説明

LNAオリゴヌクレオチドおよび癌の処置

【課題】LNAオリゴヌクレオチドおよび癌の処置の提供。
【解決手段】本開示は、一般式5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’、好ましくは、一般式5’−MeMeMec−3’の(サブ)配列を有するLNAオリゴヌクレオチドに関し、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上記で規定のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示す。このようなLNAオリゴヌクレオチドはアンチセンス機構によるSurvivinの発現の阻害に関して驚くほど良好な特性を示し、これによりインビボでの腫瘍形成の低減または阻害をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は癌の処置に有用な薬学的組成物に関する。当該組成物はSurvivinの発現の阻害に関して優れた特性を有する特定のLNAオリゴヌクレオチドを含む。本発明は癌を処置する方法および種々のキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
Survivinは最も魅力的な新規の癌標的の1つである。癌におけるSurvivinの臨床的役割は、ほぼすべての腫瘍型における高レベルのこのタンパク質の検出により重要視されている。一般的に、腫瘍におけるSurvivinの発現上昇は、予後不良、癌再発の増加並びに放射線および化学療法に対する治療抵抗性と関連する。Survivinの発現が少数の例外を除き、正常な成人組織に見出されないという事実がSurvivinを極めて重要な癌遺伝子としている。
【0003】
アポトーシス阻害タンパク質(IAP)Survivinは2つの主要な生物学的事象に関与している:(i)細胞増殖(有糸分裂)の制御および(ii)プログラム細胞死(アポトーシス)の制御。加えて、Survivinは腫瘍血管新生に重要な役割を果たす。
【0004】
Survivinを標的とするsiRNAとタキソールの併用は、siRNAおよびタキソール単独に比し、SHEP細胞におけるアポトーシスの誘導を増大させる(非特許文献1)。
【0005】
非特許文献2。
【0006】
本出願人の先願の特許文献1において、広範なアンチセンスLNAオリゴヌクレオチドの可能性について述べた。しかし、本明細書に開示されるLNAオリゴヌクレオチドの驚くほど良好な特性は、先行技術において未だ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/069991号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zangemeister−Wittke 2003;Ann.N.Y.Acad.Sci.1002:90−94
【非特許文献2】Wang et al.,2003;Zhonghua Xue Ye Za Zhi 24,351−54.”Survivin antisense RNA enhances Taxol−induced apoptosis in leukemia cell line HL−60”
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の簡単な説明)
本発明の第一の主たる態様は、水性キャリア中のLNAオリゴヌクレオチドを含む液状薬学的組成物に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有する。
【0010】
本発明の第二の主たる態様は、水性キャリア中の結合体を含む液状薬学的組成物に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有する。
【0011】
本発明の第三の態様は、薬学的に受容可能なキャリア中の少なくとも1つのタキサン化合物およびLNAオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチドの重量比は50:1〜1:25の範囲である。
【0012】
本発明の第四の主たる態様は、薬学的に受容可能なキャリア中の少なくとも1つのタキサン化合物および結合体を含む薬学的組成物に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記組成物中のタキサン化合物と当該結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分の重量比は50:1〜1:25の範囲である。
【0013】
本発明の第五の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のためのLNAオリゴヌクレオチドの使用に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0014】
本発明の第六の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のための結合体の使用に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0015】
本発明の第七の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置する方法に関するものであり、当該方法は、LNAオリゴヌクレオチドを含む1以上の治療有効量の第一の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を含み、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0016】
本発明の第八の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置する方法に関するものであり、当該方法は、結合体を含む1以上の治療有効量の第一の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を含み、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0017】
本発明の第九の主たる態様は、
(a)1以上の注射可能溶液用量のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)1以上の注射可能溶液の1以上のタキサン化合物を含有する第二の構成要素と
を含むキットに関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
第二の構成要素の1溶液中の少なくとも1つのタキサン化合物と、第一の構成要素の1溶液用量中の少なくとも1つのLNAオリゴヌクレオチドの重量比は、50:1〜1:25の範囲である。
【0018】
本発明の第十の主たる態様は、
(a)固体形態のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)前記LNAオリゴヌクレオチドの再構成(例えば、溶解または懸濁)に適した緩衝液を含有する第二の構成要素と
を含むキットに関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
水性キャリア中にLNAオリゴヌクレオチドを含む液状薬学的組成物であって、該LNAオリゴヌクレオチドが、合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe(G)(c)−3’(配列番号28)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上記で規定したLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、括弧内のヌクレオチドユニットは各々任意のユニットを表し、
該水性キャリアが、pHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、かつ20〜2000mMのイオン強度を有する、液状薬学的組成物。
(項目2)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記LNAヌクレオチドアナログがすべてβ−D−オキシ−LNAである、項目1〜2のいずれか一項に記載の組成物。
(項目4)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である、項目1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記LNAヌクレオチドが配列番号2を有する化合物である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
水性キャリア中に結合体を含む液状薬学的組成物であって、該結合体が、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分とからなり、
該水性キャリアが、pHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、かつ20〜2000mMのイオン強度を有する、液状薬学的組成物。
(項目7)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目6に記載の組成物。
(項目8)
薬学的に受容可能なキャリア中に、少なくとも1つのタキサン化合物と、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドとを含む薬学的組成物であって、
該組成物中の該タキサン化合物と該LNAオリゴヌクレオチドとの重量比が50:1〜1:25の範囲にある、薬学的組成物。
(項目9)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目8に記載の組成物。
(項目10)
薬学的に受容可能なキャリア中に、少なくとも1つのタキサン化合物と結合体とを含む薬学的組成物であって、該結合体が、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分とからなり、
該組成物中の該タキサン化合物と該結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分との重量比が50:1〜1:25の範囲にある、薬学的組成物。
(項目11)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目10に記載の組成物。
(項目12)
癌疾患に罹患しているかまたは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のための、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドの使用。
(項目13)
癌疾患に罹患しているかまたは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のための結合体の使用であって、該結合体が、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分とからなる、使用。
(項目14)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目12〜13のいずれか一項に記載の使用。
(項目15)
前記LNAヌクレオチドアナログがすべてβ−D−オキシ−LNAである、項目12〜14のいずれか一項に記載の使用。
(項目16)
前記LNAヌクレオチドが、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である、項目12〜15のいずれか一項に記載の使用。
(項目17)
前記LNAヌクレオチドが配列番号2を有する化合物である、項目16に記載の使用。
(項目18)
前記薬学的組成物が項目1〜11のいずれか一項に記載の通りである、項目12〜17のいずれか一項に記載の使用。
(項目19)
前記癌疾患が、急性骨髄性白血病、びまん性B細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、肝癌、腎癌、尿路癌および結腸直腸癌から選択される、項目12〜18のいずれか一項に記載の使用。
(項目20)
癌疾患に罹患しているかまたは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置するための方法であって、該方法が、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドを含む第一の薬学的組成物の1以上の治療有効用量を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
(項目21)
癌疾患に罹患しているかまたは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置するための方法であって、該方法が、結合体を含む第一の薬学的組成物の1以上の治療有効用量を該哺乳動物に投与する工程を包含し、該結合体が、項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドと、該オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分とからなる、方法。
(項目22)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目20〜21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記LNAヌクレオチドアナログがすべてβ−D−オキシ−LNAである、項目20〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である、項目20〜23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記LNAオリゴヌクレオチドが配列番号2を有する化合物である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記癌疾患が、急性骨髄性白血病、びまん性B細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、肝癌、腎癌、尿路癌および結腸直腸癌から選択される、項目20〜25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
(a)1以上の注射可能溶液用量の項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)1以上の注射可能溶液の1以上のタキサン化合物を含有する第二の構成要素と
を備えるキットであって、
該第二の構成要素の1溶液中の少なくとも1つのタキサン化合物と、該第一の構成要素の1溶液用量中の少なくとも1つのLNAオリゴヌクレオチドとの重量比が50:1〜1:25の範囲であり、かつ/あるいは、
該LNAオリゴヌクレオチドの注射可能溶液用量が、pHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、かつ20〜2000mMのイオン強度を有する、キット。
(項目28)
前記LNAオリゴヌクレオチドの注射可能溶液用量が、項目1〜11のいずれか一項に記載の薬学的組成物である、項目27に記載のキット。
(項目29)
(a)固体形態の項目1〜2のいずれか一項に記載のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)該LNAオリゴヌクレオチドの再構成に適した生理食塩水または緩衝液を含有する第二の構成要素と
を備える、キット。
(項目30)
前記LNAオリゴヌクレオチドが、合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、かつ以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含む、項目27〜29のいずれか一項に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、対照配列番号25と比較したヒトおよびマウス血漿中の配列番号2の安定性を示す写真図である。37℃で0、1、2、4、24、48または96時間、濃度20μMにてオリゴヌクレオチドをインキュベーションした。いずれの血清中でも96時間の消化後であっても配列番号2の分解産物は検出され得ない。
【図2A】図2Aは、配列番号2をトランスフェクションされた15PC3前立腺癌細胞におけるSurvivinタンパク質のダウンレギュレーションを示す写真図である。15PC3細胞に1、10および25nMの配列番号2をトランスフェクションし、ウェスタンブロット法によりSurvivinタンパク質のダウンレギュレーションを12、24および48時間の時点で解析した。配列番号2または疑似トランスフェクション細胞を採取し、Survivinタンパク質の発現を比較した。Bcl−2タンパク質を同時モニタリングした。
【図2B】図2Bは、24時間処理された負の対照配列番号24および模擬物と比較した、配列番号2による15PC3の処理後にELISA法を用いたSurvivinタンパク質の定量化を示すグラフ図である。0.04〜5nMの範囲の4種類の濃度にて配列番号2を、あるいは5nMにて負の対照配列番号24を15PC3細胞にトランスフェクションした。
【図2C】図2Cは、5nMの配列番号24または模擬物と比較した、5nMの配列番号2による処置後の15PC3細胞におけるSurvivin mRNAの3種類の異なるアイソフォーム(Survivin全長、Survivin2BおよびSurvivinΔex3)の発現を示すグラフ図である。発現はGAPDHの発現に基準化され、疑似処置細胞における発現の平均に関連づけられる。配列番号2はヒトSurvivinの発現したすべてのアイソフォームをダウンレギュレートできるが、負の対照配列番号24はダウンレギュレートできないことは明らかである。
【図3】図3は、15PC3細胞における配列番号2による13〜72時間の処置後にカスパーゼ3/7活性により誘導され測定されたアポトーシスを示すグラフ図である。配列番号2または負の対照配列番号24を0.2〜100nMの範囲の5種類の濃度にて15PC3細胞にトランスフェクションした。独立した3回の試験の平均値としての模擬物に対する誘導倍率を示す。各棒グラフ上に標準偏差を示す。
【図4】図4は、5nMまたは25nMの配列番号2によるHeLa細胞の処置は、フローサイトメトリーにより分析されるアネキシンV−FITC/PI染色によって測定される初期および後期アポトーシスの用量依存的誘導をもたらすことを示すグラフ図である。同濃度にて負の対照オリゴヌクレオチド配列番号24はアポトーシスを誘導しない。
【図5】図5は、トランスフェクション後の配列番号2による13〜72時間の処置後の15PC3前立腺癌細胞の増殖を示すグラフ図である。配列番号2または負の対照オリゴヌクレオチド配列番号24を0.2、1、5、25および100nMにて15PC3細胞にトランスフェクションした。未処置疑似細胞と比較した生存細胞の相対数を示すグラフ図である。データは独立した3回の試験から得た。各棒グラフ上に標準偏差を示す。配列番号2は用量依存的増殖阻害をもたらすが、負の対照配列番号24は用量依存的増殖阻害をもたらさない。
【図6A】図6Aは、15PC3前立腺癌細胞における配列番号22、配列番号2またはタキソールによる24〜72時間の処置後にカスパーゼ3/7活性により誘導され測定されたアポトーシスを示すグラフ図である。10nMでの配列番号22または配列番号2によりタキソール(10nMまたは100nM)を併用して細胞を処置し、0.1%DMSOをビヒクルとして用いた。平均値としての模擬物に対する誘導倍率を示す。配列番号2とタキソールの併用は48時間および72時間後のアポトーシスの誘導に対する明らかな相乗作用を示す。
【図6B】図6Bは、2nMの配列番号2または10nMタキソールを併用した2nMの配列番号2による処置の24時間および48時間後の15PC3細胞におけるSurvivin mRNA発現を示すグラフ図である。発現はqPCRにより分析され、GAPDHの発現に基準化され、疑似(0.1%DMSO)処置細胞における発現レベルに関連づけられる。Survivin mRNAは両処置スケジュールおよび両時点においてダウンレギュレートされることが見出される。
【図6C】図6Cは、10nMの配列番号26(Bcl−2特異的)、10nMの配列番号2、10nMの対照配列番号24、10nMの配列番号27(配列番号26に対する負の対照)または10nMの各オリゴヌクレオチドの併用による処置の24時間後の15PC3細胞におけるSurvivin mRNAおよびBcl−2 mRNAの発現を示すグラフ図である。すべての発現はqPCRにより分析され、GAPDH発現に基準化され、疑似処置細胞における発現レベルに関連づけられる。配列番号26はBcl−2特異的であり、単剤としても対照化合物(配列番号24または配列番号27)を併用してもSurvivinに対する作用を全く有さない。配列番号2は強力なアポトーシス誘導物質であり、単剤として、あるいは対照化合物(配列番号24または配列番号27)との併用でSurvivinおよびBcl−2の発現に対する作用を有する。
【図7A】図7Aは、配列番号2およびタキソールで処置された15PC3細胞における細胞周期分析を示すグラフ図である。15PC3細胞に2nMの配列番号2をトランスフェクションし、15PC3細胞を10nMタキソール(0.1%DMSO中)またはビヒクル(0.1%DMSO中)に曝露した。細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、24時間および48時間後(図7A)にFACSにより分析し、10nMの負の対照配列番号24で同様に処置された15PC3細胞と比較した。このアッセイは配列番号2単独およびタキソールとの併用の特異的効果を示す。細胞周期が停止したときに細胞画分はG2またはG4相でも増加している。配列番号2で処置された細胞は細胞周期が停止し、G1:G2比が疑似処置における1:0.25に対して1:1となるが、負の対照配列番号24は細胞周期に対して何らの作用も有さない。タキソールと配列番号2の併用ではG1:G2比が1:3と認められるように、さらなる停止をもたらす。
【図7B】図7Bは、配列番号2およびタキソールで処置された15PC3細胞における細胞周期分析を示すグラフ図である。15PC3細胞に2nMの配列番号2をトランスフェクションし、15PC3細胞を10nMタキソール(0.1%DMSO中)またはビヒクル(0.1%DMSO中)に曝露した。細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、24時間後(図7B)にFACSにより分析し、10nMの負の対照配列番号24で同様に処置された15PC3細胞と比較した。このアッセイは配列番号2単独およびタキソールとの併用の特異的効果を示す。細胞周期が停止したときに細胞画分はG2またはG4相でも増加している。配列番号2で処置された細胞は細胞周期が停止し、G1:G2比が疑似処置における1:0.25に対して1:1となるが、負の対照配列番号24は細胞周期に対して何らの作用も有さない。タキソールと配列番号2の併用ではG1:G2比が1:3と認められるように、さらなる停止をもたらす。
【図8】図8は、配列番号2およびタキソールを併用した配列番号2のインビボ特性を示すグラフ図である。図の下部パネルに概述するように2種類の異なる投与スケジュール(AおよびB)にて化合物を投与した。タキソールを併用した配列番号2を投与される群と単剤処置群または食塩(疑似)群を27日後に比較することにより、両方のスケジュールを用いて腫瘍重量の減少が認められる。
【図9】図9は、腫瘍の分析を示すグラフ図である。配列番号2の腫瘍内注入後、mRNAおよびSurvivinタンパク質のレベル低下を示す。2週間にわたり食塩または25mg/kgの配列番号2を腫瘍内に6回(50μl容量)投与した。最終投与の24時間後にサンプリングを行った。
【図10A】図10Aは、配列番号2のPBS緩衝製剤を用いた実施例19による全身的処置後における霊長類のカニクイザルの肝臓中の配列番号2の含量を示すグラフ図である。回復した動物(R)は4週間未処置とし、この期間後に配列番号2が組織中に検出可能であったことを示す。
【図10B】図10Bは、図10Aと同様であるが肝臓ではなく腎臓中の配列番号2の含量を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、特定のクラスのLNAオリゴヌクレオチドがアンチセンス機構によるSurvivinの発現の阻害に関して驚くほど良好な特性を示すことを認めた。実施例から明らかであるように、この特定のクラスのLNAオリゴヌクレオチド(単独あるいはタキサン化合物を併用)はSurvivinの発現を阻害し、これによりインビボでの腫瘍形成の低減または阻害をもたらす。
【0021】
本明細書で述べるLNAオリゴヌクレオチドは、Survivinを標的とする強力なLNAオリゴヌクレオチド配列番号2によって示される。この化合物はアポトーシスの誘導および増殖の阻害のような機能的情報によって測定されるSurviving mRNAを標的とする他のLNAオリゴヌクレオチドより優れている。また、主要候補物の配列番号2はトランスフェクションされた癌細胞株においてSurvivin mRNAおよびタンパク質をダウンレギュレートする点でも強力である。加えて、主要候補物の配列番号2は他のLNAオリゴヌクレオチドと比較し、タキソールとの併用で優れたアポトーシスを誘導する。配列番号2並びに配列番号23、配列番号22および配列番号21で得られたインビトロデータの概要を実施例21に示す。
【0022】
ヌードマウスにおけるインビボ異種移植試験では単剤処置マウスの腫瘍におけるSurvivinの減少を示し、化学療法剤を併用して用いる際に腫瘍増殖を阻害する。Survivinを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドがインビボにてタキソールとの併用で効果を示すのは初めてである。ヒト・マウス前立腺癌異種移植モデルPC3を用いて効力試験を行った。さらに、配列番号2は良好な毒性プロファイルを有し、カニクイザルにおける静脈内MTD(最小中毒量)試験では顕著な臨床徴候は見出されなかった。
【0023】
(LNAオリゴヌクレオチド)
有用なLNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線(即ち、Meおよび)は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、また、括弧内のヌクレオチドユニット(即ち、(Me)、(T)、()および(c))は各々任意のユニットを表す。
【0024】
「本明細書で述べるLNAオリゴヌクレオチド」、「本発明によるLNAオリゴヌクレオチド」などの用語は上述の「LNAオリゴヌクレオチド」を指し、配列番号1および28並びに以下に説明する実施形態、変形例、塩、プロドラッグなどを参照されたい。
【0025】
LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択される。これらの修飾ヌクレオチドアナログを次の図に示す:
【0026】
【化1】

