MIMO信号処理方法、装置およびシステム
【課題】MIMO信号処理方法、装置およびシステムを提供する。
【解決手段】本発明に係る方法は、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを含む。本発明によれば、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行うことで、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【解決手段】本発明に係る方法は、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを含む。本発明によれば、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行うことで、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多入力多出力(MIMO:Multiple Input and Multiple Output)技術に関し、特に、MIMO信号処理方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の移動通信は、伝送レート、性能およびシステム容量などにおいて無線通信システムに対する要求がさらに高まる。MIMOシステムでは、送信側および受信側ともマルチアンテナ構成を採用することで、システム容量、データ伝送の信頼性、および周波数利用効率が倍的に向上でき、高い伝送レートおよび大きなシステム容量の要求が満たされる。これにより、空間ダイバーシティ利得または多重化利得を充分に利用して、通信システムの性能を向上させることができる。従って、MIMOシステムに関連する技術、即ちMIMO技術は、既に現在の移動通信分野の研究の焦点の1つになっている。
【0003】
MIMOシステムにおいて、時空間符号(STC:Space‐Time Code)がよくある信号処理方式である。時空間符号のポイントは、異なる時点に、異なるアンテナで、複数の信号を送信し、異なるアンテナおよび異なる時点でのシンボルに対して時空間コーディングを行うことによって、システム性能の向上を得ることである。図1は従来の時空間符号に基づくMIMO信号処理プロセスを示す図である。図1を参照すると、送信側は、まず、処理対象の信号に対して変調処理を行い、次に、変調後の処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディングを行って、即ち、処理対象の信号内の各シンボルを、用いられた時空間符号の方式で再構成して、コーディング後の信号を得る。図1の処理を完成した後、送信側は、コーディング後の信号を複数の送信アンテナに割り当てて、送信側と受信側との間のチャネルを介して伝送する。受信側は、送信側からの信号を受信した後、線形ゼロフォーシング検出器または線形最小平均二乗誤差検出器を用いて、受信された信号を処理して、送信側のコーディング前の処理対象の信号の推定信号を得る。上記のMIMO信号処理は、時空間符号によってダイバーシティ利得および/または多重化利得を得ることができ、さらにMIMOシステム性能を向上させることができる。しかし、伝送キャリアであるチャネルは、信号伝送の間に、送信側からのコーディング後の信号に比較的に大きな影響を与えるが、時空間符号に基づくMIMO信号処理の間には、チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)が考慮されておらず、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)が比較的に高いため、システム性能の劣化を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況に対して、現在、コードブックに基づくビーム形成処理方法が提案された。少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、受信側は、チャネル測定結果に基づいてコードブック集合から適切なコードワードを選択し、選択されたコードワード情報を送信側に送信し、送信側は、受信側で選択されたコードブックを用いて、変調後の処理対象の信号に対してコーディングを行って、各送信アンテナに割り当てて送信する。このようなコードブックに基づくビーム形成処理方法は、ビット誤り率性能または容量性能をある程度で向上させることができるが、コードブックの選択が準固定(quasi‐fixed)チャネルを基礎とする結果であり、低速移動以外の環境において、チャネル状態の変化が比較的に速いため、受信側で選択されたコードブックは現在のチャネル状態を反映できず、MIMOシステム性能の劣化を招く。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理方法を提供している。
【0006】
本発明のMIMO信号処理方法は、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う、ことを含む。
【0007】
ここで、前記少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定することは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて、前記コードブック集合を設定する、ことを含む。
【0008】
ここで、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う前に、前記受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信し、送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行し、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを実行する、ことをさらに含む。
【0009】
好ましくは、当該方法は、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定することをさらに含み、前記測定結果に基づいてコーディングモードを決定することは、前記測定結果に基づいて前記受信側の移動速度状態を決定し、前記対応関係から、決定された移動速度状態に対応するコーディングモードを検索することを含む。
【0010】
ここで、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係は、前記受信側が低速移動状態にあることが、コードブックに基づくプリコーディングに対応し、前記受信側が中速移動状態または高速移動状態にあることが、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングに対応する、ことを含む。
【0011】
ここで、前記プリコーディングが前記空間特性に基づくコーディングの後に実行される場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことは、前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと、空間特性に基づくコーディング結果とを乗算する、ことを含む。
【0012】
ここで、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行することは、前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと前記処理対象の信号とを乗算する、ことを含む。
【0013】
好ましくは、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う前に、最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、または最大チャネル容量の原則に従って、チャネル状態測定結果に基づいて、前記コードブック集合から前記受信側で選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を受信し、前記コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを決定する、ことをさらに含む。
【0014】
ここで、前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングである。
【0015】
本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理装置を提供している。
【0016】
本発明のMIMO信号処理装置は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0017】
ここで、当該装置は、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、をさらに含み、前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。
【0018】
また、本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できる別のMIMO信号処理装置を提供している。
【0019】
本発明のMIMO信号処理装置は、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
【0020】
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間コーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0021】
好ましくは、当該装置は、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して当該コードブックフィードバック情報を前記プリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、をさらに含み、前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。
【0022】
ここで、前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングである。
【0023】
また、本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理システムを提供している。
【0024】
本発明のMIMO信号処理システムは、処理対象の信号に対して時空間符号、空間周波数符号または時空間周波数符号に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う送信側と、前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する受信側と、を含む。
【0025】
1つの実施例では、前記送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0026】
別の実施例では、前記送信側は、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0027】
好ましくは、前記受信側は、予め設定された前記受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する記憶モジュールと、前記受信側の移動速度に対して測定を行う移動速度測定モジュールと、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と読み取られた対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信するコーディングモード決定モジュールと、前記コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報を前記送信側に送信する通信モジュールと、を含む。
【0028】
