈流電圧V1(図4(b)参照)を第1の出力端子対T3,T4に発生させる。第1の白色LED群51Gに流れる電流I1は、脈流電圧V1が順方向降下電圧VFを超えているタイミングで流れることになる(図4(d)参照)。
【0053】
一方、第2の整流回路は、第1の整流回路と180度位相がシフトした状態で機能している。逆流防止ダイオードD2は、逆の極性で電流制限抵抗R1を経てピーク電圧Vpの半波の脈流電圧V2(図4(c)参照)を第2の出力端子対T5,T6に発生させる。第2の白色LED群52Gに流れる電流I2は、脈流電圧V2が順方向降下電圧VFを超えているタイミングで流れることになる(図4(e)参照)。
【0054】
このように、第1実施形態の駆動回路15は、交流電源の周波数の2倍(たとえば120Hz)の周波数で間欠的にLEDを点灯させることができるので(図4(F)参照)、人間の目には、安定した光として認識させる照明を実現することができる。
【0055】
なお、電流I1,I2は、本実施形態では、ピーク電流として50mAが流れている。電流I1,I2のピーク電流は、電流制限抵抗R1の抵抗値の調整によって設定することができる。本実施形態では、各白色LED群51G,52Gを構成する各白色LED51,52は、順方向電流が20mAで、瞬時順方向電流が100mAの特性を有しているものとする。
【0056】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果を得ることができる。
電流制限抵抗R1の抵抗値は、連続点灯方式では連続最大電流の20mAの近傍で安定させるように設定されることが要求される。電流制限抵抗R1の抵抗値は、大きくすれば大きくするほど電圧変動を小さくすることができる一方、電流制限抵抗R1での消費電力の増加によって効率が低下するという問題がある。これに対して、本実施形態では、順方向電流(20mA)と瞬時順方向電流(100mA)との間での電圧変動を許容することによって、その駆動電圧領域を有効利用して効率的な駆動を実現している。
【0057】
駆動回路15は、簡易な回路構成によって以下の観点からも高い効率を実現している。
(1)トランスレス駆動回路として構成されているので、トランスでの損失が発生しない。
(2)電圧を平滑化し、スイッチングしてパルスを発生させる方式ではないので、平滑化やスイッチングに起因する損失を排除することができる。
(3)電圧パルスが矩形波ではなくピーク時間が短いので、上述のように順方向電流(20mA)と瞬時順方向電流(100mA)との間の駆動電圧領域の有効利用が可能である。
【0058】
また、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gを交互に駆動する方式なので、各LED群51G,52Gの負荷が軽減され、ライフサイクルを長くすることができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図5を参照して第1実施形態との相違点を中心に説明する。図5は、第2実施形態の駆動回路15aの構成を示す回路図である。本実施形態は、第1実施形態の電流制限抵抗R1が削除される一方、2個のコンデンサC1,C2と、2個の電流制限抵抗R2,R3とが追加されている点で第1実施形態と相違する。各コンデンサC1,C2は、それぞれ第1のパルス幅拡大コンデンサ,第2のパルス幅拡大コンデンサとも呼ばれる。また、各電流制限抵抗R2,R3は、それぞれ第1の電流制限用インピーダンス,第2の電流制限用インピーダンスとも呼ばれる。
【0060】
第1の整流回路における接続状態は以下のとおりである。電流制限抵抗R2は、ツェナーダイオードZD1のカソードと逆流防止ダイオードD1のカソードとの間に直列に接続されている。コンデンサC1は、電流制限抵抗R2とツェナーダイオードZD1の直列回路に対して、並列に接続されている。
【0061】
第2の整流回路における接続状態は以下のとおりである。電流制限抵抗R3は、ツェナーダイオードZD2のアノードと逆流防止ダイオードD2のアノードとの間に直列に接続されている。コンデンサC2は、電流制限抵抗R3とツェナーダイオードZD2の直列回路に対して、並列に接続されている。
【0062】
次に、図6を参照して第2実施形態の駆動回路15aの作動内容を説明する。図6は、駆動回路15aの作動内容を示すタイムチャートである。図6(a)は、第1の白色LED群51Gに流れる電流I1aを示している。図6(b)は、第2の白色LED群52Gに流れる電流I2aを示している。図6(c)は、LED電球10の相対光度Laを示している。
【0063】
第1の整流回路は以下のように機能している。コンデンサC1は、その充電電荷量に応じて、逆流防止ダイオードD1に流れる電流値の低下後も電流制限抵抗R2を介して第1の白色LED群51Gに電流を流し続けることができる。これにより、電流I1aの波形は、矢印Wの方向に変形されるので、電流パルスの幅が長くなって電流が止まることなく流れ続けることになる。一方、第2の整流回路は、第1の整流回路と180度位相がシフトした状態で機能している。
【0064】
本実施形態では、電流パルスの幅は、180度の位相に相当する幅を超えるパルス幅となるようにコンデンサの容量や2個の電流制限抵抗R2,R3の抵抗値が設定されている。これにより、駆動回路15aは、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gの少なくとも一方が常に点灯している状態となるように作動させることができる。
【0065】
このように、第2実施形態の駆動回路15aは、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gの少なくとも一方が常に点灯している状態となるように作動させることができるので、ちらつきのほとんどない照明を実現することができる。ただし、電流パルスの幅は、180度の位相に相当する幅を超えないように設定してもよい。このようにしても、各周期でのLEDに発光時間を長くすることができるので、消灯時間を短くしてちらつきの少ない照明を実現することができる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の駆動回路30について、図7を用いて説明する。図7に示した駆動回路30は、上記第1実施形態と同じ商用交流電源20が入力され、これを整流、降圧して白色LED群36に供給することにより白色LED群36を駆動(点灯)させるものであり、本発明の電源回路に相当するものである。