ここで、Bはヌクレオ塩基、即ちアデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)またはメチルシトシン(MeC)を示す。β−D−アミノ−LNAではRは環窒素原子上の置換基または水素である。Rは、例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、ベンジルなどでよく、あるいは官能基への結合を表す。
【0027】
一実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAから選択される。別の実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択される。現在最も好ましい実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはすべてβ−D−オキシ−LNAである。
【0028】
本明細書で用いる場合、「ヌクレオチド」という用語は、その1番炭素原子を介して窒素含有塩基のアデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)またはグアニン(G)の1つに結合するとともに、その3番および5番炭素原子、あるいは3番または5番炭素原子を介してヌクレオシド間ホスホジエステル基またはホスホロチオエート基に結合した2−デオキシリボース(またはリボース)ユニットを意味する。
【0029】
(サブ)配列番号28は少なくとも12個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有するが、当該(サブ)配列は少なくとも13個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ、詳細には少なくとも14個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログによって表されることが好ましい。上述のLNAオリゴヌクレオチドは、(サブ)配列番号28に加え、1〜4個の付加ヌクレオチドおよびLNAヌクレオチドアナログ、あるいは1〜4個の付加ヌクレオチドまたはLNAヌクレオチドアナログ、詳細には1、2、3または4個の付加2−デオキシヌクレオチドのような付加ヌクレオチドを含み得る。従って、通常、LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20または13〜20または14〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。LNAオリゴヌクレオチドは合計14〜19、例えば、14〜18または15〜18または16〜18または14〜17または15〜17または16〜17個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有することが好ましい。最も好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号28の化合物であり、即ち、LNAオリゴヌクレオチドは合計14〜16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ、例えば、14個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ、15個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログまたは16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。
【0030】
従って、括弧内のヌクレオチドユニットがすべて存在するとは限らない場合、1つの好ましい変形例は、5’末端における(Me)(T)が存在し、(i)3’末端における()(c)が存在せず(14量体となる)、あるいは(ii)()は存在するが(c)が存在せず(15量体となる)、あるいは(iii)()(c)の両方が存在する(16量体となる)変形例である。別のより好ましい変形例は、3’末端における()(c)が存在し、(i)5’末端における(Me)(T)が存在せず(14量体となる)、あるいは(ii)(T)は存在するが(Me)が存在しない(15量体となる)変形例である。さらにより好ましい実施形態は、5’末端における(T)が存在し、3’末端における()が存在する(14量体となる)実施形態である。
【0031】
下線ユニットに関し、MeはLNAヌクレオチドアナログを示すことが好ましい。従って、MeおよびのすべてがLNAヌクレオチドアナログを表し、あるいはMeはデオキシヌクレオチドを表し、およびはLNAヌクレオチドアナログを表し得るといった具合である。
【0032】
好ましい(サブ)配列番号1は16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。上述のLNAオリゴヌクレオチドは、(サブ)配列番号1に加え、1〜4個の付加ヌクレオチドおよびLNAヌクレオチドアナログ、あるいは1〜4個の付加ヌクレオチドまたはLNAヌクレオチドアナログ、詳細には1、2、3または4個の付加2−デオキシヌクレオチドのような付加ヌクレオチドを含み得る。従って、通常、LNAオリゴヌクレオチドは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。LNAオリゴヌクレオチドは合計16〜19、例えば、16〜18または16〜17個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有することが好ましい。最も好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号1の化合物であり、即ち、LNAオリゴヌクレオチドは合計16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。
【0033】
配列番号28のサブ配列AMeCおよび配列番号1のサブ配列AMeCは、完全にホスホロチオール化されたものとして示されており、下付き文字「s」を参照されたい。現在のところ好ましくないが、LNAオリゴヌクレオチドの安定性を大きく損なうことなく、1つ、また、恐らく2つのホスホロチオエート結合を他の結合、詳細にはホスホロジエステル結合に置換し得ると考えられる。従って、1つまたは2つのホスホロチオエート結合が、例えば、ホスホロジエステル結合に置換されたこのような変形例も本発明の目的範囲内に含まれる。
【0034】
配列番号28および1の特定の(サブ)配列の具体例は表1に挙げられた配列番号2〜20である。
【0035】
【表1】

表1において、大文字(上付き文字なし)はβ−D−オキシ−LNAヌクレオチドアナログ(β−D−オキシ−LNA)を示すが、大文字の後の上付き文字「α」(例えば、Gα)はLNAヌクレオチドアナログがα−L−LNAヌクレオチドアナログ(α−L−オキシ−LNA)であることを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロジエステル結合を示す下付き文字はない。LNA−Cモノマーはすべて5−メチル−C(MeC)である。
【0036】
興味を引く実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される(サブ)配列を含む。より詳細には、LNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である。
【0037】
現在のところ最も好ましい実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは(サブ)配列番号2を含む。さらに好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2を含む化合物である。
【0038】
(LNAオリゴヌクレオチドの作製)
LNAヌクレオチドアナログの構成ブロック(β−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNA)は、公開された手順およびその引用文献に従って作製することができ、例えば、以下を参照のこと:
【0039】
【表1A】