好ましくは、前記受信側は、現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信するチャネル状態測定モジュールと、受信されたチャネル状態測定結果に基づいて、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択するコードブック選択モジュールと、をさらに含み、前記通信モジュールは、さらに、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する。
【発明の効果】
【0029】
上記の解決手段からわかるように、本発明では、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行う。コードブック集合内のコードブックがチャネル状態を反映することができるため、プリコーディング処理は実際に、処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、比較的に良い現在の等価チャネルを選択することで、MIMOシステム性能を向上させるものである。それとともに、空間特性に基づくコーディングによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得ることができるため、本発明は、信号伝送の品質を効果的に向上させ、BERを低減することができる。なお、受信側が高速移動状態にあるとき、チャネル状態の変化が比較的に速いが、時空間符号に基づくコーディングによる性能補足で、本発明は、高速の場合でもシステム性能を保証することができる。従って、上記のMIMO信号処理方式は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の時空間符号に基づくMIMO信号処理プロセスを示す図である。
【図2】本発明に係るMIMO信号処理方法の例示的なフローチャートである。
【図3】本発明に係るMIMO信号処理システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理装置である送信側の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る受信側の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理方法と、時空間符号に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングのそれぞれとの間の性能比較のシミュレーション図である。
【図8】本発明の実施例2に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係るMIMO信号処理装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例2に係る受信側の構成を示す図である。
【図11】異なる移動速度状態で、本実施例に係るMIMO信号処理方法と、コードブックに基づくプリコーディングとの間の性能比較のシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、解決手段をさらに明確にするために、以下、図面を参照して実施例を挙げながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0032】
本発明では、MIMO信号処理を行うとき、まず、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディングを行い、次に、受信側で予め選択されたコードブックを用いてプリコーディング処理を行う。
【0033】
図2は本発明に係るMIMO信号処理方法の例示的なフローチャートである。図2を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0034】
ステップ201で、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定する。
【0035】
ステップ202で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う。
【0036】
図3は本発明に係るMIMO信号処理システムの構成を示す。図3を参照すると、当該システムは、送信側と受信側とを含む。ここで、送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う。受信側は、前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する。ここでの送信側は基地局のようなネットワーク機器であってよく、受信側は移動端末のような端末機器であってよい。
【0037】
上記の説明からわかるように、本発明では、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行う。コードブック集合内のコードブックがチャネル状態を反映することができるため、プリコーディング処理は実際に、処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、比較的に良い現在の等価チャネルを選択することで、MIMOシステム性能を向上させるものである。それとともに、空間特性に基づくコーディングによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得ることができるため、本発明は、信号伝送の品質を効果的に向上させ、BERを低減することができる。なお、受信側が高速移動状態にあるとき、チャネル状態の変化が比較的に速いが、時空間符号に基づくコーディングによる性能補足で、本発明は、高速の場合でもシステム性能を保証することができる。従って、上記のMIMO信号処理方式は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【0038】
なお、本発明では、処理対象の信号の受信側の移動速度に基づいてモード切替を行うようにしてもよい。即ち、低速移動状態では、受信側で選択されたコードブックを用いて、処理対象の信号に対してプリコーディング処理を行い、中速移動状態または高速移動状態では、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行ってから、プリコーディング処理を行う。このように、各種の移動速度状態での比較的に良いBER性能を得、MIMOシステム性能を保証できるだけでなく、低速移動状態で時空間符号に基づくコーディングが省略されるため、計算複雑度を比較的に低くすることができる。
【0039】
本発明では、いかなるタイプの時空間符号、空間周波数符号、および時空間周波数符号も使用することができ、コードブックフィードバックビット数に基づいてコードブック集合内のコードブック数を予め設定するようにしてもよい。
【0040】
以下、2つの実施例によって本発明の解決手段を説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例では、送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う上に、受信側の協力でコーディング処理後の処理対象の信号に対してコードブックに基づくプリコーディングを行う。以下、時空間符号を例として説明する。
【0042】
図4は本実施例に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。図4を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0043】
ステップ401で、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて、コードブック集合を設定する。
【0044】
本実施例では、MIMOシステムの伝送性能要求に基づいて、例えば、1ビット(bit)、2ビットなどのようなコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)を設定するようにしてもよい。コードブック集合内のコードブック数がMであり、コードブックフィードバックビット数がnであることを仮定すると、M=2nになる。ここからわかるように、コードブックフィードバックビット数が大きいほど、コードブック集合内のコードブック数も多くなり、チャネル状態を正確に反映するコードブックが受信側で検索された確率も大きくなる。
【0045】
操作の便宜上、送信側と受信側とに同じコードブック集合が記憶され、当該コードブック集合内の各コードブックはいずれも行数と列数とが送信アンテナ数に等しい行列形式を用いる。そして、各コードブックはいずれも一意に識別できるコードブック番号を有する。
【0046】
ステップ402で、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理を行って、時空間符号のコーディング結果を得る。
【0047】
本実施例では、送信側で使用される時空間符号のタイプを予め決定し、そして、本ステップでコーディング処理を行うとき、決定された時空間符号のタイプおよび送信アンテナ数に従って、処理対象の信号を再構成するようにしてもよい。これにより、時空間符号のコーディング結果内の各列のシンボルが、異なるアンテナで同時に送信され、即ち、時空間符号の列数が送信アンテナ数に等しい。ここでの処理対象の信号は、変調処理後のMIMO信号であってよい。
【0048】
仮に、変調処理後の信号が[s1,s2,s3,s4]であり、あわせて4本の送信アンテナが存在することを仮定する。予め決定された時空間符号のタイプが対角ABBA(Diagonal ABBA)時空間符号である場合、時空間符号に基づくコーディング処理後の信号は
【数1】
になり、ここで、(・)*は括弧内の要素の共役をとることを表す。時空間符号のタイプが二重時空間送信ダイバーシティ(DSTTD)時空間符号である場合、時空間符号に基づくコーディング処理後の信号は
【数2】
になる。もちろん、本分野のほかのタイプの時空間符号、例えば、準直交時空間符号(quasi‐orthogonal space‐time code)、スレッド代数時空間符号(threaded algebraic space‐time code)、線形分散符号(linear dispersion code)なども、本ステップに使用されるようにしてもよい。
【0049】
なお、本ステップでは、時空間符号の代わりに、空間周波数符号または時空間周波数符号を用いて、空間特性に基づくコーディングを行うようにしてもよい。
【0050】
ステップ403で、受信側からのコードブックフィードバック情報に基づいて、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを用いて、時空間符号のコーディング結果に対してプリコーディングを行う。
【0051】
コードブックによってチャネル状態をなるべく正確に反映できるために、本実施例では、送信側でプリコーディングを行う前に、受信側は、チャネル状態の測定を行って、チャネル状態測定結果に基づいて、予め設定されたコードブック集合から、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択する。ここでの選択原則は、最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、最大チャネル容量などであってよい。例えば、コードブック選択原則が最大の最小信号対雑音比であることを仮定すると、受信側は、本ステップで、チャネル状態測定結果に基づいて、各コードブックに対応する最小信号対雑音比を算出して、最小信号対雑音比が最大となるコードブックを選択する。なお、受信側のチャネル状態測定およびコードブック選択と、上記ステップ402における時空間符号、空間周波数符号、または時空間周波数符号に基づくコーディング処理との間に、時間上での厳しい順序がない。
【0052】
その後、受信側は、選択されたコードブックに対応するコードブック番号をコードブックフィードバック情報として送信側に送信する。送信側には受信側と同じコードブック集合が記憶されたため、受信側から伝送されたコードブックフィードバック情報内のコードブック番号に基づいて、受信側で選択されたコードブックをコードブック集合から検索することができる。その後、送信側は、選択されたコードブックと、時空間符号のコーディング結果、空間周波数符号のコーディング結果、または時空間周波数符号のコーディング結果とを乗算して、本実施例に係るMIMO信号処理プロセスを完成する。