【0067】
商用交流電源20からの交流電力は、一対の入力端子T1,T2に入力され、この交流電力が、4つのダイオードD5,D6,D7,D8からなるダイオードブリッジ回路により全波整流される。そして、その全波整流されてなる脈流電力(極性が変わらないという観点では直流電力の一種と捉えることもできる)が、後段の降圧回路(第1降圧部31及び第2降圧部32)、及び定電流回路35を経て、負荷としての白色LED群36へ出力される。
【0068】
本実施形態では、ダイオードブリッジ回路からの脈流電力を降圧するための降圧回路として、第1降圧部31及び第2降圧部32の2つ(2系統)を備えており、ダイオードブリッジ回路からの脈流電力が、入力される交流電力の半周期毎にこれら二系統のうち何れか一方に交互に入力される。
【0069】
即ち、ダイオードブリッジ回路は、アノードが一方の入力端子T1に接続されてカソードが第1降圧部31の入力側に接続された第1ダイオードD5と、アノードが他方の入力端子T2に接続されてカソードが第2降圧部32の入力側に接続された第2ダイオードD6と、カソードが一方の入力端子T1に接続されてアノードが当該駆動回路30の負極側の出力端子T4に接続された第3ダイオードD7と、カソードが他方の入力端子T2に接続されてアノードが当該駆動回路30の負極側の出力端子T4に接続された第4ダイオードD8と、により構成されている。
【0070】
そして、入力される交流電力の一周期のうち、一方の入力端子T1が高電位となる半周期は、第1ダイオードD5から第1降圧部31へ脈流電力が入力され、他方の入力端子T2が高電位となる半周期は、第2ダイオードD6から第2降圧部32へ脈流電力が入力される。
【0071】
第1降圧部31に入力された脈流電力は、その入力電圧(脈流電圧)が所定の降圧分だけ降圧され、その降圧後の脈流電圧である中間電圧が、後段の定電流回路35に入力される。第2降圧部32に入力された脈流電力も、その入力電圧(脈流電圧)が所定の降圧分(第1降圧部31と同じ)だけ降圧され、その降圧後の脈流電圧である中間電圧が、後段の定電流回路35に入力される。
【0072】
つまり、2つの降圧部31,32は、負荷側からみて並列に接続されており、入力される交流電力の半周期毎に、何れか一方の降圧部からの脈流電力(中間電圧)が定電流回路35に入力される。そのため、定電流回路35には、交流電力の全周期に渡ってその交流電力に応じた電流が流れることになるが、第1降圧部31及び第2降圧部32には、それぞれ、常時電力が入力されて電流が流れるのではなく、交流電力一周期のうち半周期の間だけ電流が流れることになる。
【0073】
第1降圧部31は、第1ダイオードD5から定電流回路35への通電経路に設けられており、より詳しくは、並列接続された4つの各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dが、この通電経路に対して直列に挿入されている。なお、以下の説明では、この並列接続された4つの各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dからなる回路を、単に「第1降圧用ダイオード群」とも称す。
【0074】
この第1降圧用ダイオード群を構成する各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dはいずれも同じ構成であるため、代表として第1ツェナーダイオード群31aについて具体的に説明する。第1ツェナーダイオード群31aは、3つのツェナーダイオードZD5,ZD6,ZD7が同じ向き(極性)で直列接続された構成となっている。そして、カソードが入力側(第1ダイオードD5のカソード)に接続されてアノードが出力側(定電流回路35側であり、より詳しくは後述する第1逆流防止ダイオードD11のアノード)に接続されるように、通電経路に挿入されている。第1ツェナーダイオード群31aに並列接続されている他の3つのツェナーダイオード群31b,31c,31dについても全く同じである。
【0075】
このような構成により、この第1降圧部31に入力された脈流電力の入力電圧は、この第1降圧用ダイオード群(各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31d)によって中間電圧に降圧される。
【0076】
本実施形態では、一例として、各ツェナーダイオードZD5,ZD6,ZD7がいずれも、降伏電圧(ツェナー電圧)が10V、逆方向定格電流が50mAであるものとする。また、本実施形態では商用交流電力が入力されるため、第1降圧部31及び第2降圧部32に入力される脈流電力の電圧については、その実効値である100Vの電圧が入力されることになる。そのため、以下の説明では、各降圧部31,32には100Vの電圧(つまり実効値100Vの脈流電圧)が入力されるものとして説明する。但しもちろん、これら電圧や電流の数値例(後述する各数値例も含む)はあくまでも一例にすぎない。
【0077】
そのため、第1降圧部31に入力された100Vの入力電圧は、直列接続された3つのツェナーダイオードZD5,ZD6,ZD7からなる各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dによって、30V降圧されて70Vとなる。そして、その70Vの脈流電圧が中間電圧として、第1逆流防止ダイオードD11を介して出力され、後段の定電流回路35に入力される。なお、厳密には、第1逆流防止ダイオードD11によっても順方向電圧降下が生じるのだが、ここではその電圧降下分については無視する。
【0078】
