説明

MRI用ファントム及びMRIシステム

【課題】ベジクル体を安定に均一分散させることを可能とする1H/19F信号検出用の磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)用ファントムと、前記ファントムを利用した1H/19F信号の計測パラメータの調整と性能確認。
【解決手段】パーフルオロカーボンか超常磁性酸化鉄粒子の少なくとも一方を含むベジクル体を含有するゲルを具備するMRI用ファントムと、前記ファントムを有するMRIシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1H/19F信号検出用磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)用ファントム、MRIシステム、及び前記MRIシステムを用いた1H/19F信号の計測パラメータの調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置は、静磁場中におかれた測定対象に、特定周波数の高周波磁場を照射して磁気共鳴現象を誘起し、測定対象の物理的化学的情報を取得する装置である。MRI装置では、主として水分子中の水素原子核の磁気共鳴現象を用い、生体組織によって異なる水素原子核の密度分布や緩和時間の差などを画像化できる。これにより、組織性状の差異を画像化でき、疾病の診断に高い効果をあげている。広く普及している静磁場強度1.5テスラ以下のMRI装置が主として水分子の水素原子核の密度分布や緩和時間を反映した濃度分布などを画像化するのに対し、これ以上の静磁場強度、特に静磁場強度3テスラ以上のMRI装置では、13C、19F、31Pなど他核種の原子核の磁気共鳴周波数が分子の化学結合の違いによってずれること(ケミカルシフト)を基に磁気共鳴信号を分離し、分子種ごとの濃度や緩和時間などを計測できることを基盤においた多核種MRIが可能になる。
【0003】
19Fは生来の生体には存在せず、生体内の19F成分は全て外来に起因する。そのため、多核種MRIのなかでも、特に1H/19F-MRIは生体内における医薬品など外来性化学物質の非侵襲的検知が可能となる。フルオロウラシル系化合物など、その化学構造中に19Fが含まれる抗癌剤が多く存在することから、1H/19F-MRIは従来の固形がん組織の形態把握に主眼が置かれたがん画像診断に加え、新たに抗癌剤分布のモニタリングが同時に可能になるため、臨床における1H/19F-MRI装置の意義は大きい。
【0004】
1H/19F-MRI装置に関しては、特に造影剤を利用しての画像診断検査、すなわち造影MRI検査においてその威力を発揮する。1H-MRIでは常磁性体を主要成分とするMRI用造影剤がすでに複数種類ほど上市中もしくは研究開発中であり、19F-MRIでは未だに造影19F-MRI検査用とした専用造影剤は上市されていないものの、前記フルオロウラシル系抗癌剤や、パーフルオロカーボンを含む化合物を生体に投与することで生体中の19F成分を検出する研究的試みがある(非特許文献1〜5)。
【0005】
一方、臨床において、MRI装置が良好なコンディションを維持するためには、ファントムを利用した定期的なS/N比チェックなどの信号受信、信号処理性能の動作確認が必須である。ファントムに含まれる物質としては、一般的には塩化ニッケル水溶液や硫酸ニッケル水溶液が用いられる例が多い。
【0006】
【非特許文献1】プロシーディング・オブ・インターナショナル・ソサエティ・オブ・マグネティック・レゾナンス・イン・メディシン誌、14巻、1834項、2006年発行
【非特許文献2】プロシーディング・オブ・インターナショナル・ソサエティ・オブ・マグネティック・レゾナンス・イン・メディシン誌、14巻、3094項、2006年発行
【非特許文献3】プロシーディング・オブ・インターナショナル・ソサエティ・オブ・マグネティック・レゾナンス・イン・メディシン誌、12巻、2497項、2004年発行
【非特許文献4】マグネティック・レゾナンス・イン・メディシン誌、46巻、864項、2001年発行
【非特許文献5】インベスティゲーティブ・ラジオロジー誌、20巻、504項、1985年発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非造影MRIのみを実施するのであれば、塩化ニッケル水溶液や硫酸ニッケル水溶液、硫酸銅水溶液を含むファントムを用いてMRI装置の動作確認を行ってもよいが、造影1H-MRI、造影19F-MRIをも行うのであれば、それらの造影剤を含むファントムを用いて動作確認を行わなければ、本来の動作確認は困難である。現状では、造影1H-MRI、造影19F-MRIに使用される造影剤であるパーフルオロカーボンや超常磁性酸化鉄粒子は疎水性であり、かつ、その水溶液がそれらの化合物を含まない水溶液と比較して比重が大きいため、ファントム容器内の下層に沈殿してしまう。
【0008】
すなわち、パーフルオロカーボン、超常磁性酸化鉄粒子を含むMRI用ファントムを作製するためには、疎水性物質であるこれらの物質を可溶化処理する必要がある。簡便に可溶化処理を行うためには、ベジクル化することが好ましいが、パーフルオロカーボン、超常磁性酸化鉄粒子を含むベジクル体は高比重となるため水溶液中に長期間均一に分散させることはできず、MRI用ファントムに利用することは難しかった。このため、造影剤を含みかつ安定した均一度を保つファントムは実現困難であった
また、そのようなファントムが存在しないことから、安定した磁気共鳴信号を取得することが困難であり、MRIシステムの計測パラメータの調整を安定して行うことも困難であった。
【0009】