【0053】
図5は本実施例に係るMIMO信号処理装置である送信側の構成を示す。図5を参照すると、当該装置は、空間コーディングモジュールとプリコーディングモジュールとを含む。ここで、空間コーディングモジュールは、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディング処理を行う。プリコーディングモジュールは、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行う。さらに、当該MIMO信号処理装置は、記憶モジュールと通信モジュールとを含む。通信モジュールは、受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する。前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。本実施例に係るMIMO信号処理装置は、処理対象の信号を変調して空間コーディングモジュールに送信する変調モジュールを、さらに含むようにしてもよい。
【0054】
図6は本実施例に係る受信側の構成を示す。図6を参照すると、当該受信側は、記憶モジュールと、コードブック選択モジュールと、通信モジュールと、チャネル状態測定モジュールと、を含む。ここで、記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する。チャネル状態測定モジュールは、現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信する。コードブック選択モジュールは、記憶モジュールからコードブック集合を読み取り、受信されたチャネル状態測定結果に基づいて測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択する。通信モジュールは、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する。
【0055】
図7は、本実施例に係るMIMO信号処理方法と、時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングのそれぞれとの間の性能比較のシミュレーション図である。なお、今回のシミュレーションでは、最大の最小信号対雑音比の原則に基づいてコードブックを選択する。図7を参照すると、横軸はデシベル(dB)を単位とする信号対雑音比(Es/N0)であり、縦軸はBERである。四角印の線は、DSTTD時空間符号に基づくコーディング処理方式を表す。三角印の線は、コードブック集合に1つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディング方式を表す。五角星印の線は、コードブック集合に2つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディング方式を表す。丸印の線は、本実施例に係るMIMO信号処理方法、即ち、DSTTD時空間符号に基づくコーディング処理と、コードブック集合に1つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディングとを組合せた方式を表す。図7からわかるように、本実施例に係るMIMO信号処理方法に対応するBERは、従来の単純な時空間符号に基づくコーディング処理方式、および単純なコードブックに基づくプリコーディング方式より明らかに低い。そして、Es/N0が大きいほど、BERの低下程度が明らかになり、即ち、MIMOシステム性能の改善程度が大きくなる。
【0056】
上記の説明からわかるように、本実施例では、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行うことによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得る。そして、受信側で選択されたコードブックWによって、チャネル行列をHからHWに変更する。低速移動状態では、空間特性に基づくコーディングによるダイバーシティ利得または多重化利得、およびコードブックによるチャネル影響の低減によって、送信側と受信側との間のMIMO信号伝送の正確性を確実に保証することができるため、比較的に低いBERを得、単純な空間特性に基づくコーディングに比べて、より高いシステム性能を有する。高速移動状態では、チャネル影響の低減に対するコードブックの役割が有限であるが、空間特性に基づくコーディングによるダイバーシティ利得または多重化利得が、コードブックを用いたプリコーディング方式より優れるため、本実施例では比較的に低いBERを得ることができ、より高いシステム性能を得ることができる。ここからわかるように、本実施例に係る解決手段は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【0057】
(実施例2)
本実施例では、受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、移動速度測定結果に基づいて信号処理モードを決定して、送信側に通知する。送信側は、受信側で決定された信号処理モードに従って、低速移動状態でコードブックに基づくプリコーディングを行い、または、中速移動状態および高速移動状態で空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングを行う。
【0058】
以下、時空間符号を例として説明する。
【0059】
図8は本実施例に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。図8を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0060】
ステップ801で、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定し、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて、コードブック集合を設定する。
【0061】
本実施例では、受信側の移動速度とコーディングモードとの対応関係は、例えば、低速移動状態で、送信側は処理対象の信号に対してコードブックに基づくプリコーディングを行い、中速移動状態および高速移動状態で、送信側は処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングを行うことであってよい。
【0062】
本ステップでは、実施例1のステップ401と同じ方式でコードブック集合を設定する。
【0063】
ステップ802で、受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果と、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信する。
【0064】
本ステップでは、受信側は、まず、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいて、受信側が低速移動状態にあるか、中速移動状態にあるか、それとも高速移動状態にあるかを決定する。その後、受信側は、決定された移動速度状態に基づいて、上記対応関係から対応のコーディングモードを検索してから、送信側で当該コーディングモードに基づいて信号処理を実行できるように、コーディングモード情報を送信側に送信する。
【0065】
本実施例では、コーディングモードに対して番号を付けるようにしてもよい。この場合、受信側は、コーディングモードを決定した後、決定されたコーディングモードに対応する番号を送信側に送信し、送信側は、受信されたコーディングモード番号に基づいて具体的なコーディングモードを得る。
【0066】
ステップ803で、送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、ステップ805に進み、時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、ステップ804に進む。
【0067】
ステップ804で、送信側は、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理を行って、時空間符号のコーディング結果を得る。
【0068】
本ステップの処理は、実施例1のステップ402の処理と同じである。
【0069】
ステップ805で、送信側は、受信側からのコードブックフィードバック情報に基づいて、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを用いて、プリコーディングを行う。
【0070】
受信側で決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、本ステップのプリコーディング対象は、時空間符号に基づくコーディング処理が行われていない処理対象の信号である。受信側で決定されたコーディングモードが時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、本ステップのプリコーディング対象は、上記ステップ804の時空間符号のコーディング結果である。
【0071】
プリコーディング対象を考慮しない場合で、本ステップのプリコーディング処理は、実施例1のステップ403のプリコーディング処理と同じである。
【0072】
ここまで、本実施例に係るMIMO信号処理プロセスを終了する。
【0073】
本実施例では、上記の時空間符号の代わりに、空間周波数符号または時空間周波数符号を用いて、空間特性に基づくコーディングを行うようにしてもよい。
【0074】
図9は本実施例に係るMIMO信号処理装置の構成を示す。図9を参照すると、当該装置は、記憶モジュールと、コーディングモード識別モジュールと、空間コーディングモジュールと、プリコーディングモジュールと、通信モジュールと、を含む。言い換えれば、本実施例では、図5に加えて、コーディングモード識別モジュールが追加される。これらモジュールの中で、コーディングモード識別モジュールは、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディング処理の実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示する。空間コーディングモジュールは、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディング処理を行う。プリコーディングモジュールは、予め設定されたコードブック集合から処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行う。記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する。通信モジュールは、受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する。さらに、プリコーディングモジュールは、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。もちろん、本実施例に係るMIMO信号処理装置は、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号を変調して、空間コーディングモジュールまたはプリコーディングモジュールに送信する変調モジュールをさらに含むようにしてもよい。
【0075】
図10は本実施例に係る受信側の構成を示す。図10を参照すると、当該受信側は、記憶モジュールと、移動速度測定モジュールと、コーディングモード決定モジュールと、チャネル状態測定モジュールと、コードブック選択モジュールと、通信モジュールと、を含む。即ち、本実施例の受信側は、図6に加えて、移動速度測定モジュールおよびコーディングモード決定モジュールが追加される。本実施例の記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶し、かつ予め設定された受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する。移動速度測定モジュールは、本受信側の移動速度に対して測定を行う。コーディングモード決定モジュールは、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信する。チャネル状態測定モジュールおよびコードブック選択モジュールは、図6と同じである。通信モジュールは、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する以外に、コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報も送信側に送信する。