また、第1ダイオードD5から第1降圧部31を経て出力される電流は、第1降圧部31の第1降圧用ダイオード群において4つに分流される。つまり、入力された電流は、第1降圧用ダイオード群を構成する4つのツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dにそれぞれ分流する。
【0079】
入力電圧を降圧するという目的だけを考えれば、例えば第1ツェナーダイオード群31aのみによってその目的を達せられる。しかし、第1ツェナーダイオード群31aのみによって降圧する構成だと、入力電流は当然ながらすべてその第1ツェナーダイオード群31aに流れるため、電流の大きさによっては第1ツェナーダイオード群31aの発熱が非常に大きくなる。
【0080】
本実施形態では、後述するように、負荷である白色LED群36全体の定格が、電圧60V、電流200mAとなっており、よって、駆動回路30は、出力電圧が60V、出力電力が200mAとなるように構成されている。つまり、入力側(第1ダイオードD5)から第1降圧部31に入力される電流は、200mAである。一方、各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dを構成する3つのツェナーダイオードZD5,ZD6,ZD7は、上述の通り逆方向定格電流が50mAであり、50mAより大きい電流を流すことはできない。
【0081】
そのため、本実施形態では、単に所望の降圧量(本例では30V)降圧できるだけでなく、ツェナーダイオードに流れる電流を定格内に抑えて発熱も抑制することができるよう、4つのツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dを設けてこれらを並列接続している。これにより、入力された電流(200mA)は、各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dに50mAずつ分流することになる。そのため、各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dの発熱を抑えることができる。
【0082】
一方、第2降圧部32も、上述した第1降圧部31と全く同じ構成である。即ち、第2ダイオードD6から定電流回路35への通電経路に設けられており、より詳しくは、並列接続された4つの各ツェナーダイオード群32a,32b,32c,32dが、この通電経路に対して直列に挿入されている。なお、以下の説明では、この並列接続された4つの各ツェナーダイオード群32a,32b,32c,32dからなる回路を、単に「第2降圧用ダイオード群」とも称す。
【0083】
この第2降圧用ダイオード群を構成する各ツェナーダイオード群32a,32b,32c,32dはいずれも同じ構成であり、且つ、第1降圧用ダイオード群を構成する各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dと同じである。
【0084】
そのため、この第2降圧部32に入力された脈流電力の入力電圧は、この第2降圧用ダイオード群(各ツェナーダイオード群32a,32b,32c,32d)により30V降圧されて中間電圧(70V)となり、第2逆流防止ダイオードD12を介して出力され、後段の定電流回路35に入力される。第1降圧部31の第1逆流防止ダイオードD11のカソードと、第2降圧部32の第2逆流防止ダイオードD12のカソードは、互いに接続されると共に、定電流回路35の入力側に接続されている。
【0085】
定電流回路35は、各降圧部31,32から正極側の出力端子への通電経路に設けられており、より詳しくは、10個の定電流ダイオードCRDが並列接続されると共にこれに対して更にツェナーダイオードZD3も並列接続されてなる並列接続体が、この通電経路に対して直列に挿入されている。
【0086】
10個の定電流ダイオードCRDは、いずれも、アノードが第1降圧部31側(詳しくは第1逆流防止ダイオードD11のカソード)に接続され、カソードが正極側の出力端子T3に接続されている。また、ツェナーダイオードZD3は、アノードが各定電流ダイオードのカソードに接続され、カソードが各定電流ダイオードCRDのアノードに接続されている。
【0087】
また、本実施形態の各定電流ダイオードCRDは、一例として、いずれも10V以上で20mAの定電流が流れるような特性を有している。
このような構成により、この定電流回路35に入力された脈流電力(中間電圧)は、この定電流回路によってさらに、ツェナーダイオードZD3の降伏電圧である10Vだけ降圧される。また、10個並列接続された定電流ダイオードCRDにより、負荷への出力電流が一定となる。本実施形態では、1つの定電流ダイオードCRDの定格電流が20mAであるため、全体として、通電電流が200mAとなる。なお、厳密には、定電流ダイオードCRDに並列接続されているツェナーダイオードZD3にも電流が流れるのだが、ここではその電流については無視する。そのため、この定電流回路35から負荷側へ出力される脈流電力は、出力電圧が60V、出力電流が200mAとなる。
【0088】
つまり、本実施形態の駆動回路30は、基本的には、並列接続された第1降圧部31、第2降圧部32にて所望の出力電圧に近い70Vにまで降圧させ、後段の定電流回路35にて、出力電流を200mA一定に制御すると共に電圧をさらに降圧させて所望の出力電圧60Vを出力する構成となっている。
【0089】
なお、ここでいう出力電圧60Vや一定電流200mAは、あくまでも実効値を意味しており、実際には脈流状態の電圧や電流が出力されることはいうまでもない。但し、出力段に例えばコイルとコンデンサからなる周知の平滑回路を設けるなど、脈流を平滑化する回路等を設けることで、脈流分のない(或いは大幅に低減された)一定電圧・一定電流の直流電力を出力することは可能である。
【0090】
白色LED群36は、上述した各実施形態の白色LED群51Gなどと同じように、複数の白色LEDが直列接続された構成となっている。この白色LED群36全体の定格は、既述の通り、電圧60V、電流200mAである。