LNAオリゴヌクレオチドは実施例並びにWO99/14226、WO00/56746、WO00/56748、WO00/66604、WO00/125248、WO02/28875、WO2002/094250およびWO03/006475に述べられているように作製することができる。従って、LNAオリゴヌクレオチドは有機化学技術の当業者には周知の核酸化学のオリゴマー化技術を用いて製造し得る。一般的に、ホスホルアミダイト手法の標準的なオリゴマー化サイクル(S.L.Beaucage and R.P.Iyer,Tetrahedron,1993,49,6123;S.L.Beaucage and R.P.Iyer,Tetrahedron,1992,48,2223)が用いられるが、例えば、H−ホスホネート化学、ホスホトリエステル化学も用いることができる。
【0040】
一部のモノマーでは、より長い結合時間または反復結合またはより濃縮された結合試薬の使用、あるいはその組み合わせが必要であり、あるいは有益となり得る。
【0041】
典型的には、用いるホスホルアミダイトは95%を超える良好な段階的収率にて結合する。通常、リン(III)からリン(V)の酸化は、例えば、ヨウ素/ピリジン/HOを用いて行われる。これにより脱保護後に天然のヌクレオシド間ホスホロジエステル結合が生じる。ヌクレオシド間ホスホロチオエート結合が作製される場合、ヌクレオシド間ホスホロジエステル結合の合成に用いられる通常の、例えば、ヨウ素/ピリジン/HOによる酸化をADTT試薬(水素化キサンタン(アセトニトリル:ピリジン 9:1、v/v中0.01M))を用いた酸化に換えてチオール化工程が行われる。BeaucageおよびPADSのような他のチオール化試薬も使用可能である。ホスホロチオエートLNAオリゴヌクレオチドは段階的結合収率が98%以上と効率的に合成された。
【0042】
また、β−D−アミノ−LNA、β−D−チオ−LNAおよびα−L−LNA、あるいはそのいずれかを含むLNAオリゴヌクレオチドは、ホスホルアミダイト処置を用いて段階的結合収率が98%以上と効率的に合成することができる。
【0043】
LNAオリゴヌクレオチドの精製は、使い捨て逆相精製カートリッジまたは逆相HPLCまたはエタノール若しくはブタノールからの沈殿、あるいはその組み合わせを用いて実施できた。キャピラリーゲル電気泳動、逆相HPLC、MALDI−MSおよびESI−MSを用いて合成LNAオリゴヌクレオチドの純度を検証した。
【0044】
(塩)
LNAオリゴヌクレオチドは種々の薬学的に受容可能な塩において用いることができる。本明細書で用いるように、この用語はLNAオリゴヌクレオチドの所望の生物活性を保持するとともに、最小限の不要な毒性作用を示す塩を指す。このような塩の非限定的例は、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどの金属カチオンまたはアンモニア、N,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム若しくはエチレンジアミンから形成されるカチオンまたはその組み合わせにより形成される有機アミノ酸および塩基付加塩により形成することができ、例えば、タンニン酸亜鉛塩などがある。
【0045】
このような塩はホスホロジエステル基およびホスホロチオエート基、あるいはホスホロジエステル基またはホスホロチオエート基を有するLNAオリゴヌクレオチドから形成され、例えば、好適な塩基を有する塩である。これらの塩には、例えば、元素の周期系のIa,Ib,IIaおよびIIb族の金属から得られる非毒性金属塩、詳細には好適なアルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリウム塩またはアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウムまたはカルシウム塩が含まれる。塩にはさらに亜鉛およびアンモニウム塩、また、非置換またはヒドロキシル置換モノ−、ジ−若しくはトリアルキルアミンのような好適な有機アミン、特にモノ−、ジ−若しくはトリアルキルアミンにより、あるいは四級アンモニウム化合物により、例えば、N−メチル−N−エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ビス−若しくはトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えば、モノ−、ビス−若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミン、例えば、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンまたはN−メチル−D−グルカミンまたはテトラブチルアンモニウム塩のような四級アンモニウム化合物により形成される塩が含まれる。リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩またはカリウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0046】
(プロドラッグ)
一実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドはプロドラッグの形態でよい。オリゴヌクレオチドは利点として負の電荷を帯びたイオンである。細胞膜の親油性によってオリゴヌクレオチドの細胞取込は中性または親油性等価物に比し、減少する。この極性「阻害」はプロドラッグ手法を用いることにより回避できる(例えば、Crooke,R.M.(1998)Crooke,S.T.Antisense research and Application.Springer−Verlag,Berlin,Germany,vol.131,pp.103−140を参照されたい)。この手法ではLNAオリゴヌクレオチドは投与時に中性となるように保護された様式にて作製される。これらの保護基はLNAオリゴヌクレオチドが細胞に取り込まれると除去できるように設計される。このような保護基の例はS−アセチルチオエチル(SATE)またはS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)である。これらの保護基はヌクレアーゼ耐性であり、細胞内にて選択的に除去される。
【0047】
(結合体)
本発明の内容において、「結合体」という用語は、本明細書で述べるLNAオリゴヌクレオチド(即ち、ヌクレオシドおよびLNAヌクレオシドアナログの配列を含む化合物)の1以上の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分への共有結合によって形成される異種分子を示すものとする。
【0048】
従って、LNAオリゴヌクレオチドは二量体または樹枝状構造にて配置され得るように、例えば、共有結合され、あるいはペプチド核酸(PNA)、タンパク質(例えば、標的タンパク質に対する抗体)、巨大分子、低分子量薬剤物質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、ミセル形成基、抗体、炭水化物、受容体結合基、コレステロールのようなステロイド、ポリペプチド、アクリジン誘導体のような挿入剤、長鎖アルコール、デンドリマー、リン脂質や他の親油基またはこれらの組合せなどを含む非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分とキメラを形成し得る。LNAオリゴヌクレオチドまたは結合体は、活性薬剤物質、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌剤、化学療法化合物または抗生物質にも共有結合若しくはさらに共有結合され得る。
【0049】
このように共有結合することにより、LNAオリゴヌクレオチドの薬物動態特性に関し、有利な特性を付与する。詳細には、このように共有結合することにより、細胞取込の増大を果たす。
【0050】
一実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは結合体を形成するためにリガンドに結合され、前記リガンドはアンチセンスLNAオリゴヌクレオチドに対して結合体の細胞取込を増大させることを目的とする。この結合体は末端位置5’/3’−OHにて生じるが、リガンドも糖および塩基、あるいは糖または塩基にて生じる。アンチセンスLNAオリゴヌクレオチドが結合され得る増殖因子はトランスフェリンまたは葉酸を含み得る。トランスフェリン−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体または葉酸−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体は、高レベルのトランスフェリンまたは葉酸受容体を発現する細胞による取込のために作製され得る。他の結合体/リガンドの例はコレステロール部分、アクリジンのような二本鎖挿入物質、ポリ−L−リシン、ホスホロモノチオアートのような1以上のヌクレアーゼ耐性結合基との「末端キャップ」などである。
【0051】
細胞へのオリゴヌクレオチドの取込のキャリアとしてのトランスフェリンの作製は、Wagner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,3410−3414(1990)に報告されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドの輸送を含む、葉酸受容体エンドサイトーシスを介した葉酸−巨大分子結合体の細胞輸送は、Lowらによる米国特許第5,108,921号に説明されている。Leamon et
al.,Proc.Natl.Acad.Sci.88,5572(1991)も参照されたい。
【0052】
(薬学的組成物)
本発明は、上述のLNAオリゴヌクレオチドまたは結合体と薬学的に受容可能なキャリア、例えば、水性キャリアを含む薬学的組成物に関するものであるということを理解する必要がある。当該薬学的組成物は好ましくは注射に適する。
【0053】
薬学的組成物の作製の指針は”Remington:The Science and
Practice of Pharmacy” by Alfonso R.Gennaroおよび以下に見出すことができる。
【0054】
結合剤およびアジュバントのような薬学的に受容可能なキャリアは薬学的組成物の一部である。カプセル、錠剤および丸剤などは、例えば、次の化合物を含有し得る:結合剤としての微結晶セルロース、ガムまたはゼラチン、賦形剤としてのデンプンまたはラクトース、潤滑剤としてのステアリン酸、種々の甘味剤または着香剤。カプセルでは投与単位は脂肪油のような液状キャリアを含有し得る。同様に、糖または腸溶剤のコーティングは投与単位の一部となり得る。薬学的組成物は活性医薬成分(LNAオリゴヌクレオチドを含む)の乳剤およびミセルエマルションを形成する脂質ともなり得る。
【0055】
LNAオリゴヌクレオチドは所望の作用を損なわない任意の物質または所望の作用を補う物質と混合され得る。これらの物質には他のヌクレオシド化合物を含む他の薬剤が含まれ得る。
【0056】
非経口、皮下、皮内または局所投与では、製剤は滅菌希釈剤(例えば、水)、緩衝剤、張度およびイオン強度の調整剤並びに抗菌剤を含み得る。活性化合物は、取込を促進し、分解を妨げ、あるいは体内からの速やかな除去を妨げるキャリアとともに調製され得て、これには制御放出特性を有する埋込剤またはマイクロカプセルが含まれる。静脈内投与では好ましいキャリアは生理食塩水(0.9%)またはリン酸塩緩衝生理食塩水である。
【0057】
LNAオリゴヌクレオチドは、処置される患者において重篤な副作用を引き起こすことなく治療有効量を患者に送達するのに十分な量にて、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤のような単位製剤に含まれることが好ましい。
【0058】
薬学的組成物の好ましい実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは水性キャリア、詳細にはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含むとともに20〜2000mMのイオン強度を有する水性キャリアに製剤化される。
【0059】
「水性キャリア」という用語は、当該の薬学的組成物が液状形態であり、液状キャリアが主に水からなり、即ち、少なくとも80%(w/w)または少なくとも90%(w/w)またはさらに少なくとも95%(w/w)のキャリアが水からなるということを意味する。他の液体成分を用いてもよく、例えば、エタノール、DMSO、エチレングリコールなどである。
【0060】
水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含むことが好ましい。緩衝液はpHを5.0〜8.0の範囲、例えば、6.0〜7.5の範囲に維持することが好ましい。
【0061】
薬学的組成物のイオン強度/張度も重要である。従って、通常、液状薬学的組成物は20〜2000mMの範囲、例えば、50〜1500mMの範囲または100〜1000mMの範囲のイオン強度を有する。
【0062】
本発明の第一の主たる態様は、水性キャリア中のLNAオリゴヌクレオチドを含む液状薬学的組成物に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有する。
【0063】
本発明の第二の主たる態様は、水性キャリア中の結合体を含む液状薬学的組成物に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有する。
【0064】
第一および第二の主たる態様は、上述したLNAオリゴヌクレオチド、結合体および薬学的組成物に関し、仕様および嗜好と有利に組み合わされる。次の実施形態は本発明の利点を十分に表すと考えられる。
【0065】
一実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNAおよびβ−D−アミノ−LNAから、あるいはβ−D−オキシ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択され、詳細には、LNAヌクレオチドアナログはすべてβ−D−オキシ−LNAである。
【0066】
前述と組み合わされ得る、さらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは合計16〜19、例えば、16〜18または16〜17、特に16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。あるいは、LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜18、例えば、13〜18または14〜17、特に14または15個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。
【0067】
前述と組み合わされ得る、よりさらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される(サブ)配列を含む。より詳細には、LNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である。さらにより好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは(サブ)配列番号2を含み、最も好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2を含む化合物である。
【0068】
前述と組み合わされ得る、より一層さらなる実施形態において、当該組成物は少なくとも1つのタキサン化合物をさらに含む(さらなる詳細については下記項目「併用薬剤」を参照されたい)。詳細には、前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチド(結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分)の重量比は50:1〜1:25の範囲である。第二の態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分がタキサン化合物を含むと好ましい場合がある。
【0069】
(併用薬剤)
薬学的組成物は化学療法化合物、抗炎症化合物、抗ウイルス化合物、細胞増殖阻害化合物、抗血管新生化合物、抗増殖化合物、アポトーシス誘導化合物、シグナル伝達モジュレータおよびキナーゼ阻害剤からなる群より選択される、さらなる作用物質も含み得る。
【0070】
興味深い変法において、さらなる作用物質は少なくとも1つの化学療法化合物である。このような化学療法化合物の好適な例は、副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン、アルトレタミン(ヘキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM))、アミホスチン(エチヨル)、アミノグルテチミド(シタドレン)、アムサクリン(M−AMSA)、アナストロゾール(アリミデックス)、アンドロゲン、例えば、テストステロン、アスパラギナーゼ(elspar)、カルメット・ゲラン桿菌、ビカルタミド(カソデックス)、ブレオマイシン(ブレノキサン)、ブスルファン(マイレラン)、カルボプラチン(パラプラチン)、カルムスチン(BCNU、BiCNU)、クロラムブシル(リューケラン)、クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン)、シスプラチン(プラチノール)、シトシンアラビノシド(シタラビン)、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン)、ダウノルビシン(cerubidine)、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン(アドリアマイシン、エピルビシン、エストラムスチン(emcyt)、エストロゲン、例えば、ジエチルスチルベストロール(DES)、エトポシド(VP−16、VePesid、etopophos)、フルダラビン(フルダラ)、フルタミド(eulexin)、5−FUDR(フロクスウリジン)、5−フルオロウラシル(5−FU)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ゴセレリン(ゾラデックス)、ハーセプチン(トラスツズマブ)、ヒドロキシウレア(ハイドレア)、イダルビシン(イダマイシン)、イホスファミド、IL−2(proleukin、アルデスロイキン)、インターフェロンα(イントロンA、ロフェロンA)、イリノテカン(camptosar)、ロイプロリド(ルプロン)、レバミゾール(ergamisole)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン(mustargen、ナイトロジェンマスタード)、メルファラン(アルケラン)、メルカプトプリン(purinethol、6−MP)、メトトレキサート(mexate)、マイトマイシン−C(mutamycin)、ミトキサントロン(ノバントロン)、オクトレオチド(サンドスタチン)、ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、nipent)、プリカマイシン(ミトラマイシン、mithracin)、プロカルバジン(matulane)、ストレプトゾシン、タモキシフェン(ノルバデックス)、タキソール(パクリタキセル)、テニポシド(vumon、VM−26)、チオテパ、トポテカン(ハイカムチン)、トレチノイン(ベサノイド、全トランス型レチノイン酸)、ビンブラスチン(velban)、ビンクリスチン(オンコビン)並びにビノレルビン(ナベルビン)からなる群より選択される化合物である。
【0071】
一変法において、本発明は、(a)1以上のLNAオリゴヌクレオチドと、(b)非アンチセンス機構により機能する1以上の他の化学療法化合物を含有する薬学的組成物を提供する。LNAオリゴヌクレオチドとともに使用される場合、このような化学療法化合物は個別に(例えば、ミトラマイシンとオリゴヌクレオチド)、逐次的に(例えば、一定時間はミトラマイシンとオリゴヌクレオチド、その後、別の薬剤とオリゴヌクレオチド)、あるいは1以上の他のこのような化学療法化合物と組み合わせて、あるいは放射線療法と組み合わせて用いられ得る。明示的に上述した化合物を含め、当業者に既知の化学療法化合物はすべて本発明による化合物との併用療法として本明細書に組み込まれる。
【0072】
好ましい一実施形態において、薬学的組成物はタキサン化合物を併用して投与される。
【0073】
「タキサン化合物」という用語はパクリタキセル(タキソール(登録商標))、パクリタキセル誘導体、ドセタキセル、タキソテール、修飾タキサンおよびタキソイドアナログを包含するものとする。パクリタキセル(タキソール(登録商標))は西洋(太平洋)イチイTaxus brevifoliaの樹皮から分離されたジテルペンであり、タキサン環系を有する治療剤のクラスを表す。パクリタキセルとそのアナログはイチイの針葉および小枝から得られる前駆物質10−デアセチルバッカチンIIIからの半合成および全合成によって生産されている。Holton,et al.,J.Am.Chem.Soc.116:1597−1601(1994)およびNicolaou,et al.,Nature 367:630(1994)を参照されたい。パクリタキセルは臨床試験で複数のヒト腫瘍において有効性を実証している。McGuire,et al.,Ann.Int.Med.111:237−279(1989)、Holmes,et al.,J.Natl.Cancer Inst.83:1797−1805(1991)、Kohn et al.,J.Natl.Cancer Inst.86:18−24(1994)、およびKohn,et al.,American Society for Clinical Oncology 12(1993)を参照されたい。修飾タキサンまたはタキソイドアナログは修飾側鎖を有するタキサン環を有する化合物である。これらのアナログの多くが向上した特性、例えば、天然起源のパクリタキセルより高い水溶性および安定性を有する。これらのアナログは当業者には既知であり、例えば、米国特許第5,278,324号、第5,272,171号、第5,254,580号、第5,250,683号、第5,248,796号、および第5,227,400号に開示されており、これらの開示内容は参照して本明細書に組み込まれる。パクリタキセルおよびタキソテールはWO93/18210、EP 0 253 739、EP 0 253 739およびWO92/09589における方法によって調製することができ、これらの開示内容は参照して本明細書に組み込まれる。特定の実施形態において、タキサン化合物はパクリタキセルまたはタキソテールである。
【0074】
通常、前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチドの重量比は50:1〜1:25の範囲、例えば、25:1〜1:25の範囲または10:1〜1:25の範囲または1:1〜1:25の範囲または50:1〜1:10の範囲または1:1〜1:50の範囲または25:1〜1:10の範囲である。
【0075】
従って、本発明の第三の態様は、薬学的に受容可能なキャリア中の少なくとも1つのタキサン化合物およびLNAオリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチドの重量比は50:1〜1:25の範囲である。
【0076】
本発明の第四の主たる態様は、薬学的に受容可能なキャリア中の少なくとも1つのタキサン化合物および結合体を含む薬学的組成物に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
前記組成物中のタキサン化合物と当該結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分の重量比は50:1〜1:25の範囲である。
【0077】
第三および第四の主たる態様は、上述したLNAオリゴヌクレオチド、結合体および薬学的組成物に関し、仕様および嗜好と有利に組み合わされる。次の実施形態は本発明の利点を十分に表すと考えられる。
【0078】
一実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNAおよびβ−D−アミノ−LNAから、あるいはβ−D−オキシ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択され、詳細には、LNAヌクレオチドアナログはすべてβ−D−オキシ−LNAである。
【0079】
前述と組み合わされ得る、さらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは合計16〜19、例えば、16〜18または16〜17、特に16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。あるいは、LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜18、例えば、13〜18または14〜17、特に14または15個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。
【0080】
前述と組み合わされ得る、よりさらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される(サブ)配列を含む。より詳細には、LNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である。さらにより好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは(サブ)配列番号2を含み、最も好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2を含む化合物である。
【0081】
前述と組み合わされ得る、より一層さらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチド(または結合体)およびタキサン化合物は水性キャリアに存在する。水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有することが好ましい(緩衝液に関するさらなる詳細については上記も参照されたい)。
【0082】
第四の態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分がタキサン化合物を含むと好ましい場合がある。
【0083】
さらなる実施形態において、本発明の薬学的組成物は1以上のLNAオリゴヌクレオチドと、第二の核酸標的を標的とする1以上の付加アンチセンス化合物を含み得る。2以上の組合せ化合物を同時に、あるいは逐次的に用い得る。
【0084】
さらに、LNAオリゴヌクレオチドを含む医薬品は放射線療法などと組み合わせて用いることも可能であり、試験の項目も参照されたい。
【0085】
(処置の方法)
薬学的組成物は特に癌の処置に関係する。
【0086】
本発明の薬学的組成物および方法は、癌によって生じる疾患に対する処置または予防、詳細には、肺、胸、結腸、前立腺、膵臓、肺、肝臓、甲状腺、腎臓、脳、精巣、胃(stomach)、腸(intestine)、腸(bowel)、脊髄、洞、膀胱、尿路、卵巣、頭頸部、血液、皮膚、胃(gastric)または骨癌のような組織に発生し得る癌の処置に用いられることが好ましい。
【0087】
本明細書で述べる本発明は、高用量のLNAオリゴヌクレオチドを含むがこれに限定されない治療有効量のSurvivin調節LNAオリゴヌクレオチドを、このような治療法を必要とするヒトに投与する工程を含む、癌を予防または処置する方法を包含する。本発明は、Survivin調節LNAオリゴヌクレオチドの短期間投与の使用をさらに包含する。正常な非癌細胞は特定の細胞種に特徴的な頻度で分裂する。細胞が癌状態に形質転換されると、無制御の細胞増殖および細胞死の減少が生じ、従って、不規則な細胞分裂または細胞増殖は癌細胞種の特徴である。癌の種類の例には、これらに限定されないが、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病(例えば、急性白血病、例えば、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫)、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、子宮頸癌、精巣癌、肺癌、膀胱癌、黒色腫、頭頸部癌、脳腫瘍、原発部位が不明の癌、新生物、末梢神経系の癌、中枢神経系の癌、腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉種、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、小細胞肺癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽腫および網膜芽腫)、重鎖病、転移または無制御若しくは異常な細胞増殖を特徴とする任意の疾患若しくは障害が含まれる。
【0088】
特に関係のある癌疾患は、急性骨髄性白血病、びまん性B細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、肝癌、腎癌、尿路癌および結腸直腸癌から選択される癌である。
【0089】
「癌腫」という用語は上皮起源の悪性腫瘍を示すものとする。上皮組織は体内および体外の体表面を覆い、あるいは被覆する。上皮組織の例は、腸、膀胱、子宮などのような体腔および臓器を被覆する外皮および粘膜および漿膜である。また、上皮組織はより深い組織層に伸長して粘液分泌腺のような腺を形成し得る。「肉腫」という用語は、軟骨、脂肪、筋、腱および骨のような結合組織から増殖する悪性腫瘍を示すものとする。「神経膠腫」という用語は、本明細書で用いる場合、グリア細胞から発生する悪性腫瘍を含むものとする。
【0090】
本発明の組成物は腫瘍に関連する癌形態の処置に特に適切であると考えられる。このような処置は放射線療法を併用し得る。
【0091】
本発明の第五の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のためのLNAオリゴヌクレオチドの使用に関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0092】
本発明の第六の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトの処置のための薬学的組成物の調製のための結合体の使用に関するものであり、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0093】
本発明の第七の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置する方法に関するものであり、当該方法は、LNAオリゴヌクレオチドを含む1以上の治療有効量の第一の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を含み、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0094】
本発明の第八の主たる態様は、癌疾患に罹患し、あるいは癌疾患に罹患しやすい哺乳動物、特にヒトを処置する方法に関するものであり、当該方法は、結合体を含む1以上の治療有効量の第一の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を含み、前記結合体はLNAオリゴヌクレオチドおよび前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分からなり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0095】
第五、第六、第七および第八の主たる態様は、上述したLNAオリゴヌクレオチド、結合体および薬学的組成物に関し、仕様および嗜好と有利に組み合わされる。従って、第五、第六、第七および第八の主たる態様において示された組成物は、項目「薬学的組成物」および「併用薬剤」で上述した薬学的組成物に対して明示された組成物であることが好ましい。次の実施形態は本発明の利点を十分に表すとさらに考えられる。
【0096】
参照される疾患は上述の任意の疾患でよいが、急性骨髄性白血病、びまん性B細胞リンパ腫、急性リンパ球性白血病、肝癌、腎癌、尿路癌および結腸直腸癌からなる群より選択されることが好ましい。
【0097】
一実施形態において、LNAヌクレオチドアナログはβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNAおよびβ−D−アミノ−LNAから、あるいはβ−D−オキシ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択され、詳細には、LNAヌクレオチドアナログはすべてβ−D−オキシ−LNAである。
【0098】
前述と組み合わされ得る、さらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは合計16〜19、例えば、16〜18または16〜17、特に16個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。あるいは、LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜18、例えば、13〜18または14〜17、特に14または15個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有する。
【0099】
前述と組み合わされ得る、よりさらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される(サブ)配列を含む。より詳細には、LNAオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20からなる群、特に配列番号2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群より選択される化合物である。さらにより好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは(サブ)配列番号2を含み、最も好ましくは、LNAオリゴヌクレオチドは配列番号2を含む化合物である。
【0100】
前述と組み合わされ得る、第五および第六の主たる態様のより一層さらなる実施形態において、当該組成物は少なくとも1つのタキサン化合物をさらに含む(さらなる詳細については上記項目「併用薬剤」を参照されたい)。詳細には、前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチド(結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分)の重量比は50:1〜1:25の範囲である。第二の態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分がタキサン化合物を含むと好ましい場合がある。
【0101】
前述と組み合わされ得る、第七および第八の態様のより一層さらなる実施形態において、少なくとも1つのタキサン化合物(さらなる詳細については上記項目「併用薬剤」を参照されたい)はLNAオリゴヌクレオチドまたは結合体を併用して投与される。詳細には、投与されるタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチド(結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分)の重量比は50:1〜1:25の範囲である。第八の態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分がタキサン化合物を含むと好ましい場合がある。
【0102】
前述の実施形態を参照し、タキサン化合物はLNAオリゴヌクレオチド(または結合体)を含む第一の薬学的組成物中に存在し得る。この場合、前記組成物中のタキサン化合物とLNAオリゴヌクレオチド(または結合体のLNAオリゴヌクレオチド部分)の重量比は50:1〜1:25の範囲であることが好ましい。あるいは、タキサン化合物はLNAオリゴヌクレオチド(または結合体)を含まない第二の薬学的組成物中に存在し得る。この場合、第一の薬学的組成物と第二の薬学的組成物は同時に投与され、あるいは第一の薬学的組成物と第二の薬学的組成物は逐次的に投与され得る。
【0103】
前述と組み合わされ得る、より一層さらなる実施形態において、LNAオリゴヌクレオチド(または結合体)およびタキサン化合物は水性キャリアに存在する。水性キャリアはpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有することが好ましい(緩衝液に関するさらなる詳細については上記も参照されたい)。
【0104】
第六および第八の態様では、少なくとも1つの非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分がタキサン化合物を含むと好ましい場合がある。
【0105】
(キット)
本発明は必要とする患者の医療処置に有用な種々のキットも提供する。
【0106】
一変形例において、キットは併用療法、即ち、LNAオリゴヌクレオチド(またはその結合体)と1以上のタキサン化合物を用いた処置に有用なセットを含む。
【0107】
従って、本発明の第九の主たる態様は、
(a)1以上の注射可能溶液用量のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)1以上の注射可能溶液の1以上のタキサン化合物を含有する第二の構成要素と
を含むキットに関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示し、
第二の構成要素の1溶液中の少なくとも1つのタキサン化合物と、第一の構成要素の1溶液用量中の少なくとも1つのLNAオリゴヌクレオチドの重量比は、50:1〜1:25の範囲であり、かつ/あるいは、
LNAオリゴヌクレオチドの注射可能溶液用量はpHを4.0〜8.5の範囲に維持するための緩衝液を含み、20〜2000mMのイオン強度を有する。好ましい実施形態において、緩衝液、例えば、生理食塩水または緩衝生理食塩水は6.0〜8.0のpHおよび100〜500mMのイオン強度を有する。最も好ましい実施形態において、生理食塩水または緩衝生理食塩水は7.0〜8.0のpHおよび120〜250mMのイオン強度を有する。
【0108】
LNAオリゴヌクレオチドと非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分の結合体を含む同様のキットも、必要な変更を加えて本発明の態様を構成する。
【0109】
LNAオリゴヌクレオチド(またはLNAオリゴヌクレオチドと非ヌクレオチド/非ポリヌクレオチド部分の結合体)およびタキサン化合物の注射可能溶液は、それぞれ「薬学的組成物」、「併用薬剤」の項目で上述した通りであることが好ましいということを理解する必要がある。
【0110】
液状形態の薬学的組成物がLNAオリゴヌクレオチドの安定性を損なう条件に曝されるリスク下にある場合、LNAオリゴヌクレオチドを含有する最終製品を固形形態で、例えば、凍結乾燥物質として製造し、このような固形形態で製品を保存することが好ましい場合もある。その後、製品は投与前に再構成され得る(例えば、溶解または懸濁される)。
【0111】
従って、本発明の第十の主たる態様は、
(a)固体形態のLNAオリゴヌクレオチドを含有する第一の構成要素と、
(b)前記LNAオリゴヌクレオチドの再構成(例えば、溶解または懸濁)に適した生理食塩水または緩衝液(例えば、緩衝生理食塩水)を含有する第二の構成要素であって、好ましくは前記緩衝液が4.0〜8.5の範囲のpHおよび20〜2000mMのイオン強度を有する第二の構成要素と
を含むキットに関するものであり、前記LNAオリゴヌクレオチドは合計12〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−(Me)(TMeMe)(c)−3’(配列番号28)
を含み、好ましくは合計16〜20個のヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログを有し、以下の(サブ)配列:
5’−MeMeMec−3’(配列番号1)
を含み、ここで、大文字はβ−D−オキシ−LNA、β−D−チオ−LNA、β−D−アミノ−LNAおよびα−L−オキシ−LNAから選択されるLNAヌクレオチドアナログを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下線は上述のLNAヌクレオチドアナログまたはデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、下付き文字「x」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合またはホスホロジエステル結合を示す。
【0112】
前述のキットは第一および第二の構成要素を併用するための指針文書を含むことも好ましい。
【0113】
(投与)
本発明の薬学的組成物は、局所処置または全身処置が望ましいのか、また、処置部位に依存し、多くの方法で投与され得る。投与は、(a)経口、(b)肺内(例えば、粉末またはエアロゾルの吸入または吹送によるものであり、噴霧器によるものを含む)、気管内、鼻腔内、(c)表皮、経皮、眼内を含み、また、粘膜には経膣および経直腸送達を含む局所あるいは(d)静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内への注射または注入、若しくは頭蓋内、例えば、髄腔内または脳室内投与を含む非経口でよい。一実施形態において、LNAオリゴヌクレオチドは静脈内、腹腔内、経口、局所投与され、あるいはボーラス注射として投与され、あるいは標的臓器へ直接投与される。
【0114】
現在、最も適切な投与形態は静脈内注入または経口によるものと考えられる。
【0115】
(投与量)
投与は処置する病態の重症度および応答性並びに数日から数ヶ月継続する処置の経過あるいは治療効果がみられ、または病態の軽減が果たされるまでの期間に依存する。また、至適投与スケジュールは患者の体内薬物の測定または代理マーカーによって評価することができる。
【0116】
至適投与量は個々のオリゴヌクレオチドの相対的効力に依存し、変動し得る。一般的に、至適投与量はインビトロおよびインビボでの動物モデルにおいて有効であると見出されるEC50に基づいて推定され得る。概して、投与量は体重kgあたり0.01μg〜1gであり、1日、1週、1ヶ月または1年に1回以上あるいはさらに2〜10年ごとに1回あるいは連続注入により数時間から数ヶ月まで投与され得る。投与の繰り返し率は、体液または体組織中の薬物の滞留時間および濃度の測定に基づいて推定することができる。良好な処置の後、病態の再発を防止するため、患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合もある。最も適切な用量は体重kgあたり0.01mg〜100mg、例えば、0.1mg〜40mgまたは0.5mg〜10mgである。このような用量は1日1回投与され得るが、より好ましくは頻度を低く、例えば、1〜4週の期間の間、1週あたり1〜3回とする。維持療法は継続する場合もあり、例えば、1ヶ月あたり1〜4回あるいは1年あたり1〜10回のようにさらに頻度が低い。
【0117】
特定の理論に束縛されることなく、化学療法化合物と本発明によるLNAオリゴヌクレオチドの併用効果(および相乗効果の可能性)は、化学療法化合物またはLNAオリゴヌクレオチドまたはその両方の投与量を減少させることを可能にする。
【0118】
(さらなる用途)
本発明のLNAオリゴヌクレオチドは診断、治療および予防用の研究試薬として利用することもできる。研究では、アンチセンスLNAオリゴヌクレオチドは細胞および実験動物におけるSurvivinタンパク質の合成を特異的に阻害し、これにより標的の機能分析または治療的介入のための標的としてのその有用性の評価を容易にするために用いられ得る。診断では、アンチセンスオリゴヌクレオチドはノーザンブロット法、in situハイブリダイゼーションまたは類似の技法によって細胞および組織におけるSurvivinの発現を検出し、定量化するために用いられ得る。治療では、Survivinの発現を調節することによって処置可能な疾患または障害を有する疑いのある動物またはヒトが、本発明に従ってアンチセンスLNAオリゴヌクレオチドを投与することにより処置される。
【0119】
治療有効量または予防有効量の1以上のアンチセンスLNAオリゴヌクレオチドまたは結合体を投与することによって、Survivinの発現と関連する疾患または病状を有し、あるいはこれを起こしやすい疑いのある動物、詳細にはマウスおよびラットを処置し、ヒトを処置する方法をさらに提供する。
【0120】
本発明は、細胞および組織におけるSurvivinの発現を調節する方法をさらに提供し、当該方法は、前記細胞および組織を本明細書で明示したLNAオリゴヌクレオチドまたは結合体、詳細には本明細書で明示した薬学的組成物に接触させ、Survivinの発現が調節されるステップを含む。
【0121】
一層さらに、本発明は、遺伝子または遺伝子からのRNAを本明細書で明示したLNAオリゴヌクレオチドまたは結合体、詳細には本明細書で明示した薬学的組成物に接触させ、これにより遺伝子発現が調節されるステップを含む、癌疾患に関与する遺伝子の発現を調節する方法を提供する。遺伝子はSurvivin遺伝子であることが好ましい。
【0122】
本発明のさらなる態様は、細胞または細胞由来のRNAを本明細書で明示した薬学的組成物に接触させ、これにより細胞のアポトーシスが誘導されるステップを含む、細胞のアポトーシスを誘導する方法に関する。アポトーシスの誘導はインビトロまたはインビボでよい。当該誘導は細胞アッセイにて、あるいは組織試料内で、あるいは生きている哺乳動物内で誘発され得る。
【0123】
本発明のさらなる態様は、細胞または細胞由来のRNAを本明細書で明示した薬学的組成物に接触させ、これにより細胞増殖が防止または低下されるステップを含む、細胞増殖を防止または低下する方法に関する。増殖の防止または低下はインビトロまたはインビボでよい。当該防止は細胞アッセイにて、あるいは組織試料内で、あるいは生きている哺乳動物内で行われ得る。
【実施例】
【0124】
(実験)
本明細書で明示したLNAオリゴヌクレオチドの現在のところ好ましい例は、LNAオリゴヌクレオチドの配列番号2である。次の実施例はこのLNAオリゴヌクレオチドの驚くほど良好な特性を示すが、配列番号1または配列番号28を含む(あるいは有する)他のLNAオリゴヌクレオチドが同様に興味深い特性を有すると考えられる。
【0125】
(実施例1:モノマーの合成)
LNAモノマー構成ブロックとその誘導体を公開された手順およびそこでの引用文献に従って作製した。以下を参照のこと:
【0126】
【表1B】