【0076】
図11は、異なる移動速度状態で、コードブックに基づくプリコーディングと、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングを組合せたMIMO信号処理方法との間の性能比較のシミュレーション図である。図11を参照すると、横軸はdBを単位とするSNRであり、縦軸はBERである。ここで、星印の実線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。四角印の実線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。丸印の実線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。菱形の実線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。三角印の実線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。四角印の点線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。丸印の点線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。五角星印の実線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。三角印の点線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。図11のシミュレーションからわかるように、移動速度および信号対雑音比が同じである場合、実施例2の方法によれば、コードブックに基づくプリコーディング方式と同じBER、またはより優れるBERを得ることができる。
【0077】
本実施例では、受信側の移動速度状態によって送信側のコーディング方式を区別する。低速移動状態では、チャネル状態の変化が比較的に遅いため、チャネルによる信号への影響をコードブックだけで改善することができる。このような状態で、時空間符号に基づくコーディング処理を省略するようにしてもよい。中速移動状態および高速移動状態では、コードブックがチャネルフィードバック遅延に敏感であることを考慮すると、システム性能の要求を完全に満たすことができないため、時空間符号に基づくコーディング処理を用いて、伝送品質をさらに改善することにより、MIMOシステム性能を保証する。ここからわかるように、本実施例によれば、各種の移動速度状態でもMIMOシステム性能を保証できるだけでなく、コーディングモードを適切に選択することができる。時空間符号に基づくコーディング処理を省略する場合で、送信側の操作を簡略化し、MIMO信号処理の複雑度を低減することができる。
【0078】
上記2つの実施例は時空間符号のみを例として説明しているが、本分野の各種類の空間周波数符号および時空間周波数符号で、上記の時空間符号を替えることができる。
【0079】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神と原則内で行われる種々の修正、均等置換え、改善などは全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は多入力多出力(MIMO:Multiple Input and Multiple Output)技術に関し、特に、MIMO信号処理方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の移動通信は、伝送レート、性能およびシステム容量などにおいて無線通信システムに対する要求がさらに高まる。MIMOシステムでは、送信側および受信側ともマルチアンテナ構成を採用することで、システム容量、データ伝送の信頼性、および周波数利用効率が倍的に向上でき、高い伝送レートおよび大きなシステム容量の要求が満たされる。これにより、空間ダイバーシティ利得または多重化利得を充分に利用して、通信システムの性能を向上させることができる。従って、MIMOシステムに関連する技術、即ちMIMO技術は、既に現在の移動通信分野の研究の焦点の1つになっている。
【0003】
MIMOシステムにおいて、時空間符号(STC:Space‐Time Code)がよくある信号処理方式である。時空間符号のポイントは、異なる時点に、異なるアンテナで、複数の信号を送信し、異なるアンテナおよび異なる時点でのシンボルに対して時空間コーディングを行うことによって、システム性能の向上を得ることである。図1は従来の時空間符号に基づくMIMO信号処理プロセスを示す図である。図1を参照すると、送信側は、まず、処理対象の信号に対して変調処理を行い、次に、変調後の処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディングを行って、即ち、処理対象の信号内の各シンボルを、用いられた時空間符号の方式で再構成して、コーディング後の信号を得る。図1の処理を完成した後、送信側は、コーディング後の信号を複数の送信アンテナに割り当てて、送信側と受信側との間のチャネルを介して伝送する。受信側は、送信側からの信号を受信した後、線形ゼロフォーシング検出器または線形最小平均二乗誤差検出器を用いて、受信された信号を処理して、送信側のコーディング前の処理対象の信号の推定信号を得る。上記のMIMO信号処理は、時空間符号によってダイバーシティ利得および/または多重化利得を得ることができ、さらにMIMOシステム性能を向上させることができる。しかし、伝送キャリアであるチャネルは、信号伝送の間に、送信側からのコーディング後の信号に比較的に大きな影響を与えるが、時空間符号に基づくMIMO信号処理の間には、チャネル状態情報(CSI:Channel State Information)が考慮されておらず、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)が比較的に高いため、システム性能の劣化を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況に対して、現在、コードブックに基づくビーム形成処理方法が提案された。少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、受信側は、チャネル測定結果に基づいてコードブック集合から適切なコードワードを選択し、選択されたコードワード情報を送信側に送信し、送信側は、受信側で選択されたコードブックを用いて、変調後の処理対象の信号に対してコーディングを行って、各送信アンテナに割り当てて送信する。このようなコードブックに基づくビーム形成処理方法は、ビット誤り率性能または容量性能をある程度で向上させることができるが、コードブックの選択が準固定(quasi‐fixed)チャネルを基礎とする結果であり、低速移動以外の環境において、チャネル状態の変化が比較的に速いため、受信側で選択されたコードブックは現在のチャネル状態を反映できず、MIMOシステム性能の劣化を招く。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理方法を提供している。
【0006】
本発明のMIMO信号処理方法は、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う、ことを含む。
【0007】
ここで、前記少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定することは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて、前記コードブック集合を設定する、ことを含む。
【0008】
ここで、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う前に、前記受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信し、送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行し、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを実行する、ことをさらに含む。
【0009】
好ましくは、当該方法は、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定することをさらに含み、前記測定結果に基づいてコーディングモードを決定することは、前記測定結果に基づいて前記受信側の移動速度状態を決定し、前記対応関係から、決定された移動速度状態に対応するコーディングモードを検索することを含む。
【0010】
ここで、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係は、前記受信側が低速移動状態にあることが、コードブックに基づくプリコーディングに対応し、前記受信側が中速移動状態または高速移動状態にあることが、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングに対応する、ことを含む。
【0011】
ここで、前記プリコーディングが前記空間特性に基づくコーディングの後に実行される場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことは、前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと、空間特性に基づくコーディング結果とを乗算する、ことを含む。
【0012】
ここで、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行することは、前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと前記処理対象の信号とを乗算する、ことを含む。
【0013】
好ましくは、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う前に、最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、または最大チャネル容量の原則に従って、チャネル状態測定結果に基づいて、前記コードブック集合から前記受信側で選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を受信し、前記コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを決定する、ことをさらに含む。
【0014】
ここで、前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングである。
【0015】
本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理装置を提供している。
【0016】
本発明のMIMO信号処理装置は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0017】
ここで、当該装置は、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、をさらに含み、前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。
【0018】
また、本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できる別のMIMO信号処理装置を提供している。
【0019】
本発明のMIMO信号処理装置は、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