本発明の課題は、パーフルオロカーボンや超常磁性酸化鉄粒子を含むベジクル体を、長期間安定かつ均一に分散した状態で含むMRI用ファントムを実現することにある。さらに、そのようなMRI用ファントムを用いることで、計測パラメータを安定に調整可能なMRIシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明では、化学的にいわゆる網目構造を形成し得る高分子化合物溶液に、パーフルオロカーボンか超常磁性酸化鉄粒子のいずれか一方を含むベジクル体を混和し、ゲル化して固定化する。これにより、前記ベジクル体を、長期間安定かつ均一に分散した状態で保持することが可能となり、1H/19F信号検出用MRI用ファントムが実現できる。また、前記ファントムを利用することで、1H/19F-MRI装置の性能確認手段であるS/N比を算出し得るMRIシステムが実現できる。
【0011】
すなわち、本発明は、パーフルオロカーボンか超常磁性酸化鉄粒子の少なくとも一方を含むベジクル体を含有するゲルを具備するMRI用ファントムに関する。
【0012】
本発明のMRI用ファントムにおいて、前記パーフルオロカーボンとしては、パーフルオロ-n-ペンタン、パーフルオロ-n-ヘキサン、パーフルオロ-n-ヘプタン、パーフルオロ-n-オクタン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ-15-クラウン-5-エーテルのいずれかを用いることができる。なお、アクリルアミドのゲル化過程ではごく軽度の発熱が生じることから、好ましくは沸点が50℃以上であるパーフルオロ-n-ヘキサン、パーフルオロ-n-ヘプタン、パーフルオロ-n-オクタン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ-15-クラウン-5-エーテルのいずれか、さらに好ましくは、沸点が100℃以上であるパーフルオロ-n-オクタン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロ-15-クラウン-5-エーテルを用いることが望ましい。
【0013】
また、前記超常磁性体酸化鉄粒子としては、酸化第二鉄又はクエン酸鉄アンモニウムを用いることができる。
【0014】
本発明のMRI用ファントムにおいて、前記ベジクル体のシェルを構成する主な成分は脂質が好ましい。脂質の例としては、L-アルファ-ホスファチジルコリン、コレステロール、L-アルファ-ジラウロイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン、L-アルファ-ジラウロイルホスファチジルグリセロールナトリウム、L-アルファ-モノミリストイルホスファチジコリン、L-アルファ-ジミリストイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、L-アルファ-ジミリストイルホスファチジルグリセロールアンモニウム、L-アルファ-ジミリストイルホスファチジルグリセロールナトリウム、L-アルファ-ジミリストイルホスファチジン酸ナトリウム、L-アルファ-ジオレイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、L-アルファ-ジオレオイルホスファチジルセリンナトリウム、L-アルファ-モノパルミトイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジパルミトイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、L-アルファ-ジパルミトイルホスファチジルグリセロールアンモニウム、L-アルファ-ジパルミトイルホスファチジルグリセロールナトリウム、L-アルファ-ジパルミトイルホスファチジン酸ナトリウム、L-アルファ-ステアロイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジステアロイルホスファチジルコリン、L-アルファ-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、L-アルファ-ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム、L-アルファ-ジステアロイルホスファチジルグリセロールアンモニウム、L-アルファ-ジステアロイルホスファチジン酸ナトリウム、L-アルファ-ジエルコイルホスファチジルコリン、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン、ベータ-オレイル-ガンマ-パルミトイル-L-アルファ-ホスファチジルエタノールアミン、ベータ-オレイル-ガンマ-パルミトイル-L-アルファ-ホスファチジルグリセロールナトリウム、スフィンゴミエリン、ステアリルアミンのいずれかもしくは2種類以上の複数組み合わせを用いることができる。
【0015】
本発明のMRI用ファントムにおいて、前記ゲルは、化学的に網目構造を形成する高分子化合物で構成され、ポリビニールアルコール、アガロース、ゼラチン、好ましくはアクリルアミド、ビスアクリルアミド、過硫酸アンモニウム、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを含む混和液からなる物質を用いることができ、なかでも、アクリルアミドゲルで構成されることが好ましい。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、パーフルオロ-n-オクタンとホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備するMRI用ファントムを挙げることができる。
【0017】