【0091】
このように構成された本実施形態の駆動回路30によれば、商用交流電源20からの交流電圧が、各降圧部31,32にて所望の出力電圧(60V)に近い70Vにまで降圧され、さらに後段の定電流回路35にて、降圧・定電流可されることで、最終的に、出力電圧が60Vで出力電流が200mA一定の定電圧・定電流電源として機能する。
【0092】
そのため、従来の電源回路のように、降圧のためにトランスを用いたり、スイッチング素子やコイルからなるスイッチングレギュレータにて高周波スイッチングをしたりすることなく、非常に簡素且つ小型な構成で、しかも高周波スイッチングノイズの生じない電源回路を提供することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態の駆動回路30は、一般的な整流用のダイオードと、ツェナーダイオードと、定電流ダイオードとによって構成されている。つまり、入力電圧を降圧・定電流可して出力する機能が、実質的にダイオードのみで実現されている。そのため、1パッケージ化された小型の半導体集積回路としてこの駆動回路30を実現することが可能である。
【0094】
更に、本実施形態の駆動回路30を構成する各降圧部31,32は、ツェナーダイオードに流れる電流を定格内に抑えて発熱も抑制することができるよう、4つのツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dを設けてこれらを並列接続している。そのため、各ツェナーダイオード群31a,31b,31c,31dの発熱を抑えることができ、延いては駆動回路30全体の発熱も抑えることができる。
【0095】
尚、各高圧部31,32はいずれも本発明の降圧手段に相当し、定電流回路35は本発明の定電流出力手段に相当する。また、ダイオードブリッジ回路は、整流後の脈流電力の入力先を、交流電力の半周期毎に第1降圧部31及び第2降圧部32の何れかに切り替える機能をも有しているため、本発明の入力切替手段に相当するものである。
【0096】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の駆動回路40について、図8を用いて説明する。図8に示した本実施形態の駆動回路40が第3実施形態の駆動回路30(図7参照)と異なるのは、第3実施形態では入力電力(交流電力)が2系統(2つの降圧部31,32)に分配されたのに対して本実施形態では4系統(4つの降圧部31〜34)に分配されること、各系統の入力側にそれぞれスイッチ(スイッチSW1〜SW4)が設けられていること、及びこれら各スイッチSW1〜SW4のオン・オフを制御するための制御回路41が設けられていることである。これら以外の構成については、基本的に第3実施形態の駆動回路40と同じである。
【0097】
そのため、以下、本実施形態の駆動回路40について、第3実施形態とは異なる部分に絞って説明し、第3実施形態と同じ構成についてはその詳細説明を省略する。
本実施形態の駆動回路40は、入力電力を降圧する降圧部として、第3実施形態の駆動回路30が備えていた2つの降圧部31,32を備えている他に、更に2つの降圧部33,34を備えており、入力された交流電流がこれら4つ(4系統)の降圧部31〜34にそれぞれ入力される。
【0098】
第1降圧部31は、第1ダイオードD5から定電流回路35への通電経路に設けられており、その内部構成は第1実施形態で説明した通りである。そして、第1ダイオードD5からこの第1降圧部31に至る通電経路に、この通電経路を導通・遮断するための(詳しくは第1降圧部31への交流電力入力を許可又は阻止するための)第1スイッチSW1が設けられている。この第1スイッチSW1は、後述する制御回路41からのスイッチ(SW)制御信号(詳しくはスイッチ制御部44から出力される第1制御信号S1)によりオン・オフ制御される。
【0099】
第2降圧部32は、第2ダイオードD6から定電流回路35への通電経路に設けられており、その内部構成は第1実施形態で説明した通りである。そして、第2ダイオードD6からこの第2降圧部32に至る通電経路に、この通電経路を導通・遮断するための(詳しくは第2降圧部32への交流電力入力を許可又は阻止するための)第2スイッチSW2が設けられている。この第2スイッチSW2は、後述する制御回路41からのSW制御信号(詳しくはスイッチ制御部44から出力される第2制御信号S2)によりオン・オフ制御される。
【0100】
第3降圧部33は、第1ダイオードD5から定電流回路35への通電経路において、上記第1降圧部31と並列に設けられており、その内部構成は第1降圧部31と同じである。そして、第1ダイオードD5からこの第2降圧部32に至る通電経路に、この通電経路を導通・遮断するための(詳しくは第3降圧部33への交流電力入力を許可又は阻止するための)第3スイッチSW3が設けられている。この第3スイッチSW3は、後述する制御回路41からのSW制御信号(詳しくはスイッチ制御部44から出力される第3制御信号S3)によりオン・オフ制御される。
【0101】
第4降圧部34は、第2ダイオードD6から定電流回路35への通電経路において、上記第2降圧部32と並列に設けられており、その内部構成は第1降圧部31と同じである。そして、第2ダイオードD6からこの第4降圧部34に至る通電経路に、この通電経路を導通・遮断するための(詳しくは第4降圧部34への交流電力入力を許可又は阻止するための)第4スイッチSW4が設けられている。この第4スイッチSW4は、後述する制御回路41からのSW制御信号(詳しくはスイッチ制御部44から出力される第4制御信号S4)によりオン・オフ制御される。
【0102】
各スイッチSW1〜SW4は、SW制御信号によってオン・オフできる限り種々の形態のスイッチを用いることができるが、好ましくは、FET(Field Effect Transistor )などの半導体スイッチング素子を用いるとよい。
【0103】