【0020】
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間コーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0021】
好ましくは、当該装置は、予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して当該コードブックフィードバック情報を前記プリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、をさらに含み、前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。
【0022】
ここで、前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングである。
【0023】
また、本発明は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証できるMIMO信号処理システムを提供している。
【0024】
本発明のMIMO信号処理システムは、処理対象の信号に対して時空間符号、空間周波数符号または時空間周波数符号に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う送信側と、前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する受信側と、を含む。
【0025】
1つの実施例では、前記送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0026】
別の実施例では、前記送信側は、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、を含む。
【0027】
好ましくは、前記受信側は、予め設定された前記受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する記憶モジュールと、前記受信側の移動速度に対して測定を行う移動速度測定モジュールと、前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と読み取られた対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信するコーディングモード決定モジュールと、前記コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報を前記送信側に送信する通信モジュールと、を含む。
【0028】
好ましくは、前記受信側は、現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信するチャネル状態測定モジュールと、受信されたチャネル状態測定結果に基づいて、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択するコードブック選択モジュールと、をさらに含み、前記通信モジュールは、さらに、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する。
【発明の効果】
【0029】
上記の解決手段からわかるように、本発明では、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行う。コードブック集合内のコードブックがチャネル状態を反映することができるため、プリコーディング処理は実際に、処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、比較的に良い現在の等価チャネルを選択することで、MIMOシステム性能を向上させるものである。それとともに、空間特性に基づくコーディングによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得ることができるため、本発明は、信号伝送の品質を効果的に向上させ、BERを低減することができる。なお、受信側が高速移動状態にあるとき、チャネル状態の変化が比較的に速いが、時空間符号に基づくコーディングによる性能補足で、本発明は、高速の場合でもシステム性能を保証することができる。従って、上記のMIMO信号処理方式は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の時空間符号に基づくMIMO信号処理プロセスを示す図である。
【図2】本発明に係るMIMO信号処理方法の例示的なフローチャートである。
【図3】本発明に係るMIMO信号処理システムの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理装置である送信側の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る受信側の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例1に係るMIMO信号処理方法と、時空間符号に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングのそれぞれとの間の性能比較のシミュレーション図である。
【図8】本発明の実施例2に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係るMIMO信号処理装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例2に係る受信側の構成を示す図である。
【図11】異なる移動速度状態で、本実施例に係るMIMO信号処理方法と、コードブックに基づくプリコーディングとの間の性能比較のシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の目的、解決手段をさらに明確にするために、以下、図面を参照して実施例を挙げながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0032】
本発明では、MIMO信号処理を行うとき、まず、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディングを行い、次に、受信側で予め選択されたコードブックを用いてプリコーディング処理を行う。
【0033】
図2は本発明に係るMIMO信号処理方法の例示的なフローチャートである。図2を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0034】
ステップ201で、少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定する。
【0035】
ステップ202で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う。
【0036】
図3は本発明に係るMIMO信号処理システムの構成を示す。図3を参照すると、当該システムは、送信側と受信側とを含む。ここで、送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う。受信側は、前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する。ここでの送信側は基地局のようなネットワーク機器であってよく、受信側は移動端末のような端末機器であってよい。
【0037】
上記の説明からわかるように、本発明では、空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せて、処理対象の信号に対して二重処理を行う。コードブック集合内のコードブックがチャネル状態を反映することができるため、プリコーディング処理は実際に、処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、比較的に良い現在の等価チャネルを選択することで、MIMOシステム性能を向上させるものである。それとともに、空間特性に基づくコーディングによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得ることができるため、本発明は、信号伝送の品質を効果的に向上させ、BERを低減することができる。なお、受信側が高速移動状態にあるとき、チャネル状態の変化が比較的に速いが、時空間符号に基づくコーディングによる性能補足で、本発明は、高速の場合でもシステム性能を保証することができる。従って、上記のMIMO信号処理方式は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【0038】
なお、本発明では、処理対象の信号の受信側の移動速度に基づいてモード切替を行うようにしてもよい。即ち、低速移動状態では、受信側で選択されたコードブックを用いて、処理対象の信号に対してプリコーディング処理を行い、中速移動状態または高速移動状態では、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行ってから、プリコーディング処理を行う。このように、各種の移動速度状態での比較的に良いBER性能を得、MIMOシステム性能を保証できるだけでなく、低速移動状態で時空間符号に基づくコーディングが省略されるため、計算複雑度を比較的に低くすることができる。
【0039】
本発明では、いかなるタイプの時空間符号、空間周波数符号、および時空間周波数符号も使用することができ、コードブックフィードバックビット数に基づいてコードブック集合内のコードブック数を予め設定するようにしてもよい。
【0040】
以下、2つの実施例によって本発明の解決手段を説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例では、送信側は、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う上に、受信側の協力でコーディング処理後の処理対象の信号に対してコードブックに基づくプリコーディングを行う。以下、時空間符号を例として説明する。
【0042】
図4は本実施例に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。図4を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0043】
ステップ401で、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて、コードブック集合を設定する。
【0044】
本実施例では、MIMOシステムの伝送性能要求に基づいて、例えば、1ビット(bit)、2ビットなどのようなコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)を設定するようにしてもよい。コードブック集合内のコードブック数がMであり、コードブックフィードバックビット数がnであることを仮定すると、M=2nになる。ここからわかるように、コードブックフィードバックビット数が大きいほど、コードブック集合内のコードブック数も多くなり、チャネル状態を正確に反映するコードブックが受信側で検索された確率も大きくなる。
【0045】
操作の便宜上、送信側と受信側とに同じコードブック集合が記憶され、当該コードブック集合内の各コードブックはいずれも行数と列数とが送信アンテナ数に等しい行列形式を用いる。そして、各コードブックはいずれも一意に識別できるコードブック番号を有する。
【0046】
ステップ402で、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理を行って、時空間符号のコーディング結果を得る。
【0047】
本実施例では、送信側で使用される時空間符号のタイプを予め決定し、そして、本ステップでコーディング処理を行うとき、決定された時空間符号のタイプおよび送信アンテナ数に従って、処理対象の信号を再構成するようにしてもよい。これにより、時空間符号のコーディング結果内の各列のシンボルが、異なるアンテナで同時に送信され、即ち、時空間符号の列数が送信アンテナ数に等しい。ここでの処理対象の信号は、変調処理後のMIMO信号であってよい。