また、別な実施形態として、酸化第二鉄とホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備するMRI用ファントムを挙げることができる。
【0018】
本発明のファントムは、静磁場強度1.5テスラ以上の磁場を照射する1H/19F信号検出用MRI装置、特に静磁場強度3.0テスラ以上の磁場を照射する1H/19F信号検出用MRI装置に有用である。
【0019】
本発明はまた、本発明のMRI用ファントムと、前記ファントムに磁場を印加する磁場照射部と、前記ファントムから磁気信号を取得する信号受信部と、前記磁気信号についての情報を記憶する記憶部と、前記記憶部から前記情報を読み出し、予め設定された信号処理を行う信号処理部とを有するMRIシステムを提供する。
【0020】
また本発明は、本発明のMRIファントムによる、1H/19F信号の計測パラメータの調整方法を提供する。調整する計測パラメータとしては、例えば、RFの印加強度、エコー時間、繰り返し時間、エコートレインレングス、FOV、マトリックスサイズ、積算回数、バンド幅、スライス厚を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、1H/19F信号検出に最適な磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)用ファントムが提供される。また、前記ファントムを用いた、1H/19F信号の受信性能、処理性能のメンテナンス手段が実現でき、MRIシステムを提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
本実施例では、化学的に網目構造を形成する高分子をゲル化してパーフルオロカーボンを含むベジクル体を封じ込め、均一分散を可能とした1H/19F信号検出用の磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)用ファントムについて説明する。図1は、前記した1H/19F信号検出用MRI用ファントムの一例である。
【0024】
まず、パーフルオロカーボンとしてパーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体の製造方法について記載する。クロロホルムに溶解したL-アルファ-ホスファチジルコリン(20mg/mL)6.667mLと、クロロホルムに溶解したコレステロール(20mg/mL)1.757mLとを混和し、その混和液を反応温度30℃にて10分間減圧乾固した。乾固物にリン酸緩衝溶液15mLを加え、超音波ホモジナイザーを用いて氷冷下にて10分間ホモジナイズした。得られたホモジネートにパーフルオロ-n-オクタン3.0mLを添加し、ホモジナイザーを用いて氷冷下にて10秒間常圧乳化を行い、次いで高圧ホモジナイザーを用いて氷冷下25kPSI 3分間の条件にて高圧乳化を行い、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を得た。
【0025】
続いて、パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含むファントムの製造方法について記載する。20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体7.35mL、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体3.675mLにリン酸緩衝溶液3.675mLを加えて総量7.35mLとした混和液、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体0.735mLにリン酸緩衝溶液6.615mLを加えて総量7.35mLとした混和液、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体0.3675mLにリン酸緩衝溶液6.9825mLを加えて総量7.35mLとした混和液、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体0.0735mLにリン酸緩衝溶液7.2765mLを加えて総量7.35mLとした混和液、20%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体0.03675mLにリン酸緩衝溶液7.31325mLを加えて総量7.35mLとした混和液をそれぞれ調製した。これらのいずれかの濃度のベジクル体7.35mLに対し、38.5%アクリルアミドと1.5%ビスアクリルアミドとを含む40%アクリルアミド溶液3.75mL、精製水3.75mLを混和して撹拌した。引き続きこれらの溶液に10%過硫酸アンモニウム溶液0.15mL、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン0.015mLを混和した後、素早く撹拌して、混和液を20mL入ガラスバイアル容器に移し、30分間静置した。こうして、最終濃度10%、5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%のパーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルが20mL入ガラスバイアル容器内に調製されるが、さらに各容器内のゲル体上に空気が入らないように精製水を重層して密封栓を施すことにより、図1に示すファントムが製造された(図1の1、2、3、4、5、6、7)。なお、ここに記載した化合物群の濃度、量は一例であり、当該記載に限定されるものではない。
【0026】