(実施例2:オリゴヌクレオチドの合成)
Expedite 8900/MOSS合成装置(多重オリゴヌクレオチド合成システム)において1μmolまたは15μmolスケールにて、ホスホルアミダイト手法を用いてオリゴヌクレオチドを合成した。より大きなスケールでの合成ではAekta Oligo Pilotを用いた。合成の終了時(DMTオン)、水性アンモニアを用いて室温で1〜2時間、固体支持体からオリゴヌクレオチドを切断し、さらに65℃で4時間、脱保護した。逆相HPLC(RP−HPLC)によってオリゴヌクレオチドを精製した。DMT基の除去後、AE−HPLC、RP−HPLCおよびCGEによってオリゴヌクレオチドを特徴付けし、ESI−MSによって分子質量をさらに確認した。さらなる詳細については下記を参照されたい。
【0127】
(LNA固体支持体の作製:)
(LNAスクシニルヘミエステルの作製)
5’−O−DMT−3’−ヒドロキシ−LNAモノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2eq.)およびDMAP(1.2eq.)をDCM(35mL)中に溶解した。反応物を室温で一晩撹拌した。NaHPO 0.1M pH5.5(2x)および塩水(1x)での抽出後、有機層を無水NaSOでさらに乾燥させ、濾過し、蒸発させた。ヘミエステル誘導体を95%の収率で得て、さらなる精製を行わずに使用した。
【0128】
(LNA支持体の作製)
上記で作製したヘミエステル誘導体(90μmol)を最小量のDMF中に溶解し、DIEAおよびPyBOP(90μmol)を加え、1分間混合した。この前活性化された混合物を手動合成装置にてLCAA−CPG(500Å、80〜120メッシュサイズ、300mg)と混合し、撹拌した。室温で1.5時間後、支持体を濾取し、DMF、DCMおよびMeOHで洗浄した。乾燥後、形成量は57μmol/gと測定された(Tom
Brown,Dorcas J.S.Brown.Modern machine−aided methods of oligodeoxyribonucleotide
synthesis.In:F.Eckstein,editor.Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach.Oxford:IRL Press,1991:13−14を参照されたい)。
【0129】
(オリゴヌクレオチドの伸長)
ホスホルアミダイト(A(bz)、G(ibu)、5−メチル−C(bz))またはT−β−シアノエチル−ホスホルアミダイトの結合は、アセトニトリル中0.1Mの5’−O−DMT保護アミダイトおよび活性剤としてのアセトニトリル中DCI(4,5−ジシアノイミダゾール)(0.25M)の溶液を用いて行う。チオール化は塩化キサンタン(アセトニトリル中0.01M:ピリジン10%)を用いて行う。試薬のその他はオリゴヌクレオチド合成に通常用いられるものである。供給業者が提供するプロトコルは都合よく至適化した。
【0130】
(RP−HPLCによる精製:)
カラム:Xterra RP18
流量:3mL/分
緩衝剤:0.1M酢酸アンモニウム(pH8)およびアセトニトリル
(略語)
DMT:ジメトキシトリチル
DCI:4,5−ジシアノイミダゾール
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DIEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル。
【0131】
(実施例3:LNAオリゴヌクレオチドの設計)
【0132】
【表2】