【0048】
仮に、変調処理後の信号が[s1,s2,s3,s4]であり、あわせて4本の送信アンテナが存在することを仮定する。予め決定された時空間符号のタイプが対角ABBA(Diagonal ABBA)時空間符号である場合、時空間符号に基づくコーディング処理後の信号は
【数1】
になり、ここで、(・)*は括弧内の要素の共役をとることを表す。時空間符号のタイプが二重時空間送信ダイバーシティ(DSTTD)時空間符号である場合、時空間符号に基づくコーディング処理後の信号は
【数2】
になる。もちろん、本分野のほかのタイプの時空間符号、例えば、準直交時空間符号(quasi‐orthogonal space‐time code)、スレッド代数時空間符号(threaded algebraic space‐time code)、線形分散符号(linear dispersion code)なども、本ステップに使用されるようにしてもよい。
【0049】
なお、本ステップでは、時空間符号の代わりに、空間周波数符号または時空間周波数符号を用いて、空間特性に基づくコーディングを行うようにしてもよい。
【0050】
ステップ403で、受信側からのコードブックフィードバック情報に基づいて、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを用いて、時空間符号のコーディング結果に対してプリコーディングを行う。
【0051】
コードブックによってチャネル状態をなるべく正確に反映できるために、本実施例では、送信側でプリコーディングを行う前に、受信側は、チャネル状態の測定を行って、チャネル状態測定結果に基づいて、予め設定されたコードブック集合から、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択する。ここでの選択原則は、最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、最大チャネル容量などであってよい。例えば、コードブック選択原則が最大の最小信号対雑音比であることを仮定すると、受信側は、本ステップで、チャネル状態測定結果に基づいて、各コードブックに対応する最小信号対雑音比を算出して、最小信号対雑音比が最大となるコードブックを選択する。なお、受信側のチャネル状態測定およびコードブック選択と、上記ステップ402における時空間符号、空間周波数符号、または時空間周波数符号に基づくコーディング処理との間に、時間上での厳しい順序がない。
【0052】
その後、受信側は、選択されたコードブックに対応するコードブック番号をコードブックフィードバック情報として送信側に送信する。送信側には受信側と同じコードブック集合が記憶されたため、受信側から伝送されたコードブックフィードバック情報内のコードブック番号に基づいて、受信側で選択されたコードブックをコードブック集合から検索することができる。その後、送信側は、選択されたコードブックと、時空間符号のコーディング結果、空間周波数符号のコーディング結果、または時空間周波数符号のコーディング結果とを乗算して、本実施例に係るMIMO信号処理プロセスを完成する。
【0053】
図5は本実施例に係るMIMO信号処理装置である送信側の構成を示す。図5を参照すると、当該装置は、空間コーディングモジュールとプリコーディングモジュールとを含む。ここで、空間コーディングモジュールは、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディング処理を行う。プリコーディングモジュールは、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行う。さらに、当該MIMO信号処理装置は、記憶モジュールと通信モジュールとを含む。通信モジュールは、受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する。前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。本実施例に係るMIMO信号処理装置は、処理対象の信号を変調して空間コーディングモジュールに送信する変調モジュールを、さらに含むようにしてもよい。
【0054】
図6は本実施例に係る受信側の構成を示す。図6を参照すると、当該受信側は、記憶モジュールと、コードブック選択モジュールと、通信モジュールと、チャネル状態測定モジュールと、を含む。ここで、記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する。チャネル状態測定モジュールは、現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信する。コードブック選択モジュールは、記憶モジュールからコードブック集合を読み取り、受信されたチャネル状態測定結果に基づいて測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択する。通信モジュールは、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する。
【0055】
図7は、本実施例に係るMIMO信号処理方法と、時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングのそれぞれとの間の性能比較のシミュレーション図である。なお、今回のシミュレーションでは、最大の最小信号対雑音比の原則に基づいてコードブックを選択する。図7を参照すると、横軸はデシベル(dB)を単位とする信号対雑音比(Es/N0)であり、縦軸はBERである。四角印の線は、DSTTD時空間符号に基づくコーディング処理方式を表す。三角印の線は、コードブック集合に1つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディング方式を表す。五角星印の線は、コードブック集合に2つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディング方式を表す。丸印の線は、本実施例に係るMIMO信号処理方法、即ち、DSTTD時空間符号に基づくコーディング処理と、コードブック集合に1つのコードブックが含まれる場合のコードブックに基づくプリコーディングとを組合せた方式を表す。図7からわかるように、本実施例に係るMIMO信号処理方法に対応するBERは、従来の単純な時空間符号に基づくコーディング処理方式、および単純なコードブックに基づくプリコーディング方式より明らかに低い。そして、Es/N0が大きいほど、BERの低下程度が明らかになり、即ち、MIMOシステム性能の改善程度が大きくなる。
【0056】
上記の説明からわかるように、本実施例では、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行うことによって、ダイバーシティ利得または多重化利得を得る。そして、受信側で選択されたコードブックWによって、チャネル行列をHからHWに変更する。低速移動状態では、空間特性に基づくコーディングによるダイバーシティ利得または多重化利得、およびコードブックによるチャネル影響の低減によって、送信側と受信側との間のMIMO信号伝送の正確性を確実に保証することができるため、比較的に低いBERを得、単純な空間特性に基づくコーディングに比べて、より高いシステム性能を有する。高速移動状態では、チャネル影響の低減に対するコードブックの役割が有限であるが、空間特性に基づくコーディングによるダイバーシティ利得または多重化利得が、コードブックを用いたプリコーディング方式より優れるため、本実施例では比較的に低いBERを得ることができ、より高いシステム性能を得ることができる。ここからわかるように、本実施例に係る解決手段は、各種の移動速度の環境でもMIMOシステム性能を保証することができる。
【0057】
(実施例2)
本実施例では、受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、移動速度測定結果に基づいて信号処理モードを決定して、送信側に通知する。送信側は、受信側で決定された信号処理モードに従って、低速移動状態でコードブックに基づくプリコーディングを行い、または、中速移動状態および高速移動状態で空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングを行う。
【0058】
以下、時空間符号を例として説明する。
【0059】
図8は本実施例に係るMIMO信号処理方法のフローチャートである。図8を参照すると、当該方法は以下のステップを含む。
【0060】
ステップ801で、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定し、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて、コードブック集合を設定する。
【0061】
本実施例では、受信側の移動速度とコーディングモードとの対応関係は、例えば、低速移動状態で、送信側は処理対象の信号に対してコードブックに基づくプリコーディングを行い、中速移動状態および高速移動状態で、送信側は処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングを行うことであってよい。
【0062】
本ステップでは、実施例1のステップ401と同じ方式でコードブック集合を設定する。
【0063】
ステップ802で、受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果と、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信する。
【0064】
本ステップでは、受信側は、まず、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいて、受信側が低速移動状態にあるか、中速移動状態にあるか、それとも高速移動状態にあるかを決定する。その後、受信側は、決定された移動速度状態に基づいて、上記対応関係から対応のコーディングモードを検索してから、送信側で当該コーディングモードに基づいて信号処理を実行できるように、コーディングモード情報を送信側に送信する。
【0065】
本実施例では、コーディングモードに対して番号を付けるようにしてもよい。この場合、受信側は、コーディングモードを決定した後、決定されたコーディングモードに対応する番号を送信側に送信し、送信側は、受信されたコーディングモード番号に基づいて具体的なコーディングモードを得る。
【0066】
ステップ803で、送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、ステップ805に進み、時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、ステップ804に進む。
【0067】
ステップ804で、送信側は、処理対象の信号に対して時空間符号に基づくコーディング処理を行って、時空間符号のコーディング結果を得る。
【0068】
本ステップの処理は、実施例1のステップ402の処理と同じである。
【0069】
ステップ805で、送信側は、受信側からのコードブックフィードバック情報に基づいて、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを用いて、プリコーディングを行う。
【0070】
受信側で決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、本ステップのプリコーディング対象は、時空間符号に基づくコーディング処理が行われていない処理対象の信号である。受信側で決定されたコーディングモードが時空間符号に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、本ステップのプリコーディング対象は、上記ステップ804の時空間符号のコーディング結果である。
【0071】
プリコーディング対象を考慮しない場合で、本ステップのプリコーディング処理は、実施例1のステップ403のプリコーディング処理と同じである。
【0072】
ここまで、本実施例に係るMIMO信号処理プロセスを終了する。
【0073】