次に、本発明にかかるMRIシステムの例の概略図を図2に示す。図2において、10はパーフルオロカーボン、超常磁性酸化鉄粒子の少なくとも一方を含むベジクル体とゲルとを具備するファントム、11は磁場照射部としての静磁場発生磁石、12は高周波を発生させるためのシンセサイザ、13は前記シンセサイザ12で発生された高周波を波形整形、電力増幅するための変調装置、14は信号受信部としての高周波磁場コイル、15は傾斜磁場コイル16に電源を供給する傾斜磁場電源装置、16は傾斜磁場を発生させるための磁場照射部としての傾斜磁場発生コイル、17は前記高周波磁場コイル14で検出された磁気共鳴信号を増幅するための増幅器、18は前記増幅器17から送られる磁気共鳴信号をAD変換するためのAD変換器、19はデータの演算を行うためのデータ処理装置、20は前記データ処理装置19で処理された磁気共鳴信号についての情報を記憶するための記憶部、21は前記記憶部20から前記磁気共鳴情報を読み出し、前記信号受信部14が取得して前記データ処理装置19から送られる磁気共鳴情報と比較する信号処理部、22は前記信号処理部21の処理結果を表示するための表示装置、23は各磁場の発生タイミング及び強度の制御を行うための制御装置である。なお、ファントム10が正確な位置に固定されるように、固定治具を使用してもよい。
【0027】
次に本装置の動作の概要を記載する。ファントム10の核スピンを励起する高周波磁場パルスは、シンセサイザ12により発生された高周波を変調装置13で波形整形、電力増幅し、高周波磁場コイル14に電流を供給することにより発生させる。傾斜磁場電源装置15から電流を供給された傾斜磁場発生コイル16は傾斜磁場を発生し、ファントム10からの磁気共鳴信号を変調する。当該変調信号は高周波磁場コイル14より受信され、増幅器17で増幅、AD変換器18でAD変換された後、データ処理装置19に入力される。データ処理装置19では、演算後、演算結果を記憶部20及び信号処理部21に送る。記憶部20では、データ処理装置19より送られた磁気共鳴信号についての情報を記憶する。信号処理部21では、記憶部20から磁気共鳴信号についての情報を読み出し、信号受信部21が取得してデータ処理装置19から送られる磁気共鳴信号と比較する。表示装置22は、信号処理部21の処理結果を表示する。なお、制御装置23は、予めプログラムされたタイミング、強度で各装置が動作するように制御を行う。
【0028】
図3は、本実施例にかかるパルスシーケンスの概略図である。z方向のスライス傾斜磁場パルス6とともに励起高周波磁場パルス1を印加し、z方向の所定のスライス内に核磁気共鳴現象を誘起する。次にz方向のスライス傾斜磁場パルス6とともに反転高周波磁場パルス2を印加することで、z方向の所定のスライス内の磁化を反転させる。選択されたスライス内から発生したエコーは、x方向の位相エンコード傾斜磁場パルス3を印加して変調した後、y方向のリードアウト傾斜磁場パルス5を印加しながらデータ取得7される。なお、次の反転高周波磁場パルス2とスライス傾斜磁場パルス6が印加される前に、位相エンコード傾斜磁場パルス3を印加された位相エンコードを元に戻すためのリワインド傾斜磁場パルス4を印加する。イメージングのパルスシーケンスには、前述した方法のほかに、例えば、エコー・プラナー・イメージング法(ジャーナル・オブ・フィジックス誌C10巻L55-L58項1977年発行)なども使用可能である。また、x方向、y方向、z方向を入れ替えて撮影断面を変更したり、z方向に位相エンコード傾斜磁場パルスを印加して三次元の空間情報を得るように変更することを可能である。なお、本発明の方法は一次元空間情報(プロファイル)の撮像にも適用可能であることは言うまでもない。
【0029】
次いで、本発明の1H/19F信号検出用MRIファントム及びこの装置を利用した、1H/19F-MRIについて記載する。図4は、図1に示した一部ファントムについて、図2に示したMRIシステムの動作に従って得た矢状面の1H/19F-MRI撮像である。図4において、1は10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの矢状面の1H-MRI撮像、2は10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの矢状面の19F-MRI撮像である。図4より、ファントム容器内に、撮像1においてはゲル部分に由来する1H成分と、ゲル部分に重層した精製水に由来する1H成分とが、容器内に均一に分散できていることが確認できる。また、撮像2においてはゲル部分に由来する19F成分のみが、容器内に均一に分散できていることが確認できる。なお、撮像1を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/25msec、エコートレインレングス:8、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:128 x 128、積算回数:8、バンド幅:85kHz、スライス厚:3mmである。撮像2を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/25msec、エコートレインレングス:8、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:128 x 128、積算回数:8、バンド幅:12kHz、スライス厚:3mmである。
【0030】