表2において、大文字(上付き文字なし)はβ−D−オキシ−LNAヌクレオチドアナログ(β−D−オキシ−LNA)を示すが、大文字の後の上付き文字「α」(例えば、Gα)はLNAヌクレオチドアナログがα−L−LNAヌクレオチドアナログ(α−L−オキシ−LNA)であることを示し、小文字はデオキシヌクレオチドを示し、下付き文字「s」は隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロチオエート結合を示し、隣接するヌクレオチド/LNAヌクレオチドアナログ間のホスホロジエステル結合を示す下付き文字はない。LNA−Cモノマーはすべて5−メチル−C(MeC)である。公開された配列(Genbankアクセッション番号NM_001168)を用いて、ヒトSurvivin RNAの異なる領域を標的とするように化合物を設計した。
【0133】
(実施例4:Tの測定)
化合物の融解温度(T)の測定:10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA(pH7.0)中3μMの配列番号2の溶液を、10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA(pH7.0)中のその相補的DNA/RNA3μMと90℃で1分間混合し、室温まで冷却させた。次に、温度を1℃/分にて25〜95℃に上昇させて2本鎖のTを求めた。配列番号2のTを実施例21における表7に示す。
【0134】
(実施例5:ヒトおよびマウス血漿中の配列番号2の安定性)
37℃で異なる時間分割:0、1、2、4、24、48および96時間における、ヒトおよびマウス血漿(ヘパリンLi(Taconic、M&B))中の20μMの配列番号2および配列番号24の安定性。市販のラダーも含めた(PAGEにおいて10および20merが視認できる)(図1を参照)。
【0135】
(実施例6:インビトロモデル:細胞培養)
標的核酸の発現に対するアンチセンス化合物の作用は、標的核酸が測定可能なレベルで存在すれば、種々の細胞種のうち任意の細胞種において試験することができる。標的は内因的に、あるいは前記核酸をコードしている核酸の一過性または安定的トランスフェクションにより発現され得る。
【0136】
標的核酸の発現レベルは、例えば、ノーザンブロット分析、定量PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いてルーチンに求めることができる。例示目的のために以下の細胞種を提供するが、選択した細胞種において標的が発現されるのであれば、他の細胞種をルーチンに用いることができる。
【0137】
細胞を下述の適切な培地にて培養し、37℃で湿度95〜98%および5%COにて維持した。毎週2〜3回、細胞を継代培養した。
【0138】
15PC3:ヒト前立腺癌細胞株15PC3をオランダ、AMC、Neurozintuigen LaboratoryのDr.F.Baasから寄贈され、DMEM(Sigma社)+10%ウシ胎仔血清(FBS)+Glutamax I+ゲンタマイシン中で培養した。
【0139】
PC3:ヒト前立腺癌細胞株PC3をATCCから購入し、グルタミン(Gibco社)を含むF12 Coon’s培地+10%FBS+ゲンタマイシン中で培養した。
【0140】
518A2:ヒト黒色腫癌細胞株518A2をウィーン大学臨床薬理学部分子薬理学実験腫瘍学部門(Section of experimental Oncology,Molecular Pharmacology,Department of Clinical Pharmacology)のDr.B.Jansenから寄贈され、DMEM(Sigma社)+10%ウシ胎仔血清(FBS)+Glutamax I+ゲンタマイシン中で培養した。
【0141】
(実施例7:インビトロモデル:アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置)
細胞培養およびトランスフェクション:15PC3細胞を12ウェルプレートに播種し、10%FBS、Glutamax Iおよびゲンタマイシンを添加したDMEM中にて37℃(5%CO)で2日間増殖した。細胞が60〜70%コンフルエントになったとき、リポフェクタミン2000(10μg/ml)を用いて、異なる濃度のオリゴヌクレオチド(0.2〜25nM)を繰り返して細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションは基本的にDeanら(1994,JBC 269:16416−16424)が報告しているように実施した。要するに、OptiMEM中のリポフェクタミンとともに10分間、細胞をインキュベーションし、その後、オリゴヌクレオチドを加えて1ウェルあたり総容積0.5mlのトランスフェクションミックスとなるようにした。4時間後、トランスフェクションミックスを取り出し、細胞を洗浄し、適切な増殖培地にて37℃で約20時間(mRNA分析)または12〜72時間(タンパク質分析)、増殖した。次に、タンパク質およびRNA分析のために細胞を採取した。
【0142】
(実施例8:インビトロモデル:RNAの抽出およびcDNA合成)
(総RNAの単離)
RNeasyミニキット(Qiagen社)を用いて総RNAを単離した。細胞をPBSで洗浄し、1%メルカプトエタノールを添加した細胞溶解緩衝液(RTL、Qiagen社)を直接ウェルに加えた。数分後、製造業者の使用説明書に従って試料を処理した。
【0143】
(第一鎖合成)
製造業者の使用説明書(Qiagen社)に従ってOmniScript逆転写酵素キットを用いて、第一鎖合成を行った。各試料に対し、総RNA0.5μgを12μlに調整し、ポリ(dT)12−180.2μl(0.5μg/μl)(Life Technologies社)、dNTPミックス2μl(各5mM)、10×RT緩衝液2μl、RNAguardTMRNアーゼ阻害剤0.5μl(33単位/ml、Amersham社)およびOmniScript逆転写酵素1μlと混合し、その後、37℃で60分間インキュベーションし、93℃で5分間熱不活化した。
【0144】
(実施例9:インビトロモデル:リアルタイムPCRによるSurvivin、Bcl−2またはSurvivinスプライス変異体の発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析)
オリゴヌクレオチド処置および未処置細胞における相対的Survivin mRNAレベルを求めるため、作製したcDNAを、BioRad社製のiCyclerを用いて定量PCR分析に用いた。cDNAを5倍に希釈し、8μlを、Platinum定量PCR SuperMix UDG 2×PCRマスターミックス30μl(Invitrogen社)、20×Taqmanプローブおよびプライマーミックス3μl(順方向プライマー:5’AAGGACCACCGCATCTCTACA(配列番号29)(最終的に0.9μM)、逆方向プライマー:5’CCAAGTCTGGCTCGTTCTCAGT(配列番号30)(最終的に0.6μM)およびTaqmanプローブ:FAM−CGAGGCTGGCTTCATCCACTGCC−TAMRA(配列番号31)(最終的に0.1μM))並びにHO 19μlを含有するTaqmanプローブ用マスターミックス52μlと混合した。この60μlを2つのウェル(96ウェルプレート)に分散し、各ウェルに25μlとなるようにした。ヒトBcl−2ではPCRプライマーは:
順方向プライマー:5’CATGTGTGTGGAGAGCGTCAA 3’(アッセイにおける最終濃度、0.6μM)(配列番号32)、逆方向プライマー:5’GCCGGTTCAGGTACTCAGTCA 3’(アッセイにおける最終濃度、0.6μM)(配列番号33)であり、PCRプローブは、5’FAM−CCTGGTGGACAACATCGCCCTGT−TAMRA 3’(アッセイにおける最終濃度、0.1μM)(配列番号34)であった。Survivinスプライス変異体のPCRでは、次のプライマーおよび濃度を用いた。スプライス変異体1(完全)の順方向プライマー5’−GGCCGAGGCTGGCTTCAT−3’(配列番号35)(アッセイにおける最終濃度、0.6μM)、逆方向プライマー5’−TGCTTTTTATGTTCCTCTATGGG−3’(配列番号36)(アッセイにおける最終濃度、0.6μM)。スプライス変異体2(2B)の順方向プライマー5’−GGCCGAGGCTGGCTTCAT−3’(配列番号35)(アッセイにおける最終濃度、0.3μM)、逆方向プライマー5’−AAGTGCTGGTATTACAGGCGT−3’(配列番号37)(アッセイにおける最終濃度、0.3μM)。スプライス変異体3(ΔEx3)の順方向プライマー5’−GGCCGAGGCTGGCTTCAT−3’(配列番号35)(アッセイにおける最終濃度、0.3μM)、逆方向プライマー5’−ATTGTTGGTTTCCTTTGCATG−3’(配列番号38)(アッセイにおける最終濃度、0.3μM)。
【0145】
Taqmanプローブ5’−FAM−CACTGCCCCACTGAGAACGAGCCAGACT−TAMRA−3’(配列番号39)(アッセイにおける最終濃度、0.1μM)。
【0146】
プライマーおよびプローブはProligonucleotide(フランス)から得た。試料調製における差異を基準化するため、製造業者の使用説明書に従って、Applied Biosystems社製(4310884E)の予め展開させたTaqmanアッセイ試薬を用いて内因性GAPDH mRNAを定量化した。アッセイの標準曲線を作成するため、未処置15PC3細胞(SurvivinおよびGAPDHの両方を発現)から合成したcDNAの2倍希釈液を用いた。PCRプログラムは以下の通りであった:50℃で2分、95℃で10分、次に、95℃で15秒、60℃で1分を40サイクル。iCycler iQリアルタイム検出システムソフトウェアを用いて、計算した閾値サイクルからSurvivin mRNAの相対量を求めた。図6B、6C、9および2Cを参照されたい。
【0147】
(実施例10:インビトロ分析:Survivinタンパク質レベルのウェスタンブロット分析)
(ウェスタンブロット法:)
トランスフェクションされた細胞におけるSurvivinタンパク質レベルに対するSurvivinオリゴのインビトロ作用をウェスタンブロット法により求めた。
【0148】
細胞を採取し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche社)を添加した50mM Tris−HCl(pH6.8)、10%グリセロール、2.5%SDS、5mM DTTおよび6M尿素中で溶解した。BCAタンパク質アッセイキット(Pierce社)を用いて総タンパク質濃度を測定した。総タンパク質50μgをMOPS緩衝液中12%Bis−Trisゲル上で泳動させ、製造業者の使用説明書(Invitrogen社)に従ってPVDF膜にブロットした。ブロッキング緩衝液(5%低脂肪粉乳を添加したPBS−T)中での一晩のインキュベーション後、当該膜を1:500希釈率のポリクローナル抗Survivin抗体Novus 500−201で一晩インキュベーションし、次に、1:1000希釈率の抗Bcl(DAKO社)で1時間インキュベーションした。次に、当該膜を二次抗体(DAKO社製の1:1000希釈率のHRP結合二次抗体またはInvitrogen社製のAP結合抗体)でインキュベーションし、発色免疫検出キット(Invitrogen社)または化学ルミネッセンスECL検出キット(Amersham社)を用いて、SurvivinおよびBcl2を可視化した。図2Aを参照されたい。
【0149】
(実施例11:インビトロ分析:Survivinタンパク質レベルのELISA分析)
採取細胞を溶解し、R&D Systems社のヒトSurvivin DuoSet
IC ELISA(カタログ番号DYC647)を用いて、製造業者の推奨に従ってアッセイした。図2Bを参照されたい。
【0150】
(実施例12:インビトロ分析:アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたヒトSurvivin発現のアンチセンス阻害)
本発明に従って、公開された配列(Genbankアクセッション番号NM_001168)を用いて、ヒトSurvivin RNAの異なる領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した。表2―LNAオリゴヌクレオチドを参照されたい。
【0151】
15PC3細胞におけるSurvivin mRNAをノックダウンする可能性についてLNAオリゴヌクレオチドを評価した。データは疑似トランスフェクション細胞に対するダウンレギュレーションのパーセントとして提示する。転写定常状態をリアルタイムPCRによりモニタリングし、GAPDH転写定常状態に基準化した。表3を参照されたい。LNA Cはすべて5−メチル−シトシンであることに留意されたい。
【0152】
【表3】