制御回路41は、商用交流電源20から入力される交流電力の変化に基づいて各スイッチSW1〜SW4を制御するための回路であり、反転検出部42と、カウンタ43と、スイッチ制御部44とを備えている。
【0104】
反転検出部42は、交流電力の位相反転を検出してその結果をカウンタ43へ出力する。より詳しくは、商用交流電源20からの交流電圧の変化を監視しており、交流電圧の極性が反転する毎、即ち交流電圧が0Vになる毎に、その極性反転(0V)を検出してカウンタ43へその検出信号を出力する。そのため、交流電圧の半周期(電気角180度)毎に検出信号がカウンタ43へ出力されることとなる。
【0105】
カウンタ43は、反転検出部42から検出信号が入力される毎に、カウンタ値を1、2,3,4、1,2・・・の順でカウントアップさせるよう構成されている。そして、カウンタ43におけるカウンタ値は、スイッチ制御部44に入力される。
【0106】
スイッチ制御部44は、カウンタ43から入力されるカウンタ値に応じて、4つのスイッチ制御信号S1〜S4をそれぞれ制御するものである。各スイッチ制御信号S1〜S4は、H(Highレベル)又はL(Low レベル)の二値信号である。
【0107】
そして、カウンタ43から入力されるカウンタ値が1の場合は、第1スイッチ制御信号S1のみをHとして他の3つのスイッチ制御信号S2〜S4をいずれもLとする。これにより、カウンタ値が1の場合は、第1スイッチSW1のみがオンされて、他の各スイッチSW2〜SW4はオフされる。そのため、カウンタ値が1になっている半周期期間は、交流電力は第1降圧部31にのみ入力されることとなる。
【0108】
また、カウンタ43から入力されるカウンタ値が2の場合は、第2スイッチ制御信号S2のみをHとして他の3つのスイッチ制御信号S1,S3,S4をいずれもLとする。これにより、カウンタ値が2の場合は、第2スイッチSW2のみがオンされて、他の各スイッチSW1,SW3,SW4はオフされる。そのため、カウンタ値が2になっている半周期期間は、交流電力は第2降圧部32にのみ入力されることとなる。
【0109】
また、カウンタ43から入力されるカウンタ値が3の場合は、第3スイッチ制御信号S3のみをHとして他の3つのスイッチ制御信号S1,S2,S4をいずれもLとする。これにより、カウンタ値が3の場合は、第3スイッチSW3のみがオンされて、他の各スイッチSW1,SW2,SW4はオフされる。そのため、カウンタ値が3になっている半周期期間は、交流電力は第3降圧部33にのみ入力されることとなる。
【0110】
また、カウンタ43から入力されるカウンタ値が4の場合は、第4スイッチ制御信号S4のみをHとして他の3つのスイッチ制御信号S1〜S3をいずれもLとする。これにより、カウンタ値が4の場合は、第4スイッチSW4のみがオンされて、他の各スイッチSW1〜SW3はオフされる。そのため、カウンタ値が4になっている半周期期間は、交流電力は第4降圧部34にのみ入力されることとなる。
【0111】
なお、各スイッチSW1〜SW4は、本発明の遮断手段に相当し、制御回路41は、本発明の制御手段に相当する。
図9のタイムチャートを用いて、本実施形態の駆動回路40の作動内容のうち、特に交流電力の変化(ここでは交流電圧の変化)に応じてカウンタ43のカウンタ値がどのように変化してそれによってスイッチ制御部44がどのようにスイッチ制御信号を出力するか(各スイッチSW1〜SW4をどのように制御するか)について説明する。図9(a)は、図4(a)と同様、商用交流電源20の交流電圧、即ち入力端子対T1,T2の電位差V0を示している。図9(b)は、カウンタ43のカウント値の変化を示している。図9(c)は、各スイッチ制御信号S1〜S4の変化を示している。
【0112】
図9に示すように、商用交流電源20の交流電圧の極性が変化する毎に(即ち0Vになる毎に)、カウンタ43のカウント値は1,2,3,4,1,2・・・と変化する。そして、そのカウント値の変化に応じて、カウント値に対応した番号(接頭数)のスイッチに対するスイッチ制御信号がHとなってオンされる。つまり、交流電圧の極性が変化する毎に、オンされるスイッチが、第1スイッチSW1から第2スイッチSW2,第3スイッチSW3,第4スイッチSW4,と順次切り替わっていく。
【0113】
そのため、各降圧部31〜34に電流が流れるのは、それぞれ、交流電力の2周期のうちその1/4である半周期のみである。つまり、第3実施形態の駆動回路30では、交流電力の一周期の間でその1/2である半周期の間に各降圧部31,32に電流が流れたが、本実施形態では、それよりも更に、1つの降圧部に流れる電流の通電期間が半減されている。
【0114】
そのため、第3実施形態の駆動回路30と比較して、各降圧部31〜34を構成する各ツェナーダイオード群の発熱をさらに抑えることができる。
なお、本実施形態では入力電力を4系統(4つの降圧部)に分けた構成について説明したが、さらに多くの系統に分けることも可能である。系統をより多く分け、系統毎に本実施形態のようにスイッチを設け、所定のタイミングで各スイッチのいずれか1つを順次オンさせるようにすることで、1つの降圧部に流れる電流の実効値をより低減することができ、発熱をより抑えることが可能となる。
【0115】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の駆動回路60について、図10を用いて説明する。図10に示した駆動回路60が第3実施形態の駆動回路30(図7参照)と異なるのは、定電流回路の構成のみであり、それ以外の構成は第3実施形態の駆動回路30と同じである。そのため、本実施形態の駆動回路60については、第3実施形態と異なる部分である定電流回路61に絞って説明する。
【0116】
本実施形態の定電流回路61は、基本的な回路構成は、第3実施形態の定電流回路35と同じである。即ち、本実施形態の定電流回路61も、10個の定電流ダイオードCRDと1つのツェナーダイオードZD3が並列接続されてなるものである。各定電流ダイオードCRDとツェナーダイオードZD3の接続極性も第3実施形態と全く同じである。
【0117】