図5は、図1に示した一部ファントムについて、図2に示したMRIシステムの動作に従って得た横断面の19F-MRI撮像である。図5において、1は0.05%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、2は0.1%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、3は0.5%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、4は1.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、5は5.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、6は10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像である。撮像1を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:1600、バンド幅:6kHz、スライス厚:4mmである。撮像2を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:64、バンド幅:6kHz、スライス厚:4mmである。撮像3を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:16、バンド幅:6kHz、スライス厚:4mmである。撮像4を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:4、バンド幅:6kHz、スライス厚:4mmである。撮像5を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:4、バンド幅:6kHz、スライス厚:4mmである。撮像6を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Fast-spin echo法、TR/TE:4000/24msec、エコースペーシング:12msec、エコートレインレングス:32、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:32 x 32、積算回数:1、バンド幅:6kHz、スライス厚:2mmである。
【0031】
ここで、19Fの信号を安定して取得するには、ファントム内で19Fが均一に分散していることが望ましい。均一に分散していないと、スライス位置によって信号強度が時間変化とともに変化してしまう。また、濃度が変化することでT2やT1が変化し、従来使用していた計測パラメータの調整値では異なる画像コントラストが得られてしまい、再調整が必要になる場合がある。ここでいう計測パラメータとしては、RFの印加強度、エコー時間TE、繰り返し時間TR、RFコイルのチューニング用トリマーコンデンサの値などがある。これらの信号強度の変化や調整値の変化は、ファントム内で19Fが均一に分散していることで防ぐことが可能になる。
【0032】
この19F-MRI撮像から計算されたS/N比は、図2に示したMRIシステムの動作に従い、1が5.83、2が7.93、3が9.02、4が19.4、5が43.6、6が70.2と求められた。なお、S/N比は、ファントム撮像の関心領域内の各ピクセルの平均信号値を、同一関心領域内の各ピクセルの標準偏差で除する同一関心領域法を用いて求めた。このとき、図2に示したMRIシステムとしては、記憶部20では、データ処理装置19より送られた磁気共鳴信号についての情報を記憶する、信号処理部21では、記憶部20から磁気共鳴信号についての情報を読み出し、信号受信部4が取得してデータ処理装置19から送られる磁気共鳴信号と比較する、といった一連の動作が行われるが、記憶部20には過去に行った同動作の結果として得られたS/N比が記録されており、信号処理部21において日々のS/N比と比較照合することができるため、すなわち日々の19F-MRI装置の19F-信号受信性能や信号処理性能などのメンテナンス手段が本発明により実現する。
【0033】
図6には、図5に示した一部ファントムの横断面の19F-MRI撮像から計算されたS/N比について、スライス厚4mm、撮像時間を6400秒に一定化した例の値を、横軸をパーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体濃度の対数、縦軸をS/N比の対数とした両対数グラフにプロットしたグラフを示す。なお、このとき計算された各プロット値の相関係数r2は、0.9931であった。図6に示した結果より、本発明のMRI用ファントムは19F-MRI装置の19F-信号受信性能や信号処理性能などのメンテナンス手段に至適であることが確認できる。
【実施例2】
【0034】
本実施例では、化学的に網目構造を形成する高分子をゲル化して超常磁性酸化鉄粒子を含むベジクル体を封じ込め、均一分散を可能とした1H/19F信号検出用の磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)用ファントムについて説明する。
【0035】
まず、超常磁性酸化鉄粒子として酸化第二鉄を含むベジクル体の製造方法について記載する。クロロホルムに溶解したL-アルファ-ホスファチジルコリン(20mg/mL)6.667mLと、クロロホルムに溶解したコレステロール(20mg/mL)1.757mLとを混和し、その混和液を反応温度30℃にて10分間減圧乾固した。乾固物にリン酸緩衝溶液15mLを加え、超音波ホモジナイザーを用いて氷冷下にて10分間ホモジナイズした。得られたホモジネートに0.025%酸化第二鉄3.0mLを添加し、ホモジナイザーを用いて氷冷下にて10秒間常圧乳化を行い、次いで高圧ホモジナイザーを用いて氷冷下25kPSI 3分間の条件にて高圧乳化を行い、0.005%酸化第二鉄を含むベジクル体を得た。
【0036】