試験は少なくとも3回実施した。括弧内の数字は標準偏差である。
【0153】
(実施例13:アンチセンスLNAオリゴヌクレオチドによるアポトーシス誘導および増殖阻害)
細胞の培養:37℃、湿度95%および5%CO2にて10%ウシ胎仔血清、Glutamax Iおよびゲンタマイシンを含有するDMEM(Sigma社)で15PC3を培養した。37℃、湿度95%および5%CO2にて10%ウシ胎仔血清、Glutamax Iおよびゲンタマイシンを含有するMEM(Sigma社)で子宮頸癌細胞株HeLaを培養した。60〜70%コンフルエントに達したとき、リポフェクタミン2000(5μg/ml)を用いて細胞にトランスフェクションした。
【0154】
(活性化型カスパーゼ3/7活性の測定)
トランスフェクションの前日、DMEM中、白色96ウェルプレート(Nunc 136101)に1ウェルあたり細胞10000個の密度にまで15PC3細胞を播種した。翌日、細胞を予め加温したOptiMEMで1回洗浄し、次に、5μg/mlのリポフェクタミン2000(In vitrogen社)を含有するOptiMEM72μlを加えた。細胞を7分インキュベーションし、その後、OptiMEMで希釈したオリゴヌクレオチド18μlを加えた。オリゴヌクレオチドの最終濃度は0.2nM〜100nMの範囲であった。4時間の処置後、細胞をOptiMEMで洗浄し、血清を含有するDMEM100μlを加えた。オリゴヌクレオチド処置後、示した時間の間、細胞を回復させ、その後、COインキュベータから取り出し、15分室温まで平衡化した。高感度カスパーゼ3/7−GloTM試薬(Promega社)100μlを直接細胞に加え、プレートを20分インキュベーションした。Luminoskan Ascent測定器(Thermo Labsystems社)でルミネッセンス(ルシフェラーゼ活性)を記録した。ルシフェラーゼ活性は1秒あたりの相対的光単位(RLU/s)として測定される。Ascentソフトウェア2.4.2を用いてデータを解析した。MS Excelを用いて模擬物に対する誘導倍率のグラフを作成した。
【0155】
トランスフェクション細胞をカスパーゼ3/7阻害剤とインキュベーションすることにより、アポトーシス反応のカスパーゼ3/7特異性を実証した。スタウロスポリン、カンプトテシンまたはタキソール誘導細胞が陽性対照として機能した(図3、6Aおよび表4に加えて実施例21を参照されたい)。
【0156】
【表4】