そして、本実施形態の定電流回路61は、並列接続された10個の定電流ダイオードCRDのうち、2つ又は4つを無効化するための、2つのスイッチ(第1SW11,第2SW12)が設けられている。なお、各スイッチSW11,SW12は、本発明の出力電流切替手段に相当するものである。
【0118】
第1スイッチSW11は、10個の定電流ダイオードCRDのうち2つを切り離して、8個の定電流ダイオードCRDにのみ電流を流すようにするために設けられている。そのため、この第1SW11をオフした状態の定電流回路61は、等価的に、8個の定電流ダイオードCRDとツェナーダイオードZD3が並列接続された回路となる(但し第2スイッチSW12がオンされていることが前提)。
【0119】
そして、その状態では、各スイッチSW11,SW12が共にオンされている状態よりも、負荷に供給できる電流が少なくなる。具体的には、10個並列ならば合計で200mAの電流を流せるのだが、第1スイッチSW11をオフすると、8個分で合計160mAの電流になる。そのため、その場合は、白色LED群36の照度が低くなる。
【0120】
第2スイッチSW12は、10個の定電流ダイオードCRDのうち4つを切り離して、6個の定電流ダイオードCRDにのみ電流を流すようにするために設けられている。そのため、この第2SW12をオフした状態の定電流回路61は、等価的に、6個の定電流ダイオードCRDとツェナーダイオードZD3が並列接続された回路となる。
【0121】
そして、その状態では、第1スイッチSW11がオフされた状態よりも、さらに、負荷に供給できる電流が少なくなる。具体的には、定電流ダイオードCRD6個分で合計120mAの電流になる。そのため、その場合は、白色LED群36の照度がさらに低くなる。
【0122】
このように、本実施形態では、定電流回路61にスイッチを設けて、定電流ダイオードCRDの等価的な数を変化させることができるようにし、これにより負荷に供給できる電流を変化させることができるようにしている。
【0123】
そのため、各SW11,12を適宜切り替えることで、白色LED群36の照度を段階的に切り替えることができる。つまり、各SW11,12の切り替えによって調光を行うことが可能となるのである。
【0124】
既述の通り、従来の調光方法は電流制限抵抗によるものやパルス駆動によるものが一般的であり、前者は損失の問題、後者はノイズやスイッチング損失の問題などを抱えていたが、本実施形態の調光方法は、定電流回路61における定電流ダイオードCRDの等価的な使用数をスイッチで切り替えるだけの構成であるため、上述した従来の問題を解消でき、しかも簡素な構成で実現することができる。
【0125】
なお、スイッチをどこに設けるか、いくつ設けるかは適宜決めることができる。つまり、並列接続された複数の定電流ダイオードCRDのうち通電させるべき定電流ダイオードCRDの数を何通りに切り替え可能とするか、延いては出力電流を何種類に切り替え可能とするかについては、適宜決めることができる。
【0126】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態の駆動回路70について、図11を用いて説明する。図11に示した本実施形態の駆動回路70が第3実施形態の駆動回路30(図7参照)と異なるのは、各降圧部の構成である。
【0127】
即ち、第3実施形態では、各降圧部31,32を構成する各ツェナーダイオード群31a,32a・・・が、直列接続された3つのツェナーダイオードZD5,ZD6,ZD7により構成されていたが、本実施形態では、各降圧部71,72を構成する各ツェナーダイオード群が、直列接続された4つのツェナーダイオードにより構成されている。
【0128】
具体的には、第1降圧部71を構成する4つのツェナーダイオード群71a,71b,71c,71dが、いずれも、4つのツェナーダイオードZD11,ZD12,ZD13,ZD14が直列接続されてなる構成となっている。第2降圧部72を構成する4つのツェナーダイオード群72a,72b,72c,72dについても全く同様である。
【0129】
そして更に、各ツェナーダイオード群を構成する4つのツェナーダイオードZD11,ZD12,ZD13,ZD14のうち2つを短絡させるための、短絡スイッチ73が備えられている。なお、この短絡スイッチ73は、本発明の短絡手段に相当するものである。
【0130】
この短絡スイッチ73は、ツェナーダイオード群毎に1つずつ設けられた複数のスイッチからなり、これら複数のスイッチが全て連動してオン・オフされるよう構成されている。1つのツェナーダイオード群に対する1つのスイッチは、より詳しくは、そのツェナーダイオード群を構成する4つのツェナーダイオードZD11,ZD12,ZD13,ZD14のうち、入力側に位置する2つのツェナーダイオードZD11,ZD12を短絡させるものであり、最も入力側に位置するツェナーダイオードZD11のカソードと、このツェナーダイオードZD11の後段側に接続されたツェナーダイオードZD12のアノードとの間を導通・遮断する。
【0131】
なお、本実施形態では、各降圧部71,72を構成する1つのツェナーダイオードの降伏電圧は第3実施形態と同じ10Vである。そのため、短絡スイッチ73がオフされている場合は、4つのツェナーダイオードZD11,ZD12,ZD13,ZD14全てに電流が流れるため、各降圧部71,72における降圧電圧は40Vとなり、よって負荷には50Vの電圧が出力される。
【0132】
一方、短絡スイッチ73がオンされると、直列接続された4つのツェナーダイオードZD11,ZD12,ZD13,ZD14のうち2つが短絡されて等価的に2つのツェナーダイオードが直列接続された状態となる。そのため、この場合の各降圧部71,72における降圧電圧は20Vとなり、よって負荷には70Vの電圧が出力されることとなる。
【0133】
つまり、短絡スイッチ73をオフすれば50Vの電圧を出力でき、オンすれば70Vの電圧を出力できるのであり、短絡スイッチ73のオン・オフによって出力電圧を切り替えることが可能な電源回路が実現されている。
【0134】