本実施例では、上記の時空間符号の代わりに、空間周波数符号または時空間周波数符号を用いて、空間特性に基づくコーディングを行うようにしてもよい。
【0074】
図9は本実施例に係るMIMO信号処理装置の構成を示す。図9を参照すると、当該装置は、記憶モジュールと、コーディングモード識別モジュールと、空間コーディングモジュールと、プリコーディングモジュールと、通信モジュールと、を含む。言い換えれば、本実施例では、図5に加えて、コーディングモード識別モジュールが追加される。これらモジュールの中で、コーディングモード識別モジュールは、処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディング処理およびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディング処理の実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示する。空間コーディングモジュールは、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディング処理を行う。プリコーディングモジュールは、予め設定されたコードブック集合から処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行う。記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する。通信モジュールは、受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する。さらに、プリコーディングモジュールは、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る。もちろん、本実施例に係るMIMO信号処理装置は、コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号を変調して、空間コーディングモジュールまたはプリコーディングモジュールに送信する変調モジュールをさらに含むようにしてもよい。
【0075】
図10は本実施例に係る受信側の構成を示す。図10を参照すると、当該受信側は、記憶モジュールと、移動速度測定モジュールと、コーディングモード決定モジュールと、チャネル状態測定モジュールと、コードブック選択モジュールと、通信モジュールと、を含む。即ち、本実施例の受信側は、図6に加えて、移動速度測定モジュールおよびコーディングモード決定モジュールが追加される。本実施例の記憶モジュールは、予め設定されたコードブックフィードバックビット数に基づいて設定されたコードブック集合を記憶し、かつ予め設定された受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する。移動速度測定モジュールは、本受信側の移動速度に対して測定を行う。コーディングモード決定モジュールは、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と、受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信する。チャネル状態測定モジュールおよびコードブック選択モジュールは、図6と同じである。通信モジュールは、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する以外に、コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報も送信側に送信する。
【0076】
図11は、異なる移動速度状態で、コードブックに基づくプリコーディングと、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングを組合せたMIMO信号処理方法との間の性能比較のシミュレーション図である。図11を参照すると、横軸はdBを単位とするSNRであり、縦軸はBERである。ここで、星印の実線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。四角印の実線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。丸印の実線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。菱形の実線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。三角印の実線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1である空間特性に基づくコーディングとコードブックに基づくプリコーディングとを組合せたMIMO信号処理方法を表す。四角印の点線は、5キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。丸印の点線は、30キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。五角星印の実線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が2であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。三角印の点線は、120キロメートル/時間の移動速度で、コードブックフィードバックビット数が1であるコードブックに基づくプリコーディング処理方式を表す。図11のシミュレーションからわかるように、移動速度および信号対雑音比が同じである場合、実施例2の方法によれば、コードブックに基づくプリコーディング方式と同じBER、またはより優れるBERを得ることができる。
【0077】
本実施例では、受信側の移動速度状態によって送信側のコーディング方式を区別する。低速移動状態では、チャネル状態の変化が比較的に遅いため、チャネルによる信号への影響をコードブックだけで改善することができる。このような状態で、時空間符号に基づくコーディング処理を省略するようにしてもよい。中速移動状態および高速移動状態では、コードブックがチャネルフィードバック遅延に敏感であることを考慮すると、システム性能の要求を完全に満たすことができないため、時空間符号に基づくコーディング処理を用いて、伝送品質をさらに改善することにより、MIMOシステム性能を保証する。ここからわかるように、本実施例によれば、各種の移動速度状態でもMIMOシステム性能を保証できるだけでなく、コーディングモードを適切に選択することができる。時空間符号に基づくコーディング処理を省略する場合で、送信側の操作を簡略化し、MIMO信号処理の複雑度を低減することができる。
【0078】
上記2つの実施例は時空間符号のみを例として説明しているが、本分野の各種類の空間周波数符号および時空間周波数符号で、上記の時空間符号を替えることができる。
【0079】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神と原則内で行われる種々の修正、均等置換え、改善などは全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MIMO信号処理方法であって、
少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定することは、
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて、前記コードブック集合を設定する、
ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う前に、
前記受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信し、
送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行し、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを実行する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定することをさらに含み、
前記測定結果に基づいてコーディングモードを決定することは、前記測定結果に基づいて前記受信側の移動速度状態を決定し、前記対応関係から、決定された移動速度状態に対応するコーディングモードを検索することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係は、
前記受信側が低速移動状態にあることが、コードブックに基づくプリコーディングに対応し、前記受信側が中速移動状態または高速移動状態にあることが、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングに対応する、
ことを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プリコーディングが前記空間特性に基づくコーディングの後に実行される場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことは、
前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと、空間特性に基づくコーディング結果とを乗算する、
ことを含むことを特徴とする請求項1または3に記載の方法。
【請求項7】
前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行することは、
前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと前記処理対象の信号とを乗算する、
ことを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う前に、
最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、または最大チャネル容量の原則に従って、チャネル状態測定結果に基づいて、前記コードブック集合から前記受信側で選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を受信し、前記コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを決定する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
MIMO信号処理装置であって、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、
受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、
をさらに含み、
前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
MIMO信号処理装置であって、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、
コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間コーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して当該コードブックフィードバック情報を前記プリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、
をさらに含み、
前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る、
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングであることを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
MIMO信号処理システムであって、
処理対象の信号に対して時空間符号、空間周波数符号または時空間周波数符号に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う送信側と、