(アネキシンV−FITCフローサイトメトリー分析)
トランスフェクションの1日前にT25フラスコに0.4×10個のHeLa細胞を播種した。トランスフェクションの当日、細胞を37℃ OptiMEMで1回洗浄し、次に、5μg/mlのリポフェクタミン2000(In vitrogen社)を含有するOptiMEM2.8mlを加えた。細胞を7分インキュベーションし、その後、OptiMEMで希釈したオリゴヌクレオチド700μlを加え、最終濃度を5nMまたは25nMとした。疑似トランスフェクション細胞は対照として機能した。4時間の処置後、細胞をOptiMEMで洗浄し、培地3mlを加えた。オリゴヌクレオチド処置後、細胞を48時間回復させ、その後、剥離により採取し、PBSにて2回洗浄した。0.2×10個の細胞をアネキシンV−FITC 5μlおよびヨウ化プロピジウム10μl(PI−10mg/ml)とインキュベーションし、暗室にて室温で15分インキュベーションした。アネキシンV−FITC添加前の精製組換えアネキシンVとのトランスフェクション細胞のインキュベーションを用いて、染色の特異性および選択性を実証した。さらに、TRAIL(Apo2L)誘導HeLa細胞(0.5μg/ml)を陽性対照として用いた(図4を参照)。
【0157】
(MTSアッセイを用いた増殖性生細胞の測定)
トランスフェクションの前日、DMEM中、透明96ウェルプレート(Scientific Orange no.1472030100)に1ウェルあたり細胞10000個の密度にまで細胞を播種した。翌日、細胞を予め加温したOptiMEMで1回洗浄し、次に、5μg/mlのリポフェクタミン2000(Invitrogen社)を含有するOptiMEM72μlを加えた。細胞を7分インキュベーションし、その後、OptiMEMで希釈したオリゴヌクレオチド18μlを加えた。オリゴヌクレオチドの最終濃度は5nM〜100nMの範囲であった。4時間の処置後、細胞をOptiMEMで洗浄し、DMEMを含有する血清100μlを加えた。オリゴヌクレオチド処置後、示した時間の間、細胞を回復させ、テトラゾリウム化合物[3−(4,5−ジメチル−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;MTS]および電子カップリング試薬(フェナジンエトサルフェート、PES;CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega社)20μlを加えることにより生細胞を測定した。Powerwave(Biotek Instruments社)で490nmおよび650nmにて生細胞を測定した。
【0158】
100%に設定した模擬物に対するオリゴヌクレオチド濃度に対して増殖阻害率ΔOD(490〜650nm)/時をプロットした。MTSアッセイにおいて認められた増殖の最大阻害は70%(最小30%)であった(表5および図5)。
【0159】
【表5】