なお、各ツェナーダイオード群を構成するツェナーダイオードの直列接続数は適宜決めることができ、また、短絡スイッチによってどの(いくつの)ツェナーダイオードを短絡させるかについても適宜決めることができる。但し、各ツェナーダイオード群にて降圧させる電圧は、ツェナーダイオード群毎に揃える必要はある。換言すれば、各ツェナーダイオード群の各々について、同じ数のツェナーダイオードを短絡させる必要がある。
【0135】
そして、ツェナーダイオードの直列接続数や短絡スイッチの配置方法などを適宜決めることで、出力電圧を多段階に切り替えることが可能な多機能電源回路を実現することができる。
【0136】
[変形例]
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0137】
(a)上述した第1,第2実施形態では、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gの2つのLED群を交互に点灯させているが、4系統であってもよい。4系統のLED群を点灯させる構成は、駆動回路15(あるいは駆動回路15a)を2個有し、電圧位相シフト回路で接続することによって実現させることができる。
【0138】
(b)上述した第1,第2実施形態では、電流制限抵抗によってLEDに流れる電流を制限しているが、たとえば電流制限抵抗R1の代わりに電流制限用のコンデンサを使用するようにしてもよい。LED電流は、一般に抵抗やコンデンサといった電流制限用インピーダンスによって制限することができる。
【0139】
(c)上述した第1,第2実施形態では、駆動回路15は、第1の出力端子対T3,T4と第2の出力端子対T5,T6の2系統の出力を有する回路として構成されるとともに、第1の白色LED群51Gと第2の白色LED群52Gは、それぞれ単一の直列回路として構成されている。しかし、各系統の出力は、相互に直列に接続されている複数のツェナーダイオードで分圧された複数の出力端子として構成するとともに、少なくとも一つのLEDと各ツェナーダイオードとを梯子状に接続するような構成としてもよい。
【0140】
(d)上記第3〜第6実施形態において、定電流回路を構成する各定電流ダイオードCRDの並列接続数は任意であり、入力電力や負荷の仕様等に応じて適宜決めればよい。複数の定電流ダイオードCRDを並列接続する必要は必ずしも無く、並列接続しなくても電流容量が定格内に収まるならば並列接続する必要はない。また、1つの定電流ダイオードCRDを並列接続する構成以外にも、複数の定電流ダイオードCRDが直列接続されてなる定電流ダイオード群を並列接続して定電流回路を構成してもよい。
【0141】
(e)各降圧部についても、上記第3〜第6実施形態では4つのツェナーダイオード群を並列接続した構成について説明したが、いくつのツェナーダイオード群を並列接続するか、また、1つのツェナーダイオード群を構成するツェナーダイオードの直列接続数をいくつにするか、などについても適宜決めることができる。
【0142】
(f)上記第3〜第6実施形態では、各系統(各降圧部)の出力を一括・合成したで共通の1つの定電流回路に入力する構成であったが、系統毎に(つまり並列接続された降圧部毎に)、それぞれの後段に定電圧回路を設け、各定電圧回路の出力を並列合成して、負荷へ出力するような構成としてもよい。
【0143】
(g)上述した各実施形態の各駆動回路は、LEDを駆動(点灯)させるためだけでなく、他の種々の負荷を駆動させるための駆動回路(電源回路)としても適宜用いることができる。特に、第3実施形態〜第6実施形態で説明した各駆動回路30,40,60,70は、これらを構成する降圧部において降圧させる電圧や、定電流回路における降圧分、電流値などを適宜決めることによって、様々な出力電圧・出力電流の電力を出力することができ、様々な定格の負荷を駆動させることができる。
【0144】
(h)上記第3〜第6実施形態では、入力電源として商用交流電源20を用い、入力される交流電力をダイオードブリッジで全波整流した上でこれを降圧・定電流化するようにしたが、入力電源は交流である必要はなく、直流であってもよい。入力電力として直流電力を用いる場合は、例えば、並列接続された複数の降圧部に対して一定時間間隔で順次切り替え入力できるような構成を採用すればよい。
【符号の説明】
【0145】
10…LED電球、15,15a,30,40,60,70…駆動回路、20…商用交流電源、31,71…第1降圧部、31a,32a,33a,34a,71a,72a…第1ツェナーダイオード群、31b,32b,33b,34b,71b,72b…第2ツェナーダイオード群、31c,32c,33c,34c,71c,72c…第3ツェナーダイオード群、31d,32d,33d,34d,71d,72d…第4ツェナーダイオード群、32,72…第2降圧部、33…第3降圧部、34…第4降圧部、35,61…定電流回路、36…白色LED群、41…制御回路、42…反転検出部、43…カウンタ、44…スイッチ制御部、51,52…白色LED、51G…第1の白色LED群、52G…第2の白色LED群、71a…ツェナーダイオード群、72a…ツェナーダイオード群、73…短絡スイッチ、C1,C2…コンデンサ、CRD…定電流ダイオード、D1,D2…逆流防止ダイオード、D11,D21…第1逆流防止ダイオード、D12,D22…第2逆流防止ダイオード、D5…第1ダイオード、D6…第2ダイオード、D7…第3ダイオード、D8…第4ダイオード、R1,R2,R3…電流制限抵抗、SW1,SW11…第1スイッチ、SW2,SW12…第2スイッチ、SW3…第3スイッチ、SW4…第4スイッチ、ZD1〜ZD3,ZD5〜ZD7,ZD11〜ZD14…ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力の供給を受けてLEDを点灯させるための電力を生成するLED駆動回路であって、
前記交流電力を整流して第1の脈流電力を生成する第1のダイオードと、前記第1のダイオードと逆の極性で前記第1のダイオードに直列に接続されている第1のツェナーダイオードとを有する第1の整流回路と、