前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する受信側と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記送信側は、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送信側は、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、
コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信側は、
予め設定された前記受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する記憶モジュールと、
前記受信側の移動速度に対して測定を行う移動速度測定モジュールと、
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と読み取られた対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信するコーディングモード決定モジュールと、
前記コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報を前記送信側に送信する通信モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信側は、
現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信するチャネル状態測定モジュールと、
受信されたチャネル状態測定結果に基づいて、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択するコードブック選択モジュールと、
をさらに含み、
前記通信モジュールは、さらに、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する、
ことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項1】
MIMO信号処理方法であって、
少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定し、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコードブックを含むコードブック集合を予め設定することは、
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて、前記コードブック集合を設定する、
ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う前に、
前記受信側は、自身の移動速度に対して測定を行って、測定結果に基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を送信側に送信し、
送信側は、受信されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングであるか、それとも空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングであるかを判断し、コードブックに基づくプリコーディングである場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行し、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行って、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを実行する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を予め設定することをさらに含み、
前記測定結果に基づいてコーディングモードを決定することは、前記測定結果に基づいて前記受信側の移動速度状態を決定し、前記対応関係から、決定された移動速度状態に対応するコーディングモードを検索することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係は、
前記受信側が低速移動状態にあることが、コードブックに基づくプリコーディングに対応し、前記受信側が中速移動状態または高速移動状態にあることが、空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングに対応する、
ことを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プリコーディングが前記空間特性に基づくコーディングの後に実行される場合、前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことは、
前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと、空間特性に基づくコーディング結果とを乗算する、
ことを含むことを特徴とする請求項1または3に記載の方法。
【請求項7】
前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行うことを直接に実行することは、
前記コードブック集合から受信側で選択されたコードブックと前記処理対象の信号とを乗算する、
ことを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記コードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う前に、
最大の最小固有値、最大の最小信号対雑音比、または最大チャネル容量の原則に従って、チャネル状態測定結果に基づいて、前記コードブック集合から前記受信側で選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を受信し、前記コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを決定する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
MIMO信号処理装置であって、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、
受信側からのコードブックフィードバック情報を受信し、受信されたコードブックフィードバック情報をプリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、
をさらに含み、
前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
MIMO信号処理装置であって、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、
コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間コーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
予め設定されたコードブックフィードバックビット数(1以上の整数)に基づいて設定されたコードブック集合を記憶する記憶モジュールと、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信して当該コーディングモード情報をコーディングモード識別モジュールに送信し、かつ受信側からのコードブックフィードバック情報を受信して当該コードブックフィードバック情報を前記プリコーディングモジュールに送信する通信モジュールと、
をさらに含み、
前記プリコーディングモジュールは、さらに、前記通信モジュールからのコードブックフィードバック情報を受信し、前記記憶モジュールに記憶されているコードブック集合から、当該コードブックフィードバック情報に対応するコードブックを読み取る、
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記空間特性に基づくコーディングは、時空間符号に基づくコーディング、または空間周波数符号に基づくコーディング、または時空間周波数符号に基づくコーディングであることを特徴とする請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
MIMO信号処理システムであって、
処理対象の信号に対して時空間符号、空間周波数符号または時空間周波数符号に基づくコーディングを行って、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、プリコーディング処理を行う送信側と、
前記コードブック集合からコードブックを選択して送信側に通知する受信側と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項16】
前記送信側は、
処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディング処理を行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記送信側は、
処理対象の信号の受信側からのコーディングモード情報を受信し、コーディングモードを決定し、決定されたコーディングモードがコードブックに基づくプリコーディングである場合、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うことをプリコーディングモジュールに指示し、決定されたコーディングモードが空間特性に基づくコーディングおよびコードブックに基づくプリコーディングである場合、空間特性に基づくコーディングの実行を開始することを空間コーディングモジュールに指示するコーディングモード識別モジュールと、
コーディングモード識別モジュールの指示で、処理対象の信号に対して空間特性に基づくコーディングを行う空間コーディングモジュールと、
予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、空間特性に基づくコーディング結果に対してプリコーディングを行い、または、コーディングモード識別モジュールの指示で、予め設定されたコードブック集合から前記処理対象の信号の受信側で選択されたコードブックを用いて、前記処理対象の信号に対してプリコーディングを行うプリコーディングモジュールと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信側は、
予め設定された前記受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶する記憶モジュールと、
前記受信側の移動速度に対して測定を行う移動速度測定モジュールと、
前記処理対象の信号の受信側の移動速度状態とコーディングモードとの対応関係を記憶モジュールから読み取り、測定結果と読み取られた対応関係とに基づいてコーディングモードを決定し、決定されたコーディングモード情報を通信モジュールに送信するコーディングモード決定モジュールと、
前記コーディングモード決定モジュールで決定されたコーディングモード情報を前記送信側に送信する通信モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記受信側は、
現在のチャネル状態に対して測定を行って、チャネル状態測定結果をコードブック選択モジュールに送信するチャネル状態測定モジュールと、
受信されたチャネル状態測定結果に基づいて、測定されたチャネル状態に適合するコードブックを選択するコードブック選択モジュールと、
をさらに含み、
前記通信モジュールは、さらに、コードブック選択モジュールで選択されたコードブックに対応するコードブックフィードバック情報を送信側に送信する、
ことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−158021(P2010−158021A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296730(P2009−296730)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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