続いて、酸化第二鉄を含むベジクル体を含むファントムの製造方法について記載する。0.005%酸化第二鉄を含むベジクル体7.35mLを調製した。このベジクル体7.35mLに対し、38.5%アクリルアミドと1.5%ビスアクリルアミドとを含む40%アクリルアミド溶液3.75mL、精製水3.75mLを混和して撹拌した。引き続き当該溶液に10%過硫酸アンモニウム溶液0.15mL、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン0.015mLを混和した後、素早く撹拌して、混和液を20mL入ガラスバイアル容器に移し、30分間静置した。これにより、最終濃度0.0025%酸化第二鉄を含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルが20mL入ガラスバイアル容器内に製造されるが、さらに容器内のゲル体上に、空気が入らないように精製水を重層して密封栓を施すことにより、ファントムが製造される。なお、ここに記載した化合物群の濃度、量は一例であり、当該記載に限定されるものではない。
【0037】
図7は、前記ファントムについて、図2に示したMRIシステムの動作に従って得た横断面の1H-MRI撮像を示す。図7において、1は酸化第二鉄を含まないベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の1H-MRI撮像、2は0.0025%酸化第二鉄を含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の1H-MRI撮像である。撮像1を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Gradient echo法、TR/TE:50/10msec、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:128 x 128、積算回数:1、バンド幅:33.9kHz、スライス厚:5mmである。撮像2を実現するための主要な撮像パラメータは、例えば、静磁場強度3テスラのMRI装置を利用した場合、シーケンス:Gradient echo法、TR/TE:50/10msec、FOV:100mm x 100mm、マトリックスサイズ:128 x 128、積算回数:1、バンド幅:33.9kHz、スライス厚:5mmである。この1H-MRI撮像から計算されたS/N比は、図2に示したMRIシステムの動作に従い、1が182、2が39.7と求められた。なお、S/N比は、ファントム撮像の関心領域内の各ピクセルの平均信号値を、同一関心領域内の各ピクセルの標準偏差で除する同一関心領域法を用いて求めた。このとき、図2に示したMRIシステムとしては、記憶部20では、データ処理装置19より送られた磁気共鳴信号についての情報を記憶する、信号処理部21では、記憶部20から磁気共鳴信号についての情報を読み出し、信号受信部21が取得してデータ処理装置19から送られる磁気共鳴信号と比較する、といった一連の動作が行われるが、記憶部20には過去に行った同動作の結果として得られたS/N比が記録されており、信号処理部21において日々のS/N比と比較照合することができる。すなわち、日々の1H-MRI装置の1H-信号受信性能や信号処理性能などのメンテナンス手段が本発明により実現する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のファントムは、1H/19F信号検出用MRIシステムの計測パラメーターの調整と性能確認に有用であり、MRI診断を必要とする医療、医用機器分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】1H/19F信号検出用MRI用ファントムの例1:アクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム2:最終濃度0.05%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム3:最終濃度0.1%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム4:最終濃度0.5%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム5:最終濃度1.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム6:最終濃度5.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム7:最終濃度10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントム
【図2】本発明にかかるMRIシステムの例の概略図。10:ファントム、11:静磁場発生磁石、12:シンセサイザ、13:変調装置、14:高周波磁場コイル、15:傾斜磁場電源装置、16:傾斜磁場発生コイル、17:増幅器、18:AD変換器、19:データ処理装置、20:記憶部、21:信号処理部、22:表示装置、23:制御装置
【図3】実施例1のパルスシーケンス概略図。1:励起高周波磁場パルス、2:反転高周波磁場パルス、3:位相エンコード傾斜磁場パルス、4:リワインド傾斜磁場パルス、5:リードアウト傾斜磁場パルス、6:スライス傾斜磁場パルス、7:データ取得
【図4】本発明にかかるファントムの矢状面の1H/19F-MRI撮像1:10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの矢状面の1H-MRI撮像、2:10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの矢状面の19F-MRI撮像