前記交流電力を整流して前記第1の脈流電力と極性が逆で位相が180度シフトしている第2の脈流電力を生成する第2のダイオードと、前記第2のダイオードと逆の極性で前記第2のダイオードに直列に接続されている第2のツェナーダイオードとを有する第2の整流回路と、
前記第1のツェナーダイオードに並列に接続されている第1の出力端子対と、
前記第2のツェナーダイオードに並列に接続されている第2の出力端子対と、
前記第1の出力端子対と前記交流電源との間で直列に接続され、前記第1の出力端子対の出力電流の増大に応じて前記交流電力からの電流を制限する第1の電流制限用インピーダンスと、
前記第2の出力端子対と前記交流電源との間で直列に接続され、前記第2の出力端子対の出力電流の増大に応じて前記交流電力からの電流を制限する第2の電流制限用インピーダンスと、
を備えるLED駆動回路。
【請求項2】
前記第1の整流回路は、前記第1のツェナーダイオードに対して並列に接続され、前記LEDに供給される電流パルスの幅を拡大するための第1のパルス幅拡大コンデンサを有し、
前記第2の整流回路は、前記第2のツェナーダイオードに対して並列に接続され、前記LEDに供給される電流パルスの幅を拡大するための第2のパルス幅拡大コンデンサを有し、
前記第1の電流制限用インピーダンスは、前記第1のツェナーダイオードと前記第1のパルス幅拡大コンデンサとの間で直列に接続されている抵抗を含み、
前記第2の電流制限用インピーダンスは、前記第2のツェナーダイオードと前記第2のパルス幅拡大コンデンサとの間で直列に接続されている抵抗を含む請求項1記載のLED駆動回路。
【請求項3】
前記電流パルスの幅は、180度の位相に相当する幅を超えるパルス幅を有している請求項2記載のLED駆動回路。
【請求項4】
入力された直流又は脈流の入力電圧をその入力電圧よりも低い中間電圧に降圧して出力するものであって、1つのツェナーダイオード又は同一方向に直列接続された複数のツェナーダイオードからなると共にそのカソードが入力側に接続されてアノードが出力側に接続されてなる第1ツェナーダイオード群を少なくとも1つ有し、この第1ツェナーダイオード群によって前記入力電圧を前記中間電圧に降圧するよう構成された降圧手段と、
前記降圧手段からの前記中間電圧をその中間電圧よりも低い出力電圧に降圧して出力するものであって、1つの定電流ダイオード又は同一方向に直列接続された複数の定電流ダイオードからなると共にそのアノードが入力側に接続されてカソードが出力されてなる定電流ダイオード群、及び、1つのツェナーダイオード又は同一方向に直列接続された複数のツェナーダイオードからなると共にそのカソードが前記定電流ダイオードのアノードに接続されてアノードが前記定電流ダイオードのカソードに接続されてなる第2ツェナーダイオード群を有し、少なくとも1つの前記定電流ダイオード群及び前記第2ツェナーダイオード群が並列接続されることにより、入力された前記中間電圧を前記出力電圧に降圧すると共に所定の電流値範囲内の出力電流を出力するよう構成された定電流出力手段と、
を備えたことを特徴とする電源回路。
【請求項5】
請求項4に記載の電源回路であって、
前記定電流出力手段は、並列接続された複数の前記定電流ダイオード群を有している
ことを特徴とする電源回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電源回路であって、
前記定電流出力手段は、並列接続された複数の前記定電流ダイオード群のうち何れか1つ又は複数(但し、全ての前記定電流ダイオード群の数よりは少ない数)への通電を遮断することにより、その遮断した前記定電流ダイオード群以外の他の定電流ダイオード群の数に応じた値の前記出力電流を出力させる出力電流切替手段を備えている
ことを特徴とする電源回路
【請求項7】
請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の電源回路であって、
前記降圧手段は、並列接続された複数の前記第1ツェナーダイオード群を有している
ことを特徴とする電源回路。
【請求項8】
請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の電源回路であって、
前記第1ツェナーダイオード群は、
直列接続された複数のツェナーダイオードと、
前記複数のツェナーダイオードの何れか1つ又は複数を短絡させるための短絡手段と、
を備えていることを特徴とする電源回路。
【請求項9】
請求項4〜請求項8の何れか1項に記載の電源回路であって、
並列接続された複数の前記降圧手段を備え、
前記複数の降圧手段の各々に前記入力電圧が入力されると共に、各降圧手段から出力される前記中間電圧がそれぞれ前記定電流出力手段に入力されるよう構成されており、
前記各降圧手段のうち何れか1つに前記入力電圧が入力されるようにすると共に、その入力電圧を入力させる1つの前記降圧手段を所定の切替タイミング毎に順次切り替える入力切替手段を備えている
ことを特徴とする電源回路。
【請求項10】
請求項9に記載の電源回路であって、
前記入力切替手段は、
前記降圧手段毎に設けられ、対応する降圧手段への前記入力電圧の入力を遮断することが可能な遮断手段と、
前記各降圧手段のうち何れか1つに前記入力電圧が入力されるよう前記各遮断手段を制御すると共に、その入力電圧が入力される1つの前記降圧手段が予め設定した切替タイミング毎に順次切り替わるように前記各遮断手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電源回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−192646(P2011−192646A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36038(P2011−36038)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(510189891)株式会社ESA (4)
【Fターム(参考)】