(実施例14:タキソールを併用した配列番号2によるアポトーシス誘導)
細胞培養:ヒト前立腺癌15PC3細胞(オランダ、AMC、Neurozintuigen LaboratoryのDr.F Baasから寄贈)をT75フラスコ中8×10E5細胞の密度まで播種し、10%FBS、Glutamaxおよびゲンタマイシンを添加したDMEM中で37℃および5%COにて2日間増殖した。播種2日後、リポフェクタミンを用いて最終濃度7.5μg/mlにて2〜10nMの配列番号2を細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションはDeanら(1994,JBC 269 p.16416 16424)が報告しているように実施した。要するに、OptiMEMで希釈したリポフェクタミンと7〜10分間、細胞をインキュベーションし、その後、T75フラスコ1本あたり8.7mlの総容積になるまでオリゴヌクレオチドを加えた。トランスフェクションの4時間後、細胞をOptiMEMで洗浄し、2〜100nMタキソール(Sigma Aldrich社)の添加の有無を問わず、完全増殖培地において37℃で12〜96時間増殖した。mRNA抽出、カスパーゼ3/7アッセイあるいは固定してPIで染色するために細胞を採取し、FACS分析により分析した。
【0160】
カスパーゼ3/7アッセイ:2500〜10000個の範囲の等量の15PC3細胞を示した時間にて遠心分離により採取し、DMEM中、白色96ウェルプレート(Nunc
136101)にて平板培養した。高感度カスパーゼ3/7−GloTM試薬(Promega社)100μlを96ウェル中の細胞に直接加え、プレートを1時間インキュベーションし、その後さらに1分の遅延時間後、Thermo Labsystems社製のLuminoskan Ascent測定器でルミネッセンス(ルシフェラーゼ活性)を記録した。ルシフェラーゼ活性は1秒あたりの相対的光単位(RLU/s)として測定される。Ascentソフトウェア2.4.2でデータを処理し、模擬物に対する誘導倍率のグラフをexcelで作成した。活性型カスパーゼ3/7活性を阻害するカスパーゼ3/7阻害剤とインキュベーションしたトランスフェクション細胞を用いて、アポトーシス反応の特異性を実証した。さらに、スタウロスポリン、カンプトテシンまたはタキソール誘導細胞が陽性対照として機能した。図6を参照されたい。
【0161】
(実施例15:タキソールを併用した配列番号2による細胞周期の分析)
細胞培養およびトランスフェクション:実施例13の通りである。
【0162】
固定およびPI染色:細胞をPBSで洗浄し、採取し、氷冷PBS 100μl中に再懸濁した。900μlの氷冷70%を加え、使用時まで固定細胞を−20に維持した。
【0163】
固定細胞を採取し、PBS 700μl中に再懸濁した(室温)。ホスファート−クエン酸緩衝液(0.19M NaPO、4mMクエン酸 pH7.8)300μlを加え、細胞を室温で5分インキュベーションした。再度、細胞を採取し、PI染色液(PBS(pH7.4)中1mg/mlのRNアーゼA、33mg/mlのヨウ化プロピジウム、0.2%(v/v)Triton−X−100)中で30分インキュベーションした。
【0164】
Becton Dickinson FACS Caliburを用いてFACS分析を行った。
【0165】
配列番号2をトランスフェクションされた15PC3細胞を様々な濃度のタキソールに曝露させ、ヨウ化プロピジウム染色および引き続いてのFACS分析により分析した(図7A〜C)。このアッセイは、G2またはさらにはG4相に捕捉された細胞の増量により、配列番号2とタキソールの相加効果も示す。図7Aおよび7Bに加えて実施例21を参照されたい。
【0166】
(実施例16:インビボモデル:アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置による、インビボで増殖したヒト腫瘍細胞の腫瘍増殖阻害)
モデル:0日目にPC−3ヒト前立腺癌細胞(ECACC)をマトリゲルと混合し、Balb/cA−nu雌マウスの両側腹部に皮下注射した。
【0167】
投薬:スケジュールに従った配列番号2の食塩水、2mg/mlの希釈標準溶液、投与量10ml/kgのタキソールを臨床製剤に用いた。0日目に平均的な動物群の体重に従って動物に投与した。
【0168】
投与:すべてスケジュールに従った腹腔内(図8を参照)または腫瘍内(図9を参照)オリゴヌクレオチド、静脈内タキソール。
【0169】
所見:死亡率(毎日)、体重(1週間に2回)
腫瘍体積:試験の間、腫瘍体積を1週間に2回測定し、式(L×D×0.5)に従って計算する。ここで、Lは最大径、DはL(mm)に垂直な腫瘍径を表す。
【0170】
抗腫瘍活性:処置腫瘍の平均腫瘍重量を対照群と比較する。
【0171】
試験の終了:頸部脱臼により動物を殺処分する。腫瘍、肝臓および脾臓を計量する。
【0172】
(腫瘍の分析)
総RNAの単離:1%メルカプトエタノールを添加したRTL緩衝液(Qiagen社)400μlで約20mgの腫瘍組織を均質化した。製造業者の使用説明書に従ってRNeasyミニキット(Qiagen社)を用いて総RNAを単離した。
【0173】
cDNAの合成:製造業者の使用説明書(Qiagen社)に従ってOmniScript逆転写酵素キットを用いて、第一鎖合成を行った。各試料に対し、総RNA0.5μgを12μlに調整し、ポリ(dT)12−180.2μl(0.5μg/μl)(Life Technologies社)、dNTPミックス2μl(各5mM)、10×RT緩衝液2μl、RNAguardTMRNアーゼ阻害剤0.5μl(33単位/ml、Amersham社)およびOmniScript逆転写酵素1μlと混合し、次に、37℃で60分間インキュベーションし、93℃で5分間熱不活化した。
【0174】
2週間にわたり6回(50μl容量)、腫瘍内に25mg/kgの配列番号2または食塩水を投与した。最終投与の24時間後、サンプリングを行った。発現レベルはmRNAレベルにおいて9個の腫瘍(配列番号2)対8個の腫瘍(食塩水)に確定された。ウェスタンブロット法により個々の腫瘍におけるタンパク質レベルを分析した(図9を参照)。
【0175】
リアルタイムPCR分析:処置および未処置腫瘍の相対的Survivin mRNAレベルを求めるため、作製したcDNAを、BioRad社製のiCyclerを用いて定量PCR分析に用いた。cDNAを5倍に希釈し、8μlを、Platinum定量PCR SuperMix UDG 2×PCRマスターミックス30μl(Invitrogen社)、20×Taqmanプローブおよびプライマーミックス3μl(順方向プライマー:5’−AAGGACCACCGCATCTCTACA−3’(配列番号29)(最終的に0.9μM)、逆方向プライマー:5’−CCAAGTCTGGCTCGTTCTCAGT−3’(配列番号30)(最終的に0.6μM)およびTaqmanプローブ:FAM−5’−CGAGGCTGGCTTCATCCACTGCC−TAMRA−3’(配列番号31)(最終的に0.1μM))並びにHO 19μlを含有するTaqmanプローブ用マスターミックス52μlと混合した。この60μlを2つのウェル(96ウェルプレート)に分散し、各ウェルに25μlとなるようにした。プライマーおよびプローブはProligonucleotide、フランス、から得た。試料調製における差異を基準化するため、製造業者の使用説明書に従って、Applied Biosystems社製(4310884E)の予め展開させたTaqmanアッセイ試薬を用いて内因性GAPDH mRNAを定量化した。アッセイの標準曲線を作成するため、未処置15PC3(SurvivinおよびGAPDHの両方を発現)から合成したcDNAの2倍希釈液を用いた。PCRプログラムは以下の通りであった:50℃で2分、95℃で10分、次に、95℃で15秒、60℃で1分を40サイクル。iCycler iQリアルタイム検出システムソフトウェアを用いて、計算した閾値サイクルからSurvivin mRNAの相対量を求めた。図9を参照されたい。
【0176】
総タンパク質の単離およびウェスタンブロット法:プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche社)を添加した50mM Tris−HCl(pH6.8)、10%グリセロール、2.5%SDS、5mM DTTおよび6M尿素中、Retschホモジナイザーを用いて約50mgの腫瘍組織を均質化した。BCAタンパク質アッセイキット(Pierce社)を用いて総タンパク質濃度を測定した。総タンパク質50μgをMOPS緩衝液中12%Bis−Trisゲル上で泳動させ、製造業者の使用説明書(Invitrogen社)に従ってPVDF膜にブロットした。ブロッキング緩衝液(5%低脂肪粉乳を添加したPBS−T)中での一晩のインキュベーション後、当該膜を1:500希釈率のポリクローナル抗Survivin抗体Novus 500−201で一晩インキュベーションし、次に、1:1000希釈率の抗Bcl(DAKO社)で1時間インキュベーションした。次に、当該膜を二次抗体(DAKO社製の1:1000希釈率のHRP結合二次抗体またはInvitrogen社製のAP結合抗体)でインキュベーションし、発色免疫検出キット(Invitrogen社)または化学ルミネッセンスECL検出キット(Amersham社)を用いて、SurvivinおよびBcl2を可視化した。図9を参照されたい。
【0177】
(実施例17:Survivinアンチセンスオリゴヌクレオチドと放射線のインビトロでの併用)
アポトーシス阻害タンパク質(IAP)Survivinの過剰発現と放射線抵抗性との間の相関を示す、科学文献におけるエビデンスが増加している。さらに、Survivinのダウンレギュレーションはインビトロで癌細胞株に放射線増感を引き起こすことが示されている。
【0178】
Survivinを標的とするリボザイムを発現する構築体を安定的にトランスフェクションされた黒色腫細胞株JR8およびM14のトランスフェクションは、Survivinタンパク質の50〜60%ダウンレギュレーション、カスパーゼ3活性およびヨウ化プロピジウム染色によって測定されるアポトーシスの増加並びにクローン原性アッセイによって生存能の変化として評価されるガンマ線照射への感受性増加(Pennati et al.,2003;J.Invest.Dermatol.120,648−54)を生じた。
【0179】
結腸直腸癌細胞株において、Survivin発現レベルと放射線増感との間の明らかな相関が示されている(Roedel et al.,2003;Int.J.Radiation Oncology Biol.Phys.55,1341−47)。放射線増感が最も低いSW480細胞がSurvivinの最大の自然発現を示した。実際、SW480細胞において、Survivinタンパク質は放射線照射の48時間後、実にアップレギュレートされていた。逆に、Survivin発現は未処置群において低く、放射線増感が最も高い細胞株SW48において照射後に増加しなかった。
【0180】
組換えSurvivinを過剰発現する膵臓MIAPaCa−2癌細胞は、非形質転換細胞より放射線増感が低い。一方、放射線抵抗性膵臓癌細胞株Panc−1はドミナントネガティブSurvivin変異体で形質転換されると、放射線増感およびカスパーゼ3活性を増大させる(Asanuma et al.,2002;Jpn.J.Cancer Res.93,1057−62)。
【0181】
Survivinアンチセンスオリゴヌクレオチドによる肺癌細胞株H460の処置は、インビトロで照射H460細胞の細胞生存能を低下させた(Lu et al.,2004;Cancer Research 64,2840−45)。インビボにおいて、Survivinアンチセンスオリゴヌクレオチドと放射線照射を組み合わせて処置されたヌードマウスにおけるH460異種移植片での腫瘍増殖の遅延は、オリゴヌクレオチドまたは放射線照射単独によって処置されたマウスより大きかった(Cao et al.,2004;Oncogene 23,7047−52)。
【0182】
これらのデータはSurvivinが放射線抵抗性に重要な役割を果たすことを明示し、Survivinのダウンレギュレーションは癌の放射線治療の分野において治療的有益性をもたらし得る。放射線療法に対する癌細胞の増感は照射線量を減少させ、故に重度の副作用を低減し、さらには有効性を高め得る。
【0183】
配列番号2と放射線照射の併用は、U87およびU373細胞(神経膠芽腫)、H460(NSCLC)並びにLS 174 T(結腸癌)細胞を含む種々の細胞株にオリゴヌクレオチドをトランスフェクションし、続いてこれらを放射線照射で処置することにより実施される。その効果は、放射線単独の効果を示す、同じ処置レジメンを受ける疑似トランスフェクション細胞に関係する。照射後、MTTおよびクローン原性アッセイを用いて生存能について細胞を分析する。アポトーシスはカスパーゼ3活性測定、TUNELアッセイおよびHoechst染色により評価する。
【0184】
(実施例18:ヌードマウスにおける皮下U87神経膠芽腫異種移植片でのSurvivinアンチセンスオリゴヌクレオチド配列番号2と分割放射線療法のインビボでの併用)
インビトロで増殖させた2×10個のU87細胞を6〜7週齢の雄NMRI nu/nuマウスの右側腹部に注入した。腫瘍が平均サイズ200mmに達したとき、配列番号2、負の対照のオリゴヌクレオチド配列番号24または0.9%Nacl(食塩水)で腹腔内投与にて動物を処置した。オリゴヌクレオチドは20mg/kg/処置日にて生理食塩水として注射した。
【0185】
各々マウス8匹を含む次の群を試験に含めた:
1.0.9%NaCl 腹腔内
2.配列番号2 腹腔内
3.配列番号24 腹腔内
4.配列番号2 腹腔内+放射線療法
5.配列番号24 腹腔内+放射線療法
6.0.9%NaCl 腹腔内+放射線療法。
【0186】
下記の処置スキームに従って4日での4分割で、2つの対向側面照射野として前後に単回線量3Gyとして放射線療法を行った。放射線療法の間、ketalarおよびrompunで動物を麻酔した。放射線療法を受けない動物を同様に麻酔した。
【0187】
【表6】

ノギスを用いて2つの垂直測定値(dおよびd)により腫瘍増殖を測定した。次の式に従って腫瘍体積[V(t)]を計算した。
V(t)=0.35(d(t)×d(t))3/2
腫瘍増殖は腫瘍が1000mmサイズに達するまで測定した。
【0188】
全動物の体重は処置開始時に測定し、以後、1週間に1回測定した。
【0189】
(実施例19:齧歯動物およびカニクイザルにおける配列番号2に関する前臨床GLP毒性試験)
配列番号2では前臨床毒性試験において特に以下が見出された。
【0190】
マウスでの静注急性毒性試験において最大非致死量は1000mg/kgであることが見出された。
【0191】
ラットでの静注急性毒性試験において最小致死量は1000mg/kgであることが見出された。
【0192】
カニクイザルでの静注MTD試験において、顕著な臨床徴候は認められなかったが、肝臓および腎臓毒性のエビデンスはすべての動物において明らかであった。2週間にわたり最大用量が160mg/kg×3(総用量930mg/kg)または120mg/kg×5となる用量漸増デザインで動物を処置した。
【0193】
カニクイザルでの静注4週反復投与毒性試験において、4週間で週2回、0、6、15および60mg/kg/回の用量で配列番号2を投与した。0、15または60mg/kg/回を投与される動物群において、処置を行わずに4週の回復期間の間、一部の動物を追跡調査した。
【0194】
肝臓および腎臓試料を含む組織を急速凍結し、引き続いての分析のために−70℃で保存した。
【0195】
(実施例20:カニクイザル組織におけるオリゴヌクレオチド含量)
試料調製:肝臓および腎臓組織からの抽出
化学物質/試薬:
プロテイナーゼK(25.1mg/ml):Sigma P4850。
【0196】
10mM Tris、pH:8.0、1mM EDTAで飽和したフェノール−クロロホルム−イソアミル−アルコール(25:24:1(v/v/v):Sigma P2069。
【0197】
Igepal CA−630:Sigma、I8896。
【0198】
抽出緩衝液:0.5%Igepal CA−630、25mM Tris、pH8.0、25mM EDTA、100mM NaCl、pH8.0(1N NaOHで調製)
抽出緩衝液中1mg/mlのプロテイナーゼK:各抽出前に精製。
【0199】
組織(約100mg)を秤量する(秤量前後、組織はドライアイス上に維持する)。プロテイナーゼK(1mg/ml)を含有する抽出緩衝液500μlを加える。組織を機械的に均質化し、37℃で一晩ホモジネートをインキュベーションする。
【0200】
配列番号2を適切な濃度範囲にて抽出緩衝液に溶解することにより、基準試料を調製する。未処置動物由来の肝臓組織100mgを正確に秤量する(秤量前後、ドライアイス上に維持)。基準物質を含有する抽出緩衝液(プロテイナーゼK、1mg/mlを含有)を組織試料に加え、総容量0.5mlとする。組織を機械的に均質化し、37℃で一晩インキュベーションする。これらの試料からの配列番号2の検出シグナルを用いて、処置動物に見出される最小および最大濃度に及ぶ標準曲線を作成する。
【0201】
組織試料をネジキャップが付いた2mlのマイクロチューブに移す。5分強く振盪した後、フェノール−クロロホルム−イソアミル−アルコール(25:24:1(v/v/v)1mlを加える。4000RPMにて15分の遠心分離により相分離がなされる。水相(上部相)を新たなチューブ(エバポレータと適合する)に移し、有機相(第一の抽出由来の残渣)にMilli−Q−HO 500μlを加える。4000RPMにて15分の遠心分離後、再度5分チューブを強く撹拌する(115号室におけるSAN039)。水相(第一の抽出および洗浄からの水相)を貯留し、蒸発させて乾燥する(窒素下80℃)。4000RPMにて15分の遠心分離後、残渣を200μl Milli−Q水で再構成する。分析のために試料をHPLCバイアルに移す。
【0202】
肝臓および腎臓組織におけるオリゴヌクレオチドのHPLC分析:抽出に続いてイオン交換HPLCにより配列番号2を分析する。
【0203】
カラム:Dionex、DNA pac PA100:2×50mm(ガード)、2×250mm(分析)
カラム温度:42℃
注入容量:50μl
洗浄溶剤:Milli−Q−H
浄化溶剤:Milli−Q−H
検出:紫外線、260nm
溶剤:
緩衝液A:1mM EDTA、20mM TRIS−Cl、10mM NaClO、pH:7.6(1N NaOH)
緩衝液B:1mM EDTA、20mM TRIS−Cl、1M NaClO、pH:7.6(1N NaOH)
図10Aおよび10Bを参照されたい。
【0204】
(実施例21:結果の概要)
【0205】
【表7】

配列番号2はBcl−2のダウンレギュレーションをもたらすが、これは負の対照では見出されない。
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【数14】

【数15】

【数16】

【数17】

【数18】

【数19】

【数20】

【数21】

【数22】

【数23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−184262(P2012−184262A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−141143(P2012−141143)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【分割の表示】特願2007−539462(P2007−539462)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(504013269)サンタリス ファーマ アー/エス (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【出願人】(508018141)エンゾン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】