【図5】本発明にかかるファントムの横断面の19F-MRI撮像。1:0.05%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、2:0.1%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、3:0.5%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、4:1.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、5:5.0%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像、6:10%パーフルオロ-n-オクタンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の19F-MRI撮像
【図6】図4に示したS/N比について、スライス厚4mm、撮像時間を6400秒に一定化した例の値をプロットしたグラフ。
【図7】1H/19F信号検出用MRI用ファントムの例。1:酸化第二鉄を含まないベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の1H-MRI撮像、2:0.0025%酸化第二鉄を含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを含む1H/19F信号検出用MRIファントムの横断面の1H-MRI撮像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロカーボンか超常磁性酸化鉄粒子の少なくとも一方を含むベジクル体を含有するゲルを具備する、MRI用ファントム。
【請求項2】
前記パーフルオロカーボンが、パーフルオロ-n-ペンタン、パーフルオロ-n-ヘキサン、パーフルオロ-n-ヘプタン、パーフルオロ-n-オクタン、パーフルオロトリブチルアミン、及びパーフルオロ-15-クラウン-5-エーテルからなる群より選ばれるいずれかである、請求項1記載のMRI用ファントム。
【請求項3】
前記超常磁性体酸化鉄粒子が酸化第二鉄又はクエン酸鉄アンモニウムである、請求項1又は2記載のMRI用ファントム。
【請求項4】
前記ベジクル体のシェルが脂質で構成される、請求項1〜3のいずれか1項記載のMRI用ファントム。
【請求項5】
前記ゲルがアクリルアミドゲルである、請求項1〜4のいずれか1項記載のMRI用ファントム。
【請求項6】
パーフルオロ-n-オクタンとホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備する、請求項1記載のMRI用ファントム。
【請求項7】
酸化第二鉄とホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備する、請求項1記載のMRI用ファントム。
【請求項8】
前記MRIが静磁場強度1.5テスラ以上である、請求項1〜7のいずれか1項記載のMRI用ファントム。
【請求項9】
前記MRIが静磁場強度3.0テスラ以上である、請求項1〜7のいずれか1項記載のMRI用ファントム。
【請求項10】
パーフルオロカーボンか超常磁性酸化鉄粒子の少なくとも一方を含むベジクル体を含有するゲルを具備するMRI用ファントムと、
前記ファントムに磁場を印加する磁場照射部と、
前記ファントムから磁気信号を取得する信号受信部と、
前記磁気信号についての情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部から情報を読み出し、予め設定された信号処理を行う信号処理部とを有するMRIシステム。
【請求項11】
前記パーフルオロカーボンが、パーフルオロ-n-ペンタン、パーフルオロ-n-ヘキサン、パーフルオロ-n-ヘプタン、パーフルオロ-n-オクタン、パーフルオロトリブチルアミン、及びパーフルオロ-15-クラウン-5-エーテルからなる群より選ばれるいずれかである、請求項10記載のMRIシステム。
【請求項12】
前記超常磁性体酸化鉄粒子が酸化第二鉄又はクエン酸鉄アンモニウムである、請求項10又は11記載のMRIシステム。
【請求項13】
前記ベジクル体が脂質からなる、請求項10〜12のいずれか1項記載のMRIシステム。
【請求項14】
前記ゲルがアクリルアミドゲルである、請求項10〜13のいずれか1項記載のMRIシステム。
【請求項15】
パーフルオロ-n-オクタンとホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備する、請求項10記載のMRIシステム。
【請求項16】
酸化第二鉄とホスファチジルコリンを含むベジクル体を含有するアクリルアミドゲルを具備する、請求項10記載のMRIシステム。
【請求項17】
前記磁場照射部が静磁場強度1.5テスラ以上の磁場を照射するものである、請求項10〜16のいずれか1項記載のMRIシステム。
【請求項18】
前記磁場照射部が静磁場強度3.0テスラ以上の磁場を照射するものである、請求項10〜16のいずれか1項記載のMRIシステム。
【請求項19】
請求項1〜9のいずれか1項記載のMRIファントムを利用した、MRI装置の1H/19F信号の計測パラメータを調整する方法。
【請求項20】
前記1H/19F信号の計測パラメータが、RFの印加強度、エコー時間、繰り返し時間、エコートレインレングス、FOV、マトリックスサイズ、積算回数、バンド幅、及びスライス厚から選ばれる1以上である、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−295884(P2008−295884A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147391(P2007−147391)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】